ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 発明同一 C12Q 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C12Q 審判 全部申し立て 2項進歩性 C12Q 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 C12Q 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 C12Q |
---|---|
管理番号 | 1354910 |
異議申立番号 | 異議2017-701002 |
総通号数 | 238 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2019-10-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-19 |
確定日 | 2019-07-08 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6117194号発明「アレル不均衡を評価するための方法および材料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 令和1年6月5日付け訂正請求において、特許第6117194号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?6〕、〔7?12〕、〔13?18〕、〔19?24〕について訂正することを認める。 特許第6117194号の請求項1、3?7、9?13、15?19、21?24に係る特許を維持する。 特許第6117194号の請求項2、8、14、20に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6117194号の請求項1?24に係る特許についての出願は、平成24年6月15日(パリ条約による優先権主張 平成23年6月17日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成29年3月31日にその特許権の設定登録がされ、同年4月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1?24に係る特許について、同年10月19日に特許異議申立人 古藤弘一郎により特許異議の申立てがされ、当審において平成30年3月7日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年6月8日に意見書の提出及び訂正の請求があり、同年8月28日付けで特許法第120条の5第5項に規定された通知書を特許異議申立人に送付したところ、同年10月1日に特許異議申立人から意見書が提出され、平成31年3月6日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和1年6月5日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 第2 訂正の適否 1.訂正の内容 令和1年6月5日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は、次のとおりである。 なお、平成30年6月8日付け訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、 「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程。」 と記載されているのを、 「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に、「請求項1または2記載の方法。」と記載されているのを「請求項1記載の方法。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1乃至3のいずれか一項記載の方法:」と記載されているのを、「請求項1または3記載の方法:」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項4に、「該ゲノムスペーシングは、任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセントである。」と記載されているのを、「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1乃至4のいずれか一項記載の方法。」と記載されているのを、「請求項1、3または4記載の方法。」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項7に、 「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程。」 と記載されているのを、 「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項9に、「請求項7または8記載の方法。」と記載されているのを「請求項7記載の方法。」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項10に、「請求項7乃至9のいずれか一項記載の方法:」と記載されているのを、「請求項7または9記載の方法:」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項10に、「該ゲノムスペーシングは、任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセントである。」と記載されているのを、「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項11に、「請求項7乃至10のいずれか一項記載の方法。」と記載されているのを、「請求項7、9または10記載の方法。」に訂正する。 (13)訂正事項13 特許請求の範囲の請求項13に、 「ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定するためのコンピュータプログラム。」 と記載されているのを、 「ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。」に訂正する。 (14)訂正事項14 特許請求の範囲の請求項14を削除する。 (15)訂正事項15 特許請求の範囲の請求項15に、「請求項13または14記載のシステム。」と記載されているのを「請求項13記載のシステム。」に訂正する。 (16)訂正事項16 特許請求の範囲の請求項16に、「請求項13乃至15のいずれか一項記載のシステム:」と記載されているのを、「請求項13または15記載のシステム:」に訂正する。 (17)訂正事項17 特許請求の範囲の請求項16に、「該ゲノムスペーシングは、任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセントである。」と記載されているのを、「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。」に訂正する。 (18)訂正事項18 特許請求の範囲の請求項18に、「請求項15または16記載のシステム。」と記載されているのを、「請求項17記載のシステム。」に訂正する。 (19)訂正事項19 特許請求の範囲の請求項19に、 「ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定するためのコンピュータ。」 と記載されているのを、 「ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。」に訂正する。 (20)訂正事項20 特許請求の範囲の請求項20を削除する。 (21)訂正事項21 特許請求の範囲の請求項21に、「請求項19または20記載のシステム。」と記載されているのを「請求項19記載のシステム。」に訂正する。 (22)訂正事項22 特許請求の範囲の請求項22に、「請求項19乃至21のいずれか一項記載のシステム:」と記載されているのを、「請求項19または21記載のシステム:」に訂正する。 (23)訂正事項23 特許請求の範囲の請求項22に、「該ゲノムスペーシングは、任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセントである。」と記載されているのを、「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。」に訂正する。 (24)訂正事項24 特許請求の範囲の請求項23に、「請求項19乃至22のいずれか一項記載のシステム。」と記載されているのを、「請求項19、21または22記載のシステム。」に訂正する。 2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、新規事項追加の有無、独立特許要件及び一群の請求項の適否 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1に、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項1は、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正前の請求項2に、「前記多数のSNP遺伝子座が少なくとも10、50、100、1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む、請求項1記載の方法。」