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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G03F
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  G03F
審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降)  G03F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G03F
管理番号 1351411
異議申立番号 異議2018-700399  
総通号数 234 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-14 
確定日 2019-04-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6232168号発明「ソルダーレジスト組成物、被膜、被覆プリント配線板、被膜の製造方法、及び被覆プリント配線板の製造方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 
結論 特許第6232168号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1ないし11〕について訂正することを認める。 特許第6232168号の請求項1,3ないし11に係る特許を維持する。 特許第6232168号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6232168号(請求項の数11。以下,「本件特許」という。)は,2016年(平成28年)6月21日(優先権主張 平成27年6月24日)を国際出願日とする日本語特許出願であって,平成29年10月27日に特許権の設定登録がされたものである。
その後,同年11月15日に特許掲載公報の発行がなされたところ,平成30年5月14日に特許異議申立人(以下,「申立人」という。)により請求項1ないし11に係る特許について特許異議の申立てがされ,同年7月25日付けで特許権者に取消理由が通知され,同年10月1日に特許権者より意見書が提出され,同年10月25日付けで特許権者に取消理由通知(決定の予告)がされ,同年12月27日に特許権者より意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下,当該訂正の請求を「本件訂正請求」といい,本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がされた。
なお,本件訂正について,申立人に対して,訂正請求があった旨の特許法120条の5第5項の規定に基づく通知がされたが,指定された期間内に申立人による意見書の提出はなされなかった。


第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
(1)訂正前後の記載
本件訂正請求の趣旨は,特許請求の範囲を,訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1ないし11について訂正することを求めるものである。
しかるに,本件訂正前後の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。(下線は訂正箇所を示す。)
ア 本件訂正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂(A),
光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),
光重合開始剤(C),
融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)及び
青色分散剤(E)
を含有することを特徴とするソルダーレジスト組成物。
【請求項2】
前記青色分散剤(E)が,銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含む請求項1に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項3】
黒色着色剤及び赤色着色剤のうち少なくとも一方を含む着色剤(F)を含有する請求項1又は2に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項4】
前記カルボキシル基含有樹脂(A)が,光重合性官能基を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物の硬化物からなり,
第一の領域と,前記第一の領域よりも光透過率が高い第二の領域とを含む被膜。
【請求項6】
前記第一の領域は気泡を含有し,
前記第二の領域は気泡を含有しない或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い請求項5に記載の被膜。
【請求項7】
プリント配線板と,請求項5又は6に記載の被膜とを備え,
前記プリント配線板は,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備え,
前記被膜は,前記絶縁層及び前記配線を覆っている被覆プリント配線板。
【請求項8】
前記絶縁層の色が黄色,黄緑色,白色,クリーム色,褐色,オレンジ色,緑色又は黒色である請求項7に記載の被覆プリント配線板。
【請求項9】
前記プリント配線板が,リジッド材及びフレキシブル材のうち少なくとも一方を含む請求項7又は8に記載の被覆プリント配線板。
【請求項10】
〈a〉請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物からなる塗膜を形成する工程,
〈b〉前記塗膜を露光する工程,及び
〈c〉露光後の前記塗膜を加熱することで被膜を形成する工程を含み,
前記〈b〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には光を照射せず,或いは前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,
前記〈c〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被膜の製造方法。
【請求項11】
〈d〉請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物を,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備えるプリント配線板上に前記絶縁層及び前記配線を覆うように配置することで,塗膜を形成する工程,
〈e〉前記塗膜を露光する工程,
〈f〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程,及び
〈g〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含み,
前記〈e〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,
前記〈g〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被覆プリント配線板の製造方法。」

イ 本件訂正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂(A),
光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),
光重合開始剤(C),
融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)及び
青色分散剤(E)
を含有し,
前記青色分散剤(E)が銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有し,
前記結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内であり,
前記青色分散剤(E)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.5?10質量%であることを特徴とするソルダーレジスト組成物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
黒色着色剤及び赤色着色剤のうち少なくとも一方を含む着色剤(F)を含有する請求項1に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項4】
前記カルボキシル基含有樹脂(A)が,光重合性官能基を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)を含む請求項1又は3に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項5】
請求項1,3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物の硬化物からなり,
第一の領域と,前記第一の領域よりも光透過率が高い第二の領域とを含む被膜。
【請求項6】
前記第一の領域は気泡を含有し,
前記第二の領域は気泡を含有しない或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い請求項5に記載の被膜。
【請求項7】
プリント配線板と,請求項5又は6に記載の被膜とを備え,
前記プリント配線板は,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備え,
前記被膜は,前記絶縁層及び前記配線を覆っている被覆プリント配線板。
【請求項8】
前記絶縁層の色が黄色,黄緑色,白色,クリーム色,褐色,オレンジ色,緑色又は黒色である請求項7に記載の被覆プリント配線板。
【請求項9】
前記プリント配線板が,リジッド材及びフレキシブル材のうち少なくとも一方を含む請求項7又は8に記載の被覆プリント配線板。
【請求項10】
〈a〉請求項1,3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物からなる塗膜を形成する工程,
〈b〉前記塗膜を露光する工程,及び
〈c〉露光後の前記塗膜を加熱することで被膜を形成する工程を含み,
前記〈b〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には光を照射せず,或いは前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,
前記〈c〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被膜の製造方法。
【請求項11】
〈d〉請求項1,3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物を,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備えるプリント配線板上に前記絶縁層及び前記配線を覆うように配置することで,塗膜を形成する工程,
〈e〉前記塗膜を露光する工程,
〈f〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程,及び
〈g〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含み,
前記〈e〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,
前記〈g〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被覆プリント配線板の製造方法。」

(2)訂正事項
本件訂正は,次の訂正事項からなる。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「含有することを特徴とする」と記載されているのを,
「含有し,
前記青色分散剤(E)が銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有し,
前記結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内であり,
前記青色分散剤(E)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.5?10質量%であることを特徴とする」に訂正する(請求項1の記載を引用して記載された請求項3ないし11についても,同様に訂正する。)。

イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1又は2に記載の」と記載されているのを,「請求項1に記載の」に訂正する(請求項3の記載を引用して記載された請求項4ないし11についても,同様に訂正する。)。

エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至3のいずれか一項に記載の」と記載されているのを,「請求項1又は3に記載の」に訂正する(請求項4の記載を引用して記載された請求項5ないし11についても,同様に訂正する。)。

オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「請求項1乃至4のいずれか一項に記載の」と記載されているのを,「請求項1,3及び4のいずれか一項に記載の」に訂正する(請求項5の記載を引用して記載された請求項6ないし9についても,同様に訂正する。)。

カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10に「請求項1乃至4のいずれか一項に記載の」と記載されているのを,「請求項1,3及び4のいずれか一項に記載の」に訂正する。

キ 訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11に「請求項1乃至4のいずれか一項に記載の」と記載されているのを,「請求項1,3及び4のいずれか一項に記載の」に訂正する。

(3)本件訂正球について
本件訂正請求は,一群の請求項〔1ないし11〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否について
訂正事項1は,請求項1に係る発明及び当該請求項1の記載を直接又は間接的に引用する形式で記載された請求項3ないし11に係る発明において,本件訂正前には,青色分散剤(E)がどのような構造を有するものであるのかは任意であり,結晶性エポキシ樹脂(D)及び青色分散剤(E)の含有割合も任意であったものを,青色分散剤(E)について,請求項2に記載されていたもの(銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有するもの)に限定し,結晶性エポキシ樹脂(D)及び青色分散剤(E)の含有割合が,それぞれ,カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内及び0.5?10質量%の範囲内であるものに限定しようとする訂正である。また,訂正事項2は,請求項2を削除しようとする訂正であり,訂正事項3ないし7は,請求項3ないし11について,引用する請求項の中から請求項2を削除しようとする訂正である。
したがって,本件訂正は,特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。

3 新規事項の追加の有無について
訂正事項1によって請求項1,3ないし11に追加されることとなる限定事項は,本件訂正前の請求項2,本件訂正前の明細書の【0088】及び【0089】に記載された事項であるから,訂正事項1による訂正は,本件訂正前の願書に添付された特許請求の範囲,明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてするものである。
また,訂正事項2ないし7による訂正が,本件訂正前の願書に添付された特許請求の範囲,明細書及び図面に記載した事項の範囲内においてするものであることは明らかである。
したがって,本件訂正は,特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。

4 特許請求の範囲の実質的拡張・変更の存否について
訂正事項1ないし5が,いずれも,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでないことは明らかであるから,本件訂正は,特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。

5 小括
前記2ないし4のとおりであって,本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので,訂正後の請求項〔1ないし11〕について訂正を認める。


第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許の請求項1ないし6に係る発明
前記「第2」5で述べたとおり,本件訂正は適法になされたものであるから,本件特許の請求項1,3ないし11に係る発明(以下,それぞれを「本件訂正発明1」,「本件訂正発明3」ないし「本件訂正発明11」といい,これらを総称して「本件訂正発明」という。)は,それぞれ,前記「第2」1(1)イにおいて,本件訂正後の特許請求の範囲の記載として示した請求項1,3ないし11に記載された事項により特定されるとおりのものと認められる。

2 取消理由通知(決定の予告)により通知された取消理由の概要
本件訂正前の各請求項に係る特許に対して,平成30年10月25日付けの取消理由通知(決定の予告)により通知された取消理由は,概略次のとおりである。
(1)進歩性欠如
本件特許の請求項1ないし11に係る発明は,本件特許の優先権主張の日(以下,「本件優先日」という。)より前に頒布された刊行物である甲1(特許第5643416号公報)に記載された発明,及び本件優先日より前に頒布された刊行物である甲3(特開2012-3225号公報)に記載された技術に基づいて,又は,甲1に記載された発明と甲3に記載された技術と周知・慣用技術とに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,その特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものである。(以下,「予告理由1」という。)

(2)サポート要件違反
本件特許の請求項1ないし11に係る発明は,発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものではなく,また,その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし発明の課題を解決できると認識できる範囲のものでもないから,その特許は,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(以下,「予告理由2」という。)

3 引用例
(1)甲1
ア 甲1の記載
予告理由1で引用された甲1(特許第5643416号公報)は,本件優先日より前である平成26年11月7日に頒布された刊行物であるところ,当該甲1には次の記載がある。(下線は,後述する「甲1組成物発明」の認定に特に関係する箇所を示す。なお,甲1に付されていた下線については省略した。)
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,被覆配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線板等の配線板上には,配線の保護,部品実装時の短絡防止等のために,ソルダーレジスト等の被膜が形成される。また,配線板には,製品情報等を表示する文字,記号等が,マーキングされることがある。マーキングは,例えば無機成分と有機成分とを含有するマーキングペーストを塗布してから焼成することで,おこなわれる(特許文献1参照)。
【0003】
従来,配線板とこれを被覆する被膜とを備える被覆配線板にマーキングを施す場合には,被膜の形成後に,マーキングだけのための工程を追加する必要がある。・・・(中略)・・・このことは,配線板の製造効率の低下を招いてしまう。
【0004】
被膜形成とマーキングとを別個に行う必要があるのは,従来の被膜が単一色であるからである。
・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり,配線板とこれを被覆する被膜とを備える被覆配線板を得るにあたり,被膜に互いに色の異なる領域を形成することができる被覆配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る被覆配線板の製造方法は,配線板と,この配線板を被覆する被膜とを備える被覆配線板を製造する方法であって,
〈a〉光重合性化合物,光重合開始剤,カルボキシル基を有する樹脂,及び融点を有し且つ光重合性を有しない有機化合物を含有する被膜形成用組成物を,前記配線板上に配置することで,塗膜を形成する工程,
〈b〉前記塗膜を露光する工程,及び
〈c〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程,及び
〈d〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含み,
前記〈a〉の工程により塗膜を形成した時点から,前記〈b〉の工程における露光が完了する時点までの間,前記塗膜の温度を,前記有機化合物の融点よりも低い温度に維持し,
前記〈b〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分及び前記第二の部分とは異なる第三の部分には光を照射せず,
前記〈d〉の工程での前記塗膜の加熱温度が,T_(h)≧T_(m)-30(但し,T_(h)(℃)は前記塗膜の前記加熱温度,T_(m)は,前記有機化合物の融点である)の関係を満たすことを特徴とする。
・・・(中略)・・・
【0018】
本発明の第12の態様に係る被膜形成用組成物は,第1乃至第11のいずれか一の態様に係る被覆配線板の製造方法に用いられる被膜形成用組成物であって,光重合性化合物,光重合開始剤,カルボキシル基を有する樹脂,及び融点を有し且つ光重合性を有しない有機化合物を含有することを特徴とする。
・・・(中略)・・・
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る被覆配線板の製造方法によれば,露光・現像後の塗膜を加熱すると,第一の部分内には,気泡が形成される。一方,露光時の露光量が第一の部分よりも低い第二の部分内には,加熱されても気泡は形成されず,或いは,気泡は形成されるが,この気泡の割合が第一の部分よりも低くなる。このため,被膜における第一の部分の硬化物の光透過性が,第二の部分の硬化物よりも低くなる。これにより,露光時の露光量を部分的に異ならせるだけで,被膜に互いに色の異なる領域を形成することができる。」

