ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04W |
---|---|
管理番号 | 1354398 |
審判番号 | 不服2018-8900 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-06-27 |
確定日 | 2019-08-15 |
事件の表示 | 特願2014- 90747「システム、基地局および端末」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月24日出願公開、特開2015-211292〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成26年4月24日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年10月 6日付け 拒絶理由通知書 平成29年12月18日 意見書,及び手続補正書の提出 平成30年 3月22日付け 拒絶査定 平成30年 6月27日 拒絶査定不服審判の請求, 及び手続補正書の提出 第2 平成30年6月27日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年6月27日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の概要 (1)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の,平成29年12月18日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1は次のとおりである。 「第1周波数が割り当てられ、他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能な第1種別のセルと、前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、前記第1周波数と異なる第2周波数が割り当てられる第2種別のセルと、を同時に用いて無線通信を行うことが可能な端末と、 少なくとも1つの前記第1種別のセルを形成し、前記第1種別であることを示す割当情報を含む信号を送信する1つ以上の基地局と、 を含み、 前記端末は、前記割当情報を含む信号を受信し、前記第1種別のセルから第1のセルを選択する、 ことを特徴とするシステム。」 (2)本件補正により,特許請求の範囲の請求項1は次のとおり補正された。(下線は補正箇所を示す。) 「第1周波数が割り当てられ、他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセルのうち1つの第1のセルと、前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができない、前記第1周波数と異なる第2周波数が割り当てられるセルを含む1つ以上の第2種別のセルのうち少なくとも1つの第2のセルと、を同時に用いて無線通信を行うことが可能な端末と、 少なくとも1つの前記第1種別のセルを形成し、前記第1種別であることを示す割当情報を含む信号を送信する1つ以上の基地局と、 を含み、 前記端末は、前記割当情報を含む信号を受信し、前記第1種別のセルから前記第1のセルを選択する、 ことを特徴とするシステム。」 2 補正の適否 (1)新規事項の有無,シフト補正の有無,補正の目的要件 上記補正は,本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2種別のセル」を「単独で接続することができない」ものに限定し,更に,「第1種別のセル」と「第2種別のセル」と,を同時に用いて無線通信を行うことについて,「1つ以上の第1種別のセルのうち1つの第1のセル」と「1つ以上の第2種別のセルのうち少なくとも1つの第2のセル」と,を同時に用いて無線通信を行うことに限定する補正であるから,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。 したがって,上記補正は特許法17条の2第5項2号(補正の目的)に規定された事項を目的とするものである。また,同法17条の2第3項(新規事項)及び同法17条の2第4項(シフト補正)の規定に違反するところはない。 (2)独立特許要件 上記補正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから,本件補正後の請求項1に記載される発明(以下,「本件補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて,以下に検討する。 ア 本件補正発明 本件補正発明は,上記第2[理由]1(2)に記載したとおりのものと認める。 イ 引用例の記載事項及び引用発明 原査定の拒絶の理由で引用された,国際公開第2014/016870号(2014年1月30日公開。以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。) a 「 [0004]LTE-Advancedシステムの大きな特徴として、LTEと比較して伝送速度が大きいことが挙げられる。LTE-Advancedでは伝送速度を高めるために様々な技術が採用されているが、その一つとしてキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)が導入されている。以下ではCAの概要を述べる。 (中略) [0007]そこで、Rel.10においてはCAと呼ばれる新たな要素技術が検討されている。CAでは、LTEシステムでサポートされている帯域幅(最大20MHz)であるコンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)を基本単位として、複数のCCを同時に用いて通信を行う。