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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04W
管理番号 1354578
審判番号 不服2017-17531  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2019-08-21 
事件の表示 特願2015- 75577「複数のサイト間のデータ分割」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月10日出願公開、特開2015-164317〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2011年(平成23年)2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年2月12日 米国, 2010年2月12日 米国)を国際出願日とする特願2012-553013号の一部を,平成27年4月2日に新たな特許出願としたものであって,その手続の経緯は以下のとおりである。

平成27年5月7日 :手続補正書、上申書の提出
平成28年7月22日付け :拒絶理由通知書
平成29年2月2日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年7月13日付け :拒絶査定
平成29年11月27日 :拒絶査定不服審判の請求
平成30年1月11日 :審判請求書に対する手続補正書(方式)
平成30年11月27日付け:拒絶理由通知書(当審)
平成31年3月1日 :意見書、手続補正書の提出

第2 本願発明

本願の請求項に係る発明は、平成31年3月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載された事項により特定されるものであるところ,請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりと認める。

「データを送信するための方法であって、
基地局において、インターネットプロトコル(IP)パケットを備える第1のデータのストリームを受信するステップであって、前記IPパケットは、ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)に関連付けられた、ステップと、
前記基地局において前記第1のデータのストリームを第2および第3のデータのストリームに分割するステップであって、前記第2のデータのストリームは、少なくとも1つの協調するネットワーク要素を介して前記WTRUに送信することが意図され、前記第3のデータのストリームは、前記基地局によって前記WTRUに送信することが意図される、ステップと、
前記第2のデータのストリームを、前記基地局から前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信するステップと、
前記第2のデータのストリームを前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信する間に、前記第3のデータのストリームを、前記基地局から前記WTRUに送信するステップと、を備え、
前記基地局および前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素は、それぞれスケジュールリングエンティティを含むことを特徴とする方法。」

第3 拒絶の理由

平成30年11月27日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。

この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができない。また,この出願の下記の請求項に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして,請求項1に対して米国特許出願公開第2008/0220787号明細書が引用されている。

第4 引用例の記載及び引用発明について

1 引用例の記載

当審拒絶理由で引用された米国特許出願公開第2008/0220787号明細書(以下「引用例」という。)には,以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付した。)

(1)「
[0028]
In wireless communications environment 100 , base station 102 is in wireless communication with subscriber stations 104 ( 1 ), 104 ( 2 ) . . . 104 (n) via wireless communications or communication links 106 ( 1 ), 106 ( 2 ) . . . 106 (m), respectively.
(中略)
[0029]
(中略)
Access to network 108 enables base station 102 to forward data from subscriber stations 104 to external network locations and vice versa. Network(s) 108 may also be used for backhaul purposes. Examples of network 108 include, by way of example but not imitation, the internet, a landline telephone network, another wireless network, wired nodes of the overall network of base station 102 , LANs/WANs/MANs, some combination thereof, etc. that are operating in accordance with any given communication standard or standards.」

(当審訳:
[0028]
無線通信環境100では,基地局102は,無線通信又は通信リンク106(1),106(2)・・・106(m)をそれぞれ介して加入者局104(1),104(2)・・・104(n)と無線通信している。
(中略)
[0029]
(中略)
ネットワーク108へのアクセスは,基地局102が,加入者局104から外部ネットワーク位置にデータを転送することを可能とし,その逆も可能である。ネットワーク108はまた,バックホールのために使用されてもよい。ネットワーク108の例には,例として,しかし限定されるものではないが,インターネット,固定電話網,他の無線ネットワーク,基地局102の全体的なネットワークの有線ノード,LAN/WAN/MAN,それらのいくつかの組み合わせなどが含まれる。それらは与えられた通信規格に従って動作する。)

(2)「
[0041]As specifically illustrated in FIG. 2 , but by way of example only, a base station (BS) 102 may be realized as a base transceiver station (BTS) 206 or an access point (AP) 208. (As described herein above with particular reference to FIG. 1 , a base station 102 may also be realized in other manners.) Implementations of base station 102 as a BTS 206 and an AP 208 are illustrated to describe a specific example.
[0042]
(中略)
A single subscriber station 104 may simultaneously communicate with AP 208 over second communication channel 110 ( 2 ) and with BTS 206 over first communication channel 110 ( 1 ) in a channel-aggregated scenario.
(後略)」

