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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1352825
審判番号 不服2018-7963  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-08 
確定日 2019-06-17 
事件の表示 特願2016-124479号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月15日出願公開、特開2016-165636号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
(1)手続の経緯
本願は、平成26年6月24日に出願した特願2014-129319号の一部を平成28年6月23日に新たな特許出願(特願2016-124479号)としたものであり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
平成29年 9月22日付け:拒絶理由通知
平成29年11月27日 :意見書、手続補正書の提出
平成30年 2月28日付け:拒絶査定
平成30年 6月 8日 :審判請求書、手続補正書の提出
平成31年 1月16日付け:拒絶理由通知(以下、通知された拒絶の理由を「当審拒絶理由」という。)
平成31年 3月18日 :意見書(以下単に「意見書」という。)、手続補正書(以下、該手続補正書による補正を「本件補正」という。)の提出

(2)本願発明
本願の請求項1に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認める。
「所定の条件の成立に基づいて、始動情報を取得する始動情報取得手段と、
所定の上限数を限度に、前記始動情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態とするか否かの抽選を行う抽選手段と、
所定の開始条件が成立したことに基づいて、識別情報の可変表示を開始する識別情報表示手段と、
前記開始条件の成立に先立って、前記始動情報を判定する先読み判定手段と、
前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づく保留表示を表示可能な保留表示手段と、
前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、通常保留表示態様または該通常保留表示態様とは異なる特別保留表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する保留変化予告を実行する保留変化予告制御手段と、
遊技者が操作可能な操作手段と、
前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、前記通常保留表示態様および前記特別保留表示態様とは異なる、前記操作手段による操作を受け付け可能とする所定の操作保留表示態様で表示する操作保留変化予告を実行可能な操作保留変化予告制御手段と、
前記識別情報表示手段により前記識別情報の可変表示が開始される場合に、該可変表示に対応する前記保留表示を特定表示として所定領域に表示可能な特定表示手段と、
前記抽選手段および/または前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記特定表示を、通常表示態様または該通常表示態様とは異なる特別表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する特定表示予告を実行する特定表示予告制御手段とを備えた遊技機であって、
前記操作保留変化予告制御手段により、操作保留変化予告の対象となっている保留表示の始動情報に基づく可変表示が開始されるまでに、該操作保留変化予告に関連する前記操作手段の操作がない場合には、該操作保留変化予告を終了し、その後、該可変表示の実行開始後から所定期間経過するまでは、該始動情報に基づく特定表示を、該操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様および前記特別表示態様で表示せず、前記所定期間経過後に、該可変表示の実行中において、前記特定表示予告により該始動情報に基づく特定表示を前記特別表示態様で表示可能であることを特徴とする、遊技機。」(以下「本願発明」という。)

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は、概略、次のとおりのものである。
(1)(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用例に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1
・引用例1.特開2014-79268号公報

3 引用例の記載及び引用発明
当審拒絶理由で引用例1として引用され、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2014-79268号公報(平成26年5月8日公開)(以下「引用例」という。)には、遊技台に関し、次の事項が図とともに記載されている。
(1)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図柄変動表示を行う権利の数である保留数を表示可能な遊技台が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
・・・略・・・
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技台では、保留数の表示態様が単調なため、遊技者が図柄変動の保留数の変化に気付きにくい場合があったり、保留数や図柄変動に対する遊技者の興味が薄れてしまうといった問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたものであって、多彩な保留表示を行うことができる遊技台を提供することを目的とする。」

(2)「[他の実施の形態]
【1094】
以下、図165?図213を用いて、本発明の他の実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。なお、図165?図213に示す符号は、原則として本実施形態の説明にのみ用いることとし、重複する符号が他の図面に示されている場合であっても、本実施形態の説明では図165?図213に示す符号を優先する。
<全体構成>
【1095】
パチンコ機100は、外部的構造として、外枠102と、本体104と、前面枠扉106と、発射装置110と、遊技盤200と、をその前面に備える。外枠102は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるための縦長方形状からなる木製の枠部材である。本体104は、内枠と呼ばれ、外枠102の内部に備えられ、ヒンジ部112を介して外枠102に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、本体104は、枠状に形成され、内側に空間部114を有している。また、本体104が開放された場合、本体104の開放を検出する不図示の内枠開放センサを備える。
・・・略・・・
【1097】
また前面枠扉106は、開口部116よりも下方の部位に、複数の遊技球(以下、単に「球」と称する場合がある)が貯留可能でかつ発射装置110へと遊技球を案内させる通路が設けられている上皿126と、上皿126に貯留しきれない遊技球を貯留する下皿128と、遊技者の操作によって上皿126に貯留された遊技球を下皿128へと排出させる球抜ボタン130と、遊技者の操作によって下皿128に貯留された遊技球を遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させる球排出レバー132と、遊技者の操作によって発射装置110へと案内された遊技球を遊技盤200の遊技領域124へと打ち出す球発射ハンドル134と、遊技者の操作によって各種演出装置206(図165では図示せず)の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136と、チャンスボタン136を発光させるチャンスボタンランプ138と、設定者(例えば、遊技者、遊技店員)の操作によって各種設定等が可能な設定操作部137と、カードユニット(CRユニット)に対して球貸し指示を行う球貸操作ボタン140と、カードユニットに対して遊技者の残高の返却指示を行う返却操作ボタン142と、遊技者の残高やカードユニットの状態を表示する球貸表示部(図示せず)と、を備える。また、下皿128が満タンであることを検出する不図示の下皿満タンセンサを備える。発射装置110は、本体104の下方に取り付けられ、球発射ハンドル134が遊技者に操作されることによって回動する発射杆146と、遊技球を発射杆146の先端で打突する発射槌148と、を備える。
・・・略・・・
<図柄の種類>
【1138】
次に、図169(a)?(d)を用いて、パチンコ機100の特図1表示装置212、特図2表示装置214、装飾図柄表示装置208、普図表示装置210が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図169(a)は特図1の停止図柄態様の一例を示したものであり、図169(b)は特図2の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本実施形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本実施形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。
・・・略・・・
【1155】
次に、図171を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。主制御部300は、所定の周期(本例では約2msに1回)でタイマ割込信号を発生するカウンタタイマ312を備えており、このタイマ割込信号を契機として主制御部タイマ割込処理を所定の周期で開始する。」

