• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04L
管理番号 1353977
審判番号 不服2018-6321  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-05-09 
確定日 2019-08-07 
事件の表示 特願2016-530332「認証システム及びその送信端末,受信端末ならびに権限認証方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 2月 5日国際公開,WO2015/014232,平成28年11月24日国内公表,特表2016-536889〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は,2014年7月23日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2013年7月31日 中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって,
平成28年2月4日付けで特許法184条の4第1項の規定による明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文が提出され,平成28年3月1日付けで審査請求がなされると共に手続補正がなされ,平成29年3月30日付けで審査官により拒絶理由が通知され,これに対して平成29年7月3日付けで意見書が提出されると共に手続補正がなされたが,平成29年12月26日付けで審査官により拒絶査定がなされ(謄本送達;平成30年1月9日),これに対して平成30年5月9日付けで審判請求がなされると共に手続補正がなされ,平成30年7月9日付けで審査官により特許法164条3項の規定に基づく報告がなされたものである。

第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成30年5月9日付け手続補正を却下する。

[理由]

1.補正の内容
平成30年5月9日付けの手続補正(以下,「本件手続補正」という)により,平成29年7月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲,
「【請求項1】
認証システムであって,
送信端末,受信端末及び管理サーバを含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し,
前記管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され,
前記受信装置が情報送信モジュールと光受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと光受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し,前記情報送信モジュールが取得された前記識別コード情報セットを外へ伝達し,前記光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し,
前記制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された上記識別コード情報セットによって送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御し,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含む,認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード情報セットが該送信装置に応じるすべての送信装置の唯一識別コード情報を含み,前記処理装置が送信装置自身の唯一識別コードを受信された前記識別コード情報セットに比較し,受信された前記識別コード情報セットの中にその自身の唯一識別コードと同様な識別コードが含まれる場合,自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可される作動状態に変換するように光送信モジュールを制御し,前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれる,認証システム。
【請求項3】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード情報セットが受信端末の身分情報を含み,送信装置にその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報が記憶され,処理装置が受信された識別コード情報セットを送信装置に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報に比較し,送信装置に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報の中に識別コード情報セットが含まれる場合,自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可される作動状態に変換するように光送信モジュールを制御し,
前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれる,認証システム。
【請求項4】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記情報送信モジュールが管理サーバから直接に識別コード情報セットを取得し,及び/または前記制御装置が管理サーバから該受信装置に応じる識別コード情報セットを受信し,かつ,前記識別コード情報セットを該受信装置の受信モジュールに伝送する,認証システム。
【請求項5】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記送信装置がまた自身の送信元情報に対して暗号化処理を行うように設定される第一暗号化モジュールを含み,前記第一暗号化モジュールが処理装置と光送信モジュールとの間に接続され,
前記送信装置がさらに第二復号化モジュールを含み,
前記第二復号化モジュールが光受信装置と制御装置との間に接続され,光受信装置から出力された光電変換後の信号を受信し,その信号に対して復号化処理を行う,認証システム。
【請求項6】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記受信装置がさらに第二暗号化モジュールを含み,
前記第二暗号化モジュールは,前記制御装置と前記情報送信モジュールとの間に接続され,前記制御装置から受信された前記識別コード情報セットに対して暗号化処理を行った後に情報送信モジュールに出力し,
前記送信装置はさらに第一復号化モジュールを含み,
前記第一復号化モジュールは,前記制御装置と前記情報受信モジュールとの間に接続され,
前記情報受信モジュールは,受信された前記識別コード情報セットに対して復号化処理を行った後に前記処理装置に出力する,認証システム。
【請求項7】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記送信装置は携帯端末であり,
前記認証システムは,識別コード分配サーバを含み,
前記携帯端末は,一種または複数種の情報ネットワークによって識別コード分配サーバとデータ通信し,識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって該リクエストに関連する移動端末に唯一識別コードを送信し,
前記識別コードを取得するリクエストの中に移動端末に関連する情報が含まれ,
移動端末が手動によって上記権限情報を受信し,ユーザが受信された識別コードによって移動端末の上のロック解除権限ID(暗号化済)を設定し,かつ移動端末に書き込む,認証システム。
【請求項8】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード分配サーバは,二次元コード生成モジュールを含み,
前記識別コード分配サーバは,ユーザから入力された識別コードを取得するリクエストによって結合されたセキュリティコードと識別コードを生成し,かつ,二次元コード生成モジュールによってセキュリティコードをセキュリティコードの二次元コードに生成し,
前記移動端末は,二次元コード読取モジュールを含み,
前記移動端末は,二次元コード読取モジュールによってセキュリティコードの二次元コードを読取することによってセキュリティコードを抽出し,かつ該セキュリティコードに応じる識別コードを取得するリクエストを識別コード分配サーバに送信し,移動端末から送信された識別コードを取得するリクエストの中に移動端末が二次元コードから抽出されたセキュリティコードと該移動端末の身分情報が含まれ,
識別コード分配サーバは,前記セキュリティコードに応じる識別コードを前記移動端末に送信する,認証システム。
【請求項9】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
識別コード分配サーバは,ユーザから入力された携帯端末番号によって移動端末番号に応じる唯一識別コードを生成し,
前記移動端末は,自身番号が持たれる識別コードを取得するリクエストによって識別コード分配サーバから識別コードを取得する,認証システム。
【請求項10】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード分配サーバは,それぞれの識別コードを取得するリクエストに一個の識別コードを割り当てる,認証システム。
【請求項11】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記認証システムは,識別コードを生成,削除するように設定される上部装置を含み,
前記送信装置は,データケーブルによって上部装置に接続することによって識別コードを取得する,認証システム。
【請求項12】
認証システムの権限認証方法であって,
前記認証システムは,送信端末,受信端末を含み,
前記送信端末は,送信装置を含み,
前記受信端末は,接続された受信装置と制御装置を含み,前記方法は,
前記受信装置が取得されたそれに応じる識別コード情報セットを外へ伝達することと,
前記送信装置が前記受信装置から送信された前記識別コード情報セットを受信し,受信された前記識別コード情報セットによって自身が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可されるかどうかについて決定することと,
受信端末が光受信モジュールによって送信端末が光信号形式で送信された送信元情報を受信し,制御装置が送信元情報に対して第二回権限認証を行うことと,を含み,
前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれる,方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において,
前記認証システムは,出入管理システム,消費管理システムまたは地下鉄システムであり,
前記認証システムは,そのオン状態とオフ状態との間に切り替えるように設定される出入管理システムスイッチ装置を含み,
前記制御装置は,送信元情報に対して第二回権限認証を行い,認証結果によって出入管理システムスイッチ装置のオンを制御する制御信号を出力するかどうかについて決定する,方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において,
前記認証システムは取引システムであり,前記取引システムはキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータを含み,
前記制御装置は,送信元情報によって第二回権限認証を行い,認証結果によってレジの制御信号をキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータに出力することによってレジするようにキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータを制御するかどうかについて決定する,方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において,
前記送信端末は,携帯端末であり,
前記送信端末がインターネットまたはローカルエリアネットワークによって識別コード分配サーバに識別コードを取得するリクエストを送信し,
識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって該リクエストに関連する移動端末に唯一識別コードを送信することにより,前記送信端末の唯一識別コードを割り当て,
前記識別コードを取得するリクエストの中に移動端末に関連する情報が含まれ,
移動端末が手動によって上記権限情報を受信し,ユーザが受信された識別コードによって移動端末の上のロック解除権限ID(暗号化済)を設定し,かつ移動端末に書き込み,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含む,方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において,
前記識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって移動端末に唯一識別コードを送信することは,
前記識別コード分配サーバがユーザから入力された識別コードを取得するリクエストによって結合されたセキュリティコードと識別コードを生成することと,
二次元コード生成モジュールによってセキュリティコードをセキュリティコードの二次元コードに生成し,かつそれを表示することと,
移動動端末から送信された識別コードを取得するリクエストを受信することと,
前記識別コード分配サーバが前記セキュリティコードに応じるコードを前記移動端末に送信することと,を含み,
前記移動端末から送信された識別コードを取得するリクエストの中に前記移動端末が前記二次元コードから抽出したセキュリティコードと前記移動端末の身分情報が含まれる,方法。
【請求項17】
送信端末の権限認証方法であって,
受信装置から送信された識別コード情報セットを受信することと,
受信された前記識別コード情報セットによって自身が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行うことと,
認証結果によって自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可されるかどうかについて決定することと,
前記送信元情報の中には少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,
前記識別コード情報セットが前記送信装置に応じるすべての送信装置の唯一識別コード情報を含み,前記初回権限認証が,前記送信装置が自身の唯一識別コードを受信された前記識別コード情報セットに比較し,受信された識別コード情報セットの中に該送信装置の唯一識別コードと同様な識別コードが含まれる場合,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが許可されることにより,行われ,または,
