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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L
管理番号 1353624
審判番号 不服2018-8941  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-28 
確定日 2019-08-13 
事件の表示 特願2016-556177「半導体装置の製造方法及びレジストガラス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月 6日国際公開、WO2016/067477、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成26年(2014年)10月31日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 1月19日 手続補正
平成29年 8月 9日付け 拒絶理由通知
平成29年10月23日 意見書・手続補正
平成29年12月28日付け 最後の拒絶理由通知
平成30年 3月 5日 意見書・手続補正
平成30年 4月27日付け 補正却下決定・拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成30年 6月28日 審判請求・手続補正
平成30年10月 3日 上申書
平成31年 4月16日付け 拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)
令和 1年 6月 6日 意見書・手続補正

第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,令和1年6月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認められる。
「【請求項1】
半導体基板の表面に形成された酸化膜を部分的に除去する酸化膜除去工程を含む半導体装置の製造方法であって,
前記酸化膜除去工程は,
露光工程を用いることなく前記酸化膜の上面にレジストガラス層を選択的に形成する第1工程と,
前記レジストガラス層を焼成して当該レジストガラス層を緻密化する第2工程と,
前記レジストガラス層をマスクとして前記酸化膜を部分的に除去する第3工程とを含み,
前記レジストガラス層は,少なくともSiO_(2)と,B_(2)O_(3)と,Al_(2)O_(3)と,ZnOと,CaO,MgO及びBaOのうち少なくとも2つのアルカリ土類金属の酸化物とを含有し,かつ,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有せず,
SiO_(2)の含有量が50mol%?65mol%の範囲内にあり,
B_(2)O_(3)の含有量が8mol%?18mol%の範囲内にあり,
Al_(2)O_(3)の含有量が4mol%?15mol%の範囲内にあり,
ZnOの含有量が4mol%?14mol%の範囲内にあり,
アルカリ土類金属の酸化物の含有量が6mol%?16mol%の範囲内にあるレジストガラスからなり,
前記第3工程においては,バッファードフッ酸を用いて前記酸化膜を除去し,
前記酸化膜除去工程の前には,
主面に平行なpn接合を有し,かつ,主面が酸化膜で覆われた半導体基板を準備する半導体基板準備工程と,
前記半導体基板の一方の主面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより,前記溝の内部にpn接合露出部を形成する溝形成工程とをこの順で含み,
前記第1工程においては,電気泳動法によって,前記酸化膜の上面のうち前記溝の周囲の領域及び前記溝の内面にPbを実質的に含有しない前記レジストガラス層を前記溝の内面で前記pn接合露出部が被覆されるように形成し,
前記第3工程においては,前記レジストガラス層をマスクとしてバッファードフッ酸を用いて前記酸化膜を除去し,
前記酸化膜除去工程の後には,
前記酸化膜除去工程において酸化膜が除去されたNiめっきを形成する領域における前記半導体基板の表面の粗面化処理を,前記マスクとして用いた前記レジストガラス層が残存する状態で行って,Niめっき電極と前記半導体基板との密着性を高くするための粗面化領域を形成する粗面化領域形成工程と,
前記マスクとして用いた前記レジストガラス層が残存する状態で,前記半導体基板にNiめっきを行って,前記粗面化領域上にNiめっき電極を形成する電極形成工程と,を含み,
前記酸化膜除去工程の後には,前記マスクとして用いた前記レジストガラス層を除去する工程を含まないものであり,
前記半導体基板の前記粗面化領域の上面に形成された前記Niめっき電極に隣接し且つ前記半導体基板の上面と前記レジストガラス層の端部との間に位置し,前記第3工程において除去されずに残存する前記酸化膜の一部である,シリコン酸化膜の厚さは,5nm?100nmの範囲内であり,
前記残存する前記酸化膜の一部は,前記溝の周囲の領域において,前記溝の内面に形成された前記レジストガラス層と前記粗面化領域上に形成された前記Niめっき電極とに,挟まれている,ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」

第3 原査定の理由の概要
原査定の理由の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1-4に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2004-296770号公報
2.国際公開第2013/168314号
3.国際公開第2013/030922号
4.国際公開第2012/160704号
5.国際公開第2014/080935号
6.特開2012-004444号公報
7.特開2010-263129号公報

第4 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1-2に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
2.国際公開第2013/168314号
A.特公昭49-11792号公報

第5 引用文献及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1
原査定で引用された引用文献1には,図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造技術に関し,特に,半導体装置の絶縁膜を除去するエッチング技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5(a)の符号119は従来技術の半導体装置の製造方法に用いられる処理対象物の一例を示しており,処理対象物119は基板115と,絶縁膜114とを有している。基板115はオーミック接続層111と,第一,第二の半導体層112,113とを有しており,オーミック接続層111と,第一,第二の半導体層112,113は記載した順に積層され,絶縁膜114は第二の半導体層113の表面に配置されている。
