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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H02K
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H02K
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H02K
管理番号 1351374
異議申立番号 異議2018-700068  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-26 
確定日 2019-03-11 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6169505号発明「回転子積層鉄心の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6169505号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、〔4-8〕、9、10について訂正することを認める。 特許第6169505号の請求項2、〔4-8〕、9、10に係る特許を維持する。 特許第6169505号の請求項1及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第6169505号の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成26年2月6日(優先権主張平成25年2月19日)の出願であって、平成29年7月7日にその特許権の設定登録がなされ、平成29年7月26日に特許掲載公報が発行された。
これに対して、特許異議申立人河野智子より、平成30年1月26日に、本件請求項1-8に係る発明の特許について特許異議の申立てがなされ、平成30年4月25日付で取消理由が通知され(発送日:平成30年5月7日)、これに対し特許権者より平成30年7月2日付で意見書及び訂正請求書が提出され、平成30年8月7日付で訂正請求があった旨が通知され(発送日:平成30年8月14日)、これに対し特許異議申立人より平成30年9月13日付で意見書が提出され、平成30年10月19日付で訂正拒絶理由が通知され(発送日:平成30年10月26日)、これに対し特許権者より平成30年11月12日付で意見書が提出され、平成30年12月5日付で取消理由(決定の予告)が通知され(発送日:平成30年12月14日)、これに対し特許権者より平成31年2月1日付で意見書及び訂正請求書が提出されたものである。


2.平成31年2月1日付訂正請求書による訂正についての判断
(1)訂正の内容
訂正事項1:特許請求の範囲の請求項1を削除する。

訂正事項2:特許請求の範囲の請求項2に「請求項1記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記薄肉部は対となる前記磁石挿入孔にそれぞれ形成された前記下抜き孔に跨がって形成されていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるのを、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の対となる前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔をそれぞれ形成する第1工程と、対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨がって、前記薄肉部を形成する第2工程と、対となる前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有することを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正する。

訂正事項3:特許請求の範囲の請求項3を削除する。

訂正事項4:特許請求の範囲の請求項4に「請求項3記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記下抜き孔の幅は前記薄肉部の幅より広いことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるのを、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広いことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正する。

訂正事項5:特許請求の範囲の請求項5に「請求項1?4のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正する。

訂正事項6:特許請求の範囲の請求項5に「請求項1?4のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正し、新たに請求項9とする。

訂正事項7:特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正する。

訂正事項8:特許請求の範囲の請求項6に「請求項1?5のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」とあるうち、請求項3を引用するものについて、「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」と訂正し、新たに請求項10とする。

訂正事項9:特許請求の範囲の請求項7に「請求項1?6のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法」とあるのを「請求項4?6のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法」と訂正する。

訂正事項10:特許請求の範囲の請求項8に「請求項1?7のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法」とあるのを「請求項4?7のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法」と訂正する。


(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.一群の請求項について
訂正前の請求項1?8について、請求項2、5?8は請求項1を引用しており、また、訂正前の請求項4、5?8は請求項3を引用している。すなわち、訂正前の請求項5?8は、訂正前の請求項1、3の双方を引用している。
したがって、訂正前の請求項1?8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そして、訂正後の請求項〔4?8〕、9、10については、特許権者は、当該訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別途訂正することを求めている。

