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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04Q |
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管理番号 | 1354045 |
異議申立番号 | 異議2017-701038 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-08 |
確定日 | 2019-05-20 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6124360号発明「照明システム、リモートコントローラ、及び、照明システムの動作方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6124360号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕、7について訂正することを認める。 特許第6124360号の請求項1、2、5ないし7に係る特許を取り消す。 特許第6124360号の請求項3、4に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6124360号の請求項1-7に係る特許についての出願は、2013年(平成25年)2月28日(優先権主張 平成24年2月29日)を国際出願日とする出願であって、平成29年4月14日にその特許権の設定登録がされ、平成29年5月10日に特許公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 平成29年11月 8日 :特許異議申立人伊藤直宏による請求項1-7 に係る特許に対する特許異議の申立て 平成30年 1月19日付け:取消理由通知書 平成30年 3月22日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 平成30年 7月25日 :特許異議申立人伊藤直宏による意見書の提出 そして、平成30年11月 6日付け取消理由通知(決定の予告)により、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者から応答はなかった。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 訂正事項 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「ペアリング処理実行部をさらに備える、ことを特徴とする」と記載されているのを、「ペアリング処理実行部をさらに備えるとともに、前記外部機器は、前記照明ユニットを操作可能である、ことを特徴とする」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2?6も同様に訂正する。) なお、訂正前の請求項1?6は、請求項2?6が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1?6について請求されている。 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項7に、「前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするペアリング処理の実行を指示する」と記載されているのを、「前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするとともに、前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能とする」に訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 訂正事項1に係る訂正は、「前記外部機器は、前記照明ユニットを操作可能である」との記載を追加することで、「外部機器」について、「照明ユニット」との関係をより具体的に特定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 イ 訂正事項2 訂正事項2に係る訂正は、「ペアリング」について「前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能とする」との記載を追加することで、「ペアリング」の内容をより限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 3.小括 上記のとおり、訂正事項1及び2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6、7について訂正することを認める。 第3 当審の判断 1.訂正後の請求項1-7に係る発明 上記第2のとおり、本件訂正請求による訂正は適法であるので、訂正後の請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、・・・、「本件発明7」という。)は、次のとおりである(下線部は、訂正された箇所を示すものであり、当審が付した。)。 「【請求項1】 照明ユニットと、 第1方式の無線信号を操作信号として送信することにより、前記照明ユニットを操作する、リモートコントローラと、を備え、 前記照明ユニットは、前記操作信号を受信する第1方式受信部と、前記照明ユニット外部の外部機器との間で第2方式による無線通信を行うための第2方式通信部と、を有し、 前記リモートコントローラは、前記照明ユニットと前記外部機器との間で前記第2方式通信部を介した前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付けるペアリング指示受付部と、前記ペアリング指示を受け付けた場合に、前記操作信号としてペアリング指示信号を生成し、前記照明ユニットに送信する、第1方式送信部と、を備え、 前記照明ユニットは、前記第1方式受信部が前記ペアリング指示信号を受信した場合に前記外部機器との間で前記ペアリング処理を実行するペアリング処理実行部をさらに備えるとともに、 前記外部機器は、前記照明ユニットを操作可能である、 ことを特徴とする照明システム。 【請求項2】 前記照明ユニットは、 発光を行う照明装置と、 前記照明装置に通信可能に接続された電気機器と、 を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。 【請求項3】 前記第2方式通信部及び前記ペアリング処理実行部は、前記電気機器に実装されており、 前記第1方式受信部は、前記照明装置に実装されており、 前記照明装置は、前記第1方式受信部によって前記ペアリング指示信号を受信し、 前記ペアリング処理実行部は、前記照明装置を介して前記ペアリング指示信号を受信する、 ことを特徴とする請求項2に記載の照明システム。 【請求項4】 前記ペアリング指示受付部は、ペアリング指示専用のボタンにより構成されている、 ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明システム。 【請求項5】 前記照明ユニットは、天井に取り付けられる、 ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明システム。 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明システムで用いられる、リモートコントローラ。 【請求項7】 第1方式による無線通信と第2方式による無線通信が行われる照明システムの動作方法であって、 リモートコントローラが、照明ユニットと前記照明ユニット外部の外部機器との間で前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするとともに、前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能とするペアリング指示をユーザから受け付けるステップと、 前記ペアリング指示に応じて、前記リモートコントローラが、前記第1方式の無線信号によりペアリング指示信号を生成し、前記照明ユニットに送信するステップと、 前記照明ユニットが、前記ペアリング指示信号を受信するステップと、 前記ペアリング指示信号を受信した場合に、前記照明ユニットが前記ペアリング処理を実行するステップと、 を含むことを特徴とする照明システムの動作方法。」 2.引用文献の記載 (1)取消理由通知(決定の予告)において引用した甲第1号証(国際公開第2010/067246号)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「 ・・・In the following description of embodiments, a device is a lamp of a lighting system, which forms a network of particularly wireless lamps as network devices. However, the invention is not limited to be applied to lighting systems, but may be used with any kind of devices, wherein the devices may be not only lamps but also control devices, sensors, actuators or the like of a networked control system such as a home automation system.」(甲第1号証の第8ページ第6行から第11行まで) [当審訳] 「・・・以下の実施形態の説明において、デバイスとは、ネットワークデバイスとして特に無線ランプのネットワークを形成する照明システムのランプである。しかしながら、本発明は、照明システムに適用されることに限定されず、どのような種類のデバイスとも用いられることもでき、前記デバイスは、ランプだけでなく、ホームオートメーションシステムのようなネットワーク操作システムの操作デバイス、センサ、アクチュエータなどであっても良い。」 イ 「Fig. 1 shows a lighting system comprising of first lamps 12 and several second lamps 16. ・・・略・・・The first lamp 12 is coupled to a first network transceiver 10, which is adapted to set-up and configure the first lamp 12 and to read the settings of the first lamp 12. A remote control 30 can transmit control signals 28 via a wireless communication connection to the first network transceiver 10. With the remote control 30, a user can adjust settings of the first lamp 12 and initiate a copy of the settings of the first lamp 12 to one of the second lamps 16. 」(甲第1号証の第8ページ第12行から第21行まで) [当審訳] 「図1は、第一ランプ12及び数個の第二ランプ16を有する照明システムを示している。・・・略・・・第一ランプ12は、第一ネットワーク送受信機10と接続されている。前記第一ネットワーク送受信機10は、前記第一ランプ12を設定及び構成し並びに前記第一ランプ12の設定を読み取るよう構成されている。リモコン30は、無線通信コネクションによって、操作信号28を前記第一ネットワーク送受信機10へ送信することができる。リモコン30を用いて、ユーザは、第一ランプ12の設定を調整することができ、かつ、第一ランプ12の設定を第二ランプ16の一つへコピーすることを開始することができる。」 