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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1350990
審判番号 不服2017-18259  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-08 
確定日 2019-04-17 
事件の表示 特願2015-190094「露出レンズ型再帰反射性物品」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 2月25日出願公開、特開2016- 28293〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 事件の概要
1 手続等の経緯
特願2015-190094号(以下、「本件出願」という。)は、2010年(平成22年)5月25日を国際出願日とする特願2013-511497号の一部を平成27年9月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯は、概略、以下のとおりである。

平成27年 9月28日:手続補正書提出
平成28年 7月29日:拒絶理由通知
平成29年 2月 9日:意見書、手続補正書提出
平成29年 7月28日:拒絶査定(以下、「原査定」という。)
平成29年12月 8日:審判請求

2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし3に係る発明は、平成29年2月9日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「結合層と、
前記結合層中に部分的に包埋された、間隔をおいて配置された光学要素の層であって、前記光学要素の層内のそれぞれの光学要素が、後面を備える包埋部を有する、光学要素の層と、
前記間隔をおいて配置された光学要素の間に少なくとも配置された、貫通された着色層と、
前記光学要素の層及び前記貫通された着色層の機能的に後方に配置された反射層と、を有し、
前記光学要素の前記後面上に少なくとも1個の顔料クラスターが存在し、
業務用高視認性安全衣料に関する欧州基準であるEN471に準拠した試験において、5/0.2の角度で少なくとも50カンデラ/ルックス/m^(2)の再帰反射性を示す露出レンズ型再帰反射性物品。」

3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、概略、本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開昭62-62301号公報

第2 当合議体の判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開昭62-62301号公報)には、次の事項が記載されている(下線は当合議体で付した。)。

(ア)「〔産業上の利用分野〕
この発明は反射層上に、微小な間隙をおいて単層配列した多数の微小な透明球を有する再帰反射体の改良に関するものである。」(1頁右欄2?5行)

(イ)「〔従来の技術〕
この種の再帰反射体は透明球露出型と透明球埋没型とに大別できるが、従来の前者のものは、反射層上に透明球層しか持たず、着色可能部が一般には無色の透明球以外ないことから、通常は無彩色である。
一方従来の後者のものは、透明球の前部と側部(前後方向の中間部)または透明球の後部と側部に沿って連続的にのびる透明被覆層または透明焦点層を有することから、一般にはこれらの層を着色することによって彩色している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記のように従来の透明球露出型は、一般には透明球を着色しなければ美感を付与するための彩色ができないという問題を有している。
他方従来の透明球埋没型には、彩色の単調さの問題がある。」(1頁右欄6?2頁左上欄2行)

(ウ)「〔問題点を解決するための手段〕
この発明によれば上記の問題は、当初に述べた再帰反射体において、透明球の側部間を連続的にのびる少なくとも一つの着色層を設けることによって解決する。」(2頁左上欄3?7行)

(エ)「〔作用〕
この発明においては、透明球露出型の再帰反射体では、実質上着色層の色が見掛けの色として表われ、再帰反射光は、着色層が透明色でかつ入射光が着色層を透過する傾斜入射の場合には、着色層の色を呈し、着色層が透明色でかつ入射光が透明球のみを透過する直交的な入射の場合および着色層が不透明色の場合には、透明球の色(一般には無色)を呈する。また着色層が不透明色の場合には、反射層の灰色的な色調が隠蔽される。」(2頁左上欄8?18行)

(オ)「〔発明の効果〕
したがってこの発明によれば、透明球露出型の再帰反射体が、透明球に着色を施さなくても、色彩による美感を有するものになる。」(2頁右上欄15?18行)

(カ)「〔実施例1〕
12μ厚のポリエステルベースフイルムに仮接着剤を塗布し、その上に平均径が30μで屈折率が1.95の無色のガラス製透明球を散布した後熱処理して、透明球を約半球以下仮接着剤中に埋没させた状態で仮接着し、次いで透明球の露出側から透明または不透明着色用顔料と樹脂の固形分を約7%含むとともに粘度がほぼ溶剤に近い、すなわち低固形分で低粘度の透明色または不透明色の着色溶液を約50g/m^(2)塗布して、透明球の側部間に流し込んで乾燥することにより、透明球の側部間に透明色または不透明色の着色層を形成し、この後着色層および透明球の露出面上にアルミニウムを真空蒸着して反射層を形成した後、該反射層を適宜の接着剤を介して支持体に接着し、続いてポリエステルベースフイルムとともに仮接着剤を剥離して、第1図に略示するように、支持体(10)上に接着剤層(11)を介して付着の反射層(12)上に単層配列した透明球(14)の側部間に、透明色または不透明色の着色層(20)を有する透明球露出型の再帰反射体を形成した。
この再帰反射体は、実質上着色層(20)の色が見掛けの色となる一方、再帰反射光は、着色層(20)が透明色でかつ入射光が着色層(20)を透過する傾斜入射光の場合には同じように着色層(20)の色を呈し、これ以外の入射光の場合および着色層(20)が不透明色の場合には無色であった。
また着色層(20)が不透明色の場合には、反射層(12)の灰色的な色調はあらわれなかった。」(2頁左下欄2行?右下欄10行)

