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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F |
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管理番号 | 1351349 |
審判番号 | 不服2018-1929 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-13 |
確定日 | 2019-05-07 |
事件の表示 | 特願2016- 84567号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月 6日出願公開、特開2016-174919号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年3月18日に出願した特願2015-54998号の一部を平成28年4月20日に新たな特許出願(特願2016-84567号)としたものであって、平成29年4月20日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年6月20日に意見書が提出されたところ、平成29年11月6日付け(発送日:平成29年11月14日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年2月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、平成30年11月14日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年1月16日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願請求項1に係る発明は、平成31年1月16日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載の事項により特定されるとおりのものであると認められ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、分説してAないしHの符号を付与すると、次のとおりのものである(なお、下線は上記手続補正書による補正箇所を示す。)。 「【請求項1】 A 光源から出射された光を透過させる第一透過部が形成された第一演出部材と、 B 前記第一演出部材とは別に独立して存在する部材であって、前記第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部が形成された第二演出部材と、 を備え、 C 前記第一透過部は、前記第二透過部に重なる、前記光源が位置する側の反対側に突出する透過凸部を含み、 D 前記第二演出部材には、前記第二透過部である貫通孔が形成され、当該貫通孔内に前記透過凸部が入り込んでおり、 E 前記第一演出部材および前記第二演出部材は、一体的に回転するものであり、 F 前記透過凸部および前記貫通孔は、前記第一演出部材および前記第二演出部材の回転中心からずれた位置に形成されており、 G 前記第二演出部材には、回転中心側から外側に向かって延びる基準線に沿って並ぶ複数の前記貫通孔の集合体である一または複数の線状透過部が形成されていることを特徴とする H 遊技機。」 第3 平成30年11月14日付け拒絶理由の概要 当審による平成30年11月14日付け拒絶理由の概要は、請求項1に係る発明に対する拒絶理由を含むものであって、以下のとおりのものである。 理由1:請求項1に係る発明は、その原出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2:請求項1に係る発明は、その原出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物1及び2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、以下の(1)及び(2)の記載のとおり、その原出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 (1)請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に、刊行物2に記載された事項を適用することによって当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)請求項1に係る発明は、刊行物2に記載された発明に、刊行物1に記載された事項を適用することによって当業者が容易に発明をすることができたものである。 記 刊行物1:特開2010-119666号公報 刊行物2:特開2011-130791号公報 第4 刊行物に記載された事項並びに引用発明 1 刊行物2 (1) 記載事項 刊行物2には以下の記載がある(下線は当審が付与した。以下同様。)。 刊2-ア 「【0001】 本発明は、パチンコ遊技機の演出用電飾装置の改良に関する。」 刊2-イ 「【0028】 遊技盤110には、演出用電飾装置150が設けられている。演出用電飾装置150は、回転・発光する回転発光部155(図2に示す)を有している。通常時には、回転発光部155は、遊技盤110の上部に(装飾図柄表示装置111の上方、外側に)位置している。リーチ状態時等には、図2に示されるように、回転発光部155が落下して、装飾図柄表示装置111の前面に進出し、発光・回転し、遊技者に大当たりへの期待感を与えるようになっている。回転発光部155の発光・回転が終了すると、回転発光部155は、再び、装飾図柄表示装置111の外側に退避するようになっている。 【0029】 前面枠200の下部には、手前側に膨出形成された受皿203が設けられている。受皿203は、貸し出された遊技球、払い戻された賞球、ファウル球を多数収納するものである。前面枠200の下部には、遊技盤110上に遊技球を発射操作するためのハンドル202が回動自在に取り付けられている。遊技者がハンドル202を回動させると、遊技球が間欠的に発射され、当該遊技球が遊技盤110上に配設されたレール132、133間を上昇して遊技盤110の上部位置に達した後に、遊技領域112内を落下するようになっている。 【0030】 (演出用電飾装置の構造) 以下、図3?図5を用いて、演出用電飾装置150の構造について詳細に説明する。