前記識別コード情報セットが受信端末の身分情報を含み,送信端末にその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報が記憶され,前記初回権限認証が,受信された識別コード情報セットを送信端末に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報に比較し,送信端末に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報の中に識別コード情報セットが含まれる場合,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが許可される,方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において,
前記初回権限が認証された後,前記送信端末は,ユーザが入力された光送信トリガ信号を測定し,光送信トリガ信号によって送信端末の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信するように光送信モジュールを制御する,方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において,
認証された後,前記送信端末は,タイマーを始動し,タイマー時間になると,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが禁止される,方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正前の請求項」という)は,
「 【請求項1】
認証システムであって,
送信端末,受信端末及び管理サーバを含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し,
前記管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され,
前記受信装置が情報送信モジュールと光受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと光受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し,前記情報送信モジュールが取得された前記識別コード情報セットを外へ伝達し,前記光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し,
前記制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された上記識別コード情報セットによって送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御し,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含み,
前記送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する,認証システム。
【請求項2】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード情報セットが該送信装置に応じるすべての送信装置の唯一識別コード情報を含み,前記処理装置が送信装置自身の唯一識別コードを受信された前記識別コード情報セットに比較し,受信された前記識別コード情報セットの中にその自身の唯一識別コードと同様な識別コードが含まれる場合,自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可される作動状態に変換するように光送信モジュールを制御し,前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれる,認証システム。
【請求項3】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード情報セットが受信端末の身分情報を含み,送信装置にその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報が記憶され,処理装置が受信された識別コード情報セットを送信装置に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報に比較し,送信装置に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報の中に識別コード情報セットが含まれる場合,自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可される作動状態に変換するように光送信モジュールを制御し,
前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれる,認証システム。
【請求項4】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記情報送信モジュールが管理サーバから直接に識別コード情報セットを取得し,及び/または前記制御装置が管理サーバから該受信装置に応じる識別コード情報セットを受信し,かつ,前記識別コード情報セットを該受信装置の受信モジュールに伝送する,認証システム。
【請求項5】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記送信装置がまた自身の送信元情報に対して暗号化処理を行うように設定される第一暗号化モジュールを含み,前記第一暗号化モジュールが処理装置と光送信モジュールとの間に接続され,
前記送信装置がさらに第二復号化モジュールを含み,
前記第二復号化モジュールが光受信装置と制御装置との間に接続され,光受信装置から出力された光電変換後の信号を受信し,その信号に対して復号化処理を行う,認証システム。
【請求項6】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記受信装置がさらに第二暗号化モジュールを含み,
前記第二暗号化モジュールは,前記制御装置と前記情報送信モジュールとの間に接続され,前記制御装置から受信された前記識別コード情報セットに対して暗号化処理を行った後に情報送信モジュールに出力し,
前記送信装置はさらに第一復号化モジュールを含み,
前記第一復号化モジュールは,前記制御装置と前記情報受信モジュールとの間に接続され,
前記情報受信モジュールは,受信された前記識別コード情報セットに対して復号化処理を行った後に前記処理装置に出力する,認証システム。
【請求項7】
請求項1に記載の認証システムにおいて,
前記送信装置は携帯端末であり,
前記認証システムは,識別コード分配サーバを含み,
前記携帯端末は,一種または複数種の情報ネットワークによって識別コード分配サーバとデータ通信し,識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって該リクエストに関連する移動端末に唯一識別コードを送信し,
前記識別コードを取得するリクエストの中に移動端末に関連する情報が含まれ,
移動端末が手動によって上記権限情報を受信し,ユーザが受信された識別コードによって移動端末の上のロック解除権限ID(暗号化済)を設定し,かつ移動端末に書き込む,認証システム。
【請求項8】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード分配サーバは,二次元コード生成モジュールを含み,
前記識別コード分配サーバは,ユーザから入力された識別コードを取得するリクエストによって結合されたセキュリティコードと識別コードを生成し,かつ,二次元コード生成モジュールによってセキュリティコードをセキュリティコードの二次元コードに生成し,
前記移動端末は,二次元コード読取モジュールを含み,
前記移動端末は,二次元コード読取モジュールによってセキュリティコードの二次元コードを読取することによってセキュリティコードを抽出し,かつ該セキュリティコードに応じる識別コードを取得するリクエストを識別コード分配サーバに送信し,移動端末から送信された識別コードを取得するリクエストの中に移動端末が二次元コードから抽出されたセキュリティコードと該移動端末の身分情報が含まれ,
識別コード分配サーバは,前記セキュリティコードに応じる識別コードを前記移動端末に送信する,認証システム。
【請求項9】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
識別コード分配サーバは,ユーザから入力された携帯端末番号によって移動端末番号に応じる唯一識別コードを生成し,
前記移動端末は,自身番号が持たれる識別コードを取得するリクエストによって識別コード分配サーバから識別コードを取得する,認証システム。
【請求項10】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記識別コード分配サーバは,それぞれの識別コードを取得するリクエストに一個の識別コードを割り当てる,認証システム。
【請求項11】
請求項7に記載の認証システムにおいて,
前記認証システムは,識別コードを生成,削除するように設定される上部装置を含み,
前記送信装置は,データケーブルによって上部装置に接続することによって識別コードを取得する,認証システム。
【請求項12】
認証システムの権限認証方法であって,
前記認証システムは,送信端末,受信端末を含み,
前記送信端末は,送信装置を含み,
前記受信端末は,接続された受信装置と制御装置を含み,前記方法は,
前記受信装置が取得されたそれに応じる識別コード情報セットを外へ伝達することと,
前記送信装置が前記受信装置から送信された前記識別コード情報セットを受信し,受信された前記識別コード情報セットによって自身が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可されるかどうかについて決定することと,
受信端末が光受信モジュールによって送信端末が光信号形式で送信された送信元情報を受信し,制御装置が送信元情報に対して第二回権限認証を行うことと,を含み,
前記送信元情報の中に少なくとも送信装置の唯一識別コードが含まれ,
前記送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する,方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において,
前記認証システムは,出入管理システム,消費管理システムまたは地下鉄システムであり,
前記認証システムは,そのオン状態とオフ状態との間に切り替えるように設定される出入管理システムスイッチ装置を含み,
前記制御装置は,送信元情報に対して第二回権限認証を行い,認証結果によって出入管理システムスイッチ装置のオンを制御する制御信号を出力するかどうかについて決定する,方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において,
前記認証システムは取引システムであり,前記取引システムはキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータを含み,
前記制御装置は,送信元情報によって第二回権限認証を行い,認証結果によってレジの制御信号をキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータに出力することによってレジするようにキャッシュ・レジスタまたはPOS機コンピュータを制御するかどうかについて決定する,方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において,
前記送信端末は,携帯端末であり,
前記送信端末がインターネットまたはローカルエリアネットワークによって識別コード分配サーバに識別コードを取得するリクエストを送信し,
識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって該リクエストに関連する移動端末に唯一識別コードを送信することにより,前記送信端末の唯一識別コードを割り当て,
前記識別コードを取得するリクエストの中に移動端末に関連する情報が含まれ,
移動端末が手動によって上記権限情報を受信し,ユーザが受信された識別コードによって移動端末の上のロック解除権限ID(暗号化済)を設定し,かつ移動端末に書き込み,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含む,方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において,
前記識別コード分配サーバが識別コードを取得するリクエストによって移動端末に唯一識別コードを送信することは,
前記識別コード分配サーバがユーザから入力された識別コードを取得するリクエストによって結合されたセキュリティコードと識別コードを生成することと,
二次元コード生成モジュールによってセキュリティコードをセキュリティコードの二次元コードに生成し,かつそれを表示することと,
移動動端末から送信された識別コードを取得するリクエストを受信することと,
前記識別コード分配サーバが前記セキュリティコードに応じるコードを前記移動端末に送信することと,を含み,
前記移動端末から送信された識別コードを取得するリクエストの中に前記移動端末が前記二次元コードから抽出したセキュリティコードと前記移動端末の身分情報が含まれる,方法。
【請求項17】
送信端末の権限認証方法であって,
受信装置から送信された識別コード情報セットを受信することと,
受信された前記識別コード情報セットによって自身が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行うことと,
認証結果によって自身の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信することが許可されるかどうかについて決定することと,
前記送信元情報の中には少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,
前記識別コード情報セットが前記送信装置に応じるすべての送信装置の唯一識別コード情報を含み,前記初回権限認証が,前記送信装置が自身の唯一識別コードを受信された前記識別コード情報セットに比較し,受信された識別コード情報セットの中に該送信装置の唯一識別コードと同様な識別コードが含まれる場合,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが許可されることにより,行われ,
前記識別コード情報セットが受信端末の身分情報を含み,送信端末にその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報が記憶され,前記初回権限認証が,受信された識別コード情報セットを送信端末に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報に比較し,送信端末に記憶されたその自身の操作する権限を持つすべての受信端末の身分情報の中に識別コード情報セットが含まれる場合,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが許可される,方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において,
前記初回権限が認証された後,前記送信端末は,ユーザが入力された光送信トリガ信号を測定し,光送信トリガ信号によって送信端末の送信元情報を光信号に変換することによって外へ送信するように光送信モジュールを制御する,方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において,
認証された後,前記送信端末は,タイマーを始動し,タイマー時間になると,自身の送信元情報を光送信モジュールで光信号に変換することによって外へ送信することが禁止される,方法。」(以下,上記引用の請求項各項を,「補正後の請求項」という)に補正された。

