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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H04N
審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:857  H04N
管理番号 1354059
異議申立番号 異議2018-700464  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-06 
確定日 2019-06-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6243876号発明「向上された特殊再生機能のためのシステムおよび方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6243876号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-10〕、〔11-20〕について訂正することを認める。 特許第6243876号の請求項1ないし20に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6243876号の請求項1?20に係る特許についての出願は、2006年(平成18年)12月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2006年2月28日、米国)を国際出願日とする特願2008-557255号の一部を数次の分割を経て平成27年7月31日に新たな特許出願としたものであって、平成29年11月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人松田純一により特許異議の申立てがされ、平成30年8月17日付けで取消理由が通知され、平成30年11月20日に意見書が提出され、平成30年12月27日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、平成31年4月8日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人松田純一から令和元年5月22日付けで意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1-1)?(2-4)のとおりである。

(1-1)請求項1?2、5?7に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項1において、「前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」とあるのを「前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」に訂正する(請求項1の記載を直接的に引用する請求項2、5?7も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項1-1」という。

イ 特許請求の範囲の請求項1において、「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすること」とあるのを「前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすること」に訂正する(請求項1の記載を直接的に引用する請求項2、5?7も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項1-2」という。

ウ 特許請求の範囲の請求項1において、「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」とあるのを「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、
ユーザの巻き戻し要求を受信することと、
前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示することと、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生することと
をさらに含む」に訂正する(請求項1の記載を直接的に引用する請求項2、5?7も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項1-3」という。

(1-2)請求項3?4に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項3において、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、方法。」に訂正する(請求項3の記載を直接的に引用する請求項4も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項2」という。

(1-3)請求項8?9に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項8において、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、請求項7に記載の方法。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
前記方法は、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、方法。」に訂正する(請求項8の記載を直接的に引用する請求項9も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項3」という。

(1-4)請求項10に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項10において、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示することをさらに含む、請求項1に記載の方法。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示することをさらに含む、方法。」に訂正する。
当該訂正を以下「訂正事項4」という。

(2-1)請求項11?12に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項11において、「前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」とあるのを「前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」に訂正する(請求項11の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項5-1」という。

イ 特許請求の範囲の請求項11において、「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段」とあるのを「前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段」に訂正する(請求項11の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項5-2」という。

ウ 特許請求の範囲の請求項11において、「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」とあるのを「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、
ユーザの巻き戻し要求を受信する手段と、
前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示する手段と、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生する手段と
をさらに含む」に訂正する(請求項11の記載を直接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項5-3」という。

(2-2)請求項13?17に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項13において、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、請求項11に記載のシステム。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、システム。」に訂正する(請求項13の記載を直接的または間接的に引用する請求項14?17も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項6-1」という。

イ 特許請求の範囲の請求項15において、「請求項11に記載のシステム。」とあるのを「請求項13に記載のシステム。」に訂正する。
当該訂正を以下「訂正事項6-2」という。

ウ 特許請求の範囲の請求項16において、「請求項11に記載のシステム。」とあるのを「請求項13に記載のシステム。」に訂正する(請求項16の記載を直接的に引用する請求項17も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項6-3」という。

(2-3)請求項18?19に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項18において、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、請求項17に記載のシステム。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信する手段であって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、手段と、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュする手段とをさらに含み、
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
前記システムは、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、システム。」に訂正する(請求項18の記載を直接的に引用する請求項19も同様に訂正する)。
当該訂正を以下「訂正事項7」という。

(2-4)請求項20に係る訂正
ア 特許請求の範囲の請求項20において、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する手段をさらに含む、請求項11に記載のシステム。」とあるのを「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する手段をさらに含む、システム。」に訂正する。
当該訂正を以下「訂正事項8」という。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1-1)請求項1?2、5?7に係る訂正
ア 訂正事項1-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の「前記逆方向ストリーム」を限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項1-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項2、5?7は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2、5?7に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項1-1は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項2、5?7の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2?5の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項2、5?7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-1は、訂正前の請求項2、5?7との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0006】には、
「クライアントアプリケーション(本明細書では「特殊再生クライアント」と称される場合がある)は、ユーザ機器上に実装される。ユーザがストリームの視聴を開始すると、クライアントは、ユーザが、バッファを介して、ストリームの視聴を開始した時点に巻き戻しできるように、視聴されている映像のキャッシュを開始する。ユーザがアクセスする前に開始された(例えば、自動的に、またはユーザ要求に応じて)映像にユーザがアクセスすると同時に、またはアクセスした後に、クライアントは、サーバによってキャッシュまたは記録された映像のコピーから、サーバによって生成された逆方向ストリームをサーバから受信する。逆方向ストリームは、ユーザが最初に映像にアクセスした時点から逆方向に、完全映像(例えば、任意のフレームをスキップせずに)をストリーム配信する。逆方向ストリーム受信後いつでも、ユーザが映像にアクセスする前に伝送されたコンテンツに対応する映像内の時点に、ユーザが番組を巻き戻すことが可能なように、クライアントは、逆方向ストリームをローカルにキャッシュする。」
と記載されている(下線は当審で付与した。)。

段落【0006】の記載によると、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項1-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

イ 訂正事項1-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすること」をさらに限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項1-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項2、5?7は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2、5?7に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項1-2は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項2、5?7の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2?5の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項2、5?7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-2は、訂正前の請求項2、5?7との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0037】には、
「いくつかの実施形態では、特殊再生クライアントは、ユーザが所与の時間映像を視聴するまで、逆方向および/または順方向ストリームを要求または受信しない。記録装置118が、所与の時間の間にリアルタイムストリームをキャッシュした場合(例えば、リアルタイムバッファ内に)、特殊再生クライアントは、ユーザが映像の視聴を開始した時に、逆方向ストリームを開始し、所与の時間後、順方向ストリームを開始するように要求してもよい。次いで、図3に示されるように、逆方向バッファ322は、フレームFn-r(例えば、ユーザが映像の視聴を開始したフレーム)から開始し、順方向バッファ324は、フレームFn-f(例えば、所与の時間後の映像のフレーム)から開始し、リアルタイムバッファ326は、フレームFn-rとFn-fとの間の映像を含む。記録装置118が順方向ストリームのキャッシュを開始すると、特殊再生クライアントは、記録装置118に、リアルタイムストリームのキャッシュを停止させ、同一映像が2回キャッシュされることを回避してもよい。別様に、特殊再生クライアントは、リアルタイムバッファ内にキャッシュされた映像を削除し、サーバ130に、同一フレーム、例えば、フレームFn-rとFn-fとの間の任意のフレームから開始する逆方向および順方向ストリームを提供させてもよい。」
と記載されている(下線は当審で付与した。)。
段落【0037】の記載によると、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 訂正事項1-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステム」をさらに限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項1-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項2、5?7は、訂正後の請求項1の記載を引用することにより、訂正後の請求項2、5?7に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項1-3は、「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法」を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項2、5?7の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項1の記載は、訂正前の請求項1との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項1-3は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項2、5?7の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項2、5?7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1-3は、訂正前の請求項2、5?7との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0042】、【0043】、【0064】、図6は次のとおりである(下線は当審で付与した。)。

「【0042】
図6は、拡張転送制御バー内の逆方向および順方向バッファの視覚表現の別の例示的ディスプレイを示す。画面600は、ユーザが視聴している映像602および拡張転送制御バー610を含む。拡張転送制御バー610は、映像の開始時間612および終了時間614、ユーザのために現在の再生位置を示すカーソル620、ならびに逆方向バッファ632および順方向バッファ634の表現を含む。また、拡張転送制御バー610は、逆方向プレビュー画像624および順方向プレビュー画像628にそれぞれ付随する、逆方向カーソル622および順方向カーソル626を含む。特に、逆方向プレビュー画像624は、逆方向カーソル622の位置に対応し、順方向プレビュー画像628は、順方向カーソル626の位置に対応してもよい。いくつかの実施形態では、ユーザは、特殊再生クライアントに、複数の逆方向および順方向カーソルならびに付随するプレビュー画像を表示させてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、逆方向および順方向カーソルは、特殊再生クライアントが現在キャッシュしている、逆方向および順方向ストリームのフレームに対応してもよい。別様に、逆方向および順方向カーソルは、ユーザの特殊再生要求(例えば、プレビュー画像624または628の巻き戻しまたは早送り)に対応してもよい。特殊再生クライアントは、プレビュー画像624および628の一方または両方を自動的に表示してもよく、あるいはユーザは、プレビュー画像の表示を要求してもよい。ユーザが再生を所望するプレビュー画像624または628内の映像の一部をユーザが識別している場合、ユーザは、フル画面でプレビュー画像表示し、選択されたプレビュー画像の再生部分の映像を再生してもよい。」

「【0064】
ステップ1120では、特殊再生クライアントは、ユーザが、映像の再生を所望する映像フレームを識別する。例えば、ユーザが、逆方向バッファから映像を巻き戻している際に、「再生」キーを選択する場合、特殊再生クライアントは、ユーザが「再生」キーを選択した時間に表示された映像フレームを識別してもよい。」

