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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する A61K |
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管理番号 | 1351686 |
審判番号 | 訂正2019-390011 |
総通号数 | 235 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-07-26 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2019-01-26 |
確定日 | 2019-04-18 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6271790号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第6271790号の明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本件訂正審判の請求に係る特許第6271790号(以下、「本件特許」という。)は、平成26年11月25日(優先権主張平成25年12月3日、外1)に出願された特願2014-237308号の一部を平成27年5月24日に新たな特許出願とした特願2015-105028号の一部をさらに、平成29年4月2日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1に係る発明について平成30年1月12日に特許権の設定登録がなされたものであって、平成31年1月26日付けで本件訂正審判の請求がされたものである。 その後、当審において、平成31年2月27日付けで訂正拒絶理由を通知し、同年3月4日受付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 審判請求書及び訂正明細書の補正、並びにその適否 当審が平成31年2月27日付けで請求人に通知した訂正拒絶理由の要旨は、訂正事項1及び2の訂正は特許法第126条第1項ただし書に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない、というものである。この訂正拒絶理由に対し、請求人は、平成31年3月4日受付けで意見書、及び審判請求書を補正(以下、「本件補正」という。)する手続補正書を提出した。 本件補正の内容は、平成31年1月26日付け審判請求書の「5 請求の理由」の「(2)訂正事項」から「ア 訂正事項1」及び「イ 訂正事項2」を削除し、「(3)訂正の理由」から「(ア)訂正事項1」及び「(イ)訂正事項2」を削除するものであるから、本件補正は、審判請求書の要旨を変更するものではない。 よって、本件補正は、特許法第131条の2第1項本文の規定に適合するから、これを認める。 これにより、上記の訂正拒絶理由は解消した。 第3 請求の趣旨及び訂正事項 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第6271790号の明細書(以下、「本件明細書」という。)を、本件審判請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正事項は、以下のとおりである。 1.訂正事項3 本件明細書の段落【0038】に 「 本発明の第2のタンパク質抽出剤は、界面活性剤を含まなくともよい。また、本発明の第2のタンパク質抽出剤には、従来使用されてきた対象物質の分離等のためのエマルション等に含まれる界面活性剤よりも少ない量(例えば、タンパク質抽出剤の体積全体に対して0.1%?10%)の界面活性剤が含まれていてもよい。 具体的には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)全量に対して10体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは4体積%以下の界面活性剤が含まれていてもよい。下限としては、特に制限はないが、例えば、0.1体積%以上を挙げることができる。 第2のタンパク質抽出剤としては、疎水性の性質が強い界面活性剤、親水性の性質が強い界面活性剤のいずれのものであっても、界面活性剤としての配合使用が許容される。」 と記載されているのを、 「 本発明の第2のタンパク質抽出剤は、界面活性剤を含まなくともよい。また、本発明の第2のタンパク質抽出剤には、界面活性剤が含まれていてもよい。 第2のタンパク質抽出剤としては、疎水性の性質が強い界面活性剤、親水性の性質が強い界面活性剤のいずれのものであっても、界面活性剤としての配合使用が許容される。」 に訂正する。 第4 当審の判断 1.訂正事項3 (1)訂正の目的 本件特許の請求項1に係る発明は、同項に記載の以下の事項(以下、「本件発明特定事項」という。)により特定されるとおりのものである。 「オクチルドデカノールと、 リモネン、スクアレン、及びスクアランからなる群から選ばれる1種類以上の炭化水素と、 界面活性剤(但し、界面活性剤が全量に対して0?10体積%であるものを除く。)と、 を含む角栓除去用液状クレンジング剤。」 一方、訂正前の本件明細書の段落【0038】には、本件特許の請求項1に係る発明についての説明として、「 本発明の第2のタンパク質抽出剤は、界面活性剤を含まなくともよい。また、本発明の第2のタンパク質抽出剤には、従来使用されてきた対象物質の分離等のためのエマルション等に含まれる界面活性剤よりも少ない量(例えば、タンパク質抽出剤の体積全体に対して0.1%?10%)の界面活性剤が含まれていてもよい。 具体的には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)全量に対して10体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは4体積%以下の界面活性剤が含まれていてもよい。下限としては、特に制限はないが、例えば、0.1体積%以上を挙げることができる。 第2のタンパク質抽出剤としては、疎水性の性質が強い界面活性剤、親水性の性質が強い界面活性剤のいずれのものであっても、界面活性剤としての配合使用が許容される。」(下線は当審による。)と記載されているところ、この下線部の記載が、本件発明特定事項中の「界面活性剤(但し、界面活性剤が全量に対して0?10体積%であるものを除く。)」なる事項と不整合となっているため、同段落の記載の意味が不明瞭となっている。 そして、訂正事項3は、訂正前の本件明細書の段落【0038】の記載において、上記下線部の記載を削除することにより、上記の不整合を解消し、段落【0038】の記載の意味を明瞭にするものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (2)新規事項追加の有無及び実質拡張変更の有無 訂正事項3は、訂正前の本件明細書の段落【0038】の記載の一部を削除して、その記載を特許請求の範囲の記載と整合させるだけのものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 角栓除去用液状クレンジング剤 【技術分野】 【0001】 本発明は、液状化粧品に関する。詳しくは、皮膚に付着したタンパク質洗浄用の液状化粧品に関する。 【背景技術】 【0002】 皮膚の汚れにはタンパク質等が含まれている。この汚れを落とすには、タンパク質を皮膚表面から抽出する作用を有する化粧品等が使用される。このような化粧品として、例えば、溶液中から少なくともタンパク質を抽出する作用を有する液状化粧品が挙げられる。溶液中の対象物質(例えば、タンパク質等)を分離又は抽出等するための方法としてはエマルションを利用した方法が挙げられる(例えば、特許文献1及び2を参照)。 【0003】 対象物質の分離等のためのエマルションを利用した方法としては、例えば、油層中の逆ミセル内部の水層に対象物質を分離等する方法、乳化型液膜抽出による方法、多層乳化したエマルションを転層させて対象物質を分離等する方法等が挙げられる。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特許第3218031号公報 【特許文献2】特開平10-231240号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、溶液中の対象物質を分離等するために使用されて来た従来の方法は、いずれも、界面活性剤の使用を前提としていた。他方、界面活性剤は、皮膚に負担をかけ、荒れ等を生じさせ得るため、界面活性剤を使用していないか、又は、界面活性剤の使用量が極少量である方法が求められていた。 【0006】 本発明は、タンパク質を抽出できる液状化粧品を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明者は、所定の高級アルコールと、脂肪酸又は炭化水素とを少なくとも含むタンパク質抽出剤によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明は下記のものを提供する。 【0008】 [1] オクチルドデカノールと、 リモネン、スクアレン、及びスクアランからなる群から選ばれる1種類以上の炭化水素と、 を含む角栓除去用液状クレンジング剤。 [2] 界面活性剤をさらに含む請求項1に記載のクレンジング剤。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、タンパク質を抽出できる液状化粧品が提供される。 【図面の簡単な説明】 【0010】 【図1(A)】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図1(B)】本発明の一実施例に係る抽出剤によって抽出されたタンパク質の観察結果である。 【図2(A)】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図2(B)】本発明の一実施例に係る抽出剤によって抽出されたタンパク質の観察結果である。 【図3】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図4】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図5】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図6】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図7】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図8】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図9】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図10】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図11(A)】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図11(B)】本発明の一実施例に係る抽出剤によって抽出されたタンパク質の観察結果である。 