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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1352144
審判番号 不服2018-3508  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-12 
確定日 2019-06-04 
事件の表示 特願2015-561315「安定化及びリフレーミングのための方法及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 9月12日国際公開、WO2014/137368、平成28年 5月26日国内公表、特表2016-515220〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年6月19日(パリ条約による優先権主張 2013年3月8日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年11月6日付けで翻訳文が提出され、平成28年6月20日付けで手続補正がなされ、平成29年3月22日付けで拒絶理由が通知され、平成29年11月30日付けで拒絶査定がなされ(送達日:平成29年12月4日)、これに対し平成30年3月12日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成30年3月12日付けでされた手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成30年3月12日付けでされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
画像データを保存する方法であって、
第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信することと、
重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信することと、
前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成することと、
前記再方向付け画像を保存することと、
を含み、
前記生成することは、前記第2の方向を示すインジケータを生成することを含み、当該インジケータは、所定の方向に関する所望のアスペクト比を与えられたセンサのディスプレイにおける利用可能範囲内に内接される、前記方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成28年6月20日付けでされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりである。
「【請求項1】
画像データを保存する方法であって、
第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信するステップと、
重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信するステップと、
前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成するステップと、
前記再方向付け画像を保存するステップと、
を含む、前記方法。」

2 補正の適否
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「再方向付け画像を生成する」ステップについて、「前記生成することは、前記第2の方向を示すインジケータを生成することを含み、当該インジケータは、所定の方向に関する所望のアスペクト比を与えられたセンサのディスプレイにおける利用可能範囲内に内接される」との限定を付加するとともに、補正前の請求項1における「ステップ」を「こと」と言い替えたものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、上記1(1)に記載したとおりである。

(2)引用文献2の記載及び引用発明2
原査定の拒絶の理由で引用された、国際公開2010/123011号(国際公開日:2010年10月28日)(以下、「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
ア 「[0001] 本発明は、被写体を撮像する撮像装置および撮像方法に関するものである。」

イ 「[0016] 図1に示すように、携帯電話100は、筐体106、撮像部120、画像表示部130、操作部170、音声入力部172、音声出力部174、を備えている。また筐体106は、第1筐体102、第2筐体104、を備えている。
[0017] また、図2に示すように、携帯電話100は内部にさらに、制御部110、端末メモリ114、姿勢検知部140、画像補正部150、顔認識部160、無線通信部176、を備えている。」

ウ 「[0019] 制御部110は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路により携帯電話100全体を管理および制御する。例えば、通話機能、文字入力機能、音楽再生機能、TV視聴機能などを担うアプリケーションや、通信網を介してアプリケーション中継サーバ(図示せず)から提供されるWebブラウザやスケジュール管理などのアプリケーションを実行することが可能である。
[0020] 端末メモリ114は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、制御部110で処理されるプログラムや音声データ等を記憶する。例えば、撮像部120により撮像された画像を保存しておくことが可能である。
[0021] 撮像部120は、ハードウェアとしてのカメラユニットであって、レンズや受光素子(CCDやCMOSなど)を備え、使用者が操作部170を操作して被写体を撮像することができる。また撮像部120は、制御部110の制御の下で撮像を行うこともできる。例えば、制御部110は、撮像部120のシャッター速度やオートフォーカス、自動露出や自動ホワイトバランスなどの動作制御を行うことができる。
[0022] 画像表示部130は、第2筐体104に設けられており、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、画像や設定状態を表示することができる。この構成により、画像表示部130は、音声通話の発着信相手の電話番号や、各種アプリケーションの動作画面、動画の閲覧、Webコンテンツ等を表示することができる。また、画像表示撮像部130は撮像部120のファインダとして、シャッターを切る前のプレビュー表示や、シャッターを切った後のポストビュー表示を行うことができる。
[0023] 姿勢検知部140は、筐体106の姿勢を検知する。例えば、姿勢検知部140として3軸加速度センサーを用いて筐体106の姿勢を検知することで、水平方向や垂直方向に対する携帯電話100の傾き角を検知することが可能となる。なお、本実施形態1にかかる携帯電話100は、撮像部120が第1筐体102に設けられていることから、第1筐体102の傾き角を検知することが、後述する画像の補正のために有効である。
[0024] 画像補正部150は、撮像部120によって撮像された画像を補正する。また補正は、姿勢検知部140が検知した姿勢に基づいて行うことが可能である。例えば、撮像部120から取り込んだ画像のデータを原画像として、姿勢検知部140が検知した携帯電話100の傾き角に基づいて回転させ、画像表示部130と同じ縦横比の画像に切り抜き、画像表示部130の大きさに合わせて拡大させた補正画像を生成することが可能である。
[0025] また上述した制御部110は、後に詳述するように、シャッターを切る前のプレビュー画像を表示する際に、画像補正部150が水平補正した補正画像を画像表示部130にプレビュー画像として表示させることができる(以下、「ライブ補正モード」と記す)。またさらに、ライブ補正モードとは異なり、シャッターを切った後に画像補正部150によって水平補正される画像の範囲を示す画像取得枠180を、シャッターを切る前の通常のプレビュー画像に重畳して表示することができる(以下、「フレーム補正モード」と記す)。」

