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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1351310 |
審判番号 | 不服2016-16868 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-11-10 |
確定日 | 2019-05-08 |
事件の表示 | 特願2014-529620「インタ予測方法及びその装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月14日国際公開、WO2013/036071、平成26年10月30日国内公表、特表2014-529254〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2012年(平成24年)9月7日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年9月9日 米国、2011年9月29日 米国、2011年11月8日 米国、2011年11月9日 米国、2011年11月27日 米国、2011年12月21日 米国、2012年1月6日 米国、2012年1月12日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年 3月25日 :手続補正書の提出 平成27年 3月16日付け:拒絶理由通知書 同年 6月24日 :意見書、手続補正書の提出 同年12月22日付け:拒絶理由通知書(最後) 平成28年 4月 8日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 4日付け:補正の却下の決定、拒絶査定 同年11月10日 :審判請求書、手続補正書の提出 平成29年10月 6日 :上申書の提出 平成30年 3月19日付け:拒絶理由通知書(当審) 同年 6月18日 :意見書、手続補正書の提出 同年 7月 2日付け:拒絶理由通知書(当審、最後) 同年 9月27日 :意見書の提出 第2 本願発明 平成30年6月18日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 なお、各構成の符号(A)?(J)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成A?構成Jと称する。 (本願発明) (A)並列マージレベルについての情報を含むビットストリームを受信するステップと、 (B)予測ユニットに対応する現ブロックのマージ候補リストを導出するステップと、 (C)前記マージ候補リストに基づいて、予測対象の前記現ブロックの動き情報を導出するステップと、 (D)前記導出された動き情報に基づいた前記現ブロックに対する予測を行うことによって、前記予測ユニットに対応する予測されたブロックを生成するステップと、 (E)前記予測された現ブロックに基づいた復元ブロックを生成するステップと、を有し、 (F)前記現ブロックは並列マージ領域に属し、前記並列マージ領域の大きさは、前記並列マージレベルについての情報により決定され、 (G)前記周辺ブロックの中の、前記現ブロックと同一の前記並列マージ領域に属する周辺ブロックは、前記マージ候補リストとして利用できず、 (H)複数の予測ユニットは符号化ユニット(CU)から分割され、前記予測ユニットは前記複数の予測ユニットの一つであり、 (I)前記並列マージ領域の中の前記複数の予測ユニットは、前記マージ候補リストを共有する、 (J)映像復号方法。 第3 拒絶の理由 平成30年7月2日付けで当審が通知した拒絶理由は、次のとおりのものである。 本願の請求項1?3に係る発明について優先権主張の効果を認めることはできず、本願の請求項1?3に係る発明に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、本願の出願日(国際出願日)の2012年(平成24年)9月7日である。 そして、本願の請求項1?3に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物(以下、「引用文献」という。)に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (引用文献) Xing Wen et al., "Parallel Merge/skip Mode for HEVC", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 7th Meeting: Geneva, 2011-11-23, [JCTVC-G387] (version 2) 第4 優先権 1.本願発明の構成Iは、パリ条約による優先権主張の基礎とされた以下8件の出願の明細書、特許請求の範囲及び図面(以下、「明細書等」という。)のいずれにも記載されていない。 出願1:米国特許仮出願第61/532562号(2011年9月9日) 出願2:米国特許仮出願第61/540543号(2011年9月29日) 出願3:米国特許仮出願第61/557337号(2011年11月8日) 出願4:米国特許仮出願第61/557861号(2011年11月9日) 出願5:米国特許仮出願第61/563817号(2011年11月27日) 出願6:米国特許仮出願第61/578832号(2011年12月21日) 出願7:米国特許仮出願第61/583622号(2012年1月6日) 出願8:米国特許仮出願第61/585654号(2012年1月12日) 出願4の22頁18?20行(上申書に添付された参考資料2(英文テキスト)の25頁1?4行、及び、平成30年9月27日提出の意見書に添付された参考資料1(英文テキスト)の25頁1?4、6?8行と対応)には、CUやLCUのユニットに対してマージ候補リストを共有することが記載されている。