【0003】
処理対象物119の絶縁膜114が配置された側の面には溝116が形成されており,溝116の内部にガラスを付着させた後,全体を所定温度で加熱すると付着したガラスが焼成され,溝116の内部に露出する基板115を覆うガラス部材118が形成される(図5(b))。
【0004】
ガラス部材118が形成された状態では,ガラス部材118の間に絶縁膜114の表面が露出しており,その状態の処理対象物119をエッチング液に浸漬すると,絶縁膜114がエッチング除去され,ガラス部材118の間に基板115の表面が露出する(図5(c))。
【0005】
次いで,処理対象物119をエッチング液から引き上げ,洗浄した後,ガラス部材118の間に露出する基板115表面と,オーミック接続層111の表面に電極125,126を形成する(図5(d))。
【0006】
電極125,126が形成された状態の処理対象物119を,各溝116を二分するように切断すると,処理対象物119が複数に分割され,ダイオード素子が得られる。
【0007】
ところで,基板115の構成材料と,ガラス部材118の構成材料とは熱膨張係数が異なるため,ガラスの焼成後,処理対象物119が冷却されるときに熱膨張係数の差によって処理対象物119に反りが生じることがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり,その目的は,反り等の変形を軽減する半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,請求項1記載の発明は,基板と,前記基板の表面に配置された絶縁膜とを有する処理対象物であって,前記処理対象物の前記絶縁膜が配置された面に位置し,側面に前記基板が露出し,互いに交差された複数本の溝を有する処理対象物の,前記各溝内に露出する前記基板表面にガラス部材をそれぞれ形成し,前記ガラス部材間に位置する前記絶縁膜を除去して前記基板を露出させ,前記基板の露出した部分に電極膜を形成する半導体装置の製造方法であって,前記絶縁膜の除去は,前記絶縁膜の表面に微小粒子を吹き付け,前記絶縁膜を研磨除去する半導体装置の製造方法である。
請求項2記載の発明は,請求項1記載の半導体装置の製造方法であって,前記絶縁膜の除去は,前記基板の表面を露出させた後も,前記微小粒子の吹き付けを続け,前記基板の表面部分を研磨除去する半導体装置の製造方法である。
請求項3記載の発明は,請求項2記載の半導体装置の製造方法であって,前記絶縁膜の除去は,前記基板を0.1μm以上1.0μm以下の所定深さ研磨除去する請求項2記載の半導体装置の製造方法。
請求項4記載の発明は,請求項2記載の半導体装置の製造方法であって,前記絶縁膜の除去は,前記基板の表面を露出させてから,1秒以上10秒以下の所定時間の間研磨除去する半導体装置の製造方法である。」
「【0017】
この処理対象物19を用いて半導体装置を製造するには,先ず,ガラスパウダーを有機溶媒に分散させて分散液を作製し,オーミック接続層11をマスクで覆った状態で分散液に浸漬して電気泳動を行うと,オーミック接続層11にはガラスが付着しないが,各溝16の側面に露出する基板15の表面と,各溝16の開口部の縁部分に露出する絶縁膜14の表面にガラスが付着する。」
図5(d)は次のとおり。


(2)引用発明1
前記(1)より,引用文献1には,「従来技術」として次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「半導体装置の製造方法であって,
処理対象物は,第一,第二の半導体層を有する基板と,第二の半導体層の表面に配置された絶縁膜とを有しており,
処理対象物の絶縁膜が配置された側の面には溝が形成されており,溝の内部にガラスを付着させた後,全体を所定温度で加熱すると付着したガラスが焼成され,溝の内部に露出する基板を覆うガラス部材が形成され,
ガラス部材が形成された状態では,ガラス部材の間に絶縁膜の表面が露出しており,その状態の処理物をエッチング液に浸漬すると,絶縁膜がエッチング除去され,ガラス部材の間に基板の表面が露出し,
ガラス部材の間に露出する基板表面に電極を形成すること。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2
当審拒絶理由及び原査定で引用された引用文献2には,図面とともに次の記載がある。
「技術分野
[0001] 本発明は,半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。」
「発明が解決しようとする課題
[0014] ところで,パッシベーション用のガラス層に用いるガラス材料としては,(a)適正な温度で焼成できること,(b)工程で使用する薬品に耐えること,(c)工程中におけるウェーハの反りを防止するためシリコンの線膨張率に近い線膨張率を有すること(特に50℃?550℃における平均線膨張率がシリコンの線膨張率に近いこと),及び,(d)優れた絶縁性を有することという条件をすべて満たす必要があることから,従来より「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」が広く用いられている。
[0015] しかしながら,「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」には環境負荷の大きい鉛が含まれており,近未来にはそのような「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」の使用が禁止されていくことになると考えられる。
[0016] そこで,鉛を含まないガラス材料を用いてパッシベーション用のガラス層を形成することが考えられるが,(a)適正な温度で焼成できること,(b)工程で使用する薬品に耐えること,(c)工程中におけるウェーハの反りを防止するためシリコンの線膨張率に近い線膨張率を有すること(特に50℃?550℃における平均線膨張率がシリコンの線膨張率に近いこと),及び,(d)優れた絶縁性を有することという条件をすべて満たすのは難しく,鉛を含まないガラス材料を用いてパッシベーション用のガラス層を形成することは,パワー用半導体装置の量産プロセスにおいてはまだ適用されていない,というのが実情である。
[0017] また,本発明の発明者らの研究により,鉛を含まないガラス材料を用いて,パッシベーション用のガラス層を形成した場合には,ガラス層の組成や焼成条件によっては,ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体とガラス層との境界面から泡が発生し易くなるという問題があることが判明した。そして,このような問題を解決するためには脱泡作用のある成分(例えば,ニッケル酸化物,ジルコニウム酸化物など。)を添加する必要があるが,ガラス組成の組み合わせによっては添加することができない場合があるため,好ましくない。
