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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1350668
異議申立番号 異議2018-700931  
総通号数 233 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-05-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-11-21 
確定日 2019-03-28 
異議申立件数
事件の表示 特許第6329068号発明「パネル支持装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6329068号の請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第6329068号の請求項1ないし18に係る特許についての出願は、2012年(平成24年)4月10日(パリ条約による優先権主張:2011年(平成23年)4月15日 フランス)に国際特許出願され、平成30年4月27日付けでその特許権が設定登録され、同年5月23日に特許掲載公報が発行され、その後、同年11月21日に特許異議申立人 西郷新(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18に対して特許異議の申し立てがされたものである。

2 本件発明
特許第6329068号の請求項1ないし18の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし18に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、前記プラスチック製ケーシング(2)は、それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるものであり、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し、
前記プラスチック製ケーシング(2)が、
- 前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有し、
前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている、光起電力支持装置。
【請求項2】
各々のエラストマー製固定用形材(61、62;63;64)が、装置(1)の前記プラスチック製ケーシング(2)の固定用リブ(66;67)に対して相補的な形状をもつ溝を含み、エラストマー製固定用形材の前記相補的溝(68)の中に固定用リブを入り込ませることによって前記固定用形材が前記プラスチック製ケーシング(2)と一体化される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プラスチック製ケーシング(2)が、
- 上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)、
を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記下部壁(3)および上部壁(4)が互いに平行でなく、互いに角度αだけ傾斜しており、前記角度αは、例えば12°といったように10°?30°の間に含まれていて、装置が前記下部壁(3)を介して水平な表面上に載っている場合に水平との関係において光起電力パネルPを前記同じ角度αだけ傾斜させるようになっている、請求項1?3のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、前記プラスチック製ケーシング(2)は、それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるものであり、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し、
前記プラスチック製ケーシング(2)が、
- 前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有し、
前記プラスチック製ケーシング(2)が、
- 上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)、
を有する、光起電力支持装置。
【請求項6】
前記下部壁(3)および上部壁(4)が互いに平行でなく、互いに角度αだけ傾斜しており、前記角度αは、例えば12°といったように10°?30°の間に含まれていて、装置が前記下部壁(3)を介して水平な表面上に載っている場合に水平との関係において光起電力パネルPを前記同じ角度αだけ傾斜させるようになっている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、前記プラスチック製ケーシング(2)は、それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるものであり、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し、
前記プラスチック製ケーシング(2)が、
- 前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有し、
前記下部壁(3)および上部壁(4)が互いに平行でなく、互いに角度αだけ傾斜しており、前記角度αは、例えば12°といったように10°?30°の間に含まれていて、装置が前記下部壁(3)を介して水平な表面上に載っている場合に水平との関係において光起電力パネルPを前記同じ角度αだけ傾斜させるようになっている、光起電力支持装置。
【請求項8】
前記装置(1)の前記プラスチック製ケーシング(2)が栓により閉鎖される開口部(200)を有し、これによりプラスチック製ケーシング(2)の内部容積を部分的に充填することが可能となる、請求項1?7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記プラスチック製ケーシング(2)が前記プラスチック製ケーシング(2)の四つのコーナーの部位に固定用耳部(201)を有する、請求項1?8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
プラスチック製ケーシング(2)の側壁(5、6、7、8)のうち少なくとも二つ(5、7)が凹形形状である、請求項1?9のいずれか一つに記載の装置。
【請求項11】
請求項1?10のいずれか一つに記載の光起電力支持装置における前記プラスチック製ケーシングを、押出ブロー成形技術によって製造することを特徴とする、光起電力支持装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1?10のいずれか一つに記載の光起電力パネル支持装置(1)と連結用要素(30)とを組立てた結果として得られる光起電力パネル支持システム(50)であって、各連結用要素が主として気密なプラスチック製ケーシング(31)により構成されており、前記連結用要素の前記プラスチック製ケーシング(31)が、一つの下部壁(32)、一つの上部壁(33)および四つの側壁(34、35、36、37)を構成し、前記プラスチック製ケーシング(31)が、前記連結用要素(30)の浮動性を確保できるようにする内部容積を有している、請求項1?10のいずれか一つに記載の前記装置(1)と前記連結用要素(30)を互いに組立てるための固定用手段を有する、光起電力パネル支持システム。
【請求項13】
固定用手段が装置(1)のプラスチック製ケーシング(2)の固定用耳部(201)、ならびに、連結用要素(30)のプラスチック製ケーシング(31)の固定用耳部(301)、ならびに留めピンを含み、各々の留めピンは、組立てのロックを確保するために、対面させられた二つさらには三つの耳部を同時に貫通するようになっている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1?8のいずれか一つに記載の装置(1)の少なくとも二本の列(R1、R2)を有し、装置(1)の前記二本の列(R1、R2)が、保守用通路を構成することのできる、連結用要素(30)の一本の間置列(R3)を用いて維持されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
請求項1?10のいずれか一つに記載の光起電力パネル支持装置(1)および連結用要素(30)がモジュール式要素である、請求項12?14のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項16】
前記支持装置(1)のプラスチック製ケーシングからはみ出す形で光起電力パネルが具備されるように、同一の列(R1)に属する連続する二つの支持装置(1)が、二つの間置列(R3)に属する平行な二つの連結用要素(30)を用いて互いに遠位に離隔されており、
前記二つの支持装置(1)を離隔する前記二つの連結用要素(30)が、前記二つの離隔された支持装置(1)の間に空間を形成し、前記パネルのはみ出す部分が、前記空間の上に延在する、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記連結用要素(30)各々のプラスチック製ケーシング(31)が、栓により閉鎖される開口部(300)を有する、請求項12?16のいずれか一つに記載のシステム。
【請求項18】
浮動式太陽光発電設備の実現のための、請求項1?10のいずれか一つに記載の装置または請求項12?17のいずれか一つに記載のシステムの利用。」

3 申立理由の概要
特許異議申立人は、主たる証拠として、甲第1号証:特開2007-109769号公報(以下「文献1」という。)、甲第2号証:特開2004-228263号公報(以下「文献2」という。)、甲第6号証:特開2004-71965号公報(以下「文献3」という。)、甲第7号証:特開2002-173083号公報(以下「文献4」という。)、甲第14号証:特開平11-301578号公報(以下「文献5」という。)、甲第15号証:特開昭57-62572号公報(以下「文献6」という。)、甲第16号証:実用新案登録第3069021号公報(以下「文献7」という。)及び甲第17号証:特開2002-281773号公報(以下「文献8」という。)を提出し、従たる証拠として、甲第3号証:特開2005-217181号公報(以下「文献9」という。)、甲第4号証:米国特許出願公開第2007/0234945号明細書(以下「文献10」という。)、甲第5号証:国際特許出願公開第2010/064105号(以下「文献11」という。)、甲第8号証:特開平7-132552号公報(以下「文献12」という。)、甲第9号証:特開昭50-30959号公報(以下「文献13」という。)、甲第10号証:特開2002-65011号公報(以下「文献14」という。)、甲第11号証:特開昭58-124622号公報(以下「文献15」という。)、甲第12号証:特開2001-254494号公報(以下「文献16」という。)、甲第13号証:特開平9-72057号公報(以下「文献17」という。)、甲第18号証:特開2002-242355号公報(以下「文献18」という。)、甲第19号証:特開平11-62143号公報(以下「文献19」という。)、甲第20号証:特開2010-90701号公報(以下「文献20」という。)を提出し、請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである旨主張する。

4 文献の記載
(1)文献1
文献1(特開2007-109769号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0014】
図1?図6に、本発明のフロート装置の一実施例を示す。
このフロート装置は、板状の浮体1の縁部に連結部2を形成し、該連結部2を介して複数の浮体1を連結するとともに、各浮体1の上に太陽電池3を敷設している。
【0015】
浮体1は、図2?図4に示すように、ポリエチレンやポリプロピレンを素材としてブロー成形した四角形の板状ブロックからなり、浮体1の前部と後部には、相互に重なり合う上下の鍔部4a、4bが形成されている。
上側の鍔部4aには、図5(e)?(f)に示すように、断面鳩尾状の浅溝5が形成されるとともに、下側の鍔部4bには、図5(c)?(d)に示すように、該浅溝5に嵌合する鳩尾状のアリ部6が形成されており、これら浅溝5とアリ部6により複数の浮体1を前後に連結するようにしている。
一方、浮体1の左右いずれかの側部には、断面鳩尾状の長溝7が浮体の前後方向に形成されており、図5(b)に示すように、左右1対の浮体1を長溝7を突き合わせるように並べ、断面鼓状に形成した棒状の接合部材8を長溝7に挿入することにより、浮体1を左右に連結するようにしている。
【0016】
また、浮体1は、図2?図4に示すように、その上面を傾斜面とするとともに、この傾斜面に排水溝9を形成しており、この浮体1の上面に、1枚の太陽電池3を敷設し固定している。
浮体1の上面外周部には、4個の突起10が形成されるとともに、浮体1の下面の突起10と対応する位置には、該突起10と嵌合する凹部11が形成されている。
突起10は、図6(c)に示すように、積み重ね時に浮体1が水平になるように、傾斜面の下側の突起10を長く形成している。
このように、浮体1の上面を傾斜面とすることにより、水はけを良くし、太陽電池3の防水性を高めることができる。
この場合、太陽光のエネルギー変換効率が良くなるように傾斜面の方向及び角度を設定することができる。
【0017】
太陽電池3は、本実施例ではシート状のものからなり、必要に応じて、ブロー成形時に浮体1に組み込み成形したボルト等の締結具(図示省略)を利用して、浮体1に二次接合されている。
このように浮体1に敷設した太陽電池3は、浮体1を上記のように組み合わせて連結することにより、一体化して大面積の水面にも対応することができる。
なお、本実施例においては、太陽電池3に、浮体1と略同じ大きさの太陽電池を使用したが、これに限定されず、例えば、複数の浮体1に亘る大きさの太陽電池、より具体的には、シート状でフレキシブルな太陽電池を用いることもできる。
【0018】
かくして、本実施例のフロート装置は、板状の浮体1の縁部に連結部2を形成し、該連結部2を介して複数の浮体1を連結するとともに、各浮体1の上に太陽電池3を敷設することから、太陽電池3を大面積の水面に容易に設置することができ、また、浮体1は構造が簡単で、ブロー成形等により一体成形できることから、コストが安く軽量でハンドリング性のよい発電・防藻用フロートとすることができる。
【0019】
この場合、浮体1の上面外周部に複数の突起10を形成するとともに、浮体1の下面の突起10と対応する位置に、該突起10と嵌合する凹部11を形成することにより、分解した浮体1を安定した状態で積み重ねることができ、さらに、浮体1の上面を傾斜面とすることにより、水はけを良くし、太陽電池3の防水性を高めることができる。」

イ 上記の記載から、文献1には、次の発明(以下「文献1発明」という。)が記載されていると認められる。

「板状の浮体の縁部に連結部を形成し、連結部を介して複数の浮体を連結するとともに、各浮体の上に太陽電池を敷設しているフロート装置であって、
ポリエチレンやポリプロピレンを素材としてブロー成形した四角形の板状ブロックからなる浮体、
浮体は、その上面の傾斜面に排水溝を形成しており、この浮体の上面に、1枚の太陽電池を敷設し固定し、
太陽電池は、ブロー成形時に浮体に組み込み成形したボルト等の締結具を利用して、浮体に二次接合されている、
フロート装置。」