「【図6】



願書に添付した明細書の段落【0042】、【0043】、【0064】の記載、図6によると、訂正事項1-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項1-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(1-2)請求項3?4に係る訂正
ア 訂正事項2
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の請求項3を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項4は、訂正後の請求項3の記載を引用するから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項3を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載を直接的に引用する訂正前の請求項4の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項3の記載は、訂正前の請求項3との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項3の記載以外に、訂正前の請求項4の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項4に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、訂正前の請求項3との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項2は、訂正前の請求項3を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(1-3)請求項8?9に係る訂正
ア 訂正事項3
(ア)訂正の目的について
訂正事項3は、訂正前の請求項8を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項9は、訂正後の請求項8の記載を引用するから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項8を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載を直接的に引用する訂正前の請求項9の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項8の記載は、訂正前の請求項8との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載以外に、訂正前の請求項9の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項9に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3は、訂正前の請求項8との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項3は、訂正前の請求項8を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(1-4)請求項10に係る訂正
ア 訂正事項4
(ア)訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項10を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項10を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項4は、訂正前の請求項10を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(1-5)一群の請求項
訂正前の請求項1?10は訂正前の請求項1を直接的又は間接的に引用するから、訂正前の請求項1?10は一群の請求項である。
上記訂正事項1-1?訂正事項4は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(2-1)訂正事項11?12に係る訂正
ア 訂正事項5-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項5-1は、訂正前の請求項11の「前記逆方向ストリーム」を限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項5-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項12は、訂正後の請求項11の記載を引用することにより、訂正後の請求項12に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項5-1は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項5-1は、訂正前の請求項1の記載を直接的に引用する訂正前の請求項12の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項11の記載は、訂正前の請求項11との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項5-1は、訂正前の請求項1の記載以外に、訂正前の請求項12の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項12に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5-1は、訂正前の請求項12との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0006】には、
「クライアントアプリケーション(本明細書では「特殊再生クライアント」と称される場合がある)は、ユーザ機器上に実装される。ユーザがストリームの視聴を開始すると、クライアントは、ユーザが、バッファを介して、ストリームの視聴を開始した時点に巻き戻しできるように、視聴されている映像のキャッシュを開始する。ユーザがアクセスする前に開始された(例えば、自動的に、またはユーザ要求に応じて)映像にユーザがアクセスすると同時に、またはアクセスした後に、クライアントは、サーバによってキャッシュまたは記録された映像のコピーから、サーバによって生成された逆方向ストリームをサーバから受信する。逆方向ストリームは、ユーザが最初に映像にアクセスした時点から逆方向に、完全映像(例えば、任意のフレームをスキップせずに)をストリーム配信する。逆方向ストリーム受信後いつでも、ユーザが映像にアクセスする前に伝送されたコンテンツに対応する映像内の時点に、ユーザが番組を巻き戻すことが可能なように、クライアントは、逆方向ストリームをローカルにキャッシュする。」
と記載されている(下線は当審で付与した。)。

段落【0006】の記載によると、訂正事項5-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項5-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

イ 訂正事項5-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項5-2は、訂正前の請求項11の「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする」をさらに限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項5-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項12は、訂正後の請求項11の記載を引用することにより、訂正後の請求項12に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項5-2は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項5-2は、訂正前の請求項11の記載を直接的に引用する訂正前の請求項12の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項11の記載は、訂正前の請求項11との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項5-2は、訂正前の請求項11の記載以外に、訂正前の請求項12の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項12に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5-2は、訂正前の請求項12との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0037】には、
「いくつかの実施形態では、特殊再生クライアントは、ユーザが所与の時間映像を視聴するまで、逆方向および/または順方向ストリームを要求または受信しない。記録装置118が、所与の時間の間にリアルタイムストリームをキャッシュした場合(例えば、リアルタイムバッファ内に)、特殊再生クライアントは、ユーザが映像の視聴を開始した時に、逆方向ストリームを開始し、所与の時間後、順方向ストリームを開始するように要求してもよい。次いで、図3に示されるように、逆方向バッファ322は、フレームFn-r(例えば、ユーザが映像の視聴を開始したフレーム)から開始し、順方向バッファ324は、フレームFn-f(例えば、所与の時間後の映像のフレーム)から開始し、リアルタイムバッファ326は、フレームFn-rとFn-fとの間の映像を含む。記録装置118が順方向ストリームのキャッシュを開始すると、特殊再生クライアントは、記録装置118に、リアルタイムストリームのキャッシュを停止させ、同一映像が2回キャッシュされることを回避してもよい。別様に、特殊再生クライアントは、リアルタイムバッファ内にキャッシュされた映像を削除し、サーバ130に、同一フレーム、例えば、フレームFn-rとFn-fとの間の任意のフレームから開始する逆方向および順方向ストリームを提供させてもよい。」
と記載されている(下線は当審で付与した。)。

段落【0037】の記載によると、訂正事項5-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項5-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 訂正事項5-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項5-3は、訂正前の請求項11の「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステム」をさらに限定しているものと認められる。
したがって、訂正事項5-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項12は、訂正後の請求項11の記載を引用することにより、訂正後の請求項12に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項5-3は、「非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステム」を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項5-3は、訂正前の請求項11の記載を直接的に引用する訂正前の請求項12の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項11の記載は、訂正前の請求項11との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項5-3は、訂正前の請求項11の記載以外に、訂正前の請求項12の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項12に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項5-3は、訂正前の請求項12との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0042】、【0043】、【0064】の記載、図6によると、訂正事項5-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項5-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2-2)請求項13?17に係る訂正
ア 訂正事項6-1
(ア)訂正の目的について
訂正事項6-1は、訂正前の請求項13を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項14は、訂正後の請求項13の記載を引用するから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項6-1は、訂正前の請求項13を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項6-1は、訂正前の請求項13の記載を直接的に引用する訂正前の請求項14の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項13の記載は、訂正前の請求項13との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項6-1は、訂正前の請求項13の記載以外に、訂正前の請求項14の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項14に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項6-1は、訂正前の請求項14との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項6-1は、訂正前の請求項13を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項6-1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

イ 訂正事項6-2
(ア)訂正の目的について
訂正事項6-2は、請求項15の引用する請求項を請求項13と訂正することにより、請求項15に係る発明を限定するものである。具体的には、訂正前の請求項15(訂正前の請求項11+15)を訂正後の請求項15(訂正前の請求項11+13+15)とする訂正である。
したがって、訂正事項6-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項6-2は、請求項15に係る発明をを限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0042】、【0043】の記載、図6によると、訂正事項6-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項6-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 訂正事項6-3
(ア)訂正の目的について
訂正事項6-3は、請求項16の引用する請求項を請求項13と訂正することにより、請求項16に係る発明を限定するものである。具体的には、訂正前の請求項16(訂正前の請求項11+16)を訂正後の請求項16(訂正前の請求項11+13+16)とする訂正である。
したがって、訂正事項6-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項17は、訂正後の請求項16の記載を引用することにより、訂正後の請求項16に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項6-3は、請求項16に係る発明を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項6-3は、訂正前の請求項16の記載を直接的に引用する訂正前の請求項17の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項16の記載は、訂正前の請求項16との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項6-3は、訂正前の請求項16の記載以外に、訂正前の請求項17の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項17に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項6-3は、訂正前の請求項17との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
願書に添付した明細書の段落【0042】、【0043】の記載、図6によると、訂正事項6-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
したがって、訂正事項6-3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2-3)請求項18?19に係る訂正
ア 訂正事項7
(ア)訂正の目的について
訂正事項7は、訂正前の請求項18を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
同様に、訂正後の請求項19は、訂正後の請求項18の記載を引用するから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項7は、訂正前の請求項18を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。
訂正事項7は、訂正前の請求項18の記載を直接的に引用する訂正前の請求項19の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記のとおり、訂正後の請求項18の記載は、訂正前の請求項18との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項7は、訂正前の請求項18の記載以外に、訂正前の請求項19の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項19に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項7は、訂正前の請求項19との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項7は、訂正前の請求項18を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2-4)請求項20に係る訂正
ア 訂正事項8
(ア)訂正の目的について
訂正事項8は、訂正前の請求項20を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。

(イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記(ア)のとおり、訂正事項8は、訂正前の請求項20を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。

(ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
上記(ア)のとおり、訂正事項8は、訂正前の請求項20を他の請求項の記載を引用しないものとする訂正であるから、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

(2-5)一群の請求項
訂正前の請求項11?20は訂正前の請求項11を直接的又は間接的に引用するから、訂正前の請求項11?20は一群の請求項である。
上記訂正事項2-1?訂正事項8は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。

(3)異議申立人の主張について
異議申立人は、令和元年5月22日付け意見書において、下記の点は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてしたものでない旨主張している。
ア 「前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすること」
イ 「前記方法は、
ユーザの巻き戻し要求を受信することと、
前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示することと、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生することと
をさらに含む」

