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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G10L
管理番号 1354799
審判番号 不服2018-3947  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-10-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-03-20 
確定日 2019-08-29 
事件の表示 特願2016-504908「車載制御装置および車載制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 9月 3日国際公開、WO2015/128960〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯及び本願発明
1 手続の経緯
本件出願は、2014年(平成26年)2月26日を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は、以下のとおりである。

平成28年 3月 1日:手続補正
平成29年 5月23日:拒絶理由の通知
平成29年 7月27日:手続補正、意見書
平成29年12月20日:拒絶査定
平成30年 1月 9日:拒絶査定の謄本の送達
平成30年 3月20日:拒絶査定不服審判の請求

2 本願発明
本願の請求項1?12に係る発明は、平成29年7月27日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?12に記載した事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

(本願発明)
(A)車両に搭載された車載機器の制御を行う車載制御装置において、
(B)前記車載機器に接続された表示器に表示された複数の操作キーの情報を、前記表示器に表示された表示内容の変化に応じて動的に受信するキー情報受信部と、
(C)常に動作し、音声認識辞書を用いてユーザにより発話された音声を認識する音声認識部と、
(D)前記キー情報受信部により受信された複数の操作キーの情報と前記音声認識部による音声認識結果に基づいて、前記音声認識結果に対応する操作キーの情報がない場合にはこれに対する処理を行わずに再度、音声認識結果を待ち、前記音声認識結果に対応する操作キーの情報がある場合には前記ユーザにより発話された音声に対応する操作キーを特定する操作キー特定部と、
(E)前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する決定キーからの出力を受け、前記特定された操作キーに割り付けられた機能を実行するよう前記車載機器に対して指示を行う制御部と
(A)を備えることを特徴とする車載制御装置。

((A)?(E)は、当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件A」?「構成要件E」という。)

第2 引用文献の記載事項及び引用文献に記載された発明
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
原査定における拒絶の理由に引用された特開2010-204637号公報(以下「引用発明1」という。)には、「音声認識装置、音声認識方法、及びナビゲーション装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。

「【0004】
ところで、音声認識装置としては、発話を開始することを音声認識装置に知らせるための発話開始ボタンが利用者により操作されると、音声認識のための処理を開始するように設定されたものが知られている。この音声認識装置は、利用者が音声認識装置を利用しようとする毎に発話開始ボタンを操作する必要があるため、利用者に抵抗感を抱かせてしまうおそれがあった。また、この音声認識装置を用いたナビゲーション装置が搭載された車両内で、運転者が、自身が会話した内容に基づいて目的地設定を行う場合には、運転者は、目的地を示す語彙を再度発声する、或いはそれに相当する操作を行わなければならない。このため、煩わしいという思いを運転者に抱かせてしまうおそれがあった。
【0005】
このような問題を解決するために、利用者が発した音声を常時入力して音声認識を行い、その認識結果を表示し、その後に利用者が決定操作を行うと、認識結果に基づく処理を実行する音声認識装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。」

(2)引用文献1に記載された発明
上記(1)によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
(a)車両に搭載されたナビゲーション装置における認識結果に基づく処理を実行する音声認識装置であって、
(b)利用者が発した音声を常時入力して音声認識を行い、
(c)その認識結果を表示し、
(d)その後に利用者が決定操作を行うと、認識結果に基づく処理を実行する
(a)音声認識装置

((a)?(d)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成a」?「構成d」という。)

