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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
管理番号 1354079
異議申立番号 異議2018-700382  
総通号数 237 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-05-08 
確定日 2019-07-05 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6227894号発明「スロットマシン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6227894号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1について訂正することを認める。 特許第6227894号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許第6227894号は、平成25年5月22日になされた特許出願(特願2013-107698号)であって、平成29年10月20日に特許権の設定登録がなされ、同年11月8日に特許掲載公報が発行され、その後、平成30年5月8日付けで、その請求項1に係る特許に対し、特許異議申立人日本電動式遊技機特許株式会社(以下「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年8月23日付け(発送:同年同月28日)で取消理由が通知され、その指定期間内である同年10月26日付けで意見書及び訂正請求書が提出され、平成31年1月21日付け(発送:同年同月25日)で再度取消理由が通知され、その指定期間内である同年3月22日付けで意見書及び訂正請求書が提出されたものである。
なお、平成30年11月16日付け、及び、平成31年4月22日付けで異議申立人に、特許法第120条の5第5項の規定に基づく訂正の請求があった旨の通知を行い意見を求めたが、いずれに対してもその指定期間内に応答はなかった。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
平成31年3月22日になされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、次の(1)ないし(8)のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示すために当審が付した。)。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、」と記載されているのを、
「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」と記載されているのを、
「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」に訂正する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1において、
「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、」と記載されているのを、
「表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項1において、
「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、」と記載されているのを、
「導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段と、」と記載されているのを、
「前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき所定制御を実行する所定制御実行手段と、」と記載されているのを、
「遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、」に訂正する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項1において、
「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれない、スロットマシン。」と記載されているのを、
「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、
前記スロットマシンは、さらに、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、スロットマシン。」に訂正する。

(8)訂正事項8
願書に添付した明細書の段落【0008】において、
「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段と、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき所定制御を実行する所定制御実行手段と、
演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、
前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられており、
前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれない。
上記スロットマシンは、以下のように構成されてもよい。
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、当該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
ゲームの制御を行う遊技制御手段(たとえば、メイン制御部41)と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報(たとえば、コマンド)に基づいて演出の制御を行う演出制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記可変表示装置に表示結果を導出させる際に操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8R)とを備え、
前記遊技制御手段と前記演出制御手段とは、前記遊技制御手段から前記演出制御手段への一方向通信のみ可能に接続されており(たとえば、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、一方向のみにしか信号が通過できないように構成されている)、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)と、
前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を前記可変表示装置に導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール回転処理)と、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果(たとえば、押し順リプなどの判定用役に当選)となったときに、当該特定決定結果となった旨を判別可能な特定制御情報(たとえば、判定用役当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特定制御情報送信手段(たとえば、図12の判定用役当選コマンド生成、格納処理)と、
前記導出操作手段の操作態様に応じて、所定制御(たとえば、ATフリーズ実行可能制御)を実行する所定制御実行手段(たとえば、所定制御実行処理)とを含み、
前記演出制御手段は、
演出制御状態(たとえば、AT状態)に制御する演出制御状態制御手段(たとえば、AT状態へ制御する処理)と、
前記特定制御情報を受信したときに、前記演出制御状態に対応する前記導出操作手段の操作態様を判別可能な報知情報(たとえば、判定用ナビ演出による押し順報知)を報知する報知手段(たとえば、図30の判定用ナビ演出処理)とを含み、
前記所定制御実行手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるゲームにおいて、前記報知情報から判別可能な操作態様で前記導出操作手段が操作されたことに基づき前記所定制御を実行し、(たとえば、図27に示すように、AT状態に制御された後に判定用役に対する押し順正解が3回となったときにATフリーズ実行可能制御が実行される)、
前記所定制御が実行されているときに、当該所定制御が実行されていないときよりも遊技者にとって有利な有利制御(たとえば、図21のATフリーズ実行ありのときのナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選)を実行する有利制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに備え、
前記演出制御手段は、前記演出制御状態に制御された後、前記所定制御が実行されるまでの期間(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外)において、遊技者にとって有利な特殊制御(たとえば、図20のナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選)を実行する特殊制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに含む。」と記載されているのを、
「(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、
演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、
前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられており、
前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、
前記スロットマシンは、さらに、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する。
上記スロットマシンは、以下のように構成されてもよい。
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、当該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
ゲームの制御を行う遊技制御手段(たとえば、メイン制御部41)と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報(たとえば、コマンド)に基づいて演出の制御を行う演出制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記可変表示装置に表示結果を導出させる際に操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8R)とを備え、
前記遊技制御手段と前記演出制御手段とは、前記遊技制御手段から前記演出制御手段への一方向通信のみ可能に接続されており(たとえば、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、一方向のみにしか信号が通過できないように構成されている)、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)と、
前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を前記可変表示装置に導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール回転処理)と、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果(たとえば、押し順リプなどの判定用役に当選)となったときに、当該特定決定結果となった旨を判別可能な特定制御情報(たとえば、判定用役当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特定制御情報送信手段(たとえば、図12の判定用役当選コマンド生成、格納処理)と、
前記導出操作手段の操作態様に応じて、所定制御(たとえば、ATフリーズ実行可能制御)を実行する所定制御実行手段(たとえば、所定制御実行処理)とを含み、
前記演出制御手段は、
演出制御状態(たとえば、AT状態)に制御する演出制御状態制御手段(たとえば、AT状態へ制御する処理)と、
前記特定制御情報を受信したときに、前記演出制御状態に対応する前記導出操作手段の操作態様を判別可能な報知情報(たとえば、判定用ナビ演出による押し順報知)を報知する報知手段(たとえば、図30の判定用ナビ演出処理)とを含み、
前記所定制御実行手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるゲームにおいて、前記報知情報から判別可能な操作態様で前記導出操作手段が操作されたことに基づき前記所定制御を実行し、(たとえば、図27に示すように、AT状態に制御された後に判定用役に対する押し順正解が3回となったときにATフリーズ実行可能制御が実行される)、
前記所定制御が実行されているときに、当該所定制御が実行されていないときよりも遊技者にとって有利な有利制御(たとえば、図21のATフリーズ実行ありのときのナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選)を実行する有利制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに備え、
前記演出制御手段は、前記演出制御状態に制御された後、前記所定制御が実行されるまでの期間(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外)において、遊技者にとって有利な特殊制御(たとえば、図20のナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選)を実行する特殊制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに含む。」に訂正する。

2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無及び一群の請求項(なお、下線は当審が付した。以下同じ。)。
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1は、請求項1において、「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、」と記載されているのを、「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、」に訂正するものであり、「可変表示部」の数を限定するものであるから、当該訂正事項1に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、発明特定事項である「可変表示部」の数を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)の記載、特に段落【0034】の「本実施の形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図3に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図2に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている」との記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項1は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(2)訂正事項2
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2は、請求項1において、「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」と記載されているのを、「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、」に訂正するものであり、「入賞の発生契機」を限定するものであるから、当該訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は、発明特定事項である「入賞の発生契機」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2は、本件特許明細書等の記載、特に段落【0053】の「そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインL1上に予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役ともいう)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。」との記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(3)訂正事項3
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3は、請求項1において、「表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、」と記載されているのを、「表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、」に訂正するものであり、「導出操作手段」を限定するものであるから、当該訂正事項3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3は、発明特定事項である「導出操作手段」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項3は、本件特許明細書等の記載、特に段落【0039】の「前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施の形態ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。」との記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4は、請求項1において、「導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、」と記載されているのを、「導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、」に訂正するものであり、訂正事項2で「表示結果組合せ」と訂正したことと整合をとるために訂正するものであることから、当該訂正事項4は、特許法第120条の5第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4は、発明特定事項である「表示結果組合せ」に係り、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、訂正事項2で「表示結果組合せ」と訂正したことと整合をとるために訂正するものであって、上記(2)のとおり、訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するから、当該訂正事項4も、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(5)訂正事項5
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5は、請求項1において、「前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段と、」と記載されているのを、「前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、」に訂正するものであり、訂正事項2で「表示結果組合せ」と訂正したこと、及び、訂正事項3で「複数の導出操作手段」と訂正したことと整合をとるために訂正するものであることから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5は、発明特定事項である「表示結果組合せ」に及び「複数の導出操作手段」に係り、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、訂正事項2で「表示結果組合せ」と訂正したこと、及び、訂正事項3で「複数の導出操作手段」と訂正したことと整合をとるために訂正するものであって、上記(2)及び(3)のとおり、訂正事項2及び3は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するから、当該訂正事項5も、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(6)訂正事項6
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6は、請求項1において、「前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき所定制御を実行する所定制御実行手段と、」と記載されているのを、「遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、」に訂正するものであり、「所定制御実行手段」を限定するものであるから、当該訂正事項6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6は、発明特定事項である「所定制御実行手段」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、本件特許明細書等の記載、特に段落【0356】、【0357】「ATに制御されているとき、判定用役に対して押し順正解したとき、AT信号が外部出力されたとき、ATフリーズ実行可能制御がされたとき、AT抽選役に当選したとき、ATフリーズが実行されたとき、およびナビストック抽選が実行されたときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。・・・非AT中のタイミングt1においては、AT抽選役に当選してナビストック抽選テーブルAを用いたナビストック抽選が実行されるとともに、『チャンス』の演出画像が液晶表示器51に表示される。これにより、遊技者にナビストック獲得を期待させることができる。」との記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項6は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(7)訂正事項7
訂正事項7は、請求項1において、「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれない、」と記載されているのを、
「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、」と訂正した上で(以下「訂正事項7-1」という。)、
「前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、」との発明特定事項を加え(以下「訂正事項7-2」という。)、
続けて、「前記スロットマシンは、さらに、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、」との発明特定事項を加え(以下「訂正事項7-3」という。)、
さらに続けて、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、」との発明特定事項を加えるものである(以下「訂正事項7-4」という。)。
以下、訂正事項7-1ないし訂正事項7-4について、それぞれ個別に検討する。

(7-1)
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7-1は、請求項1において、「・・・は含まれない、」と記載されているのを、「・・・は含まれず、」と訂正し、後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであることから、当該訂正事項7-1は、特許法第120条の5第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7-1は、後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7-1は、後に構成が続くことを明瞭にするために訂正するものであって、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(7-2)
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7-2は、請求項1において、「前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、」との発明特定事項を加えて「導出制御手段」を限定するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7-2は、発明特定事項である「導出制御手段」を限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項7-2に関して、本件特許明細書等には下記の記載がある。
「【0008】
・・・前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果(たとえば、押し順リプなどの判定用役に当選)となったときに、当該特定決定結果となった旨を判別可能な特定制御情報(たとえば、判定用役当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特定制御情報送信手段(たとえば、図12の判定用役当選コマンド生成、格納処理)と・・・」
「【0018】
・・・前記事前決定手段の決定結果が特別決定結果(たとえば、AT抽選役に当選)となったときに、当該特別決定結果となった旨を判別可能な特別制御情報(たとえば、AT抽選役に当選した旨の内部当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特別制御情報送信手段(たとえば、メイン制御部41によるコマンド送信処理)と」
「【0146】
次に、チェリー1?3について説明する。チェリー1?3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。チェリー1またはチェリー2に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が下段に停止する。そのため、チェリー1およびチェリー2は、下段チェリーまたは弱チェリーともいう。チェリー3に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、チェリー3は、中段チェリーまたは中チェリーともいう。ここで、図4を参照すると、チェリー1?3の構成図柄のうち黒7、黒BAR、およびスイカBは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、チェリー1?3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0147】
次に、スイカ1?8について説明する。スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、5枚のメダルが払い出される。また、スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、スイカ図柄が一直線上に揃うように表示結果が導出される。さらに、スイカ7またはスイカ8に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、スイカ7およびスイカ8は、中段チェリーまたは強チェリーともいう。ここで、図4を参照すると、スイカ1?8の構成図柄のうちスイカAは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、スイカ1?8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0148】
次に、チャンス1およびチャンス2について説明する。チャンス1およびチャンス2のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、チャンス1およびチャンス2の構成図柄のうち白BARは、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、チャンス1またはチャンス2に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。」
「【0162】
次に、7揃いリプについて説明する。7揃いリプに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、図4を参照すると、7揃いリプの構成図柄のうち白7は、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。そのため、7揃いリプに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。」
「【0268】
本実施の形態においてサブ制御部91は、AT抽選役(本実施の形態では、弱チェリー、中チェリー、チャンス1、チャンス2、7揃いリプ、強チェリー)に当選した場合にATに制御するか否かを決定するナビストック抽選を実行する。ナビストック抽選では、ナビストック数を付与するか否かおよび付与する場合にはその個数が決定される。」
「【0444】
また、当選役示唆演出によって示唆する対象は、『特別決定結果』の一例であるAT抽選役、および『特定決定結果』の一例である押し順リプや通常リプとった判定用役に限らない。たとえば、『特別決定結果』としては、AT抽選役当選の代わりに遊技者にとって有利なボーナスと同時当選する可能性のあるスイカ役当選など、その他のチャンス役当選を用いてもよいし、1種類の役当選に限らず複数種類の役当選を用いてもよい。また、『特別決定結果』としては、押し順リプや通常リプとった判定用役当選の代わりに、その他のナビ対象役当選を用いてもよい。なお、特定決定結果となったときよりも特別決定結果となったときの方が遊技者にとって有利度が高い方が好ましい。」
(イ)上記(ア)を踏まえると、訂正事項7-2は、本件特許明細書等の記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(7-3)
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7-3は、請求項1において、「前記スロットマシンは、さらに、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、」との発明特定事項を加えて、「報知手段」に係る構成を付加するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7-3は、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合」に関する発明特定事項である「報知手段」に係る構成を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項7-3に関して、本件特許明細書等には下記の記載がある。
「【0024】
(8) 上記(1)?(6)のスロットマシンにおいて、
可変表示装置は、前記複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能であり、
前記遊技制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、前記導出操作手段の操作態様によって、前記演出制御状態を判別することが可能な演出制御状態判別手段(たとえば、図14の演出制御状態判定処理)をさらに含み、
前記所定制御実行手段は、前記演出制御状態判別手段が判別した前記演出制御状態に応じて前記所定制御を実行し、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるときに、
前記識別情報が変動表示されている前記複数の可変表示領域のうち前記特定決定結果に応じた可変表示領域に対応する前記導出操作手段が最初に操作される特定手順(たとえば、押し順リプなら中第1停止または右第1停止)によって当該導出操作手段が操作され、その後に残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段が操作されて全ての可変表示領域に表示結果が導出されたときには残りの可変表示領域に対応する当該導出操作手段の操作手順にかかわらず遊技者に対する利益が同一になる特定表示結果の組合せ(押し順リプなら通常リプの図柄組み合わせ)を導出し、
前記特定手順以外の手順(たとえば、押し順リプなら左第1停止)によって前記導出操作手段が操作され、その後に残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段が操作されて全ての可変表示領域に表示結果が導出されたときには前記特定表示結果の組合せを導出せず(たとえば、押し順リプなら通常リプの図柄組み合わせは導出しない)、
前記報知手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるときに、前記演出制御状態判別手段が前記演出制御状態を判別するまでの特定期間において前記特定手順および当該演出制御状態を判別するための残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段の操作手順を特定可能な前記報知情報(たとえば、4択の押し順)を報知するとともに当該特定期間の経過後の期間において前記特定手順を特定可能な前記報知情報のみ(たとえば、2択の押し順)を報知する。」
「【0041】
また、本実施の形態では、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する手順(押し順ともいう)には、順押し、順挟み押し、中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しが含まれる。順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。」
「【0221】
メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別0を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順である中左押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中左押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別0が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別0に対応付けられた中左押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。なお、AT信号を出力した後は新たなセットのATが開始されるまで中第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出を実行する。なお、押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときの判定用ナビ演出は、4択の押し順(中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押し)の中の1つの押し順が報知されるため、4択ナビとも称し、通常のナビ演出は、2択の押し順(中第1停止、右第1停止)の中の1つの押し順が報知されるため、2択ナビとも称する。」
「【0341】
1セット目のATにおいてメイン制御部41がATか否かを特定する特定期間では、メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出を実行する。たとえば、サブ制御部91は、押し順リプ1の当選時に停止順種別0を選択した場合、停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順(中左右)を判別可能な判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt2で示すようにその後AT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの1セット目であることを特定することが可能となる。
【0342】
ここで、ATの1セット内で、メイン制御部41がATのセット回数を特定することができた後には、再度、判定用役に対する押し順正解の判定をする必要がない。そのため、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したタイミングt2からAT1セット目が終了するタイミングt3までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。たとえば、押し順リプまたは通常リプに当選したときでも判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行することなく通常のナビ演出(2択ナビ)を実行する。より具体的には、押し順リプ1の当選時であれば、左第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出(2択ナビ)が実行され、判定用ナビ演出の4択より押し順の択数が減少する。」
(イ)上記(ア)を踏まえると、訂正事項7-3は、本件特許明細書等の記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(7-4)
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7-4は、請求項1において、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、前記決定結果示唆演出実行手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、」との発明特定事項を加えて、「報知手段」に係る構成を付加するものであるから、当該訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7-4は、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する」構成である「決定結果示唆演出」に関する発明特定事項である「決定結果示唆演出実行手段」に係る構成を付加するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
(ア)訂正事項7-4に関して、本件特許明細書等には下記の記載がある。
「【0018】
(5) 上記(1)?(4)のスロットマシンにおいて、
前記遊技制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が特別決定結果(たとえば、AT抽選役に当選)となったときに、当該特別決定結果となった旨を判別可能な特別制御情報(たとえば、AT抽選役に当選した旨の内部当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特別制御情報送信手段(たとえば、メイン制御部41によるコマンド送信処理)と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、前記導出操作手段の操作態様によって、前記演出制御状態を判別可能な演出制御状態判別手段(たとえば、図14の演出制御状態判定処理)とをさらに含み、
前記報知手段は、開始条件が成立(たとえば、AT開始)してから前記演出制御状態判別手段が前記演出制御状態を判別可能となるまでの期間(たとえば、ATが終了するまでの期間、メイン制御部41が演出制御状態を特定するまでの期間)において、前記報知情報を報知し、
前記演出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果と前記特別決定結果とを含む複数種類の決定結果のうちいずれかとなった旨を示唆する決定結果示唆演出(たとえば、当選役示唆演出)を、所定の決定結果示唆条件が成立したときに実行する決定結果示唆演出実行手段(たとえば、図24の示唆演出実行処理)をさらに含み、
前記スロットマシンは、前記報知手段により前記報知情報が報知されるときには、前記決定結果示唆条件は成立しないように設定されている(たとえば、図24のSp8でY、Sp9でYの場合のように、AT中に押し順リプまたは通常リプに当選して判定用ナビ演出を実行するときには当選役示唆演出を実行しない)。」
「【0136】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、メイン制御部41から内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドから特定される当選役の種類に応じて、当選役示唆演出または継続示唆演出を実行する。より具体的には、サブ制御部91は、メイン制御部41から受信した内部当選コマンドによって後述するAT抽選役、押し順リプ(押し順リプ1、2)、および通常リプのいずれかに当選したことを特定したときには、AT抽選役、押し順リプ、および通常リプのいずれかの当選を示唆する当選役示唆演出を実行する。ただし、サブ制御部91は、後述する判定用ナビ演出が実行されるときには、当選役示唆演出を実行する代わりに、現在のゲームにおいて制御中の演出制御状態に関する有利度を示唆する継続示唆演出を実行する。本実施の形態では、サブ制御部91は、現在制御中のATが終了した後に次のATに継続するか否かを示唆する継続示唆演出を実行する。さらに、本実施の形態では、サブ制御部91は、後述するナビストック抽選においてナビストックを獲得したか否かを示唆するナビストック示唆演出を実行する。ナビストック示唆演出は、当選役示唆演出とは異なり、判定用ナビ演出が実行されるか否かにかかわらずに実行される。」
「【0316】
一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信したと判定したときには(Sp2でY)、AT抽選役に当選したか否かを判定する(Sp3)。サブ制御部91は、AT抽選役に当選したと判定したときには(Sp3でY)、当選役示唆演出を実行する(Sp4)。その後、サブ制御部91は、後述するSp5の処理に移行する。」
「【0318】
一方、サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選したと判定したときには(Sp8でY)、判定用ナビ演出の実行可能期間内であるか否かを判定する(Sp9)。サブ制御部91は、判定用ナビ演出の実行可能期間内でないと判定したときには(Sp9でN)、判定用ナビ演出が実行されることがないため、当選役示唆演出を実行する(Sp11)。その後、サブ制御部91は、Sp5の処理に移行する。
【0319】
一方、サブ制御部91は、判定用ナビ演出の実行可能期間内であると判定したときには(Sp9でY)、当選した押し順リプまたは通常リプに対して判定用ナビ演出が実行されるため、当選役示唆演出の代わりに継続示唆演出を実行する(Sp10)。つまり、サブ制御部91は、Sp8の処理で押し順リプまたは通常リプに当選したと判定し、さらに、Sp9の処理で判定用ナビ演出の実行可能期間内であると判定することを条件として、当選役示唆演出の実行を規制する。その後、サブ制御部91は、Sp5の処理に移行する。」
「【0339】
さらに、図26においては、判定用役に対する当選役示唆演出が実行可能となるとき、継続示唆演出が実行可能となるとき、およびナビストック示唆演出が実行可能となるときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。」
「【0347】
また、上記のようなATにおいて、サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選した旨、またはAT抽選役に当選した旨を示唆する当選役示唆演出が、判定用ナビ演出が実行されるときに規制されるようになっている。図26の一例では、サブ制御部91は、AT1セット目のタイミングt1?t2の間と、AT2セット目のタイミングt3?t4の間とで当選役示唆演出を規制する。
【0348】
たとえば、AT1セット目のタイミングt1?t2の間で押し順リプまたは通常リプに当選したときには、当選役示唆演出と判定用ナビ演出とが同時に実行されてしまうため、サブ制御部91は、当選役示唆演出の実行を規制する。そして、当選役示唆演出の実行を規制する代わりに、サブ制御部91は、継続示唆演出を実行することにより、次のATに継続する可能性がある旨を示唆して遊技者の期待感を向上させる。一方、AT1セット目のタイミングt2?t3の間で押し順リプまたは通常リプに当選したときには、判定用ナビ演出は実行されないため、当選役示唆演出と判定用ナビ演出とが同時に実行されてしまうことがない。そのため、サブ制御部91は、当選役示唆演出の実行を規制しない。
【0349】
このように、本実施の形態においては、押し順リプや通常リプに当選した旨、またはAT抽選役に当選した旨を示唆する当選役示唆演出が実行されるため、遊技者にAT抽選役に当選したことによってナビストック獲得を期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、押し順リプや通常リプに当選したときに判定用ナビ演出が実行される場合には、当選役示唆演出の実行が規制されるため、当選役示唆演出を実行したにもかかわらず判定用ナビ演出によって押し順リプや通常リプに当選したことが遊技者に確定的に認識されてしまい遊技の興趣が低下してしまうような不都合を防ぐことができる。」
(イ)上記(ア)を踏まえると、訂正事項7-4は、本件特許明細書等の記載に基づいて導き出される構成であり、本件特許明細書等に記載されたものであるから、当該訂正事項8は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(8)訂正事項8
ア 訂正の目的の適否
訂正事項8は、請求項1に係り上記訂正事項1ないし訂正事項7に係る訂正を行ったことにより、願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を、特許請求の範囲の請求項1の記載と整合をとるために訂正するものであることから、当該訂正事項8は、特許法第120条の5第2項但し書き第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。

イ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8は、請求項1に係り上記訂正事項1ないし訂正事項7に係る訂正を行ったことにより、願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を、特許請求の範囲の請求項1の記載と整合をとるために訂正するものであって、上記(1)ないし(7)で検討したとおり、上記訂正事項1ないし訂正事項7が、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するから、訂正事項8も、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合する。

ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項8は、上記(1)ないし(7)のとおり、上記訂正事項1ないし7は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するから、当該訂正事項8も、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合する。

(9)一群の請求項
特許請求の範囲は、本件訂正請求による訂正の前後とも請求項1のみであるから、特許法第120条の5第4項が定める「一群の請求項」の関係を有する請求項はない。

3 小活
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書き第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1について訂正することを認める。

第3 特許異議の申立て及び当審取消理由について
1 本件訂正発明
上記第2のとおり本件訂正請求は認められたので、本件訂正請求により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件訂正発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである(項分けは、当審による。)。
「【請求項1】
A 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
B 前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
C 表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、
D 導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
E 前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
F 遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、
G 演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
H 前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、
I 前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられており、
J 前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、
K 前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、
B 前記スロットマシンは、さらに、
L 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
M 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、
B スロットマシン。」

2 取消理由の概要
2-1 本件訂正請求による訂正前の請求項1に係る発明(以下「本件特許発明」という。)に対して平成30年8月23日付けで特許権者に通知した取消理由(この通知を以下「取消理由通知1」という。)の概要は、次のとおりである。
(1)本件訂正請求による訂正前の請求項1は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、当該請求項1に係る特許は特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)本件特許発明は甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)本件特許発明1は甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。よって、請求項1に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである。
・甲第1号証:特開2011-120633号公報

2-2 平成30年10月26日付け訂正請求(以下「前回訂正請求」という。)による請求項1に係る発明(以下「前回訂正特許発明」という。)に対して平成31年1月21日付けで特許権者に通知した取消理由(この通知を以下「取消理由通知2」という。)の概要は、次のとおりである。
(1)(明確性)本件出願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
(2)(サポート要件)本件出願は、明細書及び特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

3 取消理由通知1及び2について
3-1 取消理由通知2に記載した取消理由(特許法第36条第6項第1号及び同第2号違反)について
(1)取消理由通知2に記載した取消理由は概略次のとおりである。
「第1 理由1(明確性)
訂正後請求項1は、
『前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のいずれであっても、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能であり、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、該決定結果示唆演出を実行しない決定結果示唆演出実行手段とを備える』との発明特定事項(以下『本件訂正事項』という。)を含む。
本件訂正事項は、概略次のような構成であるといえる。
『AおよびBのいずれであっても、C情報が報知されないときには、Dする決定結果示唆演出を実行可能であり、C情報が報知されるときには、該(Dする)決定結果示唆演出を実行しない決定結果示唆演出実行手段とを備える』
ここで、『AおよびBのいずれであっても、』が、『C情報が報知されないときには、Dする決定結果示唆演出を実行可能であり、』のみに掛かるのか、『C情報が報知されないときには、Dする決定結果示唆演出を実行可能であり、』及び『C情報が報知されるときには、該(Dする)決定結果示唆演出を実行しない』の両方に掛かるのか明確ではない。
したがって、本件訂正事項を含む本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1(以下『訂正後請求項1』という。)は、特許を受けようとする発明が明確であるとは認められない。

第2 理由2(サポート要件)
1 訂正後請求項1について
上記『第1』で検討したとおり、訂正後請求項1は、特許を受けようとする発明が明確ではないが、本件訂正事項は、全体として1つの発明特定事項として記載されているから、『AおよびBのいずれであっても、』は、『C情報が報知されないときには、Dする決定結果示唆演出を実行可能であり、』及び『C情報が報知されるときには、該決定結果示唆演出を実行しない』の両方に掛かると解することができる。
そうすると、訂正後請求項1は、
『前記事前決定手段の決定結果が・・・前記特別決定結果・・・であっても、・・・前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、該決定結果示唆演出を実行しない決定結果示唆演出実行手段とを備える結果示唆演出を実行しない』
という発明特定事項(以下『本件発明特定事項』という。)を含むといえる。
本件発明特定事項を含む訂正後請求項1は、上記のように解した場合は、特許明細書に記載したものではないから、訂正後請求項1は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとは認められない。
また、上記1のように解した場合は、訂正後請求項1に合わせて訂正された段落【0008】の本件発明特定事項と同じ記載の箇所も、同様に、訂正前の願書に添付した明細書、特許請求の範囲、図面記載した事項の範囲内においてなされた訂正とは認められない。」

(2)前回訂正請求(特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなされる)の発明特定事項「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のいずれであっても、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能であり、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、該決定結果示唆演出を実行しない決定結果示唆演出実行手段とを備える」は、
本件訂正請求がなされたことにより、
「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、」(構成M)と訂正され、概略、
「AおよびBのうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果がBである場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果がAである場合、C情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果がAである場合、C情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、」(構成M)と訂正され、請求項1に係る発明の構成は明確となり、また、「前記事前決定手段の決定結果がBであっても、C情報が報知されるときには、該決定結果示唆演出を実行しない」という発明の詳細な説明及び図面に記載されていない構成を含まないものとなったため、請求項1に係る発明の構成は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものでないとはいえないものとなった。
したがって、取消理由通知2は理由がないものとなった。

3-2 取消理由通知1に記載した取消理由(特許法第36条第6項第2号違反)について
(1)取消理由通知1に記載した取消理由(特許法第36条第6項第2号違反)は次のとおりである。
「(1)本件の請求項1は『特定操作』及び『所定制御』を発明特定事項とする。
そして、本件の請求項1における『特定操作』及び『所定制御』に係る構成は次のとおりである。
『表示結果を導出させるために操作される導出操作手段と、
導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を導出させる制御を行う導出制御手段と、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき所定制御を実行する所定制御実行手段と、
演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、』

