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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B24B |
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管理番号 | 1354106 |
異議申立番号 | 異議2019-700301 |
総通号数 | 237 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-09-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2019-04-17 |
確定日 | 2019-07-26 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 特許第6405157号発明「光倣い研削盤」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6405157号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 |
理由 |
1 手続の経緯 特許第6405157号の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成26年8月29日(優先権主張平成25年9月17日)に出願され、平成30年9月21日にその特許権の設定登録がされ、平成30年10月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成31年4月17日に特許異議申立人鈴木宏和(以下「特許異議申立人」という)により特許異議の申立てがされた。 2 本件発明 特許第6405157号の請求項1?11の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ワークテーブルに固定したワークに対して砥石車を上下動してワークの研削を行い、かつワークの研削位置を上方位置から照明する第1の投光器と、下方位置から照明する第2の投光器とを備えた光倣い研削盤であって、光倣い研削盤におけるベースフレーム上に、ワークの研削加工位置を投影するスクリーンを上部に備えた本体フレームを立設して備え、光倣い研削盤の制御を行う制御盤及びワークの研削位置を照明するLED光源装置を内装した制御ボックスを、この制御ボックス内の発熱が前記本体フレームに悪影響を付与することのないように、前記本体フレームに対して熱的に離反して前記ベースフレーム上に備え、前記ワークの研削位置を照明する投光器と前記LED光源装置とを、複数本の光ファイバーを束ねたライトガイドによって接続してあることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項2】 請求項1に記載の光倣い研削盤において、前記ワークの研削位置を、斜め上方位置及び/又は斜め下方位置から照明する第3の投光器を備えていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項3】 請求項1又は2に記載の光倣い研削盤において、共通のLED光源装置を、複数に分岐した分岐ライトガイドを介して複数の前記投光器に接続してあることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項4】 請求項1?3のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、照度及び調色を調節自在なカラーLED光源装置であることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項5】 請求項1?3のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、照度が調節自在な単色LED光源装置であることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項6】 請求項4に記載の光倣い研削盤において、前記カラーLED光源装置は、照度が調節自在な赤色LED光源装置と、照度が調節自在な緑色LED光源装置と、照度が調節自在な青色LED光源装置とを備えていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項7】 請求項1?6のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置は、光倣い研削盤に備えられた制御ボックス内に内装されていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項8】 