と記載されており、また、特許明細書の段落【0022】には、「いくつかのケースでは、基準(a)から(e)までを満たす100,000、150,000または200,000よりも多いヒト遺伝子座が選択されることができる。(a)から(e)の基準を満たすヒト遺伝子座の内、遺伝子座の群(例えば、上位2,500、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、75,000、100,000、150,000または200,000の遺伝子座)は、遺伝子座が関心対象の集団において高いアレル頻度を持ち、ある程度均等に間隔を空けた状態(例えば、約5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に少なくとも一つの関心対象の遺伝子座)でヒトゲノムをカバーし、解析に用いられる任意の集団においてもう一つの選択された遺伝子座と連鎖不均衡でないように選択されることができる。」と記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的の適否 訂正事項2は、訂正前の請求項2を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項2は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項2は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (3)訂正事項3について ア.訂正の目的の適否 訂正事項3は、訂正前の請求項3が、訂正前の「請求項1または2」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項3は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項3は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (4)訂正事項4について ア.訂正の目的の適否 訂正事項4は、訂正前の請求項4が、訂正前の「請求項1乃至3のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1または3」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項4は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項4は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (5)訂正事項5について ア.訂正の目的の適否 訂正事項5は、訂正前の請求項4に、ゲノムスペーシングとして「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」と記載されているのを、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項5は、「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」を、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 特許明細書の段落【0026】には、「いくつかの態様において、これらの遺伝子座はゲノムに沿って均等な間隔で配置されている。本明細書で用いられる通り、遺伝子座は、任意の2つの遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つの遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント(即ち、100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)または100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(CD))が50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%よりも小さいまたは等しい場合、遺伝子座は「ゲノムに沿って均等な間隔で配置されている」。このような差のパーセントは本明細書では遺伝子座の「ゲノムスペーシング」と呼ばれる。いくつかの態様において、試料はFFPE組織試料である。いくつかの態様において、試料は患者からの腫瘍試料である。」と記載されているから、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (6)訂正事項6について ア.訂正の目的の適否 訂正事項6は、訂正前の請求項5が、訂正前の「請求項1乃至4のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項1、3または4」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項6は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項6は、訂正前の請求項2の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項6に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (7)訂正事項7について ア.訂正の目的の適否 訂正事項7は、訂正前の請求項7に、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項7は、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正前の請求項8に、「前記多数のSNP遺伝子座が少なくとも10、50、100、1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む、請求項7記載の方法。」と記載されており、また、特許明細書の段落【0022】には、「いくつかのケースでは、基準(a)から(e)までを満たす100,000、150,000または200,000よりも多いヒト遺伝子座が選択されることができる。(a)から(e)の基準を満たすヒト遺伝子座の内、遺伝子座の群(例えば、上位2,500、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、75,000、100,000、150,000または200,000の遺伝子座)は、遺伝子座が関心対象の集団において高いアレル頻度を持ち、ある程度均等に間隔を空けた状態(例えば、約5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に少なくとも一つの関心対象の遺伝子座)でヒトゲノムをカバーし、解析に用いられる任意の集団においてもう一つの選択された遺伝子座と連鎖不均衡でないように選択されることができる。」と記載されているから、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項7に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (8)訂正事項8について ア.訂正の目的の適否 訂正事項8は、訂正前の請求項8を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項8は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項8は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項8に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (9)訂正事項9について ア.訂正の目的の適否 訂正事項9は、訂正前の請求項9が、訂正前の「請求項7または8」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項7」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項9は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項9は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項9に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (10)訂正事項10 ア.訂正の目的の適否 訂正事項10は、訂正前の請求項10が、訂正前の「請求項7乃至9のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項7または9」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項10は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項10は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項10に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (11)訂正事項11 ア.