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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06Q
管理番号 1354637
審判番号 不服2018-11291  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-21 
確定日 2019-08-22 
事件の表示 特願2016-575990「プレビューからの情報処理デバイス上のコンテンツのアンロック」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月 7日国際公開、WO2016/002214、平成29年 9月 7日国内公表、特表2017-526052〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は,2015年6月30日(パリ条約による優先権主張2014年6月30日(以下,「優先日」という。),米国)を国際出願日とする出願であって,平成29年2月24日付けで翻訳文が提出され,平成29年3月13日に審査請求がなされ,平成29年9月29日付けの拒絶理由通知に対して平成29年12月4日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,平成30年5月17日付けで拒絶査定がなされ,これに対して平成30年8月21日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされ,平成31年2月26日付けで当審により拒絶理由通知がされ,令和元年5月7日付けで意見書が提出されるとともに手続補正(以下,「本件補正」という。)がされたものである。


第2 本願発明

本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりである。

「情報処理デバイスであって,
複数の命令の組を格納するメモリ,
ネットワークサービスからのコンテンツアイテムに相当する,ロック部分とアンロック部分を有する1つ以上のファイルを受信する操作,
前記ロック部分がロックされている間に前記アンロック部分をプレビューとしてレンダリングするようにアプリケーションを実行する操作,
前記アプリケーションを実行するときに,
(i) ユーザーが前記コンテンツアイテムに係る支払いを受け入れることを示唆する指定入力を受信する機能を供する操作,
(ii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有している期間中における前記指定入力の受信に応じて前記コンテンツアイテムのロック部分をアンロックする操作,及び,
(iii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有していない期間中における前記指定入力の受信に応じて前記アンロック後の前記ロック部分を限定された状態でアクセスさせる操作,
を有する操作を実行するために前記複数の命令の組へアクセスする1つ以上のプロセッサ,
を有し,
前記1つ以上のプロセッサは,新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく,前記プレビューを供するように前記コンテンツアイテムのアンロック部分を実行し,前記プレビューとともに,前記指定入力を受け付ける操作子を表示し,前記(ii)または(iii)の操作を行うことで,前記コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示を,前記プレビューとしてレンダリングされた前記アンロック部分のコンテンツの閲覧を中断することなく行うように前記アプリケーションを実行する操作,を有する操作を実行するために前記命令にアクセスする,情報処理デバイス。」


第3 拒絶の理由

平成31年2月26日に当審が通知した拒絶理由のうちの理由2は,次のとおりのものである。

本願発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1に記載された発明及び引用文献2,3に記載された事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。

引用文献1:国際公開第2013/161108号
引用文献2:特表2008-525867号公報
引用文献3:特開2004-78890号公報


第4 引用文献の記載及び引用発明

1 引用文献1の記載
引用文献1には,以下の事項が記載されている(下線は,当審で付した。以下同じ。)。

A 「[0025] 図1は,本発明の第1実施形態に係る電子書籍提供システム10の全体構成図である。図1に示すように,本実施形態に係る電子書籍提供システム10は,いずれもコンピュータを中心に構成された,電子書籍提供サーバ12,ユーザ端末14(14-1,14-2,・・・,14-n),を含んでいる。電子書籍提供サーバ12,ユーザ端末14は,インターネットなどのコンピュータネットワーク16に接続されており,互いに通信可能になっている。
[0026] 電子書籍提供サーバ12は,ウェブサーバ等のコンピュータである。そして,本実施形態に係る電子書籍提供サーバ12は,ウェブ技術を用いて,電子書籍提供サーバ12に記憶されている電子書籍をユーザ端末14に送信するサービス等を提供する。また,本実施形態に係る電子書籍提供サーバ12は,電子メールを送信する機能も有している。また,電子書籍提供サーバ12は,例えば,制御部,記憶部,通信部,等を含んで構成されている。制御部は,例えば,電子書籍提供サーバ12にインストールされるプログラムに従って動作するCPU等のプログラム制御デバイスである。記憶部は,例えば,ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブなどである。通信部は,例えば,ネットワークボードなどの通信インタフェースである。これらの要素は,バスを介して接続される。電子書籍提供サーバ12の記憶部には,電子書籍提供サーバ12の制御部によって実行されるプログラムが記憶される。また,電子書籍提供サーバ12の記憶部は,電子書籍提供サーバ12のワークメモリとしても動作する。
[0027] ユーザ端末14は,電子書籍提供システム10のユーザが使用するコンピュータであり,例えば,パーソナルコンピュータ,タブレット端末,スマートフォン,携帯電話機,などである。ユーザ端末14は,例えば,CPU等の制御部,ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブ等の記憶部,ディスプレイ等の表示部,マウス,キーボード,タッチパネル,ボタン等の入力部,ネットワークボード等の通信部を備えている。また,本実施形態に係るユーザ端末14には,ウェブブラウザが予めインストールされており,ウェブブラウザが実行されるようになっている。ユーザ端末14は,ウェブブラウザを通じて電子書籍提供サーバ12が提供する各種サービスを受ける。また,ユーザ端末14には,電子メールクライアントもインストールされており,メールサーバ経由で電子メールを受信することができるようになっている。
[0028] 本実施形態では,予め,電子書籍提供サーバ12の記憶部に,複数の電子書籍,電子書籍の書誌的事項等を管理するための電子書籍管理データ20(図2参照),電子書籍提供システム10のユーザのアカウントを管理するためのアカウントデータ22(図3参照),などが記憶されている。本実施形態では,予め,電子書籍提供サーバ12の記憶部に電子書籍のファイルが記憶されている。」

