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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1353474
審判番号 不服2018-6958  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-22 
確定日 2019-07-11 
事件の表示 特願2013-151997号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 2日出願公開、特開2015- 19969号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月22日の出願であって、平成28年4月22日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年7月4日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年12月19日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年2月20日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年7月28日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年10月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成30年3月12日付け(発送日:平成30年3月20日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成30年5月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、これに対し、当審において、平成30年12月25日付けで拒絶の理由が通知され、平成31年2月22日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1?4に係る発明は、平成31年2月22日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである(A?Nは、本願発明1を分説するために当審で付与した。)。
「【請求項1】
A 遊技媒体の投入操作を検出する投入操作検出手段と、
B 前記投入操作検出手段による投入操作の検出に基づいて遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
C 前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて予め定められた確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
D 複数の表示列によって構成され、前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて、遊技に必要な図柄を変動表示する変動表示手段と、
E 遊技者による停止操作の検出を行う停止操作検出手段と、
F 前記内部当籤役決定手段の決定結果と前記停止操作検出手段による停止操作の検出とに基づいて、前記図柄の変動表示を停止させる停止制御手段と、
G 前記複数の表示列における前記変動表示の停止により、前記複数の表示列に亘って延びる入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せに応じて遊技媒体を付与する遊技媒体付与手段と、
H 前記内部当籤役決定手段によって特定内部当籤役が決定され、該特定内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高くなる特定遊技を開始し、前記内部当籤役決定手段によって特別内部当籤役が決定され、該特別内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高く、且つ、前記特定遊技よりも得られる遊技媒体が少ない特別遊技を開始する特別遊技開始手段と、
I 前記内部当籤役決定手段により再遊技に係る内部当籤役が決定される確率を規定するRT状態を、所定の遷移条件に基づいて遷移させるRT状態遷移手段と、を備え、
I1 前記RT状態遷移手段は、前記特定遊技が終了すると、RT状態を第1RT状態に遷移させ、前記特別遊技が終了すると、RT状態を第2RT状態に遷移させ、前記第1RT状態及び前記第2RT状態において、所定の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると、第3RT状態に遷移させ、
J 前記第1RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が所定の確率で決定され、前記第2RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第1RT状態よりも高い確率で決定され、前記第3RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第2RT状態よりも高い確率で決定され、
K 前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合に、前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定され、
L 前記特殊遊技状態は、前記内部当籤役に応じた図柄の組合せを前記複数の表示列に跨る判定ライン上に表示するための表示補助情報が報知され、遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態が少なくとも所定期間行われるものであり、前記第3RT状態において特殊の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると移行し、
M 前記所定期間は、前記特殊遊技状態に移行したときに計数が開始される
N ことを特徴とする遊技機。」

第3 当審拒絶理由の概要
平成30年12月25日付けの当審における拒絶の理由の概要は、以下の通りである。

1.(進歩性)本件出願の請求項1?4に記載された発明(以下、「本願発明1?4」という。)は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

●理由1(進歩性)について
●本願発明1について
・引用例 1?2

1.特開2008-12049号公報
2.特開2012-24222号公報(新たに引用された文献。新たに引用された周知技術を示す文献。)
3.特開2008-67952号公報(新たに引用された周知技術を示す文献)
4.特開2008-206706号公報(新たに引用された周知技術を示す文献)

第4 引用例に記載された事項
1 引用例1
当審における拒絶の理由(平成30年12月25日付け拒絶理由通知書)に引用例1として引用された本願の出願日前に頒布された特開2008-12049号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(ア)「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0009】
本発明はかかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、スロットマシン本来の遊技性を踏襲しつつ、遊技者に有利な遊技状態の発生に対して遊技者に適度な期待感を与え、遊技の興趣を向上させることができるスロットマシンを提供することである。」

(イ)「【0062】
また、特殊表示結果が導出されたとき(ステップS907、S909、S911のいずれかにおいてYES)に特殊遊技状態(対応するボーナス(1)中フラグを設定した状態)に遊技状態を制御する特殊遊技状態制御手段(ステップS908、S910、S912)と、特殊遊技状態制御手段により特殊遊技状態に制御されているときに、小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くする特別ゲーム(レギュラーボーナス、チャレンジタイム)に所定期間(12ゲームに到達するか、8回入賞するまでの期間、1ゲーム、ステップS1005においてYESと判定されるまで、ステップS1006bにおいてYESと判定されるまで)制御する特別ゲーム制御手段をさらに備えるように構成してもよい。このような構成によれば、特殊遊技状態においても小役表示結果の出現頻度が高くなるので、特別遊技状態または特殊遊技状態のうちいずれかに制御されているかもしれないといった期待感を遊技者に抱かせることができる場合が多くなり、適度な期待感を遊技者に与えることができる。」

(ウ)「【0102】
可変表示装置2には、リール3L、3C、3R各々の上段から構成される第1ライン、リール3L、3C、3R各々の下段から構成される第2ライン、リール3L、3C各々の上段とリール3Rの下段から構成される第3ライン、リール3L、3C各々の下段とリール3Rの上段から構成される第4ライン、リール3Lの上段とリール3C、3R各々の下段から構成される第5ライン、リール3Lの下段とリール3C、3R各々の上段から構成される第6ライン、リール3L、3R各々の上段とリール3Cの下段から構成される第7ライン、およびリール3L、3R各々の下段とリール3Cの上段から構成される第8ラインの合計8本の入賞ラインが設定される。すなわち、入賞ラインには、リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成されるすべてのラインが含まれる。このように入賞ラインが設けられているため、後述する各役を構成する図柄を、リール3L、3C、3R各々の上段または下段に停止させることにより入賞させることができる。リール3L、3C、3Rに描かれた図柄と、リール3L、3C、3Rの停止制御については、さらに詳しく後述するものとする。
・・・
【0109】
メダル投入口13は、遊技者がここからメダルを投入するものであり、投入指示表示部29が点灯しているときにメダルの投入が投入メダルセンサ44(図3参照)によって検出されると、賭数が設定され、あるいはクレジットがデータとして蓄積される。1枚BETボタン14およびMAXBETボタン15は、データとして蓄積されているクレジットから賭数(それぞれ1、3)を設定する際に遊技者が操作するボタンであり、遊技者によって操作されたことが1枚BETスイッチ45(図3参照)またはMAXBETスイッチ46(図3参照)によって検出されると、クレジットからの賭数の設定が行なわれる。
【0110】
メダル投入口13からのメダルの投入、1枚BETボタン14またはMAXBETボタン15の操作により各ゲームで設定できる賭数は、何れの遊技状態においても3である。賭数が設定されると、スタートレバー11が操作受付可能となり、ゲームを開始させることができる。精算ボタン16は、クレジットの払い出しを指示するためのボタンであり、精算スイッチ47(図3参照)によって操作が検出されると、データとして蓄積されたクレジットに応じたメダルが払い出される。
【0111】
その台状部分の垂直面には、スタートレバー11と、停止ボタン12L、12C、12Rと、メダルが詰まったときなどにおいてスロットマシン1に機械的に振動を与えるメダル詰まり解消ボタン18とが設けられている。スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41(図3参照)によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する。リール3L、3C、3Rが回転開始した後所定の条件が成立することにより停止ボタン12L、12C、12Rの操作が可能となると、その内部に備えられた操作有効ランプ63L、63C、63R(図3参照)が点灯状態となって、その旨が遊技者に示される。
【0112】
停止ボタン12L、12C、12Rは、それぞれ遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R(図3参照)で検出されると、リール3L、3C、3Rの回転が停止される。停止ボタン12L、12C、12Rの操作から対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ミリ秒である。リール3L、3C、3Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190ミリ秒の間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、停止ボタン12L、12C、12Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。」

