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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1352979
審判番号 不服2018-10327  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-07-27 
確定日 2019-07-23 
事件の表示 特願2016-230711「プラズマエッチング方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日出願公開、特開2017- 46010、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成21年10月27日(以下,「遡及出願日」という。)の出願である特願2009-246096号の一部を平成23年12月14日に新たな出願である特願2011-273076号とし,さらにその一部を平成26年2月26日に新たな出願である特願2014-035487号とし,さらにその一部を平成28年11月28日に新たな出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 7月24日付け 拒絶理由通知
平成29年11月 8日 意見書
平成30年 4月24日付け 拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成30年 7月27日 審判請求

第2 原査定の概要
原査定の理由の概要は以下のとおりである。
この出願の請求項1-6に係る発明は,遡及出願日前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,遡及出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2007-324503号公報
2.特開2007-234912号公報
3.特表2007-502547号公報
4.特表2003-526191号公報
5.特開平08-008232号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は,特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりである。
「【請求項1】
閉塞空間を有する処理チャンバと,炭化珪素基板が載置される基台と,前記処理チャンバ内を減圧する排気装置と,前記処理チャンバ内にガスを供給するガス供給装置と,コイルを有し,このコイルに高周波電力を供給して,前記処理チャンバ内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成装置と,前記基台に高周波電力を供給する高周波電源とを備えたエッチング装置を用いて,前記基台上の炭化珪素基板をプラズマエッチングする方法であって,
前記基台上に,エッチングマスクである二酸化珪素が形成された前記炭化珪素基板を載置した後,
前記排気装置によって減圧された前記処理チャンバ内に,前記ガス供給装置によってSF_(6)ガスを供給し,供給したSF_(6)ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与えて前記炭化珪素基板をエッチングするとともに,
前記炭化珪素基板を200℃?400℃(ただし,200℃を除く)に加熱した状態でエッチングして前記炭化珪素基板の表面に底面を有する穴又は溝を形成するようにしたことを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項2】
前記炭化珪素基板を200℃?400℃の温度に予め加熱した後,この温度を維持しながら前記炭化珪素基板をエッチングするようにしたことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
【請求項3】
前記炭化珪素基板を予め加熱する際に,前記ガス供給装置により不活性ガスを前記処理チャンバ内に供給し,供給した不活性ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与え,前記不活性ガスのプラズマ化により生成されたイオンを前記炭化珪素基板に入射させて該炭化珪素基板を加熱するようにしたことを特徴とする請求項2記載のプラズマエッチング方法。
【請求項4】
前記炭化珪素基板の加熱温度を,300℃?400℃の範囲内に設定したことを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのプラズマエッチング方法。
【請求項5】
閉塞空間を有する処理チャンバと,炭化珪素基板が載置される基台と,前記処理チャンバ内を減圧する排気装置と,前記処理チャンバ内にガスを供給するガス供給装置と,コイルを有し,このコイルに高周波電力を供給して,前記処理チャンバ内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成装置と,前記基台に高周波電力を供給する高周波電源とを備えたエッチング装置を用いて,前記基台上の炭化珪素基板をプラズマエッチングする方法であって,
