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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G07G
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G07G
管理番号 1352797
審判番号 不服2018-8302  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-18 
確定日 2019-06-20 
事件の表示 特願2014-31008号「金銭処理装置および金銭処理装置の在高管理方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年8月27日出願公開、特開2015-156141号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年2月20日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年10月 6日付け:拒絶理由通知書
平成29年12月12日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 3月12日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
平成30年 6月18日 :審判請求書、手続補正書の提出


第2 平成30年6月18日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成30年6月18日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6のうちの請求項1?2,6の記載は、次のとおりである(下線は、補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用いて収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置であって、
前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する人為的接触操作判断部と、
前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生したものと判断された時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査し、精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる精査制御部と、
を備えたことを特徴とする金銭処理装置。
【請求項2】
前記所定の人為的接触操作は、前記収納庫が設けられ装置本体から引き出し可能な収納ユニットの引き出し開閉操作、前記収納庫を開閉する収納庫扉の開閉操作、前記収納ユニットあるいは前記収納庫扉に対する鍵開閉操作、および装置に対する電源オフ操作のうちの少なくとも1以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の金銭処理装置。
【請求項6】
入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用いて収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置の在高管理方法であって、
前記金銭処理装置のコンピュータが、
前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する人為的接触操作判断ステップと、
前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生したものと判断された時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査し、精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる精査制御ステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする金銭処理装置の在高管理方法。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、平成29年12月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6のうちの請求項1?2,6の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用いて収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置であって、
前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が発生したか否かを判断する人為的接触操作判断部と、
前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生した時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査し、精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる精査制御部と、
を備えたことを特徴とする金銭処理装置。
【請求項2】
前記所定の人為的接触操作は、前記収納庫が設けられ装置本体から引き出し可能な収納ユニットの引き出し開閉操作、前記収納庫を開閉する収納庫扉の開閉操作、前記収納ユニットあるいは前記収納庫扉に対する鍵開閉操作、および装置に対する電源オフ操作のうちの少なくとも1以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の金銭処理装置。
【請求項6】
入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用いて収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置の在高管理方法であって、
前記金銭処理装置のコンピュータが、
前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が発生したか否かを判断する人為的接触操作判断ステップと、
前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生した時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査し、精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる精査制御ステップと、
を含むステップを実行することを特徴とする金銭処理装置の在高管理方法。」

2 補正の適否
(1)上記「1(1),(2)」から明らかなように、本件補正により、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明1」という。)における「人為的接触操作判断部」及び請求項6に係る発明(以下「本願補正発明6」という。)における「人為的接触操作判断ステップ」は、「前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する」ものとなった。そして、該「所定の人為的接触操作」には、本件補正後の請求項2の「前記所定の人為的接触操作は、前記収納庫が設けられ装置本体から引き出し可能な収納ユニットの引き出し開閉操作、前記収納庫を開閉する収納庫扉の開閉操作、前記収納ユニットあるいは前記収納庫扉に対する鍵開閉操作、および装置に対する電源オフ操作のうちの少なくとも1以上の組み合わせである」という記載から明らかなように、「収納ユニットの引き出し開閉操作」、「収納庫扉の開閉操作」、「前記収納ユニットあるいは前記収納庫扉に対する鍵開閉操作」、「装置に対する電源オフ操作」の四つの操作のうちの1以上の操作が含まれる。してみると、本願補正発明1における「人為的接触操作判断部」及び本願補正発明6における「人為的接触操作判断ステップ」は、該四つの操作のうちの1以上の操作を含む「所定の人為的接触操作」が「所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する」ものということになる。

(2)当初明細書等に記載された事項
本願の願書に最初に添付された明細書(以下「当初明細書」といい、特許請求の範囲又は図面を含めて「当初明細書等」という。)の段落【0028】に「なお、引き出しセンサ2bは、装置本体1に対して硬貨収納ユニット10もしくは紙幣収納ユニット20が継続して3秒以上引き出された場合に、引き出し開閉操作があったものと判断するようにしている。」という記載があり、審判請求書(第2頁第7?14行)において該記載が本件補正の根拠である旨述べられている。そして他に本件補正に関する記載はない。

(3)判断
上記四つの操作のうちの「収納ユニットの引き出し開閉操作」については「所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する」ことは当初明細書(段落【0028】)に記載されているといえるものの、その他の三つの操作についての具体的な記載はない。そして該三つの操作のうちの特に「前記収納ユニットあるいは前記収納庫扉に対する鍵開閉操作」、「装置に対する電源オフ操作」について「所定時間以上、継続して発生した場合に前記所定の人為的接触操作が発生したものと判断する」ことについては、技術常識を踏まえてみても当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


第3 本願発明
平成30年6月18日になされた手続補正は、上記「第2」のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成29年12月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記「第2[理由]1(2)」に記載のとおりのものである。


第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願の請求項1?3,6に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に示される周知技術に基いて、請求項4?5に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献3に記載された発明及び引用文献2に示される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1:特開2013-246787号公報
引用文献2:特開2009-139980号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3:特開2002-74463号公報