B 「[0032] 本実施形態に係る電子書籍提供サーバ12は,図4に例示する,ユーザが購入可能な電子書籍に関する情報が示される電子書籍情報ページ24をユーザ端末14に提供する。本実施形態では,ユーザ端末14は,ウェブブラウザを介して,電子書籍に対応付けられるURLにアクセスすることによって,当該電子書籍に関する情報が示される電子書籍情報ページ24がユーザ端末14のディスプレイに表示されるようになっている。電子書籍情報ページ24には,サムネイル画像,タイトル,著者名,出版社名,価格などといった,電子書籍に関する情報の他に,購入ボタン26,それぞれが電子書籍の章に対応付けられる複数の購入前閲覧部分選択ボタン28,お気に入りボタン30,が含まれている。
[0033] ユーザが電子書籍情報ページ24に含まれるお気に入りボタン30をクリックすると,ユーザ端末14は,当該電子書籍情報ページ24に情報が示されている電子書籍のお気に入りへの登録要求を,電子書籍提供サーバ12に送信する。そして,電子書籍提供サーバ12は,当該登録要求を受信して,受信した登録要求に応じて,当該電子書籍の電子書籍IDを,当該ユーザのユーザIDが含まれるアカウントデータ22のお気に入りIDに追加する。
[0034] また,ユーザが電子書籍情報ページ24に含まれる購入前閲覧部分選択ボタン28をクリックすると,電子書籍情報ページ24に対応する電子書籍の内容の一部である,選択された部分の電子書籍の内容がユーザ端末14のディスプレイに表示される。当該選択された部分とは,例えば,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタン28に基づいて特定される部分である。本実施形態では,例えば,ユーザ端末14のディスプレイに,電子書籍の内容が2ページ分表示され,ユーザの操作に応じて,表示されるページを進めたり戻したりすることができるようになっている。そして,本実施形態では,電子書籍の購入前には,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタン28に対応付けられる章の先頭から所定数のページだけ,ユーザ端末14において閲覧可能となる。
[0035] また,ユーザが電子書籍情報ページ24に含まれる購入ボタン26をクリックすると,ユーザ端末14は,電子書籍情報ページ24に情報が示されている電子書籍の購入要求を,電子書籍提供サーバ12に送信する。そして,電子書籍提供サーバ12は,当該購入要求を受信して,受信した購入要求に応じて,当該電子書籍の決済処理を実行する。電子書籍の決済処理の実行後は,当該電子書籍の内容のすべてがユーザ端末14において閲覧可能となる。」

C 「[0038] 本実施形態に係るユーザ端末14は,機能的には,電子書籍受信部50,閲覧制御部52,購入要求送信部54,決済終了通知受信部56,を含んで構成される。これらの要素は,コンピュータであるユーザ端末14にインストールされたプログラムを,ユーザ端末14の制御部で実行することにより実現されている。なお,このプログラムは,例えば,CD-ROM,DVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介して,あるいは,インターネットなどの通信ネットワークを介してユーザ端末14に供給される。なお,特許請求の範囲の記載における情報処理端末の受信手段は,本実施形態における電子書籍受信部50に相当する。また,特許請求の範囲の記載における情報処理端末の表示手段は,本実施形態におけるユーザ端末14のディスプレイに相当する。また,特許請求の範囲の記載における情報処理端末の制御手段は,本実施形態における閲覧制御部52に相当する。
[0039] ここで,本実施形態に係る電子書籍提供システム10で行われる処理の流れの一例を,図6に示すフロー図を参照しながら説明する。
・・・(中略)・・・
[0047] そして,電子書籍送信部44が,S102に示す処理で,ユーザ端末14のユーザにより購入される可能性が高い電子書籍として予測された少なくとも1つの電子書籍をユーザ端末14に送信する。ここで,電子書籍送信部44は,例えば,ユーザ端末14のユーザにより購入される可能性が高い電子書籍として予測された少なくとも1つの電子書籍を,当該電子書籍が購入された場合に当該電子書籍の閲覧に使用されると予測されるユーザ端末14に送信する。すると,ユーザ端末14の電子書籍受信部50が,当該少なくとも1つの電子書籍を受信する(S103)。ユーザ端末14が受信した電子書籍は,ユーザ端末14の記憶部に保存される。この段階では,記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態となっている。その後,受信した少なくとも1つの電子書籍のいずれかについて,ユーザにより,当該電子書籍に対応付けられる電子書籍情報ページ24に含まれる購入前閲覧部分選択ボタン28がクリックされることによって,ユーザ端末14の閲覧制御部52が,当該電子書籍についての購入前閲覧要求の入力を受け付ける(S104)。すると,ユーザ端末14の閲覧制御部52が,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタン28に対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲である,当該電子書籍の内容の一部を,ユーザ端末14のディスプレイに表示させる(S105)。本処理例では,当該電子書籍の購入前については,閲覧が制限された部分のデータを含む,電子書籍のデータ全体が,ユーザ端末14の記憶部に記憶されているものの,例えば,閲覧が制限された部分のデータが,暗号化されるなどして閲覧が制限された状態となっている。ここで,上述の,閲覧が制限された部分とは,例えば,閲覧が不可能な部分を指す。
[0048] その後,ユーザが,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページ24に含まれる購入ボタン26をクリックすると,ユーザ端末14の購入要求送信部54が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバ12に送信する。すると,電子書籍提供サーバ12の購入要求受信部46が当該購入要求を受信する(S106)。そして,電子書籍提供サーバ12の決済処理実行部48が,当該電子書籍の決済処理を実行する(S107)。
[0049] そして,電子書籍提供サーバ12の決済処理実行部48は,決済処理が終了すると,決済処理が終了したことを示す通知をユーザ端末14に送信する。すると,ユーザ端末14の決済終了通知受信部56は,当該通知を受信する(S108)。すると,ユーザ端末14の閲覧制御部52が,決済処理が終了した電子書籍についての閲覧制限を解除する(S109)。ここでは,ユーザ端末14の閲覧制御部52は,例えば,閲覧が制限されていた部分を閲覧可能に制御する。このようにして,電子書籍を購入したユーザは,当該電子書籍についての決済処理が終了すると,ユーザ端末14で当該電子書籍の内容のすべてを閲覧することが可能となる。」