【図12】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図13】本発明の一実施例に係る抽出剤による抽出結果を示す写真である。 【図14(A)】本発明に係るタンパク質抽出剤に含まれる高級アルコールの作用結果を示す観察結果において、抽出対象液(対照)を示す写真像である。 【図14(B)】本発明に係るタンパク質抽出剤に含まれる高級アルコールの作用結果を示す観察結果において、第1のタンパク質抽出剤に含まれる第1の高級アルコールの作用結果を示す写真像である。 【図14(C)】本発明に係るタンパク質抽出剤に含まれる高級アルコールの作用結果を示す観察結果において、第2のタンパク質抽出剤に含まれる第2の高級アルコールの作用結果を示す写真像である。 【発明を実施するための形態】 【0011】 以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。 また、本発明において「タンパク質を抽出できる液状化粧品」とは、タンパク質を抽出する作用を有する液状化粧品を指す。本発明に係る液状化粧品は、下記有効成分を所定量にて含有してなるタンパク質抽出剤の一態様を指すものである。本明細書においては、本発明に係る液状化粧品を、「タンパク質抽出剤」という場合がある。 本発明において「タンパク質抽出剤」とは、本発明に係る有効成分を含有してなる組成物を指すものである。 また、本発明において、「タンパク質を抽出する」とは、抽出対象物(つまり、タンパク質)を、皮膚等から分離することを指す。具体的に、「タンパク質の抽出」には、皮膚等からのタンパク質の洗浄(抽出対象物であるタンパク質を皮膚等から抽出して、タンパク質抽出剤と共に水等で洗い流すこと)、及び/又は、皮膚等からのタンパク質の除去という意味が含まれる。 また、本発明において「液状化粧品」とは、室温(19℃?25℃)において液状である化粧品を指す。 【0012】 1.第1のタンパク質抽出剤 本発明の第1のタンパク質抽出剤は、少なくとも第1の高級アルコールと、脂肪酸と、を、タンパク質抽出作用の有効成分として含んでなるものである。 【0013】 本発明の第1のタンパク質抽出剤は、界面活性剤を含まなくともよい。また、本発明の第1のタンパク質抽出剤には、従来使用されてきた対象物質の分離等のためのエマルション等に含まれる界面活性剤よりも少ない量(例えば、タンパク質抽出剤の体積全体に対して0.1%?10%)の界面活性剤が含まれていてもよい。 具体的には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)全量に対して10体積%以下、好ましくは8体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは4体積%以下の界面活性剤が含まれていてもよい。下限としては、特に制限はないが、例えば、0.1体積%以上を挙げることができる。 なお、本発明において「界面活性剤」とは、溶媒中でミセル構造をとり得る両親媒性分子を指す。第1のタンパク質抽出剤としては、疎水性の性質が強い界面活性剤、親水性の性質が強い界面活性剤のいずれのものであっても、界面活性剤としての配合使用が許容される。 【0014】 第1のタンパク質抽出剤を、抽出対象物(つまり、タンパク質)と水性溶媒とを含む溶液(以下、「抽出対象液」ともいう)に添加して、適宜撹拌した後に静置すると、抽出対象液は少なくとも2層に分離する。本発明において、第1のタンパク質抽出剤によって少なくとも2層に分離したうちの、タンパク質を含む層を「第1のタンパク質含有層」という。通常、少なくとも2層に分離したうちの上層が第1のタンパク質含有層である。 【0015】 本発明において、抽出対象液が少なくとも2層に分離している状態とは、層間に明確な界面が形成されている状態、及び、層間に明確な界面は形成されていないが見かけ上は少なくとも2層に分離しているように見える状態、のうちいずれも含む。本発明において、分離した各層(見かけ上の層も含む)は、公知の界面検出センサー(超音波等)によって特定できる。 【0016】 また、抽出対象液が少なくとも2層に分離している状態とは、水層の上表面全体に油層が形成されている状態だけではなく、液滴が水層の上部中及び上表面上の一部に分布している状態も含む。 【0017】 少なくとも2層に分離した抽出対象液のいずれかの層にタンパク質が含まれる。少なくとも2層に分離した抽出対象液のいずれの層にタンパク質が含まれるかは、タンパク質の性質(水との親和性(親水性、親油性又は両親媒性)、比重等)に応じて異なる。本発明において、タンパク質は、水との親和性等に関わらず、少なくとも2層に分離した抽出対象液のうちの上層に含まれることが多い。 【0018】 抽出対象液の構成としては、水性溶媒中にタンパク質が混合されたものが挙げられる。水性溶媒としては、タンパク質を変性させないものであれば特に限定されず、公知の水溶性の溶媒(水、リン酸バッファ、Tris-HClバッファ等)等が挙げられる。第1のタンパク質抽出剤によって抽出対象液を少なくとも2層に明瞭に分離できる点で、水性溶媒は、水が好ましい。 【0019】 (第1の高級アルコール) 第1の高級アルコールは、後述する脂肪酸と組み合わせることにより、下記の作用によって抽出対象液からタンパク質を抽出できると考えられる。すなわち、第1の高級アルコール中の疎水基(オレイル基等)が抽出対象液中のタンパク質と結合する。次いで、水性溶媒中で形成された脂肪酸の液滴が、第1の高級アルコールと結合したタンパク質を引き寄せ、タンパク質含有層が形成され、タンパク質を水性溶媒から分離させる。その結果、タンパク質を抽出対象液から抽出できる。なお、本発明において「抽出」とは、タンパク質と水性溶媒とを分離させること(つまり、タンパク質含有層が形成されること)を指す。ただし、タンパク質含有層には水性溶媒や抽出対象液由来の物質が含まれ得る。タンパク質含有層中の水性溶媒に対するタンパク質の割合が、抽出対象液中の水性溶媒に対するタンパク質の割合よりも高ければ、抽出対象液からタンパク質が抽出されたといえる。 【0020】 第1の高級アルコールとしては、炭素数15以上の1価アルコールであれば特に限定されないが、炭素数が多い高級アルコールの方が、タンパク質と結合しやすく、かつ、水性溶媒中で形成される脂肪酸の液滴に引き寄せられやすいという点で好ましい。そのため、第1の高級アルコールの炭素数は、好ましくは炭素数16以上、さらに好ましくは炭素数18以上である。 【0021】 他方、第1の高級アルコールの炭素数が多すぎると、後述する脂肪酸が水性溶媒中で液滴を形成し難いため好ましくない。第1の高級アルコールの炭素数は、好ましくは炭素数30以下、さらに好ましくは炭素数20以下、特に好ましくは炭素数18以下である。 【0022】 炭素数15以上の高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール(炭素数18)、オレイルアルコール(炭素数18)等が挙げられる。炭素数15以上の高級アルコールのうち、抽出対象液中のタンパク質と結合しやすいという点で直鎖構造部分の炭素数が15以上の高級アルコールが好ましい。 【0023】 例えば、直鎖構造部分の炭素数が「16」である高級アルコールとして、下記式1で表されるイソステアリルアルコールを例示できる。 【0024】 【化1】 【0025】 第1の高級アルコールとしては、イソステアリルアルコール又はオレイルアルコールが特に好ましい。第1の高級アルコールは1種であってもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 【0026】 (脂肪酸) 脂肪酸としては、炭化水素の1価のカルボン酸であれば特に限定されず、直鎖脂肪酸及び分岐脂肪酸のいずれでもよい。水性溶媒中で液滴を形成してタンパク質を引き寄せやすいという点で、脂肪酸としては、脂肪酸の炭素骨格中の不飽和結合が少ないものが好ましい。具体的には、炭素骨格中に1以下の不飽和結合を有する脂肪酸が好ましい。つまり、脂肪酸としては、炭素骨格中に1以下の不飽和結合を有さない脂肪酸(つまり、飽和脂肪酸)であってもよい。 一方、リノール酸のように炭素骨格中に2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を使用すると抽出対象液を少なくとも2層に分離しにくい可能性がある。なお、脂肪酸のみを抽出対象液と混合すると、脂肪酸を含む層と抽出対象液を含む層に分かれ、タンパク質を抽出できない。 【0027】 炭素骨格中に1以下の不飽和結合を有する脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。上記の脂肪酸のうち、オレイン酸、イソステアリン酸が特に好ましい。脂肪酸は1種であってもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 【0028】 第1のタンパク質抽出剤中の第1の高級アルコール及び脂肪酸の組み合わせとしては、抽出対象液を少なくとも2層に分離しやすいという点でイソステアリルアルコール及びオレイン酸、オレイルアルコール及びオレイン酸が特に好ましい。 【0029】 第1のタンパク質抽出剤中の第1の高級アルコールと脂肪酸との比率は、抽出対象物であるタンパク質の量や性質に応じて適宜調整でき、例えば、質量比で第1の高級アルコール/脂肪酸=2/1?1/100、好ましくは2/1?1/10、より好ましくは2/1?1/2、特に好ましくは1/1?1/2であることが好適である。 【0030】 第1のタンパク質抽出剤には、本発明の目的を害さない限り、公知の添加剤(界面活性剤、炭素数15未満の高級アルコール等)を添加してもよい。添加剤の添加量は得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。また、有効成分以外の他成分として、リノール酸のように炭素骨格中に2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含むものを含むものであっても良い。 【0031】 (第1の抽出工程) 本発明において「第1の抽出工程」とは、第1のタンパク質抽出剤と抽出対象液とを接触させる工程から、抽出対象液を少なくとも2層に分離させる工程までを指す。第1の抽出工程における温度条件は、タンパク質やタンパク質抽出剤中の成分が変性等しない限り特に限定されないが、例えば、室温(例えば、20?28℃)であってもよい。 【0032】 第1のタンパク質抽出剤と抽出対象液とを接触させる方法は、特に限定されないが、第1のタンパク質抽出剤及び抽出対象液を混合、撹拌等することで行える。第1の抽出工程における第1のタンパク質抽出剤と抽出対象液との混合比は特に限定されないが、質量比で、第1のタンパク質抽出剤/抽出対象液=1/1?1/5であってもよい。