しかしながら、上記アについては、上記2(1-1)イ(ウ)、上記イについては、上記2(1-1)ウ(ウ)のとおりであり、異議申立人の主張は採用できない。

(4)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項1?20について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?20(以下「本件特許発明1」?「本件特許発明20」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?20に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
ただし、(1A)?(20I)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件1A」?「構成要件20I」という。

(本件特許発明1)
(1A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(1B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(1C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(1D)前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(1E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(1F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(1G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(1H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(1A)前記方法は、
(1I)ユーザの巻き戻し要求を受信することと、
(1J)前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示することと、
(1K)前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生することと
(1A)をさらに含む、方法。

(本件特許発明2)
(2A)前記逆方向インジケータよりも早い前記映像の内容は、アクセス不可能である、
(2B)請求項1に記載の方法。

(本件特許発明3)
(3A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(3B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(3C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(3D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(3E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(3F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(3G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(3H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(3I)前記方法は、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示すること
(3A)をさらに含む、方法。

(本件特許発明4)
(4A)前記逆方向プレビュー画像のユーザ選択を受信することと、
(4B)前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された逆方向プレビュー画像に対応する前記逆方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生することと
(4C)をさらに含む、請求項3に記載の方法。

(本件特許発明5)
(5A)前記転送制御バーは、ユーザに対して現在の再生位置を示す現在のインジケータをさらに含む、
(5B)請求項1に記載の方法。

(本件特許発明6)
(6A)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
(6B)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
(6C)をさらに含む、請求項1に記載の方法。

(本件特許発明7)
(7A)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(7B)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(7C)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(7D)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示す、
(7E)請求項6に記載の方法。

(本件特許発明8)
(8A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(8B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(8C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(8D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(8E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(8F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(8G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(8H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(8A)前記方法は、
(8I)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
(8J)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
(8K)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(8L)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(8M)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(8N)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
(8O)前記方法は、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示すること
(8A)をさらに含む、方法。

(本件特許発明9)
(9A)前記順方向プレビュー画像のユーザ選択を受信することと、
(9B)前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された順方向プレビュー画像に対応する前記順方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生することと
(9C)をさらに含む、請求項8に記載の方法。

(本件特許発明10)
(10A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(10B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(10C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(10D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(10E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(10F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(10G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(10H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(10I)前記方法は、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示すること
(10A)をさらに含む、方法。

(本件特許発明11)
(11A)非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
(11B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
(11C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
(11D)前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
(11E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
(11F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(11G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(11H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(11A)前記システムは、
(11I)ユーザの巻き戻し要求を受信する手段と、
(11J)前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示する手段と、
(11K)前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生する手段と
(11A)をさらに含む、システム。

(本件特許発明12)
(12A)前記逆方向インジケータよりも早い前記映像の内容は、アクセス不可能である、
(12B)請求項11に記載のシステム。

(本件特許発明13)
(13A)非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
(13B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
(13C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
(13D)逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
(13E)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(13F)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(13G)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(13H)前記システムは、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する手段
(13A)をさらに含む、システム。

(本件特許発明14)
(14A)前記逆方向プレビュー画像のユーザ選択を受信する手段と、
(14B)前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された逆方向プレビュー画像に対応する前記逆方向インジケータの前記現在の位憤から前記映像を再生する手段と
(14C)をさらに含む、請求項13に記載のシステム。

(本件特許発明15)
(15A)前記転送制御バーは、ユーザに対して現在の再生位置を示す現在のインジケータをさらに含む、
(15B)請求項13に記載のシステム。

(本件特許発明16)
(16A)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信する手段であって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、手段と、
(16B)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュする手段と
(16C)をさらに含む、請求項13に記載のシステム。

(本件特許発明17)
(17A)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(17B)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(17C)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(17D)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示す、
(17E)請求項16に記載のシステム。

(本件特許発明18)
(18A)非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
(18B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
(18C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
(18D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
(18E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
(18F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(18G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(18H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(18A)前記システムは、
(18I)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信する手段であって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、手段と、
(18J)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュする手段と
をさらに含み、
(18K)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(18L)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(18M)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(18N)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
(18O)前記システムは、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、
(18A)システム。

(本件特許発明19)
(19A)前記順方向プレビュー画像のユーザ選択を受信する手段と、
(19B)前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された順方向プレビュー画像に対応する前記順方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生する手段と
(19C)をさらに含む、請求項18に記載のシステム。

(本件特許発明20)
(20A)非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
(20B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
(20C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
(20D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
(20E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
(20F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(20G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(20H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(20I)前記システムは、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する手段をさらに含む、
(20A)システム。

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1、2、5?7、11、12、15?17に係る特許に対して平成30年12月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。

本件特許の請求項1、2、5?7、11、12、15?17に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


甲第1号証:米国特許出願公開第2003/0208763号明細書
甲第2号証:米国特許第6847778号明細書

3 甲各号証の記載事項及び甲各号証に記載された発明
(1)甲第1号証
ア 甲第1号証の記載事項
(ア)「FIG. 1 illustrates broadband communications system 100 embodying the principles of the invention for providing interactive programming and services to users, including program reservation, season pass reservation and out-of-market programming, program-specific subscription services and access to interactive program guides. For example, system 100 in this instance includes a cable system for delivering, in accordance with the invention, information and entertainment programs to set-top terminals on the user premises. As shown in FIG. 1, system 100 includes headend 105, hub 120, hybrid fiber coax (HFC) cable network 140 and different service area nodes including node 150, which in this instance is connected to set-top terminals 158-1 through 158-L in a neighborhood, where L represents an integer. 」(段落0053)
[訳:図1は、番組予約、シーズンパス予約、市場外のプログラミング、番組の特定の加入サービス及び双方向番組ガイドのアクセスを含む、インタラクティブ・プログラミングおよびサービスをユーザに提供するための本発明の原理を具体化した広帯域通信システム100を示している。たとえば、この例では、システム100は、本発明によれば、ユーザ宅内におけるセットトップターミナルに情報及びエンターテイメント・プログラムを配送するためのケーブルシステムを含む。図1に示すように、システム100は、ヘッドエンド105、ハブ120は、ハイブリッドファイバ同軸(HFC)ケーブルネットワーク140、異なるサービスエリアノードを含むノード150を含む。この例において、ノード150は、近傍に位置するセットトップ端末158-1から158-Lに接続され、ここでLは整数である。」

(イ)「Processor 109 may also create in real time trick files associated with program 201 as part of the asset which are used to perform PVR-like functions (e.g., rewinding and fast-forwarding) on program 201 in accordance with the invention. One such trick file in this instance is a "fastforward" trick file which contains an array of identifiers of I-frames in the program stream (MPEG-2 encoded as mentioned before) corresponding to program 201 in a forward direction. Another trick file is a "rewind" trick file which contains an array of identifiers of I-frames in the program stream corresponding to program 201 in the reverse direction. The I-frame identifiers in the trick files are used as indices or markers for rewinding and fast-forwarding of program 201. It should be noted that not all of the I-frames associated with program 201 are selected for the trick files. Rather, the I-frames are selected periodically along the program stream. Thus, the shorter the period is, the closer the instants from which program 201 can be rewound, and to which program 201 can be fast-forwarded, thereby achieving finer adjustments. 」(段落0061)
[訳:プロセッサ109はまた、本発明によるプログラム201にPVR機能(例えば、巻戻し、早送り)を実行するために使用される資産の一部としてプログラム201に関連づけられたリアルタイムのトリックファイルに作成することができる。この例の1つのこのようなトリックファイルは、「早送り」トリックファイルである。この「早送り」トリックファイルは、順方向のプログラム201に関連しているプログラムストリーム(前述のようにMPEG-2エンコードされた)Iフレームの識別子のアレイからなる。他のトリックファイルは、「巻戻し」トリックファイルである。この「巻戻し」トリックファイルは、逆方向のプログラム201に関連したプログラムストリームのIフレームの識別子のアレイからなる。トリックファイルのIフレーム識別子は、プログラム201の巻戻し及び早送りのためのインデックス又はマーカーとして使用される。トリックファイルのために、プログラム201に関連したすべてではないIフレームが選択されることに留意すべきである。むしろ、Iフレームは、プログラムストリームに沿って周期的に選択される。このように、期間が短くなればなるほど、プログラム201が巻戻しから早送りまでの時間が近くなり、それ故、より細かい調整を行うことができる。]