前記基台上に,エッチングマスクである二酸化珪素が形成された前記炭化珪素基板を載置した後,
前記排気装置によって減圧された前記処理チャンバ内に,前記ガス供給装置によってSF_(6)ガスを供給し,供給したSF_(6)ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与えて前記炭化珪素基板をエッチングするとともに,
前記炭化珪素基板を200℃?400℃(ただし,200℃を除く)に加熱した状態でエッチングするようにし,
前記炭化珪素基板を200℃?400℃の温度に予め加熱した後,この温度を維持しながら前記炭化珪素基板をエッチングするようにし,
前記炭化珪素基板を予め加熱する際に,
前記ガス供給装置により不活性ガスを前記処理チャンバ内に供給し,供給した前記不活性ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与え,前記不活性ガスのプラズマ化により生成されたイオンを前記炭化珪素基板に入射させて該炭化珪素基板を加熱する,及び/又は,
前記基台に埋め込まれたヒータにより前記炭化珪素基板を加熱する,
ことを特徴とするプラズマエッチング方法。
【請求項6】
前記炭化珪素基板の加熱温度を,300℃?400℃の範囲内に設定したことを特徴とする請求項5に記載のプラズマエッチング方法。」

第4 引用文献及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同じ。)
「【技術分野】
【0001】
本発明は,高耐圧,大電流用炭化珪素(以下,SiC)半導体装置の製造方法にかかり,詳しくはトレンチゲート構造を備える炭化珪素半導体装置の製造方法にかかる。」
「【0010】
本発明はそのような問題点に鑑みてなされたものであり,SiC半導体基板に3μmを超える深いトレンチエッチングを実用性の高いプロセスにすると共に,トレンチ底部を,電界集中を引き起こして耐圧特性に影響を及ぼす程度の鋭角を有する凹凸形状を形成することなく,平坦に整形することのできるドライエッチング工程を含む炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することである。」
「【発明の効果】
【0016】
本発明によれば,SF_(6)およびO_(2)ガスにAr添加することにより,低圧(1Pa)での放電が可能となり,Ar添加量,SF_(6)およびO_(2)比をSF_(6)がO_(2)に対して60%にし,さらにエッチング時の温度を80℃に上昇させ,総ガス流量を制御すると,エッチング選択比を8.7ときわめて高くすることができ,その結果,3μmを超え,特には10μm以上の深いトレンチを形成できるだけでなく,さらに2段階のエッチング条件を用いることにより,マイクロトレンチと呼ばれる,トレンチ底部に,電界集中を引き起こして耐圧特性に影響を及ぼす程度の鋭角を有する凹凸形状のような形状異常を実質的になくすことができる。」
「【実施例1】
【0019】
以下,本発明にかかるトレンチゲート構造を備えるMOS半導体装置の製造方法の実施例1について図面を用いて詳細に説明する。このMOS半導体装置の製造方法のうち,本発明にかかるトレンチエッチング工程以外の工程については,従来の製造方法に準じるので,詳細な製造条件等は示さず簡略記載とする。図11は完成した本発明の製造方法により作製したトレンチゲート構造を備えるMOS半導体装置の要部断面図である。図11に示すSiC積層基板10はn型のSiC基板1上に高抵抗n型のSiC層2をエピタキシャル成長により堆積させ,この膜上にp型のSiC薄膜3をエピタキシャル成長により堆積させて形成される。ここで,前記p型SiCエピタキシャル層はpウエル層3となる。次に,SiO_(2)膜フォトエッチング工程を示す図1,2,3に示すように,前述の半導体層等が形成されたSiC積層基板10上にトレンチエッチング用のマスクとなるSiO_(2)膜44をCVD法などにより堆積した後にフォトレジスト14を形成し(図1),フォトリソグラフィでトレンチ用SiO_(2)膜パターン4を形成する(図2)。フォトレジスト14を除去し(図3),形成されたSiO_(2)膜パターン4をマスクとして表面から前記pウエル3直下の高抵抗n型のSiCエピタキシャル層2までドライエッチングし,深さ10μm程度のトレンチ(溝)5を形成する。このトレンチエッチング工程については,後で詳述する。その後,形成したトレンチ5内を洗浄し,エッチングによるダメージ層(図示せず)を除去するためのソフトエッチングと犠牲酸化膜(図示せず)形成を行った後,前記犠牲酸化膜とマスクSiO2膜4を除去する。次にゲート酸化膜6とポリシリコンゲート電極7を順に形成する。ゲート電極7は,基板10表面にリンドープされたポリシリコンを堆積してトレンチ5に埋め込み,基板10表面部のポリシリコンをエッチバックして作製する。さらに,n+エミッタ領域8およびpウエル3表面にp+コンタクト領域12を設けるためのパターニングを行い,n型およびp型のドーパントをそれぞれイオン注入し,熱処理し活性化する。基板10表面にゲート電極7とエミッタ電極11との間を絶縁するための層間絶縁膜9を堆積し,パターニングした後に,エミッタ電極11とゲート電極7パッド部を形成するためにアルミニウム膜を蒸着させ,パターニングし,裏面側にドレイン電極(図示せず)をスパッタなどにより形成すると,図11に示す本発明の製造方法にかかるトレンチゲート構造を備えるSiC-MOS半導体装置ができる。