第5 引用文献1の記載事項等
1 引用文献1の記載事項
引用文献1には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
(1a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理機、この貨幣処理機を備えた貨幣処理システムおよびこの貨幣処理機による貨幣処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紙幣や硬貨等の貨幣の処理を行う貨幣処理機として様々な種類のものが知られている。具体的には、紙幣釣銭機および硬貨釣銭機が組み合わせられた貨幣釣銭機が店舗等に設置されており、顧客から受け取った紙幣や硬貨を店員が貨幣釣銭機に入金するとともに、釣銭としての紙幣や硬貨が貨幣釣銭機から出金されるようになっている。そして、入金情報や出金情報に基づいて、貨幣釣銭機内に収納されている貨幣量(機内在高)が管理されている。
【0003】
このような貨幣釣銭機において収納部からの貨幣の繰出不良や搬送路における貨幣のジャム等の異常が発生したり、貨幣釣銭機の収納庫を開いたりした場合には、貨幣釣銭機の機内在高が不明確になってしまう。このため、このような場合には、貨幣釣銭機の収納部に収納された貨幣を当該収納部から繰り出したりして、機内在高を確認する精査処理を行う必要があった。従来では、貨幣釣銭機の機内在高が不明確となった場合に、全ての金種の貨幣を収納部から繰り出して在高を確認するのが一般的であった。しかしながら、全ての金種の貨幣を収納部から繰り出して在高を確認する場合には、例えば1つの金種の貨幣についてのみ在高異常があるときでも、全ての金種の貨幣を貨幣釣銭機の機外に投出して再び機内に戻す必要があったため、作業者にとって負担が大きく、また時間がかかるという問題があった。また、在高が異常ではない金種の貨幣まで貨幣釣銭機の機外に投出するため、貨幣のこぼれや詰まり、あるいは操作者が不正行為を行うといったトラブルが生じてしまい、元々在高が異常ではない金種について新たな在高異常を引き起こしてしまうおそれがある。
【0004】
このような問題に対応するため、特許文献1には、貨幣釣銭機において機内に収納されている全ての金種の貨幣を回収する「全回収モード」、および機内に収納されている貨幣のうち一つの指定金種の貨幣のみを回収する「金種別回収モード」のうち一方の回収モードを選択して実行することができるような技術が開示されている。しかしながら、このような貨幣釣銭機では、金種別回収モードによって貨幣の回収処理を行う場合に、在高異常に関する金種を操作者が正確に指定することができるか否かは、操作者の個々の能力に左右されてしまうという問題がある。例えば、本来は10円および100円の硬貨の精査処理を行わなければならないのに、操作者が100円の硬貨の回収のみしか指定しなかった場合には、貨幣釣銭機の機内在高を正確に確認することができないおそれがある。さらに、複数の金種について精査処理を行いたい場合に、特許文献1に開示される貨幣釣銭機では1金種ずつ貨幣の精査処理を別々に行い、一つの金種の貨幣の精査処理が終わると次の金種の貨幣の精査処理の開始を改めて指示する必要があったため、操作者にとって操作が面倒であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-140142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、貨幣処理機における在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて適切な精査方法を選択して出力することにより、操作者の熟練度に依存することなく適切な精査方法を実行することができる貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貨幣処理機は、貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、在高不明確状態の発生を検出する検出手段と、複数の精査方法を記憶する記憶部と、前記検出手段によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、この在高不明確状態の内容あるいは発生原因に基づいて、前記記憶部に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力する出力手段と、を備えている。
【0008】
このような貨幣処理機によれば、検出手段によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段は、この在高不明確状態の内容あるいは発生原因に基づいて、記憶部に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっている。このように、貨幣処理機における在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて適切な精査方法を選択して出力することにより、操作者の熟練度に依存することなく適切な精査方法を実行することができる。
【0009】
本発明の貨幣処理機においては、前記記憶部は、当該記憶部に記憶された各精査方法と前記在高不明確状態の内容あるいは発生原因との関係も記憶するようになっており、前記出力手段において、前記記憶部に記憶された関係を用いて、前記検出手段によって検出された在高不明確状態の内容あるいは発生原因に対応する精査方法が選択されるようになっていてもよい。
【0010】
本発明の貨幣処理機においては、前記貨幣処理機は表示部を更に備えており、前記出力手段により出力された情報は前記表示部に表示されるようになっていてもよい。
【0011】
また、前記貨幣処理機は通信部を更に備えており、前記出力手段により出力された情報は前記通信部により前記貨幣処理機とは別に設けられた外部装置に送信されるようになっていてもよい。
【0012】
本発明の貨幣処理機においては、前記在高不明確状態の内容あるいは発生原因は、前記貨幣処理機の収納庫が開いたこと、前記貨幣処理機の装置トラブルにより在高が不明確となったこと、および前記貨幣処理機の貨幣収納部に対する貨幣の出し入れに関するトラブルにより実際の在高が計算上の在高と異なるようになったこと、のうち全てまたは一部であってもよい。
【0013】
また、前記記憶部に記憶された複数の精査方法は、前記貨幣処理機から全ての金種の貨幣を回収する全回収、前記貨幣処理機から一部の金種の貨幣を回収する金種個別回収、前記貨幣処理機の機内から回収された貨幣および前記貨幣処理機の収納庫を開いて手動で取り出された貨幣を当該貨幣処理機に戻す戻し入れ動作、出金処理におけるリジェクト貨幣を回収するリジェクト回収、および前記貨幣処理機の貨幣収納部から一時保留部に貨幣を搬送してこの一時保留部に貨幣を保留しその後前記一時保留部に保留された貨幣を前記貨幣収納部に戻す機内循環処理、のうち全てまたは一部であってもよい。
・・・
【発明の効果】
【0025】
本発明の貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、貨幣処理機における在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて最適な精査方法を選択して出力することにより、操作者の熟練度に依存することなく最適な精査方法を実行することができる。
・・・
【0028】
まず、本実施の形態の貨幣処理システム1の全体構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、貨幣処理システム1は、硬貨釣銭機100と、紙幣釣銭機200と、POSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、図2に示すように、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は左右方向に並べて配置される。また、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200の上方に配置される。以下、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200をまとめて貨幣釣銭機ともいう。
【0029】
また、図1に示すように、POSレジスタ300は店舗サーバ400に通信接続されている。そして、POSレジスタ300から店舗サーバ400に売上金情報等が送信されるようになっている。また、各種設定情報が、店舗サーバ400からPOSレジスタ300(複数台でも可)に配信されるようになっている。
【0030】
図1に示すように、硬貨釣銭機100は、硬貨制御部130および表示制御部140を有している。また、紙幣釣銭機200は、紙幣制御部230を有している。ここで、硬貨制御部130および紙幣制御部230はそれぞれ表示制御部140に接続されている。また、POSレジスタ300もPOS制御部330を有しており、硬貨釣銭機100の表示制御部140はPOSレジスタ300のPOS制御部330に通信接続されている。
【0031】
以下、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300の構成について図1および図2を用いて詳述する。
【0032】
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面に操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。ここで、本実施の形態の硬貨釣銭機100では、操作表示部112としてカラーLCDが用いられるようになっている。また、操作表示部112のそばには、例えば6つのボタンからなる操作部113が設けられている。ここで、操作表示部112における各ボタンの近傍には様々な指令キーが表示されるようになっており、各指令キーに対応するボタンを押下することにより、表示制御部140を介して硬貨制御部130や紙幣制御部230に様々な指令が与えられるようになっている。また、筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