(ウ)「While viewing a program, the user may issue a rewind command, e.g., by pressing a rewind key on the remote control, to rewind the program. In that case, terminal 158-1 issues a rewind message to processor 119 identified by its IP address. This rewind message includes a rewind initiation command, the last I-frame identifier registered by terminal 158-1, and the IP address (and/or MAC address) identifying terminal 158-l. After receiving such a rewind message, processor 119 reads the received rewind message, as indicated at step 703 in FIG. 7. Processor 119 at step 706 retrieves the record associated with set-top terminal 158-1 identified by the received IP address (and/or MAC address). Knowing from the record the identity of the program being transmitted, processor 119 at step 709 retrieves from the aforementioned asset storage the rewind trick file associated with the program. Based on the last I-frame information in the received message, processor 119 at step 712 identifies the I-frame in the rewind trick file which either matches or is the closest to that last I-frame. Processor 119 at step 715 reads the array of identifiers of the I-frames in the rewind trick file starting from that of the identified I-frame. Processor 119 at step 718 causes the program material, corresponding to the I-frame identifiers as read, to be retrieved from cache manager 111, and to be transmitted in the transport stream to terminal 158-1, thereby achieving the desired rewind effect.」(段落0076)
[訳:番組を見ている間、ユーザは番組を巻き戻すために、例えばリモートコントロールの巻戻しキーを押すことによって、巻戻しコマンドを発することもある。その場合、ターミナル158-1は、そのIPアドレスによって特定されるプロセッサ119へ巻戻しメッセージを発する。この巻戻しメッセージは、巻戻し開始コマンド、ターミナル158-1により記録された最新のIフレームの識別子、及びターミナル158-1を特定するIPアドレス(及び/又はMACアドレス)を含む。そのような巻戻しメッセージの受信後、プロセッサ119は、図7のステップ703で示したように、受信した巻戻しメッセージを読み込む。ステップ706で、プロセッサ119は、受信したIPアドレス(及び/又はMACアドレス)により特定されるセットトップ・ターミナル158-1に関連した記録を取り出す。送信されている番組の識別を記録から知ることによって、ステップ709で、プロセッサ119は、前述のアセットストレージからその番組に関連した巻戻しトリックファイルを取り出す。受信したメッセージの中の最新のIフレームの情報に基づいて、ステップ712で、プロセッサ119は、最新のIフレームに合致する又は最も近い巻戻しトリックファイルの中のIフレームを特定する。ステップ715で、プロセッサ119は、特定されたIフレームから開始する巻戻しトリックファイルのIフレームの識別子のアレイを読み出す。ステップ718で、プロセッサ119は、読み出したIフレームの識別子に対応する番組をキャッシュマネージャ111から取り出し、そしてターミナル158-1ヘトランスポートストリームで送信するように作用し、それによって所望の巻戻し効果は達成される。]

(エ)「When the user issues a command to stop rewinding the program, e.g., by toggling the rewind key on the remote control, terminal 158-1 sends a rewind termination message to processor 119. This message includes a rewind termination command, and the IP address (and/or MAC address) of terminal 158-1. In response to the rewind termination command, processor 119 stops reading the rewind trick file associated with the program. Processor 119 learns from the record associated with terminal 158-1 the last I-frame identifier read from the rewind trick file. Processor 119 causes retrieval of the program material at the normal forward speed from cache manager 111 starting from the I-frame identified by the last read identifier, and transmission of the retrieved program material to terminal 158-1. As a result, terminal 158-1 resumes receiving the program material at the normal forward speed in the same transport stream. 」
[訳:ユーザは、例えば、リモコン上の巻戻しキーをトグルすることによってプログラムの巻き戻しを停止させるコマンドを発行すると、端末158-1は巻戻し終了メッセージをプロセッサ119に送信する。このメッセージは、巻戻し終了コマンド、および端子158-1のIPアドレス(及び/又はMACアドレス)が含まれている。巻戻し終了コマンドに応答して、プロセッサ119は、番組と関連する巻き戻しトリックファイルの読み出しを停止する。プロセッサ119は、巻き戻しトリックファイルから読み出された最後のIフレームの識別子を端末158-1に関連したレコードから学習する。プロセッサ119は、最後に読み出された識別子により識別されたIフレームから始まるキャッシュ・マネージャ111からの通常の前進速度での番組素材を検索させ、端末158-1に検索されたプログラム素材の送信する。その結果、端子158-1は同一トランスポートストリーム内で通常の前進速度での番組素材の受信を再開する。]

なお、上記(ア)?(ウ)の訳は申立人により(申立書20頁1?25行)、上記(エ)の訳は当審による。下線は当審で付与した。

イ 甲第1号証に記載された発明
上記アによると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。

(甲1発明)
(1a)広帯域通信システムにおける双方向番組ガイドにおいて、PVR機能(巻戻し、早送り)を実行する方法であって、
(1b)ターミナル158-1は、ユーザがTV番組ストリームを見ている間にリモートコントロールが巻戻しコマンドを発する場合、巻戻しコマンド、ターミナル158-1により記録された最新のIフレームの識別子及びターミナル158-1を特定するIPアドレスを含む巻戻しメッセージを発し、
(1c)プロセッサ119は、前記巻戻しメッセージを受信した後、アセットストレージから前記TV番組ストリームに関連した巻戻しトリックファイルを取り出し、最新のIフレームに合致する又は最も近い巻戻しトリックファイルの中のIフレームを特定し、特定されたIフレームから開始する巻戻しトリックファイルのIフレームの識別子のアレイを読み出し、読み出したIフレームの識別子に対応する番組をキャッシュマネージャ111から取り出し、
(1d)前記プロセッサ119は、キャッシュマネージャ111から取り出した前記TV番組ストリームを前記ターミナル158-1ヘトランスポートストリームで送信し、
(1e)前記ターミナル158-1は、前記トランスポートストリームを受信し、
(1f)前記プロセッサ119は、ユーザの巻戻し終了コマンドに応答して、巻戻しトリックファイルの読み出しを停止し、最後に読み出されたIフレームから始まるプログラム素材を送信し、
(1g)前記ターミナル158-1は通常の前進速度での番組素材の受信を再開する
(1a)方法。

((1a)?(1g)は、構成を区別するために、当審で付与した。以下各構成を「構成1a」?「構成1g」という。)

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載事項
甲第2号証には、トリックプレイバーを表示するシステム及び方法に関し、次の記載がある。

「The invention relates to the interactive display of viewer information in a computer environment. More particularly, the invention relates to interactive mode and progress indicators in a computer environment.」(1欄11?14行)
[訳:本発明は、コンピュータ環境における視聴者情報の対話型ディスプレイに関する。より詳細には、本発明は、コンピュータ環境におけるインタラクティブモードおよび進行インジケータに関するものである。]

「Referring to FIG. 1, a preferred embodiment of the invention has an Input Section 101, Media Switch 102, and an Qutput Section 103. The Input Section 101 takes television (TV) input streams in a multitude of forms, for example, National Television Standards Committee (NTSC) or PAL broadcast, and digital forms such as Digital Satellite System (DSS), Digital Broadcast Services (DBS), or Advanced Television Standards Committee (ATSC). DBS, DSS and ATSC are based on standards called Moving Pictures Experts Group 2 (MPEG2) and MPEG2 Transport .」(4欄1?10行)
[訳:図1を参照すると、本発明の好適な実施例は、入力セクション101、メディア・スイッチ102及び出力セクション103を有する。入力セクション101は、多数の方式、例えば、全米テレビジョンシステム委員会(NTSC)規格又はPAL放送で、及び、デジタル衛星システム(DSS)、デジタル放送サービス(DBS)又は高度テレビジョン・システムズ委員会(ATSC)規格のようなデジタル方式で、テレビ(TV)入力ストリームを取り込む。DBS 、DSS 及びATSC は、Moving Pictures Experts Group2(MPEG 2) 及びMPEG2 トランスポートと称される標準に基づいている。]

「With respect to FIGS. 7 and 26, as the user watches a program, a trick play bar 2601 is overlaid onto the live video. The CPU 713 uses the OSD generator to display the trick play bar 2601 and its associated components through the digital mixer 718 to the TV or monitor. The trick play bar 2601, visually informs the user of the size of the circular program cache is and, if the cache is not at capacity, how much of the cache is filled. The CPU 713 is informed by the Media Switch 701 of the frame that is being displayed and the cache status.」(18欄28?37行)
[訳:図7及び26に関して、ユーザが番組を観ているとき、トリックプレイバー2601 はライブ映像の上にオーバレイされる。 CPU713は、デジタルミキサー718を経由して、トリックプレイバー2601及び関連する構成要素を、TV又はモニターヘ表示するためにOSDジェネレータを使用する。トリックプレイバー2601は、サーキュラー番組キャッシュのサイズを視覚的に知らせ、もしキャッシュが満杯でなかったら、キャッシュがどの程度満たされているかを知らせる。CPU713は、メディアスイッチ701によって、表示されているフレームとキャッシュ状態を知らされる。]

「The current program is stored in a circular cache as described above. The green cache bar 2602 inside of the trick play bar 2601 indicates how much of the circular cache is filled. Time marks 2603, 2604 are displayed inside the trick play bar 2601 giving the user a visual reference point from which to judge the current time and how far back in time the cache has recorded.」(18欄38?44行)
[訳:現在の番組は、上述したように、サーキュラーキャッシュに蓄えられる。トリックプレイバー2601の内側のグリーンキャッシュバー2602は、サーキュラーキャッシュがどの程度満たされているかを知らせる。タイムマーク2603、2604は、トリックプレイバー2601の内側に表示され、現在の時間及び録画されている時間を判断するための視覚的参照ポイントとなる。]