2 引用文献2
(1)引用文献2の記載事項
原査定における拒絶の理由に引用された特開2003-291750号公報(以下「引用文献2」という。)には、「車載機器制御装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0098】次に、操作者が音声入力操作部3のみを入力操作に使用して、経路誘導装置に東京ディズニーランドまでの経路探索を行わせる場合について、図1、図2、図7、及び図16?図21を用いて説明する。なお、図16は車載機器制御装置1の処理の流れ等を示したフローチャートであり、図17?図21は操作状態表示部10に表示される画像を示したものである。
【0099】操作者が何ら操作を行っていない状態においては、操作状態表示部10には、図7に示すように、初期画面が表示される。
【0100】図16に示すステップS1bにて操作者が図2に示す発話釦23を押下すると、図1に示す手動操作部2が音声入力開始指示情報23aを操作状態判断部5に出力する。
【0101】ステップS2bにて、操作状態判断部5が、手動操作部2から与えられた音声入力開始指示情報23aをメモリ51に保存すると共に、当該音声入力開始指示情報23aを音声入力開始終了判断部6に出力する。
【0102】また、図17に示すように、初期操作メニュー10bと、手動操作部2が使用可能となっていることを示すアイコン10aと、音声入力操作部3が使用可能となっていることを示すアイコン10hと、を操作状態表示部10に表示する一方で、音声ガイド出力部9にて、音声入力をサポートする音声情報(例えば、「必要なコマンドをお話し下さい。」という音声情報及び「手動入力操作及び音声入力操作が可能です。」という音声情報)を出力する。
【0103】次いで、図1に示す音声入力開始終了判断部6が、操作状態判断部5から与えられた音声入力開始指示情報23aに基づいて、手動操作部2及び音声入力操作部3をともに使用可能とすると共に、音声待ち受け単語管理部7に、待ち受け単語を用意することを要求する旨の要求情報を出力する。
【0104】次いで、音声待ち受け単語管理部7が、音声入力開始終了判断部6から与えられた要求情報に基づいて、音声待ち受け単語格納部8から必要な単語を取得して単語リストを作成する。
【0105】ここで、必要な単語は、操作状態表示部10に表示された初期操作メニュー10bに含まれる選択肢(図17を参照)の内容に基づいて決定される。したがって、この場合、必要な単語には、「目的地設定」、「音楽を聞く」等が含まれる。
【0106】次いで、図16に示すステップS3bにて、操作者は、自分の意図した操作を実現するのに必要な選択肢を選択し、当該選択肢に対応する音声情報を図1に示す音声入力操作部3にて入力する。
【0107】本実施の形態では、経路誘導装置に東京ディズニーランドまでの経路探索を行わせるので、操作者は、図1に示す音声入力操作部3にて「目的地設定」という音声情報を入力する。
【0108】音声入力操作部3にて入力された音声情報は、A/D変換されて音声認識実行部4に出力され、音声認識実行部4が、当該音声情報を分析して内容を認識し、当該音声情報の内容と、音声待ち受け単語管理部7により作成された単語リストに含まれる単語と、のマッチング処理を行う。
【0109】次いで、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。なお、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0110】本実施の形態では、マッチング度が所定値以上の単語として、「目的地設定」という単語を選択し、マッチング度が所定値以上の単語として「目的地設定」という単語がある旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0111】次いで、操作状態判断部5が、当該単語選択情報に基づいて、「目的地設定」という単語について単語確定処理を行い、図18に示すように、「目的地設定」という単語に対応する機器別操作メニュー10cを操作状態表示部10に表示する。
【0112】次いで、図16に示すステップS4bにて、図1に示す操作状態判断部5は、メモリ51に保存されている音声入力開始指示情報23aを音声入力開始終了判断部6に出力する。
【0113】また、図18に示すように、アイコン10aとアイコン10hとを操作状態表示部10に表示する一方で、音声ガイド出力部9にて、音声入力をサポートする音声を出力する。
【0114】次いで、図1に示す音声入力開始終了判断部6が、操作状態判断部5から与えられた音声入力開始指示情報23aに基づいて、手動操作部2及び音声入力操作部3をともに使用可能とすると共に、音声待ち受け単語管理部7に、待ち受け単語を用意することを要求する旨の要求情報を出力する。
【0115】次いで、音声待ち受け単語管理部7が、音声入力開始終了判断部6から与えられた要求情報に基づいて、音声待ち受け単語格納部8から必要な単語を取得して単語リストを作成する。
【0116】ここで、必要な単語は、操作状態表示部10に表示された機器別操作メニュー10cに含まれる選択肢(図18参照)の内容に基づいて決定される。したがって、当該場合、必要な単語には、「自宅」、「施設から選ぶ」等が含まれる。
【0117】次いで、図16に示すステップS5bにて、操作者は、ステップS3bと同様に、図1に示す音声入力操作部3にて「施設から選ぶ」という音声情報を入力する。
【0118】次いで、音声認識実行部4が、ステップS3bと同様に、音声入力操作部3にて入力された音声情報を分析して内容を認識し、マッチング処理を行う。
【0119】次いで、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。なお、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0120】本実施の形態では、マッチング度が所定値以上の単語として、「施設から選ぶ」を選択し、マッチング度が所定値以上の単語として「施設から選ぶ」という単語がある旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0121】次いで、操作状態判断部5が、当該単語選択情報に基づいて、ステップS3bと同様に、図19に示すように、「目的地設定」という単語について単語確定処理を行う。
【0122】次いで、ステップS6bにて、操作状態判断部5は、ステップS4bと同様に、メモリ51に保存されている音声入力開始情報23aを音声入力開始終了判断部6に出力する。