図1Bでは、例えば、上り用の周波数帯域UL1と下り用の周波数帯域DL1がペアとなっているとともに、上り用の周波数帯域UL2と下り用の周波数帯域DL2がペアとなっている。そして、UL1とUL2とが上り用の集合キャリアを形成しており、DL1とDL2とが下り用の集合キャリアを形成している。」 b 「 [0009]CAにおいては、無線端末が同時に使用するDLキャリアの数とULキャリアの数は等しいのが通常であるが、これらの数が非対称(等しくない)であってもよい。LTE-Advancedにおいては特に、ユーザトラフィックは上りよりも下りが多いのが一般的であることから、DLキャリアの数がULキャリアの数よりも多いシナリオについて検討がなされている。図1Cでは、例えば、上り用の周波数帯域UL1と下り用の周波数帯域DL1がペアとなっているが、下り用の周波数帯域DL2はペアとなる上り用の周波数帯域がない。そして、UL1は集合キャリアを形成せずに上り用の単独のキャリアとなっており、DL1とDL2とが下り用の集合キャリアを形成している。ここで、UL1とDL1のようにペアとなっているキャリアを対称キャリアと呼び、DL2のようにペアとなっていないキャリアを非対称キャリアと呼ぶことがある。」 c 「 [0013]ここで、無線基地局とはキャリアと言い換えることもできる。さらに、無線基地局やキャリアはセルと言い換えることもできる。無線基地局は物理的な装置であり、キャリアは無線基地局が送受する搬送波であり、セルは無線基地局がキャリアによって通信可能な範囲または領域(通信ゾーン)である。このためこれらはそれぞれ異なる概念であるが、一般的にもほぼ同じ意味で用いられることも多いため、本願においても無線基地局、セル、キャリアを適宜読み変えることができるものとする。」 d 「 [0037]図2においては、S107のセル選択の際に、無線端末はCC1に対応するセルを選択することとした。CAにおいてCC1のように最初に選択されたセルはPCell(Primary Cell)と呼ばれ、CC2のように追加されるセルはSCell(Secondry Cell)と呼ばれる。ここで、セルサーチにおいてはCC1のみならずCC2も検出されるはずであるが、無線端末はCC2をPCellとして選択するべきではない。無線端末が仮にCC2を選択すると、CC2はULキャリアを有しない非対称セルであるため、セル選択後のランダムアクセス手順が行うことができない。そのため網側(無線基地局)が無線端末を認識することができず、したがって無線端末はユーザデータ等の個別データの送受信が行えないことになるからである(報知情報の受信は可能)。」 e 「 [0055]図7に、キャリア対称性情報の一例を示す。一例としてキャリア対称性情報は、図7Aに示されるように、上りキャリアと下りキャリアが対を為さない非対称キャリアを1つ以上示す情報とすることができる。図7Aのキャリア対称性情報は、非対称キャリアに対応するセルIDを列挙するものである。また、他の一例としてキャリア対称性情報は、図7Bに示されるように、上りキャリアと下りキャリアが対を為す対称キャリアを1つ以上示す情報とすることもできる。図7Aのキャリア対称性情報は、対称キャリアに対応するセルIDを列挙するものである。」 f 「 [0064]次に図8に基づいて、第1実施形態の無線通信システムにおける無線端末と無線基地局との処理シーケンスを説明する。図8における各処理は、図6に示される無線端末の処理フローにおける各処理に対応している。なお、図8においては、図6において無線端末内部(無線端末単独で)で行われる処理は省略されている。」 g 「 [0065]図8は、無線端末と無線基地局A?Cとの間の無線信号の送受信関係を図示している。ここで、無線基地局A?Cは互いに比較的近くに設置されているとする。無線基地局Aは2つのキャリアコンポーネントCC1とCC2をキャリアアグリゲーションすることができるとする。ここで、CC1は対称キャリアであるがCC2はDLキャリアのみの非対称キャリアとする。また、無線基地局Bは1つのキャリアコンポーネントCC3を用いるとする。無線基地局Cは1つのキャリアコンポーネントCC4を用いるとする。 [0066]まず図8のS401で無線端末は、CC3によりキャリア対称性情報を受信する。このとき無線端末が受信したキャリア対称性情報には、CC1、CC2についてキャリア対称性を示す情報が含まれているものとする。 [0067]図8のS404で無線端末は、CC1?4からそれぞれ同期信号検出/セルID検出を行う。図8では不図示のS405で無線端末は、受信したキャリア対称性情報に基づいて、CC2が非対称セルであることが分かる。そのため、図8のS406で無線端末は、CC1、CC3、CC4に対してそれぞれRS検出/受信電力測定を行うが、CC2に対しては行わない。図8においては不図示のS409で無線端末は、対称セルであるCC1を選択したとする。図8において無線端末はS410でCC1から報知情報を受信し、S413でCC1に対してランダムアクセス手順を行う。図8において無線端末はS414でCC1から個別設定情報を受信するとともにCC1に対して個別設定情報の送信を行う。このとき無線端末はCC2を追加する旨の個別設定情報であるキャリア追加指示をCC1から受信したとする。図8のS415で無線端末は、ユーザデータの送受信を行う。このとき無線端末は、DLデータについてはキャリアアグリゲーションされたCC1とCC2とから受信し、ULデータについてはCC1のみで送信する。」 h 「 [図8] 」 (a)上記g,hの記載によると,無線端末は,無線基地局Bからキャリア対称性情報を受信し,前記受信したキャリア対称性情報に基づいて,非対称性キャリアである無線基地局AのCC2を除く,いずれも対称キャリアである無線基地局AのCC1,無線基地局BのCC3,無線基地局CのCC4の中から,CC1を選択して接続すること,及び,前記CC2を追加する旨のキャリア追加指示を前記CC1から受信して,CC1とCC2とによるキャリアアグリゲーションを行うものであるといえる。 