2.補正の適否
(1)新規事項・目的要件
本件手続補正は,補正前の請求項1に,
「前記送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する」,
という限定事項を加えて,補正前の請求項12に,
「前記送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する」,
という限定事項を加えるものであって,これらの補正事項は,何れも,平成28年2月4日付けで提出された,明細書,請求の範囲,及び,図面(図面の中の説明に限る)の日本語による翻訳文,及び,国際出願の願書に添付された図面に記載された範囲内でなされたものであるから,
特許法184条の12第2項により読み替える同法17条の2第3項の規定を満たすものであり,
前記補正事項は,特許請求の範囲の減縮(特許法36条5項の規定により請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであって,その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る)を目的とするものであって,本件手続補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された全ての発明と,本件手続補正により補正された請求項に係る発明とが,発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものであるから,
特許法17条の2第4項,及び,第5項を満たすものである。

(2)独立特許要件
そこで,本件手続補正が,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定を満たすものであるか否か,即ち,補正後の請求項に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際,独立して特許を受けることができるものであるか否か,以下に検討する。

ア.補正後の請求項1に係る発明
補正後の請求項1に係る発明(以下,これを「本件補正発明」という)は,上記「第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正後の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「認証システムであって,
送信端末,受信端末及び管理サーバを含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し,
前記管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され,
前記受信装置が情報送信モジュールと光受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと光受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し,前記情報送信モジュールが取得された前記識別コード情報セットを外へ伝達し,前記光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し,
前記制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された上記識別コード情報セットによって送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御し,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含み,
前記送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する,認証システム。」

イ.引用文献に記載の事項
(ア)原審における平成29年3月30日付けの拒絶理由(以下,これを「原審拒絶理由」という)に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開平04-302682号公報(1992年10月26日公開,以下,これを「引用文献1」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

A.「【0015】図1には,基本装置(ベースユニット)12を有する遠隔アクセスシステムを備えた自動車10と,通常運転手のポケットあるいは財布の中に入っている遠隔装置(リモートユニット)14を示す。この装置は短距離で有効な無線通信により結合されている。それぞれの自動車扉取手18に隣接する点線16および自動車トランクに隣接する線20で示されるように,さらに大きな半径で通信が提供可能であるが,最低限数フィートの距離が必要である。運転手が遠隔装置を基本装置の無線範囲内で持っている場合,システムはオペレータによる起動なしに自動的に開扉するよう作動し,遠隔装置の識別を確認することができる。ある応用例では,この装置は運転手が触れるか,扉取手18を操作しようとした場合にのみ起動する。」

B.「【0017】基本装置12および遠隔装置14は図2に示されるようにさまざまなモードで操作できる。これらの装置はランダムに共通鍵を選択し,遠隔装置14の識別コードIDを基本装置12へ登録するため,まず初期化しなければならない。このモードは自動車のキーボードにアクセスコードを入力する等のオペレータの入力により認められる。その他のモードではオペレータの入力は必要ではない。初期化は遠隔装置14を基本装置12へ導くため一度だけ行えば良いが,遠隔装置14が複数の基本装置12と使用される場合,あるいは基本装置12が複数の遠隔装置14と使用される場合には,それぞれの装置の組み合わせに対して初期化が必要である。」

C.「【0028】認証方法が(ID質問と共に)図4に基本装置と遠隔装置の動作として示される。基本装置12はその内部に鍵P,識別コードID,暗号化された鍵Qが格納されており,遠隔装置14には識別コードIDおよび鍵Sが格納されている。基本装置12はこのIDを送信し,遠隔装置は自身のIDと比較する。一致すれば応答が基本装置12へ送信される。応答がなければ,基本装置12に格納されている次のIDが送信される。応答を受信すれば,乱数Rが発生し,遠隔装置14において一致したIDに対応するQと共に遠隔装置14へ送られる。遠隔装置14はPを得るためにQを復号し,次にXを得るためにRを暗号化してそれを基本装置へ送る。その間に,基本装置12もXを得るためにRを暗号化し,二つのXの値を比較する。
【0029】図5は上述の認証動作の変形を示す。ここではXを得るためにRが暗号化され,申込はXおよびQより構成されており,双方ともRを得るために遠隔装置14において暗号化されている。Rは基本装置12へ送られ,もとのRと比較され一致するかどうか確定される。
【0030】誤った通信を許容するため,二つの異なる戦略が使用される。暗号化プロセスは入力ビットがわずかでも変更されていればすべての出力のランダム化に関して影響を及ぼすため,申込および鍵交換のような通信は完全でなければならない。通常の通信は良好であるが非常に通信不良となることがあり,再送信が可能である場合,誤り訂正符号を付すよりも効果的な誤り検査を行うことができる。重要なメッセージについては再送を要求し巡回冗長検査を行うのが好ましい。
【0031】その他の通信のためには近距離の方が良い。申込に対する適切な応答はすでに基本装置に知らされている。ランダム応答が全64ビットの90%適切である可能性は約2000億分の1である。ポーリングの間に,遠隔装置は特定のIDを探す。IDを製造時に適切に選択することで,すべてのIDがビット数により異なることが保証される。たとえば少なくとも4ビットで67百万通りの異なった32ビットIDをつくることができる。遠隔装置は1あるいは2あるいは3ビット以内で送られるIDに非常に高い信頼性をもって応答することができる。これは誤り訂正の消極的な形式である。同様に,認証手順での最終的な比較段階では,遠隔装置が申込に応じて適切な値を決定している確率が高ければすべてのビットが正確に一致する必要はない。
【0032】単一集積回路をのせた無線トランシーバー以外のすべての機能を載せることでセキュリティおよび経済性の要求を両方とも満たすことができる。秘密情報は集積回路を壊さずに抜き出すことが不可能であり,秘密情報を抜き出すのは非常に困難である。基本装置12は遠隔装置14と同様の多くの機能を果たす。モード選択およびホストコンピュータポートを与えることで,集積回路はどちらの機能も果たせるように設計できる。基本装置12は自動車へインタフェースし許可リストを維持するホストコンピュータを有する。ホストポートは本番テストも容易に行うことができる。
【0033】集積回路には乱数発生法を含む必要はない。基本装置12用に,ホストコンピュータがこの機能をソフトウェアにおいて果たす。遠隔装置14はそれ自身の乱数を必要としない。契約中に遠隔装置14は時間毎に異なるシード数が必要となる。上述のように,基本装置12が異なる数を提供し,遠隔装置14はそれを秘密にするため秘密鍵Sで暗号化する。この数値は事前には予想できないし,乱数発生法が明らかでない限り秘密のままである。」

