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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1353085
審判番号 不服2017-6760  
総通号数 236 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-10 
確定日 2019-07-02 
事件の表示 特願2015-117003「移動端末の無線充電のための方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年10月29日出願公開、特開2015-188255〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)7月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2008年8月4日 大韓民国、2008年9月4日 大韓民国)を国際出願日として出願した特願2011?521995号の一部を、平成27年6月9日に新たな特許出願としたものであって、平成28年2月4日に手続補正書が提出され、同年5月13日付けで拒絶理由が通知され、同年8月23日に意見書及び手続補正書が提出され、同年12月28日付けで拒絶査定されたところ、平成29年5月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出されたものである。その後当審において平成30年7月2日付けで拒絶理由が通知され、同年12月10日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
平成30年12月10日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1には、以下の事項が記載されている([当審注]:下線部は補正箇所を示す。)。
「【請求項1】
移動通信システムにおける端末の信号伝送方法であって、
任意のHARQプロセスに対する最初の伝送が指示されると、最後の再伝送可能時点を算出し、前記最後の再伝送可能時点が経過すると、HARQバッファーに保存されているデータを廃棄する段階と、
新規データ指示子(NDI)を含むアップリンク伝送資源割り当てメッセージを基地局から受信する段階と、
前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行し、前記HARQバッファーが空いておらず、かつ、前記NDIがトグルされていない場合、前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスに対するメディアアクセス制御プロトコルデータ(Media Access Control Protocol Data Unit、MAC PDU)の伝送資源を変更する適応的再伝送を実行する段階と、
を含むことを特徴とする信号伝送方法。」
(以下、「本願発明」という。)

第3 当審拒絶理由の概要
当審が平成30年7月2日付けで通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は、以下のとおりである。

「1.(サポート要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。
2.(明確性要件)本件出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

理由1、理由2について
(1)請求項1の「HARQプロセスのHARQバッファーが空いていれば、NDIと無関係にRV(Redundancy Version)を0に設定して、新規伝送を実行する段階」との記載に関連して、発明の詳細な説明には、次の記載がある。
(途中、省略)
上記ア及びイの記載によれば、RVを設定する主体は、基地局と考えられるが、請求項1にいう「RV(Redundancy Version)を0に設定して、」が何を意味するのかが不明確である。(明確性要件)
また、発明の詳細な説明には、「端末」が主体となって「RV(Redundancy Version)を0に設定」することは、記載も示唆もされていない。(サポート要件)

また、同段落【0025】、段落【0028】?段落【0029】、段落【0031】、段落【0034】の記載によれば、発明の詳細な説明に発明として記載されたものは、HARQプロセスの最後の再伝送可能時点が経過して、HARQバッファーに保存されているMAC PDUが廃棄された後に初めて、HARQプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信した場合に、上記メッセージのNDIが指示する値と関係なく、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。そして、RVが0か否かで、逆方向伝送資源割り当てメッセージが、新しいMAC PDUの最初伝送用を意味するのか、適応的再伝送用を意味するのかを判断するといえ、これにより、新しいMAC PDUの最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失したと判断される場合は、上記受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視している。
しかし、請求項1に係る発明では、RVが0か否かに関わらず、新規伝送を実行しているから、発明の課題を解決するための手段が反映されているとはいえない。また、請求項1に係る発明では、HARQプロセスの最後の再伝送可能時点が経過して、HARQバッファーに保存されているMAC PDUが廃棄された場合に限らず、単に「HARQプロセスのHARQバッファーが空いていれば」、新規伝送を実行するものといえるから、この点においても、上述のような発明の課題を解決するための手段が反映されているとはいえないから、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものといえる。(サポート要件)
(以下、省略)」