[0018] また,本発明の発明者らの研究により,鉛を含まないガラス材料を用いてパッシベーション用のガラス層を形成した場合には,ガラス層の組成や焼成条件によっては(ガラスの組成:SiO_(2)高含有ガラスの場合,焼成条件:短時間で行う場合),逆方向リーク電流が増大してしまうという問題があることが判明した。換言すると,長時間(例えば3時間)の焼成を行わなければ逆方向リーク電流が増大してしまう問題があることが判明した。
[0019] そこで,本発明は,上記した事情に鑑みてなされたもので,鉛を含まないガラス材料を用いて,従来の「珪酸鉛を主成分としたガラス材料」を用いた場合と同様に,高耐圧の半導体装置を製造することを可能とする半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
[0020] また,本発明は,ガラス層の組成や焼成条件によらず,ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体とガラス層との境界面から発生することがある泡の発生を,ニッケル酸化物等の脱泡作用のある成分を添加することなく又は添加するとしても少ない添加量(例えば2.0mol%以下)で,抑制することが可能な,半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。
[0021] また,本発明は,ガラス層の組成や焼成条件によらず,逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能な半導体装置の製造方法及び半導体装置を提供することを目的とする。」
「[0056][実施形態1]
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は,pn接合が露出するpn接合露出部を有する半導体素子を準備する第1工程と,pn接合露出部を覆うように絶縁層を形成する第2工程と,絶縁層上に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成した後,当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより絶縁層上にガラス層を形成する第3工程とをこの順序で含む半導体装置の製造方法である。実施形態1に係る半導体装置の製造方法においては,半導体装置としてメサ型のpnダイオードを製造する。
[0057] 図1及び図2は,実施形態1に係る半導体装置の製造方法を説明するために示す図である。図1(a)?図1(d)及び図2(a)?図2(d)は各工程図である。
実施形態1に係る半導体装置の製造方法は,図1及び図2に示すように,「半導体基体準備工程」,「溝形成工程」,「絶縁層形成工程」,「ガラス層形成工程」,「フォトレジスト形成工程」,「酸化膜除去工程」,「粗面化領域形成工程」,「電極形成工程」及び「半導体基体切断工程」をこの順序で実施する。以下,実施形態1に係る半導体装置の製造方法を工程順に説明する。
[0058](a)半導体基体準備工程
まず,n^(-)型半導体基板(n^(-)型シリコン基板)110の一方の表面からのp型不純物の拡散によりp^(+)型拡散層112,他方の表面からのn型不純物の拡散によりn^(+)型拡散層114を形成して,主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を準備する。その後,熱酸化によりp^(+)型拡散層112及びn^(+)型拡散層114の表面に酸化膜116,118を形成する(図1(a)参照。)。
[0059](b)溝形成工程
次に,フォトエッチング法によって,酸化膜116の所定部位に所定の開口部を形成する。酸化膜のエッチング後,引き続いて半導体基体のエッチングを行い,半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝120を形成する(図1(b)参照。)。このとき,溝の内面にpn接合露出部Aが形成される。
[0060](c)絶縁層形成工程
次に,ドライ酸素(DryO_(2))を用いた熱酸化法によって,溝120の内面にシリコン酸化膜からなる絶縁層121を形成する(図1(c)参照。)。絶縁層121の厚さは,5nm?60nmの範囲内(例えば20nm)とする。絶縁層121の形成は,半導体基体を拡散炉に入れた後,酸素ガスを流しながら900℃の温度で10分処理することにより行う。絶縁層121の厚さが5nm未満であると逆方向電流低減の効果が得られなくなる場合がある。一方,絶縁層121の厚さが60nmを超えると次のガラス層形成工程で電気泳動法によりガラス組成物からなる層を形成することができなくなる場合がある。
[0061](d)ガラス層形成工程
次に,電気泳動法により溝120の内面及びその近傍の半導体基体表面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成するとともに,当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより,パッシベーション用のガラス層124を形成する(図1(d)参照。)。焼成温度は例えば900℃とする。なお,溝120の内面に半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する際には,溝120の内面を絶縁層121を介して被覆するように半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を形成する。従って,溝120の内部におけるpn接合露出部Aは絶縁層121を介してガラス層124により覆われた状態となる。
[0062] 半導体接合保護用ガラス組成物としては,少なくともSiO_(2)と,Al_(2)O_(3)と,B_(2)O_(3)と,ZnOと,CaO,MgO及びBaOのうち少なくとも2つのアルカリ土類金属の酸化物とを含有し,かつ,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有しない原料を溶融させて得られる融液から作製されたガラス微粒子からなり,かつ,上記した原料のうちいずれの成分もフィラーとして含まない半導体接合保護用ガラス組成物を用いる。
