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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W
管理番号 1350994
審判番号 不服2017-19149  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-25 
確定日 2019-04-10 
事件の表示 特願2016-504774「セル・レンジ拡張のバイアス調整のための方法、装置、およびシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月 2日国際公開、WO2014/155197、平成28年 7月14日国内公表、特表2016-521032〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2014年(平成26年)3月26日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年(平成25年)3月29日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年11月29日付け 拒絶理由通知書
平成29年 3月 3日 意見書の提出
平成29年 8月31日付け 拒絶査定
平成29年12月25日 拒絶査定不服審判の請求

第2 本願発明

本願の請求項1-15に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,以下のとおりのものであると認める。
「異機種ネットワークにおいて、バイアス調整パラメータをユーザ機器に提供するためのeNBであって、
ハンドオーバされるべき1つまたは複数のユーザ機器の属性情報に基づいて、それらのターゲットeNBに対応する前記1つまたは複数のユーザ機器のセル・レンジ拡張についてのバイアス調整パラメータを決定するように構成された、バイアス調整決定モジュールと、
前記対応するユーザ機器が、現在のeNB及び前記ターゲットeNBについての測定レポートのレポート・トリガ条件を調整するように、前記1つまたは複数のユーザ機器に対して、前記バイアス調整パラメータを送信するように構成された、第1の調整送信モジュールと、
前記1つまたは複数のユーザ機器から前記測定レポートを受信し、また前記1つまたは複数のユーザ機器についてのハンドオーバ決定を行うように構成された、ハンドオーバ決定モジュールと、
を備える、eNB。」

ここで、請求項1の3段落目には「前記現在のeNB」と記載されているが、この記載よりも前に「現在のeNB」の記載が無く、「前記現在のeNB」は「現在のeNB」の誤記であることは明らかであるから、本願発明を上記のように認定した。

第3 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、「この出願の下記請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり、請求項1に対して引用例1が引用されている。

1.Pantech, Discussions on CRE bias, 3GPP TSG RAN2 Meeting #73, R2-111293, 2011年2月15日アップロード

第4 引用例等に記載された事項及び引用発明等について

1.引用発明
原査定の拒絶の理由で引用されたPantech, Discussions on CRE bias(当審仮訳:CREバイアスについての検討), 3GPP TSG RAN2 Meeting #73, R2-111293, 2011年2月15日アップロード(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「1.Introduction
In RAN1 #62bis meeting, we observed that each CRE(Cell Range Expansion) gives gains at least for low to moderate cell association bias values [1]. Also, many companies would have a consensus that A3-offset(Ocn or Ocs) of event A3 could be used as a CRE bias value [2][3].
In this contribution, we would introduce several HetNet (Heterogeneous Network) cases where NW could not efficiently utilize the mobility of UEs or might induce problematic UEs with high RLF probability in the base of the current cell-specific CRE bias value.」(1ページ)

(当審仮訳:
1.はじめに
RAN1 #62bis 会合で見たように、CRE(セルレンジ拡張)は、少なくとも低?中程度のセルアソシエ-ションに係るバイアス値にとって、有益である[1]。また、イベントA3のA3オフセット(Ocn又はOcs)がCREバイアス値として利用され得ることを、多くの企業が合意した[2][3]。
この寄書では、ネットワークが、現在のセル固有のCREバイアス値に基づいて、UEの移動性を効率的に利用できない、又は、高いRLF確率によって、問題のあるUEを誘発する可能性のある、ヘットネット(ヘテロジーニアスネットワーク)のいくつかのケースを紹介する。)

(2)「2.Discussion
Most companies may think that current measurement triggering scheme with cell-specific CRE bias values would be sufficient as for accommodating HetNet mobility.
Offsets (Ocn or Ocs) are defined as [4] :
Ocn is the cell specific offset of the neighbour cell (i.e. cellIndividualOffset as defined within measObjectEUTRA corresponding to the frequency of the neighbour cell), and set to zero if not configured for the neighbour cell.
Ocs is the cell specific offset of the serving cell (i.e. cellIndividualOffset as defined within measObjectEUTRA corresponding to the serving frequency), and is set to zero if not configured for the serving cell.
According to the definition of offsets, all the UEs of a cell with HetNet cell configuration would apply the same CRE bias to the mobility function. We are concerned that there is some problem as eNB hand a UE over a different type of target cell (e.g. Macro cell to Pico cell, Macro cell to Femto cell, and so on) with the same CRE bias for all the UEs of a cell. 」(1ページ)