D 「[0123] なお,本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
[0124] 例えば,電子書籍提供サーバ12とユーザ端末14との間の通信が行えない状況で,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページ24に含まれる購入ボタン26がクリックされた場合に,ユーザ端末14が,当該電子書籍の閲覧制限を解除するようにしてもよい。すなわち,例えば,上述の場合に,ユーザ端末14が,当該電子書籍のすべてが閲覧可能な状態となるよう制御するようにしてもよい。そして,その後,電子書籍提供サーバ12とユーザ端末14との間の通信が可能となった際に,ユーザ端末14の購入要求送信部54が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバ12に送信するようにしてもよい。そして,電子書籍提供サーバ12の決済処理実行部48が,当該電子書籍の決済処理を実行するようにしてもよい。この場合は,決済処理が実行される前であっても,電子書籍の購入後に,当該電子書籍のすべてが閲覧可能な状態となることとなる。ここでは,例えば,購入ボタン26のクリック後に,当該電子書籍のすべてが閲覧可能な状態となることとなる。
[0125] ここで,例えば,ユーザ端末14がカード情報などといった決済に必要な情報の入力を予め受け付けておき,ユーザ端末14が決済に必要な情報を購入要求とともに電子書籍提供サーバ12に送信するようにしてもよい。また,電子書籍提供サーバ12を運営する事業者に対して予めユーザから支払われたチャージ金額を示す情報を,電子書籍提供サーバ12において管理するようにしてもよい。そして,当該チャージ金額の範囲内についての電子書籍の購入については,購入ボタン26がクリックされた場合に,ユーザ端末14が,当該電子書籍の閲覧制限を解除するようにするようにしてもよい。そして,電子書籍提供サーバ12が,ユーザ端末14から購入要求とともに決済金額を示す情報を受け付けて,電子書籍提供サーバ12において管理されているチャージ金額から当該決済金額を減額するようにしてもよい。
[0126] 上述のようにすれば,ユーザが購入ボタン26をクリックした際に,電子書籍提供サーバ12とユーザ端末14との間の通信が行えない状況であっても,すなわち,オフラインであっても,ユーザは電子書籍を閲覧することができることとなる。」

2 引用発明

上記1からみて,引用文献1には,以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。

「電子書籍提供システムのユーザが使用するコンピュータであるユーザ端末であって,CPU等の制御部,ROMやRAM等の記憶素子やハードディスクドライブ等の記憶部,ディスプレイ等の表示部,マウス,キーボード,タッチパネル,ボタン等の入力部,ネットワークボード等の通信部を備え,ウェブブラウザを通じて電子書籍提供サーバが提供する各種サービスを受けるものであり,
前記電子書籍提供サーバは,ユーザが購入可能な電子書籍に関する情報が示される電子書籍情報ページをユーザ端末に提供するものであり,当該電子書籍情報ページには,サムネイル画像,タイトル,著者名,出版社名,価格などといった,電子書籍に関する情報の他に,購入ボタン,それぞれが電子書籍の章に対応付けられる複数の購入前閲覧部分選択ボタン,お気に入りボタン,が含まれており,
ユーザが前記電子書籍情報ページに含まれる前記購入前閲覧部分選択ボタンをクリックすると,電子書籍情報ページに対応する電子書籍の内容の一部である,選択された部分の電子書籍の内容がユーザ端末のディスプレイに表示され,電子書籍の購入前には,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページだけ,ユーザ端末において閲覧可能となり,
また,ユーザが前記電子書籍情報ページに含まれる前記購入ボタンをクリックすると,ユーザ端末は,前記電子書籍情報ページに情報が示されている電子書籍の購入要求を,電子書籍提供サーバに送信し,電子書籍提供サーバは,当該購入要求を受信して,受信した購入要求に応じて,当該電子書籍の決済処理を実行し,電子書籍の決済処理の実行後は,当該電子書籍の内容のすべてがユーザ端末において閲覧可能となるものであり,
ユーザ端末は,機能的には,電子書籍受信部,閲覧制御部,購入要求送信部,決済終了通知受信部,を含んで構成され,これらの要素は,コンピュータであるユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部で実行することにより実現されており,
電子書籍提供システムの電子書籍送信部から,ユーザ端末のユーザにより購入される可能性が高い電子書籍として予測された少なくとも1つの電子書籍が送信されると,ユーザ端末の電子書籍受信部は,当該少なくとも1つの電子書籍を受信し,
ユーザ端末が受信した電子書籍は,ユーザ端末の記憶部に保存され,この段階では,記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態となっており,その後,受信した少なくとも1つの電子書籍のいずれかについて,ユーザにより,当該電子書籍に対応付けられる電子書籍情報ページに含まれる購入前閲覧部分選択ボタンがクリックされることによって,ユーザ端末の閲覧制御部が,当該電子書籍についての購入前閲覧要求の入力を受け付け,すると,ユーザ端末の閲覧制御部が,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲である,当該電子書籍の内容の一部を,ユーザ端末のディスプレイに表示させるものであり,当該電子書籍の購入前については,閲覧が制限された部分のデータを含む,電子書籍のデータ全体が,ユーザ端末の記憶部に記憶されているものの,例えば,閲覧が制限された部分のデータが,暗号化されるなどして閲覧が制限された状態となっており,
その後,ユーザが,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンをクリックすると,ユーザ端末の購入要求送信部が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバに送信し,すると,電子書籍提供サーバの購入要求受信部が当該購入要求を受信し,そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部が,当該電子書籍の決済処理を実行し,
そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部は,決済処理が終了すると,決済処理が終了したことを示す通知をユーザ端末に送信し,すると,ユーザ端末の決済終了通知受信部は,当該通知を受信し,すると,ユーザ端末の閲覧制御部が,決済処理が終了した電子書籍についての閲覧制限を解除し,ここでは,ユーザ端末の閲覧制御部は,例えば,閲覧が制限されていた部分を閲覧可能に制御し,このようにして,電子書籍を購入したユーザは,当該電子書籍についての決済処理が終了すると,ユーザ端末で当該電子書籍の内容のすべてを閲覧することが可能となるものであり,
電子書籍提供サーバとユーザ端末との間の通信が行えない状況で,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンがクリックされた場合には,ユーザ端末が,当該電子書籍の閲覧制限を解除するようにしてもよく,すなわち,ユーザ端末が,当該電子書籍のすべてが閲覧可能な状態となるよう制御するようにしてもよい,
ユーザ端末。」

3 引用文献2の記載

E 「【0014】
各移動記憶装置102は,ハードディスク型家電製品(Philipsにより製造されるHDD100若しくはHDD60,Appleにより製造されるiPod等),ラップトップコンピュータ,又はネットワーク106及びベース104を通じてコンテンツプロバイダ108からコンテンツを受信してこれらのコンテンツを格納可能な他の適切な装置を有してもよい。ここで使用される“各”は,特定のアイテムの少なくともサブセットの1つずつを意味し,“コンテンツ”はビデオデータ,オーディオデータ,及び/又は移動記憶装置102で実行,表示又は動作されるように動作可能な他の適切なデータを意味する。例えば,コンテンツは,曲,ビデオ,電子ブック,コンピュータソフトウェア等を有してもよい。」