(当審訳:
[0041]
図2に具体的に示されるように,しかし,ほんの一例として、基地局(BS)102は、基地トランシーバ局(BTS)206、又はアクセスポイント(AP)208として実現されてもよい(特に図1を参照して上述したように、基地局102は、他の方法でも実現することができる)。基地局206と基地局208と基地局102の実施形態は、特定の例を説明するために示されている。
[0042]
(中略)
単一の加入者局104は,チャネルアグリゲーテッドシナリオにおいて,第2の通信チャネル110(2)を介してAP208と第1の通信チャネル110(1)を介してBTS206と同時に通信することができる。
(後略)」
)

(3)「
[0049]
With base station 102 , processor-executable instructions 310 are illustrated as including a medium access controller (MAC) 316 , a scheduler 318 , and a BS channel aggregation module 320 . In a described implementation, MAC 316 plans, orders, regulates, and otherwise controls access to the wireless medium. Scheduler 318 interacts with a quality of service (QoS) engine (not shown) to determine which services are due some portion of the available bandwidth of the wireless medium. Scheduler 318 may be part of MAC 316 . Different implementations having a single MAC or multiple MACs are described herein below with particular reference to FIG. 4 .」

(当審訳:
[0049]
基地局102では、プロセッサ実行可能命令310は、媒体アクセスコントローラ(MAC)316と、スケジューラ318と、BSチャンネル集約モジュール320を含むものとして示されている。説明される実施形態では、MAC部316は、ワイヤレス媒体へのアクセスを計画、命令、規制あるいは制御する。スケジューラ318は、サービス品質(QoS)エンジン(図示せず)と相互作用して、無線媒体の使用可能な帯域幅の部分により、サービスはどれかを判定する。スケジューラ318は、MAC部316の一部であってもよい。単一のMACアドレス又は複数のMACを備える異なる実施形態が特に図4を参照して以下に説明されている。

(4)「
[0063]
(前略)
First and second communication channels 502 ( 1 ) and 502 ( 2 ) are specific examples of general first and second communication channels 110 ( 1 ) and 110 ( 2 ) (of FIG. 1 ).
(中略)
[0066]
Subscriber station 3 (SS 3 ) is associated with a number of bursts in subframes 504 , 506 , 508 , and 510 . First aggregated communication channel-A 502 ( 1 ) includes downlink data for subscriber station 3 (SS 3 ) at "DL Burst 3A", as indicated at 518 . Second aggregated communication channel-B 502 ( 2 ) includes downlink data for subscriber station 3 (SS 3 ) at "DL Burst 1B", as indicated at 520 . First aggregated communication channel-A 502 ( 1 ) includes uplink data from subscriber station 3 (SS 3 ) at "UL Burst 3A", as indicated at 522 . Second aggregated communication channel-B 502 ( 2 ) includes uplink data from subscriber station 3 (SS 3 ) at "UL Burst 1B", as indicated at 524 .
[0067]
Channel aggregation modules 320 and 354 (of FIGS. 3A and 3B ) are responsible for dividing integrated data into two or more sets that are being transmitted across two or more aggregated channels and for combining the data sets that are being received via the two or more aggregated channels into the integrated data. For example, integrated data for subscribe station 3 (SS 3 ) is divided into first data of "DL Burst 3A" 518 and second data "DL Burst 1B" 520 at a base station. At subscriber station 3 , the first data of "DL Burst 3A" and the second data of "DL Burst 1B" are combined into the integrated data.」