【0123】また、図19に示すように、アイコン10aとアイコン10hとを図1に示す操作状態表示部10に表示する一方で、音声ガイド出力部9にて、音声入力をサポートする音声(例えば、「施設名をお話し下さい。」等の音声)を出力する。
【0124】次いで、音声入力開始終了判断部6が、操作状態判断部5から与えられた音声入力開始指示情報23aに基づいて、手動操作部2及び音声入力操作部3をともに使用可能とすると共に、音声待ち受け単語管理部7に、待ち受け単語を用意することを要求する旨の要求情報を出力する。
【0125】次いで、音声待ち受け単語管理部7が、音声入力開始終了判断部6から与えられた要求情報に基づいて、音声待ち受け単語格納部8から必要な単語として具体的な施設名(例えば、「東京ディズニーランド」や「海ほたる」等)を取得して単語リストを作成する。
【0126】次いで、ステップS7bにて、操作者は、ステップS3bと同様に、図1に示す音声入力操作部3にて「東京ディズニーランド」という内容の音声情報を入力する。
【0127】次いで、音声認識実行部4が、ステップS3bと同様に、音声入力操作部3にて入力された音声情報を分析して内容を認識し、マッチング処理を行う。
【0128】次いで、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。なお、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0129】本実施の形態では、マッチング度が所定値以上の単語として、「東京ディズニーランド」という単語を選択し、マッチング度が所定値以上の単語として「東京ディズニーランド」という単語がある旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0130】次いで、操作状態判断部5が、ステップS3bと同様に、当該単語選択情報に基づいて、単語確定処理を行い、図20に示すように、「東京ディズニーランド」という単語が操作者により選択された旨の情報を操作状態表示部10に表示する。
【0131】ここで、手動操作部2のみを入力操作に使用した場合のように、施設のジャンルに関する機器別操作メニュー10d及び施設の所在地に関する機器別操作メニュー10e(図11及び図12参照)を操作状態表示部10に表示することなく、操作者に目的地を特定させることとしたが、これは以下の理由による。
【0132】即ち、図1に示す音声待ち受け単語管理部7は、単語リストに多数の単語を含めることができるので、音声待ち受け単語格納部8に保存されている全てのジャンルの施設名及び全国に存在する施設名を単語リストに含めることができる。
【0133】したがって、機器別操作メニュー10d及び機器別操作メニュー10eを操作状態表示部10に表示して、操作者に施設ジャンル及び所在地の絞り込みを行わせる必要がない。
【0134】これにより、機器別操作メニュー10d及び機器別操作メニュー10eを操作状態表示部10に表示することなく、操作者に目的地を特定させることとした。
【0135】次いで、図16に示すステップS8bにて、図1に示す操作状態判断部5は、ステップS3bと同様に、単語確定処理を行うと共に、東京ディズニーランド周辺の地図情報を操作状態表示部10に表示することを要求する旨の地図情報表示要求情報を、経路誘導装置を制御するシステムコントローラ11a(図1参照)に出力すると共に、図21に示すように、機器別操作メニュー10gを表示する。
【0136】次いで、図1に示すシステムコントローラ11aは、操作状態判断部5から与えられた地図情報表示要求情報を経路誘導装置に出力し、経路誘導装置は、当該地図情報表示要求情報に基づいて、図21に示すように、東京ディズニーランド周辺の地図情報を操作状態表示部10に表示する。
【0137】次いで、図16に示すステップS9bにて、操作状態判断部5が、ステップS4bと同様に、メモリ51に保存されている音声入力開始指示情報23aを音声入力開始終了判断部6に出力する。
【0138】また、図21に示すように、アイコン10aとアイコン10hとを操作状態表示部10に表示する一方で、音声ガイド出力部9にて、音声入力をサポートする音声情報(例えば、「メニューをお選び下さい。」等の音声情報)を出力する。
【0139】次いで、図1に示す音声入力開始終了判断部6が、操作状態判断部5から与えられた音声入力開始指示情報23aに基づいて、手動操作部2及び音声入力操作部3をともに使用可能とすると共に、音声待ち受け単語管理部7に、待ち受け単語を用意することを要求する旨の要求情報を出力する。
【0140】次いで、音声待ち受け単語管理部7が、音声入力開始終了判断部6から与えられた要求情報に基づいて、音声待ち受け単語格納部8から必要な単語(「目的地設定」や「地点登録」等)を取得して単語リストを作成する。
【0141】次いで、ステップS10bにて、操作者は、ステップS3bと同様に、図1に示す音声入力操作部3にて「目的地」という音声情報を入力する。
【0142】次いで、音声認識実行部4が、ステップS3bと同様に、音声入力操作部3にて入力された音声情報を分析して内容を認識し、マッチング処理を行う。
【0143】次いで、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。なお、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0144】本実施の形態では、マッチング度が所定値以上の単語として、「目的地」を選択し、マッチング度が所定値以上の単語として「目的地」という単語がある旨の単語選択情報を操作状態判断部5に出力する。
【0145】次いで、操作状態判断部5が、当該単語選択情報に基づいて、目的地(即ち東京ディズニーランド)までの経路探索を行うことを要求する旨の経路探索要求情報をシステムコントローラ11aに出力する。
【0146】次いで、ステップS11bにて、システムコントローラ11aは、操作状態判断部5から与えられた経路探索要求情報を経路誘導装置に出力し、経路誘導装置は、当該経路探索要求情報に基づいて、東京ディズニーランドまでの経路探索を行い、ステップS12bにて、探索結果を操作状態表示部10に表示すると共に、探索結果に関する音声案内を音声ガイド出力部9にて行う。
【0147】
なお、上記ステップS3b、ステップS5b、ステップS7b、及びステップS10bのそれぞれにおいて、図1に示す操作状態判断部5が、音声認識実行部4から与えられた単語選択情報に基づいて、マッチング度が所定値以上の単語がないと判断した場合には、音声ガイド出力部9にて、操作者に再度の音声入力を促すガイド音声情報を出力すると共に、メモリ51に保存されている音声入力開始指示情報23aを音声入力開始終了判断部6に出力する。」