(エ)「【0121】
遊技制御基板101は、スロットマシン1における遊技の進行全体の流れを制御するメイン側の制御基板であり、CPU111、RAM112、ROM113およびI/Oポート114を含む1チップマイクロコンピュータからなる制御部110を搭載している。また、乱数発生回路115、サンプリング回路116、電源監視回路117、リセット回路118等の回路を搭載している。」

(オ)「【0148】
上記スロットマシン1においては、可変表示装置2のいずれかの入賞ライン上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)、チャレンジボーナス(2)、チャレンジボーナス(3)のいずれかへの移行を伴う特別役と、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役とがある。なお、ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)を単にビッグボーナスといい、チャレンジボーナス(1)、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)を単にチャレンジボーナスという場合もある。また、ビッグボーナスをBBと示す場合があり、チャレンジボーナスをCBと示す場合がある。ビッグボーナスおよびチャレンジボーナスを単にボーナスという場合もある。
【0149】
図5(a)は、このスロットマシン1において入賞となる役の種類、可変表示装置2における図柄の組合せ、ボーナスの終了条件、および次のゲームから移行されるRTの種類を説明する図である。本実施の形態におけるRTの種類としては、再遊技役に当選する確率が各々異なるRT1?RT7が設けられている。なお、RT1?RT7に制御されている遊技状態を単にRTという場合もある。
【0150】
ビッグボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「赤7-赤7-赤7」の組合せが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃ったときに入賞となる。ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)が入賞すると、遊技状態がそれぞれビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)に移行する。ビッグボーナス(1)とビッグボーナス(2)とでは、払出メダル枚数の上限と、その終了後に制御されるRTの種類とに違いがある。
【0151】
ビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)においては、当該ビッグボーナス(1)または当該ビッグボーナス(2)が終了するまで、12ゲームを消化したことまたは8ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したことにより終了条件が成立するレギュラーボーナス(RBと示す場合もある)に、繰り返し制御される。遊技状態がビッグボーナス(1)またはビッグボーナス(2)にある間は、それぞれビッグボーナス(1)中フラグまたはビッグボーナス(2)中フラグがRAM112に設定される。また、遊技状態がレギュラーボーナスにある間は、レギュラーボーナス中フラグがRAM112に設定される。
【0152】
ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)は、各々、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了する。ビッグボーナス(1)およびビッグボーナス(2)に内部当選してから、該当選したビッグボーナスが入賞するまでの間、RT7に遊技状態が制御される。また、ビッグボーナス(1)の終了後は、予め規定されている50ゲームの間だけRT1に遊技状態が制御される。また、ビッグボーナス(2)の終了後は、予め規定されている50ゲームの間だけRT2に遊技状態が制御される。ただし、RT1またはRT2に遊技状態が制御されているときに、ビッグボーナスやチャレンジボーナスの特別役に入賞すると、規定のゲーム数が残っていても、その時点でRT1またはRT2が終了する。
・・・
【0154】
チャレンジボーナス(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「BAR-BAR-BAR」の組合せが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-2-1」の組合せが揃ったときに入賞となる。チャレンジボーナス(3)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-2-リプレイ1」の組合せが揃ったときに入賞となる。これにより、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)が導出されたのかどうかが遊技者にとって識別しづらくなり、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)の導出をより一層遊技者に気づかせにくくすることができる。
【0155】
チャレンジボーナス(1)、チャレンジボーナス(2)またはチャレンジボーナス(3)が入賞すると、遊技状態がそれぞれチャレンジボーナス(1)、チャレンジボーナス(2)またはチャレンジボーナス(3)に移行する。チャレンジボーナス(1)と、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)とは、払出メダル枚数の上限と、その終了後に制御されるRTの種類とに違いがある。また、チャレンジボーナス(2)と、チャレンジボーナス(3)とは、終了後に制御されるRTの種類に違いがある。」

(カ)「【0159】
一方、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)は、各々、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了する。よって、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)は、スイカ、ベルが入賞したときの払出枚数が15枚であることから、チャレンジボーナスに継続して制御されるゲーム数の期待値が2ゲームとなるように設定されている。なお、チャレンジボーナスに継続して制御されるゲーム数の期待値が2ゲームであるものに限らず、期待値が複数ゲームであればどのようなものであってもよい。チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態が制御される。また、チャレンジボーナス(3)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT5に遊技状態が制御される。ただし、RT4またはRT5に遊技状態が制御されているときに、ビッグボーナスやチャレンジボーナスの特別役に入賞すると、規定のゲーム数が残っていても、その時点でRT4またはRT5が終了する。
【0160】
後述する内部抽選においてビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)に当選していても、停止ボタン12L、12C、12Rをこれらの役に入賞可能とする適正な操作手順で操作しなければ、これらの役に入賞することはない。ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)を構成する図柄が、リール3L、3C、3R各々において7コマ以内に配置されていないためである。もっとも、適正な操作手順で操作されずに、これらの役に入賞しなかった場合には、これらの役に当選しているときも当選していないときにも導出可能となるチャンス目(入賞の観点で言うと、ハズレ)が導出されることがある。ハズレの表示結果には、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)に当選していないときのみに導出可能となるハズレ目もある。
【0161】
一方、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、およびチャレンジボーナス(1)以外の、チャレンジボーナス(2)、チャレンジボーナス(3)、チェリー、ベル、スイカ、リプレイ(1)、リプレイ(2)、リプレイ(3)、リプレイ(4)が後述する内部抽選において当選したときには、これらの役を構成する図柄が、リール3L、3C、3R各々において7コマ以内に配置されているため、停止ボタン12L、12C、12Rを操作したタイミングに関わらず入賞可能なものとなっている。
・・・
【0165】
リプレイ(1)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「リプレイ1-2-4」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-4-1」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(3)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(4)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-1-4」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイに入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数3に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0166】
また、リプレイ(2)入賞したときには、予め規定されている103ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。リプレイ(3)入賞したときには、予め規定されている203ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。リプレイ(4)入賞したときには、予め規定されている303ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。ただし、RT6に遊技状態が制御されているときに、ビッグボーナスやチャレンジボーナスの特別役に入賞すると、規定のゲーム数が残っていても、その時点でRT6が終了する。
【0167】
以下、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞(入賞表示結果の導出)を許容するかどうかを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートレバー11の操作時)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路115から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、設定スイッチ91により設定された設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行なわれる。内部抽選における当選は、排他的なものである。」

(キ)「【0179】
図6(a)は、遊技状態が通常遊技状態であるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数を示す図である。たとえば、設定値が1のときに、内部抽選の対象役がビッグボーナス(1)であるときに「20」が、ビッグボーナス(2)であるときに「19」が、チャレンジボーナス(1)であるときに「25」が、チャレンジボーナス(2)であるときに「40」が、チャレンジボーナス(3)であるときに「20」が、ビッグボーナス(1)+チェリーであるときに「30」が、ビッグボーナス(2)+チェリーであるときに「30」が、チャレンジボーナス(1)+チェリーであるときに「20」が、ビッグボーナス(1)+スイカであるときに「38」が、ビッグボーナス(2)+スイカであるときに「38」が、ベルであるときに「10200」が、チェリーであるときに「432」が、スイカであるときに「180」が、リプレイ(1)であるときに「8978」が、リプレイ(2)であるときに「1」が、リプレイ(3)であるときに「1」が、リプレイ(4)であるときに「1」が、判定値数として取得される。図6(a)には、設定値が2?4のときについても同様に、内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数が示されている。
・・・
【0182】
図6(b)?図6(h)は、遊技状態がRTであるときであって、リプレイ(1)?(4)の内部抽選において取得される判定値数を示す図である。なお、遊技状態がRTであるときの、リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は、図6(a)で示した判定値数と同様である。すなわち、遊技状態がRTであるときの内部抽選において取得される各抽選対象役の判定値数は、図6(a)で示したリプレイ(1)?(4)の内部抽選において取得される判定値数を、図6(b)?(h)で示すリプレイ(1)?(4)の内部抽選において取得される判定値数に置き換えたものとなる。
・・・
【0190】
図6(a)?図6(h)で示したように、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率が、通常遊技状態であるときに(8978+1+1+1)/65536=13.7%となり、RT1であるときに(12000+524+98+33)/65536=19.3%となり、RT2であるときに(12000+100+200+100)/65536=18.9%となり、RT3であるときに(12000+50+100+150)/65536=18.7%となり、RT4であるときに(8979+1000+400+100)/65536=15.9%となり、RT5であるときに(8979+2000+2000+2000)/65536=22.8%となり、RT6であるときに(38000+2+2+2)/65536=57.9%となり、RT7であるときに(20000+2+2+2)/65536=30.5%となるように判定値数が設定されている。このように、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときよりもRT1?RT7のときの方が高くなるように判定値数が設定されている。このため、RT1?R7は、通常遊技状態であるときよりも遊技者にとって有利な遊技状態といえる。」