「A slider 2605 moves along the trick play bar 2601 and on top of the cache bar 2602. The slider 2605 along with the position indicator 2608 are linked together and tell the user visually where his current position is within the program material. 」(18欄55?59行)
[訳:スライダー2605は、トリックプレイバー2601に沿って移動し、キャッシュバー2602の上にある。スライダー2605は、ポジションインジケータ2608と一緒に結合され、ユーザに対して番組内の現在の位置を視覚的に知らせる。]

「The cache bar 2602 expands, when the cache has not been filled, to the right as more of the program is stored in the circular cache. 」(19欄1?3行)
[訳:キャッシュバー2602は、キャッシュが満たされていないとき、番組がサーキュラーキャッシュにストアされていくに従い右へ伸びていく。]

なお、訳は申立人による(申立書27?29頁)。下線は当審で付与した。

イ 甲第2号証に記載された技術
上記アによると、甲第2号証には、次の技術(以下「甲2技術」という。)が記載されている。
なお、甲2技術の構成と、甲第2号証の記載との対応が分かるように、各構成の末尾に甲第2号証の記載の対応箇所を示した。

(甲2技術)
「入カセクション10がTV入力ストリームを取り込んでサーキュラーキャッシュにキャッシュし(4欄1?10行、18欄28?37行)、
サーキュラーキャッシュがどの程度満たされているかを知らせるキャッシュバー2602を含むトリックプレイバー2601を表示し(18欄28?37行、55?59行)、
ユーザに対して番組内の現在の位置を視覚的に知らせるポジションインジケータ2608を表示し(18欄55?59行)、
キャッシュバー2602は、キャッシュが満たされていないとき、番組がサーキュラーキャッシュにストアされていくに従い右へ伸びていき(19欄1?3行)、
ここで、キャッシュバー2602は、TV入カストリームの受信を開始した位置において始まり、その右端において終わり、キャッシュバー2602の右端は、番組の内容がサーキュラーキャッシュ内にキャッシュされるにつれて、TV入カストリームの受信を開始した位置から番組の終わりに向かって移動し、キャッシュバー2602の右端の位置は、番組の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示す(図26)
コンピュータ環境におけるインタラクティブモードおよび進行インジケータに関する技術(1欄11?14行)」

(3)甲第3号証
甲第3号証は、特許異議申立の証拠であるが、取消理由(決定の予告)に引用されているものでない。

ア 甲第3号証の記載事項
甲第3号証には、ビデオデータを提供する方法およびビデオインデックス付けのためのデバイスに関し、次の記載がある。

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオあるいは他のデータストリームの位置にアクセスし、探すことに関するものである。本発明は、より詳細には基準マーカとして役立つデータストリームの一部に対するデータストリーム内の位置を参照とすることに関するものである。さらに、本発明は、完全なあるいはより高解像であるデータストリームの参照位置に対して基準マーカを低解像データストリームから形成することに関するものである。より詳細には、本発明は、ビデオナビゲーションおよびビデオデータストリームの参照位置に対してタイムラインマーカを形成することに関するものである。」

「【0004】図2は、プレイバックされるビデオの位置を参照とするスナップショットを有する従来のビデオプレイバック機構を示している。ユーザが先へジャンプしたい場合、スナップショットは、ユーザがビデオの位置を選択できる参照のフレームを提供する。ユーザが関心を有する特定の場面を、スナップショットが示している場合、ユーザは、単にタイムライン上のプレイバックポイントスライド制御ノブをこのスナップショットに関連する位置まで移動させる。ユーザが関心を有する場面が示されない場合、ユーザは単に関連場面を使用し、所望の場面の検索を開始する位置を判断してもよい。
【0005】ビデオクリップ、映画、およびテレビ番組は、現在ウェブを含むネットワークデバイスを介してますます利用される。しばしば、このようなメディアはストリームフォーマットで利用される。ビデオが送信され始めると、ユーザが全ビデオを受信する前に、ストリームフォーマットは受信ビデオストリームを再生し始める。」

「【0024】ストリームビデオ用途では、ビデオはしばしばサーバ側でインデックス付けされ、その関連画像とともにインデックス付ポイントはクライアントに利用される。しかしながら、インターネット上で利用できるビデオコンテンツの大部分には、サーバ側のインデックスが全く存在しない。本発明はクライアント側のインデックスを迅速に形成する。このようなインデックスを形成するために、クライアントは、ビデオをプレイバックするために使用される主接続に加えて1つあるいはそれ以上のストリームビデオ接続を開く。ストリームビデオが異なる大域幅で符号化されている場合、(付加接続では)低フレーム・レートおよび小さい画像サイズのみが要求されるので、追加の一つもしくはそれ以上の付加接続にはストリームビデオの低品質バージョン(例えば、減縮されたフレーム・サイズ、減縮された解像、減縮されたカラー、グレー・スケール、ブラック・アンド・ホワイト、および、減縮されたフレーム・レート等)を使用することができる。付加接続は、将来のインデックス付ポイントを決定できるように、主プレイバックストリームの現在のプレイバック位置から十分遠く前方にある位置からビデオを受信する。過去のインデックス付ポイントは、主ビデオストリームから決定できるか、あるいは付加接続は現在のプレイバック位置より前の位置からビデオを検索するために開かれてもよい。」

「【0029】前述のように、ルックアヘッド接続310は、複数のルックアヘッドポイントおよび/または1つあるいはそれ以上のルックビハインドポイントを示す単一接続あるいは複数接続であってもよい。それとは別に、特にビデオストリーム315がビデオの始めで開始され、現在のプレイバック位置の前の全てのデータがデバイス320に既に表示されるように、ビデオがユーザによって前方にジャンプされなければ、ルックビハインドポイントは必要とされない。次に、前のデータは、もしあれば、ルックビハインドポイントを表示するために要約され、インデックス付けされ、利用される。」

「【0031】黒くされた部分420は、ビデオの現在のプレイバック位置に非常に接近してビデオ内のフレームあるいは位置のセットを示す。黒くされた部分420は、現在のビデオプレイバック位置を示すより正確なポイント425のインジケータを含む。本例では、黒くされた部分に対応するプレイバックビデオの位置/フレームは、約14:56から18:22までの時間を示す。ビデオのこの部分は、要約され、キーフレームは選択されている(ここでのキーフレームは、ビデオの位置を参照するためにスナップ画像として利用するフレームを決定するための任意の方法を使用する選択フレームと呼ばれる)。要約されたビデオの選択および選択されたキーフレームは、ビデオあるいは1つあるいはそれ以上のルックアヘッド/ルックビハインドチャネルを介して受信されたビデオデータの受信された全ビデオチャネルのいずれかから生じた。ルックアヘッド/ルックビハインドチャネルは参照だけのためのスナップ画像を発生するために使用されるので、このようなチャネルは、ビデオが再生されている間、参照するのに必要とされるスナップ画像を迅速に発生するためにこのデータ高速転送を可能にする減少されたフレーム速度、解像あるいは他の品質を有する低帯域幅チャネルであることが好ましい。しかしながら、十分な帯域幅が可能である場合、ルックアヘッド/バックデータを検索するために、全解像接続が使用されてもよい。
【0032】スナップ画像1440、1445、1450、および1460は、プレイバックされるビデオのそれぞれのタイムフレームで画像を示し、本発明の一実施形態によれば、スライドバー415の位置によって示されるように現在のプレイバック位置425に非常に接近しているフレームとだけ関連している。しかしながら、本発明の他の実施形態は、プレイバックされるビデオのより広範囲の位置からプレイバックされるビデオのキーフレームあるいは他の関連フレームあるいは部分を選択できる。(例えば、一実施形態では、キーフレームは全ビデオクリップから選択されてもよい。)しかしながら、本発明者は、(例えば、現在精査中であるビデオのポイントにあまり関連しないプレイバックされているビデオの位置を示すために限られた空間を費やす代わりに、プレイバックされるビデオの現在の位置の周辺により詳細を与えることによって、)現在のプレイバック位置に非常に接近しているものからの選択フレームがビデオクリップをナビゲートするユーザのために意味があり、役に立つ情報を提供することを発見した。」

「【0038】図6は、本発明の他の実施形態によるデバイスおよび情報の流れのブロック図である。サーバデバイス600は、ビデオデータ615を本発明のデバイスにストリームする。バッファ660は、ストリームされたビデオデータを取得し、可変速度で提供されてもよいパケット間で滑らかな遷移のためのバッファリングを行い、滑らかなデータ665のストリームをコントローラ670に提供する。ユーザ入力625はコントローラ670の入力であり、最終ビデオストリームおよび他のデータはディスプレイデバイス630に送られる。ビデオストリーム675は、受信されたビデオの過ぎ去った部分からインデックス付けされるスナップのような他のデータ、および低解像度チャネル610.1..610.nを介して受信されたフォワードルックデータを含んでいる。低解像度チャネルは、滑らかなデータ655の流れをコントローラ670に提供するように低解像チャネルにバッファリングするバッファデバイス650へ入力される。代替的に、バッファ650は、低解像度で全ビデオを記憶し、チャネル655を介してインデックス付けする際に使用するためにいつでも引き出すことができるように十分な記憶領域を備えてもよい。コントローラ670は、(流れ665、あるいはチャネル665を介して)受信されたビデオデータのインデックス付けおよびフレーム選択を実行し、このインデックスおよびキーフレーム選択処理からの選択スナップは、ディスプレイデバイス630へのデータフロー675に含まれる。ディスプレイデバイス630上のディスプレイは、主ビデオウィンドウ635、スナップ640、現在のビデオプレイバック位置を調整するスライドバー645、様々なスナップのための基準マーカを与えるタイムライン648を含む。」