(2)上記(1)によれば、『特定操作』は表示結果を導出させるための『操作』、つまり、スロットマシンでいうところのストップボタンの操作を意味すると解され、様々なストップボタンの操作が想起されるところ、本件の請求項1には『特定操作』がどのような内容のストップボタンの操作であるかについて具体的に特定する発明特定事項がない。
したがって、本件の請求項1における『特定操作』との発明特定事項は、スロットマシンにおけるストップボタンの操作の全てを含み得る。
また、上記(1)によれば、『所定制御』は、『前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき』『実行する』と特定されるにとどまり、その制御の内容については具体的に特定されていない。
さらに、本件の請求項1における『特定決定結果』との発明特定事項は、本件の発明の詳細な説明の段落【0008】には、『前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)』及び『前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果(たとえば、押し順リプなどの判定用役に当選)となったとき』と記載されていることに照らして、『特定決定結果』は『内部抽選』に『当選』(内部当たり)したことを意味するところ、スロットマシンでいうところの内部当たりには数多くの『当たり』があるため、本件の請求項1における『特定決定結果』との発明特定事項も数多くの『当たり』が想定される。
そうすると、『前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき所定制御を実行』との発明特定事項は、スロットマシンでいうところの内部当たりと『(スロットマシンにおけるストップボタンの操作の全てを含み得る)特定操作』に基づいて『実行』されると特定されるのみであるから、数多く想定されるスロットマシンの内部当たりと数多く想定されるストップボタンの操作の組み合わせが想起される。
よって、『前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記導出操作手段が特定操作で操作されたことに基づき』『実行する』『所定制御』として数多くの『制御』が想起され、具体的にどのような制御を特定するのか明らかではない。」

(3)本件訂正請求による訂正後の請求項1における「特定操作」及び「所定制御」に係る構成は次のとおりである。
「F 遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、・・・
H 前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、・・・
L 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
M 前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、」

(4)上記(3)によれば、本件訂正請求による訂正により、訂正前の「特定操作」は、表示結果を導出させるためのスロットマシンでいうところのストップボタンの複数の操作順序のうちの「特定操作順序」を特定することが明確になり、「特定操作」に係る記載不備は解消された。
また、「所定制御」についても、本件訂正請求による訂正により、当該「特定操作順序で操作されたことに基づき実行する」「所定制御」であることが明確になり、「所定制御」に係る記載不備も解消された。

3-3 以上3-1及び3-2で検討したとおり、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、本件の取消理由通知1に示した特許法第36条第6項第1号及び同第2号の規定に違反して特許されたとはいえない。

3-4 取消理由通知1に記載した取消理由(特許法第29条第1項第3号違反及び第29条第2項違反)について
(1)甲号証及び甲号証に記載された発明
甲第1号証には、下記の記載がある(aないしkは、上記「1」の本件訂正発明の項分けのAないしKに対応させて当審が付した。)。
a 「【0064】
本実施の形態のスロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リールともいう)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。」

b 「【0066】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図2、図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。」

c 「【0083】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0084】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化されたいずれかの入賞ラインL1?L4上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。」

d 「【0189】
次に、内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各入賞役の発生を許容するか否か、すなわち入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7操作時に)、決定するものである。内部抽選では、乱数発生回路42から内部抽選用の乱数(0?65535の整数)が取得される。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態と、リセット/設定スイッチ38により設定された設定値に応じて定められた各入賞役の判定値数に応じて行なわれる。」

e 「【0195】
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
メインCPU41aは、リールの回転が開始したときおよび、リールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行なう。
【0196】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。」

f 「【0315】
具体的に、サブ制御部91は、ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたときには、AT準備モードに制御する。また、AT準備モードにおいてCZに制御されたときには、ACZに制御される。
【0316】
これにより、ボーナス当選によるAT抽選においてATに制御する決定がされたときには、当該ボーナス終了後においてAT準備モードに制御された後、ACZに制御され、ATに制御する決定がされなかったときには、当該ボーナス終了後において非AT準備モードに制御された後、非ACZに制御される。なお、ナビポイントが有る場合、準備モードおよびCZ1?3においては、ナビポイントを消費(減算)することなく、AT準備モードおよびACZに制御されて、ナビ演出が実行可能となる。
【0317】
また、サブ制御部91は、ACZから昇格リプレイ3に入賞して有利RTに制御されたときには、ナビポイントを1ポイント消費(減算)することにより、所定回数以上ゲームを消化する間、ARTに制御する。なお、ナビポイントを1ポイント消費したときには、1減算したナビポイントを示すATフラグに更新される。
【0318】
有利RTにおいては、ナビポイントを1ポイント消費することにより、所定回数以上ゲームを消化する間、ナビ演出が実行可能となるARTに制御される。
【0319】
より具体的に、ARTに制御されてから50ゲーム消化するまでは、ブドウや転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行される。これに対し、ARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行されるが、ブドウに当選したときにナビ演出が実行されない。このため、ブドウ当選時において操作手順を誤ったときあるいはARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得る。また、転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったときには、転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得る。このように、ARTから、CZ1あるいは通常遊技状態に制御されたときにナビポイント1に対応するATが終了する。」

g 「【0125】
また、本実施の形態におけるスロットマシンは、上記のように、メイン制御部41により、遊技状態を準備モード、CZ1?CZ3、有利RT、通常遊技状態、内部中RT、ボーナスに制御しつつ、遊技状態が準備モード、CZ1?CZ3、有利RTであるときには、サブ制御部91により、内部抽選結果に応じた情報を報知するナビ演出を実行可能な報知期間(有利演出状態)となるアシストタイム(以下、ATという)に演出状態を制御可能となっている。遊技状態が準備モードであって演出状態がATに制御されている状態をAT準備モードともいい、遊技状態が準備モードであるが演出状態がATに制御されていない状態を非AT準備モードともいう。また、遊技状態がCZ1?CZ3であって演出状態がATに制御されている状態をACZともいい、遊技状態がCZ1?CZ3であるが演出状態がATに制御されていない状態を非ACZともいう。また、遊技状態が有利RTであって演出状態がATに制御されている状態をARTともいい、遊技状態が有利RTであるが演出状態がATに制御されていない状態を非ARTともいう。」

h 「【0311】
また、AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、AT準備モードであるときに図12(b)に示すテーブルが参照され、ACZであるときに図12(c)に示すテーブルが参照される。このため、AT準備モードあるいはACZのいずれでもボーナス当選により当該ボーナス終了後において必ずAT準備モードに制御されるが、AT準備モードであるときの方が、ACZであるときよりも、高い割合でより多いナビポイントに決定される。すなわち、AT準備モードにおいては、ACZであるときよりも、高い割合でより多いナビポイントに決定されることにより、遊技者にとって有利となるようにAT抽選が行なわれるといえる。その結果、ATに制御されているときには、準備モードでボーナス当選すること、すなわち極力早い段階でボーナス当選することに対する期待感を抱かせることができ、遊技の興趣を向上させることができる。
【0312】
なお、前述したRB1中にしか当選し得ない1枚役2に当選したときにも、AT抽選が行なわれる。たとえば、図12(d)に示すテーブルを用いてAT抽選が行なわれる。これにより、RB1中に1枚役2に当選したときには、必ずナビポイントを獲得することができる。
【0313】
以上のように、本実施の形態においては、サブ制御部91により行なわれるAT抽選処理により、現在の遊技状態および演出状態に応じて定められた抽選条件が成立したか否かが判定され、抽選条件が成立したときには図12に示すテーブルのうち対応するテーブルを参照して、AT抽選が行なわれる。なお、AT抽選は、ボーナス当選したときや、特定のボーナス中にしか当選し得ない特定の入賞役に当選したときに行なわれる例について説明したが、AT抽選が行なわれる契機はこれに限るものではない。
【0314】
また、本実施の形態におけるサブ制御部91は、準備モード、CZ、有利RTであるときに、AT制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、AT抽選の結果に応じてセットされるATフラグに基づき、ATへの制御を管理する。
【0315】
具体的に、サブ制御部91は、ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたときには、AT準備モードに制御する。また、AT準備モードにおいてCZに制御されたときには、ACZに制御される。
【0316】
これにより、ボーナス当選によるAT抽選においてATに制御する決定がされたときには、当該ボーナス終了後においてAT準備モードに制御された後、ACZに制御され、ATに制御する決定がされなかったときには、当該ボーナス終了後において非AT準備モードに制御された後、非ACZに制御される。なお、ナビポイントが有る場合、準備モードおよびCZ1?3においては、ナビポイントを消費(減算)することなく、AT準備モードおよびACZに制御されて、ナビ演出が実行可能となる。」
・図12は次のものである。

上記図12には、図12(b)のテーブルとして「AT準備モードにおけるボーナス当選時のテーブル」が記載され、図12(c)のテーブルとして「ACZにおけるボーナス当選時のテーブル」が記載されている。

i 「【0301】
また、図11の準備モードかつATの欄に示すように、AT準備モードであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立する。当該抽選条件が成立したときには、図12(b)に示すテーブルを参照してAT抽選が行なわれる。
【0304】
また、図11のCZかつATの欄に示すように、ACZであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立する。当該抽選条件が成立したときには、図12(c)に示すテーブルを参照してAT抽選が行なわれる。」
図11は次のものである。


上記図11には、「遊技状態」が「準備モード」であって、かつ、「演出状態」が「AT」の場合には、「抽選条件」は「ボーナス当選」であって、ボーナス当選すると「参照テーブル」の「(b)」(図12(b)に示すテーブル)を参照することが記載されている。
また、上記図11には、「遊技状態」が「CZ」であって、かつ、「演出状態」が「AT」の場合には、「抽選条件」は「ボーナス当選」であって、ボーナス当選すると「参照テーブル」の「(c)」(図12(c)に示すテーブル)を参照することが記載されている。

j 図5は次のものである。

上記図5には、入賞役(ボーナス当選)であるビッグボーナス(BB)について、入賞役「BB1」の図柄の組合せが「黒7-黒7-黒7」であり、入賞役「BB2」の図柄の組合せが「白7-白7-白7」であり、入賞役「BB3」の図柄の組合せが「BAR-BAR-BAR」であり、入賞役「BB4」の図柄の組合せが「黒7-黒7-BAR」であり、入賞役「BB5」の図柄の組合せが「白7-白7-BAR」であることが記載されている。
また、上記図5には、ナビ対象役(AT抽選役)である入賞役「ブドウ1」の図柄の組合せが「黒ブドウ-黒ブドウ-黒ブドウ」であることが記載され、他にナビ対象役である入賞役「ブドウ2」ないし「ブドウ8」、及び、「バナナブドウ1」ないし「バナナブドウ12」が記載されているところ、いずれも図柄の組合せとしての図柄が黒ブドウ、白ブドウないしバナナに限られることが記載されている。
したがって、上記図5からは、入賞役であるビッグボーナス(ボーナス当選)の図柄の組合せと、ナビ対象役(AT抽選役)である入賞役の図柄の組合せとは異なることが見てとれる。

k 「【0207】
また、本実施の形態では、引込コマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0208】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。
【0209】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で、小役(イチゴ1、メロン、ブドウ1など)に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なう。これにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる。その結果、小役を優先的に入賞させた後に特別役を入賞させることにより、小役よりも特別役を優先的に入賞させるものと比較して、小役を入賞させてメダルを獲得した後に特別役を入賞させることができるため、特別役入賞前に遊技者のメダルを極力増加させるようにすることができ、遊技者にとって有利なリール制御が行なわれる。
【0210】
たとえば、特別役と払出枚数が賭数3より多いブドウとが当選しているときには、特別役入賞前にブドウ入賞により6枚純増するリール制御が優先的に行なわれるため、遊技者にとって有利といえる。なお、特別役と小役とを同時に引き込める場合には、小役のみを引き込み、小役と同時に特別役が入賞ライン上に揃わないようになっている。」

(2)上記(1)によれば、甲第1号証には、下記の各構成(項分けのaないしkは、上記(1)のaないしkに対応させて当審が付した。)が記載されていると認められる。
a 甲第1号証の段落【0064】(上記「(1)」「a」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「a スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置され、」

b 甲第1号証の段落【0066】(上記「(1)」「b」)の記載を踏まえると、甲第1号証に記載された発明がスロットマシンであることは明らかであるから、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「b 前記各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32Rによって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっているスロットマシンであって、」
「b スロットマシン。」

c 甲第1号証の段落【0083】(上記「(1)」「c」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「c ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され、」

d 甲第1号証の段落【0189】(上記「(1)」「d」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「d 内部抽選は、入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(スタートスイッチ7操作時に)、決定するものであり、」

e 甲第1号証の段落【0195】及び【0196】(上記「(1)」「e」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「e メインCPU41aは、内部抽選による当選フラグの設定状態別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成し、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行ない、」

f 甲第1号証の段落【0315】ないし【0319】(上記「(1)」「f」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「f サブ制御部91は、ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたときには、AT準備モードに制御し、AT準備モードにおいてCZに制御されたときには、ACZに制御され、ACZから昇格リプレイ3に入賞して有利RTに制御されたときには、所定回数以上ゲームを消化する間、ARTに制御し、ARTに制御されてから50ゲーム消化するまでは、ブドウや転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行され、ARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行されるが、ブドウに当選したときにナビ演出が実行されないため、ブドウ当選時において操作手順を誤ったときあるいはARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得るものであり、転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったときには、転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得るものであり、ARTから、CZ1あるいは通常遊技状態に制御されたときにナビポイント1に対応するATが終了し、」

g 甲第1号証の段落【0125】(上記「(1)」「g」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「g メイン制御部41により、遊技状態を準備モード、CZ1?CZ3、有利RT、通常遊技状態、内部中RT、ボーナスに制御しつつ、遊技状態が準備モード、CZ1?CZ3、有利RTであるときには、サブ制御部91により、内部抽選結果に応じた情報を報知するナビ演出を実行可能な報知期間(有利演出状態)となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能となっていて、」

h 甲第1号証の段落【0311】ないし【0316】及び図12(b)、(c)(上記「(1)」「h」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「h サブ制御部91は、準備モード、CZ、有利RTであるときに、AT制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、AT抽選の結果に応じてセットされるATフラグに基づき、ATへの制御を管理し、AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、AT準備モードであるときに『AT準備モードにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され、ACZであるときに『ACZにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され、AT準備モードあるいはACZのいずれでもボーナス当選により当該ボーナス終了後において必ずAT準備モードに制御され、ボーナス当選によるAT抽選においてATに制御する決定がされたときには、当該ボーナス終了後においてAT準備モードに制御された後、ACZに制御され、」

i 甲第1号証の段落【0301】、【0304】及び図11(上記「(1)」「i」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「i AT準備モードであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立し、ACZであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立し、」

j 甲第1号証の図5(上記「(1)」「j」)を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「j 入賞役であるビッグボーナス(ボーナス当選)の図柄の組合せと、ナビ対象役である入賞役の図柄の組合せとは異なり、」

k 甲第1号証の段落【0207】ないし【0210】(上記「(1)」「k」)の記載を踏まえると、甲第1号証には、下記構成が記載されていると認められる。
「k 特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で、小役(イチゴ1、メロン、ブドウ1など)に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なうことにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなり、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる、」

(3)上記(2)によれば、甲第1号証には、下記の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている(aないしkは、上記「1」の本件訂正発明の項分けのAないしKに対応させて当審が付した。)。
「a スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置され、
b 前記各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32Rによって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっているスロットマシンであって、
c ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され、
d 内部抽選は、入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(スタートスイッチ7操作時に)、決定するものであり、
e メインCPU41aは、内部抽選による当選フラグの設定状態別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成し、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行ない、
f サブ制御部91は、ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたときには、AT準備モードに制御し、AT準備モードにおいてCZに制御されたときには、ACZに制御され、ACZから昇格リプレイ3に入賞して有利RTに制御されたときには、所定回数以上ゲームを消化する間、ARTに制御し、ARTに制御されてから50ゲーム消化するまでは、ブドウや転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行され、ARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行されるが、ブドウに当選したときにナビ演出が実行されないため、ブドウ当選時において操作手順を誤ったときあるいはARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得るものであり、転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったときには、転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得るものであり、ARTから、CZ1あるいは通常遊技状態に制御されたときにナビポイント1に対応するATが終了し、
g メイン制御部41により、遊技状態を準備モード、CZ1?CZ3、有利RT、通常遊技状態、内部中RT、ボーナスに制御しつつ、遊技状態が準備モード、CZ1?CZ3、有利RTであるときには、サブ制御部91により、内部抽選結果に応じた情報を報知するナビ演出を実行可能な報知期間(有利演出状態)となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能となっていて、
h サブ制御部91は、準備モード、CZ、有利RTであるときに、AT制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、AT抽選の結果に応じてセットされるATフラグに基づき、ATへの制御を管理し、AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、AT準備モードであるときに『AT準備モードにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され、ACZであるときに『ACZにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され、AT準備モードあるいはACZのいずれでもボーナス当選により当該ボーナス終了後において必ずAT準備モードに制御され、ボーナス当選によるAT抽選においてATに制御する決定がされたときには、当該ボーナス終了後においてAT準備モードに制御された後、ACZに制御され、
i AT準備モードであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立し、ACZであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立し、
j 入賞役であるビッグボーナス(ボーナス当選)の図柄の組合せと、ナビ対象役である入賞役の図柄の組合せとは異なり、
k 特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で、小役(イチゴ1、メロン、ブドウ1など)に当選した場合などでは、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように引込コマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行なうことにより、停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとなり、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる、
b スロットマシン。」

(4)対比
(ア)本件訂正発明と甲1発明を対比する。
A 甲1発明の「複数種の図柄」及び「外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3」を備えることは、本件訂正発明の「各々が識別可能な複数種類の識別情報」及び「識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え」ることにそれぞれ相当する。
したがって、甲1発明の「a スロットマシン1の筐体1a内部には、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2Rが水平方向に並設されており、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置され」る構成は、本件訂正発明のA「各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え」ることに相当する。

B 甲1発明の「各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示される」こと、及び、「各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示される」ことは、本件訂正発明の「可変表示部を変動表示」すること、及び、「可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出」することにそれぞれ相当する。
また、甲1発明が、複数の可変表示部(リール2L、2C、2R)の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンであることは明らかである。
したがって、甲1発明の「b 前記各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32Rによって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっているスロットマシン」は、本件訂正発明のB「前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシン」に相当する。

C 甲1発明の「操作すると」「透視窓3に表示結果が導出表示され」る「スタートスイッチ7」及び「ストップスイッチ8L、8C、8R」の特に「ストップスイッチ8L、8C、8R」は、本件訂正発明の「表示結果組合せを導出させるために操作される手段」及び「複数の導出操作手段」に相当する。
また、当該「複数の導出操作手段」(ストップスイッチ8L、8C、8R)が「複数の可変表示部(リール2L、2C、2R)それぞれに対応する」ことは明らかである。
したがって、甲1発明の「c ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動し、この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示され」る「スタートスイッチ7」及び「ストップスイッチ8L、8C、8R」は、本件訂正発明のC「表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段」に相当する。

D 甲1発明の「入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(スタートスイッチ7操作時に)、決定する」「内部抽選」は、本件訂正発明の「導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段」に相当する。
したがって、甲1発明の「d 内部抽選は、入賞役を発生させる図柄組合せがいずれかの入賞ラインに揃える制御を行なうことを許容するか否かを、可変表示装置2の表示結果が導出表示される以前に(スタートスイッチ7操作時に)、決定するものであ」る「内部抽選」は、本件訂正発明のD「導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段」に相当する。

E 甲1発明の「内部抽選による当選フラグの設定状態別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に」作成した「停止制御テーブル」及び「ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出された」「操作」は、本件訂正発明の「事前決定手段の決定結果」及び「前記複数の導出操作手段の操作」にそれぞれ相当する。
したがって、甲1発明の「e メインCPU41aは、内部抽選による当選フラグの設定状態別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成し、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの引込コマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行な」う「メインCPU41a」は、本件訂正発明のE「前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段」に相当する。

F 甲1発明の「ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたとき」、「AT準備モードにおいてCZに制御されたとき」、「ACZから昇格リプレイ3に入賞して有利RTに制御されたとき」ないし「ARTに制御されてから50ゲーム消化するまでは、ブドウや転落リプレイに当選したとき」は、いずれも内部抽選の結果が「特定」の結果になったときといえるから、本件訂正発明の「前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果とな」ることに相当する。
また、甲1発明の「ブドウ当選時において操作手順を誤ったとき」あるいは「転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったとき」は、いずれも、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が「特定」の操作手順(順序)で操作されたことといえるから、本件訂正発明の「前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたこと」に相当する。
さらに、「ブドウ当選時において操作手順を誤ったとき」及び「転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったとき」は、それぞれ、「ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得る」及び「転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得る」から、「ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御」すること、及び、「転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御」することは、本件訂正発明の「遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる」「所定制御を実行する」ことに相当する。
そうすると、甲1発明の「ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得る」及び「転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得る」制御を行う「サブ制御部91」は、本件訂正発明の「所定制御を実行する所定制御実行手段」に相当する。
したがって、甲1発明の「f サブ制御部91は、ボーナスが終了した後において準備モードへの制御が開始されるときに、ナビ抽選処理においてセットされるATフラグからATである旨が特定されたときには、AT準備モードに制御し、AT準備モードにおいてCZに制御されたときには、ACZに制御され、ACZから昇格リプレイ3に入賞して有利RTに制御されたときには、所定回数以上ゲームを消化する間、ARTに制御し、ARTに制御されてから50ゲーム消化するまでは、ブドウや転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行され、ARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、転落リプレイに当選したときにナビ演出が実行されるが、ブドウに当選したときにナビ演出が実行されないため、ブドウ当選時において操作手順を誤ったときあるいはARTに制御されてから消化したゲーム数が50ゲームを超えた後においては、ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得るものであり、転落リプレイ当選時において操作手順を誤ったときには、転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得るものであり、ARTから、CZ1あるいは通常遊技状態に制御されたときにナビポイント1に対応するATが終了」する「サブ制御部91」は、本件訂正発明のF「遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段」に相当する。

G 甲1発明の「内部抽選結果に応じた情報を報知するナビ演出を実行可能な報知期間(有利演出状態)となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御」することは、本件訂正発明の「演出制御状態に制御」することに相当する。
したがって、甲1発明の「g メイン制御部41により、遊技状態を準備モード、CZ1?CZ3、有利RT、通常遊技状態、内部中RT、ボーナスに制御しつつ、遊技状態が準備モード、CZ1?CZ3、有利RTであるときには、サブ制御部91により、内部抽選結果に応じた情報を報知するナビ演出を実行可能な報知期間(有利演出状態)となるアシストタイム(AT)に演出状態を制御可能」としている「メイン制御部41」は、本件訂正発明のG「演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段」に相当する。

H 甲1発明の「準備モード、CZ、有利RTであるときに、AT制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、AT抽選の結果に応じてセットされるATフラグに基づき、ATへの制御を管理」すること(上記Gで検討したとおり、甲1発明の「アシストタイム(AT)の演出状態」は本件訂正発明の「演出制御状態」に相当する)は、上記Fで検討した、「ブドウを取りこぼし特殊出目が停止されてCZ1に制御され得る」及び「転落リプレイに入賞して通常遊技状態に制御され得る」制御(上記Fで検討したとおり、本件訂正発明の「所定制御」に相当する)を含むから、本件訂正発明の「前記演出制御状態で前記所定制御が実行され」ることに相当する。
そして、甲1発明の「AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、」「ACZであるときに『ACZにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され」ることは、AT(演出制御状態の制御期間)を延長するための権利を付与することになるといえるから、本件訂正発明の「当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う」ことに相当する。
また、甲1発明の「AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、AT準備モードであるときに『AT準備モードにおけるボーナス当選時のテーブル』が参照され」ることは、上記Gで検討した「所定制御」によりAT準備モードからACZへの制御が実行される前であって、AT(演出制御状態の制御期間)を延長するための権利を付与することになるといえるから、本件訂正発明の「当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う」ことに相当する。
さらに、甲1発明の「サブ制御部91」は、本件訂正発明の「特定制御手段」に相当する。
したがって、甲1発明の「h サブ制御部91は、準備モード、CZ、有利RTであるときに、AT制御処理に含まれるAT管理処理を行なうことにより、AT抽選の結果に応じてセットされるATフラグに基づき、ATへの制御を管理し、AT準備モードあるいはACZにおいて、ボーナス当選することにより実行されるAT抽選では、AT準備モードであるときに「AT準備モードにおけるボーナス当選時のテーブル」が参照され、ACZであるときに「ACZにおけるボーナス当選時のテーブル」が参照され、AT準備モードあるいはACZのいずれでもボーナス当選により当該ボーナス終了後において必ずAT準備モードに制御され、ボーナス当選によるAT抽選においてATに制御する決定がされたときには、当該ボーナス終了後においてAT準備モードに制御された後、ACZに制御」する「サブ制御部91」は、本件訂正発明のH「前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段」に相当する。

I 甲1発明の「AT準備モードであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立」すること(第2特定制御)と、「ACZであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立」すること(第1特定制御)とは、契機(ボーナス当選)が同じである。
また、甲1発明のボーナス当選にはBB1ないしBB5の複数の契機(ボーナス当選)が設けられている(上記「2」「(1)」「j」の図5参照)。
したがって、甲1発明の「i AT準備モードであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立し、ACZであるときには、ボーナス当選することにより抽選条件が成立」することは、本件訂正発明のI「前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられて」いることに相当する。

J 甲1発明の「入賞役であるビッグボーナス(ボーナス当選)の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機」に相当する。
また、甲1発明の「ナビ対象役である入賞役の図柄の組合せ」は、本件訂正発明の「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となること」に相当する。
したがって、甲1発明の「j 入賞役であるビッグボーナス(ボーナス当選)の図柄の組合せと、ナビ対象役である入賞役の図柄の組合せとは異なる」ことは、本件訂正発明のJ「前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれ」ないことに相当する。

K 甲1発明の「停止操作が行なわれた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行なわれ」ることは、本件訂正発明の「特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行」うことに相当する。
また、甲1発明の「入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、」「4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行なわれることとな」ることは、本件訂正発明の「前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行」うことに相当する。
しかしながら、甲1発明は、「特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で、小役(イチゴ1、メロン、ブドウ1など)に当選した場合などでは、」「特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる」構成であるところ、「小役」よりも「特別役」の方がAT付与に関する有利度が高いといえる。
そうすると、甲1発明の構成kと本件訂正発明の構成K「前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い」とは、K´「前記導出制御手段は、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行う」点で一致する。

(イ)上記(ア)での検討によれば、本件訂正発明と甲1発明とは、その構成AないしJにおいて一致し、以下の点で相違する。
a 構成Kにおいて、「前記導出制御手段は、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行う」場合が、本件訂正発明は、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合」であるのに対して、甲1発明は、「特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で、小役(イチゴ1、メロン、ブドウ1など)に当選した場合などでは、」「特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる」構成であるところ、「小役」よりも「特別役」の方がAT付与に関する有利度が高いといえるから、「前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果(特別役)よりも権利の付与に関する有利度が低い特別決定結果(小役)である場合」である点(以下「相違点1」という。)。

b 本件訂正発明は、構成L及びMを備えているのに対して、甲1発明は、当該構成L及びMを備えていない点(以下「相違点2」という。)。

(5)判断
上記相違点1、2について検討する。
甲1発明は、「(小役よりもAT付与に関する有利度が高い)特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる」(構成k)発明であるところ、これを逆にして、「小役よりも(小役よりもAT付与に関する有利度が高い)特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる」構成となすることは、甲第1号証に記載されておらず、また、このような逆の構成とする動機はみあたらない。
したがって、甲1発明において、「(小役よりもAT付与に関する有利度が高い)特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、通常小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる」(構成k)の特別役と小役を逆にして、「小役よりも(小役よりもAT付与に関する有利度が高い)特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる」構成となし、上記相違点1に係る本件訂正発明の構成となすことが当業者が容易に想到し得たことであるということはできない。
以上のとおりであるから、上記相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明は甲1発明であるということはできず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するということはできない。
また、上記相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明は甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできず、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものであるということもできない。

4 小活
以上のとおり、取消理由通知1及び2の理由及び証拠によっては、請求項1に係る特許を取り消すことはできない。

5 特許異議申立理由
本件訂正請求による訂正前の請求項1に係る発明に対する特許異議申立理由の概要は、次のとおりである。
(1)本件特許発明は甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当する。よって、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)本件訂正請求による訂正前の請求項1は、特許を受けようとする発明が明確ではないから、当該請求項1に係る特許は特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
・甲第1号証:特開2011-120633号公報

6 特許異議申立理由について
(1)特許異議申立理由の上記「5」「(1)」の理由は、取消理由通知1の上記「第3」「2」「2-1」「(2)」の理由と同じである。
したがって、上記「第3」「3-3」で検討したとおり、請求項1に係る特許は甲1発明であるということはできず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するということはできないから、同じ理由により、特許異議申立理由の上記「5」「(1)」の理由によっては、請求項1に係る特許は甲1発明であるということはできず、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当するということはできない。