(イ)原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2006-092327号公報(2006年4月6日公開,以下,これを「引用文献2」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

D.「【0025】
(2)予約管理サーバ1の構成
図2は予約管理サーバ1の構成を示したブロック図である。
予約管理サーバ1は,記憶部11と,制御部12とを含んで構成される。記憶部11は予約情報記憶部(予約情報記憶手段)111と,機器マスタ記憶部112と,使用者マスタ記憶部113とを備えている。
図3?図5は,予約情報記憶部111,機器マスタ記憶部112および使用者マスタ記憶部113について,各々一例を示したものである。
【0026】
予約情報記憶部111の予約テーブル111Aには,図3に示すように,予約されたプロジェクタごとに,予約日,端末ID(プロジェクタのリモコン装置として機能する携帯電話固有の端末識別情報),プロジェクタID(プロジェクタ固有の機器識別情報),会議室名,使用開始時刻,使用終了時刻,および送信コード名(リモコン機能プログラム名)等が記憶されている。
機器マスタ記憶部112の機器マスタテーブル112Aには,図4に示すように,各プロジェクタごとにプロジェクタID,プロジェクタ型番,および常置場所等が記憶されている。
使用者マスタ記憶部113の使用者マスタテーブル113Aには,図5に示すように,プロジェクタを使用する権限を有する者の端末ID,氏名,および所属等が記憶されている。」

E.「【0048】
ユーザが携帯電話2に上述の予約データを入力して確定操作を行うと,携帯電話2から予約管理サーバ1に予約データの送信処理が行われる(ステップS105)。このときに,予約データと併せて,携帯電話2の端末識別情報が送信される。
携帯電話2から,「プロジェクタ3(A)」および所定の使用希望日時を選択した旨の予約データを受信すると,予約管理サーバ1は,携帯電話2をプロジェクタ3(A)のリモコン装置として使用するための送信コードを含んだ操作用情報,利用制限情報,およびプロジェクタIDを携帯電話2に送信する(ステップT14)。
【0049】
携帯電話2は,予約管理サーバ1から,上述の3つの情報を受信する(ステップS106)。
この操作用情報に含まれる送信コードは,携帯電話2のメモリ27の操作用情報記憶部271にインストールされ,携帯電話2をプロジェクタ3(A)のリモコン装置とするための内蔵コードとなる。利用制限情報は,携帯電話2のメモリ27の利用制限情報記憶部272にインストールされ,前述の送信コードの送信を制限するプログラムとなる。
【0050】
図11は,予約された使用開始時刻が到来した以降のフローを示したものであり,操作用端末としての携帯電話2とプロジェクタ3の動作が主となる。
【0051】
利用制限情報プログラムは,予約された使用開始時刻が到来したか否かを監視している(ステップS107)。利用制限情報プログラムは,予約された使用開始時刻が到来すると,携帯電話2からプロジェクタ3(A)に対する操作用情報(送信コード)の送信出力を許可するように働く(ステップS108)。
【0052】
携帯電話2からプロジェクタ3(A)の電源をONする旨の信号を送ると(ステップS109),プロジェクタ3の電源が入る(ステップP11)。
電源が入れられたプロジェクタ3は,アクセスしてきた携帯電話2の操作信号に含まれるプロジェクタIDとプロジェクタ3自身が有するプロジェクタIDとを比較して,両者が一致すれば,携帯電話2からの送信コードを受け付ける。一致しない場合は,別の処理として,「本プロジェクタの予約はされていません。」「本プロジェクタの予約を再度行って下さい。」等のメッセージを携帯電話2に送信した後,動作を終了する(ステップP12)。」

(ウ)原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開平08-065776号公報(1996年3月8日公開,以下,これを「引用文献3」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

F.「【0013】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決すべく,本発明が採用する遠隔操作装置の構成は,第1の送受信機と第2の送受信機とを備え,第1の送受信機と第2の送受信機との間で信号波を送受信することにより第1の送受信機が有する識別コードが正規の識別コードであると第2の送受信機が判定した場合に,この第2の送受信機から制御対象に制御信号を出力する遠隔操作装置であって,前記第1の送受信機から送信される信号波の種類と第2の送受信機から送信される信号波の種類とを違えたことを特徴としている。
【0014】より具体的には,第1の送受信機と第2の送受信機とを備え,前記第1の送受信機は,第1の識別コードを送信する識別コード送信手段と,第2の送受信機からの乱数によって第2の識別コードを暗号化し,この暗号化信号を送信する暗号化信号送信手段とを有し,前記第2の送受信機は,第1の送受信機から送信された第1の識別コードが正規の識別コードであるか否かを判定する第1の判定手段と,この第1の判定手段が正規の識別コードであると判定した場合に第1の送受信機に乱数を送信する乱数送信手段と,この乱数に基づいて第1の送受信機から送信された暗号化信号中の第2の識別コードを抽出する暗号解読手段と,この第2の識別コードが正規の識別コードであるか否かを判定する第2の判定手段と,この第2の判定手段が正規の識別コードであると判定した場合には制御対象に制御信号を出力する制御信号出力手段とを有し,かつ前記第1の送受信機から送信される第1の識別コード及び暗号化信号の信号波の種類を,前記第2の送受信機から送信される乱数の信号波の種類と違えたことを特徴としている。
【0015】また,前記第1の送受信機から送信される信号波が光波であり,前記第2の送受信機から送信される信号波が電波であることが好ましい。」

G.「【0024】
【実施例】以下,本発明の実施例を図1?図20に基づいて自動車用ドアロックシステムに用いた場合を例に挙げて説明する。
【0025】まず,図1は本発明の第1の実施例に係る遠隔操作装置を自動車に用いた場合の外観構成図であって,自動車1の前後に装着されたドア2は,アウトサイドハンドル2Aとインサイドハンドル(図示せず)とを備えている。
正当な所有者等が所持する第1の送受信機としての携帯機3は,短寸な略平板状のケーシング4と,このケーシング4の上面側に設けられた押釦スイッチ又はメンブレンスイッチ等からなる手動スイッチ5と,ケーシング4の前端側に設けられた例えばフォトダイオード等からなる赤外線送信用の赤外線発光部6と,ケーシング4の前側に設けられた例えばフェライトロッドアンテナ等からなる電波受信用のアンテナ部7とを備え,手動スイッチ5の近傍には,作動状態を表示するためのランプ5Aが設けられている。
【0026】一方,自動車1側には第2の送受信機としての固定機8が設けられている。この固定機8は,例えばアウトサイドハンドル2Aの下側に取り付けられた発光ダイオードやフォトトランジスタ等からなる赤外線受信用の赤外線受光部9と,例えばフェライトロッドアンテナ等からなる電波送信用のアンテナ部10とを備えている。また,この固定機8には,後述のドアロック機構25と,例えばマイクロスイッチや近接スイッチ等からなり,ドアロック機構25の施錠状態を検出する状態検出スイッチ(図示せず)とが接続されている。
【0027】なお,赤外線発光素子には,消費電力が小さく寿命が長い赤外線発光ダイオードを用いるのが有利であるが,これに限らず,レーザーダイオード等の他の発光素子を用いてもよい。また,アンテナ素子としては,小型で送信出力を高くできるフェライトロッドアンテナが有利であるが,これに限らず,例えばケーシング4の内周面に沿って導線を巻回し,これをアンテナ素子として用いてもよく,種々のアンテナ素子を適用できる。
【0028】ここで,本明細書にいう「信号波の種類を違える」とは,例えば赤外線とVHF波,可視光線とVHF波,あるいは長波とマイクロ波,赤外線と紫外線の如く,上位概念としては共に電磁波であっても,その波長範囲が著しく離れているため,通常,同一の送受信素子では通信できないものを用いることをいうが,これに限らず,例えば音波と電波,音波と赤外線,超音波と電波,超音波と赤外線等の如く,全く異質な信号を用いる場合も含む。」

