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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06Q
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q
管理番号 1351027
審判番号 不服2018-3555  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-12 
確定日 2019-05-14 
事件の表示 特願2016-226636「農業支援システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月16日出願公開、特開2017- 37681、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月4日に出願した特願2013-183490号の一部を平成28年11月22日に新たな特許出願としたものであって、平成29年9月15日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年12月7日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成30年3月12日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成30年12月12日付けで拒絶理由通知(以下、「当審拒絶理由通知」という。)がされ、平成31年2月7日に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月7日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-6に係る発明は、以下の引用文献1-5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2007-48107号公報
2.特開2004-326169号公報
3.特開2006-252105号公報
4.特開平6-309540号公報
5.特開2009-64231号公報

第3 本願発明
本願請求項1-6に係る発明(以下、「本願発明1」-「本願発明5」という。)は、平成31年2月7日の手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
圃場の農作業を行う農業機械に設けられ且つ前記農業機械で農作業を行った場合の農作業データを収集するデータ収集装置と、
前記農作業を行う前に事前に計画される作業計画であって前記農作業及び前記農作業を行う圃場を含む作業計画を作成する作業計画設定手段と、前記作業計画設定手段で設定した作業計画の農作業及び前記圃場及び前記農作業データを記憶する記憶手段とを有するサーバと、
少なくとも前記作業計画と同じ項目である圃場及び農作業、農作業を行う農業機械を含み且つ農作業後に作成される作業内容を作成可能な作成手段と、作成手段で作成した作業内容の圃場、農作業及び農業機械をサーバに送信し且つ前記作業計画設定手段で作成された作業計画の農作業及び圃場を受信する通信部と、を有し、前記サーバと通信可能な携帯端末と、
を備え、
前記携帯端末は、前記作業内容の圃場、農作業及び農業機械、前記作業計画の農作業及び圃場を表示する表示部を有している農業支援システム。」

なお、本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審において付加したものである。

ア.
「【0009】
・・・(省略)・・・
本実施形態における圃場管理システムは、図1に示すように、気象情報サイト9やGPS付き携帯端末10からインターネット8を経由してデータを取り込み、圃場の管理を行う中央処理装置1と、キャラクタ及びグラフィック画面を有する端末装置2と、背景データとして地図データを格納している地図データベース3と、圃場の位置情報と栽培作物の種類等の情報を持つ圃場データを格納している圃場データベース4と、生産者を特定する耕作者番号と生産者の個人情報を格納している農家データベース5と、栽培作物の種類とその作物を栽培する間の作業内容を格納した作業内容データベース6と、作業日時、圃場の位置情報と栽培作物の種類及び気象情報から決定される農作業の内容を格納している農作業日誌データベース7とからなっている。
【0010】
中央処理装置1は、データ入力処理部11、データ表示処理部12、農作業日誌作成処理部13、データベースアクセス処理部14を有している。これらの各処理部は、中央処理装置1の内部メモリに格納されたプログラムによって構成されるものである。
データ入力処理11は、インターネット8経由で気象情報サイト9から提供される気象データ、インターネット8経由でGPS付き携帯端末10から提供される農家位置データや端末装置2で入力されるデータを受け付ける処理を行うものである。
データ表示処理12は、背景データである地図データ上に圃場を描き、農作業の内容を検索条件として該当する圃場を検索し、該当する圃場を強調色にして端末装置2に表示する処理を行うものである。
データベースアクセス処理15は、必要に応じ、地図データベース3、圃場データベース4、農家データベース5、作業内容データベース6、農作業日誌データベース7のデータを参照、更新などを行うものである。
【0011】
各データベースに格納されているデータについて説明する。
図2は、圃場データベース4に格納されている圃場データのデータ構造を表した図である。
圃場データは、圃場を表す図形を特定するための図形ID21や形状情報22、圃場を特定するための圃場番号23や栽培年24、栽培作物種類25、生産者を特定する生産者番号26、圃場を色分け表示するための表示色27などの情報から成る。
形状情報は、形状の種別、頂点数、各頂点のX,Y座標値の情報で構成されている。」