(中略)
【0022】
次にSiC基板(またはSiC膜)1の表面からICPドライエッチングを行う。本発明ではSiC基板10のドライエッチングは2段階に条件を変化させて行うことを特徴とする。第一のドライエッチングにおけるエッチング条件では目標の深さの4/5程度のエッチングが好ましい。深さ3μmを超える深いエッチングを行う場合は,SiO_(2)膜マスクとSiC基板のエッチング選択比(以下選択比)ができるだけ大きいことが望ましい。(中略)
【0026】
前記図4に示す結果を踏まえ,本実施例では第一ドライエッチングのエッチング条件はSF_(6)ガスとO_(2)ガスとArガスの混合ガスでSF_(6)流量5sccm,O_(2)流量8sccm,Ar流量30sccmを導入して1Paの圧力でICP電力500W,SiC基板側に印加するバイアス電力を15W,さらにSiC基板をヒーターで80℃に加熱した条件で目標深さの4/5程度まで(約10μm)エッチングを行った。図5に前記第一のエッチング条件でのエッチング深さ10μmとしたときの実際のエッチング形状を観察したSiC積層基板10の断面図を示す。前記第一の条件でエッチングするとエッチング速度0.6μm/min程度である。従来の0.05μm/minに比べて高速にエッチングできるが,そのトレンチ5の断面形状はエッチング底部が少し細くなり,底部にマイクロトレンチ13が発生している。この第一のエッチング条件で目標深さの4/5程度(この実施例では10μm)をエッチングした後に,エッチング装置からサンプル(SiC基板)10を取り出さずに真空(減圧状態)を維持し続けて第二の条件でのエッチングを行った。本実施例1では減圧状態を維持したが,大気開放しても問題がないことも別途確認した。この第二のエッチング条件はSF_(6),O_(2),Arの混合ガスを用い,SF_(6)流量2sccm,O_(2)流量2sccm,Ar流量8sccmを導入して1Paの圧力でICP電力200W,SiC基板側に印加するバイアス電力を20W,さらにSiC基板をヒーターで80℃に加熱した条件で,先に形成したトレンチ5深さ10μmにさらに深さ2.5μmエッチングを加えた(第一のエッチング条件と合わせた深さ12.5μmエッチング)。第一のエッチング条件後,第二のエッチング条件で続けてエッチングを行った場合のトレンチ5を示すSiC積層基板の断面図を図6に示す。第二のエッチング条件ではエッチング速度は0.2μm/min程度に低下するが,第二のエッチングを追加することでマイクロトレンチ13がほとんどなくなるのがわかる。トータルのエッチング深さは12.6μmであった。このトレンチエッチング工程により形成したトレンチMOS半導体装置ではトレンチの底部での電界集中による耐圧低下が極めて小さいことが分かった。
【0027】
以上の結果,実施例1によれば,SiC半導体基板に3μmを超える深いトレンチエッチング,さらには10μm以上の深いトレンチが実用性の高いプロセスで可能になるだけでなく,トレンチ底部を,電界集中を引き起こして耐圧特性に影響を及ぼす程度の鋭角を有する凹凸形状を形成することなく,平坦にエッチングできることが分かった。」
(2)引用発明
前記(1)より,引用文献1には次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「SiO_(2)膜パターンをマスクとして表面からドライエッチングし,トレンチを形成するトレンチエッチング工程であって,
SiC基板の表面からICPドライエッチングを行い,2段階に条件を変化させて行うことを特徴とし,
第一ドライエッチングのエッチング条件はSF_(6)ガスとO_(2)ガスとArガスの混合ガスで,SiC基板をヒーターで80℃に加熱した条件で目標深さの4/5程度までエッチングを行うもので,第一の条件でエッチングすると,従来に比べて高速にエッチングできるが,そのトレンチの断面形状はエッチング底部が少し細くなり,底部にマイクロトレンチが発生しており,
続けて第二の条件でのエッチングを行い,第二のエッチング条件はSF_(6),O_(2),Arの混合ガスを用い,SiC基板をヒーターで80℃に加熱した条件で,先に形成したトレンチにさらに深くエッチングを加えるもので,第二のエッチング条件ではエッチング速度は低下するが,第二のエッチングを追加することでマイクロトレンチがほとんどなくなるもの。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,半導体装置およびその製造方法に関し,特にNiをマスクに半導体層をエッチングした半導体装置およびその製造方法。」
「【0020】
図2(c)における基板10のエッチングは,SiCまたは酸化シリコン(石英)からなる被エッチング層をエッチングする場合は,例えばSF_(6)またはNF_(3)などの弗素系ガスを用いる。窒化ガリウム(GaN),サファイア,窒化アルミニウムガリウム(AlGaN),窒化インジウムガリウム(InGaN)および窒化アルミニウム(AlN)からなる被エッチング層をエッチングする場合は,例えばCl_(2),BCl_(3)またはSiCl_(4)等の塩素系のガスを用いる。これらの被エッチング層のエッチングとしては,例えばRIE(反応性イオンエッチング)装置,ICP(誘導結合プラズマ)型エッチング装置またはECR(電子サイクロトロン共鳴)型エッチング装置を用い実行することができる。