(ク)「【0196】
次に、リール3L、3C、3Rの停止制御について説明する。CPU111は、リールの回転が開始したとき、および、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM113に格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、停止ボタン12L、12C、12Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作された停止ボタン12L、12C、12Rに対応するリール3L、3C、3Rの回転を停止させる制御を行なう。」

(ケ)「【0235】
図11は、遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理を示すフローチャートである。この処理は、電源を投入し、所定のブート処理を行なった後、または設定スイッチ91の操作により設定変更を行なった直後にも実行される。1ゲームの処理が開始すると、まず、RAM112の所定の領域をクリアする処理を含む初期処理が行なわれる(ステップS401)。初期処理においてクリアされるRAM112の所定の領域とは、たとえば、スタック領域112-6の未使用スタック領域、未使用領域112-8等である。初期処理におけるスタック領域112-6の未使用スタック領域のクリア処理は、前述したように格納アドレスの次のアドレスからスタック領域112-6の最終アドレスまでの領域が特定され、当該特定された領域をクリアすることにより行なわれる。
・・・
【0238】
BET処理により賭数が設定され、スタートレバー11が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行なう(ステップS403)。抽選処理では、RAM112における当選フラグの設定状況を示す当選状況通知コマンドが演出制御基板102に送信される。なお、抽選処理の詳細については後述する。
・・・
【0240】
リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上に上記したいずれかの役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれる(ステップS405)。この入賞判定処理でいずれかの役に入賞したと判定されると、遊技制御基板101において発生した入賞に応じた各種の処理が行なわれる。ここで、入賞の判定結果を示す入賞情報コマンドが演出制御基板102に送られる。なお、入賞判定処理の詳細については後述する。
【0241】
入賞判定処理が終了すると、払出処理が行なわれる(ステップS406)。払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出しまたはクレジット加算させる。ただし、データとして蓄積されているクレジットの数が50に達した場合は、ホッパーモータ82を駆動させることにより、超過した枚数のメダルをメダル払い出し口71から払い出させる。また、入賞に関わらない各種の処理(たとえば、ビッグボーナスの終了制御に関する処理や、持ち越しのない当選フラグの消去など)も行なわれる。払出処理の最後、すなわち1ゲームの最後で次のゲームの遊技状態を示す遊技状態コマンドが演出制御基板102に送られる。なお、払出処理の詳細については後述する。」

(コ)「【0279】
次に、ステップS404のリール回転処理について詳しく説明する。図16は、CPU111がステップS404で実行するリール回転処理を詳細に示すフローチャートである。リール回転処理では、まず、前のゲームのリール回転開始時点からウェイトタイム(たとえば、約4.1秒)が経過したか否かを判定し(ステップS801)、ウェイトタイムが経過していなければ、ウェイトタイムが経過するまで待機する。ウェイトタイムが経過していれば、ウェイトタイムの計時を新たに開始する(ステップS802)。
【0280】
次に、リールモータの回転開始時のワーク初期化コードをレジスタに設定し、リールの回転を開始させる(ステップS803)。ここで、リール3L、3C、3Rが回転開始したことを示すリール回転コマンドを生成し、演出制御基板102に送信する(ステップS804)。そして、テーブルインデックスを参照して、テーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データに基づいて、当該ゲームの遊技状態、内部当選状況、他のリールの停止状況に対応する停止制御テーブルを、回転中のリール別に作成し(ステップS805)、停止準備完了時のワーク初期化コードをレジスタに設定する(ステップS806)。これにより、停止ボタン12L、12C、12Rの操作が有効となる。」

(サ)「【0335】
以上のようなゲームの繰り返しにおいて、遊技制御基板101のCPU111は、通常の遊技状態、RT1?RT7、ビッグボーナス、チャレンジボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており、遊技の進行状況に応じてコマンドを演出制御基板102に送信している。これに対して、演出制御基板102のCPU121は、遊技制御基板101から受信したコマンドに基づいて、独自の演出を行なっている。以下、演出制御基板102側の制御により行なわれる演出の処理について説明する。」

(シ)「【0441】
(23) 前述した実施の形態においては、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた複数の停止制御テーブルのうち、全てのリールが回転中においては、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行なわれる。一方、いずれかのリールがすでに停止している場合においては、各遊技状態のそれぞれについての内部当選状態、停止済みのリールの停止位置に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行なわれるようになっており、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置(表示結果))の全てが同1条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行なわれることとなる。このため、従来のように一の内部当選状態に対して複数の停止制御テーブルからいずれか1つの停止制御テーブルを内部抽選とは異なる抽選(たとえばリール制御の振分抽選など)などによりさらに選択する必要がなく、リールを停止させる際の制御が複雑化することがない。」

(ス)「【0446】
本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形態様について説明する。
【0447】
(1) 上記の実施の形態では、図5(a)、図15のステップS719、S723、S727で説明したように、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)のいずれかに当選したときに、当該ボーナスが入賞するまでRT7に制御し、かつ図5(a)、図18のステップS1013、S1016、S1019で説明したように、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)が終了した後に、RT1?RT3に制御する例について説明した。しかし、これに限らず、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)のいずれかに当選した場合であってもRT7に制御せず、当選前の遊技状態に引き続き継続して制御するように構成してもよい。また、ビッグボーナス(1)、ビッグボーナス(2)、チャレンジボーナス(1)が終了した後に、RT1?RT3に制御せず、通常遊技状態に制御するように構成してもよい。すなわち、RTへの移行は、チャレンジボーナス(2)、チャレンジボーナス(3)、リプレイ(2)?(4)のいずれかに入賞した場合に限り、入賞役に対応したRTに制御するように構成してもよい。」

(セ)「【0479】
(28) 上記の実施の形態では、チャレンジボーナス(2)が入賞となる図柄の組合せが「1-2-1」である場合について説明した。しかし、チャレンジボーナス(2)が入賞となる図柄の組合せとしては、これに限らず、たとえば、「1-2-BAR」等、チャレンジボーナス(2)を構成する図柄がリール3L、3C、3R各々において異なるように構成してもよい。なお、前述したようにチャレンジボーナス(3)が入賞となる図柄の組合せが「1-2-リプレイ1」でありリール3L、3C、3R各々において異なるように構成されている。このため、チャンスRTに遊技状態を制御させる契機となるチャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)が入賞となる図柄の組合せを、リール3L、3C、3R各々において異ならせることができ、チャレンジボーナス(2)およびチャレンジボーナス(3)に入賞したかどうかが遊技者にとって識別しづらくなり、チャレンジボーナス(2)入賞およびチャレンジボーナス(3)入賞を遊技者に気づかせにくくすることができる。」

