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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65D
管理番号 1350919
審判番号 不服2017-15671  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-23 
確定日 2019-04-18 
事件の表示 特願2013-159077「減圧吸収ボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月16日出願公開、特開2015- 30466〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成25年7月31日の特許出願であって、平成29年2月8日付けで拒絶の理由が通知され、同年4月4日に意見書とともに手続補正書が提出されたが、同年7月27日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされた。
これに対し、平成29年10月23日に該査定の取消を求めて本件審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、その後、平成30年10月17日付けで当審から拒絶の理由が通知され、同年12月14日に意見書とともにさらに手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、上記平成30年12月14日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「 【請求項1】
筒状の肩部と、前記肩部の下端に連なる筒状の胴部と、前記胴部の下端に連なる有底筒状の底部と、を備え、
前記底部が、
上端開口部が前記胴部の下端開口部に接続され、ヒール部と、前記ヒール部の下端開口部を閉塞する底壁部と、を備え、
前記底壁部が、
外周縁部に位置する接地部と、
前記接地部に径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、
前記立ち上がり周壁部の上端部から径方向の内側に向けて延びる環状の可動壁部と、
前記可動壁部の径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部と、
を備え、
前記可動壁部が、前記陥没周壁部を上下方向に移動させるように、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心として回動自在に配設され、
前記胴部が、前記肩部の下端に連なり、下方に延びる直筒部を備え、
前記直筒部の外径が、前記ヒール部の外径の0.60倍以上1倍未満であり、
前記ヒール部が、前記胴部の下端に連なる上ヒール部と、前記接地部の外縁に連なる下ヒール部と、前記上ヒール部と前記下ヒール部との接続部分に形成された環状溝部と、を有し、前記上ヒール部及び前記下ヒール部の外径が、同等であり、
前記接地部が、前記直筒部よりも径方向の外側に位置することを特徴とするボトル。」

第3 拒絶の理由
平成30年10月17日付けで当審が通知した拒絶理由のうち理由3の請求項1に対する理由は、本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明並びに引用文献2及び3に記載された事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2012- 91826号公報
引用文献2:特開2011- 73756号公報
引用文献3:特開2010-149895号公報

第4 引用文献記載の発明又は事項
当審での平成30年10月17日付けの拒絶の理由に引用された、本件の出願前に頒布された刊行物である引用文献1ないし3には、以下の発明又は事項が記載されていると認められる。なお、下線は当審で付したものである。

1 引用文献1
(1)引用文献1に記載された事項
引用文献1には、「ボトル」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)特許請求の範囲
「【請求項1】
合成樹脂材料で有底筒状に形成されたボトルであって、
底部の底壁部は、
外周縁部に位置する環状の接地部と、
該接地部にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、
該立ち上がり周壁部の上端部からボトル径方向の内側に向けて突出する環状の可動壁部と、
該可動壁部のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部と、を備え、
前記可動壁部は、前記陥没周壁部を上方に向けて移動させるように、前記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に回動自在に配設され、
前記可動壁部のボトル径方向に沿った環状幅は、前記接地部における接地径の20%?40%の範囲内とされていることを特徴とするボトル。」

(イ)「【0005】
そこで、本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ボトル内の減圧吸収の安定化を図ることができるボトルを提供することである。」

(ウ)「【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るボトルを説明する。
本実施形態に係るボトル1は、図1から図3に示すように、口部11、肩部12、胴部13及び底部14を備え、これらがそれぞれの中心軸線を共通軸上に位置した状態でこの順に連設された概略構成とされている。
【0011】
以下、前記共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸O方向に沿って口部11側を上側、底部14側を下側という。また、ボトル軸Oに直交する方向をボトル径方向といい、ボトル軸Oを中心に周回する方向をボトル周方向という。
なお、ボトル1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームがブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。また、口部11には、図示されないキャップが螺着される。更に、口部11、肩部12、胴部13及び底部14は、それぞれボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状とされている。」

(エ)「【0012】
肩部12と胴部13との接続部分には、第1環状凹溝16が全周に亘って連続して形成されている。
胴部13は筒状に形成されていると共に、ボトル軸O方向の両端部同士の間がこれら両端部より小径に形成されている。・・・」

(オ)「【0013】
胴部13と底部14との接続部分には、第3環状凹溝20が全周に亘って連続して形成されている。
底部14は、上端開口部が胴部13の下端開口部に接続されたヒール部17と、ヒール部17の下端開口部を閉塞し、且つ外周縁部が接地部18とされた底壁部19と、を備えるカップ状に形成されている。」

(カ)「【0014】
ヒール部17のうち、上記接地部18にボトル径方向の外側から連なるヒール下端部27は、該ヒール下端部27に上方から連なる上ヒール部28より小径に形成されている。なお、この上ヒール部28は、胴部13のボトル軸O方向の両端部と共にボトル1の最大外径部とされている。」

