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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 F16L
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F16L
管理番号 1352148
審判番号 不服2018-4873  
総通号数 235 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-04-09 
確定日 2019-06-25 
事件の表示 特願2016-161895「配管継手を用いた配管システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月28日出願公開、特開2016-223633、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年3月30日に出願した特願2012-83006号(以下、「原出願」という。)の一部を平成28年8月22日に新たな特許出願としたものであって、平成28年8月22日に上申書が提出され、平成29年5月24日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年7月31日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年12月21日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、平成30年4月9日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年12月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

1.本願の請求項1に係る発明は、原出願の出願前に頒布された以下の引用文献1?3及び6?7に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.本願の請求項2に係る発明は、原出願の出願前に頒布された以下の引用文献1?7に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
引用文献1:特開2002-235957号公報
引用文献2:特開2000-229361号公報
引用文献3:特開2004-225936号公報
引用文献4:実願昭53-170849号(実開昭55-86192号)のマイクロフィルム
引用文献5:特開2006-105389号公報
引用文献6:欧州特許出願公開第0582118号明細書
引用文献7:特開2005-98542号公報

第3 審判請求時の補正について
平成30年4月9日提出の手続補正書による補正(以下、「審判請求時の補正」という。)は、特許法第17条の2第3項から第6項までの要件に違反しているものとはいえない。
詳述すると、審判請求時の補正によって、補正前の請求項1及び2における「前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記送り側用地上配管に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記戻り側用地上配管に接続され」を、補正後の請求項1及び2において「前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記送り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記戻り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され」とされたところ、当該補正は、送り側チューブの上端に接続する配管継手の第1口部と送り側用地上配管との接続構成、及び戻り側チューブの上端に接続する配管継手の第1口部と戻り側用地上配管との接続構成を限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、審判請求時の補正は、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)における明細書の段落【0015】、【0019】及び【0024】並びに図1の記載に基づくものであるから、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてされたものであり、新規事項を追加するものではない。
そして、「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、補正後の請求項1及び2に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願発明
本願請求項1及び2に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、審判請求時の補正で補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりである。

「 【請求項1】
軸方向を上下方向に向けて地中に埋設される2本のチューブの上端同士を接続し、
一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有する第一分岐管と、前記貫通孔の両端に位置する分岐端から略平行に配設されるとともに、それぞれが前記チューブの上端に連通する第2口部を有する一対の第二分岐管と、を備え、
前記一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設された配管継手を用いた配管システムであって、
前記チューブへ向けて流体を送り込む送り側用地上配管と、前記チューブより流体が送り込まれる戻り側用地上配管と、を備え、
上流側を地上側に向けた送り側チューブと、下流側を地上側に向けて配設した戻り側チューブとで1組とし、前記送り側チューブと前記戻り側チューブの下端同士が接続され、
2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士がソケットを介して前記配管継手の第2口部に接続され、
前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記送り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記戻り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、
前記チューブは、鉛直方向に地中に削孔されたボーリング孔内に挿通され、
前記送り側用地上配管と前記戻り側用地上配管とは、互いに間隔をもって略平行に配置され、前記送り側用地上配管と前記戻り側用地上配管との間に前記ボーリング孔が配置され、
前記送り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手と前記戻り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手とが同じ高さに配置されていることを特徴とする配管継手を用いた配管システム。
【請求項2】
軸方向を上下方向に向けて地中に埋設される2本のチューブの上端同士を接続し、
一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有する第一分岐管と、前記貫通孔の両端に位置する分岐端から略平行に配設されるとともに、それぞれが前記チューブの上端に連通する第2口部を有する一対の第二分岐管と、を備え、
前記一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設された配管継手を用いた配管システムであって、
前記チューブへ向けて流体を送り込む送り側用地上配管と、前記チューブより流体が送り込まれる戻り側用地上配管と、を備え、
上流側を地上側に向けた送り側チューブと、下流側を地上側に向けて配設した戻り側チューブとで1組とし、前記送り側チューブと前記戻り側チューブの下端同士が接続され、
2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士がソケットを介して前記配管継手の第2口部に接続され、
前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記送り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記戻り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、
前記チューブは、鉛直方向に地中に削孔されたボーリング孔内に挿通され、
前記第一分岐管と前記送り側用地上配管とは3つの継手を介して接続され、前記第一分岐管と前記戻り側用地上配管とは3つの継手を介して接続され、
前記送り側用地上配管と前記戻り側用地上配管との間に前記ボーリング孔が配置され、
前記送り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手と前記戻り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手とが同じ高さに配置されていることを特徴とする配管継手を用いた配管システム。」