(イ) 「【発明を実施するための形態】
【0029】
本実施形態における被膜形成用組成物について説明する。
【0030】
被膜形成用組成物は,光重合性化合物,光重合開始剤,カルボキシル基を有する樹脂,及び融点を有し且つ光重合性を有しない有機化合物(以下,特定有機化合物という)を含有する。
【0031】
本実施形態では,配線板と,この配線板を被覆する被膜とを備える被覆配線板を製造するにあたり,被膜形成用組成物を配線板上に配置することで塗膜を形成し,続いてこの塗膜を露光し,続いて露光後の塗膜をアルカリ性溶液で現像し,続いて現像後の塗膜を加熱することで被膜を形成する。被膜は,例えばソルダーレジストとして設けられる。
【0032】
更に,本実施形態では,塗膜を形成した時点から,塗膜の露光が完了する時点までの間,塗膜の温度を,特定有機化合物の融点よりも低い温度に維持する。
【0033】
更に,本実施形態では,塗膜を露光するにあたり,塗膜における第一の部分に光を照射し,塗膜における第一の部分とは異なる第二の部分には第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,塗膜における第一の部分及び第二の部分とは異なる第三の部分には光を照射しない。
・・・(中略)・・・
【0036】
このため,本実施形態では,露光・現像後の塗膜を加熱すると,第一の部分内には,気泡が形成される。一方,第二の部分内には,加熱されても気泡は形成されず,或いは,気泡は形成されるが,この気泡の割合が第一の部分よりも低くなる。このため,被膜における第一の部分の硬化物(第一の領域)の光透過性が,第二の部分の硬化物(第二の領域)よりも低くなる。また,第一の領域では,第二の領域よりも光の散乱が生じやすくなる。このため,例えば被膜形成用組成物が着色剤を含有する場合には,第一の領域の外観色は主として着色剤の色となるのに対し,第二の領域の外観色は,着色剤の色と配線板の表面の色とが混合した色となる。・・・(中略)・・・従って,露光時の露光量を部分的に異ならせるだけで,被膜に互いに色の異なる領域を形成することができる。
【0037】
本実施形態の効果は,次の理由により生じると推察される。
【0038】
第一の部分は,塗膜の露光時に光が照射されているため,光重合性化合物の光重合反応により生成した重合体を含んでいる。この状態で塗膜を加熱すると,塗膜内の特定有機化合物が溶融することで,塗膜が変形しようとするが,第一の部分は,重合体を含有するため,特定有機化合物の溶融に追随して変形しにくい。このために,第一の部分内に気泡が生じるものと,考えられる。一方,第二の部分は,光重合性化合物の重合体を含まず,或いはこの重合体の割合が第一の部分よりも低い。このため,塗膜を加熱すると,第二の部分は,第一の部分と比べて,特定有機化合物の溶融に追随して変形しやすい。このために,第二の部分内に気泡が生じず,或いは第二の部分内に気泡の割合が第一の部分よりも低くなるものと,考えられる。
【0039】
尚,本実施形態では,塗膜を加熱する際の加熱温度が,特定有機化合物の融点よりも低くても,特定有機化合物の融点から30℃を減じた温度以上であれば,第一の部分内に気泡が生じる。その理由は明確には解明されていないが,塗膜内では特定有機化合物に別の化合物が混入することで,特定有機化合物の融点降下(凝固点降下)が生じるのが,理由の一つであると推察される。
【0040】
露光・現像後の塗膜の加熱温度が,更にT_(m)+100≧T_(h)≧T_(m)-30の関係を満たすことが好ましい。この場合,被膜形成用組成物中の成分の熱による劣化が抑制される。
【0041】
本実施形態では,被膜形成用組成物からなる塗膜を形成した時点から,塗膜の露光が完了する時点までの間,塗膜の温度を,特定有機化合物の融点よりも低い温度に維持することが好ましい。この場合,第一の領域内の気泡の割合が,より高くなる。このため第一の領域と第二の領域との間の外観色の相違が,より顕著になる。これは,第一の部分内の光重合性化合物が重合する前に第一の部分内で特定有機化合物が溶融すると,第一の部分内で特定有機化合物が安定してしまい,このため塗膜の露光後に第一の部分を加熱しても,第一の部分が変形しにくくなるためであると,推察される。更に好ましくは,被膜形成用組成物を配線板上に配置する時点から,塗膜の露光が完了する時点までの間,塗膜の温度を,特定有機化合物の融点から30℃減じた温度よりも低い温度に維持する。」

(ウ) 「【0043】
被膜形成用組成物が含有する特定有機化合物は,明確な融点を有し,この融点以上で低粘度の液体になることが好ましい。
【0044】
特定有機化合物の融点が,100?230℃の範囲内であることが好ましい。この場合,被膜形成用組成物が充分に露光されてから加熱されると,被膜形成用組成物の硬化物中に,気泡が特に生成しやすくなり,且つ被膜形成用組成物の硬化物全体に対する気泡の割合が高くなりやすい。
【0045】
特定有機化合物は,例えば結晶性エポキシ化合物及びジカルボン酸からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。
・・・(中略)・・・
【0047】
結晶性エポキシ化合物は,エポキシ基を有し且つ結晶性を有するモノマー,プレポリマー及びポリマーからなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。このような化合物は市販され,容易に入手可能である。例えば結晶性エポキシ化合物は,1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ),新日鉄住金化学株式会社製の品名YDC-1312(ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂)・・・(中略)・・・からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。」

(エ) 「【0054】
カルボキシル基を有する樹脂は,被膜形成用組成物から形成される塗膜に,アルカリ性溶液による現像性を付与する。
・・・(中略)・・・
【0062】
カルボキシル基を有する樹脂は,カルボキシル基及びエチレン性不飽和基を有する樹脂(以下,カルボキシル基含有不飽和樹脂という)を含有することもできる。尚,カルボキシル基含有不飽和樹脂は,光重合性を有するため,光重合性化合物にも含まれる。すなわち,カルボキシル基含有不飽和樹脂は,カルボキシル基を有する樹脂に含まれる成分と,光重合性化合物に含まれる成分とを兼ねる。
【0063】
カルボキシル基含有不飽和樹脂は,例えば一分子中に二個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物(a1)における前記エポキシ基のうち少なくとも一つに,カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物(a2)が反応し,更に多価カルボン酸及びその無水物から選択される少なくとも一種からなる群から選択される化合物(a3)が付加した構造を有する樹脂(以下,第一の樹脂(a)という)を,含有することができる。
【0064】
エポキシ化合物(a1)は,例えばクレゾールノボラック型エポキシ樹脂,・・・(中略)・・・からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することができる。
・・・(中略)・・・
【0073】
エチレン性不飽和化合物(a2)は,適宜のポリマー及びプレポリマーからなる群から選択される化合物を含有することができる。・・・(中略)・・・
【0074】
特にエチレン性不飽和化合物(a2)が,アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一方を含有することが好ましい。この場合,アクリル酸及びメタクリル酸に由来するエチレン性不飽和基は特に光反応性に優れるため,第一の樹脂(a)の光反応性が高くなる。
・・・(中略)・・・
【0076】
多価カルボン酸及びその無水物からなる群から選択される化合物(a3)は,例えば・・・(中略)・・・テトラヒドロフタル酸・・・(中略)・・・等の三塩基酸以上の多価カルボン酸;並びにこれらの多価カルボン酸の無水物からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。」

(オ) 「【0094】
被膜形成用組成物は,着色剤を含有してもよい。被膜形成用組成物が着色剤を含有すると,上述の通り,被膜形成用組成物から形成される被膜における第一の領域の外観色は主として着色剤の色となるのに対し,第二の領域の外観色は,着色剤の色と配線板の表面の色とが混合した色となる。これにより,被膜に,互いに色の異なる領域が形成される。
・・・(中略)・・・
【0096】
被膜形成用組成物が着色剤を含有する場合,着色剤は,顔料,染料及び色素のいずれを含有してもよい。
・・・(中略)・・・
【0098】
例えば着色剤は,赤色着色剤,青色着色剤,緑色着色剤,黄色着色剤,紫色着色剤,オレンジ色着色剤,茶色着色剤,及び前記以外の色の着色剤からなる群から選択される一種以上の材料を含有することができる。」

(カ) 「【0109】
被膜形成用組成物が,充填材を含有してもよい。この場合,被膜形成用組成物から形成される塗膜の硬化収縮が低減する。充填材は,例えばシリカ,硫酸バリウム,カーボンナノチューブ,水酸化アルミニウム,及び水酸化マグネシウムからなる群から選択される一種以上の材料を含有することができる。
【0110】
被膜形成用組成物は,更に必要に応じて適宜の添加剤を含有してもよい。例えば被膜形成用組成物は,シリコーン,アクリレート等の共重合体;レベリング剤;シランカップリング剤等の密着性付与剤;チクソトロピー剤;重合禁止剤;ハレーション防止剤;難燃剤;消泡剤;酸化防止剤;界面活性剤;並びに高分子分散剤からなる群から選択される一種以上の化合物を含有してもよい。」

(キ) 「【0116】
被膜形成用組成物中の特定有機化合物の割合は,固形分量に対して1.0?65質量%の範囲内であることが好ましく,1.2?60質量%の範囲内であればより好ましく,1.4?55質量%の範囲内であれば更に好ましく,1.6?50質量%の範囲内であれば特に好ましい。
・・・(中略)・・・
【0120】
カルボキシル基を有する樹脂は上述のように,カルボキシル基含有非感光性樹脂と,カルボキシル基含有不飽和樹脂のうち,少なくとも一方を含有することができる。カルボキシル基を有する樹脂の割合は,固形分量に対して5?85質量%の範囲内であることが好ましく,10?80質量%の範囲内であれば更に好ましい。
【0121】
カルボキシル基を有する樹脂がカルボキシル基含有非感光性樹脂を含有する場合,カルボキシル基含有非感光性樹脂の割合は,固形分量に対して5?80質量%の範囲内であれば好ましく,10?75質量%の範囲内であれば更に好ましい。
・・・(中略)・・・
【0124】
被膜形成用組成物が着色剤を含有する場合,着色剤の割合は,固形分量に対して0.05?15質量%の範囲内であることが好ましく,0.1?10質量%の範囲内であれば更に好ましい。」

(ク) 「【0127】
本実施形態による被膜形成用組成物は,配線板上に被膜を形成するために適用される。
【0128】
以下に,本実施形態による被膜形成用組成物を用いて配線板に被膜を形成する方法を,図1?3を参照して説明する。
【0129】
本方法では,被膜形成用組成物と共に,被膜形成用組成物とは異なるアルカリ現像性を有する組成物(第二の被膜形成用組成物)が,使用される。・・・(中略)・・・
【0130】
配線板1を用意する。配線板1は,例えばプリント配線板である。
【0131】
この配線板1上に,第二の被膜形成用組成物を塗布して塗膜(第二の塗膜5)を形成する。・・・(中略)・・・。
【0133】
続いて,第二の塗膜5上に被膜形成用組成物を塗布して,図1に示すように塗膜2を形成する。・・・(中略)・・・
【0136】
続いて,図2に示すように,塗膜2及び第二の塗膜5に,マスク4を介して光を照射することで,塗膜2及び第二の塗膜5を露光する。
・・・(中略)・・・
【0138】
マスク4は,互いに光透過性の程度が異なる三種類の部分を備える。例えばマスク4は,光透過性を有する部分(以下,透過性部41という)と,透過性部41よりも低い光透過性を有する部分(以下,低透過性部42という)と,光透過性を有しない部分(以下,非透過性部43という)とを備える。
【0139】
このマスク4を介して塗膜2が露光されると,塗膜2における透過性部41に対応する部分(第一の部分21)には光が照射され,塗膜2における低透過性部42に対応する部分(第二の部分22)には,第一の部分21よりも低い露光量で光が照射され,塗膜2における非透過性部43に対応する部分(第三の部分23)には,光が照射されない。・・・(中略)・・・マスク4は,第一の部分21,第二の部分22及び第三の部分23が,塗膜2における所定の箇所に位置するように,設計される。
【0140】
このように塗膜2を露光すると,塗膜2における第一の部分21では光重合性化合物の光重合反応が進行し,第二の部分22でも,第一の部分21よりも程度が低いものの,光重合性化合物の光重合反応が進行する。一方,第三の部分23では,光重合性化合物の光重合反応は進行しない。
・・・(中略)・・・
【0144】
塗膜2と同時に第二の塗膜5も露光され,第二の塗膜5における透過性部41及び低透過性部42に対応する部分には,光が照射されて,この部分が硬化する。一方,第二の塗膜5における非透過性部43に対応する部分には,光が照射されない。
【0145】
塗膜2及び第二の塗膜5の露光後,塗膜2及び第二の塗膜5をアルカリ性現像液で現像する。そうすると,塗膜2の第三の部分23が配線板1上から除去され,第二の塗膜5における非透過性部43に対応する部分も,配線板1上から除去される。塗膜2の第一の部分21及び第二の部分22は,配線板1上に残存する。
・・・(中略)・・・
【0147】
塗膜の露光後,配線板1上の塗膜2(第一の部分21及び第二の部分22)を,加熱する。この場合の塗膜2の加熱温度は,T_(h)≧T_(m)-30の関係を満たし,好ましくはT_(m)+100≧T_(h)≧T_(m)-30の関係を満たす。この式において,T_(h)(℃)は塗膜2の加熱温度であり,T_(m)(℃)は,特定有機化合物の融点である。加熱温度は,例えば100?200℃の範囲内である。また加熱時間は20分?5時間の範囲内である。
【0148】
このように塗膜2が加熱されると,第一の部分21内で気泡が発生する。一方,第二の部分22内には気泡は発生せず,或いは気泡は発生するものの,その割合は第一の部分21よりも低い。また,このように塗膜2を加熱すると,被膜形成用組成物がエポキシ化合物を含有する場合は,エポキシ化合物の熱硬化反応が進行する。
・・・(中略)・・・
【0150】
これにより,図3に示すように,配線板1上に,第二の塗膜5の硬化物からなる被膜(第二の被膜6)が形成され,第二の被膜6の上に,塗膜2の硬化物からなる被膜(被膜3)が形成される。これにより,被覆配線板1が得られる。被膜3は,第一の部分21の硬化物である第一の領域31と,第二の部分22の硬化物である第二の領域32とを,備える。第一の領域31は,気泡を含有する。一方,第二の領域32は,気泡を含有せず,或いは気泡を第一の領域31よりも低い密度で含有する。このため,第一の領域31と第二の領域32との間に光透過性の差異があり,第二の領域32は,第一の領域31よりも高い光透過性を有する。
【0151】
このため,被膜形成用組成物が着色剤を含有する場合には,第一の領域31の外観色は主として着色剤の色となるのに対し,第二の領域32の外観色は,着色剤の色と第二の被膜6の色とが混合した色となる。例えば着色剤の色が緑色であり,第二の被膜6の色が黒色である場合には,第一の領域31の外観色は緑色となり,第二の領域32の色は黒色又は暗緑色となる。・・・(中略)・・・
【0155】
このように被覆配線板1における被膜3が形成されることで,被膜3に容易にマーキングが施される。例えば第一の領域31が適宜の図形,文字等の形状に形成されることで,第一の領域31によるマーキングが形成される。また,第二の領域32が適宜の図形,文字等の形状に形成されることで,第二の領域32によるマーキングが形成されてもよい。このため,被膜3の形成と同時に,マーキングを施すことができる。
【0156】
尚,本方法では,配線板1上に第二の被膜6と被膜3とを形成しているが,第二の被膜6を形成せずに,配線板1上に直接被膜3を形成してもよい。この場合は,被膜3が外部から観察されると,被膜形成用組成物が着色剤を含有する場合には,第一の領域31の外観色は主として着色剤の色であり,第二の領域32の外観色は,着色剤の色と配線板1の表面の色とが混合した色となる。・・・(中略)・・・
【0157】
被覆配線板1における被膜3は,例えばソルダーレジストであってよい。また,本方法のように第二の被膜6上に被膜3が形成される場合には,被膜3と第二の被膜6とが,多層のソルダーレジストを構成してもよい。」