H.「【0038】この固定機8から返信された乱数Rは,携帯機3側のステップ2において,受信部14に受信され,演算部13に与えられる。そして,ステップ3では,固定機8から供給された乱数Rに基づいて,ID_(2)及びカウンタコードを暗号化し,この暗号化信号C_(S)を送信部11に出力する。これにより,ステップ4で,暗号化信号C_(S)は,赤外線発光部6により赤外線信号として送信される。そして,ステップ5では,例えば「00000」から「00001」の如く,カウンタ15のカウンタコードを1つだけ歩進させる。なお,カウンタ15の桁数は,車両の平均寿命中におけるドア2の総開閉回数を考慮して,例えば5桁ないし6桁の如く,総開閉回数と同程度に定めるのが好ましいが,これに限らず,例えば1?4桁のように少ない桁数に設定してもよい。桁数を少なくしても,ある程度の不規則性を期待できるため,防盗性は向上する。」

I.「【0041】さて,固定機8では,上述したステップ14で乱数Rを送信した後,受信待機状態に入っている。そして,ステップ15で,受信部17が赤外線受光部9を介して携帯機3からの暗号化信号C_(S)を受信すると,ステップ16で,逆演算部22は,この暗号化信号C_(S)を前記乱数Rに基づいて解読し,暗号化信号C_(S)中からID_(2)を抽出する。次に,ステップ17で,ID_(2)比較部24は,携帯機3から送信されたID_(2)と予めID_(2)メモリ23に格納されたID_(2)とが一致するか否かを判定する。このステップ17で「YES」と判定したときは,携帯機3から送信されたID_(2)が正規の識別コードである場合のため,ステップ18に移り,状態検出スイッチの出力に応じて,ドアロック機構25に施錠信号又は解錠信号を出力する。一方,ステップ17で「NO」と判定したときは,受信したID_(2)と固定機8のID_(2)とが不一致の場合であるため,ステップ11に戻って再度ID_(1)の受信待ちを行う。」

J.「



(エ)原審拒絶理由に引用された,本願の第1国出願前に既に公知である,特開2000-152352号公報(2000年5月30日公開,以下,これを「引用文献4」という)には,関連する図面と共に,次の事項が記載されている。

K.「【0026】第3実施例
図5はこの発明の第3実施例を示すブロック図であり,図5の無線遠隔制御システムは,無線通信機器1bと制御機器14bとを備え,電気機器7を遠隔制御するように構成される。
【0027】無線通信機器1bは図3の無線通信機器1aに認証部9とメモリ部10を追加したものであり,メモリ部10には制御機器認証用の識別子(ID)が予め格納され,認証部9は識別子の認証を行う。
【0028】制御機器14bは図3の制御機器14aに認証部8を追加したものであり,メモリ部6には電気機器7の制御項目以外に無線通信機器認証用の識別子(ID)が予め格納され,認証部8は識別子の認証を行う。
【0029】このような構成における動作を図6に示すフローチャートを用いて以下に説明する。図6において,制御機器14bの送信部3より無線通信機器1bへ常時送信を行う(S301)。無線通信機器1bが制御機器14bより送出される信号の受信可能エリア内に入ると(S302),無線通信機器1bは制御機器14bからの信号を受信する(S303)。
【0030】この時,受信信号には対象制御機器14bを識別するためのID情報が含まれている。制御機器14bからの信号を受信した無線通信機器1bは,制御機器14bのIDと無線通信機器1b内のメモリ部10に予め登録したIDとの比較を行い(S304)一致した場合のみ制御機器14bへの信号を送信する(S305)。一致しなかった場合は信号の送信を行わない。
【0031】また,制御機器14bへの送信信号には無線通信機器1bのIDが含まれ,これを制御機器14bの受信部4が受信し(S306),メモリ部6に格納されているIDと比較する(S307)。比較によりそれらのIDが一致すれば,受信強度検出部5により受信信号の強度を検出し,制御部2は受信強度に従った制御を電気機器7に対し行い(S308,S309),一致しなければこの制御を行わない。」

L.「



ウ.引用文献1に記載の発明
(ア)上記Aの「基本装置(ベースユニット)12を有する遠隔アクセスシステムを備えた自動車10と,通常運転手のポケットあるいは財布の中に入っている遠隔装置(リモートユニット)14を示す。この装置は短距離で有効な無線通信により結合されている」という記載,上記Cの「遠隔装置14には識別コードIDおよび鍵Sが格納されている。基本装置12はこのIDを送信し,遠隔装置は自身のIDと比較する。一致すれば応答が基本装置12へ送信される」という記載,同じく,上記Cの「応答を受信すれば,乱数Rが発生し,遠隔装置14において一致したIDに対応するQと共に遠隔装置14へ送られる」という記載,及び,同じく,上記Cの「単一集積回路をのせた無線トランシーバー以外のすべての機能を載せることでセキュリティおよび経済性の要求を両方とも満たすことができる。秘密情報は集積回路を壊さずに抜き出すことが不可能であり,秘密情報を抜き出すのは非常に困難である」という記載から,引用文献1おいて,
“基本装置12を有する遠隔アクセスシステムと,遠隔装置14からなる,自動車扉開閉システムであって,前記遠隔装置14は,前記基本装置12と無線通信するための無線トランシーバーを有し,前記基本装置12は,前記遠隔装置14と無線通信するための無線トランシーバーを有する”ものであることが読み取れる。

(イ)上記(ア)において引用した,上記A,及び,上記Cの記載から,引用文献1において,
“基本装置12の無線トランシーバーは,遠隔装置14からの信号を受信する受信部と,前記遠隔装置へ信号を送信する送信部を有する”ことは明らかであり,同じく,上記(ア)において引用した上記Cの記載から,引用文献1において,
“基本装置12の無線トランシーバーが有する通信部は,識別コードIDを遠隔装置14に送信する”ことが読み取れる。

(ウ)上記(ア)において検討した事項,及び,上記Cの「基本装置12は遠隔装置14と同様の多くの機能を果たす。モード選択およびホストコンピュータポートを与えることで,集積回路はどちらの機能も果たせるように設計できる。基本装置12は自動車へインタフェースし許可リストを維持するホストコンピュータを有する」という記載から,引用文献1において,
“基本装置12は,ホストコンピュータを有し,前記ホストコンピュータは,無線トランシーバーと接続されている”ことが読み取れる。

(エ)上記(ア),(ウ)において検討した事項,及び,上記Cの「遠隔装置14はPを得るためにQを復号し,次にXを得るためにRを暗号化してそれを基本装置へ送る。その間に,基本装置12もXを得るためにRを暗号化し,二つのXの値を比較する」という記載から,引用文献1において,
“基本装置12の受信部は,遠隔装置14から送信されたXを受信し,前記基本装置12のホストコンピュータが,前記遠隔装置14から送信されたXと,前記ホストコンピュータがRを暗号化して得たXとを比較する”ものであることが読み取れる。

(オ)上記(ア)において引用した,上記Cの記載から,引用文献1において,
“遠隔装置14の無線トランシーバーは,基本装置12からの信号を受信する受信部と,基本装置12に信号を送信する送信部を有する”ことは明らかであり,上記(ア)において引用した上記Cの記載の記載から,引用文献1において,
“遠隔装置14は,受信部と送信部を有する無線トランシーバーと,通信以外の機能を載せた集積回路とを有し,前記無線トランシーバーは,前記集積回路に接続されている”ものであることが読み取れ,更に,上記(ア)において引用した,上記Cの記載から,引用文献1において,
“基本装置12の送信部から送信された識別コードIDを,遠隔装置14の受信部が受信し,受信した前記識別コードIDと,前記遠隔装置14の通信以外の機能を載せた集積回路において,自身のIDと比較し,一致した場合に,応答を,前記遠隔装置14の送信部から,前記基本装置12に送信する”ものであることが読み取れる。