第4 本願の発明の詳細な説明の記載
本願の発明の詳細な説明には、以下の記載がある([当審注]:下線部は、当審において付与。)。
「【0012】
表1は、3GPP標準文書36.213V 8.60に開示されたもので、変調/チャネルコーディングフィールド310に収納されるMCSレベルによる伝送ブロックサイズ(TBS)インデックスとRVの関係を開示している。表1を参照すれば、MCSレベルが0?28の場合、RVが0であり、各々に対応する伝送ブロックサイズ(TBS)インデックスが存在する。また、MCSレベルが29?31の場合、RVは、各々1?3であり、対応する伝送ブロックサイズ(TBS)インデックスは存在しない。
【0013】
NDI(New Data Indicator)315は、当該伝送資源割り当てメッセージが新しい伝送に関するものであるか、再伝送に関するものであるかを指示する1ビット情報である。
【0014】
逆方向HARQ動作、逆方向伝送資源割り当てメッセージとNDIの用例を図4に示した。
【0015】
図4は、逆方向伝送資源割り当てメッセージとNDIの用例を示す図である。
図4を参照すれば、任意の時点に端末が逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば(405)、端末は、所定のT 410が経過した後、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが指示する伝送資源415とMCSレベルを利用してMAC PDUを伝送する。説明の便宜のために、405で割り当てられた伝送資源を通じて伝送されるMAC PDUをMAC PDU Aと命名する。端末は、上記MAC PDU Aの伝送が完了するまで、すなわち上記MAC PDU Aに対するHARQ ACKが受信されるか、所定の最大許容再伝送回数に到逹するまでHARQ RTT 417という所定の時差をもって上記伝送資源を使用して再伝送を行う(420、425)。任意の時点に上記MAC PDU Aの伝送が完了し、その後、任意の時点に上記端末に新しい逆方向伝送資源割り当てメッセージが伝送される(430)。上記伝送資源割り当てメッセージのNDIは、以前の伝送資源割り当てメッセージのNDIと異なる値が指示され、端末は、NDIが変わったことを見て、上記時点に受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージが新しいMAC PDU伝送のための伝送資源割り当てメッセージであることを認知する。端末は、上記新しい伝送資源435を利用して新しいMAC PDU、例えばMAC PDU Bの伝送を開始する。同じく、端末は、所定のHARQ RTTごとに上記割り当てられた伝送資源を利用してMAC PDUを再伝送する(440)。
【0016】
伝送資源の効率的な利用のために、基地局は、現在進行中のMAC PDU伝送を他の伝送資源に移動させることができる。これを適応的再伝送(adaptive retransmission)といい、基地局は、端末にNDIが同一の逆方向伝送資源割り当てメッセージを伝送することによって、端末に適応的再伝送を指示する。例えば、430以後の任意の時点にMAC PDU B伝送のための伝送資源を他のRBに移動させようとすれば、上記移動しようとする新しい伝送資源情報が収納され、上記MAC PDU B伝送を命令した以前の逆方向伝送資源割り当てメッセージのNDIと同一のNDIであるNDI 1が収納された逆方向伝送資源割り当てメッセージ443を端末に伝送する。端末は、以前のNDIと同一のNDIが指示された逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、適応的再伝送が命令されたものと判断し、上記新しく割り当てられた伝送資源を利用してMAC PDU Bの再伝送を行う(445、450)。
このようにNDIを利用して当該逆方向伝送資源割り当てメッセージが既存のMAC PDUの再伝送用であるか、新しいMAC PDU伝送用であるかを判断することは、端末がすべての逆方向伝送資源割り当てメッセージを成功的に受信するという前題の下に動作する。
図5は、従来技術の問題点を示す図である。
図5を参照すれば、任意の時点にNDIが0に設定された逆方向伝送資源割り当てメッセージを端末が受信し(505)、図4で説明したように、端末は、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが指示する伝送資源515とMCSレベルを利用してMAC PDUを伝送し、所定のHARQ RTTごとに上記割り当てられた伝送資源を利用してMACPDUを再伝送する(520)。MAC PDUの伝送を完了した後、端末は、任意の時点に新しいMAC PDU伝送を命令する、すなわちNDIが1に変更された伝送資源割り当てメッセージを遺失し(525)、その後、任意の時点に他の新しいMAC PDU伝送を命令する伝送資源割り当てメッセージ、すなわちNDIが0に変更されたメッセージ530を受信する場合があり得る。この場合、メッセージ530のNDIが最も最近に受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージ505のNDIと同一なので、端末は、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを適応的再伝送のためのメッセージとして誤認することができる。」