(ケ) 「【実施例】
【0159】
実施例で用いるカルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1を,次のようにして調製した。
【0160】
まず,還流冷却管,温度計,空気吹き込み管及び攪拌機が取り付けられている四つ口フラスコ内に,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製,品番YDCN-700-5,エポキシ当量203)203質量部,ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート103質量部,メチルハイドロキノン0.2質量部,アクリル酸72質量部,及びトリフェニルホスフィン1.5質量部を入れることで,混合物を調製した。この混合物を加熱温度110℃,加熱時間10時間の条件で加熱することで,付加反応を進行させた。続いて,混合物にテトラヒドロ無水フタル酸60.8質量部,及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート78.9質量部を加えてから,更に混合物を加熱温度80℃,加熱時間3時間の条件で加熱した。これにより,カルボキシル基含有不飽和樹脂の濃度65質量%溶液(カルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1)を得た。
・・・(中略)・・・
【0163】
また,実施例で用いるカルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1及びカルボキシル基含有非感光性樹脂A-2以外の原料の詳細は,次の通りである。
・光重合性単量体A:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)。
・結晶性エポキシ化合物A:1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ),融点158℃。
・結晶性エポキシ化合物B:ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂。新日鉄住金化学株式会社製の品名YDC-1312。融点145℃。
・・・(中略)・・・
・光重合開始剤A:BASF社製の品名イルガキュアー907,融点72℃。
・光重合開始剤B:2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(DETX),融点68℃。
・・・(中略)・・・
・硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製の品名バリエースB30。
・微粉シリカ:株式会社トクヤマ製の品名レオロシールMT-10。
・メラミン樹脂:日産化学工業株式会社製の品名メラミンHM。
・着色剤:東洋インキ製造社製の品名リオノールグリーン6Y-501
・消泡剤:信越化学工業株式会社製の品名KS-66。
・溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート。
【0164】
[実施例1?6,9,11?16,19,21,参考例7,8,10,17,18,20,比較例1?4]
表1?3に示す成分を,表1?3に示す組成で混合することで,被膜形成用組成物を調製した。
【0165】
また,表面の色が黒色であるプリント配線板を用意した。
【0166】
このプリント配線板の表面上に,被膜形成用組成物をスクリーン印刷法で塗布することで,塗膜を形成した。この塗膜を80℃で30分間加熱した。
【0167】
続いて,光透過性を有する透過性部と透過性部よりも低い光透過性を有する低透過性部と光透過性を有さない非透過性部とを備えるマスクを介して,塗膜に紫外線を照射することで,塗膜を露光した。塗膜における透過性部を透過する光が照射される部分における露光量は400mJ/cm^(2),低透過性部を透過する光が照射される部分における露光量は50mJ/cm^(2)であった。
【0168】
露光後の塗膜に,1%Na_(2)CO_(3)水溶液を0.2MPaの圧力で60秒間スプレー噴射することで,現像した。
【0169】
続いて,塗膜を150℃で1時間加熱した。
【0170】
更に,実施例2,13では,塗膜全体を露光した。この露光量は1000mJ/cm^(2)である。
【0171】
これにより形成された被膜の厚みは,表に示す通りである。
【0172】
この被膜の外観を目視で観察し,露光時に非透過性部により光の照射が遮られた領域(第三の領域)が,現像により除去されているか否かを確認した。その結果,現像残渣が認められない場合を良,現像残渣が認められる場合を不良と評価した。その結果を,表1?3の「現像性」の欄に示す。
【0173】
また,被膜の外観を目視で観察し,被膜における,露光時に透過性部を透過した光により露光された領域(第一の領域)と,露光時に低透過性部を透過した光により露光された領域(第二の領域)との,外観色を確認した。
【0174】
また,被膜の外観を目視で観察し,第一の領域と第二の領域とが,明瞭に区別可能か否かを確認した,その結果,明瞭に区別可能の場合を「A」,区別可能の場合を「B」,不明瞭であるが区別可能の場合を「C」,区別不可能の場合を「D」と,評価した。その結果を「マーキングの視認性」の欄に示す。
【0175】
また,被膜の表面を研磨し,それにより現れた面を観察し,その結果に基づいて第一の領域における気泡の割合と,第二の領域における気泡の割合とを,導出した。気泡の割合を導出するにあたっては,第一の領域と第二の領域の各々において,研磨により現れた面の20μm^(2)の面積の領域での,長径0.5μm以上の気泡の占有割合を,気泡の割合とした。その結果,気泡の割合が9%以上の場合を「A」,気泡の割合が6%以上9%未満の場合を「B」,気泡の割合が3%以上6%未満の割合の場合を「C」,気泡の割合が3%未満の場合を「D」と,評価した。
【0176】
その結果を下記表1?3に示す。
【0177】
【表1】



イ 甲1の記載から把握される発明
甲1の【0002】,【0031】及び【0157】には,プリント配線板上に形成された「被膜」が,「ソルダーレジスト」として用いられることが記載されており,他の用途に用いることが記載されていないこと等から,前記ア(ケ)で摘記した記載中の各実施例の「被膜」が,ソルダーレジストとして用いられることは,明らかである。
したがって,前記ア(ア)ないし(ケ)で摘記した甲1の記載から,甲1に,実施例1で用いている被膜形成用組成物に関する発明として,次の発明が記載されていると認められる。

「ソルダーレジストとして用いられる被膜を形成するための被膜形成用組成物であって,
下記[原料]に示す成分を下記[含有量]に示す組成で混合することにより,調製された被膜形成用組成物。

[原料]
カルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1:下記[調整方法]に示した方法で調整したカルボキシル基含有不飽和樹脂の濃度65質量%溶液。
光重合性単量体A:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)。
結晶性エポキシ化合物A:1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ),融点158℃。
光重合開始剤A:BASF社製の品名イルガキュアー907,融点72℃。
光重合開始剤B:2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(DETX),融点68℃。
硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製の品名バリエースB30。
微粉シリカ:株式会社トクヤマ製の品名レオロシールMT-10。
メラミン樹脂:日産化学工業株式会社製の品名メラミンHM。
着色剤:東洋インキ製造社製の品名リオノールグリーン6Y-501。
消泡剤:信越化学工業株式会社製の品名KS-66。
溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート。

[含有量]
カルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1 77質量部
光重合性単量体A 12質量部
結晶性エポキシ化合物A 15質量部
光重合開始剤A 2質量部
光重合開始剤B 0.2質量部
硫酸バリウム 60質量部
微粉シリカ 4質量部
メラミン樹脂 0.5質量部
着色剤 1質量部
消泡剤 1質量部
溶剤 10質量部

[調整方法]
還流冷却管,温度計,空気吹き込み管及び攪拌機が取り付けられている四つ口フラスコ内に,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製,品番YDCN-700-5,エポキシ当量203)203質量部,ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート103質量部,メチルハイドロキノン0.2質量部,アクリル酸72質量部,及びトリフェニルホスフィン1.5質量部を入れることで,混合物を調製し,この混合物を加熱温度110℃,加熱時間10時間の条件で加熱することで,付加反応を進行させ,続いて,混合物にテトラヒドロ無水フタル酸60.8質量部,及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート78.9質量部を加えてから,更に混合物を加熱温度80℃,加熱時間3時間の条件で加熱する。」(以下,「甲1組成物発明」という。)

(2)甲3
ア 甲3の記載
甲3(特開2012-3225号公報)は,本件優先日より前に頒布された刊行物であるところ,当該甲3には,次の記載がある。(下線は,後述する「甲3記載技術」の認定に特に関係する箇所を示す。)
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,ソルダーレジスト形成用の重合性組成物及びソルダーレジストパターンの形成方法に関し,特に,固体撮像素子におけるソルダーレジストの形成に好適に使用しうるソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
・・・(中略)・・・
【0004】
一方,携帯電話や,デジタルカメラ,デジタルビデオ,監視カメラ等に使用される固体撮像素子(イメージセンサ)は,半導体素子の製造技術を用いて集積回路化された光電変換素子である。近年,固体撮像素子は,携帯電話,及びデジタルカメラの小型化,軽量化にともなってより一層の小型化が望まれている。
固体撮像素子の小型化の為に,貫通電極の応用,及びシリコンウエハを薄膜化する手法が提案されている(例えば,特許文献1参照。)。シリコンウエハを研磨して薄膜化することで小型化は実現できるが,シリコンウエハの薄膜化により,800nm以下の光の遮光性は維持されるが,波長800nm以上の光を透過し易くなってきた。固体撮像素子に使用されるフォトダイオードは,800nm以上1200nm以下の光にも反応してしまうために,800nm以上の光の透過により画質が低下してしまうという新たな問題が生じることがわかった。
【0005】
・・・(中略)・・・そこで,従来,赤外線に対する遮光性に乏しいソルダーレジストの外側にさらに赤外線遮光性の層を設け,赤外線遮光性を確保する手段が講じられるが,一般的に,ソルダーレジスト上は配線などにより段差が存在するために,赤外線遮光性層材料を段差のある基板表面に均一の膜厚で塗布することが難しく,薄い部分が存在するとそこから光が透過してしまう問題があった。
【0006】
・・・(中略)・・・ また,現状では,ソルダーレジストを塗布法により形成した後に,赤外線遮光性層を別に設けるため,ソルダーレジストの形成と赤外線遮光性層の形成において,複数回の塗布,露光,現像,後加熱など工程が必要であり,工程が煩雑でありコストアップの要因ともなるため改善が望まれていた。・・・(中略)・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は,かかる現状に鑑みてなされたものであり,従来における前記諸問題を解決し,以下の目的を達成することを課題とする。
即ち,本発明の目的は,赤外領域における遮光性と硬化性の双方が良好なソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果,赤外線遮蔽材をソルダーレジストに組み入れることで,ソルダーレジスト層自体が優れた赤外線に対する遮蔽性を確保でき,且つ,硬化性も十分得られることを見出し,本発明を完成した。
本発明のソルダーレジスト用重合性組成物は,赤外線遮蔽材,重合開始剤,及び,重合性化合物を含有する。
ここで,赤外線遮蔽材としては,チタンブラック等の金属含有無機顔料や赤外線吸収性と安定性とに優れた赤外線吸収色素が好ましい。・・・(中略)・・・
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば,赤外領域における遮光性と硬化性の双方が良好なソルダーレジスト用重合性組成物及びそれを用いたソルダーレジストパターンの形成方法を提供することができ,該ソルダーレジスト用重合性組成物は,特に固体撮像素子のソルダーレジスト形成に好適である。」