(キ)「



イ 引用発明
引用文献1には、実施例1として、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。
なお、引用文献1の「μ」との単位の表記は、技術常識等からみて「μm」のことと認められるから、以下、混乱を避けるために「μm」と表記した。

「12μm厚のポリエステルベースフィルムに仮接着剤を塗布し、その上に平均径が30μmで屈折率が1.95の無色のガラス製透明球を散布した後熱処理して、透明球を約半球以下仮接着剤中に埋没させた状態で仮接着し、
透明球の露出側から透明着色用顔料と樹脂の固形分を約7%含むとともに粘度がほぼ溶剤に近い低固形分で低粘度の透明色の着色溶液を約50g/m^(2)塗布して、透明球の側部間に流し込んで乾燥することにより、透明球の側部間に透明色の着色層を形成し、
着色層および透明球の露出面上にアルミニウムを真空蒸着して反射層を形成し、
前記反射層を適宜の接着剤を介して支持体に接着し、
ポリエステルベースフィルムとともに仮接着剤を剥離することにより形成された、
支持体上に接着剤層を介して付着の反射層上に単層配列した透明球の側部間に透明色の着色層を有する透明球露出型の再帰反射体。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2005-274983号公報)には、次の事項が記載されている。

「【0026】
以下、実施例で本発明を説明する。
反射輝度測定法&色度座標測定;JISZ9117(1984)により測定
実施例1,2,3,4、比較例1
厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる支持シートに仮埋設層として厚み75μmのポリエチレンフィルムを接合させ、このポリエチレンフィルムを、120℃3分で加熱して溶融させ、このポリエチレンフィルムに対し平均粒子径140μm、屈折率1.92の透明微小球をほぼ一面に散布し透明微小球を図1に示すごとく埋設させる。その後、透明微小球の露出面側にエチレン-酢ビ系樹脂を平均厚さ0.6μmでコートした(シートA)。
【0027】
一方、上記した支持シートと同様のシートにポリエチレンフィルムを接合させ、このポリエチレンフィルム側にエステルウレタン樹脂とシアニン系青色顔料からなるインクを用いて、厚さ49μmのコートフィルムを設けた(シートB)。
【0028】
次いで、図2に示すようにシートAのエチレン-酢ビ樹脂層とシートBの青色インク樹脂層とを165℃、175℃、185℃の熱ロールで熱圧着させる(実施例1、実施例3、実施例4)。次いで、シートBの青色インク樹脂層以外のフィルムを剥離してシートCとする。
【0029】
このシートCの青色インク樹脂層側にアルミ蒸着で800Åの金属反射層を図3に示すように形成する。次いで、軟化温度120℃の飽和エステル系樹脂を用いて90μmの厚さでUのロゴ図形をスクリーン印刷し熱転写用再帰反射媒体とした。その後、この媒体をポリエステル-綿タフタ(目付200g/m^(2))に熱プレスを用いて150℃で熱転写した。表1に反射輝度、端切れ性を実施例1,2,3,4、比較例1とともに記した。透明着色樹脂層とプライマー層の合計厚さを走査型電子顕微鏡で観察し、その最大厚さと最小厚さとの比を求めたところ、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1はそれぞれ1.1、1.2、3.5、4.0、6.6であった。
【0030】
ここで、実施例2は実施例1における透明微小球露出面へのエチレン-酢ビ系樹脂をコートしないでシートAを作成し、比較例1はシートBに厚さ50μmの透明着色樹脂層を作成し、実施例1と同様の工程で、透明着色樹脂層にアルミ蒸着で800Åの金属反射層を形成する。次いで、軟化温度120℃の飽和エステル系樹脂を用いて90μmの厚さでUのロゴ図形をスクリーン印刷し熱転写用再帰反射媒体とした。その後、この媒体をポリエステル-綿タフタ(目付200g/m^(2))に熱プレスを用いて150℃で熱転写した。
【0031】
【表1】