ウ 「The first network transceiver 10 is adapted to copy settings of the first lamp 12 to a second lamp 16, which is located in the neighborhood of the first network transceiver 10. The neighborhood is defined by a predefined distance 20 from the first network transceiver 10. The predefined distance 20 is defined by the range of wireless signals transmitted from the first network transceiver 10 and may be estimated by measuring the signal strength of a received signal or the round-trip-time of a signal. Typically, a short range radio communication unit is integrated in the first network transceiver 10 such as a Bluetooth(R) or ZigBee^(TM) or the like radio communication unit.」(甲第1号証の第8ページ第23行から第30行。なお、「(R)」は、甲第1号証中では、「○」の中に「R」。) [当審訳] 「第一ネットワーク送受信機10は、第一ランプ12の設定を、第一ネットワーク送受信機10の近隣に位置する第二ランプ16へコピーするよう構成される。前記近隣とは、第一ネットワーク装置10からの所定の距離20によって定義される。所定の距離20は、第一ネットワーク送受信機10から送信される無線信号の範囲によって定義され、かつ、受信される信号の信号強度又は信号の往復時間を測定することによって見積もられることができる。一般的に、例えばBluetooth(登録商標)又はZigBee(商標)又は無線通信ユニットと同類のもののような短距離無線通信ユニットが、第一ネットワーク送受信機10に統合される。」 エ 「Fig. 2 shows an implementation of the network transceiver 10 in detail. The transceiver 10 comprises a processor 34, for example a microcontroller being programmed to perform a method as will be described later, an interface 32 for coupling the network transceiver with a lamp and for transmitting lamp settings over the interface, for example a wired or wireless communication unit for coupling with a corresponding communication unit of the lamp and establishing a connection, over which the lamp settings may be transmitted, and a communication unit 36 with an antenna 37, for example a ZigBee^(TM) communication module, with which a wireless short range network connection with a radius of about one meter around the module may be established with another ZigBee^(TM) communication module. The transceiver further comprises a remote control unit module 38, for example a receiver for wireless command from a remote control 30.」(甲第1号証の第9ページ第25行から第10ページ第5行) [当審訳] 「図2は、詳細にネットワーク送受信機10の実装を示す。送受信機10は、例えば、マイクロコントローラのような、後に示されるであろう方法を実行するためにプログラムされるプロセッサ34と、例えば、対応するランプの通信ユニットと接続し、ランプ設定を送信することができるコネクションを確立するための、有線又は無線通信ユニットのような、ランプのネットワーク送受信機と接続し、インターフェースを通じてランプ設定を送信するためのインターフェース32、例えば、ZigBee(商標)通信モジュールのような、別のZigBee(商標)通信モジュールとモジュールの周辺半径1メートル程度の無線短距離ネットワークコネクションを確立することができる、アンテナ37を有する通信ユニット36とを有する。送受信機は、例えばリモコン30からの無線命令のための受信機のような、リモコンユニットモジュール38をさらに有する。」 オ ![]() (甲第1号証の第2図) 上記エに記載の「例えばZigBee(商標)」は、上記ウに記載の「Bluetooth(登録商標)又はZigBee(商標)又は無線通信装置と同類のもの」から「ZigBee(商標)」を例示しただけで、「Bluetooth(登録商標)」を選択肢から除外するものではないと解される。 よって、上記アからオによれば、甲第1号証には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「第一ランプ12及び前記第一ランプに接続された第一ネットワーク送受信機10と、 無線通信コネクションによって、操作信号28を前記第一ネットワーク送受信機10へ送信することができるリモコン30とを備え、 前記第一ネットワーク送受信機10は、前記リモコン30からの無線命令のための受信機のような、リモコンユニットモジュール38と、Bluetooth通信モジュールのような、別のBluetooth通信モジュールと無線短距離ネットワークコネクションを確立することができる、通信ユニット36を有する ことを特徴とする照明システム。」 (2)さらに、申立人が提出し、取消理由通知(決定の予告)において引用した参考文献2(欧州特許出願公開第2110796号明細書)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「[0003] Infrared diodes provided in many of the remote controls used in display systems emit carrier signals, which the human eye does not perceive, but are detected by the target receivers. ・・・ ・・・略・・・ [0007] ・・・Other circumstances when the remote control is located far, is defected, or lost shall not allow the receiver devices to be controlled remotely by a certain distance. [0008] ・・・ Furthermore, the second technique according to the prior art referred to above, i.e. using universal remote controls, does not provide a solution to control the respective device remotely against the cases encountered in the first technique according to the prior art, when the remote control is lost or defected or when it is situated far from the user. ・・・略・・・ [0010] The objective of the present invention is to overcome the problems encountered in the prior art and to make use of electronic devices containing Bluetooth transceivers as remote controls for remotely-controllable electronic devices.」 [当審訳] 「[0003] ディスプレイシステムに用いられるリモコンの多くに設けられている赤外線ダイオードは、キャリア信号を発し、それは人間の目には知覚できないが、目的の受信機によって検出される。・・・ ・・・略・・・ [0007] ・・・リモコンが離れた所に位置する、リモコンが故障している、リモコンを紛失した時の他の状況では、受信機器を特定の距離で遠隔制御することはできない。 [0008] ・・・ さらに、上述した従来技術による第2の手法、すなわち、ユニバーサルリモコンを使用することは、従来の第1の手法において遭遇する、リモコンを紛失している、リモコンが故障している時、リモコンがユーザから離れた所に位置している時の場合に対して遠隔に各装置を制御するための解決策を提供しない。 ・・・略・・・ [0010] 本発明の目的は、従来の技術で遭遇された問題を克服すること、そして遠隔操作可能な電子機器のリモコンとして、Bluetoothトランシーバを有する電子装置を利用することである。」 イ 「[0015]・・・As illustrated in details in Figure 3 , if the electronic device to be controlled is a television, the Bluetooth transceiver may be activated automatically with switching the television ON, or the transceiver on the TV may be activated, once the user takes the steps indicated on an on-screen menu (a remark may be provided on the on-screen menu to guide the user while activating the Bluetooth receiver on the display of the television) (17). Following this step, the on-screen menu to be displayed at the television's display shall indicate that the television's Bluetooth transceiver is now activated, and shall further indicate the feasibility of programming any electronic device, already equipped with a Bluetooth transceiver and with a keypad, for use as a remote control for the television itself, according to user preferences (18). ・・・」 [当審訳] 「[0015]・・・図3に詳細に示されるように、操作される電子機器がテレビである場合、Bluetoothトランシーバは、テレビのスイッチONで自動的にアクチべートされてもよく、また、テレビのトランシーバが、ユーザがオンスクリーンメニューに示された操作を行うことによって、アクチべートされてもよい(テレビ画面でBluetoothレシーバをアクチべートしている間に、ユーザをガイドするためにオンスクリーンメニューにコメントが提示されてもよい)(17)。このステップに続いて、テレビ自体のリモートコントロールとして使用するために、テレビ画面に表示されるオンスクリーンメニューは、テレビのBluetoothトランシーバが現在アクチべートされていることを示し、ユーザの好みに従って、既にBluetoothトランシーバおよびキーパッドを備えている電子機器をプログラムする可能性をさらに示す(18)。