(イ) 「【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明のソルダーレジスト用重合性組成物(以下,単に,重合性組成物と称することがある)について詳細に説明する。・・・(中略)・・・
(ソルダーレジスト用重合性組成物)
本発明の重合性組成物は,少なくとも赤外線遮蔽材,重合開始剤,及び,重合性化合物を含有し,必要に応じ,バインダーポリマーと,フィラー,エラストマー,その他の成分を含有してなる。・・・(中略)・・・
【0014】
<赤外線遮蔽材>
本発明に使用される赤外線遮蔽材としては,800-1200nmに吸収を有する化合物であり,且つ,露光に用いられる光の透過性が良好であることが好ましい。そのような観点から,本発明における赤外線遮蔽材は,赤外線吸収色素,及び,赤外線吸収性金属含有無機顔料から選択されることが好ましい。・・・(中略)・・・
【0038】
本発明において赤外線遮蔽材として使用できる赤外線吸収性の金属含有無機顔料としては,例えば,亜鉛華,鉛白,リトポン,酸化チタン,酸化クロム,酸化鉄,沈降性硫酸バリウムおよびバライト粉,鉛丹,酸化鉄赤,黄鉛,亜鉛黄(亜鉛黄1種,亜鉛黄2種),ウルトラマリン青,プロシア青(フェロシアン化鉄カリ),ジルコングレー,プラセオジムイエロー,クロムチタンイエロー,クロムグリーン,ピーコック,ビクトリアグリーン,紺青(プルシアンブルーとは無関係),バナジウムジルコニウム青,クロム錫ピンク,陶試紅,サーモンピンク等が挙げられ,さらに,黒色顔料として,Co,Cr,Cu,Mn,Ru,Fe,Ni,Sn,Ti及びAgからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属元素を含む金属酸化物,金属窒素物或いはそれらの混合物などを用いることができる。
赤外線遮蔽材として用いられる無機顔料の粒径は,平均一次粒径が5nm?0.01mmであることが好ましく,分散性,遮光性,経時での沈降性の観点から平均一次粒径が10nm?1μmであることが好ましい。
【0039】
これら赤外線吸収顔料のなかでも,波長800-1200nmの赤外領域での遮蔽性が良好であることから,窒化チタンを含有する黒色顔料であるチタンブラックが好ましい。
本発明において好適な赤外線遮蔽材として用いうるチタンブラックは,公知の手法により得ることができ,また,市販品としては,例えば,石原産業株式会社製,赤穂化成株式会社製,株式会社ジェムコ社製,三菱マテリアル株式会社製,及び,三菱マテリアル電子化成株式会社製のチタンブラックを使用してもよい。
【0040】
本発明の重合性組成物に用いられる赤外線遮蔽材としては,赤外域の遮光性を有すると共に,フォトリソ性発現のために,一般に,フォトリソグラフィーによるパターニングにおいて露光光源として用いられる波長200-450nmの光透過性が良好であること,即ち,紫外域から可視域において低遮光性であることが必要となる。
赤外線遮蔽性と可視光透過性のバランスについて述べれば,例えば,本発明の重合性組成物により厚さ20μmの硬化膜を形成したとき,該硬化膜の赤外域である波長800-1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値が,該硬化膜の波長300-450nmにおける光学濃度の最低値の3倍未満であることが好ましく,より好ましくは2倍以下であり,最も好ましくは1.5倍以下である。
ちなみに,金属を含有しない顔料であるカーボンブラックを,金属含有無機顔料であるチタンブラックに変えて等量用いた場合,波長800-1200nmにおける光学濃度(OD値)の最低値は,該硬化膜の波長300-450nmにおける光学濃度の最低値の3倍またはそれ以上の値となる。
このような遮光条件を達成しうる赤外線遮蔽材としては,前記した赤外線吸収色素,及び,チタンブラックなどの金属含有無機顔料が挙げられるが,耐熱性,露光によるパターン形成性の観点からチタンブラック等の金属含有無機顔料が最も好ましい。
・・・(中略)・・・
【0044】
(分散剤)
本発明において赤外線遮蔽材として金属含有無機顔料を用いる場合には,重合性組成物中での分散性,分散安定性向上を目的として,公知の分散剤により分散して用いてもよい。
【0045】
本発明に用いうる分散剤としては,高分子分散剤〔・・・(中略)・・・〕,ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルアミン,アルカノールアミン,及び顔料誘導体等を挙げることができる。・・・(中略)・・・
【0050】
本発明に用いうる分散剤は,市販品としても入手可能である。
具体的には,多くの種類の化合物を使用可能であり,例えば,・・・(中略)・・・アビシア社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体),・・・(中略)・・・」,・・・(中略)・・・等が挙げられる。
・・・(中略)・・・
【0097】
赤外線遮蔽材として無機顔料を用いる場合には,まず,顔料と,分散剤と,適切な溶剤とにより顔料分散組成物を調整した後,重合性組成物に配合することが分散性向上の観点から好ましい。
なお,赤外線遮蔽材として,無機顔料や赤外線吸収色素を用いる場合においても,所望の分光透過率を実現すべく,既存の赤,青,緑,黄色,シアン,マゼンタ,グレーなどの色相を有する有機顔料及び前記赤外線遮蔽材として例示した以外の色素から適宜選択して組み合わせて用いてもよい。
・・・(中略)・・・
【0099】
そのような顔料分散組成物中における分散剤の含有量としては,顔料分散組成物中の着色剤(黒色顔料及び他の着色剤を含む)の全固形分質量に対して,1質量%?90質量%が好ましく,3質量%?70質量%がより好ましい。」

(ウ) 「【実施例】
【0278】
以下,本発明の実施例を説明するが,本発明は,これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお,特に断りのない限り,「部」,「%」は質量基準である。・・・(中略)・・・
【0282】
<チタンブラック分散液Bの調製>
下記組成3を,ニーダーで30分混練した後,二本ロールにて高粘度分散処理を施し,分散物を得た。この際の分散物の粘度は40000mPa・sであった。
【0283】
(組成3)
・平均一次粒径75nmチタンブラック13M-C 39部
(三菱マテリアルズ(株)製)(ピグメント ブラック35)
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA溶液(固形分40%)8部
(アリルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(質量比),Mw:25000)
・ソルスパース5000(ルーブリゾール社製) 1部
【0284】
得られた分散物に,下記組成4の混合物を添加し,3000rpmの条件でホモジナイザーを用いて3時間攪拌した。得られた混合溶液を,0.3mmジルコニアビーズを用いた分散機(商品名:ディスパーマット,GETZMANN社製)にて4時間微分散処理を施して,チタンブラック分散液B(以下,TB分散液Bと表記する。)を得た。
この際の,混合溶液の粘度は7.0mPa・sであった。
【0285】
(組成4)
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体のPGMEA溶液(固形分40%)8部
(アリルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(質量比),Mw:25000)
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 200部
・・・(中略)・・・
【0289】
(特定樹脂1の合成)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ,容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して,同温度で,スチレン60.0部,メタクリル酸80.0部,メチルメタクリレート68.0部,ブチルメタクリレート62.0部,アゾビスイソブチロニトリル9.0部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下後さらに100℃で3時間反応させた後,アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し,さらに100℃で1時間反応を続けて,重量平均分子量が約30000,3.44mmol/gのアクリル樹脂1の溶液を得た。
室温まで冷却した後,樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃,20分加熱乾燥して不揮発分を測定し,先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して特定樹脂1溶液を調製した。
【0290】
(特定樹脂2の合成)
アクリル樹脂1の溶液にグリシジルメタクリレートを10部,テトラエチルアンモニウムブロミド1部を加え,90℃で2時間攪拌し,側鎖に二重結合性基を導入した。
そして,再沈方法により,重量平均分子量が約32000,二重結合性基が3.1mmol/gの固体の特定樹脂2(特定バインダー樹脂Aに相当)を得た。
その後,特定樹脂1の合成と同様にして不揮発分が20質量%となるよう溶媒量を調整し,特定樹脂2溶液を得た。
【0291】
<実施例1?4,比較例1,2>
下記の重合性組成物溶液Aの組成を混合し,下記のフィルタを用いてろ過して,実施例1?4,および比較例1,2の重合性組成物を調製した。
ろ過のフィルタ:第1のフィルタとして,日本ポール社製プロファイル・スター(ポリプロピレン 濾過精度1.5μm)を用い,第2のフィルタには日本ポール社製HDCII(高密度ポリプロピレン 濾過精度6.0μm)を用いた。
【0292】
-重合性組成物溶液Aの組成-
・下記組成のシリカ分散液 79.94部
・赤外線遮蔽材(下記表1に記載の化合物) (下記表1記載の量)
・重合性化合物(下記表1に記載の化合物) 20.00部
・特定樹脂2(上記合成法で得たもの) 37.50部
・メガファックF-780 0.15部
〔DIC(株)製〕の30%メチルエチルケトン溶液
・ビスフェノールAジグリシジルエーテル 10.93部
・重合開始剤(下記表1に記載の化合物) 0.90部
・溶媒(PGMEA) 20.0部
【0293】
-シリカ分散液-
・フィラー1(SC-2500-SMJ;球状シリカ 16.99部
メタクリルシラン処理1%;一次粒子の体積平均粒径0.5μm;アドマテックス社製)
・特定樹脂2溶液(濃度20%) 62.75部
・ジシアンジアミド(硬化促進剤) 0.20部
【0294】
【表1】

【0295】
上記表1に記載の重合性化合物及び重合開始剤の詳細は以下に示すとおりである。
(重合性化合物)
M-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)
M-2:ペンタエリスリトールトリアクリレートのコハク酸変性体
【0296】
【化56】

・・・(中略)・・・
【0298】
<ソルダーレジスト用重合性組成物の評価>
得られた実施例1?4,比較例1,2の重合性組成物を,それぞれ,シリコンウエハにスピンコート法で,膜厚が25μmになるよう塗布し,その後,ホットプレート上において120℃で2分加熱して重合性組成物層を得た。
次いで,得られた重合性組成物層を,i線ステッパーを用い,300μmのパターンを有するフォトマスクを介して露光量50?2000mJ/cm^(2)の範囲の露光量を,50mJ/cm^(2)の刻みで変化させて照射した。
前記露光後の重合性組成物層に対し,テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド2.38質量%水溶液を用い,25℃で60秒間パドル現像を行った。その後スピンシャワーにてリンスを行いさらに純水にて水洗し,赤外線遮蔽性のソルダーレジストパターンを得た。現像工程を60秒実施した際に直径300μmの円のパターンが得られた最低露光量を測定し,パターン形成性の目安とした。数値が小さい程,感度,パターン形成性が良好であると評価する。
また,同条件でガラス基板に重合性組成物をスピンコートして膜厚が25μmの感光層(重合性組成物層)塗膜を形成し,塗膜の波長1200nmの透過率を測定した。数値が低いほど赤外線遮蔽性に優れると評価する。透過率が2%以下で実用上良好な赤外線遮蔽性を示すといえる。
【0299】
【表2】

【0300】
表2の結果より,本発明のソルダーレジスト用重合性組成物によれば,高感度で微細なパターンが形成され,また,塗膜の赤外線遮蔽性に優れることがわかる。なお,赤外線遮蔽材に代えて,黒色有機顔料であるカーボンブラックを用いた比較例1及び2では,ある程度の赤外線遮蔽性を示すものの,パターン形成性に劣ることがわかる。これは,紫外?可視域における光透過性が低いことに起因するものと考えられる。」

イ 甲3の記載から把握される技術事項
前記(ウ)に記載された実施例3及び4の重合性組成物溶液Aが含有する成分中,シリカ分散液の固形分は29.74質量部(={16.99+62.75×0.2+0.20}×{79.94/(16.99+62.75+0.20)})であり,赤外線遮蔽剤(チタンブラック分散液B)の固形分は約2.18質量部(={39+8×0.4+1+8×0.4}×{12.0/(39+8+1+8+200)})であり,チタンブラック(三菱マテリアルズ(株)製13M-C)の含有量は約1.83質量部(=39×{12.0/(39+8+1+8+200)})であり,特定樹脂2の含有量は7.50質量部であるから,実施例3及び4の重合性組成物溶液Aにおいて,チタンブラック(三菱マテリアルズ(株)製13M-C)の含有量は,重合性組成物の全固形分に対して約2.56質量%(=1.83/(29.74+2.18+20.00+7.50+0.15+10.93+0.90)×100)である。
したがって,前記ア(ア)ないし(ウ)で摘記した記載からみて,甲3には,実施例3及び4のソルダーレジスト用重合性組成物に関して,次の技術事項が記載されていると認められる。

「ソルダーレジスト用重合性組成物において,
赤外線遮蔽剤として,平均一次粒径75nmのチタンブラックである三菱マテリアルズ(株)製13M-Cを,形成されるソルダーレジストによる波長800-1200nmの赤外領域での遮蔽性が良好となるような量で含有させることによって,固体撮像素子におけるソルダーレジストの形成に好適なものにするとともに,
前記三菱マテリアルズ(株)製13M-Cのソルダーレジスト用重合性組成物中での分散性,分散安定性を向上させるために,分散剤として,ルーブリゾール社製ソルスパース5000を,前記三菱マテリアルズ(株)製13M-Cの1/39質量部程度の量で含有させる技術。」(以下,「甲3記載技術」という。)

4 予告理由1(進歩性欠如)についての判断
(1)本件訂正発明1について
ア 甲1発明との対比
(ア) 甲1組成物発明が含有する「カルボキシル基含有不飽和樹脂溶液A-1」中の「カルボキシル基含有不飽和樹脂」は,その[調整方法]によれば,テトラヒドロ無水フタル酸由来のカルボキシル基を有しているから,本件訂正発明1の「カルボキシル基含有樹脂」に該当する。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1の「カルボキシル基含有樹脂(A)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(イ) 甲1組成物発明が含有する「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)」は,技術的にみて,光重合性モノマーである。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1の「光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(ウ) 甲1組成物発明は,「光重合開始剤」である「BASF社製の品名イルガキュアー907」及び「2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン(DETX)」を含有している。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1の「光重合開始剤(C)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(エ) 本件特許の明細書の【0063】には,「結晶性エポキシ樹脂(D)は,1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ)・・・(中略)・・・からなる群から選択される一種以上の化合物を含有することができる。」と記載されている。また,本件特許の明細書の【0134】ないし【0166】に記載された実施例においても,「結晶性エポキシ樹脂(D)」として,「結晶性エポキシ化合物A:1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ),融点150?158℃」が使用されている(【0136】,並びに,【0156】に記載の【表1】及び【0157】に記載の【表2】)。
そうしてみると,甲1組成物発明が含有する「1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ)」は,本件訂正発明1でいう「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」に該当する。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1の「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(オ) 甲1組成物発明において,「カルボキシル基含有不飽和樹脂」の含有量は50.05質量部(=77×0.65)であり,「1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ)」の含有量は15質量部である。そうしてみると,甲1組成物発明は,「1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ)」(本件訂正発明1の「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」に該当)を,「カルボキシル基含有不飽和樹脂」(本件訂正発明1の「カルボキシル基含有樹脂(A)」に該当)に対して約29.97質量%(=15/50.05×100)含有している。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1の「前記結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内である」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(カ) 甲1組成物発明は,ソルダーレジストとして用いられる被膜を形成するための被膜形成用組成物であるから,「ソルダーレジスト組成物」といえる。
したがって,甲1組成物発明は,本件訂正発明1と,「ソルダーレジスト組成物」である点で一致する。

