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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F24F
管理番号 1352699
審判番号 不服2018-6308  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-08 
確定日 2019-07-05 
事件の表示 特願2015-105190号「低温倉庫荷捌き室の空調方法及び空調システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年12月22日出願公開、特開2016-217661号、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年5月25日の出願であって、平成29年7月26日に手続補正書が提出され、平成29年9月29日付けで拒絶理由が通知され、平成29年11月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成30年2月9日付けで拒絶査定がされ、これに対して、平成30年5月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年2月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1及び3に係る発明は、以下の引用例1ないし引用例3に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用例一覧>
1.特開2014-153017号公報
2.特開昭63-204042号公報
3.特開2006-3037号公報

第3 本願発明
本願請求項1ないし請求項4に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明4」という。)は、平成30年5月8日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】
冷凍室に隣接する荷捌き室の温度・湿度を調整する低温倉庫荷捌き室の空調方法であって、
主たる冷房手段として、前記荷捌き室の床下及び側壁並びに天井に冷却配管を配設し、前記冷却配管にヒ-トポンプ式冷却器で冷却された冷媒を循環流通させ、床面及び側壁面並びに天井面を通しての伝熱により前記荷捌き室を冷房し、
補助的冷房手段として、前記冷凍室の床下に配設された凍結防止管に、送風機により外気を導入してこれを冷却し、前記凍結防止管の出口側に配設された除湿器により、冷却された外気の除湿を行ない、冷却・除湿された外気の前記荷捌き室への吹き込み流量を調整し、前記荷捌き室の温度・湿度を調節することを特徴とする低温倉庫荷捌き室の空調方法。
【請求項2】
冷房中断後の立ち上げにおいては、前記補助的冷房手段による前記荷捌き室への冷風吹き込み流量を増大し、定常状態に達するまでの時間を短縮することを特徴とする請求項1に記載の低温倉庫荷捌室の空調方法。
【請求項3】
冷凍室に隣接する荷捌き室の温度・湿度を調整する低温倉庫荷捌き室の空調システムであって、
前記荷捌き室の床下及び側壁並びに天井に配設された冷却配管に冷媒を循環流通させ、床面及び側壁面並びに天井面を通しての伝熱により前記荷捌き室を冷房するヒートポンプ冷却器を含む主たる冷房手段と、
前記冷凍室の床下に配設された凍結防止管に、外気を導入してこれを冷却する送風機と、
前記凍結防止管の出口側において冷却された外気を除湿する除湿器と、前記冷却・除湿された冷気の前記荷捌き室への吹込み冷気の流量を調整し、前記荷捌き室の温度・湿度を調節する温度・湿度調節器とを含む補助的冷房手段とを備えたことを特徴とする低温倉庫荷捌き室の空調システム。
【請求項4】
前記補助的冷房手段は、冷房中断後の立ち上げから定常状態に達するまで、前記荷捌き室への冷風吹き込み流量を増大し、定常状態までの時間を短縮する手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の低温倉庫荷捌室の空調システム。」

第4 引用例、引用発明等
1.引用例1(特開2014-153017号公報)
原査定において引用され、本願の出願日前に頒布された引用例1には、「低温倉庫前室用空調設備及び空調方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている(なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

(1)引用発明
【特許請求の範囲】の【請求項1】、明細書段落【0009】ないし【0012】、及び【0023】ないし【0027】並びに図1、図2の記載からみて、引用例1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「低温倉庫の保冷室に隣接された前室に温度及び湿度が調整された空気を送る低温倉庫前室用空調装置であって、
送風機が設けられ、該送風機によって外気が導入される空気流路と、
前記送風機の下流側で前記空気流路に設けられた冷却器と、
前記送風機と前記冷却器との間で前記空気流路から分岐した分岐流路と、
前記空気流路から前記冷却器に流入し前記冷却器で冷却除湿された第1の空気と、前記分岐流路に流入した第2の空気とを熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器で加熱され温度及び相対湿度が調整された第1の空気を前記前室に供給する調整空気供給路と、
前記熱交換器で冷却除湿された第2の空気を前記分岐流路の分岐部より上流側の前記空気流路に還流する還流路とを備えている低温倉庫前室用空調装置。」

2.引用例2(特開昭63-204042号公報)
原査定において引用され、本願の出願日前に頒布された引用例2には、「冷暖房装置」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用例2の記載
2a)「2.特許請求の範囲
(1)圧縮機と、冷媒の流れを切り替える四方弁と、水冷式熱交換器と、第1の空冷式熱交換器と、第2の空冷式熱交換器とにより構成されるヒートポンプにおいて、冷風の排出口と、冷風と床冷房を切り替える切り替え手段と、前記ヒートポンプからの冷熱または、温熱を取り出し熱交換する熱交換パネルとを備えたことを特徴とする冷暖房装置。
(2)ヒートポンプと、冷風の排出口と、冷風と床冷房を切り替える切り替え手段とを本体に収納し、この本体内の水冷式熱交換器に接続パイプを介して熱交換パネルを接続したことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の冷暖房装置。」(第1ページ左欄第4ないし16行)