なお、図3において、(A)は回転発光部155が上方に格納されている状態の演出用電飾装置150の正面図、(B)は(A)の裏面図、(C)は回転発光部155が装飾図柄表示装置111の前面に進出した状態の演出用電飾装置150の正面図、(D)は(C)の裏面図である。図3に示されるように、演出用電飾装置150は、基部151と、この基部151に上下方向にスライド可能に取り付けられたスライドレール152と、このスライドレール152に上下方向スライド可能に取り付けられた回転発光部155とから構成されている。基部151は、スライドレール152及び回転発光部155を、下方に落下させ、或いは、上方に引き上げるための、モータと複数のギアを有している。 【0031】 回転発光部155は、スライドレール152に上下方向スライド可能に取り付けられたベース部材159と、このベース部材159に取り付けられた基板157(図4に示す)と、基板157の前方に配設され、ベース部材159に回転自在に取り付けられた略円盤形状の回転配光部材156と、回転配光部材156を回転させるモータ158(図5に示す)とから構成されている。 【0032】 図4に示されるように、基板157は、円盤形状であり、表面に多数の発光部材157aが配設されている。本実施形態では、発光部材157aは、所定角度をおいて、同心円状に配設されている。本実施形態では、発光部材157aは、赤色、緑色、青色の演出光を照射することができ、これら各色の組み合わせにより広範な色を表現することができるフルカラーLED(Light Emitting Diode)である。なお、発光部材157aは、赤色、緑色、青色を同時に発光することにより、白色の演出光を発光することができる。基板157には、各発光部材157aに直流電流を印加させて、各発光部材157aを発光させるための回路(図示せず)が形成されている。前記回路には、直流電流が印加される。なお、本実施形態では、回転発光部155が装飾図柄表示装置111の前面に進出している状態では、発光部材157aに常時(途切れること無く)直流電流が印加されるようになっている。 【0033】 本実施形態では、回転配光部材156は、略円盤形状であり、外縁から裏面側に突出した側壁部156eが形成され、銭貨形状となっている。側壁部156eが形成された回転配光部材156により、基板157の前面及び外縁は完全に覆われている。回転配光部材156は、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂で構成され、着色半透明となっている。本実施形態では、回転配光部材156は、茶色や黄金色のような銭貨色となっている。本実施形態では、回転配光部材156の表面又は裏面に、ハーフ蒸着によるアルミニウム等の蒸着金属薄膜層156f(図6に示す)を形成することにより、回転配光部材156を着色半透明にしている。回転配光部材156が半透明となっているので、遊技者は、基板157を視認することができず、遊技者に煩雑な印象を与えないようになっている。特に、回転配光部材156に蒸着金属薄膜層156fを形成すると、発光部材157aが発光していない状態では、前記蒸着金属薄膜層156fで光が反射して、遊技者は基板157を全く視認することができないが、発光部材157aが発光した場合には、発光部材157aから発光される演出光が、前記蒸着金属薄膜層156fを透光し、透光部材157a全体が光って見える。回転配光部材156の表面には、配光レンズ156aが形成されている。配光レンズ156aは、半透明で無く、透明となっている。配光レンズ156aは、本実施形態では、ドーム形状の凸レンズである。配光レンズ156aは、回転配光部材156に対して相対動する発光部材157aの軌跡と一致する位置に形成されている。言い換えると、回転配光部材156の移動による配光レンズ156aの軌跡を、基板157の表面に投影することでできる軌跡線上に、発光部材157aが配置されている。配光レンズ156aの移動軌跡円の中心は、回転配光部材156の回転中心と同一となっている。なお、ハーフ蒸着により、回転配光部材156を半透明にする場合には、配光レンズ156aが形成されている箇所をマスキングしてから、ハーフ蒸着を行う。 【0034】 図5や図6に示されるように、回転配光部材156の裏面には、散光層156bが形成されている。散光層156bは、透明であるが、ダイヤカット、シボ、ローレット、磨りガラス状等の凹凸処理加工部156g(図6に示す)が形成されている。凹凸処理加工部156gは、金型加工や二次加工により形成される。なお、配光レンズ156aが形成されている位置と一致する位置の散光層156bには、凹凸処理加工部156gが形成されていない透光部156cが形成されている。各発光部材157aを発光させた場合には、各発光部材157aから照射される演出光が、散光層156bの凹凸処理加工部156gで、複雑に屈折し、回転配光部材156全体が淡く発光するようになっている。このため、回転配光部材156全体が光って見え、回転配光部材156が目立つ。なお、回転配光部材156に、散光層156bが形成されていない場合には、発光部材157aが配設されている位置のみが強く発光し、遊技者に煩雑な印象を与えてしまう。なお、散光層156bをシート状の別体としても差し支えない。この場合には、穴を開けることにより透光部156cを形成しても差し支えない。なお、回転配光部材156には側壁部156eが形成されているので、各発光部材157aが発光した際に、各発光部材157aから照射される演出光が、回転配光部材156の外縁から漏洩しないので、遊技者に煩雑な印象を与えない。 【0035】 図5に示されるように、回転配光部材156の裏面には、ギア部156dが形成されている。ギア部156dは、モータ158の回転軸に取り付けられた回転ギア158aと噛合している。モータ158に駆動電流が印加すると、回転配光部材156が回転し、回転配光部材156が基板157に対して相対動する。なお、モータ158は、ベース部材159に取り付けられている。 【0036】 (本発明の作用) 図7を用いて、本発明の作用について説明する。なお、図7において、回転配光部材156の表面に形成された文字等を省略して表している。回転発光部155が装飾図柄表示装置111の前面に進出すると、全ての発光部材157aが発光する。図7の(A)に示されるように、配光レンズ156aの位置が、発光部材157aと一致しない場合には、配光レンズ156aから演出光は放射されず、回転配光部材156全体が淡く発光する。