しかしながら、当該記載箇所には、並列マージ領域についての記載はない。 また、出願2及び4の18?19頁(上申書に添付された参考資料1及び2(英文テキスト)の20頁、並びに、平成30年9月27日提出の意見書に添付された参考資料1(英文テキスト)の19?20頁と対応)に説明されている並列マージレベルについての情報(log2_parallel_merge_level_minus2)により特定される領域MERに関して、出願2及び4の21?22頁(上申書に添付された参考資料1及び2(英文テキスト)の23頁、並びに、平成30年9月27日提出の意見書に添付された参考資料1(英文テキスト)の23頁と対応)には、当該領域MER内のPUにおいて、使用できない候補(candidate)を当該領域MERの外側の候補に置き換える構成が記載されている。しかしながら、当該構成は、マージ候補リストを共有するもの(本願の図14に相当するもの)ではない。 出願1?8の明細書等の上記以外の箇所においても、構成Iについての記載はない。 よって、構成Iは、出願1?8の明細書等に記載されていたものではない。 2.(1)なお、請求人は、平成30年9月27日に提出した意見書において、概略、次のように主張している。 「優先権基礎出願4の25頁に、CU及びLCUのみでなく、並列マージ領域も、マージ候補リストを共有するために利用されることが記載されています。」 「英訳の18頁から26頁の「Parallel Merge/Skip」の節において、PUに対するマージ候補を導出する様々な方法が、並行処理を考慮して導入されています。 英訳の19頁から20頁によれば、並列マージのための並列マージ領域は並列マージレベル(log2_parallel_merge_level_minus2)に関する情報を利用して伝えられる。並列マージレベルに関する情報は、merge_level_minus2の数字、即ち、0,1,2,3,4を利用して並列マージ領域のサイズを指示する。 また、同じ「Parallel Merge/Skip」の節の25頁によれば、「エンコーダー側とデコーダー側で並列性(これは、数により指定できる、又は、CU又はLCUのユニットでありうる)を満たすため送信された又は予め決められたユニットにおいて、マージ候補リスク(当審注:「リスト」の誤記と認める。)を導出する時、共通マージ候補リストは、導出され、利用されうる。例えば、前記予め決められたユニットがLCUである場合、LCU内での全ての予測ユニットはマージモード又はスキップモードにおいて符号化されたマージ候補リストを共有する。」 出願人は、同じ「Parallel Merge/Skip」の節において、数により指定された(「Parallel Merge/Skip」の節での)並列性を満足するために送信されたユニットが、並列マージレベル(log2_parallel_merge_level_minus2)についての送信された情報の0から4により指定された並列マージ領域に対応するのみであることは、当業者にとっては、明確であり又は自明であると考えます。」 上記主張について検討する。 上記出願4の22頁18?20行(平成30年9月27日提出の意見書に添付された参考資料1(英文テキスト)の25頁1?4行と対応)には、以下の記載(以下、「記載A」という。)がある。 「 」 (当審における仮訳:「マージ候補リストを誘導するとき、符号化及び復号化段でパラレリズムを満足させるために、予め定義された又は伝送された単位(数字で指定されることもでき、CU又はLCU単位であることもできる)内で共通のマージ候補リストを誘導して使用することもできる。」) 上記記載Aにおいて、「数字」に関しては「単位(数字で指定される・・・)」と記載されているのみである。ここで、一般に「数字」という用語は、数値的な意味としても符号的な意味としても使用されるものであり、例えば、上記単位について用いられる場合には、単位のサイズを数値で表現することも通常想定されうるものである。 また、出願4の18?19頁(平成30年9月27日提出の意見書に添付された参考資料1(英文テキスト)の19?20頁と対応)には、上記記載Aが属する「Parallel Merge/Skip」の節において、並列マージレベル(log2_parallel_merge_level_minus2)に関する情報である0?4が記載されているが、上記記載Aには並列マージ領域についての記載は存在しない。よって、上記「並列マージレベル(log2_parallel_merge_level_minus2)に関する情報である0?4」が、上記記載Aの「数字」の記載と一意に関連付けられているものと認めることはできない。 以上から、上記記載Aにおける「数字」の記載は、出願4の18?19頁における「Parallel Merge/Skip」の節に記載されている「並列マージレベル(log2_parallel_merge_level_minus2)に関する情報の0?4」に一意に対応していたものと認めることはできない。 (2)また、平成30年9月27日に提出した意見書において、請求人は、出願4の21頁(上申書に添付された参考資料2(英文テキスト)の23頁と対応)の「(b) Replace candidates with the candidates outside MER」の図(次の左側の図。以下、「図A」という。)が間違っており、次の右側の図を修正図とし、当該修正図において同じマージ候補リストが利用可能である旨も主張している。 しかしながら、上記図Aにおいても、「MERの内部におけるPUの候補を使用不可能とする方法の動作を改善するために、当該候補をMERの外側の候補に置き換える」という図Aを説明する記載(出願4の21?22頁)に対応したMERの外側の候補として理解されうる配置となっているものと認められるから、図Aについて、マージ候補を共通の配置に修正すべきとの明らかな誤りがあったものとは認められない。 