特に第1タンパク質抽出剤の混合比率が多い分には制限はない。第1のタンパク質抽出剤と抽出対象液との混合方法は特に限定されず、公知の撹拌機や試験管の上下倒立等で混合できる。 【0033】 第1のタンパク質抽出剤の使用方法としては、抽出対象液に添加する前に第1のタンパク質抽出剤を構成する成分を予め混合してから添加してもよいが、第1の高級アルコール又は脂肪酸のいずれか一方を先に抽出対象液に添加した後に、さらに残りを順次混合してもよい。第1の高級アルコール中の疎水基が抽出対象液中のタンパク質と結合し、次いで、水性溶媒中で形成される脂肪酸の液滴が、第1の高級アルコールと結合したタンパク質を引き寄せ、水性溶媒とタンパク質とを分離させるという本発明の効果が奏されやすい点で、第1の高級アルコールを脂肪酸よりも先に添加することが好ましい。 【0034】 少なくとも2層に分離した抽出対象液において、タンパク質がいずれの層に存在するかは、界面検出センサー等によって特定される。通常、タンパク質は、少なくとも2層に分離したうちの上層に抽出される。タンパク質含有層は遠心分離等の方法を使用して回収できる。また、タンパク質は、クロマトグラフィー等の方法を使用して、タンパク質含有層から抽出することができる。 【0035】 (液状化粧品としての第1のタンパク質抽出剤) 第1のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、「脂肪酸」の含量としては、タンパク質抽出剤(液状化粧品)の「全量」に対して3体積%以上含まれていることが好適である。好ましくは「全量」に対して5体積%以上、より好ましくは7.5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上、一層好ましくは12.5体積%以上、より一層好ましくは15体積%以上、さらに一層好ましくは17.5体積%以上、特に一層好ましくは20体積%以上含まれていることが好適である。脂肪酸の濃度が低い場合には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)をより多く使用することにより、タンパク質の抽出は可能である。しかし、脂肪酸の含有量が全量に対して3体積%を下回ると、化粧品として実用的な範囲を上回る量を使用しなければならなくなるため、好適ではない。なお、ここでの「脂肪酸」には、リノール酸等の不飽和結合を2以上有する脂肪酸は含まれない。 第1のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、「第1の高級アルコール」の含量としては、「脂肪酸」の体積に対して1体積%以上含まれていることが好適である。好ましくは「脂肪酸」の体積に対して10体積%以上、より好ましくは50体積%以上含まれていることが好適である。第1の高級アルコールの濃度が低い場合には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)をより多く使用することにより、タンパク質の抽出は可能である。しかし、第1の高級アルコールの含有量が脂肪酸に対して1体積%を下回ると、化粧品として実用的な範囲を上回る量を使用しなければならなくなるため、好適ではない。第1の高級アルコール含量の上限としては、「脂肪酸」の体積に対して200体積%以下、好ましくは100体積%以下が好適である。 【0036】 第1のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、水を含有する態様及び水を含有しない態様という、2つの態様がある。以下に、各態様について説明する。 なお、ここで、第1タンパク質抽出剤を液状化粧品に使用した場合の各成分の含量としては、液状化粧品の製品形態とした場合に好適な量を示すものであり、実際の使用態様において、これより薄い濃度にて使用することを許容するものである。 ・水を含有する態様 水を含有する態様の第1のタンパク質抽出剤(液状化粧品)において、脂肪酸の配合量は、水への溶解度以上の量である。第1の高級アルコールの配合量は、脂肪酸の体積に対し、1体積%以上から脂肪酸の体積の2倍以下(200体積%以下)の範囲内の量である。第1のタンパク質抽出剤に脂肪酸及び第1の高級アルコール以外の成分を配合する場合には、上記の脂肪酸及び第1の高級アルコールの配合量の条件を満たし、かつ、該成分の配合量に相当する分だけ、脂肪酸の体積を減らすように調整する。 ・水を含有しない態様 水を含有しない態様の第1のタンパク質抽出剤(液状化粧品)において、脂肪酸の配合量は、第1のタンパク質抽出剤全体に対して3体積%以上99体積%以下である。第1の高級アルコールの配合量は、脂肪酸の体積に対し、1体積%以上から脂肪酸の体積の2倍以下(200体積%以下)の範囲内の量である。第1のタンパク質抽出剤に脂肪酸及び第1の高級アルコール以外の成分を配合する場合には、上記の脂肪酸及び第1の高級アルコールの配合量の条件を満たし、かつ、該成分の配合量に相当する分だけ、脂肪酸の体積を減らすように調整する。上記の処方により化粧品を調整すると、該化粧品の性状は常温で液体となる。 【0037】 2.第2のタンパク質抽出剤 本発明の第2のタンパク質抽出剤は、上記第1の高級アルコールとは異なる第2の高級アルコールと、炭化水素と、をタンパク質抽出作用の有効成分として含んでなるものである。 【0038】 本発明の第2のタンパク質抽出剤は、界面活性剤を含まなくともよい。また、本発明の第2のタンパク質抽出剤には、界面活性剤が含まれていてもよい。 第2のタンパク質抽出剤としては、疎水性の性質が強い界面活性剤、親水性の性質が強い界面活性剤のいずれのものであっても、界面活性剤としての配合使用が許容される。 【0039】 第2のタンパク質抽出剤は、抽出対象液に直接添加して単独で用いることが可能であるが、好ましくは、第1の抽出工程後に得られたタンパク質含有層(以下、「第1のタンパク質含有層」ともいい、この層には、タンパク質、水性溶媒、炭素数15以上の高級アルコール、及び脂肪酸が含まれ得る)に添加して用いることが好適である。この場合、第1のタンパク質含有層に含まれ得る夾雑物(細胞膜等)を分離できるので、タンパク質をより効率的に抽出できる。 (※なお、第2のタンパク質抽出剤は、第1の抽出工程を行っていない抽出対象液に直接接触させて、抽出工程を行うことも可能である。以下、本明細書では、「第1のタンパク質含有層」を「抽出対象液」と読み替えて、第2のタンパク質抽出剤を使用することも可能である。) 【0040】 第2のタンパク質抽出剤を、第1のタンパク質含有層に添加して、適宜撹拌した後に静置すると、第1のタンパク質含有層は少なくとも2層に分離する。少なくとも2層に分離した第1のタンパク質含有層のうちのいずれかの層にタンパク質が含まれる。以下、少なくとも2層に分離した第1のタンパク質含有層のうち、タンパク質を含む層を「第2のタンパク質含有層」という。通常、少なくとも2層に分離したうちの下層が第2のタンパク質含有層である。 【0041】 本発明において、第1のタンパク質含有層が少なくとも2層に分離している状態とは、層間に明確な界面が形成されている状態、及び、層間に明確な界面は形成されていないが見かけ上は少なくとも2層に分離しているように見える状態、のうちいずれも含む。本発明において、分離した各層(見かけ上の層も含む)は、公知の界面検出センサー(超音波等)によって特定できる。 【0042】 少なくとも2層に分離した第1のタンパク質含有層のいずれの層にタンパク質が含まれるかは、タンパク質の性質(水との親和性(親水性、親油性又は両親媒性)、比重等)に応じて異なる。本発明において、タンパク質は、水との親和性等に関わらず、少なくとも2層に分離した第1のタンパク質含有層のうちの下層に含まれることが多い。 【0043】 第1のタンパク質含有層は、第2のタンパク質抽出剤によって抽出を行う前に、水性溶媒で適宜希釈してもよい。第1のタンパク質含有層を水性溶媒で希釈することによって、第2のタンパク質抽出剤による第1のタンパク質含有層の分離が容易になり得る。水性溶媒としては、抽出対象液におけるものと同様の水性溶媒であってもよく、水、リン酸バッファ、Tris-HClバッファ等が挙げられる。 【0044】 (第2の高級アルコール) 第2の高級アルコールは、後述する炭化水素と組み合わせることで、下記の作用によって、第1のタンパク質含有層からタンパク質を抽出できると考えられる。すなわち、第1のタンパク質含有層には、タンパク質、水性媒体、第1の高級アルコール及び脂肪酸等が分散していると考えられるところ、炭化水素が加えられると、第1のタンパク質含有層中の分散状態が崩れ、水性媒体を含む層、並びに、第1の高級アルコール、脂肪酸、及び炭化水素を含む層に分離する。他方、第2の高級アルコール中の疎水基(オレイル基等)が第1のタンパク質含有層中のタンパク質と結合する。次いで、炭化水素の液滴が、第2の高級アルコールと結合したタンパク質と反発しあう。その結果、タンパク質以外の夾雑物の含有量がより少ない第2のタンパク質含有層が形成される。 【0045】 第2の高級アルコールとしては、第1の高級アルコールよりも第1のタンパク質含有層中のタンパク質と結合しやすいものを使用することが好適であり、第1の高級アルコールとは異なるものを使用する。具体的には、第2の高級アルコールは、炭素数18以上の高級アルコールである。 【0046】 他方、第2の高級アルコールの炭素数が多すぎると、後述する炭化水素が水性溶媒中で液滴を形成し難いため好ましくない。第2の高級アルコールの炭素数は、好ましくは炭素数50以下、さらに好ましくは炭素数40以下、特に好ましくは炭素数20以下である。 【0047】 第2の高級アルコールとしては、高級アルコールの炭素鎖にタンパク質が結合しやすいという点で分岐構造中に水酸基を有する炭素数18以上の分岐状高級アルコールが好ましい。分岐構造中に水酸基を有する分岐状高級アルコールとしては、高級アルコールの炭素鎖とタンパク質との結合を阻害しないという点で分岐構造中の炭素数が少ないものが好ましい。 具体的には、水酸基から分岐部分までの炭素原子数が1以下である分岐状高級アルコールが好ましい。水酸基から分岐部分までの炭素原子数が1以下である分岐状高級アルコールとしては、オクチルドデカノール(炭素数20)等が挙げられる。 【0048】 例えば、水酸基から分岐部分までの炭素原子数が「1」である高級アルコールとして、下記式2で表されるオクチルドデカノールを例示できる。 【0049】 【化2】 【0050】 第2の高級アルコールとしては、オクチルドデカノールが好ましい。第2の高級アルコールは1種であってもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 【0051】 (炭化水素) 炭化水素としては、炭素原子及び水素原子のみからなる化合物であれば特に限定されないが、第1のタンパク質含有層の分散状態を崩し、水性媒体を含む層、並びに、第1の高級アルコール及び脂肪酸を含む層に分離しやすいという点で、炭素数が10以上の炭化水素が好ましい。特に、高融点の炭化水素を液化させるための熱によってタンパク質が変性することを避けるという点で、25℃で液体である炭化水素が好ましい。