・・・」 ウ 「[0017] Following the appearance of the remark on the on-screen menu in relation to activating the Bluetooth transceiver of the electronic device to be controlled, and to programming the remote control device, a step can be commenced by which the software program including the communication protocol between two devices is transferred from the receiver device to the device to be used as a remote control. If the receiver device is a television, either the television may ask the user to select the model information of the device to act as the remote control via an on-screen menu to appear on the television's screen, or if the user's Bluetooth transceiver is active, the television may detect these information automatically (20). As illustrated in Figure 3 , if the electronic device to be used as a remote control is a mobile phone, the on-screen menu on the television may list the manufacturers of various mobile phones, models of various mobile phones, and if it is a PC or laptop computer, it may list the operating systems run on computers, the version of such operating systems, and if other Bluetooth devices are to be used as a remote control, it may list their brands and models as well (19). If the electronic device to be controlled is a display device (preferably a television) and if the television system to be controlled has Internet connection, the user may search the setup files from the Internet or from another file service for the remote control device, by which he/she wants to control the television system, by making use of the keypads available on the current remote control, or on the television itself, and once the setup files are located or found, he/she may have them identified by the television system.・・・」 [当審訳] 「[0017]オンスクリーンメニューのコメントによる操作機器のBluetoothトランシーバのアクチべート、および、リモコン装置のプログラミングに続いて、2つの装置間の通信プロトコルを含むソフトウェアプログラムが、受信装置からリモコンとして使用される機器に転送されることによって、ステップが始まることができる。受信装置がテレビである場合、テレビは、テレビ画面に現れるオンスクリーンメニューを介して、リモコンとして動作する装置のモデル情報を選択するようユーザに尋ねることができる、または、ユーザのBluetoothトランシーバがアクティブである場合に、テレビは、その情報を自動的に検出することができる(20)。図3に示すように、テレビ画面のオンスクリーンメニューには、リモコンとして使用される電子装置が携帯電話である場合、様々な携帯電話のメーカー、様々な携帯電話のモデルがリストとして表示され、PCやラップトップコンピュータの場合は、コンピュータ上で動作するオペレーティングシステム、そのオペレーティングシステムのバージョンのリストが表示され、他のBluetoothデバイスをリモコンとして使用する場合は、同様にそのブランドとモデルがリストされる(19)。操作対象機器が表示装置(好ましくはテレビ)であり、その操作対象のテレビシステムがインターネット接続を有する場合、ユーザは、インターネットから、またはテレビシステムを操作したいリモコン装置のための別のファイルサービスから、ユーザが、現在のリモコンまたはテレビそれ自体で利用できるキーパッドを利用して、セットアップファイルを探してもよく、セットアップファイルが見つかると、ユーザはそれをテレビに認識させるようにしてもよい。・・・」 エ 「[0018] After the user selects the model, brand, or operating system of the electronic device from the on-screen menu (if the device to be controlled fails in detecting these data automatically), an alert message is indicated on the on-screen menu of the television for the user to activate the Bluetooth transceiver of the respective device to start the transfer of the setup file from the television to the device to act as the remote control (21). Once the user activates the Bluetooth transceiver of the device in hand, two Bluetooth transceivers come to detect each other, so that the device to be used as a remote control prompts a message to the television for receiving approval to establish communication with itself, i.e. the television (21). If the television responds positively to the confirmation prompt of the remote control, communication is established between two transceivers, such that the television acquires the setup file according to the brand, model, and the operating system, if any, of the device, from an internal or external memory and transmits it to the device (22). After the setup file is installed at the remote control device, the user launches this setup file so that the function-key assignments required to control the television remotely is either made via the on-screen menu of the television with stepwise instructions (23), or these instructions may be provided on the device whereon the setup file is run (24). Once the key-function assignment is completed, the device to act as the remote control is made ready to use (25).」 [当審訳] 「[0018] ユーザがオンスクリーンメニューから電子装置のモデル、ブランド、またはオペレーティングシステムを選択した後(操作される機器がこれらのデータを自動的に検出することに失敗した場合)、その装置をリモコンとして動作させるべくテレビからその装置へセットアップファイルの転送を開始するために、ユーザに対して各装置のBluetoothトランシーバを起動するよう、警告メッセージがテレビのオンスクリーンメニューに表示される(21)。ユーザが手持ちの装置のBluetoothトランシーバをアクチべートすると、2つのBluetoothトランシーバがお互いを検出し、リモコンとして使用される装置が、テレビに対して、それ自体すなわちテレビとの通信を確立するための承認を受けるメッセージを促す(21)。テレビがリモコンの確認プロンプトに肯定的に応答すると、2つのトランシーバ間の通信が確立し、テレビは、内部または外部のメモリから、その装置のブランド、モデル、オペレーティングシステム等に応じたセットアップファイルを得て、それを装置に送信する(22)。セットアップファイルがリモコン装置にインストールされた後、ユーザはこのセットアップファイルを起動して、テレビをリモート操作するために必要なファンクションキー割当てを、段階的指示が示されるテレビのオンスクリーンメニューを介して行う(23)。あるいは、これらの指示は、セットアップファイルが実行される装置上で提供されてもよい(24)。キー機能の割り当てが完了すると、リモコンとして機能する装置が使用可能になる(25)。」 オ 「[0019] What's described so far in the present document were the steps of establishing communication between the receiver device and the remote control device, and of making ready to use the device to be used as a remote control. What's to be described in details henceforward are the steps of storing the setup file on the television, if the device to be controlled is a television, and of transmitting the setup files, which differ according to the device to be used as a remote control, via the Bluetooth transceiver.As illustrated in Figure 4 , the commands transmitted by the user are received by the main processor of the television by means of the infrared receiver (26) and of the Bluetooth transceiver (27). According to the flow diagram in Figure 3 , which elaborates the mutual communication of a device to be used as a remote control and the device to be controlled, as well as the transmission of