(当審訳:
[0063]
(前略)
第1及び第2の通信チャネル502(1)及び502(2)は,(図1の)一般的な第1及び第2の通信チャネル110(1)及び110(2)の具体例である。
(中略)
[0066]
加入者局3(SS3)は、サブフレーム504,506,508,及び510内のいくつかのバーストに関連付けられている。518で示されるように,第1のアグリゲーテッド通信チャネル-A 502(1)は,”DLバースト3A”における加入者局3(SS3)のためのダウンリンクデータを含む。520で示されるように、第2のアグリゲーテッド通信チャネル-B 502(2)は、”DLバースト1B”における加入者局3(SS3)のためのダウンリンクデータを含む。522に示されるように、第1のアグリゲーテッド通信チャネル-A 502(1)は、「ULバースト3A」における加入者局3(SS3)からのアップリンクデータを含む。524に示されるように、第2のアグリゲーテッド通信チャネル-B 502(2)は、「ULバースト1B」における加入者局3(SS3)からのアップリンクデータを含む。
[0067]
(図3A及び図3Bの)チャネルアグリゲーションモジュール320及び354は,統合データを,2つ以上のアグリゲーテッドチャネルにわたって送信される2つ以上のセットに分割する。そして,2つ以上のアグリゲーテッドチャネルを介して受信されるデータセットを統合データに結合する責任がある。例えば,加入者局3(SS3)のための統合データは,基地局において”DLバースト3A”518の第1データと”DLバースト1B”520の第2データとに分割される。加入者局3では,”DLバースト3A”の第1データと”DLバースト1B”の第2データとが結合されて統合データとなる。)

(5)「
[0078]
(前略)
The actions of flow diagrams 800 and 900 may be performed in many different environments and with a variety of wireless communication devices, including by a base station 102 or a subscriber station 104 (both of FIGS. 1 , 3 A, and 3 B).
(中略)
[0079]
FIG. 8 is a flow diagram 800 that illustrates an example method for communication transmission using channel aggregation.
(中略)
[0081]
At block 804 , integrated data is divided for data communication via the first and second channel-aggregated communication channels. For example, data for a single service 112 may be divided (as at burst construction queue 610 ) into first data for first communication channel 502 ( 1 ) and second data for second communication channel 502 ( 2 ) (of FIG. 6 ). For instance, integrated data for subscriber station 3 (SS 3 ) may be divided into a first data set for "DL Burst 3A" and a second data set for "DL Burst 1B", as is illustrated in FIG. 6 .
(中略)
[0082]
At block 806 , first data is transmitted via the first aggregated communication channel and second data is transmitted via the second aggregated communication channel. For example, first data (e.g., "DL Burst 3A" for SS 3 of FIG. 6 ) may be transmitted via first aggregated communication channel 502 ( 1 ), and second data (e.g., "DL Burst 1B") may be transmitted via second aggregated communication channel 502 ( 2 ).
[0083]
In a particular example embodiment, the first data and the second data may be communicated using an OFDMA scheme via non-adjacent, channel-aggregated communication channels. The first data may be transmitted, for instance, via a licensed communication channel for a relatively high quality of service, and the second data may be simultaneously transmitted via a non-exclusively-licensed communication channel for best-effort data communication.」

(当審訳:
(前略)
[0078]
流れ図800及び900の動作は,基地局102または加入者局104(いずれも図1,図3A,及び図3Bの両方)を含む多くの異なる環境において,様々な無線通信装置で実行することができる。
(中略)
[0079]
図8は,チャネルアグリゲーションを使用した通信送信の例示的な方法を示す流れ図800である。
(中略)
[0081]
ブロック804において,統合データは,第1及び第2のチャネルアグリゲーテッド通信チャネルを介してデータ通信のために分割される。例えば,単一サービス112のデータは,(バースト構築キュー610のように)(図6の)第1の通信チャネル502(1)の第1のデータと第2の通信チャネル502(2)の第2のデータに分割することができる。例えば,加入者局3(SS)の統合データは,図6に示すように,”DLバースト3A”の第1のデータセットと”DLバースト1B”の第2のデータセットに分割することができる。
(中略)
[0082]
ブロック806において,第1のデータは第1のアグリゲーテッド通信チャネルを介して送信され,第2のデータは第2のアグリゲーテッド通信チャネルを介して送信される。例えば,第1のデータ(例えば,図6のSS3に対する”DLバースト3A”)は,第1のアグリゲーテッド通信チャネル502(1)を介して送信され,そして第2のデータ(例えば”DLバース1B”)は,第2のアグリゲーテッド通信チャネル502(2)を介して送信される。
[0083]
特定の例示的実施形態では,第1のデータ及び第2のデータは,非隣接チャネルアグリゲーテッド通信チャネルを介してOFDMA方式を使用して通信される。第1のデータは,例えば,比較的高品質のサービスのためのライセンスされた通信チャネルを介して送信され,第2のデータは,ベストエフォート型データ通信のために非排他的ライセンス通信チャネルを介して同時に送信される。)

