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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F02C |
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管理番号 | 1353812 |
審判番号 | 不服2018-1683 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-02-07 |
確定日 | 2019-07-31 |
事件の表示 | 特願2015-504917「圧縮空気エネルギー貯蔵システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月17日国際公開、WO2013/153019、平成27年4月30日国内公表、特表2015-513040〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2013年4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年4月12日、イタリア国)を国際出願日とする出願であって、平成29年1月24日付け(発送日:同年2月7日)で拒絶理由が通知され、同年4月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年9月27日付け(発送日:同年10月10日)で拒絶査定がされ、これに対して平成30年2月7日に拒絶査定不服審判が請求され、その後、同年9月21日付け(発送日:同年9月25日)で当審より拒絶の理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、その指定期間内の同年12月19日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし25に係る発明は、平成30年12月19日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし25に記載されたものと認めるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は以下のとおりである。 「【請求項1】 圧縮空気エネルギー貯蔵システム(102、202)であって、 第1の圧力の空気流を受け、前記空気流を第2の圧力に部分的に膨張させるように構成された少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)であって、前記第2の圧力が、前記第1の圧力よりも低く、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)内の前記空気流の膨張が有用な機械動力を生成する、少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)と、 燃料および前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)から部分的に膨張した空気流を受けるように構成された少なくとも1つの熱発生器構成要素(125、225)と、 前記熱発生器構成要素(125、225)から燃焼ガスを受け、前記燃焼ガスを膨張させ、有用な機械動力を生成するように構成された少なくとも1つのタービン(131、231)と、 選択的に熱エネルギーを貯蔵し、前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置および少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)と、 を備え、 前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)が、前記第2の圧力を概ね一定の圧力値の圧力範囲内に維持するように制御され、 前記少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、前記少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)と前記少なくとも1つの熱発生器構成要素(125、225)との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている、 システム(102、202)。」 第3 当審拒絶理由の概要 当審拒絶理由の概要は以下のとおりである。 (進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) 請求項1ないし11、19ないし26に対して:引用文献等1ないし4 請求項12ないし18、27及び28に対して:引用文献等1ないし5 <引用文献等一覧> 1.特開平2-45622号公報 2.特開2003-301798号公報 3.特開2002-339760号公報 4.特開昭58-176407号公報 5.米国特許出願公開第2011/0094231号明細書 第4 引用文献、引用発明、引用文献記載事項 1.引用文献1 当審拒絶理由で引用された引用文献1(特開平2-45622号公報)には、「圧縮空気貯蔵発電装置」に関して、図面(特に、第1、3及び4図を参照。)とともに、次の事項が記載されている。なお、下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。 (1)「その技術の一つとして,余剰電力により圧縮機を駆動して圧縮空気を貯蔵し,電力が必要な時にその圧縮空気によりタービンを駆動して発電する従来の圧縮空気貯蔵発電装置の一例を,第3図により説明する。 (i)圧縮空気貯蔵運転 サイリスタインバータ付きの同期発電電動機(1)を電動機として使用し,これを夜間の余剰電力によって回転させ,嵌脱装置(2A)を介して同軸上に結合された低圧圧縮機(3),(4),(5)を駆動する。圧縮された空気は逆止弁(6),遮断弁(19)を経て,電動機(7)によって駆動される高圧圧縮機(8)で更に圧縮され,後置冷却器(9D),逆止弁(10)を経て圧縮空気貯蔵タンク(11)に貯蔵される。各圧縮機(3),(4),(5),(8)の間には,圧縮仕事を減少させるために,中間冷却器(9A),(9B),(9C)が配設される。後置冷却器(9D)を設けるのは,タンク内に貯蔵できる空気量が空気の絶対温度に逆比例するので,貯蔵能力を増すためである。このとき遮断弁(12),(13),(14)は閉じ,嵌脱装置(2B)は脱状態にしておく。 (ii)回収発電運転 次に昼間のピーク時には,遮断弁(13),(19)を閉じ遮断弁(12),(14)を開くと,圧縮空気貯蔵タンク(11)内の圧縮空気は,空気タービン(15)で膨脹してその圧力が高温のガスタービン(16)の入口ガス温度に見合った圧力まで低下する。それから逆止弁(20),(21),遮断弁(14)を経て再生熱交換器(17)でガスタービンの排熱を吸収し,燃焼器(18)で燃料を燃焼させて高温ガスとなる。