上記記載事項(ア)?(セ)より、以下の事項が導かれる。
なお、(a)?(k)、(n)は、本願発明1の構成A?K、Nに対応した事項を示している。
また、上記【0447】、【0479】に記載された(1)、(28)は、実施の形態の変形態様であり、(1)、(28)は互いに関連性はなく、(1)、(28)を同時に適用できないような阻害要因はない。

(a)上記【0109】には「メダルの投入が投入メダルセンサ44・・・によって検出される」と記載されているから、引用例1には、メダルの投入を検出する投入メダルセンサ44が記載されている。

(b)上記【0109】には「メダルの投入が投入メダルセンサ44・・・によって検出されると、賭数が設定され、」と記載され、上記【0110】には「賭数が設定されると、スタートレバー11が操作受付可能となり、」と記載され、上記【0111】には「スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41・・・によって検出されると、」と記載されているから、引用例1には、メダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭数が設定され、スタートレバー11が操作受付可能となり、ゲームを開始する際に遊技者のスタートレバー11の操作を検出するスタートスイッチ41が記載されている。

(c)上記【0238】には「スタートレバー11が操作されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた各役への入賞を許容するかどうかを決定する抽選処理を行なう」と記載され、上記【0111】には「スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41・・・によって検出されると、」と記載され、上記【0190】には「リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときよりもRT1?RT7のときの方が高くなるように判定値数が設定されている」と記載され、【0167】には「内部抽選は、・・・各役への入賞(入賞表示結果の導出)を許容するかどうかを、・・・決定するもの」と記載され、【0235】には「遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理」と記載されているから、引用例1には、スタートレバー11が操作され、その操作がスタートスイッチ41によって検出されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた確率で各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選を行うCPU111が記載されている。

(d)上記【0111】には「スタートレバー11は、ゲームを開始する際に遊技者が操作するもので、その操作がスタートスイッチ41・・・によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRが駆動開始され、リール3L、3C、3Rが回転開始する」と記載され、上記【0102】には「各役を構成する図柄を、リール3L、3C、3R各々の上段または下段・・・リール3L、3C、3Rに描かれた図柄」と記載され、上記【0279】には「CPU111が・・・実行するリール回転処理」と記載され、上記【0280】には「リールの回転を開始させる」と記載されているから、引用例1には、スタートレバー11の操作がスタートスイッチ41によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRを駆動開始し、各役を構成する図柄が描かれたリール3L、3C、3Rの回転を開始するCPU111と、上記リール3L、3C、3Rが記載されている。

(e)上記【0112】には「停止ボタン12L、12C、12Rは、・・・遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、その操作がストップスイッチ42L、42C、42R・・・で検出される・・・停止ボタン12L、12C、12Rの操作から・・・最大で4コマの図柄を引き込むことができる」と記載されているから、引用例1には、遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、最大で4コマの図柄を引き込むことができる停止ボタン12L、12C、12Rの操作を検出するストップスイッチ42L、42C、42Rが記載されている。

(f)上記【0196】には「CPU111は、・・・停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、・・・リール3L、3C、3Rの回転を停止させる制御を行なう」と記載され、上記【0441】には「停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた複数の停止制御テーブルのうち、・・・内部当選状態に対して一意的に定められた停止制御テーブルを選択し、選択した停止制御テーブルに従ってリールの停止制御が行なわれる」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、内部当選状態に対して一意的に定められ、かつ、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行うことが記載されている。

(g)【0235】には「遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理」と記載され、上記【0240】には「リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、入賞ライン上に・・・役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行なわれ・・・いずれかの役に入賞したと判定されると、」と記載され、上記【0102】には「入賞ラインには、リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成される」と記載され、上記【0241】には「払出処理が行なわれる・・・払出処理では、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルの払出し」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成される入賞ライン上に役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われ、いずれかの役に入賞したと判定されると、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルを払出す払出処理を行うことが記載されている。

(h)【0235】には「遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理」と記載され、上記【0150】には「ビッグボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃ったときに入賞となる・・・ビッグボーナス(2)が入賞すると、・・・ビッグボーナス(2)に移行する」と記載され、上記【0160】には「内部抽選において・・・ビッグボーナス(2)・・・に当選し」と記載され、上記【0148】には「メダルの払い出しを伴う小役」と記載され、上記【0062】には「小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くする・・・レギュラーボーナス・・・に・・・制御する」と記載され、上記【0151】には「ビッグボーナス(2)においては、・・・当該ビッグボーナス(2)が終了するまで、・・・レギュラーボーナス・・・に、繰り返し制御される」と記載され、上記【0152】には「ビッグボーナス(2)は、・・・遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに・・・終了する」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてビッグボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするレギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)に移行させることが記載されている。
また、【0235】には「遊技制御基板101のCPU111が1ゲーム毎に行なうゲーム制御処理」と記載され、上記【0154】には「チャレンジボーナス(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-2-1」の組合せが揃ったときに入賞となる」と記載され、上記【0161】には「チャレンジボーナス(2)・・・が・・・内部抽選において当選し」と記載され、上記【0479】には「チャレンジボーナス(2)が入賞となる図柄の組合せとしては、・・・「1-2-BAR」・・・に・・・してもよい」と記載され、上記【0148】には「メダルの払い出しを伴う小役」と記載され、上記【0062】には「小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くする・・・チャレンジタイム・・・に・・・制御する」と記載され、上記【0155】には「チャレンジボーナス(2)・・・が入賞すると、・・・チャレンジボーナス(2)・・・に移行する」と記載され、上記【0159】には「チャレンジボーナス(2)・・・は、・・・遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了する」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「1-2-BAR」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするチャレンジタイムに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了するチャレンジボーナス(2)に移行させることが記載されている。
これらのことから、引用例1には、CPU111は、通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてビッグボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするレギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)に移行させ、
通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「1-2-BAR」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするチャレンジタイムに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了するチャレンジボーナス(2)に移行させることが記載されている。

(i)上記【0182】には「遊技状態がRTであるときの、リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は、図6(a)で示した判定値数と同様である」と記載され、上記【0179】には「図6(a)は、遊技状態が通常遊技状態であるとき」と記載され、上記【0149】には「RTの種類としては、再遊技役に当選する確率が各々異なるRT1?RT7が設けられている。なお、RT1?RT7に制御されている遊技状態を単にRTという場合もある」と記載されているから、引用例1には、リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は同じである、通常遊技状態、RT4、RT6が記載されている。
また、上記【0335】には「CPU111は、通常の遊技状態、RT1?RT7・・・の間で遊技状態の移行を行なっており」と記載され、上記【0190】には「リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率が、通常遊技状態であるときに・・・13.7%となり、RT4であるときに・・・15.9%となり、RT6であるときに・・・57.9%・・・となるように判定値数が設定されている」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかに当選する確率が、それぞれ、13.7%、15.9%、57.9%に設定されている、通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせることが記載されている。
これらのことから、引用例1には、CPU111は、リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は同じであり、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかに当選する確率が、それぞれ、13.7%、15.9%、57.9%に設定されている、通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせることが記載されている。