(3)「【図171】



(4)「【1167】
特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組は、特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納される。特図1乱数値記憶領域内では、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図1当選乱数値および特図1乱数値の組のデータが書き込まれる。
【1168】
特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路318の特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図2当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図2乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図2乱数値記憶領域内の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組は、特図2保留数記憶領域に記憶された特図2保留数と同数分だけ格納される。特図2乱数値記憶領域内では、特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図2保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位の特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな特図2当選乱数値および特図2乱数値の組のデータが書き込まれる。
・・・略・・・
【1196】
ステップS229の特図2関連抽選処理の場合には、主制御部300は、特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブル(後述する図174(a)?(d)参照)を用いて大当りとするか、小当り(本例では小当りは特図1でのみ選択され得る)とするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う。次いで、主制御部300は、取得した特図2始動情報内の特図2乱数値および決定した当否判定結果などに基づいて、ROM306に記憶された特図決定用テーブル(後述する図175(a)、(b)参照)を用いて特図2の変動表示後に停止表示する図柄(停止図柄)の決定を行う。次いで、主制御部300は、例えば、決定した当否判定結果、停止図柄、当該当否判定時の特図2保留数、取得した特図変動時間決定用乱数値等に基づいて、ROM306に記憶された各種テーブル(後述する図176および図177参照)を用いて特図2の変動表示時間(タイマ番号)の決定を行う。
【1197】
主制御部300は、特図2乱数値記憶領域から最先の特図2始動情報を取り出した後、当該最先の特図2始動情報を特図2乱数値記憶領域から消去するとともに、特図2保留数記憶領域の特図2保留数を1減算する。このとき、特図2乱数値記憶領域から取り出した特図2始動情報をRAM308に設けた一時領域に記憶し、この一時領域に記憶している特図2始動情報に基づいて上述の決定を行うようにしてもよい。
【1198】
以上のような特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に、特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。
・・・略・・・
<特図先読み処理>
【1210】
図172は、主制御部タイマ割込処理の特図先読み処理(ステップS224)の流れの一例を示すフローチャートである。特図先読み処理では、主制御部300は、特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定し、事前判定結果(特図先読み結果)をRAM308内の先読み結果記憶部(図173(a)?(c)参照)に記憶する。
・・・略・・・
【1275】
また本例では、保留が消化されて特図変動遊技が開始された後に、当該特図変動遊技に対応する1つの変動アイコンが表示される場合がある。変動アイコンは、例えば保留アイコンの表示態様と関連した表示態様からなり、保留アイコンと同様にテクスチャ画像のアニメーションとして表示される。変動アイコンは、その表示態様によって当該変動の当否についての予告(当該変動予告)が可能であり、基本的には当該変動の当否結果が報知されたタイミングで消去される。したがって、変動アイコンは、特図変動遊技の当否結果の報知を保留しているという意味では保留アイコンの一種と考えることもできる。変動アイコンと保留アイコンは同一の態様を有する場合がある。また、特図変動遊技が開始された場合に、該特図変動遊技に対応する保留に基づいて表示される保留アイコンの消去アニメーションが該特図変動遊技に対応する保留に基づいて表示される変動アイコンの表示を示す場合がある。つまり、保留アイコンから変動アイコンへと役割が切り替わることを示すアニメーションのことを保留アイコンの消去アニメーションとする場合がある。この場合、保留アイコンと変動アイコンの表示態様が同一の場合ある。つまり、該消去アニメーションは、保留アイコンとしての機能が失われたことを特に示すもので、且つ保留アイコンが変動アイコンへと切り替わったことを示すアニメーションである。
・・・略・・・
【1278】
図182(a)は、特図1変動遊技の保留に対応する保留アイコンの待機アニメーションの例(例えば、デフォルトの態様)を示している。この例では、テクスチャデータT001に対応する初期状態のテクスチャ画像と、テクスチャデータT002に対応する、初期状態から時計回りに90°回転したテクスチャ画像と、テクスチャデータT003に対応する、初期状態から時計回りに180°回転したテクスチャ画像と、テクスチャデータT004に対応する、初期状態から時計回りに270°回転したテクスチャ画像とが順次繰り返し表示される。各テクスチャ画像は所定色で円形状の外形を有しており、「八」、「代」、「将」、「軍」の4文字が円の周方向に等間隔(90°間隔)で記されている(「八代将軍」柄)。各文字は、いずれも円の中心方向が下となるように配置されている。4つのテクスチャ画像では「八」、「代」、「将」、「軍」のうちいずれか1文字のみが正位置(上下の向きが正しい位置)となっており、初期状態のテクスチャ画像では「八」が正位置となっている。図182(a)に示す待機アニメーションが実行されると、円形の保留アイコンが、円の中心を回転軸として時計回り方向に常に回転し続けるように視認される。
・・・略・・・
<第2副制御部500の処理>
【1285】
次に、図183を用いて、第2副制御部500の処理について説明する。図183(a)は、第2副制御部500のCPU504が実行するメイン処理のフローチャートである。まず、図183(a)のステップS801では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、まずステップS801で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポートの初期設定や、RAM508内の記憶領域の初期化処理等を行う。
【1286】
ステップS801の次のステップS803では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、ステップS805の処理に移行する。ステップS805では、タイマ変数に0を代入する。
【1287】
ステップS805の次のステップS807では、コマンド処理を行う。第2副制御部500のCPU504は、第1副制御部400からコマンドを受信したか否かを判別する。
【1288】
ステップS807の次のステップS809では、演出制御処理を行う。例えば、ステップS807で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する演出データをROM506から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行う。演出制御処理の詳細については後述する。
【1289】
ステップS809の次のステップS811では、ランプ制御処理を行う。例えば、第1副制御部400からの遊技盤用ランプ532や遊技台枠用ランプ542への命令がある場合には、この命令をシリアル通信制御回路520に出力する。
【1290】
ステップS811の次のステップS813では、可動体制御処理を行う。例えば、第1副制御部400からの演出可動体224への命令がある場合には、この命令を駆動回路516に出力する。その後、ステップS803に戻る。
【1291】
図183(b)は、第2副制御部500のCPU504が実行するコマンド受信割込処理のフローチャートである。このコマンド受信割込処理は、第2副制御部500が第1副制御部400からのストローブ信号を検出した場合に実行する処理である。コマンド受信割込処理のステップS901では、第1副制御部400から受信したコマンドを未処理コマンドとしてRAM508に設けたコマンド記憶領域に記憶する。
【1292】
図183(c)は、第2副制御部500のCPU504が実行するタイマ割込処理のフローチャートである。第2副制御部500は、所定の周期(本例では2msに1回)でタイマ割込を発生するハードウェアタイマを備えており、このタイマ割込を契機として、タイマ割込処理を所定の周期で実行する。タイマ割込処理のステップS1001では、第2副制御部メイン処理のステップS803において説明したRAM508のタイマ変数記憶領域の値に、1を加算して元のタイマ変数記憶領域に記憶する。したがって、ステップS803において、タイマ変数の値が10以上と判定されるのは20ms毎(2ms×10)となる。ステップS1001の次のステップS1003では、演出用乱数値の更新処理等を行う。」

