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審決分類 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1350982
審判番号 不服2017-15518  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-19 
確定日 2019-04-16 
事件の表示 特願2014-525930「無線通信システムでマルチメディア放送サービスを受信する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 2月21日国際公開、WO2013/025038、平成26年 9月22日国内公表、特表2014-524704〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2012年8月14日(優先権主張外国庁受理 2011年8月16日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成28年 5月 6日付け 拒絶理由の通知
平成28年 8月16日 意見書及び手続補正書の提出
平成28年 9月 6日付け 拒絶理由の通知
平成28年12月27日 意見書及び手続補正書の提出
平成29年 1月24日付け 拒絶理由(最後)の通知
平成29年 5月 8日 意見書及び手続補正書の提出
平成29年 6月 9日付け 補正の却下の決定及び拒絶査定
平成29年10月19日 拒絶査定不服審判の請求及び手続補正書の提出

第2 平成29年10月19日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年10月19日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「無線通信システムでの端末によるマルチメディア放送サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service、以下、MBMS)受信方法であって、
受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、セル再選択候補を決定する段階であって、前記端末が、前記特定周波数にキャンプオンする間、前記MBMSを受信できなければ、前記特定周波数は前記セル再選択候補として考慮されない、決定する段階と、
前記特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階と、
前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する段階とを含むことを特徴とする受信方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、平成28年12月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「無線通信システムでの端末によるマルチメディア放送サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service、以下、MBMS)受信方法であって、
受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階と、
前記特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階と、
前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する段階とを含むことを特徴とする受信方法。」

2 補正の適否
(1)補正の目的について
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」を「セル再選択候補を決定する段階であって、前記端末が、前記特定周波数にキャンプオンする間、前記MBMSを受信できなければ、前記特定周波数は前記セル再選択候補として考慮されない、決定する段階」に補正するものである。
請求人は審判請求書の「2.補正の根拠の明示」にて、上記補正の根拠は「出願当初の明細書の段落[0035]-[0036]の記載内容」であるとしている。

ここで、本件当初明細書等には以下の記載がある。
「【0035】
端末401は、416段階で、受信したUSD情報内に含まれた特定セッション(本実施形態ではセッション‘A’)に対する時間情報に基づいて、その特定セッションが開始されるか否かを判定し、受信しようとするセッションが開始されたと判定する場合、MBMSサービスを受信する。このとき、端末401は受信しようとするセッションがサービスされる基地局でセル再選択ができる。
【0036】
即ち、本発明の実施形態によれば、端末401はUSD情報に含まれた時間情報に基づいて午後3時となる時、セッション‘A’が開始されたと判定し、MBMSサービス受信を開始することができる。このとき、MBMSセッションが受信されない場合、端末401はMBMSセッションの時間情報に基づいて前記MBMSセッションが進行中なのか否かを判定し、MBMSセッションが進行中なのか否かを判定し、MBMSセッションが進行中の場合、MBMSセッションの周波数情報に基づいてMBMSセッションを提供する基地局をセル再選択対象の基地局として選択し、MBMSセッションをサービスする基地局からMBMSセッションを受信することができる。」
「【0044】
MCCHのMBSFNAreaConfiguration IEにはMBSFN領域でMBSFNデータ送信のために利用されるサブフレーム位置を指示するインジケーターが含まれ、現在サービスをしているセッションに対する情報を通知する。端末401はこのような情報を利用し、特定MBSFNサブフレームを受信することができる。また、端末401は望むセッション‘A’が受信されない場合、直ぐセル再選択を実行するのではなく、413段階を通じて受信したUSD情報に基づいてセッションが進行中の場合(開始時間以後であり、終了時間以前の場合)、USD情報内の周波数情報を使用してセル再選択を実行する。」