回転配光部材156が回転して、図7の(B)や(C)に示されるように、配光レンズ156aの位置が、発光部材157aと一致した場合には、発光部材157aから発光された演出光が、配光レンズ156aで集光されて、回転配光部材156の前方に照射される。遊技者は装飾図柄表示装置111(回転発光部155)の前方に座っているので、配光レンズ156aで集光された演出光が、遊技者の目に到達し、配光レンズ156aが輝くように光って見える。このため、装飾図柄表示装置111の前面に進出した回転発光部155が目立つ。 回転する回転配光部材156は、一定周期で、配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致するので、遊技者には、回転発光部155があたかも点滅しているように見える。また、図7に示される実施形態では、発光部材157aが所定角度をおいて、同心円状に(小円157b及びこの小円157bの外側の大円157c上に)に設けられ、小円157b上に設けられた発光部材157aと配光レンズ156aが一致する時と、大円157c上に設けられた発光部材157aと配光レンズ156aが一致する時が異なるので、複雑に回転発光部155が発光しているように見える。勿論、図7の(B)や(C)に示される状態であっても、回転配光部材156全体は淡く発光する。 【0037】 (第2の実施形態) 図8を用いて、第1の実施形態と異なる点について第2の実施形態を説明する。第2の実施形態では、発光部材157aは、所定角度をおいて同心円状に、且つ、放射状に、基板157上に配設されている。図8に示される実施形態では、配光レンズ156aは、所定角度をおいて同心円状に、発光部材157aと同数形成されている。勿論、配光レンズ156aは、回転配光部材156と相対動する発光部材157aの軌跡と一致する位置の回転配光部156に形成されている。第2の実施形態では、図8に示されるように、外側の配光レンズ156aを、内側の配光レンズ156aに対して、所定角度θずらして形成している。このため、内側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致した状態から(図8の(A)の状態)、回転配光部材156が、前記所定角度θ回転すると、図8の(B)に示されるように、外側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致して、外側の配光レンズ156aから演出光が照射される。更に、回転配光部材156が、前記所定角度θ回転すると、図8の(C)に示されるように、更に外側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致して、更に外側の配光レンズ156aから演出光が照射される。このように、第2の実施形態では、外側の配光レンズ156aを、内側の配光レンズ156aに対して、所定角度θずらして形成したので、基板157上の発光部材157aが常時点灯していたとしても、同心円内側の配光レンズ156aから演出光が照射された後に、順次、より外側の配光レンズ156aから演出光が照射され、あたかも爆発しているように見え、遊技者に強烈な印象を与える。」 刊2-ウ 「図2 ![]() 」 刊2-エ 「図4 ![]() 」 刊2-オ 「図5 ![]() 」 刊2ーカ 「図6 ![]() 」 刊2-キ 「図8 ![]() 」 (2) 認定事項 上記刊2-アないし刊2-キに摘記した刊行物2の記載より、以下の事項が導き出せる。なお、(a)ないし(h)の符号は、本願発明に付したAないしHの符号に対応するものである。 (a) 上記刊2-ウに示した図2より、パチンコ遊技機1が演出用電飾装置150を有することが認定できる。 また、上記刊2-イに示した段落【0028】には、「演出用電飾装置150は、回転・発光する回転発光部155」「を有し」、「回転発光部155は、」「発光・回転し、遊技者に大当たりへの期待感を与えるようになっている」点が記載されており、同段落【0031】には、「回転発光部155は、」「ベース部材159と、」「このベース部材159に取り付けられた基板157」「と、」「ベース部材159に回転自在に取り付けられた略円盤形状の回転配光部材156と、回転配光部材156を回転させるモータ158」「とから構成され」ている点が記載され、同段落【0032】には、「基板157は、円盤形状であり、表面に多数の発光部材157aが配設されて」いる点が記載されている。 そして、同段落【0033】には、「回転配光部材156は、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂で構成され」る点、「回転配光部材156の表面には、配光レンズ156aが形成され」る点、及び、「配光レンズ156aは、」「透明となっている」点が記載されている。 さらに、段落【0036】には、「発光部材157aから発光された演出光が、配光レンズ156aで集光されて、回転配光部材156の前方に照射される」点が記載されている。 したがって、上記記載より、演出用電飾装置150を有するパチンコ機1であって(図2)、演出用電飾装置150は、回転・発光する回転発光部155を有し、回転発光部155は、発光・回転し、遊技者に大当たりへの期待感を与えるようになっており(段落【0028】)、回転発光部155は、ベース部材159と、このベース部材159に取り付けられた基板157と、ベース部材159に回転自在に取り付けられた略円盤形状の回転配光部材156と、回転配光部材156を回転させるモータ158とから構成され(段落【0031】)、基板157は、円盤形状であり、表面に多数の発光部材157aが配設され(段落【0032】)、回転配光部材156は、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂で構成され、回転配光部材156の表面には、配光レンズ156aが形成され、配光レンズ156aは、透明となっており(段落【0033】)、発光部材157aから発光された演出光が、配光レンズ156aで集光されて、回転配光部材156の前方に照射される(段落【0036】)点が認定できる。 (b) 上記刊2-イに示した段落【0033】には、「回転配光部材156は、」「銭貨形状となって」いる点、「茶色や黄金色のような銭貨色となって」いる点、及び、「回転配光部材156の表面」「に、ハーフ蒸着によるアルミニウム等の蒸着金属薄膜層156f」「を形成する」点が記載され、また、同段落【0033】には、「ハーフ蒸着により、回転配光部材156を半透明にする場合には、配光レンズ156aが形成されている箇所をマスキングしてから、ハーフ蒸着を行う。」