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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1353466
審判番号 不服2018-640  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-17 
確定日 2019-07-10 
事件の表示 特願2015- 93807「組織層を固定するための組織アンカ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 6日出願公開、特開2015-142790〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 I.手続の経緯
本願は、2009年(平成21年)5月11日(パリ条約による優先権主張 2008年5月12日 アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2011-509586号の一部を平成27年5月1日に新たな特許出願としたものであって、平成28年3月31日付けの拒絶理由通知に対し、同年10月4日付けで手続補正書及び意見書が提出され、その後、平成29年2月24日付けの最後の拒絶理由通知に対し、同年7月28日付けで手続補正書及び意見書が提出されたが、同年9月11日付けで、平成29年7月28日付けでした補正について補正の却下の決定がされるとともに、拒絶査定がされ、これに対し、平成30年1月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲について手続補正がされたものである。


II.平成30年1月17日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成30年1月17日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正後の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のように補正された(下線は、補正箇所を明示するために付したものである。)。
「【請求項1】
隣接する組織において貫通を介して配置されるとともにこれらの間に流路を形成する医療デバイスであって、
織物フィラメント編組から形成される本体であって、同本体は、細長い管状構成および短縮された構成を有し、前記本体の近位端部および遠位端部は、前記短縮された構成において同近位端部と遠位端部との間に円筒形のサドル領域を残すように径方向に拡張されて、フレア付け(flare)されたフランジ構造となり、前記本体は、前記細長い管状構成および前記短縮された構成において中心軸に沿った開放性通路を規定する、本体と、
前記本体の少なくとも一部を覆う膜と
を備え、
前記短縮された構成において、前記本体の長さは、前記細長い管状構成における前記本体の長さよりも少なくとも40%短い、医療デバイス。」

2 補正の目的及び新規事項の追加の有無等
請求項1についての本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するための事項である「同近位端部と遠位端部との間に円筒形のサドル領域を残すように径方向に拡張され」る事項について、その「拡張」時における「本体」の状態を「前記短縮された構成において」と限定するものであり、しかも、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、請求項1についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第4項の規定に違反するところはない。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反しないか)について、以下に検討する。
3-1 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用され、本願優先権主張日前に頒布された刊行物である特表2003-527939号公報(以下「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a:「【請求項1】 基端および先端を有する複数の編んだ金属糸を含む金属織物を包含する折畳み可能な医療装置であって、取り付けられた金属織物を固定して金属織物のほどけを抑止する手段を前記各端が備えており、前記金属織物は2つの拡径部分と前記2つの拡径部分の間に位置する中央部分とを有する緊張解除状態における形状を有し、前記中央部分は前記2つの拡径部分の各々の外面の間で延在する通路を含み、さらに患者の体内通路を通して導くことができるように折畳まれた形状を有する折畳み可能な医療装置。」

b:「【0005】
(発明の概要)
従って本発明の目的は、動脈系、静脈系および臓器を経皮にて連通するために好適な装置である、信頼できる回収可能な自己膨張式の小外形分流器を提供することである。本発明の装置は、連続した管状の金属織物で形成されることが好ましく、中央部材で互いに連結されている反対両側に間隔を置いた2つの「ディスク」、パッチまたは保持スカートを含む。各「ディスク」は内部を延在する孔を含み、また中央部材は各ディスクの孔を互いに連結する中央通路を含み、これにより一方のディスクの外面と、他方のディスクの外面との間に通路が形成される。」

c:「【0009】
限定する意図は全くないが、本発明の装置の使用は、頚動脈を経ての肝臓内の門脈系の分流(TIPS)の形成に関して説明される。当業者は、チアノーゼ性の心臓疾患(cyanotic cogenital heart diseaser) を患う患者が必要とする血流量を増大させるために、本発明の分流器が他の幾つかの適用例、例えば大動脈と肺動脈の分流、チアノーゼ症の乳児が発育時に新規な動脈管を必要とすること、および/または共通する胆汁で広範囲に拡がった手術不可能な癌患者に関する胆嚢の腸への連通を含む適用例に有用であることが分かるであろう。・・・」