前記摘記事項(特に【0036】)によれば、MBMSセッションが受信されない場合であっても「受信したUSD情報に基づいてセッションが進行中の場合(開始時間以後であり、終了時間以前の場合)、USD情報内の周波数情報を使用してセル再選択を実行する」ものであり、USD情報に含まれた周波数や現在キャンプオンしている周波数などの、何らかの周波数が「セル再選択候補として考慮されない」ことは、記載も示唆もされていない。また、前記摘記事項以外に、当初明細書等には、何らかの周波数が「セル再選択候補として考慮されない」ことを導く事項は存在しない。
以上のことから、上記補正における「セル再選択候補を決定する段階であって、前記端末が、前記特定周波数にキャンプオンする間、前記MBMSを受信できなければ、前記特定周波数は前記セル再選択候補として考慮されない、決定する段階」との点は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。

3 まとめ
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年10月19日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年12月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1を引用する請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、請求項1及び請求項2に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認める。
「無線通信システムでの端末によるマルチメディア放送サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service、以下、MBMS)受信方法であって、
受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階と、
前記特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階と、
前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する段階とを含み、
前記特定周波数の情報は、ユーザサービス記述(User Service Description、以下、USD)情報で受信されることを特徴とする、受信方法。」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由1は、「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項2に係る発明に対して、以下の5,3,4の引用例が引用されている。

引用例3 Qualcomm Incorporated, Verizon Wireless,"System time and leap seconds",3GPP TSG-CT WG1♯79 C1-122988,2012年7月30日掲載,URL,http: //www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_79_Chicago/docs/C1-122988.zip
引用例4 Qualcomm Incorporated,"MBMS Assistance Information for idle and connected mode",3GPP TSG-RAN WG2 #77 R2-120285,2012年1月31日掲載,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_77/Docs/R2-120285.zip
引用例5 Qualcomm Incorporated, Verizon Wireless, Telefon AB LM Ericsson, ST-Ericsson SA, Alcatel-Lucent,"USD Signaling of Frequency Information",3GPP TSG-SA WG4 #69 S4-120602,2012年5月15日掲載,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG4_CODEC/TSGS4_69/Docs/S4-120602.zip

3 優先権主張について
本願発明の「前記特定周波数の情報は、ユーザサービス記述(User Service Description、以下、USD)情報で受信される」との事項は、優先権主張の基礎とされる米国特許出願61/524000(以下「優先基礎出願」という。)の書類には記載されていない。
前記優先基礎出願の書類には、第77ページに
「Session announcement
In our understanding the UE will typically start MBMS reception based on a session announcement that always includes a reasonably accurate session start time (expressed in seconds). As this affects the analysis of the idle and connected mode aspects (as in R2-114221 and R2-114222 respectively), we would like RAN2 to confirm this assumption. 」
(当審仮訳:
「セッションアナウンスメント
我々の理解では、UE は典型的には常に妥当な正確なセッション開始時間(秒で表される)を含むセッションアナウンスメントに基づき、MBMS 受信を始めるであろう。これは、(R2-114221 及び R2-114222 のそれぞれのように)待機及び接続モードの観点に影響を及ぼすので、我々は RAN2 がこの仮定を確認することを希望する。」)
と記載されており、セッションアナウンスメントにセッションの開始時間が含まれることが記載されている。しかしながら、セッションアナウンスメントがユーザサービス記述(User Service Description)情報を意味することは記載されていない。また、セッションアナウンスメントがユーザサービス記述情報を意味することを示す証拠も発見しない。
よって、本願発明には優先権主張の効果は認められない。
したがって、本願発明について、新規性進歩性の判断基準となる日は、国際出願日の2012年8月14日であるとして、以下の判断を行う。