エ 「[0032] まず、利用者はS200において、撮像部120を作動させる際に水平補正を行うか否かを選択する。水平補正を行わない場合(S200のN)は、通常の撮像モードとなり、撮像部120から取り込んだ原画像を用いたプレビュー表示が開始される(S210)。
[0033] 水平補正を行う場合(S200のY)、利用者は、さらにライブ補正モードとフレーム補正モードとのいずれか一方を選択する(S230)。なお、ライブ補正モードとフレーム補正モードは、当該携帯電話100がいずれか一方のみの機能を備えていてもよいし、利用者の設定に基づいて選択するように構成してもよい。」

オ 「[0035] 一方、ライブ補正モードを選択した場合(S230のY)は、姿勢検知部140により、水平方向L1に対して携帯電話100の左右方向L2が有する傾き角A1を検知する(S240)。また図4(b)に示したように、画像補正部150は、この傾き角A1に基づいて、原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように矢印方向に回転させて補正(水平補正)する(S250)。制御部110は、補正された補正画像を画像表示部130にプレビュー表示する(S260)。
[0036] すなわち図4(b)に示したように、ライブ補正モードでは補正後の画像をプレビュー画像として表示する。利用者は、このままシャッターを切るだけで(S300)、水平に補正された画像を保存画像として取得することができる。
[0037] なお画像を回転させると、画像が矩形(長方形)であることから、角部に空白が生じてしまう。そこで、回転させた矩形の範囲が原画像の範囲内に収まるように切り抜きを行う。すなわち上記の補正とは、回転と切り抜きの2つの処理を含んでいる。画像表示部130には切り抜いた画像の全体を全面に表示させるが、切り抜いた画像を原画像と同じサイズ(ピクセル数)に伸張してもよく、または切り抜いた小さなピクセル数のままで表示だけを拡大してもよい。」

カ 「[0040] フレーム補正モードについて図3および図5を参照しながら説明する。フレーム補正モードを選択した場合(S230のN)は、姿勢検知部140により携帯電話100の傾き角A1(図4(a)参照)を検知する(S270)。制御部110は、この傾き角A1と画像表示部130の縦横比に基づいて、画像補正部150によって補正される画像の範囲を計算する(S280)。このとき、まだ画像の補正は行っていない。補正自体は上記ライブ補正モードと同様の処理であり、また補整される画像の範囲とは切り抜きを行う際の外縁(境界)である。
[0041] そして図5(a)で示すように、フレーム補正モードでは、通常のプレビュー画像に重畳して、補正される画像の範囲を画像取得枠180として表示する(S290)。画像取得枠180は鉛直方向と平行な辺を有する矩形であって、原画像と同じ縦横比を有している。制御部110は、姿勢検知部140が検知した姿勢に基づいて、画像表示部130に収まるように画像取得枠180の拡大または縮小を行う。
[0042] また図5(b)に示すように、携帯電話100がさらに傾いた場合であっても、制御部110が姿勢検知部140の検知した傾き角A1に基づいて画像取得枠180を回転させることで、画像取得枠180は垂直を維持することが可能となる。この場合においても、制御部130は画像取得枠180を画像表示部130に収まる範囲で拡大し、または縮小して表示している。
[0043] フレーム補正モードでは、プレビュー表示(S290)の後にシャッターが切られる(S310)と、画像取得枠180に則して原画像に対して実際に補正を行う(S320)。取得された補正画像は、図5(a)および図5(b)に示したように、画像表示部130にポストビュー画像として表示される(S330)。このとき画像表示部130には、補正後の画像を表示する。そして上記と同様に保存するか否かを問い合わせて(S340)、操作に応じて端末メモリ114に保存する(S350)。この補正によって原画像は水平な補正画像となる。
[0044] これらのようにフレーム補正モードを利用すれば、通常のプレビュー画像に画像取得枠180を重畳して表示することで、通常の撮像モードで取得される画像とフレーム補正モードにより取得される画像の範囲とを見比べながら撮像を行うことが可能となる。したがって利用者は、補正され取得される画像が意図するものであるか容易に把握でき、また利用者が自ら携帯電話100の角度を調整することなく水平な画像を簡易に取得することが可能となる。」