訂正の目的の適否 訂正事項11は、訂正前の請求項10に、ゲノムスペーシングとして「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」と記載されているのを、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項11は、「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」を、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 特許明細書の段落【0026】には、「いくつかの態様において、これらの遺伝子座はゲノムに沿って均等な間隔で配置されている。本明細書で用いられる通り、遺伝子座は、任意の2つの遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つの遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント(即ち、100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)または100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(CD))が50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%よりも小さいまたは等しい場合、遺伝子座は「ゲノムに沿って均等な間隔で配置されている」。このような差のパーセントは本明細書では遺伝子座の「ゲノムスペーシング」と呼ばれる。いくつかの態様において、試料はFFPE組織試料である。いくつかの態様において、試料は患者からの腫瘍試料である。」と記載されているから、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項11に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (12)訂正事項12 ア.訂正の目的の適否 訂正事項12は、訂正前の請求項11が、訂正前の「請求項7乃至10のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項7、9または10」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項12は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項12は、訂正前の請求項8の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項12に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (13)訂正事項13 ア.訂正の目的の適否 訂正事項13は、訂正前の請求項13に、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項13は、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正前の請求項14に、「前記多数のSNP遺伝子座が少なくとも10、50、100、1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む、請求項13記載のシステム。」と記載されており、また、特許明細書の段落【0022】には、「いくつかのケースでは、基準(a)から(e)までを満たす100,000、150,000または200,000よりも多いヒト遺伝子座が選択されることができる。(a)から(e)の基準を満たすヒト遺伝子座の内、遺伝子座の群(例えば、上位2,500、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、75,000、100,000、150,000または200,000の遺伝子座)は、遺伝子座が関心対象の集団において高いアレル頻度を持ち、ある程度均等に間隔を空けた状態(例えば、約5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に少なくとも一つの関心対象の遺伝子座)でヒトゲノムをカバーし、解析に用いられる任意の集団においてもう一つの選択された遺伝子座と連鎖不均衡でないように選択されることができる。」と記載されているから、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項13に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (14)訂正事項14 ア.訂正の目的の適否 訂正事項14は、訂正前の請求項14を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項14は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項14は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項14に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (15)訂正事項15 ア.訂正の目的の適否 訂正事項15は、訂正前の請求項15が、訂正前の「請求項13または14」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項13」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項15は、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項15は、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項15に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (16)訂正事項16 ア.訂正の目的の適否 訂正事項16は、訂正前の請求項16が、訂正前の「請求項13乃至15のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項13または15」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項16は、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項16は、訂正前の請求項14の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項16に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (17)訂正事項17 ア.訂正の目的の適否 訂正事項17は、訂正前の請求項16に、ゲノムスペーシングとして「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」と記載されているのを、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項17は、「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」を、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 特許明細書の段落【0026】には、「いくつかの態様において、これらの遺伝子座はゲノムに沿って均等な間隔で配置されている。本明細書で用いられる通り、遺伝子座は、任意の2つの遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つの遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント(即ち、100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)または100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(CD))が50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%よりも小さいまたは等しい場合、遺伝子座は「ゲノムに沿って均等な間隔で配置されている」。このような差のパーセントは本明細書では遺伝子座の「ゲノムスペーシング」と呼ばれる。いくつかの態様において、試料はFFPE組織試料である。いくつかの態様において、試料は患者からの腫瘍試料である。」と記載されているから、訂正事項17は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項17に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (18)訂正事項18 ア.訂正の目的の適否 訂正前の請求項18には、「前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項15または16記載のシステム。」