「【図17】


「【図18】


「【図19】


「【図21】



(2)引用文献2に記載された発明
引用文献2に記載された「車載機器制御装置」は、
初期操作メニューを操作状態表示部に表示し(段落【0102】)、
音声待ち受け単語管理部は、操作状態表示部に表示された初期操作メニューに含まれる選択肢(図17を参照)の内容に基づいて、音声待ち受け単語格納部から必要な単語(「目的地設定」、「音楽を聞く」等)を取得して単語リストを作成し(段落【0104】、【0105】)、
操作者は、自分の意図した操作を実現するのに必要な選択肢を選択し、当該選択肢に対応する音声情報(「目的地」)を音声入力操作部にて入力し(段落【0106】)、
音声入力操作部3にて入力された音声情報は、音声認識実行部が、当該音声情報を分析して内容を認識し、当該音声情報の内容と、作成された単語リストに含まれる単語とのマッチング処理を行い(段落【0108】)、
マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部に出力し(段落【0109】、【0110】)、
操作状態判断部が、当該単語選択情報に基づいて、単語確定処理を行い、当該単語(「目的地」)に対応する機器別操作メニューを操作状態表示部に表示する(段落【0111】)。ここで、機器別操作メニューを操作状態表示部に表示することは、自分の意図した操作を実現することである。
また、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部に出力し(段落【0109】)、操作状態判断部が操作者に再度の音声入力を促すガイド音声情報を出力する(段落【0147】)。

以上によると、引用文献2に記載された「車載機器制御装置」は、
表示部に表示された初期メニューに含まれる選択肢の内容に基づいて、音声待ち受け単語格納部から必要な単語を取得して単語リストを作成する音声待ち受け単語管理部と、
操作者が自分の意図した操作を実現するのに必要な選択肢として入力した音声情報を分析して内容を認識し、作成された単語リストに含まれる単語とマッチング処理を行う音声認識部と、
前記音声認識部は、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部に出力し、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部に出力し、
前記単語選択情報に基づいて、マッチング度が所定値以上の単語がある場合、単語確定処理を行い、当該単語に対応する操作を実現し、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、操作者に再度の音声入力を促すガイド音声情報を出力する操作状態判断部と
を備える。

