ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C08L 審判 全部申し立て 特29条特許要件(新規) C08L 審判 全部申し立て 2項進歩性 C08L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C08L |
---|---|
管理番号 | 1353119 |
異議申立番号 | 異議2016-700569 |
総通号数 | 236 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-08-30 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2016-06-24 |
確定日 | 2019-05-10 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5836420号発明「シリコーン樹脂製反射基材、その製造方法、及びその反射基材に用いる原材料組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5836420号の明細書及び特許請求の範囲を、平成30年12月14日に提出された訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-32〕について訂正することを認める。 特許第5836420号の請求項1?32に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5836420号の請求項1?32に係る特許についての出願は、2010年12月24日(優先権主張2010年3月23日、日本国)に国際出願した特願2012-506781号の一部を平成26年4月3日に新たな特許出願としたものであって、平成27年11月13日付けでその特許権の設定登録がされた。 その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 6月24日 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎より請求項1?32に対して特許異議の申立て(以下「本件特許異議の申立て」という。) 平成28年 8月25日付け 取消理由通知 平成28年10月31日 特許権者から意見書及び訂正請求書の提出 平成28年12月7日付け 訂正拒絶理由通知 平成29年 1月13日 特許権者から意見書及び手続補正書の提出(当該手続補正書により、訂正請求書、訂正特許請求の範囲、及び訂正明細書の補正) 平成29年 2月27日 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から意見書の提出 平成29年 6月27日付け 取消理由通知(決定の予告) 平成29年 8月29日 特許権者から意見書及び訂正請求書の提出 平成29年10月11日 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から意見書の提出 平成30年 5月28日付け 取消理由通知(決定の予告) 平成30年 7月31日 特許権者から意見書の提出 平成30年11月 9日付け 取消理由通知 平成30年12月14日 特許権者から意見書及び訂正請求書(以下「本件訂正請求書」という。)の提出 平成31年 2月22日 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の趣旨及び訂正の内容 平成30年12月24日に提出された本件訂正請求書による訂正は、「特許第5836420号の明細書、特許請求の範囲を本件請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲とおり、訂正後の請求項1?32について一群の請求項ごとに訂正することを求める。」というものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1中、 「反射層が、支持体上で又は基板として膜状、板状又は立体状に形成されているシリコーン樹脂製反射基材を形成するためのもので粘度を0.5?500Pa・sとする液状であり」と記載されているのを、「反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、粘度を10?500Pa・sとする液状であり」に訂正し、 「三次元架橋により硬化させ前記反射層にするためのものであり」と記載されているのを、「三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり」に訂正し、 「前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理されており」と記載されているのを、「前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されており」に訂正し、 「前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材を形成するために用いられる」と記載されているのを、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2中、 「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤との少なくとも何れかが」と記載されているのを、「加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤が」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項12中、 「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末を混合させて分散させ含有させて、粘度を0.5?500Pa・sとする液状であり」と記載されているのを、「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末と反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とを混合させて分散させ含有させて、粘度を10?500Pa・sとする液状であり」に訂正し、 「支持体上で又は基板として」と記載されているのを、「支持体上で」に訂正し、 「前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする」と記載されているのを、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項16中、 「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤との少なくとも何れかを」と記載されているのを、「加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤を」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項27中、 「金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されており、 又は 前記反射層である前記基板上に、 金属膜が付されていることを」とあるのを、 「金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されていることを」に訂正する。 (6)訂正事項6 明細書の段落【0031】中、 「反射層が、支持体上で又は基板として膜状、板状又は立体状に形成されているシリコーン樹脂製反射基材を形成するためのもので粘度を0.5?500Pa・sとする液状であり」と記載されているのを、「反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、粘度を10?500Pa・sとする液状であり」に訂正し、 「三次元架橋により硬化させ前記反射層にするためのものであり」と記載されているのを、「三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり」に訂正し、 「前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理されており」と記載されているのを、「前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されており」に訂正し、 「前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材を形成するために用いられる」と記載されているのを、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」に訂正する。 (7)訂正事項7 明細書の段落【0032】中、 「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤との少なくとも何れかが」と記載されているのを、「加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤が」に訂正する。 (8)訂正事項8 明細書の段落【0039】中、 「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末を混合させて分散させ含有させて、粘度を0.5?500Pa・sとする液状であり」と記載されているのを、「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末と反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とを混合させて分散させ含有させて、粘度を10?500Pa・sとする液状であり」に訂正し、 「支持体上で又は基板として1?10μm」と記載されているのを、「支持体上で1?10μm」に訂正し、 「前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする」と記載されているのを、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする」に訂正する。 (9)訂正事項9 明細書の段落【0041】中、 「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤との少なくとも何れかを」と記載されているのを、「加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤を」に訂正する。 (10)訂正事項10 明細書の段落【0041】中、 「金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されており、又は前記反射層である前記基板上に、金属膜が付されている」とあるのを、 「金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されている」に訂正する。 2 各訂正事項についての訂正要件の適合性の判断 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明では、「支持体上で又は基板として」「シリコーン樹脂製反射基材を形成する」となっているのを、「支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成する」とし、「基板」の文言を削除して限定するとともに、反射層が、「支持体上に形成される」こと、及び「三次元架橋により支持体上で硬化させ」ることとを明確にし、訂正前の請求項1に係る発明について、「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、」と構成を追加して、「原材料組成物」を限定し、また、訂正前の請求項1に係る発明について、「液状のもの」の「粘度」の数値範囲「0.5?500Pa・s」を、「10?500Pa・s」と限定し、訂正前の請求項1に係る発明では、「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理されており」としており表面処理がAl等の無機物での表面処理とシランカップリング処理との択一となっているのを、「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理され」たものに限定し、更に、訂正前の請求項1に係る発明について、「前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする」ための条件が特定されていないものを、「150℃で1000時間の加熱前後」における反射率に限定し、更に、「原材料組成物」が「前記シリコーン樹脂製反射基材を形成するために用いられる」のを、「前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」と限定する訂正である。 したがって、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮及び明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について 訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、願書に添付した明細書中の段落【0014】、【0021】、【0032】、【0039】、【0099】、【0127】、【0174】、及び図12に基づいて導き出される構成である。 したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内における訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前の全ての請求項1?32について特許異議の申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項1についてのまとめ よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、同法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 また、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、訂正事項1は、訂正要件を満たしている。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項2は、訂正後の請求項1に接着性付与成分及び反応抑制剤とが含有されることを直列的に付加したことに伴い、「接着性付与成分」を削除し、請求項1に記載されたものであることを明示するため「前記」の文言を追記した「反応抑制剤」を「加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する」というものに一層限定することによって、特許請求の範囲を減縮する訂正である。 したがって、訂正事項2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について 訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、願書に添付した明細書中の段落【0059】、【0105】に基づいて導き出される構成である。 したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内における訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前の全ての請求項1?32について特許異議の申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項2についてのまとめ よって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、同法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 また、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、訂正事項2は、訂正要件を満たしている。 (3)訂正事項3、4について 訂正事項3は訂正事項1と同様に訂正するものであり、訂正事項4は訂正事項2と同様に訂正するものである。 したがって、訂正事項3、4は、訂正要件を満たしている。 (4)訂正事項5について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項5は、訂正前の請求項27に係る発明では、「支持体上」と「基板上」とを択一的に記載しているのを、訂正後の請求項27に係る発明では、「支持体上」に関わるものに限定する訂正である。 したがって、訂正事項5は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について 訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、願書に添付した明細書中の段落【0025】、【0041】に基づいて導き出される構成である。 したがって、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内における訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件特許異議の申立てにおいては、訂正前の全ての請求項1?32について特許異議の申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。 オ 訂正事項5についてのまとめ よって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、同法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 また、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、訂正事項5は、訂正要件を満たしている。 (5)訂正事項6?10について ア 訂正の目的の適否について 訂正事項6?10は、上記訂正事項1?5に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項6?10は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、特許法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 イ 特許請求の範囲の拡張・変更の有無について 訂正事項6?10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項6?10は、訂正事項1、2及び5に関し前記(1)、(2)及び(4)で述べたのと同様に、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内における訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 願書に添付した明細書の訂正に係る請求項についての説明 訂正事項6?10は、それぞれ訂正事項1?5に対応する課題を解決するための手段として、段落【0031】、【0032】、【0039】、【0041】、【0041】について訂正するものであるから、これらの訂正事項6?10による明細書の訂正に係る請求項は、それぞれ請求項1、2、12、16、27である。 したがって、これらを含む一群の請求項、すなわち請求項1?32が訂正事項6?10の対象となる。 よって、訂正事項6?10は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 オ 訂正事項6?10についてのまとめ よって、訂正事項6?10は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、同法第120条の5第2項に規定する要件を満たしている。 また、訂正事項6?10は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項、並びに特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第4項の規定に適合する。 よって、訂正事項6?10は、訂正要件を満たしている。 (6)一群の請求項について 訂正事項1?5に係る訂正前の請求項1?32は、当該訂正事項1を含む請求項1の記載を、請求項2?32が夫々直接的又は間接的に引用しているものであるから、訂正前の請求項1?32は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 よって、訂正事項1?5に係る訂正の請求は、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 (7)訂正要件の適合性の判断についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求書による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものに該当するから、同法第120条の5第2項に規定する要件を満たしており、かつ、同条第4項の規定、及び、同条第9項で準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-32〕について訂正を認める。 第3 訂正後の請求項1?32に係る発明 上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1-32〕について訂正を認めるから、平成30年12月14日に提出された本件訂正請求書による訂正後の本件特許の請求項1?32に係る発明(以下、当該訂正後の本件特許の請求項1?32に係る発明のそれぞれを、以下順に「本件発明1」?「本件発明32」という。)は、以下のとおりのものである(下線部は、訂正箇所を示す。)。 「【請求項1】 RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有された反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である原材料組成物であって、 前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形によって1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂であって、前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されており、 150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられることを特徴とする原材料組成物。」 【請求項2】 加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項3】 前記重合性シリコーン樹脂原材料を三次元架橋させる架橋剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項4】 粘度調整のための有機溶剤及び/又は反応性希釈剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項5】 シランカップリング剤である機能性シラン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項6】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項7】 前記重合性シリコーン樹脂原材料には、それが三次元架橋したシリコーン樹脂中でシロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを最大でも300ppmとなるように、前記低分子量ポリシロキサンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項8】 前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項9】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化して、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項10】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、重金属系触媒を含み、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項9に記載の原材料組成物。 【請求項11】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいて、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項12】 RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋しており前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料に、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率であってAl、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末と反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とを混合させて分散させ含有させて、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である液状又はグリース状で粘性又は塑性である請求項1?11の何れかに記載された原材料組成物とした後、 前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形してから三次元架橋させて前記シリコーン樹脂へ重合させることにより、反射層を支持体上で1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に形成し、150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とすることを特徴とするシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項13】 前記重合が、加熱、加湿、加圧及び紫外線照射の少なくとも何れかにより、なされることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項14】 前記反射層が、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーターで形成されることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項15】 前記シリコーン樹脂が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項16】 前記原材料組成物が、加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤を、混合され分散されつつ含有していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項17】 前記シリコーン樹脂中に含まれる、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンが、最大でも300ppmであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項18】 前記支持体と前記反射層とが接触しており、その両者又は一方の接着体となる面にシランカップリング剤である機能性シラン化合物が用いられることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項19】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化したものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項20】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、重金属系触媒を含むことを特徴とする請求項19に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項21】 前記反射層が、10?200μmの厚さの膜に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項22】 前記シリコーン樹脂が、屈折率を1.35以上、1.65未満とすることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項23】 前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項24】 前記原材料組成物が、前記シリコーン樹脂へと三次元架橋させる架橋剤を、三次元架橋した前記シリコーン樹脂へと重合する重合性シリコーン樹脂原材料に、混合させて分散させつつ含有させたものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項25】 前記反射層に、前記白色無機フィラー粉末と蛍光体とが分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項26】 前記シリコーン樹脂の少なくとも一部の表面の研磨、粗面化、ざらついた金型による金型成形若しくはスタンプ成形、及び/又はケミカルエッチングによって、前記白色無機フィラー粉末の一部が、前記表面から露出していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項27】 前記支持体上に、 金属膜が付されその上に前記反射層が形成され、 前記反射層が付されその上に金属膜が形成され、若しくは 金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項28】 前記金属膜と前記反射層との間にガスバリア層が付されていることを特徴とする請求項27に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項29】 前記金属膜が、めっき被膜、金属蒸着被膜、金属溶射膜、又は接着された金属箔膜であることを特徴とする請求項28に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項30】 前記シリコーン樹脂製反射基材が、発光素子、発光装置及び光電変換素子の何れかの背面、外周及び/又は導光材反射面に、配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項31】 前記シリコーン樹脂原材料組成物が、白金族金属系触媒を含みつつ、前記シリコーン樹脂原材料として、分子中に単一又は複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであるベースポリマーと、分子中に単一又は複数のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むことを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項32】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1?32に係る特許に対して、当審が平成30年11月9日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 <理由1> 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 <理由2> 本件特許の請求項1?3、5、6、8?16、19?24、27、29?32に係る発明は、本件特許の原出願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明であるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものである。 <理由3> 本件特許の請求項1?6、8?16、18?32に係る発明は、本件特許の原出願の優先日前に日本国内または外国において頒布された甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、本件特許の請求項7、17に係る発明は、本件特許の原出願の優先日前に日本国内または外国において頒布された甲第1号証及び甲第3号証又は甲第2号証及び甲第3号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。 記 甲第1号証:特開2001-207059号公報 甲第2号証:特開2009-164275号公報 甲第3号証:エレクトロニクス用シリコーン、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、2003年6月発行 2 甲号証の記載 (1)甲第1号証について ア 甲第1号証の記載事項 取消理由通知において引用した甲第1号証(特開2001-207059号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 (ア)「【請求項1】 (A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含有するジオルガノポリシロキサン、 (B)ケイ素原子に結合する水素原子を一分子中に少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (C)白金族金属系触媒、及び (D)テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で表面処理した酸化チタン粉末;成分(A)100重量部に対して15重量部以上を含有してなる酸化チタン充填付加反応硬化型シリコーンゴム組成物。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】従来より酸化チタンは、着色剤としてシリコーン組成物に添加されてきたが、新しい用途として、例えば薄膜での遮光剤や、逆に反射剤としての要求がある。具体的には、フォトカプラー素子の並列型タイプの反射剤や、LEDの下地反射コーティング等が挙げられる。これらの要求ニーズに合わせるためには、酸化チタンを多量に添加する必要がある。しかし、従来のようにシリコーンゴム組成物に酸化チタンを多量に添加すると、粘度やチキソ性が高くなり、このため組成物の取扱いが困難で、かつ十分な作業性が得られなかった。」 (ウ)「【0005】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 (A)アルケニル基含有ジオルガノポリシロキサン:成分(A)のアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合するアルケニル基を一分子中に少なくとも2個含有するもので、本発明組成物のベースポリマーとして使用される。このアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、一般的には主鎖部分が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のものであるが、これは分子構造の一部に分岐状の構造を含んでいてもよく、また全体が環状体であってもよい。中でも、硬化物の機械的強度等の物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。該アルケニル基は、分子鎖の両末端のみに存在していても、側鎖置換基として分子鎖の途中のみに存在していても、或いは分子鎖の両末端及び分子鎖の途中に存在していてもよい。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンの代表例としては、例えば、下記一般式(1): 【0006】 【化1】 (式中、R^(1)は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Xはアルケニル基であり、Yはアルケニル基又はR^(1)であり、nは0又は1以上の整数であり、mは0又は1以上の整数であり、かつ分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有する。)で表されるジオルガノポリシロキサンが挙げられる。」 (エ)「【0010】(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン:成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する水素原子(即ち、SiH基)を一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するもので、架橋剤として使用される。このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状構造の樹脂状物のいずれでもよい。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの代表例としては、例えば、下記平均組成式(2): H_(a)R^(2)_(b)SiO_((4-a-b)/2) (2) (式中、R^(2)は独立に脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基であり、a及びbは、0<a<2、0.7≦b≦2 かつ 0.8≦a+b≦3、好ましくは0.001≦a≦1.2、0.8≦b≦2 かつ 1≦a+b≦2.7、より好ましくは0.01≦a≦1、1.2≦b≦2 かつ 1.8≦a+b≦2.4を満足する数である。)で表わされるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。」 (オ)「【0011】平均組成式(2)において、R^(2)の脂肪族不飽和結合を含有しない非置換又は置換の1価炭化水素基としては、前記一般式(1)のR^(1)として例示したものと同じものが挙げられる。代表的なR^(2)は炭素原子数が1?10、特に炭素原子数が1?7のものであり、好ましくはメチル基等の炭素原子数1?3の低級アルキル基;フェニル基;及び3,3,3-トリフルオロプロピル基である。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルぺンタシクロシロキサン等のシロキサンオリゴマー;分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体等;R_(2)(H)SiO_(1/2)単位とSiO_(4/2)単位からなり、任意にR_(3)SiO_(1/2)単位、R_(2)SiO_(2/2)単位、R(H)SiO_(2/2)単位、(H)SiO_(3/2)単位又はRSiO_(3/2)単位を含み得るシリコーンレジン(但し、式中、Rは前記のR^(1)として例示した非置換又は置換の1価炭化水素基と同様のものである。)等が挙げられる。」 (カ)「【0019】 (D)テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物で表面処理した酸化チタン:成分(D)の表面処理した酸化チタン粉末は、テトラアルコキシシラン及びテトラアルコキシシラン部分加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物で酸化チタン微粉末を表面処理したもので、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分である。」 (キ)「【0028】前記のテトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物の使用量は、酸化チタン粉末の比表面積やその他の性状に合わせて適宜調節できるが、通常、酸化チタン粉末100重量部当たり、0.1?20重量部、好ましくは0.5?10重量部程度でよい。このような表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成され、シリコーン樹脂成分とのヌレ性(即ち、親和性)が向上し、低粘度、低チキソ性で流動性に富む組成物が得られる。」 (ク)「【0030】その他の成分:本発明の組成物には、前記成分(A)?(D)以外に、必要に応じて、通常使用されている添加剤を添加することができる。添加剤としては、例えばヒュームドシリカ、沈降シリカ、ヒュームド二酸化チタン等の補強性無機フィラー;破砕シリカ、溶融シリカ、結晶性シリカ(石英粉)、けい酸カルシウム、酸化第二鉄、カーボンブラック等の非補強性無機フィラー等が挙げられる。これらの無機フィラーの添加量は、(A)?(D)成分の合計量100重量部当たり、通常0?200重量部である。また、後述するように、特に組成物を2液型で使用する場合は、アセチレンアルコールや、アセチレンアルコールのシラン変性誘導体やシロキサン変性誘導体等の硬化抑制剤を添加することができる。更に、組成物の接着性を向上する目的で、前記成分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加することができる。」 (ケ)「【0031】シリコーンゴム組成物及びその硬化物の製造法、用途:本発明の組成物は、基本的には、前記成分(A)?(D)及び必要に応じて添加剤成分を混合又は混練することにより製造される。この場合、通常の付加硬化型シリコーンゴム組成物と同様に、例えば、成分(A)の一部、成分(C)及び成分(D)と、成分(A)の残部及び成分(B)というように、前記の成分(A)?(D)を2液に分け、使用時にこれら2液を混合して硬化させる所謂2液型の組成物としてもよい。他の2液型の組成物としては、酸化チタン粉末を表面処理する際に、成分(A)の少なくとも一部と、酸化チタン粉末と、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物とを混合又は混練し、該混合物又は混練物を加熱処理したものを予め調製し、これを1液とし、他の成分を混合又は混練して別の1液としたものが挙げられる。また、成分(A)?(D)を少量の硬化抑制剤と共に混合又は混練して所謂1液型の組成物としてもよい。」 (コ)「【0032】本発明の硬化物は、このようなシリコーンゴム組成物を硬化して得られる。硬化条件としては、公知の付加反応硬化型シリコーンゴム組成物と同様でよく、例えば室温でも十分硬化するが、必要に応じ加熱してもよい。こうして得られる本発明の硬化物は、高い遮光性と反射特性を有しかつ低粘度、低チキソ性であるということから、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用できる。」 (サ)「【0033】 【実施例】実施例1 下記式: 【0034】 【化5】 (式中、nはこのシロキサンの25℃における粘度が1、000cP(センチポイズ)となるような数である。) 【0035】で表されるビニル基含有直鎖状ジメチルポリシロキサン100重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン粉末(純度98%、石原産業社製)120重量部及びテトラエトキシシラン3重量部を3本ロールで混練した後、プラネタリーミキサーを使用して、この混練物を更に160℃で3時間混練した。次に、この混練物にメチルハイドロジェンポリシロキサン〔ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)の含有量:0.7モル/100g〕8重量部((A)成分中のビニル基に対する(B)成分中のSiH基のモル比:4.5)及び塩化白金酸のオクチルアルコール変性物溶液(白金含有量:2重量%)0.02重量部を加えて撹拌し、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を得た。この組成物の粘度(25℃での粘度、以下同様)をB型回転粘度計を用いて測定したところ、64P(ポイズ)であった。」 (シ)「【0036】得られた組成物について、下記方法に従って流動性(フロー値)、硬化物のゴム物性及び他の特性、薄膜の光透過性を測定した。結果を表1に示す。 <流動性(フロー値)>上記組成物1gをガラス板上に正確に計量し、該ガラス板ごと水平台上に室温で30分間放置し、次いで150℃で30分間加熱硬化させた後、組成物の直径をノギスで測定した。 <硬化物のゴム物性>上記組成物を150mm×100mm×2mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱してシート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じてゴム物性(硬さ、引張り強さ、伸び)を測定した。なお、硬さはスプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用して測定した。 <硬化物の電気特性>上記組成物を150mm×100mm×1mmの金型に流し込み、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。この硬化物について、JIS K 6249に準じて体積抵抗率を測定した。 <硬化物の耐熱性>前記ゴム物性の測定に使用したものと同様のシート状の硬化物を250℃で24時間加熱した後の硬さ、及び同温度で48時間加熱した後の硬さをJIS K 6249に準じて測定した(スプリング式硬さ試験機デュローメータータイプAを使用)。」 (ス)「【0037】<硬化物の接着性>上記組成物を、電気・電子部品に用いられる、150mm×100mm×1mmのニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、150℃で4時間加熱し、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物について、これをミクロスパチラを用いて基板から剥ぎ取る際に、凝集破壊(硬化物の断面で破壊したもの)の部分と界面剥離(硬化物と基板との接着界面で破壊したもの)の部分との割合(面積比)を観察し、下記基準で接着性を評価した。 ○:凝集破壊率が80%を越えるもので、良好に接着する。 △:凝集破壊率が20?80%のもので、接着する。 ×:凝集破壊率が20%未満のもので、殆ど接着しない(容易に剥離する)。 <薄膜の遮光性(光透過率)>離型剤をコーティングしたガラス板上に各厚さのスペーサーを置き、上記組成物をポッティング、真空脱泡した後、150℃で4時間硬化して得られた厚さ50μm、100μm又は200μmの薄膜について、分光光度計により800nmでの光透過率を測定(リファレンスは空気)した。」 (セ)「【0047】 【表1】 」 イ 甲第1号証に記載された発明 (ア)上記ア(エ)段落【0010】、(オ)段落【0011】において、成分(B)のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、三次元網状構造の樹脂状物、及びR_(2)(H)SiO_(1/2)単位とSiO_(4/2)単位からなり、RSiO_(3/2)単位を含み得るシリコーンレジンが開示されているところ、SiO_(4/2)単位、RSiO_(3/2)単位は、それぞれ、SiO_(2)単位からなるシロキシ単位、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位であることは明らかである。 したがって、甲第1号証には、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」が開示されている。 (イ)上記ア(ス)段落【0037】の記載から、甲第1号証には、「上記組成物」は、「電気・電子部品に用いられる、ニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、加熱し、シート状の硬化物を得るためのもの」であることが開示されている。 (ウ)以上から、甲第1号証には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、 テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物で表面処理され、表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成された酸化チタン粉末、 及び添加剤成分を混合又は混練することにより製造される組成物であって、 テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物で表面処理した酸化チタン粉末は、硬化物に主として着色(白色)、遮光性、反射性、耐熱性、機械的特性等を付与又は補強する成分であり、 添加剤として、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を添加することができ、更に、組成物の接着性を向上する目的で、前記成分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加することができ、 低粘度、低チキソ性であるということから、電気・電子部品の遮光用又は反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用でき、 電気・電子部品に用いられる、ニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、加熱し、シート状の硬化物を得るためのものである、シリコーンゴム組成物。」 (2)甲第2号証について ア 甲第2号証の記載事項 取消理由通知において引用した甲第2号証(特開2009-164275号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は合議体が付加した。以下同じ。) (ア)「【請求項1】 三次元架橋しているシリコーン樹脂からなるバインダーと、アルミナ粉末、マグネシア粉末、チッ化アルミニウム粉末、チッ化ホウ素粉末、チッ化ケイ素粉末、グラファイト粉末、カーボン粉末、シリカ粉末、炭化ケイ素粉末、炭化ホウ素粉末、炭化チタン粉末、ムライト粉末、ダイヤモンド粉末、銅粉末、アルミニウム粉末、銀粉末、鉄粉末、レジンパウダー、チタン酸バリウム粉末、酸化チタン粉末、シルク、カオリン粉末、酸化鉄粉末、酸化亜鉛粉末、シリカアルミナ粉末、タルク粉末、ガラスファイバー、カーボンファイバ、及び/又は着色剤であるフィラーとが含有されて、成形されていることを特徴とするシリコーン樹脂基材。 【請求項2】 前記シリコーン樹脂が、シランカップリング剤と、それに架橋反応するシロキサン化合物とにより、前記三次元架橋していることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン樹脂基材。」 (イ)「【技術分野】 【0001】 本発明は、光学素子や電気素子の基板やパッケージに用いられるもので、通電や発光のロスを生じず、強度が強く、自在に成形できるシリコーン樹脂基材に関するものである。」 (ウ)「【背景技術】 【0002】 照明器具、信号機など様々な発光機器に、発光ダイオード(LED)が用いられている。このような発光ダイオード、特に高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系単色照明装置よりも、明るく消費電力が少ない。 【0003】 従来、発光ダイオードは、セラミックス製基板や、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂製基板又はポリエーテルエーテルケトン製基板に載置され、背面側の基板と反対側で、レンズにより封止され、発光機器内に組み込まれていた。…(略)… 【0004】 セラミックス製基板は、セラミックスの焼成時の大きな収縮の所為で精密構造にすることができなかったり、発光した光の一部が基板へ向いて出射されセラミックス孔から遺漏したり、表面をメッキしてもメッキ金属がその孔からマイグレーションしたりする。エポキシ樹脂製やポリエーテルエーテルケトン製の基板は、成形時に鉛フリーリフローに耐え得るが、その際に極僅かに収縮した凹み、所謂、ひけを生じたり、転写性が悪いため精密かつ正確な基板を成形できなかったり、発光した高輝度の光の一部の曝露やその光源の熱の曝露により基板を黄変させて劣化させたり、基板での反射効率を低下させたりする。またポリシロキサン組成物から形成した透明シリコーン樹脂製基板は、強度が不十分である所為で、応力や歪がかかると容易く割れてしまう。 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、発光ダイオードを始めとする光学素子や電気素子の基板やパッケージに用いることができ、鉛フリーリフローに耐え、ひけを生じることなく精密な成形ができ、光や熱で黄変したり劣化したりせず、メッキなどの表面加工を施すことができ、硬くて丈夫なシリコーン樹脂基材を提供することを目的とする。 …(略)… 【発明の効果】 【0015】 本発明のシリコーン樹脂基材は、高い機械的強度を有し、強光で劣化せず、硬くて耐久性に優れたものである。それの製造の際、260℃以上に加熱される鉛フリーリフローに耐え、ひけを生じることなく精密かつ正確に成形でき、生産効率が良いため、安価に大量生産できる。 【0016】 しかも、シリコーン樹脂基材に、金属メッキや金属蒸着のような表面加工処理を施すことができる。シリコーン樹脂基材は、その表面加工処理が施されても、セラミックスのようにその孔からの光漏れや表面処理した金属のマイグレーションを生じないうえ、セラミックス並みの硬度を有する。 【0017】 このシリコーン樹脂基材は、熱伝導率や誘電率や反射強度を調整することができるので、発光ダイオードを始めとする光学素子や電気素子の基板やパッケージとして組み込んでシリコーン基材含有製品とすることができる。」 (エ)「【0019】 本発明のシリコーン樹脂基材1及びそれが発光ダイオード基板として組み込まれた発光ダイオードパッケージ11であるシリコーン樹脂基材含有製品の実施の態様について、図1を参照しながら説明する。 【0020】 シリコーン樹脂基材1は、シランカップリング剤とそれに架橋反応するシロキサン化合物とにより三次元架橋しているシリコーン樹脂からなるバインダー2、及びフィラー3が含有されており、外形が長方体でその上面が中央で湾曲して窪むように鋼型で成型されたものである。その窪み8の表面に、反射膜層4が形成されている。」 (オ)「【0025】 先ず、シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物を調製し、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型し、中央で窪んだシリコーン樹脂基材である発光ダイオード基板を得る(いわゆる内添法)。その窪みの表面に金属メッキ処理を施して反射膜層を付し、窪みに発光ダイオードの導線を貫通させ、発光ダイオードと発光ダイオード基板とを接着剤で固定する。発光ダイオード基板をフィルターで覆い接着剤で固定して封止すると、発光ダイオードパッケージが得られる。 【0026】 内添法の例を示したが、フィラーにシランカップリング剤をコーティング処理してから、シロキサン化合物に加え、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とを架橋させてバインダーの分子間にフィラーを内包させたシリコーン樹脂を金型内で成型させるいわゆる乾式法で、発光ダイオード基板を得てもよい。」 (カ)「【0029】 ポリ(ジアルキルシロキサン)やポリ(ジフェニルシロキサン)は直鎖状に高分子量化したものであるから平面被膜を形成するだけであるが、この三次元架橋し得るポリシロキサン化合物はその途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、網目状に三次元的に架橋するというものである。シロキサン化合物同士や、シロキサン化合物とシランカップリング剤とは、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりする。シロキサン化合物はその中でも、付加して架橋するポリシロキサン化合物が好ましい。ジフェニルシロキシ基(-Si(C_(6)H_(5))_(2)-O-)やジメチルシロキシ基(-Si(CH_(3))_(2)-O-)のような繰り返し単位を有するシロキサン化合物であってもよいが、ジフェニルシロキシ基が多くなるほど、架橋して得られるシリコーン樹脂は、その強度が増加する反面、強い光の曝露により黄変し易くなり、反射性が低下したりくすんだりする。シロキサン化合物は、ジメチルシロキシ基の繰り返し単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基を有しているポリシロキサン化合物であると、一層好ましい。」 (キ)「【0031】 より具体的には、ヒドロシリル含有シリル基を有するシロキサン化合物の例として、 (CH_(3)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(CH_(3))_(2)OSi(CH_(3))_(2)H、 (C_(2)H_(5)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(CH_(3))_(2)OSi(CH_(3))_(2)H、 (CH_(3)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(OCH_(3))_(2)OSi(OCH_(3))_(3)、 (C_(2)H_(5)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(OCH_(3))_(2)OSi(OCH_(3))_(3) …(略)… (CH_(3))_(3)SiOSi(OC_(2)H_(5))_(2)O[SiH(CH_(3))O]_(p9)[Si(CH_(3))_(2)O]_(q1)Si(CH_(3))_(3)、 …(略)… (CH_(3))_(3)SiOSi(OC_(2)H_(5))_(2)O[SiH(C_(2)H_(5))O]_(p12)Si(CH_(3))_(3) …(略)… 【0032】 ビニルシリル含有シリル基を有するシロキサン化合物として、 (C_(2)H_(5)O)_(3)SiCH_(2)CH=CH_(2)、 …(略)… (C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[SiOC_(2)H_(5)(CH=CH_(2))O]_(t2)Si(OC_(2)H_(5))_(3)、 …(略)… (C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[Si(OC_(2)H_(5))_(2)O]_(u4)Si(OC_(2)H_(5))_(2)CH=CH_(2)、 (C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[Si(OC_(2)H_(5))_(2)O]_(u5)Si(OC_(2)H_(5))_(2)CH=CH_(2) …(略)…」 (ク)「【0035】 シリコーン樹脂は、付加反応性で、無溶媒下で加熱硬化するものであり、型を用いて、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形される。 【0036】 シランカップリング剤は、反応性官能基として、アルキルオキシ基やビニル基やアミノ基やエポキシ基を有するものが挙げられる。カップリング剤としては、シランカップリング剤の他に、チタネートやアルミネートのカップリング剤でもよい。…(略)…」 (ケ)「【0039】 シランカップリング剤には、フィラーに付着するタイプと、フィラーに結合するタイプとがある。このようなシランカップリング剤は、分子量が小さいほど、フィラーと相互作用し難く、フィラーに付着しても、シリコーン樹脂のバインダー自体を膨張させない。 【0040】 シロキサン化合物にシランカップリング剤が含まれていると、それが含まれていない場合よりも、フィラーを網目構造の中に確りと取り込むため、シリコーン樹脂の強度が顕著に強くなる。 【0041】 シロキサン化合物とシランカップリング剤とにより三次元架橋したシリコーン樹脂は、シランカップリング剤の分子量が小さいほど、アルミナのようなフィラーと相互作用し難くまたフィラーに付着してもシリコーン樹脂のバインダー自体を膨張させない。その結果、シリコーン樹脂基材の線膨張係数が小さいものとなる。シランカップリング剤は、フィラーが顔料であると、シリコーン樹脂基材の線膨張係数がなお一層小さいものとなる。 【0042】 特に、シランカップリング剤処理してフィラーと、バインダーであるシリコーン樹脂とが架橋しているシリコーン樹脂基材は、フィラーがシランカップリング剤を介してシリコーン樹脂と架橋しているため、曲げ強度、濡れ性・分散性が向上しており、高品質のものとなる。このようなシランカップリング処理は、例えばフィラーに対し1質量%のシランカップリング剤を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌して表面処理を行い、100?130℃で、30?90分間、乾燥させるというものである。」 (コ)「【0046】 シリコーン樹脂基材の誘電率を調整するのに用いられるフィラーとして、誘電率の高いフィラーであるチタン酸バリウム、酸化チタン;誘電率が低いフィラーであるシルクフィラー、カオリンフィラー、酸化鉄フィラー、酸化亜鉛、シリカアルミナ、タルク、フッ素樹脂パウダー、粉末アルミニウムが挙げられる。なかでも、酸化チタンは、屈折率が大きいため、光反射性や隠蔽性が大きく、光漏れ防止に有効である。酸化チタンは、ルチル型結晶構造であってもアナターゼ型結晶構造であってもよく、平均粒子径を10?100nmとすることが好ましい。ルチル型結晶構造は、屈折率が一層高いから、反射効率を向上させることができる。さらに酸化チタンは、酸化還元触媒作用があるので、黄変対策に有効である。 …(略)… 【0051】 反射膜層は、金属メッキや金属蒸着によって形成される被膜である。シリコーン樹脂基材を形成しているシリコーン樹脂に金属メッキ処理や金属蒸着処理を施し易い。反射膜層は、銀メッキ、ニッケルメッキ、クロムメッキ、金メッキであってもよく、アルミニウム蒸着膜であってもよい。…(略)… 【0054】 シリコーン樹脂基材は、それの表面反射効率を上げて、光漏れを防止するために、銀蒸着、アルミニウム蒸着のような金属蒸着処理;めっき処理が施されて金属被膜が形成されていてもよい。金属被膜ほどの反射効率でなくてもよい場合には、屈折率の大きな酸化チタンのような白色フィラーや、アルミニウム粉末のような金属フィラーを含有するものであってもよい。それにより、高輝度の発光ダイオード等の光や熱の所為で、黄変してしまうのを、防ぐことができる。 …(略)… 【0056】 シリコーン樹脂基材含有製品として、シリコーン樹脂基材を発光ダイオードパッケージに用いた例を示したが、反射膜層を有しないシリコーン樹脂基材を発光ダイオード基板に用いたものであってもよく、また半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板に用いたものであってもよく、それらをケースやハウジングとして用いたパッケージであってもよい。」 (サ)「【0073】 (試験5.透過率測定試験・反射率測定試験) フィラーであるアルミナ又は酸化チタンの含有量毎の透過率と反射率との物性についての試験を行った。 【0074】 フィラーであるアルミナA-42-6(昭和電工株式会社製;商品名)、又は酸化チタンTTO-51(石原産業株式会社製;商品名)の20質量%、40質量%、60質量%をシリコーン樹脂KJR632(信越化学工業株式会社製;商品名)に夫々充填し、金型を用いたコンプレッション成形により、成形して、硬化物であるシリコーン樹脂基材を得た。夫々の透過率と反射率とを、分光光度計UV-3150(株式会社島津製作所製;商品名)により測定した。その結果を、図5に示す。 【0075】 図5から明らかな通り、フィラーがアルミナであるよりも酸化チタンである方が、シリコーン樹脂基材の透過率が低く、何れも40質量%、60質量%含まれていると、透過率が極めて低く、光の遺漏が殆ど認められない。一方、フィラーがアルミナであるよりも酸化チタンである方が、シリコーン樹脂基材での420nm以上の反射率が高い。フィラーがアルミナである方が酸化チタンであるよりも、低波長での320nm近傍の低波長での反射率が高い。」 (シ)「【0080】 (試験7.熱安定性試験) シリコーン樹脂基材の熱安定性の物性についての試験を行った。 【0081】 試験1で作製したのと同様なシリコーン樹脂基材を作製した。それを、150℃の循環式オーブン内に、クリップで吊るし、100時間、200時間、400時間、700時間、800時間経過後に、全光線透過率を測定した。なお、対照としてエポキシ樹脂製の基材を用いた。その結果を図6に示す。図6から明らかな通り、シリコーン樹脂基材は、長期間加熱しても、黄変も透過率低下も起こっていない。一方、エポキシ樹脂製の基材は、経時的に長波長側の透過率が低下しており、品質の劣化が認められた。」 (ス)「【産業上の利用可能性】 【0084】 本発明のシリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができる。」 イ 甲第2号証に記載された発明 (ア)甲第2号証の上記ア(オ)の段落【0025】には、シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物を調製し、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型し、シリコーン樹脂基材を得ることが開示されている。 すなわち、同段落には、シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物であって、調整された当該バインダー用組成物は、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型して、シリコーン樹脂基材を得るためのものであることが開示されている。 (イ)甲第2号証の上記ア(コ)の段落【0056】、(ス)の段落【0084】から、甲第2号証には、シリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができることが開示されている。 (ウ)甲第2号証の上記ア(キ)の、例えば、段落【0031】に記載の(CH_(3)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(OCH_(3))_(2)OSi(OCH_(3))_(3)、(C_(2)H_(5)O)_(3)SiCH_(2)CH_(2)CH_(2)Si(OCH_(3))_(2)OSi(OCH_(3))_(3)、段落【0032】に記載の(C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[SiOC_(2)H_(5)(CH=CH_(2))O]_(t2)Si(OC_(2)H_(5))_(3)、(C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[Si(OC_(2)H_(5))_(2)O]_(u4)Si(OC_(2)H_(5))_(2)CH=CH_(2)、(C_(2)H_(5)O)_(2)Si(CH=CH_(2))O[Si(OC_(2)H_(5))_(2)O]_(u5)Si(OC_(2)H_(5))_(2)CH=CH_(2)は、いずれもTQ樹脂のシリコーン樹脂を形成するシロキサン化合物であり、段落【0031】に記載の(CH_(3))_(3)SiOSi(OC_(2)H_(5))_(2)O[SiH(CH_(3))O]_(p9)[Si(CH_(3))_(2)O]_(q1)Si(CH_(3))_(3)、(CH_(3))_(3)SiOSi(OC_(2)H_(5))_(2)O[SiH(C_(2)H_(5))O]_(p12)Si(CH_(3))_(3)は、いずれもMDQ樹脂のシリコーン樹脂を形成するシロキサン化合物であるといえる。 したがって、上記ア(ア)の請求項1、2、(カ)の段落【0029】も参照すると、甲第2号証には、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料、及び、三次元架橋したシリコーン樹脂が、モノオルガノシロキシ単位であるT単位、シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有している、例えば、MDQ樹脂又はTQ樹脂のシリコーン樹脂が開示されているといえる。 (エ)甲第2号証の上記ア(サ)の段落【0074】には、フィラーである酸化チタンTTO-51(石原産業株式会社製;商品名)をシリコーン樹脂に充填し、成形して、硬化物であるシリコーン樹脂基材を得た旨が記載されており、上記(ア)も参照すると、甲第2号証には、シランカップリング剤と、シロキサン化合物からなる重合性シリコーン樹脂原材料と、酸化チタン粉末からなるフィラーとが、混合されて分散されつつ含有された組成物が開示されているといえる。 (オ)甲第2号証の上記ア(キ)の段落【0035】には、「シリコーン樹脂は、付加反応性で、無溶媒下で加熱硬化するものであり、型を用いて、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形される。」と記載されている。 また、コンプレッション成形、トランスファー成形、押し出し成形、カレンダー成形は、通常、グリース状で粘性又は塑性の原材料を、型やロール機を用いて成形するものであることが、技術常識である。 したがって、甲第2号証には、シリコーン樹脂は、「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形される」こと、及び「液状又はグリース状で粘性又は塑性のもの」である原材料組成物が開示されている。 (カ)甲第2号証の上記ア(サ)の段落【0073】、【0074】の記載から、甲第2号証には、「シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性についての試験を行った」ことが開示されているといえる。 (キ)以上から、甲第2号証には、以下の発明(以下、それぞれ「甲2発明A」、「甲2発明B」という。)が記載されている。 <甲2発明A> 「シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物であって、 調整された当該バインダー用組成物は、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型して、シリコーン樹脂基材を得るためのものであり、 当該シリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができ、 前記バインダー用組成物は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、酸化チタン粉末からなる白色フィラーとが、混合されて分散されつつ含有され、液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、 前記シリコーン樹脂は、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形され、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、モノオルガノシロキシ単位であるT単位、シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有している、例えばMDQ樹脂又はTQ樹脂のシリコーン樹脂であり、 シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った、バインダー用組成物。」 <甲2発明B> 「シリコーン樹脂基材の製造方法であって、 シランカップリング剤とシロキサン化合物とフィラーとを含むバインダー用組成物を調製し、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型し、シリコーン樹脂基材を得て、 シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った、シリコーン樹脂基材の製造方法であり、 当該シリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができ、 前記バインダー用組成物は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、酸化チタン粉末からなる白色フィラーとが、混合されて分散されつつ含有され、液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、 前記シリコーン樹脂は、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形され、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、モノオルガノシロキシ単位であるT単位、シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有している、例えばMDQ樹脂又はTQ樹脂のシリコーン樹脂である、シリコーン樹脂基材の製造方法。」 (3)甲第3号証について 取消理由通知において引用した甲第3号証(エレクトロニクス用シリコーン、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、2003年6月発行)には、以下の事項が記載されている。 「【低分子シロキサンについて】 マイクロリレー、マイクロスイッチやマイクロモーターなどが密閉、半密閉状況下におかれた場合、シリコーン材料から揮散する成分がその接点部で電気エネルギーによって絶縁物に変化し、導通不良をおこす現象が発生することがあり、接点障害と呼ばれています。接点障害の原因となる揮散成分は下図に示されるもので低分子シロキサンと称されるものです。低分子低減グレードではその含有量を低減させています。」(第1ページ左下部分) (4)甲第4号証について 平成29年2月27日に特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から提出された意見書に添付された甲第4号証(「機能材料:超微粒子酸化チタン|製品情報|石原産業株式会社|」、https://www.iskweb.co.jp/products/functional02.html)には、以下の事項が記載されている。 (ア)「超微粒子酸化チタンTTOシリーズの特徴 …(略)… 無機系、有機系の表面処理により酸化チタン表面の親水性・撥水性を制御し、用途に応じた分散性と耐候性を得ております。」 (イ)「各種グレード一覧 1.TTO-51、55シリーズ詳細(焼成法) …(略)…」 グレード、TTO-51(A)、TTO-51(C)、TTO-55(A)、TTO-55(B)、TTO-55(C)、TTO-55(D)は、いずれも「結晶型」が「ルチル結晶」であることが示されており、それぞれの「表面処理種」及び「表面特性」は、以下のとおりであることが示されている。 「TTO-51(A):Al(OH)_(3)、親水性、 TTO-51(C):Al(OH)_(3)/ステアリン酸、撥水性、 TTO-55(A):Al(OH)_(3)、親水性、 TTO-55(B):Al(OH)_(3)、親水性、 TTO-55(C):Al(OH)_(3)/ステアリン酸、撥水性、 TTO-55(D):ZrO_(2)/Al(OH)_(3)、親水性」 (5)甲第5号証について 平成29年2月27日に特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から提出された意見書に添付された甲第5号証(「色材」、社団法人色材協会、昭和51年1月20日、第49巻、第1号、2?14ページ)には、以下の事項が記載されている。 「酸化チタンの表面処理の影響が明らかに次の順序になることを発表している。 アナタース形無処理>アナタース形Al処理>アナタース形Al,Si処理>ルチル形Al処理>ルチル形Al,Si処理>ルチル形Al,Si,Zn処理> また、酸化チタンを使用した塗膜における耐候性の強さは上記の順序と全く逆になっているのが硫酸法酸化チタンとしては一般的傾向であり、…(略)…」(7ページ左欄) (6)甲第6号証について 平成29年10月11日に特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から提出された意見書に添付された甲第6号証(「フィラー活用辞典」、フィラー研究会、株式会社大成社、平成6年5月31日、264ページ)には、以下の事項が記載されている。 「シランカップリング剤は一般に次の化学構造式で表される。 YRSiX_(3) Xはケイ素原子に直接結合している加水分解基であり、工業的にはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が最も多く用いられている。この加水分解基Xは水溶液中、空気中の水分または無機フィラー表面に吸着された水分により加水分解されてシラノール基(SiOH)及びHXが生成する。」 (7)甲第7号証について 平成29年10月11日に特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から提出された意見書に添付された甲第7号証(「化学大事典」、大木道則他、株式会社東京化学同人、平成1年10月20日)には、以下の事項が記載されている。 「シロキサン[Siloxane] Si-O結合(シロキサン結合)をもつ化合物の総称.鎖状シロキサンH_(3)SiO(H_(2))SiO)_(n)SiH_(3)、環状シロキサン(-H_(2)SiO-)_(n)等の一般式で示される.水素をメチル基、フェニル基で置換したシロキサンが一般によく知られており、シラノールの縮合、ハロゲノシランやアミノシランの加水分解で生成する.シリコーンゴム、シリコーン油、シリコーングリースなどはシロキサン結合を有するポリシロキサン^(*)である.」 (8)甲第8号証について 平成31年2月22日に特許異議申立人山▲崎▼浩一郎から提出された意見書に添付された甲第8号証(「岩波理化学事典第4版」、久保亮五他、岩波書店、平成1年12月15日、495ページ)には、以下の事項が記載されている。 「酸化ケイ素 [silicon oxide] [1]一酸化ケイ素.SiO.褐色の無形固体.…(略)…研磨材あるいはガラスのコーティング剤などに用いる.[2]二酸化ケイ素.SiO2.多くの多形が見出される.シリカというのは俗称である.…(略)… また非晶質の石英ガラスのほかコロイド状のシリカゲル、水熱条件下で得作られるキタイト(シリカK共呼ばれる.正方晶系)、SiOの酸化によるシロキサン鎖をもつ繊維状シリカWなどがある.…(略)…」 3 当審の判断 (1)特許法第36条第6項第2号について 上記第2の1(1)に記載した、本件訂正の訂正事項1により、請求項1の記載は「反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり」、「三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり」、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」と訂正されたので、請求項1に記載された「シリコーン樹脂製反射基材」と「反射層」との区別は明確であり、請求項1に係る発明の原材料組成物は、「シリコーン樹脂製反射基材の反射層」を形成するために用いられることが明確である。また、請求項1に記載された、「反射層」が、「膜状、板状又は立体状に『支持体上に』形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのもの」、「三次元架橋により『前記支持体上で』硬化させ前記反射層にするためのもの」とは、三次元架橋により支持体上で硬化させ反射層にするためのもののみを意味することが明確である。 したがって、本件発明1?11は、明確であり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たす。 よって、平成30年11月9日付けの取消理由通知に記載した取消理由の理由1により、本件請求項1?11に係る特許を取り消すことはできない。 (2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項について ア 甲1発明との対比・判断 (ア)本件発明1について A 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (A)甲1発明の「シリコーンゴム組成物」は、本件発明1の「原材料組成物」に相当する。 (B)甲1発明は、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(…略…)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」を「混合又は混練することにより製造される」ものであるから、本願発明1と甲1発明とは、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(…略…)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」とが「混合されて分散されつつ含有され」るものである点で共通する。 甲1発明の「酸化チタン粉末」は、本件発明1の「酸化チタンを含む」「無機フィラー粉末」に相当する。また、「酸化チタン粉末」はシリコーン樹脂よりも高屈折率である。 また、甲1発明の「酸化チタン粉末」は、「テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いて表面処理され、表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成された」ものである。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され」るものである点で共通する。 (C)甲1発明は、「低粘度、低チキソ性である」から、本件発明1と甲1発明とは、「液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであ」る点で一致する。 (D)甲1発明は、「三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」により「製造される組成物」であるから、「三次元架橋により硬化させ」シリコーン樹脂とするものである。 また、甲1発明は、「反射用のコーティング剤、ポッティング剤」に「利用でき」るものであるから、「組成物」は「反射部材」にするためのものであり、甲1発明の「コーティング」は本件発明1の「塗工」に相当する。 また、甲1発明は、「電気・電子部品に用いられる、ニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、加熱し、シート状の硬化物を得るためのもの」であり、甲1発明の「基板」、「シート状」は、それぞれ、本件発明1の「支持体」、「膜状、板状又は立体状」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記シリコーン樹脂に前記無機フィラー粉末」が「含有された反射部材」が、「膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射部材を形成するため」のものである点で一致し、「前記原材料組成物を塗工」によって「三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射部材にするためのもの」である点で共通する。 (E)本件発明1は、「前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂」である。 それに対し、甲1発明の「重合性シリコーン樹脂原材料」は、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」であるから、「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位、及びRSiO_(3/2)単位(…(略)…)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み、三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料」であるといえる。 したがって、本件発明1と甲1発明において、三次元架橋したシリコーン樹脂が、「前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位」、及び「前記シロキシ単位であるQ単位」を「組み合わせて含み」、「それらの単位を有している」「TQ樹脂」の「シリコーン樹脂」である点で共通する。 (F)甲1発明は、「添加剤成分を混合又は混練することにより製造される組成物」であって、「添加剤として」、「更に、組成物の接着性を向上する目的で、前記成分以外にエポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加することができ」るものであるところ、甲1発明の「エポキシ基含有ポリシロキサン化合物」は、本件発明1の「反応性官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分」が「混合されて分散されつつ含有され」たものである」点で一致する。 (G)甲1発明は、「添加剤成分を混合又は混練することにより製造される組成物」であって、「添加剤として、アセチレンアルコール等の硬化抑制剤を添加することができ」るものであるところ、甲1発明の「アセチレンアルコール等の硬化抑制剤」は、本件発明1の「失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤」に相当するから、本件発明1と甲1発明とは、「失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤」が「混合されて分散されつつ含有され」たものである点で一致する。 (H)以上をまとめると、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「SiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含み、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位を含み得る三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、前記シリコーン樹脂に前記無機フィラー粉末が含有された反射部材が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射部材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有される原材料組成物であって、 前記原材料組成物を塗工によって三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射部材にするためのものであり、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、及び前記シロキシ単位であるQ単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているTQ樹脂のシリコーン樹脂であって、 前記シリコーン樹脂製反射部材を形成するために用いられる原材料組成物。」 <相違点1> 表面処理された酸化チタンを含む無機フィラー粉末について、本件発明1では、「白色無機フィラー粉末」であるのに対し、甲1発明では、「テトラアルコキシシランで表面処理した酸化チタン粉末」は、「硬化物に」「着色(白色)」を「付与又は補強する成分」であるものの、シリコーンゴム組成物(原材料組成物)の「酸化チタン粉末」が「白色」であるか不明である点。 <相違点2> 原材料組成物の用途について、本件発明1は、「前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が『分散されつつ』含有された『反射層』が、形成されることにより、『シリコーン樹脂製反射基材』を形成するためのもの」であり、「『前記原材料組成物』を『1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状』に硬化させ『前記反射層』にするためのもの」であり、また、「『前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層』を形成するために用いられる」ものであるのに対し、甲1発明のシリコーンゴム組成物(原材料組成物)は、「『重合性シリコーン樹脂原材料』と、『酸化チタン粉末』とが、『混合又は混練することにより製造される組成物』」であって、「『電気・電子部品』の『反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用でき』」、「電気・電子部品に用いられる、ニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、加熱し、シート状の硬化物を得るためのものである」ものの、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点3> 粘度または可塑度について、本件発明1は、「粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である」のに対し、甲1発明では、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点4> 酸化チタンについて、本件発明1では、「Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されて」いるのに対し、甲1発明では、「テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物を用いて表面処理され、表面処理により、酸化チタン粉末の表面にシロキサンの被膜が形成された酸化チタン粉末」であるものの、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点5> 本件発明1では、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」ものであるのに対し、甲1発明では、「『電気・電子部品』の『反射用のコーティング剤、ポッティング剤等に利用でき』」るものの、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 B 判断 (A)まず、相違点4について検討する。 本件発明1における、「前記酸化チタンが、…SiO_(2)で表面処理されて」いるものは、文言上、「酸化チタン」が「SiO_(2)」(シリカ)で表面処理されているものであることは明らかであり、一方、甲1発明において、酸化チタン粉末の表面に形成される被膜はシロキサンの被膜である。 SiO_(2)(シリカ)は、Si-O-Si結合を有しているものの、テトラアルコキシランが加水分解及び重合し、反応すべきものが全て反応したときの反応物であるのに対し、シロキサンは、シロキサン結合(Si-O-Si)を含むものの総称であって、SiO_(2)(シリカ)とは化学物質として区別されるものである(必要であれば、甲第7号証、甲第8号証を参照。)。 そして、甲第1号証には、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物について反応すべきものを全て反応させSiO_(2)(シリカ)を得ることは、記載も示唆もされていない。 したがって、相違点4に係る本件発明1の構成は、特許異議申立人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲1発明に基づいて当業者が容易に想到できるものではない。 (B)以上のとおりであるから、相違点1?3、5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲1発明と同一ではない。 (イ)本件発明2?32について 本件発明2?32も、本件発明1が有する構成を有しているから、本件発明2、3、5、6、8?16、19?24、27、29?32は、甲1発明と同一ではなく、また、本件発明2?6、8?16、18?32は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7、17は、甲1発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)甲1発明との対比・判断のまとめ 以上のとおり、本件発明1?3、5、6、8?16、19?24、27、29?32は、甲1発明と同一ではなく、また、本件発明1?6、8?16、18?32は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7、17は、甲1発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 甲2発明A、甲2発明Bとの対比・判断 (ア)本件発明1について A 甲2発明Aとの対比 本件発明1と甲2発明Aとを対比する。 (A)甲2発明Aの「バインダー用組成物」、「酸化チタン粉末からなる白色フィラー」は、それぞれ本件発明1の「原材料組成物」、「酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末」に相当する。 また、「酸化チタン粉末」はシリコーン樹脂よりも高屈折率である。 また、甲2発明Aは、「前記バインダー用組成物は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)2単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、酸化チタン粉末からなる白色フィラーとが、混合されて分散されつつ含有され、液状又はグリース状で粘性又は塑性のもの」である。 したがって、本件発明1と甲2発明Aとは、「RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率」で「酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のもの」であり、「シリコーン樹脂製」部材を形成するために用いられる「原材料組成物」である点で一致する。 (B)甲2発明Aは、「調整された当該バインダー用組成物は、加熱、又は光照射によりシランカップリング剤とシロキサン化合物とが架橋したバインダーとしその分子間にフィラーを含ませたシリコーン樹脂を金型内で成型して、シリコーン樹脂基材を得るためのものであり」、「『前記バインダー用組成物は』、『三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、酸化チタン粉末からなる白色フィラーとが、混合されて分散されつつ含有され』」、「前記シリコーン樹脂は、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で成形され」、「シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った」ものである。 したがって、本件発明1と甲2発明Aとは、「前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末」が「含有された反射部材」が、「シリコーン樹脂製反射部材を形成するため」のものである点で一致し、「前記原材料組成物」を「金型成形」、「コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形」によって「三次元架橋により硬化させ」反射部材にするためのものである点で共通する。 (C)本件発明1は、「前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂」である。 それに対し、甲2発明Aでは、「前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、モノオルガノシロキシ単位であるT単位、シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有している、例えばMDQ樹脂及びTQ樹脂のシリコーン樹脂」である。 したがって、両者は、「前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMDQ樹脂、TQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂」である点で一致する。 (D)以上をまとめると、本件発明1と甲2発明Aとの一致点と相違点は、次のとおりである。 <一致点> 「RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が含有された反射部材が、シリコーン樹脂製反射部材を形成するためのものである原材料組成物であって、 前記原材料組成物を金型成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形によって三次元架橋により硬化させ前記反射部材にするためのものであり、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMDQ樹脂、TQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂であって、 前記シリコーン樹脂製反射部材を形成するために用いられる原材料組成物。」 <相違点1> 白色無機フィラー粉末が含む酸化チタンについて、本件発明1では、「表面処理された酸化チタン」であり、「前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されてお」るのに対し、甲2発明Aでは、「酸化チタン粉末からなる白色フィラー」について、表面処理されたものであるか否かが不明である点。 <相違点2> 原材料組成物の用途について、本件発明1は、「前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が『分散されつつ』含有された『反射層』が、『膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材』を形成するためのもの」であり、「前記原材料組成物を『1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状』に『前記支持体上で』硬化させ『前記反射層』にするためのもの」であり、また、「前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」ものであるのに対し、甲2発明Aでは、「調整された当該バインダー用組成物」は、「シリコーン樹脂基材を得るためのものであり、当該シリコーン樹脂基材は、発光ダイオード基板、半導体素子基板、集積回路基板、高周波基板、電気回路基板、太陽電池基板として、またそれらのパッケージとして用いることができ」、「シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った」ものの、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点3> 本件発明1は、「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分」が「混合されて分散されつつ含有され」たものであるのに対し、甲2発明Aでは、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点4> 本件発明1は、「失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤」が「混合されて分散されつつ含有され」たものであるのに対し、甲2発明Aでは、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点5> 粘度または可塑度について、本件発明1では、「粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である」のに対し、甲2発明Aでは、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 <相違点6> シリコーン樹脂について、本件発明1では、「MQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂」であるのに対し、甲2発明Aでは、「例えば、MDQ樹脂又はTQ樹脂のシリコーン樹脂」であり、MDQ樹脂とTQ樹脂以外の本件発明1のこのような構成の樹脂について特定されていない点。 <相違点7> シリコーン樹脂製反射基材の反射率について、本件発明1では、「150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられる」ものであるのに対し、甲2発明Aでは、シリコーン樹脂基材の反射率について、本件発明1のこのような構成について特定されていない点。 B 判断 (A)事案に鑑み、まず、相違点2及び相違点3についてまとめて検討する。 a まず、甲2発明Aが含むシランカップリング剤に関して検討する。 樹脂の原材料組成物に、シランカップリング剤を添加することにより密着性などを付与することは、技術常識であるが(平成30年5月28日付け取消理由通知(決定の予告)の第3の3(1)イ参照。)、甲第2号証の上記2(2)ア(ケ)の段落【0040】に「シロキサン化合物にシランカップリング剤が含まれていると、それが含まれていない場合よりも、フィラーを網目構造の中に確りと取り込むため、シリコーン樹脂の強度が顕著に強くなる。」と、段落【0041】に「シロキサン化合物とシランカップリング剤とにより三次元架橋したシリコーン樹脂は、…(略)…またフィラーに付着してもシリコーン樹脂のバインダー自体を膨張させない。その結果、シリコーン樹脂基材の線膨張係数が小さいものとなる。」と記載されているように、甲第2号証に記載されているシランカップリング剤は「接着性付与成分」として用いられるものではなく、また、シランカップリング剤が含まれるシリコーン樹脂は、支持体上で硬化させるものでもない。 よって、甲第2号証に記載されているシランカップリング剤は、原材料組成物を支持体上で硬化させ反射層とする際に接着性を付与する本件発明1の「接着性付与成分」には該当しない。 b 次に、甲2発明Aにおいて、相違点2及び相違点3に係る本件発明1の構成を採用することの容易想到性について検討する。 (a)甲第2号証の上記2(2)ア(ウ)の段落【0002】?【0004】、【0006】には、従来、様々な発光機器に発光ダイオードが用いられており、発光ダイオードは、セラミックス製基板や、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂製基板又はポリエーテルエーテルケトン製基板に載置され、発光機器内に組み込まれていたが、従来技術は問題があったため、本発明は、発光ダイオードなどの基板やパッケージに用いることができ、硬くて丈夫なシリコーン樹脂基材を提供することを目的とする旨が記載されている。 また、段落【0015】?【0017】にも、本発明のシリコーン樹脂基材は、硬くて耐久性に優れたものであることや、発光ダイオードなどの基板やパッケージとして組み込んでシリコーン基材含有製品とする旨が記載されている。 すなわち、甲第2号証に記載された「本発明」のシリコーン樹脂基材は、硬くて耐久性に優れた発光ダイオードの基板自体やパッケージ自体を構成するものであるから、甲2発明Aにおいて、シリコーン樹脂を金型内で成型して、シリコーン樹脂基材を得る際に、別個の支持体を用いて、その上にシリコーン樹脂基材の反射層を成形するためのものではなく、また、硬化の際に、密着性・接着性が優れているものとする必要性もない。 (b)そうすると、甲2発明Aにおいて、硬化させて得たシリコーン樹脂基材の反射層を、発光機器に組み込む際に、支持体上に取り付けることはあっても、バインダー用組成物を、シリコーン樹脂基材の反射層自体を形成する際に、支持体上でシリコーン樹脂を硬化させるためのものとする動機はなく、また、硬化の際に、密着性・接着性が優れているものとする必要性もないので、接着性付与成分が含有されたものとする動機があるとはいえない。 (c)したがって、本件発明1が有している「『反射層』が、『支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのもの』」であり、また、「『前記原材料組成物』を『1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状』に『前記支持体上で』硬化させ『前記反射層にするためのもの』」であるという構成、及び、「反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分」が「混合されて分散されつつ含有され」たものであるという構成を、甲2発明Aにおいて導くことは困難であり、相違点2及び相違点3に係る本件発明1の構成は、特許異議申立人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に想到できるものではない。 よって、甲2発明Aにおいて、相違点2及び相違点3に係る本件発明1の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。 (B)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲2発明Aと同一ではない。 (イ)本件発明2?11について 本件発明2?11も、上記(ア)B(A)b(c)で述べた、本件発明1が有している上記構成を有しているから、本件発明2、3、5、6、8?11は、甲2発明Aと同一ではなく、また、本件発明2?6、8?11は、甲2発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7は、甲2発明A及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ウ)本件発明12について A 甲2発明Bとの対比 (A)本件発明12は、上記第3に記載したとおりのもので、請求項1?11に記載された原材料組成物を引用し、発明のカテゴリーが組成物の発明からシリコーン樹脂製反射基材の製造方法の発明に変更されたものである。 本件発明12は、本件発明1で特定される構成要件を、実質的に全て含むものであり、また、「前記原材料組成物を…前記シリコーン樹脂へ重合させることにより、反射層を支持体上で…又は立体形状に形成し」との構成要件を有する。 (B)したがって、本件発明12と甲2発明Bとを対比すると、上記(ア)A(D)で述べた<相違点1>?<相違点7>及び少なくとも以下の相違点を有する。 <相違点A> 本件発明12は、「『前記原材料組成物』を『前記シリコーン樹脂へ重合させることにより』、『反射層を支持体上で』『形成』する『シリコーン樹脂反射基材の製造方法』」であるのに対し、甲2発明Bは、「『バインダー用組成物を調整し、加熱、又は光照射により』『バインダーとし』、『シリコーン樹脂を金型内で成型し、シリコーン樹脂基材を得て、シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った、シリコーン樹脂基材の製造方法であり』、『前記バインダー用組成物』は、『シリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料』が『含有され』」るものであり、「シリコーン樹脂基材の反射率を測定し、反射率の物性について試験を行った」ものであるものの、本件発明12の上記の構成について特定されていない、すなわち、甲2発明Bでは、シリコーン樹脂基材が、バインダー用組成物を重合させることにより、支持体上で形成したものであるとの構成については特定されていない点。 B 判断 (A)まず、上記相違点Aについて検討する。 a 甲第2号証の上記2(2)ア(ウ)の段落【0002】?【0004】、【0006】には、従来、様々な発光機器に発光ダイオードが用いられており、発光ダイオードは、セラミックス製基板や、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂製基板又はポリエーテルエーテルケトン製基板に載置され、発光機器内に組み込まれていたが、従来技術は問題があったため、本発明は、発光ダイオードなどの基板やパッケージに用いることができ、硬くて丈夫なシリコーン樹脂基材を提供することを目的とする旨が記載されている。 また、段落【0015】?【0017】にも、本発明のシリコーン樹脂基材は、硬くて耐久性に優れたものであることや、発光ダイオードなどの基板やパッケージとして組み込んでシリコーン基材含有製品とする旨が記載されている。 すなわち、甲第2号証に記載された「本発明」のシリコーン樹脂基材は、硬くて耐久性に優れた発光ダイオードの基板自体やパッケージ自体を構成するものであるから、甲2発明Bにおいて、シリコーン樹脂を金型内で成型する際に、別個の支持体を用いて、その上に成形するものではない。 b そうすると、甲2発明Bにおいて、重合させて得たシリコーン樹脂基材を、発光機器に組み込む際に、支持体上に取り付けることはあっても、シリコーン樹脂基材自体を形成する際に、支持体上でシリコーン樹脂を重合させることにより形成する動機があるとはいえない。 したがって、本件発明12が有している「前記原材料組成物」を「前記シリコーン樹脂へ重合させることにより」、「反射層を支持体上で」「形成」するという構成を甲2発明Bにおいて導くことは困難であり、相違点Aに係る本件発明12の構成は、特許異議申立人が提出したその他の証拠を考慮したとしても、甲2発明Bに基づいて当業者が容易に想到できるものではない。 c よって、甲2発明Bにおいて、相違点Aに係る本件発明12の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことではない。 (B)以上のとおりであるから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明12は、甲2発明Bと同一ではなく、また、甲2発明Bに基づき、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (エ)本件発明13?32について 本件発明13?32も、上記(ウ)B(A)bで述べた、本件発明12が有している上記構成を有しているから、本件発明13?16、19?24、27、29?32は、甲2発明Bと同一ではなく、また、本件発明13?16、18?32は、甲2発明Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明17は、甲2発明B及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (オ)甲2発明A、甲2発明Bとの対比・判断のまとめ 以上のとおり、本件発明1?3、5、6、8?11は、甲2発明Aと同一ではなく、また、本件発明1?6、8?11は、甲2発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7は、甲2発明A及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明12?16、19?24、27、29?32は、甲2発明Bと同一ではなく、また、本件発明12?16、18?32は、甲2発明Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明17は、甲2発明B及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項についてのまとめ 以上のとおり、本件発明1?3、5、6、8?16、19?24、27、29?32は、甲1発明と同一ではなく、また、本件発明1?6、8?16、18?32は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7、17は、甲1発明及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 以上のとおり、本件発明1?3、5、6、8?11は、甲2発明Aと同一ではなく、また、本件発明1?6、8?11は、甲2発明Aに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明7は、甲2発明A及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明12?16、19?24、27、29?32は、甲2発明Bと同一ではなく、また、本件発明12?16、18?32は、甲2発明Bに基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、本件発明17は、甲2発明B及び甲第3号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、平成30年11月9日付けの取消理由通知に記載した取消理由の理由2または3により、本件請求項1?32に係る特許を取り消すことはできない。 (3)特許異議申立人の意見について ア 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎は、平成31年2月22日に提出した意見書において、以下のように主張する。 (ア)特許権者が、平成29年8月29日に提出した意見書の14頁において、本件特許発明1と甲第1号証との相違点としている、イ「本件発明1は、接着成分が反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物が混合されて分散されつつ含有されているのに対し、甲第1号証の発明は、エポキシ基含有ポリシロキサン化合物やエステルシロキサン化合物を添加している点。」、ウ「本件発明1は、反応抑制剤が混合されて分散されつつ含有されているのに対し、甲第1号証の発明は、反応抑制剤の記載が無い点。」、エ「本件発明1は、シリコーン樹脂が少なくともT単位、Q単位を含む樹脂等で特定されているのに対し、甲第1号証の発明は、そのような特定が無い点。」は、いずれも相違点にはならない(上記意見書3?5ページの3(2)イ?エ参照。)。 (イ)特許権者が、平成29年8月29日に提出した意見書の14?16頁で主張する、甲第1号証では、SiO_(2)で処理された酸化チタンが記載されていない、また実質的にも記載されていないという指摘は技術的に誤りであり、甲第1号証にSiO_(2)で表面処理された酸化チタンは実質的に開示されている(上記意見書5?9ページの3(2)オ参照。)。 (ウ)特許権者は、平成29年8月29日に提出した意見書の17頁で、「支持体の記載のない甲第1号証では、係る組み合わせによる効果を奏する技術思想は示唆されていない。」と主張しているが、甲第1号証の0037段落における基板は、本件発明でいうところの支持体に該当するものであり、支持体の記載が無い、という特許権者の主張は誤りである。そして、支持体が無いという理由で、本件発明の硬化が示唆できない、という主張も、当を得ておらず、当業者にとってもその効果の指標としては容易に想到できるものである(上記意見書9?10ページの3(2)カ参照。)。 イ 上記主張について検討する。 上記ア(ア)の主張について、本件発明1と甲1発明との一致点と相違点は、上記3(2)イ(ア)A(H)のとおりであり、イ、ウ、及びエについての特許異議申立人の主張に誤りはない。 しかしながら、特許異議申立人の上記主張を考慮したとしても、「判断」については、上記3(2)イ(ア)B(B)で述べたとおり、相違点1?3、5について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、甲1発明と同一ではない。 上記ア(イ)の主張について、上記上記3(2)イ(ア)B(A)で述べたとおり、甲1発明において、酸化チタン粉末の表面に形成される被膜はシロキサンの被膜であり、本件発明1におけるSiO_(2)(シリカ)は、Si-O-Si結合を有しているものの、テトラアルコキシランが加水分解及び重合し、反応すべきものが全て反応したときの反応物であるのに対し、シロキサンは、シロキサン結合(Si-O-Si)を含むものの総称であって、SiO_(2)(シリカ)とは化学物質として区別されるものである(必要であれば、甲第7号証、甲第8号証を参照。)。 そして、甲第1号証には、テトラアルコキシシラン及び/又はテトラアルコキシシランの部分加水分解縮合物について反応すべきものを全て反応させSiO_(2)(シリカ)を得ることは、記載も示唆もされていない。 したがって、甲第1号証には、SiO_(2)で表面処理された酸化チタンは開示されていない。 上記ア(ウ)の主張について、本件発明1と甲1発明とを対比すると、上記3(2)イ(ア)A(D)で述べたとおり、甲1発明は、「電気・電子部品に用いられる、ニッケル、アルミニウム、シリコンの各基板上に流延し、これを真空脱泡した後、加熱し、シート状の硬化物を得るためのもの」であり、甲1発明の「基板」、「シート状」は、それぞれ、本件発明1の「支持体」、「膜状、板状又は立体状」に相当する。 したがって、本件発明1と甲1発明とは、「前記シリコーン樹脂に前記無機フィラー粉末」が「含有された反射部材」が、「膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射部材を形成するため」のものである点で一致し、「前記原材料組成物を塗工」によって「三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射部材にするためのもの」である点で共通する。 よって、「支持体の記載が無い、という特許権者の主張は誤りである。」との特許異議申立人の上記主張に誤りはない。 しかしながら、特許異議申立人の上記主張を考慮したとしても、「判断」については、上記3(2)イ(ア)B(B)で述べたとおり、本件発明1は、甲1発明と同一ではなく、また、甲1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 特許異議申立人山▲崎▼浩一郎は、本件訂正前の特許請求の範囲に関し、特許異議申立書76ページの「3(4)」の「モ 特許法第36条第6項第1号及び特許法第29条第1項の柱書の異議申立て理由について(請求項7、17)」において、 「(ア)本件訂正前の特許請求の範囲に関し、本件明細書の実施例10(段落0186)には、低分子量ポリシロキサンの量を300ppm未満になるまで「減圧下及び/又は200℃で維持した」との記載があるが、実際に300ppm未満となったことは確認しておらず、また、どのようにすれば低分子ポリシロキサンの量を確認できるかも記載されておらず、更にはどの程度の減圧条件であるか、及び減圧・加熱の維持時間も記載されていない。よって、実施例10に記載のシリコーン樹脂組成物は、請求項7及び17を満たすものであることを十分説明できていない。従って、本件特許発明7は完成されているとはいえず、また十分に本件明細書で説明されているものではない。 (イ)以上より、本件特許発明7、及び17で特定される発明は、未完成であり、また、本件明細書において十分に説明されているものであるとは言えない。」と主張する。 2 しかしながら、本件の明細書の発明の詳細な説明には、次のように記載されている。 「【0089】 シリコーン樹脂製反射基材は、電気部品に装着されるものであるから、電気接点障害やくもりの原因となるものでシリコーン樹脂中に含有される低分子シロキサン例えばシロキシ基繰返単位が4?10(D4?D10)の環状低分子量シロキサンを、予め300ppm、好ましくは50ppm未満にまで除去したシリコーン樹脂で形成されていると、なお一層好ましい。具体的には、市販の低分子シロキサン低減グレードの重合性シリコーン樹脂原材料を用いたり、低分子シロキサン除去処理として、加熱オーブン処理(例えば200℃で4時間加熱処理)、真空加熱処理(例えば真空下200℃で2時間加熱)などの加熱処理を施したりしたシリコーン樹脂原材料を用いることができる。また、これらの処理に加えて、超音波溶媒抽出などの手段を施して成型品から低分子シロキサン除去することもできる。シリコーン樹脂原材料から低分子シロキサンを除去できるが、成形品から低分子シロキサンを除去する方が、より低レベルにまで除去できるので、好ましい。」 「【0186】 (実施例10) シリコーン樹脂原材料組成物を調製後、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを300ppm未満になるまで、減圧下及び/又は200℃で維持した後、常圧に戻して用いたこと以外は、実施例1?10と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製し、夫々LEDを実装してLED照明基板を製造したところ、電気接点障害、くもりの発生による照度低下などの現象は、認められなかった。」 「【0191】 (実施例16) シリコーン樹脂原材料組成物を調製後、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを300ppm未満になるまで、減圧下及び/又は200℃で維持した後、常圧に戻して用いたこと以外は、実施例1?15と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製し、夫々LEDを実装してLED照明基板を製造したところ、何れも電気接点障害、くもりの発生による照度低下などの現象は、認められなかった。」 3 上記のように発明の詳細な説明の段落【0089】には、「シリコーン樹脂中に含有される低分子シロキサン例えばシロキシ基繰返単位が4?10(D4?D10)の環状低分子量シロキサンを、予め300ppm、…(略)…にまで除去したシリコーン樹脂で形成されていると、なお一層好ましい。」と記載されている。 したがって、発明の詳細な説明には、シリコーン樹脂中に含まれるシロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを最大でも300ppmとなるようにした、シリコーン樹脂原材料組成物が開示されているといえる。 よって、本件発明7及び17は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしている。 4 なお、段落【0089】には、予め、低分子シロキサンを除去する具体的な方法について、「低分子シロキサン除去処理として、加熱オーブン処理(例えば200℃で4時間加熱処理)、真空加熱処理(例えば真空下200℃で2時間加熱)などの加熱処理を施したりしたシリコーン樹脂原材料を用いることができる。」と記載されている。 また、シリコーン樹脂中の低分子ポリシロキサンの量を、例えば、ガスクロマトグラフィーにより定量して確認できることは、技術常識(必要であれば、特開2006-124489号公報の段落【0027】、特開2005-113115号公報の段落【0049】、特開2001-139894号公報の段落【0026】、特開平6-37213号公報の段落【0020】、【0024】、特開平5-170911号公報の段落【0018】、【0020】、特開平4-311764号公報の段落【0032】、【0034】等を参照。)である。 したがって、当業者であれば、どのようにすれば低分子ポリシロキサンの量を確認できるか理解でき、低分子量ポリシロキサンの量を300ppm未満になるまで除去するには、「減圧下及び/又は200℃で維持」をどのような条件ですればよいのかも理解できる。 5 また、上記3のとおり、発明の詳細な説明には、シリコーン樹脂中に含まれるシロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを最大でも300ppmとなるようにした、シリコーン樹脂原材料組成物が開示されているといえる。 また、上記4で述べたように、発明の詳細な説明の段落【0089】の記載及び技術常識を考慮すると、どのようにすれば低分子ポリシロキサンの量を確認できるかも、どのような条件であれば低分子量ポリシロキサンの量を300ppm未満になるまで除去できるのかも理解できるから、本件発明7、17は、「実際上、明らかに実施できない発明」には該当しない。 したがって、本件発明7、17は、未完成発明であるとはいえず、特許法第29条第1項の柱書の規定に違反したものではない。 6 よって、特許異議申立人山▲崎▼浩一郎のかかる主張は、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?32に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1?32に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 シリコーン樹脂製反射基材、その製造方法、及びその反射基材に用いる原材料組成物 【技術分野】 【0001】 本発明は、照明器具等の発光装置に組み込まれそれらの光源からの光を照射すべき側へ反射させたり、太陽電池アセンブリに組み込まれそれへ入射した光を反射して光電変換素子へ集光させたりするシリコーン樹脂製反射基材、それの製造方法、及びその反射基材の形成に用いる原材料組成物に関するものである。 【背景技術】 【0002】 照明器具、信号機、液晶ディスプレイのバックライトなど様々な発光装置の光源として、発光ダイオード(LED)のように所望の波長光を出射する発光素子が用いられている。このような発光ダイオード、特に高輝度発光ダイオードは、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯などの白色系照明器具よりも、明るくて消費電力が少なく、しかも寿命が長いため、屋内外の発光装置に、組み込まれている。また、太陽光を入射して光電変換するP型シリコンとN型シリコンとからなるような光電変換素子が、太陽電池アセンブリに、組み込まれている。 【0003】 このような発光素子や光電変換素子のように光が入出射する素子を実装する配線基板や、これら素子を取り巻いて収容するパッケージケースは、発光素子からの光を照射すべき側へ反射させたり、太陽電池アセンブリへ入射した光を光電変換素子へ反射させて効率よく集光させてエネルギー変換させたりするために、これらの光を反射可能なセラミック製や樹脂製の反射基材で形成されている。 【0004】 配線基板やパッケージケースの反射基材がセラミックス製であると、出射光が漏洩することにより、十分な反射効率が得られない。 【0005】 一方、樹脂製の反射基材として、例えば、特許文献1に、脂環式エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂、グリシジル(メタ)アクリレート系ポリマー、白色顔料、及び硬化剤を必須成分とする樹脂組成物を、シート状ガラス繊維のような支持体である基板に含浸、乾燥させた白色プリプレグが開示されている。 【0006】 このような樹脂や、液晶ポリマー、ポリアミド、ビスマレイミド・トリアジン(BT)樹脂のような樹脂の組成物は粘性が低すぎて一度に高々数μmしか塗布できず、支持体の下地が透けて見えるうえ充分な反射効率が得られない。無理やり、多量に塗ったとしても、液垂れが生じたり表面ばかり優先的に溶媒揮発や硬化を引き起こして皺を生じたり、またそのせいで塗工面の中央部と端部とで塗膜厚が不均一になったりしてしまう。そのため支持体へのこのような組成物の塗工・乾燥を繰り返して二次元的な樹脂を何層にも形成して、ようやく、所望の反射率を示す数10μm程度の厚さにして、十分に白色化した反射層を形成していた。 【0007】 又は、反射剤成分を含有する粘度の高い非シリコーン系のワニスを硬化させて、反射基材を形成していた。 【0008】 また、これら樹脂製やワニス製の反射基材は、一般的に黄変等耐熱性や耐光性に欠けるうえ、波長400nm以下の波長域の光を吸収するため反射し難い。しかもこれら樹脂製やワニス製の反射基材は、安価で成形し易いという特長を有するものの、近年の鉛フロー半田化のためにリフロー工程で300℃前後に加熱されるので熱での黄変により初期劣化したり、また近年の発光波長の短波長化や高出力化等の性能向上に伴い一層高輝度の白色出射光やそれに伴う高熱に耐え切れず黄変して経時劣化したりして、表面が次第にくすんでしまい、反射効率の低下を招いてしまう。その結果、初期設計の照明特性が次第に変化し、不十分となって暗くなってしまうという問題がある。 【0009】 LED光源の発光波長である340?500nmの短波長域から長波長の赤外線領域の波長の光を、十分に反射でき、発光装置のみならず太陽電池アセンブリ等の配線基板やパッケージケースに用いることができ、耐熱性・耐光性に優れ、長期間の使用によって反射率が低下せず、熱伝導性に優れた、汎用性の簡易な反射基材が求められている。 【0010】 さらに、様々な形状の支持体上に反射層が設けられた反射基材の簡便な製造方法が求められている。また、反射層原材料組成物の一度の厚塗りにより簡便に反射層を、充分な反射率を示す程度の厚さの膜状、立体状又は板状に成形できる簡便な反射基材の製造方法が求められている。さらに、これら反射基材及びその製造に有用で、単回の塗布で十分な反射効率を有する反射層を形成できる簡易な組成の原材料組成物が求められている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0011】 【特許文献1】特開2006-316173号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0012】 本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、可視領域下限近傍の波長380?400nm程度を含む、LED光源の発光波長340?500nm程度の短波長から近赤外線領域の長波長に至る幅広い波長で反射率が高く、熱伝導性に優れ、その光が照射されても経時的に黄変したり劣化したりせず、耐光性、耐熱性、耐候性、難燃性に優れ、機械的にも化学的にも安定で、白色のまま長期間、高い反射率が維持できるうえ、金属や樹脂への接着性に優れ、配線基板やパッケージケースなどとして、簡便に成形できて、生産効率が高く、安価に製造できるシリコーン樹脂製反射基材を提供することを目的とする。 