イ.
「【0017】
次に、農作業日誌データの作成処理に係る処理手順について、図8のフローチャートを参照して説明する。
生産者は農作業を行うに際し、携帯端末10を携帯して圃場に赴き、圃場に到着したならば、電話番号や位置情報を随時送信可能な状態にして農作業を開始する。
農作業日誌作成処理部13では、まずステップ81においてインターネット8を経由して携帯端末10の送信データから電話番号と位置情報を取得する。
携帯端末10には、例えば定期的に現在位置を含んだ情報をメールするような設定をし
ておくと生産者は携帯端末10を携帯した状態で作業をするだけで現在位置を送信することができる。
農作業日誌作成処理部13では、取得した電話番号をキーとして、ステップ82において農家データベース5から農家データを検索し、対応する生産者番号31を取得する。
【0018】
圃場データは、図2に示すように圃場を所有する生産者番号26、圃場の形状情報22を保持している。
ステップ82で取得した生産者番号の圃場の中で、ステップ81で取得した位置情報が圃場の形状の中に含まれる場合、耕作者はその圃場の中に存在したことになる。そこで、農作業日誌作成処理部13では、ステップ83において、携帯端末10によって送信された情報がいずれかの圃場内のものであるかを判別する。
該当の圃場が存在しない場合は、圃場内で作業を行っていたとは看做さない。
該当する圃場が見つかった場合は、ステップ84において該当圃場の栽培作物の種類25を圃場データベース4から取得する。
ステップ85では、インターネット8を経由して気象サイト9から気温、降水量、日照時間、日射量といった気象情報を取得する。
ステップ86では作業内容データベース6に格納された作業内容データを参照し、ステップ84で取得した栽培作物種類25の作業内容で、本日の日付が作業開始日から作業終了日の間に存在し、取得した気象情報が作業条件を満たしているものがあるかどうかを判別する。該当する作業内容が存在する場合は、ステップ87において農作業日誌のデータを作成し、農作業日誌データベース7に作業内容と共に電子データとして記録する。
【0019】
図9は農作業日誌データの例を示す図である。
農作業日誌データは、ある圃場に対して何時、どんな作業をしたかを示すものであり、圃場番号、日付、農作業内容によってユニークとなるようなデータである。
農作業日誌ID1(91)と農作業日誌ID2(92)は2004年4月30日に馬鈴薯の定植を行ったことを示し、その日の気象情報も併せて格納される。
また、備考項目として、当日気温が低かったというような内容を覚え書きしておくことができる。
農作業日誌のデータは生産者がデータを自身で作成することなく自動的に作成されるが、実際に行った作業が常に自動生成された作業内容と同じわけではなく、さまざまな状況に応じて別の作業を行うことも考えられる。
作成後の農作業日誌のデータは図1の端末装置2で内容を表示することができ、内容を確認したり修正を行うことも可能である。」

ウ.
「【0021】
要するに、本発明は、圃場毎に、作業内容、作業期間、作業開始となる気象条件を作業内容データベース6に予め登録しておき、生産者がいずれかの圃場に赴いたならば、当該生産者が携帯する携帯端末10から受信した位置情報により該当する圃場を特定し、生産者が赴いた日付がその特定した圃場における作業期間内に該当し、かつ気象サイトから取得した現在の気象情報が作業内容データベース6に予め登録されている気象条件を満たしていた場合には、特定した圃場において作業内容データベース6に予め登録されている作業を実施したものとして記録するものである。
これにより、生産者は作業内容データベース6に必要な情報を予め登録しておけば、携帯端末10を携帯して圃場に赴くだけで電子化された農作業日誌を完成させることができ、作業終了後に作業内容を記録するといった面倒な作業から解放される。」