(2)文献2
文献2(特開2004-228263号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような覆蓋パネル装置では、処理槽の水面上に浮遊する覆蓋パネルを、点検時や荒天時等に地上に引き上げることがあるが、上記従来の覆蓋パネル装置では、太陽電池モジュールの下面ほぼ全域を支持するようにフロートを形成していることから、覆蓋パネルの重量が大きくなって、覆蓋パネル装置の引き上げ作業に手間がかかるという問題点を有している。
【0007】
本発明は、上記従来の覆蓋パネル装置が有する問題点に鑑み、覆蓋パネルの軽量化を図ることによって、その引き上げ作業を省力化することができる覆蓋パネル装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の覆蓋パネル装置は、フロートの上面に太陽電池モジュールを配設した複数の覆蓋パネルを、水面に浮かべて覆蓋する覆蓋パネル装置において、前記フロートを太陽電池モジュールの外周部を支持する枠状に形成するとともに、該フロート上に太陽電池モジュールを配設して、該太陽電池モジュールにより遮光部を形成するようにしたことを特徴とする。
【0009】
この覆蓋パネル装置は、覆蓋パネルのフロートを太陽電池モジュールの外周部を支持する枠状に形成するとともに、該フロート上に太陽電池モジュールを配設して、該太陽電池モジュールにより遮光部を形成することから、フロートの体積を削減して覆蓋パネルを軽量化し、覆蓋パネル装置の引き上げ作業を省力化することができる。
【0010】
この場合において、枠状のフロートの内側の穴部分に、薄膜状の遮水部材を配設するようにすることができる。
【0011】
これにより、太陽電池モジュールを水から保護することができる。
【0012】
また、フロートの幅方向の端部に、他のフロートの端部と嵌合することによって連結するフランジ部を形成するとともに、長手方向の端部に、弾性突起部を設けるようにすることができる。
【0013】
これにより、フロートの幅方向の端部に形成したフランジ部によって、フロートを幅方向に連結して、確実に遮光を行うことができるとともに、長手方向の端部に設けた弾性突起部によって、処理槽の壁部との干渉を防止することができる。
【0014】
また、太陽電池モジュールをその上面が傾斜するようにフロート上に配設することができる。
【0015】
これにより、太陽電池モジュールの水切りを良くして端子ボックス等の防水性を向上させるとともに、採光性を高めて発電効率を向上させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の覆蓋パネル装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1?図4に、本発明の覆蓋パネル装置の一実施例を示す。
この覆蓋パネル装置は、フロート1の上面に太陽電池モジュール2を配設した複数の覆蓋パネル3を水面に浮かべることにより、処理槽の水面を覆蓋するようにしている。
そして、この覆蓋パネル装置は、覆蓋パネル3のフロート1を太陽電池モジュール2の外周部を支持する枠状に形成するとともに、該フロート1上に太陽電池モジュール2を配設して、該太陽電池モジュール2により遮光部4を形成するようにしている。
【0018】
太陽電池モジュール2は、完全防水が施された1対の板状のものが、外周部を支持される状態で前記枠状のフロート1に各々固定されている。
この太陽電池モジュール2は、隣接する覆蓋パネル3間同士で配線5が接続される。
また、太陽電池モジュール2は、その上面が傾斜するようにフロート上に配設されており、これにより、太陽電池モジュールの水切りを良くして端子ボックス21等の防水性を向上させるとともに、採光性を高めて発電効率を向上させている。
【0019】
フロート1は、例えば、2つの四角い穴が開いた所定厚みの発泡樹脂板体の周囲をFRP等の合成樹脂のリブ1cにより被覆したものからなり、2枚の太陽電池モジュール2の外周部をそれぞれ支持できるようになっている。
なお、このフロートは、1対の四角い穴あきドーナツ状のものを連結することにより形成することもでき、その連結部は所定の補強部材により補強することも可能である。
また、フロート1の枠の一部には、太陽電池モジュール2の端子ボックス21が防水状態で収納されるケース部1dが形成されている。
これ以外にも、フロート1の内側に、合成樹脂フィルム等からなる薄膜状の遮水部材7を配設することにより、太陽電池モジュール2を水から保護することができる。
フロート1の外周部には、合成樹脂によりフランジ部1aが形成されており、該フランジ部1aの幅方向の端部には、遮光のためのジョイント部8が嵌合可能な形状に形成されるとともに、長手方向の端部には、処理槽の壁部との干渉を防止するために、ゴムや軟質の合成樹脂からなる弾性突起部9が設けられている。」

イ 文献2の図3は次のものである。


ウ 文献2の図3において、太陽電池モジュールは、スリットを有する支持部材により外周部を支持していることが示されている。

エ 上記の記載及び図に示された事項から、文献2には、次の発明(以下「文献2発明」という。)が記載されていると認められる。

「フロートの上面に太陽電池モジュールを配設した複数の覆蓋パネルを、水面に浮かべて覆蓋し、フロートを太陽電池モジュールの外周部を支持する枠状に形成するとともに、フロート上に太陽電池モジュールを配設して、太陽電池モジュールにより遮光部を形成するようにした覆蓋パネル装置であって、
完全防水が施された1対の板状の太陽電池モジュールが、外周部を支持される状態で枠状のフロートに固定され、
フロートは、2つの四角い穴が開いた所定厚みの発泡樹脂板体の周囲をFRP等の合成樹脂のリブにより被覆したものからなり、
太陽電池モジュールは、スリットを有する支持部材により外周部を支持されている、
覆蓋パネル装置。」

(3)文献3
文献3(特開2004-71965号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0036】
図1(a)は本発明に基づく水上用太陽電池モジュールの平面図であり、図1(b)は正面図である。水上用太陽電池モジュールの浮体は、一部が水没して浮力を発生させる外装体10と太陽電池パネル1を取付けるためのパネル取付体17とから構成される。蓄電池などの機器は、外装体10の内部に配置される。
【0037】
太陽電池パネル1はパネル取付体17に装着されている。パネル取付体17の上部にはパネル取付体17の主表面から突出するようにパネル支持部18が形成されている。太陽電池パネル1はパネル支持部18とパネル固定材2とによって挟持されている。パネル固定材2の取りつけには、着脱可能なワンタッチ型のプッシュリベット3を採用している。この構成を採用することによって、容易にパネル固定材2を取り外すことができる。よって、太陽電池パネル1も容易に取り外すことができて、運用開始から約10年後であっても水上での蓄電池交換や太陽電池パネルの点検などのメンテナンス作業を短時間で行なうことができる。
【0038】
上面から見たパネル取付体17の形状は略四角形であり、本実施の形態においては上面の面積は約1.5m2である。本実施の形態においては、出力が80?100Wで重量が7?8kgの太陽電池パネル1を2枚備えている。太陽電池の発電効率はワット当りのシステム価格に大きく影響してくることから、本実施の形態においては、比較的発電効率の良い単結晶シリコン系または多結晶シリコン系の太陽電池パネルを使用している。効率は低いが薄膜となるアモルファスシリコン系の太陽電池パネルを採用してもよい。シリコン結晶は割れ易いため、太陽電池パネル1は、強化ガラスと透明樹脂とを用いて太陽電池セルを耐候性フィルムでラミネート封止した構造としている。本実施の形態においては、白板強化ガラスに透明なEVA(エチレン・ビニル・アセテート)樹脂を緩衝材として併用し、耐候性フィルムによってラミネートを施した太陽電池パネル1を採用している。耐候性フィルムには、耐薬品性の高いPPS(ポリ・フェニレン・サルファイド)フィルムを含む素材を用いた三層構造のフィルムを採用している。この三層フィルムは耐腐食性を有するために、清水のみならず汚水が含まれる水上においても長期間の使用が可能となる。
【0039】
図2は外装体10とパネル取付体17とが結合された状態の上面図である。蓄電池収容部13の上部に取付けられるべき蓋は取り外した状態である。図2に示すようにパネル支持部18はパネル取付体17の外周に沿うように取付けられ、閉じた形状を有しておらず、空気取入口19が形成されている。太陽電池パネル1の下側とパネル取付体17の主表面との間には、隙間が設けられており冷却用空間となる。空気取入口19を通して冷却用空間に、周囲の空気または水が入り込むことによって、太陽電池パネル1の下側が冷却される。図2においては矢印41に示すように冷却用空間の一の側壁となるパネル取付体17の上面に沿って空気や水が通過する。この冷却作用によって、夏季などの太陽電池パネル1の温度が上昇する環境下においても、温度上昇を抑制して電気出力や電圧の低下を防止することができる。本実施の形態においては蓄電池を収容するための蓄電池収容部13が2つ形成されている。蓄電池収容部13の上側は開口されるように、パネル取付体17の上面には蓄電池収容部13の形状に対応した2つの開口部が形成されている。図2においては図示を省略しているが、水上に浮かべる際には、この開口部は板状の蓋で覆われプッシュリベットで固定される。」

イ 「【0045】
本実施の形態においての外装体10は、熱可塑性シート状の耐候性樹脂板を材料にして、安価な真空成型法で成型されている。パネル取付体17も同様の材料と方法とで形成される。外装体10とパネル取付体17とは超音波熱融着法で複数箇所が接着されて一体化されている。この方法を採用することによって、製造時の価格を下げることができる。材料には、AAS樹脂(アクリロニトリル・アクリル酸エステル・スチレン共重合体)やAES樹脂(アクリロニトリル・エチレン・スチレン共重合体)、変性PPO樹脂(ポリ・フェニレン・オキサイド樹脂)が好適である。これらの材料は、耐候性および強度がともに優れていることから屋外の太陽光下で20年?30年の長期間の使用にも耐えることができる。
【0046】
図4に図2におけるIV-IV線に関する外装体10の矢視断面図を、図5に図2におけるV-V線に関する外装体10の矢視断面図をそれぞれ示す。外装体10は箱型になって上面が開口している形状を有していて、凹部14が形成されている外装体10の断面は双胴型となっている。外装体10の内側には、高発泡樹脂15が充填されている。通常、水上用太陽電池モジュールの浮力は外装体10の形状で得ているが、高発泡樹脂15も水上用太陽電池モジュールを浮遊させておくに十分な浮力を有する。仮に船舶の衝突、流木などの大型漂流物の衝突、想定外の大きな波などによって、外装体10が損傷しても沈没しない構造となっている。また、空洞であった外装体10の内側に高発泡樹脂15を充填することによって、外装体10の強度が強くなる特長を有する。高発泡樹脂15には、さまざまな材料が使用できるが、100%リサイクルやリユースが可能である高発泡樹脂が好ましい。リサイクル可能な高発泡樹脂としては発泡ポリスチレンや発泡ポリスチレン・アクリロニトリル共重合体などが好適である。また、外装体10と一体化させるために、熱可塑性の高発泡樹脂であることが好ましい。本実施の形態においては、外装体10の内部にメタクリル系モノマによる発泡性ポリメタクリレート共重合体が充填されている。2つの蓄電池収容部13を覆わないように、外装体10とパネル取付体17とで挟まれる空間全体に高発泡樹脂15が充填されている。本実施の形態においては、1つの水上用太陽電池モジュールに2つの蓄電池収容部13が備えられ、それぞれの底部には外界に貫通する供給孔16が形成されている。供給孔16については実施の形態3において説明する。」

ウ 上記の記載から、文献3には、次の発明(以下「文献3発明」という。)が記載されていると認められる。

「浮体が、一部が水没して浮力を発生させる外装体と太陽電池パネルを取付けるためのパネル取付体とから構成され、
太陽電池パネルはパネル取付体に装着され、
パネル取付体の上部にはパネル取付体の主表面から突出するようにパネル支持部が形成され、
太陽電池パネルはパネル支持部とパネル固定材とによって挟持され、
パネル支持部はパネル取付体の外周に沿うように取付けられ、閉じた形状を有しておらず、空気取入口が形成され、
太陽電池パネルの下側とパネル取付体の主表面との間には、隙間が設けられており冷却用空間となり、
空気取入口を通して冷却用空間に、周囲の空気または水が入り込むことによって、太陽電池パネルの下側が冷却され、
外装体は、熱可塑性シート状の耐候性樹脂板を材料にして、真空成型法で成型され、パネル取付体も同様の材料と方法とで形成され、外装体とパネル取付体とは超音波熱融着法で複数箇所が接着されて一体化され、
外装体の内側には、高発泡樹脂が充填され、
2つの蓄電池収容部が備えられ、それぞれの底部には外界に貫通する供給孔が形成されている、
水上用太陽電池モジュール。」

(4)文献4
文献4(特開2002-173083号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】水上に太陽電池を敷設するために用いる太陽電池搭載用フロートであって、
プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部と、当該浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板で構成され、
上記天板は、その上面に太陽電池モジュールを載置する領域を有し、前記載置領域の相対する一組の側部に、互いに向き合って位置した太陽電池モジュール差込用の断面「『」型突起を備え、前記互いに向き合って位置した断面「『」型突起間に差込んだ太陽電池モジュールの差込方向に対する抜止め突起を備えたことを特徴とする太陽電池搭載用フロート。
【請求項2】太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸を形成した請求項1記載の太陽電池搭載用フロート。
【請求項3】浮揚部と天板がスチールバンドで結束されていることを特徴とする請求項1又は2記載の太陽電池搭載用フロート。
【請求項4】太陽電池モジュールが、請求項1?3のいずれかに記載の太陽電池搭載用フロートの断面「『」型突起間に差込まれ、天板上に載置されていることを特徴とする太陽電池装置。」