(2)特許異議申立理由の上記「5」「(2)」の理由は、取消理由通知1の上記「第3」「2」「2-1」「(1)」の理由と同じである。
したがって、上記「第3」「3-2」で検討したとおり、本件訂正請求による訂正により、取消理由通知した記載不備は理由がないものとなったため、同じ理由により、特許異議申立理由の上記「5」「(2)」の理由によっては、請求項1に係る特許が特許法第36条第6項第2号の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであるということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知1、2に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
スロットマシン
【技術分野】
【0001】
本発明は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、該表示結果に応じて入賞が発生可能なスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンは、一般に、外周部に識別情報としての複数種類の図柄が描かれた複数(通常は3つ)のリールを有する可変表示装置を備えており、まず遊技者のBET操作により賭数を設定し、規定の賭数が設定された状態でスタート操作されることによりリールの回転を開始し、各リールに対応して設けられた停止ボタンが操作されることにより回転を停止する。そして、全てのリールの回転を停止したときに入賞ライン上に予め定められた入賞図柄の組み合わせ(たとえば、7-7-7、以下図柄の組み合わせを役とも呼ぶ)が導出されることによって入賞が発生する。
【0003】
役の種類としては、小役、ボーナス役、再遊技役といった種類がある。ここで、小役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止された場合には、小役の種類毎に定められた数のメダルが払い出されるという利益を遊技者が得ることができる。ボーナス役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止された場合には、次のゲームからレギュラーボーナスやビッグボーナスといった遊技者にとって有利な遊技状態へ移行されるという利益を遊技者が得ることができる。再遊技役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止(以下、「再遊技表示結果が導出」などともいう)された場合には、賭数の設定に新たなメダルを消費することなく次のゲームを行うことができるという利益を得ることができる。
【0004】
このようなスロットマシンの中には、ゲームの制御を行う遊技制御手段としてのメイン制御手段から演出の制御を行う演出制御手段としてのサブ制御手段への一方向通信のみ可能となるように両者が接続されており、演出制御手段によって、遊技者にとって有利となるATへの移行有無を報知する連続演出を実行するなどの所定の演出制御状態に制御されると、遊技制御手段が、その後所定役に当選したゲームにおける遊技者の操作態様によって演出制御状態を判別し、フリーズなどの決まった所定制御を実行するスロットマシンが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のようなスロットマシンにおいては、演出制御手段によって演出制御状態に制御されてから遊技制御手段が演出制御状態を判別して所定制御を実行するまでの期間は、その判別に用いられる所定役に当選するか否かに左右されて長くなったり、短くなったりする。そのため、所定制御の実行後に、遊技者が何らかの利益を得て所定制御の実行前よりも有利になるものであれば、演出制御手段により演出制御状態に制御されてから遊技制御手段により所定制御が実行されるまでの期間が長くなってしまった遊技者が不満を感じてしまう問題があった。
【0007】
この発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、演出制御手段により演出制御状態に制御されてから遊技制御手段により所定制御が実行されるまでの期間によって遊技者に不満を感じさせないスロットマシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、
演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、
前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられており、
前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、
前記スロットマシンは、さらに、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する。
上記スロットマシンは、以下のように構成されてもよい。
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、当該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
ゲームの制御を行う遊技制御手段(たとえば、メイン制御部41)と、
前記遊技制御手段から送信された制御情報(たとえば、コマンド)に基づいて演出の制御を行う演出制御手段(たとえば、サブ制御部91)と、
前記可変表示装置に表示結果を導出させる際に操作される導出操作手段(たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8R)とを備え、
前記遊技制御手段と前記演出制御手段とは、前記遊技制御手段から前記演出制御手段への一方向通信のみ可能に接続されており(たとえば、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、一方向のみにしか信号が通過できないように構成されている)、
前記遊技制御手段は、
前記可変表示装置に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段(たとえば、メイン制御部41による内部抽選処理)と、
前記事前決定手段による決定結果と前記導出操作手段の操作とに応じて表示結果を前記可変表示装置に導出させる制御を行う導出制御手段(たとえば、メイン制御部41によるリール回転処理)と、
前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果(たとえば、押し順リプなどの判定用役に当選)となったときに、当該特定決定結果となった旨を判別可能な特定制御情報(たとえば、判定用役当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特定制御情報送信手段(たとえば、図12の判定用役当選コマンド生成、格納処理)と、
前記導出操作手段の操作態様に応じて、所定制御(たとえば、ATフリーズ実行可能制御)を実行する所定制御実行手段(たとえば、所定制御実行処理)とを含み、
前記演出制御手段は、
演出制御状態(たとえば、AT状態)に制御する演出制御状態制御手段(たとえば、AT状態へ制御する処理)と、
前記特定制御情報を受信したときに、前記演出制御状態に対応する前記導出操作手段の操作態様を判別可能な報知情報(たとえば、判定用ナビ演出による押し順報知)を報知する報知手段(たとえば、図30の判定用ナビ演出処理)とを含み、
前記所定制御実行手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるゲームにおいて、前記報知情報から判別可能な操作態様で前記導出操作手段が操作されたことに基づき前記所定制御を実行し、(たとえば、図27に示すように、AT状態に制御された後に判定用役に対する押し順正解が3回となったときにATフリーズ実行可能制御が実行される)、
前記所定制御が実行されているときに、当該所定制御が実行されていないときよりも遊技者にとって有利な有利制御(たとえば、図21のATフリーズ実行ありのときのナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選)を実行する有利制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに備え、
前記演出制御手段は、前記演出制御状態に制御された後、前記所定制御が実行されるまでの期間(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外)において、遊技者にとって有利な特殊制御(たとえば、図20のナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選)を実行する特殊制御実行手段(たとえば、ナビ抽選処理)をさらに含む。
【0009】
このような構成によれば、演出制御状態に対応し、かつ報知情報から判別可能な操作態様で導出操作手段が操作されたことに基づき所定制御を実行され、当該所定制御が実行されているときには、当該所定制御が実行されていないときよりも、遊技者にとって有利な有利制御が実行される。そのため、演出制御状態に制御されたにもかかわらず、なかなか所定制御が実行されずに、遊技者が不満を感じてしまう事態が生じ得る。しかし、演出制御状態に制御された後、所定制御が実行されるまでの期間においては、演出制御手段によって、遊技者にとって有利な特殊制御が実行されるため、演出制御状態に制御されてから所定制御が実行されるまでの期間の長短によって遊技者に不満を感じさせなくすることができる。
【0010】
「遊技制御手段」および「演出制御手段」の双方が「有利制御実行手段」を含むようにしてもよく、あるいは「遊技制御手段」および「演出制御手段」のうちの一方が「有利制御実行手段」を含むようにしてもよい。または、「有利制御実行手段」は「遊技制御手段」および「演出制御手段」のいずれにも含まれないようにしてもよい。
【0011】
「有利制御」による遊技者の有利度と、「特殊制御」による遊技者の有利度とは、同一の有利度であってもよく、あるいは、略同一であってもよい。または、「有利制御」による遊技者の有利度と、「特殊制御」による遊技者の有利度とのうち、一方が他方よりも有利度が高いものであってもよい。
【0012】
(2) 上記(1)のスロットマシンにおいて、
前記演出制御状態は遊技者にとって有利な状態であり、
前記事前決定手段により導出が許容される表示結果には、前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技表示結果(たとえば、通常リプなどの再遊技役の図柄組み合わせ)が含まれ、
前記事前決定手段は、前記演出制御状態に制御されているか否かにかかわらず、前記再遊技表示結果の導出を許容する決定を一定の確率で行う(たとえば、遊技状態の移行がなく、再遊技役の当選確率は変化しない)。
【0013】
このような構成によれば、再遊技表示結果の導出が許容される決定の確率に依存して遊技者の有利度合いが変化するものではないため、演出制御状態に制御されているか否かに応じて遊技者の有利度合いを直接変化させることができる。
【0014】
(3) 上記(1)または(2)のスロットマシンにおいて、
前記演出制御手段は、前記特殊制御によって有利となったことにより遊技者が得られた利益(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選で獲得したナビストック)を、前記所定制御が実行された後の所定タイミング(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得した場合には、その後にAT中ATフリーズ実行可能期間内に移行してから所定ゲームを消化したタイミング)で遊技者に報知する利益報知手段(たとえば、図24の示唆演出実行処理)をさらに含む。
【0015】
このような構成によれば、所定制御が実行されていないにもかかわらず、過度に大きな利益が得られたことに対して、遊技者が不信感を抱いてしまう事態を防止することができる。
【0016】
(4) 上記(1)?(3)のスロットマシンにおいて、
前記所定制御が実行されているときと、前記特殊制御が実行されているときとでは、遊技者を有利にさせる契機が同じである(たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外と、AT中ATフリーズ実行可能期間内とで、ナビストック抽選はAT抽選役に当選したときに実行される)。
【0017】
このような構成によれば、演出制御状態に制御された後であれば、所定制御が実行されているときでも、特殊制御が実行されているときでも、遊技者を有利にさせる契機が同じである。これにより、演出制御状態に制御された後では、その契機が発生することによって何らかの利益が得られることについて遊技者に常に期待させることができる。
【0018】
(5) 上記(1)?(4)のスロットマシンにおいて、
前記遊技制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が特別決定結果(たとえば、AT抽選役に当選)となったときに、当該特別決定結果となった旨を判別可能な特別制御情報(たとえば、AT抽選役に当選した旨の内部当選コマンド)を前記制御情報として前記演出制御手段に対して送信する特別制御情報送信手段(たとえば、メイン制御部41によるコマンド送信処理)と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、前記導出操作手段の操作態様によって、前記演出制御状態を判別可能な演出制御状態判別手段(たとえば、図14の演出制御状態判定処理)とをさらに含み、
前記報知手段は、開始条件が成立(たとえば、AT開始)してから前記演出制御状態判別手段が前記演出制御状態を判別可能となるまでの期間(たとえば、ATが終了するまでの期間、メイン制御部41が演出制御状態を特定するまでの期間)において、前記報知情報を報知し、
前記演出制御手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果と前記特別決定結果とを含む複数種類の決定結果のうちいずれかとなった旨を示唆する決定結果示唆演出(たとえば、当選役示唆演出)を、所定の決定結果示唆条件が成立したときに実行する決定結果示唆演出実行手段(たとえば、図24の示唆演出実行処理)をさらに含み、
前記スロットマシンは、前記報知手段により前記報知情報が報知されるときには、前記決定結果示唆条件は成立しないように設定されている(たとえば、図24のSp8でY、Sp9でYの場合のように、AT中に押し順リプまたは通常リプに当選して判定用ナビ演出を実行するときには当選役示唆演出を実行しない)。
【0019】
このような構成によれば、事前決定手段の決定結果が特定決定結果と特別決定結果とを含む複数種類の決定結果のうちいずれかとなった旨を示唆する決定結果示唆演出が実行されるため、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに報知情報が報知される場合には、決定結果示唆条件が成立しないことにより決定結果示唆演出の実行が規制されるため、決定結果示唆演出を実行したにもかかわらず報知情報の報知によって特定決定結果となったことが遊技者に確定的に認識されてしまい遊技の興趣が低下してしまうような不都合を防ぐことができる。
【0020】
(6) 上記(5)のスロットマシンにおいて、
前記演出制御手段は、特典(たとえば、ナビストック)を付与するか否かを示唆する特典示唆演出(たとえば、ナビストック示唆演出)を、所定の特典示唆条件が成立したときに実行する特典示唆演出実行手段(たとえば、図24の示唆演出実行処理)をさらに含み、
前記スロットマシンは、前記報知手段により前記報知情報が報知されるときには、前記決定結果示唆条件は成立せず、前記特典示唆条件は成立するように設定されている(たとえば、図24のSp7のように、Sp8、Sp9の処理で判定用ナビ演出が実行されているか否かにかかわらず、ナビストック示唆演出を実行する)。
【0021】
このような構成によれば、事前決定手段の決定結果が特定決定結果となったときに報知情報が報知されることで決定結果示唆演出の実行が規制されたとしても、特典示唆条件が成立することにより特典を付与するか否かを示唆する特典示唆演出は規制されずに実行されるため、報知情報が報知されるときでも特典示唆演出によって遊技の興趣を向上させることができる。
【0022】
(7) 上記(1)?(6)のスロットマシンにおいて、
前記演出制御状態制御手段により制御される前記演出制御状態には、通常状態と当該通常状態よりも有利な有利状態(たとえば、AT状態)とが含まれ、
前記遊技制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、前記導出操作手段の操作態様によって、前記演出制御状態を判別可能な演出制御状態判別手段(たとえば、図14の演出制御状態判定処理)をさらに含み、
前記演出制御手段は、
前記有利状態に所定期間制御するとともに終了条件の成立(たとえば、ナビストック1つで50ゲーム消化したとき)で制御中の当該有利状態を終了させる有利状態制御手段と、
前記有利状態に制御する権利(たとえば、ナビストック)を付与するか否かを決定する権利付与決定手段(たとえば、サブ制御部91によるナビストック抽選処理)と、
前記通常状態において付与された権利に基づいて当該通常状態から前記有利状態に制御する有利状態開始制御手段と、
前記有利状態開始制御手段により制御された有利状態でさらなる権利が付与されているときに当該有利状態の終了条件の成立後以降にさらなる権利に基づく有利状態に継続して制御する有利状態継続制御手段とを含み、
前記所定制御実行手段は、前記演出制御状態判別手段が判別した前記演出制御状態に応じて前記所定制御を実行し、
前記報知手段は、前記有利状態において前記特定制御情報を受信したときに当該有利状態に対応する操作手順を判別可能な前記報知情報を報知し、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、特定表示結果(たとえば、押し順リプまたは通常リプの図柄組み合わせ)が導出される操作手順を特定可能な前記報知情報を報知し、
前記演出制御状態判別手段は、前記有利状態開始制御手段が制御する有利状態において特定期間(たとえば、図31に示すように、AT1セット目を特定する期間)で当該有利状態を判別し、前記有利状態継続制御手段が制御する有利状態において当該特定期間より短い所定期間(たとえば、図31に示すように、AT2セット目を特定する期間)で当該有利状態を判別する。
【0023】
このような構成によれば、有利状態であることが判別された場合には、遊技者が有利状態中に報知に従って当該有利状態に対応する操作手順で導出操作手段を操作した結果、有利状態であることが判別された可能性が高い。したがって、通常状態から移行した初回の有利状態から引き続いて移行した再度の有利状態では、初回の有利状態において有利状態に対応する操作手順の報知および特定決定結果に対応する操作手順の報知を経ているので、報知に従って導出操作手段を操作することへの遊技者の意識がすでに高まっており、報知に従わずに導出操作手段を操作するようなことは起こりにくい。このため、再度の有利状態では、有利状態であることを判別する期間を短くすることができる。これにより、有利状態であることを偶然に判別してしまうことを防止しながらも、有利状態が開始するタイミングと有利状態であることを判別するタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0024】
(8) 上記(1)?(6)のスロットマシンにおいて、
可変表示装置は、前記複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能であり、
前記遊技制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となったときに、前記導出操作手段の操作態様によって、前記演出制御状態を判別することが可能な演出制御状態判別手段(たとえば、図14の演出制御状態判定処理)をさらに含み、
前記所定制御実行手段は、前記演出制御状態判別手段が判別した前記演出制御状態に応じて前記所定制御を実行し、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるときに、
前記識別情報が変動表示されている前記複数の可変表示領域のうち前記特定決定結果に応じた可変表示領域に対応する前記導出操作手段が最初に操作される特定手順(たとえば、押し順リプなら中第1停止または右第1停止)によって当該導出操作手段が操作され、その後に残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段が操作されて全ての可変表示領域に表示結果が導出されたときには残りの可変表示領域に対応する当該導出操作手段の操作手順にかかわらず遊技者に対する利益が同一になる特定表示結果の組合せ(押し順リプなら通常リプの図柄組み合わせ)を導出し、
前記特定手順以外の手順(たとえば、押し順リプなら左第1停止)によって前記導出操作手段が操作され、その後に残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段が操作されて全ての可変表示領域に表示結果が導出されたときには前記特定表示結果の組合せを導出せず(たとえば、押し順リプなら通常リプの図柄組み合わせは導出しない)、
前記報知手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果であるときに、前記演出制御状態判別手段が前記演出制御状態を判別するまでの特定期間において前記特定手順および当該演出制御状態を判別するための残りの可変表示領域に対応する前記導出操作手段の操作手順を特定可能な前記報知情報(たとえば、4択の押し順)を報知するとともに当該特定期間の経過後の期間において前記特定手順を特定可能な前記報知情報のみ(たとえば、2択の押し順)を報知する。
【0025】
このような構成によれば、特定期間の経過後は特定手順を判別可能な報知情報のみを報知するので、所定制御が実行された後は演出制御状態を判別するための残りの可変表示領域に対応する導出操作手段の操作手順による導出操作手段の操作を行なくてもよくなり、遊技者の負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施の形態における遊技システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本実施の形態におけるスロットマシンの正面図である。
【図3】スロットマシンの内部構造図である。
【図4】リールの図柄配列を示す図である。
【図5】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図6】小役の種類、小役の図柄組み合わせ、払出枚数、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図7】再遊技役の種類、再遊技役の図柄組み合わせ、作動、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
【図8】小役に関する抽選対象役の組み合わせについて説明するための図である。
【図9】再遊技役に関する抽選対象役の組み合わせについて説明するための図である。
【図10】外部出力信号の出力に関連するブロック図である。
【図11】メイン制御部が実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図12】メイン制御部がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図13】メイン制御部が管理する停止順種別テーブルについて説明するための図である。
【図14】メイン制御部が実行する演出状態判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図15】メイン制御部が実行するベルリプフリーズ実行処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図16】メイン制御部が実行するベルリプフリーズ解除処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図17】ベルリプフリーズの実行とその解除に関する制御内容を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図18】サブ制御部が実行するタイマ割込処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図19】非AT中におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルAについて説明するための図である。
【図20】AT中、かつATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルBについて説明するための図である。
【図21】AT中、かつATフリーズ実行可能期間内におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルCについて説明するための図である。
【図22】サブ制御部が実行するAT信号出力フラグ制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図23】サブ制御部が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図24】サブ制御部による示唆演出実行処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図25】サブ制御部による当選役示唆演出、継続示唆演出、およびナビストック示唆演出の演出内容を説明するための図である。
【図26】ATに関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【図27】ナビストック抽選に関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【図28】変形例におけるメイン制御部がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図29】変形例におけるメイン制御部がゲーム処理中に実行する演出制御状態判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図30】変形例におけるサブ制御部が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【図31】変形例におけるATに関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るスロットマシンを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【0028】
[遊技用システムの構成]
図1は、本発明が適用された本実施の形態における遊技用システムの構成を示す図である。本実施の形態の遊技用システムは、図1に示すように、遊技場において複数配置された遊技島に並設された複数の機種のスロットマシン1と、該スロットマシン1に対して1対1に対応設置された呼び出しランプ装置200と、各スロットマシン1の遊技情報を収集する収集ユニット50、該収集ユニット50にて収集された各遊技情報に基づく遊技情報データをホールコンピュータ140に中継する中継ユニット60と、各中継ユニット60にて中継された当該遊技場に設置されている各スロットマシン1の遊技情報を含む遊技情報データを受信し、該受信した遊技情報データに含まれる各スロットマシン1の遊技情報などを管理するホールコンピュータ140とを含む。
【0029】
本実施の形態における遊技島には、図1に示すように、その側面に複数のスロットマシン1が設置されているとともに、呼び出しランプ装置200が、対応するスロットマシン1の上方位置に設けられており、本実施の形態に用いた該呼び出しランプ装置200は、通常のランプの点灯機能に加えて、その前面に表示部を有することで、各種の遊技情報やメッセージなどの表示機能を有している。
【0030】
また、本実施の形態のスロットマシン1と収集ユニット50とは、図1に示すように信号ケーブル59を介して接続されており、各収集ユニット50はさらに通信ケーブル61を介して中継ユニット60と接続されており、これら収集ユニット50と中継ユニット60とは簡易ローカルエリアネットワークにより双方向にデータ通信可能とされていて、収集ユニット50が各スロットマシン1から出力される後述する各種の信号の入力により収集した遊技情報含む遊技情報データや、遊技状態履歴(状態別データ)を含む遊技状態履歴データを送信するようになっている。
【0031】
さらに、これら各中継ユニット60はハブ57を介して通信ケーブル58にてホールコンピュータ140に接続されていて、中継ユニット60とホールコンピュータ140とが、比較的高速のデータ通信可能なローカルエリアネットワークにより双方向にデータ通信可能とされており、前記中継ユニット60にて各収集ユニット50から送信された送信データが中継されてホールコンピュータ140に送信されることで、該ホールコンピュータ140が各スロットマシン1に関する情報を収集して集中管理できるようになっている。
【0032】
また、本実施の形態の呼び出しランプ装置200も、収集ユニット50と同様に中継ユニット60を介してホールコンピュータ140に接続されており、これら中継ユニット60を介して呼び出しランプ装置200とホールコンピュータ140とが、双方向のデータ通信を実施できるようになっており、各呼び出しランプ装置200が対応するスロットマシン1の機種設定や、遊技情報に関する各種の条件設定などをホールコンピュータ140において実施できるようになっている。
【0033】
[スロットマシンの構成]
まず、本実施の形態に用いたスロットマシン1について以下に説明すると、本実施の形態のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
【0034】
本実施の形態のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図3に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図2に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0035】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図4に示すように、それぞれ「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「白7」、「黒BAR」、「チェリー」、「スイカB」、「ブランク」、「白BAR」、および「黒7」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ20個ずつ描かれている。「ベル」の図柄は、全体的に黄色の絵柄となり、「スイカA」および「スイカB」の図柄は、全体的に緑色の絵柄となり、「チェリー」の図柄は、全体的に赤色の絵柄からなる。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、前面扉1bのリールパネルの略中央に設けられた透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0036】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図5参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0037】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0038】
前面扉1bにおける各リール2L、2C、2Rに対応する位置には、リール2L、2C、2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L、2C、2Rが視認できるようになっている。
【0039】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施の形態ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダルおよび賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジットおよび賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0040】
本実施の形態では、回転を開始した3つのリール2L、2C、2Rのうち、最初に停止するリールを第1停止リールと称し、また、その停止を第1停止と称する。同様に、2番目に停止するリールを第2停止リールと称し、また、その停止を第2停止と称し、3番目に停止するリールを第3停止リールと称し、また、その停止を第3停止あるいは最終停止と称する。また、3つのリール2L、2C、2Rのうち、左リール2Lを第1停止することを左第1停止、中リール2Cを第1停止することを中第1停止、右リール2Rを第1停止することを右第1停止と称する。
【0041】
また、本実施の形態では、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する手順(押し順ともいう)には、順押し、順挟み押し、中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しが含まれる。順押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。また、順挟み押しとは、左リール2Lを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。中左押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。中右押しとは、中リール2Cを第1停止させた後に、右リール2Rを第2停止させる押し順をいう。逆挟み押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、左リール2Lを第2停止させる押し順をいう。逆押しとは、右リール2Rを第1停止させた後に、中リール2Cを第2停止させる押し順をいう。
【0042】
前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、役の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコードなどが表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されていることを点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されていることを点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されていることを点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効であることを点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中であることを点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中であることを点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられたペイアウト表示器13が設けられている。
【0043】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効であることを点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図5参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効であることを点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図5参照)がそれぞれ設けられている。また、前面扉1bにおけるストップスイッチ8L、8C、8Rの下方には、スロットマシン1のタイトルや配当表などが印刷された下部パネルが設けられている。
【0044】
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態および後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図3参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図5参照)が設けられている。
【0045】
筐体1a内部には、図3に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図5参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0046】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0047】
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0048】
本実施の形態のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すればよい。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1(図2参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施の形態では、規定数の賭数として遊技状態にかかわらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1が有効となる。なお、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0049】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組み合わせが後述する小役や再遊技役などの図柄組み合わせであるかを判定するために設定されるラインである。なお、本実施の形態においては、これらの役を「入賞役」や「入賞」ともいい、いずれかの役を構成する図柄の組合せが入賞ライン上に停止することを、入賞する、入賞が発生するなどともいう。
【0050】
本実施の形態では、図1に示すように、リール2Lの中段、リール2Cの中段、リール2Rの中段、すなわち中段に水平方向に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1のみが入賞ラインとして定められている。なお、本実施の形態では、1本の入賞ラインのみを適用しているが、複数の入賞ラインを適用してもよい。
【0051】
たとえば、入賞ラインは、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段、すなわち上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2と、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3と、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4と、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段、すなわち下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5とを含んでいてもよい。
【0052】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0053】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、入賞ラインL1上に予め定められた図柄の組み合わせ(以下、役ともいう)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施の形態では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図2参照)から払い出されるようになっている。
【0054】
なお、本実施の形態では、3つのリールを用いた構成を例示しているが、リールを1つのみ用いた構成、2つのリールを用いた構成、4つ以上のリールを用いた構成としてもよく、2以上のリールを用いた構成においては、2以上の全てのリールに導出された表示結果の組み合わせに基づいて入賞を判定する構成とすればよい。また、本実施の形態では、物理的なリールにて可変表示装置が構成されているが、液晶表示器などの画像表示装置にて可変表示装置が構成されていてもよい。
【0055】
また、本実施の形態におけるスロットマシン1にあっては、ゲームが開始されて各リール2L、2C、2Rが回転して図柄の変動が開始した後、いずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに、当該ストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリールの回転が停止して図柄が停止表示される。ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作から対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するまでの最大停止遅延時間は190ms(ミリ秒)である。
【0056】
リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄コマ数)=1680コマ分の図柄を変動させるので、190msの間では最大で4コマの図柄を引き込むことができることとなる。つまり、停止図柄として選択可能なのは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに表示されている図柄と、そこから4コマ先までにある図柄、合計5コマ分の図柄である。このため、たとえば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とした場合、当該図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができるため、リール2L、2C、2R各々において、ストップスイッチ8L、8Rのうちいずれかが操作されたときに当該ストップスイッチに対応するリールの中段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ライン上に表示させることができる。
【0057】
図5は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図5に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0058】
また、電源基板101には、ホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0059】
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0060】
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11、遊技補助表示器12、1?3BETLED14?16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介してホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0061】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施の形態では0?65535)の乱数を発生させる乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0062】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する処理を行うとともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブルなどの固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域などとして使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0063】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0064】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(メイン)を実行し、一定時間間隔ごとにタイマ割込処理(メイン)を実行する。なお、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0065】
電断処理においては、当該処理の開始にともなってその他の割込処理の実行を禁止する。そして、使用している可能性がある全てのレジスタをRAM41cに退避させる処理が行われる。これにより、電断復旧時に、元の処理に復帰できるようにする。次に、全出力ポートを初期化した後、RAM41cに記憶されている全てのデータに基づいてRAMパリティを計算して所定のパリティ格納領域にセットし、RAMアクセスを禁止する。そして何らの処理も行わないループ処理に入る。すなわち、そのまま電圧が低下すると内部的に動作停止状態になる。よって、電断時に確実にメイン制御部41は動作停止する。このように電断処理においては、その時点のRAMパリティを計算してパリティ格納領域に格納されるようになっており、次回起動時において計算したRAMパリティと比較することで、RAM41cに格納されているデータが正常か否かを確認できるようになっている。