と記載されており、上記刊2-カに示した図6を参照すると、回転配光部材156の樹脂で構成された部分の表面に設けられる蒸着金属薄膜層156fは、配光レンズ156aの部位に設けられておらず、その部位に蒸着金属薄膜層156fの不在部が形成された点が見て取れる。 したがって、上記記載より、回転配光部材156は、銭貨形状とされ、茶色や黄金色のような銭貨色となっており、回転配光部材156の樹脂部分の表面には、ハーフ蒸着によるアルミニウム等の蒸着金属薄膜層156fが形成されるとともに、配光レンズ156aの部位には蒸着金属薄膜層156fは設けられず、薄膜層不在部が形成された点が認定できる。 (c) 上記刊2-イに示した段落【0033】には、「回転配光部材156の表面には、配光レンズ156aが形成されている。」「配光レンズ156aは、」「ドーム形状の凸レンズである。」と記載されており、上記刊2-カに示した図6の記載、及び、上記(b)を参照すると、配光レンズ156aは、回転配光部材156の樹脂部分の、発光部材157aが位置する側と反対側に突出するドーム形状の凸レンズであり、上記薄膜層不在部に形成される点が見て取れる。 したがって、上記記載より、配光レンズ156aは、回転配光部材156の樹脂部分の、発光部材157aが位置する側と反対側に突出するドーム形状の凸レンズであり、上記薄膜層不在部に形成される点が認定できる。 (d) 上記刊2-カに示した図6の記載、及び、上記(b)を参照すると、上記薄膜層不在部には、配光レンズ156aが入り込んだ態様とされる点が見て取れる。 したがって、上記記載より、上記薄膜層不在部には、配光レンズ156aが入り込んだ態様とされる点が認定できる。 (e) 上記刊2-イに示した段落【0031】には、「回転発光部155は、」「ベース部材159と、」「ベース部材159に回転自在に取り付けられた略円盤形状の回転配光部材156と、回転配光部材156を回転させるモータ158」「とから構成され」る点が記載されていることから、回転配光部材156は回転するものであると認められる。 また、上記刊2-イに示した段落【0033】には、「回転配光部材156の表面」「に、ハーフ蒸着によるアルミニウム等の蒸着金属薄膜層156f(図6に示す)を形成する」と記載されているように、蒸着金属薄膜層156fはハーフ蒸着により回転配光部材156の樹脂部分の表面に形成されるものであり、両者は一体とされたものである。 してみると、回転配光部材156が回転するときは、回転配光部材156の回転時に蒸着金属薄膜層156fが回転配光部材156の樹脂部分と一体として回転することは当業者にとって明らかである。 したがって、上記の記載より、回転配光部材156の樹脂部分と蒸着金属薄膜層156fとは一体として回転するものである点が認定できる。 (f) 上記刊2-キに示した図8を参照すると、回転配光部材156に形成された配光レンズ156aは、回転配光部材156の回転の中心からずれた位置に形成された点が見て取れる。 そして、上記(b)及び(c)より、配光レンズ156aと薄膜層不在部は、回転配光部材156の表面において同じ位置に存在するから、薄膜層不在部も、回転配光部材156の回転の中心からずれた位置に形成されたことは明らかである。 したがって、上記記載より、配光レンズ156aおよび薄膜層不在部は、回転配光部材156の回転の中心からずれた位置に形成された点が認定できる。 (g) 上記刊2-イに示した段落【0037】には、「配光レンズ156aは、所定角度をおいて同心円状に、発光部材157aと同数形成されている。」「外側の配光レンズ156aを、内側の配光レンズ156aに対して、所定角度θずらして形成している。」「内側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致した状態から(図8の(A)の状態)、回転配光部材156が、前記所定角度θ回転すると、図8の(B)に示されるように、外側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致して、外側の配光レンズ156aから演出光が照射される。更に、回転配光部材156が、前記所定角度θ回転すると、図8の(C)に示されるように、更に外側の配光レンズ156aと発光部材157aの位置が一致して、更に外側の配光レンズ156aから演出光が照射される。」と記載されており、また、上記刊2-キに示した図8の(A)ないし(C)を参照すると、回転配光部材156には、「内側の配光レンズ」、「外側の配光レンズ」、「更に外側の配光レンズ」が、それぞれ同心円状に同数形成され、1つの「内側の配光レンズ」に対して、対応する「外側の配光レンズ」が、所定角度θずらして形成され、当該「外側の配光レンズ」に対して、対応する「更に外側の配光レンズ」が、所定角度θずらして形成されている点が見て取れる。 そして、上記(f)より、配光レンズ156aと薄膜層不在部は、回転配光部材156の表面において同じ位置に設けられるものである。 したがって、上記記載より、薄膜層不在部は、「内側の薄膜層不在部」、「外側の薄膜層不在部」、「更に外側の薄膜層不在部」が、それぞれ同心円状に同数形成され、1つの「内側の薄膜層不在部」に対して、対応する「外側の薄膜層不在部」が、所定角度θずらして形成され、当該「外側の薄膜層不在部」に対して、対応する「更に外側の薄膜層不在部」が、所定角度θずらして形成されている点が認定できる。 (h) 上記2-アに示した段落【0001】には、「本発明は、パチンコ遊技機の演出用電飾装置の改良に関する。」と記載されていることから、刊行物2に記載された発明が、パチンコ遊技機1に関する発明であると認定できる。 (3) 引用発明2 上記刊2-アないし刊2-キの記載を含む刊行物2に記載された事項、及び、上記(a)ないし(h)に示した認定事項を総合すると、刊行物2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているといえる。(aないしhの符号は、本願発明のAないしHに対応させて、当審にて付与した。