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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1352931
審判番号 不服2017-11168  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-27 
確定日 2019-06-25 
事件の表示 特願2014-516034「角度が可変とされたロッキング用のインプラント」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月20日国際公開、WO2012/174385、平成26年 9月 8日国内公表、特表2014-522673〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,2012年(平成24年)6月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年(平成23年)6月15日 米国)を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 2月12日 :翻訳文提出
平成28年 5月27日付け:拒絶理由通知書
平成28年12月 6日 :意見書,手続補正書の提出
平成29年 3月15日付け:拒絶査定
平成29年 7月27日 :審判請求書,手続補正書の提出
平成29年 9月13日 :手続補正書(審判請求書の請求の理由)の提出
平成29年11月30日 :上申書の提出

第2 平成29年7月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年7月27日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線部は,補正箇所である。)
「角度が可変とされたロッキング用のインプラントであって,
骨プレートを具備し,
この骨プレートが,
底面と;
上面と;
前記底面から前記上面へと貫通するとともに,軸線を有した,少なくとも1つの開口と;
を備え,
前記開口が,複数のフィンを有した内表面を備え,
前記複数のフィンが,平面を規定し,
接線を,前記軸線と前記底面との間の交差箇所において,前記開口に対しての前記底面の接線として定義した場合に,前記軸線が前記接線に対して非垂直とされている,および/または,前記平面が前記接線に対して非平行なものとされており,
前記底面が,骨に対して適合した円弧形状表面を有しており,
前記複数のフィンが,前記内表面に対して一体的に連結されているとともに,前記内表面から突出し,
前記複数のフィンが,前記平面上において前記内表面に対して接触したベースを有している,ことを特徴とするインプラント。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の,平成28年12月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「角度が可変とされたロッキング用のインプラントであって,
骨プレートを具備し,
この骨プレートが,
底面と;
上面と;
前記底面から前記上面へと貫通するとともに,軸線を有した,少なくとも1つの開口と;
を備え,
前記開口が,複数のフィンを有した内表面を備え,
前記複数のフィンが,平面を規定し,
接線を,前記軸線と前記底面との間の交差箇所において,前記開口に対しての前記底面の接線として定義した場合に,前記軸線が前記接線に対して非垂直とされている,および/または,前記平面が前記接線に対して非平行なものとされている,ことを特徴とするインプラント。」

2 補正の適否
本件補正は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である骨プレートの「底面」の形状,開口の内表面に対する「複数のフィン」の状態等について,上記のとおり限定を付加するものであって,補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから,特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について,以下,検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記1(1)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1
(ア)原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である,特表2009-502336号公報(平成21年1月29日公表。以下「引用文献1」という。)には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線は当審において付したものである。

「【0002】
本発明は,一般に,骨折部を固定するための,整形外科用固定装置および骨プレートシステムに関し,詳細には,ファスナの多軸固定をもたらす骨プレートを使用するための,システムおよび方法に関する。」

「【0003】
骨折は,骨折部を横断して骨プレートを固定することにより,修復されることが多い。どの骨を治療するかに応じて,骨プレートがそのために設計される骨の輪郭に一致するように,骨プレートを,直線状とし,または湾曲させることができる。・・・」

「【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって,従来技術の欠点を克服する,改善された骨プレートシステムが必要とされている。ファスナが骨プレート内へと係止する間に,骨プレートとファスナとの間で様々な角度を得ることを可能にするファスナを用いて,骨と骨プレートとの間に安定した連結をもたらすシステムが必要とされている。これにより,高度に破砕された骨断片を有する重篤な骨折の場合に,不規則な位置にある不揃いな骨断片を,外科医がつなぎ止めることが可能になる。これらおよびその他の場合に,ねじがプレートの開口を通して挿入されその中に堅く固定される角度を,外科医が選択することを可能にするファスナおよびプレートシステムを提供することが有利である。」