(当審仮訳:
2.議論
大部分の企業は、セル固有のCREバイアス値を用いた現在の測定トリガー方式が、ヘットネットの移動性を調整することに関して、十分と考えるかもしれない。
オフセット(Ocn又はOcs)は、[4]として定義される。
Ocnは、周辺セルのセル固有オフセット(すなわち、周辺セルの周波数に対応するmeasObjectEUTRAに定義されたcellindividualOffset)であって、周辺セルに対して設定されていなければ、0となる。
Ocsは、サービングセルのセル固有オフセット(すなわち、サービング周波数に対応するmeasObjectEUTRAに定義されたcellindividualOffset)であって、サービングセルに対して設定されていなければ、0となる。
オフセットの定義によると、ヘットネットセル構成のセルの全てのUEが同じCREバイアスを移動性に係る機能に適用する。eNBが、セル内の全てのUEに対して、同じCREバイアスを用いて、UEを異なるタイプのターゲットセルへハンドオーバーする場合(例えば、マクロセルからピコセルへ、マクロセルからフェムトセルへ、など)、いくつか問題があると懸念される。)

(3)「As figure 2, UE1 and UE2 have the same channel quality but different UE capabilities; UE1 have 1 antenna and UE2 2 antennas, and thus UE1 could not apply antenna diversity scheme but UE2 possible. In this case, because measurement for mobility is basically done on one antenna regardless of antenna diversity scheme, they could have the same channel quality but different channel reliabilities. UE1 would have better being served from MeNB due to low channel reliability as served in PeNB, while UE2 would have enough good channel reliability to be served in PeNB. Here, if different CRE bias values are separately applied to the UEs, it might get a benefit that prohibit UE vulnerable on low channel quality from move to PeNB. In other words, only if PeNB is enough stable in reliability for the UE to be served by, the UE should hand over to PeNB

Figure 2. Micro-pico scenario for link reliability

If UE-specific CRE bias value in pico cell is used, we could expect the following benefits:
●More effective load balancing
●Increase link reliability and QoS of UE
●Increase flexibility of network operation without UE complexity
・Ocn and Ocs is transmitted by RRC to UE. UE don't need to know whether cell specific value or UE specific value. 」(2-3ページ)

(当審仮訳:
図2のとおり、UE1とUE2とは、同じチャネル品質を有するが、UEの能力が異なる;UE1が1本のアンテナを有し、UE2が2本のアンテナを有するため、UE1はアンテナダイバーシティ方式を適用できないが、UE2は適用できる。この場合には、移動性に係る測定はアンテナダイバーシティ方式に関わらず、1本のアンテナで測定されるため、それらは、同じチャネル品質を有するが、チャネルの信頼性が異なる可能性がある。UE1は、チャネルの信頼性が低いため、MeNBと接続する方がPeNBと接続するよりも良い一方で、UE2は、PeNBと接続するのに、十分良好なチャネルの信頼性を有するであろう。ここで、異なるCREバイアス値がUEに対して、個別に適用されると、低いチャネル品質に脆弱なUEがPeNBに移動することを妨げる利点を得ることができるであろう。言い換えると、PeNBが、接続するUEにとって信頼性の観点で十分に安定している場合のみ、UEはPeNBへハンドオーバーすべきである。
(図2略)
ピコセルにおいて、UE固有のCREバイアス値を用いる場合、次の利益が期待できる。
●より効果的な負荷分散
●UEのリンク信頼性とQoSが向上する
●UEを複雑にすることなく、ネットワーク運用の自由度が向上する
・OcnとOcsはRRCによってUEへ送信される。UEはセル固有の値であるか、UE固有の値であるかを知る必要がない。)

(4)「3.Conclusion
We have considered the need for UE-specific CRE bias value as well as Cell-specific CRE bias.
Proposal 1: For HetNet scenarios, UE-specific CRE bias would have benefits.
Proposal 2: Criterion as for determining a UE-specific CRE bias could be UE capability (e.g. UE category, link reliability, frequency band, number of antenna), CSG membership, etc. 」(4ページ)

(当審仮訳:
3.結論
セル固有のCREバイアスと同様にUE固有のCREバイアス値が必要と考えた。
提案1:ヘットネットの場合に、UE固有のCREバイアスは有益である
提案2:UE固有のCREバイアスの決定に関する基準は、UEの能力(例:UEカテゴリ、リンク信頼性、対応周波数帯、アンテナ数)やCSGメンバーシップなどがあり得る。)