また、括弧内に示された段落番号は刊行物2における引用箇所を示す。) (引用発明2) 「a 演出用電飾装置150を有するパチンコ遊技機1であって(図2)、 演出用電飾装置150は、回転・発光する回転発光部155を有し、回転発光部155は、発光・回転し、遊技者に大当たりへの期待感を与えるようになっており(段落【0028】)、 回転発光部155は、ベース部材159と、このベース部材159に取り付けられた基板157と、ベース部材159に回転自在に取り付けられた略円盤形状の回転配光部材156と、回転配光部材156を回転させるモータ158とから構成され(段落【0031】)、 基板157は、円盤形状であり、表面に多数の発光部材157aが配設され(段落【0032】)、 回転配光部材156は、ポリカーボネートやアクリル等の樹脂で構成され、回転配光部材156の表面には、配光レンズ156aが形成され、配光レンズ156aは、透明となっており(段落【0033】)、 発光部材157aから発光された演出光が、配光レンズ156aで集光されて、回転配光部材156の前方に照射され(段落【0036】)、 b 回転配光部材156は、銭貨形状とされ、茶色や黄金色のような銭貨色となっており、回転配光部材156の樹脂部分の表面には、ハーフ蒸着によるアルミニウム等の蒸着金属薄膜層156fが形成されるとともに、配光レンズ156aの部位には蒸着金属薄膜層156fは設けられず、薄膜層不在部が形成され(段落【0033】、図6)、 c 配光レンズ156aは、回転配光部材156の樹脂部分の、発光部材157aが位置する側と反対側に突出するドーム形状の凸レンズであり、上記薄膜層不在部に形成され(段落【0033】、図6)、 d 薄膜層不在部には、配光レンズ156aが入り込んだ態様とされ(図6)、 e 回転配光部材156の樹脂部分と蒸着金属薄膜層156fとは一体として回転するものであり(段落【0031】、【0033】、図6)、 f 配光レンズ156aおよび薄膜層不在部は、回転配光部材156の回転の中心からずれた位置に形成され(図6、図8)、 g 薄膜層不在部は、「内側の薄膜層不在部」、「外側の薄膜層不在部」、「更に外側の薄膜層不在部」が、それぞれ同心円状に同数形成され、1つの「内側の薄膜層不在部」に対して、対応する「外側の薄膜層不在部」が、所定角度θずらして形成され、当該「外側の薄膜層不在部」に対して、対応する「更に外側の薄膜層不在部」が、所定角度θずらして形成された(段落【0037】、図8) h パチンコ遊技機1(段落【0001】)。」 2 刊行物1 (1) 記載事項 刊行物1には以下の記載がある。 刊1-ア 「【0015】 (パチンコ機について) 実施例に係るパチンコ機10は、図1に示すように、・・・」 刊1-イ 「【0019】 ・・・所定の制御条件下で発光および回転動作される回転演出装置40(後述)が配設されている。」 刊1-ウ 「【0021】 (回転演出装置について) 図5、図6、図7または図8に示すように、前記枠状装飾体30に配設される前記回転演出装置40は、LED基板(発光体基板)50および駆動モータ(駆動手段)53が配設されるベース部材41と、LED基板50の前側に位置するようベース部材41に回転可能に支持され、駆動モータ53の駆動によりLED基板50の前側で回転される可動体60と、当該ベース部材41に固定されて可動体60の外周囲を囲繞する筒状部材90とから形成されて、駆動モータ53の駆動により、筒状部材90の内側で可動体60が回転するよう構成される。なお、前記回転演出装置40を枠状装飾体30に配設した状態では、前記可動体60および筒状部材90が前面に露出し、前記ベース部材41は枠状装飾体30により被覆されるようになっている。」 刊1-エ 「【0023】 ここで、前記LED基板50の前面には、・・・前方(機前面側)へ光を照射可能な第1LED(第1発光体)51・・・が実装されている。・・・。」 刊1-オ 「【0025】 (可動体について) 図9、図10または図11に示すように、前記可動体60は、前記LED基板50の前面に対向する光透過部材64と、該光透過部材64の前側に配設されたレンズ部材70と、光透過部材64およびレンズ部材70の間に配設される光拡散シート74と、レンズ部材70の前側に配設される装飾カバー体76とから構成されている。・・・」 刊1-カ 「【0028】 (レンズ部材) 前記レンズ部材70の外郭形状は、図9または図10に示すように、前記光透過部材64の外郭形状より全体的に小型に形成されると共に、正面視において略相似形をなすよう形成されており、光透過部材64とレンズ部材70とを前後に重ね合わせた際に、正面視においてレンズ部材70が光透過部材64の内側に隠れるようになっている。また、前記レンズ部材70には、前記光透過部材64の第1レンズ部65と前後に整列する位置に、前方へ膨出する5つの第2レンズ部71が夫々形成されており、該第1レンズ部65を透過した光が第2レンズ部71に照射されるようになっている。また、前記レンズ部材70の裏面(光透過部材64との対向面)には光拡散処理がなされており、第1レンズ部65を透過した光を拡散して第2レンズ部71の全体が明輝されるようになっている。ここで、前記光拡散処理としては、シボ加工等によりレンズ部材70の裏面に凹凸が形成されている。なお、光拡散処理は、前記第2レンズ部71の裏面に対応する部位に少なくとも施されていればよい。 刊1-キ 「【0030】 (装飾カバー体) 図9、図10または図11に示すように、前記装飾カバー体76は、前記レンズ部材70の前面を覆う前面板77と、該前面板77の外周囲から後方へ延出する外側面79とから後方に開口するよう形成されている。そして、前記前面板77と外側面79とで囲まれる装飾カバー体76の内部に、前記光透過部材64、レンズ部材70および光拡散シート74の夫々が収容されている。前記装飾カバー体76の前面板77は、前記レンズ部材70と略同一の曲率で球面状に膨出するよう形成されると共に、該レンズ部材70に設けられた各第2レンズ部71に対応して、前後に開口する5つの露出窓部(露出部)78が形成されている。すなわち、前記装飾カバー体76の前面板77の裏側にレンズ部材70を当接させた際に、各露出窓部78に第2レンズ部71が臨むようになっている。 【0031】 また、前記装飾カバー体76には、前記レンズ部材70の各切欠き部72と対応する位置に、該切欠き部72と嵌合する位置決めボス(図示せず)が後方へ突出するよう形成されており、該位置決めボスが対応の切欠き部72に嵌合することで、装飾カバー体76に対してレンズ部材70および光拡散シート74の夫々が位置決めされる。そして、前記光透過部材64のネジ挿通孔68に挿通したネジを各位置決めボスの後端部に形成したネジ孔(図示せず)に螺挿することで、光透過部材64と装飾カバー体76とが固定される。すなわち、前記光透過部材64を装飾カバー体76にネジ止めすることで、該光透過部材64と装飾カバー体76との間に配置された前記レンズ部材70および光拡散シート74が狭持固定されて、可動体60を単一部品として取り扱い得るようになっている。」 