第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、「地すべり危険地における対地熱交換設備」に関して次の事項が記載されている(なお、下線は、当審において付したものである。)。
1a)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対地熱交換器を地中に埋設して、その器内を通過させる熱媒を周囲地層と熱交換させることで周囲地層から採熱する、又は、周囲地層へ放熱する対地熱交換設備に関し、特に、地すべり危険地における対地熱交換設備に関する。」

1b)「【0006】
【課題を解決するための手段】〔1〕請求項1に係る発明は、地すべり危険地における対地熱交換設備に係り、その特徴は、地すべり抑止杭を施設した地すべり危険地において、熱媒を器内通過させる対地熱交換器を、前記地すべり抑止杭の構成材を介して杭周囲の地層と器内通過熱媒とを熱交換させるように前記地すべり抑止杭の内部に配設してある点にある。
【0007】つまり、この構成によれば、地すべり抑止杭の強大な強度をもって対地熱交換器の破損を防止できることから、地すべり抑止杭の内部に配設する対地熱交換器そのものは、一般地で用いる対地熱交換器と同等程度の強度を備えるもので済み、これにより、地すべり危険地においても、対地熱交換器の破損を効果的に防止できる対地熱交換設備を安価な設備コストで構築することができる。」

1c)「【0010】
【発明の実施の形態】図1は地すべり危険地を示し、この地すべり危険地では、地すべり対策として、杭先端を地すべり面mよりも下方の不動地層Gaにまで至らせた鋼管製の地すべり抑止杭1を列状に並べて多数施設してある(いわゆる鋼管杭工による地すべり防止)。
【0011】一方、図2は融雪設備を示し、2は路面等の融雪対象箇所に設置した融雪用熱交換器、3は蒸気圧縮式のヒートポンプ回路HPを内蔵した屋外設置式のパッケージ型ヒートポンプ装置、4は対地熱交換器、5はヒートポンプ回路HPの凝縮器Cと融雪用熱交換器2との間で負荷側熱媒Lrを負荷側ポンプPrにより循環させる負荷側循環路、6はヒートポンプ回路HPの蒸発器Eと対地熱交換器4との間で地熱採取用熱媒Lgを熱源側ポンプPgにより循環させる熱源側循環路である。
【0012】つまり、この融雪設備では、負荷側熱媒Lr及び地熱採取用熱媒Lgを循環させながらヒートポンプ回路HPを運転することにより、対地熱交換器4で地熱採取用熱媒Lgを周囲地層Gと熱交換させて周囲地層Gから採熱するとともに、その採取熱をヒートポンプ回路HPにより昇温した上で負荷側熱媒Lrに付与して融雪用熱交換器2で放熱させ、これにより、融雪対象箇所の融雪を行なう。
【0013】5aはヒートポンプ回路HPの圧縮機、5bはヒートポンプ回路HPの膨張弁である。また、負荷側熱媒Lr及び地熱採取用熱媒Lgには夫々、ブラインを用いている。
【0014】そして、この融雪設備では、融雪対象箇所が上記地すべり危険地の近隣であることに対し、この地すべり危険地の地熱を対地熱交換器4により採取して融雪に利用するようにしてあり、具体的には、上記した地すべり抑止杭1のうちの何本かを選択して、図3の(イ)に示す如く、それら選択した地すべり抑止杭1の内部に対地熱交換器4を配設してあり、これにより、地すべり危険地においても地層の動きなどに原因する対地熱交換器4の破損を確実に防止した状態で地熱を採取できるようにしてある。