【0021】
炭化シリコン,酸化シリコン,サファイア,窒化ガリウム,窒化アルミニウムガリウム,窒化インジウムガリウムおよび窒化アルミニウムの少なくとも1つを含む被エッチング層(基板や層)は反応性プラズマに対する反応定数が小さくマスク層18とのエッチング選択比を向上させるためにはマスク層の反応定数をさらに小さくする必要がある。実施例1においては,マスク層18の最上層をNi膜16aとすることにより,マスク層18に対するこれらの被エッチング層である基板10のエッチング選択比を大きくすることができる。例えば,SiC基板,サファイア基板の場合,エッチング選択比をそれぞれ,30?100,20程度とすることができる。
(中略)
【0024】
通常,プラズマエッチングは100℃以下の温度で行うが,特に,炭化シリコン,酸化シリコン,サファイア,窒化ガリウム,窒化アルミニウムガリウム,窒化インジウムガリウムおよび窒化アルミニウの少なくとも1つを含む被エッチング層のエッチング速度を速くするためには250℃以上の温度でエッチングすることが好ましい。しかしながら,このような高温でエッチングを行うと,NiCr膜とNi膜との間が剥がれてしまう。そこで,このような高温でエッチングする際は,特にNiCr/Au/Ni膜をマスク層とすることが有効である。」
3 引用文献3
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0003】
本発明は,基板を加熱する方法に関し,特にはプラズマを使用して基板を加熱する方法に関するものである。」
「【0030】
プラズマプレヒート(plasma pre-heating:PPH)の間,基板温度は,ポリシリコンのエッチングに適している温度(例えば80℃)から,HfO_(2)の選択エッチングにより適している温度(例えば400℃)に上昇される。基板が単に基板ホルダ上に載置されるとき(すなわち,(ESCを介した)クランピングおよび裏面ガスなしで),基板は,基板ホルダおよび周囲の処理チャンバから実質的に熱的に分離される。例えば,図6は,より低い温度に維持された基板ホルダの上に載置されるときの,3つの異なる条件に対する基板温度の典型的な反応を示す。基板が基板ホルダに固定されず,従って裏面ガス圧を受けられない場合,時間内の基板温度の変化は非常に遅い(図6の100として記載される実線)。他方,基板が基板ホルダに固定されるが,裏面ガス圧を受けられない場合,時間内の温度変化のわずかに増加した速度は観察される(図6の102として記載される長い破線)。さらに,基板が基板ホルダに固定され,かつ裏面ガス圧を受けられる場合,基板温度が基板ホルダの温度に近づくように,基板温度は,まず最初に速く,その後段階的に低下する(図6の104として記載される短い破線)。
【0031】
基板が熱的に分離されるときに(すなわちクランプ力が取り除かれ,裏面ガス圧が取り除かれる),基板のプラズマプレヒート(PPH)が行われる。一般に,イオン衝撃および伝達性の熱中和(convective hot-neutrals)は基板の加熱に貢献し,より少ない度合いで,電子(熱および衝撃(ballistic)の両方で)加熱は,加熱プロセスに貢献する。非常にイオン化されたプラズマ(誘導結合型プラズマ(ICP),wave加熱される(wave-heated)など)において,イオン衝撃加熱は,伝達性の熱中和に対して優位になり得る。
【0032】
容量結合型プラズマ(capacitively coupled plasmas:CCP)において,伝達性の熱中和は,イオン衝撃加熱と同様に重要となり得て,場合によっては,熱中和は,優位な加熱プロセスとなり得る。1つの実施形態において,プラズマプレヒートプロセスは,He,Ar,Kr,およびXeのような不活性ガスを導入することと,この不活性ガスからプラズマを点火することと,基板からクランプ力を取り除き,基板から裏面ガス圧を取り除くこととを具備する。例えば,図7は,下部電極に供給されるRF電力,不活性ガスのチャンバ圧力,不活性ガスの流量,および不活性ガスの原子質量の変化する影響が,基板加熱パワーにかかることを示す。(a)加熱パワーは,下部電極に供給されたRF電力の増加とともに増加し(110の線),(b)加熱パワーは,不活性ガス流量の増加とともにわずかに増加し(114の線),(c)加熱パワーは,不活性ガス圧力の増加とともにわずかに増加し(112の線),(d)加熱パワーは,不活性ガスの原子質量の増加によって減少する(116の線)ことが(すなわち,ヘリウムの使用は,アルゴンより効果的である)観察された。
【0033】
実施例において,図8は,プラズマプレヒート(PPH)法を使用して選択的なHfO_(2)/Siゲート誘電体エッチングの説明を示す。大部分のデバイスは,厚さ20?50オングストロームの範囲のHfO_(2)ゲート誘電層を有する。従って,エッチング時間は,一般的に非常に短い(例えば,ほぼ5秒)。特定のPPHプロセス下でのピークの基板温度は,PPH時間に依存する。一旦所望のピークの基板温度が到達されると(例えば400℃)(期間120の間),選択的なHfO_(2)エッチングプロセスレシピは,始められる。一般的に,HfO_(2)エッチングプラズマは,PPHより低いパワーであり;従って,基板加熱速度は,大幅に減少する。理想的な熱のアイソレーションのために,基板温度は,HfO_(2)エッチングの間(期間122の間),ほとんど一定のままであり得る。クールダウンは,期間124の間に起こる。」