反射輝度はJISZ9117(1984)に準じて測定した。ここでの反射輝度は再帰反射で、それぞれの入射角に対する反射角から12分ずれた観測角での値、また入射角度は反射輝度測定法;JIS9177(1984)に定めてあるように、被測定材表面中心に法線を引き、光源と被測定材中心とを結ぶ線(照射軸)と法線とのなす角をいう。実施例1,2,3,4、比較例1とともに反射輝度は高い。また、実施例1,2,3,4は比較例1に比べて端切れ性も良い。比較例1は端切れ性が悪く、カスが残存していた。」

2 対比
(1)本願発明と引用発明の構成要素の相当関係について
引用発明の「接着剤層」、「反射層」、「透明球」、「着色層」及び「透明球露出型の再帰反射体」は、それぞれ、本願発明の「結合層」、「反射層」、「光学要素」、「着色層」及び「露出レンズ型再帰反射性物品」に相当する。

(2)光学要素の層について
ア 対比に先立ち、本願発明の「後面を備える包埋部」との用語について確認する。
本件出願の明細書には、「包埋部」との用語は存在していないところ、請求項1の「前記結合層中に部分的に包埋された、間隔をおいて配置された光学要素の層」との記載、段落【0017】の「光学要素12は、結合層14中に部分的に包埋されるか又は支持されている」との記載等からみて、本願発明の「包埋部」とは、「光学要素」が「結合層中」に包埋される部分を意味するものと認められる。
一方、「後面」については、段落【0059】の「光学要素の後面(この表面は、反射接触表面12cと呼ぶこともできる(図3を参照))」との記載、段落【0028】の「光学要素の反射接触領域12cは、反射層16と接触する領域である」との記載からみて、本願発明の「後面」とは、光学要素のうち、反射層と接触する領域を意味するものと認められる。

イ 引用発明の「透明球」は、「12μm厚のポリエステルベースフィルムに仮接着剤を塗布し、その上に・・・散布」されるものであって、「側部間に透明色の着色層を形成」されるものである。すなわち、透明球の側部間には着色層が形成される間隔が存在するのであるから、引用発明の「透明球」は、「間隔をおいて配置され」るものと認められる。

ウ 引用発明の「透明球露出型の再帰反射体」は、「着色層および透明球の露出面上にアルミニウムを真空蒸着して反射層を形成し、前記反射層を適宜の接着剤を介して支持体に接着し」て形成されるものであるから、引用発明の透明球は、接着剤層中に包埋されているものであり、また、反射層と接触する領域を具備する(第1図からも見て取れる事項である。)。
そうしてみると、引用発明の「透明球」は、本願発明の「結合層中に部分的に包埋された」「光学要素」の要件、及び「光学要素が、後面を備える包埋部を有する」の要件を満たす。

エ 前記ア?ウから、引用発明の、「支持体上に接着剤層を介して付着の反射層上に単層配列した透明球」の「層」は、本願発明の「光学要素の層」に相当するとともに、本願発明の「結合層中に部分的に包埋された、間隔をおいて配置された光学要素の層であって、前記光学要素の層内のそれぞれの光学要素が、後面を備える包埋部を有する」の要件を満たす。

(3)着色層について
引用発明の着色層は、「透明球の露出側から透明着色用顔料と樹脂の固形分を約7%含むとともに粘度がほぼ溶剤に近い低固形分で低粘度の透明色の着色溶液を約50g/m^(2)塗布して、透明球の側部間に流し込んで乾燥することにより、透明球の側部間に」形成されるものである。
そうしてみると、引用発明の「着色層」は、本願発明の「間隔をおいて配置された光学要素の間に少なくとも配置された、貫通された」との要件を満たす(第1図からも見て取れる事項である。)。

(4)反射層について
引用発明の「反射層」は「着色層および透明球の露出面上にアルミニウムを真空蒸着」することで形成されるものであって、かつ透明球露出型の再帰反射体では、機能的に前方側(光が入射する側)となるのは「透明球」が存在する側であるから、引用発明の「反射層」は、本願発明の「光学要素の層及び貫通された着色層の機能的に後方に配置され」との要件を満たす(第1図からも見て取れる事項である。)。

3 一致点及び相違点又は一応の相違点
(1)本願発明と引用発明は、以下の構成において一致する。

「結合層と、
前記結合層中に部分的に包埋された、間隔をおいて配置された光学要素の層であって、前記光学要素の層内のそれぞれの光学要素が、後面を備える包埋部を有する、光学要素の層と、
前記間隔をおいて配置された光学要素の間に少なくとも配置された、貫通された着色層と、
前記光学要素の層及び前記貫通された着色層の機能的に後方に配置された反射層と、を有する、
露出レンズ型再帰反射性物品。」