イ 「【0020】
【実施例】以下、図1を参照して、本発明に係る実施例を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1(a)は斜視図であり、(b)は(a)のA-A’線に沿う断面図である。幅700mm、長さ1100mm、高さ150?300mmで、容積0.16m3のAS樹脂発泡体(発泡倍率40倍)を準備する。このプラスチック発泡体2は、四隅に脚21が突出しており、脚21の部分の高さが300mm、四隅の脚21間の窪んでいる部分の高さが150mmである。主として、脚21の部分で浮力を受ける構成となっており、これにより水上での安定性が増す。脚21の先端に錘を内蔵すると、より安定性が増す。上記プラスチック発泡体2を型にして、厚さ4.0mmのAAS樹脂シートを真空成形し、浮揚部1とする。前記浮揚部1の真空成形は、加熱により軟化したAAS樹脂シートが、プラスチック発泡体2の脚21が突出している側の表面形状に沿って密着するように実施する。浮揚部1は、プラスチック発泡体2の表面に密着してこれを覆い、成形時の熱でプラスチック発泡体2の表面に強固に熱溶着する。真空成形した浮揚部1の上面開口周囲には、次に述べる天板との固着用鍔11を残す。浮揚部1の壁の厚さは、1.5?3.5mmであった。別途、厚さ3.0mmのAAS樹脂シートを真空成形して天板3とする。天板3の上面は、太陽電池モジュールの載置領域である。この載置領域の相対する一組の側部に、前記真空成形により太陽電池モジュール差込用の断面「『」型突起5を形成する。断面「『」型突起5は、前記載置領域の相対する一組の側部に互いに向き合って位置する。断面「『」型形状は、成形後も成形品中にそのまま残しておく木型等により成形する。前記互いに向き合って位置した断面「『」型突起5間に、幅800mm、長さ1200mmの太陽電池モジュールを差込むことになるので、断面「『」型突起5間の距離は前記幅800mmより若干大きくしておく。また、前記差込方向に対する抜止め突起6も、前記真空成形により形成する。
【0021】上記浮揚部1の固着用鍔11に天板3の下面を接着し、天板3で浮揚部1の上面を覆ってフロートを構成する。前記接着には、メチルエチルケトンを用いる。このようにして、浮力150kgのフロートを構成した。
【0022】互いに向き合って位置した断面「『」型突起5間に、太陽電池モジュール4を差込んで載置し、太陽電池装置とする。太陽電池モジュール4を「『」型突起間5に差込む作業は、太陽電池モジュール4の差込方向後方を若干持ち上げるように傾斜させて実施し、抜止め突起6が差込作業の障害となるのを回避する。天板3を浮揚部1に接着する前であれば、抜止め突起6が太陽電池モジュール4の差込作業の障害とならない位置にくるまで天板3を裏面側に湾曲させて、差込作業を実施することができる。その後、天板3を浮揚部1に接着する。太陽電池モジュール4を互いに向き合って位置した断面「『」型突起5間に差込んで載置した後は、太陽電池モジュール4が天板3の上面に沿って位置ずれしようとしても、その周囲端縁が断面「『」型突起5ならびに抜止め突起6に当接し、位置ずれを規制される。また、太陽電池モジュール4が天板3の上面から離れる方向に位置ずれしようとしても、「『」型突起5の庇状張り出しによってその動きを規制される。
【0023】上記の実施例において、天板3の上面に真空成形により波板状凹凸7を形成しておくと、太陽電池モジュール4を載置したときその裏面に空洞ができるので、その空洞を通して空気が流通し放熱性がよくなる。波板状凹凸7を複数のブロックに分け(図1に示した構成は2つのブロックに分割)、凸条を1本の連続体にしない構成とすると、ブロックとブロックの間にも空気が流通し、さらに放熱性がよくなる。「『」型突起5も、波板状凹凸7に合わせて分割するとよい。」

ウ 上記の記載から、文献4には、次の発明(以下「文献4発明」という。)が記載されていると認められる。

「水上に太陽電池を敷設するために用いる太陽電池搭載用フロートであって、
プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部と、浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板で構成され、
天板は、その上面に太陽電池モジュールを載置する領域を有し、載置領域の相対する一組の側部に、互いに向き合って位置した太陽電池モジュール差込用の断面「『」型突起を備え、互いに向き合って位置した断面「『」型突起間に差込んだ太陽電池モジュールの差込方向に対する抜止め突起を備え、
太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸を形成した、
太陽電池搭載用フロート。」

(5)文献5
文献5(特開平11-301578号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0007】
【実施例】図1に示すこの実施例の水上浮体装置10は、両面入射型太陽電池12,海面14に浮く海上浮体としてのいかだ16およびこれら両者の間に反射面を確保するための間隔を保持してこの太陽電池12をいかだ16に支持する4本の支柱18,18,18および18を含む。」

イ 「【0015】さらに、図5に示す他の実施例の水上浮体装置10は、図1に示す実施例において、いかだ16のかわりにドーナツ形状のゴム製浮輪52を使用して海面14を反射面とするもので、それ以外の構成は図1の実施例と同様につき説明は省略する。この実施例においても、矢印で示すように、両面入射型太陽電池12には、表面側から直接入射する入射光と海面14で反射して太陽電池12の裏面側から入射する入射光が太陽電池に供給され、光量が増大する。」

ウ 上記の記載から、文献5には、次の発明(以下「文献5発明」という。)が記載されていると認められる。

「両面入射型太陽電池、海面に浮く海上浮体としてのドーナツ形状のゴム製浮輪およびこれら両者の間に反射面を確保するための間隔を保持してこの太陽電池をドーナツ形状のゴム製浮輪に支持する4本の支柱を含む、
水上浮体装置。」

(6)文献6
文献6(特開昭57-62572号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「第1図,第2図は本発明の第1実施例を示すもので、筏やポンツーン等浮力体1に架台2を設置し、架台2上に太陽電池ユニット3を多数個配列して取付ける。
そして上記浮力体1を多数連続させて、発電、灌漑、上水等の利用目的を有するダムの貯水池の湖面4に並べれば太陽電池ユニット3は中空に保持された状態で湖面4上に浮かぶことになる。
第3図は、本発明の第2実施例を示すもので、太陽電池ユニット3を多数個配列して取付けた枠体5をワイヤー6を介して湖水の岸又は湖水内に立てた支柱7,7′で吊持して、太陽電池ユニット3の中空保持を行なうようにしたものである。
なお、太陽電池ユニット3の中空保持の方法は上記2つの実施例に限らず、その他種々の手段が考えられる。
次に作用について説明すると、太陽光発電時には、太陽電池ユニット3は熱せられて温度が高くなり、その結果発電能力が低下する恐れがあるが、湖面近くにあるので程よく冷却され、太陽電池ユニット3はさほど高温にならずにすむ。
また、更に冷却を必要とする場合はポンプ設備その他で貯水池の水を汲み上げてこれを積極的に冷却に用いることもできる。
一方、多数の太陽電池ユニット3が湖面4に当たるべき太陽光を遮えぎるので、ダムの貯水池の蒸発量を減少させることができる。
以上述べたように、本発明によれば、太陽電池をダムの貯水池の湖面上に設置するため土地の有効利用が図れるとともに、水上設置のため太陽電池の冷却効果が得られ、太陽電池の発電能率の低下を抑制できるものである。
また、ダムが発電目的である場合には、既設の送電設備があるので、これを利用することができ、太陽光発電された電力の送電に新たな送電設備を設ける必要はなくなる。
さらに、設置された太陽電池が湖面への太陽光を遮えぎるので、蒸発により貯水池の貯水量のかなりの部分が本来の目的に供されることなく失なわれてしまうことを防止できるものである。」(第2頁左上欄第1行?右上欄第20行)

イ 文献6の第1図は、次のものである。


ウ 文献6の第1図において、架台は支柱により構成されていることが示されている。

エ 上記の記載及び図に示された事項から、文献6には、次の発明(以下「文献6発明」という。)が記載されていると認められる。

「筏やポンツーン等浮力体に、支柱により構成される架台を設置し、架台上に太陽電池ユニットを多数個配列して取付けた、
太陽電池装置。」

(7)文献7
文献7(実用新案登録第3069021号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【請求項1】 防水構造を持つ太陽光発電用モジュールの下部もしくは側面にフロート等を接合もしくは取付け、その発生電力に応じた個数を水面に浮かせ連結具によって連結する水面太陽光発電システム。」

イ 「【0001】
【考案が解決しようとする課題】
従来、いわゆる太陽光を利用する太陽光発電は架台等に取付ける地上固定が主である。この様な状況下で有効な太陽光発電の電力を得る場合、より多くの太陽光を必要とし、太陽光を遮る障害物の少ないスペースを利用するが、地上においては小規模な太陽光発電スペースは確保出来るものの、大規模なスペースは難しくなって来ている。
【0002】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決する為に、防水構造を持つ太陽光発電用モジュールの下部もしくは側面にフロート等を接合もしくは取付け、その発生電力に応じた個数を水面に浮かせ連結具によって連結し、水面に浮上させ自然条件等で大きく移動しない様に岸・湖岸等に係留し、水位の変動や水流、波動に対応する為、係留具の長さ等の調整が行える係留装置を用い水面での太陽光発電を行う。
【0003】
【考案の効果】
太陽光発電の為のかなり広大な面積を容易に確保でき、発電用ダム湖であれば近くに水力発電所が既に存在するので、比較的容易に送電線に連結することが出来る。水面場に設置するので、太陽電池の温度上昇を抑えることができ、電池の効率の低下を小さくすることができる。」

ウ 文献7の図1、5ないし7は、次のものである。

【図1】


エ 文献7の図1、5ないし7において、フロート架台Aは、2本の円柱状の部材を断面四角の2本の部材及び1本の傾斜部材で連結した枠状のものであることが示されている。

オ 上記の記載から、文献7には、次の発明(以下「文献7発明」という。)が記載されていると認められる。

「防水構造を持つ太陽光発電用モジュールの下部に、2本の円柱状の部材を断面四角の2本の部材及び1本の傾斜部材で連結した枠状のフロート架台を接合もしくは取付け、その発生電力に応じた個数を水面に浮かせ連結具によって連結する、
水面太陽光発電システム。」

(8)文献8
文献8(特開2002-281773号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0011】
【発明の実施の形態】本発明の浮遊式太陽光発電装置について図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施の形態に係る浮遊式太陽光発電装置の全体構成図であって、所定の発電容量を有する方形平面状の太陽光発電パネル1と、太陽光発電パネル1を水面より高い位置に保持したまま水面上に浮遊させる筏部21とを備えている。第1の実施形態では、太陽光発電パネル1は、筏部21に3枚支持されている。
【0012】さらに、筏部21は、上下に連通させた枠状に形成された本体31と、この本体31内に固定され、太陽光発電パネル1を本体31との間に隙間が形成されるように支持するパネル支持部41とを備えており、本体31およびパネル支持部41は、比重0.8g/cm3以下の長繊維強化発泡熱硬化性樹脂で形成された板部材61により構成されている。長繊維強化発泡熱硬化性樹脂としては、硬質発泡ウレタン系樹脂と補強用連続長繊維とが用いられる。
【0013】なお、本体31とパネル支持部41を形成する樹脂成形品は、長繊維強化発泡熱硬化性樹脂の回りを非発泡の長繊維強化硬化性樹脂層で覆う構造にすることが好ましく、このように非発泡の長繊維強化硬化性樹脂でスキン層を形成することにより、筏部21の部材内への水の浸入を確実に防止できるので、常に一定の浮力を保つことができる。
【0014】本体31は、板部材で長方形の枠に形成されており、4辺の側壁51は、太陽光発電パネル1を搭載した状態で、水面から上部が浮き出るような十分な高さ、例えば30cm前後の高さを有している。
【0015】また、パネル支持部41は、複数の板部材61で形成されており、本体31の相対向する側壁51に掛け渡すように、板部材61の平面部を水面に対し直交させた状態で板部材61の両端をそれぞれの側壁51内面に接着剤などを用いて固定している。
【0016】さらに、太陽光発電パネル1のパネル面を水面と平行させた状態に支持させるために、パネル支持部41の板部材61は、図1に示すように、板部材61の上部の一部を本体31の上面から同一高さで突出させた状態で固定されており、本体31の上面から突出させた板部材61の上端部に太陽光発電パネル1を支持させるようにしている。したがって、パネル支持部41に太陽光発電パネル1を支持させたときに、太陽光発電パネル1の下面と本体31の上面との間には隙間が形成される。
【0017】パネル支持部41の板部材61は、本体31に合計9枚固定されており、3枚の板部材61によって一枚の太陽光発電パネル1を支持するようにしている。
【0018】また、パネル支持部41の各板部材61には、太陽光発電パネル1を嵌め込んで固定するための凹部60が形成されており、この凹部60に太陽光発電パネル1を嵌め込んで接着材などにより固定することにより、太陽光発電パネル1のパネル支持部41への位置決めが容易に行えながら、パネル支持部41へ固定した後の位置ズレも確実に防止できる。
【0019】また、本体31の側壁51周囲には防舷材50を取り付けるようにしてもよく、本体31に防舷材50を取り付けることにより、浮遊式太陽光発電装置をメンテナンスする際に使用する船体の船舷が本体31に衝突しても、本体31の損傷を防止することができる。
【0020】以上のように、第1の実施形態によれば、浮遊式太陽光発電装置を水面に浮遊する筏部21と、この筏部21に水面より高い位置になるように支持された3枚の太陽光発電パネル1とを備える構成としたから、河川や海、湖等の交通や建造物の邪魔にならない未使用の場所に太陽光発電装置を設置するだけで高出力の発電が行えながら、太陽光による発電を行うので地球環境にやさしい発電を行える。
【0021】また、本発明の浮遊式太陽光発電装置を河川の水面に設ける場合には、河川の浄化システムの電源として電力をすぐに供給することができる。
【0022】さらに、第1の実施形態では、筏部21を、上下に連通する枠状に形成された本体31と、太陽光発電パネル1を本体31との間に隙間が形成されるように支持するパネル支持部41とを備えている構成としたから、大きな波が起きても、太陽光発電パネル1と本体31との間の隙間および本体31の枠内に水を逃がすことができるので、筏部21や太陽光発電パネル1にかかる波の力を弱めることができ、太陽光発電装置の破損を防止できる。」