(5)「【図183】



(6)「 <演出制御処理>
【1293】
図184は、第2副制御部メイン処理のステップS809における演出制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。演出制御処理のステップS1101では保留アイコン表示制御処理を行い、その次のステップS1103では変動アイコン表示制御処理を行う。保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理の詳細については後述する。なお、保留アイコン表示制御処理および変動アイコン表示制御処理は、特図1および特図2で独立して実行されるようにしてもよいし、特図1および特図2で共通して実行されるようにしてもよい。ステップS1103の次のステップS1105では、その他の演出制御処理を行う。
<保留アイコン表示制御処理>
【1294】
図185は、保留アイコン表示制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、保留アイコン表示制御処理のステップS1201では、第1副制御部400から送信される先読み結果情報コマンド等の各種コマンドに基づき、特図変動遊技の保留数が増加したか否かを判定する。保留数が増加したと判定した場合にはステップS1203に進み、保留数が増加していないと判定した場合にはステップS1209に進む。
【1295】
ステップS1203では、保留アイコン変更シナリオ抽選処理を行う。保留アイコン変更シナリオ抽選処理では、後述する保留アイコン表示態様抽選用テーブル(図187?図190)を参照して、特図変動遊技の保留数、増加した保留に対応するタイマグループ、および保留アイコン表示態様抽選用乱数値に基づき、増加した保留についての保留アイコン変更シナリオを抽選で決定する。保留アイコン変更シナリオは、当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様の変化を表す情報であり、例えば「入賞時:白、1変動後:白、2変動後:青」と表される。本例の保留アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「箱」、「千両箱」がある。なお、増加した保留に対応するタイマグループの情報を取得できない場合(例えば、先読みが実行されていない場合)には、当該保留が消化されるまでの保留アイコンの表示態様をデフォルトの「白」に設定する。
【1296】
ステップS1203の次のステップS1205では、決定した保留アイコン変更シナリオをRAM508に設けられたシナリオ記憶領域に記憶する。ここで、RAM508内のシナリオ記憶領域は、特図1および特図2のそれぞれについての保留可能数と同数(本例では、特図1および特図2のそれぞれについて4つずつ)の記憶領域を有している。各記憶領域は、特図1および特図2のそれぞれの保留順序(保留1?保留4)に対応付けられている。例えば、特図1の最先の保留が消化されて特図1変動遊技が開始されると、特図1の保留1に対応する記憶領域内のデータ(保留アイコン変更シナリオ)が消去され、保留2?保留4に対応する記憶領域内のデータは、保留1?保留3に対応する記憶領域にそれぞれ繰り上がって記憶し直されるようになっている。
・・・略・・・
【1323】
本例の保留アイコンの表示態様は、球系の保留アイコン表示グループでは信頼度(大当り信頼度)の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており、箱系の保留アイコン表示グループでは信頼度の高い方から「千両箱」、「箱」となっている。図187?図190に示す保留アイコン表示態様抽選テーブルでは、当り時に選択されるタイマグループ3、5、7の方が、はずれ時に選択されるタイマグループ1、2、4、6よりも信頼度の高い表示態様が選択され易く、また、信頼度の高い表示態様に変化し易くなっている。
【1324】
ここで、信頼度について言及すると、一般的な信頼度とは、複数回の事象が発生するなかで、対象となる事象が発生する割合を示すものであるが、当業界における信頼度は、大当り信頼度の略語に当たり、同態様の演出が実行された場合に、その内の何%が大当りになるかを示すものである。例えば、信頼度が30.3%である変動アイコンの表示態様「赤」は、当該変動の当否結果が大当りとなる確率が30.3%であることを遊技者に報知すると共に、当該変動の当否結果がはずれとなる確率が69.7%であることを遊技者に報知することとなる。つまり、該先読み予告報知は、大当り信頼度の報知と共にはずれ信頼度を同時に報知していると換言できる。また、信頼度は、1の値に限られず、例えば約5?7%のように幅を持たせてもよい。信頼度は、図1730に示すテーブルの乱数範囲の振分けを調整することによって変更することができる。例えば、特定の表示態様の信頼
度を高くする場合には、当該表示態様が大当り時に選択され易くするか、はずれ時に選択され難くすればよい。
【1325】
上述の通り、本例の保留アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「箱」、「千両箱」の5種類がある。変動アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」の8種類がある。これらのうち、「白」、「青」、「赤」の3種類は、保留アイコンと変動アイコンとで共通の表示態様である。「箱」、「千両箱」の2種類は、保留アイコンに固有の表示態様であり、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」の5種類は、変動アイコンに固有の表示態様である。言い換えれば、本例の保留アイコンの表示態様には、3種類の共通表示態様と2種類の固有表示態様とがあり、変動アイコンの表示態様には、3種類の共通表示態様と5種類の固有表示態様とがある。本例では、変動アイコンの固有表示態様の数(本例では5)は、保留アイコンの固有表示態様の数(本例では2)よりも大きい。保留アイコンの表示態様は、全て共通表示態様(固有表示態様が0)であってもよい。」