「【0028】
以前の逆方向伝送資源割り当てメッセージと同一のNDIを収納したが、新しいパケット伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージは、通常、以前のパケットの伝送が完了した後に発生する。上記事項に着目した本発明において、端末は、任意のHARQプロセスに対する最初伝送が指示されれば、最後の再伝送可能時点を算出し、上記最後の再伝送可能時点が経過すれば、MAC PDU伝送が成功しなかったとしても、当該HARQバッファーに保存されているデータを廃棄する。また、端末は、任意のHARQプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信した場合、当該HARQプロセスのバッファーにデータがなければ、すなわち上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが上記HARQバッファーに保存されているデータが廃棄された後に初めて受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージであれば、上記メッセージのNDIが指示する値と関係なく、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。
【0029】
図6は、本発明の一実施例による全体システムの動作を説明する図である。
図6を参照すれば、任意の時点に端末が新しいパケット伝送を指示する任意のHARQプロセスXに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージ605を受信すれば、端末は、所定のTが経過した後、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが指示する伝送資源を使用してHARQプロセスXを通じてMAC PDUを伝送する(610)。端末は、上記伝送に対するフィードバック信号がNACK625なら、以前の伝送からHARQ RTTだけ経過した時点に同一の伝送資源を使用してMAC PDUを再伝送する(615、620)。端末は、上記のような再伝送動作を最大伝送回数まで進行することができる。任意の時点にMAC PDU伝送に対するHARQ ACK635を受信すれば、端末は、再伝送を中止する。また、最後の再伝送時点645が経過すれば、HARQプロセスXに保存されている上記MAC PDUを廃棄する(640)。その後、任意の時点に上記端末に新しいMAC PDU伝送を指示するHARQプロセスXに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージ650が伝送されたが、端末がこれを受信しなかったと仮定すれば、端末が逆方向にデータを伝送しないので、基地局は、所定の再伝送時点ごとにノイズをデコーディングする過程を繰り返し、最後の再伝送時点が経過すれば、MAC PDU伝送が失敗し、当該HARQ過程が完了したものと判断する。その後、任意の時点に基地局は、上記端末に新しいMAC PDUの伝送を指示するプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージ655を伝送し、端末は、上記メッセージを正しく受信する時、上記メッセージのNDIは、0であって、端末が直前に受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージのNDIと同一なので、端末がNDIだけを参照する場合、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを再伝送用伝送資源割り当てメッセージとして誤認する。本発明において端末は、任意のプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、まず、上記プロセスのHARQバッファーにデータが保存されているかを検査する。上記バッファーにデータが保存されていたら、NDIを参照して新しいMAC PDU伝送指示可否を判断し、上記バッファーにデータが保存されていなければ、NDI値と関係なく、新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。
【0030】
図7は、本発明の一実施例による端末動作を説明する流れ図である。
図7を参照すれば、段階705で、任意のHARQプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、端末は、段階710に進行し、上記プロセスのHARQバッファー状態を検査する。上記HARQバッファーが空いていたら、端末は、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを新しいMAC PDUの伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージとして判断し、段階715に分岐する。上記HARQバッファーにデータが保存されていたら、段階730に分岐し、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが新しいMAC PDU伝送用であるか、再伝送用であるかをNDIで判断することができる。