4 引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,半導体デバイス基板の表面上の銅層をパターンエッチングする場合に有利となるような特定の化学系に関する。特に,表面形状の被エッチ部分が,これに隣接する表面形状面のエッチングを行っている間に,反応性種から保護される。」
「【0060】
II.本発明の実施のための装置
米国カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアルズ社のセンチュラインテグレーテッドプロセッシングシステムにより,エッチングプロセスが遂行された。このシステムは,米国特許第5186718号に図示及び説明されている。この装置は,Yan Ye et al., at the Proceedings of the Eleventh International Symposium of Plasma Processing, May 7, 1996, the Electrochemical Society proceedings, Volume 96-12, pp. 222-233(1996) に記載されている種類のデカップルドプラズマソース(DPS)を有している。プラズマ処理チャンバは,直径8インチ(200mm)のシリコンウエハの処理が可能なものである。
【0061】
処理チャンバの模式図が図1Aに示されており,ここではエッチングプロセスチャンバ10が示され,これは少なくとも1つの誘導コイルアンテナセグメント12を有するように構成され,この誘導コイルアンテナセグメントはエッチングプロセスチャンバ10の外側に配置され高周波(RF)ジェネレータ18に接続される。プロセスチャンバの内部には,インピーダンス整合回路網24を介してRF電力ジェネレータ22に接続される基板14の支持ペデスタル16と,基板支持ペデスタル16にRF電力が印加される結果,基板14に蓄積するオフセットバイアスに対する電気接地として作用する導電性のチャンバ壁30とがある。
【0062】
半導体基板14は支持ペデスタル16上に置かれ,入力ポート26よりプロセスチャンバ内にガス成分が供給される。この産業でよく知られる技術により,プロセスチャンバ10内にプラズマが点火(イグニッション)される。エッチングプロセスチャンバ10内の圧力は,真空ポンプ(図示せず)と,プロセスチャンバガス排気口ライン28に接続される遮断弁27を用いて調節される。エッチングチャンバ壁の表面の温度は,エッチングチャンバ10の壁に配置された液体を有する導管(図示せず)を用いて調節される。半導体基板の温度の調節は,初期温度に到達するためにはアルゴンプラズマの基板表面への衝突により行われ,次いでエッチングプロセス中は基板表面へのプラズマ種の衝撃により行われる。例えば,ここに記載する具体例では,基板温度は約150℃より高く且つ350℃より低く維持されることが望ましく,これでは,基板の表面衝突だけに依存すればよいことになる。しかし,温度制御基板支持ペデスタル16か,あるいは,イオン衝突と温度制御基板支持ペデスタル16の組み合わせを用いる事が可能である。エッチングチャンバ10の壁は,前述の冷却導管を用いて約80℃に維持された。製造プロセスでは,基板支持プラーテンが基板の裏面の加熱又は冷却を与えることが好ましい。」
「【0065】
III.水素の少なくとも半分以上が主要なエッチャント化合物(HClやHBr等)の解離により生成する,本発明の方法を用いて行うパターン銅エッチング
下記に与えられるパターン後の銅のエッチングについての実施例は,図1を参照して説明される種類の,外部誘導コイルのみを有するセンチュラインテグレーテッドプロセッシングシステムで行われた。
【0066】
基板は,シリコン酸化物誘電層が上面を覆っているシリコンウエハであった。典型的には,このシリコン酸化物誘電層の上を,厚さ500Åのタンタルのバリア層が覆っている。このバリア層の上には,厚さ5000Åの銅の層がスパッタリング堆積されている。そして,この銅層の上を厚さ250Åのタンタルの層が覆い,更に,このタンタル層の上を,厚さ5000Åのパターン付きシリコン酸化物ハードマスクが覆っている。この概説的な説明から基板を変える場合は,その変更は,説明した特定の好ましい具体例に特定されている。
【0067】
ここで特定されたプラズマフィードガスの組成を用い,標準的な技術を用いて,エッチングチャンバ内にプラズマを生成した。外部RFコイルの電力は,各実施例において特定されてりるが,周波数は全てのケースにおいて約2MHzである。基板オフセットバイアスが,RF電力を約13.56MHz,ワットが約50W(バイアス電圧約20Vと等価)で印加することにより発生した。好ましくは,支持プラーテンへの電力は約400W?約800Wである。
【0068】