キ 「[0053] また上記実施形態1では携帯電話100を通話時と同じ縦に構えた状態で例示したが、実施形態2では、横に構えた状態でも同様に補正を行うことが可能である。例えばライブ補正モードでは、姿勢検知部140が携帯電話100の垂直方向に対する傾き角を検知し、縦長の画像表示部130が垂直方向に対して45°以上傾いて横長状態となったら、プレビュー画像の表示も横長状態に切り替えて水平補正を行うことができる。またフレーム補正モードでは、画像表示部130が垂直方向に対して45°以上傾いた場合に、画像取得枠180も横長状態に切り替えて表示することができる。」

したがって、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「被写体を撮像する撮像方法(段落[0001]より。以下、同様。)であって、
携帯電話100は、撮像部120、画像表示部130、操作部170、を備え([0016])、携帯電話100は内部にさらに、制御部110、端末メモリ114、姿勢検知部140、画像補正部150、を備え([0017])
端末メモリ114は、撮像部120により撮像された画像を保存しておくことが可能であり([0020])、
画像表示撮像部130はシャッターを切る前のプレビュー表示を行うことができ([0022])、
姿勢検知部140は、3軸加速度センサーを用いて筐体106の姿勢を検知することで、水平方向や垂直方向に対する携帯電話100の傾き角を検知することが可能となり([0023])、
画像補正部150は、撮像部120から取り込んだ画像のデータを原画像として、姿勢検知部140が検知した携帯電話100の傾き角に基づいて回転させ、画像表示部130と同じ縦横比の画像に切り抜き、画像表示部130の大きさに合わせて拡大させた補正画像を生成することが可能であり([0024])、
制御部110は、シャッターを切った後に画像補正部150によって水平補正される画像の範囲を示す画像取得枠180を、シャッターを切る前の通常のプレビュー画像に重畳して表示することができ(以下、「フレーム補正モード」と記す)([0025])、
まず、利用者([0033])が、フレーム補正モードを選択した場合(S230のN)は、姿勢検知部140により携帯電話100の傾き角A1を検知し(S270)、制御部110は、この傾き角A1と画像表示部130の縦横比に基づいて、画像補正部150によって補正される画像の範囲を計算し(S280)、このとき、まだ画像の補正は行っておらず、補正自体はライブ補正モードと同様の処理(傾き角A1に基づいて、原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように回転させて補正(水平補正)する(S250)([0035]))であり、また補整される画像の範囲とは切り抜きを行う際の外縁(境界)であり([0040])、
そしてフレーム補正モードでは、通常のプレビュー画像に重畳して、補正される画像の範囲を画像取得枠180として表示する(S290)が、画像取得枠180は鉛直方向と平行な辺を有する矩形であって、原画像と同じ縦横比を有し、制御部110は、姿勢検知部140が検知した姿勢に基づいて、画像表示部130に収まるように画像取得枠180の拡大または縮小を行い([0041])、携帯電話100がさらに傾いた場合であっても、制御部110が姿勢検知部140の検知した傾き角A1に基づいて画像取得枠180を回転させることで、画像取得枠180は垂直を維持することが可能となるが、この場合においても、制御部130は画像取得枠180を画像表示部130に収まる範囲で拡大し、または縮小して表示し([0042])、
フレーム補正モードでは、プレビュー表示(S290)の後にシャッターが切られる(S310)と、画像取得枠180に則して原画像に対して実際に補正を行い(S320)、取得された補正画像は、画像表示部130にポストビュー画像として表示され(S330)、このとき画像表示部130には、補正後の画像を表示し操作に応じて端末メモリ114に保存し(S350)、この補正によって原画像は水平な補正画像となり([0043])、
フレーム補正モードでは、画像表示部130が垂直方向に対して45°以上傾いた場合に、画像取得枠180も横長状態に切り替えて表示することができる([0053])、
被写体を撮像する撮像方法([0001])。」