なお、上記ア.【0010】の「データベースアクセス処理15は、必要に応じ、地図データベース3、圃場データベース4、・・(中略)・・を参照、更新などを行うものであり」は、「データベースアクセス処理部14は、必要に応じ、地図データベース3、圃場データベース4、・・(中略)・・を参照、更新などを行うものであり」の誤記であると認められる。

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「GPS付き携帯端末10からインターネット8を経由してデータを取り込み、圃場の管理を行う中央処理装置1と、圃場の位置情報と栽培作物の種類等の情報を持つ圃場データを格納している圃場データベース4と、生産者を特定する耕作者番号と生産者の個人情報を格納している農家データベース5と、栽培作物の種類とその作物を栽培する間の作業内容を格納した作業内容データベース6と、作業日時、圃場の位置情報と栽培作物の種類及び気象情報から決定される農作業の内容を格納している農作業日誌データベース7とから構成される圃場管理システムであって(【0009】)、
中央処理装置1は、農作業日誌作成処理部13、データベースアクセス処理部14を有しており、データベースアクセス処理部14は、地図データベース3、圃場データベース4、農家データベース5、作業内容データベース6、農作業日誌データベース7のデータを参照、更新などを行うものであり(【0010】)、
前記圃場データは、形状情報22、圃場を特定するための圃場番号23などの情報から成り(【0011】)、
生産者が農作業を行うに際し、携帯端末10を携帯して圃場に赴き、圃場に到着したならば、電話番号や位置情報を随時送信可能な状態にして農作業を開始すると、
農作業日誌作成処理部13は、まずステップ81においてインターネット8を経由して携帯端末10の送信データから電話番号と位置情報を取得し、取得した電話番号をキーとして、ステップ82において農家データベース5から農家データを検索し、対応する生産者番号31を取得し(【0017】)、
続けて農作業日誌作成処理部13は、ステップ83において、携帯端末10によって送信された情報がいずれかの圃場内のものであるかを判別し、該当する圃場が見つかった場合は、ステップ84において該当圃場の栽培作物の種類25を圃場データベース4から取得し、ステップ85では、インターネット8を経由して気象サイト9から気温、降水量、日照時間、日射量といった気象情報を取得し、ステップ86では作業内容データベース6に格納された作業内容データを参照し、ステップ84で取得した栽培作物種類25の作業内容で、本日の日付が作業開始日から作業終了日の間に存在し、取得した気象情報が作業条件を満たしているものがあるかどうかを判別し、該当する作業内容が存在する場合は、ステップ87において農作業日誌のデータを作成し、農作業日誌データベース7に作業内容と共に電子データとして記録する圃場管理システムであって(【0018】)、
生産者がいずれかの圃場に赴いたならば、当該生産者が携帯する携帯端末10から受信した位置情報により該当する圃場を特定し、生産者が赴いた日付がその特定した圃場における作業期間内に該当し、かつ、気象条件を満たしていた場合には、特定した圃場において作業内容データベース6に予め登録されている作業を実施したものとして記録することで、生産者が携帯端末10を携帯して圃場に赴くだけで電子化された農作業日誌を完成させることができる(【0021】)
圃場管理システム。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2の【0020】【0024】の記載からみて、当該引用文献2には、「農作業機に燃料センサ等を備え、管理センターに燃料残量等を送信する」という技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3の【0057】【0058】の記載からみて、当該引用文献3には、「環境センサ等を備えたデータ収集現場設置端末からデータ収集サーバにデータが送信される」という技術的事項、また、「農機具データ入力部や農作業データ入力部を備えたデータ収集携帯端末から、前記データ収集現場設置端末又は前記データ収集サーバにデータが送信される」という技術的事項が記載されていると認められる。

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4の【0007】-【0012】の記載からみて、当該引用文献4には、「農業機械のセンサからの情報(走行距離、燃料消費量等)をデータ収集装置が取得する」という技術的事項が記載されていると認められる。