4 引用発明及び公知技術
(1)引用例5について
原査定の拒絶の理由で引用されたQualcomm Incorporated, Verizon Wireless, Telefon AB LM Ericsson, ST-Ericsson SA, Alcatel-Lucent,"USD Signaling of Frequency Information"(当審仮訳:「周波数情報の USD シグナリング」),3GPP TSG-SA WG4 #69 S4-120602,2012年5月15日掲載,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG4_CODEC/TSGS4_69/Docs/S4-120602.zip(以下「引用例5」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア「Reason for change: Previously, in R9 multi-band MBMS deployment, a UE that is interested in MBMS User Service(s) may be camped on a radio frequency which does not carry the service(s) of interest. Recently agreed in RAN2 as R9 correction (Tdoc R2-120841) is the ability for the UE to configure a frequency as the highest priority if the UE knows that that frequency carries the MBMS User Service(s) of interest.
Inclusion of frequency information in the User Service Bundle Description metadata fragment would further enable the UE to obtain knowledge of the frequency on which the MBMS User Service(s) of interest are delivered.
Therefore, by obtaining both the neighbor frequency information carried in SIB5 from the eNB, and User Service/frequency mapping information in the User Service Description, a R9 UE can properly camp on the MBMS frequency layer to receive the MBMS User Service(s) of interest. In addition, inclusion of frequency information in the R9 MBMS User Service Description will help a R11 UE, when moving to the service area of a R9 MBMS network, to camp on the appropriate MBMS frequency. 」(第1葉第25-39行)
(当審仮訳:
「変更理由: 以前は、R9 の複数帯域 MBMS の配備において、MBMS ユーザサービスに関心のある UE は、関心のあるサービスが実行されない無線周波数にキャンプオンしているかもしれなかった。RAN2 において最近合意された R9 の修正 (Tdoc R2-120841) は、関心のある MBMS ユーザサービスを搬送する周波数を UE が知っている場合、その UE のために最高優先度としてその周波数を構成することができる、というものである。
User Service Bundle Description メタデータフラグメントに周波数情報を含むことは、UEが関心のある MBMS ユーザサービスが配信される周波数の知識を得ることをさらに可能にするだろう。
それゆえ、eNB から SIB5 に含まれ送信される近隣周波数情報と、User Service Description に含まれるユーザサービス/周波数マッピング情報とを得ることにより、R9 UE は関心のある MBMS ユーザサービスを受信するためにその MBMS 周波数層に適切にキャンプオンすることができる。さらに、R9 MBMS User Service Description において周波数情報を含むことは、R9 MBMS ネットワークのサービスエリアに移動した時に適切な MBMS 周波数にキャンプオンするためにR11 UEを助けることになろう。」

イ 以上を総合すると、引用例1には、UE が MBMS 周波数で、関心のある MBMS ユーザサービスを受信する方法が記載されていると認められる。また、eNB から SIB5 に含まれ送信される近隣周波数情報と、User Service Description に含まれるユーザサービス/周波数マッピング情報を得ることにより UE は MBMS 周波数層にキャンプオンできるのであるから、UE はMBMS 周波数層を決定し、当該 MBMS 周波数層にキャンプオンすることは明らかである。
よって、引用例5には、
「UE が関心のある MBMS ユーザサービスを受信する方法であって、
User Service Description に含まれる、関心のある MBMS ユーザサービス/周波数マッピング情報と SIB5 に含まれ送信される近隣周波数情報とから、MBMS 周波数層を決定する段階と、
前記 MBMS 層にキャンプオンする段階と、
前記 MBMS 周波数層で、関心のある MBMS ユーザサービスを受信する段階とを含む受信方法。」
との発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(2)引用例3について
原査定の拒絶の理由で引用されたQualcomm Incorporated, Verizon Wireless,"System time and leap seconds"(当審仮訳:「システム時間と跳躍秒」),3GPP TSG-CT WG1♯79 C1-122988,2012年7月30日掲載,URL,http: //www.3gpp.org/ftp/tsg_ct/WG1_mm-cc-sm_ex-CN1/TSGC1_79_Chicago/docs/C1-122988.zip(以下「引用例3」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア「2.1. eMBMS and DASH Operation
(中略)
・For eMBMS operation, the UE knows program start and end time through SDP via USD. The UE also obtains the file or content download schedule in UTC time format from the Schedule Description fragment included in USD. In addition the metadata envelope has also some indication of UTC time for validity of various metadata fragments. The UE must tune to right channel at the right time to receive eMBMS services. If the UE doesn't have accurate time, the UE will need to wake up earlier for service reception; otherwise, the UE may miss the service. This will impact on UE power consumption and battery life. 」(第1葉第25-39行)
(当審仮訳:
「2.1. eMBMS と DASH オペレーション
(中略)
・eMBMS オペレーションのために、UE は USD を介して SDP からプログラム開始及び終了時間を知る。UE は、また、USD に含まれるスケジュール記述フラグメントから UTC 時間フォーマットのファイル又はコンテンツのダウンロードスケジュールを得る。さらにメタデータエンベロープは、様々なメタデータフラグメントの確実性のために UTC 時間のいくつかの表示も有する。UE は eMBMS サービスを受信するために正しい時間に正しいチャネルに同調しなければならない。もし UE が正確な時間を有しない場合、UE はサービスの受信のためにより早く起動する必要があり、さもなければ、UE はサービスを取り損うだろう。このことは、UE の消費電力と電池寿命に影響を与えるだろう。」)