(3)引用発明2との対比
ア 本願補正発明と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2における「撮像部120により撮像された画像」の「補正後の画像」が、本願補正発明における「画像データ」に相当する。

(イ)引用発明2における「撮像部120により撮像された画像」の「補正後の画像」を「端末メモリ114に保存」する「方法」が、本願補正発明における「画像データを保存する方法」に相当する。

(ウ)引用発明2における「撮像部120から」「画像のデータ」を「取り込」むことが、本願補正発明における「第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信すること」に相当する。

(エ)引用発明2における「3軸加速度センサー」が「重力」の方向を検知していることは明らかである。そして、引用発明2における「制御部110」は、「姿勢検知部140が検知した姿勢に基づいて」画像の補正を行っているから、「制御部110」が、「姿勢検知部140が検知した姿勢」を受信していることも明らかである。
よって、引用発明2における「姿勢検知部140は、3軸加速度センサーを用いて筐体106の姿勢を検知することで」、「垂直方向に対する携帯電話100の傾き角を検知」し、「制御部110」が、「姿勢検知部140が検知した姿勢」を受信することが、本願補正発明における「重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信すること」に相当するといえる。

(オ)引用発明2において、「姿勢検知部140」が「垂直方向に対する携帯電話100の傾き角を検知」し「姿勢検知部140により携帯電話100の傾き角A1を検知し(S270)」「フレーム補正モードでは、プレビュー表示(S290)の後にシャッターが切られる(S310)と」、「補正によって原画像は水平な補正画像とな」るが、「補正自体はライブ補正モードと同様の処理(傾き角A1に基づいて、原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように回転させて補正(水平補正)する(S250))であ」ることと、本願補正発明における「前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成すること」とは、「デバイス垂直方向または水平方向が前記第1の画像の垂直方向または水平方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成すること」の点で共通する。

(カ)引用発明2における「補正後の画像を表示し操作に応じて端末メモリ114に保存」することが、本願補正発明における「前記再方向付け画像を保存すること」に相当する。

(キ)引用発明2における「制御部110」が、「シャッターを切った後に画像補正部150によって水平補正される画像の範囲を示す画像取得枠180を、シャッターを切る前の通常のプレビュー画像に重畳して表示」し、「画像取得枠180は鉛直方向と平行な辺を有する矩形であ」り、「制御部110が姿勢検知部140の検知した傾き角A1に基づいて画像取得枠180を回転させることで、画像取得枠180は垂直を維持する」ことが、本願補正発明における「前記生成することは、前記第2の方向を示すインジケータを生成することを含」むことに相当する。

(ク)引用発明2における「原画像」の「縦横比」が、本願補正発明における、「センサ」に「与えられた」「アスペクト比」に相当する。

(ケ)引用発明2において「画像取得枠180」は「原画像と同じ縦横比を有」しているから、「画像表示部130が垂直方向に対して45°以上傾いた場合に、画像取得枠180も横長状態に切り替えて表示する」ことは、「45°以上傾いた場合」の「原画像」の「縦横比」が「横長状態」とされていることを意味していることは明らかである。
すると、引用発明2における「制御部110が姿勢検知部140の検知した傾き角A1に基づいて画像取得枠180を回転させることで、画像取得枠180は垂直を維持することが可能となるが、この場合においても、制御部130は画像取得枠180を画像表示部130に収まる範囲で拡大し、または縮小して表示」し、「画像表示部130が垂直方向に対して45°以上傾いた場合に、画像取得枠180も横長状態に切り替えて表示する」ことは、「45°以上傾いた場合」の「原画像」の「縦横比」が「横長状態」とされていることから、本願補正発明における「当該インジケータは、所定の方向に関する所望のアスペクト比を与えられたセンサのディスプレイにおける利用可能範囲内に内接される」ことに相当するといえる。