イ.訂正の適否
(ア)訂正事項1
a 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項1は、訂正前の請求項1を削除するのみであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(イ)訂正事項2
a 訂正事項2は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項2は、「前記鉄心片の対となる前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔をそれぞれ形成する第1工程」との記載により、訂正前の請求項2の「第1工程」を特定し、「対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨かって、前記薄肉部を形成する第2工程」との記載により、訂正前の請求項2の「第2工程」、「薄肉部」を特定し、「対となる前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程」との記載により、訂正前の請求項2の「第3工程」を特定しているから、特許請求の範囲を減縮しようとするものであり、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮も目的とするものである。
b 訂正事項2は、図7を参照した明細書記載の第5の実施の形態に基づいて導き出される構成であるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項2は、「第1工程」における「磁石挿入孔」及び「下抜き孔を形成する」を下位概念の「対となる磁石挿入孔」及び「下抜き孔をそれぞれ形成する」にするものであり、「前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する」及び「前記薄肉部は対となる前記磁石挿入孔にそれぞれ形成された前記下抜き孔に跨かって形成されている」を下位概念の「対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨かって、前記薄肉部を形成する」にするものであり、「第3工程」における「磁石挿入孔」を下位概念の「対となる磁石挿入孔」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件においては、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ウ)訂正事項3
a 訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項3は、訂正前の請求項3を削除するのみであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(エ)訂正事項4
a 訂正事項4は、訂正前の請求項4が訂正前の請求項3を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項3を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項4は、「前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広い」との記載により、訂正前の請求項4の「下抜き孔の幅」、「薄肉部の幅」を明瞭にするものであって、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明も目的とするものである。
b 訂正事項4は、図2(B)等を参照した明細書記載の第1の実施の形態に基づいて導き出される構成であるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項4は、「前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記下抜き孔の幅は前記薄肉部の幅より広い」を明瞭にした「前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広い」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(オ)訂正事項5
a 訂正事項5は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1?4を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項5のうちの訂正前の請求項1を引用する部分以外を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
b 訂正事項5は、請求項間の引用関係を解消しようとするものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項5は、請求項間の引用関係を解消しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(カ)訂正事項6
a 訂正事項6は、訂正前の請求項5が訂正前の請求項1?4を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項5のうちの訂正前の請求項3を引用する部分以外を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
b 訂正事項6は、請求項間の引用関係を解消しようとするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項6は、請求項間の引用関係を解消しようとするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(キ)訂正事項7
a 訂正事項7は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1?5を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項6のうちの訂正前の請求項1を引用する部分以外を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項7は、訂正前の請求項6の「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられている」を「前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられている」とすることにより、訂正前の請求項6の「凸部」の形状を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明も目的とするものである。
b 訂正事項7は、図4を参照した明細書記載の第2の実施の形態に基づいて導き出される構成であるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項7は、「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられている」を明りょうにした「前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられている」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ク)訂正事項8
a 訂正事項8は、訂正前の請求項6が訂正前の請求項1?5を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、訂正前の請求項6のうちの訂正前の請求項3を引用する部分以外を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
訂正事項8は、訂正前の請求項6の「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられている」を「前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられている」とすることにより、訂正前の請求項6の「凸部」の形状を明瞭にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明も目的とするものである。
b 訂正事項8は、図4を参照した明細書記載の第2の実施の形態に基づいて導き出される構成であるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項8は、「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられている」を明瞭にした「前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられている」にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(ケ)訂正事項9
a 訂正事項9は、訂正前の請求項7の引用請求項数を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 訂正事項9は、訂正前の請求項7の引用請求項数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項9は、訂正前の請求項7の引用請求項数を減少させるのみであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(コ)訂正事項10
a 訂正事項10は、訂正前の請求項8の引用請求項数を減少させるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
b 訂正事項10は、訂正前の請求項8の引用請求項数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。
c 訂正事項10は、訂正前の請求項8の引用請求項数を減少させるのみであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
d 本件は、訂正前の全ての請求項1?8について特許異議申立てがされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。


(3)むすび
したがって、本件訂正は特許法第120条の5第2項第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項?第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、2、3、〔4-8〕、9、10について訂正することを認める。