F 「【0033】
任意選択の制限コンテンツ222は,オフライン中にユーザによる購入に選択されているが,まだ購入されていないコンテンツを有する。例えば一実施例では,ユーザがオフライン中に隠しコンテンツ204を購入しようとすると,コンテンツコントローラ120は,隠しコンテンツ204を無制限コンテンツ220ではなく制限コンテンツ222に変換してもよい。移動記憶装置102がオーディオジュークボックスを有する例では,制限コンテンツ222は,ユーザがオフライン中に購入することを決定した1つ以上の曲を有する。これらの曲は,無制限コンテンツ220として格納された曲と比べて,更なる制限付きでユーザに利用可能になる。例えば,無制限コンテンツ220として格納された曲は,コピーに関する何らかの制限又は他の適切な制限を有してもよい。しかし,制限コンテンツ222は,更なる制限を受ける。
【0034】
例えば,制限コンテンツ222である曲は,コンテンツメモリ122から削除される前に,指定回数及び/又は指定期間中に再生され,隠しコンテンツ204に逆変換され,又は品質での徐々の低下を受けるように制限されてもよい。本発明の範囲を逸脱することなく,制限コンテンツ222はその他適切に制限されてもよいことがわかる。このように,コンテンツは,ユーザがオフラインの間に制限付きで利用可能になり,ユーザが購入を完了するためにオンラインでコンテンツプロバイダ108にアクセスする時間を許容してもよい。制限コンテンツ222が実際に購入されると,コンテンツコントローラ120は,制限コンテンツ222を無制限コンテンツ220に変換し,これによって更なる制限を除去する。」

上記E及びFの記載から,引用文献2には,「書籍等のコンテンツ表示装置において,オフライン中にユーザが購入を選択しているがまだ購入されていないコンテンツは,制限コンテンツとして品質における除々の低下を受けるように制限されて表示させること」が記載されているといえる。

4 引用文献3の記載

G 「【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の観点に従う電子プロダクトの閲覧制御プログラムは,ユーザの操作に応じて前記電子的プロダクトを表示し,前記ユーザに閲覧させる第1の手段と,前記ユーザが前記電子的プロダクトを閲覧中に,前記電子的プロダクトに設定されている利用料金の決済を前記ユーザに要求する第2の手段と,前記決済が完了するまでの間,前記電子的プロダクトの閲覧続行を一時的に中断させる第3の手段と,前記決済が完了した場合には,前記電子的プロダクトの閲覧再開を許可させる第4の手段と,をコンピュータ上で実現させる。
【0010】
電子的プロダクトとしては,例えば,静止画像や動画像等のディジタルイメージを挙げることができ,具体的には,例えば,写真,雑誌,書籍,漫画,アニメーション,映画,ドラマやスポーツあるいは教養等の各種番組等を例示的に列挙することができる。ユーザは,第1の手段により,電子的プロダクトを表示させて閲覧(視聴を含む)することができる。電子的プロダクトの少なくとも一部は,無料で閲覧可能に予め設定されており,この無料閲覧によって,ユーザは,電子的プロダクトを閲覧する権利(閲覧権)を購入するか否かを判断することができる。そして,ユーザが電子的プロダクトを無料で閲覧中に,該電子的プロダクトの利用料金の決済を要求する通知が表示される。例えば,電子的プロダクトの無料閲覧範囲が終了したような場合に,第2の手段により決済要求の通知が表示される。この決済要求の通知は,好ましくは,電子的プロダクトの閲覧画面と同一画面上で行われる。決済要求が通知されると,第3の手段は,電子的プロダクトの閲覧続行を一時的に中断させる。例えば,第3の手段は,ユーザが無料閲覧範囲を超えて電子的プロダクトの閲覧を続行できないように,ページ送りやコマ送り等の操作を禁止する。電子的プロダクトの閲覧続行を希望する場合,ユーザは,例えば,クレジットカード番号や名義,有効期限等を入力することにより,所定の決済操作を行う。いわゆる電子マネーによる決済も可能である。第4の手段は,ユーザによる利用料金の支払い完了を確認すると,第3の手段による閲覧続行禁止を解除する。これにより,ユーザは,中断位置から再び電子的プロダクトの閲覧を続行することができる。従って,従来技術のように,電子的プロダクトの決済のために閲覧を中止して別画面に移動し,決済完了後に再び最初から改めて電子的プロダクトを閲覧する必要が無く,中断位置から直ちに閲覧を再開することができ,シームレスな操作が実現される。」

H 「【0111】
以上が,高機能ビューワ3200の全体的な表示動作である。次に,図13に基づいて,本実施形態に特有の閲覧制御処理を説明する。
・・・(中略)・・・
【0117】
このように,ユーザの閲覧画面上で,閲覧を一時的に中断させた状態で課金通知及び決済用情報の入力を行わせ,決済が完了した場合には,閲覧中断位置から直ちに閲覧再開可能となるため,無料閲覧から決済用情報の入力を経て閲覧再開に至るまでの一連の流れを比較的滑らかに行うことができる。
【0118】
なお,ユーザが閲覧権を購入した場合,高機能ビューワ3200は,課金対象の有料ページであるか否かの判定を行う必要がなく,ユーザ操作に応じて最適なレベルを決定し,必要なメッシュファイルを取得して結合し,表示させる。」

J 「【0119】
次に,図14?図19の閲覧画面の模式図を参照して,高機能ビューワ3200による閲覧及び決済の様子を説明する。
・・・(中略)・・・
【0121】
画像表示部V10は,ユーザが所望したイメージデータD10(ディジタルコンテンツ)の画像G10を表示させる領域である。図示の例では,G11及びG12の2ページの画像が見開きで表示されている。1画面に1ページの画像を表示させることもできるし,図14のように複数ページの画像を表示させることもできる。画像表示部V10に表示される画像の数及びレイアウトは,コンテンツの種類や性質に応じて,制作者が自由に設定可能である。
【0122】
コンテンツ利用部V20は,ユーザの選択したコンテンツ(自己制御機能付きイメージデータD10である)の利用方法等を操作するためのものである。コンテンツ利用部V20は,閲覧権ボタンV21,ダウンロード権ボタンV22,印刷ボタンV23,保存ボタンV24,メールボタンV25と,コピーボタンV26,リストボタンV27,情報ボタンV28を備えている。
【0123】
閲覧権ボタンV21は,画像表示部V10に表示させているコンテンツの閲覧権を購入する場合に操作するものである。上述の通り,有料ページに移行しようとする際にも閲覧権の購入が求められるが,有料ページに移行する前であっても,ユーザは自発的に閲覧権を購入することができるようになっている。ここで,本実施形態における閲覧権とは,所望のコンテンツを所定期間だけ閲覧できる権利である。なお,例えば,期間を区切らず,オンライン上での閲覧を無期限で行える権利としてもよい。」