イ 上記摘記事項より、引用例3には、「UE は eMBMS オペレーションのために、USD を介してプログラム開始時刻を知る。」ことは公知技術であると認められる。

(3)引用例4について
原査定の拒絶の理由で引用されたQualcomm Incorporated,"MBMS Assistance Information for idle and connected mode"(当審仮訳:「アイドル及び連結モードのための MBMS 補助情報」),3GPP TSG-RAN WG2 #77 R2-120285,2012年1月31日掲載,URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_77/Docs/R2-120285.zip
(以下「引用例4」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア「1 Introduction

In the RAN2 #76 meeting, the following agreement has been reached regarding assistance information for MBMS UEs:

・ RAN2 agreed that a linkage between geographic location and set of carrier frequencies, each providing MBMS service(s), is needed, and such linkage is expected to be communicated to UE
・ RAN2 agreed on the need for application layer to provide information about the carrier frequencies on which an MBMS service is provided as well as the Service Area IDs (SAIs) of the service
・ RAN2 agreed on UE relying on the MBMS session start time provided in the user service description (USD) from application layer
(中略)
2 Discussion
(中略)
・ Interested UEs in RRC_IDLE state will only prioritize frequency listed in USD in the relevant service area. When UE is out of the service area, it will not prioritize frequency listed in USD and normal cell reselection rule applies, thus not biasing the UE distribution among frequencies when not necessary. 」(第2葉第5-7行)
(当審訳:
「1 イントロダクション
RAN2 #76 会合において、MBMS UEs のための補助情報について以下の合意に至った。
・ RAN2 は地理的位置とキャリア周波数の集合との関連付けについて同意した。各提供されるMBMSサービスは、当該事項が必要とされ、そしてそのような関連付けは、UEと通信するために必要とされる。
・ RAN2 は、アプリケーション層が、サービスのサービスエリア ID(SAIs) と同様に、提供される MBMS サービス上のキャリア周波数についての情報を提供する必要があることに同意した。
(中略)
2 議論
(中略)
RRC_IDLE 状態にある関心のある UE は関連するサービスエリアの USD にリスト化された周波数を優先するのみであろう。UE がサービスエリア外の場合は、USD にリスト化された周波数は優先されず、通常のセル再選択ルールが適用される、それゆえ必要のない場合は、周波数間での UE 配信は偏らない。」)

イ 上記摘記事項によれば、引用例4には「MBMSサービス上のキャリア周波数及びセッション開始時間についての情報がUSD中でUEに提供される。」との公知技術が記載されていると認められる。そして、前記「(2)イ」で検討した事項も合わせて検討すると、当該公知技術は、周知技術であるといえる。

ウ また、UE がサービスエリア外の場合は通常の再選択ルールが適用される旨の記載があることから、引用例4には明示はないものの、実質的に引用例4は、サービスエリア内では、「USD にリスト化された MBMS サービス上のキャリア周波数を優先して再選択が行われる」ものであることは明らかであり、当該事項は公知技術であると認められる。