イ 以上のことから、本願補正発明と引用発明2との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「画像データを保存する方法であって、
第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信することと、
重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信することと、
デバイス垂直方向または水平方向が前記第1の画像の垂直方向または水平方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成することと、
前記再方向付け画像を保存することと、
を含み、
前記生成することは、前記第2の方向を示すインジケータを生成することを含み、当該インジケータは、所定の方向に関する所望のアスペクト比を与えられたセンサのディスプレイにおける利用可能範囲内に内接される、前記方法。」

(相違点)
本願補正発明では、「前記第2の方向(重力に関してデバイス垂直方向を示す)が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成」しているのに対し、引用発明2では、「原画像」の「補正」は、「垂直方向に対する携帯電話100の傾き角」「に基づいて、原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように回転させて補正(水平補正)する(S250)」点(下線は、強調のため、当審で付与した。)。

(4)判断
ア 上記相違点について検討すると、引用発明2において、「垂直方向に対する携帯電話100の傾き角」に基づいて、「原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように」原画像を「回転させ」ても、原画像の垂直方向(重力の方向)が携帯電話100の上下方向に一致するように原画像を「回転させ」ても、両者は同じ(傾き角の)回転となることは、当業者にとって幾何学的に明らかなことである。
よって、引用発明2において、「原画像」の「補正」を、「垂直方向に対する携帯電話100の傾き角」に基づいて、「原画像の水平方向L1が携帯電話100の左右方向L2に一致するように回転させて補正(水平補正)する(S250)」ことに代え、原画像の垂直方向(重力の方向)が携帯電話100の上下方向に一致するように回転させて補正するようにして、上記相違点に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ そして、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明2の奏する作用効果及び幾何学の知識から予測される範囲にすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ したがって、本願補正発明は、引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成30年3月12日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-17に係る発明は、平成28年6月20日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。再掲すれば、次のとおり。
「 【請求項1】
画像データを保存する方法であって、
第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信するステップと、
重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信するステップと、
前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成するステップと、
前記再方向付け画像を保存するステップと、
を含む、前記方法。」

2 引用文献1の記載及び引用発明1
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2011/0193982号明細書(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。)。
「[0003] The exemplary embodiments relate to mobile devices, and more particularly, to a method and apparatus for processing and producing camera video in a mobile device.」
(当審訳:実施例は、モバイルデバイスに関し、より詳細には、移動体装置におけるカメラ映像の処理及び生成のための方法および装置に関するものである。)

「[0043] FIG. 2 is a block diagram of the camera video processing apparatus 110 according to an exemplary embodiment. 」
(当審訳:図2は、本実施例に係るカメラビデオ処理装置110のブロック図である。)

「[0044] Referring to FIG. 2, the camera video processing apparatus 110 includes an image input unit 210, an image processor 220, a gravity sensor unit 230, a user input unit 240, a memory unit 250, a display unit 260, a control unit 270, and a communication module unit 280.」
(当審訳:図2を参照すると、カメラビデオ処理装置110は、画像入力部210、画像プロセッサ220、重力センサ230、ユーザ入力部240、メモリ部250、表示部260、制御部270、および通信モジュール280を含む。)

「[0045] The image input unit 210 is configured to input a moving image (video) or a still image captured by a camera. The image input unit 210 includes an image sensor for converting light, input through a lens, into an electrical signal to output an image signal.」
(当審訳:画像入力部210は、カメラで撮影された動画像(ビデオ)または静止画像を入力するように構成されている。画像入力部210は、レンズを介して入力される光を電気信号に変換し、画像信号を出力する、画像センサーを有する。)

「[0046] The gravity sensor unit 230 senses the direction of the gravity with respect to the camera to output gravity direction information of the camera. That is, the gravity sensor unit 230 senses a photographing orientation, i.e., whether a photograph is being taken horizontally or vertically.」
(当審訳:重力センサ部230は、カメラを基準とした重力の方向を感知し、カメラの重力方向の情報を出力する。すなわち、センサ部230は、撮影方向、すなわち、写真が水平または鉛直に撮影されているか否かを検知する。)