[0063] そのような半導体接合保護用ガラス組成物としては,SiO_(2)の含有量が41.1mol%?61.1mol%の範囲内にあり,Al_(2)O_(3)の含有量が7.4mol%?17.4mol%の範囲内にあり,B_(2)O_(3)の含有量が5.8mol%?15.8mol%の範囲内にあり,ZnOの含有量が3.0mol%?24.8mol%の範囲内にあり,アルカリ土類金属の酸化物の含有量が5.5mol%?15.5mol%の範囲内にあり,ニッケル酸化物の含有量が0.01mol%?2.0mol%の範囲内にあるものを好適に用いることができる。また,アルカリ土類金属の酸化物として,CaO含有量が2.8mol%?7.8mol%の範囲内にあり,MgO含有量が1.1mol%?3.1mol%の範囲内にあり,BaO含有量が1.7mol%?4.7mol%の範囲内にあるものを好適に用いることができる。
(中略)
[0077](e)酸化膜除去工程
次に,ガラス層124の表面を覆うようにフォトレジスト126を形成した後,当該フォトレジスト126をマスクとして酸化膜116のエッチングを行い,Niめっき電極膜を形成する部位130における酸化膜116を除去する(図2(a)参照。)。
[0078](f)粗面化領域形成工程
次に,Niめっき電極膜を形成する部位130における半導体基体表面の粗面化処理を行い,Niめっき電極と半導体基体との密着性を高くするための粗面化領域132を形成する(図2(b)参照。)。
[0079](g)電極形成工程
次に,半導体基体にNiめっきを行い,粗面化領域132上にアノード電極134を形成するとともに,半導体基体の他方の表面にカソード電極136を形成する(図2(c)参照。)。アノード電極134及びカソード電極136のアニールは,窒素雰囲気下,例えば600度の温度で行う。」
「[0084] また,実施形態1に係る半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば,半導体基体とガラス層124との間に半導体基体よりも濡れ性の高い絶縁層121が介在するようになることから,ガラス組成物からなる層を焼成してガラス層を形成する過程で半導体基体とガラス層124との境界面から泡が発生し難くなる。このため,そのような泡の発生を,ニッケル酸化物等の脱泡作用のある成分を添加することなく又は添加するとしても少ない添加量(例えば2.0mol%以下)で,抑制することが可能となる。
[0085] また,実施形態1に係る半導体装置の製造方法及び半導体装置によれば,半導体基体とガラス層124との間に絶縁層121が介在することになることから,絶縁性が向上し,後述する実施例からも明らかなように,ガラス層の組成や焼成条件によらず,逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる。すなわち,SiO_(2)の含有量が55mol%以上であっても,焼成時間を15分程度とした場合であっても,逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造することが可能となる」
「[0121][実施例]
1.試料の調整
図5は,実施例の条件及び結果を示す図表である。実施例1?11及び比較例1?6に示す組成比(図5参照。)になるように原料を調合し,混合機でよく攪拌した後,その混合した原料を電気炉中で所定温度(1350℃?1550℃)まで上昇させた白金ルツボに入れ,2時間溶融させた。その後,融液を水冷ロールに流し出して薄片状のガラスフレークを得た。このガラスフレークをボールミルで平均粒径が5μmとなるまで粉砕して,粉末状のガラス組成物を得た。」
図5には,「実施例11」として,「組成比(モル比)」が「SiO_(2):55.3,Al_(2)O_(3):4.5,B_(2)O_(3):13.8,ZnO:13.5,CaO:7.3,BaO:5.0,NiO:0.6」であるガラス組成物の原料が記載されていると認められる。
図2(c)は次のとおり。

(2)引用発明2
前記(1)より,引用文献2には,「実施例11」の組成比の原料を用いた「実施形態1」に係る半導体装置の製造方法として,次の発明(以下,「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「半導体装置の製造方法であって,
主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を準備し,その後,熱酸化により表面に酸化膜を形成し,
半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝を形成し,
次に,熱酸化法によって,溝の内面にシリコン酸化膜から成る絶縁層を形成し,絶縁層の厚さは5nmから60nmの範囲内とし,
次に,電気泳動法により,溝の内面及びその近傍の半導体表面に半導体接合保護用ガラス組成物から成る層を形成するとともに,当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより,パッシベーション用のガラス層を形成し,溝の内面を絶縁層を介して被覆し,
半導体接合保護用ガラス組成物としては,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有しない原料で,組成比がSiO_(2):55.3,Al_(2)O_(3):4.5,B_(2)O_(3):13.8,ZnO:13.5,CaO:7.3,BaO:5.0,NiO:0.6であるものを用い,
次に,ガラス層の表面を覆うようにフォトレジストを形成した後,当該フォトレジストをマスクとして酸化膜のエッチングを行い,Niめっき電極膜を形成する部位における酸化膜を除去し,
次に,Niめっき電極膜を形成する部位130における半導体基体表面の粗面化処理を行い,
次に,半導体基体にNiめっきを行い,粗面化領域上にアノード電極を形成すること。」
3 引用文献3について
原査定で引用された引用文献3には,図面とともに次の記載がある。
「[0063] また,ZnOの含有量を18mol%?28mol%の範囲内としたのは,ZnOの含有量が18mol%未満である場合には,焼成温度が高くなる傾向にあるからであり,ZnOの含有量が28mol%を超える場合には,耐薬品性が低下したり,絶縁性が低下したり,ガラス層の内部で泡が発生する場合があるからである。」
「[0094](3)評価項目3(耐薬品性)
ガラス組成物が王水,めっき液及びフッ酸のすべてに対して難溶性を示す場合に「○」の評価を与え,王水,めっき液及びフッ酸のいずれかに対して溶解性を示す場合に「×」の評価を与えた。」
「[0100]3.評価結果