25℃で液体である炭化水素としては、具体的には、リモネン(炭素数10)、スクアレン(炭素数30)、スクアラン(炭素数30)、流動パラフィン(炭素数20以上)等が挙げられる。炭化水素は1種であってもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。 【0052】 第2のタンパク質抽出剤中の第2の高級アルコール及び炭化水素の組み合わせとしては、第1のタンパク質含有層を少なくとも2層に分離しやすいという点でオクチルドデカノール及びリモネンが特に好ましい。 【0053】 第2のタンパク質抽出剤中の第2の高級アルコールと炭化水素との比率は、タンパク質の量や性質に応じて適宜調整でき、例えば、質量比で第2の高級アルコール/炭化水素=2/1?1/100、好ましくは2/1?1/10、より好ましくは2/1?2/3、特に好ましくは1/1?2/3であることが好適である。 【0054】 第2のタンパク質抽出剤には、本発明の目的を害さない限り、公知の添加剤(界面活性剤、炭素数18未満の高級アルコール等)を添加してもよい。添加剤の添加量は得ようとする効果等に応じて適宜設定できる。また、有効成分以外の他成分として、リノール酸のように炭素骨格中に2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含むものであっても良い。 【0055】 (第2の抽出工程) 以下、第2のタンパク質抽出剤と第1のタンパク質含有層とを接触させる工程から、第1のタンパク質含有層を少なくとも2層に分離させる工程を「第2の抽出工程」という。(※なお、抽出対象液と第2のタンパク質抽出剤を接触させて抽出を行う工程も想定されるが、本明細書では便宜上この場合も第2の抽出工程というものとする。) 【0056】 第2の抽出工程における温度条件は、タンパク質やタンパク質抽出剤中の成分が変性等しない限り特に限定されないが、例えば、室温(例えば、20?28℃)であってもよい。第2のタンパク質抽出剤に含まれる炭化水素として25℃で液体である炭化水素が含まれる場合、炭化水素の液体状態を保持すると、第1のタンパク質含有層を好ましく分離できるため、第2の抽出工程における温度条件は、24?26℃であることが好ましい。 【0057】 第2のタンパク質抽出剤と第1のタンパク質含有層とを接触させる方法は、特に限定されないが、第2のタンパク質抽出剤及び第1のタンパク質含有層を混合及び撹拌等することで行える。第2のタンパク質抽出剤と第1のタンパク質含有層との混合比は特に限定されないが、質量比で、第2のタンパク質抽出剤/第1のタンパク質含有層=1/1?1/5であってもよい。特に第2タンパク質抽出剤の混合比率が多い分には制限はない。第2のタンパク質抽出剤と第1のタンパク質含有層との混合方法は特に限定されず、公知の撹拌機や試験管の上下倒立等で混合できる。 【0058】 第2のタンパク質抽出剤の使用方法としては、第1のタンパク質含有層に添加する前に第2のタンパク質抽出剤を構成する成分を予め混合してから添加してもよいが、第2の高級アルコール又は炭化水素のいずれか一方を先に第1のタンパク質含有層に添加した後に、さらに残りを順次混合してもよい。炭化水素によって、第1のタンパク質含有層の分散状態を崩し、第2の高級アルコールと結合したタンパク質を引き寄せるという本発明の効果が奏されやすい点で、炭化水素を第2の高級アルコールよりも先に添加することが好ましい。 【0059】 少なくとも2層に分離した第1のタンパク質含有層において、タンパク質がいずれの層に存在するかは、界面検出センサー等によって特定される。通常、タンパク質は、少なくとも2層に分離したうちの下層に抽出される。また、タンパク質は、クロマトグラフィー、遠心分離等の方法を使用して、第2のタンパク質含有層から取り出し、抽出することができる。 【0060】 (液状化粧品としての第2のタンパク質抽出剤) 第2のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、「炭化水素」の含量としては、タンパク質抽出剤(液状化粧品)の「全量」に対して3体積%以上含まれていることが好適である。好ましくは「全量」に対して5体積%以上、より好ましくは7.5体積%以上、さらに好ましくは10体積%以上、一層好ましくは12.5体積%以上、より一層好ましくは15体積%以上、さらに一層好ましくは17.5体積%以上、特一層好ましくは20体積%以上含まれていることが好適である。炭化水素の濃度が低い場合には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)をより多く使用することにより、タンパク質の抽出は可能である。しかし、炭化水素の含有量が全量に対して3体積%を下回ると、化粧品として実用的な範囲を上回る量を使用しなければならなくなるため、好適ではない。 第2のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、「第2の高級アルコール」の含量としては、「炭化水素」の体積に対して1体積%以上含まれていることが好適である。好ましくは「炭化水素」の体積に対して10体積%以上、より好ましくは50体積%以上含まれていることが好適である。第2の高級アルコールの濃度が低い場合には、タンパク質抽出剤(液状化粧品)をより多く使用することによりタンパク質の抽出は可能である。しかし、第2の高級アルコールの含有量が炭化水素に対して1体積%を下回ると、化粧品として実用的な範囲を上回る量を使用しなければならなくなるため、好適ではない。第2の高級アルコール含量の上限としては、「炭化水素」の体積に対して200体積%以下、好ましくは100体積%以下が好適である。 【0061】 第2のタンパク質抽出剤を液状化粧品として使用する場合、水を含有する態様及び水を含有しない態様という、2つの態様がある。以下に、各態様について説明する。 なお、ここで、第2タンパク質抽出剤を液状化粧品に使用した場合の各成分の含量としては、液状化粧品の製品形態とした場合に好適な量を示すものであり、実際の使用態様において、これより薄い濃度にて使用することを許容するものである。 ・水を含有する態様 水を含有する態様の第2のタンパク質抽出剤(液状化粧品)において、炭化水素の配合量は、水への溶解度以上の量である。第2の高級アルコールの配合量は、炭化水素の体積に対し、1体積%以上から炭化水素の体積の2倍以下(200体積%以下)の範囲内の量である。第2のタンパク質抽出剤に炭化水素及び第2の高級アルコール以外の成分を配合する場合には、上記の炭化水素及び第2の高級アルコールの配合量の条件を満たし、かつ、該成分の配合量に相当する分だけ、炭化水素の体積を減らすように調整する。 ・水を含有しない態様 水を含有しない態様の第2のタンパク質抽出剤(液状化粧品)において、炭化水素の配合量は、第2のタンパク質抽出剤全体に対して3体積%以上99体積%以下である。第2の高級アルコールの配合量は、炭化水素の体積に対し、1体積%以上から炭化水素の体積の2倍以下(200体積%以下)の範囲内の量である。第2のタンパク質抽出剤に炭化水素及び第2の高級アルコール以外の成分を配合する場合には、上記の炭化水素及び第2の高級アルコールの配合量の条件を満たし、かつ、該成分の配合量に相当する分だけ、炭化水素の体積を減らすように調整する。上記の処方により化粧品を調整すると、該化粧品の性状は常温で液体となる。 【0062】 (第1のタンパク質抽出剤及び第2のタンパク質抽出剤の混合物) 第1のタンパク質抽出剤及び第2のタンパク質抽出剤は、それぞれ単独で液状化粧品として使用することもできるが、混合して液状化粧品として使用することもできる。第1のタンパク質抽出剤と第2のタンパク質抽出剤との混合比は特に限定されないが、第1のタンパク質抽出剤及び第2のタンパク質抽出剤の混合物において、各成分の含有量が、上記(水を含有する態様)又は(水を含有しない態様)の項に示した条件を満たしていることが好ましい。上記の処方により化粧品を調整すると、該化粧品の性状は常温で液体となる。 【0063】 3.本発明のタンパク質抽出剤の効果 上記の通り、本発明のタンパク質抽出剤によれば、抽出対象液からタンパク質以外の成分(水性溶媒、細胞膜等の夾雑物)の割合を減らして、タンパク質を簡便に抽出できる。本発明によって得られたタンパク質から、クロマトグラフィー等によって目的のタンパク質を精製することもできる。したがって、本発明は、特定のタンパク質の単離や精製の前段階の処理として有用である。例えば、本発明は、細胞液(抽出対象液に相当する)等からの膜タンパク質の抽出等において有用である。 【0064】 本発明のタンパク質抽出剤は、タンパク質を簡便に抽出できるため、皮膚に付着したタンパク質を抽出洗浄することが可能な液状化粧品(「タンパク質洗浄用の液状化粧品」)として好適に使用できる。 本発明に係るタンパク質抽出剤は、具体的には、トイレタリー製品等の液状化粧品(クレンジング剤、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、マッサージオイル、先顔剤、等)として好適に使用できる。特に好ましくは、クレンジング用の液状化粧品として好適に使用できる。 【0065】 また、本発明のタンパク質抽出剤は、界面活性剤等を含まなくとも、優れたタンパク質抽出効果を奏する。したがって、本発明のタンパク質抽出剤によれば、皮膚への負担を低減しつつ、所望の洗浄効果が得られる。本発明のタンパク質抽出剤には、液状化粧品に配合される公知の添加剤(界面活性剤、防腐剤、保湿剤、香料、エンモリメント成分等)が含まれていてもよい。添加剤の種類や量は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択できる。 【0066】 本発明のタンパク質抽出剤(第1のタンパク質抽出剤及び/又は第2のタンパク質抽出剤)には、タンパク質の凝集抑制剤が含まれていてもよい。本発明のタンパク質抽出剤にタンパク質の凝集抑制剤が含まれていると、タンパク質が抽出剤中に分散しやすくなり、タンパク質凝集体の生成や、該凝集体の洗浄部位等への付着を抑制でき、本発明の効果がより奏されやすくなる。 【0067】 タンパク質の凝集抑制剤としては、等電点が5以下のアミノ酸を使用できる。等電点が5以下のアミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、クエン酸、及びアルギニンからなる群から選択される1種以上が挙げられる。これらのうち、本発明によるタンパク質の抽出効果を高めやすい点で、グルタミン酸、アスパラギン酸、が特に好ましい。さらに特には、グルタミン酸が最も好適である。 【0068】 タンパク質の凝集抑制剤が水溶性である場合は、水性溶媒(水、リン酸バッファ、Tris-HClバッファ等)中に溶かしてから、本発明のタンパク質抽出剤に添加してもよい。タンパク質の凝集抑制剤の配合量は特に限定されないが、タンパク質抽出剤全体に対して0.001?1.000質量%であってもよい。 【0069】 本発明のタンパク質抽出剤は、第1のタンパク質抽出剤又は第2のタンパク質抽出剤を単独で使用してもよく、これらの混合物として使用してもよいが、本発明の効果が顕著に得られやすいという点で、第1のタンパク質抽出剤単独、第2のタンパク質抽出剤単独の順で、これらを併用することが好ましい。 