(キ)「【0015】
また、ヒール下端部27と上ヒール部28との連結部分29は、上方から下方に向かうに従い漸次縮径されており、これによりヒール下端部27が上ヒール部28より小径とされている。また、上ヒール部28には、第3環状凹溝20と略同じ深さの第4環状凹溝31が全周に亘って連続して形成されている。」

(ク)「【0016】
底壁部19は、図3に示すように、接地部18にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部21と、立ち上がり周壁部21の上端部からボトル径方向の内側に向けて突出する環状の可動壁部22と、可動壁部22のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部23と、を備えている。」

(ケ)「【0017】
接地部18は、図示しない接地面に対して実質的に環状に接地径D2で線接触している。なお、例えば接地面に対して接地する部分が面である場合、上記接地径D2は環状の接地面のボトル径方向の中央部を通る平均直径となる。
立ち上がり周壁部21は、下方から上方に向かうに従い漸次縮径している。
可動壁部22は、下方に向けて突の曲面状に形成されると共に、ボトル径方向の外側から内側に向かうに従い漸次下方に向けて延在している。この可動壁部22と立ち上がり周壁部21とは、上方に向けて突の曲面部25を介して連結されている。そして、可動壁部22は、陥没周壁部23を上方に向けて移動させるように、上記曲面部(立ち上がり周壁部21との接続部分)25を中心に回動自在とされている。」

(コ)「【0023】
このように構成されたボトル1内が減圧すると、底壁部19の曲面部25を中心にして可動壁部22が上方に向かって回動することで、可動壁部22は陥没周壁部23を上方に向けて持ち上げるように移動する。即ち、減圧時にボトル1の底壁部19を積極的に変形させることで、ボトル1の内圧変化(減圧)を吸収することができる。・・・」

(サ)「【0026】
例えば、上記実施形態において、図4及び図5に示すように、可動壁部22に、ボトル軸Oを中心として複数のリブ40を放射状に形成しても構わない。即ち、各リブ40はボトル周方向に沿って等間隔に配設されている。
なお、図示の例では、リブ40は上方に向けて曲面状に窪んだ複数の凹部40aがボトル径方向に沿って断続的に、且つ直線状に延在して形成され、これによりリブ40はボトル径方向に沿う縦断面視形状が波形状に形成されている。・・・」

(2)引用文献1発明
(シ)上記記載事項(ウ)に「口部11、肩部12、胴部13及び底部14は、それぞれボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状とされている」とあることから、技術常識を踏まえれば、「肩部12」及び「胴部13」は“筒状”であると認められ、「底部14」は“有底筒状” であると認められる。

(ス)上記記載事項(エ)に「肩部12と胴部13との接続部分・・・胴部13は筒状に形成されている」とあること、及び図1の図示内容から、“胴部13が、肩部12の下端に連なり、下方に延びる直筒部を備え”るものと認められる。

(セ)上記記載事項(カ)に「上ヒール部28は、胴部13のボトル軸O方向の両端部と共にボトル1の最大外径部とされている」とあり、一方、上記記載事項(キ)に「ヒール下端部27が上ヒール部28より小径とされている。」とあるところ、これらの記載を図1の図示内容に照らして合理的に考えれば、「接地部18にボトル径方向の外側から連なるヒール下端部27」(上記記載事項(カ))の「接地部18」に関し、“接地部18が、胴部13の直筒部よりも径方向の内側に位置する”ものと認められる。
また、同様に、胴部13の“直筒部外径が、ヒール部17の最大外径と等しい”ものと認められる。

そこで、引用文献1の上記記載事項(ア)ないし(サ)及び上記認定事項(シ)ないし(セ)を図面を参照しつつ技術常識を踏まえて整理すると、引用文献1には以下の発明が記載されていると認められる。(以下「引用文献1発明」という。)
「筒状の肩部12と、前記肩部12の下端に連なる筒状の胴部13と、前記胴部の下端に連なる有底筒状の底部14と、を備え、
前記底部14が、
上端開口部が胴部13の下端開口部に接続されたヒール部17と、ヒール部17の下端開口部を閉塞する底壁部19と、を備え、
前記底壁部19が、
外周縁部に位置する接地部18と、
前記接地部18にボトル径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部21と、
前記立ち上がり周壁部21の上端部からボトル径方向の内側に向けて突出する環状の可動壁部22と、
前記可動壁部22のボトル径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部23と、
を備え、
前記可動壁部22が、前記陥没周壁部23を上方に向けて移動させるように、上記立ち上がり周壁部21との接続部分25を中心に回動自在とされ 、
前記胴部13が、前記肩部12の下端に連なり、下方に延びる直筒部を備え、
前記直筒部の外径が、ヒール部17の最大外径と等しく、
前記ヒール部17が、前記胴部13の下端に連なり第4環状凹溝31が全周に亘って連続して形成されている上ヒール部28と、上記接地部18にボトル径方向の外側から連なるヒール下端部27と、を有し、前記ヒール下端部27と上ヒール部28との連結部分29は、上方から下方に向かうに従い漸次縮径されており、これによりヒール下端部27が上ヒール部28より小径とされており、
前記接地部18が、前記直筒部よりも径方向の内側に位置するボトル。」