「【0040】主および低解像チャネルを設定した後、任意の数の方法が現在の位置を識別し、ビデオの早送りあるいは巻き戻しチャネルのための位置を選択するために使用されてもよい。例えば、サーバ側600は、どのようなビデオが再生されているか、および、(再生されている)このビデオの位置を知り、このサーバ側は適切な低解像度ストリームを自動的にストリームし、現在のプレイバック位置(フォワードあるいはリバースのいずれか)の周辺の適切な低解像ストリームを自動的にストリームするように設定されてもよい。適切な低解像位置は、±時間量、フレーム数、データ量等によって決定されてもよく、再生されるビデオ内の範囲を示すように設定できる任意のパラメータが使用されてもよい。
【0041】代替的に、チャネル605を介してサーバ側に送られたレコードは、ビデオソースおよび主チャネルのいずれか、あるいはフォワードあるいはリバースチャネルのいずれかに対するプレイバック位置を示してもよい。サーバ600は、リクエストレコードを読み、リクエストされたビデオの一部を要求するデバイスに送るプログラムおよび/またはデバイスを保有する。リクエストレコードは、ビデオ位置更新としてサーバに再提出されてもよい。さらに、ファスト・フォワードあるいはスキップフォワードコマンド(例えば、ダブルクリックあるいは他の選択機構によってスナップの1つを選択し、ユーザがビデオのこの位置にジャンプすることを望むことを示す)のようなタイムステップリクエストの呼び出しの際に、リクエストレコードは再びサーバに再提出される。代替的に、レンジは、サーバに送られてもよく、サーバは、現在のプレイバック位置の周辺の範囲を含む低解像チャネルを介してデータを自動的に送る。」

「【要約】
【課題】 ビデオあるいは他のデータストリームの位置にアクセスし、探すことを目的とする。
【解決手段】 ジャンプすることができる位置を示すタイムラインに、多数のビデオスナップショットが表示されるシステムが提供される。サーバに対して低解像接続を開き、進行方向のビデオセグメントを受信し、これを要約して、スナップショットを選択する。スナップショットは、ユーザがタイムラインの位置を選択する参照フレームあるいはより高い解像ビデオの位置にリンクされ、表示される。後方のビデオセグメントは、低解像接続、あるいは予め再生されたビデオから同様に要約されてもよい。ビデオが進行するにつれて、新しい進行方向のビデオセグメントが受信され、新しいビデオスナップショットが、再生されるビデオに非常に接近して表示される。」

「【図4】


「【図6】



イ 甲第3号証に記載された発明
甲第3号証には、スナップショットが、ユーザがビデオの位置を選択できる参照のフレームを提供し、その選択によりユーザがビデオのこの位置にジャンプすることを可能にするものであること(段落【0004】、【0041】)、現在のプレイバック位置425の前の位置に対応するスナップショット(スナップ画像)1440を表示すること(段落【0032】、図4)、現在のプレイバック位置425の後の位置に対応するスナップショット(スナップ画像)1460を表示すること(段落【0032】、図4)、及び、ジャンプすることができる位置を示すタイムラインに複数のスナップショットを表示すること(段落【0032】、【0038】、図4、図6、要約書)が記載されている。
したがって、甲第3号証には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されている。

(甲3発明)
ジャンプすることができる位置を示すタイムラインに複数のスナップショットを表示し、前記複数のスナップショットには、現在のプレイバック位置の前の位置に対応するスナップショット及び現在のプレイバック位置の後の位置に対応するスナップショットがあり、
ユーザが前記スナップショットを選択し、当該スナップショットのビデオの位置からビデオストリームを再生する方法。

4 判断
(1)取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
a 構成要件1Aと構成1a?1eとを対比する。
甲1発明における「番組」は、構成要件1Aの「非オンデマンド映像」に相当する。
構成1a?1eによると、甲1発明は、番組を巻き戻すための方法といえる。
したがって、構成要件1Aと構成1a?1eとは、「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法」として一致する。

b 構成要件1Bと構成1bとを対比する。
構成1bは、「ユーザが番組を見ている間にリモートコントロールが巻戻しコマンドを発する」ものであり、巻戻しコマンドを発する時点において、番組にアクセスしているといえ、構成1bの「ユーザが番組を見ている」時点、すなわち、アクセスしている時点(ポイント)は、番組の開始点より後である。
したがって、構成要件1Bと構成1bとは、「映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすること」として一致する。

c 構成要件1Cと構成1b?1eとを対比する。
構成1cの「読み出したIフレームの識別子に対応する番組」は、巻戻しメッセージの最新のIフレームに合致する又は最も近いIフレームを特定し、特定されたIフレームから開始する巻戻しトリックファイルのIフレームの識別子のアレイにより特定されたものであり、構成1dの「前記番組を・・・トランスポートストリームで送信」するにおける「トランスポートストリーム」は、構成要件1Cの「逆方向ストリーム」に対応する。
構成1dの「トランスポートストリーム」は、Iフレームのストリームであり、「巻戻しコマンドを発した時点(ポイント)から前に伝送された番組の内容を含むストリーム」といえる。
したがって、構成1b?1eは、「前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信すること」として、構成要件1Cと一致する。
また、構成1dの「トランスポートストリーム」は、Iフレームのストリームであり、全てのフレームを含むものではないが、当該ストリームを見ることにより再生を開始する位置を特定するものであるから、どのような内容の映像かが分かる程度のストリームであると解され、当該ストリームは、「実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから映像の始まりに向かって前記映像を含む」といえる。しかしながら、当該ストリームはすべてのフレームを含むものでないから、「前記映像のフレームをスキップする」点で、構成1c、1dは構成要件1Cと相違する。
したがって、構成1c、1dは、「前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」として、構成要件1Cと共通し、前記逆方向ストリームが「前記映像のフレームをスキップする」点で相違する。
よって、構成要件1Cと構成1b?1eとは、「前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、こと」として共通し、前記逆方向ストリームが含む前記映像について、構成要件1Cにおいては、「前記映像のフレームをスキップすることはなく」であるのに対し、構成1b?1eにおいては、「前記映像のフレームをスキップする」点で相違する。

d 構成要件1Dについて
構成1eの「トランスポートストリーム」は、上記cのとおり、「逆方向ストリーム」に対応し、構成1dの「ターミナル158-1」が受信するするものである。
しかしながら、「前記逆方向ストリーム」が、相違する点は、上記cのとおりである。
ストリームを受信する際に、バッファ内にキャッシュすることは、技術常識であるから、甲1発明のターミナル158-1は、「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする」といえる。
さらに、構成1eは、「前記映像が伝送している間に」キャッシュするものでない点で構成要件1Dと相違する。
よって、構成要件1Dと構成1eとは、「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと」として共通し、
「前記逆方向ストリーム」が上記cと同じ相違点があり、さらに、キャッシュすることが、構成要件1Dにおいては、「前記映像が伝送している間に」するのに対し、構成1eにおいては、「前記映像が伝送している間に」するものではない点で相違する。

e 構成要件1E?1Hについて
甲1発明は、「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり」(構成要件1F)、
「前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し」(構成要件1G)、
「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」(構成要件1H)
ものではない点で本件特許発明1と相違する。

f 構成要件1Iについて
構成1cにおいて、「プロセッサ119は、前記巻戻しメッセージを受信」するから、甲1発明は、「ユーザの巻き戻し要求を受信すること」を含むといえる。

g 構成要件1Jについて
甲1発明は、構成要件1Jを含んでおらず、本件特許発明1と相違する。

h 構成要件1Kについて
構成1f、1gによると、「巻戻し終了コマンド」により「通常の前進速度での番組素材の受信を再開する」から、「巻戻し終了コマンド」は「ユーザからの再生要求」といえる。
そうすると、構成1f、1gは、「前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記映像を再生すること」として、構成要件1Kと共通する。
しかしながら、「前記映像を再生すること」が、構成要件1Kにおいては、「前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から」再生するのに対し、構成1f、1gにおいては「前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から」再生するものではない点で相違する。

i 以上によると、本件特許発明1と甲1発明との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
前記方法は、
ユーザの巻き戻し要求を受信することと、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記映像を再生することと
をさらに含む、方法。

(相違点1)
「前記逆方向ストリーム」が含む前記映像について、
本件特許発明1においては、「前記映像のフレームをスキップすることはなく」であるのに対し、
甲1発明においては、「前記映像のフレームをスキップする」点

(相違点2)
「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすること」が、
本件特許発明1においては、「前記映像が伝送されている間に」キャッシュするのに対し、甲1発明においては、「前記映像が伝送されている間に」キャッシュするものではない点