【0066】
次に、リセット回路49は、電源投入時においてメイン制御部41が起動可能なレベルまで電圧が上昇したときにメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を起動させるとともに、メイン制御部41から定期的に出力される信号に基づいてリセットカウンタの値がクリアされずにカウントアップした場合、すなわちメイン制御部41が一定時間動作を行わなかった場合にメイン制御部41に対してリセット信号を出力し、メイン制御部41を再起動させる回路である。
【0067】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。ここで、遊技制御基板40から演出制御基板90へは、たとえば、ダイオードやトランジスタなどの単方向性回路などを用いて、一方向(遊技制御基板40から演出制御基板90への方向)のみにしか信号が通過できないように構成されている。そのため、遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へのコマンド送信は、シリアル通信にて行われる。なお、遊技制御基板40と演出制御基板90とは、直接接続される構成に限らず、たとえば、中継基板を介して接続されるように構成してもよい。
【0068】
演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの電気部品が接続されており、これら電気部品は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56の検出信号が入力されるようになっている。
【0069】
なお、本実施の形態では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55などの演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としてもよく、このような構成では、サブ制御部91および出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
【0070】
また、本実施の形態では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、およびリールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、たとえば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用してもよい。
【0071】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、およびリールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ回路96、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路など、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0072】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達するごと、すなわち一定間隔ごとに割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させるようになっている。
【0073】
また、サブ制御部91にも、停電時においてバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM91cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0074】
[設定値]
本実施の形態のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1?6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0075】
[電断処理]
本実施の形態におけるスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(メイン)を実行する。電断処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。
【0076】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。なお、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0077】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断処理(サブ)を実行する。電断処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
【0078】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、サブCPU91aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0079】
[初期化]
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、非保存ワーク、一般ワーク、特別ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0080】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oの入出力データなど、初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かにかかわらず必ず値が設定されることとなる。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数など、初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、各種ソフトウェア乱数など、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メイン制御部41のレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0081】
本実施の形態においてメイン制御部41は、設定キースイッチ37がonの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37がoffの状態での起動時でRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の5つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる4種類の初期化を行う。
【0082】
[入賞ライン]
本実施の形態のスロットマシン1は、遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。なお、本実施の形態では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1が有効化される。
【0083】
本実施の形態のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ラインL1上に役と呼ばれる図柄の組み合わせが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組み合わせであってもよいし、異なる図柄を含む組み合わせであってもよい。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、メダルを用いることなく賭数が自動設定されて次のゲームを行うことが可能な再遊技役とがある。なお、本実施の形態では、小役と再遊技役のみを備える構成であるが、遊技者にとって有利な遊技状態への移行を伴う特別役を備えていてもよい。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。なお、小役および再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となる。
【0084】
[内部抽選]
以下、本実施の形態の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選用の乱数値(0?65535の整数)を取得する。詳しくは、RAM41cに割り当てられた乱数値格納ワークの値を同じくRAM41cに割り当てられた抽選用ワークに設定する。そして、遊技状態に応じて定められた各役について、抽選用ワークに格納された数値データと、遊技状態を特定するための遊技状態フラグの値、賭数および設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
【0085】
乱数値格納ワークは、スタートスイッチ7の操作と同時にラッチされた数値データが格納される記憶領域であり、新たな数値データがラッチされるごとに、ラッチされた数値データがその後のタイマ割込処理(メイン)において読み出され、乱数値格納ワークに格納された数値データが新たにラッチされた最新の数値データに更新されるようになっている。
【0086】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態フラグ値および設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数値(抽選用ワークに格納された数値データ)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。そして、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。なお、内部当選フラグ格納ワークに設定された当選フラグは、1ゲームごとにクリアされる。
【0087】
[リールの停止制御]
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。メイン制御部41は、リールの回転が開始したとき、およびリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、セキュリティチェックプログラムに格納されているテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
【0088】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。なお、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0089】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスとからなる。
【0090】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、さらに、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0091】
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施の形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、336ステップ(0?335)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを336ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して16ステップ(1図柄が移動するステップ数)ごとに分割した20の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から1?20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も20であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から1?20の図柄番号が割り当てられているので、1番図柄から20番図柄に対して、それぞれ1?20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
【0092】
前述のようにテーブルインデックスおよびテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
【0093】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0094】
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリールおよび当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0095】
次に、メイン制御部41がストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。
【0096】
具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施の形態では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0097】
本実施の形態のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、さらに、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。
【0098】
すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、およびリールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(および停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
【0099】
また、本実施の形態では、滑りコマ数として0?4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0100】
本実施の形態では、いずれかの役に当選している場合には、当選役を入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役が入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
【0101】
本実施の形態においてメイン制御部41は、リール2L、2C、2Rの回転が開始した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。なお、リール回転エラーの発生により、一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リール回転が再開した後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまで、停止操作が未だ検出されていないリールの回転を継続し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことを条件に、対応するリールに表示結果を停止させる制御を行うようになっている。
【0102】
[送信コマンド]
次に、メイン制御部41がサブ制御部91に対して送信するコマンドについて説明する。本実施の形態では、メイン制御部41がサブ制御部91に対して、投入枚数コマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、フリーズコマンド、フリーズ解除コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞番号コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、復帰コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、設定コマンド、設定確認コマンド、ドアコマンド、操作検出コマンド、判定用役当選コマンド、およびAT信号出力コマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブ制御部91は、種類データからコマンドの種類を特定できるようになっている。
【0103】
投入枚数コマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、電断復帰時、または規定数の賭数が設定されていない状態においてメダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、投入枚数コマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、投入枚数コマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。
【0104】
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
【0105】
内部当選コマンドは、内部抽選結果を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
【0106】
フリーズコマンドは、フリーズ(ゲームの進行を所定時間遅延させる制御状態)の開始を特定可能なコマンドであり、フリーズの開始時に送信される。
【0107】
フリーズ解除コマンドは、実行中のフリーズを解除したことを特定可能なコマンドであり、フリーズの解除時に送信される。
【0108】
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
【0109】
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われるごとに送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
【0110】
入賞番号コマンドは、入賞ラインL1に揃った図柄の組み合わせ、入賞の有無、ならびに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
【0111】
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞およびクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
【0112】
復帰コマンドは、メイン制御部41が電断前の制御状態に復帰した旨を示すコマンドであり、メイン制御部41の起動時において電断前の制御状態に復帰した際に送信される。
【0113】
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態を特定可能なコマンドであり、ゲームの終了時に送信される。
【0114】
待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
【0115】
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、RT2終了後、打止状態が開始した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
【0116】
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除、エラー状態の種類を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生およびその種類を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
【0117】
設定コマンドは、設定変更状態の開始または終了、設定変更後設定値を示すコマンドであり、設定変更状態に移行する時点で設定変更状態の開始を示す設定コマンドが送信され、設定変更状態の終了時に設定変更状態の終了および設定変更後の設定値を示す設定コマンドが送信される。また、設定変更状態への移行に伴ってメイン制御部41の制御状態が初期化されるため、設定開始を示す設定コマンドによりメイン制御部41の制御状態が初期化されたことを特定可能である。
【0118】
設定確認コマンドは、設定確認状態の開始または終了を示すコマンドであり、設定確認状態に移行する際に設定確認開始を示す設定確認コマンドが送信され、設定確認状態の終了時に設定確認終了を示す設定確認コマンドが送信される。
【0119】
ドアコマンドは、ドア開放検出スイッチ25の検出状態、すなわちon(開放状態)/off(閉状態)を示すコマンドであり、電源投入時、1ゲーム終了時(ゲーム終了後、次のゲームの賭数の設定が開始可能となる前までの時点)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化(onからoff、offからon)した時に送信される。
【0120】
操作検出コマンドは、操作スイッチ類(MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R)の検出状態(on/off)を示すコマンドであり、一定時間ごとに送信される。
【0121】
判定用役当選コマンドは、判定用役(本実施の形態においては、押し順リプ1、押し順リプ2、通常リプ)に当選したこと、および当選した判定用役の種類を示すコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されて判定用役に当選した場合にゲームが開始したときにコマンドバッファに格納された後送信される。
【0122】
ここで、判定用役とは、当選したときにメイン制御部41により所定の停止順種別が抽選によって決定される役であり、メイン制御部41は、停止順種別によって特定される押し順と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解したことを特定する。なお、判定用役当選コマンドには停止順種別を示す情報も付加される。本実施の形態においては、判定用役として、押し順リプ1、押し順リプ2、および通常リプが定められている。
【0123】
AT信号出力コマンドは、AT(アシストタイム)への制御を示すAT信号を外部出力したことを示すコマンドであり、AT信号の出力命令を設定した際にコマンドバッファに格納された後送信される。
【0124】
ATとは、後述するナビストックを獲得することにより、所定ゲーム数の間、遊技者にとって有利となるナビ演出が実行される期間のことである。ナビ演出とは、AT中に所定の役に当選したときに、遊技者にとって有利となるストップスイッチの押し順を想起させるメッセージが、液晶表示器51に表示されたり、スピーカ53、54によって音声出力されたりする演出のことである。遊技者は、このナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、純増枚数を増やせるなど有利に遊技を進めることができるようになっている。
【0125】
本実施の形態におけるナビ演出には、判定用ナビ演出と、通常のナビ演出とが含まれている。判定用ナビ演出とは、メイン制御部41が、AT中であるか否かを判定するために用いられるナビ演出であり、通常のナビ演出とは、判定用ナビ演出とは異なり、AT中であるか否かを判定するためには用いられないナビ演出である。
【0126】
これらコマンドのうちドアコマンドおよび操作検出コマンド以外のコマンドは、基本処理において生成され、非初期化領域に割り当てられたコマンドバッファ内のコマンドデータを新たに生成したコマンドデータに更新するとともに、シリアル通信回路の送信データレジスタに転送することで、サブ制御部91に送信される。
【0127】
一方、ドアコマンドは、タイマ割込処理(メイン)のドア監視処理において生成され、ドアコマンド格納領域に格納される。ドアコマンド格納領域には、電源投入時または1ゲーム終了時にその時点のドア開放検出スイッチ25の検出状態を示すドアコマンドが格納され、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化した時にその変化後の検出状態を示すドアコマンドが格納される。また、ドアコマンド格納領域に格納されたドアコマンドは、当該ドアコマンドが送信された後もクリアされることがなく、その後、新たに格納されるドアコマンドによって上書きされるようになっている。なお、電源投入時または1ゲーム終了時には、ドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信を要求するドアコマンド送信要求1が設定され、ドアコマンド送信要求1が設定されているか、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化したときに、ドアコマンド送信要求2が設定されるようになっており、このドアコマンド送信要求2が設定されることによりドアコマンド格納領域に格納されているドアコマンドの送信が命令され、その後実行されるタイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理において、コマンドバッファに格納され、シリアル通信回路511に転送することで、サブ制御部91に送信される。
【0128】
また、操作検出コマンドは、タイマ割込処理(メイン)のコマンド送信処理が10回実行されるごとに、スイッチの検出状態に基づいて生成されるとともに、シリアル通信回路に転送することで、サブ制御部91に送信される。
【0129】
[コマンド受信時のサブ制御部91による制御]
次に、メイン制御部41が演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドを受信した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。受信用バッファには、最大で16個のコマンドを格納可能な領域が設けられており、複数のコマンドを蓄積できるようになっている。
【0130】
サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55などの各種演出装置の出力制御を行う。
【0131】
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターンごとに、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様など、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブ制御部91は、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。これにより演出パターンおよび遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
【0132】
なお、サブ制御部91は、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
【0133】
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっており、同じコマンドを受信しても内部当選コマンドの受信時に選択された演出パターンによって異なる制御パターンが選択されるため、結果として演出パターンによって異なる演出が行われることがある。
【0134】
また、サブ制御部91は、メイン制御部41から特定のコマンドを受信した場合に、該特定のコマンドに対応する制御パターンによる演出を行う。たとえば、エラーコマンドを受信した場合に、エラー状態に対応する制御パターンにてエラー報知演出を行い、待機コマンドを受信した場合に、待機状態を示すデモ演出を行う。
【0135】
また、サブ制御部91は、操作検出コマンドから特定されるMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)を時系列にて複数個バッファしておくとともに、これらバッファされているMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態(on/off)に基づいて、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの検出状態が変化したか否かを特定可能とされており、これらの検出状態の変化を特定することで、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作状況を特定できるようになっている。
【0136】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、メイン制御部41から内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドから特定される当選役の種類に応じて、当選役示唆演出または継続示唆演出を実行する。より具体的には、サブ制御部91は、メイン制御部41から受信した内部当選コマンドによって後述するAT抽選役、押し順リプ(押し順リプ1、2)、および通常リプのいずれかに当選したことを特定したときには、AT抽選役、押し順リプ、および通常リプのいずれかの当選を示唆する当選役示唆演出を実行する。ただし、サブ制御部91は、後述する判定用ナビ演出が実行されるときには、当選役示唆演出を実行する代わりに、現在のゲームにおいて制御中の演出制御状態に関する有利度を示唆する継続示唆演出を実行する。本実施の形態では、サブ制御部91は、現在制御中のATが終了した後に次のATに継続するか否かを示唆する継続示唆演出を実行する。さらに、本実施の形態では、サブ制御部91は、後述するナビストック抽選においてナビストックを獲得したか否かを示唆するナビストック示唆演出を実行する。ナビストック示唆演出は、当選役示唆演出とは異なり、判定用ナビ演出が実行されるか否かにかかわらずに実行される。
【0137】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、AT中にメイン制御部41から判定用役当選コマンドを受信した場合に、図21に示す判定用ナビ演出処理を実行する。メイン制御部41は、この判定用ナビ演出に従って遊技者が操作したストップスイッチの押し順に基づき、AT中であるか否かを判定することができるようになっている。
【0138】
また、本実施の形態において、サブ制御部91は、メイン制御部41からAT信号出力コマンドを受信した場合に、図20に示すAT信号出力フラグ制御処理を実行する。AT信号出力フラグは、AT信号が出力されたことを示すフラグであり、サブ制御部91はAT信号出力フラグがセットされているか否かによって、AT中にAT信号が出力されたか否かを識別する。そして、AT中にAT信号が出力されるまでは判定用ナビ演出を実行し、AT信号の出力後以降は判定用ナビ演出ではなく、通常のナビ演出を実行する。
【0139】
[入賞役]
本実施の形態のスロットマシン1においては、入賞ラインL1上に役図柄が揃うと、入賞となる。入賞となる役の種類は、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、再遊技役とがある。
【0140】
遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、内部抽選に当選して、当該役の入賞を許容する旨の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0141】
図6は、小役の種類、小役の図柄組み合わせ、払出枚数、および小役に関連する技術事項について説明するための図である。図7は、再遊技役の種類、再遊技役の図柄組み合わせ、作動、および再遊技役に関連する技術事項について説明するための図である。
【0142】
図6を参照して、入賞役のうち小役について説明する。入賞役のうち小役には、通常ベル、左スイカ1枚1?8、左リプ1枚1?16、チェリー1?3、スイカ1?8、チャンス1、2、1枚1?3が含まれる。小役は、入賞ラインL1において、図6に示す各々の役に対応する図柄の組み合わせが揃ったときに入賞となる。
【0143】
たとえば、通常ベルは、入賞ラインL1上に「ベル-ベル-ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞となり、賭数を設定するためのメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、通常ベルの構成図柄のうちベルは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、後述する内部抽選において通常ベルに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常ベルは取りこぼしのない役である。
【0144】
次に、左スイカ1枚1?8について説明する。左スイカ1枚1?8のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、左スイカ1枚1?8の構成図柄のうちスイカAおよびスイカBは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、左スイカ1枚1?8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、左スイカ1枚1?8のうち複数の役が同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0145】
次に、左リプ1枚1?16について説明する。左リプ1枚1?16のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、左リプ1枚1?16の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、および白BARは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、左リプ1枚1?16のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、左リプ1枚1?16のうち複数の役と通常ベルとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0146】
次に、チェリー1?3について説明する。チェリー1?3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。チェリー1またはチェリー2に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が下段に停止する。そのため、チェリー1およびチェリー2は、下段チェリーまたは弱チェリーともいう。チェリー3に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、チェリー3は、中段チェリーまたは中チェリーともいう。ここで、図4を参照すると、チェリー1?3の構成図柄のうち黒7、黒BAR、およびスイカBは、左リール2Lにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されていない。そのため、チェリー1?3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0147】
次に、スイカ1?8について説明する。スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、5枚のメダルが払い出される。また、スイカ1?8のいずれかに入賞したときには、スイカ図柄が一直線上に揃うように表示結果が導出される。さらに、スイカ7またはスイカ8に入賞したときには、左リール2Lにおいてチェリーの図柄が中段に停止する。そのため、スイカ7およびスイカ8は、中段チェリーまたは強チェリーともいう。ここで、図4を参照すると、スイカ1?8の構成図柄のうちスイカAは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、スイカ1?8のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0148】
次に、チャンス1およびチャンス2について説明する。チャンス1およびチャンス2のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、チャンス1およびチャンス2の構成図柄のうち白BARは、左リール2Lにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、チャンス1またはチャンス2に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0149】
次に、1枚1?3について説明する。1枚1?3のいずれかに入賞したときには、1枚のメダルが払い出される。ここで、図4を参照すると、1枚1?3の構成図柄のうち白BAR、黒7、およびチェリーは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、1枚1?3のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0150】
次に、図7を参照して、入賞役のうち再遊技役について説明する。入賞役のうち再遊技役には、通常リプ、ベルリプ1?5、7揃いリプ、および7フェイクリプ1?5が含まれる。再遊技役は、入賞ラインL1において、図7に示す各々の役に対応する図柄の組み合わせが揃ったときに入賞となる。
【0151】
たとえば、通常リプは、入賞ラインL1上に「リプレイ-リプレイ-リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞となる。ここで、図4を参照すると、通常リプの構成図柄であるリプレイは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、通常リプに単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、通常リプは取りこぼしのない役である。
【0152】
次に、ベルリプ1?4について説明する。ベルリプ1?4は、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組み合わせが揃ったときに入賞となる。図7に示すように、ベルリプ1?4のそれぞれは、異なる図柄の組み合わせから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組み合わせが揃っても、見た目上、入賞ラインL1上にハズレ表示結果が導出されたと遊技者に認識させるようになっている。
【0153】
さらに、ベルリプ1?4に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、および右リール2Rの上段のそれぞれにベル図柄が停止する。このように、ベルリプ1?4のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄の組み合わせが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なるリールの上段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組み合わせが表示される。
【0154】
なお、図4を参照すると、ベルリプ1?4の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、および白BARは、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置されていない。そのため、ベルリプ1?4に単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。なお、本実施の形態においては、ベルリプ1?4すべてと通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0155】
次に、ベルリプ5について説明する。ベルリプ5は、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組み合わせが揃ったときに入賞となる。図7に示すように、ベルリプ5は、異なる図柄の組み合わせから構成されている。そのため、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組み合わせが揃っても、見た目上、入賞ラインL1上にハズレ表示結果が導出されたと遊技者に認識させるようになっている。
【0156】
さらに、ベルリプ5に入賞したときには、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段のそれぞれにベル図柄が停止する。このように、ベルリプ5に入賞したときには、入賞ラインL1上にベルリプ5に対応する図柄の組み合わせが表示されるとともに、入賞ラインL1上とは異なる左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、および右リール2Rの下段に跨った位置にメダルの付与を伴う通常ベルに対応する図柄の組み合わせが表示される。
【0157】
なお、図4を参照すると、ベルリプ5の構成図柄のうちリプレイおよびベルは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されている。そのため、ベルリプ5に単独当選しているときには、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役に入賞するようになっている。つまり、ベルリプ5は取りこぼしのない役である。なお、本実施の形態においては、ベルリプ5と通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0158】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、メイン制御部41により、後述する図15のベルリプフリーズ実行処理によって、ゲームの進行を遅延するベルリプフリーズが実行される。フリーズとは、ゲームの進行を遅延させるためにメイン制御部41が実行する制御のことである。特に、ベルリプフリーズとは、ベルリプ1?5のいずれかが入賞したときのみ行われるフリーズである。ベルリプフリーズが発生すると、これを解除する特定条件が成立するまでの間、次のゲームのスタート操作が無効化される。特定条件は、ベルリプフリーズの開始から所定時間(本実施の形態においては、30秒)経過したこと、MAXBETスイッチ6を用いたMAXBET操作があったこと、および精算スイッチ10を用いたクレジット精算操作があったこと、のいずれかである。ただし、ベルリプフリーズを解除するときのMAXBET操作においては、メダルの消費がされることがない。また、ベルリプフリーズを解除するときのクレジット精算操作においては、クレジットが精算されることがない。
【0159】
前述したように、ベルリプ1?5の入賞図柄の組み合わせは、見た目上、遊技者にハズレ表示結果が導出されたと認識させるようになっている。そのため、仮に、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、同時に通常ベルに対応する図柄の組み合わせが表示されないとすると、ハズレ表示結果が導出されたように見えるにもかかわらず、メダルを消費することなく次のゲームのための賭数が自動設定されるため、遊技者に違和感を与えてしまう。しかしながら、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができる。しかも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに行われるベルリプフリーズを解除するためにはMAXBET操作をする必要があるため、制御的にはベルリプ1?5のいずれかの入賞によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、ベルリプフリーズを解除するためにはクレジット精算操作をする必要があるため、通常ベルが入賞した後にクレジット精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、一向に精算されない上に次のゲームのための賭数が自動設定されるため、導出された結果がベルリプ1?5のいずれかであると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。
【0160】
さらに、本実施の形態において、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出される。これにより、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに、通常ベルの入賞が発生したときにメダルが付与されたときと同じように、遊技者に対してMAXBETスイッチ6や精算スイッチ10の操作を自然に促すことができる。
【0161】