5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5の【0049】【0059】【0086】の記載からみて、当該引用文献5には、「農業における作業計画(圃場、工程、予定日、機械名等)を表示、印刷したり、作業実績を入力すること、また、作業実績をサーバに送信する」という技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア.本願発明1の「サーバ」及び「携帯端末」に関して
引用発明の「中央処理装置1」は、「GPS付き携帯端末10からインターネット8を経由してデータを取り込み、圃場の管理を行う」ことから、本願発明1の「サーバ」に相当し、引用発明の「携帯端末10」(「GPS付き携帯端末10」)は本願発明1の「通信部と、を有し、前記サーバと通信可能な携帯端末」に相当する。

イ.本願発明1の「作業計画設定手段」に関して
引用発明の「中央処理装置1」は、「データベースアクセス処理部14」を有しており、「圃場データベース4」や「作業内容データベース6」のデータの「参照、更新などを行う」ものであるところ、前記「圃場データベース4」には、「圃場を特定するための圃場番号23などの情報」が格納されており、前記「作業内容データベース6」には、「栽培作物の種類とその作物を栽培する間の作業内容を格納」している。
したがって、引用発明における「作業内容」、「圃場を特定するための圃場番号」により特定される圃場は、各々、本願発明1における「農作業」、「前記農作業を行う圃場」に相当し、当該「作業内容」及び「圃場を特定するための圃場番号」が、本願発明1の「前記農作業を行う前に事前に計画される作業計画であって前記農作業及び前記農作業を行う圃場を含む作業計画」に相当し、引用発明の「データベースアクセス処理部14」が、本願発明1の「前記農作業を行う前に事前に計画される作業計画であって前記農作業及び前記農作業を行う圃場を含む作業計画」「を作成する作業計画設定手段」に相当する。

ウ.本願発明1の「記憶手段」に関して
引用発明では、「作業内容」、「圃場を特定するための圃場番号」は、各々、「作業内容データベース6」、「圃場データベース4」に格納されていることから、引用発明は、「作業内容データベース6」及び「圃場データベース4」、が記憶された記憶手段、すなわち、本願発明1の「前記作業計画設定手段で設定した作業計画の農作業及び前記圃場」「を記憶する記憶手段」に相当する構成を備えているといえる。

エ.本願発明1の「農業支援システム」に関して
引用発明の「圃場管理システム」は、「中央処理装置1」と「携帯端末10」を含み、「生産者が携帯端末10を携帯して圃場に赴くだけで電子化された農作業日誌を完成させる」ことによって、農業の支援を行っているといえることから、引用発明の「圃場管理システム」は、本願発明1の「農業支援システム」に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

<一致点>
「農作業を行う前に事前に計画される作業計画であって前記農作業及び前記農作業を行う圃場を含む作業計画を作成する作業計画設定手段と、前記作業計画設定手段で設定した作業計画の農作業及び前記圃場を記憶する記憶手段と、サーバと、
通信部を有し、前記サーバと通信可能な携帯端末と、
を備えた、農業支援システム。」

<相違点>
<相違点1>
本願発明1は、「圃場の農作業を行う農業機械に設けられ且つ前記農業機械で農作業を行った場合の農作業データを収集するデータ収集装置」を備えているのに対し、引用発明はそのような構成を備えていない点。

<相違点2>
本願発明1では、農作業及び圃場に加え「農作業データ」を記憶するのに対し、引用発明では、「農作業データ」を記憶しない点。

<相違点3>
本願発明1は、「サーバ」が前記「記憶手段」を有しているのに対し、引用発明は、「中央処理装置1」(本願発明1の「サーバ」に相当)が、本願発明の「記憶手段」に相当する構成にアクセスしてデータの参照や更新を行うものの、当該「記憶手段」に相当する構成を「中央処理装置1」が有しているのか否か明示されていない点。