請求項1?7のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置及び/又は制御装置に備えた表示器のON,OFFを制御するために、光倣い研削盤の正面位置の所定領域内に位置する人体を検知する人体検知センサを備えていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項9】 請求項1?8のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置を制御する制御装置は、ワークを照射する照度のデータを、作業者に対応して予め格納した照度データメモリを備えていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項10】 請求項1?8のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源装置を制御する制御装置は、照度を調節自在な照度調節操作手段を備えていることを特徴とする光倣い研削盤。 【請求項11】 請求項4、6、請求項6を引用する請求項7、請求項6、7を引用する請求項8、請求項6、7、8を引用する請求項9又は10のいずれかに記載の光倣い研削盤において、前記LED光源を制御する制御装置は、ワークの加工位置を照射する照射光の調色を行う調色データとワークの材質とを関連付けた調色データメモリを備えていることを特徴とする光倣い研削盤。」 3 申立理由の概要 特許異議申立人は、主たる証拠として甲第1号証(以下「文献1」という)及び従たる証拠として甲第2号証ないし甲第14号証(以下「文献2」ないし「文献14」という)を提出し、請求項1?11に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1?11に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。 甲第1号証:実願昭60-144198号(実開昭62-53948号)のマイクロフィルム 甲第2号証:特開2010-197171号公報 甲第3号証:特表2012-522262号公報 甲第4号証:「AItec 画像処理用LED 照明 総合カタログ」、株式会社アイテックシステム、2011年発行、表紙、p.20?22、62、裏表紙 甲第5号証:株式会社しおかぜ技研 Webサイト(ホームページ) (https://www.siokaze.jp/) 甲第6号証:特開2010-58198号公報 甲第7号証:特開平1-228768号公報 甲第8号証:特開2003-300122号公報 甲第9号証:特開2008-246634号公報 甲第10号証:特開昭60-90661号公報 甲第11号証:実願昭56-106069号(実開昭58-13951号)のマイクロフィルム 甲第12号証:実願昭59-97527号(実開昭61-12671号)のマイクロフィルム 甲第13号証:特開平8-211360号公報 甲第14号証:特開2013-131393号公報 4 文献の記載 (1)文献1には以下の記載がある。 ア 「本考案は、光倣い研削盤用照射装置に関し、さらに詳しくは、光倣い研削盤において、研削砥石車がワークと接触する先端付近での砥石車とワークとの係合寸法を、直接的にスクリーンに投影する装置において、特に砥石車の直接反射光利用するようにした光倣い研削盤用照射装置に関するものである。」(明細書1ページ18行-2ページ4行) イ 「すなわち、この考案に係る光倣い研削盤用照射装置は、テーブル上に載置されたワークを研削するための砥石車を上下に往復動自在に備えると共に、ワーク上面に照射する第1の光源を設け、前記砥石車がワークに接する位置にあるとき砥石車を照射する第2の光源を、ワーク上面よりも上方の位置に備えてなるものである。」(明細書5ページ4-10行) ウ 「そして光学系としては、ワーク5の下面に設けられた透過照明17は、防塵ガラス19を通り各所に設けられた反射鏡21および倍率切換もできる投影レンズ23により投影スクリーン7上に映し出される。 また、第1の光源として設けた反射照明25は、ハーフミラー27および保護レンズ29を通りワーク上面を照射する。」(明細書6ページ2-9行) エ 「可搬式の照明発生装置33(一部省略)は、一般市販品のため説明を省略するが、光源より照射された光をコンデンサレンズ35で集光し、可撓性を有するフレキシブルチューブ37で外装された複数本束ねた光を通過する通光チューブ39(例えばプラスチック光ファイバ等)を経て、投光用筒41に設けた光束集光レンズ43により最適な光束にして砥石車に照射する。」