【0015】対地熱交換器4は、同図3の(イ),(ロ)及び図4に示す如く、地熱採取用熱媒Lgを管内通過させる2本のU字状伝熱管4a,4b、及び、管先端を開口させたセメントミルク注入管4cを束ね状態で一体化したものであり、この対地熱交換器4を地すべり抑止杭1の杭内に設置するにあたっては、一般地において地層に形成した縦穴に対地熱交換器4を設置する場合と同様に、地中に打設された地すべり抑止杭1の内部に対地熱交換器4を挿入配置した状態で、セメントミルク注入管4cから杭内にセメントミルクを注入する。
【0016】すなわち、このセメントミルクの注入により、地すべり抑止杭1の内部において対地熱交換器4をセメント材S中に埋め込んだ状態にし、これにより、そのセメント材Sを伝熱材にした状態で、対地熱交換器4の器内(すなわち、U字状伝熱管4a,4bの管内)を通過させる地熱採取用熱媒Lgを、U字状伝熱管4a,4bの管壁、杭内充填材であるセメント材S、地すべり抑止杭1の構成材である鋼管壁を介して杭1の周囲地層G(前述の不動地層Ga及びその上方の移動地層Gb)と効率的に熱交換させる。
【0017】なお、4dは対地熱交換器4の杭内への挿入を容易にする錘である。
【0018】〔別実施形態〕次に別実施形態を列記する。
【0019】前述の実施形態では、鋼管製の地すべり抑止杭1の内部に対地熱交換器4を配設する例を示したが、対地熱交換器の配設対象とする地すべり抑止杭は鋼管製杭に限定されるものではなく、例えば、地すべり危険地で地層に孔を形成して、その孔内に鉄筋組を設けた状態で孔内にコンクリートを充填することにより形成する鉄筋コンクリート製の地すべり抑止杭(いわゆる深礎工による地すべり抑止杭)を配設対象とし、この鉄筋コンクリート製の地すべり抑止杭の内部に対地熱交換器を、杭構成材であるコンクリート材中に埋め込む状態で配設するようにしてもよい。
【0020】また、対地熱交換器を地すべり抑止杭の内部充填材中に埋め込んだ状態にする場合、その杭内充填材にはセメント材やコンクリート材に限らず、伝熱性を有するものであれば種々の材質のものを採用できる。
【0021】地すべり抑止杭の内部に配設する対地熱交換器の具体的な構造は、どのようなものであってもよく、前述の実施形態で示した構造に限られるものではない。
【0022】前述の実施形態では、対地熱交換器4で杭1の周囲地層Gから採取した熱をヒートポンプ回路HPにより昇温した上で融雪に用いるようにしたが、場合によっては、対地熱交換器4と融雪用熱交換器2との間で熱媒を直接に循環させるようにしてもよい。
【0023】本発明による対地熱交換設備は、対地熱交換器で器内通過熱媒を周囲地層と熱交換させて周囲地層から採熱する場合に限らず、逆に対地熱交換器で熱媒を周囲地層と熱交換させて周囲地層へ放熱する場合にも適用でき、例えば、冷熱発生用ヒートポンプ装置(冷凍機)における凝縮器と対地熱交換器との間で熱媒を循環させて、そのヒートポンプ装置の排温熱を地中に放熱したり、冷却対象箇所に配置した冷却用熱交換器と対地熱交換器との間で熱媒を循環させて、地中への放熱により冷却対象箇所を冷却するなどしてもよい。
【0024】本発明の実施において、対地熱交換器で地中から採熱する場合、その採取熱の用途は、融雪に限らず凍結防止や暖房あるいは物品加熱など、どのようなものであってもよく、また、対地熱交換器で地中へ放熱する場合、その放熱の目的も冷房排熱の廃棄や物品冷却など、どのようなものであってもよい。」