【0033】
硬貨受入部114は、投入された硬貨を検知すると駆動され、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込むようになっている。図1に示すように、この硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により機体内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
【0034】
図1に示すように、入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
【0035】
一方、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば入金搬送部103の上流側から高額順に硬貨が収納される。
【0036】
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
【0037】
なお、硬貨釣銭機100において、各硬貨収納部106、入金搬送部103、出金搬送部108、硬貨受入部114、硬貨払出部116等は一体型の硬貨収納庫となっており、この硬貨収納庫を筐体110から手前側に引き出すことにより、各硬貨収納部106に収納されている硬貨や、入金搬送部103や出金搬送部108でジャム等により詰まっている硬貨を取り出すことができるようになっている。
【0038】
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。図1および図2に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aを外周から取り囲むように配置されている。
【0039】
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
【0040】
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
【0041】
図1および図2に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱可能に取り付けられている。
【0042】
紙幣受入部214は、投入された紙幣を検知すると駆動され、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
【0043】
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から機体内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
【0044】
なお、紙幣釣銭機200において、各紙幣収納部206、紙幣受入部214、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、紙幣回収カセット207、周回搬送部203aおよび接続搬送部203b等は一体型の紙幣収納庫となっており、この紙幣収納庫を筐体210から手前側に引き出すことにより、各紙幣収納部206に収納されている紙幣、出金リジェクト部204に送られた出金リジェクト紙幣、周回搬送部203aや接続搬送部203bでジャム等により詰まっている紙幣を取り出すことができるようになっている。
【0045】
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300は、商品の購入情報を登録するとともに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。
【0046】
POSレジスタ300のPOS制御部330は、図1に示すように、硬貨釣銭機100の表示制御部140に通信接続されているとともに、店舗サーバ400にも通信接続されている。そして、このPOS制御部330は、表示制御部140を介して硬貨制御部130や紙幣制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨制御部130や紙幣制御部230から、表示制御部140を介して、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
・・・
【0048】
図3に、上述のような構成からなる貨幣処理システム1の制御ブロック図を示す。図3に示すように、硬貨釣銭機100の表示制御部140には、操作表示部112、操作部113、記憶部144、インターフェース142等が接続されている。そして、操作者によって操作部113により入力された指令が当該操作部113から表示制御部140に送られるとともに、表示制御部140は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高を表示するようになっている。また、表示制御部140は、インターフェース142により、硬貨釣銭機100の硬貨制御部130、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230、およびPOSレジスタ300のPOS制御部330に対してそれぞれ信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部144には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が記憶されるようになっている。
【0049】
硬貨釣銭機100の硬貨制御部130には、インターフェース132、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、記憶部134等がそれぞれ接続されており、硬貨識別部101から硬貨制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、硬貨制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、硬貨制御部130は、インターフェース132により表示制御部140に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部134には、硬貨釣銭機100における硬貨の処理状況や、硬貨釣銭機100の内部に収納された硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
【0050】
また、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216、記憶部234等がそれぞれ接続されており、紙幣識別部201から紙幣制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、紙幣制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の表示制御部140に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部234には、紙幣釣銭機200における紙幣の処理状況や、紙幣釣銭機200の内部に収納された紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
・・・
【0052】
次に、このような構成からなる貨幣処理システム1の動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システム1の動作は、硬貨釣銭機100の表示制御部140や硬貨制御部130、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230、あるいはPOSレジスタ300のPOS制御部330が、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成要素をそれぞれ制御することにより行われる。
【0053】
まず、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ機体内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の機体内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
【0054】
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が硬貨釣銭機100の硬貨制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機100の硬貨制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
【0055】
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
【0056】
また、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が硬貨釣銭機100経由で紙幣釣銭機200の紙幣制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機200の紙幣制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
【0057】