<相違点4>
本願発明1は、「携帯端末」が「少なくとも前記作業計画と同じ項目である圃場及び農作業、農作業を行う農業機械を含み且つ農作業後に作成される作業内容を作成可能な作成手段」を備えているのに対し、引用発明の「携帯端末10」は、そのような構成を備えていない点。

<相違点5>
本願発明1は、「携帯端末」の「通信部」が「作成手段で作成した作業内容の圃場、農作業及び農業機械をサーバに送信し且つ前記作業計画設定手段で作成された作業計画の農作業及び圃場を受信する」のに対し、引用発明の「携帯端末10」は、そのような構成を備えていない点。

<相違点6>
本願発明1は、「携帯端末」が「前記作業内容の圃場、農作業及び農業機械、前記作業計画の農作業及び圃場を表示する表示部」を備えているのに対し、引用発明の「携帯端末10」は、そのような構成を備えていない点。

(2)相違点についての判断
ア.上記相違点4について検討すると、相違点4に係る本願発明1の、携帯端末が「少なくとも前記作業計画と同じ項目である圃場及び農作業、農作業を行う農業機械を含み且つ農作業後に作成される作業内容を作成可能な作成手段」を備えるという構成が、上記「第5」の引用文献2-5にも記載されていない。また、当該構成は周知技術であるともいえない。

イ.上記相違点5について検討すると、相違点5に係る本願発明1の、携帯端末の通信部が「作成手段で作成した作業内容の圃場、農作業及び農業機械をサーバに送信し且つ前記作業計画設定手段で作成された作業計画の農作業及び圃場を受信する」という構成が、上記「第5」の引用文献2-5にも記載されていない。また、当該構成は周知技術であるともいえない。

ウ.上記相違点6について検討すると、相違点6に係る本願発明1の、携帯端末が「前記作業内容の圃場、農作業及び農業機械、前記作業計画の農作業及び圃場を表示する表示部」を備えるという構成が、上記「第5」の引用文献2-5にも記載されていない。また、当該構成は周知技術であるともいえない。

エ.上記ア.乃至ウ.のとおり、本願発明1は、上記相違点1乃至相違点3について判断するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-5について
本願発明2-5も、本願発明1の「少なくとも前記作業計画と同じ項目である圃場及び農作業、農作業を行う農業機械を含み且つ農作業後に作成される作業内容を作成可能な作成手段」、「作成手段で作成した作業内容の圃場、農作業及び農業機械をサーバに送信し且つ前記作業計画設定手段で作成された作業計画の農作業及び圃場を受信する」及び「前記作業内容の圃場、農作業及び農業機械、前記作業計画の農作業及び圃場を表示する表示部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
審判請求時の補正により、本願発明1-5は、「少なくとも前記作業計画と同じ項目である圃場及び農作業、農作業を行う農業機械を含み且つ農作業後に作成される作業内容を作成可能な作成手段」、「作成手段で作成した作業内容の圃場、農作業及び農業機械をサーバに送信し且つ前記作業計画設定手段で作成された作業計画の農作業及び圃場を受信する」及び「前記作業内容の圃場、農作業及び農業機械、前記作業計画の農作業及び圃場を表示する表示部」という事項を有するものとなっており、上記「第5」で示したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-5に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 当審拒絶理由について
当審では、請求項1の「前記農業データ」という記載の意味、請求項3の「前記農作業で行った圃場の位置」という記載の意味、が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、平成31年2月7日の手続補正において、請求項1については「前記農作業データ」と補正され、請求項3については「前記農作業を行った圃場の位置」と補正された結果、この拒絶の理由は解消した。

第8 むすび
以上のとおり、本願発明1-5は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-04-23 
出願番号 特願2016-226636(P2016-226636)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06Q)
P 1 8・ 121- WY (G06Q)
最終処分 成立  
前審関与審査官 塩田 徳彦  
特許庁審判長 渡邊 聡
特許庁審判官 田中 秀樹
石川 正二
発明の名称 農業支援システム  
代理人 安田 幹雄  

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