(7)「【1339】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100において実行される演出の具体例について説明する。
<実施例1-1>
【1340】
図192は、実施例1-1の演出表示の例を時系列で示した図である。同図(b)?(h)の期間は、特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。同図(b)に示すタイミングでは、特図1表示装置212で特図1の変動表示が開始される。特図1保留ランプ218は、特図1の保留数が3から2に減少したことを表示する。
【1341】
図柄表示領域208a?208cでは、装飾図柄の変動表示が開始される。変動アイコン表示領域800および保留アイコン表示領域900では、保留・変動アイコン間の移動アニメーション、保留アイコンの移動アニメーションが開始される。
【1342】
保留・変動アイコン間の移動アニメーションでは、同図(b)?(c)に示すように、保留アイコン表示領域900の第1領域に表示されていた保留アイコン901が、変動アイコン802となって、表示サイズが徐々に拡大されながら変動アイコン表示領域800に移動する。保留アイコンの移動アニメーションでは、同図(b)?(c)に示すように、保留アイコン表示領域900の第2および第3領域に表示されていた保留アイコン902、903が第1および第2領域にそれぞれ移動する。
【1343】
上述のとおり、第2副制御部500は、図185に示す保留アイコン表示制御処理において、保留アイコン変更条件が成立し、かつ、当該変動のタイマ番号がタイマ2(変動時間3000msの短縮変動)の場合には、保留アイコン変動アニメーション3(アイコン変更アニメ3)を表示し、保留アイコン変更条件が成立し、かつ、当該変動のタイマ番号がタイマ2(変動時間3000msの短縮変動)以外の場合には、保留アイコン変動アニメーション1(アイコン変更アニメ1)または保留アイコン変動アニメーション2(アイコン変更アニメ2)を表示する。
【1344】
ここでは、保留アイコン変更シナリオに規定されたタイミングが到来したことで保留アイコン変更条件が成立し、かつ、タイマ番号がタイマ2(変動時間3000msの短縮変動)以外のため、保留アイコン変動アニメーション1(アイコン変更アニメ1)を表示する場合について説明する。
【1345】
同図(d)は、アイコン変更アニメ1を開始した状態である。このアイコン変更アニメ1では、上記図191に示すように、(表示態様1:導入)キャラクターがアイコンの直上から落下→(表示態様2;煽り)アイコンの上でジャンプ×5回(ループ動作)→(表示態様3:結果報知)アイコンの態様を変化→(表示態様4:エンディング)キャラクタが消える、の順番でアニメーションを行う。
【1346】
同図(d)?(e)のタイミングでは、アイコン変更アニメ1の(表示態様1:導入)に従って、殿のキャラクターが保留アイコン903の直上から落下するアニメーションを行っている。なお、ここでは、保留アイコン903の態様を変化させるために、キャラクタ?が保留アイコン903の直上に落下するアニメーションを行っているが、保留アイコン902の態様を変化させる場合には、キャラクターが保留アイコン902の直上に落下するアニメーションを行う。
【1347】
続いて、同図(f)のタイミングでは、アイコン変更アニメ1の(表示態様2:煽り)に従って、殿のキャラクターが保留アイコン903の上で5回ジャンプするアニメーションを行っている。続いて、同図(g)のタイミングでは、アイコン変更アニメ1の(表示態様3:結果報知)に従って、保留アイコン903の態様を変化させる(この例では、保留アイコン903の色を白から赤に変化させる)アニメーションを行っている。なお、ここでは、保留アイコンの色を1フレーム間で変更してもよいし、数フレームに亘って徐々に変更してもよい。また、保留アイコンの態様の変化は色に限定されず、保留アイコンの種類、模様、形状、大きさなどでもよい(以下の実施例についても同様である)。
【1348】
最後に、同図(g)?(h)のタイミングでは、アイコン変更アニメ1の(表示態様4:エンディング)に従って、殿のキャラクタが装飾図柄表示装置208の表示領域からフレームアウト(消える)アニメーションを行っている。この例では、同図(d)?(h)に示す期間でアイコン変更アニメ1を行っており、その表示期間は12000msである。
・・・略・・・
<実施例1-4>
【1371】
図196は、実施例1-4の演出表示の例を時系列で示した図である。同図(a)は、特図1変動遊技の変動期間中に、特図1の保留数が1つ増加した状態を示している。特図1保留ランプ218は、特図1の保留数が2から3に増加したことを表示する。また、保留アイコン表示領域900の第3領域に、チャンスボタン136の操作を促すための保留アイコン(この例では、チャンスボタン136を模した画像)903を表示する。
【1372】
同図(b)?(d)はチャンスボタン136の押下操作があった場合の演出表示の例である。ここでは、チャンスボタン136の操作受付により保留アイコン変更条件が成立し、アイコン変更アニメ6を表示する場合について説明する。
【1373】
同図(b)は、アイコン変更アニメ6を開始した状態である。このアイコン変更アニメ6では、上記図191に示すように、(表示態様1:煽り)チャンスボタンの押下検出に基づいて該保留アイコンの位置に煙の画像を表示し、保留アイコンを視認困難にする→(表示態様2:態様変更)視認困難になっている間に対象の保留アイコンの態様を変更→(表示態様3:結果報知)煙が晴れて保留アイコンが視認可能となる、の順番でアニメーションを行う。
【1374】
同図(b)のタイミングでは、アイコン変更アニメ6の(表示態様1:導入)に従って、チャンスボタン136の押下検出に基づいて保留アイコン903の位置に煙の画像を表示し、保留アイコン903を視認困難にするアニメーションを行っている。続いて、同図(c)のタイミングでは、アイコン変更アニメ6の(表示態様2:態様変更)に従って、視認困難になっている間に対象の保留アイコン903の態様(この例では、保留アイコン903の色)を変更するアニメーションを行っている。
【1375】
最後に、同図(d)のタイミングでは、アイコン変更アニメ6の(表示態様3:結果報知)に従って、煙が晴れて保留アイコン903が視認可能となるアニメーションを行っている。この例では、同図(b)?(d)に示す期間でアイコン変更アニメ6を行っており、その表示期間は4500msである。したがって、保留アイコンの態様変更により先読みの結果を把握するためには、チャンスボタン136の押下操作後から4500msの時間が必要である。
【1376】
一方、同図(b´)?(d´)はチャンスボタン136の押下操作がなかった場合の演出表示の例である。この場合、チャンスボタンの受付操作無し、かつ変動開始により保留アイコン変更条件が成立し、アイコン変更アニメ7の表示が行われる。
【1377】
同図(b´)は、アイコン変更アニメ7を開始した状態である。このアイコン変更アニメ7では、上記図191に示すように、(表示態様1:導入)対象のアイコンをチャンスボタンを模した画像で表示→(表示態様2:態様変更)変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像を変更、の順番でアニメーションを行う。
【1378】
同図(b´)のタイミングでは、アイコン変更アニメ7の(表示態様1:導入)に従って、対象の保留アイコン901を、チャンスボタン136を模した画像で表示するアニメーションを行っている。続いて、同図(c´)?(d´)のタイミングでは、アイコン変更アニメ7の(表示態様2:態様変更)に従って、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコン901の画像を変更するアニメーションを行っている。
【1379】
この例では、同図(b´)?(d´)に示す期間でアイコン変更アニメ7を行っており、その表示期間は1500msである。したがって、保留アイコンの態様変更により先読みの結果を把握するためには、次回の変動開始後から1500msの時間が必要である。
【1380】
この例では、チャンスボタンを押下すれば、先読み結果を早く知ることができるが、長い間保留アニメを見なくてはならない。一方、チャンスボタンを押下しなければ、当該変動まで先読み結果を知ることができないが、保留アニメを見る期間が短くてすむ。つまり、先読み結果を知るタイミングと保留アニメを見る期間を遊技者が任意に選択することができる。なお、チャンスボタンを押下した方が、先読み結果を早く知ることができつつも、実行される保留アニメが短くなるように構成してもよい。
【1381】
本例では、上述したように、チャンスボタンを押下すれば、先読み結果を早く知ることができ、押下しなければ先読み結果の報知が遅れるものであったが、これに限るものではなく、逆にチャンスボタンの押下があった場合よりもチャンスボタンの押下が無かった場合の方が早く先読み結果が報知されてもよい。また、本例では、第一の態様で表示された保留アイコンを第二の態様に変更するまでに、チャンスボタンの押下があれば4500ms、チャンスボタンの押下が無ければ1500msかかっているがこれに限らず、例えばチャンスボタンの押下があった方が、チャンスボタンの押下が無い場合よりも短い保留アニメが実行されるように構成してもよい。」