【0070】 第1のタンパク質抽出剤及び/又は第2のタンパク質抽出剤は、化粧品セットの構成物品とすることができる。好ましくは、第1のタンパク質抽出剤と第2のタンパク質抽出剤の両方を構成物品として含む化粧品セットとする形態が、製品として好適である。 化粧品セットには、他の構成物品としては、乳液、クリーム、パフ、綿、タオルなど、化粧用途を逸脱しない範囲であれば如何なる構成物品を含むものである。 【0071】 本発明のタンパク質抽出剤をクレンジング剤として使用する場合、例えば、下記の方法を実施することが好ましい。まず、皮膚等において、タンパク質を抽出したい部位(汚れを洗浄したい部位)に本発明のタンパク質抽出剤を塗布し、軽く揉む等してマッサージする。塗布前に、該部位は水で濡らしてもよいが、濡らさなくともよい。マッサージ後、該部位を水で濡らし、さらにマッサージした後、水で本発明のタンパク質抽出剤を洗い流す。洗い流す際に、本発明のタンパク質抽出剤によって皮膚等の表面のタンパク質が抽出され、かつ、皮膚等から除去される。水による洗浄後、石けんや洗顔剤等によって皮膚等をさらに洗浄してもよい。 【0072】 第1のタンパク質抽出剤及び第2のタンパク質抽出剤を併用する場合、第1のタンパク質抽出剤を塗布後に洗い流す前に、第2のタンパク質抽出剤を第1のタンパク質抽出剤が塗布された部位に塗布してマッサージした後、洗い流すことが望ましい。 【実施例】 【0073】 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記の試験はいずれも室温(19℃以上25℃以下)で行った。また、下記表中において、「wt%」は質量%を、「vоl%」は体積%をそれぞれ示す。 【0074】 [実施例1] 第1のタンパク質抽出剤による抽出-1 本発明の第1のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0075】 1.抽出対象液の構成 豆乳(株式会社紀文食品製、豆乳中にはタンパク質(不溶性)が含まれる) 1ml リン酸バッファ(SIGMA社製、商品名「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline」) 9ml 上記を試験管内で混合及び撹拌した後、得られた溶液にクマシーブリリアントブルーG250を加え、タンパク質を青色に着色し、抽出対象液を得た。 【0076】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 イソステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社、商品名「イソステアリルアルコール EX」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml オレイン酸(東京化成工業株式会社、商品名「Oleic Acid」、脂肪酸に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤を調製した。 【0077】 3.第1の抽出工程 抽出対象液(6ml)に第1のタンパク質抽出剤(4ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。なお、以下、溶液の撹拌は試験管を約20秒間、上下倒立させることで行った。 【0078】 4.結果 第1の抽出工程の前後の結果を図1(A)に示す。図1(A)の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図1(A)の右側は、第1の抽出工程後の試験管内の様子である。図1(A)の右側に示される通り、溶液が2層にはっきりと分離しており、タンパク質が上層に抽出されていることがわかる。なお、下層の液体はほぼ透明だった。 【0079】 図1(B)は、図1(A)の右側の試験管中の上層における液体(以下、「実施例1の上層の液体」ともいう)を光学顕微鏡(400倍)で観察した結果である。図1(B)に示される通り、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在する。 【0080】 [実施例2] 第2のタンパク質抽出剤抽出-1 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例1の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0081】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社、商品名「リソノール 20SP」、第2の高級アルコールに相当する) 2ml リモネン(東京化成工業、商品名「(+)-リモネン」、炭化水素に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第2のタンパク質抽出剤を調製した。 【0082】 2.第2の抽出工程 実施例1の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0083】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図2(A)に示す。図2(A)の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図2(A)の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図2(A)の右側に示される通り、溶液が2層にはっきりと分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0084】 図2(B)は、図2(A)の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察した結果である。図2(B)に示される通り、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在する。 【0085】 [実施例3] 第1のタンパク質抽出剤による抽出-2 本発明の第1のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0086】 1.抽出対象液の構成 実施例1の抽出対象液と同様である。 【0087】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 イソステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社、商品名「イソステアリルアルコール EX」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml イソステアリン酸(高級アルコール工業株式会社、商品名「イソステアリン酸 EX」、脂肪酸に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤を調製した。 【0088】 3.第1の抽出工程 実施例1と同様である。 【0089】 4.結果 第1の抽出工程の前後の結果を図3に示す。図3の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図3の右側は、第1の抽出工程後の試験管内の様子である。図3の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が上層に抽出されていることがわかる。なお、下層の液体はほぼ透明だった。 【0090】 図3の右側の試験管中の上層における液体(以下、「実施例3の上層の液体」ともいう)を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0091】 [実施例4] 第2のタンパク質抽出剤による抽出-2 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例3の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0092】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 実施例2と同様である。 【0093】 2.第2の抽出工程 実施例3の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0094】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図4に示す。図4の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図4の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図4の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0095】 図4の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0096】 [実施例5] 第1のタンパク質抽出剤による抽出-3 本発明の第1のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0097】 1.抽出対象液の構成 実施例1の抽出対象液と同様である。 【0098】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 オレイルアルコール(東京化成工業株式会社、商品名「Oleyl Alcohol」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml イソステアリン酸(高級アルコール工業株式会社、商品名「イソステアリン酸 EX」、脂肪酸に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤を調製した。 【0099】 3.第1の抽出工程 実施例1と同様である。 【0100】 4.結果 第1の抽出工程の前後の結果を図5に示す。図5の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図5の右側は、第1の抽出工程後の試験管内の様子である。図5の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が上層に抽出されていることがわかる。なお、下層の液体はほぼ透明だった。 【0101】 図5の右側の試験管中の上層における液体(以下、「実施例5の上層の液体」ともいう)を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0102】 [実施例6] 第2のタンパク質抽出剤による抽出-3 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例5の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0103】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社、商品名「リソノール 20SP」、第2の高級アルコールに相当する) 2ml スクアレン(和光純薬工業、商品名「Squalene」、炭化水素に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第2のタンパク質抽出剤を調製した。 