エッチングチャンバ内の圧力は約0.1mT?100mTであったが,約20mTよりも低いことが好ましい。基板表面の温度は,約130℃?約350℃であったが,これは,所望の温度を与えるようにデザインされたソースガスより生成したプラズマからのイオンの衝突を用いて制御され,あるいは,下にある基板支持プラーテンからの熱移動により制御され,あるいはこの両方の組み合わせを用いて制御される。エッチングチャンバの壁温度は好ましくは,基板温度よりも少なくとも50℃低い。典型的には,エッチングチャンバ表面は約80℃?約150℃に維持されるが,正確なチャンバ壁温度は重要ではない。」
5 引用文献5
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置等の製造プロセスに使用されるプラズマ処理方法に関し,さらに詳しくは,被処理基板の正確な温度制御を行いつつ,被処理基板に対し所望のプラズマエッチングやプラズマCVDを施すことが可能なプラズマ処理方法に関する。」
「【0016】
【実施例】以下,本発明の具体的実施例につき,添付図面を参照しながら説明する。まず,図5は以下の実施例で共通に用いた基板バイアス印加型ECRプラズマ処理装置の一構成例を示す概略断面図である。マイクロ波導波管11を経由して2.45GHzのマイクロ波を石英等の誘電体材料からなるベルジャ12内に導入し,ソレノイドコイル13により発生する0.0875Tの磁場によりガス導入孔14からのプロセスガスを励起し,ECRプラズマをベルジャ12内に形成する。被処理基板1を載置する基板ステージ2まわりは図6(a)?(b)に示した構造と同じであり,同装置の場合はメカニカルクランプ方式を採用しているが,静電チャック方式でもよい。同装置では,ガス導入孔14から予備プラズマ処理用のガスと,主たるプラズマ処理用のガスを切り替えて導入できる図示しないガス導入機構を有する。
【0017】実施例1
本実施例は,プラズマ処理としてプラズマエッチングを例にとり,不純物を含む多結晶シリコン(DOPOS)からなるゲート電極加工に本発明を適用した例であり,これを図1および図2(a)?(c)を参照して説明する。
【0018】まず図2(a)に示すように,LOCOS(図示せず)等により素子分離領域を形成したSi等の半導体基板21をウェット酸化して例えば20nmの厚さのゲート酸化膜22を形成する。次にシラン系ガスとPH_(3) 等の不純物ソースを用いた減圧CVDにより,DOPOS層23を300nm形成する。この上に一例として化学増幅型レジストを1μmの厚さに塗布し,KrFエキシマレーザ露光により0.35μm幅のレジストマスク24を形成する。この状態まで形成した試料を被処理基板とする。
【0019】この被処理基板1を図5に示した基板バイアス印加型ECRプラズマ処理装置の基板ステージ2に載置し,図2(b)に示すように一例として下記条件によりHeガスの予備プラズマ25による予備プラズマ処理を30秒間施す。なお,基板ステージ2は,20℃の一定温度に制御する。
He 100 sccm
ガス圧力 0.01 Pa
マイクロ波パワー 1000 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 30 W(2MHz)
基板ステージ温度 20 ℃
この予備プラズマ処理工程において,被処理基板1の温度T1は時間の経過とともに50℃程度上昇し,ほぼ平衡温度となる。この様子を図1に示す。同図は従来技術の説明に用いた図8に対応するものであり,被処理基板1の温度T1と基板ステージ2の温度T2の温度差T1-T2の時間変化を示す図である。なおこのHeによる予備プラズマ処理中,図2(a)に示す被処理基板1の表面形状は,実質的な変化は見られない。
【0020】被処理基板の温度がほぼ平衡温度に達した直後に,ガス導入孔14からの導入ガスを切り替え,一例として下記条件により主たるプラズマ処理としてのプラズマエッチングを施す。
Cl_(2) 20 sccm
He 100 sccm
ガス圧力 0.01 Pa
マイクロ波パワー 1000 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 30 W(2MHz)
基板ステージ温度 20 ℃
このプラズマエッチング工程は,プラズマ生成条件が予備プラズマ処理と大きく変わることのないように条件を設定しているので,放電がガス切り替えにより不安定となることはない。このため,被処理基板1の温度は図1に示すようにプラズマエッチング中一定値を保ち,図2(c)に示すようにDOPOS層23のパターニングが終了する。本実施例によれば,Heの予備プラズマ処理により,均一で安定した温度制御のもとにプラズマエッチングを施すことが可能である。
【0021】実施例2
本実施例もプラズマ処理としてプラズマエッチングを例にとり,実施例1と同じDOPOSからなるゲート電極加工に本発明を適用した例であるが,予備プラズマ処理において被エッチング層表面の自然酸化膜の条件を兼ねた例であり,これを同じく図1および図2(a)?(c)を参照して説明する。
【0022】図2(a)に示す被処理基板は実施例1と同じであるので説明を省略する。この被処理基板1を図5に示した基板バイアス印加型ECRプラズマ処理装置の基板ステージ2に載置し,図2(b)に示すように一例として下記条件によりArガスの予備プラズマ25による予備プラズマ処理を30秒間施す。なお,基板ステージ2は,20℃の一定温度に制御する。