【0013】 また、本発明は、様々な形状の支持体上へ一度の厚塗りにより反射層を形成できる反射層原材料組成物、及びその原材料組成物を用いて、充分な反射率となる厚さの膜状、立体状又は板状に成形できる簡便なシリコーン樹脂製反射基材の製造方法を提供すること別の目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0014】 前記の目的を達成するためのシリコーン樹脂製反射基材は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂に、それよりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有された反射層が、支持体上で又は基板として膜状、板状又は立体状に形成されているシリコーン樹脂製反射基材であって、前記反射層が、粘度を0.5?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である液状又はグリース状で粘性又は塑性の原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形によって1?10μmの薄膜から2000μmまでの厚膜乃至板、又は立体形状に三次元架橋により硬化させたものであり、前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂であり、前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている、又はシランカップリング処理で表面処理されており、前記反射層の反射率が波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%であることを特徴とする。 【0015】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記シリコーン樹脂が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいるものである。 【0016】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記シリコーン樹脂中に含まれる、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンが、最大でも300ppmであるものである。 【0017】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記反射層が、10?200μmの厚さの膜に形成されているものである。 【0018】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記シリコーン樹脂が、屈折率を1.35以上、1.65未満とするものである。 【0019】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものである。 【0020】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記支持体と前記反射層とが接触しており、その両者又は一方の接着体となる面にシランカップリング剤である機能性シラン化合物が用いられているものである。 【0021】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記原材料組成物が、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤との少なくとも何れかを、三次元架橋した前記シリコーン樹脂へと重合する重合性シリコーン樹脂原材料に、混合させて分散させつつ含有させたものである。 【0022】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記原材料組成物が、前記シリコーン樹脂へと三次元架橋させる架橋剤を、三次元架橋した前記シリコーン樹脂へと重合する重合性シリコーン樹脂原材料に、混合させて分散させつつ含有させたものである。 【0023】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記反射層に、前記白色無機フィラー粉末と蛍光体とが分散されつつ含有されているものである。 【0024】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記シリコーン樹脂の少なくとも一部の表面の研磨、粗面化、ざらついた金型による金型成形若しくはスタンプ成形、及び/又はケミカルエッチングによって、前記白色無機フィラー粉末の一部が、前記表面から露出しているものである。 【0025】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記支持体上に、金属膜が付されその上に前記反射層が形成され、前記反射層が付されその上に金属膜が形成され、若しくは金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されており、又は前記反射層である前記基板上に、金属膜が付されているものである。 【0026】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記金属膜と前記反射層との間にガスバリア層が付されているものである。 【0027】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記金属膜が、めっき被膜、金属蒸着被膜、金属溶射膜、又は接着された金属箔膜であるものである。 【0028】 シリコーン樹脂製反射基材は、発光素子、発光装置及び光電変換素子の何れかの背面、外周及び/又は導光材反射面に、配置されているものである。 【0029】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記シリコーン樹脂原材料組成物が、白金族金属系触媒を含みつつ、シリコーン樹脂原材料として、分子中に単一又は複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであるベースポリマーと、分子中に単一又は複数のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むものである。 【0030】 シリコーン樹脂製反射基材は、前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋しているものである。 シリコーン樹脂製反射基材は、縮合で硬化したものである。 シリコーン樹脂製反射基材は、前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、重金属系触媒を含むものである。 【0031】 前記の目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の原材料組成物は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有された反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である原材料組成物であって、 前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形によって1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂であって、前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されており、 150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられることを特徴とする。 【0032】 請求項2に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする。 【0033】 請求項3に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記重合性シリコーン樹脂原材料を三次元架橋させる架橋剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする。 【0034】 請求項4に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、粘度調整のための有機溶剤及び/又は反応性希釈剤が含まれていることを特徴とする。 【0035】 請求項5に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、シランカップリング剤である機能性シラン化合物を含むことを特徴とする。 【0036】 請求項6に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする。 【0037】 請求項7に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記重合性シリコーン樹脂原材料には、それが三次元架橋したシリコーン樹脂中でシロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを最大でも300ppmとなるように、前記低分子量ポリシロキサンを含んでいることを特徴とする。 【0038】 請求項8に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする。 請求項9に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記重合性シリコーン樹脂原材料が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化して、三次元架橋するものであることを特徴とする。 請求項10に記載の原材料組成物は、請求項9に記載されたもので、前記重合性シリコーン樹脂原材料が、重金属系触媒を含み、三次元架橋するものであることを特徴とする。 請求項11に記載の原材料組成物は、請求項1に記載されたもので、前記重合性シリコーン樹脂原材料が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいて、三次元架橋するものであることを特徴とする。 【0039】 前記の目的を達成するためになされた本発明の請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋しており前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料に、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率であってAl、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末と反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とを混合させて分散させ含有させて、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である液状又はグリース状で粘性又は塑性である請求項1?11の何れかに記載された原材料組成物とした後、前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形してから三次元架橋させて前記シリコーン樹脂へ重合させることにより、反射層を支持体上で1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に形成し、150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とすることを特徴とする。 【0040】 請求項13に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記重合が、加湿、加圧及び紫外線照射の少なくとも何れかにより、なされることを特徴とする。 【0041】 請求項14に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記反射層が、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーターで形成されることを特徴とする。 請求項15に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいることを特徴とする。 請求項16に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記原材料組成物が、加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤を、混合され分散されつつ含有していることを特徴とする。 請求項17に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂中に含まれる、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンが、最大でも300ppmであることを特徴とする。 請求項18に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記支持体と前記反射層とが接触しており、その両者又は一方の接着体となる面にシランカップリング剤である機能性シラン化合物が用いられることを特徴とする。 請求項19に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化したものであることを特徴とする。 請求項20に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項19に記載されたもので、前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、重金属系触媒を含むことを特徴とする。 請求項21に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記反射層が、10?200μmの厚さの膜に形成されていることを特徴とする。 請求項22に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂が、屈折率を1.35以上、1.65未満とすることを特徴とする。 請求項23に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする。 請求項24に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記原材料組成物が、前記シリコーン樹脂へと三次元架橋させる架橋剤を、三次元架橋した前記シリコーン樹脂へと重合する重合性シリコーン樹脂原材料に、混合させて分散させつつ含有させたものであることを特徴とする。 請求項25に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記反射層に、前記白色無機フィラー粉末と蛍光体とが分散されつつ含有されていることを特徴とする。 請求項26に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂の少なくとも一部の表面の研磨、粗面化、ざらついた金型による金型成形若しくはスタンプ成形、及び/又はケミカルエッチングによって、前記白色無機フィラー粉末の一部が、前記表面から露出していることを特徴とする。 請求項27に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記支持体上に、金属膜が付されその上に前記反射層が形成され、前記反射層が付されその上に金属膜が形成され、若しくは金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されていることを特徴とする。 請求項28に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項27に記載されたもので、前記金属膜と前記反射層との間にガスバリア層が付されていることを特徴とする。 請求項29に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項28に記載されたもので、前記金属膜が、めっき被膜、金属蒸着被膜、金属溶射膜、又は接着された金属箔膜であることを特徴とする。 請求項30に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂製反射基材が、発光素子、発光装置及び光電変換素子の何れかの背面、外周及び/又は導光材反射面に、配置されていることを特徴とする。 請求項31に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記シリコーン樹脂原材料組成物が、白金族金属系触媒を含みつつ、シリコーン樹脂原材料として、分子中に単一又は複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであるベースポリマーと、分子中に単一又は複数のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むことを特徴とする。 請求項32に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、請求項12に記載されたもので、前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする。 【発明の効果】 【0042】 本発明のシリコーン樹脂製反射基材は、シリコーン樹脂よりも高屈折率の白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有されているので、LED光源の発光波長340?500nm程度から、近赤外線領域、例えば1000nmの長波長までの幅広い波長での高輝度光の反射効率が高く、特に従来反射し難かった青色光や近紫外線のような短波長領域でも反射効率が高く、しかも熱伝導性に優れ放熱し易いものである。またこのシリコーン樹脂製反射基材は、隠蔽性に優れ、光漏れを引き起こさない。 【0043】 このシリコーン樹脂製反射基材中の反射層は、光や熱による分解や変質を引き起こし難い安定な三次元架橋シリコーン樹脂で形成され、好ましくは、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主鎖中に主成分として含むシリコーン樹脂で形成されている。そのため、熱や光で黄変し易いエポキシ樹脂などよりも遥かに、光や熱に安定で、反射効率のみならず経時的な耐光性とりわけ対紫外線耐光性又は対高輝度光耐光性や、耐熱性や、耐候性のような耐久性、さらに難燃性、加工性に優れ、長期間に亘って黄変を引き起こさず、劣化し難いものである。このシリコーン樹脂製反射基材は、長期間経過しても、反射層が白色のままであるので、高反射性が維持できる。 【0044】 このシリコーン樹脂製反射基材は、熱や光に安定なシロキシ繰返単位に起因して、白色無機フィラー粉末、特に分解触媒活性が極めて高い酸化チタンを含有していてさえ、高輝度発光ダイオードや直射日光や高温に長期間曝されても、黄変も劣化もしない。 【0045】 このシリコーン樹脂製反射基材は、反射層に白色無機フィラー粉末や蛍光体が分散され表面からそれらの粒子が露出していると、反射率が向上するので、発光装置に実装したときの照射効率を向上させることができる。 【0046】 特にフッ素変性シリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴムなどの屈折率が比較的小さいシリコーンゴム原材料を用いると、白色無機フィラー粉末や蛍光体の表面に接する低屈折率のシリコーンゴム原材料との間の屈折率の差が大きくなり、反射が効率よく行われ、露出された白色無機フィラー粉末や蛍光体の表面からより効率的に光が反射、発光されるので望ましい。 【0047】 このシリコーン樹脂製反射基材の反射層の表面が、鏡面となって反射するものであってもよいが、100nm?10μm程度のナノメートル乃至マイクロメートルオーダーの凹凸形状、プリズム形状、サンドブラスト処理などによる梨地面形状となって非鏡面であると、拡散し易くなって拡散反射率が向上し、光の反射ムラを低減することができる。 【0048】 また、このシリコーン樹脂製反射基材は、シリコーン樹脂が酸素原子及び/又は架橋性官能基を介して三次元架橋しているので、そのシリコーン樹脂を有する反射層が支持体上で膜状、立体状又は板状に形成できる。また、白色無機フィラー粉末及び重合性シリコーン樹脂原材料を含む液状組成物又はグリース状若しくは塑性の原材料組成物は、最大で2000μmもの厚さに塗工した後に、三次元架橋させて硬化させ、反射層を形成することができる。そのため、シリコーン樹脂製反射基材は、反射層を光学素子の配線基板やアセンブリやパッケージケースに応じた自在な形状にすることが可能であるので、汎用性が高い。また、原材料組成物は、パッケージケースなどの部品を支持体に接着する接着剤を兼ねた反射材を形成するのにも用いることができる。 【0049】 シリコーン樹脂中のSi原子の1?4個の三次元架橋した各モル数量、酸素原子を介したエーテル結合や架橋性官能基を介した縮合型又は付加型結合のような結合様式を適宜調整することにより、重合性シリコーン樹脂原材料組成物を高粘度にして厚塗り可能に、形成される。また、シリコーン樹脂中に、表面張力が低くて溶融金属などをはじき易い揮発性の残留低分子シロキサンの含有量が少ないと、導電パターンのような金属と、発光ダイオードのような素子の導線との半田付けなどの配線加工を施し易い。 【0050】 しかもこのシリコーン樹脂製反射基材は、物理的な研磨・粗面化やざらついた金型による金型成形や化学的なケミカルエッチングのような表面処理によって、その表面自体がナノメートル乃至マイクロメートルオーダーで粗面化又は凹凸化することによって乱反射し易くなると共に、反射性の白色無機フィラー粉末が露出して反射効率が90%程度から97?98%程度にまで約数%も一層向上したものとなる。またこのような表面処理されたシリコーン樹脂製反射基材は、露出した白色無機フィラー粉末の表面がシランカップリング処理されていると金属との接着が容易になり、表面粗さによるアンカー効果、シランカップリングによる化学的結合の向上により難接着性のシリコーン樹脂の表面においても、金属めっき等の金属膜が施され易くなっている。また、反射層自体の強度も向上する。さらに粗面化することにより、ゴミ、異物の付着防止又はゴミ、異物の除去が一層容易になる。 【0051】 とりわけこのシリコーン樹脂製反射基材は、導電パターンの付された配線(回路)基板を覆う反射層が研磨され、導電パターンが露出していると、配線基板上の導電パターン部位以外が全て反射層となるので、反射効率が極めて高いものとなっている。研磨は、鏡面研磨であっても粗面研磨であってもよく切削研磨であってもよい。 【0052】 このシリコーン樹脂製反射基材は、簡便な工程で簡易に、均質で高品質のものを精密に、確実かつ大量に、安価で製造できるものであるため、生産性が高いものである。 【0053】 また、このシリコーン樹脂製反射基材は、発光ダイオードのような発光素子のみならず太陽電池素子のような光電変換素子等の各種光学素子のための配線基板やパッケージケース、バックシートその他照明器具部材等の電気部材など様々な分野の機器の反射基材として、汎用的に用いることができる。 【0054】 また、本発明のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法によれば、支持体の材質・形状・表面の凹凸性や平滑性の大小又は広狭・硬軟・厚さに関わらず、高粘度の重合性シリコーン樹脂原材料組成物を用いて、液垂れすることなく、2000μmもの厚塗りができる。そのため、射出成形(LIMS)や、押圧用金型・ローラーなどを用いたスタンプ成形、噴霧や塗布のような塗工によって、三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させて、1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に、反射層を形成することができる。また、この原材料組成物を用いて、反射層を形成するには、シリコーン樹脂原材料組成物を、直接、又は適当な粘度に調整した後、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、スプレーコーター、カーテンコーターにより、さらに薄膜の塗工には、高精度のオフセットコーター、多段ロールコーターなどの公知の塗布方法により、塗布してもよい。この厚塗りは、一度でも所期の形状を形成できるため、塗工・乾燥を繰り返す必要がない。 【0055】 これら金型は、フッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン等の離型剤でコーティングされていることが好ましい。 【0056】 しかも重合性シリコーン樹脂原材料組成物は、適宜溶媒で希釈して用いても、エポキシ樹脂等の原材料組成物のような加熱による硬化時の粘度低下を惹き起さないので、加熱時に変形を起こさずにそのまま硬化し所望の形状・厚さの反射層を形成することができる。 【0057】 このような重合は、加熱、加湿、紫外線照射や必要により加圧下で簡便に完了し、支持体への接着性に優れた反射層を形成する。そのためこの製造方法は、加工特性に優れ、生産効率が高く、如何なる形状の反射基材でも製造できるので、汎用性に優れ、大量の工業生産に適している。 【0058】 このシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、フッ素樹脂で蒸着されたり噴霧塗装されたりして0.1mm程度にコーティングされた金型を用い離型し易くして、所望の任意の形状、任意の表面粗さの反射層を、正確かつ再現性良く、形成することができ、歩留り・生産効率を一層向上させることができる。 【0059】 このシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、重合性シリコーン樹脂原材料に、三次元架橋の架橋剤と、加熱によって失活又は揮発する反応抑制剤、及び白色無機フィラーが含有されているシリコーン樹脂原材料組成物を用いることにより、長期間、室温下で安定に保管でき、加熱開始までは重合されないが加熱によって確実に重合が開始し短時間で重合が完了して反射層を形成するので、生産効率の向上に資する。 【図面の簡単な説明】 【0060】 【図1】 本発明を適用するシリコーン樹脂製反射基材10・20を用いた発光装置1を示す模式断面図である。 【図2】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材21を用いた発光装置を示す模式断面図である。 【図3】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材10の金型成形による製造過程、及びそれを用いた発光装置1の製造過程を示す模式断面図である。 【図4】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の金型成形による製造過程を示す模式断面図である。 【図5】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の塗工による製造過程を示す模式断面図である。 【図6】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の研削による製造過程を示す模式断面図である。 【図7】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の研削による製造過程を示す模式断面図である。 【図8】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の盛上による製造過程を示す模式断面図である。 【図9】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材20の噴霧塗装による製造過程を示す模式断面図である。 【図10】 本発明を適用する別なシリコーン樹脂製反射基材10を用いた太陽電池を示す模式断面図である。 【図11】 本発明を適用するシリコーン樹脂製反射基材における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。 【図12】 本発明を適用する、シリコーン樹脂の種類を変えた、シリコーン樹脂製反射基材の加熱の有無における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。 【図13】 本発明を適用するシリコーン樹脂製反射基材の研磨前後における照射波長と反射率との相関関係を示す図である。 【図14】 本発明を適用するシリコーン樹脂製反射基材と本発明を適用外のエポキシ樹脂製反射基材との照射波長と反射率との相関関係を示す図である。 【符号の説明】 【0061】 1は発光装置、2は太陽電池アセンブリ、10はシリコーン樹脂製反射基材のパッケージケース、11は内壁、12a・12bは白色無機フィラー粉末、13は発光ダイオード、14a・14bはリード線、15a・15bは銅膜、16は支持体、17は太陽電池素子、17aはp型シリコン半導体、17bはn型シリコン半導体、18a・18bは銅膜、20・21はシリコーン樹脂製反射基材の基板、22はガラスクロス、31は金型、32は穴、33はダイシングソー、34は塗工ノズル、35はローラー、36はグラインダーである。 【発明を実施するための形態】 【0062】 以下、本発明を実施するための形態について、図1?10を参照しながら詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。 【0063】 先ず、本発明のシリコーン樹脂製反射基材の好ましい一形態について、図1を参照しながら、詳細に説明する。 【0064】 本発明のシリコーン樹脂製反射基材は、図1の通り、発光装置の一種である照明器具1に組み込まれるもので、発光素子である発光ダイオード13を装着する配線パターンである銅箔15a・15bを有するシリコーン樹脂製反射基材20が付された配線基板と、その発光素子13を取り巻くパッケージケース10とに、用いられている。 【0065】 このようなパッケージケースや配線基板であるシリコーン樹脂製反射基材10・20は、シリコーン樹脂に、それよりも高屈折率の白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有された反射層が、支持体上で膜状、立体状又は板状に形成されている。 【0066】 シリコーン樹脂製反射基材10・20は、シリコーン樹脂がむき出しになっており、そこで白色無機フィラー粉末12a・12bである例えばアナターゼ型酸化チタン粒子の一部が露出している。シリコーン樹脂製反射基材10・20は、白色を呈し、しかも優れた隠蔽性を有するから光を漏洩しないようになっている。さらにその部位で、380?420nmの短波長域から長波長の近赤外線までに渡る光の反射率が、極めて高くなっている。このようにシリコーン樹脂製反射基材10・20は、高反射率であり、高輝度光に長期間曝されても黄変せず白色を維持でき、しかも高い機械的強度を有し、優れた耐光性、耐熱性、耐候性を示すので、耐久性に優れている。 【0067】 このシリコーン樹脂製反射基材10・20の反射層は、主鎖中に非環状のジメチルシロキシ繰返単位〔-Si(-CH_(3))_(2)-O-〕を主成分として含むシリコーン樹脂、例えば屈折率が1.41であるポリジメチルシロキサンを含んでなるシリコーン樹脂や、主鎖にポリジメチルシロキサンとし主鎖同士が三次元架橋したシリコーン樹脂に、それよりも高屈折率の酸化チタンからなる白色無機フィラー粉末12a・12bが、含有されたものである。 【0068】 主鎖中に非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含むシリコーン樹脂は、特に限定されず、硬質シリコーン樹脂、軟質シリコーン樹脂、シリコーンゴムを、包含するものである。シリコーン樹脂は、用途に応じて使い分けるとよい。例えばケーシングなどの立体状に用いる場合は、形状安定の意味から硬質又は軟質のシリコーン樹脂であることが好ましい。支持体が可撓性の材料である場合はシリコーンゴムであることが好ましい。後述する図6,7のように研削により製造される場合は、硬質シリコーン樹脂、軟質シリコーン樹脂であると、所望の厚さに精度良く調整できるので好ましい。 【0069】 このようなシリコーン樹脂に白色無機フィラー粉末を含有した反射層の硬度について、ゴムとしては、一般的には、JIS A型硬度計による測定でのショアA硬度で90以下、JIS D型硬度計による測定でのショアD硬度で30以下であると、触ったときの感触でゴムであるという感覚であるが、本願発明においては、ショアD硬度で50以下をゴムの領域として捉えることができ、また、ショアD硬度で40?60までは軟質の樹脂反射層、60を超えるとゴム性はなくなり、樹脂性の高い硬質の反射層ということができる。 