刊1-ク 「【0039】 〔実施例の作用〕 次に、前述のように構成された実施例に係るパチンコ機10の作用について説明する。 【0040】 前記遊技盤20に設けた内外のレール22a,22bに沿って遊技領域20aに打ち出されたパチンコ球は、遊技盤20上に設けた遊技釘等に接触して流下方向を変更しながら流下する。そして、前記遊技領域20aを流下するパチンコ球が前記始動入賞装置23に入賞すると、前記図柄表示装置17において所要の図柄変動演出が開始され、図柄変動演出の結果、図柄表示装置17に特定の図柄組合わせが表示されると大当りが発生し、前記特別入賞装置24が開放してパチンコ球の入賞が許容される。そして、前記始動入賞装置23にパチンコ球が入賞すると、所定の制御条件下で前記回転演出装置40の発光により発光演出が行なわれると共に、可動体60の回転により動作演出が行なわれる。」 刊1-ケ 「図1 ![]() 」 刊1-コ 「図5 ![]() 」 刊1-サ 「図9 ![]() 」 刊1-シ 「図10 ![]() 」 刊1-ス 「図11 ![]() 」 (2) 認定事項 ア 上記刊1-アに示した段落【0015】には、「実施例に係るパチンコ機10」が「図1に示」されることが記載され、上記1-ケに示した図1には、回転演出装置40が図示されており、上記刊1-イに示した段落【0019】には、「所定の制御条件下で発光および回転動作される回転演出装置40」「が配設され」た点が記載されていることから、上記記載より、パチンコ機10において、所定の制御条件下で発光および回転動作される回転演出装置40が配設されている点が認定できる。 イ 上記刊1-ウに示した段落【0021】の記載より、前記回転演出装置40は、LED基板(発光体基板)50および駆動モータ(駆動手段)53が配設されるベース部材41と、LED基板50の前側に位置するようベース部材41に回転可能に支持され、駆動モータ53の駆動によりLED基板50の前側で回転される可動体60から形成された点が認定できる。 ウ 上記刊1-オに示した段落【0025】の記載より、前記可動体60は、レンズ部材70と、レンズ部材70の前側に配設される装飾カバー体76とから構成される点が認定できる。 エ 上記刊1-カに示した段落【0028】の記載より、前記レンズ部材70には、前方へ膨出する5つの第2レンズ部71が形成されている点が認定できる。 オ 上記刊1-キに示した【0030】の記載より、前記装飾カバー体76は、前記レンズ部材70の前面を覆う前面板77と、該前面板77の外周囲から後方へ延出する外側面79とから後方に開口するよう形成され、前記装飾カバー体76の前面板77は、該レンズ部材70に設けられた各第2レンズ部71に対応して、前後に開口する5つの露出窓部(露出部)78が形成された点が認定できる。 カ 上記刊1-スに示した図11を参照すると、レンズ部材70に設けられた第2レンズ部71の凸状の部位が、装飾カバー体76の前面板77に設けられた露出窓部78に入り込んでいる点が見て取れる。そして、上記刊1-エに示した段落【0023】には、LED基板50には第1LED51が実装され、光が照射可能となっている点が記載されていることから、上記図11を参照すると、第1LED51から照射される光が、第2レンズ部材71、露出窓部78の順に、透過されることが見てとれる。 キ 上記刊1-キに示した段落【0031】には、「可動体60を単一部品として取り扱い得る」と記載されていることから、レンズ部材70と装飾カバー体76が、一体として回転し得るものであると認定できる。 ク 上記刊1-クに示した段落【0040】には、「所定の制御条件下で前記回転演出装置40の発光により発光演出が行なわれると共に、可動体60の回転により動作演出が行なわれる」点が記載されている。 ケ 上記刊1-コに示した図5を参照すると、回転演出装置40の可動体60を構成する装飾カバー体76及び露出窓部78に入り込んた第2レンズ部71により、遊技者に対して、特有の装飾効果を奏することが見てとれる。 (3) 引用発明1 上記刊1-アないし刊1-スの記載を含む刊行物1に記載された事項、及び、上記アないしケに示した認定事項を総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 (引用発明1) 「所定の制御条件下で発光および回転動作される回転演出装置40が配設されたパチンコ機10において(段落【0015】、【0019】、図1、認定事項ア)、 前記回転演出装置40は、LED基板(発光体基板)50および駆動モータ(駆動手段)53が配設されるベース部材41と、LED基板50の前側に位置するようベース部材41に回転可能に支持され、駆動モータ53の駆動によりLED基板50の前側で回転される可動体60から形成され(段落【0021】、認定事項イ)、 前記可動体60は、レンズ部材70と、レンズ部材70の前側に配設される装飾カバー体76とから構成され(段落【0025】、認定事項ウ)、 前記レンズ部材70には、前方へ膨出する5つの第2レンズ部71が形成されており(段落【0028】、認定事項エ)、 前記装飾カバー体76は、前記レンズ部材70の前面を覆う前面板77と、該前面板77の外周囲から後方へ延出する外側面79とから後方に開口するよう形成され(段落【0030】、認定事項オ)、 前記装飾カバー体76の前面板77は、該レンズ部材70に設けられた各第2レンズ部71に対応して、前後に開口する5つの露出窓部(露出部)78が形成され(段落【0030】、認定事項オ)、 第2レンズ部71と露出窓部78は、第2レンズ部71、露出窓部78の順にLED基板50に設けられた第1LED51からの光を透過するものであり(段落【0023】、図11、認定事項カ)、 レンズ部材70と装飾カバー体76が、一体として回転し得るものであり(段落【0031】、認定事項キ)、 回転演出装置40の発光により発光演出が行なわれると共に、可動体60の回転により動作演出が行なわれ、可動体60を構成する装飾カバー体76及び露出窓部78に入り込んた第2レンズ部71により、遊技者に対して特有の装飾効果を奏する(図5、認定事項ク、認定事項ケ) パチンコ機10。」 第5 対比 引用発明2と本願発明とを対比する。 1 本願発明のAの特定事項について 引用発明2の構成aにおける「演出光」を「発光」する「発光部材157a」は、本願発明の「光」を「出射」する「光源」に相当する。 