(6)「
[0096]
FIG. 11 illustrates examples of channel-aggregated wireless communication in a portion of the environment 1000 that is shown in FIG. 10 . The portion shown in FIG. 11 illustrates part of an example wireless communication system 1100 having multiple wireless devices including subscriber stations 104 , a BTS 206 , and multiple APs 208 , as well as a data combiner 1104 . As illustrated, wireless communication system 1100 includes licensed communication cell 202 and BTS 206 that can communicate (e.g., transmit and/or receive) data for wireless data communication. Wireless communication system 1100 also includes non-exclusively-licensed communication regions 204 ( 1 - 3 , N) and respective APs 208 ( 1 - 3 , N) that are within the portion of wireless environment 1000 (of FIG. 10 ) that is illustrated in FIG. 11 .
[0097]
Wireless communication system 1100 includes examples of subscriber stations 104 ( 1 - 2 ) that can each communicate (e.g., transmit and/or receive) data for wireless data communication within licensed communication cell 202 and/or within one or more of non-exclusively-licensed communication regions 204 . By way of example only, subscriber station 104 ( 1 ) is illustrated as a laptop computer, and subscriber station 104 ( 2 ) is illustrated as an intelligent mobile phone and/or wireless PDA.
[0098]
Various communication links 106 are shown between (i) BTS 206 and APs 208 ( 1 - 3 ) and (ii) subscriber stations 104 ( 1 - 2 ) to illustrate channel-aggregated wireless communication between the wireless devices. For example, subscriber station 104 ( 2 ) can communicate first data with BTS 206 via a licensed communication link 106 ( 2 -A) that represents a channel-aggregated licensed communication channel. Subscriber station 104 ( 2 ) can also simultaneously communicate second data with AP 208 ( 1 ) via a non-exclusively-licensed communication link 106 ( 2 -B) that represents a channel-aggregated non-exclusively-licensed communication channel.
[0099]
In this example with subscriber station 104 ( 2 ), a first aggregated communication channel 110 ( 1 ) (of FIG. 1 ) corresponds to communication link 106 ( 2 -A), and a second aggregated communication channel 110 ( 2 ) corresponds to communication link 106 ( 2 -B). 」

(当審訳:
[0096]
図11は,図10に示す環境1000の一部におけるチャネル集約型無線通信の例を示す。図11に示す部分は,加入者局104、BTS206、および複数のAP208ならびにデータ結合器1104を含む複数の無線デバイスを有する例示的な無線通信システム1100の一部を示す。図示のように、無線通信システム1100は、無線データ通信のためにデータを通信(例えば、送信および/または受信)できるライセンス通信セル202およびBTS206を含む。無線通信システム1100はまた、非排他的にライセンスされた通信領域204(1-3,N)およびそれぞれのAP208(1-3,N)を含み,それらは図11に示されている(図10の)無線環境1000の部分内にある。
[0097]
無線通信システム1100は,それぞれ,許可された通信セル202内および/または1つまたは複数の非独占的に許可された通信領域204内で無線データ通信のためにデータを通信(例えば,送信および/または受信)できる加入者局104(1-2)の例を含む。単なる例として、加入者局104(1)はラップトップコンピュータとして示され、加入者局104(2)はインテリジェント移動電話および/または無線PDAとして示される。
[0098]
無線装置間のチャネル集約型無線通信を示すために、(i)BTS206とAP208(1-3)および(ii)加入者局104(1-2)との間に様々な通信リンク106が示されている。例えば,加入者局104(2)は,チャネルアグリゲーテッドライセンス通信チャネルを表すライセンス通信リンク106(2-A)を介して第1のデータをBTS206と通信することができる。加入者局104(2)はまた,チャネルアグリゲーテッド非排他的ライセンス通信チャネルを表す非排他的ライセンス通信リンク106(2-B)を介して第2のデータをAP208(1)と同時に通信することもできる。
[0099]
加入者局104(2)のこの例では,(図1の)第1のアグリゲーテッド通信チャネル110(1)が通信リンク106(2-A)に対応し,第2のアグリゲーテッド通信チャネル110(2)が通信リンク106(2ーB)に対応する。)