(8)「【図196】



(9)上記(2)の「【1155】 図171を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する」との記載、上記(3)の図171の記載、上記(4)の「【1167】 特図1始動口230へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。 ・・・・・・ 【1168】 特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路318の特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図2当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図2乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に取得順に格納する。・・・」との記載より、引用例には、主制御部300が、特図1始動口230又は特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域又は特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230又は特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値又は特図2当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタ又は特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値又は第2特図乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域又は特図2乱数値記憶領域に取得順に格納することが記載されているものと認められる。

(10)上記(2)の「【1155】 図171を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する」との記載、上記(3)の図171の記載、上記(4)の「【1196】 ステップS229の特図2関連抽選処理の場合には、主制御部300は、特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図2始動情報(特図2当選乱数値および特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図2始動情報内の特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブル(後述する図174(a)?(d)参照)を用いて大当りとするか、小当り(本例では小当りは特図1でのみ選択され得る)とするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う。・・・【1198】 以上のような特図2関連抽選処理(ステップS229)の後に、特図1関連抽選処理(ステップS231)が同様にして行われる。」との記載から、引用例には、主制御部300が、特図1又は特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図1又は特図2始動情報(特図1又は特図2当選乱数値および特図1又は特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図1又は特図2始動情報内の特図1又は特図2当選乱数値およびRAM308’内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブルを用いて大当りとするか、小当り(特図1でのみ選択され得る)とするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う、特図1および特図2それぞれについての特図関連抽選処理を行うことが記載されているものと認められる。

(11)上記(4)の「【1285】・・・図183を用いて、第2副制御部500の処理について説明する。図183(a)は、第2副制御部500のCPU504が実行するメイン処理のフローチャートである。」との記載、上記(5)の図183の記載からみて、引用例には、第2副制御部500が、保留アイコン及び変動アイコンに関係する演出を実行することが記載されているものと認められる。

(12)上記(6)の「【1325】・・・ これらのうち、「白」、「青」、「赤」の3種類は、保留アイコンと変動アイコンとで共通の表示態様である。」との記載、上記(7)の「【1371】・・・チャンスボタン136の操作を促すための保留アイコン(この例では、チャンスボタン136を模した画像)903を表示する。」、「【1376】 一方、同図(b´)?(d´)はチャンスボタン136の押下操作がなかった場合の演出表示の例である。」、「【1378】・・・、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコン901の画像を変更するアニメーションを行っている。【1379】 この例では、同図(b´)?(d´)に示す期間でアイコン変更アニメ7を行っており、その表示期間は1500msである。」との記載、上記(11)、上記(8)の図196の記載からみて、引用例には、第2副制御部500は、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を表示した状態で、チャンスボタン136の押下操作がなかった場合、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像変更のアニメーションを1500msの期間で行うものであり、具体的には、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を、「白」でない(「青」又は「赤」の)変動アイコンに変更することが記載されているものと認められる。

(13)上記(1)ないし(12)からみて、引用例には、実施形態として、次の発明が記載されているものと認められる(なお、引用箇所の段落番号等を併記した。)。
「a、b 特図1始動口230又は特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域又は特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、乱数値生成回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230又は特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値又は特図2当選乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた特図1乱数値生成用乱数カウンタ又は特図2乱数値生成用乱数カウンタから特図1乱数値又は第2特図乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域又は特図2乱数値記憶領域に取得順に格納し(上記(9))、
c 特図1又は特図2乱数値記憶領域内の最先の(最も過去に記憶された)保留位置から特図1又は特図2始動情報(特図1又は特図2当選乱数値および特図1又は特図2乱数値の組)を取得し、取得した特図1又は特図2始動情報内の特図1又は特図2当選乱数値およびRAM308内の特図確率変動フラグの値などに基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブルを用いて大当りとするか、小当り(特図1でのみ選択され得る)とするか、あるいははずれとするかの決定(当否判定)を行う、特図1および特図2それぞれについての特図関連抽選処理を行い(上記(10))、
e 特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定する特図先読み処理を実行する(【1210】)、
主制御部300(【1210】、上記(9)、上記(10))と、
d 特図1又は特図2の最先の保留を消化し特図1又は特図2変動遊技を開始する、特図1表示装置212及び特図2表示装置214(【1138】、【1296】)と、
f 特図変動遊技の保留に対応する保留アイコンを表示する保留アイコン表示領域900(【1278】、【1342】)と、
h 遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136(【1097】)と、
j 保留が消化されて特図変動遊技が開始された後に、当該特図変動遊技に対応する1つの変動アイコンを表示する変動アイコン表示領域800(【1275】、【1341】)と、
g 保留アイコンの表示態様は、大当り信頼度の高い方から「赤」、「青」、「白」となっており(【1323】)、保留アイコン903の色を白から赤に変化させるアニメーションを行わせることが可能であり(【1347】)、
i 保留アイコン変更条件を成立させるため、チャンスボタン136の操作を促すための保留アイコンとして、チャンスボタン136を模した画像903を表示させることが可能であり(【1371】、【1372】)、
k 変動アイコンの表示態様には、「白」、「青」、「赤」、「金」、「煙」、「酒」、「刀」、「家紋」の8種類があり、これらのうち、「白」、「青」、「赤」の3種類は、保留アイコンと変動アイコンとで共通の表示態様であるようになす(【1325】)、
第2副制御部500(【1293】、上記(11))と、
を備えたパチンコ遊技機100(【1095】、【1138】)であって、
i1’第2副制御部500は、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を表示した状態で、チャンスボタン136の押下操作がなかった場合、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像変更のアニメーションを1500msの表示期間で行うものであり、具体的には、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を、「白」でない(「青」又は「赤」の)変動アイコンに変更する(【1371】、【1376】ないし【1378】、図196、上記(12))、
l パチンコ遊技機100(【1095】、【1138】)。」(以下「引用発明」という。なお、記号aないしlについては、本願発明の後述する特定事項AないしLに対応するように合議体が付した。)