Ar 100 sccm
ガス圧力 0.01 Pa
マイクロ波パワー 1000 W(2.45GHz)
RFバイアスパワー 30 W(2MHz)
基板ステージ温度 20 ℃
この予備プラズマ処理工程においても,被処理基板1の温度T1は時間の経過とともに50℃程度上昇し,ほぼ平衡温度となる。この様子を同じく図1に示す。なおこのArによる予備プラズマ処理中,図2(a)に示す被処理基板1の表面形状は,図示しない自然酸化膜が除去されるのみであり,実質的な変化は見られない。」

第5 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)本願発明1と引用発明との対比
ア 引用発明は「SiC基板の表面からICPドライエッチングを行」う「トレンチエッチング工程」であるから,「閉塞空間を有する処理チャンバと,炭化珪素基板が載置される基台と,前記処理チャンバ内を減圧する排気装置と,前記処理チャンバ内にガスを供給するガス供給装置と,コイルを有し,このコイルに高周波電力を供給して,前記処理チャンバ内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成装置と,前記基台に高周波電力を供給する高周波電源とを備えたエッチング装置を用いて,前記基台上の炭化珪素基板をプラズマエッチングする方法」であるといえる。
イ 引用発明では「SiO_(2)膜パターンをマスクとして表面からドライエッチング」するから,前記アを考慮すると,「前記基台上に,エッチングマスクである二酸化珪素が形成された前記炭化珪素基板を載置」するといえる。
ウ 引用発明では「SF_(6)ガスとO_(2)ガスとArガスの混合ガス」を用いるから,前記アを考慮すると,「前記排気装置によって減圧された前記処理チャンバ内に,前記ガス供給装置によって」「ガスを供給し,供給した」「ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与えて前記炭化珪素基板をエッチングする」といえる。
エ 引用発明は「SiC基板をヒーターで80℃に加熱した条件で」「トレンチを形成するトレンチエッチング工程」を行うものであるから,「前記炭化珪素基板を加熱した状態でエッチングして前記炭化珪素基板の表面に底面を有する穴又は溝を形成するようにしたことを特徴とするプラズマエッチング方法」であるといえる。
オ すると,本願発明1と引用発明とは,下記カの点で一致し,下記キの点で相違する。
カ 一致点
「閉塞空間を有する処理チャンバと,炭化珪素基板が載置される基台と,前記処理チャンバ内を減圧する排気装置と,前記処理チャンバ内にガスを供給するガス供給装置と,コイルを有し,このコイルに高周波電力を供給して,前記処理チャンバ内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成装置と,前記基台に高周波電力を供給する高周波電源とを備えたエッチング装置を用いて,前記基台上の炭化珪素基板をプラズマエッチングする方法であって,
前記基台上に,エッチングマスクである二酸化珪素が形成された前記炭化珪素基板を載置した後,
前記排気装置によって減圧された前記処理チャンバ内に,前記ガス供給装置によってガスを供給し,供給したガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与えて前記炭化珪素基板をエッチングするとともに,
前記炭化珪素基板を加熱した状態でエッチングして前記炭化珪素基板の表面に底面を有する穴又は溝を形成するようにしたことを特徴とするプラズマエッチング方法。」
キ 相違点
(ア)相違点1
本願発明1では「ガス」が「SF_(6)ガス」であるのに対し,引用発明では「ガス」が「SF_(6)ガスとO_(2)ガスとArガスの混合ガス」である点。
(イ)相違点2
本願発明1では加熱温度が「200℃?400℃(ただし,200℃を除く)」であるのに対し,引用発明では「80℃」である点。
(2)相違点についての判断
相違点2について検討する。
SiO_(2)膜パターンをマスクとしてSiC基板の表面からICPドライエッチングを行う際に加熱温度を「200℃?400℃(ただし,200℃を除く)」とすることについて,引用文献2ないし5には記載も示唆もない。
引用文献2には,「炭化シリコンを含む被エッチング層のエッチング層のエッチング速度を速くするためには250℃以上の温度でエッチングすることが好ましい」(前記第4の2【0024】)ことが記載されているが,「エッチング選択比を向上させるために」「このような高温でエッチングする際は,特にNiCr/Au/Ni膜をマスク層とすることが有効である」(同【0021】,【0024】)と記載されているのであり,「SiO_(2)膜パターンをマスク」とする引用発明に引用文献2記載の技術を採用すると,「エッチング選択比」を保てなくなるから,阻害要因があるというべきである。