そしてガスタービン(16)で膨脹し,再生熱交換器(17)を経て大気に排出される。 このとき嵌脱装置(2B)は嵌,(2A)は脱状態にされており,同期発電電動機(1)は発電機として使用される。また空気タービン(15)により発電機(22)が駆動される。この運転モードを回収発電運転と云う。」(第1ページ右下欄最下行ないし第2ページ右上欄第14行) (2)「第1図は本発明の一実施例を示す系統図,第2図は同じく電気回路図である。これらの図において,前記第3図および第4図により説明した従来のものと同様の部分については,同一の符号を付けて詳しい説明を省略する。 まず第1図に示されるように本実施例においては,低圧圧縮機(3)の回転軸と低圧圧縮機(4),(5)の回転軸とは互いに結合されておらず,低圧圧縮機(3)は電動機(36),低圧圧縮機(4),(5)は電動機(37)により,それぞれ別個に駆動されるようになっている。そして,これら低圧圧縮機(3),(4),(5)の吐出側と高圧圧縮機(8)の吐出側には,それぞれ放風弁(35A),(35B),(35C),(35D)が設けられている。またガスタービン(16)には,発電電動機ではなく発電機(34)が,嵌脱装置などを介さず,直接に結合されている。」(第3ページ左下欄第5行ないし第19行) (3)「次に,空気タービン(15)の入口静翼取付角も可変式とする。そして,空気圧力の上昇とともに翼間通路面積を狭め,上昇した空気の圧力エネルギを有効に動力として回収し,発電量を増大させる。発電機(22)はこの過負荷に対応した仕様とする。」(第4ページ右上欄第18行ないし同ページ左下欄第2行) (4)上記(1)及び第1図の図示内容から、再生熱交換器(17)は、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)で膨張した空気に熱エネルギーを送達するように構成されており、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)と燃焼器(18)との間の空気に熱を伝達するように構成され、配置されているといえる。 (5)上記(1)の記載事項及び技術常識を踏まえると、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)による膨張後の空気の圧力が、圧縮空気貯蔵タンク(11)内の圧縮空気の圧力よりも低いことは自明である。 上記記載事項及び認定事項並びに図面の図示内容からみて、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「圧縮空気貯蔵発電装置であって、 圧縮空気貯蔵タンク(11)内の圧縮空気を受け、前記圧縮空気を膨張させるように構成された入口静翼取付角可変式空気タービン(15)であって、前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)による膨張後の空気の圧力が、前記圧縮空気貯蔵タンク(11)内の圧縮空気の圧力よりも低く、前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)により発電機(22)が駆動される入口静翼取付角可変式空気タービン(15)、 燃料および前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)で膨張した空気を受けるように構成された燃焼器(18)、 前記燃焼器(18)から高温ガスを受け、前記高温ガスを膨張させ、発電機(34)を駆動するように構成されたガスタービン(16)と、 前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)で膨張した空気に熱エネルギーを送達するように構成された再生熱交換器(17)と、 を備え、 前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)が、空気圧力の上昇とともに翼間通路面積を狭め、上昇した空気の圧力エネルギーを有効に動力として回収し発電量を増大させ、 前記再生熱交換器(17)が、前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)と前記燃焼器(18)との間の空気に熱を伝達するように構成され、配置されている、 圧縮空気貯蔵発電装置。」 2.引用文献2 引用文献2(特開2003-301798号公報)には、次の事項が記載されている。 (1)「【0023】次に、上記の圧縮機を備えたガスタービンについて説明する。図2に示すガスタービン100は、図1に示す圧縮機10を備えたガスタービン100の構成を示すものである。ガスタービン100は、供給された空気を圧縮して吐出する圧縮機10と、圧縮機10から吐出された空気と燃料とが混合燃焼される燃焼器110と、燃焼器110の燃焼ガスにより駆動されるタービン120を備えてなる。 【0024】上記の構成のガスタービン100によれば、供給される空気の流量に変化があっても、圧縮機10は空気の流量に依らず吐出口の圧力を一定の圧力に調節することができるため、ガスタービン100は安定に運転され、出力も安定させることができる。なお、この発明における圧縮機は、上記のようにガスタービンに適用するだけでなく各種の機器に適用できるものである。」 上記記載事項からみて、引用文献2には、次の事項(以下、「引用文献2記載事項」という。)が記載されている。 「ガスタービン100の燃焼器110に空気を供給する圧縮機10の吐出口の圧力を一定に調節することで、ガスタービン100の運転及び出力を安定させること。」 3.引用文献3 引用文献3(特開2002-339760号公報)には、図面(特に、図1及び11を参照)ととに、次の事項が記載されている。 (1)「【0051】図11は、図1に示した本発明のガスタービン発電装置について、燃焼器へ供給する加圧した気化空気の圧力調整装置を示したものである。図11において、空気供給配管に取り付けられた圧力計19で検出された燃焼器供給空気圧力の圧力信号は、燃焼器運転に適合した設定圧力S1と比較され、圧力偏差信号S2が得られる。この偏差信号S2は、圧力制御器201にて比例積分演算することにより圧力調整弁開度要求信号S3となり、圧力調整弁駆動装置202へ入力され圧力調整弁12の開度が制御される。また、圧力調整弁開度要求信号S3はバイパス弁バイアス信号S4と比較され、その偏差信号はバイパス弁開度要求信号S5となる。このバイパス弁開度要求信号S5は、バイパス弁駆動装置203へ入力されバイパス弁18の開度が制御される。なお、設定圧力S1とバイアス信号S4は、ガスタービン発電装置の負荷状態(燃焼器の運転状態)に応じて可変となる。 【0052】図12は、図11の圧力調整装置による供給空気の圧力制御状態を示した一例である。図12において、燃焼器供給空気圧力が設定圧力S1より低い場合には、圧力調整弁12へは開度減少要求信号が出力されることから、燃焼器供給空気圧力は次第に上昇する。その結果、圧力調整弁12の開度は再び増加し整定する。