と記載され、訂正前の請求項15または16を引用する記載になっているが、訂正前の請求項15または16には「腫瘍試料」という記載はないので不明瞭な記載になっていた。一方、訂正前の請求項17には、「前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項16記載のシステム。」と記載され、「腫瘍試料」という記載があるので、訂正前の請求項18を、請求項17を引用するように訂正すれば、訂正前の請求項18における明瞭でない記載が明瞭になる。 よって、訂正事項18は、訂正前の請求項18が、訂正前の「請求項15または16」を引用する記載であったものを、明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項17」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項18は、訂正前の請求項18における明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項18は、訂正前の請求項18における明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項18に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (19)訂正事項19 ア.訂正の目的の適否 訂正事項19は、訂正前の請求項19に、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項19は、「多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座」と記載されているのを、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正前の請求項20に、「前記多数のSNP遺伝子座が少なくとも10、50、100、1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む、請求項19記載のシステム。」と記載されており、また、特許明細書の段落【0022】には、「いくつかのケースでは、基準(a)から(e)までを満たす100,000、150,000または200,000よりも多いヒト遺伝子座が選択されることができる。(a)から(e)の基準を満たすヒト遺伝子座の内、遺伝子座の群(例えば、上位2,500、5,000、7,500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、75,000、100,000、150,000または200,000の遺伝子座)は、遺伝子座が関心対象の集団において高いアレル頻度を持ち、ある程度均等に間隔を空けた状態(例えば、約5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に少なくとも一つの関心対象の遺伝子座)でヒトゲノムをカバーし、解析に用いられる任意の集団においてもう一つの選択された遺伝子座と連鎖不均衡でないように選択されることができる。」と記載されているから、訂正事項19は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項19に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (20)訂正事項20 ア.訂正の目的の適否 訂正事項20は、訂正前の請求項20を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項20は、請求項の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項20は、請求項の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項20に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (21)訂正事項21 ア.訂正の目的の適否 訂正事項21は、訂正前の請求項21が、訂正前の「請求項19または20」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項19」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項21は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項21は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項21に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (22)訂正事項22 ア.訂正の目的の適否 訂正事項22は、訂正前の請求項22が、訂正前の「請求項19乃至21のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項19または21」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項22は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項22は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項22に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (23)訂正事項23 ア.訂正の目的の適否 訂正事項23は、訂正前の請求項22に、ゲノムスペーシングとして「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」と記載されているのを、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項23は、「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」を、「式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント」に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 特許明細書の段落【0026】には、「いくつかの態様において、これらの遺伝子座はゲノムに沿って均等な間隔で配置されている。本明細書で用いられる通り、遺伝子座は、任意の2つの遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つの遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセント(即ち、100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)または100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(CD))が50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%よりも小さいまたは等しい場合、遺伝子座は「ゲノムに沿って均等な間隔で配置されている」。このような差のパーセントは本明細書では遺伝子座の「ゲノムスペーシング」と呼ばれる。いくつかの態様において、試料はFFPE組織試料である。いくつかの態様において、試料は患者からの腫瘍試料である。」と記載されているから、訂正事項23は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項23に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (24)訂正事項24 ア.訂正の目的の適否 訂正事項24は、訂正前の請求項23が、訂正前の「請求項19乃至22のいずれか一項」を引用する記載であったものを、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするために訂正後の「請求項19、21または22」を引用する記載に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項24は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 訂正事項24は、訂正前の請求項20の削除に伴い生じる明瞭でない記載を明瞭にするものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 エ.独立特許要件 本件においては、すべての請求項について特許異議申立てがされているので、訂正事項24に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は適用されない。 (25)一群の請求項の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1を対象とするものであるが、請求項2?6はすべて直接的又は間接的に請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1?6に対応する訂正後の請求項1?6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項1?6による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 訂正事項7は、訂正前の請求項7を対象とするものであるが、請求項8?12はすべて直接的又は間接的に請求項7を引用しているものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項7?12に対応する訂正後の請求項7?12は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項7?12による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 訂正事項13は、訂正前の請求項13を対象とするものであるが、請求項14?18はすべて直接的又は間接的に請求項13を引用しているものであって、訂正事項13によって記載が訂正される請求項13に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項13?18に対応する訂正後の請求項13?18は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項13?18による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 訂正事項19は、訂正前の請求項19を対象とするものであるが、請求項20?24はすべて直接的又は間接的に請求項19を引用しているものであって、訂正事項19によって記載が訂正される請求項19に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項19?24に対応する訂正後の請求項19?24は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正事項19?24による訂正は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項ごとに請求されたものである。 3.まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?6〕、〔7?12〕、〔13?18〕、〔19?24〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 本件訂正請求により訂正された請求項1?24に係る発明(以下、「本件発明1?24」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?24に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項2】(削除) 【請求項3】SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にアレル不均衡を持つと決定される、請求項1記載の方法。 【請求項4】前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項1または3記載の方法: ここで、該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項5】前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項1、3または4記載の方法。 【請求項6】前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項5記載の方法。 【請求項7】患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項8】(削除) 【請求項9】SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にLOHに起因するホモ接合性を持つと決定される、請求項7記載の方法。 【請求項10】前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項7または9項記載の方法: ここで、該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項11】前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項7、9または10記載の方法。 【請求項12】前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項11記載の方法。 【請求項13】ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定するためのコンピュータプログラム、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項14】(削除) 【請求項15】SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にアレル不均衡を持つと決定される、請求項13記載のシステム。 【請求項16】前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項13または15記載のシステム: ここで、該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項17】前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項16記載のシステム。 【請求項18】前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項17記載のシステム。 【請求項19】ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定するためのコンピュータ、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項20】(削除) 【請求項21】SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にLOHに起因するホモ接合性を持つと決定される、請求項19記載のシステム。 【請求項22】前記SNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項19または21記載のシステム: ここで、該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項23】前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項19、21または22記載のシステム。 【請求項24】前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項23記載のシステム。」 第4 取消理由及び特許異議申立理由の概要 1.取消理由の概要 訂正前の請求項1?24に係る特許に対して、平成30年3月7日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨(下記(1)?(6))、及び、平成30年6月8日付け訂正請求により訂正された請求項1、3?7、9?13、15?19、21?24に係る特許に対して、平成31年3月6日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨(下記(7))は、次のとおりである。 (1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第1号証を主引用例とした) 本件特許発明1?3、5?6、13?15、17?18は、甲第1号証に記載されたものであるか、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであり、本件特許発明4、16は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであり、また、本件特許発明7?12、19?24は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1?3、5?6、13?15、17?18は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、また、本件特許発明1?24は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 (2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第3号証を主引用例とした) 本件特許発明1?2、5、13?14、17は、甲第3号証に記載されたものであるか、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであり、本件特許発明4、6、16、18は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであり、また、本件特許発明3、7?12、15、19?24は、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1?2、5、13?14、17は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、また、本件特許発明1?24は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 (3)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第11号証を主引用例とした) 本件特許発明1?3、5?9、11?15、17?21、23?24は、甲第11号証に記載されたものであるか、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであり、また、本件特許発明4、10、16、22は、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1?3、5?9、11?15、17?21、23?24は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反して特許されたものであり、また、本件特許発明1?24は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 (4)特許法第29条第2項(甲第9号証を主引用例とした) 本件特許発明1?24は、甲第9号証に記載された発明及び甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たものであるから、本件特許発明1?24は、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである。 (5)特許法第29条の2 本件特許発明1?2、5?8、11?14、19?20、23?24は、甲第13号証に記載されたものであるから、特許法第29条の2の規定に違反して特許されたものである。 (6)特許法第36条第6項第2号 請求項4、10、16、22の「任意の2つのSNP遺伝子座の間の距離と任意のその他の2つのSNP遺伝子座の間の距離の差のパーセント」という記載は多義的に解されるから不明確であり、また、請求項18は、「腫瘍試料」という記載がない請求項15または16を引用しているから不明確であるので、本件特許発明4、10、16、22及び本件特許発明18は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (7)平成30年6月8日付け訂正請求により訂正された請求項1、7、13、19は、「約」という表現を用いているが、明細書中に定義が記載されておらず、また、「約」がどのような数値範囲を意味しているのか出願時の技術常識から明らかであるともいえないから、明細書の記載及び出願時の技術常識を考慮しても「約」がどのような数値範囲を意味しているのか理解できないので、請求項1、7、13、19に係る発明が不明確となるから、請求項1、7、13、19に係る特許は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由の概要 (1)特許法第36条第4項第1号 請求項13?18に記載のシステムには、試料分析装置と所定の目的のためのプログラムとを含むことしか規定されていないが、プログラムは単なる情報であり、通常それだけでは所定の目的を達成することができず、また、本件発明の詳細な説明にも、プログラムのみで所定の目的を達成することは記載されていないから、本件発明の詳細な説明は、当業者が、本件特許発明13?18の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 (2)特許法第36条第6項第1号 請求項13?18に記載のシステムには、試料分析装置と所定の目的のためのプログラムとを含むことしか規定されていないが、プログラムは単なる情報であり、通常それだけでは所定の目的を達成することができず、また、本件発明の詳細な説明にも、プログラムのみで所定の目的を達成することは記載されていないから、本件特許発明13?18は発明の詳細な説明に記載したものではない。 (3)特許法第36条第6項第2号 ア.請求項1、7、13、19の「多数のSNP遺伝子座」という記載について 請求項1、7、13、19には「多数のSNP遺伝子座」という記載があるが、「多数」という限定のみでは上限および下限が不明であり、どの程度の数のSNP遺伝子座が「多数のSNP遺伝子座」に該当するのかが不明確であるから、本件特許発明1、7、13、19は不明確である。 イ.請求項2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24の上限値または下限値について 上記請求項には、複数の上限値または下限値が択一的に記載されており、どの値を選択するかで請求項の記載事項が多義的に解されるので、発明の範囲が明確ではないから、本件特許発明1、7、13、19は不明確である。 第5 甲号証の記載 甲第1号証?甲第13号証には、以下の事項が記載されている(英語で記載されている証拠は、日本語訳で摘記する。)。 (1)甲第1号証:Schweiger et al., PLoS One. 2009:4(5):e5548 (甲1-1)「病理部における組織試料は、ルーチン的にホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)試料として保存されており、これらの使用は様々な臨床試験の機会を拡大するだろう。」(要約第2行?第3行) (甲1-2)「最後に、我々は、FFPE組織試料におけるゲノムレベルのコピー数異常の位置の特定と、置換ならびに点欠失および/または挿入などの遺伝子変化の検出を同時に行うため、合成シーケンシング技法(Illumina Genome Analyzer,Solexa)を用いて正常および腫瘍乳房組織を分析した。」(要約、第10行?第12行) (甲1-3)「結論/意義:少量のFFPE材料への第二世代シーケンシング技法の適用は、ルーチンの臨床業務中ならびに臨床試験において採取した組織試料を分析する可能性を開く。このことは、FFPE試料が、外科的腫瘍切除および病理組織学的診断から大量に入手可能であり、前駆病変、原発腫瘍、リンパ行性および/または血行性転移を含んでいることから、特に重要である。この組織材料を用いた大規模研究は、がん患者の予後のより良好な予測、および、治療に応答する患者の早期の同定をもらたす。」(要約、第13行?第18行) (甲1-4)「これらの実験のために、乳房腫瘍組織を、マクロダイセクションにより腫瘍細胞含量が少なくとも70%となるように濃縮した。」(第3頁左欄下から第8行?第7行) (甲1-5)「CNAに加え、我々はすべての試料についてヌクレオチド交換(NE)率も計算した。概して、我々はアラインメントした配列リードに対して0.1?0.5%のNE確率を見出した(表2)。見つかったNEの約12%?33%はdbSNPに位置しており、したがって、既知SNP[14]と分類することができる。」(第3頁右欄下から第8行?第4行) (甲1-6)「我々は1.5μgのゲノムDNAを800bp未満の断片にランダムに剪断した。」(第6頁右欄下から第4行?第3行) (甲1-7)「ライゲーション産物は、アガロースゲル電気泳動により精製し、いずれかの末端にシーケンシングプライマーを用いた18サイクルのPCRにより、ライゲーションが成功した断片について濃縮した。ライゲーション産物は、次いで、Illumina Genome Analyzer(Solexa)を用いたクラスター生成および合成シーケンシングに使用した。」(第7頁左欄第4行?第8行) (甲1-8)「全ヌクレオチド交換はMaq0.7.1ソフトウェアを用い、cns2snpおよびSNPフィルターのステップ[18]のデフォルトパラメーターで計算した。」(第7頁左欄下から第7行?第5行) (甲1-9)「 」(表2) (2)甲第2号証:Li et al., BMC Bioinformatics. 2008;9:204 (甲2-1)「しかしながら、腫瘍細胞では、欠失および増幅イベントにより一部の染色体領域でコピー数は2とは異なることがある。選択された染色体領域における片親の寄与の消失は、ヘミ接合欠失または有糸分裂遺伝子変換によっても生じ得る(ヘテロ接合性の消失またはLOHと称する)。かかる変化が腫瘍抑制遺伝子(TSG)またはがん遺伝子に影響を与え、細胞に増殖のための利点を付与すると、それらの変化は子孫細胞において選択され、腫瘍の形成に寄与する[1]。このような異常なコピー数およびLOH領域を腫瘍細胞において同定することは、したがって、がん関連遺伝子の同定を補助し、がんの発症または増殖に関する手掛かりを提供する可能性がある[2、3]。」(第1頁左欄下から第2行?第2頁左欄第4行) (甲2-2)「SNPのメジャーコピー割合(MCP)はC_(2)/(C_(1)+C_(2))、式中C_(1)およびC_(2)は試料中のこのSNPにおける親のコピー数であり、C_(1)≦C_(2)である、と定義される。MCPの値はその定義から0.5?1であり、種々の値は親のコピー数の異なる相対的割合に対応する。MCPは、正常遺伝子座または均衡したコピー数変化については0.5、LOHについては1、そして、アレル不均衡を有するコピー数変化については0.5?1の間の値である。したがって、MCPはアレル不均衡を定量し、LOH分析の自然な拡張である。」(第2頁左欄下から第6行?右欄第4行) (甲2-3)「前記方法を実行し、分析結果を視覚化するためにdChipソフトウェア[30、31]を使用した。図2は、10KのSNPデータセットの第7染色体を用いた、dChipにおける観察されたLOHの表示と、新たなMCP表示を比較したものである。」