【0031】
段階715に進行したということは、割り当てられた伝送資源を利用して端末が新しいMAC PDUを伝送しなければならないことを意味する。端末は、段階715でRVを検査する。RVが0なら、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが、新しいMAC PDUの適応的再伝送ではなく、最初伝送用であることを意味し、端末は、段階725に分岐する。RVが0ではなく、他の値なら、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であることを意味し、端末は、段階720に分岐する。以下、説明を進行する前に図8及び図9を参照してRVをさらに詳しく説明する。
【0032】
図8は、RV伝送例を示す図である。
図9は、適応的再伝送とRVの用例を示す図である。
図8及び図9を参照すれば、RVは、HARQ再伝送が原本データのどんな部分を収納しているかを指示する情報である。新しいMAC PDUの最初伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージには、伝送資源割り当て情報とMCSレベル情報が収納されている。上記メッセージを受信した端末は、割り当てられたリソースブロックの個数と指示されたMCSレベルを通じて伝送すべきデータのサイズを決定し、上記決定されたサイズのMAC PDU805を構成する。上記MAC PDUは、指示されたMCSレベルによってチャネルコーディングされ、チャネルコーディングされたデータ810は、当該HARQプロセスのHARQバッファーに保存される。端末は、上記チャネルコーディングされたデータ810のうち指示されたRVに該当する部分を伝送し、再伝送は、上記RVから所定の順序によって行う。RVの順序は、RV0、RV2、RV3、RV1であり、通常、端末は、RV0から始まり、上記順序を循環しながら再伝送を行う。コーディングされたデータにおいてRV0、RV1、RV2、RV3が指示する部分は、例えば、RV0 815は、最も前方部、RV1 820は、その次の部分などのようにあらかじめ定められる。実際に各RVが指示する部分は、図8に示されたものとは異なって、不連続的であることが一般的である。一般的に最初伝送は、RV0 815から始まり、その後、伝送が進行されるほどRV2 825、RV3 830、RV1 820が順に伝送される。5番目の伝送で、RVは、さらにRV0に戻る循環的な性格を有する。適応的再伝送が行われる場合、適応的再伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージでRVが指定されることもできる。例えば、任意の時点に新しいMAC PDUの最初伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージ905を受信すれば、端末は、所定のT 910以後に割り当てられた伝送資源を通じて伝送すべきMAC PDUのRV0 915を伝送する。上記MAC PDUが持続的に再伝送される状況を仮定すれば、端末は、HARQ RTTだけ経過した時点に同一の伝送資源を使用してRV2 920を伝送し、さらにHARQ RTTだけ経過した時点に同一の伝送資源を使用してRV3 925を伝送する。この時、基地局が上記端末の再伝送を他の伝送資源に移そうとしたら、端末は、最初伝送用逆方向伝送資源割り当てメッセージと同一のNDIが収納された逆方向伝送資源割り当てメッセージ930を所定の時点に伝送する。基地局は、上記適応的再伝送用逆方向伝送資源割り当てメッセージのRVを所望の値に設定し、端末のRV順序を変更することもできる。例えば、基地局が上記適応的再伝送用逆方向伝送資源割り当てメッセージ930のRVを2に指示すれば、端末は、上記再伝送がRV1を伝送する順序であるが、指示されたRV2 935を伝送し、その後、伝送が完了するか、基地局が新しいRVを指示するまで、上記指示されたRVを基準にしてRV順序を決定する。すなわち、その後RV3 940、RV1 945、RV0 950を伝送する。前述したように、受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージのRVが0であることは、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが適応的再伝送のための伝送資源割り当てメッセージではなく、最初伝送のための伝送資源割り当てメッセージであることを意味し、端末は、段階725に進行し、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージに収納された情報によって新しいMAC PDUを構成し、チャネルコーディングしてHARQバッファーに保存し、指示されたRVに該当する部分、例えばRV0に該当する部分を伝送する。」