同様にして、燃焼器供給空気圧力が設定圧力S1より高い場合には、圧力調整弁12へは開度増加信号が出力される。これにより、燃焼器供給空気圧力は次第に低下し、圧力調整弁12の開度も減少する。 【0053】燃焼器供給空気圧力が上昇した際に、圧力調整弁12の開度増加にもかかわらず圧力が低下しないような場合、蓄冷槽内の伝熱管内の圧力も上昇する。その結果、伝熱管内空気の平均的な気化位置が下流側に移動し、それに伴い蓄冷槽からの空気加熱量も増加し、さらなる圧力上昇を引き起こす可能性がある。このため、予め設定した圧力を超えて燃焼器供給空気圧力が増加した場合には、バイパス弁18が開動作し蓄冷槽内の空気圧力の増加を抑制する。これにより、蓄冷槽を用いた気化空気の安定な供給を実現する。 【0054】 【発明の効果】本発明のガスタービン発電方法および装置によれば、液体空気の原料となる吸気空気から湿分及び二酸化炭素を吸着器により連続的に除去し、極低温となる蓄冷槽の伝熱管内部での氷結を防止することにより安定な空気液化を実現することができる。また、製造した液体空気を空気圧縮機の吸気側に噴霧することにより吸気温度を低下させることにより、必要とする圧縮機動力の最大値を低減し圧縮機容量を小さくすることができる。さらに、蓄冷槽による液体空気の気化において、蓄冷槽内の伝熱管を水平配置とすることにより内部の気化位置の影響を受けにくくした構造、及び蓄冷槽からの気化空気圧力調整手段を設置して安定な気化を実現するガスタービン発電方法および装置が実現できる。」 上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献3には、次の事項(以下、「引用文献3記載事項」という。)が記載されている。 「ガスタービンの燃焼器へ供給する加圧した空気の圧力を調整する圧力調整手段により、燃焼器への供給空気圧力の変動を抑制すること。」 4.引用文献4 引用文献4(特開昭58-176407号公報)には、図面(特に、第6図を参照)ととに、次の事項が記載されている。 (1)「ガスタービンユニット10a内の空気圧縮機1aによる加圧空気を前記管22よりの加圧空気に切換えるVCは次の操作による。即ち弁23、管24,25を経て燃焼器2aに加圧空気を供給するが、燃焼器2aの入口、管25の圧力を一定に保つ様に弁26を制御し、」(第4ページ左下欄第2ないし7行) 上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献4には、次の事項(以下、「引用文献4記載事項」という。)が記載されている。 「ガスタービンユニット10aの燃焼器2aに加圧空気を供給する際、燃焼器2aの入口の圧力を一定に保つこと。」 5.引用文献5 引用文献5(米国特許出願公開第2011/0094231号明細書)には、図面(特に、図1を参照)とともに、次の事項が記載されている。 (1)「[0019] According to embodiments of the invention, a multi-stage thermal energy storage (TES) system is provided to cool and heat air in an adiabatic compressed air energy storage (ACAES) system. The multi-stage TES system includes a plurality of TES units whose operating conditions can be switched or reversed between operation of the ACAES system in a compression mode and an expansion mode. [0020] Referring to FIG.1, a block schematic diagram of an adiabatic compressed air energy storage (ACAES) system 10 is shown according to an embodiment of the invention. ACAES system 10 includes a motor-generator unit 12 (which may be a combined unit or separate units), a driving shaft 14, a compression system or train 16, a compressed air storage volume or cavern 18, and a turbine system or train 20. [0021] Motor-generator unit 12 is electrically connected to, for example, a baseload power generating plant (not shown) to receive power therefrom. Motor-generator unit 12 and drive shaft 14 are selectively coupled to compressor system 16 and turbine system 20 through clutches (not shown). Compressor system 16 is coupled to motor-generator unit 12 and drive shaft 14 during a compression mode of operation, while turbine system 20 is decoupled from the motor-generator unit 12 and drive shaft 14. During an expansion mode of operation, turbine system 20 is coupled to motor-generator unit 12 and drive shaft 14, while compressor system 16 is decoupled from the motor-generator unit 12 and drive shaft 14. [0022] According to an embodiment of the invention, motor-generator unit 12 drives drive shaft 14 during the compression mode of operation (i.e., compression stage). In turn, drive shaft 14 drives compressor system 16, which includes a low pressure compressor 22 and a high pressure compressor 24, such that a quantity of ambient air enters an ambient air