(カ)以上,上記(ア)?(オ)において検討した事項から,引用文献1には,次の発明(以下,これを「引用発明」という)が記載されているものと認める。

「基本装置12を有する遠隔アクセスシステムと,遠隔装置14からなる,自動車扉開閉システムであって,
前記遠隔装置14は,前記基本装置12と無線通信するための無線トランシーバーを有し,前記基本装置12は,前記遠隔装置14と無線通信するための無線トランシーバーを有し,
前記基本装置12の無線トランシーバーは,前記遠隔装置14からの信号を受信する受信部と,前記遠隔装置14へ信号を送信する送信部を有し,
前記基本装置12の無線トランシーバーが有する送信部は,識別コードIDを遠隔装置14に送信し,
前記基本装置12は,ホストコンピュータを有し,前記ホストコンピュータは,前記無線トランシーバーと接続され,
前記基本装置12の受信部は,前記遠隔装置14から送信されたXを受信し,前記基本装置12のホストコンピュータが,前記遠隔装置14から送信されたXと,前記ホストコンピュータがRを暗号化して得たXとを比較し,
前記遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記基本装置12からの信号を受信する受信部と,前記基本装置12に信号を送信する送信部を有し,
前記遠隔装置14は,通信以外の機能を載せた集積回路を有し,前記遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記集積回路に接続され,
前記基本装置12の送信部から送信された前記識別コードIDを,前記遠隔装置14の受信部が受信し,受信した前記識別コードIDと,前記遠隔装置14の通信以外の機能を載せた前記集積回路において,自身のIDと比較し,一致した場合に,応答を,前記遠隔装置14の送信部から,前記基本装置12に送信する,自動車扉開閉システム。」

エ.本件補正発明と引用発明との対比
(ア)引用発明における「遠隔装置14」,「基本装置12」,「遠隔装置14の無線トランシーバー」,「基本装置12の無線トランシーバー」,及び,「ホストコンピュータ」が,それぞれ,
本件補正発明における「送信端末」,「受信端末」,「送信装置」,「受信装置」,及び,「制御装置」に相当するので,
引用発明における「遠隔装置14は,前記基本装置12と無線通信するための無線トランシーバーを有し,前記基本装置12は,前記遠隔装置14と無線通信するための無線トランシーバーを有し」と,「基本装置12は,ホストコンピュータを有し,前記ホストコンピュータは,前記無線トランシーバーと接続され」と,
本件補正発明における「送信端末,受信端末及び管理サーバを含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し」とは,
“送信端末,受信端末を含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,制御装置が受信装置と通信接続し”ている点で共通する。

(イ)引用発明における「遠隔装置14」の「無線トランシーバー」が有する「受信部」が,本件補正発明における「送信装置」の「情報受信モジュール」に相当し,
引用発明における「遠隔装置14」の「無線トランシーバー」が有する「送信部」と,
本件補正発明における「送信装置」の「光送信モジュール」とは,“送信モジュール”である点で共通し,
引用発明における「基本装置12」の「無線トランシーバー」が有する「送信部」が,本件補正発明における「受信装置」の「情報送信モジュール」に相当し,
引用発明における「基本装置12」の「無線トランシーバー」が有する「受信部」と,本件補正発明における「受信装置」の「光受信モジュール」とは,“受信モジュール”である点で共通するので,
引用発明における「基本装置12の無線トランシーバーは,前記遠隔装置14からの信号を受信する受信部と,前記遠隔装置14へ信号を送信する送信部を有し」,及び,「基本装置12は,ホストコンピュータを有し,前記ホストコンピュータは,前記無線トランシーバーと接続され」と,
本件補正発明における「受信装置が情報送信モジュールと光受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと光受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し」とは,
“受信装置が情報送信モジュールと受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し”である点で共通し,
引用発明における「識別コードID」と,本件補正発明における「識別コード情報セット」とは,“識別コード情報”である点で共通するので,
引用発明における「基本装置12の無線トランシーバーが有する送信部は,識別コードIDを遠隔装置14に送信し」と,
本件補正発明における「情報送信モジュールが取得された前記識別コード情報セットを外へ伝達し」とは,
“情報送信モジュールが識別コード情報を外へ伝達”する点で共通し,
引用発明において,「基本装置12」の「無線トランシーバー」が有する「受信部」は,「遠隔装置14」から送信された「信号」を,「ホストコンピュータ」に送信することは明らかであるから,
引用発明における“受信部が,ホストコンピュータへ,遠隔装置14から受信した信号を送信する”ことと,
本件補正発明における「光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信」することとは,
“受信モジュールが送信装置の信号を受信した後,制御装置に送信する”点で共通し,
引用発明において,「基本装置12のホストコンピュータが,前記遠隔装置14から送信されたXと,前記ホストコンピュータがRを暗号化して得たXとを比較」することは,
引用発明において,「遠隔装置14」から送信された「X」を認証することに他ならないので,
本件補正発明における「制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行い」と,
“制御装置が,情報を受信し,前記情報によって権限認証を行う”点で共通する。

(ウ)引用発明における「遠隔装置14」の「集積回路」は,同じく,「遠隔装置14」の「受信部」で受信された信号を処理するものであるから,本件補正発明における「処理装置」に相当し,
上記(イ)において検討した事項を踏まえると,
引用発明における「遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記基本装置12からの信号を受信する受信部と,前記基本装置12に信号を送信する送信部を有し,
前記遠隔装置14は,通信以外の機能を載せた集積回路を有し,前記遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記集積回路に接続され」と,
本件補正発明における「送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送し」とは,
“送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報を受信した後に処理装置に伝送し”である点で共通し,
引用発明において,「遠隔装置14の通信以外の機能を載せた集積回路において,自身のIDと比較」することは,「遠隔装置14」が,「自動車扉開閉」の権限を有しているかを検証することに他ならないので,
本件補正発明における「処理装置が受信された上記識別コード情報セットによって送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い」と,
“処理装置が受信された識別コード情報によって送信装置が操作権限を持つかどうかについて権限認証を行う”点で共通し,
引用発明における「一致した場合に,応答を,前記遠隔装置14の送信部から,前記基本装置12に送信する」ことと,
本件補正発明における「認証結果によって光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御」することとは,
“認証結果によって送信モジュールが信号を送信する可能状態を制御する”点で共通する。

(エ)上記(イ)において検討した,引用発明において,「遠隔装置14」から送信された「X」を認証することは,上記(ウ)において検討した,引用発明において,「遠隔装置14の通信以外の機能を載せた集積回路において,自身のIDと比較」することの後に行われるものであるから,
引用発明における“Xを認証すること”が,本件補正発明における「第二回権限認証」に相当し,
引用発明における「自身のIDと比較する」ことが,本件補正発明における「初回権限認証」に相当する。
そして,引用発明においても,上記において検討したとおり,「権限認証」を行っているので,引用発明における「自動車扉開閉システム」は,“自動車扉開閉のための認証システム”と言い得るものであるから,
本件補正発明における「認証システム」に相当する。

(オ)以上,上記(ア)?(エ)において検討した事項から,本件補正発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
認証システムであって,
送信端末,受信端末を含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置が前記受信装置と通信接続し,
前記受信装置が情報送信モジュールと受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと前記受信モジュールがそれぞれ前記制御装置に通信接続し,
前記情報送信モジュールが識別コード情報を外へ伝達し,前記受信モジュールが前記送信装置の信号を受信した後,前記制御装置に送信し,
前記制御装置が,前記情報を受信し,前記情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ前記情報受信モジュールと前記送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報を受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された前記識別コード情報によって前記送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって前記送信モジュールが信号を送信する可能状態を制御する,認証システム。

[相違点1]
本件補正発明においては,「管理サーバ」を有し,「制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し」ているのに対して,
引用発明においては,「管理サーバ」,及び,「基本装置12」が,該「管理サーバと通信接続」する点についての言及がない点。

[相違点2]
本件補正発明においては,「管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され」ているのに対して,
引用発明においては,そのような構成についての言及がない点。

[相違点3]
“受信モジュール”,及び,“送信モジュール”に関して,
本件補正発明においては,「光受信モジュール」,及び,「光送信モジュール」であるのに対して,
引用発明においては,「光受信モジュール」,及び,「光送信モジュール」についての言及がない点。

[相違点4]
“識別コード情報”に関して,
本件補正発明においては,「識別コード情報セット」と,複数の情報から構成された態様を含むものであるのに対して,
引用発明においては,「識別コードID」であって,複数の情報で構成された態様を含むか否か不明である点。

[相違点5]
“送信装置の信号を受信した後,前記制御装置に送信し”に関して,
本件補正発明においては,「光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し」であるのに対して,
引用発明においては,“光信号の授受,光電変換,送信元情報の送信”といった一連の処理についての言及がない点。