setup files from one device to the other, there remains no need for the device to be controlled to receive the commands via the infrared receiver as from the step 21. In step 17 of the flow diagram illustrated in Figure 3 , once the actions to be conducted by the user to activate the television's Bluetooth transceiver are displayed on the on-screen menu on the television's screen, the user activates the television's Bluetooth feature by either depressing any key on the remote control, or any functional key on the television. If the television fails in automatically detecting the brand, model, or operating system of the device to the used as a remote control, the user can enter the data on the brand, model, operating system, etc. which the television requests, via the on-screen menu, by means of the remote control or by making use of the functional keys on the television, as indicated in step 19 of the flow diagram illustrated in Figure 3 . Once the device to be used as a remote control is made ready to use, following the completion of steps summarized in the flow diagram of Figure 3 according to the present invention, it shall be feasible to transmit the commands sent by the control device via the Bluetooth transceiver (27) to the system, as illustrated in Figure 4 .・・・」 [当審訳] 「[0019] 本明細書でこれまで説明したことは、受信機器とリモコン装置との間の通信を確立し、リモコンとして使用する装置を用いる準備をするステップであった。以下では、操作対象機器がテレビである場合、テレビにセットアップファイルを保存し、リモコンとして使用する装置によって異なるセットアップファイルをBluetoothトランシーバを介して送信するステップを詳細に説明する。図4に示すように、ユーザによって送信されたコマンドは、赤外線受信機(26)およびBluetoothトランシーバ(27)を用いて、テレビのメインプロセッサによって受信される。図3のフローは、リモコンとして使用する装置と操作対象機器との間の相互通信と、ある機器から他の装置へのセットアップファイルの送信とを詳細に示すものであり、ステップ21からは、操作対象機器は赤外線受信機を介してコマンドを受信する必要はない。図3のフローのステップ17において、テレビのBluetoothトランシーバをアクチべートするためにユーザが実行する操作がテレビ画面のオンスクリーンメニューに表示されると、ユーザは、リモコンのいずれかのキーを押すか、またはテレビのいずれかの機能キーを押すことによって、テレビのBluetooth機能をアクチべートする。テレビが、リモコンとして使用される装置のブランド、モデル、またはオペレーティングシステムを自動的に検出することに失敗した場合、ユーザは図3のフローのステップ19に示すように、テレビが要求するブランド、モデル、オペレーティングシステムなどのデータを、リモコンを用いて、またはテレビの機能キーを利用して、オンスクリーンメニューを介して、入力することができる。本発明による図3のフローに要約されたステップの完了後に、リモコンとして使用される装置が使用可能になると、図4に示すように、操作装置によって送信されたコマンドを、Bluetoothトランシーバ27を介してシステムに送信することが可能になる。・・・」 カ ![]() (参考文献2の第3図) (参考文献2の記載について以下検討する。) 上記ア、ウによれば、参考文献2には、従来の技術で遭遇された問題、すなわち、赤外線ダイオードを用いた、リモコンを紛失している、リモコンが故障している時、リモコンがユーザから離れた所に位置している時の場合における遠隔制御の問題を克服するために、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置を、遠隔操作可能な電子機器のリモコンとすることが記載されている。 上記オには「[0019] 本明細書でこれまで説明したことは、受信機器とリモコン装置との間の通信を確立し、リモコンとして使用する装置を用いる準備をするステップであった。」と記載されており、上記イからエ、カによれば、上記オにおける「本明細書でこれまで説明した」ステップは、ステップ17からステップ25であるから、ステップ17からステップ25の処理は、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置を、テレビのリモコンとして使用するための準備処理であって、テレビから携帯電話等の電子装置へセットアップファイルを送信するために、携帯電話等の電子装置(リモコン装置)のBluetoothトランシーバと、テレビ(受信機器)のBluetoothトランシーバとの間の通信を確立するための処理が含まれる。 参考文献2のステップ17からステップ25の各ステップの記載を検討すると、まず、ステップ17について、上記イ、カによれば、操作される電子機器がテレビである場合、テレビのスイッチONを行うことによって、テレビのBluetoothトランシーバが自動的にアクチべートされることが記載されている。 参考文献2は、従来の技術で遭遇された、リモコンを紛失している、リモコンが故障している時、リモコンがユーザから離れた所に位置している時の場合における遠隔制御の問題を克服するためのものであって、従来のリモコンが存在することを前提としているから、テレビのスイッチONを、従来のリモコンにより行うこと、すなわち、テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによって行うことを含むといえる。 そうすると、参考文献2のステップ17には、ユーザがテレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによって、前記テレビが、前記テレビのBluetoothトランシーバを自動的にアクチべートすることが記載されているに等しいといえる。 次に、ステップ18について、上記イ、カによれば、「テレビ画面に表示されるオンスクリーンメニューは、テレビのBluetoothトランシーバが現在アクチべートされていることを示し」と記載されているが、「テレビのBluetoothトランシーバが現在アクチべートされている」というステップ17の結果を示すだけで、ステップ17においてテレビのBluetoothトランシーバが自動的にアクチべートされるのであれば、ステップ18の処理は任意のものであることは明らかである。 ステップ19、ステップ20について、上記ウ、カによれば、一方が選択されるステップであり、ステップ20を選択すると、ユーザのBluetoothトランシーバがアクティブである場合に、テレビは、リモコンとして動作する装置のモデル情報等の情報を自動的に検出することが記載されている。 ステップ21について、上記エ、カによれば、「ユーザがオンスクリーンメニューから電子装置のモデル、ブランド、またはオペレーティングシステムを選択した後(操作される機器がこれらのデータを自動的に検出することに失敗した場合)、その装置をリモコンとして動作させるべくテレビからその装置へセットアップファイルの転送を開始するために、ユーザに対して各装置のBluetoothトランシーバを起動するよう、警告メッセージがテレビのオンスクリーンメニューに表示される」、「ユーザが手持ちの装置のBluetoothトランシーバをアクチべートすると、2つのBluetoothトランシーバがお互いを検出し、リモコンとして使用される装置が、テレビに対して、それ自体すなわちテレビとの通信を確立するための承認を受けるメッセージを促す」と記載されており、ステップ20において、モデル情報等の情報を自動的に検出した場合は、警告メッセージがテレビのオンスクリーンメニューに表示されないといえる。 ステップ22について、上記エ、カによれば、「テレビがリモコンの確認プロンプトに肯定的に応答すると、2つのトランシーバ間の通信が確立し、テレビは、内部または外部のメモリから、その装置のブランド、モデル、オペレーティングシステム等に応じたセットアップファイルを得て、それを装置に送信する」ことが記載されている。 ステップ23、ステップ24について、上記エ、カによれば、一方が選択されるステップであり、ステップ24を選択すると、「セットアップファイルを起動して、テレビをリモート操作するために必要なファンクションキー割当て」を、セットアップファイルが実行される装置上で提供することが記載されている。 最後に、ステップ25について、上記エによれば、「キー機能の割り当てが完了すると、リモコンとして機能する装置が使用可能になる」と記載されている。 そして、テレビのBluetoothトランシーバを自動的にアクチべートするステップ17、ステップ20、ステップ21-22、ステップ24-25のフローにおいて、テレビ画面に表示されるオンスクリーンメニューは用いられていないから、参考文献2には、ステップ17からステップ25の処理において、画面を用いない場合のフローについても記載されているといえる。 よって、参考文献2には、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置を、テレビのリモコンとして使用するにあたり、ユーザが前記テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによって、前記テレビが、前記テレビのBluetoothトランシーバを自動的にアクチべートするステップ17、ステップ20、ステップ21-22、ステップ24-25のフローという、リモコンとして使用される前記携帯電話等の電子装置との間で通信を確立するための処理を含む準備処理を実行する処理が記載されているといえる。 したがって、参考文献2には、 「Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置を、Bluetoothトランシーバを有する、リモコンによって遠隔操作可能な電子機器のリモコンとして使用するにあたり、前記遠隔操作可能な電子機器がテレビである場合、ユーザが前記テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによって、前記テレビが、前記テレビのBluetoothトランシーバを自動的にアクチべートし、リモコンとして使用される前記携帯電話等の電子装置との間で通信を確立するための処理を含む準備処理を実行する」という技術的事項が記載されていると認める。 (3)申立人が提出した甲第3号証(米国特許出願公開2009/0196016号明細書)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「[0041] FIG. 12 depicts an electrical wiring and signal diagram between the electronic assembly and its accessories. Note that not all the components in FIG. 11 are shown here. The audio lamp has a screw thread contact 10 coupled to a power transformer 80. It supplies power to the electronic assembly 82. The latter is then electrically coupled to the other elements through electrical harness 28 as shown in previous figures. In this diagram, the connections to an infrared (IR) transceiver 84, a light source 83, a receiver 81 and a speaker-microphone 85 are shown. Although not explicitly shown in this figure, various sensors can also be connected to the electronic assembly in a similar fashion. In another embodiment, all components are mounted on a printed circuit board (PCB) and the electrical wiring and harnesses are not needed.」 [当審訳] 「[0041] 図12は、電子アセンブリおよびその付属品との間の電気配線および信号図を示している。図11の全ての構成要素ではないがここに示されている。オーディオランプは、電力変換器80と結合されたねじ山10を有している。それは、電子アセンブリ82に電力を供給する。前図に示されているように、後者は、電気ハーネス28を介して他のエレメントに電気的に結合される。この図では、赤外線(IR)トランシーバ84、光源83、レシーバ81及びスピーカマイクロホン85への接続が示されている。この図には明示的には示されていないが、種々のセンサは、同様の様式で電子アセンブリに接続することができる。別の実施形態では、全ての構成要素は、プリント回路基板(PCB)上に実装され電気配線ハーネスを必要としない。」 イ 「[0043] In a residential and office building environment, the building is generally partitioned into multiple rooms and each room may have one or more ceiling lamps and lighting elements. When audio lamps are used, the audio lamps can be logically grouped into zones. FIG. 13 is one configuration. In an embodiment, each zone has at least one audio lamp; of which one of them serves as master 90 and the others are slaves 91 . The master 90 receives data wirelessly at its transceiver 81 from a source 92 through a transmitter 87 . The source 92 can be a stereo amplifier, a television, a personal computer or a video game console, or it can be a handheld portable device, a portable MP3 player, a telephone or a home entertainment system. It can also be AM, FM or satellite radio waves transmitted from a radio station 94 . The master then forwards the data to the slaves 91 within the zone either using the transmitter 87 or a second transceiver 84 . External devices, for example a woofer 88 as shown in the figure, can also receive the data through the second transceiver 84 . A remote control 86 , voice activation or light fixture can manipulate the devices in the zone. [0044] Communication between the master 90 , the source 92 , the slaves 91 and the remote control 86 can be achieved using different wireless means. As an example, the master 90 may communicate with the source 92 using radio frequency (RF) transmission. This can be a dedicated RF link, or it can be a wireless network conforming to the international standards such as the Wi-Fi, Bluetooth, or Ultra-Wide-Band (UWB) standards. The communication between the master 90 and the slaves 91 may be through infrared. Likewise, the remote controller 86 may also use infrared to send control signal to the master 90 .・・・」 [当審訳] 「[0043] 住居やオフィスビル環境では、建物は通常、複数の部屋に仕切られる。そして各部屋には、1つ以上の天井ランプと照明要素があってもよい。オーディオランプが用いられる場合、オーディオランプはゾーンに論理的にグループ化することができる。図13は一構成である。一実施形態では、各ゾーンは少なくとも1つのオーディオランプを備える。そのうちの1つはマスタ90として機能し、残りがスレーブ91となる。マスタ90は、音源92から送信機87を介してトランシーバ81に無線でデータを受信する。音源92は例えばステレオアンプ、テレビ、パソコン、ビデオゲーム機であり、あるいはハンドヘルド携帯機器、携帯用MP3プレーヤー、電話機または家庭用娯楽システムであってもよい。音源92はまた、ラジオ局94から送信されるAM、FMまたは衛星ラジオ放送であってもよい。マスタはその後、送信機87または第2のトランシーバ84のいずれかを用いて、同じゾーンのスレーブ91にデータを転送する。外部機器、例えば図示されているウーファー88も、第2のトランシーバ84を介してデータを受信できる。リモートコントロール86、音声起動または照明器具は、ゾーン内の装置を操作することができる。 [0044] マスタ90、音源92、スレーブ91およびリモートコントロール86の間の通信は、異なる無線手段を用いて行うことができる。一例として、マスタ90は音源92とRF通信を用いて通信することができる。これは専用RFリンクを用いてもよいし、Wi-Fi、Bluetooth、超広帯域(UWB)規格などの国際標準に準拠した無線ネットワークを用いてもよい。マスタ90とスレーブ91との間の通信は、赤外線によるものであってもよい。同様に、リモートコントローラ86は赤外線を用いてマスタ90に制御信号を送信することもできる。・・・」 ウ ![]() (甲第3号証の第13図) したがって、甲第3号証には、 「電子アセンブリ82、電子アセンブリ82と接続された赤外線(IR)トランシーバ84、光源83、トランシーバ81及びスピーカマイクロホン85を有するマスタ90において、マスタ90は、音源92から送信機87を介してトランシーバ81に無線でデータを受信し、マスタ90、音源92、リモートコントロール86の間の通信は、異なる無線手段を用いて行うことができる」という技術的事項が記載されていると認める。 (4)申立人が提出した甲第4号証(特開2010-154430号公報)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「【0001】 本発明は、主に各種照明機器や空調機器等の遠隔操作に用いられるリモコン送受信装置に関するものである。」 イ 「【0022】 また、7は天井等に取付けられた室内灯等の照明機器で、この内方にはアンテナ等の受信手段16、及び照明機器7や受信手段16に接続されたマイコン等の制御手段17から形成された、リモコン受信機18が収納されると共に、このリモコン受信機18とリモコン送信機15によって、リモコン送受信装置が構成されている。 【0023】 そして、このような電波を用いて遠隔操作を行うリモコン送受信装置の場合、赤外線方式のもの等に比べ通信範囲が広く、室内に置かれた他の機器、あるいは他の部屋の機器にまで電波が届き、意図しない機器まで誤操作してしまうことを防ぐため、使用前に、一組のリモコン送信機15とリモコン受信機18のみがペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングが一般的に行われている。 【0024】 つまり、以上の構成において、先ず、リモコン送信機15を照明機器7に向けて、ペアリング設定用の所定の操作キー、例えば操作キー2Aを押圧操作すると、この下方のスイッチ接点の電気的接離が行われ、これを制御手段14が検出して、図3(a)の信号構成図に示すような、識別コードL1とリモコン送信機15毎に独自に設定されたアドレスコードMから形成されたリモコン信号が、送信手段13から電波として送信される。 【0025】 そして、このリモコン信号をリモコン受信機18の受信手段16が受信し、制御手段17がこのアドレスコードMを記憶することによって、リモコン送信機15とリモコン受信機18が一組のペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングが行われる。」 したがって、甲第4号証には、 「天井等に取付けられた室内灯等の照明機器7の内方に収納され、アンテナ等の受信手段16、及び照明機器7や受信手段16に接続されたマイコン等の制御手段17から形成されたリモコン受信機18と、リモコン送信機15によって構成されるリモコン送受信装置において、使用前に、リモコン送信機15のペアリング設定用の所定の操作キーを押圧操作することで送信されたリモコン信号をリモコン受信機18の受信手段16が受信することでリモコン送信機15とリモコン受信機18が一組のペアとして操作可能となる設定、いわゆるペアリングが行われる」という技術的事項が記載されていると認める。 (5)申立人が提出した甲第5号証(特開2011-188281号公報)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「【0001】 本発明は、異なるネットワークを中継しリモコンにより被制御機器の制御を行う方法および機器に関する。」 イ 「【0021】 図1は、本実施の形態によるリモコンとデバイス間の機器登録システムの一構成例を示すブロック図である。図1において、符号100はリモコンの機能ブロック図を示している。 【0022】 符号101は、リモコンから機器制御の指示を出すための操作部であり、典型的な例としてはキーボード、タッチパネル、ボタンなどが挙げられる。周囲のデバイスの検出を行う指示を出す操作、リモコンとデバイスのペアリングの指示を出す操作で構成される。 符号102は、検出またはペアリングしているデバイスの表示を行う表示部であり、リモコンの液晶画面などで構成される。リモコンの画面はタッチ操作を行うことができ、画面内に表示されたデバイスをタッチすることで選択することができる。また、ペアリングが成功した場合に青、失敗した場合に赤など、色によって成否の判別を行うことのできるLEDを含む。 【0023】 符号103はデバイスの機器制御を行う制御部(CPU)であり、周囲のデバイスの検出、リモコンとデバイスとのペアリングを行う。符号104は、デバイス1との間で通信を行う通信部であり、制御部からの命令により得られる、検出したデバイスの情報や、機器制御を行うために用いるデバイスの情報を送受信する。 