「【0037】
本発明の実施形態は,ファスナを多角度で受容および固定することができる骨固定アセンブリを提供する。骨固定アセンブリ10の特定の実施形態を,図1の骨プレート12およびファスナ80として示す。図2?図4により詳細に示すように,骨プレート12は,下面14および上面16,ならびに,下面14から上面16へと延びる1つ以上の開口部18を有する。」

「【0040】
図示のプレート12の開口部18は,中心軸20を有し,ファスナを受けるように適合される。ファスナは,いかなる典型的な,標準的係止ファスナまたは非係止ファスナとすることもできるが,本明細書に記載する実施形態は,頭部上に一連のねじ山を有する係止ファスナとの使用が特に意図されている。図5?図6は,本発明の実施形態に従って使用することができるファスナ80の例を示す。・・・」

「【0042】
図2を参照すると,図示の実施形態が,内部表面22を備える開口部18を有し,内部表面22は,凹状にへこみ内側に突出する,一連のフィン24によって画成されることが分かる。フィン24は,開口部18内へと,中心軸20に向かって延びる。フィン24の基部26は,上面16の丸い周縁30またはその付近にて,凹部28を形成する。(「丸い」周縁という用語は,円,楕円,卵形周縁,またはファスナ80の頭部を受けるように形状づけられた別の何らかの開口部など,何らかの丸い形状を指すものである。) フィン24の基部26はすべて,実質的に同一平面内に集まり,次いで,同様の角度または勾配で,下方および内方へと傾斜する。」

「【0055】
ファスナ10は,図5に示すように,開口部18の中心軸20と位置合せされる以外の角度で挿入することができるので,ファスナ80は,係止ねじが正常に挿入される従来の角度から外れた骨断片を,把持または固定するために使用することができる。外科医は,移動させられた骨断片を固定し引き込むために,ファスナ80をトグルさせ,または操作することが必要となることがある。」



」【図2】



」【図5】

(イ)上記記載から,引用文献1には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
a 引用文献1に記載された技術は,骨折部を固定するための,整形外科用固定装置および骨プレートシステムに関し,詳細には,ファスナの多軸固定をもたらす骨プレートを使用するための,システムおよび方法に関するものであり(【0002】),ファスナが骨プレート内へと係止する間に,骨プレートとファスナとの間で様々な角度を得ることを可能にするファスナを用いて,骨と骨プレートとの間に安定した連結をもたらすシステムを提供することを課題としたものである(【0014】)。

b ファスナを多角度で受容および固定することができる骨固定アセンブリであって,骨プレート12を具備し,この骨プレート12が,下面14および上面16,ならびに,下面14から上面16へと延びる1つ以上の中心軸20を有している開口部18とを備えている技術的事項(【0037】【0040】)。

c 開口部18が,一連のフィン24から画成された内部表面22を備えている技術的事項(【図2】【0042】)。

d 接線を,中心軸20と底面14との間の交差箇所において,開口部18に対しての底面14の接線として定義した場合に,中心軸20が接線に対して垂直とされている技術的事項(【図5】【0055】)。

e 底面14が,骨に対して適合した湾曲形状表面を有しており(【図5】【0003】),一連のフィン24が,内部表面22を画成しているとともに,開口部18内へと,中心軸20に向かって延び,一連のフィンが,内部表面22を画成している基部26を有している技術的事項(【図2】【0042】)。

(ウ)上記(ア),(イ)から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「ファスナを多角度で受容および固定することができる骨固定アセンブリであって,
骨プレート12を具備し,
この骨プレート12が,
下面14および上面16,
ならびに,下面14から上面16へと延びる1つ以上の中心軸20を有している開口部18と
を備え,
開口部18が,一連のフィン24から画成された内部表面22を備え,
接線を,中心軸20と底面14との間の交差箇所において,開口部18に対しての底面14の接線として定義した場合に,中心軸20が接線に対して垂直とされており,
底面14が,骨に対して適合した湾曲形状表面を有しており,
一連のフィン24が,内部表面22を画成しているとともに,開口部18内へと,中心軸20に向かって延び,
一連のフィンが,内部表面22を画成している基部26を有している骨固定アセンブリ。」