イ 「【0031】また、板部材62の上端部に太陽光発電パネル1を支持させるにあたっては、図2および図3に示すように、固定金具70を用いてボルト締めにより固定しており、この固定金具70は、所定間隔を空けて複数個設けている。このように間欠的に固定金具70を取り付けるようにしたのは、太陽光発電パネル1上に波がかかったときに、水が固定金具70とパネル面との間に溜まらないようにするためである。」

ウ 上記の記載から、文献8には、次の発明(以下「文献8発明」という。)が記載されていると認められる。

「太陽光発電パネルと、太陽光発電パネルを水面より高い位置に保持したまま水面上に浮遊させる筏部とを備え、
筏部は、非発泡の長繊維強化硬化性樹脂層で覆われた長繊維強化発泡熱硬化性樹脂で形成された板部材により構成されている、上下に連通させた枠状に形成された本体と、この本体内に固定され、太陽光発電パネルを本体との間に隙間が形成されるように支持するパネル支持部とを備え、
本体は、板部材で長方形の枠に形成され、
本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持し、
パネル支持部の各板部材の凹部に太陽光発電パネルを嵌め込んで接着材などにより固定するか、又は、太陽光発電パネルを固定金具を用いてボルト締めにより固定する、
浮遊式太陽光発電装置。」

(9)文献9
文献9(特開2005-217181号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0039】
図1は本発明の太陽光発電装置の正面図、図2は側面図、図3は背面図である。また、図4は図1に示す断面線A-A’による断面図である。図5は図2に示す断面線B-B’による断面図である。
【0040】
これらの図に示す太陽光発電装置については、接着材を用いて容器に太陽電池パネルを実装する場合である。
【0041】
この太陽光発電装置によれば、1は容器であり、2は太陽電池パネルである。そして、この太陽電池パネル2を、内部に流体を密閉した容器1を、接着材3を介して密着させる。また、4はキャップである。
【0042】
このように容器1の外面に太陽電池パネル2を実装し、その容器1の内部に流体を密閉し、そして、太陽電池パネル2に対し、容器1の構成材から成る部材を通して冷却するように成している。
【0043】
そして、本発明によれば、外面に太陽電池パネル2を実装した空タンク(容器1)に対し、その内部に流体を含有し、太陽電池パネル2を太陽光に対し所望の方角に設置し得るように成型したタンク(容器1)と成している。さらにこの流体により上記タンクの外面を成す部材を通して冷却するように構成している。
【0044】
前記容器1の構成材として、たとえば合成樹脂材、金属材、木材、セラミックス材、サーメット材など、さまざまな材質がある。
【0045】
この合成樹脂材として、たとえば塩化ビニール、ポリスチレン、ポリプロピレン、アクリル、ABS、PET(ポリエチレンテレフタレート)、FRP(強化プラスチック)ポリカーボネート、EVA(エチレンビニルアセテートのコポリマーEthylene Vinylacetate Copolymer)などがある。」

イ 「【0082】
(例2)
本例においては、図6?図10に示す太陽光発電装置のように、加圧手段(たとえば取付け器具)を用いて、容器1に太陽電池パネル2を実装する場合である。
【0083】
図6は本発明の太陽光発電装置の正面図、図7は側面図、図8は背面図である。また、図9は図6に示す断面線A-A’による断面図である。図10は図7に示す断面線B-B’による断面図である。」

ウ 上記の記載から、文献9には、次の発明(以下「文献9発明」という。)が記載されていると認められる。

「太陽電池パネルを、キャップを備えた、内部に流体を密閉した容器に、接着材を介して密着させて実装するか、又は、取付け器具を用いて実装し、
容器の構成材は、合成樹脂材であり、
太陽電池パネルを、流体により、タンクの外面を成す部材を通して冷却するように構成している、
太陽光発電装置。」

(10)文献10
文献10(米国特許出願公開第2007/0234945号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「[0002] The present invention relates to a floatation device with a photovoltaic panel having photovoltaic modules. The device is able to float on water and generate electricity.」
(当審仮訳:「[0002]本発明は、光起電モジュールを有する光起電パネルを有する浮遊装置に関する。装置は水上で浮遊して発電することができる。」)

イ 「[0012] FIG. 1 is a perspective view of one embodiment of the photovoltaic floatation device.
[0013] FIG. 2 is an end view of a cross section of the embodiment shown in FIG. 1.」
(当審仮訳:「[0012]図1は、光起電装置の一実施形態の斜視図である。
[0013]図2は、図1に示す実施形態の断面の断面図である。」)

ウ 「[0016] FIG. 5 illustrates the interface of the PV laminate panel and the floatation element.」
(当審仮訳:「[0016]図5は、PVラミネートパネルと浮遊要素の界面を示す。」)

エ 「[0018] FIG. 7 illustrates a carabiner connector locking a pair of grommet tabs on adjacent floatation elements.」
(当審仮訳:「[0018]図7は、隣接する浮遊要素上の一対のグロメットタブを固定するカラビナコネクタを示す。」)

オ 「[0022] FIG. 11 is a perspective view of another embodiment with two stabilizing pontoons attached to the side of a main body pontoon.
[0023] FIG. 12 is a top view of two of the devices depicted in FIG. 11 connected with a walkway placed over the connection area.」
(当審仮訳:「[0022]図11は、本体フロートの側面に取り付けられた2つの安定化フロートを有する別の実施形態の斜視図である。
[0023]図12は、図11に示した2つの装置が接続領域に配置された歩道によって接続された状態を示す上面図である。」)

カ 「[0030] Referring to FIG. 1, one embodiment of the present invention provides a photovoltaic floatation device 10, which comprises a single floatation element 12 with a photovoltaic (PV) laminate panel 14 attached thereon. The floatation element 12 is inflatable and can be comprised for example of material such as PVC, TPO or Hypalon. However one skilled in the art would appreciate that the floatation element 12 can comprise any durable material that has a high impermeability to air and water.
[0031] Referring to FIGS. 1 and 2, the floatation element 12 comprises a skin 16 forming a cavity 17 therein, which when inflated forms a generally rectangular shape with two ends 18 a and 18 b, two sides 20a and 20b, a top 22 and a bottom 24. Attached, to the skin 16 of the floatation element 12, for example with a heat weld, is an inflation device 26, which allows for the inflation and deflation of the floatation element 12. Attached along the outer perimeter of the floatation element 12, for example with a heat weld, are grommet tabs 28, which will be described in more detail later in the application.」
(当審仮訳:「[0030]図1を参照すると、本発明の一実施形態は、その上に取り付けられた光起電(PV)ラミネートパネル14を有する単一浮遊要素12を備える光起電浮遊装置10を提供する。浮遊要素は膨張可能であり、例えばPVC、TPO又はHypalonのような材料で構成することができる。しかしながら、当業者であれば、浮遊要素12は、空気及び水に対する高い不浸透性を有する任意の耐久材料を含むことができることを理解するであろう。
[0031]図1及び図2に示すように、浮遊要素12は、内部にキャビティ17を有するスキン16を有し、膨張したときに2つの端面18a及び18b、2つの側面20a及び20b、上部22及び下部24を有する略直方体形状である。浮遊要素のスキン16には、膨張装置26が例えば熱融着によって取り付けられている。膨張装置26は、浮遊要素12の膨張及び収縮を可能にする。浮遊要素12の外周に沿って、グロメットタブ28が例えば熱融着によって取り付けられている。これについては本出願において後でより詳細に説明する。」)

キ 「[0034] Referring to FIGS. 2 and 3, the floatation element 12 comprises a plurality of internal support walls 40 attached to the top 22 and bottom 24 of the floatation element 12, for example by heat welding. The internal support walls 40, which act as a support structure for the floatation element 12, form the top 22 of the floatation element 12 into a plurality of arc shaped sections 42 of skin 16. The internal support walls 40 extend longitudinally along, and parallel to, sides 20a and 20b of the floatation element 12.
[0035] However, the internal support walls 40 do not extend entirely to ends 18a and 18b. Therefore, the air space 41 between the internal support walls 40 remains in fluid communication at all times. The height of the internal support walls 40 determines the slope of the top 22 of the floatation device 10 when the device is fully inflated.」
(当審仮訳:「[0034]図2及び図3を参照すると、浮遊要素12は、浮遊要素の上部22及び下部24に、例えば熱融着によって取り付けられた、複数の内部支持壁40を含む。浮遊要素12を支持する構造として機能する、内部支持壁40は、浮遊要素12の上部においてスキン16の複数のアーク形状部分42を形成する。内部支持壁40は、長さ方向に、浮遊要素12の側面20a及び20bと平行に延びる。
[0035]」しかしながら、内部支持壁40は、端面18a及び18bまでは完全に延びない。したがって、エアスペース41は、あらゆる時において流体連通している状態である。内部支持壁40の高さが、装置が完全に膨張された時の浮遊装置10の上部の傾きを決定する。)

ク 「[0040] The PV laminate panel 14 is removably attached to the floatation element 12 with fasteners such as zippers, buttons, snaps, kedering, hook and loop fasteners, laces, twist-locks, magnets or any other fasteners capable of securely and removably attaching the PV laminate panel 14 to the floatation element 12.」
(当審仮訳:[0040]PVラミネートパネル14は、例えばジッパー、ボタン、スナップ、ケダーリング、フック及びループファスナ、ひも、磁石又はPVラミネートパネル14をしっかりと取り外し可能に取り付けることができる任意の他の締結具などの留め具を用いて浮遊要素に着脱可能に取り付けられている。」)

ケ 「[0050] Referring to FIGS. 11 and 12, in another embodiment of the present invention, the floatation element 12 of the photovoltaic floatation device 10 comprises three separate floatation objects 120, 122 a and 122 b. These floatation objects 120, 122a and 122b comprise a main body pontoon 120 and one or more stabilizing pontoons 122, which are attached to the main body pontoon 120.
[0051] Referring to FIG. 12, the one or more stabilizing pontoons 122 are removably attached to the main body pontoon 120. The stabilizing pontoons 122 a and 122 b can be removably attached to the main body pontoon 120 with carabiner connectors 29 that interlock with grommet tabs 28, which are attached along the sides 124 a and 124 b of the main body pontoon 120 and the side of the stabilizing pontoon 122. Alternatively, the stabilizing pontoons 122 can be removably attached to the main body pontoon 120 with zippers, kedering, snaps, laces, hook and loop fasteners, magnets or any other type of re-useable fastener that is capable of withstanding the pulling force on the pontoon elements 122 from the current in the body of water. Alternatively, the stabilizing pontoons 122 are permanently connected to the main body pontoon 120 with for example glue or a heat weld.
[0052] Both the main body pontoon 120 and the stabilizing pontoons 122 are inflatable. Alternatively, a foam insert 102, or other suitable floatable material, is placed into the main body pontoon 120 and/or the stabilizing pontoons 122.
[0053] Furthermore, a walkway 130 can be laid along the area where multiple devices are connected. The walkway 130 can be attached with straps or alternatively may just be laid on top of the devices without any attachment mechanism. The walkway 130 comprises a plastic material, for example PVC. The walkway 130 allows a user to walk along the sides of the connected photovoltaic floatation devices 10. This allows for easy access to the devices 10 when adjustments need to be made or the floatation element 12 needs to be re-inflated or inserted with a new foam insert. For example, a user can use the walkway 130 to access the tops of the photovoltaic floatation devices 10 in order to remove a defective PV laminate panel 14 and replace said panel 14 with a new working panel 14.」
(当審仮訳:「[0050]図11及び図12を参照すると、本発明の別の実施形態では、光起電浮遊装置10の浮遊要素12は、3つの別々の浮遊物体120、122a及び122bを備える。これら浮遊物体120、122a及び122bは、本体フロート120と、本体フロート120に取り付けられた1つ以上の安定化フロート122とを備える。
[0051]図12を参照すると、1つ以上の安定化フロート122は、本体フロート120に取り外し可能に取り付けられる。安定化フロート122a及び122bは、グロメットタブ26と連動するカラビナコネクタ29を用いて本体フロート120に取り外し可能に取り付けることができる。グロメットタブ28は、本体フロート120の側面124a及び124b、及び安定化フロート122の側面に沿って取り付けられる。あるいは、安定化フロート122は、ジッパー、ケダーリング、スナップ、ひも、フックロックファスナ、磁石又は水域内の流れからのフロート要素122への引っ張り力に耐えることができる任意の他のタイプの再使用可能なファスナとすることができる。あるいは、安定化フロート122は、例えば、接着剤又は熱融着によって本体フロート120に永久的に接続される。
[0052]本体フロート120と安定化フロート122の両方が膨張可能である。あるいは、発泡インサート102又は他の適切な浮遊可能な材料が、本体フロート120及び/又は安定化フロート122内に配置される。
[0053]さらに、複数の装置が接続される領域に沿って歩道130を設置することができる。歩道130は、ストラップで取り付けられてもよく、あるいは取り付け機構なしで装置の上に置かれてもよい。歩道130は、プラスチック材料、例えばPVCを含む。歩道130は、接続された光起電装置10の側面に沿ってユーザが歩くことを可能にする。これにより、調整を行ったり、浮遊要素12を再膨張させたり、新しい発泡体をインサートしたりするときにアクセスが容易になる。例えば、ユーザは故障したPVラミネートパネル14を除去し、当該パネル14を新しい動作可能なパネル14と交換するために、歩道1300を使用して光起電装置10の上部にアクセスすることができる。」)