ここで、本実施の形態のように、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出されるものではなく、仮に、賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも少ない1枚や2枚のメダルが払い出される場合、遊技者は次のゲームを開始するためにメダルを投入する可能性がある。この場合、ベルリプフリーズを解除するために、メダルが投入されたことを検知するための装置をメダルセレクタとは別に設ける必要があり、その分、製作コストが掛かったり、処理時間が増えてしまうといった問題がある。しかしながら、本実施の形態におけるスロットマシン1は、通常ベルに入賞したときには、ゲームを開始可能とするために賭数を設定するときに用いられるメダル枚数(3枚)よりも多い8枚のメダルが払い出されるため、遊技者は自然とMAXBETスイッチ6や精算スイッチ10の操作を行うため、上記のような問題は生じない。
【0162】
次に、7揃いリプについて説明する。7揃いリプに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、図4を参照すると、7揃いリプの構成図柄のうち白7は、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。そのため、7揃いリプに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0163】
次に、7フェイクリプ1?5について説明する。7フェイクリプ1?5のいずれかに入賞したときには、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、図4を参照すると、7フェイクリプ1?5の構成図柄のうち白7、黒7、黒BAR、白BARは、左リール2L、中リール2C、右リール2R各々において5コマ以内に配置されていない。そのため、7フェイクリプ1?5のいずれかに単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはない。
【0164】
[抽選対象役]
次に、図8、図9を参照して、抽選対象役として読み出される抽選対象役の組み合わせについて説明する。本実施の形態では、抽選対象役として複数の入賞役が同時に読出されて、重複して当選し得る。図8、図9においては、抽選対象役ごとに入賞役の組み合わせ、所定の設定値(たとえば設定値1)における判定値数、およびリール制御についての内容を示す。入賞役の組み合わせにおいては、入賞役の間に“+”を表記することにより、内部抽選において同時に抽選対象役として読み出されることを示す。判定値数においては、その分母は、内部抽選用の乱数(0?65535の整数)に対応させて、「65536」に設定されている。このため、たとえば、判定値数として「9309」が設定されている抽選対象役である押し順ベル1の当選確率は、9309/65536となる。なお、本実施の形態においては、通常、遊技者が遊技を進行するに際に遊技状態は変化しない。そのため、図8、図9に示すように、それぞれの抽選対象役に対して判定値数は1つだけ設定されている。
【0165】
図8に示すように、本実施の形態における小役の抽選対象役としては、押し順ベル1?4、左スイカ1?4、チェリー1?3、スイカ1?8、チャンス1、2、および1枚1?3が設定されている。また、各々の抽選対象役については、対応する入賞役が読み出される。
【0166】
たとえば、押し順ベル1は、通常ベル+左リプ1枚1+左リプ1枚6+左リプ1枚11+左リプ1枚16+左スイカ1枚1?8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル2は、通常ベル+左リプ1枚2+左リプ1枚5+左リプ1枚12+左リプ1枚15+左スイカ1枚1?8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル3は、通常ベル+左リプ1枚3+左リプ1枚8+左リプ1枚9+左リプ1枚14+左スイカ1枚1?8が読み出される抽選対象役である。押し順ベル4は、通常ベル+左リプ1枚4+左リプ1枚7+左リプ1枚10+左リプ1枚13+左スイカ1枚1?8が読み出される抽選対象役である。なお、押し順ベル1?4は、それぞれ判定値数として「9309」が設定されている。そのため、押し順ベル1?4のいずれかには、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。
【0167】
左スイカ1は、左スイカ1枚1+左スイカ1枚4が読み出される抽選対象役である。左スイカ2は、左スイカ1枚2+左スイカ1枚3が読み出される抽選対象役である。左スイカ3は、左スイカ1枚5+左スイカ1枚8が読み出される抽選対象役である。左スイカ4は、左スイカ1枚6+左スイカ1枚7が読み出される抽選対象役である。ここで、左スイカ1枚1?8は、それぞれ単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはないが、図8に示すように、左スイカ1枚1?8のうち複数の役が同時当選することにより、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。
【0168】
チェリー1?3は、チェリー1?3がそれぞれ読み出される抽選対象役である。スイカ1?8は、スイカ1?8がそれぞれ読み出される抽選対象役である。チャンス1、2は、チャンス1、2がそれぞれ読み出される抽選対象役である。1枚1?3は、1枚1?3がそれぞれ読み出される抽選対象役である。
【0169】
図9に示すように、本実施の形態における再遊技役の抽選対象役としては、通常リプ、押し順リプ1、押し順リプ2、7揃いリプ、フェイクリプ1、およびフェイクリプ2が設定されている。通常リプは、通常リプが読み出される抽選対象役である。なお、通常リプは、判定値数として「8978」が設定されている。そのため、通常リプには、おおよそ7ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。
【0170】
押し順リプ1は、通常リプ+ベルリプ1+ベルリプ2+ベルリプ3+ベルリプ4が読み出される抽選対象役である。ここで、ベルリプ1?4は、それぞれ単独当選しても、ストップスイッチを適正なタイミングで操作しなければ、当選している役に入賞することはないが、図9に示すように、ベルリプ1?4すべてと通常リプとが同時当選するため、ストップスイッチの操作タイミングにかかわらず当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。押し順リプ2は、通常リプ+ベルリプ5が読み出される抽選対象役である。通常リプおよびベルリプ5は取りこぼしがない役であるため、押し順リプ2に当選したときには、当選している役のうちいずれかに入賞するようになっている。なお、押し順リプ1および押し順リプ2は、それぞれ判定値数として「8714」が設定されている。そのため、押し順リプ1および押し順リプ2のいずれかには、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で当選するようになっている。
【0171】
7揃いリプは、7揃いリプが読み出される抽選対象役である。フェイクリプ1は、7フェイクリプ1+7フェイクリプ2+7フェイクリプ3+7フェイクリプ4が読み出される抽選対象役である。フェイクリプ2は、7フェイクリプ5が読み出される抽選対象役である。
【0172】
[押し順ベル当選時のリール制御]
次に、図8を用いて、押し順ベル1?4のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。
【0173】
押し順ベル1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中左押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中右押しされたときには、当選した役のうち左スイカ1?4のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。右第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ5?8のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0174】
押し順ベル2が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚2、左リプ1枚5、左リプ1枚12、および左リプ1枚15のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中左押しされたときには、当選した役のうち左スイカ1?4のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中右押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。右第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ5?8のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0175】
押し順ベル3が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚3、左リプ1枚8、左リプ1枚9、および左リプ1枚14のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ1?4のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆挟み押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆押しされたときには、当選した役のうち左スイカ5?8のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0176】
押し順ベル4が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうち引き込み範囲内で左リプ1枚4、左リプ1枚7、左リプ1枚10、および左リプ1枚13のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。中第1停止されたときには、当選した役のうち左スイカ1?4のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆挟み押しされたときには、当選した役のうち左スイカ5?8のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。逆押しされたときには、当選した役のうち通常ベルに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0177】
ここで、上記のようなリール制御が行われる理由は、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるかが、一義的に決められているからである。
【0178】
たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0179】
入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる具体例を以下に説明する。たとえば、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、図6に示すように、押し順ベル1に含まれるいずれかの役を入賞させるためには、「ベル」、「リプレイ」、「スイカA」、「スイカB」のいずれかを入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させる必要がある。ここで、「ベル」を入賞ラインL1に引き込むよりも、「スイカA」や「スイカB」、もしくは「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んだ方が入賞役の選択肢が多い(たとえば、「ベル」を停止させると入賞役の選択肢は通常ベルの1種類のみだが、「リプレイ」を停止させると入賞役の選択肢は左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16の4種類ある)。そのため、本実施の形態においては、押し順ベル1に当選したときに遊技者が左第1停止をした場合には、入賞の可能性が高い左リプ1枚1、左リプ1枚6、左リプ1枚11、および左リプ1枚16のいずれかを入賞させるための図柄である「リプレイ」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0180】
また、押し順ベル1に当選したときに遊技者が中第1停止をした場合には、当選した役のうち入賞の可能性が高い通常ベルおよび左スイカ1枚1?4のいずれかを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。その後、遊技者が第2停止として左リール2Lを停止させた場合には、入賞の可能性が残った通常ベルおよび左スイカ1枚1?4のうち払出枚数が多い通常ベルを入賞させるための図柄である「ベル」を入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるようになっている。
【0181】
このように、本実施の形態においては、遊技者がストップスイッチを操作したときに、払出枚数が多い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させるか、あるいは、入賞の可能性が高い入賞役を入賞させるための図柄を優先的に入賞ラインL1に引き込んでリールを停止させることで、当選した役のうち押し順に応じて入賞する役を異ならせている。
【0182】
なお、本実施の形態においては、後述するAT中ではない、非AT中のゲームにおいて左第1停止させなかった場合には、左第1停止させたときには科されることのない遊技者にとって不利な所定のペナルティを生じさせる制御が行われる。これは、演出状態が非AT中のゲームにおいて遊技者に中第1停止または右第1停止することを促すためである。つまり、本実施の形態のスロットマシン1は、非AT中のゲームにおいて遊技者に左第1停止させるように設計されている。
【0183】
所定のペナルティとしては、後述するナビストックを付与するか否かのナビストック抽選において、ナビストック付与の当選確率が著しく低い確率に設定されるようになったり、後述するATフリーズが実行されなくなったりする。これにより、ペナルティが科されてしまうと、遊技者にとって有利となるATに制御されにくくなるため、ペナルティが科されないように、遊技者は非AT中に左第1停止でストップスイッチを操作するようになる。
【0184】
図8で示したように、非AT中に押し順ベル1?4のいずれかに当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、左リプ1枚1?16のいずれかに入賞する。また、仮に遊技者がペナルティを犯しながら中第1停止または右第1停止をしても、払い出しの多い通常ベルを入賞させるための押し順は分からない。そのため、非AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル1枚の払い出しとなる。その結果、非AT中においては、メダルの純増枚数を増やすことが困難となる。
【0185】
一方、AT中に押し順ベル1?4のいずれかに当選したときには、中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、後述するナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、通常ベルに入賞する。そのため、AT中においては、おおよそ2ゲームに1回ほどの頻度でメダル8枚の払い出しとなる。その結果、AT中においては、非AT中に比べてメダルの純増枚数を増やすことが可能となる。
【0186】
[押し順リプ当選時のリール制御]
次に、図9を用いて、押し順リプ1および押し順リプ2のいずれかに当選した時のリール制御について説明する。
【0187】
押し順リプ1が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうちベルリプ1?4のいずれかに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。一方、押し順リプ1が当選したゲームにおいて中第1停止または右第1停止されたときには、当選した役のうち通常リプに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0188】
押し順リプ2が当選したゲームにおいて左第1停止されたときには、当選した役のうちベルリプ5に対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。一方、押し順リプ2が当選したゲームにおいて中第1停止または右第1停止されたときには、当選した役のうち通常リプに対応する図柄組み合わせを入賞ラインL1に揃えて停止させるリール制御が行われる。
【0189】
このように、本実施の形態においては、遊技者によるストップスイッチの操作態様に応じて、ベルリプ1?5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、いずれにおいてもメダルを用いることなく次のゲームを行うことができる点では同じでも、入賞の種類を異ならせることにより異なる遊技性をもたせることができる。
【0190】
また、図9で示したように、非AT中に押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときには、遊技者が左第1停止をする限り、ベルリプ1?5のいずれかに入賞する。そのため、非AT中においては、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度でベルリプ1?5が入賞して、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。ここで、前述したように、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、遊技者に対して、見た目上、通常ベルに入賞したかのように思わせることができる。そのため、非AT中においては、実際は、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で次のゲームが再遊技となっているが、遊技者の中には、おおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で通常ベルの入賞によって、賭数に用いられるメダル枚数以上のメダル払い出しを受けているかのように思わせることができる。
【0191】
一方、AT中に押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときには、遊技者は中第1停止または右第1停止をしてもペナルティが科されないため、中第1停止または右第1停止を促す後述のナビ演出に従ってストップスイッチを操作することにより、通常リプに入賞する。そのため、AT中においては、通常リプに単独当選したときにおおよそ7ゲームに1回ほどの頻度で通常リプが入賞するのに加えて、押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときにもおおよそ3ゲームに1回ほどの頻度で通常リプが入賞して、メダルを用いることなく次のゲームを行うことが可能となる。これにより、実際は、遊技状態の移行はないため再遊技役の当選確率は向上しないが、遊技者に対して、ATに制御されたと同時に遊技状態が移行してあたかも再遊技役の当選確率が向上したかのように思わせることができる。
【0192】
このように、本実施の形態においては、ATに制御されたか否かに応じて、ベルリプ1?5および通常リプのうち発生する入賞が異なるため、ATに制御されたか否か、さらには、いずれの再遊技役を入賞させるためのナビ演出を実行するかに応じて、入賞の種類を異ならせることができ、遊技の進行に応じた制御を実行することができる。
【0193】
[外部出力について]
本実施の形態のスロットマシン1は、遊技状態やエラーの発生状況などを示す外部出力信号を出力する。これら外部出力信号は、図10に示すように、メイン制御部41の制御により遊技制御基板40より出力され、外部出力基板1000、スロットマシン1が設置される遊技店(ホール)の情報提供端子板1010を介してホールコンピュータやスロットマシン1に対応して設置されたデータ表示端末などの外部機器に出力されるようになっている。
【0194】
遊技制御基板40から外部出力基板1000に対しては、賭数の設定に用いられたメダル数を示すメダルIN信号、入賞の発生により遊技者に付与されたメダル数を示すメダルOUT信号、ATの開始を示すAT信号、前面扉1bが開放中の旨を示すドア開放信号、設定変更モードに移行している旨を示す設定変更信号、メダルセレクタの異常を示す投入エラー信号、ホッパーユニット34の異常を示す払出エラー信号がそれぞれ出力される。
【0195】
なお、本実施の形態では、他のスロットマシンとの共通化を図るため、遊技制御基板40と外部出力基板1000との間には、上記の信号を出力する信号線に加えて、遊技状態を示す予備の信号線が接続されており、さらに将来拡張する可能性のあるエラー出力用の信号線が接続されている。
【0196】
外部出力基板1000には、リレー回路1001、パラレル・シリアル変換回路1002、出力信号ごとの端子が設けられ、情報提供端子板1010の回路と電気的に接続するための接続されるコネクタ1003が設けられている。
【0197】
遊技制御基板40から出力された信号のうち、メダルIN信号、メダルOUT信号、AT信号は、リレー回路1001を介して、そのままパルス信号として情報提供端子板1010に出力される。これに対してドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号は、パラレル・シリアル変換回路1002にて、これらの信号を個別に識別可能なシリアル信号であるセキュリティ信号に変換して情報提供端子板1010に出力される。
【0198】
これら外部出力基板1000から出力されたメダルIN信号、メダルOUT信号、AT信号は、情報提供端子板1010を介して外部機器へ出力される。一方、外部出力基板1000から出力されたセキュリティ信号は、情報提供端子板1010にて再度、ドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号に再変換されて外部機器へ出力されることとなる。
【0199】
外部出力信号は、ドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を含むが、これらドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号は、頻繁に出力される信号ではないため、これらの信号に対して個々に外部出力用の端子を設ける必要性は低い。このため本実施の形態では、上述のように遊技制御基板40から出力された外部出力信号を、外部出力基板1000を介して、外部機器に出力するとともに、これら外部出力信号のうちドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を、外部出力基板1000に搭載されたパラレル・シリアル変換回路1002によって、これらの信号を個別に識別可能なシリアル信号であるセキュリティ信号に変換して外部に出力するようになっており、これらドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、払出エラー信号を1本の端子から出力することが可能となり、必要以上に多くの端子を設ける必要がなくなる。
【0200】
なお、本実施の形態のように、外部出力信号のうちドア開放信号、設定変更信号、投入エラー信号、および払出エラー信号をまとめてセキュリティ信号に変換して外部出力するものに限らない。たとえば、ドア開放信号のみを、設定変更信号、投入エラー信号、および払出エラー信号とは別の信号で外部出力するものであってもよい。つまり、設定変更信号、投入エラー信号、および払出エラー信号は、セキュリティ信号に含まれて外部出力され、ドア開放信号は、セキュリティ信号とは別のドア開放信号によって外部出力されるものであってもよい。このようにすれば、メダルを補充するときなどのように、エラー時や設定変更時よりも頻繁に行われる可能性のあるドア開放時においては、エラー時や設定変更時とは別の信号が出力されることになる。その結果、セキュリティ信号に一つにまとめて出力される場合と比べて、エラー時や設定変更時と、ドア開放時とを切り分ける判定時間を省略することができ、判定処理を簡素化することができる。さらに、エラー時や設定変更時においては、必ずドア開放も同時にされることになるため、セキュリティ信号による検出とドア開放信号による検出とで2重チェックをすることができ、より詳細により正確に、エラーや設定変更の発生有無を判定することができる。
【0201】
次に、本実施の形態におけるメイン制御部41が実行する各種制御内容を以下に説明する。
【0202】
[ゲーム処理]
図11は、メイン制御部41が設定変更処理の後に実行するゲーム処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0203】
ゲーム処理では、BET処理(Sd1)、内部抽選処理(Sd2)、判定用役当選コマンド生成、格納処理(Sd3)、リール回転処理(Sd4)、演出制御状態判定処理(Sd5)、入賞判定処理(Sd6)、ベルリプフリーズ実行処理(Sd7)、ベルリプフリーズ解除処理(Sd8)、払出処理(Sd9)、ゲーム終了時処理(Sd10)を順に実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再びBET処理に戻る。
【0204】
Sd1のステップにおけるBET処理では、メイン制御部41は、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作された時点でゲームを開始させる処理を実行する。また、BET処理では、メイン制御部41は、ゲームを開始させる処理として、スタートスイッチ7が操作された時点で、設定された賭数に用いられたメダル数分のメダルIN信号の出力を命令する出力命令をRAM41cに設定する。
【0205】
Sd2のステップにおける内部抽選処理では、メイン制御部41は、Sd1のステップにおけるスタートスイッチ7の検出によるゲーム開始と同時にラッチされた内部抽選用の乱数値に基づいて上記した各役への入賞を許容するかどうかを決定する処理を行う。この内部抽選処理では、それぞれの抽選結果に基づいて、RAM41cに当選フラグが設定される。
【0206】
Sd3のステップにおける判定用役当選コマンド生成、格納処理では、メイン制御部41は、後述する図12で示すように、判定用役に当選したときに正解となる押し順を付加した判定用役当選コマンドを生成するとともに、生成したコマンドをコマンドバッファに格納する処理を実行する。
【0207】
Sd4のステップにおけるリール回転処理では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rを回転させる処理、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されたことに応じて対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる処理を実行する。
【0208】
Sd5のステップにおける演出制御状態判定処理では、メイン制御部41は、後述する図14で示すように、サブ制御部91が制御する演出制御状態を特定し、特定した演出制御状態に基づき、所定制御を実行する。なお、本実施の形態において、メイン制御部41は、サブ制御部91の演出制御状態として、AT中であるか否かを特定する。また、メイン制御部41は、AT中であると特定したときには、所定制御として、AT信号を外部出力するとともに、ATフリーズを実行可能な状態にゲームを制御する。
【0209】
ATフリーズとは、後述するAT抽選役に当選したときにナビストック抽選とともに実行される可能性のあるフリーズである。ATフリーズは、AT抽選役に当選したときに、50%の確率で実行され、すべてのリールが回転したまま、所定時間(本実施の形態においては、30秒間)経過するまでゲームの進行が遅延される。後述する図21に示すように、このATフリーズが実行されることにより、ナビストック抽選において、より多くのナビストックがより高確率で付与されるため、遊技者は有利な結果を得る可能性が高くなる。なお、本実施の形態においては、ATフリーズが実行可能とする状態への制御を「ATフリーズ実行可能制御」とも称し、ATフリーズ実行可能制御がされている期間を「ATフリーズ実行可能期間」とも称する。
【0210】
Sd6のステップにおける入賞判定処理では、メイン制御部41は、Sd4のステップにおいて全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止したと判定した時点で、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果に応じて入賞が発生したか否かを判定する処理を実行する。
【0211】
Sd7のステップにおけるベルリプフリーズ実行処理では、メイン制御部41は、後述する図15で示すように、ベルリプ1?5のいずれかが入賞したときに、ベルリプフリーズを実行する。
【0212】
Sd8のステップにおけるベルリプフリーズ解除処理では、メイン制御部41は、後述する図16で示すように、ベルリプフリーズの制御中において、特定条件が成立したときに、ベルリプフリーズを解除する。
【0213】
Sd9のステップにおける払出処理では、メイン制御部41は、Sd6のステップにおいて入賞の発生が判定された場合に、その入賞に応じた払出枚数に基づきクレジットの加算ならびにメダルの払出などの処理を行う。また、払出処理では、メイン制御部41は、クレジットの加算ならびにメダルの払出により遊技者に対して付与されたメダル数分のメダルOUT信号の出力を命令する出力命令をRAMに設定する。
【0214】
Sd10のステップにおけるゲーム終了時処理では、メイン制御部41は、次のゲームに備えて遊技状態を設定する処理を実行する。
【0215】
[判定用役当選コマンド生成、格納処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のSd3のステップで実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理について説明する。図12は、メイン制御部41がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0216】
図12に示すように、メイン制御部41は、押し順リプ(押し順リプ1、2)または通常リプに当選したか否かを判定することにより、判定用役に当選したか否かを判定する(Sh1)。メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選していない場合には(Sh1でN)、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選した場合には(Sh1でY)、後述する図13の停止順種別テーブルに基づき、押し順リプまたは通常リプに対する判定用の押し順を決定する(Sh2)。
【0217】
押し順リプまたは通常リプに対する停止順種別を決定して押し順を決定した後は、メイン制御部41は、判定用役に当選したことを示す判定用役当選フラグをRAM41cの所定領域にセットする(Sh3)。その後、メイン制御部41は、判定用役に当選したこと、当選した判定用役の種類、および決定した停止順種別を示す判定用役当選コマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファに格納する(Sh4)。その後、メイン制御部41は、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。
【0218】
[停止順種別テーブル]
ここで、図12のSh2の処理において用いられる停止順種別テーブルについて説明する。図13は、メイン制御部が管理する停止順種別テーブルについて説明するための図である。
【0219】
停止順種別テーブルにおいては、判定用役である押し順リプ(押し順リプ1、2)および通常リプのそれぞれに対して、停止順種別0?3の4種類の停止順種別が対応付けられている。さらに、停止順種別0?3のそれぞれにおいては、サブ制御部91が判定用ナビ演出によって遊技者に対して報知するストップスイッチの押し順、実際に遊技者がストップスイッチを操作した押し順、およびメイン制御部41が判定するサブ制御部91の演出制御状態(AT中か否か)が対応付けられている。
【0220】
メイン制御部41は、押し順リプ(押し順リプ1、2)または通常リプが当選したときに、Sh2で選択する停止順種別に基づいて決定する判定用の押し順に応じて、サブ制御部91の演出制御状態を以下のように判定する。
【0221】
メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別0を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順である中左押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中左押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別0が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別0に対応付けられた中左押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。なお、AT信号を出力した後は新たなセットのATが開始されるまで中第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出を実行する。なお、押し順リプ1または押し順リプ2に当選したときの判定用ナビ演出は、4択の押し順(中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押し)の中の1つの押し順が報知されるため、4択ナビとも称し、通常のナビ演出は、2択の押し順(中第1停止、右第1停止)の中の1つの押し順が報知されるため、2択ナビとも称する。
【0222】
メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別1を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別1に対応付けられた判定用の押し順である中右押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中右押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別1が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別1に対応付けられた中右押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0223】
メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別2を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別2に対応付けられた判定用の押し順である逆挟み押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が逆挟み押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別2が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別2に対応付けられた逆挟み押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0224】
メイン制御部41は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別3を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別3に対応付けられた判定用の押し順である逆押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が逆押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、押し順リプ1または押し順リプ2の当選時に停止順種別3が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別3に対応付けられた逆押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0225】
また、メイン制御部41は、通常リプの当選時に停止順種別0を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順である中左押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中左押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、通常リプの当選時に停止順種別0が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別0に対応付けられた中左押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。なお、AT信号を出力した後は新たなセットのATが開始されるまで中第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出を実行する。なお、通常リプに当選したときの判定用ナビ演出は、4択の押し順(中左押し、中右押し、逆挟み押し、逆押し)の中の1つの押し順が報知されるため、4択ナビとも称し、通常のナビ演出は、2択の押し順(中第1停止、右第1停止)の中の1つの押し順が報知されるため、2択ナビとも称する。
【0226】
メイン制御部41は、通常リプの当選時に停止順種別1を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別1に対応付けられた判定用の押し順である中右押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が中右押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、通常リプの当選時に停止順種別1が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別1に対応付けられた中右押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0227】
メイン制御部41は、通常リプの当選時に停止順種別2を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別2に対応付けられた判定用の押し順である逆挟み押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が逆挟み押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、通常リプの当選時に停止順種別2が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別2に対応付けられた逆挟み押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0228】
メイン制御部41は、通常リプの当選時に停止順種別3を選択した場合に、実際の押し順が停止順種別3に対応付けられた判定用の押し順である逆押しの場合にはAT中であると判定し、実際の押し順が逆押し以外の場合にはAT中でないと判定する。一方、サブ制御部91は、通常リプの当選時に停止順種別3が選択された場合に、AT中でAT信号を出力する前では停止順種別3に対応付けられた逆押しの押し順を報知する判定用ナビ演出を実行する。
【0229】
ここで、本実施の形態においては、判定用ナビ演出により判別可能なストップスイッチの押し順には、通常リプを入賞させるためのストップスイッチの押し順と同じ中第1停止または右第1停止が含まれている。たとえば、図13に示すように、押し順リプ1に当選したときに停止順種別0に対応付けられた押し順は「中左押し」であるのに対し、図9に示すように、押し順リプ1に当選したときに通常リプを入賞させるときの押し順には「中第1停止」が含まれる。これにより、通常リプを入賞させるためのストップスイッチの押し順を、メイン制御部41におけるATであるか否かの特定および所定制御の実行に用いることができるとともに、メイン制御部41が特定したATであるか否かに応じて所定制御を実行することができる。
【0230】
[演出制御状態判定処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のSd5のステップで実行する演出制御状態判定処理について説明する。図14は、メイン制御部が実行する演出状態判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0231】
図14に示すように、メイン制御部41は、図12のSh4で判定用役当選フラグがセットされたか否かを判定する(Sk1)。すなわち、押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定する。メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされていない場合には(Sk1でN)、演出制御状態判定処理を終了する。
【0232】
メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされている場合には(Sk1でY)、ストップスイッチの実際の押し順と図12のSh2で選択した停止順種別に基づいて決定した判定役用の押し順とを比較する(Sk2)。メイン制御部41は、押し順が一致した場合には(Sk3でY)、判定用役に対する押し順と実際の押し順とが一致した回数をカウントする押し順判定カウンタのカウント値に「1」加算する(Sk4)。
【0233】
次に、メイン制御部41は、押し順判定カウンタのカウント値が「3」になったか否かを判定する(Sk5)。すなわち、メイン制御部41は、判定用役の押し順と実際の押し順が一致した回数が連続して3回になったか否かを判定する。メイン制御部41は、カウント値が「3」でなければ(Sk5でN)、演出制御状態判定処理を終了する。
【0234】
一方、メイン制御部41は、カウント値が「3」であれば(Sk5でY)、ATが開始されたことを特定したため、RAM41cの所定領域に所定制御フラグをセットする(Sk6)。ここで、3回連続して押し順が一致したときに押し順判定カウンタのカウント値は「3」になるので、AT中の判定用ナビ演出に従ってストップスイッチを操作した結果、押し順が連続して一致した可能性が高い。よって、このとき、メイン制御部41は、ATが開始されたことを特定し、後述する所定制御実行処理において所定制御を実行する。なお、本実施の形態における所定制御として、メイン制御部41は、ATに移行したことを示すAT信号の出力命令を設定するとともに、ATフリーズ実行可能制御を行う。次に、メイン制御部41は、判定用役当選フラグをクリアして演出制御状態判定処理を終了する(Sk7)。
【0235】
また、メイン制御部41は、Sk3でストップスイッチの実際の押し順と図12のSh2で決定した判定役用の押し順とを比較した結果、押し順が一致しなかった場合には(Sk3でN)、押し順判定カウンタのカウント値をクリアし(Sk8)、判定用役当選フラグをクリアして演出制御状態判定処理を終了する(Sk7)。このように、押し順が一致しなかったときに押し順判定カウントのカウント値をクリアするので、押し順判定カウンタは連続して押し順が一致した回数をカウントすることになる。
【0236】
[所定制御実行処理]
次に、メイン制御部41が定期的(約0.56ms)にゲーム処理などに割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)において実行する所定制御実行処理について説明する。
【0237】
所定制御実行処理において、メイン制御部41は、まず、RAM41cの所定領域に所定制御フラグがセットされているか否かを判定する。メイン制御部41は、所定制御フラグがセットされている場合には、所定制御を実行する。
【0238】
より具体的には、メイン制御部41は、所定制御フラグに基づき、AT信号の出力命令を設定し、後述する外部出力制御処理においてAT信号を外部出力する。なお、AT信号を受信したデータ表示端末などの外部機器は、ATに移行した旨、およびATのセット回数を画面に表示するなどして遊技者に報知する。さらに、メイン制御部41は、所定制御フラグに基づき、ATフリーズ実行可能制御を行い、ATフリーズを実行可能な状態にゲームを制御する。
【0239】
[外部出力制御処理]
次に、メイン制御部41が定期的(約0.56ms)にゲーム処理などに割り込んで実行するタイマ割込処理(メイン)において実行する外部出力制御処理について説明する。
【0240】
外部出力制御処理において、メイン制御部41は、まず、AT信号の出力命令が設定されているか否かを判定する。メイン制御部41は、AT信号の出力命令が設定されていれば、AT信号を外部出力する。これにより、データ表示端末などの外部機器において、ATに移行した旨、およびATのセット回数が画像で表示されるなどして遊技者に報知される。なお、その他の信号(メダルIN信号、メダルOUT信号など)も外部出力制御処理において外部出力されるようになっている。