イ 引用文献2
(ア)同じく原査定に引用され,本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった米国特許第6974461号明細書(以下「引用文献2」という。)には,次の記載がある。なお,下線は当審において付したものであり,仮訳についても当審において翻訳したものである。

「The invention relates to a fixation system for bones with a force support having holes and bone screws which are insertable into the holes.」
(仮訳:本発明は,孔を有する支持部材と,孔に挿入可能な骨ネジとを備えた骨固定システムに関する。)(1欄15行?1欄17行)

「FIG. 2 shows a bone plate 13 where the middle hole 14 has conventionally oriented its hole axis 15 perpendicularly to the bone plate 13. As a result, a bone screw turned into the hole 14 will always be turned perpendicularly into a tubular bone 16 which is located below.
However, the two outer holes 17, 18 of the bone plate 13 have their axes 19, 20 oriented at an acute angle towards the bone plate 13. The result is that bone screws to be turned into the two outer holes 17, 18 will caused to straddle in the adjoining bone 16, thus securely fixing the bone plate 13.」(4欄65行?5欄7行)
(仮訳:図2は,中央の孔14の孔軸15が骨プレート13に対して垂直である,骨プレート13を示している。その結果,孔14にねじ込まれる骨ネジは,この下に位置する管状骨16内に常に垂直方向にねじ込まれることになる。
しかしながら,骨プレート13の外側孔17, 18は,それらの軸19, 20が骨プレート13に向かって鋭角に向けられている。その結果,2個の外側の孔17, 18にねじ込まれる骨ネジが,隣接する骨16に跨がって骨プレート13を確実に固定することになる。)

「Moreover, all of the holes 14, 17, 18 have an element 21, 22, 23 to fix a bone screw, which can be configured as a deformable ridge or lip or edge or as a preformed thread (deformable or not), in an angularly stable fashion. In the example, the element 21, 22, 23 for an angularly stable fixation is disposed in a plane oriented perpendicularly to the hole axis 15, 19, 20 provided that the element 21, 22, 23 concerned is a ridge, a lip or an edge. In case that the element 21, 22, 23 concerned is a thread its axis coincides with the hole axis 15, 19, 20.」(5欄8行?5欄17行)
(仮訳:さらに,孔14, 17, 18の全てに,骨ネジの角度を固定するための要素21, 22 23を備え,それら要素は変形可能な隆起部,唇部,エッジ部,又は予め形成されたねじ山(変形可能な又はそうではない)として構成することができる。この例では,角度を固定するための要素21, 22, 23が隆起部,舌部,またはエッジ部であって,孔の軸線15, 19, 20に垂直に向けられた平面内に配置されて設けられている。関係する要素21,22,23がネジ山である場合には,その軸線が孔の軸線15, 19, 20と一致している。)

「If the element 21, 22, 23 for an angularly stable fixation of the bone screws is of a deformable design there is an additional possibility to fix the bone screws in the holes 14, 17, 18 at different orientations with regard to the hole axes 15, 19, 20. To this effect, the bone screws have their screw heads inserted into the holes, 14, 17, 18 with threads at the undersides of the screw heads interacting with the deformable elements 21, 22, 23.」(5欄18行?5欄25行)
(仮訳:骨ネジの角度を安定して固定するための要素21, 22, 23が変形可能であれば,孔の軸15, 19, 20と異なる方向で孔14, 17, 18内に骨ネジを固定することが可能となる。その際に,骨ネジは,そのネジ頭が孔14, 17, 18中に挿入され,ネジ頭の下側にあるネジ山が変形可能な要素21, 22, 23と噛み合うことになる。)



」(FIG.2)