「[0047] On the basis of the gravity direction information outputted from the gravity sensor unit 230, the image processor 220 determines an aspect ratio of the image signal input by the image input unit 210. The image processor 220 rotates the horizontal or vertical image according to the display orientation of a preview screen of the camera according to the determination result, sets the rotation information of the horizontal or vertical image in a codec parameter, and encodes the codec parameter and the video.」
(当審訳:重力センサ部230から出力された重力方向の情報に基づいて、画像プロセッサ220は、画像入力部210により入力された画像信号のアスペクト比を判定する。画像プロセッサ220は、判定結果に応じて、カメラのプレビュー画面を表示する方向に応じて水平または鉛直の画像を回転させ、コーデック・パラメータ中に水平または鉛直の画像の回転情報を設定し、そしてコーデック・パラメータ及び映像を符号化する。)

「[0051] The memory unit 250 stores a plurality images processed by the image processor 220, or stores data necessary for a control operation of the control unit 270. Examples of the memory unit 250 include a magnetic recording medium (e.g., a hard disk) and a nonvolatile memory (e.g., an EEPROM or a flash memory), to which the exemplary embodiment is not limited.」
(当審訳:メモリ部250は、画像処理部220で処理された複数の画像を記憶したり、制御部270の制御動作に必要なデータを記憶する。メモリ部250の例としては、磁気記録媒体(例えば、ハード・ディスク)および不揮発性メモリ(例えば、EEPROMまたはフラッシュメモリ)が挙げられるが、実施例はこれに限定されない。)

「[0052] The display unit 260 displays the image signals processed by the image processor 220 under the control of the control unit 270.」
(当審訳:表示部260は、制御部270の制御の下、画像処理部220によって画像処理された画像信号を表示する。)

「[0055] Thus, according to the present exemplary embodiment, the camera video processing apparatus 110 correctly rotates the vertically captured image prior to encoding and thus the camera video reproducing apparatus 130 can display the horizontally captured image and the vertically-captured image without any difficulty.」
(当審訳:このように、本実施例によれば、映像処理装置110は、符号化の前に垂直に撮影された画像を正しく回転させるとカメラ映像再生装置130は、何ら困難なく、横方向の撮影画像と縦方向の撮影画像を表示することができる。)

「[0062] The bitstream generating unit 350 formats the encoded codec parameter and image data of the encoder 340 into a bitstream of a predetermined standard such as H.264. 」
(当審訳:ビットストリーム生成部350は、符号化装置340の符号化コーデック・パラメータと画像データをフォーマット化し、H.264などの所定の規格のビットストリームにする。)

「[0063] FIG. 4 is a flowchart illustrating a camera video processing method according to an exemplary embodiment.」
(当審訳:図4は、本実施形態に係るカメラ映像処理方法を示すフローチャートである。)

「[0064] Referring to FIG. 4, a moving image (video) or a still image is captured by the camera (operation 410).」
(当審訳:図4を参照すると、動画像(ビデオ)または静止画像は、カメラによって撮像される(動作410)。)

「[0065] Here, a gravity sensor is used to sense whether the image was captured horizontally or vertically.」
(当審訳:ここで、重力センサは、画像が水平方向または垂直方向のどちらに捕捉されたかを検知するために使用される。)

「[0066] In operation 420, the gravity sensor information is used to determine an aspect ratio of the captured moving/still image (operation 420).」
(当審訳:動作420では、重力センサの情報は、撮像された動画/静止画像のアスペクト比を決定するために使用される(動作420)。)

「[0067] Thereafter, it is determined whether the moving/still image is a vertical image (operation 430).」
(当審訳:その後、動画/静止画の画像は縦長の画像であるか否かが判定される(動作430)。)

「[0068] Thereafter, if the moving/still image is a vertical image, the moving/still image is rotated by a predetermined angle, for example, by 90゜ (operation 440).」
(当審訳:その後、動画/静止画が縦長の画像であれば、動画/静止画を、所定角度、例えば90゜回転させる(動作440)。)

「[0069] That is, the vertical image, or even a horizontal image, is rotated according to the display orientation of a preview screen of the camera (or to the viewing direction of a person) according to the image aspect ratio.」
(当審訳:すなわち、縦画像は、あるいは横画像であっても、画像のアスペクト比に応じ、カメラのプレビュー画面を表示する方向(あるいは人物が視る方向)に応じて回転される。)

「[0070] At this point, the image moving/still image is rotated by 90゜at a high speed. For example, a bitmap or hardware is used to rotate the moving/still image.」
(当審訳:この時点では、動画/静止画は高速に90゜回転される。例えば、ビットマップまたはハードウェアは、動画/静止画を回転させるために使用される。)

