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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1352925
審判番号 不服2017-4678  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-04 
確定日 2019-06-26 
事件の表示 特願2015-532281「制御シグナリング検出方法及び装置、並びに制御シグナリング検出を実現する方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 3月27日国際公開、WO2014/044086、平成27年10月 5日国内公表、特表2015-529430〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年) 8月 5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2012年 9月24日 中国(CN))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年 3月27日 手続補正書の提出
平成28年 2月26日付け 拒絶理由通知書
平成28年 6月 7日 意見書、手続補正書の提出
平成28年11月30日付け 拒絶査定
平成29年 4月 4日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提 出
平成30年 6月27日付け 拒絶理由通知書(当審)
平成30年 9月27日 意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明について
本願の請求項1?14に係る発明は、平成30月9月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?14に記載された事項により特定されるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「制御シグナリング検出方法であって、
サブフレームSにおいて、端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出し、端末がePDCCHリソースセットにおけるセット(Set)i内の検出すべきePDCCHの個数がX(i)であり、iが整数であり、0
第3 拒絶の理由
平成30年6月27日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、請求項1に対して引用例1が引用されている。

引 用 文 献 等 一 覧
1.NTT DOCOMO, "Performance Evaluation of Search Space for ePDCCH", 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #70 R1-123552, 2012年8月5日(利用可能日), URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_70/Docs/R1-123552.zip

第4 引用例の記載及び引用発明について
当審拒絶理由に引用されたNTT DOCOMO,"Performance Evaluation of Search Space for ePDCCH"(当審訳:ePDCCHのためのサーチスペースのパフォーマンス評価),3GPP TSG RAN WG1 Meeting #70 R1-123552,2012年8月5日(利用可能日),URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_70/Docs/R1-123552.zip(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)

(1) 「2.1 Multiple sets of ePDCCH
As presented in [4], multiple sets of the ePDCCH resources for UE-specific search space were defined, as shown in Figure 2. The motivation of this definition is to restrict the number of PRB pairs in order to benefit the resource utilization efficiency. Under this definition, the UEs are configured to monitor one or more than one sets of ePDCCH resources assigned by the higher layer signalling. Therefore, the other configuration such as transmission scheme and usage of DMRS could be made per set, which facilitates state 3, i.e. simultaneous localized and distributed transmission in one subframe.」(2葉1行?7行)
(当審訳:
2.1 ePDCCHの複数のセット
[4]で提示されているように、UE固有のサーチスペースのためにePDCCHリソースの複数のセットが図2で示されるように定義される。この定義を行う動機は、リソースの利用効率に役立てるためにPRBペアの数を制限することである。この定義の下で、UEは高レイヤシグナリングにより割り当てられる1又は複数のePDCCHリソースのセットを監視するように構成される。このため、送信方法及びDMRSの使用法といったその他の構成はセットごとに作成され、このことは状態3、すなわち1つのサブフレームで同時に行う局所送信と分散送信、を容易にする。)

(2)「2.2 Detailed Search Space Design
When multiple ePDCCH sets are introduced, one question is that the blind decoding attempts (BDs) will be increased under the same definition of the ePDCCH candidates as previous releases if the UE is configured to monitor more than one set. For example, if one UE is configured with two ePDCCH sets, the BDs will double that of Rel-10. In order to restrict the UE complexity in decoding the ePDCCHs, some solutions should be studied. However, before investigating the specific solution, we should clarify whether Release 11 UE could tolerate more BDs than previous releases, and to which extent it may accommodate.
Proposal 3: Discuss whether the blind decoding attempts (BDs) could be increased compared to what is supported in Rel-8/10.
As long as the total number of BDs is decided, we could investigate how to assign the search space into the configured sets to efficiently utilize the allocated resources and provide better performance of blocking probability (BP). One direct solution is just to make the UE monitor one of the configured sets, i.e. all the search space is located in one of the multiple sets, as shown in Table 1 (Alt. 1). The eNB is in charge of deciding on when and which UE to have a specific search space configuration.
(中略)
Alt.2 Configure multiple ePDCCH sets for UE.
In order to solve the problem of Alt. 1, we may want the UEs to have some flexibility in choosing the monitoring set(s), e.g., configure one common resource for all UEs (primary set), while using the additional resource when blocking happens in the primary set (secondary set), as explained in [5]. In this case, the UE may occasionally monitor all the configured sets of the ePDCCH. Therefore, designing search space is important in terms of blocking probability and resource utilization. In designing the assignment of the search space among multiple sets, the following aspects could be considered, such as the transmission schemes of the sets, distribution of aggregation levels as well as different DCI formats to be supported. We take two examples of search space design.
1. Configure more search space in primary set while less in secondary set(s) as shown in Table 2 (a).
2. From the viewpoint of transmission scheme, it is observed that distributed transmission has better robustness than localized transmission. Meanwhile, localized transmission prefers lower aggregation levels (ALs) and distributed transmission prefers higher ALs due to their own characteristics as shown in Table 2 (b).