intake 26 (i.e., inlet) and is compressed by the compressor system 16. Low pressure compressor 22 is coupled to high pressure compressor 24 via a compression path 28 (i.e., compressor conduit). According to the present embodiment, low pressure compressor 22 compresses the ambient air. The compressed ambient air then passes along compression path 28 to high pressure compressor 24, where the ambient air is further compressed before exiting the compression path 28 at a compression path outlet 30 and being transferred to cavern 18. [0023] After compressed air is stored in cavern 18, compressed air can be allowed to enter an inlet 32 of an expansion path 34 (i.e., turbine conduit) during the expansion mode of operation (i.e., expansion stage). The compressed air proceeds down the expansion path 34 to turbine system 20, which includes a low pressure turbine 36 and a high pressure turbine 38. Due to the configuration of turbine system 20, the compressed air is allowed to expand as it passes therethrough; thus, causing rotation of turbines 36, 38 of turbine system 20 so as to facilitate power generation. The rotation of turbine system 20 causes drive shaft 14 to rotate. In turn, drive shaft 14 drives motor-generator unit 12, causing the unit to function as a generator to produce electricity. [0024] As shown in FIG.1, ACAES system 10 also includes a multi-stage thermal energy storage (TES) system 40 configured to cool and heat the air passing through the compression and expansion paths 28, 34 as it is being compressed/expanded by the compressor and turbine systems 16, 20. The multi-stage TES system 40 is comprised of a plurality of individual TES units 42, 44 that may take on a variety of forms. Each TES unit generally has two main elements, a thermal fill 46 and a containment vessel 48. The thermal fill 46 is a heat storage material of sufficient quantity to store the heat of compression generated during the compression cycle. The thermal fill material 46 is typically cycled at least once a day. The containment vessel 48 supports the thermal fill 46 and, depending on the design, contains the operating pressure. According to an embodiment of the invention, the TES units 42, 44 may be of the indirect type in which cycled air transfers heat to and from the thermal fill 46 without direct contact by using a heat exchanger (not shown). Such a device permits the use of a wide variety of thermal fill materials, such as thermal oil or molten salt. According to another embodiment of the invention, the TES units 42, 44 may be of the direct type in which solid material such as pebbles are in direct contact with the compressed air as it is being cycled, such as a pebble bed. [0025] In operation, the multi-stage TES system 40 functions to remove heat from the compressed air during a compression or "charging" stage/mode of operation of ACAES system 10. As air is compressed by compressor system 16 and as it passes along compression path 28 to cavern 18, multi-stage TES system 40 cools the compressed air. That is, before the compressed air is stored in cavern 