上記GないしJの記載から,引用文献3には,「書籍等の電子コンテンツ表示装置において,閲覧可能なコンテンツのプレビュー表示(V10)とともに閲覧権の購入ボタン(V21)を表示(高機能ビューワの閲覧画面)し,上記閲覧可能なコンテンツの表示から,閲覧が制限されたコンテンツ(有料ページ)に移行する前に,上記購入ボタン操作により自発的に閲覧権を購入することによって,上記閲覧が制限されたコンテンツを表示し閲覧可能にすること」が記載されているといえる。

第5 対比

本願発明と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。

ア 引用発明における「コンピュータ」である「ユーザ端末」は,本願発明における「情報処理デバイス」に相当する。

イ 引用発明である「ユーザ端末」は,「電子書籍受信部,閲覧制御部,購入要求送信部,決済終了通知受信部」等の「要素」を,「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部で実行することにより実現」しており,この場合の「プログラム」は複数の命令の組を含み,「インストール」先の「記憶部」に格納されているといえ,また当該「プログラム」を「実行」する「制御部」は「CPU」を含み,上記「プログラム」を「実行」するためにその中の複数の命令の組に当然にアクセスしていると解されるから,引用発明の「プログラム」の「インストール」先の「記憶部」,「プログラム」を「実行」する「制御部」の「CPU」は,それぞれ本願発明の「複数の命令の組を格納するメモリ」,「複数の命令の組へアクセスする1つ以上のプロセッサ」に相当するといえる。

ウ 上記イのとおり,引用発明である「ユーザ端末」は,「電子書籍受信部,閲覧制御部,購入要求送信部,決済終了通知受信部」等の「要素」を,「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部で実行することにより実現」しているところ,そのうち,「電子書籍受信部」は,「電子書籍提供システムの電子書籍送信部から,ユーザ端末のユーザにより購入される可能性が高い電子書籍として予測された少なくとも1つの電子書籍が送信されると,ユーザ端末の電子書籍受信部は,当該少なくとも1つの電子書籍を受信」するものであり,この場合の「受信」した「電子書籍」は,「この段階では,記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態」であって,「電子書籍の購入前については,閲覧が制限された部分のデータを含む,電子書籍のデータ全体が,ユーザ端末の記憶部に記憶されているものの,例えば,閲覧が制限された部分のデータが,暗号化されるなどして閲覧が制限された状態となって」いることから,「電子書籍の購入前」において「閲覧が制限された部分」と「閲覧可能」な部分とを含むコンテンツであるといえ,また,引用発明である上記「ユーザ端末」は「ウェブブラウザを通じて電子書籍提供サーバが提供する各種サービスを受ける」ものであることから,上記「電子書籍」は,「電子書籍提供サーバ」によるネットワーク上のサービスから「受信」したものといえる。
そして,引用発明の「電子書籍提供サーバが提供する各種サービス」,「電子書籍」,「電子書籍の購入前」において「閲覧が制限された部分」,「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分,「電子書籍のデータ全体」は,それぞれ本願発明の「ネットワークサービス」,「コンテンツアイテム」,「ロック部分」,「アンロック部分」,「ファイル」に相当し,そうすると,引用発明の「制御部」の「CPU」が,「ユーザ端末にインストールされたプログラム」を「実行することにより」「電子書籍受信部」を「実現」することで,「少なくとも1つの電子書籍を受信」することであり,当該「電子書籍」は「この段階では,記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態」であって「電子書籍の購入前については,閲覧が制限された部分のデータを含む,電子書籍のデータ全体が,ユーザ端末の記憶部に記憶されているものの,例えば,閲覧が制限された部分のデータが,暗号化されるなどして閲覧が制限された状態となって」おり,かつ,「ウェブブラウザを通じて電子書籍提供サーバが提供する各種サービス」から「受信」したものといえることは,本願発明の「1つ以上のプロセッサ」が,「複数の命令の組へアクセスする」ことで実行する「ネットワークサービスからのコンテンツアイテムに相当する,ロック部分とアンロック部分を有する1つ以上のファイルを受信する操作」に相当する。

エ 引用発明では,「ユーザ端末が受信した電子書籍は,ユーザ端末の記憶部に保存され,この段階では,記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態となっており,その後,受信した少なくとも1つの電子書籍のいずれかについて,ユーザにより,当該電子書籍に対応付けられる電子書籍情報ページに含まれる購入前閲覧部分選択ボタンがクリックされることによって,ユーザ端末の閲覧制御部が,当該電子書籍についての購入前閲覧要求の入力を受け付け,すると,ユーザ端末の閲覧制御部が,クリックされた購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲である,当該電子書籍の内容の一部を,ユーザ端末のディスプレイに表示させるものであり」,「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分に相当する上記「購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲」を,「ディスプレイに表示」させるための処理は,「ユーザ端末の閲覧制御部」が「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部で実行することにより実現」しており,また,当該表示のためのレンダリング処理を当然に含むといえ,さらに,当該「購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲」を「ディスプレイに表示」させるための処理がなされる段階では,「記憶部に保存された電子書籍は,ユーザによって指定される一部のみが閲覧可能な状態となっ」ているから,「閲覧が制限された部分」は制限すなわちロックされているといえる。
そして,引用発明の「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分の表示は,本願発明の「プレビュー」に相当し,そうすると,引用発明の「制御部」の「CPU」が,「ユーザ端末にインストールされたプログラム」を「実行することにより」「閲覧制御部」を「実現」することで,「クリックされた購入前閲覧部分選択ボタンに対応付けられる章の先頭から所定数のページの範囲である,当該電子書籍の内容の一部を,ユーザ端末のディスプレイに表示させる」ことは,本願発明の「1つ以上のプロセッサ」が「複数の命令の組へアクセスする」ことで実行する「前記ロック部分がロックされている間に前記アンロック部分をプレビューとしてレンダリングするようにアプリケーションを実行する操作」に相当する。