「[0071] Thereafter, the moving/still image is rotated correctly according to the photographing orientation and then information about the horizontal pixels and vertical pixels of the moving/still image is corrected.」
(当審訳:その後、動画/静止画の撮影方向に応じて正しく回転され、動画/静止画の水平方向の画素と垂直方向の画素の情報が正しくされる。)

「[0072] That is, the pixel values of the vertical image for the moving/still image are set according to the direction of the gravity.」
(当審訳:すなわち、動画/静止画の垂直方向の画像の画素値は、重力の方向に応じて設定される。)

「[0073] Thus, the horizontal or vertical information according to the image rotation, i.e., the image rotation information, is added in a codec parameter (operation 450).」
(当審訳:このように、画像回転情報、画像回転に応じて水平方向または垂直方向の情報は、コーデック・パラメータに加えられる(動作450)。)

「[0093] Referring to FIG. 8A , if an image is captured in a horizontal direction ( 801 ) during a video photographing operation, the image is rotated by 90゜ and the rotated image is displayed in a vertical direction ( 802 ) on a preview screen of the camera.」
(当審訳:図8Aを参照すると、映像撮影時に水平方向(801)で画像が捕捉される場合、画像は90゜回転され、回転された画像は、カメラのプレビュー画面上の縦方向(802)に表示される。)

「[0094] Referring to FIG. 8B, an embodiment 820 of a conventional technique stores a horizontal image frame in a memory even when the photographing orientation of a camera changes from horizontal to vertical. In other words, the conventional technique stores an image frame of a fixed aspect ratio even when a gravity sensor detects (822) a change in the photographing orientation.」
(当審訳:図8Bを参照すると、従来技術の実施形態820は、カメラの撮影方向が水平方向から垂直方向に変化する場合であっても、メモリに画像フレームを格納する。すなわち、重力センサは向きの変化を検出する(822)場合であっても、従来の技術では、固定されたアスペクト比の画像フレームを格納する。)

「[0095]However, an exemplary embodiment 830 automatically rotates an image by 90゜ when the gravity sensor detects ( 832 ) a vertical image frame. In other words, when an aspect ratio of the video changes during the video photographing operation, the gravity sensor detects the aspect ratio change. The image frame is automatically rotated by 90゜ at the time when the vertical image is detected.」
(当審訳:しかし、重力センサが垂直画像フレームを検出すると(832)、実施例830では、画像を自動的に90゜回転する。すなわち、映像撮影時の映像のアスペクト比を変更した場合、重力センサは、アスペクト比の変化を検出する。画像フレームは、垂直方向の画像が検出された時点で自動的に90゜回転される。)

したがって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「カメラ映像の処理及び生成のための方法(段落[0003]より。以下、同様。)であって、
カメラビデオ処理装置110は、画像入力部210、画像プロセッサ220、重力センサ230、メモリ部250、表示部260、制御部270を含み([0044])、
画像入力部210は、画像信号を出力する、画像センサーを有し([0045])、
重力センサ部230は、カメラを基準とした重力の方向を感知し、カメラの重力方向の情報を出力し、写真が水平または鉛直に撮影されているか否かを検知し([0046])、
重力センサ部230から出力された重力方向の情報に基づいて、画像プロセッサ220は、画像入力部210により入力された画像信号のアスペクト比を判定し、画像プロセッサ220は、判定結果に応じて、カメラのプレビュー画面を表示する方向に応じて水平または鉛直の画像を回転させ、コーデック・パラメータ中に水平または鉛直の画像の回転情報を設定し、そしてコーデック・パラメータ及び映像を符号化し([0047])、
メモリ部250は、画像処理部220で処理された複数の画像を記憶し([0051])、
動画像(ビデオ)または静止画像は、カメラによって撮像され(動作410)([0064])、重力センサは、画像が水平方向または垂直方向のどちらに捕捉されたかを検知するために使用され([0065])、
重力センサの情報は、撮像された動画/静止画像のアスペクト比を決定するために使用され(動作420)([0066])、
その後、動画/静止画の画像は縦長の画像であるか否かが判定され(動作430)([0067])、
その後、動画/静止画が縦長の画像であれば、動画/静止画を、90゜回転させ(動作440)([0068])、すなわち、縦画像は、画像のアスペクト比に応じ、カメラのプレビュー画面を表示する方向(あるいは人物が視る方向)に応じて回転され([0069])、
動画/静止画の垂直方向の画像の画素値は、重力の方向に応じて設定される([0072])、
方法([0003])。」