図5からも分かるように,比較例1に係るガラス組成物及び比較例2に係るガラス組成物は,評価項目6で「△」の評価が得られた。また,比較例3に係るガラス組成物は,評価項目1で「×」の評価が得られた。また,比較例4に係るガラス組成物は,評価項目3で「×」の評価が得られた。これに対して,実施例1に係るガラス組成物及び実施例2に係るガラス組成物はいずれも,すべての評価項目(評価項目1?6)について「○」の評価が得られた。その結果,実施形1に係るガラス組成物及び実施例2に係るガラス組成物はいずれも,鉛を含まないガラス材料でありながら,(a)適正な温度(例えば1100℃以下)で焼成できること,(b)工程で使用する薬品に耐えること,(c)シリコンに近い熱膨張係数を有すること(特に50℃?500℃における平均熱膨張率がシリコンに近いこと)及び(d)優れた絶縁性を有することという条件をすべて満たし,さらには,電気泳動法により形成した「半導体接合保護用ガラス組成物からなる層」を焼成する過程で半導体基体(シリコン)との境界面から発生することがある泡の発生を抑制して,半導体装置の逆方向耐圧特性が劣化するという事態の発生を抑制することを可能とする,ガラス組成物であることが分かった。」
4 引用文献4について
原査定で引用された引用文献4には,図面とともに次の記載がある。
「[0044] また,ZnOの含有量を18mol%?28mol%の範囲内としたのは,ZnOの含有量が18mol%未満である場合には,焼成温度が高くなる傾向にあるからであり,ZnOの含有量が28mol%を超える場合には,耐薬品性が低下したり,絶縁性が低下したりする場合があるからである。」
「[0075](3)評価方法3(耐薬品性)
ガラス組成物が王水,めっき液及びフッ酸のすべてに対して難溶性を示す場合に「○」の評価を与え,王水,めっき液及びフッ酸のいずれかに対して溶解性を示す場合に「×」の評価を与えた。」
「[0079]3.評価結果
図5からも分かるように,比較例1に係るガラス組成物は,評価項目1で「×」の評価が得られた。また,比較例2に係るガラス組成物は,評価項目3で「×」の評価が得られた。これに対して,実施例1に係るガラス組成物は,いずれの評価項目(評価項目1?5)についても「○」の評価が得られた。その結果,実施形1に係るガラス組成物は,鉛を含まないガラス材料でありながら,(a)適正な温度(例えば900℃以下)で焼成できること,(b)工程で使用する薬品に耐えること,(c)シリコンに近い熱膨張係数を有すること(特に50℃?500℃における平均熱膨張率がシリコンに近いこと)及び(d)優れた絶縁性を有することという条件をすべて満たすガラス組成物であることが分かった。」
5 引用文献5について
原査定で引用された引用文献5には,図面とともに次の記載がある。
「【0044】
次いで,図2Bに示すように,クロムマスク11越しにガラス基板10をウェットエッチングする(ガラスエッチング工程)。エッチング液としては,フッ酸系のエッチング液を用いることができる。また,ガラス基板10の材料や所望するエッチングレートに合わせて,希釈したフッ酸,バッファードフッ酸(BHF)及び無機酸の混合液を用いることができる。ウェットエッチングを所定時間行うと,図2Cに示すように,ガラス基板10の厚さ方向に貫通する貫通孔10cが形成される。エッチング時間を調整することにより,ガラス基板下面10Bでの貫通孔10cの孔径dを制御できる。たとえば,ホウ珪酸ガラスなどの堅いガラス基板10をエッチングする場合には,処理速度0.3μm/minで処理時間5時間の条件において,100μmの深さを有する貫通孔10cを形成する。あるいは,ソーダガラスなどの柔らかいガラス基板をエッチングする場合には,処理速度1μm/minで処理時間5時間の条件において,300μmの深さを有する貫通孔10cを形成する。貫通孔10cが形成されると,その下部にクロム膜13が露出する。」
6 引用文献6について
原査定で引用された引用文献6には,図面とともに次の記載がある。
「【0026】
図2(c)に示すように,GaN系半導体層を成長させる工程の後に,保護膜22を除去する工程を行う。例えばHF(フッ化水素)やBHF(バッファードフッ酸)等をエッチャントとして使用するエッチングにより,保護膜22を選択的に除去することができる。また,薄型化のために,裏面10bを研磨する際に保護膜22も研磨することで,除去することができる。なお,保護膜22,及び裏面成長層20は,GaN系半導体層の電気的特性に及ぼす影響は小さい。従って,保護膜22の除去工程を行うのは,電気的特性の測定前でも,測定後でもよい。また保護膜22を除去せず,残存させてもよい。以上により,実施例1に係る半導体装置が完成する。」
7 引用文献7について
原査定で引用された引用文献7には,図面とともに次の記載がある。
「【0029】
次に,図5に示すように,希フッ酸(希HF),あるいは,バッファードフッ酸(BHF)を用いたウェットエッチング処理を施すことにより,シリコン酸化膜9がエッチングされる。このとき,上述したように,シリコン酸化膜9a,9b,9cの緻密化の程度との関係で,素子分離溝4,5,6の内部にそれぞれ位置するシリコン酸化膜9a,9b,9cでは,シリコン酸化膜9cのエッチングレートが最も高く,シリコン酸化膜9aのエッチングレートが最も低くなる。これにより,素子分離溝4,5,6の内部にそれぞれ位置するシリコン酸化膜9a,9b,9cが選択的にエッチングされて,シリコン酸化膜9cの上面の位置が最も低く,シリコン酸化膜9aの上面の位置が最も高くなる。」
8 引用文献Aについて
当審拒絶理由で引用された引用文献Aには,図面とともに次の記載がある。
「本発明はガラス被膜を絶縁あるいは安定化の目的で被着した半導体装置の製造法に関するものである。
従来,半導体装置の絶縁あるいは安定化のため,熱膨張係数が半導体装置のそれと近接したガラス状物質を半導体表面に被着する方法がとられているが,殊に高耐圧を要する半導体装置においては,そのガラス状被膜を数10ミクロンにする必要のある場合が多い。したがって酸化鉛,酸化亜鉛等を主成分とするガラス粉末を付着し,焼成融合してガラス被膜を形成する方法が提案されている。しかしながら従来は,このようなガラス被膜を形成した半導体装置に電極取出し用の電極窓を形成するため,感光性有機絶縁膜を用いた写真食刻法等により形成する必要がある。このような場合,殊に数ミクロン以上の厚いガラス被膜を写真食刻法によって電極窓を形成すると,保護膜の下のガラスがかなりエッチングされる,いわゆるアンダーカットが著しく,所望の電極窓を形成することが困難である。
またあるいはパッシベイテッド・メサ型半導体装置において酸化被膜をマスクとしてメサエッチを行ない,その酸化被膜を再びマスクとして電気泳動法によるガラス粉末の付着焼成を行う選択被着の場合には,メサエッチの際にマスクとして用いた酸化被膜の下の半導体がアンダーカットとなり,残った酸化被膜のとび出しがその後の写真食刻法による電極窓形成の妨げとなるため,機械的方法による除去が必要となり,そのため酸化被膜あるいはガラス被膜上に機械的歪を与える原因となり,装置の特性劣化をもたらす危険がある。
本発明の目的は上記の欠点を除去し,極めて簡単に電極窓を化学的に形成する方法を提供するものである。