5 対比
(1) 本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
ア 引用発明の「UE」は本願発明の「無線通信システムでの端末」に相当するから、本願発明と引用発明とでは、「無線通信システムでの端末によるマルチメディア放送サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service、以下、MBMS)受信方法」との点で一致する。

イ 引用発明は「周波数層」との用語が用いられているが、当該技術分野における周波数は幅を有するものであるから、引用発明の「周波数層」との用語は、本願発明の「周波数」と同じ意味で用いられるものである。
次に、本願発明の「特定周波数」との用語に関し、本願の発明の詳細な説明、及び、本願に対応する国際出願PCT/KR2012/006470の明細書にはそれぞれ、以下の記載がある。
(ア)「本発明で端末601はサービング周波数f1にあり、隣接周波数でf2、f3、f4があり、関心MBMSセッションが特定周波数f2で提供される場合を仮定する。」(【0056】)
「In FIG. 6, it is assumed that the UE 601 operates on the serving frequency f1 with neighbor frequencies f2, f3, and f4 and the interested MBMS session is established on the frequency f2.」([69])
(イ)「本発明で端末701はサービング周波数f1にあり、隣接周波数でf2、f3、f4があり、関心MBMSセッションが特定周波数f2と周波数f3で提供される場合を仮定する。」(【0068】)
「In FIG. 7, it is assumed that the UE 701 operates on the serving frequency f1 with neighbor frequencies f2, f3, and f4 and the interested MBMS session is established on the frequencies f2 and f3.」([81])
(ウ)「本発明で端末703は、サービング周波数f1にあり、隣接周波数でf2、f3、f4があり、関心MBMSセッションが特定周波数f2と周波数f3で提供される場合を仮定する。」(【0073】)
「The UE 703 knows that the interested session is serviced on the frequency f2 and thus determines whether it is possible to receive the service additionally on the frequency f2 or f3 on the frequency band of f1 to which it has camped on at step 747.」
前記国際出願の明細書の記載と本願の発明の詳細な説明の記載は、必ずしも逐語訳の関係ではないが、本願発明の「特定周波数」との用語は前記国際出願の明細書の記載の「the frequency」に対応するのは明らかである。これより、本願発明の「特定周波数」との用語は、その用語の意味する概念の中でも、特に、先行する「周波数」との記載を受けて、「その周波数」との意味で用いられているものを含むと認められる。
これより、引用発明の「関心のある MBMS ユーザサービス/周波数マッピング情報」における「周波数」は、本願発明の「受信しようとするMBMSセッション」が提供される「特定周波数」(その周波数)に対応する。また、引用発明は「User Service Description に含まれる、関心のある MBMS ユーザサービス/周波数マッピング情報と SIB5 に含まれ送信される近隣周波数情報とから、MBMS 周波数層を決定」し、「前記 MBMS 層にキャンプオン」するものである。これは、UE がSIB5を受信した周波数及び前記近隣周波数情報から前記周波数マッピング情報中の MBMS 周波数を探し、再選択可能な MBMS 周波数層があれば当該 MBMS 周波数層にキャンプオンするものと解される。すなわち、引用発明には「特定周波数でキャンプオン(camp on)する」ことが記載されている。
してみれば、本願発明の「受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」と、「前記特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階」と、引用発明の「User Service Description に含まれる、関心のある MBMS ユーザサービス/周波数マッピング情報と SIB5 に含まれ送信される近隣周波数情報とから、MBMS 周波数層を決定する段階」と、「前記 MBMS 層にキャンプオンする段階」とでは「受信しようとするMBMSセッションが提供される特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階」との点で一致する。
また、引用発明の「User Service Description に含まれる、関心のある MBMS ユーザサービス/周波数マッピング情報」は、本願発明の「前記特定周波数の情報は、ユーザサービス記述(User Service Description、以下USD)情報」に相当する。

ウ 本願発明の「前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する段階」と、引用発明の「MBMS 周波数層で、関心のある MBMS ユーザサービスを受信する段階」は、「前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションを受信する段階」との点で共通する。