(7)図1


(8)図5

(9)図11

2 引用発明

上記1の摘記事項の記載及び当業者の技術常識を考慮すると,次のことがいえる。

(1)上記1(1)の段落[0029]の記載によれば,ネットワークへのアクセスは,基地局が,加入者局から外部ネットワーク位置にデータを転送することを可能とし,その逆も可能であるから,「基地局は外部ネットワークからデータを受信し,該データを加入者局に対して送信する」ものといえる。そして同段落には,ネットワークの例にはインターネットが含まれており,インターネットで用いられる通信プロトコルはインターネットプロトコルであるから,「基地局がネットワークから受信するデータはインターネットプロトコルパケットを備える」といえる。また,インターネットプロトコルパケット内に送信先である加入者局の送信先アドレスを有していることは当業者における技術常識であり,インターネットプロトコルパケットは該送信先アドレスに関連付けられる送信先に送信されるものであるから,「インターネットプロトコルパケットは,」送信先である「加入者局に関連づけられている」といえる。また,上記(1)の段落[0028]の記載によれば,基地局102は,無線通信又は通信リンク106(1),106(2)・・・106(m)をそれぞれ介して加入者局104(1),104(2)・・・104(n)と無線通信するものであるから,加入者局は無線通信を行うものであるといえる。
そうすると,引用例には「基地局において,インターネットプロトコルパケットを備えるデータを受信する」ステップ,及び「インターネットプロトコルパケットは,無線通信を行う加入者局に関連付けられた」ステップが記載されているといえる。

(2)上記1(4)の段落[0067]の記載によれば,加入者局3(SS3)のための統合データは,基地局において”DLバースト3A”518の第1データと”DLバースト1B”520の第2データとに分割されるものであり,統合データは,基地局が受信したデータであるといえるから,引用例には,「基地局において受信したデータを第1のデータと第2のデータに分割する」ステップが記載されているといえる。
また,同段落には,加入者局3では,”DLバースト3A”の第1データと”DLバースト1B”の第2データとが結合されて統合データとなることが記載されており,第1のデータ及び第2のデータは加入者局に送信されるデータであるといえる。そうすると,引用例には「基地局において分割された第1データ及び第2データは加入者局に送信することが意図されている」ものといえる。
そして、上記1(6)の段落[0098]の記載によれば,加入者局104(2)は,通信リンク106(2-A)を介して第1のデータをBTS206と通信し,加入者局104(2)は,通信リンク106(2-B)を介して第2のデータをAP208(1)と同時に通信することが記載されており,BTSと基地局は,上記1(2)の段落[0041]にも記載されているとおり,同義である。

ここで,第1データである”DLバースト3A”,第2データである”DLバースト1B”と通信リンク106(2-A),通信リンク106(2-B)との関係について,以下検討する。

上記1(4)の段落[0066]の記載によれば,第1のアグリゲーテッド通信チャネル-A 502(1)は,”DLバースト3A”における加入者局3(SS3)のためのダウンリンクデータを含み,第2のアグリゲーテッド通信チャネル-B 502(2)は,”DLバースト1B”における加入者局3(SS3)のためのダウンリンクデータを含むものである。また上記1(4)の段落[0063]の記載によれば,第1及び第2の通信チャネル502(1)及び502(2)は,第1及び第2の通信チャネル110(1)及び110(2)を表すものである。そして上記1(6)の段落[0099]の記載によれば,第1のアグリゲーテッド通信チャネル110(1)が通信リンク106(2-A)に対応し,第2のアグリゲーテッド通信チャネル110(2)が通信リンク106(2-B)に対応すると記載されている。