(キ) 前記(ア)ないし(カ)に照らせば,本件訂正発明1と甲1組成物発明は,
「カルボキシル基含有樹脂(A),
光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),
光重合開始剤(C),
融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)
を含有し,
前記結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内であるソルダーレジスト組成物。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点1:
本件訂正発明1は,「青色分散剤(E)を含有し」,「青色分散剤(E)が銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有し」,「青色分散剤(E)の含有割合が,前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.5?10質量%である」のに対して,
甲1組成物発明は,青色分散剤(E)を含有していない点。

イ 判断
(ア) 甲1組成物発明において,固体撮像素子におけるソルダーレジストの形成に好適なものにするために,甲3記載技術を適用して,赤外線遮蔽剤として,平均一次粒径75nmのチタンブラックである三菱マテリアルズ(株)製13M-Cを,形成されるソルダーレジストによる波長800-1200nmの赤外領域での遮蔽性が良好となるような量で含有させ,さらに,分散剤として,ルーブリゾール社製ソルスパース5000を,前記三菱マテリアルズ(株)製13M-Cの1/39質量部程度の量で含有させることは,当業者が容易に想到し得たことといえる。また,前記「ルーブリゾール社製ソルスパース5000」は,本件特許明細書に記載された各実施例において用いている「青色分散剤」であり,かつ,本件特許明細書の【0065】の記載によれば,「銅フタロシアニンスルホネート誘導体」である。
そこで,前述した構成の変更を行った甲1組成物発明において,「カルボキシル基含有不飽和樹脂」に対する「ルーブリゾール社製ソルスパース5000」の含有割合が,いかほどとなるのかについて,以下に検討する。
a 甲3に記載された実施例3及び4の重合性組成物溶液A中の固形分及びその含有量は,次のとおりである。
・フィラー1(球状シリカ) 16.99部
・特定樹脂2 12.55部(=62.75×0.2)
・ジシアンジアミド(硬化促進剤) 0.20部
・三菱マテリアルズ(株)製13M-C 1.83部(=39×{12.0/(39+8+1+8+200)})
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 0.38部(=8×{12.0/(39+8+1+8+200)})
・ソルスパース5000(ルーブリゾール社製) 0.05部(=1×{12.0/(39+8+1+8+200)})
・重合性化合物 20.00部
・特定樹脂2 37.50部
・メガファックF-780 0.05部(=0.15×0.3)
・ビスフェノールAジグリシジルエーテル 10.93部
・重合開始剤 0.90部

したがって,甲3に記載された実施例3及び4の重合性組成物溶液Aは,赤外線遮蔽剤としての三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)を,全固形分に対して約1.81質量%の割合で含有するものである。
また,甲3の【0299】の【表2】によると,当該実施例3及び4の重合性組成物溶液Aを用いて形成した膜厚が25μmの塗膜の波長1200nmでの透過率は,いずれも1%以下となる。

b 一方,甲1組成物発明中の固形分及びその含有量は,次のとおりである。
・カルボキシル基含有不飽和樹脂 50.05質量部(=77×0.65)
・光重合性単量体A 12質量部
・結晶性エポキシ化合物A 15質量部
・光重合開始剤A 2質量部
・光重合開始剤B 0.2質量部
・硫酸バリウム 60質量部
・微粉シリカ 4質量部
・メラミン樹脂 0.5質量部
・着色剤 1質量部
・消泡剤 1質量部

したがって,甲1組成物発明における固形分の合計含有量は,145.75質量部である。

c そうすると,甲1組成物発明に,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)を約2.69質量部,ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)を約0.07質量部添加すると,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)が全固形分に対して約1.81質量%の割合で含有され,ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)が三菱マテリアルズ(株)製13M-Cの1/39質量部の量で含有されることとなる。しかるに,当該ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)の含有量を,「カルボキシル基含有不飽和樹脂」に対する含有割合に換算すると,0.14質量%となる。
したがって,仮に,甲1組成物発明において,甲3に記載された実施例3及び4と同程度の赤外線遮蔽能力を得られるようにするために,当該実施例3及び4と同程度の濃度(質量基準)で三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)を含有させたとしても,当該三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)を分散させるために必要なソルスパース5000(ルーブリゾール社製)の含有量は,「カルボキシル基含有不飽和樹脂」に対して0.14質量%となるのであって,本件訂正発明1の「0.5?10質量%」という範囲にはならない。
また,甲3に記載された実施例3及び4の重合性組成物溶液Aを用いて形成した膜厚が25μmの塗膜の波長1200nmでの透過率は,いずれも1%以下となるのであって,十分な赤外線遮蔽能力を備えたものといえるから,甲1組成物発明において,固体撮像素子におけるソルダーレジストの形成に好適なものにするために,甲3記載技術を適用するに際して,当業者が,甲3に記載された実施例3及び4における含有量を大きく超過するような量(およそ3.6倍以上の量)で,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)とソルスパース5000(ルーブリゾール社製)を含有させることには,動機付けがない。

d なお,自然法則からみると,ソルダーレジストにおける赤外線遮蔽能力は,ソルダーレジスト中での赤外線遮蔽剤(甲3記載技術においては三菱マテリアルズ(株)製13M-C)の占有体積に概ね比例すると考えられることから,甲3に記載された実施例3及び4と同程度の濃度(質量基準)でなく,同程度の占有体積となるように,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)とソルスパース5000(ルーブリゾール社製)を含有させることについて想定してみても,次のとおり,ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)の含有量は,本件訂正発明1の「0.5?10質量%」という範囲にはならない。
すなわち,球状シリカの比重は2.2程度であり(特開2012-83672号公報の【0112】,特開2013-10860号公報の【0041】,特開2013-133429号公報の【0158】等を参照。),堺化学工業株式会社製の硫酸バリウム:品名バリエースB30の比重は4.5である(特開2015-193786号公報の【0103】)ところ,甲3に記載された実施例3及び4における樹脂成分の比重と,甲1組成物発明における樹脂成分の比重との間に,無機成分と比較してさしたる差が存在しないことは技術常識からみて明らかであること(PMMAの比重が1.2程度であるところ,これと同程度と推察される。),そして,甲3に記載された実施例3及び4における樹脂成分と球状シリカの質量比が概ね81:17であり,甲1組成物発明における樹脂成分と硫酸バリウムの質量比が概ね80:60であることを考慮すると,甲1組成物発明を用いて形成されるソルダーレジストのほうが,比重が大きいこと(すなわち,同一質量での体積が小さいこと)は明らかであるから,甲1組成物発明において,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)が,甲3に記載された実施例3及び4と同程度の占有体積なるように含有するには,全固形分に対して,甲3に記載された実施例3及び4における約1.81質量%という値よりも小さな質量%で添加すればよいことになる。
したがって,甲1組成物発明において,当業者が,三菱マテリアルズ(株)製13M-C)の占有体積を考慮して,三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)とソルスパース5000(ルーブリゾール社製)を含有させるとすると,甲3に記載された実施例3及び4と同程度の赤外線遮蔽能力を得られる量の三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)を分散させるのに必要なソルスパース5000(ルーブリゾール社製)の含有量は,前記cで述べた「カルボキシル基含有不飽和樹脂に対して0.14質量%」という値よりも小さな値になるはずである。

e 以上によれば,甲1組成物発明に,甲3記載技術を適用しても,相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項には至らない。

(イ) また,申立人が提出した他の証拠を含め,甲1組成物発明を,相違点1に係る本件訂正発明1の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることが,当業者が容易に想到し得たことであったと認めるに足りる証拠は見当たらない。

(ウ) 以上のとおりであるから,本件訂正発明1は,甲1組成物発明及び甲3記載技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明3及び4について
本件訂正後の請求項3及び4は,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件訂正発明3及び4は,本件訂正発明1の全構成要件を具備し,これにさらに限定を加えたものに該当するところ,前記(1)ア及びイで述べたとおり,本件訂正発明1が,甲1組成物発明及び甲3記載技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない以上,本件訂正発明3及び4についても,同様の理由で,甲1組成物発明及び甲3記載技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(3)本件訂正発明5ないし11について
甲1の記載から,甲1組成物発明を用いてプリント配線板上に形成した被膜に関する発明(以下,「甲1被膜発明」という。),甲1被膜発明が形成されたプリント配線板に関する発明(以下,「甲1プリント配線板発明」という。),甲1組成物発明を用いて被膜を形成する方法に関する発明(以下,「甲1被膜形成方法発明」という。),及び甲1組成物発明を用いて被膜を形成する,被膜付きプリント配線板の製造方法に関する発明(以下,「甲1プリント配線板製造方法発明」という。)をも把握することができる。
そして,本件訂正発明5及び6,7ないし9,10,11と,前記甲1被膜発明,甲1プリント配線発明,甲1被膜形成方法発明,甲1プリント配線板製造方法発明とをそれぞれ対比すると,両者は,少なくとも,相違点1と同様の点で相違する。
しかるに,甲1被膜発明,甲1プリント配線発明,甲1被膜形成方法発明,及び甲1プリント配線板製造方法発明に,甲3記載技術を適用しても,相違点1に係る本件訂正発明5ないし11の発明特定事項に至らないことは,前記(1)イ(ア)で述べたとおりである。
したがって,本件訂正発明5ないし11は,いずれも,甲1被膜発明,甲1プリント配線発明,甲1被膜形成方法発明又は甲1プリント配線板製造方法発明と,甲3記載技術とに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(4)小括
以上のとおりであるから,本件訂正発明1,3ないし11について,予告理由1は成り立たない。

5 予告理由2(サポート要件違反)についての判断
(1)発明の詳細な説明の記載
ア 本件訂正発明は,前記「第2」1(1)イに「本件訂正後の特許請求の範囲」として示したとおりのものである。

イ 本件特許明細書の発明の詳細な説明には,次の記載がある。
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,ソルダーレジスト組成物,被膜,被覆プリント配線板,被膜の製造方法,及び被覆プリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上には,配線の保護,部品実装時の短絡防止等のために,ソルダーレジスト層等の被膜が形成される。また,プリント配線板には,製品情報等を表示する文字,記号等が,マーキングされることがある。
【0003】
マーキングの視認性に優れた被覆配線板として,プリント配線板上に,第二の被膜,及び第一の被膜をこの順で形成した被覆配線板が知られている(日本国特許番号5643416)。第二の被膜は着色層として機能する。第一の被膜は,第一の領域と,第一の領域よりも光透過性の高い第二の領域とを備える。第一の被膜は特定の融点を有し且つ光重合性を有しない有機化合物を含有する感光性の被膜形成用組成物から形成される。この場合,被膜形成用組成物から形成される塗膜を露光する際の露光量を部分的に異ならせるだけで,第一の領域と第二の領域とを備える第一の被膜を作製できる。
【0004】
この被覆配線板において,例えば,第一の被膜(ソルダーレジスト層)が緑色の着色剤を含有し,第二の被膜(ソルダーレジスト層)が黒色の着色剤を含有する場合には,第一の領域の外観色は緑色に見え,第二の領域の外観色は第一の被膜の色(緑色)と第一の被膜から透けて見える第二の被膜の色(黒色)とが混合して黒色又は暗緑色に見える。これにより,第一の領域と第二の領域との相違が明確に視認され,マーキングの視認性が高くなる。
【0005】
しかしながら,特許文献1に記載の被覆配線板では,プリント配線板上に第一の被膜及び第二の被膜からなる二層の被膜が形成されるため,生産性の低下を招いていた。また,プリント配線板を覆う被膜全体の膜厚が厚いため,被覆配線板を作製する際,露光(UV光)が二層の被膜の表層から深部まで十分に届きにくい。その結果,被膜の硬化が不十分となって,プリント配線板と二層の被膜との密着性が十分ではないおそれがあった。
【発明の概要】
【0006】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり,露光時の露光量を部分的に異ならせるだけで,単層であっても優れた視認性を有するマーキングを有する被膜を作製できるソルダーレジスト組成物,このソルダーレジスト組成物から作製された被膜,この被膜を備える被覆プリント配線板,被膜の製造方法,及び被覆プリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の一態様に係るソルダーレジスト組成物は,カルボキシル基含有樹脂(A),光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),光重合開始剤(C),融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)及び青色分散剤(E)を含有する。
【0008】
本発明の一態様に係る被膜は,前記ソルダーレジスト組成物の硬化物からなり,第一の領域と,前記第一の領域よりも光透過率が高い第二の領域とを含む。
【0009】
本発明の一態様に係る被覆プリント配線板は,プリント配線板と,前記被膜とを備える。前記プリント配線板は,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備える。前記被膜は,前記絶縁層及び前記配線を覆っている。
【0010】
本発明の一態様に係る被膜の製造方法は,
〈a〉前記ソルダーレジスト組成物からなる塗膜を形成する工程,〈b〉前記塗膜を露光する工程,及び〈c〉露光後の前記塗膜を加熱することで被膜を形成する工程を含む。前記〈b〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には光を照射せず,或いは前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,前記〈c〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成する。
【0011】
本発明の一態様に係る被覆プリント配線板の製造方法は,
〈d〉第1乃至第4のいずれか一の態様に係るソルダーレジスト組成物を,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備えるプリント配線板上に前記絶縁層及び前記配線を覆うように配置することで,塗膜を形成する工程,
〈e〉前記塗膜を露光する工程,
〈f〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程,及び
〈g〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含む。
【0012】
前記〈e〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,
前記〈g〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成する。
【0013】
本発明によれば,ソルダーレジスト組成物から形成された塗膜を露光し,かつ露光時の露光量を部分的に異ならせるだけで,単層であっても優れた視認性を有するマーキングを有する被膜を作製することができる。」