4 対比
(1)本願発明を再掲すると以下のとおりである。
「A 所定の条件の成立に基づいて、始動情報を取得する始動情報取得手段と、
B 所定の上限数を限度に、前記始動情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態とするか否かの抽選を行う抽選手段と、
D 所定の開始条件が成立したことに基づいて、識別情報の可変表示を開始する識別情報表示手段と、
E 前記開始条件の成立に先立って、前記始動情報を判定する先読み判定手段と、
F 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づく保留表示を表示可能な保留表示手段と、
G 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、通常保留表示態様または該通常保留表示態様とは異なる特別保留表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する保留変化予告を実行する保留変化予告制御手段と、
H 遊技者が操作可能な操作手段と、
I 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、前記通常保留表示態様および前記特別保留表示態様とは異なる、前記操作手段による操作を受け付け可能とする所定の操作保留表示態様で表示する操作保留変化予告を実行可能な操作保留変化予告制御手段と、
J 前記識別情報表示手段により前記識別情報の可変表示が開始される場合に、該可変表示に対応する前記保留表示を特定表示として所定領域に表示可能な特定表示手段と、
K 前記抽選手段および/または前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記特定表示を、通常表示態様または該通常表示態様とは異なる特別表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する特定表示予告を実行する特定表示予告制御手段とを備えた遊技機であって、
I1 前記操作保留変化予告制御手段により、操作保留変化予告の対象となっている保留表示の始動情報に基づく可変表示が開始されるまでに、該操作保留変化予告に関連する前記操作手段の操作がない場合には、該操作保留変化予告を終了し、その後、該可変表示の実行開始後から所定期間経過するまでは、該始動情報に基づく特定表示を、該操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様および前記特別表示態様で表示せず、前記所定期間経過後に、該可変表示の実行中において、前記特定表示予告により該始動情報に基づく特定表示を前記特別表示態様で表示可能である
L ことを特徴とする、遊技機。」(なお、記号AないしLは、分説するため合議体が付した。)

(2)本願発明と引用発明とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(l)は、本願発明のAないしLに対応させている。
(a)引用発明の「主制御部300」は、「特図1始動口230又は特図2始動口232へ入賞があった場合かつRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域又は特図2保留数記憶領域が満タンでない場合」という所定の条件に基づいて、「特図1始動口230又は特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した特図1当選乱数値又は特図2当選乱数値」という始動情報を「取得する」ものであるから、本願発明の「A 所定の条件の成立に基づいて、始動情報を取得する始動情報取得手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(b)引用発明の「主制御部300」は、「特図1保留数記憶領域又は特図2保留数記憶領域が満タンでない場合」、すなわち、所定の上限数を限度に、取得した「特図1乱数値又は第2特図乱数値」(本願発明の「始動情報」に相当)を「特図1乱数値記憶領域又は特図2乱数値記憶領域」(本願発明の「保留記憶手段」に相当)に「取得順に格納」するものであるから、本願発明の「B 所定の上限数を限度に、前記始動情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(c)引用発明の「主制御部300」は、「特図1又は特図2乱数値記憶領域」(保留記憶手段)内の「特図1又は特図2当選乱数値」(始動情報)「に基づいて、ROM306に記憶された当否判定用テーブルを用いて」「大当り」(本願発明の「遊技者にとって有利な特定遊技状態」に相当)とするか、あるいははずれとするかなどの決定(当否判定)を行う、特図関連抽選処理を行うのであるから、本願発明の「C 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態とするか否かの抽選を行う抽選手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(d)引用発明の「特図1又は特図2の最先の保留を消化し特図1又は特図2変動遊技を開始する、特図1表示装置212及び特図2表示装置214」は、本願発明の「D 所定の開始条件が成立したことに基づいて、識別情報の可変表示を開始する識別情報表示手段」に相当する。
(e)引用発明の「主制御部300」は、「e 特図1および特図2のそれぞれにおいて増加した始動情報を先読みして、当否判定処理よりも前に停止図柄を事前判定する特図先読み処理を実行する」ものであるから、本願発明の「E 前記開始条件の成立に先立って、前記始動情報を判定する先読み判定手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(f)引用発明の「f 特図変動遊技の保留に対応する保留アイコンを表示する保留アイコン表示領域900」は、本願発明の「F 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づく保留表示を表示可能な保留表示手段」に相当する。
(g)引用発明において、保留アイコンの表示態様は、大当り信頼度の高い方から「赤」、「青」、「白」となっているから、「白」及び「赤」の保留アイコンが、それぞれ本願発明の「通常保留表示態様」及び「特別保留表示態様」に相当するといえる。また、引用発明の「第2副制御部500」は、「保留アイコン903の色を白から赤に変化させるアニメーションを行わせることが可能」であり、該アニメーションは、上記(e)で示した「特図先読み処理」に基づいて、「白」(通常保留表示態様)から「赤」(特別保留表示態様)に変化させ、大当り期待度(特定遊技状態となる可能性)を予告(保留変化予告)を、特図変動遊技の開始前に実行していることは技術的に明らかである。してみると、引用発明の「第2副制御部500」は、本願発明の「G 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、通常保留表示態様または該通常保留表示態様とは異なる特別保留表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する保留変化予告を実行する保留変化予告制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(h)引用発明の「h 遊技者の操作によって各種演出装置206の演出態様に変化を与えるチャンスボタン136」は、本願発明の「H 遊技者が操作可能な操作手段」に相当する。
(i)引用発明の「チャンスボタン136を模した画像903」は、本願発明の「前記通常保留表示態様および前記特別保留表示態様とは異なる、前記操作手段による操作を受け付け可能とする所定の操作保留表示態様」に相当する。そして、引用発明の「第2副制御部500」は、最終的に「赤」等に変化させるための保留アイコン変更条件を成立させるため、「チャンスボタン136を模した画像903」(所定の操作保留表示態様)を表示させる予告(操作保留変化予告)を実行することが可能であることが技術的にみて明らかである。そうすると、引用発明の「第2副制御部500」は、本願発明の「I 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、前記通常保留表示態様および前記特別保留表示態様とは異なる、前記操作手段による操作を受け付け可能とする所定の操作保留表示態様で表示する操作保留変化予告を実行可能な操作保留変化予告制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(j)引用発明の「変動アイコン」は、当該特図変動遊技に対応するものであるから、本願発明の「該可変表示に対応する前記保留表示を特定表示」に相当することは明らかである。そして、引用発明の「変動アイコン表示領域800」は、保留が消化されて特図変動遊技(可変表示)が開始された後に、当該特図変動遊技に対応する1つの変動アイコンを表示するから、本願発明の「J 前記識別情報表示手段により前記識別情報の可変表示が開始される場合に、該可変表示に対応する前記保留表示を特定表示として所定領域に表示可能な特定表示手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(k)引用発明において、変動アイコンの表示態様は、「白」、「青」、「赤」を含むものであり、大当り信頼度の高い方から「赤」、「青」、「白」となっているから、判定結果に基づいて変動アイコンの表示態様が決定され、当該表示態様で表示することにより大当りの可能性を予告しているものといえる。そうすると、引用発明の特定事項kを実行する「第2副制御部500」は、本願発明の「K 前記抽選手段および/または前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記特定表示を、通常表示態様または該通常表示態様とは異なる特別表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する特定表示予告を実行する特定表示予告制御手段」に相当する構成を備えることは明らかである。
(i1)引用発明において、第2副制御部500は、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を表示した状態(操作保留変化予告)で、チャンスボタン136(操作手段)の押下操作がなかった場合、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像変更のアニメーションを1500msの表示期間で行うものであり、具体的には、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を、アニメーションを経て、「白」でない変動アイコン(特定表示を特別表示態様で表示)に変更するものであるから、引用発明の特定事項i1’と、本願発明の特定事項I1とは、「I1’前記操作保留変化予告制御手段により、操作保留変化予告の対象となっている保留表示の始動情報に基づく可変表示が開始されるまでに、該操作保留変化予告に関連する前記操作手段の操作がない場合には、該可変表示の実行中において、前記特定表示予告により該始動情報に基づく特定表示を前記特別表示態様で表示可能である」点で一致する。
(l)引用発明の「パチンコ遊技機100」と、本願発明の「遊技機」とは、「遊技機」である点で一致する。