また,引用発明では「2段階に条件を変化させて行」い「第一ドライエッチング」では「従来に比べて高速にエッチングできるが,そのトレンチの断面形状はエッチング底部が少し細くなり,底部にマイクロトレンチが発生し」,「続けて第二の条件でのエッチングを行い」「第二のエッチング条件ではエッチング速度は低下するが,第二のエッチングを追加することでマイクロトレンチがほとんどなくなる」というものである。つまり,引用発明では,第一のエッチング条件では比較的高速だがマイクロトレンチが発生し,第二のエッチング条件ではエッチング速度は低下するが,マイクロトレンチがほとんどなくなるという,2つの条件を組み合わせることで,その目的を達成している(前記第4の1(1)【0016】)のであり,一方的にエッチング速度を速くすれば,その2つの条件のバランスが崩れて目的が達成できなくなるから,この点においても,引用発明に引用文献2記載の技術を採用することには,阻害要因があるというべきである。
よって,相違点2に係る構成を得ることは,当業者が容易になしうることではない。
(3)まとめ
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明1は,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2ないし4について
本願発明2ないし4は,本願発明1を引用するものであり,本願発明1の発明特定事項を全て備えるから,前記1と同様の理由により,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
3 本願発明5について
(1)本願発明5と引用発明との対比
ア 前記1(1)アないしエと同様であるから,本願発明5と引用発明とは,下記イの点で一致し,下記ウの点で相違する。
イ 一致点
「閉塞空間を有する処理チャンバと,炭化珪素基板が載置される基台と,前記処理チャンバ内を減圧する排気装置と,前記処理チャンバ内にガスを供給するガス供給装置と,コイルを有し,このコイルに高周波電力を供給して,前記処理チャンバ内に供給されたガスをプラズマ化するプラズマ生成装置と,前記基台に高周波電力を供給する高周波電源とを備えたエッチング装置を用いて,前記基台上の炭化珪素基板をプラズマエッチングする方法であって,
前記基台上に,エッチングマスクである二酸化珪素が形成された前記炭化珪素基板を載置した後,
前記排気装置によって減圧された前記処理チャンバ内に,前記ガス供給装置によってガスを供給し,供給したガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,且つ,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与えて前記炭化珪素基板をエッチングするとともに,
前記炭化珪素基板を加熱した状態でエッチングするようにする,
ことを特徴とするプラズマエッチング方法。」
ウ 相違点
(ア)相違点3
本願発明5では「ガス」が「SF_(6)ガス」であるのに対し,引用発明では「ガス」が「SF_(6)ガスとO_(2)ガスとArガスの混合ガス」である点。
(イ)相違点4
本願発明5では加熱温度が「200℃?400℃(ただし,200℃を除く)」であるのに対し,引用発明では「80℃」である点。
(ウ)相違点5
本願発明5では「前記炭化珪素基板を200℃?400℃の温度に予め加熱した後,この温度を維持しながら前記炭化珪素基板をエッチングするようにし,前記炭化珪素基板を予め加熱する際に,前記ガス供給装置により不活性ガスを前記処理チャンバ内に供給し,供給した前記不活性ガスを前記プラズマ生成装置によってプラズマ化し,前記高周波電源によって前記基台にバイアス電位を与え,前記不活性ガスのプラズマ化により生成されたイオンを前記炭化珪素基板に入射させて該炭化珪素基板を加熱する,及び/又は,前記基台に埋め込まれたヒータにより前記炭化珪素基板を加熱する」のに対し,引用発明では「予め加熱」しない点。
(2)相違点についての判断
相違点4について検討すると,前記1(2)と同様であるから,相違点4に係る構成を得ることは,当業者が容易になしうることではない。
(3)まとめ
したがって,他の相違点について検討するまでもなく,本願発明5は,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4 本願発明6について
本願発明6は,本願発明5を引用するものであり,本願発明5の発明特定事項を全て備えるから,前記3と同様の理由により,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 原査定について
前記「第5 対比及び判断」のとおりであるから,本願発明1ないし6は,引用文献1ないし5に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によって,本願を拒絶することはできない。

第7 結言
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-08 
出願番号 特願2016-230711(P2016-230711)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 正山 旭  
特許庁審判長 加藤 浩一
特許庁審判官 恩田 春香
深沢 正志
発明の名称 プラズマエッチング方法  
代理人 アセンド特許業務法人  
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