(i1)上記【0335】には「CPU111は、通常の遊技状態、RT1?RT7、ビッグボーナス、チャレンジボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており」と記載され、上記【0152】には「ビッグボーナス(2)の終了後は、・・・RT2に遊技状態が制御される」と記載され、変形例の記載である上記【0447】には「上記の実施の形態では、・・・ビッグボーナス(2)、・・・が終了した後に、RT1?RT3に制御する例について説明した。しかし、これに限らず、・・・ビッグボーナス(2)・・・が終了した後に、・・・通常遊技状態に制御するように・・・してもよい」と記載され、上記【0159】には「チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態が制御され」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、ビッグボーナス(2)の終了後は、通常遊技状態に制御され、チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態を制御することが記載されている。
また、上記【0335】には「CPU111は、通常の遊技状態、RT1?RT7、ビッグボーナス、チャレンジボーナスの間で遊技状態の移行を行なっており」と記載され、上記【0149】には「RTの種類としては、再遊技役に当選する確率が各々異なるRT1?RT7が設けられている。なお、RT1?RT7に制御されている遊技状態を単にRTという場合もある」と記載され、上記【0165】には「リプレイ(2)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-4-1」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(3)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイ(4)は、通常の遊技状態またはRTにおいて入賞ラインのいずれかに「1-1-4」の組合せが揃ったときに入賞となる。」と記載され、上記【0166】には「リプレイ(2)入賞したときには、予め規定されている103ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。リプレイ(3)入賞したときには、予め規定されている203ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。リプレイ(4)入賞したときには、予め規定されている303ゲームの間だけRT6に遊技状態が制御される。」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、通常遊技状態またはRT4において、入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、予め規定されているゲーム数の間だけRT6に遊技状態を制御することが記載されている。
これらのことから、引用例1には、CPU111は、ビッグボーナス(2)の終了後は、通常遊技状態に制御され、チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態を制御し、
通常遊技状態またはRT4において、入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、予め規定されているゲーム数の間だけRT6に遊技状態を制御することが記載されている。

(j)上記【0190】には「リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率が、通常遊技状態であるときに・・・13.7%となり、・・・RT4であるときに・・・15.9%となり、・・・RT6であるときに・・・57.9%・・・となるように判定値数が設定され」と記載されているから、引用例1には、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときには13.7%となり、RT4であるときには15.9%となり、RT6であるときに57.9%となるように判定値数が設定されていることが記載されている。

(k)上記(h)には「CPU111は、・・・内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、・・・入賞となると、・・・チャレンジボーナス(2)に移行させる」と記載され、上記(i1)には「CPU111は、・・・チャレンジボーナス(2)の終了後は、・・・RT4に遊技状態を制御し、・・・RT4において、入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、・・・RT6に遊技状態を制御する」と記載されているから、引用例1には、CPU111は、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞となると、チャレンジボーナス(2)に移行し、チャレンジボーナス(2)の終了後にRT4に遊技状態を制御し、RT4において入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、RT6に遊技状態を制御することが記載されている。

(n)上記【0121】には「スロットマシン1」と記載されている。

上記記載事項(ア)?(セ)及び上記(a)?(k)、(n)の認定事項から、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?k、nは、発明の構成を分説するため当審で付与した。)。
「a メダルの投入を検出する投入メダルセンサ44と、
b メダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭数が設定され、スタートレバー11が操作受付可能となり、ゲームを開始する際に遊技者のスタートレバー11の操作を検出するスタートスイッチ41と、
c スタートレバー11が操作され、その操作がスタートスイッチ41によって検出されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた確率で各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選を行うCPU111と、
d スタートレバー11の操作がスタートスイッチ41によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRを駆動開始し、各役を構成する図柄が描かれたリール3L、3C、3Rの回転を開始するCPU111と、上記リール3L、3C、3Rと、
e 遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、最大で4コマの図柄を引き込むことができる停止ボタン12L、12C、12Rの操作を検出するストップスイッチ42L、42C、42Rと、を備え、
f CPU111は、内部当選状態に対して一意的に定められ、かつ、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行い、
g CPU111は、リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成される入賞ライン上に役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われ、いずれかの役に入賞したと判定されると、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルを払出す払出処理を行い、
h CPU111は、通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてビッグボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするレギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)に移行させ、
通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「1-2-BAR」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするチャレンジタイムに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了するチャレンジボーナス(2)に移行させ、
i CPU111は、リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は同じであり、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかに当選する確率が、それぞれ、13.7%、15.9%、57.9%に設定されている、通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせ、
i1 CPU111は、ビッグボーナス(2)の終了後は、通常遊技状態に制御され、チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態を制御し、
通常遊技状態またはRT4において、入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、予め規定されているゲーム数の間だけRT6に遊技状態を制御し、
j リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときには13.7%となり、RT4であるときには15.9%となり、RT6であるときに57.9%となるように判定値数が設定され、
k CPU111は、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞となると、チャレンジボーナス(2)に移行し、チャレンジボーナス(2)の終了後にRT4に遊技状態を制御し、RT4において入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、RT6に遊技状態を制御する
n スロットマシン1。」

第5 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

(a)引用発明の「メダルの投入」及び「投入メダルセンサ44」は、それぞれ、本願発明1の「遊技媒体の投入操作」及び「投入操作検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「メダルの投入を検出する投入メダルセンサ44」は、
本願発明1の「遊技媒体の投入操作を検出する投入操作検出手段」に相当する。

(b)引用発明の「スタートレバー11の操作」及び「スタートスイッチ41」は、それぞれ、本願発明1の「開始操作」及び「開始操作検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「メダルの投入が投入メダルセンサ44によって検出されると、賭数が設定され、スタートレバー11が操作受付可能となり、ゲームを開始する際に遊技者のスタートレバー11の操作を検出するスタートスイッチ41」は、
本願発明1の「前記投入操作検出手段による投入操作の検出に基づいて遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段」に相当する。

(c)引用発明の「遊技状態に応じて定められた確率」は、本願発明1の「予め定められた確率」に相当する。
また、引用発明の「各役」は、「内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた確率で」「入賞を許容するかどうかを決定」しているから、本願発明1の「内部当籤役」に相当する。
したがって、引用発明の「スタートレバー11が操作され、その操作がスタートスイッチ41によって検出されると、内部抽選用の乱数を抽出し、抽出した乱数の値に基づいて遊技状態に応じて定められた確率で各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選を行うCPU111」は、
本願発明1の「前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて予め定められた確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段」に相当する。

(d)引用発明の「各役を構成する図柄」は、遊技に必要であるから、本願発明1の「遊技に必要な図柄」に相当する。
また、引用発明の「リール3L、3C、3R」は、3つの「リール3L、3C、3R」からなり、「各役を構成する図柄が描かれ」ているから、本願発明1の「複数の表示列によって構成」に相当する特定事項を有している。
したがって、引用発明の「スタートレバー11の操作がスタートスイッチ41によって検出されると、リール駆動モータ3ML、3MC、3MRを駆動開始し、各役を構成する図柄が描かれたリール3L、3C、3Rの回転を開始するCPU111と、上記リール3L、3C、3R」は、
本願発明1の「複数の表示列によって構成され、前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて、遊技に必要な図柄を変動表示する変動表示手段」に相当する。

(e)引用発明の「停止ボタン12L、12C、12Rの操作」及び「ストップスイッチ42L、42C、42R」は、それぞれ、本願発明1の「停止操作」及び「停止操作検出手段」に相当する。
したがって、引用発明の「遊技者が所望のタイミングでリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作するボタンであり、最大で4コマの図柄を引き込むことができる停止ボタン12L、12C、12Rの操作を検出するストップスイッチ42L、42C、42R」は、
本願発明1の「遊技者による停止操作の検出を行う停止操作検出手段」に相当する。