したがって、平成30年9月27日に提出した意見書において、「(b) Replace candidates with the candidates outside MER」の図を修正図へと修正して、同じマージ候補リストが利用可能であるとする請求人の主張は、採用することができない。 3.よって、本願発明の構成Iは、出願4の明細書等に記載されたものではなく、出願1?3、5?8の明細書等にも記載されたものではないから、本願発明について優先権主張の効果を認めることはできず、本願発明に対して特許法第29条を適用する際の判断の基準となる日は、本願の出願日(国際出願日)の2012年(平成24年)9月7日である。 第5 引用文献 1 引用文献の記載事項 平成30年7月2日付けで当審が通知した拒絶理由において引用された引用文献(上記第3を参照。)には、次の事項が記載されている。(以下、下線は強調のために当審で付したものである。) (1)「Abstract The current HEVC merge/skip is copying motion parameters to the current PU from a candidate list which consists of spatial and temporal neighbouring PUs. However, it is hard for parallel encoding and decoding due to the data dependency. Furthermore, different shapes and position of PU would result in different definition of candidate lists; this would lead to potentially extra hardware cost and not easy to be efficiently implemented by the hardware. Base on JCTVC-F069 [1], we proposed four schemes for parallel merge/skip mode. The scheme 1 uses identical candidate list for all the PUs inside certain motion estimation regions (MER).」(1頁1?8行) (当審による仮訳: 概要 現在のHEVCにおけるマージ/スキップは、空間的及び時間的に隣接するPUで構成される候補リストから現在のPUに動きパラメータをコピーすることである。しかしながら、並列的な符号化及び復号化はデータ依存性のため困難である。さらに、PUの異なる形や位置は候補リストに対し異なる定義をすることになる。このことは潜在的な追加ハードウェアコストにつながり、効率的なハードウェア実装は容易ではない。JCTVC-F069 [1] に基づき、我々は並列マージ/スキップモードのための4つの方法を提案した。提案法1は、ある動き推定領域(MER)内の全てのPUについて同一の候補リストを用いるものである。) (2)「1 Introduction In current HEVC merge/skip mode design [2] is highly sequential and introduces dependency among neighboring PUs. It leads to difficulty for the motion estimation on the encoder side for the pipelined architecture, and also prevents the decoder side to achieve parallel motion compensation. Figure 1 illustrates the candidate list construction of the merge/skip mode defined in HM4.0. For the merge/skip mode of the current PU, a total of five neighboring PUs (i.e. left (A), above (B), above-right (C), bottom-left (D) and above-left (E)s neighboring PUs) and temporally co-located PUs (right-bottom (2) and center (2)) are involved to form the merge/skip mode candidate list. The reference index for temporal TMVP derivation also depends on the availability and reference index of neighbors of the current PU.」(1頁17行?2頁6行) (当審による仮訳: 1 はじめに 現在のHEVCマージ/スキップモードの構成[2]は高度に連続的であり、隣接するPUに依存関係をもたらす。これにより、符号化側での動き推定をパイプライン構造で行うことが困難となり、復号側でも並列的な動き補償を行うことができない。 図1はHM4.0で定義されているマージ/スキップモードの候補リストの構成を示す。現在のPUのマージ/スキップモードのために5つの隣接するPU(つまり左(A)、上(B)、右上(C)、左下(D)及び左上(E))と、時間的に同位置に同位置にあるPU(右下(2)及び中央(2))が、マージ/スキップモードの候補リストを構成するために関連付けられる。