(明細書7ページ1-8行) オ 上記記載からみて、文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。 「テーブル上に載置されたワークに対して砥石車を上下に往復動してワークの研削を行い、かつワーク上面に照射する反射照明25と、ワークの下面に設けられた透過照明17とを備えた光倣い研削盤であって、光倣い研削盤に、砥石車がワークと接触する先端付近での砥石車とワークとの係合寸法が投影されるスクリーンを備えた光倣い研削盤。」 なお、上記記載事項エには、可搬式の照明発生装置33と投光用筒41とをプラスチック光ファイバ等の通光チューブ39で接続した構成が記載されている。しかし、当該構成は、第2の光源として設けた反射照明31の実施例に係るものであり、第1の光源として設けた反射照明25及びワーク5の下面に設けられた透過照明17に直接使用される構成ではないため、引用発明の認定には用いられていない。 (2)文献2には以下の記載がある。 ア 「【0051】 (成形研削盤) 図2に示す成形研削盤36は、いわゆる倣い研削盤で、ワーク17の形状を確認しながらその形状を形成していく工作機械である。・・・」 イ 「【0125】 ○ 実施形態においては、光源としてHe-Neレーザを用いているが、他の各種レーザ発振器を用いてもよい。さらに、光源をレーザ光源に限らず、各色のLED(Light Emitting Diode)としてもよい。LEDは、可視光の紫(波長380?450)、青(波長450?495nm)、緑(波長495?570nm)、橙(590nm)、赤(波長660nm)や、3波長混合の白色の他、不可視光である近紫外光(波長<380nm)を用いることもできる。」 ウ 「【0128】 ○ また、投影光学系は、プロジェクターとして直接投影画面に照射できるような構成としてもよい。・・・」 (3)文献3には以下の記載がある。 「【0042】 本装置またはシステムにおいて基本的には、高温の構成要素は、低温の構成要素から分けられる。特に、望まれない熱をフィルターにかける、または除去するための手段は、第1構成要素ハウジングに設置される。このために、図12に概略的に示される(本システムで用いられてもよい)本装置1における現在の好ましい実施形態は、光源3と、光源のための冷却手段(ファン)4と、光源3からの光を集光するように構成される反射体60に取り付けられる光源3と、光源3の前方で保護用のランプガラスに組み込まれたUVフィルター61と、IRフィルター62と、UV及びIRフィルター61及び62を通る光源3及び/または反射体60からの光を受けるダイナミックカラーフィルター8と、液体光ガイド6と、光源3に面する液体光ガイド6の端部部分での(例えば図11に開示されるような)第2冷却手段63と、積分ロッド64に対して終端する液体光ガイド6における別の端部と、その後の画像形成要素9及び投影レンズ10と、を含有し、光源3と、光源のための冷却手段4と、反射体60と、UVフィルター61と、IRフィルター62と、ダイナミックカラーフィルター8と、第2冷却手段63と、は、第1構成要素ハウジング11に設置され、このハウジングは、さらなる構成要素ハウジング12に設置される別の構成要素から分かれており、構成要素ハウジング間の接続部は、液体光ガイド6を用いてもたらされる。 【0043】 本装置は、ダイナミックカラーフィルターを調整するように構成される制御手段を同様に含み、装置の出力、すなわち投影される画像において弱い赤色を補う。長い光ガイドを用いると、赤色は弱く見えることが理解される。ゆえに、弱い赤色を補うようにカラーフィルターを調整することは、装置における色の精度を改善する。調整は、好ましくは自動的である。例えば前記制御手段は、装置の制御ユニットである。 【0044】 例えば上述された光源3は、・・・光放射ダイオード(LED)光源、・・・であってもよいが、別の光源が同様に用いられてもよい。・・・」 (4)文献4には、株式会社アイテックシステムのLED光源装置について、以下の記載がある。 「〇LEDを使用しているため、ハロゲンに比べ発熱が少なく長寿命・低消費電力。 ・・・ 〇出力部アダプタの交換により、各種のライトガイドに適合できます。 ・・・ 〇微細部品の検査用、顕微鏡用、限られた狭い空間での照明に最適。」(21ページ) (5)文献5には、株式会社しおかぜ技研について以下の記載があるとともに、当該しおかぜ技研が製造販売している、投光器とLED光源装置とを複数本の光ファイバーを束ねたライトガイドによって接続した構造の照明の具体例が示されている。 「検査用照明、作業用照明、顕微鏡照明等のLEDライトの製造販売 LEDを使用した検査用照明、フレキシブルアームライト、顕微鏡や設備・機器用の照明や読書灯の販売を行っています。