2 引用文献2
引用文献2には、「反転、折返し底壁を備えた合成樹脂製容器」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0030】
中空部10は、図3に示す如く、胴部2の径D1よりも大きな径D2(反転、折り返し後における径)とするのがよく、これにより容器の自立姿勢は安定化する。・・・」

3 引用文献3
引用文献3には、「ポンプ用の容器体」に関して、図面とともに、以下の事項が記載されている。

(ア)「【0026】
圧接用壁面fが、胴部10下端部を外方へ傾斜下降するスカート壁10d の下面であり、上記反転壁13が、スカート壁10d の下端縁より下方へスカート壁10d と対称的に内方へ傾斜下降する逆スカート状をなし、反転壁13を上方へ反転させて反転壁13を圧接用壁面fに圧接してなる場合には、下端部が大径の胴部10を備えるため、容器体Aの載置安定性をより増加する。また、逆スカート状の反転壁13の反転壁13の反転が行い易い。」

第5 対比
本願発明と引用文献1発明とを対比すると、引用文献1発明の「肩部12」が本願発明の「肩部」に相当することは明らかであり、以下同様にそれぞれの機能及び技術常識を踏まえれば、「胴部13」は「胴部」に、「底部14」は「底部」に、「ヒール部17」は「ヒール部」に、「底壁部19」は「底壁部」に、「接地部18」は「接地部」に、「ボトル径方向」は「径方向」に、「立ち上がり周壁部21」は「立ち上がり周壁部」に、「環状の可動壁部22」は「環状の可動壁部」に、「陥没周壁部23」は「陥没周壁部」に、「上方に向けて移動させるように」「回動自在とされ」は「上下方向に移動させるように」「回動自在に配設され」に、「接続部分25」は「接続部分」に相当することも明らかである。
また、引用文献1発明の「底部14が、上端開口部が胴部13の下端開口部に接続されたヒール部17と、ヒール部17の下端開口部を閉塞する底壁部19と、を備え」ることは、上記対応関係も踏まえ、本願発明の「底部が、上端開口部が前記胴部の下端開口部に接続され、ヒール部と、前記ヒール部の下端開口部を閉塞する底壁部と、を備え」ることに相当する。

したがって、本願発明と引用文献1発明とは、以下の点で一致しているということができる。
<一致点>
「筒状の肩部と、前記肩部の下端に連なる筒状の胴部と、前記胴部の下端に連なる有底筒状の底部と、を備え、
前記底部が、
上端開口部が前記胴部の下端開口部に接続され、ヒール部と、前記ヒール部の下端開口部を閉塞する底壁部と、を備え
前記底壁部が、
外周縁部に位置する接地部と、
前記接地部に径方向の内側から連なり上方に向けて延びる立ち上がり周壁部と、
前記立ち上がり周壁部の上端部から径方向の内側に向けて突出する環状の可動壁部と、
前記可動壁部の径方向の内端部から上方に向けて延びる陥没周壁部と、
を備え、
前記可動壁部が、前記陥没周壁部を上下方向に移動させるように、上記立ち上がり周壁部との接続部分を中心に回動自在に配設され 、
前記胴部が、前記肩部の下端に連なり、下方に延びる直筒部を備えるボトル。」

そして、本願発明と引用文献1発明とは、以下の3点で少なくとも形式的に相違している。
<相違点1>
本願発明は、直筒部の外径がヒール部の外径の0.60倍以上1倍未満であるのに対し、引用文献1発明は、直筒部の外径がヒール部17の最大外径と等しい点。
<相違点2>
本願発明は、ヒール部が、胴部の下端に連なる上ヒール部と、接地部の外縁に連なる下ヒール部と、上ヒール部と下ヒール部との接続部分に形成された環状溝部とを有し、上ヒール部及び下ヒール部の外径が同等であるのに対し、
引用文献1発明は、ヒール部が、胴部の下端に連なり第4環状凹溝31が全周に亘って連続して形成されている上ヒール部28と、接地部に径方向の外側から連なるヒール下端部27とを有し、ヒール下端部27と上ヒール部28との連結部分29は、上方から下方に向かうに従い漸次縮径されており、これによりヒール下端部27が上ヒール部28より小径とされている点。
<相違点3>
本願発明は、接地部が直筒部よりも径方向の外側に位置するのに対し、引用文献1発明は、接地部18が直筒部よりも径方向の内側に位置する点。