上述のような硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、硬貨収納部106や紙幣収納部206からの硬貨や紙幣の繰出不良が発生したときや、入金搬送部103、出金搬送部108、周回搬送部203a、接続搬送部203b等で紙幣や硬貨のジャム等の異常が発生したとき、あるいは硬貨釣銭機100の筐体110から硬貨収納庫を引き出したり紙幣釣銭機200の筐体210から紙幣収納庫を引き出したりすることによりこれらの硬貨収納庫や紙幣収納庫を開いたりしたときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機内在高が不明確になってしまう。このため、このような場合には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機内在高を明確にするために精査処理を行う必要がある。
【0058】
本実施の形態では、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて最適な精査方法を選択して出力するようになっている。ここで、在高不明確状態の内容または発生原因としては、(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこと、(b)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の装置トラブル(例えば、バッテリーエラー)により機内在高が不明確となったこと、(c)硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の各紙幣収納部206に対する硬貨や紙幣の出し入れに関するトラブルにより実際の機内在高が計算上の機内在高と異なるようになったこと、が挙げられる。以下、上記発生原因(a)を「収納庫開」、上記発生原因(b)を「在高異常」、上記発生原因(c)を「在高差分」ともいう。
【0059】
また、本実施の形態の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、複数の種類の精査処理を行うことができるようになっている。具体的には、精査処理として、(i)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から全ての金種の硬貨や紙幣を回収する「全回収」、(ii)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から一部の金種の硬貨や紙幣を回収する「金種個別回収」、(iii)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機内から回収された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に戻す「戻し入れ動作」、(iv)紙幣釣銭機200での出金処理におけるリジェクト紙幣を出金リジェクト部204から回収する「リジェクト回収」、が挙げられる。なお、これらの精査処理の方法は硬貨釣銭機100の記憶部134や紙幣釣銭機200の記憶部234に記憶されるようになっている。
・・・
【0065】
図3に示すように、本実施の形態では、硬貨釣銭機100の硬貨制御部130に検出手段150、出力手段152がそれぞれ接続されている。検出手段150は、硬貨釣銭機100において在高不明確状態が発生したときにこのことを検出するようになっている。また、出力手段152は、検出手段150によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、この在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて、記憶部134に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっている。また、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230にも検出手段250、出力手段252がそれぞれ接続されている。検出手段250は、紙幣釣銭機200において在高不明確状態が発生したときにこのことを検出するようになっている。また、出力手段252は、検出手段250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、この在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて、記憶部234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっている。
【0066】
以下、在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択する方法について図4および図5に示すテーブル(表)を用いて説明する。
【0067】
まず、図4のテーブルに、在高不明確状態の内容または発生原因と、在高不明確状態の解除方法との関係を示す。図4に示すように、解除優先度として、「(a)収納庫開」、「(b)在高異常」、「(c)在高差分」の順に優先順位が定められている。すなわち、在高不明確状態の内容や発生原因として複数のものが検出手段150、250により検出された場合には、図4における解除優先度で優先順位の高い内容や発生原因が採用されるようになる。また、対応優先度としては、「(iii)戻し入れ動作」「(ii)金種個別回収」「(i)全回収」の順に優先順位が定められている。そして、在高不明確状態の内容や発生原因が決まったときに、対応優先度の高い解除方法が用いられるようになる。図4のテーブルでは、在高不明確状態の内容や発生原因が「(a)収納庫開」または「(b)在高異常」である場合には、「(i)全回収」の精査方法が選択される。一方、在高不明確状態の内容や発生原因が「(c)在高差分」である場合には、「(iii)戻し入れ動作」「(ii)金種個別回収」「(i)全回収」のうち優先順位の高いものが用いられる。ここで、在高不明確状態の発生原因が「(c)在高差分」である場合に、実際にどの精査方法が選択されるかについては、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の計数モードによって異なるようになる。
・・・
【0070】
なお、図4や図5に示すテーブルは、「記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容または発生原因との関係」として、記憶部134、234に記憶されるようになっている。そして、出力手段152、252において、このような記憶部134、234に記憶された関係を用いて、検出手段150、250によって検出された在高不明確状態の内容または発生原因に対応する精査方法が選択されるようになる。
・・・
【0075】
前述したように、検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、この在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて、出力手段152、252は、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっているが、出力手段152、252により出力された情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示されるようになっている。また、出力手段152、252により出力された情報は、硬貨釣銭機100のインターフェース132、142や紙幣釣銭機200のインターフェース232により、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200とは別に設けられた外部装置(例えば、POSレジスタ300や店舗サーバ400)に送信されるようになっている。このことにより、出力手段152、252により出力された情報を、POSレジスタ300の表示部302や店舗サーバ400の表示部(図示せず)にも表示させることができるようになる。
【0076】
次に、上述のような貨幣処理システム1における貨幣の処理方法、具体的には硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において在高不明確状態が発生したときの精査方法について図7に示すフローチャートおよび図8乃至図12に示す操作表示部112の表示画面を用いて説明する。
【0077】
まず、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200が正常状態である場合には、操作表示部112には、図8(a)に示すような待機画面が表示される。このときに、操作者が「精査」キーを押下すると、操作表示部112における表示画面が図8(b)に示す画面に切り替わる。そして、図8(b)に示す画面において、操作者が「精査処理」メニューを選択して「決定」キーを押下した場合には、操作表示部112には図12に示すように「異常なし 正常動作中です」というメッセージが表示される。
【0078】
また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の検出手段150、250は、これらの硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において在高不明確状態が発生したか否かを常に監視している(図7のフローチャートのSTEP1)。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において在高不明確状態が発生したことが検出手段150、250により検出されると(STEP1の「YES」)、出力手段152、252は、在高不明確状態の内容または発生原因に基づいて、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択する(STEP2)。この際に、記憶部134、234に記憶された、図4や図5のテーブルに示すような各精査方法と在高不明確状態の内容や発生原因との関係を用いて、適切な精査方法が選択されるようになる。より具体的に説明すると、例えば操作者が硬貨釣銭機100の硬貨収納庫を筐体110から手前に引き出して開いた場合には、図8(c)に示すように、硬貨釣銭機100の硬貨収納庫が開いた旨のメッセージおよび画像が操作表示部112に表示される。また、この際に、操作表示部112には、「取り出した硬貨は機内扱い」というメッセージが表示される。そして、操作者が硬貨収納庫を筐体110内に戻すと、操作表示部112には、図8(d)に示すような、「在高を確認してください」というメッセージが表示される。また、この場合には硬貨釣銭機100は在高不明確状態となるので、「精査」キーが色表示等により強調表示され、操作者に対して「精査」キーを押下することを促すようになる。その後、操作者が「精査」キーを押下すると(STEP3の「YES」)、操作表示部112における表示画面が図8(b)に示す画面に切り替わるが、この場合には、「精査処理」メニューが色表示等により強調表示される。