以下,図面を参照して本発明を詳細に説明する。電極窓形成法として最も簡単な方法は酸化被膜を電極窓を要する部分に形成して,電気泳動法によりガラス被膜を電極窓以外の半導体表面に形成し,その後酸化被膜のエッチング速度が大きく,ガラス被膜のエッチング速度が小さいエッチング液で酸化被膜のみ除去すればよい。この目的に適するエッチング液を得るための種々の溶液による酸化被膜とガラス被膜のエッチング速度を比較検討した結果,弗酸とアンモニウム塩による緩衡溶液がこの目的に適していることを実証した。」(1頁1欄18行-1頁2欄25行)
「同図cのように上記ガラス被膜を形成した後,弗酸1容にアンモニウム飽和水溶液10容以上の混合比の緩衡溶液でエッチングを行い,酸化けい素被膜のみ除去し,電極窓7を形成する。電極窓には蒸着法あるいはメッキ法で金属電極を形成することができる。緩衡溶液の混合比は,ガラスの被膜をXg,そのエッチング速度をRgとし,酸化けい素被膜の膜厚をXo,そのエッチング速度をRoとするとき,Rg/Ro<Xg/Xoとなるごとく選べばよい。」(2頁3欄33行-2頁4欄9行)

第6 対比及び判断
1 引用発明1を主引用発明とする理由について
(1)本願発明と引用発明1との対比(「/」は改行を表す。以下同じ。)
ア 引用発明1では「処理対象物は,第一,第二の半導体層を有する基板と,第二の半導体層の表面に配置された絶縁膜とを有しており」「絶縁膜がエッチング除去され」る工程を含む「半導体装置の製造方法」であるから,引用発明1の「半導体装置の製造方法」は,本願発明の「半導体基板の表面に形成された酸化膜を部分的に除去する酸化膜除去工程を含む半導体装置の製造方法」に相当する。
イ 引用発明1の「処理対象物の絶縁膜が配置された側の面には溝が形成されており,溝の内部にガラスを付着させた後,全体を所定温度で加熱すると付着したガラスが焼成され,溝の内部に露出する基板を覆うガラス部材が形成され,/ ガラス部材が形成された状態では,ガラス部材の間に絶縁膜の表面が露出しており,その状態の処理物をエッチング液に浸漬すると,絶縁膜がエッチング除去され,ガラス部材の間に基板の表面が露出すること」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程は,/ 露光工程を用いることなく前記酸化膜の上面にレジストガラス層を選択的に形成する第1工程と,/ 前記レジストガラス層を焼成して当該レジストガラス層を緻密化する第2工程と,/ 前記レジストガラス層をマスクとして前記酸化膜を部分的に除去する第3工程とを含み」に相当する。
ウ 引用発明1の「処理対象物は,第一,第二の半導体層を有する基板と,第二の半導体層の表面に配置された絶縁膜とを有しており,/ 処理対象物の絶縁膜が配置された側の面には溝が形成されており」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程の前には,/ 主面に平行なpn接合を有し,かつ,主面が酸化膜で覆われた半導体基板を準備する半導体基板準備工程と,/ 前記半導体基板の一方の主面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより,前記溝の内部にpn接合露出部を形成する溝形成工程とをこの順で含み」に相当する。
エ 引用発明1の「処理対象物の絶縁膜が配置された側の面には溝が形成されており,溝の内部にガラスを付着させ」は,電気泳動を行ってガラスを付着させている(前記第5の1(1)【0017】)から,本願発明の「前記第1工程においては,電気泳動法によって,前記酸化膜の上面のうち前記溝の周囲の領域及び前記溝の内面に」「前記レジストガラス層を前記溝の内面で前記pn接合露出部が被覆されるように形成し」に相当する。
オ 引用発明1の「ガラス部材の間に露出する基板表面に電極を形成する」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程の後には,/ 前記マスクとして用いた前記レジストガラス層が残存する状態で,」「電極を形成する電極形成工程と,を含み,/ 前記酸化膜除去工程の後には,前記マスクとして用いた前記レジストガラス層を除去する工程を含まないものであり」に相当する。
カ 引用発明1では,「絶縁膜がエッチング除去され」る際に,ガラス部材118の周囲の絶縁膜114は残存している(前記第5の1(1)図5(d))から,「前記残存する前記酸化膜の一部は,前記溝の周囲の領域において,前記溝の内面に形成された前記レジストガラス層と前記粗面化領域上に形成された前記電極とに,挟まれている」といえる。
キ すると,本願発明と引用発明1とは,下記クの点で一致し,下記ケの点で相違する。
ク 一致点
「半導体基板の表面に形成された酸化膜を部分的に除去する酸化膜除去工程を含む半導体装置の製造方法であって,
前記酸化膜除去工程は,
露光工程を用いることなく前記酸化膜の上面にレジストガラス層を選択的に形成する第1工程と,
前記レジストガラス層を焼成して当該レジストガラス層を緻密化する第2工程と,
前記レジストガラス層をマスクとして前記酸化膜を部分的に除去する第3工程とを含み,
前記酸化膜除去工程の前には,
主面に平行なpn接合を有し,かつ,主面が酸化膜で覆われた半導体基板を準備する半導体基板準備工程と,
前記半導体基板の一方の主面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより,前記溝の内部にpn接合露出部を形成する溝形成工程とをこの順で含み,
前記第1工程においては,電気泳動法によって,前記酸化膜の上面のうち前記溝の周囲の領域及び前記溝の内面に前記レジストガラス層を前記溝の内面で前記pn接合露出部が被覆されるように形成し,
前記酸化膜除去工程の後には,
前記マスクとして用いた前記レジストガラス層が残存する状態で,電極を形成する電極形成工程と,を含み,
前記酸化膜除去工程の後には,前記マスクとして用いた前記レジストガラス層を除去する工程を含まないものであり,
前記残存する前記酸化膜の一部は,前記溝の周囲の領域において,前記溝の内面に形成された前記レジストガラス層と前記粗面化領域上に形成された前記電極とに,挟まれている,ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」
ケ 相違点
(ア)相違点1
本願発明では,「前記レジストガラス層は,少なくともSiO_(2)と,B_(2)O_(3)と,Al_(2)O_(3)と,ZnOと,CaO,MgO及びBaOのうち少なくとも2つのアルカリ土類金属の酸化物とを含有し,かつ,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有せず,/ SiO_(2)の含有量が50mol%?65mol%の範囲内にあり,/ B_(2)O_(3)の含有量が8mol%?18mol%の範囲内にあり,/ Al_(2)O_(3)の含有量が4mol%?15mol%の範囲内にあり,/ ZnOの含有量が4mol%?14mol%の範囲内にあり,/ アルカリ土類金属の酸化物の含有量が6mol%?16mol%の範囲内にあるレジストガラスからな」るのに対し,引用発明1では「ガラス部材」の組成や濃度範囲が不明である点。