表面検査用照明、実体顕微鏡照明や細長いフレキシブルな作業用照明を始め、LEDの特長を活かして、ニーズに合わせたLED照明を製造販売しております。」(1ページ) (6)文献6には以下の記載がある。 ア 「【0004】 ワークの加工時、制御ボックス8の内部のサーボアンプ等が発熱して制御ボックス8の温度が上昇する。制御ボックス8の温度上昇は、連結金具20と固定金具30を介してコラム背面部に十分に伝わり、コラム背面部の温度が約20℃上昇する場合がある。このとき、コラム前面部の温度はほとんど上昇しないため、コラム背面部のみ熱膨張を起こし上方への熱変位を生じることによりコラム2が前方へ傾斜してしまう。そのため、主軸ヘッドの位置が変化し、ワークの加工精度が低下するという問題があった。」 イ 「【0027】 次に、以上説明した工作機械1の作用、効果について説明する。 この工作機械1では、ワークの加工時、制御ボックス8内のサーボアンプ等が発熱し制御ボックス8の温度が上昇する。左右1対の固定金具10は上部固定金具11と下部固定金具15とで分割構成になっており、従来の固定金具30の場合よりも熱の伝わる断面積が減少するため、制御ボックス8の熱がコラム2へ伝わりにくい。制御ボックス8自身に熱変位が生じた場合、制御ボックス8の上方への熱変位に伴って、コラム2に対して上部固定金具11が上方へスライド移動を行う。そのため、コラム背面部に対して上方に押し上げる力が作用しない。 【0028】 このように、左右1対の固定金具10は、上部固定金具11と、下部固定金具15とで夫々分割した構成であるので、従来の固定金具30の場合よりも熱の伝わる断面積が減少し、制御ボックス8内のサーボアンプ等から発生する熱がコラム2へ伝わるのを抑制できる。これにより、コラム背面部の熱変位が生じるのを抑制できる。」 (7)文献7には以下の記載がある。 ア 「なお、従来より、上記光源が発する熱で倣研削盤本体に歪みが生ずるのを防ぐために、倣研削盤本体外部に別個に上記光源を備えた倣研削盤もある。 しかしながら、この場合も同様に、上記高熱を発する光源が倣研削盤本体近くに位置しているため、上記光源が発する熱で倣研削盤本体に歪みが生ずるのを的確に防止できなかった。」(2ページ左上欄11-18行) イ 「本発明の倣研削盤において、冷却機構7を用いて、倣研削盤本体5の内外に亙って循環させる冷却液6で光源1近くの倣研削盤本体5を冷却し続けることにより、倣研削盤の使用中に、光源1が発する熱で倣研削盤本体5が加熱されて、該本体5に歪みが生じることを防止できる。」(2ページ右下欄7-12行) (8)文献8には以下の記載がある。 「【0011】一方コラム3の背面にはブラケット33によって機械制御装置35が設けられている。機械制御装置35には送りモータや主軸モータ等のモータ制御部、油圧ユニット17や冷却液温度コントローラ19の制御部、ソレノイドバルブやリミットスイッチの制御部等の各種制御機器が内蔵されており、発熱する。その発熱を放出するために機械制御装置35の上部には放熱ファン(図示せず)が設けられている。・・・ 【0012】スプラッシュガード37で取り囲まれていないベッド1の前面、両側面、背面、底面、並びにコラム3の両側面、上面及び機械制御装置35との間の背面には断熱材43(図中のハッチング部分)が貼付されている。・・・そして、コラム3の背面と機械制御装置35との間に貼付された断熱材43によって、機械制御装置35の熱がコラム3へ伝達されなくなる。・・・」 (9)文献9には以下の記載がある。 ア 「【0010】 本実施形態では、照明光源3に白色光を発するLED(発光ダイオード)を用いる。照明光源3の周囲には、放熱を促すために伝熱性の高い素材で作製された基板3aが取り付けられている。」 イ 「【0012】 本体ケース2の前方には、照明光の光量を調整するために、操作者に操作される回転ノブ31(操作部材)が取付けられている。回転ノブ31は、本体ケース2内部に取付けられた回転型の可変抵抗器32の回転シャフトに取付けられている。回転ノブ31が回転されることにより、可変抵抗器32の抵抗値が変更され、その抵抗値(操作信号)は、可変抵抗器32と接続された制御部90へと送られる。制御部90は、可変抵抗器32の抵抗値に応じて、照明光源3に送る電流値を変更し、照明光源3の発光光量を調整する。回転ノブ31は、図1の矢印が示すように、300度程度の範囲で回転し、それ以外の範囲では回転しないよう規制されている。回転ノブ31は最も左に回されたときは、抵抗値は最も小さくなるため、照明光源3に流れる電流が小さくなり、照明光源3の光量が減少される。一方回転ノブ31が最も右に回されたときは、抵抗値が最も大きくなるため、照明光源3に流れる電流は大きくなり、照明光源3の光量が増加される。このようにして、回転ノブ31、可変抵抗器32、制御部90により、白色LEDの光量を増減(調整)する光量増減手段が構成される。」 (10)文献10には以下の記載がある。 「第2図は本発明の倣い制御装置の電気的構成の一例を示す要部ブロック図であり、20,21は白熱電球,発光ダイオード等の光源、22,23はハーフミラー、24?27はレンズ、28,29はフォトトランジスタアレイ等の受光素子、30,31は増幅器、32は出力差検出部、33は比較判定部であり、これらで光センサ13が構成される。また、34は倣い制御部、35,36は速度制御部である。」(2ページ左下欄14行-右下欄1行) (11)文献11には以下の記載がある。 「第3図、第4図は本考案の実施例を示すもので砥石車3の真正画からの光源Cは、1つだけやゝ高い位置から光源31をやゝ下向きに、正面を外れた位置Bからの光源は複数の光源33,35,37,39・・・・とコンデンサーと凸レンズを組合せた投光器41,43,45,47,49・・・・とによつて、やゝ上向に、何れも砥石車先端が、加工材より高いP点に在る所へ集中してスポット照明するものである。」(明細書3ページ17行-4ページ5行) (12)文献12には以下の記載がある。 「また、投影像を見易すくするために用いる着色フィルタ3として着色(例えば緑色)ガラス又はプラスチック板にサファイヤ板を貼り合せたものを合体して透光板4は構成されたものであってもよい。」(明細書4ページ9-13行) (13)文献13には以下の記載がある。 「【0018】本装置は、これを各種機械、生産設備等に付設して、機械設備の作動状況を表示させる場合、オペレータなど人が液晶表示面の表示内容を見ようとして液晶画像表示装置に近付くとき、または、表示内容を見るべく液晶画像表示装置近傍に人体が存在する間の必要時のみ人体検知用センサが作動して液晶セル背面のバックライトを点灯せしめ、人が離れることにより該バックライトは消灯または減光するので、該表示装置の省電力(節電)効果をもたらし、且つ、バックライトを長寿命に使用することができる。・・・」 (14)文献14には以下の記載がある。 「【0048】 したがって、照明装置1は、明るさおよび相関色温度に対応する第1駆動電流Idwおよび第2駆動電流Idcの値を特性一覧表(特性データ)としてデータ記憶部24に記憶されていることから、容易にかつ高精度に調光制御および調色制御を行うことができる。」 5 当審の判断 (1)請求項1に係る発明について ア 対比 請求項1に係る発明(以下「本件発明」という)と引用発明とを対比する。 引用発明の「テーブル」は、本件発明の「ワークテーブル」に相当するから、引用発明の「テーブル上に載置されたワーク」は、本件発明の「ワークテーブルに固定したワーク」に相当する。 引用発明の「砥石車を上下に往復動して」という事項は、本件発明の「砥石車を上下動して」という事項に相当する。 引用発明の「ワーク上面に照射する反射照明25」及び「ワークの下面に設けられた透過照明17」は、本件発明の「ワークの研削位置を上方位置から照明する第1の投光器」及び「下方位置から照明する第2の投光器」に、それぞれ相当する。 引用発明の「砥石車がワークと接触する先端付近での砥石車とワークとの係合寸法が投影されるスクリーン」は、本件発明の「ワークの研削加工位置を投影するスクリーン」に相当する。 そうすると、両発明は、以下の点で一致するとともに相違する。 <一致点> 「ワークテーブルに固定したワークに対して砥石車を上下動してワークの研削を行い、かつワークの研削位置を上方位置から照明する第1の投光器と、下方位置から照明する第2の投光器とを備えた光倣い研削盤であって、光倣い研削盤に、ワークの研削加工位置を投影するスクリーンを備えた光倣い研削盤。」 <相違点1> 本件発明のスクリーンが、「光倣い研削盤におけるベースフレーム上に」「立設し」た「本体フレーム」「上部に備え」ているのに対し、引用発明のスクリーンは、光倣い研削盤に備わっていることは明らかであるが、具体的な構造は不明である点。 <相違点2> 本件発明が、「光倣い研削盤の制御を行う制御盤及びワークの研削位置を照明するLED光源装置を内装した制御ボックスを、この制御ボックス内の発熱が前記本体フレームに悪影響を付与することのないように、前記本体フレームに対して熱的に離反して前記ベースフレーム上に備え」ているのに対し、引用発明は、このような制御ボックス及びその配置については不明である点。 <相違点3> 本件発明が、「前記ワークの研削位置を照明する投光器と前記LED光源装置とを、複数本の光ファイバーを束ねたライトガイドによって接続してある」のに対し、引用発明の透過照明17及び反射照明25はLEDを用いておらず、ライトガイドによる接続についても不明である点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、まず、相違点2について検討する。 