また、引用発明2の構成aにおける「回転配光部材156の樹脂部分」は、「表面に」「透明」な「配光レンズ156a」を備えるものであり、この「配光レンズ156a」は、「発光部材157aから発光された演出光が、配光レンズ156aで集光されて、回転配光部材156の前方に照射」するものであるから、引用発明2の「透明」な「配光レンズ156a」は、本願発明の「光を透過させる第一透過部」に相当する。 そして、引用発明2の「回転配光部材156」は、「発光・回転し、遊技者に大当たりへの期待感を与える」ための回転発光部155の一部であるから、演出部材であるといえる。 よって、引用発明2の「表面に」「透明」な「配光レンズ156aが形成され」た「樹脂部分」を有する「回転配光部材156」は、本願発明の「光を透過させる第一透過部が形成された第一演出部材」に相当する。 2 本願発明のBの特定事項について 引用発明2の構成bにおける「ハーフ蒸着によ」り「形成され」た「蒸着金属薄膜層156f」の「配光レンズ156aの部位に」「形成され」た「薄膜層不在部」は、「配光レンズ156a」を透過した光が透過するものであるから、本願発明の「第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部」に相当する。 そして、引用発明2の構成bにおける「回転配光部材156の樹脂部分の表面に」「ハーフ蒸着によ」り「形成され」「配光レンズ156aの部位に」「薄膜層不在部」が「形成され」た「蒸着金属薄膜層156f」と、本願発明の「前記第一演出部材とは別に独立して存在する部材であって、前記第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部が形成された第二演出部材」とは、第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部が形成された第二演出部である点で共通する。 3 本願発明のCの特定事項について 引用発明2の構成cにおける「配光レンズ156a」が「上記薄膜層不在部に形成される」ことは、本願発明の「前記第一透過部は、前記第二透過部に重なる」ことに相当する。 また、引用発明2の構成cにおける「ドーム形状の凸レンズであ」ることは、本願発明の「透過凸部を含」むことに相当する。よって、引用発明2の「配光レンズ156aは、」「回転配光部材156の樹脂部分の、発光部材157aが位置する側と反対側に突出するドーム形状の凸レンズであ」ることは、本願発明の「前記第一透過部は、」「前記光源が位置する側の反対側に突出する透過凸部を含」むことに相当する。 したがって、引用発明2の構成cにおける「配光レンズ156aは、回転配光部材156の樹脂部分の、発光部材157aが位置する側と反対側に突出するドーム形状の凸レンズであり、上記薄膜層不在部に形成され」ることは、本願発明の「前記第一透過部は、前記第二透過部に重なる、前記光源が位置する側の反対側に突出する透過凸部を含」むことに相当する。 4 本願発明のDの特定事項について 引用発明2の構成bにおける「配光レンズ156aの部位には蒸着金属薄膜層156fは設けられず、薄膜層不在部が形成され」ることは、結果的に、蒸着金属薄膜層156fに孔が形成されたともいえることから、本願発明の「貫通孔が形成され」ることに相当する。 また、引用発明2の構成dにおける「薄膜層不在部には、配光レンズ156aが入り込んだ態様とされ」ることは、本願発明の「当該貫通孔内に前記透過凸部が入り込んで」いることに相当する。 よって、引用発明2の「配光レンズ156aの部位には蒸着金属薄膜層156fは設けられず、薄膜層不在部が形成され」、「薄膜層不在部には、配光レンズ156aが入り込んだ態様とされ」ることと、本願発明の「前記第二演出部材には、前記第二透過部である貫通孔が形成され、当該貫通孔内に前記透過凸部が入り込んで」いることとは、第二演出部には、第二透過部である貫通孔が形成され、当該貫通孔に透過凸部が入り込んでいる点で共通する。 5 本願発明のEの特定事項について 引用発明2の構成eにおける「回転配光部材156の樹脂部分と蒸着金属薄膜層156fとは一体として回転するものであ」ることと、本願発明の「前記第一演出部材および前記第二演出部材は、一体的に回転するものであ」ることは、第一演出部材と第二演出部は、一体的に回転するものである点で共通する。 6 本願発明のFの特定事項について 引用発明2の構成fにおける「配光レンズ156aおよび薄膜層不在部は、回転配光部材156の回転の中心からずれた位置に形成され」る点と、本願発明の「前記透過凸部および前記貫通孔は、前記第一演出部材および前記第二演出部材の回転中心からずれた位置に形成されて」いる点は、透過凸部および貫通孔は、第一演出部材および第二演出部の回転中心からずれた位置に形成されている点で共通する。 7 本願発明のGの特定事項について 引用発明2において、1つの「内側の薄膜層不在部」の外側には、回転の中心に対して所定角度θずらして、対応する「外側の薄膜層不在部」が設けられ、その外側には、さらに所定角度θずらして、対応する「更に外側の薄膜層不在部」が設けられており、それらを結ぶと、回転中心側から外側に向かって延びる線が特定できることが見て取れる。したがって、蒸着金属薄膜層156fに形成された薄膜層不在部は、回転中心側から外側に向かって延びる基準線に沿って並ぶ複数の薄膜層不在部の集合体である一または複数の線状透過部を成していると認められる。 したがって、引用発明2と本願発明は、第二演出部には、回転中心側から外側に向かって延びる基準線に沿って並ぶ複数の前記貫通孔の集合体である一または複数の線状透過部が形成されている点で共通する。 8 本願発明のHの特定事項について 引用発明2の「パチンコ遊技機1」は、本願発明の「遊技機」に相当する。 9 一致点及び相違点について 以上のことから、本願発明と引用発明2は、以下の点で一致する。 <一致点> A 光を透過させる第一透過部が形成された第一演出部材と、 B’ 第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部が形成された第二演出部と、 を備え、 C 前記第一透過部は、前記第二透過部に重なる、前記光源が位置する側の反対側に突出する透過凸部を含み、 D’ 前記第二演出部には、前記第二透過部である貫通孔が形成され、当該貫通孔に前記透過凸部が入り込んでおり、 E’ 前記第一演出部材と前記第二演出部は、一体的に回転するものであり、 F’ 前記透過凸部および前記貫通孔は、前記第一演出部材および前記第二演出部の回転中心からずれた位置に形成され、 G’ 前記第二演出部には、回転中心側から外側に向かって延びる基準線に沿って並ぶ複数の前記貫通孔の集合体である一または複数の線状透過部が形成されている H 遊技機。 