上記各記載及び当業者における技術常識からみて

a (1)の記載及び(3)の図2によれば、引用例1には、マクロセルとピコセルからなるヘテロジーニアスネットワークが記載されている。また、(3)の記載によれば、RRCによって、UEへOcnとOcsを送信することが記載されている。UEへRRC信号を送信するのは、サービングセルのeNBであることは技術常識であって、(3)の記載によれば、サービングセルのeNBはMeNBである。さらに、(1)、(2)、(3)の記載によれば、OcnとOcsをUE固有のCREバイアス値とすることは明らかである。したがって、引用例1には、「マクロセルとピコセルからなるヘテロジーニアスネットワークにおいて、UE固有のCREバイアス値をUEへ送信するためのMeNB」が記載されているといえる。

b (3)の記載によれば、MeNBからPeNBへ、UEをハンドオーバーする際、UE固有のCREバイアス値がUEに対して、個別に適用されるといえ、UE固有のCREバイアス値がMeNBからUEへ送信される以上、MeNBがUE固有のCREバイアス値を決定することは明らかである。また、(4)の記載によれば、UE固有のCREバイアスの決定に関する基準は、UEの能力である。したがって、引用例1に記載されたMeNBは、「ハンドオーバーされるべきUEの能力に基づいて、PeNBへハンドオーバーするUEのUE固有のCREバイアス値を決定する機能」を備えるといえる。

c (1)、(2)の記載によれば、A3イベントの発生を、測定トリガー方式のトリガーとしているといえ、また、CREバイアス値は、A3オフセットであるから、A3イベントのイベント発生条件を調整するパラメータであるといえる。さらに、UEがA3イベントのイベント発生条件を満たすと判断する場合に、サービングセルのeNBへ、サービングセルと周辺セルについての測定報告を行うことは、技術常識であるから、UEがサービングセル及び周辺セルについての測定報告のA3イベントのイベント発生条件をCREバイアス値により調整するといえる。また、(3)の記載によれば、MeNBがサービングセルのeNBであり、PeNBが周辺セルのeNBであり、MeNBがPeNBへハンドオーバーするUEに対して、UE固有のCREバイアス値を送信するといえる。したがって、引用例1に記載されたMeNBは、「PeNBへハンドオーバーするUEが、MeNB及び前記PeNBについての測定報告のA3イベントのイベント発生条件を調整するように、前記UEに対して、UE固有のCREバイアス値を送信する機能」を備えるといえる。
また、UEがMeNBへ測定報告を行うことから、引用例1に記載されたMeNBは、「UEから測定報告を受信する機能」を備えるといえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「マクロセルとピコセルからなるヘテロジーニアスネットワークにおいて、UE固有のCREバイアス値をUEへ送信するためのMeNBであって、
ハンドオーバーされるべきUEの能力に基づいて、PeNBへハンドオーバーする前記UEのUE固有のCREバイアス値を決定する機能と、
前記PeNBへハンドオーバーするUEが、前記MeNB及び前記PeNBについての測定報告のA3イベントのイベント発生条件を調整するように、前記UEに対して、前記UE固有のCREバイアス値を送信する機能と、
前記UEから前記測定報告を受信する機能と、
を備える、MeNB。」

2.周知技術
周知のLTE規格を解説した文献である、北添 正人、LTEの無線制御プロトコル、電子情報通信学会誌 第96巻 第3号、2013年3月1日発行、156-163ページ(以下、「周知例1」という。) には、 図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審が付与。)

(1)「6.RRC_CONNECTED状態
RRC_CONNECTEDにおいては,各移動機と無線ネットワーク間にプロトコル接続が存在する.よって,無線ネットワークは,RRC_CONNECTED状態の各移動機に個別の制御を行うことができる.
個別の制御は,移動機を通して提供されるサービスのQoS(音声,ベストエフォートデータ等)や,移動機がサポートしている機能に合わせて行われる.
移動機が接続している基地局(Serving eNB)が移動機を管理,制御することになり,Serving eNBは移動機の移動に伴い,ハンドオーバ手順などで変更される.」(160ページ)

(2)「6.2 移動制御
RRC_CONNECTED中の移動制御は通常,移動機からServing eNBへの無線環境測定結果報告(Measurement Report)と,Serving eNBからの移動制御信号(Handover Command)によって行われる(図8).



」(160ページ)

したがって、

「基地局が移動機から無線環境測定結果報告を受信し、当該移動機のハンドオーバー決定を行う。」ことは、例えば、周知例1にも示されているように、LTEで実現されている周知技術であると認められる。


第5 対比及び判断

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。

1.引用発明の「マクロセルとピコセルからなるヘテロジーニアスネットワーク」、「UE固有のCREバイアス値」は、本願発明の「異機種ネットワーク」、「バイアス調整パラメータ」に相当する。また、引用発明の「UE」は、本願発明の「1つまたは複数のユーザ機器」に含まれる。したがって、引用発明の「マクロセルとピコセルからなるヘテロジーニアスネットワークにおいて、UE固有のCREバイアス値をUEへ送信するためのMeNB」は、「異機種ネットワークにおいて、バイアス調整パラメータをユーザ機器に提供するためのeNB」といえる。