[相違点6]
“制御装置が,前記情報を受信し,前記情報によって第二回権限認証を行い”に関して,
本件補正発明においては,「制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行」うものであるのに対して,
引用発明においては,「送信元情報」を用いる点についての言及がない点。

[相違点7]
“送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ前記情報受信モジュールと前記送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報を受信した後に処理装置に伝送し”に関して,
本件補正発明においては,「送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送」するものであるのに対して,
引用発明においては,「集積回路」に,「光送信モジュール」が接続されること,及び,「識別コード情報セット」を「集積回路」に送信することについての言及がない点。

[相違点8]
“初回権限認証”に関して,
本件補正発明においては,「識別コード情報セット」を用いるのに対して,
引用発明においては,「識別コードID」を用いている点。

[相違点9]
“送信する可能状態を制御し”に関して,
本件補正発明においては,「光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御」するものであるのに対して,
引用発明においては,「光信号」についての言及がない点。

[相違点10]
本件補正発明においては,「受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含」むものであるのに対して,
引用発明においては,そのような構成についての言及がない点。

[相違点11]
本件補正発明においては,「送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する」ものであるのに対して,
引用発明においては,「送信元情報」,及び,「光信号形式で前記送信元情報を送信する」点についての言及がない点。

オ.相違点についての当審の判断
(ア)[相違点1],[相違点2],[相違点4],及び,[相違点8]について
「管理サーバ」を導入すること([相違点1]),および,当該「管理サーバ」に,「受信装置に応じる識別コード情報セット」を記憶すること([相違点2],[相違点4]),及び,「初回権限認証」に,「識別コード情報セット」を用いること(「相違点8」)については,上記Dに引用した引用文献2に,「予約管理サーバ1は,記憶部11と,制御部12とを含んで構成される。記憶部11は予約情報記憶部(予約情報記憶手段)111と,機器マスタ記憶部112と,使用者マスタ記憶部113とを備えている」([相違点1]について),「機器マスタ記憶部112の機器マスタテーブル112Aには,図4に示すように,各プロジェクタごとにプロジェクタID,プロジェクタ型番,および常置場所等が記憶されている」,及び,「使用者マスタ記憶部113の使用者マスタテーブル113Aには,図5に示すように,プロジェクタを使用する権限を有する者の端末ID,氏名,および所属等が記憶されている」([相違点2],[相違点4],及び,[相違点8]について)と記載されているように,本願の第1国出願前に,当業者には,広く知られた技術事項である。
したがって,引用発明においても,「管理サーバ」を導入し,「識別コードID」含む複数の情報で構成される情報を,当該「管理サーバ」から取得し,「初回権限認証」において,当該,「識別コードID」含む複数の情報で構成される情報を用いるよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点1],[相違点2],[相違点4],及び,[相違点8]は,格別のものではない。

(イ)[相違点3],[相違点5],[相違点7],及び,[相違点9]について
「識別コード情報セット」を送信するために「光信号」を用いること([相違点5],[相違点7],及び,[相違点9]),そのための“光送受信機”を有すること([相違点3])は,引用文献3の上記Fに引用した,「第1の送受信機から送信される信号波が光波であり」,同じく,引用文献3の上記Gに引用した,「携帯機3は,短寸な略平板状のケーシング4と,このケーシング4の上面側に設けられた押釦スイッチ又はメンブレンスイッチ等からなる手動スイッチ5と,ケーシング4の前端側に設けられた例えばフォトダイオード等からなる赤外線送信用の赤外線発光部6と,ケーシング4の前側に設けられた例えばフェライトロッドアンテナ等からなる電波受信用のアンテナ部7とを備え」,「自動車1側には第2の送受信機としての固定機8が設けられている。この固定機8は,例えばアウトサイドハンドル2Aの下側に取り付けられた発光ダイオードやフォトトランジスタ等からなる赤外線受信用の赤外線受光部9」,「赤外線発光素子には,消費電力が小さく寿命が長い赤外線発光ダイオードを用いるのが有利であるが,これに限らず,レーザーダイオード等の他の発光素子を用いてもよい」([相違点3],[相違点5]について)という記載から,通信機の送信機,受信機の何れか一方を,光信号を送受するものにすることは,本願の第1国出願前に既に,当業者には広く知られた技術事項であり,引用文献3には,「フォトトランジスタ」,即ち,「光電変換」を行う素子を用いる点についても言及されている。
引用発明と,引用文献3に記載の技術は,共に,自動車の扉を,無線送信機を用いて施解錠する技術に関するものであるから,引用発明おいて,「遠隔装置14」の「送信部」を,「光送信モジュール」とし,「基本装置12」の「受信部」を,「光受信モジュール」として,更に,「フォトトランジスタ」を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点3],[相違点7],及び,[相違点9]は,格別のものではない。

(ウ)[相違点5],[相違点6],及び,[相違点11]について
[相違点5]の「光」に関する部分は,上記(イ)において検討したとおりである。
「送信装置」から,「受信装置」へ,「送信元情報」を送信する点([相違点5],[相違点6],[相違点11])については,引用文献4の上記Kに引用した,「制御機器14bへの送信信号には無線通信機器1bのIDが含まれ,これを制御機器14bの受信部4が受信し(S306),メモリ部6に格納されているIDと比較する(S307)。比較によりそれらのIDが一致すれば,受信強度検出部5により受信信号の強度を検出し,制御部2は受信強度に従った制御を電気機器7に対し行い(S308,S309),一致しなければこの制御を行わない」という記載にもあるとおり,「無線通信機器1b」(本件補正発明における「送信端末」,引用発明における「遠隔装置14」に相当)から送信された,「無線通信機器1bのID」と,「制御機器14b」(本件補正発明における「受信端末」,引用発明における「基本装置12」に相当)の「メモリ部6に格納されているID」との一致を判断する構成([相違点5],[相違点6]について)は,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項である。
そして,上記(イ)において検討した事項を踏まえれば,引用発明において,「遠隔装置14」の「識別コードID」を含む情報を光信号として,「基本装置12」において受信し([相違点11]について),当該「識別コードID」を用いて認証を行うよう構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点5],[相違点6],及び,[相違点11]は,格別のものではない。

(エ)[相違点10]について
引用文献3の上記Iに引用した,「固定機8では,上述したステップ14で乱数Rを送信した後,受信待機状態に入っている。そして,ステップ15で,受信部17が赤外線受光部9を介して携帯機3からの暗号化信号C_(S)を受信すると,ステップ16で,逆演算部22は,この暗号化信号C_(S)を前記乱数Rに基づいて解読し,暗号化信号C_(S)中からID_(2)を抽出する」という記載と,引用文献3の上記Jに引用した,【図2】に開示された事項から,「固定機8」(本件補正発明における「受信端末」,引用発明における「基本装置12」に相当)は,当該「固定機8」の「受信部17が赤外線受光部9を介して携帯機3(本件補正発明における「送信端末」,引用発明における「遠隔装置14」に相当)からの暗号化信号C_(S)を受信すると」,「逆演算部22は,この暗号化信号C_(S)を前記乱数Rに基づいて解読し,暗号化信号C_(S)中からID_(2)を抽出する」ものであるから,引用文献3における「逆演算部22」が,本件補正発明における「第二復号化モジュール」に相当するものである。したがって,当該【図2】に開示されているとおり,「復号化モジュール」を,「光受信モジュール」と,その後の制御を行う装置との間に設けることは,本願の第1国出願前に,当業者には広く知られた技術事項であった。
したがって,引用発明においても,「遠隔装置14」から,送信された「情報」が暗号化されている場合に,当該暗号を復号するモジュールを,「受信部」と,「ホストコンピュータ」との間に設けるとことは,当業者が適宜なし得る事項である。
よって,[相違点10]は,格別のものではない。

(オ)以上,上記(ア)?(エ)において検討したとおりであるから,[相違点1]?[相違点11]は,格別のものではなく,そして,本件補正発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
よって,本件補正発明は,引用発明,及び,引用文献2?引用文献4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際,独立して特許を受けることができない。

3.補正却下むすび
したがって,本件手続補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

よって,補正却下の決定の結論のとおり決定する。

第3.本願発明について
平成30年5月9日付けの手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という)は,平成29年7月3日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された,上記「第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定」の「1.補正の内容」において,補正前の請求項1として引用した,次のとおりのものである。