【0079】
その後、操作者が「精査処理」メニューを選択して「決定」キーを押下すると、選択された精査方法が実行されるようになる。この際に、出力手段152、252は、選択された精査方法を出力する。出力手段152、252により出力された精査方法は操作表示部112に表示されるようになる。また、出力手段152、252により出力された精査方法はインターフェース142等を介してPOSレジスタ300や店舗サーバ400に送信される。
【0080】
精査方法として「(i)全回収」や「(ii)金種個別回収」が選択された場合には、在高不明確状態を解消するための対応方法が操作表示部112に表示されるようになる(STEP11)。具体的には、図9A(a)に示すような画面が操作表示部112に表示される。そして、操作者が「決定」キーを押下すると(STEP12の「YES」)、在高不明確状態を解消するための対応方法が実行される(STEP13)。具体的には、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣、あるいは特定の金種の硬貨や紙幣が硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出される。この際に、操作表示部112には図9A(b)に示すような画面が表示される。また、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から硬貨や紙幣が払い出される際に、これらの硬貨や紙幣の計数が行われる。そして、硬貨払出部116や紙幣払出部216への硬貨や紙幣の払い出しが終了すると、図9A(c)に示すように、「回収終了」というメッセージが操作表示部112に表示される。そして、操作者が硬貨払出部116や紙幣払出部216から硬貨や紙幣を取り出し、「終了」キーを押下すると、操作表示部112における表示画面は図9A(d)に示すような精査メニュー画面に戻り、このような精査メニュー画面で「戻る」キーを更に押下すると、操作表示部112における表示画面は図8(a)に示す待機画面に戻る。なお、図9A(b)に示す画面において操作者が「中止」キーを押下すると、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200からの硬貨や紙幣の払い出し動作が中止となり、操作表示部112における表示画面は図9B(d)に示すような精査メニュー画面に戻る。
【0081】
その後、操作者が図8(a)に示すような操作表示部112において「補充」キーを押下することにより、操作表示部112における表示画面は図9B(e)に示すような画面に切り替わる。そして、払い出された硬貨や紙幣を操作者が硬貨受入部114や紙幣受入部214に投入することにより、これらの硬貨や紙幣が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されるようになる(STEP14)。このようにして、「(i)全回収」や「(ii)金種個別回収」に係る精査処理が終了する。
・・・
【0085】
以上のように本実施の形態の貨幣釣銭機や貨幣処理システム1によれば、検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152、252は、この在高不明確状態の内容あるいは発生原因に基づいて、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっている。このように、貨幣釣銭機における在高不明確状態の内容や発生原因に基づいて適切な精査方法を選択して出力することにより、操作者の熟練度に依存することなく適切な精査方法を実行することができる。
【0086】
また、本実施の形態の貨幣釣銭機や貨幣処理システム1においては、前述のように、記憶部134、234は、当該記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容あるいは発生原因との関係も記憶するようになっている。具体的には、記憶部134、234は、「記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容または発生原因との関係」として、図4や図5に示すテーブルの内容を記憶するようになっている。そして、出力手段152、252において、このような記憶部134、234に記憶された関係を用いて、検出手段150、250によって検出された在高不明確状態の内容または発生原因に対応する精査方法が選択されるようになっている。
・・・
【0090】
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機やこの貨幣釣銭機が設けられた貨幣処理システムは、上記の態様に限定されるものではなく、様々の変更を加えることができる。
【0091】
変形例に係る硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、出力手段152、252により、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法が選択されて出力されたときに、出力された精査方法を自動的に行うようになっていてもよい。例えば、出力手段152、252により精査方法として「(i)全回収」や「(ii)金種個別回収」が選択されたときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣、あるいは特定の金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるようになっていてもよい。
・・・
【0093】
また、本実施の形態では、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を組み合わせた貨幣釣銭機ではなく、硬貨釣銭機100単体、または紙幣釣銭機200単体でも精査処理を行うことができるようになっていてもよい。なお、紙幣釣銭機200単体で精査処理を行う場合には、この紙幣釣銭機200に表示部や操作部が設けられていることが好ましい。
【0094】
また、本実施の形態では、硬貨釣銭機として、図1に示すような構成の代わりに、図13に示すような一時保留部が設けられた構成のものが用いられてもよい。以下、図13に示すような硬貨釣銭機100aの構成について説明する。
【0095】
図13に示すような硬貨釣銭機100aでは、入金搬送部103における分岐部104と各硬貨収納部106の間に一時保留部180が設けられている。そして、硬貨受入部114に受け入れられ、硬貨識別部101により識別された硬貨は一時保留部180に一旦保留され、その後、操作者が入金確定の指令を操作部113により与えることによって、一時保留部180に一時的に保留された硬貨が各硬貨収納部106に送られるようになっている。また、図13に示すような硬貨釣銭機100aでは、出金搬送部108にも追加の分岐部109が設けられており、この分岐部109により、各硬貨収納部106から繰り出されて出金搬送部108により搬送される硬貨を一時保留部180に分岐させることができるようになっている。
【0096】
このような硬貨釣銭機100aでは、精査方法として、既に説明した様々な精査方法に加えて、各硬貨収納部106から硬貨を繰り出して出金搬送部108により搬送し、搬送される硬貨を分岐部109により一時保留部180に分岐させてこの一時保留部180で一時的に保留し、その後一時保留部180に保留された硬貨を各硬貨収納部106に戻すような機内循環処理も用いられるようになっている。ここで、このような機内循環処理が行われる際に、各硬貨収納部106から硬貨が繰り出されるときにこの硬貨の計数が行われる。このような機内循環処理に係る精査方法も記憶部134に記憶されるようになっている。
【0097】
図13に示すような硬貨釣銭機100aでも、図1等に示すような硬貨釣銭機100と同様に、検出手段150によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152は、この在高不明確状態の内容または発生原因に基づいて、記憶部134に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっているが、特定の精査方法として、上述のような機内循環処理に係る精査方法が選択される場合もある。具体的には、図13に示すような硬貨釣銭機100aでは、精査方法として、「(i)全回収」や「(ii)金種個別回収」が選択される代わりに機内循環処理が選択されるようになる。
【0098】
図13に示すような硬貨釣銭機100aの更なる変形例として、一時保留部180が硬貨釣銭機100aの筐体110内に設けられる代わりに、一時保留部180が硬貨釣銭機100aの筐体110の外部に着脱自在に取り付けられるようになっていてもよい。このような更なる変形例では、精査方法として機内循環処理を行う場合に、各硬貨収納部106から硬貨が繰り出されて出金搬送部108により搬送され、硬貨払出部116に送られた硬貨が自動的に一時保留部180に保留され、その後、一時保留部180に保留された硬貨が自動的に硬貨受入部114によって筐体110内に受け入れられて各硬貨収納部106に戻されるようになる。このような更なる変形例でも、機内循環処理に係る精査方法を適切に行うことができる。」