コ 上記の記載から、文献10には、次の発明(以下「文献10発明」という。)が記載されていると認められる。

「その上に取り付けられた光起電ラミネートパネルを有する単一浮遊要素を備えた光起電浮遊装置であって、
浮遊要素は、膨張可能であり、PVC、TPO又はHypalonのような材料で構成され、内部にキャビティを有するスキンを有し、膨張したときに2つの端面、2つの側面、上部及び下部を有する略直方体形状であり、
浮遊要素の上部及び下部に取り付けられた、複数の内部支持壁を含む、
光起電浮遊装置。」

(11)文献11
文献11(国際特許出願公開第2010/064105号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

ア 「- figures 2 and 3 are perspective views of modular floating blocks of a floating structure of the system according to one embodiment of the invention,
- figure 4 is a schematised side view of a supporting structure of photovoltaic panels and its connections with a strengthening structure of the system according to one embodiment of the invention,」(明細書第2頁第22行?第3頁第2行)
(当審仮訳:「図2及び図3は、本発明の一実施形態によるシステムのフローティング構造のモジュラーフローティングブロックの斜視図であり、
図4は、本発明の一実施形態による、光起電パネルの支持構造と、システムの強化構造との接続を示す模式的な側面図であり、」)

イ 「- figure 6 is a top view of a strengthening beam of the photovoltaic system according to one embodiment,
- figure 7 is a cross-sectional view according to the VII-VII line in figure 6,
- figure 8 is a top view of a detail of a strengthening beam of the photovoltaic system according to a further embodiment,
- figure 9 is a cross-sectional view according to the IX-IX line in figure 8,」(明細書第3頁第5行?第12行)
(当審仮訳:「図6は、一実施形態による光起電システムの強化梁の上面図であり、
図7は、図6のVII-VII線に沿った断面図であり、
図8は、さらなる実施形態による光起電システムの強化梁の詳細の上面図であり、
図9は、図8のIX-IX線に沿った断面図であり、」)

ウ 「System 1 comprises a floating structure 2 with a series of floating modular blocks 3 movably connected to form a basically flat floating grid with a float height 4.
System 1 also includes a strengthening structure 5 with a series of strengthening beams 6. Each one of the strengthening beams 6 is movably connected to at least two floating blocks 3 so as to allow the connection of additional structures to the floating structure 2.」(明細書第4頁第8行?第10行)
(当審仮訳:「システム1は、基本的に、フローティング高さとともに、平坦なフローティング格子を形成するように移着脱可能に連結された一連のフローティングモジュラーブロック3を備えたフローティング構造2を備えている。
システム1は、一連の強化梁6を備えた強化構造5も含む。それぞれ1つの強化梁6が、フローティング構造2への追加の構造の連結を可能とするように、少なくとも2つのフローティングブロック3に着脱可能に連結されている。」)

エ 「In accordance with one embodiment (figures 2 and 3), the modular floating blocks 3 include hollow bodies of a basically parallelepiped shape with a lower side 20, an upper side 21 and four lateral sides 22 which form four lateral angles 23. In one of the lateral sides 22 a closable opening 24 may be envisaged to allow a partial filling of the internal space of the floating block 3 in order to regulate the upward thrust of the floating block 3 itself. Each floating block 3 includes at least four connection interfaces 25 arranged in proximity of these lateral corners 23 and that include flanges 26 with through openings 27 that can be vertically overlaying and connected by inserting a connecting pin 28.
Advantageously, in all the floating blocks 3, the through openings 27 are arranged in correspondence to a hypothetical intersection line of the two adjacent lateral sides 22. This allows a modular composition at choice of different floating blocks. The floating blocks 3 are preferably obtained by pressing or blowing synthetic material.
In accordance with one embodiment (figures 6, 7, 8), the strengthening beams 6 include metal profiles, for instance galvanised steel, preferably but not necessarily with an open cross section, for instance u-shaped, with at least two connection fins 29 protruding from this metal profile and that mark openings 30 that can be vertically overlaid on the respective through openings 27 of the connection interfaces 25 of at least two floating blocks 3.」(明細書第6頁第20行?第7頁第19行)
(当審仮訳:「一実施形態(図2及び図3)によれば、モジュラーフローティングブロック3は、下側20、上側21及び4つの側方角23を形成する4つの側面22を有する基本的に平行六面体形状の中空体を含む。4つの側面の1つには閉鎖可能な開口部24が設けられ、フローティングブロック3の内部空間の部分的な充填を可能にして、フローティングブロック3自体の上方への推力の調整が可能になっている。各フローティングブロック3は、これらの側方コーナー23の近傍に少なくとも4つの接続インターフェース25を含む。これらの接続インターフェース25は、貫通開口27を有するフランジ26を含み、これらを垂直方向に重ねた状態で接続ピンを挿入することによって接続することが可能になっている。
有利には、すべてのフローティングブロック3において、貫通開口27は、2つの隣接する側面22の仮想交差線に対応して配置される。これにより、異なるフローティングブロックの選択においてモジュラー構成が可能となる。フローティングブロック23は、好ましくは、合成材料をプレス又はブローすることによって得られる。
一実施形態(図6、7、8)によれば、強化梁6は、例えば亜鉛メッキ鋼からなる金属枠(U字等の開いた断面を有することが好ましいが必須ではない)を含む。この枠には、この枠から突出する少なくとも2つの接続フィン29が設けられている。また、接続フィン29は、少なくとも2つのフローティングブロック3の接続インターフェース25の貫通開口27に垂直に重ね合わせることができる開口部30が設けられている。」)

オ 「The structure thus devised may undergo slight deformations as a result of wave movement or local stress due to the walking of operators involved in inspections or maintenance interventions of system 1, without transmitting any deformation or stress to the photovoltaic panel 7.
Regarding this, it is also pointed out that the grating shape floating structure 3 has gangways 36 between the areas covered by photovoltaic panels 7.
Returning to the supporting structure 8 for the photovoltaic panels 7, in accordance with one embodiment, the supporting frame 9 comprises two long opposite sides and two short opposite sides and on each of the short opposite sides there are two annular seats 37 (preferably basically vertical cylindrical tubes) inserted vertically on the respective bolts or connecting column bolts 38 fixed to the strengthening beams 6 on which the supporting frame 9 is laid. A positioning plate 39 is connected to the free end of the connecting column bolt 38 so as to prevent the supporting frame 9 from coming off the connecting column bolt.」(明細書第8頁第25行?第9頁第16行)
(当審仮訳:「このように考案された構造は、システム1の検査又は保守介入に関与するオペレータの歩行による波動又は局所的な応力の結果として、わずかな変形を受ける可能性があるが、光起電パネル7にいかなる変形又は応力も伝達することはない。
このことに関して、格子状のフローティング構造3は、光起電パネル7によって覆われた領域の間に通路36を有することも指摘される。
光起電パネル7の支持構造8に戻ると、一実施形態によれば、支持フレーム9は、2つの対向する長側面と2つの対向する短側面を含み、対向する短側面のそれぞれには2つの環状座部37(好ましくは垂直円筒チューブ)が設けられており、これらは、支持フレーム9が敷設された補強梁6に固定された各ボルト又は連結柱ボルト38に垂直に挿入されている。連結柱ボルト38の自由端には、支持フレーム9が連結柱ボルトから抜けないように位置決め板が連結されている。」)

カ 上記の記載から、文献11には、次の発明(以下「文献11発明」という。)が記載されていると認められる。

「光起電パネル、モジュラーフローティングブロック、及び、光起電パネルの支持構造を備えたシステムであって、
モジュラーフローティングブロックは、ブローすることによって得られ、下側、上側及び4つの側方角を形成する4つの側面を有する基本的に平行六面体形状の中空体を含み、4つの側面の1つには閉鎖可能な開口部が設けられ、フローティングブロックの内部空間の部分的な充填を可能にして、フローティングブロック自体の上方への推力の調整が可能になっており、
強化梁が、少なくとも2つのフローティングブロック3に着脱可能に連結され、
光起電パネルの支持構造の支持フレームは、2つの対向する長側面と2つの対向する短側面を含み、対向する短側面のそれぞれには2つの環状座部が設けられており、これらは、支持フレームが敷設された補強梁に固定された各ボルト又は連結柱ボルトに垂直に挿入されている、
システム。」

(12)周知技術1
ア 文献12
文献12(特開平7-132552号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0012】図1は本発明により作製される樹脂製パネルの一例を示しており、パネル11には空気の流通、見通しを可能とした紋様孔12が形成されている。
【0013】図2は図1のパネルの概略的な製造工程図である。
【0014】本発明においては、先ず前記熱可塑性樹脂からなる中空状の円形あるいは角型等のパリソン21、即ち溶融樹脂を大気中に押出し(図2(a))、該パリソン21を金型22a,22bで閉じる(図2(b))。この時、両金型壁面には所望の形状の彫刻が施されており、金型を閉じることにより、パリソン21の周側縁23が一体に溶着され、さらには、部分的にパリソン21の対向面同志が溶着されて溶着凹部24が形成される。
【0015】続いて、パリソン21に加圧ガスを吹き込み、金型壁面へ押し付けることにより、金型キャビティの形状が転写される様にブロー成形する(図2(c))。次に、冷却固化後に離型し、最後に成形品の溶着凹部24を打ち抜いて紋様孔12を形成する。尚、この時、周側縁23によるバリも同時に切除される。
【0016】本発明において、上記パリソンは、加圧ガスをブローするまで溶融状態を保持し更に自重により大きく変形することもなく、かつブロー時にはブロー圧で膨張・変化し、金型に密着する様に変形する必要がある。」

イ 文献13
文献13(特開昭50-30959号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「2 特許請求の範囲
ダイスより押し出されたパリソンを半割のキャビティ金型の間に垂下させて成形する中空成形法において、キャビティ金型本体に摺動自在に嵌装した可動枠にてパリソンの両端を型締して予備吹膨し、ついで該膨満したパリソンをキャビティ金型本体で型締して濃縮空気を封入した中空体を成形することを特徴とする合成樹脂中空成形法。
3 発明の詳細な説明
この発明は熱可塑性樹脂による中空成形法に関する。
熱可塑性樹脂による中空成形は、従来樹脂を加熱溶融し、成形機でパイプ状に押し出したパリソンを半割に開いた金型の間に垂下させ、金型を閉じた後ダイス中央より空気を吹き込み、樹脂を金型に密着させる成形法が行われているが、完全な中空成形品例えば、ウキ、リング、球体等の緩衝具、水中具等は成形後空気の吹き込み口をこてで閉塞する方法をとってきたが、この方法は、ピンホールが残ったり、空気洩れや外圧によってへこんだりする欠点があった。
本発明は上述の欠点を除去した中空成形法に係るもので、その要旨は上述の特許請求範囲に記載した装置方法に係るものである。」(第1頁左下欄第4行?右下欄第9行)

ウ 文献14
文献14(特開2002-65011号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に4条植え用の乗用型田植機が示され、1は機体、2は操向前輪、3は駆動後輪、4は運転部、5はエンジン、6はベルト伝動機構、7はフロントミッション、8はリヤーミッション、9はPTO伝動軸、10は四連リンク型の昇降機構、Aは植付部である。
【0015】植付部Aは、苗載台11、フィードケース12、植付ケース13、フロート16, 17、及び植付機構aから構成されており、植付機構aは、回転ケース14、一対の植付アーム15,15等から構成されている。フロート16,17は、左右一対の整地フロート16,16と、左右中央のセンサーフロート17とで構成されている。次に、整地フロート16について説明する。
【0017】整地フロート16をブロー成形するためのパリソン21の成形型22は、概略、図5、図6に示されるように、内側型部22aと、外側型部22bとを左右一対の連結支持部22c,22cで一体化したものである。そして、内側型部22aを、これと外側型部22bとの間に形成される合成樹脂材の流通隙間23のうちのフロート底面側隙間24の厚さ方向長さdaが、フロート上面側隙間25の厚さ方向長さdbよりも大となるように、外側型部22bに対して偏らせてある。」

エ 文献15
文献15(特開昭58-124622号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「2 特許請求の範囲
本体の中心軸方向に貫通孔を設け、その両側にそれぞれ独立した気密中空部を形成した合成樹脂球体の中空成型法において、型取りした球体キャビティ及びその半割部分にそれぞれ挿通孔を備えた本体金型と、直立状のコアを植設したコア金型と、前記挿通孔に出入自在に挿通する針状エアノズルとよりなる金型装置を設け、相対する本体金型の半割体央にコア金型を設置し、直立したコアとこれを挟着する半割金型の中間にそれぞれ2本の筒状パリソンを同径のダイスより垂下させ、本体金型の型締の前記半割金型の挿通孔を介して針状のエアノズルをキャビティ内のそれぞれのパリソンに刺通してエア吹膨させた後抜去して成型した中空球体の内部に、それぞれ同形の独立した2つの気密中空部が形成され、かつ前記コア金型のコア部分が球体の中心軸方向に貫通孔として形成されるように成型することを特徴とする球体の中空成型法
3 発明の詳細な説明
この発明は合成樹脂球体主として漁網用浮子の新規な中空成型法に関するものである。」(第1頁左下欄第4行?右下欄第5行)