「【0034】
図7に戻って、段階715でRVが0ではない場合、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であり、端末が過去任意の時点に新しいMAC PDUの最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失したことを意味する。前述したように、HARQ再伝送は、最大伝送回数によって制限される。ところが、端末が最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失したということは、端末が上記適応的再伝送が何番目の伝送であるかを知らないことを意味する。端末が最後の再伝送可能時点を誤認する場合、自分の伝送資源ではない伝送資源にデータを伝送することによって、不要な干渉をもたらすことができるので、端末は、段階720に進行し、上記受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視し、データを伝送しない。」

図7は、以下のとおりである。

第5 当審の判断
1 発明の詳細な説明に発明として記載されたものについて
発明の詳細な説明には、次のことが記載されている。
(1)上記段落【0013】?【0016】の記載によれば、従来技術の問題点として、次のことが記載されている。
a.NDI(New Data Indicator)315は、当該伝送資源割り当てメッセージが新しい伝送に関するものであるか、再伝送に関するものであるかを指示する1ビット情報である。
NDIを利用して当該逆方向伝送資源割り当てメッセージが既存のMAC PDUの再伝送用であるか、新しいMAC PDU伝送用であるかを判断することは、端末がすべての逆方向伝送資源割り当てメッセージを成功的に受信するという前題の下に動作する。
b.MAC PDUの伝送を完了した後、端末は、任意の時点に新しいMAC PDU伝送を命令する、すなわちNDIが1に変更された伝送資源割り当てメッセージを遺失し(525)、その後、任意の時点に他の新しいMAC PDU伝送を命令する伝送資源割り当てメッセージ、すなわちNDIが0に変更されたメッセージ530を受信する場合があり得る。この場合、メッセージ530のNDIが最も最近に受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージ505のNDIと同一なので、端末は、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを適応的再伝送のためのメッセージとして誤認する。

(2)上記段落【0028】及び段落【0029】の記載によれば、本発明の一実施例に関して、次のことが記載されている。
c.端末は、任意のHARQプロセスに対する最初伝送が指示されれば、最後の再伝送可能時点を算出し、上記最後の再伝送可能時点が経過すれば、MAC PDU伝送が成功しなかったとしても、当該HARQバッファーに保存されているデータを廃棄する。端末は、再伝送動作を最大伝送回数まで進行することができる。最後の再伝送時点645が経過すれば、HARQプロセスXに保存されている上記MAC PDUを廃棄する(640)。
d.端末は、任意のプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、まず、上記プロセスのHARQバッファーにデータが保存されているかを検査する。上記バッファーにデータが保存されていたら、NDIを参照して新しいMAC PDU伝送指示可否を判断し、上記バッファーにデータが保存されていなければ、NDI値と関係なく、新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。

また、上記段落【0012】、【0030】?【0032】及び【0034】の記載によれば、本発明の一実施例に関して、さらに次のことが記載されている。
e.MCSレベルが0?28の場合、RVが0であり、MCSレベルが29?31の場合、RVは、各々1?3である。RVは、HARQ再伝送が原本データのどんな部分を収納しているかを指示する情報である。端末は、上記チャネルコーディングされたデータ810のうち指示されたRVに該当する部分を伝送し、再伝送は、上記RVから所定の順序によって行う。一般的に最初伝送は、RV0 815から始まり、その後、伝送が進行されるほどRV2 825、RV3 830、RV1 820が順に伝送される。
f.段階705で、任意のHARQプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、端末は、段階710に進行し、上記プロセスのHARQバッファー状態を検査する。上記HARQバッファーが空いていたら、端末は、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを新しいMAC PDUの伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージとして判断し、段階715に分岐する。端末は、段階715でRVを検査する。
g.RVが0ではない場合、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であり、端末が過去任意の時点に新しいMAC PDUの最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失したことを意味する。前述したように、HARQ再伝送は、最大伝送回数によって制限される。ところが、端末が最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失したということは、端末が上記適応的再伝送が何番目の伝送であるかを知らないことを意味する。端末が最後の再伝送可能時点を誤認する場合、自分の伝送資源ではない伝送資源にデータを伝送することによって、不要な干渉をもたらす。
h.受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージのRVが0であることは、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが適応的再伝送のための伝送資源割り当てメッセージではなく、最初伝送のための伝送資源割り当てメッセージであることを意味し、端末は、段階725に進行し、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージに収納された情報によって新しいMAC PDUを構成し、チャネルコーディングしてHARQバッファーに保存し、指示されたRVに該当する部分、例えばRV0に該当する部分を伝送する。
i.RVが0ではなく、他の値なら、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であることを意味する。端末は、段階720に進行し、上記受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視し、データを伝送しない。