【0070】 このようなシリコーン樹脂は、酸素原子及び/又は架橋性官能基を介して、同一主鎖の次の繰返単位又は別な主鎖の繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋しているもので、ポリ(ジメチルシロキサン)構造を主鎖とし、その他のポリ(ジアルキルシロキサン)構造やポリ(ジフェニルシロキサン)のようなポリ(ジアリールシロキサン)構造やポリ(架橋性官能基由来架橋基含有シロキサン)を部分的に有していてもよい。 【0071】 シリコーン樹脂は、より具体的には以下のような物質が挙げられ、三次元的な架橋構造を有することにより、硬質性若しくは軟質性で非弾性、又はゴム弾性を発現している。 【0072】 本発明のシリコーン樹脂製反射基材を形成するために用いられるシリコーン樹脂原材料組成物は、付加反応硬化型、有機過酸化物硬化型、縮合硬化型のような種々の硬化型のものが挙げられるが、硬化時間を短縮して製造効率を向上させる観点から、付加反応硬化型のものが好ましい。更に付加反応硬化型のものは、硬化時に硬化収縮が小さくフィルムに塗工し、硬化させた際フィルムの皺の発生を防止することができる。 【0073】 例えば、このような主鎖中に非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含むシリコーン樹脂は、より具体的には重合度5000?10000程度で平均分子量約40万?80万の高分子体である。このシリコーン樹脂は、ジメチルシロキシ繰返単位〔-Si(-CH_(3))_(2)-O-〕のみからなるポリジメチルシロキサン、所謂ジメチル系シリコーンであってもよく、〔-Si(-CH_(3))_(2)-O-〕と〔-Si(-CH_(3))(-CH=CH_(2))-O-〕又は更に〔-Si(-CH_(3))(-C_(6)H_(5))-O-〕とを含むような所謂メチルビニル系シリコーン又はメチルフェニルビニル系シリコーンであってもよい。 【0074】 そのようなシリコーン樹脂原材料組成物中のシリコーン樹脂原材料は、主要成分として、分子中に単一又は複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、分子中に単一又は複数のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、白金族金属系触媒含有ポリシロキサンが挙げられる。また、金属粉含有のせいによる体積抵抗率の低減を防止しつつ非導電性を確実に発現するため、オルガノポリシロキサンに対し質量比で0.2%以上の微粉末シリカを含有していてもよい。更に、このシリコーン樹脂原材料組成物は、支持体との密着性・接着性を向上させるために、エポキシ基、アルコキシシリル基、カルボニル基、フェニル基のような反応性の官能基を有する接着性付与成分を含有していてもよい。 【0075】 また本発明の反射基材を形成するのに用いられるシリコーン樹脂は、別な架橋性官能基で三次元架橋していてもよい。このような三次元架橋したシリコーン樹脂は、その途中のSi基が、アルキルオキシシリル基やジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基やジビニルシリル基、ヒドロシリル基やジヒドロシリル基であったり、それらの基が複数存在したりすることにより、それら官能基を介して、非環状のジメチルシロキシ繰返単位の主鎖同士が、網目状に三次元的に架橋したものである。シリコーン樹脂は、これら架橋性官能基によって直接的に、及び/又はシランカップリング剤を介して間接的に、主鎖同士が三次元的に架橋していてもよい。その主鎖同士は、夫々の架橋性官能基の間や、架橋性官能基とシランカップリング剤との間で、夫々のアルキルオキシシリル基又はジアルキルオキシシリル基同士が脱アルコール化反応により縮合して架橋したり、ビニルシリル基やジビニルシリル基とヒドロシリル基やジヒドロシリル基とが白金錯体等の白金触媒存在下で、無溶媒中、加熱や光照射によって付加して架橋したりしたものである。シリコーン樹脂はその中でも、付加して架橋したものであることが好ましい。シリコーン樹脂は、主鎖をなすジメチルシロキシ基(-Si(CH_(3))_(2)-O-)の繰返単位とジフェニルシロキシ基(-Si(C_(6)H_(5))_(2)-O-)のような繰返単位とを有するものであってもよい。シリコーン樹脂は、主鎖のジメチルシロキシ基の繰返単位を有し、アルキルオキシシリル基、ジアルキルオキシシリル基、ビニルシリル基、ジビニルシリル基、ヒドロシリル基、ジヒドロシリル基で架橋したものであると、一層好ましい。 【0076】 三次元架橋したシリコーン樹脂は、例えば重合性シリコーン樹脂原材料が三次元架橋して硬化することによって得られる。より具体的には、付加反応硬化型のシリコーン樹脂の原材料を例に説明すると、熱硬化によりシリコーン樹脂を形成するもので、例えば、オルガノポリシロキサンをベースポリマーとし、オルガノハイドロジェンポリシロキサン及び白金系触媒等の重金属系触媒を含むものが挙げられる。 【0077】 上記オルガノポリシロキサンとしては、下記平均単位式 R^(1)_(a)SiO_((4-a)/2) (式中、R^(1)は非置換又は置換一価炭化水素基で、好ましくは炭素数1?10、特に1?8のものである。aは0.8?2、特に1?1.8の正数である。) で示されるものが挙げられる。ここで、Rとしてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換されたクロロメチル基、クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基、或いはシアノ基で置換された2-シアノエチル基等のシアノ基置換炭化水素基などが挙げられ、R^(1)は同一であっても異なっていてもよいが、R^(1)としてメチル基、特にジメチルシロキシ基を主成分となるようなメチル基であるものが、反射性発現、耐熱性・耐久性等の観点から好ましい。 【0078】 また、R^(1)としてビニル基等の炭素数2?8のアルケニル基を含むもの、特に全Rのうちの1?20モル%がアルケニル基であるものが好ましく、中でもアルケニル基を1分子中に2個以上有するものが好ましく用いられる。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、末端に、及び/又は主鎖の途中にビニル基等のアルケニル基を有するジメチルポリシロキサンやジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等、末端に、及び/又は主鎖の途中にアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンが挙げられ、特に、常温で液状のものが好ましく用いられる。 【0079】 より具体的には、このようなアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、 R^(2)-[Si(R^(3))_(2)-O]_(b)-[Si(R^(3))(R^(4))-O]_(c)-R^(2) (R^(2)は同一又は異なり前記R^(1)で例示されたメチル基等の飽和炭化水素基若しくはフェニル基等の芳香族炭化水素基又は前記R^(1)で例示されたアルケニル基、R^(3)は同一又は異なり前記R^(1)で例示された飽和炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基、R^(4)は前記R^(1)で例示されたアルケニル基、b、cは正数)で模式的に示されるもので、ブロック共重合であってもランダム共重合であってもよいものである。 【0080】 このようなアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、直鎖状であっても、分子構造の一部に分枝状の構造を含んでいてもよく、環状体であってもよい。三次元架橋したシリコーン樹脂を含んでいる反射基材の機械的強度、弾性、耐繰り返し屈曲性などの物性の点から直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、その繰り返し単位の繰り返し数が、10?10000であることが好ましい。このようなアルケニル基含有ジオルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が10?1,000,000cSt程度のものが好ましい。 【0081】 一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、直鎖状、分岐状、環状、或いは三次元網状であって、単数又は複数、好ましくは3官能以上(即ち、1分子中にケイ素原子に結合する水素原子(Si-H基)を3個以上有するもの)が好ましく、末端に、及び/又は主鎖の途中にSi-H基を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられ、特に、常温で液状のものが好ましい。また、触媒としては、白金、白金化合物、ジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウリレート等の有機金属化合物、又はオクテン酸錫のような金属脂肪酸塩などが挙げられる。これらオルガノハイドロジェンポリシロキサンや触媒の種類や量は、架橋度や硬化速度を考慮して適宜決定すればよい。 【0082】 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均単位式 H_(d)R^(5)_(e)SiO_((4-d-e)/2) (式中、R^(5)はR^(1)で例示された基、特に飽和炭化水素基、d及びeは、0<d<2、0.8≦e≦2となる数)で表されるものである。 具体的には、このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7-テトラメチルテトラシクロシロキサン、1,3,5,7,8-ペンタメチルペンタシクロシロキサン等の末端にSi-H基を有するシロキサンオリゴマー;トリメチルシロキシ末端基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端基含有ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、シラノール末端基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラノール末端基含有ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端基含有ジメチルポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端基含有メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ末端基含有ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体のような主鎖の途中にSi-H基を有するホモポリマー又はコポリマーのハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、R^(5)_(2)(H)SiO_(1/2)単位とSiO_(4/2)単位とを含み、R^(5)_(3)SiO_(1/2)単位、R^(5)_(2)SiO_(2/2)単位、R^(5)(H)SiO_(2/2)単位、(H)SiO_(3/2)単位又はR^(5)SiO_(3/2)単位を含んでいてもよいものである。 【0083】 より具体的には、環状の-[SiH(CH_(3))]_(4)-、H-[Si(CH_(3))_(2)-O]-[Si(CH_(3))_(2)-O]_(f)-[Si(CH_(3))_(2)]-H(但し、fは0?200の数)、(CH_(3))_(3)SiO-[Si(CH_(3))_(2)-O]_(g)-OSi(CH_(3))_(3)(但し、gは0?200の数)、(CH_(3))_(3)SiO-[Si(CH_(3))_(2)-O]_(h)-[Si(CH_(3))_(2)-O]_(i)-OSi(CH_(3))_(3)(但し、hは0?200、iは1?100の数)が挙げられる。 【0084】 このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、例えば、R^(5)SiHCl_(2)やR^(5)_(2)SiHCl(但し、R^(5)は前記と同じ)のようなクロロシラン化合物を共加水分解し、又はこれらクロロシラン化合物とR^(5)_(3)SiClやR^(5)_(2)SiCl_(2)(但し、R^(5)は前記と同じ)のような別なクロロシラン化合物とを共加水分解して調製してもよく、さらにそれを平衡化して調製してもよい。 【0085】 このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンと共に、用いられる。アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基の1モル当量に対し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基が0.5?4モル当量となるように、両者が配合されていることが好ましい。 【0086】 白金族金属系触媒含有ポリシロキサンに用いられる白金族金属系触媒は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンのアルケニル基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのSiH基との付加反応を促進するためのヒドロシリル化反応触媒である。この触媒は、各種金属触媒が挙げられ、具体的には、白金、白金ブラック、ロジウム、パラジウムのような白金族金属単体;H_(2)PtCl_(4)・mH_(2)O、H_(2)PtCl_(6)・mH_(2)O、NaHPtCl_(6)・mH_(2)O、KHPtCl_(6)・mH_(2)O、Na_(2)PtCl_(6)・mH_(2)O、K_(2)PtCl_(4)・mH_(2)O、PtCl_(4)・mH_(2)O、PtCl_(2)、Na_(2)HPtCl_(4)・mH_(2)O(但し、mは0?6の数)のような塩化白金錯体、塩化白金酸錯体及び塩化白金酸錯塩;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸-オレフィン錯体;白金、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させた担体金属;ロジウム-オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウムのようなウィルキンソン触媒;塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有の鎖状又は環状シロキサンとの錯体などが挙げられる。白金族金属系触媒は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサンやオルガノハイドロジェンポリシロキサンと共存させて、それらに対して0.1?500ppm程度の触媒量、用いられてもよく、予め担持させていてもよい。 【0087】 シリコーン樹脂は、例えば、トリオルガノシロキシ単位(R_(3)SiO_(1/2)単位:M単位、)、ジオルガノシロキシ単位(R_(2)SiO単位:D単位)、モノオルガノシロキシ単位(RSiO_(3/2)単位:T単位)、シロキシ単位(SiO_(2)単位:Q単位)を任意に組み合わせた樹脂(但し、オルガノ基Rは、同一又は異なり、メチル基のようなアルキル基やフェニル基、又はビニル基のような架橋性官能基に由来する基)であることが好ましい。これらの組み合わせにより、シリコーン樹脂は、三次元架橋が形成されたMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、TDQ樹脂などの任意の組み合わせの樹脂を用いることができる。 【0088】 このシリコーン樹脂が、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋している。 【0089】 シリコーン樹脂製反射基材は、電気部品に装着されるものであるから、電気接点障害やくもりの原因となるものでシリコーン樹脂中に含有される低分子シロキサン例えばシロキシ基繰返単位が4?10(D4?D10)の環状低分子量シロキサンを、予め300ppm、好ましくは50ppm未満にまで除去したシリコーン樹脂で形成されていると、なお一層好ましい。具体的には、市販の低分子シロキサン低減グレードの重合性シリコーン樹脂原材料を用いたり、低分子シロキサン除去処理として、加熱オーブン処理(例えば200℃で4時間加熱処理)、真空加熱処理(例えば真空下200℃で2時間加熱)などの加熱処理を施したりしたシリコーン樹脂原材料を用いることができる。また、これらの処理に加えて、超音波溶媒抽出などの手段を施して成型品から低分子シロキサン除去することもできる。シリコーン樹脂原材料から低分子シロキサンを除去できるが、成形品から低分子シロキサンを除去する方が、より低レベルにまで除去できるので、好ましい。 【0090】 シリコーン樹脂原材料組成物は、通常の硬化性シリコーン樹脂組成物と同様に、2液に分け、使用時にこの2液を混合して硬化させる所謂二液型の組成物でもよいが、組成物を使用する際の作業性等の点から一液型とすることが好ましい。このシリコーン樹脂原材料組成物は、通常の条件で硬化でき、例えば加熱により、又は紫外線照射により、架橋させて、硬化させ、硬質性若しくは軟質性の非弾性、又はゴム弾性を発現させることができる。 【0091】 このようなシリコーン樹脂製反射基材10・20は、未処理の支持体上に反射層が形成されていてもよい。重合性シリコーン樹脂原材料の三次元架橋による硬化の際に、シリコーン樹脂の密着性・接着性が優れていることから、支持体と反射層との接着強度が高い。 【0092】 支持体を予め表面処理することは必ずしも必要でないが、シリコーン樹脂原材料組成物の塗工の前に、支持体の塗工面側を予め、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線処理、フレーム処理、イトロ処理又は粗面処理のような表面処理された支持体上に反射層が形成されていると、表面処理された支持体上に反射基材が、一層強固に密着して接着するのでなお好ましい。これらのコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム処理又はイトロ処理は、支持体上に重合性シリコーン樹脂原材料組成物が付される直前に行われることが好ましい。 【0093】 また、これらの支持体と反射材層とが、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、フレーム処理又はイトロ処理により強固に接着をしていればよく、接着体となる反応性基含有ポリシロキサン溶液で表面処理されていてもよい。 【0094】 支持体と反射材層とを接触によってより一層強固に接着させるには、両者又は一方の接着体となる面に、シランカップリング剤のような機能性シラン化合物を用いてもよい。このような機能性シラン化合物は、OH基との反応性が高い反応性基を含有するポリシロキサンが挙げられる。 【0095】 このような反応性基含有ポリシロキサンとして、下記化学式(1) 【化1】 (式(1)中、nは3?4の数であって、反応性基である-OCH_(3)の少なくとも何れかが、反射層及び金属箔層の表面の官能基例えばOH基と反応するものである)で示される化合物が挙げられる。この化合物は、繰返単位が、ブロック共重合、又はランダム共重合したものであってもよい。このビニルメトキシシロキサンホモポリマーのようなビニルアルコキシシロキサンホモポリマーの溶液に浸漬したりその溶液を塗布したり、反応性を向上させるために、それを白金触媒懸濁液に浸し、活性シリル基中のビニル基に白金触媒を保持させてもよい。 【0096】 そのシランカップリング処理の有無によるシリコーン樹脂製反射基材の曲げ強度と硬度とを、表1に示す。 【0097】 【表1】 【0098】 表1から明らかな通り、このシランカップリング処理によりシリコーン樹脂製反射基材の強度が、向上している。 【0099】 シリコーン樹脂原材料に白色無機フィラー粉末を含有したシリコーン樹脂原材料の組成物は、重合性シリコーン樹脂原材料に白色無機フィラー粉末やシリコーンゴムパウダーの添加量又は有機溶剤や反応性希釈剤の添加量を適宜調整して加えて調製することができ、用途に応じて、液状、グリース状、又は可塑度で定義されるような可塑物である塑性となるように適度に調整して用いることができる。例えば、スプレー、ディスペンサー、或いはスクリーン印刷するときのレジストインクとしては、液状のものとして、粘度を0.5?500Pa・s、より好ましくは10?200Pa・sとすることが好ましい。また、熱プレス成形をする場合は、国際規格ISO 7323に基づく可塑度としては、100?500mm/100のミラブルタイプ又は可塑物としての原材料組成物として用いることが好ましい。 【0100】 シリコーンゴムパウダー及び白色無機フィラーを用いる場合、粘度や硬度を調整するために、その添加量としてシリコーン樹脂原材料100質量部に対し、3?400質量部、好ましくは50?300質量部添加されることが好ましい。白色無機フィラーの添加量がこの範囲よりも少な過ぎると十分な反射が得られず、逆に白色無機フィラーの添加量がこの範囲よりも多過ぎると加工性が悪くなってしまう。シリコーン樹脂原材料組成物を、薄く塗布する場合には、白色無機フィラーの添加量が多い程、高い反射率を発現し、一方、厚く塗布する場合には、これらの添加量が少なくても十分な反射率が得られる。シリコーンゴムパウダーは、前記範囲内で、白色無機フィラーと共に加えられる。 【0101】 また、有機溶剤は、保存安定性、塗工性向上、塗工量の制御、粘度の調整などのために、添加されてもよい。有機溶剤を用いる場合、その添加量としてシリコーン樹脂原材料100質量部に対し、100?10000質量部添加されることが好ましい。有機溶剤がこの範囲よりも少ない場合には塗布、印刷時において糸引き、目詰まりが生じ生産性が落ちてしまう。一方、有機溶剤がこの範囲よりも多い場合には、厚塗りができなかったり、一度塗りで十分な反射率が得られなかったりする。有機溶媒は、各種コーティング方法や要求される反射率、膜厚、粘度に応じ、適宜調整して用いられる。有機溶剤は、シリコーン樹脂原材料、架橋剤、反応抑制剤と反応しないものが適宜用いられ、具体的には、トルエン、キシレン、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、ヘキサンが挙げられる。有機溶剤で粘度を調整する場合、有機溶剤を添加によって白色無機フィラー粉末の充填濃度が相対的に低下するが、硬化後に有機溶剤が揮発すると、白色無機フィラー粉末の充填濃度が粘度調整前の高濃度に戻ることとなるため、塗膜厚みが薄くて高濃度の印刷が可能となる。 【0102】 反応性希釈剤は、特に一液型接着剤の粘度調整用に使われるもので、有機溶媒と異なり揮発せず、そのままシリコーン樹脂として硬化するものである。反応性希釈剤として、例えば液状シリコーン樹脂用反応性希釈剤(モメンティブ・マテリアルズ・パフォーマンス社製 商品名:ME91)が挙げられる。反応性希釈剤は、シリコーン樹脂原材料100質量部に対し、0.1?30質量部、好ましくは1?20質量部添加されて用いられる。添加量がこの範囲より少な過ぎると、粘度の調整ができず、添加量がこの範囲より多過ぎると、シリコーン樹脂としても物性が弱くなる。反応性希釈剤は、シリコーン樹脂へと硬化するものであるため、有機溶剤を大量に使用した場合のように硬化後に揮発して肉痩せするようなことが起こらない。そのため、肉厚の反射層を形成するのに有用である。 【0103】 有機溶媒と反応性希釈剤との量は、反射層の厚さや印刷・塗布等の塗工方法に応じ、適宜調整される。 【0104】 重合性シリコーン樹脂原材料に白色無機フィラー粉末を含有した液状又はグリース状若しくは塑性の原材料組成物は、シリコーン樹脂への三次元架橋の架橋剤例えば例えば前記のようなハイドロジェンオルガノポリシロキサンや白金族金属系触媒含有ポリシロキサン、過酸化物のような架橋剤が、含有されていてもよい。 【0105】 重合性シリコーン樹脂原材料に白色無機フィラー粉末を含有した液状、又はグリース状若しくは塑性の原材料組成物は、加熱によって失活又は揮発する反応抑制剤が、含有されていてもよい。反応抑制剤は、この原材料組成物の保存中に、必要に応じて添加されている触媒の活性を低下させることなく、シリコーン樹脂原材料、例えばアルケニル基含有オルガノポリシロキサンオルガノハイドロジェンポリシロキサン付加反応を抑制し、保存安定性を高めるものである。反応抑制剤は、例えば、メチルビニルシクロテトラシロキサン類;3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ペンテン-3-オール、フェニルブチノ-ルのようなアセチレンアルコール類;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-インなどのアセチレン化合物;これらのアセチレン化合物とアルコキシシラン、アルコキシシロキサン、ハイドロジェンシラン、又はハイドロジェンシロキサンとを反応させたシロキサン変性アセチレンアルコール類;ベンゾトリアゾールのような窒素含有有機化合物;有機リン化合物;オキシム化合物;有機クロム化合物が挙げられる。 【0106】 これにより、この原材料組成物は、加熱前には三次元架橋が開始しないから長期間保存ができ、一方、加熱によって三次元架橋が速やかに開始し迅速に三次元架橋が完了して硬化し、反射層を形成する。しかも液状又はグリース状若しくは塑性組成物が有機溶媒で希釈されたものであったとしても、有機溶媒の揮発が無い時のみならず揮発したときでさえ、塗装しても均一な塗膜を形成することができるので、反射層にむらができない。 【0107】 架橋剤や反応抑制剤は、重合性シリコーン樹脂原材料100質量部に対して、夫々0.01?10質量部含有されていることが好ましい。 【0108】 このような原材料組成物は、レジストとしても用いられるものである。この原材料は、加熱硬化型のレジストであり、例えば100℃以上に加熱されると硬化する。その硬化の際に、反応抑制剤を適宜選択することによりそれの温度依存性及び架橋開始温度制御性によって、硬化温度を適宜調整することができる。 【0109】 この原材料組成物に、付加反応型の場合、主成分に加え、架橋剤、白金触媒、反応抑制剤、補強剤、用途に応じたその他の種々の添加剤が配合されていてもよい。 【0110】 この原材料組成物に、接着成分として接着性付与成分が含有されていてもよい。接着性付与成分は、ビニル基、フェニル基、アルコキシ基、2,3-エポキシプロピル基(C_(2)H_(3)O-)のようなエポキシ環含有基、(メタ)アクリロイル基のような反応性の官能基を有するシラン化合物やシロキサン化合物が挙げられる。このような接着性付与成分は、具体的には、CH_(2)=CHSi(OCH_(3))_(3)、C_(6)H_(5)Si(OCH_(3))_(3)、CH_(2)=CHSi(OCH_(2)H_(4)OCH_(3))_(3)、C_(2)H_(3)O-CH_(2)O(CH_(2))_(3)Si(OCH_(3))_(3)、C_(2)H_(3)O-CH_(2)O(CH_(2))_(3)SiCH_(3)(OCH_(3))_(2)、CH_(2)=CH-CO-O(CH_(2))_(3)SiCH_(3)(OCH_(3))_(2)、CH_(2)=CCH_(3)-CO-O(CH_(2))_(3)SiCH_(3)(OCH_(3))_(2)、2-(2,3-エポキシプロピルオキシプロピル)-2、4,6,8-テトラメチル-シクロテトラシロキサン、2-(2,3-エポキシプロピルオキシプロピル)-2、4,6,8-テトラメチル-6-(トリメトキシシリルエチル)シクロテトラシロキサンなどが挙げられる。 【0111】 これを用いて形成されたシリコーン樹脂製反射基材中、シリコーン樹脂100質量部に対し、白色無機フィラー粉末12a・12bが3?400質量部含まれていることが好ましい。白色無機フィラー粉末が、平均粒径0.1?10μmであると一層好ましい。 【0112】 白色無機フィラー粉末12a・12bは、例えば、酸化チタン、より具体的にはアナターゼ型酸化チタンやルチル型酸化チタンが挙げられる。酸化チタンと共に、又はその代わりに、アルミナや硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、チタン酸バリウム、カオリン、シリカ、タルク、粉末マイカ、粉末ガラス、粉末アルミニウム、粉末ニッケル、炭酸カルシウムのような無機白色顔料を、組み合わせて用いてもよく単独で用いてもよい。 【0113】 シリコーン樹脂にアルミナや硫酸バリウムのような無機白色顔料のみを分散可能な最大量を含有させても、光の漏洩を生じる恐れがあるが、このような無機白色顔料と共に酸化チタン特に隠蔽力の大きいルチル型酸化チタンが共存していると、光の漏洩が無くなるので一層好ましい。 【0114】 熱伝導性改善のために、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素(六方晶・立方晶)、アルミナを配合することが好ましい。なお、これらの熱伝導性材料をシリコーン樹脂に分散充填し、別途熱伝導層又は熱伝導部材として、本発明の反射基材を構成する一部として積層又は載置してもよい。 【0115】 例えば、堺化学工業株式会社製 商品名:GTR-100 ルチル型酸化チタン200質量部をシリコーン原材料100質量部に配合し、寸法70×70mm、厚み0.8mmのテストピースを作製し、熱伝導率と反射率を測定したところ、熱伝導率は1.2W/m・℃となり、反射率は450?1000nmの領域で95%以上となった。一方、熱伝導性向上配合として、堺化学工業株式会社製 商品名:GTR-100 ルチル型酸化チタン100質量部と昭和電工株式会社製 商品名:A-42-6 アルミナ100質量部をシリコーン原材料100質量部に配合し、寸法70×70mm、厚み0.8mmのテストピースを作製し、熱伝導率と反射率を測定したところ、熱伝導率は1.4W/m・℃となり、反射率は450?1000nmの領域で85?90%となった。また比較として、昭和電工株式会社製 商品名:A-42-6 アルミナ200質量部をシリコーン原材料100質量部に配合した寸法70×70mm、厚み0.8mmのテストピースを作製し、熱伝導率と反射率を測定したところ、熱伝導率は1.9W/m・℃となり、反射率は450?1000nmの領域で75?80%であった。この結果より、反射率90%を維持しながら、熱伝導率を向上することができた。また必要に応じて積層したり配合したりして反射率や熱伝導率を調整することができることが分かった。 【0116】 反射層表面での光の散乱を増加させ反射率を向上させるために、白色無機フィラー粉末と共に、蛍光体を反射層に含有させ、それら粒子を表面から露出させ、光を直接反射したり、光で基底状態から励起状態を経て基底状態へ戻るときに発する蛍光やりん光を発光させたりしてもよい。このような蛍光体として、ハロゲン化リン酸塩蛍光体やEu等の希土類金属含有蛍光体やYAG(イットリウム アルミニウム ガーネット)蛍光体のような無機蛍光物資や有機蛍光物質が用いられる。 【0117】 その他、補強材としては、シリカ、カオリン炭酸カルシウム、炭酸亜鉛のような補強性無機充填剤;シリコーンレジン粉末のような補強性有機充填剤などが配合されていてもよい。ケイ酸カルシウム、二酸化チタン等の非補強性無機充填剤が配合されていてもよい。これらの補強材は、これ以外の成分の総量100質量部に対し、0?200質量部用いられる。 【0118】 シリコーン樹脂製反射基材10・20中の白色無機フィラー粉末12a・12bは、酸化チタン、中でもアナターゼ型酸化チタンであると、近紫外LED、青色LEDの波長を反射するため一層好ましい。アナターゼ型酸化チタンが、シリコーン樹脂100質量部に対し3質量部より少ないと十分な反射性が得られず、一方400質量部を超えると加工性が困難となり生産性が低下してしまう。アナターゼ型酸化チタンは、シリコーン樹脂100質量部に対し、30?300質量部含まれているとなお一層好ましい。アナターゼ型酸化チタンは、形状に制限がなく任意の粒形状のもの、例えばフレーク状、不定形状、又は球状の粒子が使用できるが、その粒径が0.05?50μm、好ましくは0.05?30μm、一層好ましくは0.1?10μmであり、また、酸化チタン表面をAl、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)などで処理した酸化チタンを用いると、酸化チタンの光触媒による有機質の酸化分解反応を抑制することができるため、より長期間の使用に耐えることができる。 