さらに、引用文献2に記載された「車載機器制御装置」は、段落【0111】?【0123】に記載のとおり、上記初期メニューの選択肢の選択と同様、機器別操作メニュー10cに含まれる選択肢に対応する音声情報を入力することで選択し、自分の意図した操作を実現することが記載されている。
また、引用文献2に記載された「車載機器制御装置」は、段落【0135】?【0146】に記載のとおり、上記初期メニューの選択肢の選択と同様、機器別操作メニュー10gに含まれる選択肢に対応する音声情報を入力することで選択し、自分の意図した操作を実現することが記載されている。

以上によると、引用文献2に記載された「車載機器制御装置」においては、「メニュー」として、「初期メニュー」、「機器別操作メニュー10c」、「機器別操作メニュー10g」があり、それぞれのメニューに含まれる選択肢の内容に基づいて、それぞれの単語リストが生成されるものと認められる。

以上まとめると、引用文献2には、次の発明(以下「引用文献2発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用文献2発明)
(2a)表示部に表示されたそれぞれのメニューに含まれる選択肢の内容に基づいて、音声待ち受け単語格納部から必要な単語を取得してそれぞれの単語リストを作成する音声待ち受け単語管理部と、
(2b)操作者が自分の意図した操作を実現するのに必要な選択肢として入力した音声情報を分析して内容を認識し、作成された単語リストに含まれる単語とマッチング処理を行う音声認識部と、
(2c)前記音声認識部は、マッチング度が所定値以上の単語がある場合には、単語選択情報を操作状態判断部に出力し、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、マッチング度が所定値以上の単語がない旨の単語選択情報を操作状態判断部に出力し、
(2d)前記単語選択情報に基づいて、マッチング度が所定値以上の単語がある場合、単語確定処理を行い、当該単語に対応する操作を実現し、マッチング度が所定値以上の単語がない場合には、操作者に再度の音声入力を促すガイド音声情報を出力する操作状態判断部と
(2e)を備える車載機器制御装置。

((2a)?(2e)は、構成を識別するために付与した。以下各構成を「構成2a」?「構成2e」という。)

第3 対比
1 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)構成要件Aと構成a、dとを対比する。
構成aの「車両に搭載されたナビゲーション装置」は、構成要件Aの「車両に搭載された車載機器」といえる。そして、構成a及びdの「音声認識装置」は、当該ナビゲーション装置に対して認識結果に基づく処理を実行するから、ナビゲーション装置を制御する装置であることは明らかである。
したがって、構成要件Aと構成a、dとは、「車両に搭載された車載機器の制御を行う車載制御装置」として一致する。

(2)構成要件Bについて
引用発明は構成要件Bを備えておらず、本願発明と相違する。

(3)構成要件Cと構成bとを対比する。
音声認識は、音声認識辞書を用いて行うものであるから、構成bは、「常に動作し、音声認識辞書を用いてユーザにより発話された音声を認識する音声認識部」として、構成要件Cと一致する。

(4)構成要件Dについて
引用発明は構成要件Dを備えておらず、本願発明と相違する。

(5)構成要件Eと構成c、dとを対比する。
引用発明は、「認識結果を表示し、その後に利用者が決定操作を行うと、認識結果に基づく処理を実行する」ものであり、実行する処理の対象はナビゲーション装置である。
利用者が決定操作を行うことは、「決定キーからの出力を受け」に対応し、ナビゲーション装置に対する処理は、「機能を実現するように前記車載機器に対して指示を行う」ものといえる。また、引用発明には、このような処理を行う制御部があるといえる。
したがって、構成要件Eと構成c、dとは、「決定キーからの出力を受け、機能を実行するよう前記車載機器に対して指示を行う制御部」として共通する。
しかしながら、「決定キーからの出力」が、本願発明においては、「前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する」決定キーからの出力であるのに対し、引用発明においては、「前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する」決定キーからの出力ではなく、「機能」が、本願発明においては、「前記特定された操作キーに割り付けられた」機能であるのに対し、引用発明においては、「前記特定された操作キーに割り付けられた」機能ではない点で相違する。