(イ) 「【0064】
[青色分散剤(E)]
青色分散剤(E)は,着色剤には分類されないものの,被膜に色を付与することができる。ソルダーレジスト組成物が着色剤(F)を含有しない場合,被膜は青色分散剤(E)によって青色になる。更に,青色分散剤(E)は,結晶性エポキシ樹脂(D)の分散性を向上させる。そのため,ソルダーレジスト組成物から形成される被膜中に,青色分散剤(E)を含有しない場合よりも気泡をより均一に発生させやすくなる。これにより,視認性に優れたマーキングを有する被膜を作製することができる。
【0065】
青色分散剤(E)は,銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有することができる。銅フタロシアニンスルホネート誘導体の具体例としては,ルブリゾール社製の品名ソルスパース5000,ソルスパース12000,ソルスパース22000(いずれも銅フタロシアニンスルホネート誘導体)などが挙げられる。
・・・(中略)・・・
【0088】
結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合は,ソルダーレジスト組成物に含まれるカルボキシル基含有樹脂(A)に対して15?200質量%の範囲内であることが好ましく,20?100質量%の範囲内であればより好ましく,25?80質量%の範囲内であれば更に好ましく,30?60質量%の範囲内であれば特に好ましい。
【0089】
青色分散剤(E)の含有割合は,ソルダーレジスト組成物に含まれるカルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.1?10質量%であることが好ましく,0.5?5質量%であることがより好ましく,1?3質量%であることが更に好ましい。青色分散剤(E)の含有割合が上記範囲内であれば,後述するプリント配線板1と被膜3との密着性をより高くすることができ,さらに後述する第一の領域33と第二の領域34との境界をより明確にすることができる。特に,青色分散剤(E)の含有割合が5質量%以下であれば,プリント配線板1と被膜3との密着性を特に高くすることができる。青色分散剤(E)の含有割合が3質量%以下であれば,プリント配線板1と被膜3との密着性を特に高くすることができるとともに,第一の領域33と第二の領域34との境界を特に明確にすることができる。」

(ウ) 「【実施例】
【0134】
以下,本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0135】
[カルボキシル基含有樹脂溶液の調製]
還流冷却管,温度計,空気吹き込み管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ内に,クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学株式会社製,品名YDCN-700-5,エポキシ当量203)203質量部,ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート103質量部,メチルハイドロキノン0.2質量部,アクリル酸72質量部,及びトリフェニルホスフィン1.5質量部を入れることで,混合物を調製した。この混合物を加熱温度110℃,加熱時間10時間の条件で加熱することで,付加反応を進行させた。続いて,混合物にテトラヒドロ無水フタル酸60.8質量部,及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート78.9質量部を加えてから,更に混合物を加熱温度80℃,加熱時間3時間の条件で加熱した。これにより,カルボキシル基含有樹脂の65質量%溶液(カルボキシル基含有樹脂溶液A)を得た。
【0136】
[原料]
カルボキシル基含有樹脂溶液A以外に,次の原料を用意した。
・結晶性エポキシ化合物A:1,3,5-トリス(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(高融点タイプ),融点150?158℃
・結晶性エポキシ化合物B:ハイドロキノン型結晶性エポキシ樹脂,新日鉄住金化学株式会社製の品名YDC-1312,融点138?145℃
・結晶性エポキシ化合物C:ビスフェノール型結晶性エポキシ樹脂,新日鉄住金化学株式会社製の品名YSLV-80XY,融点75?85℃
・非晶性エポキシ化合物溶液:非晶性のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂,DIC株式会社製の品名EPICLON N-695を固形分70%でジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解した溶液
・光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製の品名KAYARAD DPHA)
・光重合開始剤A:BASF社製の品名Irgacure TPO
・光重合開始剤B:BASF社製の品名Irgacure 184
・硫酸バリウム:堺化学工業株式会社製の品名バリエースB30
・微粉シリカ:株式会社トクヤマ製の品名レオロシールMT-10C
・メラミン:日産化学工業株式会社製の品名メラミンHM
・消泡剤:信越化学工業株式会社製の品名KS-66
・溶剤:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
・青色分散剤:銅フタロシアニンスルホネート誘導体,ルブリゾール社製の品名ソルスパース5000
・青色着色剤:フタロシアニンブルー,大日精化工業株式会社製の品名シアニンブルー4940
・黒色着色剤:ペリレン系黒色顔料,BASF社製の品名Paliogen Black S 0084
・赤色着色剤:アントラキノン系赤色顔料,BASF社製の品名Paliogen Red L 4045
・緑色着色剤:東洋インキ製造社製の品名リオノールグリーン6Y-501
【0137】
[実施例及び比較例]
後掲の表1及び表2に示す原料を混合し,三本ロールにより分散させて,ソルダーレジスト組成物を調製した。尚,結晶性エポキシ化合物A,Bは,予めジェットミル或いは乳鉢により,平均粒径が20μm以下となるように粉砕した。
【0138】
実施例1?12,比較例1?4においては,次のプリント配線板を用意し,各プリント配線板上に,得られたソルダーレジスト組成物をスクリーン印刷法で塗布することで,絶縁層と,絶縁層上にある銅製の配線を覆う1層の塗膜を形成した。
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が黄色であるプリント配線板(ガラスエポキシ基板)
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が黄緑色であるプリント配線板(ガラスエポキシ基板)
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が白色(クリーム色)であるプリント配線板(ガラスコンポジット基板)
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が明るい褐色であるプリント配線板(紙フェノール基板)
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面がオレンジ色であるプリント配線板(ポリイミド基板)
・厚み35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が黒色であるプリント配線板(黒化処理ガラスエポキシ基板)
【0139】
また,比較例5においては,厚さ35μmの銅製の配線を備える,絶縁層表面の色が黄色であるプリント配線板(ガラスエポキシ基板)を用意し,このプリント配線板上に,黒色のネガ型フォトソルダーレジストインク(表2の比較例5Uに示す原料を混合したもの)を塗布し,80℃で15分間加熱した。この加熱後の銅製の配線上でのフォトソルダーレジストインクの塗膜の厚みは15μmであった。このフォトソルダーレジストインクの塗膜の上に,得られた混合物(表2の比較例5Tに示す原料を混合したもの)をスクリーン印刷法で塗布することで,2層の塗膜を形成した。
【0140】
この塗膜を80℃で30分間,予備加熱した。
【0141】
続いて,光透過性を有する透過性部と透過性部よりも低い光透過性を有する低透過性部と光透過性を有さない非透過性部とを備えるマスクを介して,塗膜に紫外線を照射することで,塗膜を露光した。塗膜における透過性部を透過する光が照射される部分における露光量は500mJ/cm^(2)(第一の領域),低透過性部を透過する光が照射される部分における露光量は80mJ/cm^(2)(第二の領域)であった。
【0142】
露光後の塗膜に,1%Na_(2)CO_(3)水溶液を0.2MPaの圧力で60秒間スプレー噴射することで,現像した。
【0143】
続いて,塗膜を160℃で1時間加熱した。これにより実施例1?12,比較例1?4においては,銅製の配線上25μmの厚みの被膜を形成した。また,比較例5においては,銅製の配線上40μmの厚みの被膜を形成した。
【0144】
尚,ダム残り,密着性,耐酸性,耐アルカリ性,耐メッキ性,はんだ耐熱性,鉛筆硬度及び耐電蝕性の評価項目においては,絶縁層表面の色が黄色であるプリント配線板(ガラスエポキシ基板)上に形成した被膜を用いて,評価を行った。
【0145】
[評価]
1.外観色
各実施例及び比較例で形成された被膜の外観を目視で観察し,第一の領域と第二の領域とが,明瞭に区別可能か否かを確認した。その結果,明瞭に区別可能の場合を「A」,区別可能の場合を「B」,区別不明瞭の場合を「C」と,評価した。
・・・(中略)・・・
【0156】
【表1】

【0157】
【表2】

【0158】
表1及び表2によると,融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)および青色分散剤(E)が用いられている実施例1?12では,銅製の配線上,黄色の絶縁層上,黄緑色の絶縁層上,白色の絶縁層上,褐色の絶縁層上,及びオレンジ色の絶縁層上の被膜の外観色が「A」又は「B」と評価されている。これに対して,青色分散剤(E)が用いられていない比較例1?3や融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)が用いられていない比較例4では,黄色の絶縁層上,黄緑色の絶縁層上,白色の絶縁層上,褐色の絶縁層上,及びオレンジ色の絶縁層上の被膜の外観色が「C」と評価されている。比較例4においては,黒色の絶縁層上の外観色も「C」と評価されている。
【0159】
これは,実施例1?12では,青色分散剤(E)を用いることで結晶性エポキシ樹脂(D)の分散性が向上し,青色分散剤(E)を用いない場合よりも,第一の領域に気泡がより均一に発生したため,すなわち第一の領域の光透過率がより低くなったため,下地の色である絶縁層の色にかかわらず,第一の領域と第二の領域との境界が明瞭となったと考えられる。また,比較例4においては,融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)を用いなかったため,第一の領域に気泡がほとんど発生せず,黒色の絶縁層上においても第一の領域と第二の領域との境界が不明瞭であったと考えられる。」

ウ 発明の詳細な説明の記載から把握される事項
(ア) 前記イ(ア)で摘記した記載中の【0002】ないし【0006】等の記載からは,本件特許発明が解決しようとする課題は,「露光時の露光量を部分的に異ならせるだけで,単層であっても優れた視認性を有するマーキングを有する被膜を作製できるソルダーレジスト組成物,このソルダーレジスト組成物から作製された被膜,この被膜を備える被覆プリント配線板,被膜の製造方法,及び被覆プリント配線板の製造方法を提供すること」にあると理解される。
そして,前記イ(ア)で摘記した記載中の【0007】ないし【0012】の記載からは,前記課題を解決するために,専ら,
a カルボキシル基含有樹脂(A),光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),光重合開始剤(C),融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)及び青色分散剤(E)を含有するソルダーレジスト組成物,
b 前記ソルダーレジスト組成物の硬化物からなり,第一の領域と,前記第一の領域よりも光透過率が高い第二の領域とを含む被膜,
c プリント配線板と,前記被膜とを備える被覆プリント配線板,
d 〈a〉前記ソルダーレジスト組成物からなる塗膜を形成する工程,〈b〉前記塗膜を露光する工程,及び〈c〉露光後の前記塗膜を加熱することで被膜を形成する工程を含み,前記〈b〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には光を照射せず,或いは前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,前記〈c〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成する被膜の製造方法,
及び,
e 〈d〉前記ソルダーレジスト組成物を,絶縁層と,前記絶縁層上にある銅製の配線とを備えるプリント配線板上に前記絶縁層及び前記配線を覆うように配置することで,塗膜を形成する工程,〈e〉前記塗膜を露光する工程,〈f〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程,及び〈g〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含み,前記〈e〉の工程では,前記塗膜における第一の部分に光を照射し,前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し,前記〈g〉の工程では,加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで,前記被膜に気泡を含有する第一の領域と,気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成する被覆プリント配線板の製造方法,
という手段を採用したことが把握できる。

(イ) また,前記(1)イで摘記した記載中の【0064】等には,「青色分散剤」が結晶性エポキシ樹脂(D)の分散性を向上させるため,ソルダーレジスト組成物から形成される被膜中に,気泡をより均一に発生させやすくなり,視認性に優れたマーキングを有する被膜を作製できるという,特許権者が推測した本件訂正発明の課題解決に至る作用機序について説明されている。
しかるに,ソルダーレジスト組成物により形成された塗膜を加熱することで発生する気泡が,融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂をカルボキシル基含有樹脂中に均一に分散させることで,均一に発生しやすくなるであろうこと,及び気泡が均一に発生することで,露光量の高い第一の領域の色と,露光量の低い第二の領域の色とを,明瞭に区別可能な異なるものとすることができるであろうことは,技術常識に基づいて,当業者が容易に理解できることといえる。

(ウ) そして,前記イ(ウ)で摘記した記載中の【0134】ないし【0144】には,「青色分散剤」として,銅フタロシアニンスルホネートであるルブリゾール社製の品名ソルスパース5000を含有する実施例1ないし12と,「青色分散剤」又は「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」のどちらかを含有していない比較例1ないし5とが記載されており,【0156】の【表1】及び【0157】の【表2】には,各実施例及び各比較例について,露光時に露光量の高い領域と露光量の低い領域とを設けて,露光後に加熱するという方法により形成された被膜の第一の領域と第二の領域とが明瞭に区別可能か否かの評価結果(外観色)が示されている。
しかるに,当該記載から,当業者は,前記(ア)で述べた各解決手段の構成を全て具備する各実施例のソルダーレジスト組成物,被膜,被覆プリント配線板,被膜の製造方法及び被覆プリント配線板の製造方法が,前記各解決手段の構成のうちの少なくともいずれかを欠く各比較例のものと比べて,「単層であっても優れた視認性を有するマーキングを有する被膜を作製できる」こと,あるいは,「単層であっても優れた視認性を有するマーキングを有する」ことを確認することができる。

(エ) 以上によれば,発明の詳細な説明の記載に基づいて,当業者は,前記(ア)で述べた各解決手段を採用したソルダーレジスト組成物,被膜,被覆プリント配線板,被膜の製造方法及び被覆プリント配線板の製造方法が,発明の課題を解決できることを認識することができるというべきである。

エ 本件訂正発明のサポート要件適合性
本件訂正発明は,ソルダーレジスト組成物,被膜,被覆プリント配線板,被膜の製造方法又は被覆プリント配線板の製造方法であって,そのいずれもが,前記ウ(ア)で述べた各解決手段の構成を具備している。
そうすると,本件訂正発明は,発明の詳細な説明の記載により当業者が発明の課題を解決できると認識できる範囲のものと認められる。
したがって,本件訂正後の特許請求の範囲の記載について,予告理由2は成り立たない。


第4 取消理由通知(決定の予告)で取り上げなかった特許異議申立ての理由について
特許異議申立書において,申立人は,本件特許の請求項1,2,4に係る発明は,甲2(特開2002-194257号公報)に記載された発明と同一であるか,少なくとも,甲2に記載された発明と甲6に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,請求項3,5ないし11に係る発明は,甲2に記載された発明と甲1に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである(以下,「申立理由」という。)と主張するので,当該申立理由について,以下に判断する。