3.特許異議の申立について
(1)本件発明
本件訂正により訂正された請求項2及び4ないし10に係る発明(以下、請求項順に「本件発明2」等といい、請求項2及び4ないし10に係る発明を「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】
(削除)
【請求項2】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の対となる前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔をそれぞれ形成する第1工程と、
対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨がって、前記薄肉部を形成する第2工程と、
対となる前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有することを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広いことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項7】
請求項4?6のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記空間領域Cは前記鉄心片の外形より外側領域、他の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域、又は重量軽減用の抜き孔の形成領域であることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
請求項4?7のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記薄肉部の肉厚は前記鉄心片の板厚の0.3?0.98倍の範囲にあることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項9】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項10】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。」


(2)取消理由
訂正前の請求項1ないし8に係る特許に対して平成30年12月5日付で通知した取消理由(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
「理由I 本件特許は、特許請求の範囲の請求項4、6の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしていない。
理由II 本件特許の請求項1-3、7-8に係る発明は、本件特許の出願前(優先日前)日本国内または外国において頒布された特開2005-130604号公報(以下、「刊行物1」という。)に記載された発明及び特開2005-185081号公報(以下、「刊行物2」という。)に記載の事項又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前(優先日前)にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。」


(3)当審の判断
(3-1)理由I
平成31年2月1日付訂正請求書による訂正で、訂正前の請求項4は独立形式請求項へ改められて訂正後の請求項4に、訂正前の請求項6は独立形式請求項へ改められて訂正後の請求項6、10となった。
訂正前の請求項4には「前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記下抜き孔の幅は前記薄肉部の幅より広い」と記載されていたものが、訂正後の請求項4には「前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広い」と記載され、下抜き孔の幅、薄肉部の幅の定義が明確となった。
訂正前の請求項6には「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられている」と記載されていたものが、訂正後の請求項6、10には「前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられている」と記載され、「凸部」の形状が明瞭となり、明細書の記載に対応するものとなった。
したがって、特許を受けようとする発明は発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許を受けようとする発明は明確であるから、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号及び第2号の要件を満たすものである。