【0104】 2.第2の抽出工程 実施例5の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0105】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図6に示す。図6の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図6の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図6の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0106】 図6の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0107】 [実施例7] 第2のタンパク質抽出剤による抽出-4 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例1の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0108】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社、商品名「リソノール 20SP」、第2の高級アルコールに相当する) 2ml スクアレン(和光純薬工業、商品名「Squalene」、炭化水素に相当する) 2ml 【0109】 2.第2の抽出工程 実施例1の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0110】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図7に示す。図7の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図7の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図7の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0111】 図7の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0112】 [実施例8] 第2のタンパク質抽出剤による抽出-5 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例1の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0113】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社、商品名「リソノール 20SP」、第2の高級アルコールに相当する) 2ml 流動パラフィン(和光純薬工業、商品名「流動パラフィン」、炭化水素に相当する) 2ml 【0114】 2.第2の抽出工程 実施例1の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0115】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図8に示す。図8の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図8の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図8の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0116】 図8の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0117】 [実施例9] 第1のタンパク質抽出剤による抽出-4 本発明の第1のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0118】 1.抽出対象液の構成 実施例1の抽出対象液と同様である。 【0119】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 オレイルアルコール(東京化成工業株式会社、商品名「Oleyl Alcohol」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml オレイン酸(東京化成工業株式会社、商品名「Oleic Acid」、脂肪酸に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤を調製した。 【0120】 3.第1の抽出工程 実施例1と同様である。 【0121】 4.結果 第1の抽出工程の前後の結果を図9に示す。図9の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図9の右側は、第1の抽出工程後の試験管内の様子である。図9の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が上層に抽出されていることがわかる。なお、下層の液体はほぼ透明だった。 【0122】 図9の右側の試験管中の上層における液体(以下、「実施例9の上層の液体」ともいう)を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0123】 [実施例10] 第2のタンパク質抽出剤による抽出-6 本発明の第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、実施例9の上層の液体からタンパク質をさらに抽出した。 【0124】 1.第2のタンパク質抽出剤の調製 オクチルドデカノール(高級アルコール工業株式会社、商品名「リソノール 20SP」、第2の高級アルコールに相当する) 2ml スクアラン(和光純薬工業、商品名「スクアラン」、炭化水素に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第2のタンパク質抽出剤を調製した。 【0125】 2.第2の抽出工程 実施例9の上層の液体に第2のタンパク質抽出剤を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0126】 3.結果 第2の抽出工程の前後の結果を図10に示す。図10の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図10の右側は、第2の抽出工程後の試験管内の様子である。図10の右側に示される通り、溶液が2層に分離しており、タンパク質が下層に抽出されていることがわかる。 【0127】 図10の右側の試験管中の下層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察したところ、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在していた。 【0128】 [実施例11] 第1のタンパク質抽出剤による抽出-5 本発明の第1のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0129】 1.抽出対象液の構成 卵白(タンパク質(水溶性)に相当する) 1ml リン酸バッファ(SIGMA社製、商品名「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline」) 10ml 上記を試験管内で混合及び撹拌した後、得られた溶液にクマシーブリリアントブルーG250を加え、タンパク質を青色に着色し、抽出対象液を得た。 【0130】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 下記の2種類の抽出剤を調製した。 (第1のタンパク質抽出剤-1) イソステアリルアルコール(高級アルコール工業株式会社、商品名「イソステアリルアルコール EX」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml オレイン酸(東京化成工業株式会社、商品名「Oleic Acid」、脂肪酸に相当する) 2ml (第1のタンパク質抽出剤-2) オレイルアルコール(東京化成工業株式会社、商品名「Oleyl Alcohol」、第1の高級アルコールに相当する) 2ml オレイン酸(東京化成工業株式会社、商品名「Oleic Acid」、脂肪酸に相当する) 2ml 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤を調製した。 【0131】 3.第1の抽出工程 抽出対象液(6ml)に2種類のうちいずれかの第1のタンパク質抽出剤(4ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。 【0132】 4.結果 第1の抽出工程の前後の結果を図11(A)に示す。図11(A)の左側は、第1のタンパク質抽出剤を添加していない(つまり第1の抽出工程前の)抽出対象液を含む試験管内の様子である。図11(A)の中央([第1のタンパク質抽出剤-1]を使用した結果)及び右側([第1のタンパク質抽出剤-2]を使用した結果)は、第1の抽出工程後の試験管内の様子である。図11(A)の中央及び右側に示される通り、溶液が2層にはっきりと分離しており、タンパク質が上層に抽出されていることがわかる。なお、下層の液体は、いずれもほぼ透明だった。 【0133】 図11(B)は、図11(A)の右側の試験管中の上層における液体を光学顕微鏡(400倍)で観察した結果である。図11(B)に示される通り、タンパク質は液滴の内部に取り込まれず、連続層に存在する。 【0134】 [実施例のまとめ] 上記の実施例の結果をまとめ、表1及び2に示した。なお、表中の「結果」における記号の意味は下記の通りである。 ◎:タンパク質が非常に良好に分離された ○:タンパク質が良好に分離された △:タンパク質が分離された 【0135】 【表1】 【0136】 【表2】 【0137】 上記の通り、本発明のタンパク質抽出剤によれば、タンパク質が良好に分離されることがわかる。特に、第1のタンパク質抽出剤中の第1の高級アルコール及び脂肪酸として、イソステアリルアルコール又はオレイルアルコールと、オレイン酸とを組み合わせるとタンパク質が良好に分離された。さらに、第2のタンパク質抽出剤中の第2の高級アルコール及び炭化水素として、オクチルドデカノールとリモネンとを組み合わせるとタンパク質がさらに良好に分離された。 【0138】 [実施例12] 第1のタンパク質抽出剤又は第2のタンパク質抽出剤による抽出-1 本発明の第1のタンパク質抽出剤又は第2のタンパク質抽出剤を使用して、以下の通り、抽出対象液から抽出対象物(タンパク質)を抽出した。 