d:「【0031】
・・・医療装置に取り付けられたねじ付きクランプは、カテーテルの先端から押し出されて医療装置が配置される方法を操作者が制御できるようにする。装置がカテーテルを出るとき、好ましい緊張解除状態の形状に弾性的に復元する傾向を示す。装置がこの形状にスプリングバックにより復元するとき、装置はカテーテルの先端に対して作用し、カテーテルの端部を超えて前方へ自体を効果的に押し進める傾向を示す。・・・」

e:「【0032】
この医療装置は折畳み形状に折畳まれてカテーテルの管腔に挿入される。装置の折畳み形状はカテーテルの管腔を通して容易に送り込め、またカテーテル先端から出て適当に配置できる適当な形状にすることができる。例えば、TIPS閉塞装置は比較的細長い折畳み形状を有することができ、それにおいて装置は長手方向軸線に沿って伸長される(図11を参照)。この折畳み形状は、例えば手でクランプを握って開くように引っ張ることにより、装置を軸線に沿って引き伸ばすだけで達成でき、これが装置の緊張解除状態の直径部分をその軸線へ向けて内方へ折畳まれる傾向を示す。カテーテル内へのそのような装置の装填は移植時に行われ、挿入装置またはカテーテルへの事前装填は要求されない。」

f:「【0033】
・・・当業者は閉塞を行う膜、繊維または網が装置のまわり、または内部にて部分的または完全に包み込み、導通部をさらに形成することを認識するであろう(図12?図14を参照)。」

g:「【0034】
図面は装置の中央部分を通って通路が延在する分流器の幾つかの実施例を示している。当業者は、各々の実施例が特定の医療処置に特に好適であることを認識するであろう。図1?図3および図15?図16を参照すれば、分流器10はTIPSの形成に特に好適である。その緊張解除状態の引っ張られていない状態(図2および図15を参照)では、分流器10は一般に中空の中央部分16で互いに連結された2つの接合されたディスク12,14を含む。限定する意図はないが、分流器10の形成時に、管状編み物(各拡径部分12,14を形成する領域において)は、その全体サイズを減少するために特に平坦状(図9?図11も参照)にされている。当業者は、平坦状にされた拡径部分12,14はシール縁部を形成するように互いに内方へ向けて湾曲されることを認識するであろう。」

h:「【0037】
さらに、上述したように、分流器10の金属織物外面または金属織物内面の一部分または全部が生体適合部材40(図12?図14および図21?図23を参照)によって包み込むことができる。限定する意図はないが、閉塞部材40はデラウェア州のゴア・インコーポレーテッド社で製造されている適当な繊維を含むことができる。」

続いて、図面を参照しつつ上記の各記載について検討する。
ア)摘記事項bの「本発明の目的は、動脈系、静脈系および臓器を経皮にて連通するために好適な装置である・・・」の記載から、摘記事項aの「医療装置」は、動脈系、静脈系および臓器を連通するための装置といえる。
イ)摘記事項eの「例えば、TIPS閉塞装置は比較的細長い折畳み形状を有することができ、それにおいて装置は長手方向軸線に沿って伸長される(図11を参照)。この折畳み形状は、例えば手でクランプを握って開くように引っ張ることにより、装置を軸線に沿って引き伸ばすだけで達成でき、これが装置の緊張解除状態の直径部分をその軸線へ向けて内方へ折畳まれる傾向を示す。」、摘記事項dの「緊張解除状態の形状に弾性的に復元する」、摘記事項gの「緊張解除状態の引っ張られていない状態」の各記載によれば、摘記事項aの「折畳まれた形状」は、長手方向軸線に沿って引っ張られ伸長された細長い折畳み形状であり、また、摘記事項aの「緊張解除状態における形状」は、引っ張られていない状態で復元した形状といえる。
ウ)摘記事項fの「閉塞を行う膜、繊維または網が装置のまわり、または内部にて部分的または完全に包み込み、導通部をさらに形成する」、摘記事項hの「分流器10の金属織物外面または金属織物内面の一部分または全部が生体適合部材40(図12?図14および図21?図23を参照)によって包み込むことができる。」の各記載及び図12等の図示内容からみて、摘記事項aの「金属織物」は、部分的または完全に膜により包み込まれているものといえる。
エ)摘記事項gの「緊張解除状態の引っ張られていない状態(図2および図15を参照)では、分流器10は一般に中空の中央部分16で互いに連結された2つの接合されたディスク12,14を含む。」の記載及び図2等の図示内容からみて、摘記事項aの「金属織物」は、その両端である基端及び先端において拡径部分を有しているものといえる。
また、図1、図9の図示内容からみて、摘記事項aの「金属織物」は、その両端である基端及び先端において拡径部分を有し、また、摘記事項aの「中央部分」の形状は、円筒形状といえる。

