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審決分類 |
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A46B 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 A46B 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 A46B 審判 全部申し立て 特許請求の範囲の実質的変更 A46B 審判 全部申し立て (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) A46B 審判 全部申し立て 特123条1項8号訂正、訂正請求の適否 A46B 審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 A46B |
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管理番号 | 1351404 |
異議申立番号 | 異議2018-700489 |
総通号数 | 234 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-06-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-06-14 |
確定日 | 2019-03-27 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6268399号発明「2本の柱間に張ったフロス付き歯ブラシ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6268399号の明細書、特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。 特許第6268399号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第6268399号の請求項1に係る特許についての出願は、平成28年2月27日に出願され、平成30年1月12日にその特許権の設定登録がされ、平成30年1月31日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年6月14日に特許異議申立人小林製薬株式会社により特許異議の申立てがされ、当審は、平成30年9月11日付けで取消理由を通知し、特許権者は、その指定期間内である平成30年10月19日に訂正の請求を行った。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は、以下のア?ケのとおりである。 ア 訂正事項1 明細書の発明の名称の「糸ようじ付き歯ブラシ」を「2本の柱間に張ったフロス付き歯ブラシ」に訂正する。 イ 訂正事項2 明細書の段落【0001】の「本発明は、歯ブラシの植毛部に糸ようじの装着を可能にすることで、歯間及び歯の表面の清掃を同時に行うことができるようにしたものである。」という記載を「本発明は、歯ブラシの植毛部に2本の柱間に張ったフロスの装着を可能にすることで、歯間及び歯の表面の清掃を同時に行うことができるようにしたものである。」という記載に訂正する。 ウ 訂正事項3 明細書の段落【0004】の「植毛部1のくぼみ3に取付部5を用いて装着することにより、歯ブラシと糸ようじを同時に行えるようにした。」という記載を「植毛部1のくぼみ3に取付部5を用いて装着することにより、歯ブラシとフロスを同時に行えるようにした。」という記載に訂正する。 エ 訂正事項4 明細書の段落【0005】の「歯ブラシの植毛部1に糸ようじ4の装着を可能にしたことにより、歯の表面と歯間を同時に清掃することができるようになった。歯の清掃における道具を1つにまとめたことにより、道具の持ち替えの煩わしさが軽減、時間の短縮にもつながる。また、糸ようじ4の取り外しが可能であるため、糸ようじのみの交換が可能であり、衛生面でも安心して使用することができる。」という記載を「歯ブラシの植毛部1に2本の柱間に張ったフロス4の装着を可能にしたことにより、歯の表面と歯間を同時に清掃することができるようになった。歯の清掃における道具を1つにまとめたことにより、道具の持ち替えの煩わしさが軽減、時間の短縮にもつながる。また、2本の柱間に張ったフロス4の取り外しが可能であるため、2本の柱間に張ったフロスのみの交換が可能であり、衛生面でも安心して使用することができる。」という記載に訂正する。 オ 訂正事項5 明細書の段落【0006】の「【図1】本発明を斜め上から見た図である。 【図2】糸ようじを植毛部に装着したものを横から見た図である。 【図3】植毛部に毛がない状態で糸ようじを装着したものを横から見た図である。(参考) 【図4】糸ようじを装着した歯ブラシの使用例である。(歯ブラシを使用する場合。) 【図5】糸ようじを装着した歯ブラシの使用例である。(糸ようじを使用する場合。)」という記載を「【図1】本発明を斜め上から見た図である。 【図2】2本の柱間に張ったフロスを植毛部に装着したものを横から見た図である。 【図3】植毛部に毛がない状態で2本の柱間に張ったフロスを装着したものを横から見た図である。(参考) 【図4】2本の柱間に張ったフロスを装着した歯ブラシの使用例である。(歯ブラシを使用する場合。) 【図5】2本の柱間に張ったフロスを装着した歯ブラシの使用例である。(2本の柱間に張ったフロスを使用する場合。)」という記載に訂正する。 カ 訂正事項6 明細書の段落【0007】の「植毛部1にくぼみ3を設ける。このくぼみ3に取り付け部5をスライドさせることにより糸ようじ4を装着させる。糸ようじ4を取り外す場合は、同様に取り付け部5をスライドさせる。」という記載を「植毛部1にくぼみ3を設ける。このくぼみ3に取り付け部5をスライドさせることにより2本の柱間に張ったフロス4を装着させる。2本の柱間に張ったフロス4を取り外す場合は、同様に取り付け部5をスライドさせる。」という記載に訂正する。 キ 訂正事項7 明細書の段落【0008】の「1 植毛部 2 毛 3 くぼみ 4 糸ようじ 5 取付部」という記載を「1 植毛部 2 毛 3 くぼみ 4 2本の柱間に張ったフロス 5 取付部」という記載に訂正する。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の「【請求項1】 植毛部の毛が植毛されている面にくぼみを設け、糸ようじを張設した取り付け部を前記くぼみにスライドさせることで糸ようじを植毛部内部に装着及び取り外しをできるようにし、歯の表面及び歯間の清掃を同時に行えるようにした歯ブラシ。」という記載を「【請求項1】 植毛部の毛が植毛されている面にくぼみを設け、フロスを張設した取り付け部を前記くぼみにスライドさせることで2本の柱間に張ったフロスを植毛部内部に装着及び取り外しをできるようにし、歯の表面及び歯間の清掃を同時に行えるようにした歯ブラシ。」という記載に訂正する。 ケ 訂正事項9 図1における引出線に対応して記載された「4 糸ようじ」を「4 2本の柱間に張ったフロス」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 事案に鑑みて、前記訂正事項8について、先に検討する。 ア 訂正事項8について 訂正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「糸ようじ」は登録商標名であり、訂正前の請求項1の記載は、当該登録商標名を用いて発明を特定しているため、本件特許の請求項1に係る発明を不明瞭なものとしているところ、訂正事項8についての訂正は、「糸ようじ」を「フロス」又は「2本の柱間に張ったフロス」と訂正するものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 次に、明細書の発明の詳細な説明の段落【0003】には、「フロス」を使用する点が記載されており、また、図1には、「2本の柱間に張ったフロス」が図示されている。