(イ)相違点2
本願発明では,「前記第3工程においては,前記レジストガラス層をマスクとしてバッファードフッ酸を用いて前記酸化膜を除去」するのに対し,引用発明1では「絶縁膜がエッチング除去され」るときのエッチャントが不明である点。
(ウ)相違点3
本願発明では,「前記酸化膜除去工程において酸化膜が除去されたNiめっきを形成する領域における前記半導体基板の表面の粗面化処理を,前記マスクとして用いた前記レジストガラス層が残存する状態で行って,Niめっき電極と前記半導体基板との密着性を高くするための粗面化領域を形成する粗面化領域形成工程」を有するのに対し,引用発明1では「粗面化領域形成工程」を有するか不明である点。
(エ)相違点4
本願発明では,「前記半導体基板にNiめっきを行って,前記粗面化領域上にNiめっき電極を形成」するのに対し,引用発明1では,「電極を形成する」の電極の材料や製法が不明である点。
(オ)相違点5
本願発明では,「前記半導体基板の前記粗面化領域の上面に形成された前記Niめっき電極に隣接し且つ前記半導体基板の上面と前記レジストガラス層の端部との間に位置し,前記第3工程において除去されずに残存する前記酸化膜の一部である,シリコン酸化膜の厚さは,5nm?100nmの範囲内であ」るのに対し,引用発明1では,残存する絶縁膜の厚さが不明である点。
(2)相違点についての判断
相違点2及び3について検討する。
ア 引用文献1(前記第5の1(1)【0007】-【0009】)には,従来技術の引用発明1では,基板とガラス部材との熱膨張係数の差によって処理対象物に反りが生じるところ,反り等の変形を軽減する目的で,「絶縁膜の除去は,絶縁膜の表面に微小粒子を吹き付け,前記絶縁膜を研摩除去する」ことが記載されている。よって,この示唆に従い,「絶縁膜の表面に微小粒子を吹き付け」ることの延長で「粗面化領域形成工程」を採用すること自体は,当業者にとって容易といえる。しかし,そうすると「絶縁膜の除去」が同時に行われることになるから,相違点2に係る「絶縁膜がエッチング除去され」ることが不要となり,相違点2に係る構成を採用することはその前提を欠くことになる。
イ 一方,酸化膜をエッチングするためにバッファードフッ酸をエッチャントとして用いることは,引用文献6,7及び引用文献Aに記載されている(前記第5の6,同7及び同8)から,まず,相違点2に係るエッチャントとして「バッファードフッ酸」を採用した上で,相違点3に係る「粗面化領域形成工程」を,前記アのとおり引用文献1の示唆に従い採用しようとすると,「絶縁膜の除去は,絶縁膜の表面に微小粒子を吹き付け」除去するという引用文献1に記載された教示のうち後半部分の「微小粒子を吹き付け」だけを取り出して採用することになって,不合理である。
ウ いずれにせよ,引用文献1に従来技術として記載された引用発明1に基づいて,引用文献1に記載された目的に沿うようにして,相違点2及び3に係る構成を得ることは困難であり,引用発明1において相違点2及び3に係る構成を得ることには阻害要因がある。
(3)小括
したがって,本願発明は,引用発明1及び引用文献2-7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 引用発明2を主引用発明とする理由について
(1)本願発明と引用発明2との対比
ア 引用発明2の「半導体装置の製造方法」は「Niめっき電極膜を形成する部位における酸化膜を除去」する工程を有するから,本願発明の「半導体基板の表面に形成された酸化膜を部分的に除去する酸化膜除去工程を含む半導体装置の製造方法」に相当する。
イ 引用発明2の「次に,電気泳動法により,溝の内面及びその近傍の半導体表面に半導体接合保護用ガラス組成物から成る層を形成する」は,本願発明の「露光工程を用いることなく前記酸化膜の上面に」「ガラス層を選択的に形成する第1工程」に相当する。
ウ 引用発明2の「当該半導体接合保護用ガラス組成物からなる層を焼成することにより,パッシベーション用のガラス層を形成」するは,本願発明の「ガラス層を焼成して当該ガラス層を緻密化する第2工程」に相当する。
エ 引用発明2の「酸化膜のエッチングを行い,Niめっき電極膜を形成する部位における酸化膜を除去し」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程は,」「前記酸化膜を部分的に除去する第3工程」に相当する。
オ 引用発明2の「半導体接合保護用ガラス組成物としては,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有しない原料で,組成比がSiO_(2):55.3,Al_(2)O_(3):4.5,B_(2)O_(3):13.8,ZnO:13.5,CaO:7.3,BaO:5.0,NiO:0.6であるものを用い」は,本願発明の「ガラス層は,少なくともSiO_(2)と,B_(2)O_(3)と,Al_(2)O_(3)と,ZnOと,CaO,MgO及びBaOのうち少なくとも2つのアルカリ土類金属の酸化物とを含有し,かつ,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有せず,/ SiO_(2)の含有量が50mol%?65mol%の範囲内にあり,/ B_(2)O_(3)の含有量が8mol%?18mol%の範囲内にあり,/ Al_(2)O_(3)の含有量が4mol%?15mol%の範囲内にあり,/ ZnOの含有量が4mol%?14mol%の範囲内にあり,/ アルカリ土類金属の酸化物の含有量が6mol%?16mol%の範囲内にある」「ガラスからなり」に相当する。
カ 引用発明2の「主面に平行なpn接合が形成された半導体基体を準備し,その後,熱酸化により表面に酸化膜を形成し,/ 半導体基体の一方の表面からpn接合を超える深さの溝を形成し」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程の前には,/ 主面に平行なpn接合を有し,かつ,主面が酸化膜で覆われた半導体基板を準備する半導体基板準備工程と,/ 前記半導体基板の一方の主面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより,前記溝の内部にpn接合露出部を形成する溝形成工程とをこの順で含み」に相当する。
キ 引用発明2の「次に,電気泳動法により,溝の内面及びその近傍の半導体表面に半導体接合保護用ガラス組成物から成る層を形成する」は,本願発明の「前記第1工程においては,電気泳動法によって,前記酸化膜の上面のうち前記溝の周囲の領域及び前記溝の内面にPbを実質的に含有しない前記」「ガラス層を前記溝の内面で」「形成し」に相当する。