オ 引用発明においては,「電子書籍提供サーバは,ユーザが購入可能な電子書籍に関する情報が示される電子書籍情報ページをユーザ端末に提供するもの」であって,当該「電子書籍情報ページ」には「購入ボタン」が含まれ,「ユーザが,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンをクリックすると,ユーザ端末の購入要求送信部が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバに送信」するものである。
そして,引用発明の「電子書籍の購入」,「購入ボタンをクリックする」ことは,それぞれ本願発明の「コンテンツアイテムに係る支払いを受け入れること」,「指定入力」に相当し,そうすると,引用発明の「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部」である「CPU」で「実行することにより実現」する機能による,「購入ボタン」を含む「電子書籍情報ページ」を「ユーザ端末」に表示することは,本願発明の「1つ以上のプロセッサ」が「複数の命令の組へアクセスする」ことで「アプリケーションを実行するときに」実行する「操作」である「(i) ユーザーが前記コンテンツアイテムに係る支払いを受け入れることを示唆する指定入力を受信する機能を供する操作」に相当する。

カ 引用発明は,「ユーザが,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンをクリックすると,ユーザ端末の購入要求送信部が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバに送信し,すると,電子書籍提供サーバの購入要求受信部が当該購入要求を受信し,そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部が,当該電子書籍の決済処理を実行し,そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部は,決済処理が終了すると,決済処理が終了したことを示す通知をユーザ端末に送信し,すると,ユーザ端末の決済終了通知受信部は,当該通知を受信し,すると,ユーザ端末の閲覧制御部が,決済処理が終了した電子書籍についての閲覧制限を解除し,ここでは,ユーザ端末の閲覧制御部は,例えば,閲覧が制限されていた部分を閲覧可能に制御し,このようにして,電子書籍を購入したユーザは,当該電子書籍についての決済処理が終了すると,ユーザ端末で当該電子書籍の内容のすべてを閲覧することが可能となる」ものであって,この場合「ユーザ端末」と「電子書籍提供サーバ」とは,要求及び通知の送受信が行えるネットワーク接続を有する期間中にあるといえる。
そして,引用発明の「電子書籍についての閲覧制限を解除」することは,本願発明の「コンテンツアイテムのロック部分をアンロックする」ことに相当し,また,引用発明の「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分は,本願発明の「コンテンツアイテムのロック部分」から得られた「コンテンツ」に相当し,そうすると,引用発明の「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部」である「CPU」で「実行することにより実現」する機能による,「ユーザが,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンをクリックすると,ユーザ端末の購入要求送信部が,当該電子書籍の購入要求を電子書籍提供サーバに送信し,すると,電子書籍提供サーバの購入要求受信部が当該購入要求を受信し,そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部が,当該電子書籍の決済処理を実行し,そして,電子書籍提供サーバの決済処理実行部は,決済処理が終了すると,決済処理が終了したことを示す通知をユーザ端末に送信し,すると,ユーザ端末の決済終了通知受信部は,当該通知を受信し,すると,ユーザ端末の閲覧制御部が,決済処理が終了した電子書籍についての閲覧制限を解除し,ここでは,ユーザ端末の閲覧制御部は,例えば,閲覧が制限されていた部分を閲覧可能に制御し,このようにして,電子書籍を購入したユーザは,当該電子書籍についての決済処理が終了すると,ユーザ端末で当該電子書籍の内容のすべてを閲覧することが可能となる」ようにすることは,本願発明の「1つ以上のプロセッサ」が「複数の命令の組へアクセスする」ことで「アプリケーションを実行するときに」実行する「操作」である「(ii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有している期間中における前記指定入力の受信に応じて前記コンテンツアイテムのロック部分をアンロックする操作」に相当する。

キ 後記する点で相違するものの,本願発明の「1つ以上のプロセッサ」が「複数の命令の組へアクセスする」ことで「アプリケーションを実行するときに」実行する「操作」である「(iii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有していない期間中における前記指定入力の受信に応じて前記アンロック後の前記ロック部分を限定された状態でアクセスさせる操作」と,引用発明の「ユーザ端末にインストールされたプログラムを,ユーザ端末の制御部」である「CPU」で「実行することにより実現」する機能による,「電子書籍提供サーバとユーザ端末との間の通信が行えない状況で,購入を希望する電子書籍に対応する電子書籍情報ページに含まれる購入ボタンがクリックされた場合には,ユーザ端末が,当該電子書籍の閲覧制限を解除するようにしてもよく,すなわち,ユーザ端末が,当該電子書籍のすべてが閲覧可能な状態となるよう制御する」こととは,“1つ以上のプロセッサ”が“複数の命令の組へアクセスする”ことで“アプリケーションを実行するときに”実行する“操作”である“(iii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有していない期間中における前記指定入力の受信に応じて前記アンロック後の前記ロック部分をアクセスさせる操作”である点で共通する。

ク 上記アないしキの検討から,本願発明と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
情報処理デバイスであって,
複数の命令の組を格納するメモリ,
ネットワークサービスからのコンテンツアイテムに相当する,ロック部分とアンロック部分を有する1つ以上のファイルを受信する操作,
前記ロック部分がロックされている間に前記アンロック部分をプレビューとしてレンダリングするようにアプリケーションを実行する操作,
前記アプリケーションを実行するときに,
(i) ユーザーが前記コンテンツアイテムに係る支払いを受け入れることを示唆する指定入力を受信する機能を供する操作,
(ii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有している期間中における前記指定入力の受信に応じて前記コンテンツアイテムのロック部分をアンロックする操作,及び,
(iii) 当該情報処理デバイスがネットワーク接続を有していない期間中における前記指定入力の受信に応じて前記アンロック後の前記ロック部分をアクセスさせる操作,
を有する操作を実行するために前記複数の命令の組へアクセスする1つ以上のプロセッサ,
を有する,情報処理デバイス。