(1b)引用文献1には以下の図が示されている。



2 引用文献1に記載された発明及び技術的事項
(1)摘示(1a)及び摘示(1b)の図から、「変形例」(段落【0091】)の構成について以下の事項が認定できる。
(なお、該「変形例」は、「本実施の形態」(段落【0028】?段落【0089】、図1?12)から精査方法を自動的に行う点に関して変形したものであるから、精査方法を自動的に行う点以外の構成については「本実施の形態」(段落【0028】?段落【0089】、図1?12)と同様と認められる。)

ア 硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を組み合わせた貨幣釣銭機であること(段落【0028】,【0093】、図1?3)。

イ 硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっていること(段落【0028】)。

ウ 硬貨釣銭機100は硬貨制御部130および表示制御部140を有し、紙幣釣銭機200は紙幣制御部230を有すること(段落【0030】、図1,3)。

エ 硬貨制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっており(段落【0049】、図3)、紙幣制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっていること(段落【0050】、図3)。

オ 記憶部144には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が記憶されるようになっており(段落【0048】、図3)、記憶部134には、硬貨釣銭機100における硬貨の処理状況や、硬貨釣銭機100の内部に収納された硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっており(段落【0049】、図3)、記憶部234には、紙幣釣銭機200における紙幣の処理状況や、紙幣釣銭機200の内部に収納された紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっていること(段落【0050】、図3)。

カ 硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合、硬貨を機体内に取り込み、硬貨収納部106に金種別に収納し、硬貨釣銭機100から硬貨を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により硬貨収納部106に収納されている硬貨が繰り出され、硬貨払出部116へ搬送されること(段落【0053】?【0054】、図1?3)。

キ 紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合、入金紙幣を一括で取り込んで各紙幣収納部206に金種別に収納され、紙幣釣銭機200から紙幣を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により紙幣収納部206に収納されている紙幣が繰り出されて紙幣払出部216に送られ、筐体210外へ放出されること(段落【0055】?【0056】、図1?3)。

ク 硬貨釣銭機100において、各硬貨収納部106、入金搬送部103、出金搬送部108、硬貨受入部114、硬貨払出部116等は一体型の硬貨収納庫となっており、この硬貨収納庫を筐体110から手前側に引き出すことにより硬貨収納庫を開け(段落【0037】,【0057】)、紙幣釣銭機200において、各紙幣収納部206、紙幣受入部214、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、紙幣回収カセット207、周回搬送部203aおよび接続搬送部203b等は一体型の紙幣収納庫となっており、この紙幣収納庫を筐体210から手前側に引き出したりすることにより紙幣収納庫を開けること(段落【0044】,【0057】)。

ケ 在高不明確状態の内容または発生原因としては、(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこととしての「収納庫開」等が挙げられること(段落【0058】、図4?5)。

コ 精査処理として、(i)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から全ての金種の硬貨や紙幣を回収する「全回収」等が挙げられ(段落【0059】,【0080】、図4?5)、「全回収」で全ての金種の硬貨や紙幣が払い出される際に、これらの硬貨や紙幣の計数が行われること(段落【0080】)。

サ 記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容または発生原因との関係が記憶部134、234に記憶されるようになっており(段落【0070】)、その関係において、在高不明確状態の内容や発生原因が「(a)収納庫開」である場合には、「(i)全回収」の精査方法が選択されること(段落【0067】、図4?5)。

シ 硬貨釣銭機100の硬貨制御部130に検出手段150、出力手段152がそれぞれ接続されており、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230にも検出手段250、出力手段252がそれぞれ接続されていること(段落【0065】、図3)。

ス 検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152、252は、記憶部134、234に記憶された関係を用いて、この在高不明確状態の内容または発生原因に対応する特定の精査方法を選択して出力するようになっていること(段落【0070】,【0085】)。

セ 硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、出力手段152、252により、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法が選択されて出力されたときに、出力された精査方法を自動的に行うようになっており、出力手段152、252により精査方法として「(i)全回収」が選択されたときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるようになっていること(段落【0091】)。

(2)したがって、これらを整理すると、引用文献1には次の発明が記載されていると認められる。

<引用発明>
「硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を組み合わせた貨幣釣銭機であって、
硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっており、
硬貨釣銭機100は硬貨制御部130および表示制御部140を有し、紙幣釣銭機200は紙幣制御部230を有し、
硬貨制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっており、紙幣制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっており、
記憶部144には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が記憶されるようになっており、記憶部134には、硬貨釣銭機100における硬貨の処理状況や、硬貨釣銭機100の内部に収納された硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっており、記憶部234には、紙幣釣銭機200における紙幣の処理状況や、紙幣釣銭機200の内部に収納された紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっており、
硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合、硬貨を機体内に取り込み、硬貨収納部106に金種別に収納し、硬貨釣銭機100から硬貨を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により硬貨収納部106に収納されている硬貨が繰り出され、硬貨払出部116へ搬送され、
紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合、入金紙幣を一括で取り込んで各紙幣収納部206に金種別に収納され、紙幣釣銭機200から紙幣を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により紙幣収納部206に収納されている紙幣が繰り出されて紙幣払出部216に送られ、筐体210外へ放出され、
硬貨釣銭機100において、各硬貨収納部106、入金搬送部103、出金搬送部108、硬貨受入部114、硬貨払出部116等は一体型の硬貨収納庫となっており、この硬貨収納庫を筐体110から手前側に引き出すことにより硬貨収納庫を開け、紙幣釣銭機200において、各紙幣収納部206、紙幣受入部214、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、紙幣回収カセット207、周回搬送部203aおよび接続搬送部203b等は一体型の紙幣収納庫となっており、この紙幣収納庫を筐体210から手前側に引き出したりすることにより紙幣収納庫を開け、
在高不明確状態の内容または発生原因としては、(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこととしての「収納庫開」等が挙げられ、
精査処理として、(i)硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から全ての金種の硬貨や紙幣を回収する「全回収」等が挙げられ、「全回収」で全ての金種の硬貨や紙幣が払い出される際にこれらの硬貨や紙幣の計数が行われ、
記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容または発生原因との関係が記憶部134、234に記憶されるようになっており、その関係において、在高不明確状態の内容や発生原因が「(a)収納庫開」である場合には、「(i)全回収」の精査方法が選択され、
硬貨釣銭機100の硬貨制御部130に検出手段150、出力手段152がそれぞれ接続されており、紙幣釣銭機200の紙幣制御部230にも検出手段250、出力手段252がそれぞれ接続され、
検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152、252は、記憶部134、234に記憶された関係を用いて、この在高不明確状態の内容または発生原因に対応する特定の精査方法を選択して出力するようになっており、
硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、出力手段152、252により、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法が選択されて出力されたときに、出力された精査方法を自動的に行うようになっており、出力手段152、252により精査方法として「(i)全回収」が選択されたときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるようになっている、
貨幣釣銭機。」