(相違点3)
本件特許発明1が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含み、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものであるのに対し、
甲1発明が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものでない点

(相違点4)
本件特許発明1は、「前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示する」のに対し、
甲1発明は、「前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示する」ものではない点

(相違点5)
「前記映像を再生すること」が、
本件特許発明1においては、「前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から」再生するのに対し、
甲1発明においては、「前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から」再生するものではない点

(イ)判断
相違点1について検討する。
甲2には、上記3(2)イのとおりの甲2技術が記載されていると認められるものの、甲2技術は、逆方向ストリームとして、映像のフレームをスキップすることがないストリームを開示するものではない。
したがって、甲1発明に甲2技術を適用しても、甲1発明において、前記逆方向ストリームが「前記映像のフレームをスキップすることなく」前記映像を含むものとすることはできない。
よって、本件特許発明1は、甲1発明、甲2技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

(ウ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明1は、甲1発明、甲2技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

イ 本件特許発明2、5?7について
本件特許発明2、5?7は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するから、上記アと同じ理由で、甲1発明、甲2技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

ウ 本件特許発明11、12について
本件特許発明11は、本件特許発明1の「方法」の発明とカテゴリーの異なる「システム」発明であるから、本件特許発明11は、上記アと同様な理由で、甲1に記載された発明、甲2技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。
本件特許発明12は、本件特許発明11を引用するから、上記と同じ理由で、甲1に記載された発明、甲2技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

エ 本件特許発明15について
本件特許発明15は、本件特許発明13を引用するものである。
本件特許発明13は、後記(2)カのとおり、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。
したがって、本件特許発明15は、本件特許発明13と同じ理由で、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

オ 本件特許発明16?17について
本件特許発明16は、本件特許発明13を引用するものである。
本件特許発明13は、後記(2)カのとおり、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。
したがって、本件特許発明16は、本件特許発明13と同じ理由で、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。
また、本件特許発明17は、本件特許発明16を引用するものであるから、本件特許発明16と同じ理由で、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

(2)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった取消理由について
ア 本件特許発明3について
(ア)本件特許発明3
本件特許発明3を再掲する。

(本件特許発明3)
(3A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(3B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(3C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(3D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(3E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(3F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(3G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(3H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(3I)前記方法は、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示すること
(3A)をさらに含む、方法。

(イ)甲第1号証に記載された発明
上記3(1)ア(ア)?(ウ)によると、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明2」が記載されていると認められる。

(甲1発明2)
(1a)広帯域通信システムにおける双方向番組ガイドにおいて、PVR機能(巻戻し、早送り)を実行する方法であって、
(1b)ターミナル158-1は、ユーザがTV番組ストリームを見ている間にリモートコントロールが巻戻しコマンドを発する場合、巻戻しコマンド、ターミナル158-1により記録された最新のIフレームの識別子及びターミナル158-1を特定するIPアドレスを含む巻戻しメッセージを発し、
(1c)プロセッサ119は、前記巻戻しメッセージを受信した後、アセットストレージから前記TV番組ストリームに関連した巻戻しトリックファイルを取り出し、最新のIフレームに合致する又は最も近い巻戻しトリックファイルの中のIフレームを特定し、特定されたIフレームから開始する巻戻しトリックファイルのIフレームの識別子のアレイを読み出し、読み出したIフレームの識別子に対応する番組をキャッシュマネージャ111から取り出し、
(1d)前記プロセッサ119は、キャッシュマネージャ111から取り出した前記TV番組ストリームを前記ターミナル158-1ヘトランスポートストリームで送信し、
(1e)前記ターミナル158-1は、前記トランスポートストリームを受信する
(1a)方法。

((1a)?(1e)は、構成を区別するために、当審で付与した。甲1発明と同じ構成には同じ記号を付与した。)

(ウ)対比
本件特許発明3と甲1発明2とを対比する。
a 構成要件3Aと構成1a?1eとを対比する。
甲1発明2における「番組」は、構成要件3Aの「非オンデマンド映像」に相当する。
構成1a?1eによると、甲1発明2は、番組を巻き戻すための方法といえる。
したがって、構成要件3Aと構成1a?1eとは、「非オンデマンド映像を巻き戻すための方法」として一致する。

b 構成要件3Bと構成1bとを対比する。
構成1bは、「ユーザが番組を見ている間にリモートコントロールが巻戻しコマンドを発する」ものであり、巻戻しコマンドを発する時点において、番組にアクセスしているといえ、構成1bの「ユーザが番組を見ている」時点、すなわち、アクセスしている時点(ポイント)は、番組の開始点より後である。
したがって、構成要件3Bと構成1bとは、「映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすること」として一致する。

c 構成要件3Cと構成1b?1eとを対比する。
構成1cの「読み出したIフレームの識別子に対応する番組」は、巻戻しメッセージの最新のIフレームに合致する又は最も近いIフレームを特定し、特定されたIフレームから開始する巻戻しトリックファイルのIフレームの識別子のアレイにより特定されたものであり、構成1dの「前記番組を・・・トランスポートストリームで送信」するにおける「トランスストリーム」は、構成要件3Cの「逆方向ストリーム」に対応する。
構成1dの「トランスストリーム」は、Iフレームのストリームであり、「巻戻しコマンドを発した時点(ポイント)から前に伝送された番組の内容を含むストリーム」といえる。
したがって、構成1b?1eは、「前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信すること」として、構成要件3Cと一致する。
また、構成1dの「トランスストリーム」は、Iフレームのストリームであり、全てのフレームを含むものではないが、当該ストリームを見ることにより再生を開始する位置を特定するものであるから、どのような内容の映像かが分かる程度のストリームであると解され、当該ストリームは、「実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから映像の始まりに向かって前記映像を含む」といえる。
したがって、構成1c、1dは、「前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む」として、構成要件3Cと一致する。
よって、構成要件3Cと構成1b?1eとは、「前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、こと」として一致する。

d 構成要件3Dについて
構成1eの「トランスポートストリーム」は、上記cのとおり、「逆方向ストリーム」であって、構成1dの「ターミナル158-1」が受信するするものである。
ストリームを受信する際に、バッファ内にキャッシュすることは、技術常識であるから、甲1発明2のターミナル158-1は、「前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする」といえる。

e 構成要件3E?3Hについて
甲1発明2は、「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり」(構成要件3F)、
「前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し」(構成要件3G)、
「前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」(構成要件3H)
ものではない点で本件特許発明3と相違する。

f 構成要件Iについて
甲1発明2は、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する」ものではない点で本件特許発明3と相違する。

g 以上によると、本件特許発明3と甲1発明2との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
を含む方法。

(相違点1)
本件特許発明3が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含み、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものであるのに対し、
甲1発明2が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものでない点

(相違点2)
本件特許発明3が、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する」ものであるのに対し、
甲2発明2が、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する」ものでない点

(エ)判断
a 相違点1について
甲1発明2と甲2技術は、ストリームをインタラクティブ早送り、巻戻しする技術である点で共通する技術分野の技術であるから、甲1発明2に甲2技術を適用することは当業者が容易に想到し得ることである。よって、甲1発明2において甲2技術を適用して、キャッシュしているTV番組ストリームのキャッシュしている状態をトリックプレイバーを用いて表示する方法とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
ここで、甲1発明2に甲2技術を適用した方法は、甲1発明2のターミナルは巻戻しメッセージによって取り出したTV番組ストリームを受信するから、「トリックプレイバー」は、巻戻しによるポジションインジケータを含む転送制御バーとなり、「キャッシュバー」は、巻戻しによるTV番組ストリームのキャッシュがどの程度満たされたかを示すキャッシュバーとなる。
甲1発明2における「トランスストリーム」は、上記(イ)cのとおり、「実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから映像の始まりに向かって前記映像を含む」といえるから、キャッシュしている状態を示すキャッシュバーは、「前記第1のアクセスポイントにおいて始ま」るものであり、キャッシュバーの終わりは、「逆方向インジケータ」といえる。また、キャッシュしている状態を示すキャッシュバーは、「前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動」するといえる。
さらに、キャッシュバーの終わり、すなわち、逆インジケータの位置は、甲1発明2における「トランスストリーム」が、上記(ウ)cのとおり、「実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから映像の始まりに向かって前記映像を含む」といえるから、「前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものといえる。
したがって、甲1発明2に甲2技術を適用して、相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b 相違点2について
上記aのとおり、相違点1については、甲1発明2及び甲2技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるが、本件特許発明3は、当該容易想到の構成にさらに、「前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する」技術を適用することが必要であり、このように複数の段階を乗り越えるには、格別な創作能力が必要であり、当業者にとって容易とはいえない。
したがって、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

(オ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

イ 本件特許発明4について
本件特許発明4は、本件特許発明3を引用するから、上記アと同じ理由で、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

ウ 本件特許発明8について
(ア)本件特許発明8
本件特許発明8を再掲する。

(本件特許発明8)
(8A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(8B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(8C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(8D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(8E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(8F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(8G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(8H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(8A)前記方法は、
(8I)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
(8J)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
(8K)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(8L)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(8M)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(8N)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
(8O)前記方法は、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示すること
(8A)をさらに含む、方法。