上記のとおりであるから,第1データである”DLバースト3A”の送信は通信リンク106(2-A)によって送信されるものであり,第2データである”DLバースト1B”の送信は通信リンク106(2-B)によって送信されるものであるといえる。

そうすると,引用例には「基地局において受信したデータを第1データと第2データに分割する」ステップ,「第2データは少なくとも1つのAPを介して加入者局に送信することが意図され,第1データを基地局を介して加入者局に送信することが意図される」ステップ,がそれぞれ記載されているといえる。

(3)上記(2)にも述べたとおり,基地局において分割された第1データは基地局を介して加入者局と通信するものであり,第2データはAPを介して加入者局と通信するものであり,上記1(5)の段落[0083]の記載によれば,第1のデータは,・・・通信チャネルを介して送信され,第2のデータは,・・・通信チャネルを介して同時に送信されるものであるから,引用例には「第2のデータを,基地局から少なくとも1つのAPに送信する」ステップ,「第2のデータを少なくとも1つのAPに送信すると同時に,第1のデータを基地局から加入者局に送信する」ステップ,がそれぞれ記載されているといえる。

(4)上記1(3)の段落[0049]の記載によれば,基地局102では、プロセッサ実行可能命令310は、媒体アクセスコントローラ(MAC)316と、スケジューラ318と、BSチャンネル集約モジュール320を含むものである。また上記1(2)の段落[0041]の記載によれば,基地局(BS)102は、基地トランシーバ局(BTS)206、又はアクセスポイント(AP)208として実現されてもよいものであるから,APもスケジューラを含むものである。
そうすると,引用例には「基地局及び少なくとも1つのAPは,それぞれスケジューラを含む」ことが記載されているといえる。

(5)そして,上記(1)?(4)のとおりであるから,引用例には「データ送信方法」が記載されているといえる。

以上を踏まえると、引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。

「データ送信方法であって,
基地局において,インターネットプロトコルパケットを備えるデータを受信するステップであって,前記インターネットプロトコルパケットは,無線通信を行う加入者局に関連付けられた、ステップと,
前記基地局において受信したデータを第1のデータと第2のデータに分割するステップであって,前記第2データは少なくとも1つのAPを介して前記加入者局に送信することが意図され,前記第1データを前記基地局を介して前記加入者局に送信することが意図される,ステップと,
前記第2のデータを,前記基地局から前記少なくとも1つのAPに送信するステップと,
前記第2のデータを前記少なくとも1つのAPに送信すると同時に,前記第1のデータを前記基地局から前記加入者局に送信するステップと,を備え
前記基地局及び前記少なくとも1つのAPは,それぞれスケジューラを含む方法。」

第5 対比

本願発明と引用発明とを対比すると、以下のとおりとなる。

1 引用発明の「データ送信方法」は、「データを送信するための方法」といえる。

2 本願発明の「ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)」とは,本願明細書段落【0004】の「UE(ユーザ機器)と呼ばれるWTRU(ワイヤレス送信/受信ユニット)」との記載から,ユーザが利用する無線端末であるといえる。そして引用発明の「無線通信を行う加入者局」もユーザが利用する無線端末であり,無線端末においてはワイヤレス送信/受信ユニットを当然含んでいるといえるから,引用発明の「無線通信を行う加入者局」は,本願発明の「ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)」に含まれる。
そして,基地局において受信されるデータを「第1のデータ」と称することは任意である。
したがって,引用発明の「基地局において,インターネットプロトコルパケットを備えるデータを受信するステップであって,前記インターネットプロトコルパケットは,無線通信を行う加入者局に関連付けられた,ステップ」は,本願発明と「基地局において,インターネットプロトコル(IP)パケットを備える第1のデータを受信するステップであって,前記IPパケットは,ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)に関連付けられた,ステップ」といえる点で共通する。