時間的なTMVPの導出のための参照インデックスも現在のPUの隣接の入手可能性と参照インデックスに依存する。) (3)「 Figure 1. Illustration of the merge/skip MVP candidate list of HM4.0」(2頁図1) (当審による仮訳: 図1 HM4.0のマージ/スキップのMVP候補リストの説明図) (4)「In JCTVC-F069 [2], a slice level syntax element (log2_parallel_merge_level_minus2) is signaled to signal the parallel merge/skip level. Based on the value of this syntax element, a LCU is divided into a number of non-overlapped motion estimation regions (MER) of square shape. As described in JCTVC-F069 [2], a high level syntax element log2_parallel_merge_level_minus2 is added to Picture parameter set (PPS) RBSP syntax as shown in table 1 to indicate the parallel depth of merge/skip. The LCU is divided into non-overlapped square regions, called motion estimation regions (MER). All the PU located in same MR can be processed in parallel. The size of MER is defined by the log2_parallel_merge_level_minus2, as shown in Table 2.」(3頁7行?4頁3行) (当審による仮訳: JCTVC-F069 [2] において、スライスレベルのシンタックス要素(log2_parallel_merge_level_minus2)が並列マージ/スキップレベルを示すために伝送される。このシンタックス要素の値に基づき、LCUは多数の重複しない正方形の動き推定領域(MER)に分割される。JCTVC-F069[2]のとおり、ハイレベルシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2は、マージ/スキップの並列の深さを示すために、表1に示されるようにピクチャパラメータセット(PPS)のRBSPシンタックスに加えられている。 LCUは、動き推定領域(MER)という重複しない正方形の領域に分割される。同一のMERに位置する全てのPUが並列処理可能である。MERの大きさは表2に示すlog2_parallel_merge_level_minus2により定義される。) (5)「Our proposed scheme 1 use same candidate list for all PU with all size in the same MER, so each MER can derive and only derive once of the candidate list and use this list for all PUs inside this MER. The candidate list of MER in proposed scheme 1 is derived as follows: 1. Based on log2_parallel_merge_level_minus2, divide the LCU into non-overlapped MRs, the number of MR for different merge_depth are listed in Table 2. . 2. Generate the spatial candidate list for each MER, and all PUs with all sizes in same MER use identical spatial candidate (ISC) list. For example, in Figure 3, the spatial candidate list of MER0 is generated from A, B, C, D and E. The spatial candidate lists for PU0 and PU1 in MER0 are same. In MER3, the spatial candidate list is generated 3. Generate the temporal candidate list for each MR to make sure all PUs inside same MR use identical temporal candidate (ITC).」(5頁3?13行) (当審による仮訳: 我々の提案法1では、同一のMER内の全サイズの全PUのために同じ候補リストを用いるため、各MERでは候補リストを一度求めるだけであり、このリストをこのMER内の全てのPUに用いることができる。提案法1におけるMERの候補リストは以下のようにして求められる。 1.log2_parallel_merge_level_minus2に基づき、LCUを重複しないMRに分割する。異なるマージ深さのためのMRの数は表2に示されている。 2.各MERの空間候補リスト生成し、同一のMER内の全サイズの全PUは、同一空間候補(ISC)リストを用いる。例えば、図3において、MER0の空間候補リストはA、B、C、D、Eから生成される。MER0内のPU0とPU1の空間候補リストは同じである。MER3において空間候補リストが生成される。 3.