」(2葉10行?3葉13行)
(当審訳:
2.2 詳細なサーチスペース設計
複数のePDCCHセットが導入される時、1つの問題点は、以前のリリースと同じePDCCH候補の定義の下では、もしUEが複数のセットを監視するように構成される場合、ブラインド復号の試行(BDs)が増加するであろうことである。例えば、もし1つのUEが2つのePDCCHセットを伴って構成される場合、BDsはリリース10のそれの2倍となるであろう。ePDCCHの復号におけるUEの複雑さを制限するために、いくつかの解決策が研究されるべきである。しかし、特定の解決策を調査する前に、リリース11のUEが以前のリリースより多くのBDsを取り扱うことが可能であるか否か、そしてどの程度まで適応できるかを明らかにすべきである。
提案3:ブラインド復号の試行(BDs)がリリース8-10によりサポートされる試行と比較して増加されることが可能であるか否かを議論する。
BDsの全体の回数が決定される場合に限り、割り当てられたリソースを効率的に利用しブロッキングの可能性(BP)においてより良いパフォーマンスを提供するために、我々は構成されたセットの中でサーチスペースをどのように割り当てるかを調査することができる。1つの直接的な解決策は、テーブル1(選択肢1)で示されるように、単に構成された複数のセットのうちの1つをUEに監視させること、すなわち、全てのサーチスペースが複数のセットの内の1つに配置されることである。eNBはどの時にどのUEが特定のサーチスペース構成を有するかを決定することを担当する。
(中略)
選択肢2:1つのUEのために複数のePDCCHセットを構成する。
選択肢1の問題点を解決するために、監視セットの選択においてUEに対していくらかの柔軟性を持たせたい。たとえば、[5]で説明されているように、全てのUEに1つの共通リソースを構成し(プライマリセット)、プライマリセットにブロッキングが発生した場合に追加のリソースを使用する(セカンダリセット)。この場合には、UEは時折、構成された全てのePDCCHセットを監視するかもしれない。そのため、サーチスペースを設計することはブロッキングの可能性及びリソース効率の点で重要である。複数のセットの間でのサーチスペースの割り当ての設計において、例えば、サポートされる異なるDCIフォーマットと同様に、複数のセットの送信方法及びアグリゲーションレベルの分配といった観点が考慮され得る。サーチスペース設計の2つの例を挙げる。
1.テーブル2(a)に示されるように、プライマリセットにより多くのサーチスペースを構成し、セカンダリセットにおいてより少なくする。
2.送信方法の観点から、分散送信は局所送信よりよいロバスト性能を有することが観察されている。一方で、テーブル2(b)に示されるように、それ自身の特性のため、局所送信はより低いアグリゲーションレベル(ALs)を好み、分散送信はより高いALsを好む。)

ア 上記(2)の2.2には、UEが複数のセットを監視しブラインド復号を行うことが記載されており、引用例1における「セット」が「ePDCCHリソースのセット」であることは上記(1)の2.1の記載から明らかであるから、引用例1において、UEはePDCCHを監視しブラインド復号を行っている。

イ 上記(1)の2.1には、UEがePDCCHリソースのセットを高レイヤシグナリングにより割り当てられることが記載されている。また、様々な構成がセットごとに作成され、このことが1つのサブフレームと対応付けられて記載されていることから、引用例1におけるePDCCHリソースのセットの割り当ては1つのサブフレームにおいて行われている。よって、引用例1において、ePDCCHリソースのセットは、サブフレームにおいて、UEが高レイヤシグナリングにより割り当てられているといえる。

ウ 上記(2)の2.2の選択肢2には、UEが監視を行うセットとしてプライマリセットとセカンダリセットの2つのセットが記載されているので、引用例1におけるUEは2つのePDCCHリソースのセットを監視しブラインド復号を行っているといえる。

エ 上記(2)のテーブル2(a)の記載によれば、プライマリセットにおいて構成されるサーチスペースの個数はAL=1について4個、AL=2について4個、AL=4について1個、AL=8について1個であり、合計で10個であると確定される。同様に、セカンダリセットにおいて構成されるサーチスペースの個数は6個であると確定される。よって、引用例1において、テーブル2(a)を用いることにより、UEがePDCCHリソースのセットにおけるプライマリセット内で構成されるサーチスペースの個数は10個であり、セカンダリセット内で構成されるサーチスペースの個数は6個であることが確定されるといえる。

以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ePDCCHを監視しブラインド復号を行う方法において、
サブフレームにおいて、UEが高レイヤシグナリングにより割り当てられる2つのePDCCHリソースのセットを監視しブラインド復号を行い、テーブルを用いて、UEがePDCCHリソースのセットにおけるプライマリセット内で構成されるサーチスペースの個数と、セカンダリセット内で構成されるサーチスペースの個数とが確定される、方法。」