(3)さらに摘記事項(1a)及び摘示(1b)の図から以下の技術的事項が認定できる。

<技術的事項A>
硬貨釣銭機100aでは、一時保留部180が設けられ、精査方法として、各硬貨収納部106から硬貨を繰り出して一時保留部180で一時的に保留し、その後一時保留部180に保留された硬貨を各硬貨収納部106に戻すような機内循環処理も用いられるようになっており、機内循環処理が行われる際に、各硬貨収納部106から硬貨が繰り出されるときにこの硬貨の計数が行われるのであって、機内循環処理に係る精査方法も記憶部134に記憶されるようになっており、検出手段150によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152は、この在高不明確状態の内容または発生原因に基づいて、記憶部134に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっているが、特定の精査方法として、「(i)全回収」等が選択される代わりに機内循環処理が選択されるようになること(段落【0095】?【0097】、図4?5,13)。


第6 対比
1 本願発明1と引用発明とを対比する。

(1)引用発明における「硬貨」及び「紙幣」と、「硬貨収納部106」及び「紙幣収納部206」と、「POSレジスタ300」と、「硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200を組み合わせた貨幣釣銭機」とは、それぞれ本願発明1における「貨幣」と、「収納庫」と、「上位装置」と、「金銭処理装置」とに相当する。

(2)引用発明の「貨幣釣銭機」における「硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合、硬貨を機体内に取り込み、硬貨収納部106に金種別に収納し」という構成及び「紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合、入金紙幣を一括で取り込んで各紙幣収納部206に金種別に収納され」という構成は、上記「(1)」をも踏まえると、本願発明1の「金銭処理装置」における「入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し」という構成に相当する。

(3)引用発明の「貨幣釣銭機」における「硬貨釣銭機100から硬貨を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により硬貨収納部106に収納されている硬貨が繰り出され、硬貨払出部116へ搬送され」という構成及び「紙幣釣銭機200から紙幣を出金する場合、POSレジスタ300からの出金指令により紙幣収納部206に収納されている紙幣が繰り出されて紙幣払出部216に送られ、筐体210外へ放出され」という構成は、上記「(1)」をも踏まえると、本願発明1の「金銭処理装置」における「上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出し」という構成に相当する。

(4)引用発明の「貨幣釣銭機」は、「記憶部144」において「硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が記憶されるようになっており」、「記憶部134」において「硬貨釣銭機100における硬貨の処理状況や、硬貨釣銭機100の内部に収納された硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっており」、「記憶部234」において、「紙幣釣銭機200における紙幣の処理状況や、紙幣釣銭機200の内部に収納された紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになって」いることから、入出金処理の際の入出金についての入出金情報を記憶して保持するものといえる。
また引用発明の「貨幣釣銭機」は、「精査方法を自動的に行う」ので、収納されている硬貨や紙幣を再計数する精査を行うものであることは明らかである。
してみると、かかる「貨幣釣銭機」の構成と、本願発明1における「金銭処理装置」の「入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用いて収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置であって」という構成とは、上記「(1)?(3)」をも踏まえると、「入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置であって」という限度で共通する。

(5)引用発明における「在高不明確状態の内容または発生原因として」の「(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこととしての「収納庫開」」は人の操作によってなされるのであるから、本願発明1における「前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作」に相当する。そして、引用発明において「検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出され」ることから、かかる「検出手段150、250」は「在高不明確状態の発生」すなわち「(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこととしての「収納庫開」」が発生したことを検出するものであるから、機能上、本願発明1の「前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が発生したか否かを判断する人為的接触操作判断部」に相当するものといえる。

(6)引用発明における「記憶部134、234に記憶された各精査方法と在高不明確状態の内容または発生原因との関係が記憶部134、234に記憶されるようになっており、その関係において、在高不明確状態の内容や発生原因が「(a)収納庫開」である場合には、「(i)全回収」の精査方法が選択され、」という構成、及び「検出手段150、250によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152、252は、記憶部134、234に記憶された関係を用いて、この在高不明確状態の内容または発生原因に対応する特定の精査方法を選択して出力するようになっており、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200では、出力手段152、252により、記憶部134、234に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法が選択されて出力されたときに、出力された精査方法を自動的に行うようになっており、出力手段152、252により精査方法として「(i)全回収」が選択されたときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるようになっている」という構成によれば、「検出手段150、250によって在高不明確状態」として「(a)硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫が開いたこととしての「収納庫開」」が「検出されたとき」には「出力手段152、252は、記憶部134、234に記憶された関係を用いて、この在高不明確状態の内容または発生原因に対応する特定の精査方法」として「(i)全回収」の精査方法」を「選択して出力するようになって」いて、「出力された精査方法を自動的に行う」にあたって「出力手段152、252により精査方法として「(i)全回収」が選択されたときに、硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるようになっている」のであって、「自動的」に行われるこの「(i)全回収」の精査方法」は「収納庫開」の発生箇所である「硬貨釣銭機100の硬貨収納庫や紙幣釣銭機200の紙幣収納庫」で当然行われるものといえる。
そして、引用発明における「硬貨釣銭機100は硬貨制御部130および表示制御部140を有し、紙幣釣銭機200は紙幣制御部230を有し、硬貨制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっており、紙幣制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっており」という構成から、「硬貨制御部130」が「硬貨釣銭機100」における「硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令」を送って制御するものであり、「紙幣制御部230」が「紙幣釣銭機200」における「紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令」を送って制御するものであるので、「出力された精査方法を自動的に行う」ための、「硬貨釣銭機100の硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の紙幣収納部206から全ての金種の硬貨や紙幣が自動的に硬貨払出部116や紙幣払出部216に払い出されるように」する制御は「硬貨制御部130」や「紙幣制御部230」によってなされるものと解される。
してみると、かかる「硬貨制御部130」及び「紙幣制御部230」と、本願発明1における「前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生した時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査し、精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる精査制御部」とは、上記「(1),(5)」をも踏まえると、「前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生した時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査する精査制御部」という限度で共通するものといえる。