よって、「糸ようじ」を「フロス」又は「2本の柱間に張ったフロス」とする訂正事項8についての訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 さらに、訂正事項8についての訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 イ 訂正事項1-7,9について 訂正事項1-7,9についての訂正は、特許請求の範囲を訂正する訂正事項8についての訂正に伴い、特許請求の範囲の記載と明細書及び図面の記載とを整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項1-7,9についての訂正は、前記「ア」において検討した訂正事項8についての訂正と同様の理由により、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものとはいえない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲及び図面を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり訂正することを認める。 3 訂正後の本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「植毛部の毛が植毛されている面にくぼみを設け、フロスを張設した取り付け部を前記くぼみにスライドさせることで2本の柱間に張ったフロスを植毛部内部に装着及び取り外しをできるようにし、歯の表面及び歯間の清掃を同時に行えるようにした歯ブラシ。」 4 取消理由通知に記載した取消理由について (1)取消理由の概要 訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が平成30年9月11日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 ア 請求項1に係る特許は、その特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 イ 請求項1に係る特許は、その発明の詳細な説明の記載が同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)当審の判断 ア 特許法第36条第6項第2号について 本件発明は「フロス」及び「2本の柱間に張ったフロス」という事項を用いて発明が特定されており、本件発明の発明特定事項は、明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識を考慮することにより、本件発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が理解できるものであって、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。 イ 特許法第36条第4項第1号について 本件発明に係る発明の詳細な説明は、当業者が「フロス」及び「2本の柱間に張ったフロス」という事項を用いて特定された本件発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されており、本件発明に係る発明の詳細な説明の記載は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。 5 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 2本の柱間に張ったフロス付き歯ブラシ 【技術分野】 【0001】 本発明は、歯ブラシの植毛部に2本の柱間に張ったフロスの装着を可能にすることで、歯間及び歯の表面の清掃を同時に行うことができるようにしたものである。 【背景技術】 【0002】 歯間及び歯の表面の双方を清潔に保つためには、歯間ブラシやフロスと、歯ブラシを行う必要があるが、従来はこれらを同時に行うことはできなかった。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 歯の清掃という1つの目的に対し、歯の表面及び歯間の両方を清掃するために道具を持ち替えることは手間である。また、歯間を清掃するためにフロスを使用する場合、手が汚れやすいといった難点がある。 【課題を解決するための手段】 【0004】 植毛部1のくぼみ3に取付部5を用いて装着することにより、歯ブラシとフロスを同時に行えるようにした。 【発明の効果】 【0005】 歯ブラシの植毛部1に2本の柱間に張ったフロス4の装着を可能にしたことにより、歯の表面と歯間を同時に清掃することができるようになった。歯の清掃における道具を1つにまとめたことにより、道具の持ち替えの煩わしさが軽減、時間の短縮にもつながる。また、2本の柱間に張ったフロス4の取り外しが可能であるため、2本の柱間に張ったフロスのみの交換が可能であり、衛生面でも安心して使用することができる。 【図面の簡単な説明】 【0006】 【図1】本発明を斜め上から見た図である。 【図2】2本の柱間に張ったフロスを植毛部に装着したものを横から見た図である。 【図3】植毛部に毛がない状態で2本の柱間に張ったフロスを装着したものを横から見た図である。(参考) 【図4】2本の柱間に張ったフロスを装着した歯ブラシの使用例である。(歯ブラシを使用する場合。) 【図5】2本の柱間に張ったフロスを装着した歯ブラシの使用例である。(2本の柱間に張ったフロスを使用する場合。) 【発明を実施するための形態】 【0007】 植毛部1にくぼみ3を設ける。このくぼみ3に取り付け部5をスライドさせることにより2本の柱間に張ったフロス4を装着させる。2本の柱間に張ったフロス4を取り外す場合は、同様に取り付け部5をスライドさせる。 【符号の説明】 【0008】 1 植毛部 2 毛 3 くぼみ 4 2本の柱間に張ったフロス 5 取付部 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 植毛部の毛が植毛されている面にくぼみを設け、フロスを張設した取り付け部を前記くぼみにスライドさせることで2本の柱間に張ったフロスを植毛部内部に装着及び取り外しをできるようにし、歯の表面及び歯間の清掃を同時に行えるようにした歯ブラシ。 【図面】 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-03-13 |
出願番号 | 特願2016-51606(P2016-51606) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(A46B)
P 1 651・ 854- YAA (A46B) P 1 651・ 841- YAA (A46B) P 1 651・ 537- YAA (A46B) P 1 651・ 855- YAA (A46B) P 1 651・ 831- YAA (A46B) P 1 651・ 853- YAA (A46B) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大内 康裕、根本 徳子、横山 幸弘 |
特許庁審判長 |
佐々木 芳枝 |
特許庁審判官 |
長馬 望 柿崎 拓 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 特許第6268399号(P6268399) |
権利者 | ▲高▼森 香奈 |
発明の名称 | 2本の柱間に張ったフロス付き歯ブラシ |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 川嵜 洋祐 |