(第4頁右欄下から第8行?第5行) (甲2-4)「 」(図3) (3)甲第3号証:Ross et al., J.Clin.Oncol. 2011 May;29(15)suppl:10564 (甲3-1)「176のがん遺伝子、腫瘍抑制遺伝子および薬物代謝酵素遺伝子の配列を、FFPEがん生検試料から分析した。」(第1頁下から第5行?第2行) (甲3-2)「抽出したDNAをハイブリッド捕捉および176遺伝子を包含する2574エクソンのペアエンドシーケンシングに供した。」(第2頁第2行?第5行) (甲3-3)「我々の、平均カバレッジ中央値301(24?461の範囲)の176プレックスアッセイは、先に報告した10個の変異のうち9個を自動的に検出した。10番目の変異は手動による見直しにより観察できた。」(第2頁第9行?第14行) (甲3-4)「TP53、STK11、APC、MLH1、BRCA2およびSMAD4などの周知のがん遺伝子における変異に加え、我々は、EGFR、KRASおよびBRAFにおける周知の予測される変異以外に、臨床的に利用可能と考えられる多数の変異を検出した。それらは、PI3キナーゼサブユニット遺伝子PIK3CAにおける活性化変異とともに、MET、KIT、ERBB2およびCDKN2Aにおける変異を含む。」(第2頁第21行?第30行) (甲3-5)「結論:我々の結果は、数百の遺伝子の完全な高品質のシーケンシングがルーチンで採取しているFFPE組織から可能であること、および、この手法により利用可能と考えられる変異が発見されることを示している。」(第2頁第30行?第35行) (4)甲第4号証:Campbell et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 2006:103(45):16834-16839 (甲4-1)「自閉症におけるバリアントに関するMET遺伝子のスクリーニング。MET遺伝子におけるバリアントを同定するため、我々は自閉症を有する86名における遺伝子の21のエクソンおよび重要な調節領域を、温度勾配キャピラリー電気泳動およびダイレクトリシーケンシングによりスクリーニングした。」(第16835頁左欄第2行?第6行) (甲4-2)「同義SNPがエクソン2(rs11762213)、エクソン7(rs13223756)、エクソン20(rs41736)、およびエクソン21(rs2023748およびrs41737)で同定された。」(第16835頁左欄第23行?第25行) (5)甲第5号証:Tommasi et al., Cell.Oncol. 2007:29(3):241-248 (甲5-1)「ERRBB2コード領域における2つのSNP:NCBIデータベース(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/SNP)からのrs#1801200(Ile655Val)およびrs#1058808(Ala1170Pro)の遺伝子型を決定した。」(第243頁左欄第5行?第8行) (6)甲第6号証:Zuchner et al., Ann.Hum.Genet. 2008;72(Pt.6):725-731 (甲6-1)「 」(表2) (7)甲第7号証:Choi et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 2009:106(45):19096-19101 (甲7-1)「SAMtoolsを用いて標的とする塩基をコールし、参照塩基から逸脱している全ての塩基コールを可能なバリエーションとみなした。SI textに記載された追加のフィルターを適用した。」(第19101頁右欄第3行?第5行) (甲7-2)「バリアントフィルタリングおよびアノテーション。バリアントを次のルールに従い再評価した:(i)Phred様品質スコアが45未満のコールを除外する、(ii)ヘテロ接合塩基について、メジャーおよびマイナーアレルの両方を支持するリードは異なる開始点および終止点を有しなけれなならない、(iii)バリアント塩基における合計リード数は10以上でなければならない、(iv)ヘテロ接合塩基について、観察されたメジャーおよびマイナーアレルの頻度の二項分布からの逸脱の確率は少なくとも10^(-7)でなけれぱならない。」(補足情報第1頁左欄第2行?第10行) (8)甲第8号証:Varley et al., Genome Res. 2008:18(11):1844-1850 (甲8-1)「これは試料特異的DNAバーコードを有するマルチプレックスPCRと次世代シーケンシングとを組み合わせ、候補遺伝子における高度に多重化された変異の探索を、多数の試料について並列で行うことを可能にする最初の方法である。」(要約、第4行?第6行) (甲8-2)「参照配列からの相違の大半はホモポリマーに隣接するインデルであり、これは454シーケンシングにおける既知のエラープローン特性である(Ronaghiら、1998)。これらを除外するために、我々は参照配列にマッチしないが、リードの30%を超えるすべての位置を検討した。」(第1849頁左欄下から第12行?第7行) (9)甲第9号証:Zhao et al.,Genome Biol. 2010;11(11):R114 (甲9-1)「分析は、乳がん細胞系HCC1954および同じ個体からのリンパ芽球細胞系HCC1954BLについて行った。」(要約、第2行?第4行) (甲9-2)「LOHおよびASEの共通の特徴は一方のアレルからの発現の消失であり、これは腫瘍抑制遺伝子で頻繁に観察されている。ASEでは、優性遺伝子産物が選択されたアレルから発現される。一部の遺伝子において、発現レベルおよびアレル間のバランスのわずかな変化が生理的に重要となり得る。多くの腫瘍抑制遺伝子のハプロ不全は、腫瘍発生および転移を促進する[10]。」(第1頁右欄第5行?第12行) (甲9-3)「HCC1954およびHCC1954BLの両方について、エクソーム捕捉をNimbleGen2.1Mアレイで行い、次いで、各細胞系から捕捉したDNAを454Titaniumによりシーケンシングした。454からのリードを、GS Reference Mapper(gsMapper)を用いてヒト参照ゲノム(hg18)にユニークにマッピングした。バリアントおよびバリアントアレル頻度は、gsMapperで検出した高信頼性一塩基バリアント(SNV)からコールし(材料と方法、追加ファイル1の表S1およびS2参照)、その後の分析に使用した。」(第2頁左欄下から第22行?第13行) (甲9-4)「こうして、609のSNV(このうち544は既知のSNP)により解明された、403の遺伝子におけるLOHイベントを検出した(追加ファイル1の表S1、S2およびS3参照)。」(第2頁右欄下から第14行?第12行) (甲9-5)「我々の研究は、次世代シーケンシングの高まり続けるパワーに基づくかかるアプローチの実施可能性を証明するものである。」(第11頁左欄第6行?第8行) (甲9-6)「一塩基バリアントコール エクソームシーケンシングにおいて、バリアントアレルに関するSNVは、gsMapperによるデフォルトの高信頼性SNVコール(454HCDiffs.txtファイル)から選び出した。これは、少なくとも3つの非重複高品質リードによりサポートされ、少なくとも10%のバリアントアレル頻度を有するバリアントアレルとして定義されている。」(第11頁右欄下から第20行?第14行) (甲9-7)「 」(表1) (甲9-8)「 」(図2) (10)甲第10号証:Kiialainen et al., PLoS One. 2011 Feb;6(2):e16486 (甲10-1)「この研究で、我々は超並列シーケンシングおよび一塩基多型(SNP)の発見のための標的濃縮用の2つのハイブリダイゼーション法、すなわちNimblegen配列捕捉アレイおよびSureSelect液体ベースハイブリッド捕捉システムを比較した。」(要約、第2行?第4行) (甲10-2)「アレイベースのハイブリダイゼーション捕捉方法では、関心対象の領域に相補的な数十万ものオリゴヌクレオチドが高密度DNAマイクロアレイ上に合成される[32、33、34、35]。溶液ベースのハイブリダイゼーション捕捉方法では、アレイから放出されたオリゴライブラリーがビオチン化インビトロ転写RNAプローブに転換され、それを関心対象の領域を捕捉するのに使用する[36、37]。これらの方法は、全エクソームを含む広いゲノム領域の濃縮に適している。」(第2頁左欄第4行?第12行) (11)甲第11号証:Johansson et al., Nucleic Acids Res. 2011 Jan;39(2):e8 (甲11-1)「我々は本書で、セレクター技法に基づく、標的領域のマルチプレックス増幅のための簡単で拡張可能なプロトコルを提示する。」(要約、第3行?第6行) (甲11-2)「本技法の性能を証明するために、細胞系および腫瘍生検試料に由来する試料において、がんに頻繁に関与している95遺伝子からの全501エクソンを濃縮し、シーケンシングした。新鮮凍結生検試料およびホルマリン固定パラフィン包埋生検試料の両方からのDNAを分析し、標的領域の94%の特異性および98%のカバレッジを達成した。反復実験間の再現性は高く(R2=0.98)、コピー数バリエーションの検出が容易であった。」(要約、第9行?第19行) (甲11-3)「組織試料は病理学者が見直し、腫瘍細胞画分か50%を超えているもののみを対象とした。DNAはFFPEおよび凍結組織切片から、QIAamp DNA Mini Kit(Qiagen、Hamburg、Germany)を用いて抽出した。」