2b)「第1図は、実施例の配管系統図、第2図はその実施例の外観斜視図である。
図中、1は電動の圧縮機、2は圧縮機の吐出側と吸込み側とに接続し、冷媒の流れ方向を切り替える四方弁である。この四方弁2の残りの接続口に冷媒配管3を介し、水冷式熱交換器4と第1の空冷式熱交換器5とを直列に接続してある。この水冷式熱交換器4の四方弁2に接続してある冷媒配管と反対側の冷媒配管に、絞り弁6と逆止弁7を互いに並列にして接続してある。同様に第1の空冷式熱交換器5の四方弁2に接続してある冷媒配管と反対側の冷媒配管に、絞り弁8と逆止弁9を互いに並列にして接続してある。さらに水冷式熱交換器4と並列に第2の空冷式熱交換器11を接続してある。この第2の空冷式熱交換器11の分岐した冷媒配管にも電磁弁12と絞り弁13と逆止弁14を直列に接続してある。また水冷式熱交換器4の分岐側にも電磁弁15を直列に接続してある。これらの冷媒配管に配置した絞り弁は、冷媒の通過量を調整し、冷媒に最適な断熱膨張をさせるためのものである。絞り弁に並列に接続した逆止弁は、冷媒の流れ方向が逆転したときの絞り弁のバイパスとなる。水冷式熱交換器4は二重管構造等からなり、2次側には熱媒として水が満たされ、循環ポンプ16により接続パイプ17を介して熱交換パネル18との間を循環させる。なお、第1図で熱交換パネル18と接続パイプ17の一部を除いた破線で囲った部分は本体19に収納されている。5a、llaは第1の空冷式熱交換器5、第2の空冷式熱交換器11にそれぞれ設置したファンである。」(第2ページ左上欄第8行ないし右上欄第18行)

2c)「次に本装置の動作を説明する。夏期の冷房時には圧縮機1で圧縮された冷媒ガスは四方弁2を通って、第1の空冷式熱交換器5にいたり冷却されて凝縮・液化する。熱交換パネル18により冷却するときには電磁弁15が開、電磁弁12が閉状態としであるので、冷媒は絞り弁6を通り水冷式熱交換器4で蒸発・吸熱し、四方弁2を通って圧縮機lにもどる。このように、冷房時には第1の空冷式熱交換器5は凝縮器として、水冷式熱交換器4は蒸発器として作動する。水冷式熱交換器4の2次側は冷やされた水が循環ポンプ16により熱交換パネル18との間を循環し、熱交換パネル18が床冷房をする。やがて、熱交換パネル18側が充分に冷えて、循環水の水温が一定温度以下になると、熱交換パネル18への往きの水温を、図示しない検知手段により検知し、電磁弁15を閉じ、電磁弁12を開く。すると、冷媒は絞り弁13を通り第2の空冷式熱交換器11で蒸発・吸熱して四方弁2、圧縮機1に戻る。このとき、第2の空冷式熱交換器11で冷やされた空気は、本体19に設けられた排出口21より冷風として室内に送り出される。やがてまた、熱交換パネル18を循環している循環水の水温が上昇して設定温度以上になると、電磁弁12、15が切り替わり、再び冷媒は水冷式熱交換器4に流れ、熱交換パネル18を冷却する。通常は熱交換パネル18の交換熱量よりも、水冷式熱交換器4の交換熱量の方が大きいので、短時間で循環水の水温が低下して周期的に電磁弁12、15が切り替わり、断続的に冷風が吹き出す、この冷風と熱交換パネル18の表面の床冷房とあいまって、違和感のない、快適な空調が実現する。」(第2ページ右上欄下から2行ないし右下欄第10行)

3.引用例3(特開2006-3037号公報)
原査定において引用され、本願の出願日前に頒布された引用例3には、「冷蔵庫及びその熱利用方法」に関して、図面とともに次の事項が記載されている。

(1)引用例3の記載
3a)「【請求項1】
冷蔵庫及び同冷蔵庫に隣接して設けられた荷捌き室の床部に外気を導入する凍上防止管又は凍上防止空間を設けた冷凍庫において、前記凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を前記荷捌き室に導入することを特徴とする冷蔵庫の熱利用方法。
【請求項2】
冷蔵庫及び同冷蔵庫に隣接して設けられた荷捌き室の床部に外気を導入する凍上防止管又は凍上防止空間を設けた冷凍庫において、前記凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を前記荷捌き室に導入する管路及び送風機を設けたことを特徴とする冷蔵庫。」