同一のMR内の全てのPUが同一時間候補(ITC)を用いるようにするために、各MRの時間候補リストを生成する。) (6)「 Figure 3 Scheme 1: unified candidate list for PUs inside same MER」 (5頁図3) (当審による仮訳: 図3 案1:同一MER内のPUのための統一候補リスト) (7)「5 References [1] M. Zhou, “Parallelized merge/skip mode for HEVC,” JCT-VC Document, JCTVC-F069, Torino, July 2011. [2] T. Wiegand, B. Bross, W.-J. Han, J.-R. Ohm, G. J. Sullivan, “WD4: Working Draft 4 of High-Efficiency Video Coding,” JCT-VC Document, JCTVC-E803, Torino, July 2011. 」(13頁1?5行) 2 参考文献の記載事項 上記1(2)の「現在のHEVCのマージ/スキップモードの構成」において引用されている上記1(7)の文献[2]『T. Wiegand, B. Bross, W.-J. Han, J.-R. Ohm, G. J. Sullivan, “WD4: Working Draft 4 of High-Efficiency Video Coding,” JCT-VC Document, JCTVC-E803, Torino, July 2011』(version 8、2011年11月20日ウェブサイト掲載、http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/current_document.php?id=3286)(以下、「参考文献」という。)には、次の事項が記載されている。なお、前記「E803」は、タイトルや開催地、開催時期等との整合性から、「F803」の誤記と認められる。 (8)「Decoding process for coding units coded in inter prediction mode consists of following ordered steps: 1. The inter prediction process as specified in subclause 8.4.1 is invoked with the luma location ( xC, yC ), coding unit size log2CUSize, inter prediction mode PredMode, and prediction partition mode PartMode as the inputs and the outputs are 3 arrays predSamples_(L), predSamples_(Cb), predSamples_(Cr). 2. The decoding process for the residual signal of coding units coded in inter prediction mode specified in subclause 8.4.3 is invoked with the luma location ( xC, yC ), the size of the current coding unit log2CUSize as inputs and the outputs are 3 arrays resSamples_(L), resSamples_(Cb), resSamples_(Cr). 3. The residual signal accumulation process as specified in subclause XXXX is invoked with arrays predSamples_(L), predSamples_(Cb), predSamples_(Cr), and the arrays resSamples_(L), resSamples_(Cb), resSamples_(Cr) as the inputs and the outputs are 3 arrays recSamples_(L), recSamples_(Cb), recSamples_(Cr). [Ed: (WJ) it may be split per each color component. Revisit after writing residual signal accumulation process]」(99頁12行?22行) (当審による仮訳: インタ予測モードで符号化された符号化ユニットの復号方法は、次の順序のステップを含む。 1.従属節8.4.1に示す、輝度信号の位置( xC, yC )、符号化ユニットのサイズlog2CUSize、インタ予測モードPredMode、予測パーティションモードPartModeを入力とし、3つの配列predSamples_(L)、predSamples_(Cb)、predSamples_(Cr)を出力とするインタ予測プロセスを実行する。 2.従属節8.4.3に示す、輝度信号の位置( xC, yC )、現在の符号化ユニットのサイズlog2CUSizeを入力とし、3つの配列resSamples_(L)、resSamples_(Cb)、resSamples_(Cr)を出力とするインタ予測モードの符号化ユニットの残差信号の復号プロセスを実行する。 3.