(3-2)理由II
(ア)刊行物
特許異議申立人が提出した甲第2号証である刊行物1には、図面とともに以下の事項が記載されている。
a「【請求項1】
永久磁石内蔵型回転機の回転子コアを形成するために用いられる1枚の電磁鋼板形成体であって、
永久磁石を挿入するための磁石穴と、
前記磁石穴の周辺の一部に設けられ、他の部分より透磁率の低い低透磁率部と、
を有することを特徴とする電磁鋼板形成体。
【請求項2】
前記低透磁率部は、少なくとも前記磁石穴の外周側開口端から回転子外周部に至らない範囲に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電磁鋼板形成体。
【請求項3】
前記磁石穴は、1極に対して複数の永久磁石を挿入するために1極当たり複数の磁石穴があり、
前記低透磁率部は、当該複数の磁石穴の間に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電磁鋼板形成体。」
b「【請求項9】
前記低透磁率部は、プレスによって形成されていること特徴とする請求項1?8のいずれか一つに記載の電磁鋼板形成体。」
c「【請求項11】
請求項1?10のいずれか一つに記載の電磁鋼板形成体を複数積層して形成された回転子コアと、
前記回転子コア内の磁石穴に挿入された永久磁石と、
を有することを特徴とする永久磁石内蔵型回転機用回転子。」
d「 図12および13は、このような永久磁石内蔵型同期モータの回転子コアの例を示す図面である。
図示する回転子コア100は、いずれも8極で、1極に対して1個の磁石挿入用の磁石穴101が設けられている。このような回転子コア100は、電磁鋼板から図示するようなコア形状に成形された薄板を複数枚積層して形成されている。本明細書においては、この回転子コアを形成する1枚の薄板を、電磁鋼板から形成したものであることから電磁鋼板形成体と称する。」(【0003】-【0004】)
e「また、図16は、さらに高回転化を可能にする技術内容であり、1極の磁石が2個に分割されており、このため回転子となる電磁鋼板形成体200には磁石を挿入するための穴部201と203の間にセンターブリッジ216が設けてある(特許文献2参照)。この技術によれば、センターブリッジ216によって遠心耐力がさらに増加する。すなわちより高回転化が可能になる。なお、図16に示した例は8極の場合の例である。
一方、図17および図18には、磁石のフラックスの流れを模式的に示している。図17は、前記の図12の場合を示し、図18は前記の図16の場合である。
磁石301のフラックスは、理想的には、すべて図示回転子の外向きに出るフラックスfが望ましいが、磁石埋め込み式の回転子の場合、図示するように、実際にはブリッジ部を介して短絡するフラックスfsが発生する。この短絡するフラックスfsは減らした方がよい。そのために、図示のように磁石とブリッジ部との間の領域に空気領域302(空気領域に限らず接着材等の非磁性物質が充填されていてもよい。)を設ける工夫が知られている(たとえば特許文献3)。この領域のことをフラックスバリアと呼んでいる。」(【0009】-【0011】)
f「図1は、本発明を適用した電磁鋼板形成体における磁石挿入用磁石穴の拡大図である。なお、電磁鋼板形成体の全体の外観構成は、図16に示したものと同様であるので図示を省略する。
電磁鋼板形成体1は、回転子コアを形成するための1枚の電磁鋼板よりなる。この電磁鋼板形成体1は回転子を形成した際に、1極当たり2個の磁石を挿入するために2つの磁石穴2、3が設けられている。
ここで、磁石挿入用の磁石穴2および3の外周側部分をアウターブリッジ部15と称し、1極の中の磁石穴同士の間をセンターブリッジ部16と称する。
そして、この各ブリッジ部、すなわち、磁石穴2および3の周囲の一部に、透磁率を他の部分よりも低くした低透磁率部5を設けている。
このような低透磁率部5は、たとえば、プレス加工やレーザーピーニング加工などの加工硬化によって形成される。
本実施の形態では、この低透磁率部は、アウターブリッジ部15とセンターブリッジ部16のそれぞれの部分に設けている。すなわち、アウターブリッジ部15においては磁石穴の外周側端から回転子としての外周端に至る範囲、センターブリッジ部16においては、磁石穴同士を結ぶ範囲である。
この低透磁率部は、一般的に電磁鋼板に加工を加えることで、加工硬化により機械的な強度が上昇するに伴って磁気特性が劣化することを利用して形成している。具体的には、加工硬化によって透磁率が低くなる。たとえば、電磁鋼板をプレス加工(圧延)した場合、プレス加工していないものに比べて、約5%の圧延で透磁率が1/10から1/100のレベルまで劣化する。このことは加工の度合いを反映して硬さが上昇する一方、硬さの上昇は機械的強度の上昇を反映するとともに、透磁率の下がり度合いを反映することになる。
したがってその分この低透磁率部では、フラックスが通りにくくなり、フラクスバリアとしての効果が期待でき、フラックスの短絡を少なくすることが可能となる。
低透磁率部の透磁率は、基材の透磁率、すなわち、この回転子コアに用いる電磁鋼板形成体における低透磁率部以外の部分の透磁率を1.0とすると、この低透磁率部の透磁率は0.1?0.001程度とすることが好ましい。
これは、0.1以上であると、低透磁率部としてのフラックスバリア効果が期待できないためである。なお、0.001は実質的にこれより少ない透磁率とすることが難しいためである。」(【0027】-【0036】)
g「(実施例1)
前記図1に示したように、低透磁率部5を設けた電磁鋼板形成体のサンプルを試作した。このサンプルは、低透磁率部5の領域における厚さを他の部分の厚さの90%としている。
このサンプルの作製工程は以下のとおりである。
まず、電磁鋼板に磁石穴より、小さい穴を打ち抜きにより設ける。次に、低透磁率部(厚さを減らす)領域をプレスし、所定の厚さにする。次に、前工程の際にプレスによって生じたプレス領域外側における膨らみ(電磁鋼板板断面における盛り上がり)を、平坦面を有するパンチによりプレスして平坦化する。次に磁石穴、外径、および内径を打ち抜く。」(【0059】-【0061】)
h「(実施例2)
図5に示すように、電磁鋼板形成体1のセンターブリッジ部16にのみ、低透磁率部5を形成したサンプルを試作した。このサンプルの基材および形成方法は、実施例1と同様である。すなわち、図5に示した低透磁率部5の領域のみプレスにより厚さを薄くすることで加工硬化し、低透磁率部5を形成したものである。」(【0075】)
i「(実施例3)
図6に示すように、電磁鋼板形成体1のアウターブリッジ部15にのみ、低透磁率部5を形成したサンプルを試作した。このサンプルの基材および形成方法は実施例1と同様である。すなわち、図6に示した低透磁率部5の領域のみプレスにより厚さを薄くすることで加工硬化し、低透磁率部を形成したものである。」(【0078】)