以上を総合すると、引用例には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「動脈系、静脈系および臓器を連通するための医療装置であって、
基端および先端を有する複数の編んだ金属糸を含む金属織物を包含し、
前記金属織物は、基端および先端における2つの拡径部分と前記2つの拡径部分の間に位置する円筒形状の中央部分とを有する緊張解除状態における形状を有し、前記中央部分は前記2つの拡径部分の各々の外面の間で延在する通路を含み、さらに患者の体内通路を通して導くことができるように折畳まれた形状を有し、
前記折畳まれた形状は、長手方向軸線に沿って引っ張られ伸長された細長い折畳み形状であり、
前記緊張解除状態における形状は、引っ張られていない状態で復元した形状であり、
前記金属織物は、部分的または完全に膜により包み込まれている、医療装置。」

3-2 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
ア)本願明細書における「本発明の装置の使用は、・・・胆嚢の腸への連通を含む適用例に有用である」(摘記事項c)の記載を参酌すれば、引用発明の「動脈系、静脈系および臓器を連通」には、「胆嚢の腸への連通」も含まれるところ、胆嚢及び腸(十二指腸)は、隣接する臓器といえるし、また、胆嚢と腸とが連通された結果、両者は貫通され、その間に胆汁の流れる流路が形成されることも明らかである。
よって、引用発明の「動脈系、静脈系および臓器を連通するための医療装置」は、本願補正発明の「隣接する組織において貫通を介して配置されるとともにこれらの間に流路を形成する医療デバイス」に相当する。
イ)引用発明における「複数の編んだ金属糸を含む金属織物」は、その文言、機能等からみて、本願補正発明の「織物フィラメント編組から形成される本体」に相当し、以下同様に、「基端」は「近位端部」に、「先端」は「遠位端部」に、「円筒形状の中央部分」は「円筒形のサドル領域」に、「拡径部分」は「径方向に拡張されて、フレア付け(flare)されたフランジ構造」に相当する。
また、引用発明の「緊張解除状態における形状」は、「引っ張られていない状態で復元した形状」であるから、本願補正発明の「短縮された構成」に相当する。
よって、「基端および先端を有する複数の編んだ金属糸を含む金属織物を包含し、前記金属織物は、基端および先端における2つの拡径部分と前記2つの拡径部分の間に位置する円筒形状の中央部分とを有する緊張解除状態における形状を有し」なる事項を具備する引用発明は、「織物フィラメント編組から形成される本体であって、同本体は、」「短縮された構成を有し、前記本体の近位端部および遠位端部は、前記短縮された構成において同近位端部と遠位端部との間に円筒形のサドル領域を残すように径方向に拡張されて、フレア付けされたフランジ構造とな」るという「本体」を備える点で本願補正発明と一致する。
ウ)引用発明の「折畳まれた形状」は、「長手方向軸線に沿って引っ張られ伸長された細長い折畳み形状」であるから、本願補正発明の「細長い管状構成」に相当する。
また、引用発明の「金属織物」は、「中央部分は前記2つの拡径部分の各々の外面の間で延在する通路を含」むところ、当該「中央部分」は、「金属織物」が「長手方向軸線に沿って引っ張られ伸長された細長い」状態においても、また「緊張解除状態」の「引っ張られていない状態」においても、「2つの拡径部分の各々の外面の間で延在する通路を含」むものといえる。
よって、引用発明は、「本体は、細長い管状構成」「を有し、」「前記本体は、前記細長い管状構成および前記短縮された構成において中心軸に沿った開放性通路を規定する」点において、本願補正発明と一致する。
エ)引用発明では、「金属織物は、部分的または完全に膜により包み込まれている」のであるから、引用発明は、「本体の少なくとも一部を覆う膜」を備える点で本願補正発明と一致する。
オ)引用発明の「折畳まれた形状」が、「長手方向軸線に沿って引っ張られ伸長された細長い折畳み形状」であり、また「緊張解除状態における形状」が、「引っ張られていない状態で復元した形状」であることを踏まえると、引用発明において、「緊張解除状態における形状」での「金属織物」の長さが、「折畳まれた形状」での「金属織物」の長さより短いことは明らかである。
よって、本願補正発明と引用発明とは、“短縮された構成において、本体の長さは、細長い管状構成における前記本体の長さよりも短い”点で共通する。