1d)「



(2)上記(1)から分かること
ア 上記(1)の1a)?1d)(特に、段落【0015】及び【0016】並びに図2?4の記載)によれば、引用文献1には、配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造が記載されていることが分かる。
ここで、配管継手を用いたことについては、対地熱交換器4のU字状伝熱管4a,4bを熱源側循環路6を構成する配管と接続するためには、当然に有している構成といえる。

イ 上記(1)の1c)及び1d)(特に、図2?4に示された配管継手の形状及び地熱採取用熱煤Lgの流れの記載)によれば、熱源側ポンプPgから送られた地熱採取用熱煤Lgが、配管継手を介してU字状伝熱管4a,4bの2本の伝熱管の上端のそれぞれに分岐して流れ込んでいることから、配管継手は、軸方向を上下方向に向けて地中に埋設されるU字状伝熱管4a,4bを構成する2本の伝熱管の上端同士を接続し、一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の両端に位置する分岐端に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設されたものであることが分かる。

ウ 上記(1)の1c)及び1d)(特に、図2?4の記載)によれば、配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造は、U字状伝熱管4a,4bの伝熱管へ向けて地熱採取用熱煤Lgを送り込む熱源側循環路6を構成する送り側用の配管と、前記伝熱管より地熱採取用熱煤Lgが送り込まれる熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管とを備えることが分かる。

エ 上記(1)の1d)(特に、図3(イ)の記載)によれば、配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造において、上流側を地上側に向けた送り側の伝熱管と、下流側を地上側に向けて配設した戻り側の伝熱管とで1組とし、前記送り側の伝熱管と前記戻り側の伝熱管の下端同士が接続されて、U字状伝熱管4a,4bが構成されていることが分かる。

オ 上記イと、上記(1)の1c)及び1d)(特に、図2?4に示された配管継手の形状及び地熱採取用熱煤Lgの流れの記載)とを合わせてみると、配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造において、2組の伝熱管のうち送り側の伝熱管の上端同士、および戻り側の伝熱管の上端同士が配管継手の第2口部に接続されていることが分かる。

カ 上記(1)の1c)及び1d)(特に、段落【0019】及び図2?4の記載)によれば、U字状伝熱管4a,4bの伝熱管は、鉛直方向に地中に形成された孔内に形成した地すべり防止杭1の内部に埋め込む状態で配設されていることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「軸方向を上下方向に向けて地中に埋設されるU字状伝熱管4a,4bを構成する2本の伝熱管の上端同士を接続し、
一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の両端に位置する分岐端に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設された配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造であって、
前記伝熱管へ向けて地熱採取用熱煤Lgを送り込む熱源側循環路6を構成する送り側用の配管と、前記伝熱管より地熱採取用熱煤Lgが送り込まれる熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管と、を備え、
上流側を地上側に向けた送り側の伝熱管と、下流側を地上側に向けて配設した戻り側の伝熱管とで1組とし、前記送り側の伝熱管と前記戻り側の伝熱管の下端同士が接続され、
2組の前記伝熱管のうち送り側の伝熱管の上端同士、および戻り側の伝熱管の上端同士が前記配管継手の第2口部に接続され、
前記送り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する送り側用の配管に接続され、前記戻り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管に接続され、
前記伝熱管は、鉛直方向に地中に形成された孔内に形成した地すべり防止杭1の内部に埋め込む状態で配設されている、配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、「配管部材の製造方法」に関して次の事項が記載されている。
2a)「【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の配管部材の製造方法の一実施態様を示す説明図である。図1において、1はヘッダーであり、ヘッダー1は取付部11と本体部12とから構成されている。取付部11は架橋ポリエチレン製の短管111の一端に鋼製短管の外面に雄ねじ113が刻設された金属部材112がインサート成形により一体的に設けられている。
【0016】本体部12は管状体121に複数個の一方の管材である分水管122が分岐されている。
【0017】尚、ヘッダー1は、図2に示すように、取付部11の短管111の他端に対して本体12の管状体121の一端を矢印aで示すように突き当てて接触させると共に、矢印bで示すように、取付部11を周方向に回転させることによって取付部11の短管111の他端と本体部12の管状体121の一端とが摩擦溶融させた後、回転運動を停止し、溶融部を冷却固化させて矢印(イ)で示すように両者は一体化されて製造されている。
【0018】次に本発明方法によりヘッダー1の本体部12の一方の管材である分水管122と他方の管材であるポリブテン製長尺管2とをポリブテン製ソケット管継手3を介して接続することにより配管部材Aを製造する態様を説明する。ソケット管継手3の相背向する2個の接続口31、31はソケット管継手3の中心軸上に設けられている。」