第5 対比及び判断
本願発明と引用発明とを対比する。
なお、本願発明は「または」という表現を用いて択一的に記載されていることから、以下の2つの発明を包含していると認められる。

本願発明1:「制御シグナリング検出方法であって、
サブフレームSにおいて、端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出し、端末がePDCCHリソースセットにおけるセット(Set)i内の検出すべきePDCCHの個数がX(i)であり、iが整数であり、0 本願発明2:「制御シグナリング検出方法であって、
サブフレームSにおいて、端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出し、端末がePDCCHリソースセットにおけるセット(Set)i内の検出すべきePDCCHの個数がX(i)であり、iが整数であり、0
以下では、本願発明2について検討する。

1.引用発明のePDCCHは制御チャネルであり、ePDCCHに含まれる情報が制御シグナリングであることは自明であるので、ePDCCHを監視しブラインド復号を行うことにより制御シグナリングを検出することは明らかである。よって、引用発明の「ePDCCHを監視しブラインド復号を行う方法」は、「制御シグナリング検出方法」といえる。

2.本願発明1の「サブフレームS」は、明細書等の記載を参酌しても、任意のサブフレームを指しているに過ぎず、何かしらの特徴を有する特別なサブフレームを意味する用語とは認められない。よって、引用発明の「サブフレーム」は、本願発明2の「サブフレームS」に相当する。

3.引用発明の「UE」は、本願発明1の「端末」に相当し、引用発明の「ePDCCHリソースのセット」は、本願発明2の「強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット」に相当する。また、UEに対するリソースの割り当て(配置)に使用される高レイヤシグナリングが基地局からUEに対して通知されるシグナリングであることは当業者にとって自明であるから、引用発明においてePDCCHリソースのセットは基地局から割り当てられ配置されているといえる。そして、上記1.で指摘したように、引用発明において「監視しブラインド復号を行う」ことは、「制御シグナリングを検出」することといえる。よって、引用発明において「UEが高レイヤシグナリングにより割り当てられる2つのePDCCHリソースのセットを監視しブラインド復号を行」うことは、本願発明2において「端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出」することに含まれる。

4.引用発明において各セット内で「構成されるサーチスペースの個数」は、構成されたサーチスペースにおいてUEがブラインド復号を行い制御シグナリングの検出を試みる(検出すべき)ePDCCHの個数であるので、本願発明2において端末が「検出すべきePDCCHの個数」に相当する。

5.引用発明においてUEが監視するePDCCHリソースのセットの個数は2つであり、このことは本願発明2においてePDCCHリソースセットがK=2個であることに相当する。そして、引用発明において「テーブルを用いて、UEがePDCCHリソースのセットにおけるプライマリセット内で構成されるサーチスペースの個数と、セカンダリセット内で構成されるサーチスペースの個数とが確定される」ことは、言い換えれば、セットの個数(K)が2でありセットのインデックスiが1または2であることに基づいてテーブルを参照することでサーチスペースの個数である検出すべきePDCCHの個数(X(i))を確定しているといえる。そして、インデックスiは1または2であるので、0
以上のことから、本願発明2と引用発明とは以下の点で一致しており、相違点は存在しない。

(一致点)
「制御シグナリング検出方法であって、
サブフレームSにおいて、端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出し、端末がePDCCHリソースセットにおけるセット(Set)i内の検出すべきePDCCHの個数がX(i)であり、iが整数であり、0
したがって、本願発明2は、引用発明に記載されたものであり、また、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求項1において「前記第1タイプのパラメータが少なくともK値とePDCCHリソースセットのインデックスiである」の係り受けが不明瞭であるため、本願発明2は以下に記載された本願発明2’と解することもできる。
本願発明2’:「制御シグナリング検出方法であって、
サブフレームSにおいて、端末が基地局により配置されるK個の強化型物理ダウンリンク制御チャンネル(ePDCCH)リソースセット内に制御シグナリングを検出し、端末がePDCCHリソースセットにおけるセット(Set)i内の検出すべきePDCCHの個数がX(i)であり、iが整数であり、0 この場合、本願発明2’は本願発明2の上位概念の発明であり、本願発明2は引用発明に記載されたものであるので、本願発明2’は引用発明を含むものである。したがって、本願発明2’は、引用発明に記載されたものであり、また、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-01-21 
結審通知日 2019-01-22 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2015-532281(P2015-532281)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 三浦 みちる  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 倉本 敦史
松永 稔
発明の名称 制御シグナリング検出方法及び装置、並びに制御シグナリング検出を実現する方法及び装置  
代理人 特許業務法人 信栄特許事務所  

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