2.引用発明の「ハンドオーバーされるべきUEの能力」は、本願発明の「ハンドオーバされるべき1つまたは複数のユーザ機器の属性情報」に含まれる。また、引用発明の「PeNB」は、ハンドオーバーされるべきUEのターゲットeNBであって、ハンドオーバ処理において、ターゲットeNBへハンドオーバーするUEは、ターゲットeNBに対応するUEといえる。さらに、引用発明の「CRE」はセルレンジ拡張を意味するから、引用発明の「UE固有のCREバイアス値」は、本願発明の「セル・レンジ拡張についてのバイアス調整パラメータ」に相当する。したがって、引用発明の「ハンドオーバーされるべきUEの能力に基づいて、PeNBへハンドオーバーする前記UEのUE固有のCREバイアス値を決定する機能」は、「ハンドオーバされるべき1つまたは複数のユーザ機器の属性情報に基づいて、それらのターゲットeNBに対応する前記1つまたは複数のユーザ機器のセル・レンジ拡張についてのバイアス調整パラメータを決定する機能」といえる。

3.引用発明の「MeNB」、「測定報告」は、本願発明の「現在のeNB」、「測定レポート」に相当する。引用発明の「A3イベント」は、「測定報告」のトリガーであるから、引用発明の「A3イベントのイベント発生条件」は、本願発明の「レポート・トリガ条件」に相当する。したがって、引用発明の「前記PeNBへハンドオーバーするUEが、MeNB及び前記PeNBについての測定報告のA3イベントのイベント発生条件を調整するように、前記UEに対して、前記UE固有のCREバイアス値を送信する機能」は、「前記対応するユーザ機器が、現在のeNB及び前記ターゲットeNBについての測定レポートのレポート・トリガ条件を調整するように、前記1つまたは複数のユーザ機器に対して、前記バイアス調整パラメータを送信する機能」といえる。
また、引用発明の「前記UEから前記測定報告を受信する機能」は、「前記1つまたは複数のユーザ機器から前記測定レポートを受信する機能」といえる。

以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

(一致点)
「異機種ネットワークにおいて、バイアス調整パラメータをユーザ機器に提供するためのeNBであって、
ハンドオーバされるべき1つまたは複数のユーザ機器の属性情報に基づいて、それらのターゲットeNBに対応する前記1つまたは複数のユーザ機器のセル・レンジ拡張についてのバイアス調整パラメータを決定する機能と、
前記対応するユーザ機器が、現在のeNB及び前記ターゲットeNBについての測定レポートのレポート・トリガ条件を調整するように、前記1つまたは複数のユーザ機器に対して、前記バイアス調整パラメータを送信する機能と、
前記1つまたは複数のユーザ機器から前記測定レポートを受信する機能と、
を備える、eNB。」

(相違点1)
本願発明のeNBは、「前記1つまたは複数のユーザ機器についてのハンドオーバ決定を行う」構成を有するのに対し、引用発明では、UEについて、PeNBへハンドオーバーが行われるものの、ハンドオーバー決定を行うことが明らかでない点。

(相違点2)
eNBが備える各機能について、本願発明では、それぞれ「バイアス調整決定モジュール」、「第1の調整送信モジュール」、「ハンドオーバ決定モジュール」により実現されるのに対し、引用発明では、これらのモジュールが明らかでない点。

以下、各相違点について検討する。

(相違点1について)
上記「第4」の「2.周知技術」で認定したとおり、「基地局が移動機から無線環境測定結果報告を受信し、当該移動機のハンドオーバー決定を行う。」ことは周知技術である。
したがって、引用発明は、UEが測定報告をeNBに通知するものであるから、通知を受けたeNBが、ハンドオーバー決定を行うことは、格別困難なことではなく、当業者が適宜なし得ることである。

(相違点2について)
通信の分野において、装置の機能をモジュールにより実現することは常套手段であるから、引用発明において、eNBの各機能をモジュールにより実現することは格別困難なことではない。その際、どの機能をどのモジュールで実現するかは、当業者にとって設計的事項にすぎないから、引用発明において、本願発明のような構成とすることは当業者が適宜なし得ることである。

また、本願発明の作用効果も、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から当業者が予測し得る範囲内のものである。

そうすると、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるといえる。

第6 むすび

以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-11-09 
結審通知日 2018-11-13 
審決日 2018-11-27 
出願番号 特願2016-504774(P2016-504774)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 倉本 敦史  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 松永 稔
長谷川 篤男
発明の名称 セル・レンジ拡張のバイアス調整のための方法、装置、およびシステム  
代理人 岡部 讓  
代理人 吉澤 弘司  

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