2b)「



3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、「地下水熱利用の冷却システム」に関して次の事項が記載されている。
3a)「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地下水熱利用の冷却システムに関するものである。
詳しくは、物の冷却や室内冷房のために、井戸の地下水の冷熱を利用した冷却システムに係るものである。」

3b)「【0018】
第2熱交換部14については、図7、8を参照して下記のような第3熱交換部17に構成することができる。
第3熱交換部17は、熱交換パイプ群17A、往き用ヘッダー17B及び返り用ヘッダー17Cから構成されている。
A.熱交換パイプ群17Aは、適数本の熱交換パイプ単体17A1から構成され、熱交換パイプ単体17A1は、第2井戸部12における縦パイプ12Aの天端から底部近傍まで引込まれた縦長略U字状の熱交換用パイプで構成されている。
そして、これら複数の熱交換パイプ単体17A1は、第2井戸部12内で熱交換パイプ単体17A1同士が平面円形状に所定間隔を保ち、かつ第2井戸部12の縦パイプ12Aとは所定間隔をもった状態で平面円形状に配置され、さらに、熱交換パイプ単体17A1の一端は往き用ヘッダー17Bに連結され、他端は返り用ヘッダー17Cに連結されている。
B.往き用ヘッダー17Bは、地上の所定位置に設置され、往きパイプ14C、循環ポンプ14C1を介して第2放熱器13Bに連結されている。
C.返り用ヘッダー17Cは、地上の所定位置に設置され、返りパイプ14Aを介して第2放熱器13Bに連結されている。」

3c)「



4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には、「一体分岐継手」に関して次の事項が記載されている。
4a)「本考案はマンション、ホテル等高層住居室における給水管等の流体供給用立管に設ける分岐取出し用の継手に関するものである。
従来給水立管から分岐管を取り出す方法としては、第1図に示すように管1にテイー11をねじ込み、更にパイプニツプル12を介してテイー13を接続し、両側の住宅若しくは居室への配管系14、15をねじ接続するのが一般である。」(明細書1頁16行?2頁3行)

4b)「



5.引用文献5について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には、「継手及び分岐管付き継手、及びそれを用いた配管システム方法及び配管施工方法」に関して次の事項が記載されている。
5a)「【0001】
本発明は、中高層の集合住宅や事務所ビル等の建物における、給水用や給湯用の配管系、冷暖房用の冷温水配管系などの配管工事を合理化するための配管のプレハブ化工法に関するものである。」

5b)「【0056】
この縦配管70は、図7に示すように、複数の継手としての分岐管付き継手11を連結することにより、主に構成されている。
【0057】
この分岐管付き継手11は、主に、予め一定の長さを有する主管部12が、この主管部2と同一材質である高密度ポリエチレン材料が用いられて構成されている継手部13の両
端に位置する接合部としての電気融着接合部18,18の一方に内嵌されると共に、溶着されて一体に構成されている。
【0058】
この実施例1では、主管部12と継手部13とが接合された状態での長手方向長さが、床スラブ41,42間の距離である約3200mmに合わせて、設定されている。
【0059】
そして、前記継手部13には、胴部略中央から直交方向に突出する分岐部32が突設されていて、枝管を接続可能としている。
【0060】
この分岐部32の両側には、前記各電気融着接合部18,18に通電を行うための電気融着用ターミナル37,37が一体に突設されていて、各電気融着接合部18,18を個別に通電によって電気融着が可能とするように構成されている。
【0061】
この実施例1では、図8,図9に示すように各世帯のパイプスペースp内で、分岐部32が、床面から約1000?1200mm程度の高さh3に位置するように設定されていて、前記枝管19及び連結される水道メータ装置20等への連結作業を容易に行えるように構成されている。」