【0139】 1.抽出対象液の構成 卵白0.5mlをリン酸バッファ5ml中に溶かし、抽出対象液を得た。 【0140】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 (第1のタンパク質抽出剤A) 第1のタンパク質抽出剤(オレイン酸:オレイルアルコール=2:1(体積比)) 9ml リン酸バッファ 0.5ml グルタミン酸 0.1g (第1のタンパク質抽出剤B) 第1のタンパク質抽出剤(イソステアリン酸:イソステアリルアルコール=2:1(体積比)) 9ml リン酸バッファ 0.5ml アスパラギン酸 0.1g 上記を試験管内で混合及び撹拌して第1のタンパク質抽出剤A又はBを調製した。 【0141】 3.第2のタンパク質抽出剤の調製 (第2のタンパク質抽出剤A) 第2のタンパク質抽出剤(スクワラン:オクチルドデカノール=2:1(体積比)) 9ml リン酸バッファ 0.5ml グルタミン酸 0.1g (第2のタンパク質抽出剤B) 第2のタンパク質抽出剤(流動パラフィン:オクチルドデカノール=2:1(体積比)) 9ml リン酸バッファ 0.5ml アスパラギン酸 0.1g 上記を試験管内で混合及び撹拌して第2のタンパク質抽出剤A又はBを調製した。 【0142】 4.抽出工程 抽出対象液(5.5ml)に、第1のタンパク質抽出剤のいずれか1種(各3ml)を添加して第1の抽出工程を行った。また、第1のタンパク質抽出剤Aを用いて行った第1の抽出工程によって得られた上層の液体(3ml)に第2のタンパク質抽出剤のいずれか1種(各3ml)を添加して第2の抽出工程を行った。 【0143】 5.結果 第1のタンパク質抽出剤による抽出工程後の結果を図12に示す。図12の左側は、グルタミン酸を含まない第1のタンパク質抽出剤(第1のタンパク質抽出剤(オレイン酸:オレイルアルコール=2:1(体積比)) 9ml、リン酸バッファ 0.5mlからなる抽出剤である。)を使用した結果であり、右側が第1のタンパク質抽出剤Aを使用した結果である。グルタミン酸を含まない第1のタンパク質抽出剤よりも、第1のタンパク質抽出剤Aによるタンパク質抽出効果が高かった。 【0144】 第1のタンパク質抽出剤Aと第1のタンパク質抽出剤Bとを比較すると、第1のタンパク質抽出剤Aによるタンパク質抽出効果の方が高かった。 【0145】 グルタミン酸を含まない第2のタンパク質抽出剤(第2のタンパク質抽出剤(スクワラン:オクチルドデカノール=2:1(体積比)) 9ml、リン酸バッファ 0.5mlからなる抽出剤である。)よりも、第2のタンパク質抽出剤Aによるタンパク質抽出効果が高かった。 【0146】 第2のタンパク質抽出剤Aと第2のタンパク質抽出剤Bとを比較すると、第2のタンパク質抽出剤Aによるタンパク質抽出効果の方が高かった。 【0147】 図13は、第1のタンパク質抽出剤Aによる抽出工程後の上層における液体(図12の右側の試験管中の上層における液体)を光学顕微鏡(400倍)で観察した結果である。図13に示される通り、グルタミン酸の存在下では、タンパク質の凝集が抑制されている。 【0148】 以上の結果から、グルタミン酸が抽出剤に含まれると、タンパク質の凝集を抑制しつつ、より高いタンパク質抽出効果が得られるものと推察された。 【0149】 [実施例13] 第1のタンパク質抽出剤又は第2のタンパク質抽出剤による抽出-2 実施例12において調製した第1のタンパク質抽出剤A及びB、第2のタンパク質抽出剤A及びB、並びに市販の石けんを使用し、角栓のある皮膚に対する洗浄効果を比較した。 その結果、石けんと比較して、本発明のタンパク質抽出剤はいずれも高い洗浄効果を示した。そのなかでも、第1のタンパク質抽出剤Aによる洗浄効果が最も高く、次いで、第1のタンパク質抽出剤Bによる洗浄効果が高かった。 第1のタンパク質抽出剤と第2のタンパク質抽出剤とを併せて使用する場合、第1のタンパク質抽出剤Aを用いてマッサージし、その後第2のタンパク質抽出剤Aを用いてマッサージする組み合わせが、他の組み合わせより洗浄力が高かった。 したがって、本発明のタンパク質抽出剤は、クレンジング剤として好ましく使用できる。上記のタンパク質抽出剤の洗浄効果は、グルタミン酸やアスパラギン酸等の、タンパク質の凝集抑制剤の作用によって、タンパク質が抽出剤中に分散しやすくなり、タンパク質凝集体の生成や、該凝集体の洗浄部位への付着を抑制できたことによるものと推察された。 【0150】 [実施例14] 第1の高級アルコール及び第2の高級アルコールの作用 本発明に係るタンパク質抽出剤の抽出工程のメカニズムを探るため、第1のタンパク質抽出剤における第1の高級アルコールの作用を確認した。また、第2のタンパク質抽出剤における第2の高級アルコールの作用を確認した。 【0151】 1.抽出対象液の構成 豆乳(株式会社紀文食品製、豆乳中にはタンパク質(不溶性)が含まれる) 0.5ml リン酸バッファ(SIGMA社製、商品名「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline」) 4.5ml 上記を試験管内で混合及び撹拌した後、得られた溶液にクマシーブリリアントブルーG250を加え、タンパク質を青色に着色し、抽出対象液を得た。 【0152】 2.高級アルコール 下記の高級アルコールとしては、上記実施例に記載のものを用いた。 (第1の高級アルコール) 第1の高級アルコールとしては、オレイルアルコールを用いた。 (第2の高級アルコール) 第2の高級アルコールとしては、オクチルドデカノールを用いた。 【0153】 3.高級アルコールの添加混合 抽出対象液(1ml)に、第1の高級アルコール(1ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した(試料14-1)。その後、さらに第2の高級アルコール(1ml)を添加し、溶液を撹拌し、20分間静置した(試料14-2)。 得られた、各溶液(試料14-1、試料14-2)を光学顕微鏡(400倍)で観察した。また、抽出対象液(対照)も、同様にして観察した。 【0154】 4.結果1 高級アルコールを添加混合した後の結果を図14に示す。図14(B)は、抽出対象液に第1の高級アルコール(オレイルアルコール)を作用させた後の溶液を撮影した結果である(試料14-1)。試料14-1のタンパク質は、連続層に存在していることが示された。一方、図14(A)は、抽出対象液のみを撮影した結果である(対照)。当該対照におけるタンパク質は、固形分のままであった。 以上の結果から、本発明に係る第1のタンパク質抽出剤を用いた抽出工程においては、次のメカニズムが推察された。即ち、第1の高級アルコールの作用によって溶媒中に遊離したタンパク質は、第1のタンパク質抽出剤に含まれていた脂肪酸に引き寄せられて、上層(脂肪酸を含む層)に抽出されるものと推察された。 【0155】 5.結果2 また、図14(C)は、第1の高級アルコール(オレイルアルコール)を作用させた後の溶液に、さらに第2の高級アルコール(オクチルドデカノール)を作用させた後の溶液を撮影した結果である(試料14-2)。試料14-2のタンパク質は、試料14-1よりもさらに細かな状態で、連続層に存在していることが示された。 以上の結果から、本発明に係る第2のタンパク質抽出剤を用いた抽出工程においては、次のメカニズムが推察された。即ち、第1の高級アルコール添加後に、さらに第2の高級アルコールの作用によってさらに細かくなったタンパク質(極性分子)は、第2のタンパク質抽出剤に含まれていた炭化水素(無極性分子)と反発し合い、下層(炭化水素等を含まない層)に抽出されるものと推察された。 【0156】 [実施例15] 液状化粧品 第1のタンパク質抽出剤を「界面活性剤を含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 【0157】 1.抽出対象液の構成 実施例14の抽出対象液と同様である。 【0158】 2.液状化粧品の調製 表3?6に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、及び炭化水素としては、上記実施例に記載のものを用いた。 ここで、表3(試料15-1?試料15-4)は、第1の高級アルコールとしてオレイルアルコール、脂肪酸としてオレイン酸を使用した例である。また、表4(試料15-5?試料15-8)は、第1の高級アルコールとしてイソステアリルアルコール、脂肪酸としてオレイン酸を使用した例である。また、表5(試料15-9?試料15-12)は、第1の高級アルコールとしてオレイルアルコール、脂肪酸としてイソステアリン酸を使用した例である。また、表6(試料15-13?試料15-16)は、第1の高級アルコールとしてイソステアリルアルコール、脂肪酸としてイソステアリン酸を使用した例である。 また、親水性の性質が強い界面活性剤としては、Tween80(東京化成工業株式会社製、Polyoxethylene Sorbitan Monooleate)を用いた。また、疎水性の性質が強い界面活性剤としては、Span80(東京化成工業株式会社製、Sobitan Monooleate)を用いた。また、エタノールとしては、和光純薬製のものを用いた。 【0159】 3.抽出工程 抽出対象液(5ml)に、表3?6に記載の液状化粧品(試料15-1?試料15-16)のいずれか1種(各5ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。結果を表3?6に示した。 【0160】 【表3】 【0161】 【表4】 【0162】 【表5】 【0163】 【表6】 【0164】 4.結果 上記の通り、第1のタンパク質抽出剤を、実際の液状化粧品の組成に準じた(界面活性剤を含む溶液)とした場合においても、抽出対象液からのタンパク質の抽出が可能であることが示された。 具体的には、親水性の性質が強い界面活性剤(Tween80)又は疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)のいずれの界面活性剤を液状化粧品の組成成分として含有させた場合であっても、タンパク質抽出作用は、問題なく発揮されることが示された。特に、疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)は、タンパク質の抽出作用に影響を与えにくい界面活性剤であることが示された。 また、エタノール及び流動パラフィン存在下であっても、第1のタンパク質抽出作用は問題なく発揮されることが示された。 また、第1のタンパク質抽出作用は、第1の高級アルコールとしてオレイルアルコール又はイソステアリルアルコールを用い、脂肪酸としてオレイン酸又はイソステアリン酸を用いて液状化粧品を調製した場合、いずれの組み合わせ(表3?6)であってもタンパク質抽出効果が発揮されることが示された。 【0165】 [実施例16] 液状化粧品 第2のタンパク質抽出剤を「界面活性剤を含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 1.抽出対象液の構成 実施例14の抽出対象液と同様である。 