(相違点1)
情報処理デバイスがネットワーク接続を有していない期間中における前記指定入力の受信に応じてアンロック後のロック部分をアクセスさせる操作に関し,
本願発明は,アンロック後のロック部分を「限定された状態で」アクセスさせる操作であるのに対して,
引用発明は,「電子書籍提供サーバとユーザ端末との間の通信が行えない状況で」「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分のユーザに対する表示の態様について,そのように特定されていない点。

(相違点2)
本願発明は,「1つ以上のプロセッサは,新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく,前記プレビューを供するように前記コンテンツアイテムのアンロック部分を実行し,前記プレビューとともに,前記指定入力を受け付ける操作子を表示し,前記(ii)または(iii)の操作を行うことで,前記コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示を,前記プレビューとしてレンダリングされた前記アンロック部分のコンテンツの閲覧を中断することなく行うように前記アプリケーションを実行する操作,を有する操作を実行するために前記命令にアクセスする」のに対して,
引用発明は,「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分の表示と,「購入ボタン」,及び,「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分,の表示の関係について,そのような特定はされていない点。


第6 判断

上記相違点について,判断する。

1 相違点1について

書籍等のコンテンツ表示装置において,オフライン中にユーザが購入を選択しているがまだ購入されていないコンテンツが,制限コンテンツとして品質における除々の低下を受けるように制限されて表示させることは,引用文献2(上記第4の3)に記載されており,引用発明と引用文献2に記載の技術とは,コンテンツ表示装置に係る共通の技術分野に属するものであり,引用発明の「電子書籍提供サーバとユーザ端末との間の通信が行えない状況」で「電子書籍の閲覧制限」を解除した部分の表示について,上記引用文献2に記載の技術を適用することを阻害する事情も認められない。
そうすると,引用発明において,電子書籍提供サーバとユーザ端末との間の通信が行えない状況で購入ボタンをクリックし「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分の,ユーザに対する表示の態様として,上記引用文献2に記載の技術事項を適用すること,すなわち,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

2 相違点2について

本願発明の「新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく」との事項について,令和元年5月7日付けの意見書では,

『(2)については,同時提出の手続補正書により補正しましたとおり,請求項1において,補正前の「同一のアプリケーションセッションの間に」は,「新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく」に補正されました。
この補正により,請求項1の上記記載は,本願明細書の段落0014の,

「たとえば一のアプリケーションセッションでは,ユーザーは,電子書籍のプレビューセグメントを閲覧し,前記電子書籍を閲覧する一方で前記電子書籍を購入し,かつ,中断又は不連続なく前記プレビューセグメントの範囲外である前記電子書籍からの頁の閲覧を継続できる。従来の方法とは対照的に,図1の例では,ユーザーは,たとえば新たなウインドウ又はアプリケーションを開くような操作を実行することによる読書感とはかけ離れた誘導をしなくてもよい。むしろユーザーは単純に,プレビューを閲覧しながら電子書籍全体をレンダングする操作を引き起こしてよい。」

を意味していることが明確になったものと思料いたします。』

と説明されているところ,上記引用の本願明細書の発明の詳細な説明(以下,単に「発明の詳細な説明」という。)における「ユーザーは,電子書籍のプレビューセグメントを閲覧し,前記電子書籍を閲覧する一方で前記電子書籍を購入し,かつ,中断又は不連続なく前記プレビューセグメントの範囲外である前記電子書籍からの頁の閲覧を継続できる。」との記載によれば,「新たなウインドウ」を「開く」こととは,「電子書籍のプレビュー」ウィンドウとは別の「新たなウインドウ」を開くこと,を意味するものと解することができ,上記引用中にある「読書感」について記載した同じ発明の詳細な説明の段落【0007】に,

「・・・さらに前記ユーザーは,前記プレビューセグメントを閲覧している間に前記電子書籍をアンロックすることで,シームレスな読書感を維持できる。」

と記載されていることからも同様の意味に解することができ,当該構成により,「電子書籍のプレビュー」表示の閲覧から,購入した「プレビューセグメントの範囲外である前記電子書籍からの頁の閲覧」へと「中断又は不連続なく」継続できることで,「シームレスな読書感を維持」しているものであり,そうすると,本願発明の「新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく」とは,「電子書籍のプレビュー」ウィンドウとは別の「新たなウインドウ」を開くことなく,「前記指定入力を受け付ける操作子」の表示,及び,「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示」を行うこと,を意味すると解することができる。

同様に,本願発明の「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示を,前記プレビューとしてレンダリングされた前記アンロック部分のコンテンツの閲覧を中断することなく行う」との事項についても,令和元年5月7日付けの意見書において,

『この事項は本願の明細書の段落0014,0031等に記載されておりますので,この補正は当初明細書等の記載事項の範囲内において行われたものと思料いたします。
・・・
この補正により,請求項1の上記記載は,「前記プレビューとしてレンダリングされた前記アンロック部分」から「コンテンツアイテムのロック部分から得られ」た「コンテンツ」へと,表示の中断がなされることなく表示可能となっていることを意味することが明確になりました。』

と説明され,上記引用の発明の詳細な説明の段落【0031】に,

「・・・その結果ユーザーは,コンテンツアイテム(たとえば電子書籍221)のプレビューセグメントを閲覧又は購入し,その後シームレスで中断なく,そのコンテンツアイテムの残りを連続して閲覧又は購入することを継続するための条件を受け入れることができる。電子書籍の文脈では,ユーザーは,電子書籍のプレビューセグメントを読みながらその電子書籍の購入を選択することができる。プレビューセグメントが完全であるとき,ユーザーは,そのプレビューセグメントに続く頁を読み続けることができる。このようにして,ユーザーの読書感は,あたかもユーザーが,最初から完全な電子書籍を読んでいたかのように,シームレスかつ中断のないものとなる。」

と記載されていることも踏まえると,「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示」を,表示された「電子書籍のプレビュー」の閲覧を妨げることなく行うこと,を意味するものと解される。