3b)「【0011】
本発明は、かかる目的を達成するもので、その手段は、冷蔵庫及び同冷蔵庫に隣接して設けられた荷捌き室の床部に外気を導入する凍上防止管又は凍上防止空間を設けた冷凍庫において、前記凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を前記荷捌き室に導入することを特徴とする冷蔵庫の熱利用方法、及び冷蔵庫及び同冷蔵庫に隣接して設けられた荷捌き室の床部に外気を導入する凍上防止管又は凍上防止空間を設けた冷凍庫において、前記凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を前記荷捌き室に導入する管路及び送風機を設けたことを特徴とする冷蔵庫に係る。
【0012】
本発明方法においては、凍上防止管又は凍上防止空間を通って冷熱源を含んだ外気を荷捌き室に導入することで、荷捌き室の低温化に寄与するとともに、荷捌き室の陽圧化を図り、ドックシェルタ等からの外気の流入を防止するとともに、凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気の冷熱源の有効利用を図る。
また本発明装置においては、凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を荷捌き室に導入する管路及び送風機を設けたことで、前記本発明方法と同一の作用及び効果を奏する。
なお凍上防止のための凍上防止管又は凍上防止空間等の設備は、F級冷蔵庫では必要であり、一般に付設されているので、本発明を実施するために新たに大きな設備投資を必要としない。」

3c)「【0015】
本発明の第1実施例を示す図1において、1は設定温度が-25℃であるF級冷蔵庫で、同冷蔵庫1に隣接して荷捌き室2が設置されている。cは被冷蔵物であり、荷捌き室2では、通常室温が5℃以下に設定され、各種被冷蔵物cの選り分けなどが行われる。3は、冷蔵庫1及び荷捌き室2の床部に設けられたスラブ構造であり、4は、荷捌き室2の図示しない開閉扉から荷捌き室2と運搬トラック5との間で、被冷蔵物cの搬入又は搬出が行われる際に、運搬トラック後部の開閉ドアと荷捌き室2の図示しない開閉扉との間を遮蔽して外気の出入りを防ぐドックシェルタである。
【0016】
6は、暖かい外気aがF級冷蔵庫1及び荷捌き室2の床部の凍上防止管又は凍上防止空間に導入され、徐々に冷却された後、冷却された外気を前記凍上防止管又は凍上防止空間から管路7を通って荷捌き室2に送り込むファンである。
【0017】
図2は、F級冷蔵庫1及び荷捌き室2の床部に設けられたスラブ構造のうち、低床式を示す断面図であり、図2において、F級冷蔵庫1の床面1aから下方に向かって、押えコンクリート11、床防熱材12、土間コンクリート13、砂層14、及び土層17に接する割栗石層16の各層から構成されており、割栗石層16中には凍上防止管15が埋設されている。
【0018】
また図3は、高床式のスラブ構造の例を示し、図3において、土層27の中に打ち込まれた杭26の上部に固定された基礎25の上端に凍上防止空間24を空けた状態で土間コンクリート23が設置され、その上に床防熱材22及び押えコンクリート21が積層され、押えコンクリート21の上面がF級冷蔵庫1の床面1aとなっている。
【0019】
かかる第1実施例において、ファン6の稼動により、暖かい外気aが凍上防止管15又は凍上防止空間24に導入されて、冷蔵庫1及び荷捌き室2の床面と熱交換しながら、徐々に冷やされて移動し、その後管路7を経て、荷捌き室2に導入される。
従って、外気aの導入により、荷捌き室2内は陽圧化されているため、荷捌き室2と運搬トラック5との間で、被冷蔵物cの搬入又は搬出が行われる際に、ドックシェルタ部4の隙間から外気が侵入することがない。
【0020】
また凍上防止管15又は凍上防止空間24を通って冷却された外気の冷熱源をそのまま放出することなく、荷捌き室2の低温保持に利用するので、熱ロスがなく、全体として熱効率の良いシステムとなる。
なお凍上防止のための凍上防止管15又は凍上防止空間24等の設備は、F級冷蔵庫1では必要であり、一般に付設されているので、本発明を実施するために新たに大きな設備投資を必要とせず、ファン6や管路7、あるいは図示しない防熱用の付帯設備、制御設備等を付設するのみで、実施可能である。」

第5 原査定についての判断
事案に鑑み、まず、本願発明3と引用発明とを対比、判断する。
1.本願発明3について
引用発明における「低温倉庫の保冷室」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明3における「冷凍室」に相当し、以下同様に、「前室」は「荷捌き室」に、「低温倉庫の保冷室に隣接された前室」は「冷凍室に隣接する荷捌き室」に、「低温倉庫前室用空調装置」は「低温倉庫荷捌き室の空調システム」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「前室に温度及び湿度が調整された空気を送る」ことは、本願発明3における「荷捌き室の温度・湿度を調整する」ことに相当する。