(2)本願発明と引用発明とは、以下の点において、相違又は一応相違する。

ア 相違点1
本願発明は、「光学要素の前記後面上に少なくとも1個の顔料クラスターが存在する」のに対し、引用発明では、透明球の反射層に接する領域に少なくとも1個の顔料の凝集体が存在するのかが明示されていない点。

イ 相違点2
本願発明は、「業務用高視認性安全衣料に関する欧州基準であるEN471に準拠した試験において、5/0.2の角度で少なくとも50カンデラ/ルックス/m^(2)の再帰反射性を示す」のに対し、引用発明は、そのような再帰反射性を示すのかが明らかでない点。

4 判断
(1)相違点1について
本件出願の明細書の段落【0021】には「光学要素12上に存在しうる顔料クラスター52は、一般的に光学要素12の後面にわたって不均一に分布させることができる。実施形態によっては、すべての光学要素がその表面上に顔料クラスターを有するわけではない。実施形態によっては、少なくとも1個の光学要素がその表面上に少なくとも1個の顔料クラスターを有する。」と記載されているから、引用発明の単層配列した透明球の1個の表面上に1個の顔料の凝集体があれば、引用発明は、本願発明の「光学要素の前記後面上に少なくとも1個の顔料クラスターが存在する」という要件を満たすものといえる。そして、引用発明の「着色層」は、「透明球の露出側から透明着色用顔料と樹脂の固形分を約7%含むとともに粘度がほぼ溶剤に近い低固形分で低粘度の透明色の着色溶液を約50g/m^(2)塗布して、透明球の側部間に流し込んで乾燥することにより、透明球の側部間に透明色の着色層を形成し」たものであるところ、(a)乾燥に伴い、塗布された着色溶液中の顔料が凝集することは技術常識であり、また、(b)乾燥に伴い凝集した顔料が、単層配列した全ての透明球の表面上において、1個も残留していないとは考えられない(引用文献1には、引用発明の再帰反射体を製造するにあたり、透明球の後面に顔料が1つも残らないような特別な処理がされている旨の記載は存在せず、むしろ、引用発明は、「従来の透明球露出型は、一般には透明球を着色しなければ美感を付与するための彩色ができない」(1頁右欄18?20行)という、従来の技術の課題を解決するためのものであるから、1個残らず全ての透明球の後面から顔料を完全に排除し、再帰反射光を完全な無色にする必要性のないものである。)。また、再帰反射光が無色を呈するからといって、引用発明の単層配列した全ての透明球の表面において、凝集した顔料が1個も存在しないことにはならない。
そうしてみると、相違点1は、実質的な相違点ではない。

(2)相違点2について
まず、再帰反射性能の測定において、入射角5°、観測角0.2°の条件は、反射材の国際規格であるEN471や国内規格であるJIS Z 9117で決められている最も主要な測定角度である(例えば、特開2001-318216号公報の段落【0024】等参照。)。そして、EN471に準拠した試験において、入射角5°、観測角0.2°の条件で測定した再帰反射性の基準となる値(仕様)は330cd/(lx・m^(2))であり(本件出願の明細書の段落【0083】【表1】、【0088】【表3】の「EN471仕様」の値も参照のこと。)、この値は50cd/(lx・m^(2))よりかなり大きな値になっている。また、引用文献2に記載された熱転写用再帰反射媒体は、金属反射層と透明微小球の間に青色インク樹脂層を有するものであって、青色インク層により再帰反射の反射輝度は低下すると認められるものであるが、入射角5°、観測角0.2°の条件でJISZ9117(1984)に準じて再帰反射の反射輝度(cd/(lx・m^(2)))を測定したところ、その測定値は150?160cd/(lx・m^(2))程度であり、50cd/(lx・m^(2))よりかなり大きな値になっている。
そうしてみると、入射角5°、観測角0.2°の条件で測定した再帰反射輝度を少なくとも50cd/(lx・m^(2))とすることは、引用発明の再帰反射体において、格別のものではないから、相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得ることである。

第3 まとめ
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である引用文献1に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について審理するまでもなく、本件出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-13 
結審通知日 2018-11-20 
審決日 2018-12-04 
出願番号 特願2015-190094(P2015-190094)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 中田 誠
特許庁審判官 関根 洋之
宮澤 浩
発明の名称 露出レンズ型再帰反射性物品  
代理人 赤澤 太朗  
代理人 野村 和歌子  
代理人 佃 誠玄  
代理人 吉野 亮平  

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