(イ)上記記載から,引用文献2には,次の技術が記載されていると認められる。
a 孔を有する支持部材(骨プレート)と,孔に挿入可能な骨ネジとを備えた骨固定システムに関し(1欄15行?1欄17行),骨ネジの角度を固定するための要素が変形可能であれば,孔の軸と異なる方向で孔内に骨ネジを固定することが可能となる骨固定システムである技術(5欄18行?5欄25行)。

b 角度が可変とされた骨用固定システムであって,骨プレート13を具備し,この骨プレート13が,底面と,上面と,底面から上面へと貫通するとともに,軸19, 20を有した,少なくとも1つの外側孔17, 18と,を備え,外側孔17, 18が,骨ネジの角度を安定して固定するための要素22, 24を有した内表面を備えている技術(4欄65行?5欄7行,5欄8行?5欄17行,5欄18行?5欄25行,FIG.2)

c 骨ネジの角度を安定して固定するための要素22, 24が,平面を規定し,接線を,孔の軸19, 20と底面との間の交差箇所において,外側孔17, 18に対しての底面の接線として定義した場合に,孔の軸19, 20が接線に対して非垂直とされている,および,平面が接線に対して非平行なものとされている技術(FIG.2)。

(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明は,ファスナが骨プレート内へと係止する間に,骨プレートとファスナとの間で様々な角度を得ることを可能にするファスナを用いて,骨と骨プレートとの間に安定した連結をもたらすシステムに係る技術である点において,本件補正発明と技術分野及び課題が共通する。

(イ)引用発明の「ファスナを多角度で受容および固定することができる骨固定アセンブリ」は,本件補正発明の「角度が可変とされたロッキング用のインプラント」に相当し,以下同様に「骨プレート12を具備し,この骨プレート12が,下面14および上面16,ならびに,下面14から上面16へと延びる1つ以上の中心軸20を有している開口部18と,を備え」ることは,「骨プレートを具備し,この骨プレートが,底面と;上面と;前記底面から前記上面へと貫通するとともに,軸線を有した,少なくとも1つの開口と;を備え」ることに相当する。

(ウ)引用発明の「開口部18が,一連のフィン24から画成された内部表面22を備え,」は,本件補正発明の「前記開口が,複数のフィンを有した内表面を備え」に相当する。

(エ)引用発明の「底面14が,骨に対して適合した湾曲形状表面を有しており,一連のフィン24が,内部表面22を画成しているとともに,開口部18内へと,中心軸20に向かって延び,一連のフィンが,内部表面22を画成している基部26を有している」ことは,本件補正発明の「前記底面が,骨に対して適合した円弧形状表面を有しており,前記複数のフィンが,前記内表面に対して一体的に連結されているとともに,前記内表面から突出し,前記複数のフィンが,前記内表面に対して接触したベースを有している」ことに相当する。

イ 以上のことから,本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は,次のとおりである。
【一致点】
「角度が可変とされたロッキング用のインプラントであって,
骨プレートを具備し,
この骨プレートが,
底面と;
上面と;
前記底面から前記上面へと貫通するとともに,軸線を有した,少なくとも1つの開口と;
を備え,
前記開口が,複数のフィンを有した内表面を備え,
前記底面が,骨に対して適合した円弧形状表面を有しており,
前記複数のフィンが,前記内表面に対して一体的に連結されているとともに,前記内表面から突出し,
前記複数のフィンが,前記内表面に対して接触したベースを有している,ことを特徴とするインプラント。」

【相違点】
本件補正発明は,「前記複数のフィンが,平面を規定し,接線を,前記軸線と前記底面との間の交差箇所において,前記開口に対しての前記底面の接線として定義した場合に,前記軸線が前記接線に対して非垂直とされている,および/または,前記平面が前記接線に対して非平行なものとされて」いるのに対し,引用発明は,「一連のフィン24」が平面を規定しているか否か不明であり,「接線を,中心軸20と底面14との間の交差箇所において,開口部18に対しての底面14の接線として定義した場合に,中心軸20が接線に対して垂直とされて」いる点。