5c)「



6.引用文献6について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献6には、「接地プローブ」に関して次の事項が記載されている。
6a)「



7.引用文献7について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献7には、「地熱交換装置」に関して次の事項が記載されている。
7a)「【0030】
メンテナンスを行う場合には、縦メンテナンス管7の開口部に設けられた蓋体8を開けて接続部材11による熱媒体管5、横主管10の接続を解除して、熱媒体管5と横主管10、及び横主管10相互を脱離し、熱交換用埋設管3から熱媒体管5を引き出したり、横メンテナンス管9から横主管10を引き出したりして交換やメンテナンスを行うことが出来る。」

7b)「



8.その他の文献について
(1)平成30年6月20日付け前置報告書において引用された実願平3-107133号(実開平6-467号)のCD-ROM(以下、「文献8」という。)には、「スプリンクラー巻出し配管ユニット」に関して次の事項が記載されている。




(2)平成30年10月29日付け刊行物等提出書により提出された「”環境省 平成22年度環境技術実証事業 ヒートアイランド対策技術分野 (地中熱・下水等を利用したヒートポンプ空調システム) 実証試験結果報告書 ≪詳細版≫”,平成23年3月,インターネット<URL https://www.env.go.jp/policy/etv/pdf/list/h22/052-1003b.pdf>,表紙、目次及び6頁及び14頁」(以下、「文献9」という。)には、次の事項が記載されている。




第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「U字状伝熱管4a,4bを構成する2本の伝熱管」は、前者における「2本のチューブ」に相当し、以下同様に、「伝熱管」は「チューブ」に、「第1口部」は「第1口部」に、「貫通孔」は「貫通孔」に、「第2口部」は「第2口部」に、「配管継手」は「配管継手」に、「配管継手を用いた対地熱交換器4の配管構造」は「配管継手を用いた配管システム」に、「地熱採取用熱煤Lg」は「流体」に、「熱源側循環路6を構成する送り側用の配管」は「送り側用地上配管」に、「熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管」は「戻り側用地上配管」に、「送り側の伝熱管」は「送り側チューブ」に、「戻り側の伝熱管」は「戻り側チューブ」に、それぞれ相当する。

・後者における「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の両端に位置する分岐端に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設された」態様は、前者の「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有する第一分岐管と、前記貫通孔の両端に位置する分岐端から略平行に配設されるとともに、それぞれが前記チューブの上端に連通する第2口部を有する一対の第二分岐管と、を備え、前記一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設された」態様に、「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の分岐側に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設された」という限りにおいて一致する。

・後者における「2組の前記伝熱管のうち送り側の伝熱管の上端同士、および戻り側の伝熱管の上端同士が前記配管継手の第2口部に接続され」る態様は、前者における「2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士がソケットを介して前記配管継手の第2口部に接続され」る態様に、「2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士が前記配管継手の第2口部に接続され」るという限りにおいて一致する。

・後者における「前記送り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する送り側用の配管に接続され、前記戻り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管に接続され」る態様は、前者における「前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記送り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記戻り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され」る態様に、「前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記送り側用地上配管に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記戻り側用地上配管に接続され」るという限りにおいて一致する。