従属節XXXXに示す、predSamples_(L), predSamples_(Cb), predSamples_(Cr)の列とresSamples_(L), resSamples_(Cb), resSamples_(Cr)の列を入力とし、3つの配列recSamples_(L), recSamples_(Cb), recSamples_(Cr)を出力とする残差信号加算プロセスを実行する。) (9-1)「8.4.1 Inter prediction process」(99頁27行) (当審による仮訳: 8.4.1. インタ予測プロセス) (9-2)「1. The decoding process for prediction units in inter prediction mode as specified in subclause 8.4.2 is invoked with the luma location ( xC, yC ), the luma location ( xB, yB ) set equal to ( 0, 0 ), the size of the coding unit nCS_(L), the width of the luma prediction samples nPSW set equal to nCS_(L), the height of the luma prediction samples nPSH set equal to nCS_(L) and a partition index PartIdx set equal to 0 as inputs, and the outputs are a (nCS_(L))x(nCS_(L)) array predSamples_(L) and two (nCS_(C))x(nCS_(C)) arrays predSamples_(Cb) and predSamples_(Cr).」(100頁17行?21行) (当審による仮訳: 1.従属節8.4.2に示す、輝度信号の位置( xC, yC )、( 0, 0 )に設定された輝度信号の位置( xB, yB )、符号化ユニットのサイズnCS_(L)、nCS_(L)に設定された輝度予測サンプルの幅nPSW、nCS_(L)に設定された輝度予測サンプルの高さnPSH、0に設定された分割インデックスPartIdxを入力とし、(nCS_(L))×(nCS_(L))の配列のpredSamples_(L)と2つの(nCS_(C))×(nCS_(C))の配列のpredSamples_(Cb)、predSamples_(Cr)を出力とするインタ予測モードでの予測ユニットの復号プロセスを実行する。) (10-1)「8.4.2 Decoding process for prediction units in inter prediction mode」(101頁14行) (当審による仮訳: 8.4.2 インタ予測モードでの予測ユニットの復号プロセス) (10-2)「2. Decoding process for inter sample prediction as specified in subclause 8.4.2.2. Inputs to this process are - a luma location ( xC, yC ) of the top-left luma sample of the current coding unit relative to the top-left luma sample of the current picture, - a luma location ( xB, yB ) of the top-left luma sample of the current prediction unit relative to the top-left luma sample of the current coding unit, - a variable nCS specifying the size of the current coding unit, - variables specifying the width and the height of the prediction unit for luma, nPSW and nPSH. - luma motion vectors mvL0 and mvL1, and chroma motion vectors mvCL0 and mvCL1, - reference indices refIdxL0 and refIdxL1, - prediction list utilization flags predFlagL0 and prefFlagL1. Outputs of this process are - inter prediction samples (predSamples); which are a (nCS_(L))x(nCS_(L)) array predSamples_(L) of prediction luma samples and two (nCS_(C))x(nCS_(C)) arrays predSamples_(Cr), and predSamples_(Cr) of prediction chroma samples, one for each of the chroma components Cb and Cr.」(101頁45行?102頁13行) (当審による仮訳: 2.従属節8.4.2.2に示すインタサンプル予測のための復号処理 本処理の入力は、 - 現在のピクチャの左上の輝度サンプルに対応する現在の符号化ユニットの左上の輝度サンプルの輝度信号の位置( xC, yC ) - 現在の符号化ユニットの左上の輝度サンプルに対応する現在の予測ユニットの左上の輝度サンプルの輝度信号の位置( xB, yB ) - 現在の符号化ユニットのサイズを特定する変数nCS - 輝度の予測ユニットの幅、高さを特定する変数nPSW、nPSH - 輝度の動きベクトルmvL0、mvL1、色差の動きベクトルmvCL0、mvCL1 - 参照インデックスrefIdxL0、refIdxL1 - 予測リスト利用フラグpredFlagL0、prefFlagL1 であり、本処理の出力は、 - インタ予測サンプル(predSamples);予測輝度サンプルの(nCS_(L))×(nCS_(L))の配列predSamples_(L)と色差成分Cb、Crの2つの予測色差サンプルの(nCS_(C))×(nCS_(C))の配列predSamples_(Cb)、predSamples_(Cr)) である。 3 引用文献に記載の技術的事項 上記1及び2に摘記した記載(1)?(10-2)、及び、この分野における技術常識から、引用文献には、以下(ア)?