1 引用例
(1)甲2
ア 甲2の記載
甲2(特開2002-194257号公報)は,本件優先日より前である平成14年7月10日に頒布された刊行物であるところ,当該甲2には次の記載がある。(下線は,後述する「甲2組成物発明」の認定に特に関係する箇所を示す。)
(ア) 「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,例えばプリント配線板の回路パターンのはんだ付けを必要としない回路部分を保護するソルダーレジストインキ組成物及びその被覆膜の硬化膜を有するプリント配線板に関する。
【0002】
【従来の技術】・・・(中略)・・・プリント配線板に電子部品を搭載するには,導体からなる回路の所定部分(ランド)に電子部品をはんだ付けすることにより行われており,・・・(中略)・・・そのはんだ付け時にランド以外のはんだとの接触を避けたい回路部分には主として樹脂からなる絶縁性膜であるソルダーレジストインキ膜が被覆されている。・・・(中略)・・・このソルダ-レジストインキ組成物としては,プリント配線板に電子部品をはんだ付けした後にそのはんだ付け不良があるか否かを目視による検査を多数にわたって行なうので,その塗布膜が目にやさしいように緑色を基調としたものが用いられており,その緑色に着色するために,従来は銅フタロシアニングリーンが用いられており,インキの安定した色調の面からも好ましいとされている。
【0003】ところが,銅フタロシアニングリーンは,その分子式にハロゲン原子を有するので,使用済等の廃棄するプリント配線板から電子部品を取り除く等の適当な処理をした後に焼却し,産業廃棄物処理をしようとすると,近年,特に問題視されている有毒なダイオキシンが発生するという問題があり,その改善が望まれている。その対策としては,単体のハロゲン原子を有しない青色顔料のみを使用すること,あるいはその青色着色顔料とハロゲン原子を有しない黄色顔料を併用することが提案されているが,前者においては,上述したようにプリント配線板におけるその被覆膜は目視による検査において目にやさしいとはいえず,後者においては,その黄色顔料としてはアゾ基を有するものが多く,その使用をすることによる問題点がある。その問題点としては,アゾ基を有する着色剤は,これを含有する塗膜を有する塗装体を埋め立て等により野外で廃棄処理するような場合には,酸性雨等によりその塗膜からのアミンの溶出のおそれがある。・・・(中略)・・・
【0004】上記の種々の問題を解決するために,本願出願人は,特開2000-290564号公報において,分子式にハロゲン原子を有しない着色剤として青色系にはフタロシアニンブルー,黄色系には分子式にアゾ基を有しないイソドリン系着色剤及びアントラキノン系着色剤の少なくとも1種の有機系着色剤を含有するソルダーレジストインキ組成物を提案し,これを使用すればその組成物の塗膜を被覆したプリント配線板の使用済みのものを焼却してもダイオキシン等の有害物を発生しないようにできるとともに,その使用済みのものを野外に埋め立てて廃棄しても,アミンを溶出させないようにでき,しかもその組成物は粘度安定性があり,その塗膜は耐熱性,耐薬品性,耐溶剤性及び電気特性等に優れ,プリント配線板用ソルダーレジストとしても好適であることを示した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら,上記特開2000-290564号公報に記載のソルダーレジストインキ組成物は,スクリーン印刷により塗膜を形成する場合には,その印刷時の粘度は200dPa・s程度でよいので上記の青色系顔料のフタロシアニンブルーは安定に分散されており黄色系顔料と分離することはないが,その他の例えばカーテン方式(インキ組成物を連続的にカーテン状に流下させその中を横切るように被塗装体を移動させながら塗布する塗装方式)や,スプレー方式(インキ組成物を噴霧状にして被塗装体に塗布する塗装方式)で塗布するには,その使用時の粘度は2dPa・s程度にしなければならず,そのためにはインキ組成物を溶剤で希釈する必要があるので,例えば50dPa・s以下に希釈すると,フタロシアニンブルーが分離して表面に浮きやすく,いわゆる色分かれを起こして塗膜が所定の均一な安定した緑色を呈しないようになり易い。本発明の第1の目的は,分子式にハロゲン原子を有しない青色系と黄色系の着色剤を混合した低粘度品でも分散安定性がよく,両者の着色剤が分離しない緑色系の色調のレジストインキ組成物及びその硬化膜を有するプリント配線板を提供することにある。・・・(中略)・・・
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために,本発明者らは,分子式にハロゲン原子を有しない着色剤(以下,非ハロゲン着色剤ということがある。)として青色系着色剤と黄色系着色剤を併用して得られるゾルダーレジストインキ組成物において,分散性安定のための表面処理をした着色剤を使用すると,青色系着色剤と黄色系着色剤は分散安定性があって分離せず,従来の銅フタロシアニングリーンを用いたゾルダーレジストインキと比較して色調その他の被覆膜の性能において同等以上の効果を呈することを見いだし,本発明を完成するに至ったものである。一般に顔料の分散・凝集を決定する要因として,顔料のゼータ電位,pH,粒子径,比重などが挙げられるが,一般的に青色顔料として使用されるハロゲンを含まない銅フタロシアニンブルーそのものは,ゼータ電位が低く,比重も小さいため,流動し易い低粘度の組成物中に含有させると,液面に浮いてき易いのに対し,表面を酸性処理,塩基性処理又は樹脂処理した場合には,この浮きが無処理のものに比べて減少あるいは起こらなくなり,特に酸性処理を施した場合にはこの傾向が強いことを突き止めた。これは主に顔料粒子のゼータ電位が表面処理により高くなり,凝集し難くなるためであると考えられるが,詳細は明らかではない。したがって,本発明は,(1),(A)着色剤,(B)硬化性樹脂,(C)反応性希釈剤,(D)重合開始剤及び(E)充填剤を含有する緑色系のソルダーレジストインキ組成物において,上記(A)着色剤は(A-1)分子式にハロゲン原子を有しない青色系着色剤と(A-2)分子式にハロゲン原子を有しない黄色系着色剤を含有しかつ該青色系着色剤及び該黄色系着色剤の少なくとも一方は粒子表面が上記ソルダーレジストインキ組成物における分散性のための表面処理をされている該青色系着色剤と該黄色系着色剤により緑色系の色調を構成するレジストインキ組成物を提供するものである。また,本発明は,(2),表面処理が酸性処理,樹脂処理及びアルカリ処理のうちの1つによる親水化処理である上記(1)のレジストインキ組成物・・・(中略)・・・を提供するものである。 上記各発明において,「レジストインキ組成物」を「ソルダーレジストインキ組成物」としてはもよく,「着色剤」を「顔料」としてもよい。
【0007】本発明において使用する「(A-1)分子式にハロゲン原子を有しない青色系着色剤」としては,青色系統の銅フタロシアニンブルー等の金属を含有する又は無金属のフタロシアニンブルーの顔料が挙げられる。また,本発明において使用する「(A-2)分子式にハロゲン原子を有しない黄色系着色剤」としては,黄色系統の分子式にアゾ基を有しないイソインドリン系着色剤及びアントラキノン系着色剤の少なくとも1種の有機系着色剤が挙げられる。・・・(中略)・・・
【0011】上記の青色系着色剤及び黄色系着色剤の少なくとも一方,すなわちいずれか一方のみ又は両方はレジストインキ組成物における分散性(分散安定性)のための表面処理がなされるが,その表面処理としては例えば酸性処理,樹脂処理及び塩基性処理の1つによる親水化処理が挙げられる。酸性処理としては,特許第2993392号公報に記載されているように,「活性プロトンを持たず,スルホン酸との反応性を有さず,有機顔料が不溶ないしは難溶な溶剤中に,有機顔料を分散させ,次いでアミド硫酸,又は三酸化硫黄と第三アミンとの錯体により上記有機顔料の粒子表面にスルホン酸基を導入する表面処理顔料の製造方法。」(請求項1)が挙げられ,さらに有機顔料の粒径が50?0.01μmである(請求項2)こともも好ましいが,上記有機顔料は着色剤あるいは有機着色剤としてもよい。」

(イ) 「【0021】本発明において使用される「(D)重合開始剤」としては,光重合性組成物においては,一般に使用される光重合開始剤が挙げられる。その代表的なものとしては,例えば・・・(中略)・・・2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン・・・(中略)・・・等が挙げられ,これらを単独または組み合わせて用いることができる。
・・・(中略)・・・
【0023】本発明においては「(G)熱硬化性化合物」を用いることができ,これには,例えば・・・(中略)・・・トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレ-ト,トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレ-ト等のエポキシ化合物,・・・(中略)・・・等が挙げられ,これらを単独又は組み合わせて用いることができる。」

(ウ) 「【0029】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。なお,実施例中の「部」は「重量部」を意味する。以下の実施例では光硬化性と熱硬化性を併用した場合で溶剤がある場合を説明する。
親水化処理の表面処理顔料の製造例
酸性表面処理銅フタロシアニンブルーの製造例
上記特開平10-110111号公報の実施例1に記載されているように,銅フタロシアニンブルー(リオノールブルーFG-7351:東洋インキ製造社製顔料)2部をスルホラン(溶剤)70部中で110℃まで加温する。次いでスルファミン酸(スルホン化剤)2部を添加し,3本ロールミル(RMZ-1:株式会社入江商会製)で3時間粉砕して顔料凝集粒子の微分散を行いながら反応させ,反応終了後表面処理された銅フタロシアニンブルーを過剰の溶剤で数回洗浄後,水中に注ぎ,ろ過物より酸性表面処理銅フタロシアニンブルーを得た。
・・・(中略)・・・
【0030】実施例1
カルボン酸付加ノボラック型エポキシアクリレ-ト樹脂 100部に,ジペンタエリスリト-ルヘキサアクリレ-ト 8. 0部,2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン 8. 0部,トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレ-ト( 熱硬化性化合物) 8. 0部,上記酸性表面処理銅フタロシアニンの製造例で得られた酸性表面処理銅フタロシアニンブルー 0. 3部,フラバンスロンイエロー(アゾ基を有しない非ハロゲン着色剤としてのアントラキノン系の黄色顔料,以下同様)0.3部,ジシアンジアミド 0.3部,ポリマー系消泡剤 0.5部,溶融シリカ20部,沈降性硫酸バリウム 30部を3本ロ-ルで混合分散( 練肉) させた後,プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートで粘度を2dPa・sに調整した。なお,フラバンスロンイエローは下記〔化3〕で示される化合物(C.I PIGMENT YELLOW 24)である。
【0031】・・・(中略)・・・
【0032】このようにして得られた光・熱硬化性ソルダーレジストインキ組成物をバーコーターにより,予め面処理済みのプリント配線板の全面に塗工し( 未乾燥塗布膜の厚さ80μm),ついで予備乾燥(80℃,20分)してからパターンを形成したネガフィルムを当接して露光(500mJ/cm^(2) )し,その後現像(1%炭酸ナトリウム水溶液にスプレー圧0.2MPa,60秒浸漬)し,さらにポストキュアー(150℃,30分)を行なって熱硬化させ,光及び熱により硬化したパターンの被覆膜を形成し,これにより緑色のソルダーレジストインキの被覆膜の硬化膜を形成したプリント配線板を得た。
・・・(中略)・・・
【0037】上記実施例1?3及び比較例1で得られた電子部品搭載前のプリント配線板及びソルダーレジストインキ組成物について,以下の実験を行った。・・・(中略)・・・
【0040】(5)(合議体注:○囲みの数字を,()で囲んだ数字で表現した。以下,同様。) アミン溶出量
得られた各プリント配線板のソルダーレジストインキの被覆膜の硬化膜を削り取って微粉砕することにり測定用試料を調製し,イオンクロマトグラフィーにて検出する。その測定値を表1に示す。
【0041】(6) ソルダーレジストインキ組成物の粘度安定性
得られた各ソルダーレジストインキ組成物をポリプロピレン製容器に充填して密閉し,70℃の熱風循環試験機に収容した後,粘度の上昇の程度を粘度計で測定し,以下の基準により評価した結果を表1に示す。
◎:7日以上粘度上昇が見られないもの
○:5?6日で2倍以上粘度が上昇するかあるいはゲル化するもの
△:3?4日で2倍以上粘度が上昇するかあるいはゲル化するもの
×:1?2日で2倍以上粘度が上昇するかあるいはゲル化するもの
(7) 青色顔料の浮き
得られた各ソルダーレジストインキ組成物をビーカーに入れて密封し,25℃で72時間放置してその状態を目視により観察し,以下の基準により評価した結果を表1に示す。
◎:青色顔料の浮きが全くないもの
○:青色顔料の浮きが若干見られるもの
×:青色顔料が液面に浮くもの
・・・(中略)・・・
【0044】
【表1】



(エ) 「【0045】
【発明の効果】本発明によれば,分子式にハロゲン原子を有しない青色系と黄色系の着色剤を混合した低粘度品でも分散安定性がよく,混合した着色剤が分離し難く,カーテン方式やスプレー方式の塗装を行なっても均一な安定した色調の緑色系の塗膜が得られるレジストインキ組成物及びその硬化膜を有するプリント配線板を提供することができる。また,焼却してもダイオキシン等の有毒物を排出しないかその排出規制を守ることができるとともに,特に芳香族アミンのようなアミンを溶出し難い被覆膜を形成でき,これにより焼却したり,野外に廃棄しても公害を発生し難いレジストインキ組成物及びその硬化膜を有するプリント配線板を提供することができる。そして,粘度安定性があるレジストインキ組成物及び耐熱性,耐薬品性,耐溶剤性,電気特性が優れるその被覆膜の硬化膜を有する電子部品搭載前又は搭載後のプリント配線板を提供することができる。」