それに対し,書籍等の電子コンテンツ表示装置において,閲覧可能なコンテンツのプレビュー表示とともに閲覧権の購入ボタンを表示し,上記閲覧可能なコンテンツの表示から,閲覧が制限されたコンテンツに移行する前に,上記購入ボタン操作により自発的に閲覧権を購入することによって,上記閲覧が制限されたコンテンツを表示し閲覧可能にすることは,引用文献3(上記第4の4)に記載されており,この場合の「閲覧権の購入ボタン」や「閲覧が制限されたコンテンツ」の購入後の表示は,「閲覧可能なコンテンツのプレビュー表示」と異なるウインドウによってなされるものではないから,本願発明の「新たなウインドウ又はアプリケーションを開くことなく」に相当するといえ,また,上記「閲覧が制限されたコンテンツ」の閲覧権の購入は,「閲覧可能なコンテンツのプレビュー表示」から「閲覧が制限されたコンテンツ」に移行する前になし得ることから,「閲覧可能なコンテンツ」が「プレビュー表示」されている状態でなされるものであって,当該状態において上記閲覧権を購入することで,「閲覧可能なコンテンツのプレビュー表示」による閲覧が妨げられることなく「閲覧が制限されたコンテンツ」の表示へと移行するものと解され,これは,表示された「電子書籍のプレビュー」の閲覧を妨げることなく,「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示」を行うこと,に他ならない。
そして,引用発明と引用文献3に記載の技術とは,コンテンツ表示装置に係る共通の技術分野に属するとともに,引用発明の,「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分の表示と,「購入ボタン」,及び,「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分,の表示の関係について,上記引用文献3に記載の技術を適用することを阻害する事情も認められない。
そうすると,引用発明において,「電子書籍の購入前」における「閲覧可能」な部分の表示と,「購入ボタン」,及び,「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分,の表示の関係について上記引用文献3に記載の技術を適用することで,新たなウインドウを開くことなく,「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分を表示させる際に,当該「閲覧可能」な部分とともに「購入ボタン」を表示するよう構成するとともに,当該「購入ボタンをクリックする」ことで,「電子書籍についての閲覧制限を解除」して「閲覧可能」にした部分の表示を,表示された「電子書籍の購入前」において「閲覧可能」な部分の閲覧を妨げることなく行うよう構成すること,すなわち,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。

3 そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本願発明の作用効果は,引用発明,引用文献2,3に記載の技術事項の奏する作用効果から予測される範囲のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
よって,本願発明は,引用発明,引用文献2,3に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 請求人の主張について

請求人は,令和元年5月7日付けの意見書において,『引用文献3では,請求項1において「閲覧続行を一時的に中断させる」と記載されており,図15?図18にも,有料ページ購入のための小窓W1?W4が,無料閲覧可能なページに重なって出現してしまうため,小窓W1?W4の表示により閲覧が中断させられることが記載されています。このことは引用文献3の開示事項は,決済が完了するまでの間,閲覧が一時的に中断させられることを示唆しています。一方,本願の図6Aを参照すると,電子書籍を購入するための機能630(クレームにおける操作子)は,プレビューセグメント620と重ならずに表示され,機能630が表示されたとしてもユーザーの閲覧は中断されず,閲覧を継続することが出来ます。このような本願発明の構成は,本願明細書の段落0031に記載されているように,ユーザーがあたかも最初から完全な電子書籍を読んでいたかのような読書感が得られるという効果を奏しますが,引用文献3にはそのような有利な効果について記載も示唆もありません。』と主張する。
しかしながら,平成31年2月26日付けで当審が通知した拒絶理由でも記載を引用したとおり,引用文献3の図14ないし19及び関連する記載には,閲覧可能なコンテンツの表示から閲覧が制限されたコンテンツに移行する前に,購入ボタン操作により自発的に閲覧権を購入することによって,表示された「電子書籍のプレビュー」の閲覧が妨げられることなく,「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示」を行うことが記載されており,「コンテンツアイテムのロック部分から得られたコンテンツの表示」が「電子書籍のプレビュー」の表示閲覧を中断するものではない。
また,請求人が主張の中で引用する記載に関しては,引用文献3の記載を見ると,「電子的プロダクトの無料閲覧範囲が終了したような場合に,第2の手段により決済要求の通知が表示される。この決済要求の通知は,好ましくは,電子的プロダクトの閲覧画面と同一画面上で行われる。決済要求が通知されると,第3の手段は,電子的プロダクトの閲覧続行を一時的に中断させる。例えば,第3の手段は,ユーザが無料閲覧範囲を超えて電子的プロダクトの閲覧を続行できないように,ページ送りやコマ送り等の操作を禁止する。・・・(中略)・・・第4の手段は,ユーザによる利用料金の支払い完了を確認すると,第3の手段による閲覧続行禁止を解除する。これにより,ユーザは,中断位置から再び電子的プロダクトの閲覧を続行することができる。従って,従来技術のように,電子的プロダクトの決済のために閲覧を中止して別画面に移動し,決済完了後に再び最初から改めて電子的プロダクトを閲覧する必要が無く,中断位置から直ちに閲覧を再開することができ,シームレスな操作が実現される」(上記Gの段落【0010】)とあるように,ユーザが電子プロダクトの有料部分について支払いを完了するまでは,無料閲覧範囲から有料部分への移動(閲覧続行)を禁止すること,が記載ないし示唆されているのであって,「アンロック部分」の「プレビュー」に相当する無料閲覧範囲の閲覧自体が妨げられるわけではないから,「アンロック部分のコンテンツの閲覧」の「中断」について記載ないし示唆するものとまではいえず,むしろ,「従来技術」について記載のとおり,引用文献3では,別画面への移動を解消することでユーザの閲覧を中止せず閲覧を継続することが示唆されているといえる。
さらに,請求人の,上記「本願の図6Aを参照すると,電子書籍を購入するための機能630(クレームにおける操作子)は,プレビューセグメント620と重ならずに表示され,機能630が表示されたとしてもユーザーの閲覧は中断されず,閲覧を継続することが出来ます」との主張は,請求項の記載に基づくものではないから,理由があるとはいえない。
したがって,いずれにしても請求人の上記主張は採用することはできない。


第7 むすび

以上のとおり,本願発明は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用発明,引用文献2,3に記載された技術事項に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-17 
結審通知日 2019-06-18 
審決日 2019-07-08 
出願番号 特願2016-575990(P2016-575990)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平井 誠  
特許庁審判長 辻本 泰隆
特許庁審判官 松平 英
仲間 晃
発明の名称 プレビューからの情報処理デバイス上のコンテンツのアンロック  
代理人 特許業務法人はるか国際特許事務所  
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