第6 相違点の検討
1 <相違点2>について
事案に鑑み、最初に相違点2について検討する。
ア まず、引用文献1発明は、「上ヒール部28」が胴部の下端に連なり第4環状凹溝31が全周に亘って連続して形成されており、その「上ヒール部28」に連なるヒール下端部27を有するものであるところ、これは、上ヒール部と下ヒール部との接続部分に「環状溝部」を有する本願発明と、環状凹溝(環状溝部)が 設けられる場所において、一応相違する。しかし、この点は、ヒール部全体のうち、どの部分までを「上ヒール部」と呼びその下の部分の「下ヒール部」と呼ぶかという、いわば部分の呼び名の区別に過ぎないものであり、実質的な相違点ではない。
イ 次に、本願発明は、上ヒール部及び下ヒール部の外径が同等であるのに対し、引用文献1発明は、ヒール下端部27と上ヒール部28との連結部分29は、上方から下方に向かうに従い漸次縮径されており、これによりヒール下端部27が上ヒール部28より小径とされている点につき、検討する。
この点は、要すれば、本願発明においては、ヒール部全体の外径が同等であるのに対し、引用文献1発明は、ヒール部がその下端近傍において漸次縮径されているという相違であるが、(i)一般に円筒状の部材は、その外径を一定とするのが最も一般的な形状であり、(ii)引用文献1発明において、下端近傍において漸次縮径されるヒール部を直円筒形状とすることに格別阻害事由は見当たらないことを考えれば、この点においても格別困難性はない。
ウ よって、これらア及びイを併せ考えれば、相違点2に係る本願発明の構成は、引用文献1発明から当業者が容易に想到し得たものというべきである。

2 <相違点1>について
次に相違点1につき検討する。
上記第4の2及び3にて摘記したように、引用文献2及び3にはいずれも、“容器において、下方のスカート部を胴部より大径とすることにより自立安定性を高めること”が記載されており、さらに原査定で引用された国際公開第2006/118584号(Figure・1等参照)にも同様なことが示されており、かかる事項は従来周知の技術事項といえる。
引用文献1発明のような容器において、自立安定性を高めることは内在する普遍的な課題であるから、引用文献1発明に上記従来周知の技術事項を適用することは十分動機付けがあり、そうした場合、引用文献1発明の直筒部の外径はスカート部すなわちヒール部17の外径より小さくなる。
また、本件明細書の表1(段落【0036】)等を参酌しても、相違点1に係る本願発明の「0.60倍以上1倍未満」という広範な範囲に格別臨界意義は見いだせず、また本願発明が特定する「1倍未満」すなわち“「1倍」という上限付近の範囲”は、直筒部の外径がヒール部の外径とほぼ等しいものまでも包含している。
これらを総合すると、引用文献1発明に上記従来周知の技術事項を適用して相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が通常の創作能力の範囲内でなし得たものというべきである。

3 <相違点3>について
上記1及び2にて説示したように、引用文献1発明に従来周知の技術事項を適用して相違点1及び2に係る本願発明の構成とすることは想到容易であるところ、引用文献1発明をそのように構成した場合、引用文献1発明のヒール部(17)は胴部(13)より大径となり、かつ、ヒール部(17)は直円筒形状となることから、「外周縁部に位置する接地部18」が胴部(13)の直筒部よりも径方向の外側に位置することとなり、相違点3に係る本願発明の構成に対応するものとなる。

4 本願発明の効果について
請求人は、上記平成30年12月14日提出の意見書にて、本願「発明では、接地部が直筒部よりも径方向の外側に位置しているので、ボトルを安定して自立させることができるだけではなく、減圧吸収するための周壁部や可動壁部、陥没周壁部の径を大きくすることができ、また、周壁部、可動壁部及び陥没周壁部を配設するための空間を十分に確保することができ」ると主張する。
これにつき検討するに、上記従来周知の技術事項は容器の自立安定性を高めるためのものではあるが、刊行物1発明において、下方のヒール部(スカート部)を胴部より大径とすれば、自立安定性の向上に加えて、減圧吸収するための構造空間を大きくする効果が得られることはごく当然に予想できる程度のものに過ぎない。
よって、請求人の主張には理由がない。

5 小括
したがって、本願発明は、引用文献1発明及び上記従来周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1発明及び従来周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-02-12 
結審通知日 2019-02-19 
審決日 2019-03-05 
出願番号 特願2013-159077(P2013-159077)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 一郎  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 船越 亮
長屋 陽二郎
発明の名称 減圧吸収ボトル  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 鈴木 三義  
代理人 仁内 宏紀  
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