【0119】 シリコーン樹脂製反射基材10・20に含有された白色の酸化チタン粉末、特にアナターゼ型酸化チタン粉末は、ルチル型酸化チタンと比較し、遥かに分解触媒活性作用が大きい。アナターゼ型酸化チタン粉末は、無機物からなるタイルや外壁材のような建材などに添加されその建材表面に付着した塵埃等の付着異物を分解するほどの強力な光分解触媒として作用するものであるから、通常、ポリカーボネート、ポリフタルアミド、ポリエーテルエーテルケトンのような熱可塑性樹脂等の様々な高分子化合物に添加されるとそれを分解し黄変させたり、劣化してひび割れを生じさせたりしてしまう。しかし、シリコーン樹脂、特にジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含むシリコーン樹脂は、アナターゼ型酸化チタンに対しても化学的に安定であるから、このシリコーン樹脂製反射基材10・20は長期間に渡り黄変のような変質も変形もしない。さらにアナターゼ型酸化チタン粉末の表面に、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)などで表面処理を行うと、分解触媒活性作用が抑制され、より長期間に渡り黄変のような変質を防止できたり、シリコーン樹脂への分散性が向上して反射層の反射率が一層向上したりする。表面処理は、酸化チタンと、これらの表面処理剤の原末と混練、又はこれら表面処理剤の原末を含有する懸濁液への浸漬又は噴霧等によって施される。市販の表面処理酸化チタンを用いてもよい。酸化チタンが表面処理されていると白色性が高まり、反射層の反射率が一層向上する。 【0120】 このシリコーン樹脂製反射基材の反射層の表面が、100nm?10μm程度のナノメートル乃至マイクロメートルオーダーの凹凸形状、角錐状や角柱状のプリズム形状、エッチング処理やサンドブラスト処理などによる梨地面形状となって非鏡面であると、入射した光が四方八方へ拡散し、鏡面のような特定方向への反射よりも拡散反射率が向上し、光の反射ムラを低減して、白色度が高くなって、反射効率が一層向上する。 【0121】 図11は、ポリジメチルシロキサンのみとポリフェニルシロキサンのみとから夫々成るシリコーン樹脂100質量部中に、シランカップリング処理されたAl_(2)O_(3)で表面処理されたアナターゼ型酸化チタン、Al_(2)O_(3)で表面処理されたルチル型酸化チタン、アルミナ(Al_(2)O_(3))の200質量部が、各々分散されつつ含有されたシリコーン樹脂製反射基材について、照射波長と、それの反射率との相関関係を示す図である。 【0122】 図11から明らかな通り、低屈折率のポリジメチルシロキサンからなるシリコーン樹脂製反射基材は、高屈折率のポリフェニルシロキサンからなるものよりも、アナターゼ型酸化チタン及びルチル型酸化チタンを含有する何れでも、波長200?1000nm、とりわけ350?1000nmの広範囲に渡り、反射率は3%高い。 【0123】 また、ポリジメチルシロキサンとポリフェニルシロキサンとの何れのシリコーン樹脂製反射基材も、波長400nmで、ルチル型酸化チタン含有のものの反射率は僅か30%程度であるのに対し、アナターゼ型酸化チタン含有のものの反射率は80%を超えている。しかもアナターゼ型酸化チタン含有のものは、ルチル型酸化チタン含有のものよりも、波長380?420nmで特に、反射率が40%も高くなっている。一方、波長420?1000nmの領域ではルチル型酸化チタンの反射率が6%高い。 【0124】 アナターゼ型酸化チタンの屈折率は2.45?2.55であるのに対し、ルチル型酸化チタンの屈折率は2.61?2.90である。一方、アルミナの屈折率は約1.76である。アナターゼ型酸化チタンもルチル型酸化チタンと同様にアルミナよりも屈折率が高いから、より白色を呈する。 【0125】 アルミナは、酸化チタンよりも屈折率が低い反面、熱伝導性が高く、放熱性に優れている。しかも図11から明らかな通り、アルミナを含有したポリジメチルシロキサンのシリコーン樹脂製反射基材は、アルミナを含有したポリフェニルシロキサンのものよりも、波長340?1000nmで反射率は6?9%高い。従来、アルミナを含有したポリフェニルシロキサンのみからなる従来のシリコーン樹脂では、波長400nm以上の反射率が80%程度であり反射基材として不向きであったが、ベースポリマーをポリジメチルシロキサンのようなジメチルシロキシ繰返単位が主成分であるシリコーン樹脂にすることにより、白色無機フィラー粉末をアルミナにしても、波長400nm以上で反射率が90%以上となり、反射基材として好適となる。 【0126】 従って、ジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含むシリコーン樹脂を用いつつ白色無機フィラー粉末を適宜選択することにより、反射性と放熱性とを有することができるが、白色無機フィラー粉末としてチタンを選択した場合には反射性向上を重視し、アルミナを選択した場合には放熱性向上を重視し、併用することにより反射性及び熱放射性を調節するという目的用途に応じたシリコーン樹脂製反射基材10・20を、得ることができる。 【0127】 図12は、ポリフェニルシロキサンのみから成るシリコーン樹脂100質量部中に、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンの200質量部が、各々分散されつつ含有されたシリコーン樹脂製反射基材を150℃で1000時間加熱した前後において、照射波長と、それの反射率との相関関係を示す図である。 【0128】 図12から明らかな通り、波長460nmで、ルチル型酸化チタン含有のポリフェニルシロキサンのみからなるシリコーン樹脂の反射率は97%であるのに対し、ルチル型酸化チタン含有のポリジメチルシロキサンのみからなるシリコーン樹脂の反射率は100%を超えている。ポリジメチルシロキサンのみからなるシリコーン樹脂は、ポリフェニルシロキサンのみからなるシリコーン樹脂よりも、全波長領域において、反射率が高くなっている結果であった。一方、ルチル型酸化チタン含有のポリジメチルシロキサンのみからなるシリコーン樹脂の反射率も100%を超えていた。 【0129】 シリコーン樹脂製反射基材10・20は、シリコーン樹脂原材料と白色無機フィラー粉末12a・12bと必要に応じシランカップリング剤とが含有された液状又はグリース状若しくは塑性の原材料組成物を用いて、付加反応により無溶媒下で加熱硬化するものであり、型を用いて、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、射出成形(LIMS)、押し出し成形、カレンダー成形のような方法で支持体上に形成される。このような液状又はグリース状若しくは塑性組成物は、コーターを用いて1?2000μmの適切な厚さとなるように調整しながら、塗布されてもよい。チップ及びデバイスを組み合わせて電子回路を実装するチップオンボードの場合、チップが搭載される部分を残して、スクリーン印刷等の手法で、この原料組成物を塗布される。 【0130】 シランカップリング剤は、反応性官能基として、アルキルオキシ基やビニル基やアミノ基やエポキシ基を有するものが挙げられる。カップリング剤としては、シランカップリング剤の他に、チタネートやアルミネートのカップリング剤でもよい。この組成物にシランカップリング剤が含まれていると、それが含まれていない場合よりも、シリコーン樹脂が、白色無機フィラー粉末例えばアナターゼ型酸化チタンを網目構造の中に確りと取り込むため、それの強度が顕著に強くなる。特に、シランカップリング剤処理された白色無機フィラー粉末含有のシリコーン樹脂製反射基材は、白色無機フィラー粉末がシランカップリング剤を介してシリコーンと架橋しているため、曲げ強度、濡れ性・分散性が向上しており、高品質のものとなる。このようなシランカップリング処理は、例えばアナターゼ型酸化チタンに対し1質量%のシランカップリング剤を添加し、ヘンシェルミキサーで撹拌して表面処理を行い、100?130℃で、30?90分間、乾燥させるというものである。 【0131】 研磨は、具体的には、粗さ500?10000番の研磨布紙、例えば紙やすりで擦ったり、微粒子含有研磨剤で磨いたり、砥石で磨くホーニングを行ったり、布皮などの柔軟材料で擦るバフ研磨を行ったり、表面をエンボス加工してやすりのような凹凸を付したローラーを高速回転させながら接触させたりして、シリコーン樹脂の表面に白色無機フィラーを露出させるものである。粗面化は、具体的には、金属粗粒、砂又は研磨剤を吹き付けるサンドブラストや梨地加工を行ったり、研磨剤を懸濁した液を噴射するウェットブラストを行ったり、金属やすり等で擦傷したり、金属ブラシや金属タワシやスチールウールで毛掻いたり、紫外線照射による洗浄処理や、コロナ放電処理により、有機物を除去して、シリコーン樹脂の表面に、白色無機フィラーが露出するまで物理的に付して表面加工するというものである。ケミカルエッチングは、具体的には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸のような強酸による酸処理を行ったり、苛性ソーダなどでアルカリ処理をしたりして、シリコーン樹脂の表面に、白色無機フィラーが露出するまで化学的に付して表面加工するというものである。反射層の研磨による粗面化の場合、材料硬度はJIS K 6253 に準拠したJIS A硬度計で60以上あると容易に研磨することができるので望ましい。 【0132】 このような研磨や粗面化やケミカルエッチングにより露出した白色無機フィラー粒子の表面で、光が反射することから、反射効率が一層向上する。物理的研磨がより好ましい。 【0133】 図13は、ポリジメチルシロキサンのみから成るシリコーン樹脂100質量部中に、白色無機フィラー粉末としてアナターゼ型酸化チタンとルチル型酸化チタンの100質量部が、夫々分散されつつ含有されたシリコーン樹脂製反射基材について、#1500の紙やすりで、表面を擦って研磨した前後における照射波長と、それの反射率との相関関係を示す図である。 【0134】 図13から明らかな通り、これらの粗面化したシリコーン樹脂製反射基材は、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルシロキサンにおいても白色無機フィラー粉末がアナターゼ型酸化チタンであるかルチル型酸化チタンであるかに関わらず、波長200?1000nmの広範囲に渡り、反射率は3%程度高い。しかも、シリコーン樹脂製反射基材は、JIS K7375に準拠し、標準白板を100としたとき、同じく100程度の反射率相対値を示し、反射効率が高いことが示された。 【0135】 特に、図13に示す通り、ルチル型酸化チタンを含有するポリジメチルシロキサンのみから成るシリコーン樹脂製反射基材は、反射率が100%を越え、反射効率が極めて高いものであった。 【0136】 これらの表面を粗面化したシリコーン樹脂製反射基材は、金属と接着し易く、そのシリコーン樹脂の表面で、金属膜が確りと付され易くなる。また、カップリング処理された白色無機フィラーを用いたシリコーン樹脂製反射基材は金属と接着し易く、そのシリコーン樹脂の表面で、金属膜が確りと付され易くなる。金属膜は、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム等のめっき被膜、金属蒸着被膜、接着剤、金属溶射で接着された金属箔膜が挙げられる。 【0137】 シリコーン樹脂は、通常、難接着性のため、金属膜が付され難い。しかし、このシリコーン樹脂製反射基材を用いれば、金属膜との密着性が良い。 【0138】 金属膜は、シリコーン樹脂製反射基材に直接、めっきされ、金属蒸着され、又は金属箔膜を接着剤で接着されて形成されていてもよい。シリコーン樹脂製反射基材が予めコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理、フレーム処理、イトロ処理され、あるいはポリパラキシリレンでコーティング処理されて下塗りされ、その上に蒸着等による金属膜で被覆されてもよい。 【0139】 金属膜の形成方法の一例は、以下の通りである。白色無機フィラー粉末が含有されて板状に形成されたシリコーン樹脂製反射基材に、マスキング材としてフィルムを貼付する。次にポリパラキシリレン類である「パリレンC」(日本パリレン株式会社製の商品名;「パリレン」は登録商標;-[(CH_(2))-C_(6)H_(3)Cl-(CH_(2))]_(n)-)の被膜を設けるため、「パリレンC」の原料ダイマーである粉末状のモノクロロパラキシリレン類2量体を気化室に入れ減圧下で加熱して、蒸発したダイマーが熱分解室に誘導され反応性の高いパラキシリレンモノマーのラジカルとした後、反射基材に蒸着させて0.5?5ミクロン、好ましくは1?2ミクロンのポリパラキシリレン類コーティング処理し、下塗り層を形成して調製する。その下塗り層の上に、真空蒸着により、金属層として厚さ数ミクロンの銀層を形成させる。その後、マスキング材を剥がすと、金属膜が付されてしかもガス透過係数や絶縁抵抗の小さいシリコーン樹脂製反射基材が得られる。 【0140】 金属蒸着に代え、金属めっき、金属箔膜の接着であってもよく、それの調製方法は、特に限定されない。 【0141】 めっきの方法としては、まず白色無機フィラー粉末が含有されて板状に形成されたシリコーン樹脂製反射基材を、酸又はアルカリを用いて表面を粗面化し、その後、無電解ニッケルめっきによってニッケルめっきし、その後電解めっきにより銅めっきをする。さらに用途に合わせ金や銀のめっきを行う。 【0142】 銅箔を貼り合わせる方法としては、銅箔の裏面に接着剤層を形成し、その接着剤層側を、白色無機フィラー粉末が含有されて板状に形成されたシリコーン樹脂製反射基材に貼り合わせ油圧プレスにて加熱硬化させ、架橋接着をする。銅箔はロール状の連続シートであってもそれを裁断した個別シートであってもよい。巻かれているロール状に巻かれた銅箔を、引き出し、シリコーン樹脂製反射基材と貼り合わせてから、再度、ロール状に巻き取られてもよい。 【0143】 このように支持体の上に金属層を設け、その金属層に回路をエッチングにより形成し、発光ダイオードチップを結線する部分及び搭載する部分を除いて、シルク印刷によりシリコーン樹脂原材料組成物を塗布し、シリコーン樹脂製反射基材を形成する場合、前記回路とシリコーン樹脂製反射基材の間に、ガスバリア層を設けてもよい。シリコーン樹脂製反射基材は、三次元架橋したシリコーン樹脂及び無機フィラー粉末よりなるので、エポキシ樹脂などの通常の樹脂よりもガス透過性が高いため、回路の金属層が腐食され酸化皮膜を形成するためシリコーン樹脂製反射基材と金属層の間で剥離が発生する場合がある。これを防止するためガスバリア性を有する皮膜をシリコーン樹脂製反射基材と金属層の間に形成するとよい。ガスバリア層は、可撓性であっても非可撓性であってもよい。ガスバリア層の厚みとしては、1?30μmが好ましく、材料としては、シリコーン樹脂よりガス透過性が小さい樹脂であれば適宜選択して使用することができるが、エポキシ樹脂などのフォトレジストや、パラキシリレンコート、ポリイミド樹脂、ポリパラキシリレン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミドが挙げられる。 【0144】 シリコーン樹脂は、気体透過性が大きく腐食性ガスを透過し易いため金属層が腐食してしまう。そこでこれを防止するためにガスバリア性のある樹脂をガスバリア層としてコーティングし、その上にシリコーン樹脂製反射基材を設けておくことが好ましい。 【0145】 シリコーン樹脂製反射基材の上に金属箔や金属めっきを付してもよい。また、銅箔にシリコーン樹脂原材料組成物を塗工し基板に貼り合わせてエッチングしパターンを作製してもよく、基板にシリコーン樹脂を塗工しその後めっきを付してもよい。 【0146】 このシリコーン樹脂反射基材は、反射層がシリコーン樹脂を用いていることから、非接着性を有している。そのためそこへ、埃や塵のようなゴミ・異物が付着した場合は、粘着ローラーを用いて、なぞれば、シリコーン樹脂製反射基材に粘着することなくゴミ、異物が容易に粘着ロールへ粘着され除去される。またこのシリコーン樹脂製反射基材は、非接着性であるが、絶縁性が高いため静電気により、埃や塵のようなゴミ・異物が吸着して付着し易い。そこでシリコーン樹脂反射基材の反射面にシリコーンハードコート層をコーティングすることにより、これらゴミ・異物の付着を防止することができる。また、ゴミ・異物が付着したとしてもエアーを吹き付けることにより容易に除去することができる。このシリコーン樹脂製反射基材に用いることができるシリコーンハードコート剤としては、シリカやフッ素パウダーが分散されたシリコーンハード剤や、エアーバックの表面処理に使用されるシリコーンコーティング剤が使用できる。 【0147】 次に、図1を参照しながら、このシリコーン樹脂製反射基材であるパッケージケース10とシリコーン樹脂製反射基材20とが、主鎖中にジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含むシリコーン樹脂と、アナターゼ型酸化チタン粒子とを含有した例の発光装置である照明器具について、具体的に説明する。 【0148】 配線基板の一部をなすシリコーン樹脂製反射基材20は、アナターゼ型酸化チタン粒子12bを含有しているシリコーン樹脂で、成形されている。シリコーン樹脂製反射基材20上の発光ダイオード13への装着面側の表面から酸化チタン粒子12bの一部が露出している。シリコーン樹脂製反射基材20のその表面に、導電金属膜である銅膜15a・15bが、付され、電源(不図示)へ接続される導電パターンを形成している。発光ダイオード13から伸びた2本のリード線14a・14bが、その銅膜15aと銅膜15bとに、夫々接続されている。そのシリコーン樹脂製反射基材20の表面上の導電パターン部位以外の部位は、シリコーン樹脂がむき出しになっており、そこでアナターゼ型酸化チタン粒子12bの一部が露出しているために、白色を呈し、しかも優れた隠蔽性を有するから光を遺漏漏洩しないようになっている。さらにその部位で、光、特に380?420nmの波長域のみならずそれ以上の可視領域の光と、それより長波長の赤外線のような熱線との光の反射率が、極めて高くなっている。 【0149】 また、パッケージケース10も、シリコーン樹脂に同種のアナターゼ型酸化チタン粒子12aを含有する原材料組成物により、成形されている。パッケージケース10は、発光ダイオード13を取り巻きつつ、傾斜した内壁11によってその出射方向へ向かって末広がりに開口しており、配線基板のシリコーン樹脂製反射基材20上で発光ダイオード13の装着面側の表面に、接着剤層(不図示)を介して一体に接着されている。このパッケージケース体10も、アナターゼ型酸化チタン粒子12aのために、白色を呈し、しかも優れた隠蔽性を有するから光漏れすることがなく、光、特に380nm以上、中でも400nm以上の波長の光の反射率が極めて高いものとなっている。 【0150】 これらシリコーン樹脂製反射基材20もパッケージケース10も、化学的に安定で変色し難いポリジメチルシロキサンのような主鎖中に非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含みつつ三次元架橋したシリコーン樹脂で形成されているために、高反射率であり、高輝度光に長期間曝されても黄変せず白色を維持でき、しかも高い機械的強度を有し、優れた耐光性、耐熱性、耐候性を示すので、耐久性に優れている。 【0151】 シリコーン樹脂製反射基材20上の発光ダイオード13の非装着面側の表面に、支持体16が、付されて、照明器具1となっている。発光ダイオード13が装着されたシリコーン樹脂製反射基材20とパッケージケース10との複数組が、整然と四方八方に並べられた照明器具であってもよい。パッケージケース10の出射方向側の開口が、ガラス製や樹脂製の透明板や透明フィルムで覆われていてもよい。その透明板や透明フィルムが、それの透過光の波長を所期の波長へ変換する顔料、色素、蛍光剤、りん光剤を含有していてもよい。パッケージケース10の出射方向側の開口が、凸レンズ、凹レンズ、フレネルレンズのようなレンズで、覆われていてもよい(不図示)。 【0152】 シリコーン樹脂製反射基材20は、支持体16上に、スクリーン印刷のような各種印刷、噴霧、刷毛塗り、塗布等の塗工によって形成される。 【0153】 このような支持体16は、非変形性の硬質乃至剛直な膜状、板状、円筒のような筒状・球体状・椀状等の立体状など如何なる形状であってもよく、所謂フレキシブルプリントサーキット(FPC)のようにフレキシブルであって柔軟な軟質のシートや撓むと付勢される程度の硬質なシートであってもよく、巻き取り可能なロール状であってもよく、様々な素子に内蔵されてさほど面積をとらない微小なワーキングチップであってもよい。支持体は、導電性を有するものや、熱伝導性・放熱性を有するものであってもよい。おもて面に反射層、必要に応じ、うら面に粘着剤層・接着剤層を有していてもよい。 【0154】 支持体16は、有機材料、無機材料の何れでもよく、シリコーン樹脂、イミド樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ガラス繊維含有エポキシ樹脂(ガラエポ)、紙フェノール樹脂、ベークライト、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、プラスチックフィルムとしてはポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アラミド樹脂、ポリエーテルエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、シクロオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、及びシリコーンゴム、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔などを原材料に用いて成形したものが挙げられるが、これに限定されるものではない。配線基板の一部をなすシリコーン樹脂製反射基材20は、主鎖中にジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含む高価なシリコーン樹脂を含むものであるが、安価な支持体16に薄く付されただけで、十分な反射効果を奏するから、生産コストの削減に資する。 【0155】 その場合、膜状のシリコーン製反射基材は、その原材料含有組成物を塗布して、10?200μmの被膜として支持体16上に付されていることが好ましい。 【0156】 パッケージケース10とシリコーン樹脂製反射基材20を有する配線基板とは、以下のようにして使用される。この発光ダイオード13に、陰極側銅膜15a及びリード線14aと、陽極側銅膜15b及びリード線14bとにより、印加すると、発光ダイオード13は、発光する。発光した光の一部は、パッケージケース10の出射方向側の開口から、直接、外界へ照射される。発光した光の別な一部は、パッケージケース10の内壁11、又は配線基板表面上の導電パターン以外をなすシリコーン樹脂製反射基材20の部位で反射して、出射方向側の開口から、外界へ照射される。 【0157】 別なシリコーン樹脂製反射基材の態様は、図2の通り、別な照明器具に実装されて用いられるもので、配線基板21が、高屈折率の白色無機フィラー粉末である酸化チタン粒子12cを含有しているシリコーン樹脂で、ガラスクロス22を内在しつつ成形されて、その表面に、導電金属膜である銅膜15a・15bの導電パターンが形成され、発光ダイオード13のリード線14a・14bがその銅膜15aと銅膜15bとに、夫々接続されているというものである。 【0158】 別なシリコーン樹脂製反射基材1の態様は、図3(d)の通り、別な照明器具に実装されて用いられるもので、導線パターンを成す導電金属膜15a・15b、例えば銅膜が、剛直なプラスチックなど適切な材料で形成された支持体16上に付され、高屈折率の白色無機フィラー粉末である酸化チタン粒子12を含有するシリコーン樹脂で形成された反射層を兼ねるパッケージケース10が、シリコーン樹脂製反射基材として、支持体15及び銅膜15a・15bを覆っている。 【0159】 図3のシリコーン樹脂製反射基材1は、以下のようにして、製造される。先ず、同図(a)のように、ガラス繊維布にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ基板などの支持体16に、印刷、ケミカルエッチング等により、所望の形状の導線パターンを成す導電金属膜15a・15bを形成する。次いで、支持体16及び導電金属膜15a・15bを覆うように重合性シリコーン樹脂原材料の液状又はグリース状若しくは塑性の組成物を塗工し、略半球状の突起を多数有する金型31で、最厚部を100?1000μm、最薄部と10?100μmとなるように、押圧しながら、加熱すると、重合性シリコーン樹脂原材料が三次元架橋しつつ硬化し、反射層を兼ねたパッケージケース10が、支持体16及び導電金属膜15a・15bと密着して成形される。金型31をパッケージケース10から、離型させると、その離型された部位に形成された内壁11が、反射面となる。次いで、同図(c)のように、パッケージケース10の最薄部に、導電金属膜15a・15bに到達するまでの穴32を開ける。同図(d)のように、そこへ発光ダイオードを挿入して、適宜、半田等の接続材でその陰陽端子を導電金属膜15a・15bに接続させる。必要に応じて、ダイシングソー33で所定の大きさに切断すると、照明器具用の発光ダイオードチップが形成される。 【0160】 図4に示すように、所望の形状の導線パターンの導電金属膜(回路)15a・15bが付された支持体16へ、重合性シリコーン樹脂原材料の液状組成物を塗工した後、サンドブラスト表面処理された金型31で、押圧しながら、加熱すると、重合性シリコーン樹脂原材料が三次元架橋しつつ硬化し、反射層を兼ねたシリコーン樹脂製反射基材20が成形される。導電金属膜とシリコーン樹脂製反射基材との間にエポキシ樹脂やポリイミドワニスなどで剥離防止のために形成されたバリア層を有していてもよい(不図示)。 【0161】 図5に示すように、所望の形状の導線パターンの導電金属膜15a・15bが付された柔軟な支持体シート原料ロールから支持体シートを引き出し、導電金属膜15a・15b側の表面に、塗工ノズル34から流れ出る重合性シリコーン樹脂原材料を塗工した後、サンドブラスト処理されたローラー35で、押圧しながら、加熱すると、重合性シリコーン樹脂原材料が三次元架橋しつつ硬化し、反射層を兼ねたシリコーン樹脂製反射基材20が成形される。必要に応じ、ダイシングソー33で、所望の大きさに切断してもよい。 【0162】 図4?5のようにして形成されたシリコーン樹脂製反射基材20は、図6(a)のようなやや先細りのグラインダー36や、同図(b)のような略半球状のグラインダー36を回転させつつ、導電金属膜15a・15bが露出するまで、パッケージケースの窪みを形成するように厚み方向へ切削され、その後、必要に応じ、発光ダイオードの実装などにより、照明器具(不図示)へと導いてもよい。図6(c)のように、円盤状のグラインダー36を回転させつつ、導電金属膜15a・15bが露出するまでそれに沿って溝状に、切削されてもよい。 【0163】 又は、シリコーン樹脂製反射基材20は、図7のように、ローラー状のグラインダー36を高速回転させつつ、導電金属膜15a・15bに達するまで、切削研磨し、支持体16上に、導電金属膜15a・15bと反射層となるシリコーン樹脂製反射基材20とが隙間なく仕切られたまま露出していてもよい。 【0164】 シリコーン樹脂製反射基材1は、図8に示すように、支持体16へ付された所望の形状の導線パターンの導電金属膜15a・15bに発光素子である発光ダイオード13を接続しておき、それを取り巻き盛上げるように、ノズル34から流し出した重合性シリコーン樹脂原材料を、垂らして、成形されてもよい。 【0165】 また、シリコーン樹脂製反射基材1は、図9に示すように、窪みを有するパッケージケースを兼ねる支持体16の表面に、重合性シリコーン樹脂原材料を噴霧塗装した後、加熱して、反射層となるシリコーン樹脂製反射基材20を形成してもよい。 【0166】 シリコーン樹脂製反射基材1を成形する際のこれらの金型から離型の度に、又は数回?10回の離型の度に、離型剤、例えば、ダイフリー(ダイキン工業株式会社製の商品名)を金型に塗布して、離型性を一層向上させてもよい。 【0167】 別なシリコーン樹脂製反射基材の態様は、図10の通り、太陽電池2のアセンブリとして組み込まれるもので、太陽電池素子17である光電変換素子を装着したパッケージケース10に、用いられているというものである。パッケージケース10は、アナターゼ型酸化チタン粒子12aを含有するシリコーン樹脂で、椀状に複数窪んだ列が幾重にも並んで、成形されている。太陽電池素子17は、内部の略球状のp型シリコン半導体17aとその周りを覆ってPN接合しているn型シリコン半導体17bとからなる。n型シリコン半導体17bの下端が研磨によって欠落しており、そこからp型シリコン半導体17aが露出している。n型シリコン半導体17bは、負電極の電極エレメント層である銅膜18bのみに接続し、一方p型シリコン半導体17aは、正電極の電極エレメント層である銅膜18aのみに接続している。両電極である銅膜18a・18bは、その間で積層されている絶縁体層19で、隔離され絶縁されている。パッケージケース10は、太陽電池素子17を取り巻きつつ、椀状に窪んだ内壁11によってその出射方向へ向かって末広がりに開口しており、銅膜18bへ接着剤層(不図示)を介して一体に接着されている。 【0168】 このパッケージケース10であるシリコーン樹脂製反射基材は、以下のようにして使用される。図10のようにこの太陽電池アセンブリ2の太陽電池素子17に向けて光例えば太陽光を入射させる。例えば真上からの入射太陽光は真直ぐに太陽電池素子17の頂部に垂直に入射する。その真上よりもやや外れた入射太陽光は、パッケージケース10の内壁11で反射し、太陽電池素子17の側面へ略垂直に入射する。このようにして、太陽電池アセンブリ2へ入射した光は、n型シリコン半導体17bとp型シリコン半導体17aとのPN接合界面に効率よく到達し、光起電力が生じ、回路にすると、光電流が流れる。 【0169】 また、図1?図10のようなシリコーン製反射基材20のシリコーン樹脂の表面、即ち配線基板上の発光ダイオード13への装着面側の表面や、パッケージケース10の内壁11の表面が、研磨、粗面化及び/又はケミカルエッチングによって、表面処理されており、白色無機フィラー粒子の一部が、そのシリコーン樹脂の表面から、露出していてもよい。 【0170】 パッケージケース10と、配線基板のシリコーン樹脂製反射基材20上で発光ダイオード13の装着面側の表面とは、接着剤層を介して一体に接着される。シリコーン樹脂製接着剤として、例えば、低分子シロキサンカット品SE-9186L(東レ・ダウコーニング株式会社製;商品名)が挙げられる。 【0171】 シリコーン樹脂製反射基材は、一般的な白熱電球やハロゲンランプやLED等による電気スタンドのような照明器具をはじめとする様々な発光装置の他、太陽電池のように光を反射するのに用いてもよく、電気ストーブや燃焼ストーブ等の熱源近傍の壁や什器に貼付して赤外線を反射させ加熱効率を上げたり壁や什器の対熱保護のために用いられたりしてもよい。 【実施例】 【0172】 以下に、本発明のシリコーン樹脂製反射基材を試作し、装置に組み込んだ例を示す。 【0173】 (実施例1) 初期反射率の比較 (ポリフェニルシロキサン樹脂とポリジメチルシロキサン樹脂との比較) ポリフェニルシロキサン樹脂(商品名XE14-C2508:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)とポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)を用いて、アナターゼ型酸化チタン(商品名A-950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)とアルミナ(商品名AES12:住友化学株式会社製)を各々200質量部添加し、25μmのポリイミドを支持体に加熱プレスにて、150℃で10分間の硬化条件によって、縦70mm、横70mm、厚さ0.3mmのシリコーン白色反射板であるシリコーン樹脂製反射基材を作製した。それぞれの反射率を、分光光度計UV-3150(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。その結果を示す図11よりすべてにおいてポリジメチルシロキサンをベースポリマーとした場合3?5%の反射率の向上が見られた。 