エ してみれば、本願発明と引用発明とでは、
「無線通信システムでの端末によるマルチメディア放送サービス(Multimedia Broadcast/Multicast Service、以下、MBMS)受信方法であって、
受信しようとするMBMSセッションが提供される特定周波数でキャンプオン(camp on)する段階と、
前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションを受信する段階とを含み、
前記特定周波数の情報は、ユーザサービス記述(User Service Description、以下、USD)情報で受信されることを特徴とする、受信方法。」
との点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本願発明が「受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」との発明特定事項を含むのに対して、引用発明は、当該発明特定事項が明らかにされていない点。

(相違点2)
本願発明が、前記特定周波数を通じて、「前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて」前記MBMSセッションを受信する段階を含むのに対し、引用発明では「前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて」前記MBMSセッションを受信するものである点について、特定のない点。

6 判断
前記相違点について検討する。
(相違点1)
本願発明の「受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」との発明特定事項は平成28年12月27日の手続補正で追加されたものであり、同日に提出された意見書によれば当該発明特定事項は「補正前の請求項1、2及び3の記載内容、出願当初の明細書の段落番号[0035]、[0036]、[0044]、[0048]、[0068]、[0069]、[0072]-[0074]の記載内容、並びに図6、図7及び図8に基づくもの」としている。発明の詳細な説明(及び当初明細書等)の前記指摘箇所の記載には、前記発明特定事項について直接的に対応する記載はない。しかしながら、前述のとおり「特定周波数」が「その周波数」を意味することを含むから、発明の詳細な説明の前記指摘箇所には、受信しようとするMBMSセッションが提供される周波数を特定し、その周波数に対応する「基地局をセル再選択対象の基地局として選択」(【0036】)することや、その周波数を「最も高い優先順位で設定してセル再選択を実行する」(【0062】,【0076】)ことが記載されている。ここで、受信しようとするMBMSセッションが提供される周波数を特定し、その周波数を再選択対象又は候補として決定してから、セル再選択を実行することは、技術常識に照らして明らかであるから、本願発明の「受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて」との事項は、「受信しようとするMBMSセッションが提供される周波数を特定し」との意味を含むものと認められる。
そして、一般に、UEはセル再選択が可能な(一以上の)周波数(セル)から、再選択する周波数を選択し、キャンプオンするところ、前記「4(3)ウ」より、「USD にリスト化された MBMS サービス上のキャリア周波数を優先して再選択が行われる」ことは公知技術である。これより、UE が、(USDにリスト化された) MBMS サービス上のキャリア周波数を特定し、前記特定された周波数をセル再選択候補として決定することも、前記公知技術から明らかである
してみれば、引用発明におけるキャンプオンするMBMS周波数層の選択において、前記公知技術を採用し、「受信しようとするMBMSセッションが提供される周波数を特定し、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」を含むものとすること、すなわち、本願発明の「受信しようとするMBMSセッションが特定周波数で提供されるのか否かに基づいて、前記特定周波数をセル再選択候補として決定する段階」を含むものとすることは、当業者が容易に想到することができたものである。

(相違点2)
前記「4(2)イ」及び「4(3)イ」のとおりであるから、「特定周波数を通じてMBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する。」ことは周知事項に過ぎない。よって、引用発明の「前記 MBMS 周波数層で、関心のある MBMS ユーザサービスを受信する段階」を「前記特定周波数を通じて、前記MBMSセッションの開始時間情報に基づいて前記MBMSセッションを受信する段階」とすることは、当業者が容易に想到することができた事項である。

そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明及び引用例3,4に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、及び、引用例3,4に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-13 
結審通知日 2018-11-19 
審決日 2018-11-30 
出願番号 特願2014-525930(P2014-525930)
審決分類 P 1 8・ 572- WZ (H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W)
P 1 8・ 575- WZ (H04W)
P 1 8・ 573- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深津 始  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 倉本 敦史
岩間 直純
発明の名称 無線通信システムでマルチメディア放送サービスを受信する方法及び装置  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 木内 敬二  
代理人 崔 允辰  
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