【0241】
[ベルリプフリーズ実行処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のSd7のステップで実行するベルリプフリーズ実行処理について説明する。図15は、メイン制御部が実行するベルリプフリーズ実行処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0242】
図15に示すように、メイン制御部41は、図11のSd6の入賞判定処理において、ベルリプ1?5のいずれかが入賞した結果を得られたか否かを判定する(Sr1)。メイン制御部41は、ベルリプ1?5のいずれにも入賞していないと判定したときには(Sr1でN)、ベルリプフリーズ実行処理を終了する。
【0243】
一方、メイン制御部41は、ベルリプ1?5のいずれかが入賞したと判定したときには(Sr1でY)、ベルリプフリーズを実行する(Sr2)。その後、メイン制御部41は、ベルリプフリーズ実行処理を終了する。
【0244】
[ベルリプフリーズ解除処理]
次に、メイン制御部41がゲーム処理のSd8のステップで実行するベルリプフリーズ解除処理について説明する。図16は、メイン制御部が実行するベルリプフリーズ解除処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0245】
図16に示すように、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの実行中であるか否かを判定する(St1)。メイン制御部41は、ベルリプフリーズの実行中ではないと判定したときには(St1でN)、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
【0246】
一方、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの実行中であると判定したときには(St1でY)、ベルリプフリーズの開始から所定時間(本実施の形態においては、30秒)経過したか否かを判定する(St2)。メイン制御部41は、ベルリプフリーズの開始から所定時間経過したと判定したときには(St2でY)、ベルリプフリーズを解除し、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
【0247】
一方、メイン制御部41は、ベルリプフリーズの開始から所定時間経過していないと判定したときには(St2でN)、遊技者によるMAXBETスイッチ6を用いたMAXBET操作があったか否かを判定する(St3)。メイン制御部41は、遊技者によるMAXBET操作があったと判定したときには(St3でY)、ベルリプフリーズを解除し、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
【0248】
一方、メイン制御部41は、遊技者によるMAXBET操作がないと判定したときには(St3でN)、遊技者による精算スイッチ10を用いたクレジット精算操作があったか否かを判定する(St4)。メイン制御部41は、遊技者によるクレジット精算操作があったと判定したときには(St4でY)、ベルリプフリーズを解除し、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
【0249】
一方、メイン制御部41は、遊技者によるクレジット精算操作がないと判定したときには(St4でN)、ベルリプフリーズ解除処理を終了する。
【0250】
[ベルリプフリーズの実行とその解除に関する制御内容の一例]
ここで、ベルリプフリーズの実行とその解除に関する制御内容の一例を説明する。図17は、ベルリプフリーズの実行とその解除に関する制御内容を説明するためのタイミングチャートの一例を示す図である。図17に示す例では、あるNゲーム目においてベルリプ1?5のいずれかに入賞したときにベルリプフリーズが実行され、特定条件が成立することによってベルリプフリーズが解除されて次のN+1ゲーム目が開始可能となる開始前状態に制御される場合が示されている。
【0251】
ここで、開始前状態とは、次のゲームが開始可能となる状態であり、本実施の形態においては、次のゲームが開示されるための遊技者によるスタートスイッチ7の操作待ち状態のことである(後述するタイミングt4の状態)。つまり、この開始前状態になると、遊技者がスタートスイッチ7を操作することで次のゲームが開始される。なお、これに限らず、開始前状態は、次のゲームを開始するための賭数を設定可能な状態であってもよい(後述するタイミングt3の状態)。
【0252】
なお、図17においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したとき、ベルリプフリーズが実行されたとき、特定条件が成立(所定時間経過、MAXBET操作、クレジット精算操作)したとき、次のゲームの賭数が自動設定されたとき、およびスタートスイッチ7が操作されたときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。また、図17においては、1ゲームが実行されるごとに、OFFからONに切り替わるように示している。
【0253】
図17に示すように、タイミングt1においてNゲーム目が開始され、タイミングt2においてNゲーム目の最終結果として、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したとする。ベルリプ1?5のいずれかに入賞したとき、ベルリプフリーズが実行されて、すべてのリールが最終停止された状態でゲームの進行が遅延される。その後、タイミングt3において、ベルリプフリーズの開始から所定時間の経過、MAXBET操作、およびクレジット精算操作のいずれかがなされることで特定条件が成立すると、ベルリプフリーズが解除される。これにより、賭数の自動設定が行われて、次のN+1ゲーム目が開始可能となる開始前状態に制御される。次に、タイミングt4において、遊技者によりスタートスイッチ7を用いたスタート操作が行われることにより、タイミングt5からN+1ゲーム目が開始される。
【0254】
このように、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかの入賞が発生したときに、遊技者に対して、一見、通常ベルの入賞が発生したかのように認識させることができる。しかも、MAXBET操作があると開始前状態となるため、制御的にはベルリプ1?5のいずれかの入賞によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して通常ベルが入賞した後にMAXBET操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、クレジット精算操作があると開始前状態となるため、通常ベルが入賞した後にクレジット精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、一向に精算されない上に次のゲームのための賭数が自動設定されるため、導出された結果がベルリプ1?5のいずれかであると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。
【0255】
[遊技状態について]
次に、本実施の形態における遊技状態について説明する。本実施の形態においては、1つの遊技状態のみが設定されており、役の当選や入賞などに応じて複数の遊技状態の間を遷移するようなものではない。そのため、スロットマシン1は、遊技状態に応じて再遊技役の当選確率を向上させることで有利に遊技を進めるような遊技性を有するものではない。
【0256】
ここで、スロットマシン1は、再遊技役の当選確率の高低によって、遊技者間での有利度合いが変化するものではないが、その分、ATに制御されることは遊技者にとって非常に重要となる。つまり、再遊技役の当選確率が遊技状態に応じて変化しないスロットマシン1では、図8で示したようにAT中に通常ベルを入賞させてメダルの純増枚数を増やすことで有利に遊技を進めることが、勝敗を分ける重要な要素となる。
【0257】
本実施の形態においては、メイン制御部41がサブ制御部91によってATに制御されたことを特定したときに外部出力制御処理においてAT信号を外部出力することで、データ表示端末などの外部機器により、ATに移行した旨、およびATのセット回数を画面に表示するなどして遊技者に報知するようになっている。これにより、外部機器により、ATに移行した旨、およびATのセット回数が報知されたときには、ATに対する大きな期待をもっている遊技者に対して、大きな喜びを享受させることができるようになっている。
【0258】
次に、本実施の形態におけるサブ制御部91が実行する各種制御内容を以下に説明する。
【0259】
[タイマ割込処理(サブ)]
図18は、サブ制御部91が内部クロックのカウント値に基づいて1.12秒の間隔で実行するタイマ割込処理(サブ)のフローチャートである。
【0260】
図18に示すように、タイマ割込処理(サブ)においては、サブ制御部91は、まず、使用中のレジスタをスタック領域に退避する(Sb1)。次に、サブ制御部91は、停電判定処理を行う(Sb2)。停電判定処理では、サブ制御部91は、電断検出回路48から電圧低下信号が入力されているか否かを判定し、電圧低下信号が入力されていれば、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていたか否かを判定し、前回の停電判定処理でも電圧低下信号が入力されていた場合には停電と判定し、その旨を示す電断フラグを設定する。
【0261】
Sb2のステップにおける停電判定処理の後、サブ制御部91は、電断フラグが設定されているか否かを判定し(Sb3)、電断フラグが設定されていた場合には(Sb3でY)、電断処理(サブ)に移行する。電断処理(サブ)では、サブ制御部91は、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるバックアップフラグをバックアップデータの作成後にセットしたり、起動処理(サブ)においてバックアップが正常に行われたか否かを判定する際に用いるチェックサムをバックアップデータの排他的論理和を算出して計算するなどの処理を実行する。
【0262】
サブ制御部91は、電断フラグが設定されていない場合には(Sb3でN)、コマンド解析処理を実行する(Sb4)。コマンド解析処理では、サブ制御部91は、コマンドバッファにコマンドが格納されているか否かを判定し、コマンドバッファにコマンドが格納されていればコマンドバッファからコマンドを取得する。そして、取得したコマンドに応じた処理を実行する。
【0263】
次に、サブ制御部91は、ナビストックを付与するか否かを決定するナビストック抽選処理を実行する(Sb5)。
【0264】
次に、サブ制御部91は、Sb5のナビストック抽選処理におけるナビストック抽選に当選した場合に、通常状態(非AT)からナビ演出が実行されるAT(アシストタイム)に制御し、ATでのゲームを実行するAT制御処理を実行する(Sb6)。ATの終了条件が成立したときのナビストックが残っている場合には、ナビストックを1つ消化するとともに新たな1セットのATを継続して実行する。
【0265】
次に、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT信号を出力したことを示すAT信号出力フラグをセットまたはクリアなどすることにより、メイン制御部41がAT信号を出力済みであるか否かを識別するAT信号出力フラグ制御処理を実行する(Sb7)。
【0266】
次に、サブ制御部91は、AT中に判定用役に当選した場合に判定用ナビ演出を実行する判定用ナビ演出処理を実行する(Sb8)。
【0267】
[ナビストック抽選]
次に、図18のSb5で実行するナビストック抽選処理内で実行されるナビストック抽選について説明する。図19?図21は、サブ制御部91が管理する各種ナビストック抽選テーブルを説明するための図である。なお、以下では、AT状態に制御されていない期間を「非AT中」と、AT状態に制御され、かつATフリーズ実行可能期間外である期間を「AT中ATフリーズ実行可能期間外」と、AT状態に制御され、かつATフリーズ実行可能期間内である期間を「AT中ATフリーズ実行可能期間内」とも称する。
【0268】
本実施の形態においてサブ制御部91は、AT抽選役(本実施の形態では、弱チェリー、中チェリー、チャンス1、チャンス2、7揃いリプ、強チェリー)に当選した場合にATに制御するか否かを決定するナビストック抽選を実行する。ナビストック抽選では、ナビストック数を付与するか否かおよび付与する場合にはその個数が決定される。
【0269】
ナビストック数とは、所定ゲーム数(本実施の形態では1セット50ゲーム)にわたりATに制御される権利の数を示す。ナビストック数を1消費(減算)することにより、所定ゲーム数の間、ATに制御され、その間ナビ演出(判定用ナビ演出と通常のナビ演出を含む)が実行される。このため、決定されたナビストック数が多い程、遊技者にとって有利度合いが高いといえる。なお、ナビストック数が残っているときに、ナビストック数を新たに獲得したときには、残っているナビストック数に今回獲得したナビストック数を上乗せ加算させる。
【0270】
本実施の形態では、AT抽選役の種類に応じてナビストック抽選におけるナビストックの平均当選個数が異なる。さらに、AT中ATフリーズ実行可能期間内でAT抽選役に当選した場合に、50%の確率で実行されるATフリーズが実行されたときには、ATフリーズが実行されなかったときよりも、ナビストック数が付与される可能性が高くなり、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなる。また、AT中ATフリーズ実行可能期間外では、非AT中であるときやAT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズが実行されなかったときよりも、ナビストック数が付与される可能性が高くなり、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっている。
【0271】
図19は、非AT中におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルAについて説明するための図である。
【0272】
図19に示すように、非AT中におけるナビストック抽選では、弱チェリーが当選する第1抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が10%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が100%に設定され、2個となる当選確率が0%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0273】
中チェリーが当選する第2抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が20%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が80%に設定され、2個となる当選確率が20%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0274】
チャンス1またはチャンス2が当選する第3抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が30%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が60%に設定され、2個となる当選確率が40%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0275】
7揃いリプが当選する第4抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が40%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が40%に設定され、2個となる当選確率が60%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0276】
強チェリーが当選する第5抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が50%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が20%に設定され、2個となる当選確率が80%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0277】
図20は、AT中、かつATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルBについて説明するための図である。つまり、ナビストック抽選テーブルBは、ATに制御されたが、未だメイン制御部41がATに制御されたことを特定しておらず、ATフリーズ実行可能制御を実行していない期間(AT中ATフリーズ実行可能期間外)で用いられる抽選テーブルである。
【0278】
図20に示すように、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選では、弱チェリーが当選する第1抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が20%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が20%に設定され、2個となる当選確率が80%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0279】
中チェリーが当選する第2抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が40%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が100%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0280】
チャンス1またはチャンス2が当選する第3抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が60%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が80%に設定され、3個となる当選確率が20%に設定されている。
【0281】
7揃いリプが当選する第4抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が80%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が60%に設定され、3個となる当選確率が40%に設定されている。
【0282】
強チェリーが当選する第5抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が100%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が40%に設定され、3個となる当選確率が60%に設定されている。
【0283】
図21は、AT中、かつATフリーズ実行可能期間内におけるナビストック抽選で用いられるナビストック抽選テーブルCについて説明するための図である。つまり、ナビストック抽選テーブルCは、メイン制御部41がATに制御されたことを特定し、ATフリーズ実行可能制御を実行している期間(AT中ATフリーズ実行可能期間内)で用いられる抽選テーブルである。なお、ナビストック抽選テーブルCにおいては、50%の確率で実行されるATフリーズが実行されたか否かに応じて、ナビストック付与の当選確率および付与されるナビストック数が異なる。
【0284】
図21に示すように、AT中ATフリーズ実行可能期間内でナビストック抽選とともにATフリーズが実行されなかったときには、弱チェリーが当選する第1抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が10%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が100%に設定され、2個となる当選確率が0%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、弱チェリーが当選する第1抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が20%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が100%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。
【0285】
ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されなかったときには、中チェリーが当選する第2抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が20%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が80%に設定され、2個となる当選確率が20%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、中チェリーが当選する第2抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が40%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が80%に設定され、3個となる当選確率が20%に設定されている。
【0286】
ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されなかったときには、チャンス1またはチャンス2が当選する第3抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が30%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が60%に設定され、2個となる当選確率が40%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、チャンス1またはチャンス2が当選する第3抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が60%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が60%に設定され、3個となる当選確率が40%に設定されている。
【0287】
ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されなかったときには、7揃いリプが当選する第4抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が40%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が40%に設定され、2個となる当選確率が60%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、7揃いリプが当選する第4抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が80%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が40%に設定され、3個となる当選確率が60%に設定されている。
【0288】
ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されなかったときには、強チェリーが当選する第5抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が50%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が20%に設定され、2個となる当選確率が80%に設定され、3個となる当選確率が0%に設定されている。一方、ナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、強チェリーが当選する第5抽選条件が成立した場合のナビストック付与の当選確率が100%に設定されるとともに、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が0%に設定され、2個となる当選確率が20%に設定され、3個となる当選確率が80%に設定されている。
【0289】
このように、本実施の形態においては、当選したAT抽選役の種類に応じて、ナビストック付与の当選確率が異なる。さらに、AT中ATフリーズ実行可能期間内でナビストック抽選とともにATフリーズが実行されたときには、ATフリーズが実行されなかったときよりも、ナビストック数が付与される可能性が高くなり、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっている。これにより、AT中にATフリーズを実行させることにより、遊技者に対して、ナビストック抽選が実行されたことを認識させることでナビストック獲得の期待をもたせることができ、さらに、ナビストック抽選においてより多くのナビストック数が付与されることに対して大きな期待をもたせることができる。
【0290】
ここで、ATへの制御はサブ制御部91が実行する制御であるのに対し、ATフリーズはメイン制御部41が実行する制御である。よって、メイン制御部41は、サブ制御部91によりAT制御されたことを特定できたときに、初めてATフリーズ実行可能制御をしてATフリーズを実行可能とすることができる。
【0291】
また、メイン制御部41がサブ制御部91によってAT制御されたことを特定するためには、判定用役である押し順リプまたは通常リプに当選したときに、図12の判定用役当選コマンド生成、格納処理において判定用役当選フラグをセットし、図14の演出制御状態処理においてその判定用役当選フラグに基づき遊技者による停止操作の押し順が3回一致したと判定することが条件である。そのため、サブ制御部91によってATに制御されてからメイン制御部41がAT制御されたことを特定してATフリーズ実行可能制御を実行するまでの期間(AT中ATフリーズ実行可能期間外)は、その特定に用いられる判定用役に当選するか否かに左右されて長くなったり、短くなったりする。その結果、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、AT状態に制御されたにもかかわらず、なかなかATフリーズ実行可能制御が実行されないことによって、本来遊技者が受けられるはずの有利なナビストック抽選テーブルCによるナビストック抽選での利益が受けられないことに対して遊技者が不満を感じてしまうおそれがある。
【0292】
しかし、本実施の形態においては、AT中ATフリーズ実行可能期間外において、すぐにATフリーズ実行可能制御が実行されないことを考慮して、AT中ATフリーズ実行可能期間外においても、AT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズが実行されたときと同様に遊技者が有利となるように、ナビストック抽選における有利度を補填している。
【0293】
より具体的には、AT中ATフリーズ実行可能期間外で用いられるナビストック抽選テーブルBにおいては、非AT中で用いられるナビストック抽選テーブルAやAT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズが実行されなかったときに用いられるナビストック抽選テーブルCよりも、ナビストック数が付与される可能性が高く、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっている。たとえば、ナビストック抽選テーブルAにおける第1抽選条件の成立では、ナビストック付与の当選確率が10%であるのに対し、ナビストック抽選テーブルBにおける第1抽選条件の成立では、ナビストック付与の当選確率が20%と高くなっている。また、ナビストック抽選テーブルAにおける第1抽選条件の成立では、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が100%であるのに対し、ナビストック抽選テーブルBにおける第1抽選条件の成立では、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が20%、2個となる当選確率が80%と、より多くのナビストックを獲得できる可能性がある。
【0294】
さらに、AT中ATフリーズ実行可能期間外で用いられるナビストック抽選テーブルBにおいては、AT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズが実行されたときに用いられるナビストック抽選テーブルCと比べて、ナビストック数が付与される確率が同一に設定されており、また、付与される場合のナビストック数の振分率も、ナビストック抽選テーブルCと同一までには至らないが高い確率でより多くのナビストック数が付与されるように設定されている。たとえば、ATフリーズありのときのナビストック抽選テーブルCにおける第1抽選条件の成立では、ナビストック付与の当選確率が20%であるのに対し、ナビストック抽選テーブルBにおける第1抽選条件の成立でも、ナビストック付与の当選確率が20%と同じになっている。また、ATフリーズありのときのナビストック抽選テーブルCにおける第1抽選条件の成立では、付与されるナビストック数が2個となる当選確率が100%であるのに対し、ナビストック抽選テーブルBにおける第1抽選条件の成立では、付与されるナビストック数が1個となる当選確率が20%、2個となる当選確率が80%と、獲得を期待できるナビストック数が近くなっている。
【0295】
このように、本実施の形態においては、AT状態に制御された後、ATフリーズ実行可能制御が実行されるまでの期間(AT中ATフリーズ実行可能期間外)において生じる遊技者の不満を解消するため、サブ制御部91によって、その期間中の利益を補填している。すなわち、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、AT中ATフリーズ実行可能期間内と同様に遊技者にとって有利となるように、サブ制御部91によって、有利なナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選が実行される。これにより、AT中ATフリーズ実行可能期間外における期間の長短によって遊技者に不満を感じさせなくすることができる。
【0296】
さらに、本実施の形態におけるスロットマシン1は、再遊技役の当選確率が遊技状態に応じて変化するものではないため、再遊技役の当選確率に依存して遊技者の有利度合いが変化するものではない。よって、ATに制御されているか否かに応じて遊技者の有利度合いを直接変化させることができ、ATに制御されることが有利に遊技を進める上で非常に重要となってくる。さらに、AT中にATフリーズを実行させることによって、より多くのナビストック数が付与されることでこのようなゲームの有利度合いに直接関わるATが長く継続することに対して大きな期待をもたせることができる。
【0297】
また、本実施の形態においては、AT中ATフリーズ実行可能期間外と、AT中ATフリーズ実行可能期間内とで、ナビストック抽選の実行契機となるAT抽選役の当選種類が同じである。これにより、AT状態に制御された後であれば、AT中ATフリーズ実行可能期間外でも、AT中ATフリーズ実行可能期間内でも、遊技者を有利にさせる契機が同じとなり、AT状態に制御された後では、その契機が発生することによって何らかの利益が得られることについて遊技者に常に期待させることができる。
【0298】
ナビストック抽選によって獲得したナビストックは、後述するナビストック示唆演出によって報知される。ナビストック示唆演出とは、AT中にAT抽選役に当選したことを契機に実行され、ナビストック抽選によってナビストックを新たに獲得したか否かを示唆する演出である。
【0299】
たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間内においてAT抽選役に当選したときには、AT抽選役に当選してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化した後の3ゲームに亘ってナビストック示唆演出が実行される。
【0300】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外においてAT抽選役に当選したときには、ナビストック抽選によってナビストックを獲得したか否かによって、ナビストック示唆演出の実行タイミングが異なる。
【0301】
たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得しなかった場合には、AT抽選役に当選してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化した後の3ゲームに亘ってナビストック示唆演出が実行される。一方、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得した場合には、その後にAT中ATフリーズ実行可能期間内に移行してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化した後の3ゲームに亘ってナビストック示唆演出が実行される。
【0302】
このように、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得した場合には、その後にAT中ATフリーズ実行可能期間内に移行してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化した後にナビストック獲得が報知される。これにより、ATフリーズ実行可能制御が実行されていないにもかかわらず、有利なナビストック抽選テーブルBによるナビストック抽選によって、過度に大きな利益が得られたことに対して、遊技者が不信感を抱いてしまう事態を防止することができる。
【0303】
[AT信号出力フラグ制御処理]
次に、図18のSb7で実行するAT信号出力フラグ制御処理について説明する。図22は、サブ制御部91が実行するAT信号出力フラグ制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0304】
図22に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41からAT信号を受信したことを示すAT信号出力フラグがセットされているか否かを判定する(Sf1)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合には(Sf1でN)、メイン制御部41からAT信号出力コマンドを受信したか否かを判定する(Sf2)。サブ制御部91は、AT信号出力コマンドを受信していない場合には(Sf2でN)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。サブ制御部91は、AT信号出力コマンドを受信した場合には(Sf2でY)、AT信号出力フラグをRAM91cの所定領域にセットして(Sf3)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。
【0305】
また、サブ制御部91は、Sf1においてAT信号出力フラグがセットされていると判定された場合には(Sf1でY)、ATが終了したか否かを判定する(Sf4)。Sf4での判定は、1セットのATが終了したか否かを判定する。よって、ナビストックが残っており、ATが継続するとしても、1セットのATが終了するときはATの終了と判定される。サブ制御部91は、ATが終了していない場合には(Sf4でN)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。サブ制御部91は、ATが終了した場合には(Sf4でY)、AT信号出力フラグをクリアして(Sf5)、AT信号出力フラグ制御処理を終了する。以上の処理により、AT信号出力フラグは、1セットのAT内でAT信号を出力してからATが終了するまでセットされるので、AT信号出力フラグがセットされているか否かを判定することにより、サブ制御部91は、AT信号を出力してからATが終了するまでの期間であるか否かを判定できる。
【0306】
[判定用ナビ演出処理]
次に、図18のSb8で実行する判定用ナビ演出処理について説明する。図23は、サブ制御部91が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0307】
図23に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41から判定用役当選コマンドを受信したか否かを判定する(Sm1)。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信していない場合には(Sm1でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信した場合には(Sm1でY)、ATの実行中か否かを判定する(Sm2)。サブ制御部91は、ATの実行中でない場合には(Sm2でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。
【0308】
サブ制御部91は、ATの実行中である場合には(Sm2でY)、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいて判定用役である押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定する(Sm3)。サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選していない場合には(Sm3でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選した場合には(Sm3でY)、図22のSf3でAT信号出力フラグがセットされたか否かを判定する(Sm4)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされている場合には(Sm4でY)、すなわち1セット内でAT信号を出力した後の所定期間である場合には、判定用ナビ演出処理を終了する。なお、この場合、2択ナビ(中第1停止または右第1停止を報知)のナビ演出が実行される。
【0309】
サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合(Sm4でN)、すなわち1セット内でAT信号を出力する前の特定期間である場合には、判定用役当選コマンドに付加された停止順種別の情報(図12のSh2で選択する停止順種別に関する情報)から判定用の押し順を特定し、特定した押し順に基づいて押し順リプまたは通常リプに対する判定用ナビ演出を実行する(Sm5)。なお、この場合、図12に示すように、4択ナビ(中左押し、中右押し、逆挟み押し、および逆押しのいずれかを報知)のナビ演出が実行される。
【0310】
以上のように、本実施の形態では、ATにおいてAT信号が出力されるまでの特定期間では、押し順リプまたは通常リプに対して4択の判定用ナビ演出が実行され、特定期間の経過後は、2択の通常のナビ演出が実行されるので、AT信号を出力した後は4択の操作を選択してストップスイッチの操作を行わなくてもよくなり、遊技者の負担を軽減できる。
【0311】
[ナビ演出]
次に、サブ制御部91が実行するナビ演出の具体的な内容について説明する。本実施の形態のナビ演出は、液晶表示器51からのナビ画像の表示と、スピーカ53、54からのナビ音声の出力とによって行われる。
【0312】
たとえば、通常のナビ演出であれば、押し順ベル1?4や押し順リプ1、2に当選したときに、「中だ!」(中第1停止を報知)や「右だ!」(右第1停止を報知)といったストップスイッチ8L、8C、8Rの押下順序を示す押下順序画像と、スロットマシン1のモチーフに合わせたキャラクタ画像とが液晶表示器51に表示される。また、スピーカ53、54からもストップスイッチの押下順序を示す音声が出力される。
【0313】
また、たとえば、判定用ナビ演出であれば、通常リプや押し順リプ1、2に当選したときに、「中だ!左だ!右だ!」(中左押しを報知)や「右だ!左だ!中だ!」(逆挟み押しを報知)といったストップスイッチ8L、8C、8Rの押下順序を示す押下順序画像と、スロットマシン1のモチーフに合わせたキャラクタ画像とが液晶表示器51に表示される。また、スピーカ53、54からもストップスイッチの押下順序を示す音声が出力される。
【0314】
[示唆演出実行処理]
次に、サブ制御部91が行う示唆演出実行処理を図24のフローチャートに基づいて説明する。サブ制御部91は、示唆演出実行処理を実行することにより、当選役の種類や判定用ナビ演出の実行期間であるか否かなどに応じて当選役示唆演出、継続示唆演出、およびナビストック示唆演出を実行する。
【0315】
図24に示すように、サブ制御部91は、まず、AT中であるか否かを判定する(Sp1)。サブ制御部91は、AT中でないと判定したときには(Sp1でN)、示唆演出実行処理を終了する。一方、サブ制御部91は、AT中であると判定したときには(Sp1でY)、メイン制御部41から内部当選コマンドを受信したか否かを判定する(Sp2)。サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信していないと判定したときには(Sp2でN)、示唆演出実行処理を終了する。
【0316】
一方、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信したと判定したときには(Sp2でY)、AT抽選役に当選したか否かを判定する(Sp3)。サブ制御部91は、AT抽選役に当選したと判定したときには(Sp3でY)、当選役示唆演出を実行する(Sp4)。その後、サブ制御部91は、後述するSp5の処理に移行する。
【0317】
一方、サブ制御部91は、AT抽選役に当選していないと判定したときには(Sp3でN)、押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定する(Sp8)。サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選していないと判定したときには(Sp8でN)、Sp5の処理に移行する。
【0318】
一方、サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選したと判定したときには(Sp8でY)、判定用ナビ演出の実行可能期間内であるか否かを判定する(Sp9)。サブ制御部91は、判定用ナビ演出の実行可能期間内でないと判定したときには(Sp9でN)、判定用ナビ演出が実行されることがないため、当選役示唆演出を実行する(Sp11)。その後、サブ制御部91は、Sp5の処理に移行する。
【0319】
一方、サブ制御部91は、判定用ナビ演出の実行可能期間内であると判定したときには(Sp9でY)、当選した押し順リプまたは通常リプに対して判定用ナビ演出が実行されるため、当選役示唆演出の代わりに継続示唆演出を実行する(Sp10)。つまり、サブ制御部91は、Sp8の処理で押し順リプまたは通常リプに当選したと判定し、さらに、Sp9の処理で判定用ナビ演出の実行可能期間内であると判定することを条件として、当選役示唆演出の実行を規制する。その後、サブ制御部91は、Sp5の処理に移行する。
【0320】
Sp5の処理においては、サブ制御部91は、ナビストック示唆演出実行フラグがRAM91cの所定領域にセットされているか否かを判定する(Sp5)。ナビストック示唆演出実行フラグとは、ナビストックを新たに獲得したか否かを示唆するナビストック示唆演出を実行する契機となるフラグである。このナビストック示唆演出実行フラグは、AT抽選役に当選したときにナビストック抽選によってナビストックを獲得したか否かにかかわらずセットされる。
【0321】
サブ制御部91は、ナビストック示唆演出実行フラグがRAM91cの所定領域にセットされていないと判定したときには(Sp5でN)、示唆演出実行処理を終了する。一方、サブ制御部91は、ナビストック示唆演出実行フラグがRAM91cの所定領域にセットされていると判定したときには(Sp5でY)、ナビストック示唆演出の実行タイミングであるか否かを判定する(Sp6)。
【0322】
たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間内においてAT抽選役に当選したときには、AT抽選役に当選してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化したタイミングが実行タイミングとなる。また、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得しなかった場合には、AT抽選役に当選してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化したタイミングが実行タイミングとなる。さらに、AT中ATフリーズ実行可能期間外におけるナビストック抽選によってナビストックを獲得した場合には、その後にAT中ATフリーズ実行可能期間内に移行してから所定ゲーム(たとえば、当選した次のゲームや2ゲーム)を消化したタイミングが実行タイミングとなる。なお、ナビストック示唆演出は、判定用ナビ演出が実行されるか否かにかかわらず、ナビストック示唆演出実行フラグがRAM91cの所定領域にセットされて所定の実行タイミングになったときに実行されるようになっている。