イ 甲2の記載から把握される発明
前記ア(ア)ないし(エ)で摘記した記載から,甲2には,実施例1に関する発明として,次の発明が記載されていると認められる。

「カルボン酸付加ノボラック型エポキシアクリレ-ト樹脂 100部に,ジペンタエリスリト-ルヘキサアクリレ-ト 8. 0部,2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン 8. 0部,トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレ-ト 8. 0部,下記[酸性表面処理銅フタロシアニンの製造例]で得られた酸性表面処理銅フタロシアニンブルー 0. 3部,フラバンスロンイエロー0.3部,ジシアンジアミド 0.3部,ポリマー系消泡剤 0.5部,溶融シリカ20部,沈降性硫酸バリウム 30部を3本ロ-ルで混合分散させた後,プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートで粘度を2dPa・sに調整して,得られた光・熱硬化性ソルダーレジストインキ組成物。

[酸性表面処理銅フタロシアニンブルーの製造例]
銅フタロシアニンブルー(リオノールブルーFG-7351:東洋インキ製造社製顔料)2部をスルホラン(溶剤)70部中で110℃まで加温し,次いでスルファミン酸(スルホン化剤)2部を添加し,3本ロールミル(RMZ-1:株式会社入江商会製)で3時間粉砕して顔料凝集粒子の微分散を行いながら反応させ,反応終了後表面処理された銅フタロシアニンブルーを過剰の溶剤で数回洗浄後,水中に注ぎ,ろ過する。」(以下,「甲2組成物発明」という。)

2 申立理由についての判断
(2)本件訂正発明1について
ア 甲2組成物発明との対比
(ア) 甲2組成物発明が含有する「カルボン酸付加ノボラック型エポキシアクリレ-ト樹脂」がカルボキシル基を有していることは,技術的にみて自明であるから,「カルボキシル基含有樹脂」に該当する。
したがって,甲2組成物発明は,本件訂正発明1の「カルボキシル基含有樹脂(A)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(イ) 甲2組成物発明が含有する「ジペンタエリスリト-ルヘキサアクリレ-ト」は,技術的にみて,光重合性モノマーである。
したがって,甲2組成物発明は,本件訂正発明1の「光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(ウ) 甲2組成物発明が含有する「2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン」は,甲2の【0021】の記載によれば,重合開始剤であるところ,当該重合開始剤が,光重合開始剤であることは,甲2の【0032】に,甲2組成物発明により形成された塗膜を露光,現像していることから,技術的に自明である。
したがって,甲2組成物発明は,本件訂正発明1の「光重合開始剤(C)」を「含有する」という発明特定事項に相当する構成を具備している。

(エ) 甲2組成物発明が含有する「トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレ-ト」は,「エポキシ化合物」である点で,本件訂正発明1の「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂」と共通する。
したがって,甲2組成物発明は,「エポキシ化合物」を「含有する」点で,本件訂正発明1と共通する。

(オ) 甲2組成物発明が含有する「酸性表面処理銅フタロシアニンブルー」は,表面にスルホン酸基が導入された銅フタロシアニンブルーであるところ,青色の着色剤として機能する成分であって,銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有する点で,本件訂正発明1の「青色分散剤」と共通する。

(カ) 甲2組成物発明は,光・熱硬化性ソルダーレジストインキ組成物であるから,「ソルダーレジスト組成物」といえる。
したがって,甲2組成物発明は,本件訂正発明1と,「ソルダーレジスト組成物」である点で一致する。

(キ) 前記(ア)ないし(カ)に照らせば,本件訂正発明1と甲2組成物発明は,
「カルボキシル基含有樹脂(A),
光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B),
光重合開始剤(C),
エポキシ化合物及び
青色着色剤として機能する成分
を含有し,
前記青色着色剤として機能する成分が銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有するソルダーレジスト組成物。」
である点で一致し,次の点で相違する。

相違点2-1:
本件訂正発明1が含有する「エポキシ化合物」が,「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」であり,その含有割合が,「カルボキシル基含有樹脂(A)」に対して20?100質量%の範囲内であるのに対して,
甲2組成物発明が含有する「エポキシ化合物」は,「トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレ-ト」であって,その融点は定かでなく,その含有割合が,「カルボン酸付加ノボラック型エポキシアクリレ-ト樹脂」に対して8.0質量%である点。

相違点2-2:
本件訂正発明1が含有する「青色着色剤として機能する成分」は,青色分散剤(E)であって,その含有割合が,「カルボキシル基含有樹脂(A)」に対して0.5?10質量%の範囲内であるのに対して,
甲2組成物発明が含有する「青色着色剤として機能する成分」は,「酸性表面処理銅フタロシアニンブルー」であり,その含有割合が,「カルボン酸付加ノボラック型エポキシアクリレ-ト樹脂」に対して0. 3質量%である点。

イ 判断
(ア) 相違点2-1及び相違点2-2が存在する以上,本件訂正発明1と甲2組成物発明は,同一ではない。また,相違点2-1及び相違点2-2は,実質的な相違点であるから,本件訂正発明1と甲2組成物発明が,実質的に同一であるともいえない。

(イ) 申立人が主張する進歩性欠如について,事案に鑑みて,まず,相違点2-2の容易想到性について判断する。
本件訂正発明1では,「青色分散剤」は,青色着色剤として機能するばかりでなく,「融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)」に対する分散剤としても機能する成分として,含有されているものである。
これに対して,甲2の【0005】及び【0006】等の記載から明らかなように,甲2組成物発明の「酸性表面処理銅フタロシアニンブルー」は,甲2組成物発明の粘度を,カーテン方式やスプレー方式により塗布するのに適した2dPa・s程度に希釈した場合に,フタロシアニンブルーが分離して表面に浮きやすく,塗膜が均一な安定した緑色を呈しないといった課題を解決するために,分散安定性に優れた顔料(着色剤)とすべく,フタロシアニンブルー粒子の表面にスルホン酸基を導入したものである。したがって,甲2組成物発明において,「酸性表面処理銅フタロシアニンブルー」は,あくまでも,分散安定性に優れた「顔料(着色剤)」として含有されているのであって,「分散剤」として含有されているのではない。
そして,甲6は,甲2の【0023】に記載された「トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレ-ト」が,通常,75質量%のα型トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレ-トと,25質量%のβ型トリス(2,3-エポキシプロピル)イソシアヌレ-トを含むことを開示しているが,銅フタロシアニンスルホネート誘導体を分散剤として用いることを開示してはいない。また,甲1は,銅フタロシアニンスルホネート誘導体を分散剤として用いることを開示してはいない。また,甲3は,銅フタロシアニンスルホネート誘導体である「ソルスパース5000(ルーブリゾール社製)」を,「三菱マテリアルズ(株)製13M-C(チタンブラック)」の分散剤として用いる甲3記載技術を開示するものの,当該甲3記載技術を甲2組成物発明に適用したとしても,相違点2-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項に至らないことは,前記「第3」4(1)イ(ア)で述べたのと同様である。さらに,申立人が提出した他の証拠を含め,甲2組成物発明を,相違点2-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項に相当する構成を具備したものとすることが,当業者が容易に想到し得たことであったと認めるに足りる証拠は見当たらない。
したがって,本件訂正発明1は,甲2組成物発明及び申立人が提出した各甲号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に容易に発明をすることができたものではない。

(2)本件訂正発明3及び4について
本件訂正後の請求項3及び4は,請求項1の記載を引用する形式で記載されたものであって,本件訂正発明3及び4は,本件訂正発明1の全構成要件を具備し,これにさらに限定を加えたものに該当するところ,前記(1)ア及びイで述べたとおり,本件訂正発明1が,甲2組成物発明と同一又は実質的に同一でなく,かつ,甲2組成物発明及び申立人が提出した各甲号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない以上,本件訂正発明4についても,同様の理由で,甲2組成物発明と同一又は実質的に同一でなく,かつ,本件訂正発明3及び4についても,同様の理由で,甲2組成物発明及び申立人が提出した各甲号証に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(3)本件訂正発明5ないし11について
甲2の記載から,甲2組成物発明を用いてプリント配線板上に形成した硬化膜に関する発明(以下,「甲2硬化膜発明」という。),甲2硬化膜発明が形成されたプリント配線板に関する発明(以下,「甲2プリント配線板発明」という。),甲2組成物発明を用いて硬化膜を形成する方法に関する発明(以下,「甲2硬化膜形成方法発明」という。),及び甲2組成物発明を用いて硬化膜を形成する,硬化膜付きプリント配線板の製造方法に関する発明(以下,「甲2プリント配線板製造方法発明」という。)をも把握することができる。
そして,本件訂正発明5及び6,7ないし9,10,11と,前記甲2硬化膜発明,甲2プリント配線発明,甲2硬化膜形成方法発明,甲2プリント配線板製造方法発明とをそれぞれ対比すると,両者は,少なくとも,相違点2-1及び相違点2-2と同様の点で相違する。
しかるに,甲2硬化膜発明,甲2プリント配線発明,甲2硬化膜形成方法発明,及び甲2プリント配線板製造方法発明に,申立人が提出した各甲号証に記載された事項を適用しても,相違点2-2に係る本件訂正発明5ないし11の発明特定事項に至らないこと,及び,本件訂正発明5ないし11が,相違点2-2に係る本件訂正発明1の発明特定事項を具備することによって,甲2の記載等からは,当業者が予測することのできない,異質な効果を奏するものと認められることは,前記(1)イ(イ)で述べたのと同様であるから,本件訂正発明5ないし11は,いずれも,甲2硬化膜発明,甲2プリント配線発明,甲2硬化膜形成方法発明又は甲2プリント配線板製造方法発明と,申立人が提出した各甲号証に記載された事項とに基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものでない。

(4)小括
以上のとおりであるから,本件訂正発明1,3ないし11について,申立理由は成り立たない。


第5 むすび
以上のとおり,取消理由通知(決定の予告)に記載した予告理由及び特許異議申立書に記載した申立理由によっては,本件特許の請求項1,3ないし6に係る特許を取り消すことはできない。また,他に本件特許の請求項1,3ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
請求項2は,訂正により削除されたため,本件特許の請求項2に対して,申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在しない。
よって,結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基含有樹脂(A)、
光重合性モノマー及び光重合性プレポリマーからなる群から選択される一種以上の光重合性化合物(B)、
光重合開始剤(C)、
融点130℃以上の結晶性エポキシ樹脂(D)及び
青色分散剤(E)
を含有し、
前記青色分散剤(E)が銅フタロシアニンスルホネート誘導体を含有し、
前記結晶性エポキシ樹脂(D)の含有割合が、前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して20?100質量%の範囲内であり、
前記青色分散剤(E)の含有割合が、前記カルボキシル基含有樹脂(A)に対して0.5?10質量%であることを特徴とするソルダーレジスト組成物。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
黒色着色剤及び赤色着色剤のうち少なくとも一方を含む着色剤(F)を含有する請求項1に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項4】
前記カルボキシル基含有樹脂(A)が、光重合性官能基を有するカルボキシル基含有樹脂(A1)を含む請求項1又は3に記載のソルダーレジスト組成物。
【請求項5】
請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物の硬化物からなり、
第一の領域と、前記第一の領域よりも光透過率が高い第二の領域とを含む被膜。
【請求項6】
前記第一の領域は気泡を含有し、
前記第二の領域は気泡を含有しない或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い請求項5に記載の被膜。
【請求項7】
プリント配線板と、請求項5又は6に記載の被膜とを備え、
前記プリント配線板は、絶縁層と、前記絶縁層上にある銅製の配線とを備え、
前記被膜は、前記絶縁層及び前記配線を覆っている被覆プリント配線板。
【請求項8】
前記絶縁層の色が黄色、黄緑色、白色、クリーム色、褐色、オレンジ色、緑色又は黒色である請求項7に記載の被覆プリント配線板。
【請求項9】
前記プリント配線板が、リジッド材及びフレキシブル材のうち少なくとも一方を含む請求項7又は8に記載の被覆プリント配線板。
【請求項10】
〈a〉請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物からなる塗膜を形成する工程、
〈b〉前記塗膜を露光する工程、及び
〈c〉露光後の前記塗膜を加熱することで被膜を形成する工程を含み、
前記〈b〉の工程では、前記塗膜における第一の部分に光を照射し、前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には光を照射せず、或いは前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し、
前記〈c〉の工程では、加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで、前記被膜に気泡を含有する第一の領域と、気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被膜の製造方法。
【請求項11】
〈d〉請求項1、3及び4のいずれか一項に記載のソルダーレジスト組成物を、絶縁層と、前記絶縁層上にある銅製の配線とを備えるプリント配線板上に前記絶縁層及び前記配線を覆うように配置することで、塗膜を形成する工程、
〈e〉前記塗膜を露光する工程、
〈f〉露光後の前記塗膜をアルカリ性現像液で現像する工程、及び
〈g〉現像後の前記塗膜を加熱することで前記被膜を形成する工程を含み、
前記〈e〉の工程では、前記塗膜における第一の部分に光を照射し、前記塗膜における前記第一の部分とは異なる第二の部分には前記第一の部分よりも露光量が低くなるように光を照射し、
前記〈g〉の工程では、加熱により前記第一の部分内に気泡を発生させることで、前記被膜に気泡を含有する第一の領域と、気泡を含有せず或いは気泡の割合が前記第一の領域よりも低い第二の領域を形成することを特徴とする被覆プリント配線板の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-03-26 
出願番号 特願2017-524639(P2017-524639)
審決分類 P 1 651・ 832- YAA (G03F)
P 1 651・ 113- YAA (G03F)
P 1 651・ 121- YAA (G03F)
P 1 651・ 537- YAA (G03F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 純平  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 宮澤 浩
清水 康司
登録日 2017-10-27 
登録番号 特許第6232168号(P6232168)
権利者 互応化学工業株式会社
発明の名称 ソルダーレジスト組成物、被膜、被覆プリント配線板、被膜の製造方法、及び被覆プリント配線板の製造方法  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
代理人 特許業務法人北斗特許事務所  
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