ク 引用発明2の「次に,Niめっき電極膜を形成する部位130における半導体基体表面の粗面化処理を行い,/ 次に,半導体基体にNiめっきを行い,粗面化領域上にアノード電極を形成する」は,本願発明の「前記酸化膜除去工程の後には,/ 前記酸化膜除去工程において酸化膜が除去されたNiめっきを形成する領域における前記半導体基板の表面の粗面化処理を,」「ガラス層が残存する状態で行って,Niめっき電極と前記半導体基板との密着性を高くするための粗面化領域を形成する粗面化領域形成工程と,/ 前記」「ガラス層が残存する状態で,前記半導体基板にNiめっきを行って,前記粗面化領域上にNiめっき電極を形成する電極形成工程と,を含み,/ 前記酸化膜除去工程の後には,前記」「ガラス層を除去する工程を含まないものであり」に相当する。
ケ 引用発明2では「絶縁層の厚さは5nmから60nmの範囲内」であり,「Niめっき電極膜を形成する部位における酸化膜を除去」する際に酸化膜が残存する(前記第5の2図2(c))から,「前記半導体基板の前記粗面化領域の上面に形成された前記Niめっき電極に隣接し且つ前記半導体基板の上面と前記」「ガラス層の端部との間に位置し,前記第3工程において除去されずに残存する前記酸化膜の一部である,シリコン酸化膜の厚さは,5nm?100nmの範囲内であり,/ 前記残存する前記酸化膜の一部は,前記溝の周囲の領域において,前記溝の内面に形成された前記」「ガラス層と前記粗面化領域上に形成された前記Niめっき電極とに,挟まれている」といえる。
コ すると,本願発明と引用発明2とは,下記サの点で一致し,下記シの点で相違する。
サ 一致点
「半導体基板の表面に形成された酸化膜を部分的に除去する酸化膜除去工程を含む半導体装置の製造方法であって,
前記酸化膜除去工程は,
露光工程を用いることなく前記酸化膜の上面にガラス層を選択的に形成する第1工程と,
前記ガラス層を焼成して当該ガラス層を緻密化する第2工程と,
前記酸化膜を部分的に除去する第3工程とを含み,
前記ガラス層は,少なくともSiO_(2)と,B_(2)O_(3)と,Al_(2)O_(3)と,ZnOと,CaO,MgO及びBaOのうち少なくとも2つのアルカリ土類金属の酸化物とを含有し,かつ,Pbと,Asと,Sbと,Liと,Naと,Kとを実質的に含有せず,
SiO_(2)の含有量が50mol%?65mol%の範囲内にあり,
B_(2)O_(3)の含有量が8mol%?18mol%の範囲内にあり,
Al_(2)O_(3)の含有量が4mol%?15mol%の範囲内にあり,
ZnOの含有量が4mol%?14mol%の範囲内にあり,
アルカリ土類金属の酸化物の含有量が6mol%?16mol%の範囲内にあるガラスからなり,
前記酸化膜除去工程の前には,
主面に平行なpn接合を有し,かつ,主面が酸化膜で覆われた半導体基板を準備する半導体基板準備工程と,
前記半導体基板の一方の主面からpn接合を超える深さの溝を形成することにより,前記溝の内部にpn接合露出部を形成する溝形成工程とをこの順で含み,
前記第1工程においては,電気泳動法によって,前記酸化膜の上面のうち前記溝の周囲の領域及び前記溝の内面にPbを実質的に含有しない前記ガラス層を前記溝の内面で形成し,
前記酸化膜除去工程の後には,
前記酸化膜除去工程において酸化膜が除去されたNiめっきを形成する領域における前記半導体基板の表面の粗面化処理を,前記ガラス層が残存する状態で行って,Niめっき電極と前記半導体基板との密着性を高くするための粗面化領域を形成する粗面化領域形成工程と,
前記ガラス層が残存する状態で,前記半導体基板にNiめっきを行って,前記粗面化領域上にNiめっき電極を形成する電極形成工程と,を含み,
前記酸化膜除去工程の後には,前記ガラス層を除去する工程を含まないものであり,
前記半導体基板の前記粗面化領域の上面に形成された前記Niめっき電極に隣接し且つ前記半導体基板の上面と前記ガラス層の端部との間に位置し,前記第3工程において除去されずに残存する前記酸化膜の一部である,シリコン酸化膜の厚さは,5nm?100nmの範囲内であり,
前記残存する前記酸化膜の一部は,前記溝の周囲の領域において,前記溝の内面に形成された前記ガラス層と前記粗面化領域上に形成された前記Niめっき電極とに,挟まれている,ことを特徴とする半導体装置の製造方法。」
シ 相違点
(ア)相違点6
本願発明では「ガラス」は「レジストガラス」であり,「前記レジストガラス層をマスクとして」酸化膜を除去するのに対し,引用発明2では「ガラス層の表面を覆うようにフォトレジストを形成した後,当該フォトレジストをマスクとして」酸化膜のエッチングを行う点。
(イ)相違点7
本願発明では,「前記第3工程においては,バッファードフッ酸を用いて前記酸化膜を除去」するのに対し,引用発明2では,酸化膜のエッチングを行う際のエッチャントが不明である点。
(ウ)相違点8
本願発明では,ガラス層を「前記pn接合露出部が被覆されるように」形成するのに対し,引用発明2ではガラス層は「溝の内面を絶縁層を介して被覆」する点。
(2)相違点についての判断
相違点8について検討する。
引用発明2の目的は「鉛を含まないガラス材料を用いて」「高耐圧の半導体装置を製造すること」また,「半導体基体とガラス層との境界面から発生することがある泡の発生を」「抑制すること」また,「逆方向リーク電流の低い半導体装置を安定して製造すること」(前記第5の2(1)[0019]-[0021])であると認められる。
そして,この目的を達成するために「熱酸化法によって,溝の内面にシリコン酸化膜から成る絶縁層を形成」し半導体基体とガラス層との間に絶縁層を介在させる(前記第5の2(1)[0084],[0085])ものである。
すると,引用発明2において溝の内面を絶縁層を介して被覆するところ,絶縁層を介在させずにそれを除いてガラス層を「前記pn接合露出部が被覆されるように」形成することは,引用発明2の目的に反することとなり,相違点8に係る構成を採用することには阻害要因があると認められる。
(3)小括
したがって,本願発明は,引用発明2に基づいて,当業者が容易に発明することができたものではない。

第7 原査定についての判断
前記第6の1のとおり,本願発明は,引用文献1に記載された発明及び引用文献2-7に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-07-29 
出願番号 特願2016-556177(P2016-556177)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 恩田 和彦  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 深沢 正志
鈴木 和樹
発明の名称 半導体装置の製造方法及びレジストガラス  
代理人 佐藤 泰和  
代理人 中村 行孝  
代理人 朝倉 悟  
代理人 永井 浩之  
代理人 出口 智也  
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