【0323】
サブ制御部91は、ナビストック示唆演出の実行タイミングではないと判定したときには(Sp6でN)、示唆演出実行処理を終了する。一方、サブ制御部91は、ナビストック示唆演出の実行タイミングであると判定したときには(Sp6でY)、ナビストック示唆演出を実行する(Sp7)。つまり、サブ制御部91は、当選役示唆演出の実行時とは異なり、ナビストック示唆演出実行フラグがセットされて実行タイミングが到来したときには、Sp8やSp9の処理の結果にかかわらず、ナビストック示唆演出を実行する。このように、ナビストック示唆演出を実行することによって、新たにナビストックを獲得したかもしれないという期待を遊技者にもたせて遊技の興趣を向上させることができる。その後、サブ制御部91は、示唆演出実行処理を終了する。
【0324】
[当選役示唆演出、継続示唆演出、およびナビストック示唆演出の演出内容]
次に、図25を用いて、サブ制御部91により実行される当選役示唆演出、継続示唆演出、およびナビストック示唆演出の演出内容を説明する。
【0325】
図25(a)は、当選役示唆演出の演出内容を説明する図である。図25(a)に示すように、当選役示唆演出においては、液晶表示器51の画面上に押し順リプや通常リプを連想させる「リ」を示す文字画像51aと、AT抽選役のうちチェリー役(弱チェリー、中チェリー、強チェリー)を連想させる「チ」を示す文字画像51bとが表示される。そして、当選役示唆演出においては、文字画像51aと文字画像51bとを指差すキャラクタの画像が表示されるとともに、押し順リプや通常リプ、またはチェリー役に当選していることを連想させる「どっちかな?」という文字画像51cが表示される。これにより、当選役示唆演出が実行されたときには、遊技者は、液晶表示器51の画面を確認することによって、押し順リプや通常リプ、またはチェリー役に当選したことを認識することができる。
【0326】
このように、当選役示唆演出においては、液晶表示器51の画面上にキャラクタ画像および文字画像51a?51cを表示することによって、遊技者に対して、押し順リプや通常リプに当選した旨、またはチェリー役に当選した旨を示唆することができる。
【0327】
図25(b)は、継続示唆演出の演出内容を説明する図である。また、継続示唆演出は、ナビ演出が実行されるときに、当選役示唆演出の代わりに実行される演出であるため、図25(b)においては、継続示唆演出および判定用ナビ演出の演出内容が示されている。なお、判定用ナビ演出の一例としては、押し順リプや通常リプに当選したときに、中左押しを促す判定用ナビ演出の演出内容が示されている。
【0328】
図25(b)に示すように、継続示唆演出においては、液晶表示器51の画面上にキャラクタの画像が表示されるとともに、「継続するかも?」という文字画像51dが表示される。そして、継続示唆演出と同時に行われるナビ演出においては、液晶表示器51の画面上に、リール2Lの操作手順を示す左操作手順画像51eと、リール2Cの操作手順を示す中操作手順画像51fと、リール2Rの操作手順を示す右操作手順画像51gとが表示される。つまり、判定用ナビ演出の実行期間内であるため、判定用ナビ演出(4択ナビ)が実行される。これにより、継続示唆演出および判定用ナビ演出が実行されたときには、遊技者は、液晶表示器51の画面を確認することによって、少なくともナビ対象役ではないチェリー役には当選していないことを認識するとともに、現在制御中のATのセットが終了した後に次のセットに継続する可能性があることを認識することができる。
【0329】
このように、継続示唆演出においては、液晶表示器51の画面上にキャラクタ画像および文字画像51dを表示することによって、遊技者に対して、現在制御中のATのセットが終了した後に次のセットに継続する可能性がある旨を示唆することができる。
【0330】
図25(c)は、ナビストック示唆演出の演出内容を説明する図である。ナビストック示唆演出においては、液晶表示器51の画面上に「獲得かも?」という文字画像51hが表示される。この文字画像51hによる演出は実行タイミングから1ゲーム目と2ゲーム目で行われる。そして、実行タイミングから3ゲーム目においては、ナビストック抽選によってナビストックを獲得していれば液晶表示器51の画面上に「ナビストック獲得!!」という文字画像51jが表示される。一方、ナビストックを獲得していなければ液晶表示器51の画面上に「残念」という文字画像51kが表示される。
【0331】
このように、ナビストック示唆演出においては、所定の実行タイミングから1ゲーム目と2ゲーム目で文字画像51hによる演出によって、遊技者に次のATに継続するかもしれない期待をさせつつ、実行タイミングから3ゲーム目において文字画像51jまたは文字画像51kによる演出によって、ナビストックを新たに獲得したか否かを確定的に報知して遊技の興趣を向上させることができる。
【0332】
また、複数ゲーム(本実施の形態では3ゲーム)に亘る一連の連続演出であるナビストック示唆演出が実行されるため、ナビストックを獲得したか否かを複数ゲーム(3ゲーム)に亘って遊技者に示唆することで遊技の興趣をさらに向上させることができる。
【0333】
なお、ナビストック示唆演出はその他の演出(当選役示唆演出、判定用ナビ演出、および継続示唆演出)と同時に実行されることがあり、この場合は、液晶表示器51の画面上に両者の演出が行われるようになっている。たとえば、ナビストック示唆演出と判定用ナビ演出とが同時に実行される場合には、図25(b)に示す左操作手順画像51e、中操作手順画像51f、および右操作手順画像51gによる演出と同時に、図25(c)に示す文字画像51h、文字画像51j、および文字画像51kのいずれかによる演出が行われる。
【0334】
なお、ナビストック示唆演出の実行タイミングが、その他の演出(当選役示唆演出、判定用ナビ演出、および継続示唆演出)の実行タイミングと重なるときには、いずれか一方の演出の実行タイミングをずらすものであってもよい。たとえば、ナビストック示唆演出の実行タイミングが、当選役示唆演出の実行タイミングと重なるときには、先に当選役示唆演出を実行し(たとえば、ゲーム開始から第2停止まで実行)、その後、ナビストック示唆演出を実行するものであってもよい(たとえば、第2停止から第3停止まで実行)。
【0335】
さらに、ナビストックを獲得していない場合のナビストック示唆演出の実行タイミングが、当選役示唆演出の実行タイミングと重なるときには、ナビストック示唆演出の演出(「残念」の文字画像51k)により、当選役示唆演出で示唆しているチェリー役当選が当選しなかったかのように思われるため、この場合、ナビストック示唆演出を実行しないものであってもよい。
【0336】
また、ナビストックを獲得している場合のナビストック示唆演出の実行タイミングが、継続示唆演出の実行タイミングと重なるときには、ナビストック示唆演出により次のセットのARTが実行されることが遊技者に報知されるようなものであるため、この場合、継続示唆演出は実行されないものであってもよい。ナビストック示唆演出は、判定用ナビ演出が実行されるか否かの条件によっては、規制されないものであればよい。
【0337】
[ATに関するタイミングチャート]
次に、本実施の形態におけるAT内での各種演出について説明する。図26は、ATに関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【0338】
図26においては、判定用役に対して押し順正解したとき、AT信号が外部出力されたとき、ATフリーズ実行可能制御がされたとき、判定用ナビ演出が実行可能となるとき、および通常のナビ演出を含む判定用以外のナビ演出が実行可能となるときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。また、図26においては、押し順リプまたは通常リプが当選したときのナビ演出が4択ナビであるか2択ナビであるかが示されている。さらに、図26においては、ATに制御されている状態ではONとなるように示し、ATに制御されていない状態ではOFFとなるように示している。なお、判定用以外のナビ演出には、判定用役である押し順リプや通常リプ以外の役に当選したときに、サブ制御部91が実行するナビ演出、あるいは押し順リプや通常リプに当選したときに判定に用いられない通常のナビ演出(2択ナビ)が含まれる。また、図26ではATが1セットで50ゲーム行われるとともに、ATが2セット目まで行われた場合を例に挙げて説明する。
【0339】
さらに、図26においては、判定用役に対する当選役示唆演出が実行可能となるとき、継続示唆演出が実行可能となるとき、およびナビストック示唆演出が実行可能となるときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。
【0340】
図26に示すように、タイミングt1から開始されたATは、1セット50ゲームの期間に亘って制御され、タイミングt3で1セット目が終了する。その後、タイミングt3から続けて2セット目のATが開始され、タイミングt5で2セット目が終了する。また、ATにおいては、判定用ナビ演出と判定用以外のナビ演出とが実行されるようになっている。
【0341】
1セット目のATにおいてメイン制御部41がATか否かを特定する特定期間では、メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出を実行する。たとえば、サブ制御部91は、押し順リプ1の当選時に停止順種別0を選択した場合、停止順種別0に対応付けられた判定用の押し順(中左右)を判別可能な判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt2で示すようにその後AT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの1セット目であることを特定することが可能となる。
【0342】
ここで、ATの1セット内で、メイン制御部41がATのセット回数を特定することができた後には、再度、判定用役に対する押し順正解の判定をする必要がない。そのため、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したタイミングt2からAT1セット目が終了するタイミングt3までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。たとえば、押し順リプまたは通常リプに当選したときでも判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行することなく通常のナビ演出(2択ナビ)を実行する。より具体的には、押し順リプ1の当選時であれば、左第1停止または右第1停止を報知する通常のナビ演出(2択ナビ)が実行され、判定用ナビ演出の4択より押し順の択数が減少する。
【0343】
さらに、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定してAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したときには、同時にATフリーズ実行可能制御にゲームを制御する。これにより、ナビストック抽選において、ATフリーズを実行することが可能となり、遊技者を有利にさせることができる。
【0344】
ATの1セット目が終了して、2セット目が制御されたときには、再び判定用ナビ演出が実行される。2セット目のATにおいて、メイン制御部41は、1セット目と同様に、押し順リプまたは通常リプ当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt4で示すようにその後AT2セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの2セット目であることを特定することが可能となる。さらに、メイン制御部41は、AT信号を外部出力したときには、同時にATフリーズ実行可能制御にゲームを制御する。その後、サブ制御部91は、タイミングt4からAT2セット目が終了するタイミングt5までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。
【0345】
このように、本実施の形態におけるATにおいては、ATの1セット内で、サブ制御部91の演出制御状態(たとえば、AT中であるか否か、ATのセット数)をメイン制御部41が判定するための判定用ナビ演出と、判定用以外のナビ演出である通常のナビ演出とが実行される。そして、一旦、メイン制御部41がサブ制御部91の演出制御状態を特定した後には、そのセット内のATにおいては、判定処理をする必要がないため、判定用ナビ演出は実行されないようになっている。
【0346】
さらに、本実施の形態では、ATが開始されたことが特定されるまでの特定期間では、4択の判定用ナビ演出が実行され、特定期間の経過後は、2択の通常のナビ演出が実行されるので、AT信号を出力した後は4択の操作を選択してストップスイッチの操作を行わなくてもよくなり、遊技者の負担を軽減できる。
【0347】
また、上記のようなATにおいて、サブ制御部91は、押し順リプまたは通常リプに当選した旨、またはAT抽選役に当選した旨を示唆する当選役示唆演出が、判定用ナビ演出が実行されるときに規制されるようになっている。図26の一例では、サブ制御部91は、AT1セット目のタイミングt1?t2の間と、AT2セット目のタイミングt3?t4の間とで当選役示唆演出を規制する。
【0348】
たとえば、AT1セット目のタイミングt1?t2の間で押し順リプまたは通常リプに当選したときには、当選役示唆演出と判定用ナビ演出とが同時に実行されてしまうため、サブ制御部91は、当選役示唆演出の実行を規制する。そして、当選役示唆演出の実行を規制する代わりに、サブ制御部91は、継続示唆演出を実行することにより、次のATに継続する可能性がある旨を示唆して遊技者の期待感を向上させる。一方、AT1セット目のタイミングt2?t3の間で押し順リプまたは通常リプに当選したときには、判定用ナビ演出は実行されないため、当選役示唆演出と判定用ナビ演出とが同時に実行されてしまうことがない。そのため、サブ制御部91は、当選役示唆演出の実行を規制しない。
【0349】
このように、本実施の形態においては、押し順リプや通常リプに当選した旨、またはAT抽選役に当選した旨を示唆する当選役示唆演出が実行されるため、遊技者にAT抽選役に当選したことによってナビストック獲得を期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、押し順リプや通常リプに当選したときに判定用ナビ演出が実行される場合には、当選役示唆演出の実行が規制されるため、当選役示唆演出を実行したにもかかわらず判定用ナビ演出によって押し順リプや通常リプに当選したことが遊技者に確定的に認識されてしまい遊技の興趣が低下してしまうような不都合を防ぐことができる。
【0350】
また、本実施の形態においては、AT抽選役に当選したときにはナビストックを獲得できる可能性がある点で遊技者にとって有利である。そのため、ナビストック獲得を期待できる点で、AT抽選役に当選したときの方が、押し順リプや通常リプに当選したときよりも遊技者にとって有利であるといえる。また、判定用ナビ演出は、押し順リプや通常リプに当選したときに行われるようになっている。そのため、仮に押し順リプや通常リプに当選したときに、判定用ナビ演出と当選役示唆演出とが同時に実行されてしまう場合、押し順リプや通常リプに当選したことが遊技者に確定的に認識されてしまう。言い換えると、より有利なAT抽選役に当選していないことが遊技者に確定的に認識されてしまう。この場合、当選役示唆演出によって、いくら遊技者に対してAT抽選役への当選を期待させようとしても、遊技者がAT抽選役への当選を期待できるはずがなく、遊技の興趣が低下してしまう。しかしながら、本実施の形態においては、押し順リプや通常リプに当選したときに判定用ナビ演出が実行される場合には、当選役示唆演出の実行が規制されるため、遊技の興趣が低下してしまうような不都合を防ぐことができる。
【0351】
また、本実施の形態においては、押し順リプや通常リプに当選したときに判定用ナビ演出が実行される場合には、当選役示唆演出の実行が規制される代わりに、押し順リプまたは通常リプに当選したときのゲームにおいて制御中の演出制御状態の有利度に関する情報、本実施の形態では、ATが継続するか否かを示唆する継続示唆演出が実行されるため、継続示唆演出によって遊技の興趣を向上させることができる。
【0352】
また、このように、当選役示唆演出の実行が規制される代わりに継続示唆演出が実行されることによって、当選役示唆演出が実行されないときに間延びした期間を継続示唆演出によって埋めることができ、遊技者の遊技に対する興味を持続させることができる。
【0353】
また、図26に示すように、サブ制御部91は、判定用ナビ演出が実行されるか否かにかかわらずAT中であれば、常にナビストック示唆演出を実行可能となっている。
【0354】
これにより、押し順リプや通常リプに当選したときに判定用ナビ演出が実行されることで当選役示唆演出の実行が規制されたとしても、ナビストックを獲得したか否かを示唆するナビストック示唆演出は規制されずに実行されるため、判定用ナビ演出が実行されるときでもナビストック示唆演出によって遊技の興趣を向上させることができる。
【0355】
[ナビストック抽選に関するタイミングチャート]
次に、本実施の形態におけるナビストック抽選についてタイミングチャートを用いて具体的に説明する。図27は、ナビストック抽選に関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【0356】
図27においては、ATに制御されているとき、判定用役に対して押し順正解したとき、AT信号が外部出力されたとき、ATフリーズ実行可能制御がされたとき、AT抽選役に当選したとき、ATフリーズが実行されたとき、およびナビストック抽選が実行されたときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。また、図27においては、ナビストック抽選において用いられるナビストック抽選テーブルの種類が示されている。さらに、図27においては、各タイミングに応じて、サブ制御部91により実行される液晶表示器51上の演出(演出画像)の例が示されている。
【0357】
図27に示すように、非AT中のタイミングt1においては、AT抽選役に当選してナビストック抽選テーブルAを用いたナビストック抽選が実行されるとともに、「チャンス」の演出画像が液晶表示器51に表示される。これにより、遊技者にナビストック獲得を期待させることができる。
【0358】
タイミングt2においては、ATに制御されるとともに、「AT開始」の演出画像が液晶表示器51に表示される。
【0359】
AT状態に制御され、かつATフリーズ実行可能期間外である期間(AT中ATフリーズ実行可能期間外)のタイミングt3においては、AT抽選役に当選してナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選が実行されるとともに、「大チャンス」の演出画像が液晶表示器51に表示される。これにより、非AT中よりもAT中ATフリーズ実行可能期間外の方が遊技者にナビストック獲得を期待させることができる。
【0360】
タイミングt4においては、メイン制御部41により判定用役に対する押し順正解が3回判定されたため、AT信号が外部出力されるとともに、ATフリーズ実行可能制御が行われる。これ以降、AT状態に制御され、かつATフリーズ実行可能期間内である期間(AT中ATフリーズ実行可能期間内)に移行する。
【0361】
AT中ATフリーズ実行可能期間内のタイミングt5においては、AT抽選役に当選してナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選が実行される。このときのナビストック抽選では、ATフリーズが実行されなかったため、ATフリーズなしのときのナビストック抽選テーブルCが用いられる。また、サブ制御部91による演出は、非AT中と同じ「チャンス」の演出画像が液晶表示器51に表示される。これにより、非AT中と同等に遊技者にナビストック獲得を期待させることができる。
【0362】
AT中ATフリーズ実行可能期間内のタイミングt6においては、AT抽選役に当選してナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選が実行される。このときのナビストック抽選では、ATフリーズが実行されたため、ATフリーズありのときのナビストック抽選テーブルCが用いられる。また、サブ制御部91による演出は、「特大チャンス」の演出画像が液晶表示器51に表示される。これにより、非AT中、AT中ATフリーズ実行可能期間外、およびAT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズがないときのどれよりも遊技者にナビストック獲得を期待させることができる。
【0363】
このように、AT状態に制御された後にATフリーズ実行可能制御が実行されているときには、当該ATフリーズ実行可能制御が実行されていないときよりも、遊技者にとって有利なATフリーズありのときのナビストック抽選テーブルCを用いたナビストック抽選が実行されるため、AT状態に制御されたにもかかわらず、なかなかATフリーズ実行可能制御が実行されずに、遊技者が不満を感じてしまう事態が生じ得る。しかし、本実施の形態においては、AT状態に制御された後、ATフリーズ実行可能制御が実行されるまでの期間においては、サブ制御部91によって、遊技者にとって有利なナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選が実行されるため、AT状態に制御されてからATフリーズ実行可能制御が実行されるまでの期間の長短によって遊技者に不満を感じさせなくすることができる。
【0364】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0365】
[メイン制御部41によるAT状態の特定について]
本実施の形態においては、AT1セット目もAT2セット目も、メイン制御部41は同じ種類の判定用役(押し順リプ、通常リプ)の当選を契機としてAT状態であるか否かを判定していた。そのため、ATのセット数を継続して重ねていったとしても、メイン制御部41がサブ制御部91の制御によるAT状態を特定する機会を増やさない限り、特定するための期間を短縮するには限界があった。そこで、変形例においては、図28?図31に示すような処理で、メイン制御部41がAT状態を特定するものであってもよい。
【0366】
図28は、変形例におけるメイン制御部がゲーム処理中に実行する判定用役当選コマンド生成、格納処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0367】
図28に示すように、メイン制御部41は、後述する図29のSc11でカウント短縮フラグがセットされたか否かを判定する(Sg1)。ここで、複数のナビストックが付与されている場合にはAT1セット目の終了後に引き続きAT2セット目が開始されるが、カウント短縮フラグは、AT1セット目でAT信号を出力するときにセットされ、全てのナビストックを消化してATが終了したときにクリアされるので、カウント短縮フラグがセットされているということはAT1セット目でAT信号を出力した後(AT2セット目以降も含む)の状態であることを識別できる。
【0368】
メイン制御部41は、カウント短縮フラグがセットされていない場合(Sg1でN)、すなわちATに制御されていないか、または、AT1セット目でAT信号が出力される前である場合には、押し順リプに当選したか否かを判定することにより、判定用役に当選したか否かを判定する(Sg2)。メイン制御部41は、押し順リプに当選していない場合には(Sg2でN)、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。メイン制御部41は、押し順リプに当選した場合には(Sg2でY)、図13の停止順種別テーブルに基づき、押し順リプに対する判定用の押し順を決定する(Sg4)。
【0369】
一方、メイン制御部41は、カウント短縮フラグがセットされている場合(Sg1でY)、すなわちAT1セット目でAT信号を出力した後の場合には、押し順リプまたは通常リプに当選したか否かを判定することにより、判定用役に当選したか否かを判定する(Sg3)。メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選していない場合には(Sg3でN)、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。一方、メイン制御部41は、押し順リプまたは通常リプに当選した場合には(Sg3でY)、図13の停止順種別テーブルに基づき、押し順リプまたは通常リプに対する判定用の押し順を決定する(Sg4)。
【0370】
Sg4の処理の後、メイン制御部41は、判定用役に当選したことを示す判定用役当選フラグをRAM41cの所定領域にセットする(Sg5)。その後、メイン制御部41は、判定用役に当選したこと、当選した判定用役の種類、および決定した停止順種別を示す判定用役当選コマンドを生成し、生成したコマンドをコマンドバッファに格納する(Sg6)。その後、メイン制御部41は、判定用役当選コマンド生成、格納処理を終了する。
【0371】
図29は、変形例におけるメイン制御部がゲーム処理中に実行する演出制御状態判定処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0372】
図29に示すように、メイン制御部41は、図28のSg5で判定用役当選フラグがセットされたか否かを判定する(Sc1)。メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされていない場合には(Sc1でN)、演出制御状態判定処理を終了する。
【0373】
メイン制御部41は、判定用役当選フラグがセットされている場合には(Sc1でY)、ストップスイッチの実際の押し順と図28のSg4で選択した停止順種別に基づいて決定した判定役用の押し順とを比較する(Sc2)。メイン制御部41は、押し順が一致した場合には(Sc3でY)、判定用役に対する押し順と実際の押し順とが一致した回数をカウントする押し順判定カウンタのカウント値に「1」加算する(Sc4)。
【0374】
次に、メイン制御部41は、Sc11でセットされるカウント短縮フラグがすでにセットされているか否かを判定する(Sc5)。メイン制御部41は、カウント短縮フラグがセットされていない場合(Sc5でN)、すなわちATに制御されていないか、または、AT1セット目でAT信号が出力される前である場合には、押し順判定カウンタのカウント値が「3」になったか否かを判定する(Sc6)。すなわち、メイン制御部41は、判定用役の押し順と実際の押し順が一致した回数が連続して3回になったか否かを判定する。メイン制御部41は、カウント値が「3」でなければ(Sc6でN)、演出制御状態判定処理を終了する。
【0375】
一方、メイン制御部41は、カウント値が「3」であれば(Sc6でY)、AT1セット目が開始されたことを特定して所定制御を実行することになるので、カウント短縮フラグをRAM41cの所定領域にセットする(Sc11)。ここで、3回連続して押し順が一致したときに押し順判定カウンタのカウント値は「3」になるので、AT1セット目で判定用ナビ演出に従ってストップスイッチを操作した結果、押し順が連続して一致した可能性が高い。よって、このときは、メイン制御部41は、ATが開始されたことを特定し、所定制御フラグをセットする(Sc8)。
【0376】
メイン制御部41は、所定制御フラグをセットした後は、判定用役当選フラグをクリアして(Sc9)、演出制御状態判定処理を終了する。なお、所定制御フラグがセットされると、所定制御実行処理によってAT信号が外部機器に出力される。これにより、メイン制御部41は、サブ制御部91側の演出制御状態(ATであるか否かの状態)を特定したときにAT信号を外部出力することが可能となる。AT信号を受信したデータ表示端末などの外部機器は、たとえば、ATに移行した回数を表示する。
【0377】
また、メイン制御部41は、Sc2でストップスイッチの実際の押し順と判定役用の押し順を比較した結果、押し順が一致しなかった場合には(Sc3でN)、押し順判定カウンタのカウント値をクリアし(Sc12)、判定用役当選フラグをクリアして(Sc9)、出制御状態判定処理を終了する。このように、押し順が一致しなかったときに押し順判定カウントのカウント値をクリアするので、押し順判定カウンタは連続して押し順が一致した回数をカウントすることになる。
【0378】
また、メイン制御部41は、Sc5でカウント短縮フラグがセットされていることを判定した場合(Sc5でY)、すなわちAT1セット目でAT信号を出力した後である場合には、押し順判定カウンタのカウント値が「2」になったか否かを判定する(Sc7)。メイン制御部41は、押し順判定カウンタのカウント値が「2」でない場合には、判定用役当選フラグをクリアして(Sc9)、出制御状態判定処理を終了する。
【0379】
ここで、2回連続して押し順が一致したときに押し順判定カウンタのカウント値は「2」になるので、カウント短縮フラグがセットされた後のゲーム、すなわちAT1セット目でAT信号が出力された後のゲームで、押し順判定カウンタのカウント値が「2」になった場合には、2セット目以降のATで判定用ナビ演出に従ってストップスイッチを操作した結果、押し順が連続して一致した可能性が高い。よって、この場合には、メイン制御部41は、新たなセットのATが再度開始されたことを特定し、所定制御フラグをセットし(Sc8)、判定用役当選フラグをクリアして(Sc9)、出制御状態判定処理を終了する。
【0380】
このように、変形例においては、2セット目以降のATでは、押し順が一致したか否かを判定する回数を減少させるとともに判定用役の種類を増やし、1セット目においてATが開始されたことを特定するための特定期間より短い所定期間でATが開始されたことを特定している。これにより、ATが開始されたタイミングとAT信号が出力されたタイミングとのずれを小さくする(すなわち、AT中ATフリーズ実行可能期間外の期間を短縮する)ことが可能になる。その結果、たとえば、外部機器でATの移行回数を表示する場合において、ATが開始されたにもかかわらずATの移行回数がカウントアップされるまでに時差が生じるなど、ATが開始されたタイミングとAT信号が出力されたタイミングとのずれが大きくなることによる遊技者の不満を解消することができる。さらに、AT状態に制御されたにもかかわらず、なかなかATフリーズ実行可能制御が実行されずに、遊技者が不満を感じてしまう事態を防ぐことができる。
【0381】
また、AT1セット目であることが特定された場合には、ATに制御されていないときに偶然に押し順が3連続で一致したわけではなく、AT1セット目において判定用ナビ演出に従った結果、3連続で押し順が一致した可能性が高い。したがって、通常状態(非AT)から移行した初回のATから引き続いて移行した2セット目以降のATでは、1セット目のATにおいて判定用ナビ演出および判定用ナビ演出以外の通常のナビ演出を経ているので、判定用ナビ演出に従ってストップスイッチを操作することへの遊技者の意識がすでに高まっており、判定用ナビ演出に従わずにストップスイッチを操作するようなことは起こりにくい。このため、2セット目以降のATでは、ATであることを特定する期間を短くすることができる。これにより、1セット目のATにおいてATであることを偶然に特定してしまうことを防止しながらも、2セット目以降のATにおいてATが開始するタイミングとATであることを特定するタイミングとのずれを小さくする(すなわち、AT中ATフリーズ実行可能期間外の期間を短縮する)ことができる。
【0382】
図30は、変形例におけるサブ制御部が実行する判定用ナビ演出処理の制御内容を示すフローチャートである。
【0383】
図30に示すように、サブ制御部91は、メイン制御部41から判定用役当選コマンドを受信したか否かを判定する(Se1)。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信していない場合には(Se1でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。サブ制御部91は、判定用役当選コマンドを受信した場合には(Se1でY)、AT中か否かを判定する(Se2)。AT中でない場合には(Se2でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。
【0384】
サブ制御部91は、AT中である場合には(Se2でY)、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいて判定用役である押し順リプに当選したか否かを判定する(Se3)。サブ制御部91は、押し順リプに当選していない場合には(Se2でN)、メイン制御部41からの内部当選コマンドに基づいて判定用役である通常リプに当選したか否かを判定する(Se4)。サブ制御部91は、通常リプに当選していない場合には(Se3でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。
【0385】
サブ制御部91は、通常リプに当選した場合には(Se4でY)、2セット目以降のATであるか否かを判定する(Se5)。サブ制御部91は、2セット目以降のATでない、すなわち1セット目のATである場合には(Se5でN)、判定用ナビ演出処理を終了する。なお、この場合、2択の通常のナビ演出が実行される。
【0386】
サブ制御部91は、2セット目以降のATである場合には(Se5でY)、図22のSf3でAT信号出力フラグがセットされたか否かを判定する(Se6)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされている場合(Se6でY)、すなわち2セット目以降のAT中であるがAT信号を出力した後の所定期間である場合には、判定用ナビ演出処理を終了する。なお、この場合、2択の通常のナビ演出が実行される。
【0387】
サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合(Se6でN)、すなわち2セット目以降のAT中でありAT信号を出力する前の特定期間であるには、判定用役当選コマンドに付加された停止順種別の情報から判定用の押し順を特定し、特定した押し順に基づいて通常リプに対する判定用ナビ演出を実行する(Se7)。なお、この場合、4択の判定用ナビ演出が実行される。
【0388】
一方、サブ制御部91は、Se3において押し順リプに当選したと判定した場合には(Se3でY)、図22のSf3でAT信号出力フラグがセットされたか否かを判定する(Se8)。サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされている場合(Se8でY)、すなわちAT中(1セット目か2セット目以降かは問わない)であるがAT信号を出力した後の所定期間である場合には、押し順リプに対して通常のナビ演出を実行する(Se9)。なお、この場合、2択の通常のナビ演出が実行される。
【0389】
また、サブ制御部91は、AT信号出力フラグがセットされていない場合(Se8でN)、すなわちAT中でありAT信号を出力する前の特定期間である場合には、4択の判定用ナビ演出を実行する(Se7)。
【0390】
図31は、変形例におけるATに関するタイミングチャートの一例を説明するための図である。
【0391】
図31においては、判定用役に対して押し順正解したとき、AT信号が外部出力されたとき、ATフリーズ実行可能制御がされたとき、判定用ナビ演出が実行可能となるとき、および通常のナビ演出を含む判定用以外のナビ演出が実行可能となるときに、それぞれOFFからONに切り替わるように示している。また、図30においては、押し順リプまたは通常リプが当選したときのナビ演出が4択ナビであるか2択ナビであるかが示されている。さらに、図26においては、ATに制御されている状態ではONとなるように示し、ATに制御されていない状態ではOFFとなるように示している。
【0392】
なお、判定用以外のナビ演出には、判定用役である押し順リプや通常リプ以外の役に当選したときに、サブ制御部91が実行するナビ演出、あるいは押し順リプや通常リプに当選したときに判定に用いられない通常のナビ演出(2択ナビ)が含まれる。また、図26ではATが1セットで50ゲーム行われるとともに、ATが2セット目まで行われた場合を例に挙げて説明する。
【0393】
図31に示すように、タイミングt1から開始されたATは、1セット50ゲームの期間に亘って制御され、タイミングt3で1セット目が終了する。その後、タイミングt3から続けて2セット目のATが開始され、タイミングt5で2セット目が終了する。また、ATにおいては、判定用ナビ演出と判定用以外のナビ演出とが実行されるようになっている。
【0394】
1セット目のATにおいてメイン制御部41がATか否かを特定する特定期間では、メイン制御部41は、押し順リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を内部当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、内部当選コマンドに含まれる情報から特定される停止順種別に基づき判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行する。メイン制御部41は、停止順種別と実際に遊技者によって操作された押し順とが一致する場合に、判定用役に対する押し順が正解した旨を特定する。そして、メイン制御部41は、1セット50ゲームのAT内で押し順正解を3回判定したときに、タイミングt2で示すようにその後AT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。これにより、外部機器において、ATの1セット目であることを特定することが可能となる。
【0395】
このように、1セット目のATにおいては、判定用役として押し順リプが対応する。なお、1セット目のATにおいては、判定用役として通常リプは用いられないため、通常リプに当選したとしても通常のナビ演出(2択ナビ)が実行される。
【0396】
ここで、ATの1セット内で、メイン制御部41がATのセット回数を特定することができた後には、再度、判定用役に対する押し順正解の判定をする必要がない。そのため、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT1セット目であることを特定するAT信号を外部出力したタイミングt2からAT1セット目が終了するタイミングt3までの間は、判定用以外のナビ演出のみを実行する。たとえば、押し順リプに当選したときでも判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行することなく通常のナビ演出(2択ナビ)を実行する。
【0397】
その後、ATの1セット目が終了して、2セット目が制御されたときには、再び判定用ナビ演出が実行される。また、メイン制御部41は、2セット目のATでは押し順リプまたは通常リプに当選したときに、所定の停止順種別を抽選によって選択し、当該停止順種別を特定する情報を判定用役当選コマンドに含ませてサブ制御部91に送信する。
【0398】
これにより、2セット目のATにおいてメイン制御部41がATか否かを特定する所定期間では、押し順リプに加えて通常リプに当選したときにも、判定用ナビ演出を実行する。つまり、2セット目のATでは、1セット目とは異なり、判定用役に通常リプも加えられることで、判定用役の種類が1種類から2種類に増加する。そして、メイン制御部41は、判定用役に対する押し順が正解したか否かを判定し、今度は1セット50ゲームのAT内で押し順正解を2回したと判定したときに、タイミングt4で示すようにその後AT2セット目であることを特定するAT信号を外部出力する。つまり、2セット目のATでは、1セット目とは異なり、押し順正解である旨の判定回数が2回となったときに、AT2セット目であることが特定される。
【0399】
これにより、外部機器において、ATの2セット目であることを特定することが可能となる。そして、サブ制御部91は、メイン制御部41がAT2セット目であることを特定する情報を外部出力したタイミングt4からAT2セット目が終了するタイミングt5までの間は、判定用ナビ演出を実行することなく、判定用以外のナビ演出を実行する。たとえば、押し順リプまたは通常リプに当選したときでも判定用ナビ演出(4択ナビ)を実行することなく通常のナビ演出(2択ナビ)を実行する。
【0400】
このように、変形例では、2セット目以降のATでは、押し順が一致したか否かを判定する回数を減少させるとともに判定用役の種類を増やし、1セット目においてATが開始されたことを特定するための特定期間より短い所定期間でATが開始されたことを特定している。これにより、ATが開始されたタイミングとAT信号が出力されたタイミングとのずれを小さくすることが可能になり、たとえば、外部機器でATの移行回数を表示する場合において、ATが開始されたにもかかわらずATの移行回数がカウントアップされるまでに時差が生じるなど、ATが開始されたタイミングとAT信号が出力されたタイミングとのずれが大きくなることによる遊技者の不満を解消することができる。さらに、AT状態に制御されたにもかかわらず、なかなかATフリーズ実行可能制御が実行されずに、遊技者が不満を感じてしまう事態を防ぐことができる。
【0401】
また、AT1セット目であることが特定された場合には、ATに制御されていないときに偶然に押し順が3連続で一致したわけではなく、AT1セット目において判定用ナビ演出に従った結果、3連続で押し順が一致した可能性が高い。したがって、通常状態(非AT)から移行した初回のATから引き続いて移行した2セット目以降のATでは、1セット目のATにおいて判定用ナビ演出および判定用ナビ演出以外の通常のナビ演出を経ているので、判定用ナビ演出に従ってストップスイッチを操作することへの遊技者の意識がすでに高まっており、判定用ナビ演出に従わずにストップスイッチを操作するようなことは起こりにくい。このため、2セット目以降のATでは、ATであることを特定する期間を短くすることができる。これにより、1セット目のATにおいてATであることを偶然に特定してしまうことを防止しながらも、2セット目以降のATにおいてATが開始するタイミングとATであることを特定するタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0402】
[AT中ATフリーズ実行可能期間外における有利度の補填について]
本実施の形態においては、AT中ATフリーズ実行可能期間外において、すぐにATフリーズ実行可能制御が実行されないことに起因して、AT中ATフリーズ実行可能期間内でATフリーズが実行されたときの有利度の高いナビストック抽選を受けられないことを考慮して、ナビストック抽選テーブルBを用いたナビストック抽選を実行することでナビストック抽選における有利度を補填していた。しかしながら、有利度の補填はこの他の方法であってもよい。
【0403】
たとえば、本実施の形態においては、ナビストック抽選テーブルBは、ナビストック抽選テーブルAやATフリーズなしのときのナビストック抽選テーブルCと比べて、ナビストック数が付与される可能性が高く、また、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっていた。しかし、これに限らず、ナビストック抽選テーブルBは、ナビストック抽選テーブルAやATフリーズなしのときのナビストック抽選テーブルCと比べて、ナビストック数が付与される可能性が高く、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性は同じであってもよい。あるいは、ナビストック抽選テーブルBは、ナビストック抽選テーブルAやATフリーズなしのときのナビストック抽選テーブルCと比べて、ナビストック数が付与される可能性が同じで、付与される場合のナビストック数が多くなる可能性は高いものであってもよい。
【0404】
また、ナビストック抽選テーブルBとATフリーズ実行ありのときのナビストック抽選テーブルCとを比較すると、ナビストック抽選テーブルCの方が付与される場合のナビストック数が多くなる可能性が高くなっていた。つまり、AT中ATフリーズ実行可能期間内における有利度は、AT中ATフリーズ実行可能期間外における有利度よりも少しだけ高くなっていた。しかし、これに限らず、ナビストック抽選テーブルBは、ATフリーズ実行ありのときのナビストック抽選テーブルCと全く同一確率で設定されたナビストック抽選テーブルを用いていてもよい。つまり、AT中ATフリーズ実行可能期間内における有利度とAT中ATフリーズ実行可能期間外における有利度とは、同一、または略同一であってもよい。ナビストック抽選テーブルA?Cにおける確率設定は、遊技者がAT中ATフリーズ実行可能期間外における期間が長くなったときに不満を感じさせないように、AT中ATフリーズ実行可能期間外における有利度が補填されている確率設定であればよい。
【0405】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、抽選条件となるAT抽選役の種類が多くなったり、高確率で当選する役をAT抽選役として用いることで、有利度の補填をするものであってもよい。