上記(1)及び(2)によれば、発明の詳細な説明に発明として記載されたものは、従来技術に係る上記bの問題点を解決するために、次の(i)及び(ii)によって、逆方向伝送資源割り当てメッセージが既存のMAC PDUの再伝送用であるか、新しいMAC PDU伝送用であるかを判断するものといえる。
(i)端末は、任意のHARQプロセスに対する最初伝送が指示されれば、最後の再伝送可能時点を算出し、上記最後の再伝送可能時点が経過すれば、MAC PDU伝送が成功しなかったとしても、当該HARQバッファーに保存されているデータを廃棄すること、
(ii)端末は、逆方向伝送資源割り当てメッセージが既存のMAC PDUの再伝送用であるか、新しいMAC PDU伝送用であるかを判断するために、HARQバッファーにデータが保存されているか否かを検査すること。
さらに、NDIが指示する値によらず、上記(i)及び(ii)によって判断する場合に生じる上記eの課題(端末が最初伝送のための逆方向伝送資源割り当てメッセージを遺失した場合の課題)を解決するために、
(iii)HARQバッファーが空いていたら、RVを検査し、RVが0の場合に、最初伝送のための伝送資源割り当てメッセージであると判断して新しいMAC PDUを伝送し、RVが0でなかった場合に、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であることを意味すると判断し、上記受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視し、データを伝送しない。

2 本願発明と発明の詳細な説明に発明として記載されたものとの対比
本願発明は、「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」する段階を含むものであるから、本願発明は、RVを検査することを前提として、RVが0でなかった場合に、「前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」することを含むものと解される([当審注]:下線は当審が付与。以下、同様。)。
しかし、発明の詳細な説明に発明として記載されたものでは、RVを検査することを前提として、「RVが0でなかった場合に、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージは、新しいMAC PDUの適応的再伝送用であることを意味すると判断し、上記受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視し、データを伝送しない」(上記(iii))。また、発明の詳細な説明のその他の記載をみても、RVを検査することを前提として、RVが0でなかった場合に、「前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」することは記載も示唆もなく、自明ともいえない。
よって、本願発明の「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行し、」は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

仮に、本願発明が、「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合に、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」するものであり、RVが0でなかった場合については特定していないと解釈しても、RVを検査することを前提とする本願発明において、上記eの課題を解決するための手段である、「RVが0でなかった場合」に「受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージを無視し、データを伝送しない。」(上記(iii)参照)ことが反映されていないから、本願発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求するものといえ、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

3 小括
上記1及び2のとおり、本願発明は、発明の詳細な説明に記載したものとはいえないから、本件出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

4 請求人の主張について
請求人は、当審拒絶理由に対する応答期間内の平成30年11月22日に、当審に電話連絡し、補正案による補正により拒絶理由が解消するか否かの確認を依頼した。これに対し、同年11月27日に、当審から、依然として拒絶の理由が解消していないとして、請求人代理人(復代理人)に補正を示唆し、同日、示唆した補正の内容が反映された再補正案(請求人未確認)を受領した。そして、同日、軽微な修正点を指摘しつつ当該再補正案について請求人に確認を求めた。しかし、その後回答はなく、同年12月10日に、上記示唆した補正の内容が反映された再補正案とは異なる補正事項を含む手続補正書及び意見書が提出された。
そして、請求人は、当該意見書において、次のとおり主張している([当審注]:下線部は請求人が付与。)。
「審判官殿は、アップリンク伝送資源割り当てメッセージに含まれたRVが0の場合と、0ではない場合との動作を、発明の必須構成要素としておられますが、本願の段落0028および段落0029の記載によれば、RVは、新規の伝送又は再伝送のために、必ず考慮すべき必須構成要素ではございません。
詳細には、段落0028には「また、端末は、任意のHARQプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信した場合、当該HARQプロセスのバッファーにデータがなければ、すなわち上記逆方向伝送資源割り当てメッセージが上記HARQバッファーに保存されているデータが廃棄された後に初めて受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージであれば、上記メッセージのNDIが指示する値と関係なく、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。」と開示されております。
また、段落0032には「一般的に最初伝送は、RV0 815から始まり、その後、伝送が進行されるほどRV2 825、RV3 830、RV1 820が順に伝送される。5番目の伝送で、RVは、さらにRV0に戻る循環的な性格を有する。適応的再伝送が行われる場合、適応的再伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージでRVが指定されることもできる。」と開示されております。すなわち、アップリンク新規伝送の場合であれば、逆方向伝送資源割り当てメッセージにあるRV値を参考にせず、デフォルト(default)としてRV=0にsetします。
そこで、請求項1について、「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行し、」に補正し、サポート要件および明確性要件を満たすように補正致しました。
さらに、段落0029には「本発明において端末は、任意のプロセスに対する逆方向伝送資源割り当てメッセージを受信すれば、まず、上記プロセスのHARQバッファーにデータが保存されているかを検査する。上記バッファーにデータが保存されていたら、NDIを参照して新しいMAC PDU伝送指示可否を判断し、上記バッファーにデータが保存されていなければ、NDI値と関係なく、新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断する。」と開示されております。
そこで、上記段落0029および本願の当初明細書の記載に基づいて、請求項1について、「前記HARQバッファーが空いておらず、かつ、前記NDIがトグルされていない場合、前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスに対するメディアアクセス制御プロトコルデータ(Media Access Control Protocol Data Unit、MAC PDU)の伝送資源を変更する適応的再伝送を実行する段階」に補正し、サポート要件および明確性要件を満たすように補正致しました。」