(3)上記(2)からみて、本願発明と引用発明とは、
「A 所定の条件の成立に基づいて、始動情報を取得する始動情報取得手段と、
B 所定の上限数を限度に、前記始動情報を保留記憶として記憶する保留記憶手段と、
C 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づき、遊技者にとって有利な特定遊技状態とするか否かの抽選を行う抽選手段と、
D 所定の開始条件が成立したことに基づいて、識別情報の可変表示を開始する識別情報表示手段と、
E 前記開始条件の成立に先立って、前記始動情報を判定する先読み判定手段と、
F 前記保留記憶手段に記憶された前記始動情報に基づく保留表示を表示可能な保留表示手段と、
G 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、通常保留表示態様または該通常保留表示態様とは異なる特別保留表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する保留変化予告を実行する保留変化予告制御手段と、
H 遊技者が操作可能な操作手段と、
I 前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記開始条件の成立前に前記保留表示を、前記通常保留表示態様および前記特別保留表示態様とは異なる、前記操作手段による操作を受け付け可能とする所定の操作保留表示態様で表示する操作保留変化予告を実行可能な操作保留変化予告制御手段と、
J 前記識別情報表示手段により前記識別情報の可変表示が開始される場合に、該可変表示に対応する前記保留表示を特定表示として所定領域に表示可能な特定表示手段と、
K 前記抽選手段および/または前記先読み判定手段による判定結果に基づいて、前記特定表示を、通常表示態様または該通常表示態様とは異なる特別表示態様で表示することにより、前記特定遊技状態となる可能性を予告する特定表示予告を実行する特定表示予告制御手段と
L を備えた遊技機であって、
I1’前記操作保留変化予告制御手段により、操作保留変化予告の対象となっている保留表示の始動情報に基づく可変表示が開始されるまでに、該操作保留変化予告に関連する前記操作手段の操作がない場合には、該可変表示の実行中において、前記特定表示予告により該始動情報に基づく特定表示を前記特別表示態様で表示可能である
L 遊技機。」の点で一致し、次の点で一応相違する。

・相違点(特定事項I1)
「操作保留変化予告の対象となっている保留表示の始動情報に基づく可変表示が開始されるまでに、該操作保留変化予告に関連する前記操作手段の操作がない場合には」、
本願発明では、「該操作保留変化予告を終了し、その後、該可変表示の実行開始後から所定期間経過するまでは、該始動情報に基づく特定表示を、該操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様および前記特別表示態様で表示せず、前記所定期間経過後に、該可変表示の実行中において、前記特定表示予告により該始動情報に基づく特定表示を前記特別表示態様で表示可能である」のに対し、
引用発明では、そのような構成となっているかどうかが明らかでない点。

5 判断
(1)上記相違点について検討する。
ア 引用発明は、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を表示した状態で、チャンスボタン136の押下操作がなかった場合、変動開始に基づいてエフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像変更のアニメーションを1500msの表示期間で行うものであり、具体的には、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を、「白」でない(「青」又は「赤」の)変動アイコンに変更するものであるところ、1500msの保留アイコンの画像変更のアニメーション期間は、チャンスボタン136を模した保留アイコン903から「青」又は「赤」のアイコンへと変化するまでの途中の段階であって、「エフェクトを伴いつつ、保留アイコンの画像変更のアニメーション」が表示されるものであって、チャンスボタン136を模した保留アイコン903、「青」又は「赤」のアイコンのうち、いずれか一方がそのままの表示態様で表示されているとはいえないものである。
イ そうすると、引用発明は、特図変動遊技(可変表示)が開始されるまでに、チャンスボタン136を模した保留アイコン903を表示した状態(操作保留変化予告)に関連するチャンスボタン136(操作手段)の操作がない場合には、チャンスボタン136を模した保留アイコン903の表示(操作保留変化予告)を終了し、その後、特図変動遊技(可変表示)の実行開始後から1500ms(所定期間)経過するまでは、変動アイコン(特定表示)を、チャンスボタン136を模した保留アイコン903(操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様)および「赤」(特別表示態様)で表示せず、1500ms(前記所定期間)経過後に、特図変動遊技(可変表示)の実行中において、変動アイコン(特定表示)を「赤」(特別表示態様)で表示可能であるものといえる。
ウ してみると、引用発明の「チャンスボタン136を模した保留アイコン903から「青」又は「赤」のアイコンへと変化するまでの途中の段階」における保留アイコンの表示は、本願発明の「操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様および特別表示態様」でない表示に相当するといえるから、引用発明は、上記相違点に係る本願発明の特定事項を実質的に備えているといえる。
したがって、上記相違点は実質的な相違点ではない。
よって、本願発明は、引用発明と同一である。
エ 仮に上記相違点が実質的な相違点といえる場合について検討する。具体的には、引用発明において、1500msの保留アイコンの画像変更のアニメーション期間が、チャンスボタン136を模した保留アイコン903、「青」又は「赤」の変動アイコンのうち、少なくとも一方を認識することができる場合、少なくとも一方のアイコンが表示されているといえるかもしれない。
オ しかしながら、保留アイコンの画像変更のアニメーションとしては、様々な態様のエフェクトを伴うアニメーションを想定することができ、引用例には、例えば、【1363】ないし【1370】及び図195に記載されている実施形態や、【2357】ないし【2365】及び図277に記載されている実施形態のように、保留アイコン全体をエフェクトで覆い隠して視認不能とするアニメーションが記載されている。
このような実施形態を考慮すれば、引用発明において、アニメーションを開始した直後、チャンスボタン136を模した保留アイコン903をエフェクトにより視認不能とし、すなわち、チャンスボタン136を模した保留アイコン903及び「赤」のアイコンいずれかのアイコンであるかを認識できないようにし、その後、1500ms(所定期間)経過した後、「赤」の変動アイコンを表示するようになすことは当業者が適宜なし得たことである。
このように、引用発明における、1500msの保留アイコンの画像変更のアニメーションを、チャンスボタン136を模した保留アイコン903(操作手段の操作を受け付け可能な所定の特殊態様)および「赤」(特別表示態様)のいずれの態様でも表示しないようなアニメーションとなすこと、すなわち、上記相違点に係る本願発明の特定事項となすことは当業者が適宜なし得たことである。