したがって、両者の一致点、相違点は以下のとおりである。

[一致点]
「冷凍室に隣接する荷捌き室の温度・湿度を調整する低温倉庫荷捌き室の空調システム。」

[相違点]
「低温倉庫荷捌き室の空調システム」に関して、本願発明3においては、「前記荷捌き室の床下及び側壁並びに天井に配設された冷却配管に冷媒を循環流通させ、床面及び側壁面並びに天井面を通しての伝熱により前記荷捌き室を冷房するヒートポンプ冷却器を含む主たる冷房手段と、前記冷凍室の床下に配設された凍結防止管に、外気を導入してこれを冷却する送風機と、前記凍結防止管の出口側において冷却された外気を除湿する除湿器と、前記冷却・除湿された冷気の前記荷捌き室への吹込み冷気の流量を調整し、前記荷捌き室の温度・湿度を調節する温度・湿度調節器とを含む補助的冷房手段とを備えた」ものであるのに対して、
引用発明においては、「送風機が設けられ、該送風機によって外気が導入される空気流路と、前記送風機の下流側で前記空気流路に設けられた冷却器と、前記送風機と前記冷却器との間で前記空気流路から分岐した分岐流路と、前記空気流路から前記冷却器に流入し前記冷却器で冷却除湿された第1の空気と、前記分岐流路に流入した第2の空気とを熱交換する熱交換器と、前記熱交換器で加熱され温度及び相対湿度が調整された第1の空気を前記前室に供給する調整空気供給路と、前記熱交換器で冷却除湿された第2の空気を前記分岐流路の分岐部より上流側の前記空気流路に還流する還流路とを備えている」ものである点。

以下、上記相違点について検討する。

[相違点について]
引用例2には、「冷風の排出口と、冷風と床冷房を切り替える切り替え手段と、前記ヒートポンプからの冷熱または、温熱を取り出し熱交換する熱交換パネルとを備えたことを特徴とする冷暖房装置」が記載されている(上記第4 2.(1)2a)を参照)。
しかし、引用例2における床冷房のための熱交換パネルを荷捌き室の床下及び側壁並びに天井に配設する動機付けを見出せない。
また、引用例3には、「冷蔵庫及び同冷蔵庫に隣接して設けられた荷捌き室の床部に外気を導入する凍上防止管又は凍上防止空間を設けた冷凍庫において、前記凍上防止管又は凍上防止空間を通った外気を前記荷捌き室に導入する管路及び送風機を設けた」ことについて記載されている(上記第4 3.(1)3b)を参照)。
しかし、これを「補助的冷房手段」として用い、「凍結防止管の出口側において冷却された外気を除湿する除湿器」、及び「冷却・除湿された冷気の荷捌き室への吹込み冷気の流量を調整し、荷捌き室の温度・湿度を調節する温度・湿度調節器」を備えたことにより荷捌き室の温度や湿度を調整することについては、開示や示唆がされていない。

したがって、本願発明3は、引用発明、引用例2の記載及び引用例3の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。

2.本願発明1について
本願発明1は、本願発明3のカテゴリーを「方法」としたものであり、「前記荷捌き室の床下及び側壁並びに天井に冷却配管を配設し、前記冷却配管にヒ-トポンプ式冷却器で冷却された冷媒を循環流通させ、床面及び側壁面並びに天井面を通しての伝熱により前記荷捌き室を冷房」する「主たる冷房手段」とともに、「前記凍結防止管の出口側に配設された除湿器により、冷却された外気の除湿を行ない、冷却・除湿された外気の前記荷捌き室への吹き込み流量を調整し、前記荷捌き室の温度・湿度を調節する」、「補助的冷房手段」を発明特定事項とするものであるから、上記本願発明3における判断と同様に、引用発明、引用例2の記載及び引用例3の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。

3.本願発明2及び4について
本願の特許請求の範囲における請求項2は、請求項1の記載を置き換えることなく引用して記載したものであるから、本願発明2は、本願発明1の発明特定事項を全て含むものである。
また、本願の特許請求の範囲における請求項4は、請求項3の記載を置き換えることなく引用して記載したものであるから、本願発明4は、本願発明3の発明特定事項を全て含むものである。
したがって、本願発明2及び4は、本願発明1及び3と同様の理由で引用発明、引用例2の記載及び引用例3の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし4は、当業者が引用発明、引用例2の記載及び引用例3の記載に基いて当業者が容易に想到し得たとすることはできない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-06-25 
出願番号 特願2015-105190(P2015-105190)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F24F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 正浩  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 松下 聡
山崎 勝司
発明の名称 低温倉庫荷捌き室の空調方法及び空調システム  
代理人 田中 正男  

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