(f)引用発明の「内部当選状態」は、引用発明における特定事項cの「各役への入賞を許容するかどうかを決定する内部抽選処理を行」う「CPU111」により「内部抽選処理」を行い、「各役」のうちのいずれかの役に当選するという決定結果が出て、当選した役の入賞を許容している状態であるといえるから、引用発明の「内部当選状態に対して一意的に定められ」「た停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行う」ことは、本願発明1の「前記内部当籤役決定手段の決定結果」「に基づいて、前記図柄の変動表示を停止させる」ことに相当する。
また、引用発明の「停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)」は、引用発明における特定事項eの「遊技者がリール3L、3C、3Rの回転を停止させるべく操作する停止ボタン12L、12C、12Rの操作」位置であることは明らかであるから、引用発明の「停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行う」ことは、本願発明1の「前記停止操作検出手段による停止操作の検出」「に基づいて、前記図柄の変動表示を停止させる」ことに相当する。
したがって、引用発明の「内部当選状態に対して一意的に定められ、かつ、停止操作位置(リール基準位置からのステップ数に対して割り当てられた領域)に対して停止位置(表示結果)が一意的に定められた停止制御テーブルに従ってリールの停止制御を行」う「CPU111」は、
本願発明1の「前記内部当籤役決定手段の決定結果と前記停止操作検出手段による停止操作の検出とに基づいて、前記図柄の変動表示を停止させる停止制御手段」に相当する。

(g)引用発明の「リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成される入賞ライン上に」「導出表示され」る「役図柄」は、本願発明1の「前記複数の表示列に亘って延びる入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せ」に相当する。
また、引用発明の「メダル」は、本願発明1の「遊技媒体」に相当する。
したがって、引用発明の「リール3L、3C、3Rの駆動がそれぞれ停止すると、その停止時における表示結果において、リール3L、3C、3R各々の上段または下段の組合せから構成される入賞ライン上に役図柄が導出表示されたかどうかを判定する入賞判定処理が行われ、いずれかの役に入賞したと判定されると、入賞判定処理において設定した払い出し予定数だけメダルを払出す払出処理を行」う「CPU111」は、
本願発明1の「前記複数の表示列における前記変動表示の停止により、前記複数の表示列に亘って延びる入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せに応じて遊技媒体を付与する遊技媒体付与手段」に相当する。

(h)引用発明の「ビッグボーナス(2)」、「「青7-青7-青7」の組合せ」、「メダルの払い出しを伴う」「表示結果」である「小役」及び「レギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)」は、それぞれ、本願発明1の「特定内部当籤役」、「該特定内部当籤役に対応する図柄組合せ」、「前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役」及び「特定遊技」に相当する。
また、引用発明の「チャレンジボーナス(2)」及び「「1-2-BAR」の組合せ」は、それぞれ、本願発明1の「特別内部当籤役」及び「該特別内部当籤役に対応する図柄組合せ」に相当する。
そして、引用発明の「チャレンジタイムに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了するチャレンジボーナス(2)」は、「レギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)」(特定遊技)よりも、払い出し枚数が少ないから、本願発明1の「前記特定遊技よりも得られる遊技媒体が少ない特別遊技」に相当する。
したがって、引用発明の「通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてビッグボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「青7-青7-青7」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするレギュラーボーナスに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が345枚を越えたときに終了条件が成立し終了するビッグボーナス(2)に移行させ、通常の遊技状態またはRTにおいて、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞ラインのいずれかに「1-2-BAR」の組合せが揃って入賞となると、メダルの払い出しを伴う小役表示結果が導出される確率を通常遊技状態における通常ゲームよりも高くするチャレンジタイムに制御され、遊技者に払い出したメダルの枚数が15枚を越えたときに終了条件が成立し終了するチャレンジボーナス(2)に移行させ」る「CPU111」は、
本願発明1の「前記内部当籤役決定手段によって特定内部当籤役が決定され、該特定内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高くなる特定遊技を開始し、前記内部当籤役決定手段によって特別内部当籤役が決定され、該特別内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高く、且つ、前記特定遊技よりも得られる遊技媒体が少ない特別遊技を開始する特別遊技開始手段」に相当する。

(i)引用発明の「リプレイ(1)?リプレイ(4)」は、本願発明1の「再遊技に係る内部当籤役」に相当する。
また、引用発明の「通常遊技状態、RT4、RT6」は、「リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は同じであり、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかに当選する確率が、それぞれ、13.7%、15.9%、57.9%に設定されている」から、本願発明1の「前記内部当籤役決定手段により再遊技に係る内部当籤役が決定される確率を規定するRT状態」に相当する。
そして、引用発明は「通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせ」る「CPU111」を有し、具体的な遷移条件は、特定事項i1において「CPU111は、ビッグボーナス(2)の終了後は、通常遊技状態に制御され、チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態を制御し、通常遊技状態またはRT4において、入賞ラインのいずれかに特定の入賞役の表示結果ではなく、特定のハズレの表示結果が表示されたときには、予め規定されているゲームの間だけRT6に遊技状態を制御」すると特定されているから、引用発明の「通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせ」る「CPU111」は、本願発明1の「所定の遷移条件に基づいて遷移させるRT状態遷移手段」に相当する。
したがって、引用発明の「リプレイ(1)?(4)以外の入賞役の内部抽選において取得される判定値数は同じであり、リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかに当選する確率が、それぞれ、13.7%、15.9%、57.9%に設定されている、通常遊技状態、RT4、RT6の間で遊技状態の移行を行わせ」る「CPU111」は、
本願発明1の「前記内部当籤役決定手段により再遊技に係る内部当籤役が決定される確率を規定するRT状態を、所定の遷移条件に基づいて遷移させるRT状態遷移手段」に相当する。

(i1)引用発明の「通常遊技状態」、「RT4」及び「RT6」は、それぞれ、本願発明1の「第1RT状態」、「第2RT状態」及び「第3RT状態」に相当する。
また、引用発明の「リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せ」は、本願発明1の「所定の図柄の組合せ」に相当する。
したがって、引用発明の「CPU111は、ビッグボーナス(2)の終了後は、通常遊技状態に制御され、チャレンジボーナス(2)の終了後は、予め規定されている20ゲームの間だけRT4に遊技状態を制御し、通常遊技状態またはRT4において、入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、予め規定されているゲーム数の間だけRT6に遊技状態を制御」することは、
本願発明1の「前記RT状態遷移手段は、前記特定遊技が終了すると、RT状態を第1RT状態に遷移させ、前記特別遊技が終了すると、RT状態を第2RT状態に遷移させ、前記第1RT状態及び前記第2RT状態において、所定の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると、第3RT状態に遷移させ」ることに相当する。

(j)引用発明の「リプレイ(1)?リプレイ(4)」は、本願発明1の「再遊技に係る内部当籤役」に相当する。
また、引用発明の「リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときには13.7%となり、RT4であるときには15.9%となり、RT6であるときに57.9%とな」っているから、RT4(15.9%)は通常遊技状態(13.7%)よりも高い確率でリプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが決定され、RT6(57.9%)はRT4(15.9%)よりも高い確率でリプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが決定されている。
したがって、引用発明の「リプレイ(1)?リプレイ(4)のいずれかが当選する確率は、通常遊技状態であるときには13.7%となり、RT4であるときには15.9%となり、RT6であるときに57.9%となるように判定値数が設定され」ることは、
本願発明1の「前記第1RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が所定の確率で決定され、前記第2RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第1RT状態よりも高い確率で決定され、前記第3RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第2RT状態よりも高い確率で決定され」ることに相当する。

(k)引用発明は、「特殊遊技状態に移行する」特定事項は有していない。
したがって、引用発明の「CPU111は、内部抽選においてチャレンジボーナス(2)に当選し、入賞となると、チャレンジボーナス(2)に移行し、チャレンジボーナス(2)の終了後にRT4に遊技状態を制御し、RT4において入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、RT6に遊技状態を制御する」ことは、
本願発明1の「前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合に、前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定され」ることと、「前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合に、前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態」「に移行する」点で共通する。