(2)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(3)以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明である。また、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものである。

(4)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、意見書において、概略、以下のとおり主張している。
「3. 引用例1(特開2014-79268号公報)との相違について
(1)引用例1の内容
引用例1には、保留表示の表示態様を、チャンスボタン136の押下操作に応じて変化させることによって予告演出可能な遊技機が記載されています。
引用例1では、「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」が行われているにも拘わらず、チャンスボタン136の押下操作がないままその保留表示に対応する変動動作医を開始する際には、変動アイコン表示領域800にアイコンを表示する当初から、「色変化済みのアイコン」を表示させています(段落1376?段落1379および図196(b´)?(d´)ご参照)。すなわち、保留アイコン表示領域900の第1領域における「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」の終了に引き続いて、変動アイコン表示領域800において「保留アイコン903の色を変更する予告」を実行させています。
(2)
しかしながら、この引例1の手法では、次のような問題があります。
すなわち、「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」が行われているにも拘わらず、遊技者がチャンスボタン136を操作しないのは、「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」の内容が知りたくない、「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」に対応する変動動作の「アツさ」を知りたくない、という意思が遊技者側に存在していることが一因であると推察されます。そのような「変動表示の『アツさ』を知りたくない」と望んでいる遊技者に対し、変動動作の開始当初から「保留アイコン903の色を変更する予告」を行うことは、遊技者の意図とは反する過剰な信頼度報知になり、遊技者に不快感を与え、ひいては遊技の興趣を低下させるおそれがあります。
これに対し、本願発明では、可変表示の実行開始からではなく、可変表示の実行開始から所定期間が経過した後に、特別表示態様で特定表示を表示しています。これにより、可変表示の進行度合いに応じた(進行後の予告や演出に応じた)最適のタイミングで特別表示態様の特定表示予告を行うことが可能です。そのため、「可変表示の『アツさ』を知りたくない」と望んでいる遊技者に不快感を与えることなく、特別表示態様の特定表示予告を行うことができます。これにより、遊技の興趣を高めることができます。
(3)
そして、本願発明では、操作保留変化予告の終了後において、可変表示の実行開始後から所定期間経過するまでの間に、「該始動情報に基づく特定表示を、特殊態様や特別表示態様で表示する」ことがありません。そのため、操作保留変化予告の終了後には、遊技者は、「保留表示を用いた演出が終了した」、および「これ以降に、保留表示は変動しない」と認識しています。その状態から特殊態様や特別表示態様で表示されない状態を挟んで、可変表示の実行中において特別表示態様の特定表示予告が表示されます。したがって、既に終了したと認識していた「保留表示を用いた演出」が再び実行されるという意外性が生じます。これにより特定表示予告の演出効果の著しい向上を図ることができ、ゆえに、遊技者の興趣を著しく高めることができます。
これに対し、引用例1では、「『チャンスボタンを模した画像』を表示する予告」の終了後に引き続いて、「保留アイコン903の色を変更する予告」が行われます。そのため、「保留表示を用いた演出」が既に終了していたという認識を遊技者に与えないまま、「保留アイコン903の色を変更する予告」を開始しています。そのため、「保留アイコン903の色を変更する予告」に対する意外性の度合いが低くなります。ゆえに、「保留アイコン903の色を変更する予告」に高い演出効果が望めません。」

イ 審判請求人の主張について検討する。
上記(1)アないしウで示したとおり、引用例(引用例1)には、保留アイコン表示領域900におけるチャンスボタンを模した画像を表示する予告の終了に引き続いて、変動アイコン表示領域800において「保留アイコン903の色を変更する予告」を実行させていることが記載されているとはいえない。
仮に引用例(引用例1)に、保留アイコン表示領域900におけるチャンスボタンを模した画像を表示する予告の終了に引き続いて、変動アイコン表示領域800において「保留アイコン903の色を変更する予告」を実行させていることが記載されているといえたとしても、上記(1)エ及びオで示したとおり、引用例に記載されているエフェクトを伴うアニメーションに基づいて本願発明の特定事項となすことは当業者が容易になし得たことである。
なお、引用例の【0004】ないし【0005】に記載されているように、引用発明は、多彩な保留表示を行うことで遊技の興趣を高めるという効果を奏することは明らかであるとともに、引用例の【1380】及び【1381】に、チャンスボタンを押下するか否かに応じて、先読み結果を報知するまでの時間の長短を適宜異ならせこと、そして、その時間の長短を入れ替えることが可能であることが記載されており、請求人が意見書の3(2)で主張する本願発明の効果についても当業者が予測可能な範囲のものである。
よって、審判請求人の主張は、採用することができない。

6 むすび
本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、本願発明は、当業者が引用例に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-04-09 
結審通知日 2019-04-11 
審決日 2019-04-23 
出願番号 特願2016-124479(P2016-124479)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀 圭史  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 鉄 豊郎
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人あい特許事務所  

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