【0024】 符号105はペアリングに必要となる情報を記憶しておく機器登録情報部であり、記憶される情報の詳細は図2に記載している。 【0025】 符号110はデバイス1の機能ブロック図を示している。例えば、通信機能を有する携帯電話機又はPDA、小型PCなどである。汎用の装置ではなく、特別の装置であっても良い。 【0026】 符号111はリモコン、デバイス2との通信を行う通信部であり、検出したデバイスの情報や、ペアリングを行うデバイスの情報を送受信する。 【0027】 符号112はペアリングの処理を行う制御部であり、周囲のデバイスの検出、リモコンとデバイスとのペアリングを行う。 【0028】 符号113はペアリングに必要となる情報を記憶しておく機器登録情報部であり、記憶される情報の詳細は図2に記載している。」 ウ 「【0045】 図13は、本実施の形態において、テレビを通してリモコンとDVDのペアリングを行う際の画面表示例を示す図である。ここでは、デバイス1がテレビ、デバイス2がDVDという扱いとなる。符号1300は、リモコン本体を示すものであり、表示画面1301、検出用ボタン1302、ペアリング用ボタン1303を有して構成される。表示画面1301では、リモコンとすでにペアリングされているテレビが1304として表示されている。テレビ1304を、表示画面1301をタッチすることで選択し、検出用ボタン1302を押すことで、テレビの周囲に存在するデバイスの検出を行い(図7、9、11の検出処理)、1310の状態に移行する。 【0046】 1310は、周囲のデバイスの検出が完了した状態を表す図である。画面1311には、テレビの周囲にあるデバイスとして、1314のDVD、1315のCDが表示される。1314のDVDを、画面をタッチすることで選択し、ペアリング用ボタン1313を押すことで表示を行い(図8の表示(処理))、符号1320の状態に移行する。 【0047】 符号1320は、リモコンとデバイスとのペアリングを実行するか否かを選択する状態を表す。画面1321には、DVDを登録するか否かの選択肢が(YES、NOで)表示される。1324のYESをタッチすると、ペアリング処理を行い(図8、10、12のペア処理)、符号1330の状態に移行する。」 したがって、甲第5号証には、 「リモコン本体は、表示画面、検出用ボタン、ペアリング用ボタンを有し、ペアリング用ボタンを押すことで、リモコンとデバイスとのペアリングを実行するか否かを選択する状態に移行する」という技術的事項が記載されていると認める。 (6)申立人が提出した参考文献1(特開2005-285091号公報)には、図面とともに以下の記載がある(下線は当審で付与。)。 ア 「【0001】 本発明は、画像を表示する画像表示装置、情報端末装置、ネットワークシステム及びネットワーク設定方法に関し、より詳細には、パーソナルコンピュータなどの情報端末装置と、情報端末装置から送信された画像情報をネットワークを介して受信し、その画像情報に応じた画像を表示する画像表示装置、ホスト側に情報処理装置を備えてなり、情報端末装置との間でネットワークを構築するネットワークシステムに関する。さらに、本発明は、ホスト側と情報端末装置との間でネットワークを構築するときのネットワークの設定方法に関する。 【背景技術】 【0002】 一般に、画像を表示する装置(以下、画像表示装置という)としては、所定の投影面(スクリーン)と、当該スクリーンに画像を投影表示する画像投影装置(プロジェクタ:Projector:PJ)からなるプロジェクションディスプレイシステムのような画像表示装置や、陰極線を利用して画像を表示する陰極線管(Cathode Ray Tube:CRT)表示装置、或いは液晶表示部(Liquid Crystal Display:LCD)に画像を表示する画像表示装置等が知られている。このような画像表示装置は、一般に、パーソナルコンピュータなどの情報端末装置から有線通信又は無線通信によって送信された画像情報を受信し、受信した画像情報に応じた画像を表示できるように構成されている。 【0003】 画像表示装置と、情報端末装置と、有線通信又は無線通信によって成るネットワークから形成される画像表示システムにあっては、画像表示装置と、情報端末装置をネットワーク接続する際に、ネットワーク接続のための設定が必要になる。このネットワーク接続のためのいくつかの設定の方法に関しては、下記特許文献1、下記特許文献2に開示されている。 【0004】 下記特許文献1に記載されている設定の方法は以下のとおりである。画像表示装置は、識別記号発生部を備え、発生した識別記号、例えばIPアドレスをスクリーンに投影表示する。情報端末装置の使用者は、スクリーンに表示された識別記号を見ることにより、スクリーンに画像を投影している画像表示装置の識別番号を知ることができる。このため、その画像表示装置に対してネットワーク経由で伝送情報を送信することができる。 【0005】 下記特許文献2に記載されている設定の方法は以下のとおりである。画像表示装置はパスワード生成部を備え、生成したパスワードをスクリーンに投写する。パーソナルコンピュータ側では、ユーザがスクリーン上に投写されたパスワードをキーボードの操作によって入力し、通信を確立するための認証要求を行う。プロジェクタは、パーソナルコンピュータ側からの認証要求に応じてパスワードを確認し、パーソナルコンピュータとの接続が確立すると、スクリーンへのパスワードの投写表示を停止する。また、プロジェクタは、ネットワークの接続のための設定情報もスクリーンに投写表示する。設定情報の中には、暗号通信のためのWEP(Wired Equivalent Privacy)と呼ばれる方式に応じた暗号化鍵(WEPキー)も含まれてしまう。 【0006】 【特許文献1】特開2002-123238号公報 【特許文献2】特開2003-69923号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0007】 ところで、上記特許文献1、特許文献2に記載されているようなネットワーク接続のための設定方法によれば、ネットワーク接続を実現するためには、ユーザが接続の度に、画像表示装置、情報端末装置それぞれの設定を行わなくてはならず、ある程度の知識と時間が必要であったため、製品として商品化しても実際に使用してもらうケースを逸していた。 【0008】 また、実際に使用している場合であっても、画像表示装置(プロジェクタ)の識別番号(パスワード)をユーザ以外の人が知ることができる。例え、プロジェクタが会議室などの限られた空間で利用されるものであり、外部の不特定多数の人が見ることはないとはいえ、ユーザ以外の人に識別番号(パスワード)が知られてしまうのはセキュリティ上問題である。ましてや、商品展示会や不特定多数の人が自由に出入りできるような場で、スクリーンに識別番号を表示するのは、外部からの悪意のある不正な接続を可能とし、通信データの秘匿性を確保するのを困難としてしまう。 【0009】 特に、特許文献2では、WEPキーもスクリーン上に投写表示することになるので、悪意のある第3者によってWEPキーを用いての暗号データの不正な復号を許すことにもつながり、セキュリティ上著しい問題となる。 【0010】 本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ネットワーク接続の設定を簡便にし、かつセキュリティを確保できる画像表示装置の提供を目的とする。また、ホスト側の情報処理装置と情報端末装置のネットワーク接続の設定を簡便にし、かつセキュリティを確保できるネットワークシステムの提供を目的とする。さらに、ホスト側と情報端末装置のネットワーク接続の設定を簡便にし、かつセキュリティを確保できるようにするネットワークの設定方法の提供を目的とする。」 イ 「【0024】 図1は画像表示システム10の基本構成を示す図である。画像表示システム10は、画像表示装置1と、情報端末装置2とを、無線通信路に接続し無線ネットワークを構成したシステムである。なお、画像表示システム10は、あくまでも一例であり、この一例によって本発明の構成が限定されるものではない。情報端末装置は1台でも、或いはさらに複数でもよい。情報端末装置を複数とする構成については後述する。」 ウ 「【0051】 図6は画像表示装置1のハードウェア構成を示す図である。CPU61にはバス62を介してリードオンリーメモリ(ROM)63、ランダムアクセスメモリ(RAM)64が接続している。また、CPU61にはバス62を介してスクリーン5に映像信号を投射する映像信号出力部65、ワイヤレス接続用モジュール40をインターフェースするPCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)などのI/F66、さらにはリモートコントロール用受光部68も接続している。リモートコントロール用受光部68は、リモートコントローラ69からのリモートコントロール信号を受信する。 【0052】 スクリーン5は、図2に示したスクリーン5と同様のものである。ワイヤレス接続用モジュール40は、同じく図2に示した通信モジュール40の具体例である。ROM63又はRAM64は、図2に示した第1の記憶部63の具体例であり、既に出荷時に接続アプリケーション41、ドライバ42及び設定情報43が格納されている。CPU61は、同じく制御部61の具体例であり、第1の記憶部であるROM63から上記設定情報を読み出してネットワークを介した通信を可能とする設定を行う。また、CPU61は、ネットワーク接続された情報端末装置2から送信され、ワイヤレス接続用モジュール40を介して受信された画像データをスクリーン5に出力するよう制御し、映像信号出力部65に渡す。映像信号出力部65は、CPU61によって制御され、上記画像データに基づいて映像信号を生成し、スクリーン5に渡す。スクリーン5は、映像信号出力部65が、CPU61の制御に基づいて生成した映像信号よりなる画像を表示する。なお、RAM64には、CPU61で処理される種々のデータが一時保存されている。 【0053】 リモートコントローラ69は、図2に示した選択部69の具体例であり、スクリーン5に表示されたスクリーン5に表示された画像上の要点や、選択点などをユーザの操作に応じて選択する。また、リモートコントローラ69を用いて、無線ネットワークへの接続設定、複数の情報端末装置への接続、切断の切り換え等の操作が行われる。 【0054】 画像表示装置1には、上述したようにリモートコントロール用受光部68が備えられているので、リモートコントローラ69からの赤外線リモートコントロール信号を受信することができる。 【0055】 CPU61は、リモートコントロール用受光部68が受信したリモートコントロール信号に対応して、例えばROM63又はRAM64に格納されているリモートコントロール信号の解読用データテーブルを参照し、コマンドを解読する。 【0056】 例えば、ユーザがリモートコントローラ69を用いて、所望の情報端末装置を選択し、接続を要求すると、CPU61は、選択された情報端末装置に対して接続要求信号を生成し、I/F66を介してワイヤレス接続用モジュール40から該当する情報端末装置のワイヤレス接続用モジュール44に送る。このため、無線ネットワーク接続の設定が可能になる。 【0057】 また、CPU61は、リモートコントローラ69を用いてユーザにより情報端末装置の切り換え、切断操作が行われると、そのコマンドを解読し、コマンドに応じた各送信信号を生成し、I/F66を介してワイヤレス接続用モジュール40から該当する情報端末装置のワイヤレス接続用モジュール44に送る。このため、情報端末装置の切り換え、切断が画像表示装置1側の操作により可能になる。」 したがって、参考文献1には、 「画像表示装置と、情報端末装置とを、無線通信路に接続し無線ネットワークを構成した画像表示システムにおいて、情報端末装置は1台でも、複数でもよく、画像表示装置には、リモートコントロール用受光部68が備えられているので、リモートコントローラ69からの赤外線リモートコントロール信号を受信することができ、ユーザがリモートコントローラ69を用いて、所望の情報端末装置を選択し、接続を要求すると、選択された情報端末装置に対して接続要求信号を生成し、該当する情報端末装置のワイヤレス接続用モジュール44に送るため、無線ネットワーク接続の設定が可能になる」という技術的事項が記載されていると認める。 3. 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 (ア)引用発明の「第一ランプ12及び前記第一ランプに接続された第一ネットワーク送受信機10」は、本件発明1の「照明ユニット」に含まれる。 (イ)引用発明の、リモコン30からの無線命令として送信される「無線通信コネクション」による「操作信号28」は、リモコンから制御される機器へ送信されるリモコン信号であるから、本件発明1の、リモートコントローラから送信される「第1方式の無線信号」である「操作信号」に含まれる。 (ウ)引用発明の、リモコン30からの無線命令のための受信機のような「リモコンユニットモジュール38」は、リモコンからのリモコン信号を受信するから、本件発明1の、操作信号を受信する「第1方式受信部」に含まれる。 (エ)引用発明の、Bluetooth通信モジュールのような「通信ユニット36」は、本件発明1の、第2方式による無線通信を行うための「第2方式通信部」に含まれる。 (オ)引用発明の「リモコン30」は、ユーザからの指示に基づく操作信号28を生成し、第一ネットワーク送受信機10に送信するものであるから、指示がペアリング指示であるか否かは別にして、本件発明1の、処理の実行を指示する指示をユーザから受け付ける「指示受付部」と、指示を受け付けた場合に、操作信号として指示信号を生成し、照明ユニットに送信する、「第1方式送信部」に対応する構成を有する。 (カ)Bluetooth通信において接続を確立するためには、Bluetooth機器同士の接続の初期設定処理(ペアリング処理)を行う必要があることが技術常識であるから、引用発明の、Bluetooth通信モジュールのような、別のBluetooth通信モジュールと無線短距離ネットワークコネクションを確立することができる、通信ユニット36を有する「第一ネットワーク送受信機10」は、本件発明1の、ペアリング処理を実行する「ペアリング処理実行部」に相当する構成を有するものと解される。 上記(ア)から(カ)までを踏まえ、本件発明1と引用発明とを対比すると、両者は、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「照明ユニットと、 第1方式の無線信号を操作信号として送信することにより、前記照明ユニットを操作する、リモートコントローラと、を備え、 前記照明ユニットは、前記操作信号を受信する第1方式受信部と、第2方式による無線通信を行うための第2方式通信部と、を有し、 前記リモートコントローラは、処理の実行を指示する指示をユーザから受け付ける指示受付部と、指示を受け付けた場合に、前記操作信号として指示信号を生成し、前記照明ユニットに送信する、第1方式送信部と、を備え、 前記照明ユニットは、ペアリング処理を実行するペアリング処理実行部をさらに備える、 ことを特徴とする照明システム。」 (相違点) 本件発明1は、照明ユニットとの間で第2方式通信部を介した第2方式による無線通信を行う対象が、「照明ユニットを操作可能」である「外部機器」であって、「リモートコントローラ」が備える「指示受付部」が、「照明ユニットと前記外部機器との間」の「ペアリング処理の実行を指示するペアリング指示」を受け付ける「ペアリング指示受付部」であり、「第1方式送信部」が、「ペアリング指示を受け付けた場合」に、前記操作信号として「ペアリング指示信号」を生成し、前記照明ユニットに送信するものであり、「照明ユニット」の「第1方式受信部」が「前記ペアリング指示信号を受信した場合」に、「ペアリング処理実行部」が、「前記外部機器との間で」ペアリング処理を実行するのに対し、引用発明では、照明ユニットとの間で第2方式通信部を介した第2方式による無線通信を行うのが、「照明ユニットを操作可能」である「外部機器」ではなく、「リモートコントローラ」が備える「指示受付部」が受け付ける指示が、「照明ユニットと前記外部機器との間」の「ペアリング処理の実行を指示するペアリング指示」ではなく、「第1方式送信部」が、操作信号として生成し照明ユニットに送信する指示信号が「ペアリング指示信号」ではなく、「照明ユニット」の「第1方式受信部」は、「ペアリング指示信号」を受信せず、「ペアリング処理実行部」は、「前記外部機器との間で」ペアリング処理を実行するものではない点。 イ 判断 相違点について 参考文献2に記載された技術的事項における通信を確立するための処理について、Bluetooth機器同士の初回の接続には、Bluetooth機器同士の接続の初期設定処理(ペアリング処理)を行う必要があることが技術常識である。そして、テレビと携帯電話との間でBluetoothによる通信を行うことは、テレビ及び携帯電話の通常の利用態様ではなく、参考文献2には、リモコン機能以外のために、携帯電話等の電子装置のBluetoothトランシーバと、操作対象機器のBluetoothトランシーバとの間の通信を確立することは記載されていないから、ステップ17からステップ25のリモコン準備処理より前に、Bluetooth機器同士の接続の初期設定処理(ペアリング処理)は行われていないと解するのが相当である。 そうすると、参考文献2に記載された技術的事項において、通信を確立するための処理にはペアリング処理が含まれるといえる。 参考文献2に記載された技術的事項において、テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーは、これを押すことが、テレビと、リモコンとして使用される携帯電話等の電子装置との間でペアリング処理を実行する契機となっている。 ここで、本件発明1の「ペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付けるペアリング指示受付部」に関し、「ペアリング指示」とは、「ペアリング処理の実行を指示する」指示といえ、当該指示をユーザから受け付ける指示受付部が「ペアリング指示受付部」である。そして、本件明細書段落【0039】の記載によれば、ペアリング指示受付部は、ペアリングのための専用のボタンに限らないとしていることからみても、「ペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付ける」ことには、ユーザがリモコンのキーを操作することでペアリング処理の実行が開始されることが含まれるといえる。 そうすると、参考文献2に記載された技術的事項の「テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキー」は「ペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付けるペアリング指示受付部」といえる。 引用発明と参考文献2に記載された技術的事項とは、リモコンによって操作可能な機器がBluetooth通信ユニットを有する点で共通するものである。 そして、参考文献2に記載された技術的事項において、テレビの画面を用いた処理はないことから、参考文献2に記載された技術的事項は、テレビ以外の遠隔操作可能な電子機器への適用を排除するものではないと解される。 また、甲第1号証の第8ページ第6行から第11行(2.(1)ア)には、「照明システムに適用されることに限定されず」、「デバイスは、ランプだけでなく、ホームオートメーションシステムのようなネットワーク操作システムの操作デバイス」などのデバイスとも用いられることが記載されており、ホームオートメーションには、照明の制御も含まれることが技術常識であるから、引用発明のランプは、「ホームオートメーションシステムのようなネットワーク操作システム」の「操作デバイス」などのデバイスとの通信を排除していないといえる。 そうすると、引用発明には、参考文献2に記載された技術的事項を適用する動機があるといえる。 引用発明の、第一ネットワーク送受信機10が行う「Bluetooth通信」に関して、参考文献2に記載された技術的事項を適用して、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置との間でも「Bluetooth通信」を行うようにし、リモコン30は、押すことでペアリング処理を実行する契機となる、第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するいずれかのキーを備え、第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するリモコン30のいずれかのキーが押された場合に、ペアリング処理についての操作も含む操作信号28を第一ネットワーク送受信機10へ送信し、第一ネットワーク送受信機10は、リモコンユニットモジュール38がペアリング処理についての操作も含む操作信号28を受信した場合に、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置との間でペアリング処理を含むリモコンとして利用するための準備処理を実行する構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そして、該構成により、第一ネットワーク送受信機10との間でBluetooth通信による無線通信を行う対象が、リモコンとして利用する、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置であって、リモコン30が備えるキーが、前記第一ネットワーク送受信機10と前記電子装置との間のペアリング処理を実行する契機となる、第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するいずれかのキーであり、「第1方式送信部」に相当する構成が、前記第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するリモコン30のいずれかのキーが押された場合に、操作信号としてペアリング処理についての操作も含む操作信号28を生成し、前記第一ネットワーク送受信機10に送信するものであり、前記第一ネットワーク送受信機10は、リモコンユニットモジュール38がペアリング処理についての制御も含む制御信号28を受信した場合に、「ペアリング処理実行部」に相当する構成が、前記電子装置との間でペアリング処理を実行することとなる。 以上のとおりであって、本件発明1のように構成したことによる効果も、引用発明1、参考文献2に記載された技術的事項から予測できる程度のものである。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)本件発明2について 引用発明の「第一ランプ12」、「第一ランプに接続された第一ネットワーク送受信機10」はそれぞれ、本件発明2の「照明装置」、「電気機器」に含まれる。 そうすると、本件発明2と引用発明との相違点は、上記(1)アのとおりであり、相違点に対する判断も、上記(1)イのとおりである。 したがって、本件発明2は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)本件発明3について 引用発明の「第一ランプ12」、「第一ランプに接続された第一ネットワーク送受信機10」はそれぞれ、本件発明3の「照明装置」、「電気機器」に含まれるから、引用発明の「第一ネットワーク送受信機10」が有する、Bluetooth通信モジュールのような「通信ユニット36」は、本件発明3の、電気機器に実装されている「第2方式通信部」に含まれる。 上記(1)ア(カ)のとおり、「第一ネットワーク送受信機10」は、本件発明3の、「ペアリング処理実行部」に相当する構成を有するものと解される。 引用発明の「リモコンユニットモジュール38」は、照明装置に実装されているか否かは別にして、本件発明3の「第1方式受信部」に含まれる。 そうすると、本件発明3と引用発明との相違点は、上記(1)アに加え、本件発明3が、複数の通信方式が「照明装置」と「電気機器」とに分散して実装されており、「第1方式受信部」が実装されているのが「照明装置」であって、「照明装置」は、「第1方式受信部」によって「ペアリング指示信号」を受信し、「ペアリング処理実行部」は、「照明装置」を介して「ペアリング指示信号」を受信するのに対し、引用発明では、複数の通信方式が「第一ネットワーク送受信機10」に集中して実装されており、「第1方式受信部」が実装されているのが「第一ネットワーク送受信機10」であって、「第一ランプ12」は、「第1方式受信部」によって「ペアリング指示信号」を受信せず、「ペアリング処理実行部」は、「第一ランプ12」を介さず、「ペアリング指示信号」を受信するものである点で相違する(相違点2)。 相違点2について検討する。 参考文献2には、照明における通信部の実装に関して記載されておらず、上記(1)イのとおり、参考文献2に記載された技術的事項における「ペアリング指示」は、「テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによ」るものであるから、引用発明に、参考文献2に記載された技術的事項を適用したとしても、「リモコンユニットモジュール38」を、「第一ネットワーク送受信機10」から「第一ランプ12」へ移すこと、「第一ネットワーク送受信機10」の「ペアリング処理実行部」に相当する構成が、「第一ランプ12」を介してペアリング処理についての操作とスイッチONの操作を含む「操作信号28」を受信するように構成することは、当業者が容易に想到し得たものではない。 