(n)引用発明の「スロットマシン1」と本願発明1の「遊技機」とは、共に「遊技機」である点で一致する。

上記(a)?(k)、(n)から、本願発明1と引用発明とは、
[一致点]
「A 遊技媒体の投入操作を検出する投入操作検出手段と、
B 前記投入操作検出手段による投入操作の検出に基づいて遊技者による開始操作を検出する開始操作検出手段と、
C 前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて予め定められた確率で内部当籤役を決定する内部当籤役決定手段と、
D 複数の表示列によって構成され、前記開始操作検出手段による開始操作の検出に基づいて、遊技に必要な図柄を変動表示する変動表示手段と、
E 遊技者による停止操作の検出を行う停止操作検出手段と、
F 前記内部当籤役決定手段の決定結果と前記停止操作検出手段による停止操作の検出とに基づいて、前記図柄の変動表示を停止させる停止制御手段と、
G 前記複数の表示列における前記変動表示の停止により、前記複数の表示列に亘って延びる入賞判定ラインに沿って表示された図柄組合せに応じて遊技媒体を付与する遊技媒体付与手段と、
H 前記内部当籤役決定手段によって特定内部当籤役が決定され、該特定内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高くなる特定遊技を開始し、前記内部当籤役決定手段によって特別内部当籤役が決定され、該特別内部当籤役に対応する図柄組合せが停止表示されると、前記遊技媒体の付与に係る図柄組合せに対応する内部当籤役が決定される確率が高く、且つ、前記特定遊技よりも得られる遊技媒体が少ない特別遊技を開始する特別遊技開始手段と、
I 前記内部当籤役決定手段により再遊技に係る内部当籤役が決定される確率を規定するRT状態を、所定の遷移条件に基づいて遷移させるRT状態遷移手段と、を備え、
I1 前記RT状態遷移手段は、前記特定遊技が終了すると、RT状態を第1RT状態に遷移させ、前記特別遊技が終了すると、RT状態を第2RT状態に遷移させ、前記第1RT状態及び前記第2RT状態において、所定の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると、第3RT状態に遷移させ、
J 前記第1RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が所定の確率で決定され、前記第2RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第1RT状態よりも高い確率で決定され、前記第3RT状態は、前記内部当籤役決定手段によって再遊技に係る内部当籤役が前記第2RT状態よりも高い確率で決定され、
K’ 前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合に、前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態に移行する
N 遊技機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1](特定事項K)
「前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態」「に移行する」、「前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合」に関して、
本願発明1は「前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定され」るのに対して、
引用発明は、チャレンジボーナス(2)(特別遊技)の終了後にRT4(第2RT状態)に遊技状態を制御し、RT4において入賞ラインのいずれかに、リプレイ(2)である「1-4-1」の組合せ、リプレイ(3)である「リプレイ1-4-リプレイ1」の組合せ、リプレイ(4)である「1-1-4」の組合せが揃ったときには、RT6(第3RT状態)に遊技状態を制御するが、「特殊遊技状態に移行する」特定事項は有していないため、そのような特定事項でない点。

[相違点2](特定事項L)
本願発明1は「前記特殊遊技状態は、前記内部当籤役に応じた図柄の組合せを前記複数の表示列に跨る判定ライン上に表示するための表示補助情報が報知され、遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態が少なくとも所定期間行われるものであり、前記第3RT状態において特殊の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると移行」するのに対して、
引用発明は、そのような特定事項でない点。

[相違点3](特定事項M)
本願発明1は「前記所定期間は、前記特殊遊技状態に移行したときに計数が開始される」のに対して、
引用発明は、そのような特定事項でない点。

以下、上記相違点について検討する。

1 相違点1?3について
相違点1?3は、特殊遊技状態に関するものであって、互いに関連するのでまとめて検討する。

特開2012-139287号公報 図62

特開2013-51983号公報 図12

ボーナス(特別遊技、特定遊技)終了後に、再遊技に係る内部当籤役の当選確率が低いRT状態に移行してから、再遊技に係る内部当籤役の当選確率が高い第3RT状態を経て、特殊遊技状態(再遊技当選確率が高いART)に移行することが決定され、前記特殊遊技状態は、前記内部当籤役に応じた図柄の組合せを前記複数の表示列に跨る判定ライン上に表示するための表示補助情報が報知され、遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態が少なくとも所定期間行われるものであり、前記第3RT状態において特殊の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると移行し、前記所定期間は、前記特殊遊技状態に移行したときに計数が開始されるスロットマシンは、
特開2012-139287号公報[図62には遊技状態の推移について図示されている。遊技の興趣を向上させることを目的とし(【0005】)、BB1?BB3およびRB(「ボーナス(特定遊技)」に相当)が終了した後は、RT1に遊技状態が制御され(【0641】)、通常遊技状態、RT1、およびRT3のうちいずれかに制御されているときにSB入賞し、当該入賞に起因するシングルボーナス(「ボーナス(特別遊技)」に相当)としての1ゲームが終了した後は、リプレイに当選する確率が8982/65536となるRT2に遊技状態が制御され(【0644】、【0710】)、RT1?RT2において特殊出目が停止した後は、リプレイに当選する確率が8980/65536となる通常遊技状態(「低いRT状態」に相当)に制御され(【0675】、【0709】)、通常遊技状態への制御が開始されるときにおいて、ATフラグからATである旨が特定されたときには、ATに制御し(【0845】)、昇格リプを含む押し順昇格リプレイ1?6をナビ対象役とし(【0885】)、通常遊技状態において押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選し昇格リプを入賞させるとリプレイに当選する確率が47771/65536となるRT3(「第3RT状態」に相当)に制御され(【0746】、【0711】)、突入リプあるいは転落リプを含む押し順維持リプレイ1?5、および押し順突入リプレイ1?4をナビ対象役とし(【0885】)、RT3において(【0846】)、入賞ラインのいずれかに「バナナ-バナナ-白7」あるいは「バナナ-バナナ-イチゴ」の組合せ(「特殊の図柄組合せ」に相当)が揃う(【0665】?【0666】、図61)突入リプ入賞によりリプレイに当選する確率が47962/65536となるRT4に制御され、ナビストック数を1消費(減算)することによるATへの開始条件が成立し、50(「所定期間」に相当)ゲームを消化する間、RT4かつATであるART(「特殊遊技状態」に相当)に制御し(【0846】、【0712】)、11525/65536の確率で当選する(【0707】)押し順メロン1?5のいずれかに当選したときのナビ演出として、中リール2Cの「メロン」を中段に停止させるための押し順(図70参照)を報知し(【0854】)、4枚メダルが払い出されるメロン1の「any-メロン-any」を入賞ラインL1、L3、L4において入賞させ、12枚メダルを払い出す(【0658】、【0659】)、スロットマシン800(【0781】)が記載されている。通常遊技状態において「ATフラグ」があると、昇格リプ、突入リプをナビしてもらうことにより、RT4かつATであるART(「特殊遊技状態」に相当)まで移行できるから、「ATフラグ」がある時点で、ART(「特殊遊技状態」に相当)に移行することが決定しているといえる。また、リプレイに当選する確率が47962/65536となるRT4においてARTに制御され、11525/65536の確率で当選する押し順メロン1?5において12枚払い出されることになるから、「ART」は遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態であるといえる。そして、突入リプ入賞によりRT4に制御され、50(「所定期間」に相当)ゲームを消化する間、ART(「特殊遊技状態」に相当)に制御するから、50(「所定期間」に相当)ゲームは、ART(「特殊遊技状態」に相当)に制御されたときに計数が開始される。]、
特開2013-51983号公報[図12には、遊技状態の推移関係が図示されている。遊技興趣を増大させることを目的とし(【0008】)、獲得可能なメダル量の規定払出枚数が200枚であるビッグボーナスゲームBB(「ボーナス(特定遊技)」に相当)、50枚であるレギュラーボーナスゲームRB(「ボーナス(特別遊技)」に相当)終了後、通常遊技状態(「低いRT状態」に相当)に移行し(【0064】、【0091】)、AT役又はリプレイ役が当選しても押し順報知を行わない非ATモードN1に設定され(【0095】)、非ATモードN1においてAT移行抽選契機が発生せずに、押し順AT役の非入賞が生じた場合には(【0096】)、通常遊技状態から僅かにリプレイ当選確率が向上する(【0091】)RT1遊技状態(「第3RT状態」に相当)の非ATモードN2に移行し(【0096】)、非ATモードN2において、AT移行抽選に当選すると、AT準備モードM2に移行し(【0103】)、AT準備モードM2において内部抽選の結果リプレイ2に当選したとき、遊技者が正解押し順で停止操作してリプレイ2(RP-RP-ベル1又は2の組合せ)(「特殊の図柄組合せ」に相当)が成立すると、ATモード移行と共に、リプレイの抽選確率を通常遊技時の1/7.3より高確率の1/1.5に設定したRT2遊技状態への移行によりART遊技状態(「特殊遊技状態」に相当)が発生し(【0098】、【0063】、【0067】、図24)、25ゲーム(「所定期間」に相当)を1セットとしたART遊技が1?10のいずれかのセット数付与され(【0105】、図18)、ART遊技状態において(【0068】)、全ベル役の合成抽選確率が1/5の(【0066】)5種類のベル役A?E(ベル役B?EはベルAと同時入賞可能)の12枚払出可能な押し順報知が実施され(【0068】、【0065】)、ベルA〔any-ベル1-any。図24で空欄になっている所は「any」を意味するので、「any」と記載した。〕の中回胴の「ベル1」図柄の中段停止による3ライン入賞で12枚の賞メダルが払い出され(図24、【0064】)、ART遊技中に保有メダルを漸増させることが可能になる(【0068】)、回胴式遊技機A(【0031】)が記載されている。RT1遊技状態(「第3RT状態」に相当)の非ATモードN2において、AT移行抽選に当選し、AT準備モードM2に移行した時点で、ART遊技状態(「特殊遊技状態」に相当)に移行することは決定しているといえる。また、ART遊技状態(「特殊遊技状態」に相当)が発生し、25ゲーム(「所定期間」に相当)を1セットとしたART遊技が1?10のいずれかのセット数付与されるから、ART遊技状態(「特殊遊技状態」に相当)に移行したときに計数が開始されるといえる。]
に記載されているように、周知(以下、「周知技術」という)である。