上記記載事項からみて、刊行物1には、
「電磁鋼板(「鉄心片」に相当)を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石穴(「磁石挿入孔」に相当)を有し、前記電磁鋼板の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過するアウターブリッジ部又はセンターブリッジ部(「領域A」に相当)に低透磁率部(「薄肉部」に相当)が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、前記電磁鋼板に小さい穴を形成する工程と、前記磁石穴から前記電磁鋼板の外径又は磁石穴2または3の一方(「空間領域C」に相当)に亘って、前記低透磁率部をプレスで形成する工程と、前記低透磁率部領域外側の膨らみを平坦化する工程と、前記磁石穴、外径、および内径を打ち抜く工程とを有する回転子積層鉄心の製造方法。」
との発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されている。
なお、刊行物1において、低透磁率部(「薄肉部」)は溝状であることが記載され、プレスによる余肉処理を行うことが課題として認識されている。

特許異議申立人が提出した甲第3号証である刊行物2には、図面とともに以下の事項が記載されている。
j「【請求項1】
永久磁石を挿入するための複数の開口部が設けられた円形の鋼板であって、
各開口部の端縁の一部分で、前記鋼板の平坦部を基準として板厚が変化した板厚変化部が形成されていることを特徴とする回転機用回転子鋼板。」
k「(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図13は本実施形態ではアウターブリッジ部105aの開口端縁部に、開口端縁部に向かって板厚を徐々に減少させた傾斜部108を設けている。すなわち、本実施の形態では、各開口部の端縁の一部分で鋼板の板厚が変化した板厚変化部として、上記の段差部に代えて、開口部端部から板厚を連続的に変化させた傾斜部108を採用しているといえる。より具体的には、本実施の形態の回転子鋼板は、平坦部107から開口部端部へと開口部の略法線方向に沿って板厚が連続的に減少するように構成されている。」(【0098】)
l「このような傾斜部108を構成する方法としては、プレス型による圧縮がある。図14はロータコアの打ち抜き工程を示した図である。本図では理解を容易にするために、各工程で打ち抜かれる部分は実線、ロータコアの最終形状を点線で示している。
第一工程ではアウターブリッジ部105a近傍に逃げ穴110をあける。第二工程ではアウターブリッジ部105aの一部分をテーパ状の傾斜部108にするためにコイニングを行う。このときに第一工程で設けた逃げ穴110に余肉が移動し板厚が増加することを防止することが可能となる。
第三工程では第一開口部103aと第二開口部103bが打抜きされる。開口部の打抜きは本実施例の場合のように全16個の開口部を一度に打抜くことも可能であるし、プレス機の容量によっては、各磁極の第一開口部103aの8箇所を一気に打抜きして、残りの第二開口部103bの8箇所を続く工程で一度に打抜くことでプレス容量を小さくしたまま加工することも可能である。開口部を打抜きした後に、第四工程でロータ内径穴を打ち抜き、最終工程でロータ外径穴を打抜いて、ロータコア形状が形成される。なお、近年、多用されるようになってきた自動積層法を使用した場合には、これらの工程のあとに、かしめ用の突起を設けて型内で自動的に所定数積層するようにな工法も可能である。
図15は図14に示した工程の一部の断面形状を示したものであり、図14のX1-X2断面を図示している。第二工程では逃げ穴110に掛かるように傾斜部108のコイニングが行われていることが分かる。次に第三工程で磁石挿入用の第一開口部103aおよび第二開口部103bが打ち抜きされる。開口部を打ち抜きする時には第二工程で行ったV字型のコイニング部の頂部が残らないように打ち抜かれ、アウターブリッジ部105aには傾斜部108が形成される。そして、このようにして打ち抜かれた鋼板を所定枚数積層してロータを組み立てていく。」(【0101】-【0104】)
上記記載事項及び図面を参照すると、開口部(「磁石挿入孔」に相当)の打ち抜き領域内に該打ち抜き領域の側端部から隙間を設けて予め逃げ穴(「下抜き孔」に相当)を形成する第一工程、前記逃げ穴からアウターブリッジ部又はセンターブリッジ部に亘って、板厚変化部(「薄肉部」に相当)を形成する第二工程と、前記開口部及び前記回転子鋼板の外周を打ち抜き形成する第三工程及び最終工程とを有する回転子積層鉄心の製造方法が記載されている。