18, it is passed through multi-stage TES system 40 to remove heat from the compressed air prior to storage in the cavern, so as to protect the integrity thereof. The heat is stored by multi-stage TES system 40, and is later conveyed back to the compressed air during an expansion or "discharging" stage/mode of operation of ACAES system 10. As the compressed air is released from cavern 18 and passes through expansion path 34 to be expanded by turbine system 20, the air is heated as it passes back through multi-stage TES system 40. [0026] According to the embodiment of FIG.1, the multi-stage TES system 40 includes a first TES unit 42 and a second TES unit 44 that are positioned intermittently along the compression path 28 and the expansion path 34 to provide cooling/heating to air passing therethrough. According to an exemplary embodiment, the compression path 28 is arranged or routed such that air is first directed to first TES unit 42 and is then subsequently directed to second TES unit 44. Air is brought into compression path 28 through inlet 26 and provided to low pressure compressor 22. Low pressure compressor 22 compresses the air to a first pressure level (i.e., a "low" pressure) and the air is then routed through compression path 28 to first TES unit 42, where the air is cooled. The air then continues through compression path 28 to high pressure compressor 24, where the air is compressed to a second pressure level (i.e., a "high" pressure). The air is then routed through compression path 28 to second TES unit 44, where the air is again cooled before exiting compression path 28 through outlet 30 for storage in cavern 18. Compression path 28 is thus routed such that first TES unit 42 is positioned on compression path 28 between low pressure compressor 22 and high pressure compressor 24 and such that second TES unit 44 is positioned on compression path 28 downstream of the high pressure compressor 24 to cool air compressed by the high pressure compressor. [0027] According to an exemplary embodiment, the expansion path 34 is routed such that air is first directed to first TES unit 42 and is then subsequently directed to second TES unit 44. Air is brought into expansion path 34 through inlet 32 and provided to first TES unit 42, where the air is heated. The heated air is then passed through expansion path 34 to high pressure turbine 38, which expands the air. The air then continues through expansion path 34 and is directed to second TES unit 44, where the air is again heated before being passed along expansion path 34 to low pressure turbine 36. The air is then expanded again in low pressure turbine 36 and vented to the environment, for example.」 (仮訳) 「[0019]本発明の実施形態によれば、断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システム内の空気を冷却および加熱するための多段熱エネルギー貯蔵(TES)システムが提供される。多段TESシステムには、圧縮モードにおけるACAESシステムの動作と、膨張モードにおけるACAESシステムの動作との間でその動作条件を切り換える、つまり反転させることができる複数のTESユニットが含まれている。 [0020]図1を参照すると、本発明の一実施形態による断熱圧縮空気エネルギー貯蔵(ACAES)システム10の略ブロック図が示されている。ACAESシステム10には、電動機-発電機ユニット12(このユニットは、組合せユニットであっても、個別のユニットであってもよい)、駆動軸14、圧縮システムすなわち圧縮列16、圧縮空気貯蔵体積すなわちキャバーン18およびタービンシステムすなわちタービン列20が含まれている。 [0021]電動機-発電機ユニット12は、電力を受け取るために例えばベース負荷発電装置(図示せず)に電気接続されている。電動機-発電機ユニット12および駆動軸14は、クラッチ(図示せず)を介して選択的に圧縮機システム16およびタービンシステム20に結合される。圧縮機システム16は、圧縮動作モードの間、電動機-発電機ユニット12および駆動軸14に結合され、一方、タービンシステム20は、電動機-発電機ユニット12および駆動軸14との結合が解除される。膨張動作モードの間、タービンシステム20は、電動機-発電機ユニット12および駆動軸14に結合され、一方、圧縮機システム16は、電動機-発電機ユニット12および駆動軸14との結合が解除される。 [0022]本発明の一実施形態によれば、電動機-発電機ユニット12は、圧縮動作モード(つまり圧縮段)の間、駆動軸14を駆動する。駆動軸14が駆動されると、駆動軸14は、一定量の周囲空気が周囲空気吸込み口26(つまり入口)に流入し、圧縮機システム16によって圧縮されるよう、低圧圧縮機22および高圧圧縮機24を含んだ圧縮機システム16を駆動する。低圧圧縮機22は、圧縮経路28(つまり圧縮機コンジット)を介して高圧圧縮機24に結合されている。この実施形態によれば、低圧圧縮機22は周囲空気を圧縮する。圧縮された周囲空気は、次に、圧縮経路28に沿って高圧圧縮機24へ流れ、圧縮経路出口30で圧縮経路28から出る前に高圧圧縮機24でさらに圧縮された後、キャバーン18へ移送される。 [0023]圧縮空気がキャバーン18に貯蔵されると、圧縮空気は、膨張動作モード(つまり膨張段)の間、膨張経路34(つまりタービンコンジット)の入口32に流入することができる。圧縮空気は、膨張経路34を下って、低圧タービン36および高圧タービン38を含んだタービンシステム20に流入する。タービンシステム20の構成のため、圧縮空気は、タービンシステム20を通って流れる際に膨張することができ、したがってタービンシステム20のタービン36、38が回転し、それにより容易に電力を生成することができる。タービンシステム20が回転すると駆動軸14が回転する。駆動軸14が回転すると、駆動軸14は電動機-発電機ユニット12を駆動し、したがってユニットは電気を生成する発電機として機能する。 [0024]図1に示されているように、ACAESシステム10には、さらに、圧縮機システムおよびタービンシステム16、20によって圧縮/膨張される際に圧縮経路および膨張経路28、34を通って流れる空気を冷却および加熱するように構成された多段熱エネルギー貯蔵(TES)システム40が含まれている。多段TESシステム40は、様々な形態を取ることができる複数の個別のTESユニット42、44からなっている。個々のTESユニットは、通常、サーマルフィル46および格納容器48の2つの主要エレメントを有している。サーマルフィル46は、圧縮サイクルの間に生成される圧縮熱を貯蔵するだけの十分な量の熱貯蔵材料である。サーマルフィル材料46は、通常、少なくとも1日に一回循環される。格納容器48は、サーマルフィル46を支持し、また、設計に応じて格納容器48には動作圧力が含まれている。本発明の一実施形態によれば、TESユニット42、44は、循環する空気がサーマルフィル46に熱を伝達し、また、サーマルフィル46から熱を伝達する、熱交換器(図示せず)の使用による直接接触のない間接タイプのユニットであってもよい。このようなデバイスの場合、熱油または溶融塩などの広範囲にわたる様々なサーマルフィル材料を使用することができる。本発明の他の実施形態によれば、TESユニット42、44は、圧縮空気が礫床などを循環する際に、礫などの固体材料が圧縮空気と直接接触する直接タイプのユニットであってもよい。 [0025]動作中、多段TESシステム40は、ACAESシステム10の圧縮すなわち「充填」段/動作モードの間、圧縮空気から熱を除去するように機能する。圧縮機システム16によって空気が圧縮され、また、空気が圧縮経路28に沿ってキャバーン18へ流れると、多段TESシステム40によって圧縮空気が冷却される。つまり、圧縮空気は、キャバーンの完全性を保護するために、キャバーン18に貯蔵される前に多段TESシステム40を通って流れ、キャバーンに貯蔵される前に圧縮空気から熱が除去される。熱は、多段TESシステム40によって貯蔵され、後に、ACAESシステム10の膨張すなわち「吐出」段/動作モードの間、圧縮空気に戻される。圧縮空気がキャバーン18から解放され、膨張経路34を通って流れると、タービンシステム20によって膨張し、空気は、多段TESシステム40を通って戻る際に加熱される。 [0026]図1の実施形態によれば、多段TESシステム40には、圧縮経路28および膨張経路34を通って流れる空気を冷却/加熱するために、圧縮経路28および膨張経路34に沿って間欠的に配置されている第1のTESユニット42および第2のTESユニット44が含まれている。一例示的実施形態によれば、圧縮経路28は、空気が最初に第1のTESユニット42へ導かれ、次に、引き続いて第2のTESユニット44へ導かれるように配置、つまり経路付けされている。空気は、入口26を介して圧縮経路28へもたらされ、低圧圧縮機22に供給される。空気は、低圧圧縮機22によって第1の圧力レベル(つまり「低い」圧力)に圧縮され、次に、空気は、圧縮経路28を介して第1のTESユニット42へ経路付けされ、そこで空気が冷却される。空気は、次に、引き続いて圧縮経路28を通って高圧圧縮機24へ流れ、そこで空気が第2の圧力レベル(つまり「高い」圧力)に圧縮される。空気は、次に、圧縮経路28を介して第2のTESユニット44へ経路付けされ、そこで、キャバーン18に貯蔵するために出口30を介して圧縮経路28から流出する前に、もう一度空気が冷却される。したがって圧縮経路28は、低圧圧縮機22と高圧圧縮機24の間の圧縮経路28上に第1のTESユニット42が位置するように、また、高圧圧縮機によって圧縮された空気を冷却するために、高圧圧縮機24の下流側の圧縮経路28上に第2のTESユニット44が位置するように経路付けされている。 [0027]一例示的実施形態によれば、膨張経路34は、空気が最初に第1のTESユニット42へ導かれ、次に、引き続いて第2のTESユニット44へ導かれるように経路付けされている。空気は、入口32を介して膨張経路34へもたらされ、第1のTESユニット42に供給され、そこで空気が加熱される。加熱された空気は、次に、膨張経路34を通って、空気を膨張させる高圧タービン38へ流れる。空気は、次に、引き続いて膨張経路34を通って第2のTESユニット44へ導かれ、そこで、膨張経路34に沿って低圧タービン36へ流れる前に、もう一度空気が加熱される。空気は、次に、低圧タービン36内でもう一度膨張した後、例えば環境に排気される。」 (2)上記(1)(特に、段落[0023]及び[0027])及び図1の図示内容から、第1のTESユニット42が、高圧タービン38の上流の空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、第2のTESユニット44が、高圧タービン38とタービン36との間の空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている、といえる。 上記記載事項及び図面の図示内容からみて、引用文献5には、次の事項(以下、「引用文献5記載事項」という。)が記載されている。 「選択的に熱エネルギーを貯蔵し、空気流に熱エネルギーを送達するように構成された第1のTESユニット42および第2のTESユニット44、を備え、前記第1のTESユニット42が、高圧タービン38の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、前記第2のTESユニット44が、前記高圧タービン38と低圧タービン36との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている、圧縮空気エネルギー貯蔵システム。」 第5 対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「圧縮空気貯蔵発電装置」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、「圧縮空気エネルギー貯蔵システム」及び「システム」に相当し、以下同様に、「圧縮空気貯蔵タンク内の圧縮空気」は「第1の圧力の空気流」に、「前記圧縮空気を膨張させる」は「前記空気流を第2の圧力に部分的に膨張させる」に、「入口静翼取付角可変式空気タービン(15)」は「少なくとも1つの可変ノズル膨張器」に、「前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)による膨張後の空気の圧力が、前記圧縮空気貯蔵タンク(11)内の圧縮空気の圧力よりも低く」は「前記第2の圧力が、前記第1の圧力よりも低く」に、「前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)により発電機(22)が駆動される」は「前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器内の前記空気流の膨張が有用な機械動力を生成する」に、「燃焼器(18)」は「少なくとも1つの熱発生器構成要素」に、「高温ガス」は「燃焼ガス」に、「発電機(34)を駆動する」は「有用な機械動力を生成する」に、「ガスタービン(16)」は「少なくとも1つのタービン」に、それぞれ相当する。 また、引用発明の「前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)で膨張した空気に熱エネルギーを送達するように構成された再生熱交換器(17)」と、本願発明の「選択的に熱エネルギーを貯蔵し、前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置および少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)」とは、「前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された手段」という限りにおいて一致し、引用発明の「前記再生熱交換器(17)が、前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)と前記燃焼器(18)との間の空気に熱を伝達するように構成され、配置されている」と、本願発明の「前記少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、前記少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)と前記少なくとも1つの熱発生器構成要素(125、225)との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている」とは、「前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された手段が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器と前記少なくとも1つの熱発生器構成要素との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている」という限りにおいて一致している。 よって、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 [一致点] 「圧縮空気エネルギー貯蔵システムであって、 第1の圧力の空気流を受け、前記空気流を第2の圧力に部分的に膨張させるように構成された少なくとも1つの可変ノズル膨張器であって、前記第2の圧力が、前記第1の圧力よりも低く、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器内の前記空気流の膨張が有用な機械動力を生成する、少なくとも1つの可変ノズル膨張器と、 燃料および前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器から部分的に膨張した空気流を受けるように構成された少なくとも1つの熱発生器構成要素と、 前記熱発生器構成要素から燃焼ガスを受け、前記燃焼ガスを膨張させ、有用な機械動力を生成するように構成された少なくとも1つのタービンと、 前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された手段と、 を備え、 前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された手段が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器と前記少なくとも1つの熱発生器構成要素との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている、 システム。」 [相違点1] 本願発明においては、少なくとも1つの可変ノズル膨張器が、「第2の圧力を概ね一定の圧力値の圧力範囲内に維持するように制御される」のに対して、引用発明においては、入口静翼取付角可変式空気タービン15が、空気圧力の上昇とともに翼間通路面積を狭め、上昇した空気の圧力エネルギーを有効に動力として回収し発電量を増大させる点。 [相違点2] 本願発明においては、「選択的に熱エネルギーを貯蔵し、前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置および少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)」を備え、「前記少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、前記少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置(303、305)が、前記少なくとも1つの可変ノズル膨張器(115、115A、215、215A)と前記少なくとも1つの熱発生器構成要素(125、225)との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている」のに対し、引用発明においては、「前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)で膨張した空気に熱エネルギーを送達するように構成された再生熱交換器(17)」を備え、「前記再生熱交換器(17)が、前記入口静翼取付角可変式空気タービン(15)と前記燃焼器(18)との間の空気に熱を伝達するように構成され、配置されている」点。 上記相違点1について検討する。 引用発明においては「入口静翼取付角可変式空気タービン(15)が、空気圧力の上昇とともに翼間通路面積を狭め、上昇した空気の圧力エネルギを有効に動力として回収し,発電量を増大させ」ている。ここで「空気圧力」とは、「入口静翼取付角可変式空気タービン(15)」の入口側の「空気圧力」と理解できるから、入口側の「空気圧力」が上昇するほど、多くの圧力エネルギを回収するという意味に解される。そして、圧力エネルギを回収すれば、その回収された圧力エネルギ相当分、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)の出口側で圧力は降下する。すなわち、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)の入口側の空気圧力が上昇しても、その分は圧力エネルギとして回収され、回収された圧力エネルギ相当分、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)の出口側で圧力は降下するから、引用発明において入口静翼取付角可変式空気タービン(15)の出口側の空気圧力は、入口側の空気圧力の上昇に関わらず、所定の範囲内に維持されるものといえる。すなわち、引用発明は、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)が、その出口側の空気圧力(本願発明の「第2の圧力」に相当。)を、所定の範囲内に維持するように制御される、ということができる。 また、引用文献2記載事項は「ガスタービン100の燃焼器110に空気を供給する圧縮機10の吐出口の圧力を一定に調節することで、ガスタービン100の運転及び出力を安定されること。」というものであり、引用文献3記載事項は「ガスタービンの燃焼器へ供給する加圧した空気の圧力を調整する圧力調整手段により、燃焼器への供給空気圧力の変動を抑制すること。」というものであり、引用文献4記載事項は「タービンユニット10aの燃焼器2aに加圧空気を供給する際、燃焼器2aの入口の圧力を一定に保つこと。」というものである。 これら引用文献2記載事項ないし引用文献4記載事項によれば、ガスタービンの燃焼器に供給される空気の該燃焼器入口側圧力を概ね一定の圧力値の圧力範囲内に維持することは、本願優先日前に周知の技術であったものと認められる(以下「周知技術」という。)。 そうすると、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)が、その出口側の空気圧力を、所定の範囲内に維持するように制御されるという引用発明において、当該周知技術を参酌すれば、入口静翼取付角可変式空気タービン(15)の出口側の空気圧力を概ね一定の圧力値の圧力範囲内に維持するように制御されるようにし、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 上記相違点2について検討する。 引用文献5記載事項は「選択的に熱エネルギーを貯蔵し、空気流に熱エネルギーを送達するように構成された第1のTESユニット42および第2のTESユニット44、を備え、前記第1のTESユニット42が、高圧タービン38の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されており、前記第2のTESユニット44が、前記高圧タービン38と低圧タービン36との間の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されている、圧縮空気エネルギー貯蔵システム。」というものである。 ここで、引用文献5記載事項の「第1のTESユニット42」は、その機能、構成及び技術的意義からみて、本願発明の「第1の熱エネルギー貯蔵装置」に相当し、同様に、「第2のTESユニット42」は「第2の熱エネルギー貯蔵装置」に相当する。 引用発明と引用文献5記載事項とは、圧縮空気を貯蔵しておき、該貯蔵された圧縮空気を用いてタービンを作動させるという点で共通の機能及び作用を有するものであり、また、空気流上流側のタービンと下流側のタービンとの間に、前記空気流に熱エネルギーを送達するように構成された手段を有するという点でも共通している。 そうすると、引用発明において、引用文献5記載事項を参酌し、選択的に熱エネルギーを貯蔵し、空気流に熱エネルギーを送達するように構成された少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置および少なくとも1つの第2の熱エネルギー貯蔵装置を備えるようにし、そして、前記少なくとも1つの第1の熱エネルギー貯蔵装置が、可変ノズル膨張器の上流の前記空気流に熱エネルギーを伝達するように構成され、配置されるようにし、さらに、「再生熱交換器(17)」を第2の熱エネルギー貯蔵装置とすることにより、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明が奏する作用効果は、引用発明、周知技術及び引用文献5記載事項から、当業者が予測し得る範囲内のものであって格別なものではない。 したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び引用文献5記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、周知技術及び引用文献5記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2019-02-28 |
結審通知日 | 2019-03-05 |
審決日 | 2019-03-18 |
出願番号 | 特願2015-504917(P2015-504917) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F02C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 孔徳 |
特許庁審判長 |
水野 治彦 |
特許庁審判官 |
鈴木 充 粟倉 裕二 |
発明の名称 | 圧縮空気エネルギー貯蔵システム |
代理人 | 田中 拓人 |
代理人 | 小倉 博 |
代理人 | 荒川 聡志 |