【0166】 2.第1のタンパク質抽出剤の調製 下記の4種類の抽出剤を調製した。なお、抽出剤の調製に用いた各化合物としては、上記実施例に記載のものを用いた。 (第1のタンパク質抽出剤-i) オレイン酸 2ml オレイルアルコール 1ml (第1のタンパク質抽出剤-ii) オレイン酸 2ml イソステアリルアルコール 1ml (第1のタンパク質抽出剤-iii) イソステアリン酸 2ml オレイルアルコール 1ml (第1のタンパク質抽出剤-iv) イソステアリン酸 2ml イソステアリルアルコール 1ml 【0167】 3.第1の抽出工程 抽出対象液(3ml)に、第1のタンパク質抽出剤のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。 【0168】 4.液状化粧品の調製 表7?10に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、炭化水素、エタノール、及び界面活性剤としては、上記実施例に記載のものを用いた。 【0169】 5.抽出工程 (表7) 「第1のタンパク質抽出剤-i」(オレイン酸2ml、オレイルアルコール1ml)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(3ml)に、表7に記載の液状化粧品(試料16-1?試料16-4)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0170】 【表7】 【0171】 (表8) また、「第1のタンパク質抽出剤-ii」(オレイン酸2ml、イソステアリルアルコール1ml)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(3ml)に、表8に記載の液状化粧品(試料16-5?試料16-8)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0172】 【表8】 【0173】 (表9) また、「第1のタンパク質抽出剤-iii」(イソステアリン酸2ml、オレイルアルコール1ml)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(3ml)に、表9に記載の液状化粧品(試料16-9?試料16-12)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0174】 【表9】 【0175】 (表10) また、「第1のタンパク質抽出剤-iv」(イソステアリン酸2ml、イソステアリルアルコール1ml)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(3ml)に、表10に記載の液状化粧品(試料16-13?試料16-16)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0176】 【表10】 【0177】 4.結果 上記の通り、第2のタンパク質抽出剤を、実際の液状化粧品の組成に準じた溶液(界面活性剤を含む溶液)とした場合においても、抽出対象液からのタンパク質の抽出が可能であることが示された。 具体的には、親水性の性質が強い界面活性剤(Tween80)又は疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)のいずれの界面活性剤を液状化粧品に配合した場合であっても、タンパク質抽出作用は問題なく発揮されることが示された。特に、疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)は、タンパク質の抽出作用に影響を与えにくい界面活性剤であることが示された。 また、エタノール存在下であっても、第2のタンパク質抽出作用は問題なく発揮されることが示された。 【0178】 [実施例17] 液状化粧品 第1のタンパク質抽出剤を「2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた一態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 【0179】 1.抽出対象液の構成 実施例14の抽出対象液と同様である。 【0180】 2.液状化粧品の調製 表11に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、炭化水素、エタノール、及び界面活性剤としては、上記実施例に記載のものを用いた。 なお、不飽和結合を2つ有する脂肪酸としては、リノール酸(和光純薬工業株式会社製)を用いた。 【0181】 3.抽出工程 抽出対象液(3ml)に、表11に記載の液状化粧品(試料17-1?試料17-8)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。結果を表11に示した。 【0182】 【表11】 【0183】 4.結果 上記の通り、第1のタンパク質抽出剤を、2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含む液状化粧品(リノール酸を含む溶液)とした場合においても、抽出対象液からのタンパク質の抽出が可能であることが示された。 また、界面活性剤の配合量としては、疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)と親水性の性質が強い界面活性剤(Tween80)を合わせて合計8体積%とした場合であっても、タンパク質抽出が可能であることが示された(試料17-5?試料17-8)。 【0184】 [実施例18] 液状化粧品 第2のタンパク質抽出剤を「2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた一態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 【0185】 1.液状化粧品の調製 表12に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、炭化水素、エタノール、及び界面活性剤としては、上記実施例に記載のものを用いた。 【0186】 2.抽出工程 実施例17における試料17-4(第1のタンパク質抽出工程後の溶液)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(3ml)に、表12に記載の液状化粧品(試料18-1?試料18-8)のいずれか1種(各3ml)を添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0187】 【表12】 【0188】 3.結果 上記の通り、第2のタンパク質抽出剤を、2以上の不飽和結合を有する脂肪酸を含む液状化粧品(リノール酸を含む溶液)とした場合においても、抽出対象液からのタンパク質の抽出が可能であることが示された。 また、界面活性剤の配合量としては、疎水性の性質が強い界面活性剤(Span80)と親水性の性質が強い界面活性剤(Tween80)を合わせて合計8体積%とした場合であっても、タンパク質抽出が可能であることが示された(試料18-5?試料18-8)。 【0189】 [実施例19] 液状化粧品 第1のタンパク質抽出剤を「脂肪酸及び高級アルコールを様々な濃度で含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた一態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 【0190】 1.抽出対象液の構成 豆乳(株式会社紀文食品製、豆乳中にはタンパク質(不溶性)が含まれる) 1ml リン酸バッファ(SIGMA社製、商品名「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline」) 9ml 上記を試験管内で混合及び撹拌した後、得られた溶液にクマシーブリリアントブルーG250を加え、タンパク質を青色に着色し、抽出対象液を得た。 【0191】 2.液状化粧品の調製 表13に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、炭化水素、及び界面活性剤としては、上記実施例に記載のものを用いた。 【0192】 3.抽出工程 抽出対象液(10ml)を、表13に記載の液状化粧品(試料19-1?試料19-8)のいずれか1種(各5ml)に添加した後、溶液を撹拌し、20分間静置した。結果を表13に示した。 【0193】 【表13】 【0194】 4.結果 上記の通り、液状化粧品は、全量に対して3体積%以上99体積%以下の炭素骨格中に1つの不飽和結合を有する脂肪酸又は飽和脂肪酸である炭素数18の脂肪酸と、脂肪酸に対して1体積%以上200体積%以下の第1の高級アルコールと、全量に対して0?10体積%の界面活性剤と、を含む構成とした場合であっても、タンパク質抽出が可能であることが示された。 【0195】 [実施例20] 液状化粧品 第2のタンパク質抽出剤を「脂肪酸及び高級アルコールを様々な濃度で含む液状化粧品」(実際の化粧品に準じた一態様)にした場合において、タンパク質抽出作用が発揮されるかを確認した。 【0196】 1.液状化粧品の調製 表14に記載の組成となるように、各化合物を試験管内で混合及び撹拌して液状化粧品を調製した。なお、液状化粧品の調製に用いた高級アルコール、脂肪酸、炭化水素、リン酸バッファ、及び界面活性剤としては、上記実施例に記載のものを用いた。 【0197】 2.抽出工程 実施例19における試料19-4(第1のタンパク質抽出工程後の溶液)を使用した第1の抽出工程で得られた溶液の上層の液体(5ml)を、表14に記載の液状化粧品(試料20-1?試料20-8)のいずれか1種(各5ml)に添加した後、溶液を撹拌し、1時間静置した。 【0198】 【表14】 【0199】 3.結果 上記の通り、液状化粧品は、全量に対して3体積%以上99体積%以下の25℃にて液体である炭化水素と、炭化水素に対して1体積%以上200体積%以下の炭素数20の第2の高級アルコールと、全量に対して0?10体積%の界面活性剤と、を含む構成とした場合であっても、タンパク質抽出が可能であることが示された。 【符号の説明】 【0200】 1: タンパク質 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2019-03-20 |
結審通知日 | 2019-03-26 |
審決日 | 2019-04-08 |
出願番号 | 特願2017-73338(P2017-73338) |
審決分類 |
P
1
41・
853-
Y
(A61K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 中村 俊之 |
特許庁審判長 |
關 政立 |
特許庁審判官 |
冨永 みどり 長谷川 茜 |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 特許第6271790号(P6271790) |
発明の名称 | 角栓除去用液状クレンジング剤 |