上記記載事項からみて、刊行物2は、
「鋼板(「鉄心片」に相当)の開口部(「磁石挿入孔」に相当)の打ち抜き領域内に該打ち抜き領域の側端部から隙間を設けて予め逃げ穴(「下抜き孔」に相当)を形成する第一工程と、前記逃げ穴からアウターブリッジ部又はセンターブリッジ部に亘って、板厚変化部(「薄肉部」に相当)を形成する第二工程と、前記開口部及び前記回転子鋼板の外周を打ち抜き形成する第三工程及び最終工程とを有する回転子積層鉄心の製造方法。」
との事項が記載されている。


(イ)本件発明との対比・判断
(イ-1)本件発明2
本件発明2と刊行物1発明を対比すると、両者は「鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法。」の点で一致し、本件発明2は、前記鉄心片の対となる前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔をそれぞれ形成する第1工程と、対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨がって、前記薄肉部を形成する第2工程と、対となる前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有するのに対し、刊行物1発明は、電磁鋼板に小さい穴を形成する工程と、磁石穴から前記電磁鋼板の外径又は磁石穴2または3の一方に亘って、低透磁率部をプレスで形成する工程と、前記低透磁率部領域外側の膨らみを平坦化する工程と、前記磁石穴、外径、および内径を打ち抜く工程とを有する点で相違する。
しかし、「対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨がって、前記薄肉部を形成する第2工程」は、刊行物1にも刊行物2にも記載は無く、刊行物1発明において、本件発明1の第2工程のようにすることは当業者が容易に考えられることとは認められない。
そして、本件発明2の作用効果も、刊行物1発明及び刊行物2記載の事項から当業者が予測できる範囲のものではない。
したがって、本件発明2は、刊行物1発明及び刊行物2記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(イ-2)本件発明4-10
訂正後の請求項4-10は、理由IIの取消理由が通知されていない訂正前の請求項4-6の何れかに対応するか、又は、訂正前の請求項4-6の何れかのみを引用する訂正前の請求項7、8の何れかに対応するものであるから、本件発明4-10は当審の取消理由の対象ではなくなった。


(4)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
(ア)特許法第29条第1項
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項1-3、7-8に記載された発明は刊行物1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである旨主張する。
しかし、刊行物1に記載された発明は、本件発明2が有する有する第2工程の構成がなく、又、本件発明4-10は訂正前の請求項4-6の何れか記載の事項を有しているから、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものとすることはできない。