(4)判断
以下,相違点について検討する。
ア 相違点について
引用文献2には,上記(2)イ(イ)aないしcのとおり,特にcにおいて,「骨ネジの角度を安定して固定するための要素22, 24が,平面を規定し,接線を,孔の軸19, 20と底面との間の交差箇所において,外側孔17, 18に対しての底面の接線として定義した場合に,孔の軸19, 20が接線に対して非垂直とされている,および,平面が接線に対して非平行なものとされている技術」が記載されている。
ここで,引用文献2に記載された技術の「骨ネジの角度を安定して固定するための要素22, 24」,「孔の軸19, 20」,「外側孔17, 18」は,本件補正発明の「フィン」,「軸線」,「開口」にそれぞれ相当するので,引用文献2に記載された技術と本件補正発明は,「フィンが,平面を規定し,接線を,軸線と底面との間の交差箇所において,開口に対しての底面の接線として定義した場合に,軸線が接線に対して非垂直とされている,および平面が接線に対して非平行なものとされて」いる限りにおいて一致する。
そして,引用発明と,引用文献2に記載された技術とは,いずれも,骨固定システムである点で共通するものであり,骨プレートの孔の軸と異なる方向で孔内に骨ネジを固定することを目的とするものである((2)ア(イ)aおよび(2)イ(イ)aを参照。)から,引用発明に引用文献2に記載された技術を適用する動機づけがあるといえる。
そうすると,引用発明に前記引用文献2に記載された技術を適用し,引用発明における「一連のフィン24」を平面を規定するように構成し,さらに引用発明の「中心軸20」が接線に対して非垂直とし,前記平面が接線に対して非平行なものに構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。
なお,請求人は,平成29年9月13日提出の手続補正書により補正がされた審判請求書の請求の理由において,引用文献2に記載された骨ネジの角度を安定して固定するための要素22, 24は連続的に延在して形成されており,引用発明の互いに分離されている複数のフィン24とは形状が異なるから,両者を組み合わせることは容易ではない,旨の主張をしている。
しかしながら,引用文献2において,要素22, 24の具体的形態として種々のもの(変形可能な隆起部,唇部,エッジ部,又は予め形成されたねじ山(変形可能な又はそうではない))が開示されている(「5欄8行?5欄17行」参照)ことからも見てとれるように,引用文献2で主眼とされている技術思想は,要素22, 24の具体的形状それ自体ではなく,要素が規定する平面の角度または外側孔17, 18の軸19, 20の角度であることは,当業者にとって明らかである(「4欄65行?5欄7行」,「FIG.2」参照)。
したがって,引用発明と引用文献2に記載された技術を組み合わせるに際し,いわゆる阻害要因があるとも認められない。
よって,請求人の上記主張は採用できない。

イ そして,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明及び引用文献2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。

ウ したがって,本件補正発明は,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 本件補正についてのむすび
よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
平成29年7月27日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成28年12月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし19に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:特表2009-502336号公報
引用文献2:米国特許第6974461号明細書

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし2及びその記載事項は,前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は,前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から,「骨プレートの「底面」の形状,「複数のフィン」の開口の内表面に対する状態等」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると,本願発明の発明特定事項を全て含み,さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が,前記第2の[理由]2(3),(4)に記載したとおり,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-01-23 
結審通知日 2019-01-28 
審決日 2019-02-12 
出願番号 特願2014-516034(P2014-516034)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 近藤 利充西尾 元宏  
特許庁審判長 内藤 真徳
特許庁審判官 船越 亮
林 茂樹
発明の名称 角度が可変とされたロッキング用のインプラント  
代理人 実広 信哉  
代理人 阿部 達彦  
代理人 村山 靖彦  
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