2 以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「入金された貨幣を取り込んで収納庫に振分収納し、上位装置からの指示によって前記収納庫から収納貨幣を放出して入出金情報として保持するとともに、収納貨幣を再計数する精査を行うことができる金銭処理装置であって、
前記収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が発生したか否かを判断する人為的接触操作判断部と、
前記所定の人為的接触操作が発生した場合、該所定の人為的接触操作が発生した時点で前記所定の人為的接触操作が発生した箇所の収納貨幣を自動精査する精査制御部と、
を備えたことを特徴とする金銭処理装置。」

【相違点1】
「精査」について、本願発明1は「前記収納庫間で貨幣の入出が可能な精査庫を用い」るのに対し、引用発明はそのように精査庫を用いるものでない点。

【相違点2】
「精査制御部」について、本願発明1では「精査時刻および精査結果を精査情報として記憶部に保持させる」のに対し、引用発明ではそのように保持させるのか不明である点。


第7 判断
1 相違点についての検討
各相違点について検討する。
(1)相違点1について
上記「第5 2(3)」で述べたように、引用文献1には技術的事項A、すなわち硬貨釣銭機100aでは、一時保留部180が設けられ、精査方法として、各硬貨収納部106から硬貨を繰り出して一時保留部180で一時的に保留し、その後一時保留部180に保留された硬貨を各硬貨収納部106に戻すような機内循環処理も用いられるようになっており、機内循環処理が行われる際に、各硬貨収納部106から硬貨が繰り出されるときにこの硬貨の計数が行われるのであって、機内循環処理に係る精査方法も記憶部134に記憶されるようになっており、検出手段150によって在高不明確状態の発生が検出されたときに、出力手段152は、この在高不明確状態の内容または発生原因に基づいて、記憶部134に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法を選択して出力するようになっているが、特定の精査方法として、「(i)全回収」等が選択される代わりに機内循環処理が選択されるようになること、も記載されている。
そして技術的事項Aにおける「一時保留部180」は、「精査方法」としての「機内循環処理が行われる際に」、「各硬貨収納部106」(本願発明1の「収納庫」に相当する。以下括弧内に本願発明1の相当する構成を記す。)との間で硬貨(「貨幣」)の入出を行うものであるから、本願発明1における「精査庫」に相当するものといえる。
してみると、引用発明において、精査機能の共通性から技術的事項Aを適用し、「硬貨釣銭機100」に「一時保留部180」(「精査庫」)を設け、「各硬貨収納部106」(「収納庫」)との間で「硬貨」の入出を行う「一時保留部180」を用いた「機内循環処理に係る精査方法」も「記憶部134」に記憶させ、「記憶部134」に記憶された複数の精査方法のうち特定の精査方法として「(i)全回収」が選択される代わりに「機内循環処理」が選択されるようにすることで、相違点1に係る本願発明1の構成に想到することに格別な困難性は認められない。

(2)相違点2について
貨幣を扱う装置において、精査等の処理についての処理時刻や処理結果等の処理情報を記憶させることは、本願の出願前に周知技術である(必要であれば、原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2009-139980号公報(段落【0055】?【0059】、図4,6)、特開2010-72999号公報(段落【0020】、図6)、特開2012-38186号公報(【0052】、図4)、特開2013-200623号公報(段落【0042】?【0043】、図2)を参照されたい。)。
そして、引用発明の「貨幣釣銭機」は「硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が記憶されるようになって」いる「記憶部144」と、「硬貨釣銭機100における硬貨の処理状況や、硬貨釣銭機100の内部に収納された硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになって」いる「記憶部134」と、「紙幣釣銭機200における紙幣の処理状況や、紙幣釣銭機200の内部に収納された紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになって」いる「記憶部234」とを備えるものである。
してみると、引用発明において、現金を扱う装置における精査等の処理機能の共通性から上記周知技術を適用し、自動精査を行った際にその精査時刻及び精査結果を精査についての処理情報として、「記憶部144」、「記憶部234」及び「記憶部234」の少なくともいずれかに記憶させることで、相違点2に係る本願発明1の構成に想到することに格別な困難性は認められない。

2 効果について
本願発明1の効果は、引用発明、技術的事項A及び上記周知技術のそれぞれの効果の総和から当業者が予想し得た範囲を越えるような格別なものでない。

3 請求人の主張について
審判請求書において請求人は以下の主張をしている。
「(4-3)本願発明と引用発明との対比
本願発明は、収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に所定の人為的接触操作が発生したものと判断する構成を有することを特徴とするものであり、かかる構成は、引用文献1?3のいずれにも記載されていません。
本願発明は、所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に所定の人為的接触操作が発生したものと判断することにより、人為的接触操作の誤検知を防止し、無駄な精査処理を削減でき、金銭処理装置の稼働率を高めることができるという引用文献1?3を適宜組み合わせたものからは期待できない顕著な効果を奏するものです。
したがって、本願発明は、引用文献1?3をもとに容易に想到することができたものとは言い難いものと思料します。」(「(4-3)の項」)
しかしながら、上記「第2 平成30年6月18日になされた手続補正についての補正の却下の決定」のとおり、「収納貨幣の過不足発生に関する所定の人為的接触操作が所定時間以上、継続して発生した場合に所定の人為的接触操作が発生したものと判断する」ことを特定する本件補正は却下されたことから、この主張は採用できない。

3 小括
以上より、本願発明1は、引用文献1に記載された引用発明、引用文献1に記載された技術的事項A及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。


第8 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-17 
結審通知日 2019-04-23 
審決日 2019-05-09 
出願番号 特願2014-31008(P2014-31008)
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (G07G)
P 1 8・ 121- WZ (G07G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小島 哲次  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 氏原 康宏
中村 泰二郎
発明の名称 金銭処理装置および金銭処理装置の在高管理方法  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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