・後者における「前記伝熱管は、鉛直方向に地中に形成された孔内に形成した地すべり防止杭1の内部に埋め込む状態で配設されている」態様は、鉛直方向に地中に形成された孔がボーリング作業により形成されることが原出願の出願前における技術常識からみて明らかであるから、前者における「前記チューブは、鉛直方向に地中に削孔されたボーリング孔内に挿通され」る態様に相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「軸方向を上下方向に向けて地中に埋設される2本のチューブの上端同士を接続し、
一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の分岐側に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設された配管継手を用いた配管システムであって、
前記チューブへ向けて流体を送り込む送り側用地上配管と、前記チューブより流体が送り込まれる戻り側用地上配管と、を備え、
上流側を地上側に向けた送り側チューブと、下流側を地上側に向けて配設した戻り側チューブとで1組とし、前記送り側チューブと前記戻り側チューブの下端同士が接続され、
2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士が前記配管継手の第2口部に接続され、
前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記送り側用地上配管に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記戻り側用地上配管に接続され、
前記チューブは、鉛直方向に地中に削孔されたボーリング孔内に挿通されている、配管継手を用いた配管システム。」

[相違点]
[相違点1]
「配管継手」に関し、本願発明1は、「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有する第一分岐管と、前記貫通孔の両端に位置する分岐端から略平行に配設されるとともに、それぞれが前記チューブの上端に連通する第2口部を有する一対の第二分岐管と、を備え、前記一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設された」ものであるのに対し、引用発明は、「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有し、前記貫通孔の両端に位置する分岐端に、それぞれが前記伝熱管の上端に連通する第2口部が配設された」ものであり、第一分岐管と略平行に配設される一対の第二分岐管とを備え、一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設されたものではない点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
本願発明1は、「2組の前記チューブのうち送り側チューブの上端同士、および戻り側チューブの上端同士がソケットを介して前記配管継手の第2口部に接続され」るのに対し、引用発明は、「2組の前記伝熱管のうち送り側の伝熱管の上端同士、および戻り側の伝熱管の上端同士が前記配管継手の第2口部に接続され」るものの、接続がソケットを介するものではない点(以下、「相違点2」という。)。

[相違点3]
本願発明1は、「前記送り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記送り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され、前記戻り側チューブの上端に接続する前記配管継手の第1口部が2つのL型継手を介して前記戻り側用地上配管に設けられた1つのT型継手に接続され」るのに対して、引用発明は、「前記送り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する送り側用の配管に接続され、前記戻り側の伝熱管の上端に接続する前記配管継手の第1口部が前記熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管に接続され」るものの、2つのL型継手及び1つのT型継手を用いていない点(以下、「相違点3」という。)。

[相違点4]
本願発明1は、「前記送り側用地上配管と前記戻り側用地上配管とは、互いに間隔をもって略平行に配置され、前記送り側用地上配管と前記戻り側用地上配管との間に前記ボーリング孔が配置され」ているのに対して、引用発明は、熱源側循環路6を構成する送り側用の配管、熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管及び鉛直方向に地中に形成された孔との相互の位置関係が不明である点(以下、「相違点4」という。)。

[相違点5]
本願発明1は、「前記送り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手と前記戻り側チューブの上端同士を接続する前記配管継手とが同じ高さに配置されている」のに対して、引用発明は、送り側の伝熱管の上端同士を接続する配管継手と戻り側の伝熱管の上端同士を接続する配管継手との相互の高さ位置の関係が不明である点(以下、「相違点5」という。)。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点1及び3について検討する。
ア 相違点1について
上記第5の2.?7.における引用文献2?7に記載された事項を参照したが、上記相違点1に係る本願発明1の「一端に第1口部が配設され、該第1口部から二股に分岐された貫通孔を有する第一分岐管と、前記貫通孔の両端に位置する分岐端から略平行に配設されるとともに、それぞれが前記チューブの上端に連通する第2口部を有する一対の第二分岐管と、を備え、前記一対の第二分岐管同士が間隔をあけた状態で配設された」という「配管継手」についての構成は、記載も示唆もされていない。
また、上記第5の8.における文献8及び9に記載された事項を参照しても、上記相違点1に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない。
そうすると、引用発明において、引用文献2?7並びに文献8及び9に記載された事項を考慮したとしても、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