3 引用発明の「AP」は,基地局とは異なる装置として動作するものであるから,基地局とは異なるネットワーク要素であるといえ,また基地局からデータを加入者局に送信する際,第2データはAPを介して同時に加入者局に送信されるものであるから協調して動作するネットワーク要素であるともいえる。
そして,基地局においてデータを分割して作成される第1データ及び第2データを「第3のデータ」及び「第2のデータ」と称することは任意である。
したがって,引用発明の「基地局において受信したデータを第1のデータと第2のデータに分割するステップであって,前記第2データは少なくとも1つのAPを介して加入者局に送信することが意図され,前記第1データを前記基地局を介して前記加入者局に送信することが意図される,ステップ」は,本願発明と「基地局において第1のデータを第2および第3のデータに分割するステップであって、前記第2のデータは、少なくとも1つの協調するネットワーク要素を介して前記WTRUに送信することが意図され、前記第3のデータは、前記基地局によって前記WTRUに送信することが意図される、ステップ」といえる点で共通する。

4 引用発明の「第2のデータを,基地局から少なくとも1つのAPに送信するステップ」は,本願発明と「第2のデータを、基地局から少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信するステップ」といえる点で一致する。

5 引用発明の「同時に」は,「間に」に含まれることから,引用発明の「第2のデータを少なくとも1つのAPに送信すると同時に,第1のデータを基地局から加入者局に送信するステップ」は,本願発明と「第2のデータを少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信する間に、第3のデータを、基地局からWTRUに送信するステップ」といえる点で一致する。

6 引用例の「スケジューラ」が,「スケジューリングエンティティ」といえることは技術常識である。

そうすると,引用発明の「基地局及びAPは,それぞれスケジューラを含むこと」は,本願発明の「基地局および少なくとも1つの協調するネットワーク要素は、それぞれスケジュールリングエンティティを含むこと」といえる点で一致する。

以上を踏まえると、本願発明と引用発明とは以下の点で一致し、相違する。

(一致点)

「データを送信するための方法であって,
基地局において,インターネットプロトコル(IP)パケットを備える第1のデータを受信するステップであって,前記IPパケットは,ワイヤレス送信/受信ユニット(WTRU)に関連付けられた,ステップと,
前記基地局において前記第1のデータを第2および第3のデータに分割するステップであって、前記第2のデータは、少なくとも1つの協調するネットワーク要素を介して前記WTRUに送信することが意図され、前記第3のデータは、前記基地局によって前記WTRUに送信することが意図される、ステップと,
前記第2のデータを、前記基地局から前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信するステップと,
前記第2のデータを前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素に送信する間に,前記第3のデータを、前記基地局から前記WTRUに送信するステップと,を備え,
前記基地局および前記少なくとも1つの協調するネットワーク要素は、それぞれスケジュールリングエンティティを含むことを特徴とする方法。」

(相違点) 一致点である「第1のデータ」,「第2のデータ」及び「第3のデータ」に関して,本願発明では「データのストリーム」あるのに対し,引用発明では,「データのストリーム」であることが特定されていない点。

第6 判断

相違点について

「データのストリーム」とは,一般的にデータの流れを表すものである。引用発明の基地局で受信するデータは分割して送信され加入者局によって次々と受信されるデータであるからデータのストリームであることは明らかである。
したがって,上記相違点は実質的な相違ではないので、本願発明と引用発明とは同一である。
また仮に相違点であるとしても、引用発明の基地局において受信する「データ」及び送信する「データ」をデータのストリームとすることは当業者が容易になし得る事項である。

したがって、本願発明は、引用例に記載されたものであり、また、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。よって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-03-25 
結審通知日 2019-03-26 
審決日 2019-04-08 
出願番号 特願2015-75577(P2015-75577)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (H04W)
P 1 8・ 121- WZ (H04W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 正明  
特許庁審判長 中木 努
特許庁審判官 本郷 彰
倉本 敦史
発明の名称 複数のサイト間のデータ分割  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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