(ウ)の技術的事項が記載されているものと認められる。 (ア)HEVCのマージモードの構成について (ア-1)記載(1)には、「HEVCのマージは、空間的及び時間的に隣接するPUで構成される候補リストから現在のPUに動きパラメータをコピーすること」が記載されている。前記「動きパラメータ」が「動きベクトル」に対応するものであることは、当業者に自明の事項である。 (ア-2)記載(2)及び(3)には、「現在のPUのマージモードのために5つの隣接するPU(つまり左(A)、上(B)、右上(C)、左下(D)及び左上(E))と、時間的に同位置に同位置にあるPU(右下(1)及び中央(2))が、マージモードの候補リストを構成するために関連付けられること」が記載されている。 (ア-3)引用文献のHEVCのマージ/スキップモードの構成を示すものとして引用されている参考文献には、記載(8)に、「インタ予測モードで符号化された符号化ユニットの復号方法」として、その1番目の処理において従属節8.4.1の処理を実行すること、記載(9-1)及び(9-2)に、前記従属節8.4.1において従属節8.4.2の処理を実行すること、記載(10-1)及び(10-2)に、前記従属節8.4.2において輝度信号や色差信号の動きベクトルから(nCSL)x(nCSL)の配列のインタ予測サンプルpredSamplesを生成すること、が記載されている。よって、参考文献には、前記「インタ予測モードで符号化された符号化ユニットの復号方法」の第1の処理において、「輝度信号や色差信号の動きベクトルから 二次元配列のインタ予測サンプルpredSamplesを生成すること」が記載されている。 また、前記記載(8)には、前記復号プロセスの3番目の処理において、「インタ予測サンプルpredSamplesに残差信号を加算してrecSamplesを出力すること」が記載されている。 (イ)JCTVC-F069の構成について (イ-1)記載(4)には、「並列マージレベルを示すために、動き推定領域MERの大きさを定義するシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2が伝送されること」及び「シンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2は、ピクチャパラメータセットのRBSPシンタックスに加えられていること」が記載されている。 (イ-2)記載(4)及び(5)には、「シンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2に基づき、LCUは多数の重複しない正方形の動き推定領域(MER)に分割されること」が記載されている。 (ウ)引用文献で提案された構成について (ウ-1)記載(5)及び(6)には、「対象のMERに隣接するブロックA?Eにより候補リストが作成され、同一のMER内の全PUが同一の候補リストを用いること」が記載されている。 4 引用発明 以上より、引用文献には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 なお、各構成の符号(a)?(h)は、説明のために当審で付したものであり、以下、構成a?構成hと称する。 (a)現在のPUのマージモードのために5つの隣接するPU(つまり左、上、右上、左下及び左上)と、時間的に同位置に同位置にあるPU(右下及び中央)が、マージモードの候補リストを構成するために関連付けられ、 (b)マージ処理として、空間的及び時間的に隣接するPUで構成される前記候補リストから現在のPUに動きベクトルをコピーし、 (c)前記動きベクトルから 二次元配列のインタ予測サンプルを生成し、 (d)前記インタ予測サンプルに残差信号を加算した信号を出力するものであって、 (e)並列マージレベルを示すために、動き推定領域MERの大きさを定義するシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2が、ピクチャパラメータセットのRBSPシンタックスに加えられて、伝送され、 (f)前記シンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2に基づき、LCUが多数の重複しない正方形の動き推定領域(MER)に分割され、 (g)対象のMERに隣接するブロックA?Eにより候補リストが作成され、同一のMER内の全てのPUが同一の候補リストを用いるものである (h)インタ予測モードで符号化された符号化ユニットの復号方法。 第6 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 1 本願発明の構成Aについて 引用発明の構成eの「並列マージレベルを示すために、動き推定領域MERの大きさを定義するシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2」は、本願発明の構成Aの「並列マージレベルについての情報」に相当する。また、ピクチャパラメータセットは送受信されるビットストリームに含まれるものであることは、当業者に明らかな事項であるから、前記「シンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2」も送受信されるビットストリームに含まれるものであることは明らかである。 よって、構成eの「並列マージレベルを示すために、動き推定領域MERの大きさを定義するシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2が、ピクチャパラメータセットのRBSPシンタックスに加えられて、伝送され」ることは、構成Aの「並列マージレベルについての情報を含むビットストリームを受信するステップ」に相当する。 2 本願発明の構成Bについて 引用発明の構成aの「PU」は、本願発明の構成Bの「予測ユニット」に相当する。