イ 相違点3について
上記第5の4.、5.及び8.における引用文献4及び5並びに文献8に記載された事項によれば、配管の接続構造において、主管に設けられた1つのT型継手に、2つのL型継手を介した分岐路を設けることが示されている。
しかしながら、引用発明において、熱源側循環路6を構成する送り側用の配管及び熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管の設置態様が不明であること、送り側の伝熱管の上端に接続する配管継手の第1口部と熱源側循環路6を構成する送り側用の配管との間、及び戻り側の伝熱管の上端に接続する配管継手の第1口部と熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管との間が他の配管や継手により間接的に接続されているか不明である(引用文献1の図3からは直接接続されているように見て取れる。)こと、並びに、引用文献1には、U字伝熱管4a,4bを備えた対地熱交換器4を、一つの熱源側循環路6において並列に複数設けることは記載されておらず、熱源側循環路6を構成する送り側用の配管及び熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管から、複数の対地熱交換器4に対して分岐させるものであるか不明であることを考慮すると、熱源側循環路6を構成する送り側用の配管及び熱源側循環路6を構成する戻り側用の配管に対して、T型継手及び2つのL型継手を用いて分岐路を設ける必要があるか不明であるから、上記引用文献4及び5並びに文献8に記載された事項を適用する動機付けはないものといわざるをえない。
また、上記第5の2.、3.及び6.?8.における引用文献2、3、6及び7並びに文献9に記載された事項を参照しても、上記相違点3に係る本願発明1の構成は、記載も示唆もされていない(なお、文献9の「地中熱交換器設置状況」の図は不鮮明であり、T型継手にヘッダ等の分岐する継手が接続されているようにも見て取れる。)。
そうすると、引用発明において、引用文献2?7、文献8及び文献9に記載された事項を考慮したとしても、上記相違点3に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。

(3)まとめ
そして、本願発明1は、「本発明の配管継手を用いた配管システムによれば、2本のチューブの上端同士を接続することが可能となるので、継手数や継手接続箇所を少なくすることができ、狭い箇所での施工が容易になり、配管の設置にかかる施工効率を向上させることができる。」(段落【0011】)という所期の効果を奏するものであって、本願明細書の「分岐管22A、22B同士の間には間隔が設けられているので、その隙間Sを利用して、上述したようにスクレープ用の工具や融着用の工具を分岐管22に対して装着することが容易に可能となり、配管作業の施工効率を向上させることができる。」(【0027】)との記載及び「分岐管22の屈曲部22cの曲げ角度を適宜変えることで、分岐管22A、22B同士の間隔(隙間S)を設定することができるため、U字管継手部21における分岐端21b、21b同士の間の間隔を最小にするこが可能になる。これにより、地上側継手20自体の大きさを小さくすることができることから、本実施の形態のようにボーリング孔3内などでの狭い箇所での取り扱いが容易になり、施工性を向上させることができる。」(【0028】)との記載によれば、特に、上記相違点1に係る構成を備えたことにより、配管作業の施工効率を向上させることができるという格別の効果を奏するものである。
したがって、上記相違点2、4及び5について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明並びに引用文献2?7、文献8及び文献9に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

2.本願発明2について
本願発明2においても、上記相違点1及び3に係る本願発明1の構成と同じ構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2?7、文献8及び文献9に記載された事項に基いて、容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第7 原査定について
1.理由1.(特許法第29条第2項)について
上記第6の1.の検討を踏まえると、本願発明1は、引用発明並びに引用文献2、3、6及び7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由1.を維持することはできない。

2.理由2.(特許法第29条第2項)について
上記第6の2.の検討を踏まえると、本願発明2は、引用発明及び引用文献2?7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由2.を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-10 
出願番号 特願2016-161895(P2016-161895)
審決分類 P 1 8・ 575- WY (F16L)
P 1 8・ 121- WY (F16L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 聡  
特許庁審判長 松下 聡
特許庁審判官 槙原 進
大屋 静男
発明の名称 配管継手を用いた配管システム  
代理人 大槻 真紀子  
代理人 川越 雄一郎  
代理人 山口 洋  
代理人 西澤 和純  

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