オ 周知技術1
上記文献12ないし15に記載されている次の技術は、周知技術(以下「周知技術1」という。)である。

「気密な単一のプラスチック製ケーシングであるフロートを含め、中央に貫通孔を有する樹脂成形体を、ブロー成形により成形する技術。」

なお、中空体のフローティングブロックをブローすることによって得ることは、文献11にも記載されている。

(13)周知技術2
ア 文献16
文献16(特開2001-254494号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0019】図1と図2に示すように、上記第1の取付け部材3はシリコンゴム、クロロプレーンゴム、EPDMなどの弾性材料によって形成された本体部11を有する。この本体部11の幅方向両側には一対の第1の挟持片12が形成され、この第1の挟持片12と対向する幅方向両側には一対の第2の挟持片13が形成されている。第1の挟持片12と第2の挟持片13との間にはそれぞれ挿入溝14が形成されている。上記第1の挟持片12と第2の挟持片13との先端部は、外力が加えられていない状態では図1に示すように接触しないで離れている。」

(イ)「【0036】太陽電池ユニット1の並設された太陽電池パネル2の周辺部に設けられた第2の取付け部材4は、図3と図4に示すように上記第1の取付け部材3と同様、シリコンゴム、クロロプレーンゴム、EPDMなどの弾性材料によって形成された本体部35を有する。この本体部35には、幅方向一側だけに第1の挟持片12aと第2の挟持片13aとによって挿入溝14aが形成されている。この本体部35が固定溝15、固定部材17及び取付け金具23に取付けるための一対の取付け溝19を備えているという点では第1の取付け部材3と同じ構成となっている。」
【0037】そして、第2の取付け部材4には、並設された太陽電池パネル2の周囲に位置する周辺部が下面に接合された鋼板29とともにその挿入溝14aに挿入され、第1、第2の挟持片12a,13aによって液密に保持されている。
【0038】なお、第2の取付け部材4の両端部は45度の角度の斜面になっていて、太陽電池ユニット1の交差する2つの側辺部に設けられた一対の第2の取付け部材4は両端部の斜面を接合させている。
【0039】十字状をなした第1の取付け部材3の4つの端面は平坦面に形成されていて、この平坦面は第2の取付け部材4の中途部に接合している。
【0040】一対の第2の取付け部材4の接合面及び第1の取付け部材3と第2の取付け部材4との接合面は接着剤によって接着封止することで液密状態を確保してもよいが、たとえば図示しないカバーで覆うなどして液密状態が確保できる場合には接着しなくてもよい。また、接着する場合でも、接着状態を剥離できる接着剤によって接着すれば、太陽電池ユニット1の分解が容易となる。
【0041】このような構成の太陽電池ユニット1によれば、4枚の太陽電池パネル2を第1の取付け部材3と第2の取付け部材4とによって保持するようにした。つまり、太陽電池パネル2は、周辺部を各取付け部材3,4に形成された挿入溝14,14aに挿入し、第1の挟持片12,12aと第2の挟持片13,13aとで挟持固定するようにした。
【0042】第2の挟持片13,13aは、固定溝15に固定部材17を圧入することで弾性的に変形し、挿入溝14,14aに挿入された太陽電池パネル2の周辺部の上面に圧接する。
【0043】そのため、太陽電池パネル2の周辺部は、全長にわたって第1の挟持片12,12aと、第2の挟持片3,13aとによって所定の圧力で挟持されるから、液密状態が確実となって雨水などが太陽電池パネル2の上面側から下面側に回り込むのを防止することができる。
【0044】つまり、太陽電池パネル2は、周辺部に単にパッキングを装着して保持するのでなく、各取付け部材3、4の第1の挟持片12,12aと第2の挟持片13,13aとによって所定の圧力で挟持することで、これら挟持片の先端部を太陽電池パネル2の上面と下面とに圧接させるため、液密状態を確実に確保することができる。
【0045】各取付け部材3、4に対する太陽電池パネル2の取付けは、第2の挟持片13,13aを上方へ弾性的に変形させて挿入溝14,14aを開き、その挿入溝14,14aに太陽電池パネル2の周辺部を挿入したのち、固定溝15に固定部材17を圧入するだけであるから、工具などを用いることなく容易に、しかも迅速に行うことができる。つまり、太陽電池ユニット1を建物の屋根や壁面などに設置する際、その施工を容易かつ迅速に行うことができる。
【0046】上記第1の取付け部材3と第2の取付け部材4は弾性材料によって形成されている。そのため、太陽電池ユニット1の太陽電池パネル2に風圧や飛散物などによって衝撃が加わった場合には、その衝撃を第1、第2の取付け部材3、4が弾性的に変形して吸収するから、太陽電池パネル2が風圧などの衝撃によって損傷するのを防止できる。
【0047】上記第1の実施の形態では4枚の太陽電池パネル2を行列状に並設する場合について説明したが、複数枚の太陽電池パネル2を一列に並設する場合もあり、そのような場合には第1の取付け部材3は十字状でなく、直線状にすればよい。
【0048】一方、第1の実施の形態では複数枚の太陽電池パネル2を並設した太陽電池ユニット1について説明したが、図7と図8に示す第2の実施の形態のように1つの太陽電池パネル2を太陽電池モジュール41として建物の屋根や壁面などの固定部5に取付ける場合にもこの発明を適用することができる。」

イ 文献17
文献17(特開平9-72057号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に従って、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明支持部材を構成するガスケット1、図2はガスケット1を固定するための固定具2である。ガスケット1は、全体がゴムのような弾性材からなる棒状の長尺体であり、長尺体の長さ方向にそった上部を集熱用ガラスの挟持部3とし、下部を掛止部4としてある。」

(イ)「【0018】ガスケット1を固定具2に連結した後、集熱ガラス14の端部をガスケット1の挟持部3において開口面5から嵌合溝6内に水平に押し込めばよく、ガラス14の端部は嵌合溝6内に嵌め込まれ、かつ、上下の挟持片7でガラス14の上下面を密に挟持して固定可能となる。屋根勾配にそって設置されるガラス14の両側はガスケット1によって支持されるが、ガラス14の棟側と軒側とは少なくとも屋根板とガラス14との間に空間が形成される。この空間は、例えば、金属板によって閉じ、コーキング処理により雨仕舞い処理をすれば屋根板とガラス14との間には密閉状態の温室空間15が形成されることになる。尚、ガスケット1を連設して方形状に形成し、方形状ガスケット1内にガラス14を嵌め込めば、ガラス14の四方はガスケット1で密に囲まれることになり、屋根の棟側と軒側においてガスケット1と屋根板間に形成される空間を密に閉じるようにすればよい。」

ウ 文献18
文献18(特開2002-242355号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0007】電波吸収板1,1の端縁部には、その全周にわたり取り囲む配置でゴム製の支持枠体3が前記端縁部を挟持する状態に取り付けられている。支持枠体3は、並設配置の2つの電波吸収板1,1の端縁部の全周に取り付けることのできる「日」字形の平面形状を有している。」

エ 文献19
文献19(特開平11-62143号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0024】この取付具1は、その全体が弾性ゴムによって形成されており、後述する屋根材上に直接取り付け固定される架台部2と、この架台部2上に一体的に形成された保持体部3とからなっている。
【0025】架台部2は、屋根材上に密着する平板状の足部21と、この足部21の中央部から上方に延設された内部が空洞の胴部22とで形成されており、胴部22には、その左右両側に補強部材23,23(破線により示す)が埋設されている。また、足部21の側面には、長手方向の適当箇所に、出力ケーブル46を通すための貫通穴24(図4参照)が形成されている。また、足部21の下面には、防振及び防水用のゴムシート25が貼着されている。
【0026】保持体部3は、胴部22よりも左右に張り出した形状となっており、その両側面に、太陽電池組立体40の側縁部40aを挿入保持する横向きに開口した溝部31,31が形成されている。また、保持体部3の上面には、溝部31,31の形成位置まで達する深さの嵌合凹部32が形成されており、この嵌合凹部32にジッパー部材33が嵌合されるようになっている。」

(イ)「0035】次に、このようにして取り付け固定された第1列目の取付具1の一方(軒先R1とは反対側)の溝部31に、軒先R1側の第1列目に配置する太陽電池組立体40の一方の側縁部40aを挿入し(図7(a)に示す状態)、次に端子ボックス45の一方の出力ケーブル46を必要に応じて保持溝部35に挿入保持した後、第1列目の取付具1の貫通穴24を通して軒先R1側に導出する。
【0036】この後、第1列目の太陽電池組立体40の他方の側縁部40aに第2列目の取付具1の溝部31を挿入し、第1列目の太陽電池組立体40の他方の出力ケーブル46を必要に応じて第2列目の取付具1の保持溝部35に挿入保持した後、第2列目の取付具1の貫通穴24を通して棟側に導出する。この後、第2列目の取付具1を3本の瓦棒13,13,13上に配置し、3本の瓦棒13,13,13と交差する部分の嵌合凹部32の底面32aから木ネジ38を挿入し、各瓦棒13,13,13に直接ねじ込み固定する。図5は、この状態を示している。これにより、第1列目の太陽電池組立体40の取り付けを終了する。
【0037】次に、このようにして取り付け固定された第2列目の取付具1の他方(軒先R1とは反対側)の溝部31に、第2列目に配置する太陽電池組立体40の一方の側縁部40aを挿入し、第2列目の太陽電池組立体40の一方の出力ケーブル46を必要に応じて第2列目の取付具1の保持溝部35に挿入保持した後、取り付けを終了している第1列目の太陽電池組立体40の他方の出力ケーブル46と接続する。」

オ 文献20
文献20(特開2010-90701号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0039】
上側係合部23は、ランナー2の下側に設置されるソーラーパネル3の上端部を上側から保持する部分であり、延出部22cのソーラーパネル3側の端部に設けられている。
上側係合部23は、延出部22cの下面から下方に向かって突設された一対の突条23aと、この一対の突条23aの間に形成された凹溝23bと、によって構成されている。
一対の突条23aの先端部は、断面視で略円形状に形成されており、その周面には緩衝用の樹脂皮膜がコーティングされている。凹溝23bは、回動部22を下向きに回動したときに、後記するソーラーパネル3の上辺に設けられた上側被係合部36(図2参照)に係合し、回動部22を上向きに回動したときに、上側被係合部36から離脱するようになっている。
【0040】
下側係合部24は、ランナー2の上側に設置されるソーラーパネル3の下端部を下側から保持する部分であり、延出部22cのソーラーパネル3側の端部に設けられている。
下側係合部24は、延出部22cの上面から上方に向かって突設された一対の突条24aと、この一対の突条24aの間に形成された凹溝24bと、によって構成されている。
一対の突条24aの先端部は、断面視で略円形状に形成されており、その周面には緩衝用の樹脂皮膜がコーティングされている。凹溝24bは、後記するソーラーパネル3の下辺に設けられた下側被係合部37に係合している。」

カ 周知技術2
主として、上記文献15ないし17、19、20に記載されている次の技術は、周知技術(以下「周知技術2」という。)である。なお、文献18には、太陽電池モジュールのエラストマー製の長尺体による保持が記載されているが、その全周を保持するものである。

「太陽電池パネルを含め、板状の部材を、2つの、挿入のためのスリットを有するエラストマー製の長尺体により保持する技術。」

5 当審の判断
(1)主引例を文献1とする場合について
ア 本件特許発明5
(ア)対比
請求項5の特許に係る発明(以下、請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18の特許に係る発明を、それぞれ「本件特許発明1」、「本件特許発明3」、「本件特許発明5」、「本件特許発明8」、「本件特許発明11」ないし「本件特許発明13」、「本件特許発明15」、「本件特許発明17」、「本件特許発明18」という。)と文献1発明を対比する。

a 文献1発明の「太陽電池」は、本件特許発明5の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献1発明の「ポリエチレンやポリプロピレンを素材としてブロー成形した四角形の板状ブロックからなる浮体」は、ポリエチレンやポリプロピレンのようなプラスチック製のものであり、四角形の板状ブロックからなるものであるから一つの下部壁、一つの上部壁および四つの側壁を持つケーシングであるといえ、これは、本件特許発明5の「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」「単一のプラスチック製ケーシング」に相当する。

c 文献1の「浮体」は、モジュールとして連結されるもので、その「上面に、1枚の太陽電池を敷設し固定し」ているから、文献1発明は、本件特許発明5の「モジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し」ているといえる。

したがって、本件特許発明5と文献1発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点1-5】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点1-5-1】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献1発明においては、「浮体」が、このような構成を有しているか不明である点。

【相違点1-5-2】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有するが、文献1発明においては、「浮体」は、このような構成を有しない点。

【相違点1-5-3】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点1-5-2に係る構成を備えた上で、「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献1発明においては、「浮体」は、このような構成を有しない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点1-5-1について、文献1発明の「浮体」も「ブロー成形した」ものであり、周知技術1を考慮し、ブロー成形によって、気密な単一のフロートであって、一定の空気体積を閉じ込めることができるものとすることは当業者が容易になし得たことである。