そして、両者は、以下の点で相違する。 <相違点> 第二演出部に関して、本願発明は、第二演出部が、第一演出部材とは別に独立して存在する部材である第二演出部材であるのに対して、引用発明2は、第二演出部が、回転配光部材156の樹脂部分に設けられた蒸着金属薄膜層156fであることから、「第一演出部材とは別に独立して存在する部材」とはいえない点。 第6 検討・判断 1 相違点についての検討 本願発明の相違点に係る構成と、引用発明1とを対比すると、引用発明1における「第2レンズ部71」及び「露出窓部78」は、「第2レンズ部71」、「露出窓部78」の順に、LED基板50に設けられた第1LED51からの光を透過するものであるから、「第2レンズ部71」は、本願発明の相違点に係る構成の「光源から出射された光を透過させる第一透過部」に相当し、「露出窓部78」は、本願発明の相違点に係る構成の「前記第一透過部を透過した光を透過させる第二透過部」に相当する。 そして、引用発明1の「第2レンズ部71」が形成された「レンズ部材70」は、本願発明の相違点に係る構成の「第一演出部材」に相当し、引用発明1の「露出窓部(露出部)78が形成され」た「前面板77」が形成される「装飾カバー体76」は、本願発明の相違点に係る構成の「第二演出部材」に相当する。 また、引用発明1において、「装飾カバー体76」は、「レンズ部材70」とは別部材であるから、「別の独立して存在する部材」であるといえる。 したがって、引用発明1は、本願発明の相違点に係る構成のうち、「第二演出部が、第一演出部材とは別に独立して存在する部材である第二演出部材である」構成を有しており、本願発明の相違点に係る構成をすべて備えるものである。 そして、引用発明2と引用発明1は、ともに、回転かつ発光する演出用装置を有するパチンコ機という共通の技術分野に属するものである。 また、引用発明2において、回転配光部材156は、銭貨形状とされ、茶色や黄金色のような銭貨色とされるものであるから、回転配光部材156の外形的な特徴により遊技者に対して特有の装飾効果を奏するものであり、一方、引用発明1も、可動体60の外形的な特徴により、遊技者に対して特有の装飾効果を奏するという同様の作用効果を奏するものであるから、引用発明2と引用発明1は、遊技者に対して特有の装飾効果を奏するという作用の点においても、共通するものである。 してみると、引用発明2において、第二演出部を、引用発明1の構成を適用することによって、第一演出部材とは別に独立して存在する部材である第二演出部材により構成することにより、本願発明の相違点に係る構成を成すことは、当業者が容易に想到し得ることである。 2 平成31年1月16日付け意見書における請求人の主張について 請求人は、平成31年1月16日付け意見書の「3-2)理由2(進歩性)について」「3-2-2)刊行物2を主引用例とした判断について」において、 「(a)拒絶理由通知の「(2)対比 イ 本願発明の構成Bについて」に記載されている事項からすると、刊行物2に記載の「蒸着金属薄膜層156f」が、本願発明の「第二演出部材」に相当すると判断されたものと認められる。 しかし、「?薄膜層」と称されるようなものが、「?部材」(※1)と称されるようなものの概念に含まれると判断することは、日本語の解釈として不自然である(このように判断するのであれば、「?部材」と称されるものの概念に、「薄膜層」と称されるようなものが含まれると解釈することが日本語として自然である根拠を示していただきたい)。 よって、「蒸着金属薄膜層156f」が、本願発明の「第二演出部材」に相当することを前提とした進歩性否定の論理は成立しない。 (※1)「部材」の意は、 ・建築などで、構造の部分をなす材。構成材。(広辞苑) ・構造物を組み立てている部分品。例えば、建物における柱・梁などは構造部材、彫刻装飾・壁面装飾などは装飾部材。(大辞泉) である。 (b)なお、今般の補正により、第二演出部材は、「第一演出部材とは別に独立して存在する部材」であることを明確化した(※2)。 よって、「?薄膜層」と称されるようなものが、「?部材」と称されるようなものの概念に含まれると判断することができると仮定しても、刊行物2に記載の「蒸着金属薄膜層156f」は、「配光レンズ156aを有する樹脂製部分」(本願発明の第一演出部材に相当すると認定)とは別に独立して存在する部材であるとは認められないから、「蒸着金属薄膜層156f」が本願発明の「第二演出部材」に相当するとすることはできない。 (※2)上記補正は、本願発明の「第二演出部材」が、刊行物2に記載される「蒸着金属薄膜層156f」のようなそれ単体では存在し得ないようなものと区別するために行ったものである。」 と主張している。 確かに、請求人の主張するとおり、「蒸着金属薄膜層156f」は、「第一演出部材とは別に独立して存在する部材」ではないと認められる。 しかしながら、本願発明のように「第二演出部材」を「第一演出部材とは別に独立して存在する部材」とする構成は、刊行物1に記載されている。 そして、上記1で検討したように、引用発明2と引用発明1は、回転かつ発光する演出用装置を有するパチンコ機という共通の技術分野に属し、さらに、奏し得る作用効果の点においても共通するものであるから、引用発明2に引用発明1を適用することは、当業者であれば容易に想到し得ることである。 したがって、請求人の意見書における上記の主張を参酌しても、本願発明が格別な進歩性を有するものとは認められない。 第7 結語 以上のとおり、本願発明は、引用発明2に、引用発明1を適用することによって、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-02-27 |
結審通知日 | 2019-03-05 |
審決日 | 2019-03-18 |
出願番号 | 特願2016-84567(P2016-84567) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WZ
(A63F)
P 1 8・ 121- WZ (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 進藤 利哉 |
特許庁審判長 |
石井 哲 |
特許庁審判官 |
赤穂 州一郎 ▲高▼橋 祐介 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 特許業務法人上野特許事務所 |