(イ)特許法第29条第2項
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項4に記載の事項は甲第5号証(特開平9-289745号公報)に記載されている旨主張するが、甲第5号証には、「前記下抜き孔の幅は前記薄肉部の幅より広いこと」は記載も示唆もないから、刊行物1発明と甲第5号証記載の事項を組み合わせても、訂正前の請求項4記載の事項を構成として有する本件発明4、7、8とすることはできない。
特許異議申立人は、特許異議申立書において、訂正前の請求項5、6に記載の事項は甲第6号証(特開2013-5692号公報)に記載されている旨主張するが、甲第6号証には、訂正前の請求項5の「前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していること」も、訂正前の請求項6の「前記下抜き孔には、全周の長さを延長する凸部が設けられていること」も記載も示唆もないから、刊行物1発明と甲第6号証記載の事項を組み合わせても、訂正前の請求項5、6記載の事項を構成として有する本件発明5-10とすることはできない


4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項2、4-8、9、10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項2、4-8、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1及び3に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除されたので、請求項1及び3に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(削除)
【請求項2】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の対となる前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔をそれぞれ形成する第1工程と、
対となる前記磁石挿入孔の一方に形成された前記下抜き孔と、対となる前記磁石挿入孔の他方に形成された前記下抜き孔と、前記鉄心片の外形より外側領域である空間領域Cとに跨がって、前記薄肉部を形成する第2工程と、
対となる前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有することを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部の延長上にあり、前記薄肉部の延在方向に対して交差する方向における前記下抜き孔の幅は、前記薄肉部の前記延在方向に対して交差する方向における前記薄肉部の幅より広いことを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項5】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項6】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片の、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔から前記鉄心片の空間領域Cに亘って、前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造万法。
【請求項7】
請求項4?6のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記空間領域Cは前記鉄心片の外形より外側領域、他の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域、又は重量軽減用の抜き孔の形成領域であることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項8】
請求項4?7のいずれか1項に記載の回転子積層鉄心の製造方法において、前記薄肉部の肉厚は前記鉄心片の板厚の0.3?0.98倍の範囲にあることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項9】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔は前記薄肉部に接する前記磁石挿入孔の側端部から0.05?0.5mm離していることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
【請求項10】
鉄心片を積層して形成され、円周方向にそれぞれ永久磁石が挿入される複数の磁石挿入孔を有し、前記鉄心片に、前記永久磁石の漏れ磁束が通過する領域Aに交差する薄肉部が形成された回転子積層鉄心の製造方法において、
前記鉄心片の前記磁石挿入孔の打ち抜き領域B内に該打ち抜き領域Bの側端部から隙間を設けて予め下抜き孔を形成する第1工程と、
前記下抜き孔に一端を、前記鉄心片の空間領域Cに他端を有し、前記領域Aを通過する漏れ磁束に交差する溝状の前記薄肉部を形成する第2工程と、
前記磁石挿入孔及び前記空間領域Cを打ち抜き形成する第3工程とを有し、
前記下抜き孔には、前記下抜き孔の周縁から外方に向けて切り欠かれた凸部が設けられていることを特徴とする回転子積層鉄心の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-02-28 
出願番号 特願2014-21491(P2014-21491)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (H02K)
P 1 651・ 121- YAA (H02K)
P 1 651・ 537- YAA (H02K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 ▲桑▼原 恭雄  
特許庁審判長 久保 竜一
特許庁審判官 堀川 一郎
藤井 昇
登録日 2017-07-07 
登録番号 特許第6169505号(P6169505)
権利者 株式会社三井ハイテック
発明の名称 回転子積層鉄心の製造方法  
代理人 石坂 泰紀  
代理人 松澤 寿昭  
代理人 阿部 寛  
代理人 小曳 満昭  
代理人 阿部 寛  
代理人 石坂 泰紀  
代理人 小曳 満昭  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 長谷川 芳樹  
代理人 松澤 寿昭  
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