しかし、上記相違点1-5-2及び相違点1-5-3について、文献2発明、文献3発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明における、太陽電池の支持に用いられるフロートは、枠状のもの、孔を有するもの、浮輪や筏であるが、これらは、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではなく、これらの各発明に、浮体の上面に排水溝を有する文献1発明において、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設ける動機付けはない。

また、仮に、これらの各発明に加えて周知技術1も考慮し、文献1発明において、何らかの孔をフロートである浮体に設けることを当業者が想到し得たとしても、上記相違点1-5-2に係る構成の「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を設けた上で、さらに、上記相違点1-5-3に係る構成の「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を設けることまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝を有し、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチックケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

したがって、本件特許発明5は、文献1を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

イ 本件特許発明8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明5を引用するときの本件特許発明8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明5の構成を全て含むものであるから、上記5(1)アに記載したものと同様の理由によって、文献1を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

ウ なお、特許異議申立人は、異議申立書において、本件特許発明1について、文献1を主引例とする場合の取消理由について記載していないが、以下、念のため、検討を加える。

本件発明1と文献1発明を対比したときの一致点及び相違点は、上記5(1)アに記載したものと同様の相当関係から、次のとおりである。

【一致点1-1】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点1-1-1】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献1発明においては、「浮体」が、このような構成を有しているか不明である点。

【相違点1-1-2】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有するが、文献1発明においては、「浮体」は、このような構成を有していない点。

【相違点1-1-3】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点1-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献1発明は、このような構成を有していない点。

これらの相違点についての検討も上記5(1)アに記載したものと同様であって、文献1発明において、周知技術1を考慮し、上記相違点1-1-1に係る構成を備えたものとすることが容易であったとしても、文献2発明、文献3発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明に、文献1発明において、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設ける動機付けはなく、また、仮に、これらの各発明に加えて周知技術1も考慮し、何らかの孔をフロートである浮体に設けることを当業者が想到し得たとしても、上記相違点1-1-2に係る構成のくり抜き部を設けた上で、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点1-1-3に係る構成のエラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったということはできない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁まで前記プラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

したがって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18も、文献1を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(2)主引例を文献2とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献2発明を対比する。

a 文献2発明の「太陽電池モジュール」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献2発明の「枠状のフロート」は、枠状のものであって、一つの下部壁、一つの上部壁および四つの側壁を有しているから、本件特許発明1の「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」ものに相当し、文献2発明の「枠状のフロート」は、その上で太陽電池モジュールの外周部を支持し、モジュールとして使われるものであるから、文献2発明は、本件特許発明1の「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」「モジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって」「光起電力パネル支持装置は、」「前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し」ているといえる。

したがって、本件特許発明1と文献2発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点2-1】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点2-1-1】
本件特許発明1においては、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」ものが、「気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成された」もので、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるものである」が、文献2発明においては、「フロート」は、このような構成を有していない点。

【相違点2-1-2】
本件特許発明1においては、上記相違点2-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有しているが、文献2発明においては、「フロート」は、このような構成を有していない点。

【相違点2-1-3】
本件特許発明1においては、上記相違点2-1-1に係る構成及び上記相違点2-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献2発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点2-1-1及び上記相違点2-1-2について、文献2の段落【0009】に「この覆蓋パネル装置は、覆蓋パネルのフロートを太陽電池モジュールの外周部を支持する枠状に形成するとともに、該フロート上に太陽電池モジュールを配設して、該太陽電池モジュールにより遮光部を形成することから、フロートの体積を削減して覆蓋パネルを軽量化し、覆蓋パネル装置の引き上げ作業を省力化することができる」と記載されていることから、文献2発明において、フロートが枠状のもので、2つの四角い穴が開いた所定厚みの発泡樹脂板体の周囲をFRP等の合成樹脂のリブにより被覆したものからなっている構成は、「フロートの体積を削減して覆蓋パネルを軽量化し、覆蓋パネル装置の引き上げ作業を省力化する」ための、技術的意義を有する、主たる構成である。ここで、周知技術1のように、ブロー成形によって気密な単一のプラスチック製ケーシングであるフロートを得ることが周知技術であったとしても、文献2発明において、このような技術的意義を有する主たる構成を、気密な単一のプラスチック製ケーシングで主に構成された、一定の空気体積を閉じ込めることができるフロートに変更することが、当業者にとって容易であったとはいえない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献2発明の枠状のフロートを気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることを当業者が想到し得たとしても、その上で、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点2-1-3に係る構成のエラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献2発明を対比する。

上記5(2)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献2発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点2-5】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点2-5-1】
本件特許発明5においては、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」ものが、「気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成された」もので、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるものである」が、文献2発明においては、「フロート」は、このような構成を有していない点。

【相違点2-5-2】
本件特許発明5においては、上記相違点2-5-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有しているが、文献2発明においては、「フロート」は、このような構成を有していない点。

【相違点2-5-3】
本件特許発明5においては、上記相違点2-5-1及び上記相違点2-51-2に係る構成を備えた上で、「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献2発明においては、「フロート」は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記5(2)ア(ア)に記載したことと同様に、上記相違点2-5-1及び上記相違点5-1-2について、文献2発明において、フロートの体積を削減して覆蓋パネルを軽量化し、覆蓋パネル装置の引き上げ作業を省力化するための、技術的意義を有する、主たる構成である、フロートが、枠状のもので、2つの四角い穴が開いた所定厚みの発泡樹脂板体の周囲をFRP等の合成樹脂のリブにより被覆したものからなっている構成を、気密な単一のプラスチック製ケーシングで主に構成された、一定の空気体積を閉じ込めるフロートに変更することは、当業者にとって容易であったとはいえない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献2発明の枠状のフロートを気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることを当業者が想到し得たとしても、その上で、さらに、上記相違点2-5-3に係る構成のように、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

また、文献2の段落【0010】に、「枠状のフロートの内側の穴部分に、薄膜状の遮水部材を配設するようにすることができる」、段落【0019】に、「フロート1の内側に、合成樹脂フィルム等からなる薄膜状の遮水部材7を配設することにより、太陽電池モジュール2を水から保護することができる」と記載されていることからしても、文献2発明において、枠状のフロートの内側の穴部分は通気を目的としたものではなく、このことからも、上記のことが、当業者にとって容易なものであったとすることはできない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(2)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献2を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(3)主引例を文献3とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献3発明を対比する。

a 文献3発明の「太陽電池パネル」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献3発明の高発泡樹脂が充填され」た「外装体」は、「熱可塑性シート状の耐候性樹脂板を材料にして」いるから、プラスチック製ケーシングで主に構成されたものであるといえ、一つの下部壁、一つの上部壁及び四つの側壁を有しているから、これは、本件特許発明1の「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」「プラスチック製ケーシング(2)で主に構成された」ものに相当する。

c 文献3発明において、外装体上部のパネル取付体の上部に太陽電池パネルが装着されており、文献3発明は、モジュールとして使われるものであるから、本件特許発明1の「モジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し」ているといえる。

したがって、本件特許発明1と文献3発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点3-1】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点3-1-1】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献3発明においては、「外装体」は、このような構成を有していない点。

【相違点3-1-2】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点3-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有しているが、文献3発明においては、「外装体」は、このような構成を有していない点。

【相違点3-1-3】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点3-1-1に係る構成及び上記相違点3-1-2に係る構成を有した上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献3発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点3-1-1について、文献3発明の「外装体」は、「高発泡樹脂が充填され」たものであるが、文献3の段落【0046】に、「外装体10の内側には、高発泡樹脂15が充填されている。通常、水上用太陽電池モジュールの浮力は外装体10の形状で得ているが、高発泡樹脂15も水上用太陽電池モジュールを浮遊させておくに十分な浮力を有する。仮に船舶の衝突、流木などの大型漂流物の衝突、想定外の大きな波などによって、外装体10が損傷しても沈没しない構造となっている。また、空洞であった外装体10の内側に高発泡樹脂15を充填することによって、外装体10の強度が強くなる特長を有する。」と記載されているとおり、このような高発泡樹脂の充填は、浮力の向上、沈没の防止、強度の向上という技術的意義を有するものである。このような技術的意義を有する、主たる構成を、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートに変更することが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献3発明の「外装体」を、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートとすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、上記相違点3-1-2に係る構成のように、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設け、周知技術2まで考慮し、上記相違点3-1-3に係る構成のエラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献3発明は、蓄電池収容部の底部に外界に貫通する供給孔が形成されているが、これは、蓄電池の冷却のためであって、太陽電池パネルの通気を目的としたくり抜き部といえるものではなく、文献2発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明における、太陽電池の支持に用いられるフロートは、枠状のもの、浮輪や筏であるが、これらは、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献3発明を対比する。

上記5(3)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献3発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点3-5】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点3-5-1】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献3発明においては、「外装体」は、このような構成を有していない点。

【相違点3-5-2】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点3-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」しているが、文献3発明においては、「外装体」は、このような構成を有していない点。

【相違点3-5-3】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点3-1-1に係る構成及び上記相違点3-1-2に係る構成を備えた上で、「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献3発明においては、「外装体」は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記5(3)ア(イ)に記載したことと同様に、上記相違点3-5-1について、浮力の向上、沈没の防止、強度の向上という技術的意義を有する、主たる構成である、文献3発明の「高発泡樹脂が充填され」た「外装体」を、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートに変更することが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献3発明の「外装体」を、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートとすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、上記相違点3-5-2に係る構成のように、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設け、上記相違点3-5-3に係る構成のように、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで容易であったとすることはできない。

ここで、文献2発明、文献3発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明は、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁まで前記プラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(3)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献2を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(4)主引例を文献4とする場合について
ア 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献4発明を対比する。

a 文献4発明の「太陽電池モジュール」は、本件特許発明5の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献4発明の「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」及び「当該浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板」を合わせたものは、プラスチック成形品であって、「その上面に太陽電池モジュールを載置する」ものであり、一つの下部壁、一つの上部壁および四つの側壁を有しているから、本件特許発明5の「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する」「プラスチック製ケーシング(2)で主に構成された」ものに相当する。

b 文献4発明は、モジュールとして使用されるものであり、「天板」の「上面に太陽電池モジュールを載置する」ものであるから、本件特許発明5の「モジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、」「光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有し」ているといえる。

したがって、本件特許発明5と文献4発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点4-5】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点4-5-1】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献4発明においては、「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」及び「当該浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板」を合わせたものは、このような構成を有していない点。

【相違点4-5-2】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献4発明は、このような構成を有していない点。
しない。

【相違点4-5-3】
本件特許発明5においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点4-5-1に係る構成及び上記相違点4-5-2に係る構成を備えた上で、「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献4発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

文献4発明は、「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」をその主たる構成とするものであって、このような主たる構成を、上記相違点4-5-1に係る構成のように、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートに変更することが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献4発明の「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」及び「当該浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板」を合わせたものを、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートとすることを当業者が容易に想到し得たとしても、その上で、さらに、上記相違点4-5-2に係る構成のように、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設け、上記相違点4-5-3に係る構成のように、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで容易であったとすることはできない。

ここで、文献2発明、文献3発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明は、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

イ 本件特許発明8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明5を引用するときの本件特許発明8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明5の構成を全て含むものであるから、上記5(4)アに記載したものと同様の理由によって、文献4を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

ウ なお、特許異議申立人は、異議申立書において、本件特許発明1について、文献4を主引例とする場合の取消理由について記載していないが、以下、念のため、検討を加える。

本件発明1と文献4発明を対比したときの一致点及び相違点は、上記5(4)アに記載したものと同様の相当関係から、次のとおりでなる。

【一致点4-1】
「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成するプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素である光起電力パネル支持装置(1)であって、光起電力パネル支持装置は、前記プラスチック製ケーシングの前記上部壁(4)上に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力支持装置。」

【相違点4-1-1】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「気密な単一の」、「フロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献4発明は、このような構成を有していない点。

【相違点4-1-2】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献4発明は、このような構成を有していない点。

【相違点4-1-3】
本件特許発明1においては、プラスチック製ケーシングが、上記相違点4-5-1に係る構成及び上記相違点4-5-2に係る構成を有した上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献4発明は、このような構成を有していない点。

これらの相違点についての検討も上記5(4)アに記載したものと同様であって、文献4発明の、「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」という主たる構成を、上記相違点4-1-1に係る構成のように、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートに変更することが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献4発明の「プラスチック発泡体を収容したプラスチック成形品の浮揚部」及び「当該浮揚部と一体化して浮揚部の上面を覆ったプラスチック成形品の天板」を合わせたものを、一定の空気体積を閉じ込めることができる、気密な単一のフロートとすることを当業者が容易に想到し得たとしても、その上で、さらに、上記相違点4-1-2に係る構成のように、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設け、周知技術2まで考慮し、上記相違点4-1-3に係る構成のエラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献2発明、文献3発明、文献5発明、文献6発明、文献7発明、文献8発明は、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

したがって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18も、文献4を主引例として、当業者が容易に発明し得たものでない。