2 一致点、相違点
以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。

(一致点)
車両に搭載された車載機器の制御を行う車載制御装置において、
常に動作し、音声認識辞書を用いてユーザにより発話された音声を認識する音声認識部と、
決定キーからの出力を受け、機能を実行するよう前記車載機器に対して指示を行う制御部と
を備えることを特徴とする車載制御装置。

(相違点)
本願発明は、
「前記車載機器に接続された表示器に表示された複数の操作キーの情報を、前記表示器に表示された表示内容の変化に応じて動的に受信するキー情報受信部」、
「前記キー情報受信部により受信された複数の操作キーの情報と前記音声認識部による音声認識結果に基づいて、前記音声認識結果に対応する操作キーの情報がない場合にはこれに対する処理を行わずに再度、音声認識結果を待ち、前記音声認識結果に対応する操作キーの情報がある場合には前記ユーザにより発話された音声に対応する操作キーを特定する操作キー特定部」
を備え、
「決定キー」が、「前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する」決定キーであり、「機能」が「前記特定された操作キーに割り付けられた」機能であるのに対し、
引用発明は、当該「キー情報受信部」、当該「キー操作特定部」を備えておらず、
それに伴い、「決定キー」が、「前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する」決定キーではなく、「機能」が「前記特定された操作キーに割り付けられた」機能ではない点

第4 判断
引用文献2には、上記引用文献2発明が記載されている。
引用文献2発明は、音声認識を用いた車載機器制御装置であって、引用発明と同じ技術分野の発明であるから、引用発明に引用文献2発明を適用する動機付けはあるといえる。
引用文献2発明の構成2aの「単語」は、「メニューに含まれる選択肢の内容に基づいて」取得されるから、構成Bの「操作キーの情報」に相当する。
引用文献2発明の構成2aによると、表示部に表示される「メニュー」は複数あり、メニュー毎に音声待ち受け単語格納部から必要な単語を取得して「単語リスト」を作成する。当該メニューは、それぞれ表示されるものであるから、「単語リスト」は「前記表示器に表示された表示内容の変化に応じて動的に」作成されるといえる。
そして、引用文献2発明の構成2aによると、「単語リスト」は、「音声待ち受け単語格納部から必要な単語を取得して」作成するから、「音声待ち受け単語管理部」は、「単語」、すなわち「操作キーの情報」を受信するといえ、「キー情報受信部」を備えているといえる。
したがって、引用文献2発明は「前記車載機器に接続された表示器に表示された複数の操作キーの情報を、前記表示器に表示された表示内容の変化に応じて動的に受信するキー情報受信部」を備えているといえる。
また、引用文献2発明の構成2b、2c、2dによると、入力した音声情報を分析して内容を認識し、作成した単語リストに含まれる単語とマッチング処理を行い、マッチング度が所定以上の単語がある場合には、当該単語に対応する操作を実現し、マッチング度が所定以上の単語がない場合には、操作者に再度の音声入力を促すガイド音声情報を出力するものであるから、引用文献2発明の「操作状態判断部」は、引用発明の「操作キー特定部」に相当する。

したがって、引用発明に引用文献2発明を適用して、引用発明に「キー情報受信部」、「操作キー特定部」を備えることは、当業者が容易に想到し得るものである。
そして、引用発明に「キー情報受信部」、「操作キー特定部」を備えたものは、「決定キー」が、「前記操作キー特定部により特定された操作キーを選択する」決定キーとなり、「機能」が「前記特定された操作キーに割り付けられた」機能となる。

また、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測し得る範囲内のものであり、同範囲を超える顕著なものでもない。

よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2発明に基づいて、当業者が容易になし得たものである。

第5 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-06-25 
結審通知日 2019-07-02 
審決日 2019-07-16 
出願番号 特願2016-504908(P2016-504908)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G10L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上田 雄  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 小池 正彦
菊池 智紀
発明の名称 車載制御装置および車載制御方法  
代理人 田澤 英昭  
代理人 坂元 辰哉  
代理人 井上 和真  
代理人 濱田 初音  
代理人 中島 成  
代理人 辻岡 将昭  
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