以上によれば、本願補正発明と引用発明との一致点及び相違点は次のとおりである。
(一致点)
隣接する組織において貫通を介して配置されるとともにこれらの間に流路を形成する医療デバイスであって、
織物フィラメント編組から形成される本体であって、同本体は、細長い管状構成および短縮された構成を有し、前記本体の近位端部および遠位端部は、前記短縮された構成において同近位端部と遠位端部との間に円筒形のサドル領域を残すように径方向に拡張されて、フレア付けされたフランジ構造となり、前記本体は、前記細長い管状構成および前記短縮された構成において中心軸に沿った開放性通路を規定する、本体と、
前記本体の少なくとも一部を覆う膜と
を備え、
前記短縮された構成において、前記本体の長さは、前記細長い管状構成における前記本体の長さよりも短い、医療デバイス。

(相違点)
本体の長さに関し、本願補正発明では、「短縮された構成において、前記本体の長さは、前記細長い管状構成における前記本体の長さよりも少なくとも40%短い」のに対し、引用発明では、短縮された構成において、本体の長さは、細長い管状構成における前記本体の長さよりも短いものの、どの程度短いのか明らかでない点。

3-3 判断
上記相違点について検討する。
引用発明において、短縮された構成における医療デバイスの寸法に関し、円筒形のサドル領域の長さは、連通される臓器間の距離や臓器の組織壁の厚さ等に応じて決定されるべきものであり、また、フランジ構造の直径及び長さは、連通される臓器の種類や大きさ等に応じて決定されるべきものであるから、医療デバイスの全長を具体的な用途に応じて最適化することは当業者が適宜になし得ることである。
また、引用発明の細長い管状構成に関し、本体を長手方向に引っ張ってどの程度伸長させるかは、「患者の体内通路を通して導くことができる」範囲で、当業者が自由に設定し得るところである。
そうすると、短縮された構成における本体の長さ、細長い管状構成における本体の長さは、いずれも当業者が適宜に定め得る事項といえるのであるから、各長さを、医療デバイスの具体的用途や操作性等を踏まえつつ適宜に最適化し、相違点における前者の特定事項とすることは当業者であれば容易になし得たことである。
そして、短縮された構成における本体の長さを、細長い管状構成における本体の長さよりも短くする程度として「少なくとも40%」という数値を採用することによる効果も、引用発明から当業者が予測し得る程度のものであって格別なものとはいえず、また、臨界的なものともいえない。

3-4 小括
よって、本願補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。


III.本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成28年10月4日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
隣接する組織において貫通を介して配置されるとともにこれらの間に流路を形成する医療デバイスであって、
織物フィラメント編組から形成される本体であって、同本体は、細長い管状構成および短縮された構成を有し、前記本体の近位端部および遠位端部は、同近位端部と遠位端部との間に円筒形のサドル領域を残すように径方向に拡張されて、フレア付け(flare)されたフランジ構造となり、前記本体は、前記細長い管状構成および前記短縮された構成において中心軸に沿った開放性通路を規定する、本体と、
前記本体の少なくとも一部を覆う膜と
を備え、
前記短縮された構成において、前記本体の長さは、前記細長い管状構成における前記本体の長さよりも少なくとも40%短い、医療デバイス。」

2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?15に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献:特表2003-527939号公報(上記「引用例」に同じ。)

3 引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項は、前記II.3-1に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記II.1の本願補正発明から、前記II.2で指摘した限定事項を省いたものに相当する発明である。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記II.3-2、3-3に示したとおり、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様に、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。


IV.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-02-05 
結審通知日 2019-02-12 
審決日 2019-02-25 
出願番号 特願2015-93807(P2015-93807)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中村 一雄  
特許庁審判長 高木 彰
特許庁審判官 二階堂 恭弘
関谷 一夫
発明の名称 組織層を固定するための組織アンカ  
代理人 本田 淳  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

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