「光倣い研削盤の制御を行う制御盤及びワークの研削位置を照明するLED光源装置を内装した制御ボックス」については、文献2?14のいずれにも記載されていない。そして、ワークの研削位置を照明するLED光源装置を、光倣い研削盤の制御を行う制御盤に内装することが、従来周知の事項であるとも認められない。 特許異議申立人は、光倣い研削盤の照明としてLED光源を採用することは、文献2、9、10に記載されており、周知であるとする。しかし、文献2では、レーザ光源による光源モジュール11について、制御盤に内装されることは示されておらず、文献9では、照明光源3及び基板3aは制御部90とは別に設けられており、文献10では、光センサ13は倣い制御装置1とは別に設けられていることからみても、「LED光源装置を内装した制御ボックス」が周知であるとは認められない。 また、特許異議申立人は、文献6?8には、「制御ボックス内の発熱が前記本体フレームに悪影響を付与することのないように、前記本体フレームに対して熱的に離反して前記ベースフレーム上に備え」た構成と同等な構成が開示されていると主張する。しかし、文献6及び8には、工作機械の制御ボックスの熱変位については記載されているが、「LED光源装置を内装した制御ボックス」については記載されていない。また、文献7に記載された倣研削盤も「LED光源装置を内装した制御ボックス」は有していない。 さらに、文献3?5には、特許異議申立人が主張するように、投光器とLED光源装置とをライトガイドを用いて離間させることは記載されているが、「LED光源装置を内装した制御ボックス」については記載も示唆もされていない。 同様に、文献11?14にも、「LED光源装置を内装した制御ボックス」については、記載も示唆もされていない。 本件発明は、制御盤とLED光源装置とがいずれも発熱源であることから、制御ボックス内にまとめて、当該制御ボックス内の発熱が本体フレームに悪影響を与えないように、本体フレームに対して熱的に離反しているものと解される。これに対して、引用発明も何らかの制御装置を有していると推認でき、文献6及び8には、制御ボックスを本体フレームから熱的に離反させることの開示があるから、文献1に接した当業者が、その制御装置を本体フレームに対して熱的に離反させる動機はあるといえる。しかし、引用発明の反射照明25や透過照明17の光源はLEDではなく、LED光源装置を有しているとはいえないから、文献1に接した当業者が、発熱源であるLED光源装置と制御装置とを制御ボックス内にまとめて設ける動機があるとはいえない。 そうすると、当業者であっても、引用発明及び文献2?14に記載された事項から、相違点2について容易に想到するということはできない。 よって、相違点1及び3について検討するまでもなく、本件発明は、引用発明及び文献2?14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。 (2)請求項2?11に係る発明について 請求項2?11に係る発明は、本件発明を、直接又は間接的に引用するものであるから、本件発明に対して、さらに技術的事項を追加したものである。 よって、上記(1)に示した理由と同様の理由により、請求項2?11に係る発明も、引用発明及び文献2?14に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものではない。 6 むすび 以上のとおり、請求項1?11に係る発明は、文献1?14に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1?11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2019-07-18 |
出願番号 | 特願2014-174886(P2014-174886) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
Y
(B24B)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 宮部 菜苗 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
中川 隆司 栗田 雅弘 |
登録日 | 2018-09-21 |
登録番号 | 特許第6405157号(P6405157) |
権利者 | 株式会社アマダマシンツール |
発明の名称 | 光倣い研削盤 |
代理人 | 伊藤 正和 |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 岩▲崎▼ 幸邦 |
代理人 | 高松 俊雄 |
代理人 | 高橋 俊一 |