3 引用発明1との対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1における「カメラ映像の処理及び生成のための方法」と、本願発明における「画像データを保存する方法」とは、「画像データを扱う方法」の点で共通する。

イ 引用発明1において、「画像プロセッサ220」に「水平または鉛直に撮影され」た「画像信号」が「入力」されることが、本願発明における「第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信するステップ」に相当する。

ウ 引用発明1における「画像プロセッサ220」が、「カメラを基準とし」て「重力センサ部230から出力された重力方向の情報」を受信していることは明らかであって、このことが、本願発明における「重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信するステップ」に相当する。

エ 引用発明1における「動画/静止画の画像は縦長の画像であるか否かが判定され(動作430)、その後、動画/静止画が縦長の画像であれば、動画/静止画を、90゜回転させ、すなわち、縦画像は、画像のアスペクト比に応じ、カメラのプレビュー画面を表示する方向(あるいは人物が視る方向)に応じて回転され」、「動画/静止画の垂直方向の画像の画素値は、重力の方向に応じて設定される」ことが、本願発明における「前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成するステップ」に相当する。

オ 引用発明1における「重力の方向に応じて設定され」た「垂直方向の画像の画素値」の「動画/静止画」は、上記「エ」で述べたように、本願発明における「再方向付け画像」に相当するから、引用発明1における「重力の方向に応じて設定され」た「垂直方向の画像の画素値」の「動画/静止画」について、「コーデック・パラメータ中に水平または鉛直の画像の回転情報を設定し、そしてコーデック・パラメータ及び映像を符号化」することと、本願発明における「前記再方向付け画像を保存するステップ」とは、「前記再方向付け画像を取り扱うステップ」の点で共通する。

よって、本願発明と引用発明1との間には、次の一致点、相違点があるものと認められる。
(一致点)
「画像データを取り扱う方法であって、
第1の方向を有する第1の画像を表すデータを受信するステップと、
重力に関してデバイス垂直方向を示す第2の方向を表すデータを受信するステップと、
前記第2の方向が前記第1の画像の垂直方向となるように前記第1の画像を再方向付けして再方向付け画像を生成するステップと、
前記再方向付け画像を取り扱うステップと、
を含む、前記方法。」

(相違点)
本願発明では、再方向付け画像を「保存」しているのに対し、引用発明1では、「重力の方向に応じて設定され」た「垂直方向の画像の画素値」の「動画/静止画」(本願発明における「再方向付け画像」に相当する。)を「コーデック・パラメータ中に水平または鉛直の画像の回転情報を設定し、そしてコーデック・パラメータ及び映像を符号化」することは示されているものの、保存することは示されていない点。

(2)判断
ア 上記相違点について検討すると、引用発明1における「メモリ部250」は、「画像処理部220で処理された複数の画像を記憶」するものである。そして、「静止画」はもとより、引用文献1の段落[0094]に「従来技術の実施形態820は、・・・メモリに画像フレームを格納する。・・・従来の技術では、・・・画像フレームを格納する。」と記載されているとおり、「動画」についても、メモリに保存することは周知の事項であるから、引用発明1に周知の事項を適用し、引用発明1における「重力の方向に応じて設定され」た「垂直方向の画像の画素値」の「動画/静止画」(本願発明における「再方向付け画像」に相当する。)について、「コーデック・パラメータ中に水平または鉛直の画像の回転情報を設定し、そしてコーデック・パラメータ及び映像を符号化」したものを、例えば「メモリ部250」に保存し、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ そして、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲にすぎず、格別顕著なものということはできない。

ウ したがって、本願発明は、引用発明1及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-01-09 
結審通知日 2019-01-10 
審決日 2019-01-23 
出願番号 特願2015-561315(P2015-561315)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 西島 篤宏越川 康弘橘 皇徳  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 中村 説志
清水 稔
発明の名称 安定化及びリフレーミングのための方法及びシステム  
代理人 内藤 和彦  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  
代理人 江口 昭彦  
代理人 阿部 豊隆  

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