また、引用発明と周知技術とは、共に遊技の興趣を向上させることを目的とし、ボーナス終了後に、再遊技に係る内部当籤役の当選確率が低いRT状態に移行してから、再遊技に係る内部当籤役の当選確率が高いRT状態移行させるRT状態遷移手段を備えた遊技機の技術であり、課題、技術分野及び機能が共通している。

したがって、引用発明のビッグボーナス(2)(ボーナス(特定遊技))終了後の通常遊技状態(第1RT状態)の後に移行する状態であり、かつ、チャレンジボーナス(2)(ボーナス(特別遊技))終了後のRT4(第2RT状態)の後に移行する状態である「RT6」(第3RT状態)に、上記周知技術を適用して、チャレンジボーナス(2)(ボーナス(特別遊技))終了後に、RT4(第2RT状態)に移行してから「RT6」(第3RT状態)経て特殊遊技状態に移行することが決定されるようにする(相違点1に関する特定事項)と共に、前記特殊遊技状態は、内部当籤役に応じた図柄の組合せを複数の表示列に跨る判定ライン上に表示するための表示補助情報が報知され、遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態が少なくとも所定期間行われるものであり、前記「RT6」(第3RT状態)において特殊の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると移行し(相違点2に関する特定事項)、前記所定期間は、前記特殊遊技状態に移行したときに計数が開始される(相違点3に関する特定事項)ようにして、上記相違点1?3に係る本願発明1の特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

第6 請求人の主張について
審判請求人は、平成31年2月22日付け意見書において、次のとおり主張している。
「しかしながら、引用文献1-4には、本願発明の特徴である下記構成は記載されておらず、また、かかる構成を示唆するような記載もありません。
「前記内部当籤役決定手段によって前記特別内部当籤役が決定された場合に、前記特別遊技の終了後に前記第2RT状態に移行してから前記第3RT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定され、
前記特殊遊技状態は、前記内部当籤役に応じた図柄の組合せを前記複数の表示列に跨る判定ライン上に表示するための表示補助情報が報知され、遊技者が保有する遊技媒体が増加するアシスト状態が少なくとも所定期間行われるものであり、前記第3RT状態において特殊の図柄の組合せが前記入賞判定ラインに沿って表示されると移行し、
前記所定期間は、前記特殊遊技状態に移行したときに計数が開始される」
この構成の有無は、次のような意義を有しています。本願発明では、特別内部当籤役が決定された場合に、特別遊技後に少なくとも2つのRT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定されます。また、特定遊技後は、別のRT状態の遷移(ルート)を経て特殊遊技状態に移行が可能です。例えば、特定遊技の終了後に、第1RT状態に移行してから前記第3RT状態を経て特殊遊技状態に移行する場合あります。このように、本願発明では、特定遊技と特別遊技の違いにより、特殊遊技状態に至るまでに経るRT状態の遷移が異なり、遊技の興趣を向上させることができます。
これに対し、引用文献1-4に記載された発明では、ボーナスの違いにより、特殊遊技状態に移行するまでのRT状態の遷移が異なるという思想は記載されていません。」

しかしながら、上記「第5 1 相違点1?3について」において既に検討したように、特別遊技後に少なくとも2つのRT状態を経て特殊遊技状態に移行することが決定されることは周知である[上記「1 相違点1?3について」の周知例である特開2012-139287号公報には、シングルボーナス(「ボーナス(特別遊技)」に相当)としての1ゲームが終了した後は、RT2に遊技状態が制御され、RT2において特殊出目が停止した後、通常遊技状態(「RT」に相当)に制御され、通常遊技状態において押し順昇格リプレイ1?6のいずれかに当選し昇格リプを入賞させるとRT3(「RT」に相当)に制御され、RT3において、突入リプ入賞によりRT4に制御され、ART(「特殊遊技状態」に相当)に制御することが記載されている。また、周知例である特開2013-51983号公報には、レギュラーボーナスゲームRB(「ボーナス(特別遊技)」に相当)終了後、通常遊技状態(「RT」に相当)に移行し、押し順AT役の非入賞が生じた場合には、RT1遊技状態(「RT」に相当)に移行し、AT移行抽選に当選し、リプレイ2に当選し、リプレイ2が成立すると、RT2遊技状態への移行によりART遊技状態(「特殊遊技状態」に相当)が発生することが記載されている。]。
そして、「第5 1 相違点1?3について」において既に検討したように、引用発明のビッグボーナス(2)(「ボーナス(特定遊技)」に相当)終了後の通常遊技状態(「第1RT状態」に相当)の後に移行する状態であり、かつ、チャレンジボーナス(2)(「ボーナス(特別遊技)」に相当)終了後RT4(「第2RT状態」に相当)の後に移行する状態である「RT6」(「第3RT状態」に相当)に、上記周知技術を適用すれば、本願発明1と同様に、ボーナスの違いにより、特殊遊技状態に移行するまでのRT状態の遷移が異なる構成になる。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-05-09 
結審通知日 2019-05-14 
審決日 2019-05-27 
出願番号 特願2013-151997(P2013-151997)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池谷 香次郎  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 瀬津 太朗
牧 隆志
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人信友国際特許事務所  

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