「認証システムであって,
送信端末,受信端末及び管理サーバを含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し,
前記管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され,
前記受信装置が情報送信モジュールと光受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと光受信モジュールがそれぞれ制御装置に通信接続し,前記情報送信モジュールが取得された前記識別コード情報セットを外へ伝達し,前記光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し,
前記制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された上記識別コード情報セットによって送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御し,
前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含む,認証システム。」

第4.原審の拒絶査定の概要
原審における平成29年12月26日付けの拒絶査定の概略は,次のとおりである。
「●理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-6,12-14
・引用文献等 1-4
引用文献3には,固定機において,受信部が赤外線受光部を介して携帯機からの暗号化信号を受信すると,逆演算部が,この暗号化信号を解読し,暗号化信号中からIDを抽出し,ID比較部が,携帯機から送信されたIDと予めIDメモリに格納されたIDとが一致するか否かを判定し,一致したときは,ドアロック機構に施錠信号又は解錠信号を出力する,ことが記載されている。引用文献1に記載された発明において,この引用文献3に記載の技術を考慮して,「前記受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含む」ように構成することは,当業者にとって容易である。」

第5.引用刊行物に記載の発明
原審拒絶理由において引用され,上記「第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」おける「(2)独立特許要件」の「イ.引用文献に記載の事項」において,引用文献1として引用された,特開平04-302682号公報(1992年10月26日公開)には,上記「第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」おける「(2)独立特許要件」の「ウ.引用文献1に記載の発明」において認定した,次の引用発明が記載されている。

「基本装置12を有する遠隔アクセスシステムと,遠隔装置14からなる,自動車扉開閉システムであって,
前記遠隔装置14は,前記基本装置12と無線通信するための無線トランシーバーを有し,前記基本装置12は,前記遠隔装置14と無線通信するための無線トランシーバーを有し,
前記基本装置12の無線トランシーバーは,前記遠隔装置14からの信号を受信する受信部と,前記遠隔装置14へ信号を送信する送信部を有し,
前記基本装置12の無線トランシーバーが有する送信部は,識別コードIDを遠隔装置14に送信し,
前記基本装置12は,ホストコンピュータを有し,前記ホストコンピュータは,前記無線トランシーバーと接続され,
前記基本装置12の受信部は,前記遠隔装置14から送信されたXを受信し,前記基本装置12のホストコンピュータが,前記遠隔装置14から送信されたXと,前記ホストコンピュータがRを暗号化して得たXとを比較し,
前記遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記基本装置12からの信号を受信する受信部と,前記基本装置12に信号を送信する送信部を有し,
前記遠隔装置14は,通信以外の機能を載せた集積回路を有し,前記遠隔装置14の無線トランシーバーは,前記集積回路に接続され,
前記基本装置12の送信部から送信された前記識別コードIDを,前記遠隔装置14の受信部が受信し,受信した前記識別コードIDと,前記遠隔装置14の通信以外の機能を載せた前記集積回路において,自身のIDと比較し,一致した場合に,応答を,前記遠隔装置14の送信部から,前記基本装置12に送信する,自動車扉開閉システム。」

第6.本願発明と引用発明との対比
本願発明は,本件補正発明から,
「送信元情報の中に少なくとも前記送信装置に応じる唯一識別コードが含まれ,前記送信装置が光信号形式で前記送信元情報を送信する」,
という構成を取り除いたものであるから,本願発明と,引用発明との,一致点,及び,相違点は,次のとおりである。

[一致点]
認証システムであって,
送信端末,受信端末を含み,前記送信端末が送信装置を含み,前記受信端末が受信装置と制御装置を含み,前記制御装置が前記受信装置と通信接続し,
前記受信装置が情報送信モジュールと受信モジュールを含み,前記情報送信モジュールと前記受信モジュールがそれぞれ前記制御装置に通信接続し,
前記情報送信モジュールが識別コード情報を外へ伝達し,前記受信モジュールが前記送信装置の信号を受信した後,前記制御装置に送信し,
前記制御装置が,前記情報を受信し,前記情報によって第二回権限認証を行い,
前記送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ前記情報受信モジュールと前記送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報を受信した後に処理装置に伝送し,前記処理装置が受信された前記識別コード情報によって前記送信装置が操作権限を持つかどうかについて初回権限認証を行い,認証結果によって前記送信モジュールが信号を送信する可能状態を制御する,認証システム。

[相違点a]
本願発明においては,「管理サーバ」を有し,「制御装置がそれぞれ受信装置と管理サーバに通信接続し」ているのに対して,
引用発明においては,「管理サーバ」,及び,「基本装置12」が,該「管理サーバと通信接続」する点についての言及がない点。

[相違点b]
本願発明においては,「管理サーバに各受信装置に応じる識別コード情報セットが記憶され」ているのに対して,
引用発明においては,そのような構成についての言及がない点。

[相違点c]
“受信モジュール”,及び,“送信モジュール”に関して,
本願発明においては,「光受信モジュール」,及び,「光送信モジュール」であるのに対して,
引用発明においては,「光受信モジュール」,及び,「光送信モジュール」についての言及がない点。

[相違点d]
“識別コード情報”に関して,
本願発明においては,「識別コード情報セット」と,複数の情報から構成された態様を含むものであるのに対して,
引用発明においては,「識別コードID」であって,複数の情報で構成された態様を含むか否か不明である点。

[相違点e]
“送信装置の信号を受信した後,前記制御装置に送信し”に関して,
本願発明においては,「光受信モジュールが送信装置の光信号を受信した後に少なくとも光電変換を行い,送信元情報を制御装置に送信し」であるのに対して,
引用発明においては,“光信号の授受,光電変換,送信元情報の送信”といった一連の処理についての言及がない点。

[相違点f]
“制御装置が,前記情報を受信し,前記情報によって第二回権限認証を行い”に関して,
本願発明においては,「制御装置が送信元情報を受信し,送信元情報によって第二回権限認証を行」うものであるのに対して,
引用発明においては,「送信元情報」を用いる点についての言及がない点。

[相違点g]
“送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ前記情報受信モジュールと前記送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報を受信した後に処理装置に伝送し”に関して,
本願発明においては,「送信装置が処理装置,情報受信モジュール及び光送信モジュールを含み,前記処理装置がそれぞれ情報受信モジュールと光送信モジュールに接続し,前記情報受信モジュールが前記情報送信モジュールから送信された前記識別コード情報セットを受信した後に処理装置に伝送」するものであるのに対して,
引用発明においては,「集積回路」に,「光送信モジュール」が接続されること,及び,「識別コード情報セット」を「集積回路」に送信することについての言及がない点。

[相違点h]
“初回権限認証”に関して,
本願発明においては,「識別コード情報セット」を用いるのに対して,
引用発明においては,「識別コードID」を用いている点。

[相違点i]
“送信する可能状態を制御し”に関して,
本願発明においては,「光送信モジュールが光信号を送信する可能状態を制御」するものであるのに対して,
引用発明においては,「光信号」についての言及がない点。

[相違点j]
本願発明においては,「受信装置が,光受信モジュールと出入管理制御装置との間に接続され,前記光受信モジュールから出力された光電変換後の信号を受信した後にその信号に対して復号化処理を行う第二復号化モジュールを含」むものであるのに対して,
引用発明においては,そのような構成についての言及がない点。

第7.相違点についての当審の判断
本願発明と,引用発明との[相違点a]?[相違点j]は,本件補正発明と,引用発明との[相違点1]?[相違点10]と同じものであるから,上記「第2.平成30年5月9日付けの手続補正の却下の決定」の「2.補正の適否」おける「(2)独立特許要件」の「オ.相違点についての当審の判断」において検討したとおり,[相違点a]?[相違点j]は,格別のものではない。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。

第8.むすび
したがって,本願発明は,本願の特許出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-03-06 
結審通知日 2019-03-12 
審決日 2019-03-25 
出願番号 特願2016-530332(P2016-530332)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H04L)
P 1 8・ 121- Z (H04L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中里 裕正  
特許庁審判長 仲間 晃
特許庁審判官 須田 勝巳
石井 茂和
発明の名称 認証システム及びその送信端末、受信端末ならびに権限認証方法  
代理人 平木 祐輔  
代理人 松丸 秀和  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