そこで、上記請求人の主張について検討する。

請求人は、「審判官殿は、アップリンク伝送資源割り当てメッセージに含まれたRVが0の場合と、0ではない場合との動作を、発明の必須構成要素としておられますが、本願の段落0028および段落0029の記載によれば、RVは、新規の伝送又は再伝送のために、必ず考慮すべき必須構成要素ではございません。」と主張する。
しかし、上記1のとおり、本願発明は、「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」することを含むものであるから、RVを検査することを前提として、RVが0でなかった場合に、「前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」することを含むものと解される。
よって、請求人の上記主張は、請求項1の記載に基づくものとはいえない。
そして、上記1及び2のとおり、本願発明の「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」することは、発明の詳細な説明に記載したものとはいえない。

また、請求人は、本願発明の「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行し、」の根拠として、「逆方向伝送資源割り当てメッセージが上記HARQバッファーに保存されているデータが廃棄された後に初めて受信した逆方向伝送資源割り当てメッセージであれば、上記メッセージのNDIが指示する値と関係なく、上記逆方向伝送資源割り当てメッセージを新しいMAC PDU伝送を指示するものと判断」(段落【0028】)し、段落【0032】の記載に基づいて、「アップリンク新規伝送の場合であれば、逆方向伝送資源割り当てメッセージにあるRV値を参考にせず、デフォルト(default)としてRV=0にset」することが開示されている旨も主張している。
しかし、段落【0032】は、段落【0030】?【0032】、段落【0034】及び図7に記載された一実施例(RVを検査するもの)の説明の一部としてRVをさらに詳しく説明したものである(上記「第4」参照。)。そして、段落【0032】の「一般的に最初伝送は、RV0 815から始まり、その後、伝送が進行されるほどRV2 825、RV3 830、RV1 820が順に伝送される。5番目の伝送で、RVは、さらにRV0に戻る循環的な性格を有する。適応的再伝送が行われる場合、適応的再伝送を指示する逆方向伝送資源割り当てメッセージでRVが指定されることもできる。」の記載によれば、「逆方向伝送資源割り当てメッセージにあるRV値」は、最初伝送ではRV0であり、以降、再伝送が進行される度に、RV2、RV3、RV1となることは把握できるものの、「逆方向伝送資源割り当てメッセージにあるRV値を参考にせず、デフォルト(default)としてRV=0にset」することについては、発明の詳細な説明には、記載も示唆もなく、自明ともいえない。
よって、本願発明を「前記アップリンク伝送資源割り当てメッセージによるHARQプロセスのHARQバッファーが空いている場合において、(逆方向伝送資源割り当てメッセージにあるRV値を参考にせず、デフォルト(default)としてRV=0にsetして、)RV(Redundancy Version)が0の場合であったとしても、前記NDIと無関係に新規の伝送を実行」するものと解するとしても、そのような発明は、発明の詳細な説明には、記載も示唆もなく、自明ともいえない。

以上より、請求人の上記主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおり、本件出願は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-02-06 
結審通知日 2019-02-08 
審決日 2019-02-19 
出願番号 特願2015-117003(P2015-117003)
審決分類 P 1 8・ 537- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久慈 渉  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 倉本 敦史
北岡 浩
発明の名称 移動端末の無線充電のための方法  
代理人 実広 信哉  
代理人 崔 允辰  
代理人 阿部 達彦  
代理人 木内 敬二  
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