そして、構成aの、現在のPUのマージモードのために「5つの隣接するPU(つまり左、上、右上、左下及び左上)」で構成される「マージモードの候補リスト」は、本願発明の構成Bの「予測ユニットに対応する現ブロックのマージ候補リスト」に相当する。 よって、構成aの「現在のPUのマージモードのために5つの隣接するPU(つまり左、上、右上、左下及び左上)が、マージモードの候補リストを構成するために関連付けられ」ることは、構成Bの「予測ユニットに対応する現ブロックのマージ候補リストを導出するステップ」に相当する。 3 本願発明の構成Cについて 引用発明の構成bの「現在のPU」及び「動きベクトル」は、本願発明の構成Cの「現ブロック」及び「動き情報」に相当する。また、構成bの「動きベクトルをコピー」することは、構成Cの「動き情報を導出する」ことに相当する。 以上から、構成bの「マージ処理として、空間的及び時間的に隣接するPUで構成される前記候補リストから現在のPUに動きベクトルをコピー」することは、構成Cの「前記マージ候補リストに基づいて、予測対象の前記現ブロックの動き情報を導出するステップ」に相当する。 4 本願発明の構成Dについて 引用発明の構成cの「前記動きベクトル」からインタ予測に基づき生成される「二次元配列のインタ予測サンプル」は、構成Dの「前記導出された動き情報に基づいた前記現ブロックに対する予測を行うことによって、前記予測ユニットに対応する予測されたブロック」に相当する。そして、構成cの「前記動きベクトルから 二次元配列のインタ予測サンプルを生成」することは、構成Dの「前記導出された動き情報に基づいた前記現ブロックに対する予測を行うことによって、前記予測ユニットに対応する予測されたブロックを生成するステップ」に相当する。 5 本願発明の構成Eについて 引用発明の構成dの「前記インタ予測サンプルに残差信号を加算した信号」は、本願発明の構成Eの「前記予測された現ブロックに基づいた復元ブロック」に相当する。そして、構成dの「前記インタ予測サンプルに残差信号を加算した信号を出力する」ことは、構成Eの「前記予測された現ブロックに基づいた復元ブロックを生成するステップ」に相当する。 6 本願発明の構成Fについて 引用発明の構成eの「動き推定領域MER」は、並列マージレベルに対応するものであり、構成Fの「並列マージ領域」に相当する。そして、構成eは「並列マージレベルを示すため」の「動き推定領域MERの大きさを定義するシンタックス要素log2_parallel_merge_level_minus2」を有するから、構成Fの「前記並列マージ領域の大きさは、前記並列マージレベルについての情報により決定され」に相当する構成を備えているといえる。また、構成aの「現在のPU」が属するMERが構成gの「対象のMER」であるから、現ブロックは並列マージ領域に属しているといえる。 以上から、引用発明は、構成Fの「前記現ブロックは並列マージ領域に属し、前記並列マージ領域の大きさは、前記並列マージレベルについての情報により決定され」ることに相当する構成を有している。 7 本願発明の構成Gについて 引用発明の構成gの「対象のMERに隣接するブロックA?Eにより候補リストが作成」される構成において、当該候補リストを構成するブロックには、当該MER内のものは含まれていないから、構成gは、本願発明の構成Gの「前記周辺ブロックの中の、前記現ブロックと同一の前記並列マージ領域に属する周辺ブロックは、前記マージ候補リストとして利用できず」という構成を備えているといえる。 8 本願発明の構成Hについて 引用発明の構成fの「LCU」は、本願発明の構成Hの「符号化ユニット(CU)」に相当する。そして、引用発明は、構成fの「LCUが多数の重複しない正方形の動き推定領域(MER)に分割され」る構成を有し、かつ、構成gの「同一のMER内の全てのPU」との構成により、MER内にPUが含まれるものであるから、本願発明の構成Hの「複数の予測ユニットは符号化ユニット(CU)から分割され」る構成を有している。 また、構成f及び構成gのLCUから分割される各PUは、引用発明の復号処理が行われるユニットであることは明らかであるから、構成Hの「前記予測ユニットは前記複数の予測ユニットの一つ」であるといえる。 よって、引用発明は、構成Hの「複数の予測ユニットは符号化ユニット(CU)から分割され」る構成、及び、「前記予測ユニットは前記複数の予測ユニットの一つであり」との構成を備えているといえる。 9 本願発明の構成Iについて 引用発明の構成gの「同一のMER内の全てのPUが同一の候補リストを用いる」ことは、構成Iの「前記並列マージ領域の中の前記複数の予測ユニットは、前記マージ候補リストを共有する」ことに相当する。 10 本願発明の構成Jについて インタ予測モードは映像の符号化における技術であるから、引用発明の構成hの「インタ予測モードで符号化された符号化ユニットの復号方法」は、本願発明の構成Jの「映像復号方法」に相当する。 11 まとめ 上記1?10のとおり、本願発明の構成A?構成Jは、いずれも引用発明の構成との間に差異がないから、本願発明は引用文献に記載された発明である。 第7 むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2018-11-21 |
結審通知日 | 2018-11-27 |
審決日 | 2018-12-10 |
出願番号 | 特願2014-529620(P2014-529620) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 坂東 大五郎 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
樫本 剛 小池 正彦 |
発明の名称 | インタ予測方法及びその装置 |
代理人 | 中村 健一 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 河合 章 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 青木 篤 |