そして,上記aの記載によると,キャリアアグリゲーションは,複数のコンポーネントキャリアを同時に用いて無線通信を行うことであるから,上記g,hにおけるCC1とCC2とによるキャリアアグリゲーションは,CC1とCC2とを同時に用いて無線通信を行うことであるといえる。 また,上記dの記載によると,コンポーネントキャリアの選択は,セルの選択であることは明らかであるから,上記g,hにおけるコンポーネントキャリアの選択は,セルの選択であるといえる。 したがって,引用例には,1つ以上の対称キャリアのセルのうちの1つのセルと非対称キャリアのセルのうちの1つのセルとを同時に用いて無線通信を行う無線端末であり,該無線端末は,キャリア対称性情報を受信し,対称キャリアである複数のセルの中から所定のセルを選択することが記載されているといえる。 (b)上記cの記載によると,セルはコンポーネントキャリアによって通信可能な範囲または領域であるから,コンポーネントキャリアはセルを形成するといえる。そうすると,上記g,hの記載によると,無線基地局Bは,対称キャリアCC3によるセルを形成し,キャリア対称性情報を送信するものといえるから,引用例には,対称キャリアのセルを形成し,キャリア対称性情報を送信する無線基地局が記載されているといえる。 (c)上記fには,無線端末と無線基地局とを含む無線通信システムが記載されており,上記g,hに記載された無線端末と無線基地局とは,無線通信システムに含まれるものであるといえる。 したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「1つ以上の対称キャリアのセルのうちの1つのセルと,非対称キャリアのセルのうちの1つのセルとを同時に用いて無線通信を行う無線端末と, 対称キャリアのセルを形成し,キャリア対称性情報を送信する無線基地局と, を含み, 前記無線端末は,キャリア対称性情報を受信し,対称キャリアである複数のセルの中から所定のセルを選択する, ことを特徴とする無線通信システム。」 ウ 引用発明との対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (a)引用発明の「無線端末」,「無線基地局」,「無線通信システム」は,それぞれ本件補正発明の「端末」,「基地局」,「システム」に相当する。 (b)ULキャリアとDLキャリアとを備え,ランダムアクセス手順を行うことができるセルは,単独で接続可能であること,及び,キャリアアグリゲーションにおいて他のセルに付随しても接続可能であることは,当業者の技術常識であるところ,引用発明の「対称キャリアのセル」は,上記イ b,eに記載されているように,ULキャリアとDLキャリアとを備え,上記イ gに記載されているように,ランダムアクセス手順を行うことができるものであるから,単独で接続可能であること,及び,キャリアアグリゲーションにおいて他のセルに付随して接続可能であるといえる。 更に「対称キャリアのセル」を第1種別のセルと称することは任意である。 したがって,引用発明の「対称キャリアのセル」は,本件補正発明の「第1周波数が割り当てられ、他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセル」と,「他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセル」の点で共通する。 また,引用発明の「非対称キャリアのセル」は,上記イ b,dの記載によると,DLキャリアしか備えておらず,ランダムアクセス手順を行えないものであるため,単独で接続できないことは明らかである。そして,上記イ g,hの記載によると,引用発明の「非対称キャリアのセル」は,対称キャリアのセルに追加して接続できるものであるから,対称キャリアのセルに付随させることで接続可能であるといえる。 更に「非対称キャリアのセル」を第2種別のセルと称することは任意である。 したがって,引用発明の「非対称キャリアのセル」は,本件補正発明の「前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができない、前記第1周波数と異なる第2周波数が割り当てられるセルを含む1つ以上の第2種別のセル」と,「第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができない1つ以上の第2種別のセル」の点で共通する。 (c)上記(a),(b)のとおりであるから,引用発明の「1つ以上の対称キャリアのセルのうち1つのセルと,非対称キャリアのセルのうちの1つのセルとを同時に用いて無線通信を行う無線端末」は,本件補正発明の「第1周波数が割り当てられ、他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセルのうち1つの第1のセルと、前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができない、前記第1周波数と異なる第2周波数が割り当てられるセルを含む1つ以上の第2種別のセルのうち少なくとも1つの第2のセルと、を同時に用いて無線通信を行うことが可能な端末」と,「他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセルのうち1つの第1のセルと、前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができないセルを含む1つ以上の第2種別のセルのうち少なくとも1つの第2のセルと、を同時に用いて無線通信を行うことが可能な端末」の点で共通する。 (d)引用発明の「キャリア対称性情報」は,上記イ eの記載によると,対称キャリアに対応するセルIDを示す情報を含み,そして無線基地局で対称キャリアに対応するセルを割り当てていることから,セルが第1種別のセルであることを示す割当情報といえるので,引用発明の「キャリア対称性情報」は,本件補正発明の「第1種別であることを示す割当情報」に相当する。 (e)上記(a),(d)のとおりであるから,引用発明の「対称キャリアのセルを形成し,キャリア対称性情報を送信する無線基地局」は,本件補正発明の「少なくとも1つの前記第1種別のセルを形成し、前記第1種別であることを示す割当情報を含む信号を送信する1つ以上の基地局」に含まれる。 また,同様の理由で,引用発明の「前記無線端末は,キャリア対称性情報を受信し,対称キャリアである複数のセルの中から所定のセルを選択する」ことと,本件補正発明の「前記端末は、前記割当情報を含む信号を受信し、前記第1種別のセルから前記第1のセルを選択する」こととは,「前記端末は,前記割当情報を含む信号を受信し、前記第1種別のセルから前記第1のセルを選択する」点で共通する。 したがって,本件補正発明と引用発明とは,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。 [一致点] 「他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセルのうち1つの第1のセルと、前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができないセルを含む1つ以上の第2種別のセルのうち少なくとも1つの第2のセルと、を同時に用いて無線通信を行うことが可能な端末と、 少なくとも1つの前記第1種別のセルを形成し、前記第1種別であることを示す割当情報を含む信号を送信する1つ以上の基地局と、 を含み、 前記端末は、前記割当情報を含む信号を受信し、前記第1種別のセルから前記第1のセルを選択する、 ことを特徴とするシステム。」 [相違点] 一致点の「第1種別のセル」と「第2種別のセル」について,本件補正発明は,「第1種別のセル」と「第2種別のセル」とに,それぞれ異なる周波数を割り当てたものであるのに対して,引用発明は,「第1種別のセル」と「第2種別のセル」とに割り当てる周波数について特定していない点。 エ 判断 以下,相違点について検討する。 複数の無線通信を同時に同一の周波数によって行う場合,干渉によって通信に障害が発生することは,技術常識であるから,複数のキャリアのセルを用いて同時に無線通信を行うキャリアアグリゲーションにおいて,干渉を防ぐために,それぞれのセルに対して異なる周波数を割り当てることは,格別困難なことではない。 そうすると,引用発明において「第1種別のセル」と「第2種別のセル」とに,それぞれ異なる周波数を割り当て,「第1周波数が割り当てられ、他のセルに付随するか否かに関わらず接続可能なセルを含む1つ以上の第1種別のセル」と、「前記第1種別のセルに付随させることで接続可能であり、単独で接続することができない、前記第1周波数と異なる第2周波数が割り当てられるセルを含む1つ以上の第2種別のセル」とすることは,当業者が容易に想到できたことである。 そして,本件補正発明が奏する効果も,当業者が引用発明から容易に予想できる範囲内のものである。 したがって,本件補正発明は,引用例に記載された発明に基づき,当業者が容易に想到できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年6月27日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成29年12月18日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,前記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものと認める。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は,「(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものであり,本願の請求項1に係る発明に対して,引用例が引用されている。 3 引用例の記載事項及び引用発明 引用例の記載事項及び引用発明は,上記第2[理由]2(2)イの項で認定したとおりである。 4.対比・判断 本願発明は本件補正後の発明から本件補正に係る限定を省いたものである。 そうすると,相違点は上記第2[理由]2(2)ウの相違点であるところ,本願発明の構成に本件補正に係る限定を付加した本件補正発明が,上記第2[理由]2(2)の「独立特許要件」の項で検討したとおり,引用例に記載された発明に基づき,当業者が容易に想到できたものであるから,本願発明も同様の理由により,引用例に記載された発明に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用例に記載された発明に基づき,当業者が容易に想到できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。 したがって,本願は,他の請求項について検討するまでもなく,拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-06-17 |
結審通知日 | 2019-06-18 |
審決日 | 2019-07-01 |
出願番号 | 特願2014-90747(P2014-90747) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H04W)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 深津 始 |
特許庁審判長 |
中木 努 |
特許庁審判官 |
脇岡 剛 原田 聖子 |
発明の名称 | システム、基地局および端末 |
代理人 | 酒井 昭徳 |