甲第4号証に記載された技術的事項における「照明機器7」は、「照明装置」と「電気機器」を備えていないから、引用発明に、甲第4号証に記載された技術的事項を適用したとしても、複数の通信方式が「照明装置」と「電気機器」とに分散して実装されること、つまり、「第2方式通信部」と「ペアリング処理実行部」が照明ユニットの「電気機器」に実装され、「第1方式受信部」が照明ユニットの「照明装置」に実装されることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 当該相違点2に係る構成については、甲第3,5号証、参考文献1にも記載されていない。 したがって、甲第1号証、甲第3-5号証、及び参考文献1-2の記載を組み合わせたとしても、上記相違点2に相当する構成は惹起し得ず、本件発明3は、甲第1号証、甲第3-5号証、参考文献1-2の記載から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (4)本件発明4について 本件発明4と引用発明との相違点は、上記(1)アに加え、本件発明4が、「前記ペアリング指示受付部は、ペアリング指示専用のボタンにより構成されている」のに対し、引用発明では、「リモコン30」に「ペアリング指示専用のボタン」が構成されていない点で相違する(相違点3)。 相違点3について検討する。 上記(1)イのとおり、参考文献2に記載された技術的事項における「ペアリング指示」は、「テレビのスイッチONに対応する従来のリモコンのいずれかのキーを押すことによ」るものであって、スイッチONによりペアリングが行われるのであり、スイッチONと関係なくペアリングだけを行うものではないから、引用発明に、参考文献2に記載された技術的事項を適用したとしても、引用発明のBluetooth通信の前提としての「ペアリング」に際して、「ペアリング指示専用」のボタンを組み合わせることはできないから、第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するリモコン30のいずれかのキーに代えて、「ペアリング指示専用のボタン」を照明ユニットと外部機器との間でのペアリング指示に用いることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 甲第4号証に記載された技術的事項は、リモコン送信機15とリモコン受信機18とのペアリングについて、ペアリング設定用の所定の操作キーがリモコン送信機15に構成されているものであるから、引用発明に、甲第4号証に記載された技術的事項を適用すると、「リモコン30」に、「リモコン30」自身と「第一ネットワーク送受信機10」とのペアリング設定用の所定の操作キーを構成するものとなる。 そうすると、引用発明に、参考文献2に記載された技術的事項、甲第4号証に記載された技術的事項を適用したとしても、「第一ネットワーク送受信機10」の「ペアリング処理実行部」に相当する構成と「リモコンとして利用する、Bluetoothトランシーバを有する携帯電話等の電子装置」との間のペアリング処理を受け付けるのが、第一ネットワーク送受信機10のスイッチONに対応するリモコン30のいずれかのキーであって、該ペアリング処理とは別のペアリング処理である「リモコン30」と「第一ネットワーク送受信機10」とのペアリング処理を受け付けるのが、リモコン30のペアリング設定用の所定の操作キーとなり、「前記ペアリング指示受付部は、ペアリング指示専用のボタンにより構成されている」こと、すなわち、「ペアリング指示専用のボタン」を照明ユニットと外部機器との間でのペアリング指示に用いることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 甲第5号証に記載された技術的事項も甲第4号証と同様に、リモコン自身とデバイスとのペアリングについて、ペアリング用ボタンがリモコン本体に構成されているものであるから、同様に、引用発明に、参考文献2に記載された技術的事項、甲第5号証に記載された技術的事項を適用したとしても、「ペアリング指示専用のボタン」を照明ユニットと外部機器との間でのペアリング指示に用いることは、当業者が容易に想到し得たものではない。 当該相違点3に係る構成については、甲第3号証、参考文献1にも記載されていない。 したがって、甲第1号証、甲第3-5号証、及び参考文献1-2の記載を組み合わせたとしても、上記相違点3に相当する構成は惹起し得ず、本件発明4は、甲第1号証、甲第3-5号証、参考文献1-2の記載から当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。 (5)本件発明5について 照明を天井に取り付けることは、通常行われている事項であり、引用発明の「第一ランプ12及び前記第一ランプに接続された第一ネットワーク送受信機10」を、天井に取り付けるように構成することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 したがって、本件発明5は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6)本件発明6について 引用発明は「リモコン30」を含むものであるから、甲第1号証には、「引用発明の照明システムで用いられるリモコン装置」の発明も記載されているといえる。 したがって、本件発明6は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (7)本件発明7について 甲第1号証には、引用発明に対応する方法の発明も記載されているといえる。 そうすると、本件発明7と引用発明とは、以下の点で相違する。 (相違点) 本件発明7は、「リモートコントローラ」がユーザから受け付ける「指示」が、「照明ユニットと前記照明ユニット外部の外部機器との間」の「ペアリング指示」であって、「前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能」とする「ペアリング指示」であり、「リモートコントローラ」が、「ペアリング指示」に応じて、操作信号として「ペアリング指示信号」を生成し、前記照明ユニットに送信するものであり、「照明ユニット」が、「ペアリング指示信号」を受信し、「前記ペアリング指示信号」を受信した場合に、ペアリング処理を実行するのに対し、引用発明では、「リモートコントローラ」がユーザから受け付ける「指示」が、「照明ユニットと前記照明ユニット外部の外部機器との間」の「ペアリング指示」ではなく、「前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能」とする「ペアリング指示」ではなく、「リモートコントローラ」が、操作信号として生成し照明ユニットに送信する指示信号が「ペアリング指示信号」ではなく、「照明ユニット」は、「ペアリング指示信号」を受信せず、ペアリング処理を「ペアリング指示信号」を受信した場合に実行するものではない点。 しかしながら、上記相違点については、上記(1)イと同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本件発明7は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本件発明1、2、5-7は、甲第1号証に記載された発明及び参考文献2に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、2、5-7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 したがって、本件発明1、2、5-7に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 また、本件発明3、4に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。さらに、他に本件請求項3、4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 照明ユニットと、 第1方式の無線信号を操作信号として送信することにより、前記照明ユニットを操作する、リモートコントローラと、を備え、 前記照明ユニットは、前記操作信号を受信する第1方式受信部と、前記照明ユニット外部の外部機器との間で第2方式による無線通信を行うための第2方式通信部と、を有し、 前記リモートコントローラは、前記照明ユニットと前記外部機器との間で前記第2方式通信部を介した前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付けるペアリング指示受付部と、前記ペアリング指示を受け付けた場合に、前記操作信号としてペアリング指示信号を生成し、前記照明ユニットに送信する、第1方式送信部と、を備え、 前記照明ユニットは、前記第1方式受信部が前記ペアリング指示信号を受信した場合に前記外部機器との間で前記ペアリング処理を実行するペアリング処理実行部をさらに備えるとともに、 前記外部機器は、前記照明ユニットを操作可能である、 ことを特徴とする照明システム。 【請求項2】 前記照明ユニットは、 発光を行う照明装置と、 前記照明装置に通信可能に接続された電気機器と、 を備えることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。 【請求項3】 前記第2方式通信部及び前記ペアリング処理実行部は、前記電気機器に実装されており、 前記第1方式受信部は、前記照明装置に実装されており、 前記照明装置は、前記第1方式受信部によって前記ペアリング指示信号を受信し、 前記ペアリング処理実行部は、前記照明装置を介して前記ペアリング指示信号を受信する、 ことを特徴とする請求項2に記載の照明システム。 【請求項4】 前記ペアリング指示受付部は、ペアリング指示専用のボタンにより構成されている、 ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の照明システム。 【請求項5】 前記照明ユニットは、天井に取り付けられる、 ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の照明システム。 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の照明システムで用いられる、リモートコントローラ。 【請求項7】 第1方式による無線通信と第2方式による無線通信が行われる照明システムの動作方法であって、 リモートコントローラが、照明ユニットと前記照明ユニット外部の外部機器との間で前記第2方式による無線通信を行うことを可能にするとともに、前記外部機器によって前記照明ユニットを操作可能とするペアリング処理の実行を指示するペアリング指示をユーザから受け付けるステップと、 前記ペアリング指示に応じて、前記リモートコントローラが、前記第1方式の無線信号によりペアリング指示信号を生成し、前記照明ユニットに送信するステップと、 前記照明ユニットが、前記ペアリング指示信号を受信するステップと、 前記ペアリング指示信号を受信した場合に、前記照明ユニットが前記ペアリング処理を実行するステップと、 を含むことを特徴とする照明システムの動作方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-04-08 |
出願番号 | 特願2014-502350(P2014-502350) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZDA
(H04Q)
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最終処分 | 一部取消 |
前審関与審査官 | 永田 義仁 |
特許庁審判長 |
北岡 浩 |
特許庁審判官 |
佐藤 実 吉田 隆之 |
登録日 | 2017-04-14 |
登録番号 | 特許第6124360号(P6124360) |
権利者 | NECライティング株式会社 |
発明の名称 | 照明システム、リモートコントローラ、及び、照明システムの動作方法 |
復代理人 | 綿谷 晶廣 |
復代理人 | 綿谷 晶廣 |
復代理人 | 松縄 正登 |
代理人 | 辻丸 光一郎 |
代理人 | 伊佐治 創 |
代理人 | 辻丸 光一郎 |
代理人 | 中山 ゆみ |
復代理人 | 松縄 正登 |
代理人 | 中山 ゆみ |
代理人 | 伊佐治 創 |