(5)主引例を文献5とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献5発明を対比する。

a 文献5発明の「太陽電池」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献5発明の「ドーナツ形状のゴム製浮輪」は、その上に「4本の支柱」を有し、この「4本の支柱」によって「太陽電池」を支持しているから、文献5発明は、本件特許発明1の「光起電力パネル支持装置」であって、「上部に光起電力パネルの維持手段を有する」ものであるといえる。

したがって、本件特許発明1と文献5発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点5-1】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点5-1-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献5発明においては、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」は、このような構成を有していない点。

【相違点5-1-2】
本件特許発明1においては、上記相違点5-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献5発明においては、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」は、このような構成を有していない点。

【相違点5-1-3】
本件特許発明1においては、上記相違点5-1-1に係る構成及び上記相違点5-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献5発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点5-1-1及び相違5-1-2について、周知技術1を考慮して、文献5発明において、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」をプラスチック製ケーシングとしたとしても、太陽電池に対する光量を増大させるため、両面入射型太陽電池を反射面を確保するための間隔を保持して支持している文献5発明において、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点5-1-3に係る構成のエラストマー製の2つの固定用形材による太陽電池の支持を行うとすると、両面入射型太陽電池との間で反射面を確保するための間隔が確保されないこととなるため、このような組み合わせには阻害要因があるといえる。

したがって、本件特許発明1は、文献5を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献5発明を対比する。

上記5(5)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献5発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点5-5】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点5-5-1】
本件特許発明5においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献5発明においては、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」は、このような構成を有していない点。

【相違点5-5-2】
本件特許発明5においては、上記相違点5-5-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献5発明においては、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」は、このような構成を有していない点。

【相違点5-5-3】
本件特許発明1においては、上記相違点5-5-1に係る構成及び上記相違点5-1-2に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献5発明はこのような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点5-5-1及び相違5-5-2について、周知技術1を考慮して、文献5発明において、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」をプラスチック製ケーシングとしたとしても、さらに、上記相違点5-5-3のように、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

また、文献5発明において、「ドーナツ形状のゴム製浮輪」をプラスチック製ケーシングとしたとした上で、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けるとすると、このような構成を有するプラスチック製ケーシングによる支持によって、両面入射型太陽電池との間で反射面を確保するための間隔が確保されないこととなり、このような組み合わせには阻害要因があるといえることからも、文献5発明において、上記相違点に係る構成を備えたものとすることは困難であったといえる。

したがって、本件特許発明5は、文献5を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(5)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献5を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(6)主引例を文献6とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献6発明を対比する。

a 文献6発明の「太陽電池ユニット」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献6発明の「筏やポンツーン等浮力体」は、その上に「支柱により構成される架台」を有し、この「架台」上によって「太陽電池ユニット」を支持しているから、文献5発明は、本件特許発明1の「光起電力パネル支持装置」であって、「上部に光起電力パネルの維持手段を有する」ものであるといえる。

したがって、本件特許発明1と文献6発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点6-1】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点6-1-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献6発明においては、「浮力体」は、このような構成を有していない点。

【相違点6-1-2】
本件特許発明1においては、上記相違点6-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献6発明においては、「浮力体」は、このような構成を有していない点。

【相違点6-1-3】
本件特許発明1においては、上記相違点6-1-1に係る構成及び上記相違点6-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献6発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点6-1-1及び上記相違点6-1-2について、文献6発明の「浮力体」は、「筏やポンツーン等」であり、その上に「支柱により構成される架台を設置し、架台上に太陽電池ユニットを多数個配列して取付けた」ものである。文献6の第1図を参照すると、多数個配列された太陽電池ユニットを取り付けた架台を設置している浮力体は、長い柱状の浮力体1を組み合わせていると見られ、このように、多数個配列された太陽電池ユニットを支持する大きな浮力を得るため、長い柱状の浮力体を組み合わせているものにおいて、その浮力体を、気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献6発明の「浮力体」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることを当業者が容易に想到し得たとしても、その上で、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点6-1-3に係る構成のように、エラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献6発明を対比する。

上記5(6)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献5発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点6-5】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点6-5-1】
本件特許発明5においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献6発明においては、「浮力体」は、このような構成を有していない点。

【相違点6-5-2】
本件特許発明5においては、上記相違点6-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献6発明においては、「浮力体」は、このような構成を有していない点。

【相違点6-5-3】
本件特許発明5においては、上記相違点6-1-1に係る構成及び上記相違点6-1-2に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献6発明においては、「浮力体」は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記5(6)ア(イ)に記載したことと同様に、上記相違点6-5-1及び上記6-5-2について、多数個配列された太陽電池ユニットを支持する大きな浮力を得るため、長い柱状の浮力体を組み合わせている文献6発明において、その浮力体を、気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献6発明の「浮力体」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、上記相違点6-5-3のように、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(6)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献6を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(7)主引例を文献7とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献7発明を対比する。

a 文献7発明の「太陽光発電用モジュール」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献7発明の「フロート架台」は、「太陽光発電用モジュールの下部」に「接合もしくは取付け」られているから、文献7発明は、モジュールとして用いられるものであるから、「モジュール式要素である光起電力パネル支持装置」であって、「上部に光起電力パネルの維持手段を有する」ものであるといえる。

したがって、本件特許発明1と文献7発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点7-1】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、モジュール式要素である、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点7-1-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献7発明においては、「フロート架台」は、このような構成を有しているか不明である点。

【相違点7-1-2】
本件特許発明1においては、上記相違点7-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献7発明においては、「フロート架台」は、このような構成を有しているか不明である点。

【相違点7-1-3】
本件特許発明1においては、上記相違点7-1-1に係る構成及び上記相違点7-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献7発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記相違点7-1-1及び上記相違点7-1-2について、文献7発明の「フロート架台」は、枠状のものであるが、2本の円柱状の部材を断面四角の2本の部材及び1本の傾斜部材で連結したものであって、このような単純でない構造を有する文献7発明の「フロート架台」を、気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献7発明の「フロート架台」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることを当業者が容易に想到し得たとしても、その上で、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点7-1-3に係る構成のように、エラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献7発明を対比する。

上記5(7)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献7発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点7-5】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、モジュール式要素である、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点7-5-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献7発明においては、「フロート架台」は、このような構成を有しているかどうか不明である点。

【相違点7-5-2】
本件特許発明1においては、上記相違点7-5-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有しているが、文献7発明においては、「フロート架台」は、このような構成を有しているか不明である点。

【相違点7-5-3】
本件特許発明1においては、上記相違点7-5-1に係る構成及び上記相違点7-5-2に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献7発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点について検討する。

上記5(7)ア(イ)に記載したことと同様に、上記相違点7-5-1及び上記相違点7-5-2について、文献7発明の「フロート架台」は、「2本の円柱状の部材を断面四角の2本の部材及び1本の傾斜部材で連結した枠状の」ものであって、このような単純でない構造を有する文献7発明の「フロート架台」を、気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献7発明の「フロート架台」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、上記相違点7-5-3のように、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで当業者が容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(7)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献7を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

(8)主引例を文献8とする場合について
ア 本件特許発明1
(ア)対比
本件特許発明1と文献8発明を対比する。

a 文献8発明の「太陽光発電パネル」は、本件特許発明1の「光起電力パネル」に相当する。

b 文献8発明の「筏部」は、「太陽光発電パネル」を上に支持する「パネル支持部」を備えているから、文献8発明は、本件特許発明1の「光起電力パネル支持装置」であって、「上部に光起電力パネルの維持手段を有する」ものであるといえる。

【一致点8-1】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点8-1-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献8発明においては、「筏部」は、このような構成を有していない点。

【相違点8-1-2】
本件特許発明1においては、上記相違点8-1-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)を有」するが、文献8発明においては、「筏部」は、このような構成を有していない点。

【相違点8-1-3】
本件特許発明1においては、上記相違点8-1-1に係る構成及び上記相違点8-1-2に係る構成を備えた上で、「前記維持手段が前記プラスチック製ケーシング(2)に固定されたエラストマー製の二つの固定用形材(61、62;63;64)を含み、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が互いに平行に延在し、各々の固定用形材が、フレーム付き光起電力パネルのフレーム(C)を挟持することを目的とする、あるいはフレーム無しの光起電力パネルを挟持することを目的とする長手方向スリット(65)を有し、二つの固定用形材の前記長手方向スリット(65)が光起電力パネルの平面に対して平行な同じ平面に沿って延在しており、前記二つの固定用形材(61、62;63;64)が、フレームの二つの相対する縁部(C1、C2)の挟持によるフレーム付き光起電力パネルの固定あるいは光起電力パネルの二つの縁部の挟持によるフレーム無しの光起電力パネルの固定を可能にするような形で互いに離隔されている」が、文献8発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記相違点8-1-1及び上記相違点8-1-2について、文献8発明は、「筏部」が、「非発泡の長繊維強化硬化性樹脂層で覆われた長繊維強化発泡熱硬化性樹脂で形成された板部材により構成されている」ことを主たる構成とするものであって、このような文献8発明の主たる構成を、気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献8発明の「筏部」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、その上で、さらに、周知技術2まで考慮し、上記相違点8-1-3に係る構成のように、エラストマー製の2つの固定用形材による光起電力パネルの維持を行うという、複数の段階を経る組み合わせを行うことまで当業者に容易であったとすることはできない。

イ 本件特許発明5
(ア)対比
本件特許発明5と文献8発明を対比する。

上記5(8)ア(ア)に記載したものと同様の相当関係から、本件特許発明5と文献8発明を対比したときの一致点及び相違点は、次のとおりとなる。

【一致点8-5】
「上部に光起電力パネルの維持手段を有する、
光起電力パネル支持装置。」

【相違点8-5-1】
本件特許発明1においては、その上部壁上に光起電力パネルの維持手段を有しているものは、「一つの下部壁(3)、一つの上部壁(4)および四つの側壁(5、6、7、8)を構成する気密な単一のプラスチック製ケーシング(2)で主に構成されたモジュール式要素」であって、「それがフロートを構成できるようにする一定の空気体積を閉じ込めることができるもの」であるが、文献8発明においては、「筏部」は、このような構成を有していない点。

【相違点8-5-2】
本件特許発明1においては、上記相違点8-5-1に係る構成を備えた上で、「前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記上部壁(4)から前記下部壁(3)まで前記プラスチック製ケーシング(2)を貫通するくり抜き部(14)」を有しているが、文献8発明においては、「筏部」は、このような構成を有していない点。

【相違点8-5-3】
本件特許発明1においては、上記相違点8-5-1に係る構成及び上記相違点8-5-2に係る構成を備えた上で、「上部表面(4)上で深さ方向に延在し、前記光起電力パネルの通気を目的とし、前記プラスチック製ケーシング(2)の一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している少なくとも一つの流路(15、16)」を有しているが、文献8発明は、このような構成を有していない点。

(イ)判断
上記5(8)ア(イ)に記載したことと同様に、上記相違点8-5-1及び上記相違点8-5-2について、文献8発明の「筏部」は、「非発泡の長繊維強化硬化性樹脂層で覆われた長繊維強化発泡熱硬化性樹脂で形成された板部材により構成されている」ものであって、このような文献8発明の「筏部」の主たる構成を、気密な単一のプラスチック製ケーシングとすることが、当業者にとって容易であったとすることはできない。

また、仮に、周知技術1を考慮して、文献8発明の「筏部」を気密な単一のプラスチック製ケーシングにすることすることを当業者が容易に想到し得たとしても、さらに、上記相違点8-5-3のように、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から前記プラスチック製ケーシングの反対側の側壁まで延在している流路を設けることまで当業者に容易であったとすることはできない。

ここで、文献1発明は、浮体の上面に排水溝が形成され、文献3発明は、パネル支持部に形成された空気取入口を有し、文献4発明は、太陽電池モジュールを載置する領域に波板状凹凸が形成され、文献8発明は、本体の上面から突出させた板部材の上端部に太陽光発電パネルを支持しているが、これらの発明は、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けた上で、光起電力パネルの通気を目的とし、プラスチック製ケーシングの一つの側壁から反対側の側壁まで延在している流路を設けたものではない。

文献9発明ないし文献11発明も、気密な単一のフロートである、一定の空気体積を閉じ込めることができるプラスチック製ケーシングにおいて、光起電力パネルの通気を目的とし、上部壁から下部壁までプラスチック製ケーシングを貫通するくり抜き部を設けたものではない。

ウ 本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18
本件特許発明1、5を引用するときの本件特許発明3、8、11ないし13、15、17、18は、本件特許発明1、5の構成を全て含むものであるから、上記5(8)ア、イに記載したものと同様の理由によって、文献8を主引例として、当業者が容易に発明し得たものではない。

6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、3、5、8、11ないし13、15、17、18に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-03-18 
出願番号 特願2014-504276(P2014-504276)
審決分類 P 1 652・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐竹 政彦清水 靖記  
特許庁審判長 森 竜介
特許庁審判官 星野 浩一
古田 敦浩
登録日 2018-04-27 
登録番号 特許第6329068号(P6329068)
権利者 シエル エ テール アンテルナシオナル
発明の名称 パネル支持装置  
代理人 太田 恵一  
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