(イ)甲1発明2
甲1発明2は、上記ア(イ)のとおりである。

(ウ)対比
本件特許発明8と甲1発明2とを対比する。
a 構成要件8A?8Hについて
本件特許発明8の構成要件8A?8Hは、本件特許発明3の構成要件3A?3Hと同じであるから、上記ア(ウ)a?eを援用する。

b 構成要件8I?8Nについて
甲1発明2は、
「(8I)まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
(8J)前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
(8K)前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
(8L)前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
(8M)前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
(8N)前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示」すものではなく、本件特許発明8と相違する。

c 構成要件8Oについて
甲1発明2は、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する」ものではなく、本件特許発明8と相違する。

d 以上によると、本件特許発明8と甲1発明2との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
を含む方法。

(相違点1)
本件特許発明8が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含み、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものであるのに対し、
甲1発明2が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものでない点

(相違点2)
本件特許発明8が、
「まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示」すものであるのに対し、
甲1発明2が、そのように構成されていない点

(相違点3)
本件特許発明8が、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する」ものであるのに対し、
甲1発明2が、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する」ものでない点

(エ)判断
a 相違点1について
相違点1は、本件特許発明3と甲1発明2との相違点1と同じであるから、上記ア(エ)aのとおり、甲1発明2に甲2技術を適用して、相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b 相違点2について
甲2技術は、「順方向バー」、「順方向インジケータ」に相当する構成を有している。
したがって、甲1発明2に甲2技術を適用して、相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

c 相違点3について
上記a、bのとおり、相違点1、2については、甲1発明2及び甲2技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるが、本件特許発明8は、当該容易想到の構成にさらに、「前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する」技術を適用することが必要であり、このように複数の段階を乗り越えるには、格別な創作能力が必要であり、当業者にとって容易とはいえない。
したがって、本件特許発明8は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

(オ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明8は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

エ 本件特許発明9について
本件特許発明9は、本件特許発明8を引用するから、上記ウと同じ理由で、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

オ 本件特許発明10について
(ア)本件特許発明10
本件特許発明10を再掲する。

(本件特許発明10)
(10A)非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
(10B)映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
(10C)前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
(10D)前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
(10E)逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
(10F)前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
(10G)前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
(10H)前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
(10I)前記方法は、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示すること
(10A)をさらに含む、方法。

(イ)甲1発明2
甲1発明2は、上記ア(イ)のとおりである。

(ウ)対比
本件特許発明10と甲1発明2とを対比する。
a 構成要件10A?10Hについて
本件特許発明10の構成要件10A?10Hは、本件特許発明の構成要件3A?3Hと同じであるから、上記ア(ウ)a?eを援用する。

b 構成要件10Iについて
甲1発明2は、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する」ものではなく、本件特許発明10と相違する。

d 以上によると、本件特許発明10と甲1発明2との一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
を含む方法。

(相違点1)
本件特許発明10が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含み、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものであるのに対し、
甲1発明2が、
「逆方向バーを含む転送制御バーを表示する」構成を含まず、
「前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示す」ものでない点

(相違点2)
本件特許発明10が、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する」ものであるのに対し、
甲1発明2が、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する」ものでない点

(エ)判断
a 相違点1について
相違点1は、本件特許発明3と甲1発明2との相違点1と同じであるから、上記ア(エ)aのとおり、甲1発明2に甲2技術を適用して、相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

b 相違点2について
上記aのとおり、相違点1については、甲1発明2及び甲2技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであるが、本件特許発明10は、当該容易想到の構成にさらに、「複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する」技術を適用することが必要であり、このように複数の段階を乗り越えるには、格別な創作能力が必要であり、当業者にとって容易とはいえない。
したがって、本件特許発明10は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

(オ)まとめ
以上のとおり、本件特許発明10は、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

カ 本件特許発明13、14、18?20について
本件特許発明13、14、18?20は、本件特許発明3、4、8?10のカテゴリーの異なる発明であるから、本件特許発明3、4、8?10と同様に、甲第1号証に記載された発明、甲第2号証に記載された技術、甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとは認められない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1?20に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項1?20に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、
ユーザの巻き戻し要求を受信することと、
前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示することと、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生することと
をさらに含む、方法。
【請求項2】
前記逆方向インジケータよりも早い前記映像の内容は、アクセス不可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、方法。
【請求項4】
前記逆方向プレビュー画像のユーザ選択を受信することと、
前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された逆方向プレビュー画像に対応する前記逆方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生することと
をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記転送制御バーは、ユーザに対して現在の再生位置を示す現在のインジケータをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示す、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信することであって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、ことと、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュすることと
をさらに含み、
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
前記方法は、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示することをさらに含む、方法。
【請求項9】
前記順方向プレビュー画像のユーザ選択を受信することと、
前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された順方向プレビュー画像に対応する前記順方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生することと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
非オンデマンド映像を巻き戻すための方法であって、前記方法は、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスすることと、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信することであって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、ことと、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュすることと、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示することと
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記方法は、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示することをさらに含む、方法。
【請求項11】
非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、前記映像のフレームをスキップすることなく実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記映像が伝送されている間に前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、
ユーザの巻き戻し要求を受信する手段と、
前記巻き戻し要求に応答して、前記転送制御バーに沿って逆方向に移動する逆方向カーソルを表示する手段と、
前記巻き戻し要求に続いて、前記ユーザから再生要求を受信したことに応答して、前記逆方向バッファ内にキャッシュされた前記逆方向ストリームを用いて、前記逆方向カーソルの現在の位置から前記映像を再生する手段と
をさらに含む、システム。
【請求項12】
前記逆方向インジケータよりも早い前記映像の内容は、アクセス不可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、前記逆方向インジケータの現在の位置に対応する逆方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、システム。
【請求項14】
前記逆方向プレビュー画像のユーザ選択を受信する手段と、
前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された逆方向プレビュー画像に対応する前記逆方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生する手段と
をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記転送制御バーは、ユーザに対して現在の再生位置を示す現在のインジケータをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信する手段であって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、手段と、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュする手段と
をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示す、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、
まだ伝送されていない前記映像の内容を含む順方向ストリームを受信する手段であって、前記順方向ストリームは、前記映像が最初にアクセスされた時間の後から前記映像の終わりに向かって順方向に前記映像をストリームし、前記順方向ストリームは、リアルタイムよりも速く伝送される、手段と、
前記順方向ストリームの内容を順方向バッファ内にキャッシュする手段と
をさらに含み、
前記転送制御バーは、順方向バーをさらに含み、
前記順方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、順方向インジケータにおいて終わり、
前記順方向インジケータは、前記順方向ストリームの内容が前記順方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の終わりに向かって順方向に移動し、
前記順方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も遅いポイントを示し、
前記システムは、前記順方向インジケータの現在の位置に対応する順方向プレビュー画像を表示する手段をさらに含む、システム。
【請求項19】
前記順方向プレビュー画像のユーザ選択を受信する手段と、
前記ユーザ選択を受信したことに応答して、前記選択された順方向プレビュー画像に対応する前記順方向インジケータの前記現在の位置から前記映像を再生する手段と
をさらに含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
非オンデマンド映像を巻き戻すためのシステムであって、前記システムは、
映像伝送の開始点よりも後の第1のアクセスポイントにおいて前記映像にアクセスする手段と、
前記第1のアクセスポイントよりも前に伝送された前記映像の内容を含む逆方向ストリームを受信する手段であって、前記逆方向ストリームは、実質的に連続する逆の順番で第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって前記映像を含む、手段と、
前記逆方向ストリームの内容を逆方向バッファ内にキャッシュする手段と、
逆方向バーを含む転送制御バーを表示する手段と
を含み、
前記逆方向バーは、前記第1のアクセスポイントにおいて始まり、逆方向インジケータにおいて終わり、
前記逆方向インジケータは、前記逆方向ストリームの内容が前記逆方向バッファ内にキャッシュされるにつれて、前記第1のアクセスポイントから前記映像の始まりに向かって逆方向に移動し、
前記逆方向インジケータの位置は、前記映像の内容がアクセス可能な最も早いポイントを示し、
前記システムは、複数の逆方向インジケータと、前記複数の逆方向インジケータのうちの個々のいくつかに関連付けられた複数の逆方向プレビュー画像とを表示する手段をさらに含む、システム。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-06-14 
出願番号 特願2015-151500(P2015-151500)
審決分類 P 1 651・ 857- YAA (H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N)
P 1 651・ 851- YAA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 古川 哲也  
特許庁審判長 鳥居 稔
特許庁審判官 小池 正彦
渡辺 努
登録日 2017-11-17 
登録番号 特許第6243876号(P6243876)
権利者 ロヴィ ガイズ, インコーポレイテッド
発明の名称 向上された特殊再生機能のためのシステムおよび方法  
代理人 石川 大輔  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 健策  
代理人 飯田 貴敏  
代理人 森下 夏樹  
代理人 山本 健策  
代理人 石川 大輔  
代理人 山本 秀策  
代理人 山本 秀策  

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