【0174】 (実施例2) 高温での経時後の反射率 ポリフェニルシロキサン樹脂(商品名XE14-C2508:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ)とポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)にアナターゼ型酸化チタン(商品名A-950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)をそれぞれ200質量部添加し、加熱プレスにて、25μmのポリイミドの支持体に150℃で10分間の硬化条件によって反射層を形成し、縦70mm、横70mm、厚さ0.3mmのシリコーン白色反射板であるシリコーン樹脂製反射基材を作製した。150℃で1000時間、加熱経過後の反射率を、分光光度計UV-3150(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。その結果を示す図12より、ポリフェニルシロキサン樹脂のシリコーン白色反射板は短波長側で反射率の低下が見られるのに対し、ポリジメチルシロキサン樹脂のシリコーン白色反射板は反射率の低下が見られない。 【0175】 (実施例3) ポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)にアナターゼ型酸化チタン(商品名A-950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)をそれぞれ100質量部添加し、加熱プレスにて、150℃で10分間の硬化条件によって反射層を形成し、縦70mm、横70mm、厚さ0.3mmのシリコーン白色反射板であるシリコーン樹脂製反射基材を作製した。それぞれの反射率を、分光光度計(商品名UV-3150;株式会社島津製作所製)を用いて初期反射率を測定した後、#1500のサンドペーパーでシリコーン白色反射板の表面をそれぞれ研磨し、再度反射率を測定する。その結果を示す図13より、研磨などで表面加工を行うことにより2?3%反射率が向上した。 【0176】 以上から明らかな通り、ポリフェニルシロキサン樹脂の反射板は、十分な反射率を有している。また、ポリジメチルシロキサンをベースポリマーとした場合ポリフェニルシロキサンをベースにした場合よりも反射率が高くさらには1000時間経過後でも反射率の低下は見られない。これより黄変したり劣化したりすることが無いため、耐光性、耐熱性、耐候性に優れており、有用な反射材料であることがわかった。また表面加工をすることによって、反射率が向上するとも分かった。 【0177】 (実施例4) ポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)にシリコーン樹脂100質量部に対してルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)を100質量部添加し、加熱プレスにて、25μmのポリイミドの支持体に150℃で10分間の硬化条件によって反射層を形成し、縦70mm、横70mm、厚さ50μmの白色のシリコーン樹脂製反射基材を作製した。 【0178】 (比較例1) エポキシ樹脂100質量部に対してルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)を100質量部添加したエポキシ樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、エポキシ樹脂白色反射シートを作製した。 【0179】 実施例4のシリコーン樹脂製反射基材と比較例1の反射シートとを、実施例2と同様に耐熱性試験を行った。加熱前と150℃で1000時間加熱経過後の反射率を、分光光度計UV-3150(株式会社島津製作所製)を用いて測定した。その結果を図14に示す。図14から明らかな通り、エポキシ樹脂白色反射シートは全波長領域でポリジメチルシロキサン樹脂製反射基材より反射率が低い。また、加熱経時したエポキシ樹脂白色反射シートは、短波長側で著しい反射率の低下が見られるのに対し、ポリジメチルシロキサン樹脂製反射基材は反射率の低下が見られない。 【0180】 (実施例5) 支持体として、25μmのポリイミドフィルムに15μmの銅めっきを施した。これにフォトレジストを用いて、エッチング加工により回路を形成した。次に、アナターゼ型酸化チタンをシリコーン樹脂100質量部に対して150?200質量部の範囲で配合を変え、必要によりシリコーンゴムパウダーを夫々適量ずつ加えてアナターゼ型酸化チタン含有白色反射材用の原材料組成物となし、これを回路の表面にLEDチップ及び配線を行う部分を除いて、スクリーン印刷を用いて30μmの厚みで塗布し、150℃×1時間加熱し、反射層を形成し、シリコーン樹脂製反射基材を作製した。このときシリコーン樹脂製反射基材は、反射層の硬度はJIS A型硬度計で80と、JIS D型硬度計で70の硬度とであった。 【0181】 (実施例6) 支持体として、25μmのポリイミドフィルムに15μmの銅めっきを施した。これにフォトレジストを用いて、エッチング加工により回路を形成した。回路の表面にLEDチップ及びその配線を行う銅めっき部分を含む全面に、アナターゼ型酸化チタンをシリコーン樹脂100質量部に対して150?200質量部の範囲で配合を変え、必要によりシリコーンゴムパウダーを夫々適量加えてアナターゼ型酸化チタン含有白色反射材用の原材料組成物となし、これを、スクリーン印刷を用いて30μmの厚みで塗布し、150℃×1時間加熱し、反射層を形成した。このとき反射層の硬さはJIS D型硬度計で70の硬度を有していた。次いで、図7に示すように、銅めっきが露出するまで反射層を研削し、銅めっき部分とシリコーン樹脂部分とが区分けされたシリコーン樹脂製白色反射基材を作製した。 【0182】 (実施例7) 支持体として、25μmのポリイミドフィルムに15μmの銅めっきを施した。この銅めっきにフォトレジストを用いて、エッチング加工により回路を形成した。この回路の表面にLEDチップ及びその配線を行う部分を除いてポリイミドワニス(商品名;FC-114 ファイン・ポリイミドワニス:ファインケミカルジャパン社製)を2回塗りして加熱硬化し膜厚4μmのガスバリアー層を設けた。しかる後、実施例5と同様にしてシリコーン樹脂製白色反射基材(反射層の硬度は同値)を作製した。 【0183】 (実施例8) シリコーン接着剤(商品名X-32-1964:信越化学工業株式会社製)にルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)を100質量部添加しさらに反応抑制剤としてアセチレンアルコールを0.01部添加しシリコーン樹脂製反射基材に用いる液状の原材料組成物(粘度600Pa・s)を得た。この保存缶を開封後、室温において7日間放置し粘度を測定した結果変化が見られず、酸化チタンの沈降が見られず、150℃1時間の加熱硬化においても反射率、硬さとも初期の原材料組成物のものと同じ特性を示し、長期の保管性を示し、図1のようにLEDを実装でき、量産において生産性に優れていることが分かった。 【0184】 (比較例2) 一液型エポキシ樹脂性レジストインクにおいては、その保存缶の開封後、室温において24時間放置し確認した結果、外周が硬化し内部がゲル化し使用ができない状況であった。 【0185】 (実施例9) チップオンフィルム(以下COFとする)として、厚さ38μmのポリイミドフィルムに厚さ8μmの導体(銅箔)に回路を形成し、ランドパターン部を除いてガスバリア層としてポリイミドワニス(商品名;FC-114 ファイン・ポリイミドワニス:ファインケミカルジャパン社製)を2回塗りして加熱硬化し膜厚4μmのガスバリアー層を設けたのち、スクリーン印刷により、ランドパターン部を除き白色無機フィラー含有原材料組成物を30μm塗布し、150℃×1時間で硬化させ、反射層を形成し、COFのシリコーン樹脂製反射基材を得た。白色無機フィラー含有原材料組成物はポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)100質量部にアナターゼ型酸化チタン(商品名A-950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)を80質量部添加したものである。このシリコーン樹脂製反射基材に日亜化学製白色LEDパッケージNSSW064を直接ランド部の上にマウントし、鉛フリーリフローに通しハンダを行い、高反射COF基板のフレキシブルLED照明基板を得た。この基板は厚みが薄く狭い箇所に挿入可能であり、熱による黄変がなく反射率98%のCOFとなった。また、金属と反射層との剥離も認めれなかった。 【0186】 (実施例10) シリコーン樹脂原材料組成物を調製後、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを300ppm未満になるまで、減圧下及び/又は200℃で維持した後、常圧に戻して用いたこと以外は、実施例1?10と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製し、夫々LEDを実装してLED照明基板を製造したところ、電気接点障害、くもりの発生による照度低下などの現象は、認められなかった。 【0187】 (実施例11) 酸化チタンを、前記化学式(1)で示される反応性基含有ポリシロキサンをシランカップリング剤として浸漬し、表面処理したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製したところ、表面処理しない場合よりも、前記表1で示す場合と同様に、樹脂製反射基材の曲げ強度と硬度とが、向上していた。 (実施例12) 実施例9と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて酸化チタン含有ジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。 【0188】 (実施例13) 実施例9と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて酸化チタン含有ジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。更に、サンドペーパー#1000を用い表面を研磨し、酸化チタン粉末を露出させた基板の反射率を測定したところ、3%の反射率向上が見られた。 【0189】 (実施例14) 実施例9と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて無機白色フィラー粉末としてアナターゼ酸化チタンを100質量部、YAG蛍光体を3質量部含有させたジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。サンドペーパー#1000を用い表面を研磨し、無機白色フィラー粉末を露出させた基板の反射率を測定したところ90%であった。400?500nmの吸収が確認されその分反射率が低下したものの十分な反射率を維持できるとともに、550nmの励起光が確認された。 【0190】 (実施例15) 支持体として、25μmのポリイミドフィルムにプラズマ処理を行い、プライマー処理を行い反射層として、シリコーン樹脂100質量部に対してアルミナで表面処理を行ったアナターゼ型酸化チタン200質量部を配合し分散させ30μmの厚みで塗布し、その支持体の反対の面にはシリコーン粘着剤を30μmで塗工し、離型シートを積層し、150℃×1時間加熱し、反射層と粘着層を有したカバーレイフィルムを得た。このカバーレイフィルムを、回路を設けてあるFR-4基板にランドパターンを逃がすように穴を開け、位置を合わせて、貼り合わせた。 【0191】 (実施例16) シリコーン樹脂原材料組成物を調製後、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを300ppm未満になるまで、減圧下及び/又は200℃で維持した後、常圧に戻して用いたこと以外は、実施例1?15と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製し、夫々LEDを実装してLED照明基板を製造したところ、何れも電気接点障害、くもりの発生による照度低下などの現象は、認められなかった。 【0192】 (実施例17) 酸化チタンを、前記化学式(1)で示される反応性基含有ポリシロキサンをシランカップリング剤として浸漬し、表面処理したこと以外は、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂製反射基材を作製したところ、表面処理しない場合よりも、前記表1で示す場合と同様に、樹脂製反射基材の曲げ強度と硬度とが、向上していた。 【0193】 (製造例1) チップオンボード(以下COBとする)として、ガラエポ基板(FR-4基板)に導体厚み8μm(銅箔)に回路を形成しランドパターン部を除き、ガスバリア層としてエポキシ樹脂でコーティングし150℃×4時間で硬化させたのち、スクリーン印刷により酸化チタン含有のシリコーン樹脂原材料組成物(シリコーン樹脂原材料組成物はポリジメチルシロキサン樹脂(商品名IVSM4500:モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)100質量部にアナターゼ型酸化チタン(商品名A-950:堺化学工業株式会社製)とルチル型酸化チタン(商品名GTR-100;堺化学工業株式会社製)を80質量部添加したもの)を塗布し、150℃×1時間で硬化させ、COFのシリコーン樹脂製反射層を有する反射基材を得た。そこに日亜化学製白色LEDパッケージNSSW064を直接フィルム上にマウントし、鉛フリーリフローに通しハンダを行い、高反射COB基板を得た。 【0194】 (製造例2) 製造例1と同様にしてCOBのシリコーン樹脂製反射層を有する基材を得た。そこにベアチップ(LED素子自体)を直接基板上のランドパターンに実装しワイヤー(金線)ボンディングし、シリコーン透明樹脂で封止を行い、ガラスエポキシLED照明基板を得た。この基板は熱による黄変もなく反射率98%のCOBとなった。 【0195】 (製造例3) COBとしてBTレジン製基板(三菱ガス化学株式会社製)に導体厚み8μm(銅箔)を形成しランドパターン部を除き、ガスバリア層としてエポキシ樹脂を20μmコーティングし150℃×4時間で硬化させたのち、反射層をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、COBのシリコーン樹脂製反射層を有する基材を得た。そこにベアチップ(LED素子自体)を直接基板上のパターンに実装しワイヤー(金線)ボンディングしシリコーン透明樹脂で封止を行った。さらに、樹脂封止されたベアチップ周辺を囲むようにして反射枠として酸化チタン含有シリコーン樹脂原材料組成物をディスペンサーにより、高さ0.5mmで吐出したのち150℃×1時間で硬化させ厚物成形を行いシリコーン樹脂製反射枠付高反射COBを得た。 【0196】 (製造例4) 製造例1と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて酸化チタン含有ジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。 【0197】 (製造例5) 製造例1と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて酸化チタンジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。更に、サンドペーパー#1000を用い表面を研磨し、酸化チタン粉末を露出させた基板の反射率を測定したところ、3%の反射率向上が見られた。 【0198】 (製造例6) 製造例1と同様にして回路を形成した後、φ1mmに収まるランドパターン部を除いて無機白色フィラー粉末としてアナターゼ酸化チタンを100質量部、YAG蛍光体を3質量部含有させたジメチルシリコーン樹脂原材料組成物をスクリーン印刷により塗布し、150℃×1時間で硬化させ、φ1mmの微細なランドパターンにダレることなく反射層を形成することができた。サンドペーパー#1000を用い表面を研磨し、無機白色フィラー粉末を露出させた基板の反射率を測定したところ90%であった。400?500nmの吸収が確認されその分反射率が低下したものの十分な反射率を維持できるとともに、550nmの励起光が確認された。 【0199】 (製造例7) 支持体として、25μmのポリイミドフィルムにプラズマ処理を行い、プライマー処理を行い反射層としてシリコーン樹脂100質量部に対してアルミナで表面処理を行ったアナターゼ型酸化チタン200質量部を配合し分散させ30μmの厚みで塗布し、その支持体の反対の面にはシリコーン粘着剤を10μmで塗工し、熱伝導層として、50μmのアルミ箔を積層し、更に粘着剤を10μmで塗工し離型シートを積層し、150℃×1時間加熱し、反射層と粘着層を有したカバーレイフィルムを得た。このカバーレイフィルムを、回路を設けてあるFR-4基板にランドパターンを逃がすように穴を開け、位置を合わせて、貼り合わせた。 【0200】 (製造例8) 実施例7と同様にシリコーン樹脂原材料組成物となし、これを25μmのポリイミドフィルムの支持体上の導電回路に半田付けしたベアチップの周りに最外直径3mmのケーシングとして、高さ1mmでドーナッツ状にポッティングして高反射枠を設け、チップ該当箇所を透明シリコーン樹脂で封止し、反射基材を作製した。この反射基材を曲率半径20mmに撓ませたが反射異常は起きなかった。このポッティングした箇所の硬度は、JIS D型硬度計により、ショアD硬度で70であった 【0201】 以上の製造例1?7に示すように、シリコーン樹脂及び酸化チタンのようなシリコーン樹脂よりも高屈折率の白色無機フィラー粉末を含有するシリコーン樹脂製の液状又は塑性の原材料組成物は、支持体のみならず、板状支持体とも組み合わせることができる。 【0202】 また、製造例8のように、酸化チタンのようなシリコーン樹脂よりも高屈折率の白色無機フィラー粉末を含有するシリコーン樹脂製の液状又は塑性の原材料組成物をベアチップのケーシングとして、直径4mm以下といったように面積を取らない形でポッティングして用いても支持体の撓みの曲率半径が例えば20mm以上と大きい場合は、基材に用いることができる。 【産業上の利用可能性】 【0203】 本発明のシリコーン樹脂製反射基材は、発光ダイオードのような発光素子、白熱電球、ハロゲンランプ、水銀灯、蛍光灯のような発光装置に装着するもので、発光した光を反射して所望の方向へ出射させるために、それら発光光源に実装される配線基板やパッケージケースに用いられる。また、このシリコーン樹脂製反射基材は、太陽電池素子のような光電変換素子に装着するもので、入射する光を反射して、光電変換素子へ集光させるために、それら光電変換素子に実装される配線基板やパッケージケースに用いられる。 【0204】 本発明のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法は、それら発光装置の作製に有用である。 【0205】 また、本発明の原材料組成物は、シリコーン樹脂製反射基材を塗布、噴霧、浸漬、成型等により簡易に形成するのに有用である。 【0206】 また、本発明の原材料組成物は、室温に対して安定して保管することができるので、缶に入れ、レジストインクとして製品となる。また、適宜に粘度を調整して、反射層を形成するのに有用である。 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋したシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料と、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率で表面処理された酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末とが混合されて分散されつつ含有され液状又はグリース状で粘性又は塑性のものであり、前記シリコーン樹脂に前記白色無機フィラー粉末が分散されつつ含有された反射層が、膜状、板状又は立体状に支持体上に形成されることにより、シリコーン樹脂製反射基材を形成するためのものであり、反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とが混合されて分散されつつ含有され、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である原材料組成物であって、 前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形によって1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に三次元架橋により前記支持体上で硬化させ前記反射層にするためのものであり、 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂であって、前記酸化チタンが、Al、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されており、 150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とする前記シリコーン樹脂製反射基材の前記反射層を形成するために用いられることを特徴とする原材料組成物。 【請求項2】 加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項3】 前記重合性シリコーン樹脂原材料を三次元架橋させる架橋剤が、混合されて分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項4】 粘度調整のための有機溶剤及び/又は反応性希釈剤が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項5】 シランカップリング剤である機能性シラン化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項6】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項7】 前記重合性シリコーン樹脂原材料には、それが三次元架橋したシリコーン樹脂中でシロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンを最大でも300ppmとなるように、前記低分子量ポリシロキサンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項8】 前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項9】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化して、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項10】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、重金属系触媒を含み、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項9に記載の原材料組成物。 【請求項11】 前記重合性シリコーン樹脂原材料が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいて、三次元架橋するものであることを特徴とする請求項1に記載の原材料組成物。 【請求項12】 RSiO_(3/2)単位(オルガノ基Rは、同一又は異なり、アルキル基、フェニル基、又は架橋性官能基に由来する基である)からなるモノオルガノシロキシ単位及び/又はSiO_(2)単位からなるシロキシ単位を含む三次元架橋しており前記モノオルガノシロキシ単位であるT単位、前記シロキシ単位であるQ単位、R_(3)SiO_(1/2)単位(Rは前記と同じ)からなるトリオルガノシロキシ単位であるM単位、及び/又はR_(2)SiO単位(Rは前記と同じ)からなるジオルガノシロキシ単位であるD単位を組み合わせて含み、それらの単位を有しているMQ樹脂、MDQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、TD樹脂、TQ樹脂、及びTDQ樹脂から選ばれる少なくとも何れかのシリコーン樹脂へと重合させる重合性シリコーン樹脂原材料に、前記シリコーン樹脂よりも高屈折率であってAl、Al_(2)O_(3)、ZnO、ZrO_(2)、及び/又はSiO_(2)で表面処理されている酸化チタンを含む白色無機フィラー粉末と反応性の官能基を有するシラン化合物又はシロキサン化合物からなる接着性付与成分と失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する反応抑制剤とを混合させて分散させ含有させて、粘度を10?500Pa・sとする液状であり若しくは国際規格ISO 7323に基づく可塑度を100?500mm/100とするミラブルタイプ又は可塑物である液状又はグリース状で粘性又は塑性である請求項1?11の何れかに記載された原材料組成物とした後、 前記原材料組成物を塗工、金型成形、スタンプ成形、熱プレス成形、コンプレッション成形、射出成形、トランスファー成形、押し出し成形及び/又はカレンダー成形してから三次元架橋させて前記シリコーン樹脂へ重合させることにより、反射層を支持体上で1?10μmの薄膜から2000μmの厚膜乃至板、又は立体形状に形成し、150℃で1000時間の加熱前後において前記反射層の反射率を波長350?1000nmのいずれかの波長で少なくとも90%とすることを特徴とするシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項13】 前記重合が、加熱、加湿、加圧及び紫外線照射の少なくとも何れかにより、なされることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項14】 前記反射層が、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、リバースコーター、グラビアコーター、エアナイフコーター、スプレーコーター、又はカーテンコーターで形成されることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項15】 前記シリコーン樹脂が、非環状のジメチルシロキシ繰返単位を主成分として含んでいることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項16】 前記原材料組成物が、加熱によって失活又は揮発するまで硬化反応を抑制する前記反応抑制剤を、混合され分散されつつ含有していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項17】 前記シリコーン樹脂中に含まれる、シロキシ基繰返単位を4?10とする低分子量ポリシロキサンが、最大でも300ppmであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項18】 前記支持体と前記反射層とが接触しており、その両者又は一方の接着体となる面にシランカップリング剤である機能性シラン化合物が用いられることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項19】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、付加反応で硬化し、有機過酸化物で硬化し、又は縮合で硬化したものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項20】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂が、重金属系触媒を含むことを特徴とする請求項19に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項21】 前記反射層が、10?200μmの厚さの膜に形成されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項22】 前記シリコーン樹脂が、屈折率を1.35以上、1.65未満とすることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項23】 前記白色無機フィラー粉末が、アルミナ、硫酸バリウム、マグネシア、チッ化アルミニウム、チッ化ホウ素、チタン酸バリウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、シリカ、マイカ粉、粉末ガラス、粉末ニッケル及び粉末アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の光反射剤を含むものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項24】 前記原材料組成物が、前記シリコーン樹脂へと三次元架橋させる架橋剤を、三次元架橋した前記シリコーン樹脂へと重合する重合性シリコーン樹脂原材料に、混合させて分散させつつ含有させたものであることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項25】 前記反射層に、前記白色無機フィラー粉末と蛍光体とが分散されつつ含有されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項26】 前記シリコーン樹脂の少なくとも一部の表面の研磨、粗面化、ざらついた金型による金型成形若しくはスタンプ成形、及び/又はケミカルエッチングによって、前記白色無機フィラー粉末の一部が、前記表面から露出していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項27】 前記支持体上に、 金属膜が付されその上に前記反射層が形成され、 前記反射層が付されその上に金属膜が形成され、若しくは 金属膜と前記反射層とが隙間なく仕切られたまま露出して形成されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項28】 前記金属膜と前記反射層との間にガスバリア層が付されていることを特徴とする請求項27に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項29】 前記金属膜が、めっき被膜、金属蒸着被膜、金属溶射膜、又は接着された金属箔膜であることを特徴とする請求項28に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項30】 前記シリコーン樹脂製反射基材が、発光素子、発光装置及び光電変換素子の何れかの背面、外周及び/又は導光材反射面に、配置されていることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項31】 前記シリコーン樹脂原材料組成物が、白金族金属系触媒を含みつつ、前記シリコーン樹脂原材料として、分子中に単一又は複数のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンであるベースポリマーと、分子中に単一又は複数のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含むことを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 【請求項32】 前記三次元架橋したシリコーン樹脂は、繰返単位のSi原子が酸素原子又は架橋性官能基を介して次なる繰返単位のSi原子に結合して三次元架橋していることを特徴とする請求項12に記載のシリコーン樹脂製反射基材の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-04-25 |
出願番号 | 特願2014-77292(P2014-77292) |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YAA
(C08L)
P 1 651・ 121- YAA (C08L) P 1 651・ 113- YAA (C08L) P 1 651・ 1- YAA (C08L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 高椋 健司 |
特許庁審判長 |
森 竜介 |
特許庁審判官 |
恩田 春香 小松 徹三 |
登録日 | 2015-11-13 |
登録番号 | 特許第5836420号(P5836420) |
権利者 | 株式会社朝日ラバー |
発明の名称 | シリコーン樹脂製反射基材、その製造方法、及びその反射基材に用いる原材料組成物 |
代理人 | 大西 浩之 |
代理人 | 小宮 良雄 |
代理人 | 小宮 良雄 |
代理人 | 大西 浩之 |
代理人 | 特許業務法人眞久特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人眞久特許事務所 |