【0406】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、1個につき50ゲーム以上のATが行われるナビストックが獲得できるようにすることで、有利度の補填をするものであってもよい。
【0407】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、ナビストック抽選を行うことなく、必ずナビストックが付与されることで、有利度の補填をするものであってもよい。
【0408】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外においては、他の期間においては実行されない特別な演出(たとえば、実行されることで、その後ナビストックを追加で獲得するなど遊技者にとって有利な演出)が実行されることで、有利度の補填をするものであってもよい。
【0409】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間外において、すぐにATフリーズ実行可能制御が実行された場合は、有利度の補填をしないものであってもよい。その理由は、AT中ATフリーズ実行可能期間外において、極僅かなゲーム数、たとえば、メイン制御部41によるサブ制御部91の演出状態を特定する判定回数を1回とした場合に、AT中ATフリーズ実行可能期間内が1?3ゲームしか実行されなかった場合は、遊技者が不満を感じないためである。
【0410】
[AT中ATフリーズ実行可能期間内における有利度について]
本実施の形態においては、AT中ATフリーズ実行可能期間内においてATフリーズが実行されたときに、ATフリーズありのときのナビストック抽選テーブルCを用いてナビストック抽選をすることで、その他の期間よりも遊技者にとって有利とさせるものであった。しかしながら、AT中ATフリーズ実行可能期間内における有利度はこの他の方法で向上させるものであってもよい。
【0411】
たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間内とは異なる期間であってもATフリーズを実行するものであれば、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、その他の期間よりも長時間のフリーズが実行されることで、より多くのナビストックの獲得を期待できるようにして、有利度を向上させるものであってもよい。
【0412】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、ATフリーズが実行されたときに、抽選条件となるAT抽選役の種類が多くなったり、高確率で当選する役をAT抽選役として用いることで、有利度を向上させるものであってもよい。
【0413】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、ATフリーズが実行されたときに、1個につき50ゲーム以上のATが行われるナビストックが獲得できるようにすることで、有利度を向上させるものであってもよい。
【0414】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、ATフリーズが実行されたときに、ナビストック抽選を行うことなく、必ずナビストックが付与されることで、有利度を向上させるものであってもよい。
【0415】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、ATフリーズが実行されたときに、他の期間においては実行されない特別な演出(たとえば、実行されることで、その後ナビストックを追加で獲得するなど遊技者にとって有利な演出)が実行されることで、有利度を向上させるものであってもよい。
【0416】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、メイン制御部41によるATフリーズが実行されることを契機として有利度を向上させるものであったが、これに限らず、外部機器に対して何らかの信号を送信し、当該外部機器におけるライトが点灯することを契機として有利度を向上させるものであってもよい。
【0417】
また、AT中ATフリーズ実行可能期間内においては、サブ制御部91によるナビストック抽選において有利度を向上させるものであったが、これに限らず、メイン制御部41による処理において有利度を向上させるものであってもよい。たとえば、メイン制御部41による処理で、AT中ATフリーズ実行可能期間内において再遊技役の当選確率が向上する遊技状態に移行させることで有利度を向上させるものであってもよい。また、たとえば、AT中ATフリーズ実行可能期間内と、それ以外の期間とにおいて、同じ当選状況で、同じ操作手順をしても、AT中ATフリーズ実行可能期間内の方が、それ以外の期間よりも有利な表示結果(たとえば、払い出しの多い小役入賞や遊技状態を昇格させるための昇格リプ入賞)が導出されるものであってもよい。
【0418】
[通常ベルとベルリプ1?5との関係について]
本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、入賞ラインL1上に入賞したベルリプ1?5のいずれかに対応する図柄組み合わせが表示されるとともに、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段に跨った位置、もしくは左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段に跨った位置に通常ベルの図柄組み合わせである「ベル-ベル-ベル」が表示されるものであった。しかしながら、その他の役や図柄組み合わせ、表示位置であってもよい。
【0419】
たとえば、通常ベルに限らず、チェリーやスイカなどその他の小役であってもよい。また、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組み合わせは、通常ベルのように「ベル」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1?8のように「スイカ」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1?3のように「チェリー」図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、「ベル」図柄揃い、「スイカ」図柄揃い、「チェリー」図柄揃い、あるいは「チェリー」図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。
【0420】
また、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組み合わせは、通常ベルのように「ベル」図柄を想定させるような黄色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果に限らず、スイカ1?8のように「スイカ」図柄を想定させるような緑色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、チェリー1?3のように「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果、あるいは「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄とその他の図柄が一直線上に並んだ構成を有する表示結果」、あるいは複数のリールのうちいずれかのリールの一部に「チェリー」図柄を想定させるような赤色の図柄が導出される表示結果であってもよい。つまり、他の一般的なスロットマシンで小役として用いられていることで遊技者が経験則から小役であると認識しがちな、黄色の図柄揃い、緑色の図柄揃い、赤色の図柄揃い、あるいは赤色の図柄とその他の図柄からなるものであってもよい。
【0421】
さらに、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に表示される図柄組み合わせは、通常ベルのような小役の図柄組み合わせに限らず、遊技者に小役と認識させる図柄組み合わせであればよい。言い換えると、遊技者に再遊技役やハズレの図柄組み合わせが導出されたと認識させる図柄組み合わせ以外の図柄組み合わせであればよい。遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組み合わせとしては、「再」、「再遊技」、「再遊戯」、「リプレイ」、「リプ」、「りぷ」、「りぷれい」、「R」、「RE」、「REP」、「RP」、および「REPLAY」のうちいずれかの文字が付された図柄から構成される図柄組み合わせがある。また、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー)の図柄から構成される図柄組み合わせが小役であるものとすれば、遊技者に再遊技役が導出されたと認識させる図柄組み合わせとしては、所定の果物(たとえば、ベル、スイカ、チェリー)以外の果物の図柄から構成される図柄組み合わせがある。また、小役が導出されたときに払い出し音が鳴るものであれば、導出されたときに、その払い出し音が鳴る図柄組み合わせは、遊技者に小役と認識させる図柄組み合わせとなる。
【0422】
また、本実施の形態においては、「通常ベル」が入賞することでメダルの払い出しがあるが、「通常ベル」が入賞してもメダルが払い出されないものであってもよい。たとえば、「通常ベル」が入賞することで、次のゲームがメダルを消費することなく行えるものであってもよい。この場合でも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出されることで、遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
【0423】
さらに、たとえば、「通常ベル」は入賞しないハズレ図柄の組み合わせであってもよい。この場合でも、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、その他の位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出されることで、遊技者は他の一般的なスロットマシンで小役として認識しているために、メダルが払い出されるものだと認識させることができる。
【0424】
なお、「通常ベル」の図柄組み合わせにおいて、スロットマシン固有の図柄、たとえば、ロゴや小役によく用いられる色(黄色、緑色、赤色)以外の色の図柄を用いる場合には、他の一般的なスロットマシンで小役として認識されていないため、入賞によってメダルの払い出しが行われるものである必要がある。
【0425】
また、左リール2Lの中段、中リール2Cの中段、右リール2Rの中段に跨った入賞ラインL1に限らず、左リール2Lの上段、中リール2Cの上段、右リール2Rの上段に跨って設定された入賞ラインL2、左リール2Lの上段、中リール2Cの中段、右リール2Rの下段に跨って設定された入賞ラインL3、左リール2Lの下段、中リール2Cの中段、右リール2Rの上段に跨って設定された入賞ラインL4、左リール2Lの下段、中リール2Cの下段、右リール2Rの下段に跨って設定された入賞ラインL5などを用いてもよい。さらに、1本の入賞ラインに限らず、複数本の入賞ラインが設定されているものであってもよい。上記のような入賞ラインを設定するものであっても、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、入賞ライン上に入賞したベルリプ1?5のいずれかに対応する図柄組み合わせが表示されるとともに、入賞ライン以外のラインに通常ベルの図柄組み合わせが表示されるものであればよい。
【0426】
また、本実施の形態においては、入賞が発生する位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出するパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、入賞が発生する位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したときに、入賞が発生する位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出するパターンであってもよい。また、たとえば、入賞が発生しない位置にベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したときに、入賞が発生しない位置に通常ベルの図柄組み合わせが導出するパターンであってもよい。
【0427】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したことによってベルリプ1?5のいずれかが入賞し、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組み合わせによっては入賞しないパターンを用いていたが、これに限らない。たとえば、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したことによってはベルリプ1?5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組み合わせによっては入賞するパターンであってもよい。また、たとえば、ベルリプ1?5のいずれかの図柄組み合わせが導出したことによってはベルリプ1?5が入賞せず、かつその他の位置に導出された通常ベルの図柄組み合わせによっても入賞しないパターンであってもよい。
【0428】
[特定条件について]
本実施の形態においては、ベルリプフリーズを解除するための特定条件として、所定時間の経過、MAXBET操作、およびクレジット精算操作が設定されていた。しかしながら、これに限らず、その他の条件であってもよい。
【0429】
たとえば、メダル1枚でもゲームを開始するための賭数を設定できるスロットマシンであれば、1BET操作によって特定条件が成立するものであってもよい。通常ベルなどの小役が入賞したときに、次のゲームを開始するために遊技者が通常行う操作であれば、当該操作を特定条件として設定してもよい。たとえば、通常ベルなどの小役が入賞したときに、必ず点灯することで遊技者に操作を促すボタンがあれば、当該ボタンの操作を特定条件として設定してもよい。
【0430】
また、ベルリプフリーズを、MAXBET操作のみで解除するもの、クレジット精算操作のみで解除するもの、および所定時間の経過のみで解除するものに限らず、これらの条件の全てが成立したとき、もしくはこれらの条件のうち複数の条件が成立したときにベルリプフリーズが解除されるものであってもよい。また、所定時間の経過でベルリプフリーズが解除されることは設定されていなくてもよい。
【0431】
また、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに、遊技者にMAXBET操作やクレジット精算操作を促す方法として、ベルリプフリーズを実行するものであった。しかしながら、フリーズに限らず、たとえば、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、通常ベルに入賞したときと同じように、液晶表示器51にMAXBET操作やクレジット精算操作を促す画像を表示してもよいし、スピーカ53、54からMAXBET操作やクレジット精算操作を促す音声を出力するものであってもよい。
【0432】
[遊技状態について]
本実施の形態においては、1つの遊技状態のみが設定されていたが、これに限らず、役の当選や入賞などに応じて複数の遊技状態の間を遷移するようなスロットマシンであってもよい。
【0433】
また、本実施の形態においては、遊技者にとって有利なBB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)、もしくはCB(チャンスボーナス)などの特別遊技状態に制御されるものであってもよい。また、CBについては、複数の遊技状態(たとえば、RT1、RT2など)のいずれかに制御されたときに、制御中の遊技状態を変化させずにCBが実行される、貫通型のCBであってもよい。
【0434】
また、複数の遊技状態の間を遷移するようなスロットマシンであれば、特定の再遊技役に入賞したときに制御中の遊技状態から有利度合いの異なる遊技状態に制御されるものであってもよい。たとえば、通常RTにおいてベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、通常RTよりも再遊技役の当選確率が向上する有利RTに移行(昇格)するものであってもよい。あるいは、有利RTにおいてベルリプ1?5のいずれかに入賞したときには、通常RTに移行(転落)するものであってもよい。これによれば、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したことを遊技者に分かりにくくすることで、いずれの遊技状態で遊技をしているかを把握しにくくすることができ、遊技者の遊技状態に対する興味を惹きつけ、遊技の興趣を向上させることができる。さらに、本実施の形態においては、ベルリプ1?5のいずれかに入賞したときに通常ベルが入賞したかのように遊技者に思わせることができるため、いずれの遊技状態で遊技をしているかをより把握しにくくすることができる。
【0435】
[判定用ナビ演出について]
本実施の形態では、判定用ナビ演出が行われるための判定用役として、通常リプや押し順リプを用いるものであったが、これに限らず、その他の役であってもよい。また、本実施の形態では、メイン制御部41は、所定の判定用ナビ演出をサブ制御部91にさせることによって、AT中であるか否かを特定していたが、その他の演出状態を特定するものであってもよい。たとえば、メイン制御部41は、サブ制御部91側における、ナビストック抽選での抽選モード(高確率モード、低確率モード)などの有利な遊技状態に関する抽選確率、獲得されたナビストック数やナビストックの有無などの有利な遊技状態へ移行させるための権利に関するもの、有利な遊技状態のゲーム数や継続率、プレミア演出や設定示唆演出の実行されやすさ、演出種類、遊技者に携帯端末の壁紙や音楽を付与するための二次元コードの表示の有無、携帯端末の壁紙や音楽の付与の有無など、本実施の形態と異なる態様の演出制御状態を特定するものであってもよい。さらには、メイン制御部41が、サブ制御部91の制御する有利度以外の制御状態、たとえば、サブ制御部91側が判定した異常、不正行為の可能性、時間などをメイン制御部41が特定するものであってもよい。
【0436】
[メイン制御部41による演出制御状態の特定期間について]
本実施の形態においては、2セット目以降のATでは、押し順が一致したか否かを判定する回数を減少させるとともに判定用役の種類を増やすことにより、2セット目のATにおいて1セット目における特定期間より短い期間でATが開始されたことを特定する例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、所定ゲーム数の間に所定役が所定回数連続入賞している場合(たとえば5ゲーム中3回連続など)に所定制御を行うように構成し、2セット目以降のATでは1セット目よりも所定ゲーム数を少なくする(たとえば5ゲームを3ゲームにする)、あるいは、判定の時間を1セット目よりも2セット目は短くするなど、上記実施例と異なる方法で2セット目のARTにおいて1セット目における特定期間より短い期間でATが開始されたことを特定するスロットマシンに上記の実施例で示した構成を適用して本発明を実現することが可能である。また、押し順が一致したか否かを判定する回数を減少させる、あるいは、判定用役の種類を増やす方法のうちいずれかのみを適用してもよい。
【0437】
[ナビストック示唆演出について]
本実施の形態においては、「特典示唆演出」の一例として、ナビストック抽選におけるナビストックの獲得有無を示唆するナビストック示唆演出について説明したが、これに限らず、何らかの特典が付与されたか否かを示唆する演出であればその他の演出であってもよい。
【0438】
たとえば、ATなどの有利な遊技状態に制御されるゲーム数や継続率、ボーナス(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)などの持ち越し可能な役の持ち越し当選の有無、実行されることで有利となるフリーズ演出の実行されやすさ、プレミア演出や設定示唆演出の実行されやすさ、遊技者に携帯端末の壁紙や音楽を付与するための二次元コードの表示の有無、携帯端末の壁紙や音楽の付与の有無など、遊技者にとって有利となる特典であればいずれの特典が示唆されるものであってもよい。なお、あるゲームにおける内部抽選による結果(当選した役)を示唆するものでない方が好ましい。その理由は、当選役示唆演出によってAT抽選役への当選有無の期待を遊技者にさせているため、仮に当選役示唆演出と当選役を示唆する特典示唆演出とが同時に実行されてしまうと、AT抽選役への当選有無が認識されてしまい、遊技者への期待感が損なわれてしまうからである。
【0439】
また、本実施の形態においては、ナビストック示唆演出は、AT中に限り、判定用ナビ演出が実行されているか否かにかかわらずに実行されるものであったが、AT中以外においても実行されるものであってもよい。
【0440】
また、本実施の形態においては、ナビストック示唆演出は、3ゲームに亘る一連の連続演出であったが、1ゲーム内で完結するものであってもよく、4ゲームや5ゲームなど、その他のゲーム数に亘って実行されるものであってもよい。
【0441】
また、ナビストック示唆演出の実行タイミングは、実行中のATのセットが終了するラスト3ゲーム目から3ゲームに亘って実行されるものであってもよい。この場合、図25(c)に示すように、ラスト3ゲーム目と2ゲーム目において液晶表示器51の画面上に「獲得かも?」という文字画像51hが表示され、ラスト1ゲーム目において「ナビストック獲得!!」という文字画像51jまたは「残念」という文字画像51kが表示されるものであってもよい。これにより、現在のセットの終了間際において次のセットに継続するか否かを遊技者に期待させることができ、遊技の興趣を向上させることができる。なお、ナビストック示唆演出の演出態様は、図25(c)に示す演出に限らず、特典を示唆する演出であれば、いずれの演出態様であってもよい。
【0442】
[当選役示唆演出について]
本実施の形態においては、「決定結果示唆演出」の一例として、AT抽選役に当選したことを示唆する当選役示唆演出について説明したが、これに限らず、当選役を示唆する演出であればその他の演出であってもよい。
【0443】
たとえば、当選役示唆演出は、図25(a)に示す演出内容に限らず、スピーカ53、54などを用いて音声によって当選役を示唆するものや、LEDなどの点灯手段を用いて光によって当選役を示唆するものであってもよい。
【0444】
また、当選役示唆演出によって示唆する対象は、「特別決定結果」の一例であるAT抽選役、および「特定決定結果」の一例である押し順リプや通常リプとった判定用役に限らない。たとえば、「特別決定結果」としては、AT抽選役当選の代わりに遊技者にとって有利なボーナスと同時当選する可能性のあるスイカ役当選など、その他のチャンス役当選を用いてもよいし、1種類の役当選に限らず複数種類の役当選を用いてもよい。また、「特別決定結果」としては、押し順リプや通常リプとった判定用役当選の代わりに、その他のナビ対象役当選を用いてもよい。なお、特定決定結果となったときよりも特別決定結果となったときの方が遊技者にとって有利度が高い方が好ましい。
【0445】
また、本実施の形態においては、AT抽選役に当選したときにはナビストック抽選が行われることでナビストックを獲得できる可能性があるのに対し、押し順リプや通常リプとった判定用役に当選したときにはナビストック抽選が行われないため、押し順リプや通常リプとった判定用役よりもAT抽選役の方が有利となるものであった。しかしながら、AT抽選役が有利となる方法は他のものであってもよい。たとえば、AT抽選役に入賞したときには、押し順リプや通常リプとった判定用役に入賞したときよりも、より多くのメダルが払い出されるために(たとえば、AT抽選役入賞はメダルが払い出されるのに対し、押し順リプや通常リプとった判定用役はメダルが払い出されない)、押し順リプや通常リプとった判定用役よりもAT抽選役の方が有利であるものであってもよい。
【0446】
[継続示唆演出について]
本実施の形態においては、継続示唆演出について、現在制御中のATが終了した後に次のATに継続する可能性がある旨を示唆する演出であることについて説明したが、これに限らず、示唆演出の実行が規制されたときのゲームにおいて制御中の演出制御状態の有利度に関する情報を示唆する演出であればその他の演出であってもよい。
【0447】
たとえば、継続示唆演出は、図25(b)に示す演出内容に限らず、スピーカ53、54などを用いて音声によって有利度に関する情報を示唆するものや、LEDなどの点灯手段を用いて光によって有利度に関する情報を示唆するものであってもよい。
【0448】
継続示唆演出によって示唆する有利度に関する情報は、次のATに継続する可能性に関する情報に限らない。たとえば、継続示唆演出は、現在所有しているナビストック数に関する情報を示唆するものであってもよいし、次のATに継続する抽選における継続確率に関する情報を示唆するものであってもよい。また、継続示唆演出は、遊技者にとって有利なボーナス当選を示唆するものであってもよいし、実行後に有利度が向上するフリーズ演出の実行を示唆するものであってもよい。さらに、継続示唆演出は、メダルの払出率に直接影響を及ぼすものではない特典の付与(たとえば、プレミア演出の実行、設定値の示唆、画像や曲のダウンロードを可能とするポイントの付与など)を示唆するものであってもよい。
【0449】
また、継続示唆演出によって示唆する有利度に関する情報は、サブ制御部91側で制御される状態の有利度に関する情報に限らず、メイン制御部41側で制御される状態の有利度に関する情報であってもよい。たとえば、継続示唆演出は、メイン制御部41側で設定される設定値を示唆するものであってもよいし、実行後に遊技者にとって有利な状態となる演出(たとえば、メイン制御部41のリール制御によるフリーズ演出など)の実行確率を示唆するものであってもよく、その他の情報を示唆するものであってもよい。
【0450】
[当選役示唆演出の規制について]
本実施の形態においては、「決定結果示唆演出」の一例としての当選役示唆演出が、判定用ナビ演出が実行されるときには100%規制されるものであったが、これに限らず、抽選などによって所定確率で規制されるものであってもよい。これによれば、抽選によって規制される場合に限り、押し順リプや通常リプといった判定用役に当選したことが遊技者に確定的に認識されてしまうことを防ぐことができる。
【0451】
また、当選役示唆演出の実行が規制される期間は、判定用ナビ演出が実行される期間内に限らず、AT中であれば常に規制されるものであってもよい。
【0452】
また、AT中のゲームであっても、判定用ナビ演出を実行しない間は当選役示唆演出の実行を規制しないものとして、判定用ナビ演出と当選役示唆演出との実行タイミングが重なるときには当選役示唆演出の実行を規制するものであってもよい。たとえば、AT中のゲームの開始後にサブ制御部91が押し順リプや通常リプといった判定用役に当選したことを示す内部当選コマンドを受信したときには、まず当選役示唆演出を実行して、その後、判定用ナビ演出を実行するものであってもよい。これによれば、当選役示唆演出を実行している間は、遊技者に対して、AT抽選役に当選した旨、または判定用役に当選した旨を示唆することができ、遊技の興趣を向上させることができる。さらには、判定用ナビ演出に限らず、通常のナビ演出が実行されるゲームでも当選役示唆演出の実行が規制されるものであってもよいし、AT中である限りは常に当選役示唆演出の実行が規制されるものであってもよい。
【0453】
[本実施の形態におけるその他の変形例や実施の形態の特徴点について]
(1) ナビストック数が残存している状態で遊技者にとって有利なボーナスに当選したときにおける当該ナビストック数について、クリア(たとえば「0」)する処理を行うものであってもよく、当該ボーナス終了後まで持ち越す処理を行うものであってもよく、所定数減算する処理を行うものであってもよく、所定数上乗せ加算する処理を行うものであってもよく、また当該ボーナス当選ごとにいずれの処理を行うかを決定し、該決定された処理を行うものであってもよい。これにより、ナビストック数が残存している状態においてボーナス当選したときのバリエーションが増加し、遊技の興趣を向上させることができる。
【0454】
(2) 本実施の形態では、賭数の設定や入賞に伴う遊技用価値の付与に用いる遊技媒体としてメダルを適用したスロットマシンを例として説明した。しかしながら、本発明を具現化するスロットマシンは、パチンコ遊技機で用いられている遊技球を遊技媒体として適用したスロットマシン(いわゆるパロット)であってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記の実施の形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0455】
また、本実施の形態では、メダルならびにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、これに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。遊技球を遊技用価値として用いる場合には、たとえば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記実施の形態で賭数として3を設定する場合は15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
【0456】
さらに、本実施の形態では、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のうちのいずれか1種類のみを用いるものに限定されるものではなく、たとえばメダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球などの複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るものであってもよい。
【0457】
(3) 本実施の形態では、3つのリール2L、2C、2Rを有する可変表示装置を備え、全てのリールが停止した時点で1ゲームが終了し、3つのリールに導出された表示結果の組み合わせに応じて入賞が発生するスロットマシンについて説明した。すなわち、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な複数の可変表示領域のそれぞれに表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記複数の可変表示領域のすべてに前記表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記複数の可変表示領域のそれぞれに導出された前記表示結果の組み合わせに応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンについて説明した。しかし、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであれば、3つのリールを有する可変表示装置を備えるものに限らず、1のリールしか有しないものや、3以外の複数のリールを有する可変表示装置を備えるスロットマシンであってもよい。
【0458】
(4) 本実施の形態では、複数のナビストックが付与されたときに再度のATに移行する権利が付与されるようにした例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、AT中の所定条件の成立で再度のATに移行する権利が付与される、ATの終了時の抽選に当選すると再度のATに移行する権利が付与されるなど、上記実施例と異なる態様で再度の有利状態に制御するスロットマシンに上記の実施例で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。なお、再度のATに移行する権利が付与されている場合には一旦終了させずにATを連続的に継続してもよいし、セットの区切りで一旦ATを終了させてもよい。
【0459】
(5) 本実施の形態では、1セットのATを抽選で決定したゲーム数を消化したときに終了する例を挙げたが、この実施の形態に限らず、たとえば、固定された所定ゲーム数のゲームを行うと1セットのATが終了する、AT中に所定役に当選または所定役が入賞すると1セットのATが終了する、AT中に実行する抽選に当選すると1セットのATが終了するなど、上記実施例と異なる態様で有利状態の終了条件が成立するスロットマシンに上記の実施例で示した構成を適用して、本発明を実現することが可能である。
【0460】
(6) 本実施の形態におけるスロットマシン1は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示領域に表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記可変表示領域に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記可変表示領域に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
前記可変表示領域に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段による決定結果に応じて表示結果を前記可変表示領域に導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者所有の遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技者所有の遊技用価値を用いて賭数を設定する際に操作される賭数設定操作手段と、
前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を精算する際に操作される精算操作手段と、
特定条件が成立したときに、次のゲームが開始可能となる開始前状態に制御する開始前状態制御手段とを備え、
前記事前決定手段により導出が許容される表示結果には、前記遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技表示結果とが含まれ、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段により前記付与表示結果のうちの特定付与表示結果の導出が許容される場合において、当該特定付与表示結果を導出するときには、前記可変表示領域の第1位置に一の表示結果を導出させ、
前記事前決定手段により前記再遊技表示結果のうちの特定再遊技表示結果の導出が許容される場合において、当該特定再遊技表示結果を導出するときには、前記可変表示領域の前記第1位置とは異なる第2位置に前記一の表示結果を導出させ、
前記開始前状態制御手段は、
前記特定再遊技表示結果が導出された後に前記賭数設定操作手段が操作されたときに、前記特定条件が成立したと判断して前記開始前状態に制御する第1開始前状態制御手段と、
前記特定再遊技表示結果が導出された後に前記精算操作手段が操作されたときに、前記特定条件が成立したと判断して前記開始前状態に制御する第2開始前状態制御手段とを含む。
このような構成によれば、遊技用価値の付与を伴う特定付与表示結果が可変表示領域に導出されるときには、第1位置に一の表示結果が導出され、遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な特定再遊技表示結果が可変表示領域に導出されるときには、第2位置に一の表示結果が導出される。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときに、遊技者に対して、一見、特定付与表示結果が導出されたかのように認識させることができる。しかも、賭数設定操作手段の操作があると開始前状態となるため、制御的には再遊技によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して特定付与表示結果が導出された後に賭数操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、精算操作手段の操作があると開始前状態となるため、特定付与表示結果を得た後に精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、導出された結果が特定付与表示結果ではなく特定再遊技表示結果であると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。その結果、遊技者に対して違和感を与えることなく次のゲームを進めさせることができる。
【0461】
(7) 本実施の形態におけるスロットマシン1は、
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示領域に表示結果を導出させることが可能な可変表示装置を備え、
遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、前記可変表示領域に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、1ゲームの結果として前記可変表示領域に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンであって、
前記可変表示領域に表示結果が導出される前に、所定の表示結果のうち導出を許容する表示結果を決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段による決定結果に応じて表示結果を前記可変表示領域に導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者所有の遊技用価値を記憶する遊技用価値記憶手段と、
前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技者所有の遊技用価値を用いて賭数を設定する際に操作される賭数設定操作手段と、
前記遊技用価値記憶手段に記憶された遊技用価値を精算する際に操作される精算操作手段と、
特定条件が成立したときに、次のゲームが開始可能となる開始前状態に制御する開始前状態制御手段とを備え、
前記事前決定手段により導出が許容される表示結果には、前記遊技用価値の付与を伴う付与表示結果と、前記遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な再遊技表示結果とが含まれ、
前記導出制御手段は、
前記事前決定手段により前記再遊技表示結果のうちの特定再遊技表示結果の導出が許容される場合において、当該特定再遊技表示結果を導出するときには、前記可変表示領域のいずれかの位置に前記付与表示結果であると遊技者に認識させるための所定の表示結果を導出させ、
前記開始前状態制御手段は、
前記特定再遊技表示結果が導出された後に前記賭数設定操作手段が操作されたときに、前記特定条件が成立したと判断して前記開始前状態に制御する第1開始前状態制御手段と、
前記特定再遊技表示結果が導出された後に前記精算操作手段が操作されたときに、前記特定条件が成立したと判断して前記開始前状態に制御する第2開始前状態制御手段とを含む。
【0462】
このような構成によれば、遊技用価値を用いることなく次のゲームを行うことが可能な特定再遊技表示結果が可変表示領域に導出されるときには、可変表示領域のいずれかの位置に付与表示結果であると遊技者に認識させるための所定の表示結果が導出される。これにより、特定再遊技表示結果が導出されたときに、遊技者に対して、一見、付与表示結果が導出されたかのように認識させることができる。しかも、賭数設定操作手段の操作があると開始前状態となるため、制御的には再遊技によって賭数が自動設定されていても、遊技者に対して付与表示結果が導出された後に賭数操作を伴い次のゲームを開始できるようになったかのように思わせることができ、違和感を感じさせない。あるいは、精算操作手段の操作があると開始前状態となるため、付与表示結果を得た後に精算操作をして遊技を終えようとした遊技者に対しては、導出された結果が付与表示結果ではなく特定再遊技表示結果であると理解させることができ、違和感を感じさせることがない。その結果、遊技者に対して違和感を与えることなく次のゲームを進めさせることができる。
【0463】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0464】
1 スロットマシン、2L、2C、2R リール、6 MAXBETスイッチ、7 スタートスイッチ、8L、8C、8R ストップスイッチ、41 メイン制御部、51 液晶表示器、91 サブ制御部、140 ホールコンピュータ、200 呼び出しランプ装置、1000 外部出力基板。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、
前記可変表示部を変動表示した後、前記可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンにおいて、
表示結果組合せを導出させるために操作される手段であって、前記複数の可変表示部それぞれに対応する複数の導出操作手段と、
導出を許容する表示結果組合せを決定する事前決定手段と、
前記事前決定手段の決定結果と前記複数の導出操作手段の操作とに応じて表示結果組合せを導出させる制御を行う導出制御手段と、
遊技者にとって有利な特殊制御を実行可能となる所定制御を、前記事前決定手段の決定結果が特定決定結果となりかつ前記複数の導出操作手段が複数の操作順序のうち特定操作順序で操作されたことに基づき実行する所定制御実行手段と、
演出制御状態に制御する演出制御状態制御手段と、
前記演出制御状態で前記所定制御が実行された後において当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する遊技者にとって有利な第1特定制御を行う一方で、当該演出制御状態で前記所定制御が実行される前においても当該演出制御状態の制御期間を延長するための権利を付与する第2特定制御を行う特定制御手段とを備え、
前記第1特定制御が行われる契機と前記第2特定制御が行われる契機とは同じでありかつ当該契機として複数の契機が設けられており、
前記第1特定制御が行われる契機および前記第2特定制御が行われる契機のいずれにおいても、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果となることは含まれず、
前記導出制御手段は、前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果よりも権利の付与に関する有利度が高い特別決定結果である場合、特定タイミングで前記複数の導出操作手段のうちの特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生する入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、前記特定タイミング以外のタイミングで該特定導出操作手段が操作されたときには、入賞が発生しない非入賞表示結果組合せを構成する表示結果を該特定導出操作手段に対応する可変表示部に導出させる制御を行い、
前記スロットマシンは、さらに、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記所定制御が実行される前の前記演出制御状態においては前記特定操作順序を特定可能な情報を報知し、前記所定制御が実行された後の前記演出制御状態においては前記複数の導出操作手段のうち最初に操作すべき導出操作手段のみを特定可能な情報を報知する報知手段と、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果および前記特別決定結果のうちいずれかである旨を示唆する決定結果示唆演出を実行可能である決定結果示唆演出実行手段とを備え、
前記決定結果示唆演出実行手段は、
前記事前決定手段の決定結果が前記特別決定結果である場合、前記決定結果示唆演出を実行し、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されるときには、前記決定結果示唆演出を実行せず、
前記事前決定手段の決定結果が前記特定決定結果である場合、前記報知手段により前記特定操作順序を特定可能な情報が報知されないときには、前記決定結果示唆演出を実行する、スロットマシン。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-06-26 
出願番号 特願2013-107698(P2013-107698)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (A63F)
P 1 651・ 537- YAA (A63F)
P 1 651・ 113- YAA (A63F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 森田 真彦  
特許庁審判長 石井 哲
特許庁審判官 松川 直樹
濱野 隆
登録日 2017-10-20 
登録番号 特許第6227894号(P6227894)
権利者 株式会社三共
発明の名称 スロットマシン  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
代理人 特許業務法人平木国際特許事務所  

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