(第2頁右欄第3行?第7行) (甲11-4)「参照アレル頻度分析はMosaikAlignerを用いて行い、ROIと重複するHapMapデータベース中の標的配列における164の利用可能なSNPと結果を比較した(図2および表4)。」(第6頁左欄第3行?第7行) (甲11-5)「腫瘍細胞系と正常細胞系とのアレル比の違いは、HCC1143の14のROI位置およびHCC1599のにおける7つのROI位置において>0.3であった。HCC1143における違いは、アレル増幅(CCNDl)、欠失(MET、CDKN2A、MRE11A、ATM、NF1およびERBB2(HER2))、およびコピー数中立LOH(片親ダイソミー、APC)を原因とする、8つの遺伝子におけるヘテロ接合性の消失(LOH)によるものであった。」(第6頁右欄第7行?第14行) (甲11-6)「この実験では細胞系での実験より逸脱は小さく、これはこの試料における腫瘍細胞含量が約50%であることと整合している。」(第6頁右欄下から第18行?第16行) (甲11-7)「患者の腫瘍試料の大部分は、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)標本として調製され、保存されている。それで、体細胞突然変異の分析技術の潜在的有用性は、ひどく分解されることがあるFFPE組織試料からのDNAと適合すれば、大いに高まる。この潜在性を評価するために、同じ肺癌患者からのFFPE試料のDNAを用いて、28遺伝子を増幅してシーケンシングした。」(第6頁右欄下から第11行?第3行) (甲11-8)「我々は、この方法がルーチンで採取されるFFPE試料に適用できることから、それが臨床診断に有用たり得ると考えている。」(第8頁右欄第9行?第11行) (甲11-9)「 」(図2) (甲11-10)「 」(表4) (甲11-11)「 」(表5) (12)甲第12号証:Duncavage et al., J.Mol.Diagn. 2011 May;13(3):325-333 (甲12-1)「我々は、ホルマリン固定・パラフィン包埋(FFPE)組織から抽出したDNAに対する標的化NGSの使用を記載し、NGSの短いリード長がFFPE組織から得た断片化DNAに理想的に適していることを示す。我々はさらに、PCR生成捕捉プローブを用いたハイブリッド捕捉標的濃縮を行う新たな方法を記載する。」(要約、第7行?第13行) (甲12-2)「この研究で、我々は、FFPE組織から抽出したDNAおよびIllumina GAllxゲノムアナライザー(San Diego、CA)のために最適化された、簡単で安価な、実験室で作成したハイブリッド捕捉濃縮方法を報告する(図1に概要を示す)。」(第326頁左欄第5行?第9行) (甲12-3)「我々は、ワシントン大学メディカルセンターのLauren V.Ackerman研究室のファイルから、適切なFFPE試料が試験に利用可能な、MCPyV陽性の外科的に切除したMCCを4例選択した。」(第326頁右欄第18行?第22行) (甲12-4)「要約すると、我々は、標的領域の100,000倍までの濃縮と38,000倍のカバレッジを達成することができる、FFPE組織から抽出したDNAのハイブリッド捕捉濃縮およびNGSのための安価なシステムの有用性を証明した。この方法は、一塩基対変化およびインデルを同定するために使用することができる。」(第332頁左欄第30行?第35行) (甲12-5)「我々が記載した方法は、したがって、FFPE組織の保管庫をNGSによる分析に開放するだけでなく、新鮮組織が利用できない臨床条件でNGSを適用する手法も提供する。」(第332頁左欄下から第9行?第6行) (13)甲第13号証:特願2013-547659号(特表2014-507133号) (甲13-1)「【請求項20】 腫瘍試料を分析する方法であって、 複数の腫瘍メンバーを含むライブラリを腫瘍試料から取得することとであって、選択されたメンバーは、それによって、ライブラリ捕獲物を提供することと、 サブゲノム間隔についての読み取りを次世代配列決定方法を用いて前記ライブラリまたはライブラリ捕獲物からの腫瘍メンバーから取得することと、 前記読み取りをアライメントすることと、 事前選択されたヌクレオチド位置に対する前記読み取りからのヌクレオチド値を複数のサブゲノム間隔のそれぞれにおいて割り当てることと、を含み、 それによって、前記腫瘍試料を分析し、 前記方法は、 a)第1のサブゲノム間隔を配列決定して約500倍以上の配列決定深度を提供し、それによって、前記試料由来の5%を超えない細胞に存在する変異を検出すること、 b)第2のサブゲノム間隔を配列決定して約200倍?約500倍の配列決定深度を提供し、それによって、前記試料由来の10%を超えない細胞中に存在する変異を検出すること、 c)第3のサブゲノム間隔を配列決定して約10?100倍の配列決定深度を提供すること(この場合において、前記サブゲノム間隔は、a)異なる薬物を代謝する患者の能力を見分ける薬理ゲノム(PGx)単一ヌクレオチド多型(SNP)、またはb)患者を一意に特定するゲノムSNPのうちの1つ以上から選択される)、 d)第4のサブゲノム間隔を配列決定して約5?50倍の配列決定深度を提供し、構造ブレークポイントを検出すること、あるいは e)第5のサブゲノム間隔を配列決定して約100?300倍の配列決定深度を提供し、コピー数の変化を検出する、例えば、ゲノムDNAのコピー数の獲得/喪失またはヘテロ接合性の消失(LOH)を評価するために使用されるゲノムSNP/遺伝子座を検出すること のうちの1つ、もしくは2、3、4、もしくは5つを含む、方法。」(請求項20) (甲13-2)「【請求項21】 腫瘍試料を分析する方法であって、 (a)複数の腫瘍メンバーを含むライブラリを腫瘍試料から取得することと、 (b)前記ライブラリをベイトセットと接触させて選択されたメンバーを提供し、それによって、ライブラリ捕獲物を提供することと、 (c)サブゲノム間隔についての読み取りを次世代配列決定方法を用いて前記ライブラリまたはライブラリ捕獲物からの腫瘍メンバーから取得することと、 (d)前記読み取りをアライメント方法を用いてアライメントすることと、 (e)前記事前選択されたヌクレオチド位置に対する前記読み取りからのヌクレオチド値を割り当てることと、を含み、 それによって、前記腫瘍試料を分析し、 前記方法は、前記ライブラリを少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つのベイトセットと接触させることを含み、前記複数のベイトセットはそれぞれ、(前記複数の他のベイトセットではなく)一意の事前選択されたその標的選択効率を有する、 方法。」(請求項21) (甲13-3)「【請求項24】 以下のうちの1つもしくは複数のベイトセットを前記ライブラリと接触させることを含む、請求項21に記載の方法: a)細胞のゲノムにおける前記試料由来のある変化を持つ前記細胞の約5%以下の頻度で出現する前記変化を有するサブゲノム間隔を含む、1つ以上の腫瘍メンバーから選択される高レベルの標的を選択する第1のベイトセット、 b)細胞のゲノムにおける前記試料由来のある変化を持つ前記細胞の約10%という、より高い頻度で出現する前記変化を有するサブゲノム間隔を含む、1つ以上の腫瘍メンバーから選択される中間レベルの標的を選択する第2のベイトセット、 c)a)異なる薬物を代謝する患者の能力を見分ける薬理ゲノム(PGx)単一ヌクレオチド多型(SNP)、b)患者を一意に特定するゲノムSNP、c)ゲノムDNAのコピー数の獲得/喪失およびヘテロ接合性の消失(LOH)を評価するために使用されるゲノムSNP/遺伝子座のうちの1つ以上から選択されるサブゲノム間隔を含む1つ以上のPGxメンバーから選択される低レベルの標的を選択する第3のベイトセット、 d)構造ブレークポイントを検出するイントロン配列を含むメンバーを選択する第4のベイトセット、または e)いくつかの末端エクソンの1コピー欠失を選択する第5のベイトセット。」(請求項24) (甲13-4)「【請求項38】 前記腫瘍試料は、FFPE試料である、請求項37に記載の方法。」(請求項38) (甲13-5)「【0004】 したがって、一態様において、本発明は、腫瘍試料を分析する方法を特色とする。方法は、 (a)複数の標的メンバー、例えば、腫瘍メンバーを含むライブラリを、試料、例えば、腫瘍試料から取得することと、 (b)任意で、ライブラリをベイトセット(または複数のベイトセット)と接触させて選択されたメンバーを提供することと(本明細書で「ライブラリ捕獲物」と称される場合もある)、 (c)サブゲノム間隔についての読み取りを、例えば、配列決定によって、例えば、次世代配列決定方法を用いて、該ライブラリまたはライブラリ捕獲物からの腫瘍メンバーから取得することと、 (d)該読み取りをアライメントすることと、 (e)事前選択されたヌクレオチド位置、例えば、複数のサブゲノム間隔のそれぞれ、例えば、複数の遺伝子のそれぞれにおいて事前選択されたヌクレオチド位置に対する該読み取りからのヌクレオチド値を割り当てる(例えば、ベイズ方法を用いて、例えば、変異を呼び出す)ことと、を含み、 それによって、該試料を分析し、 該分析において、 (i)X個のヌクレオチド位置がそれぞれ、ステップ(b)、(c)、(d)、もしくは(e)のうちの1つまたはそれらの組み合わせについて一意の組の条件下で分析される(一意とは、他のX-1個の組の条件とは異なることを意味し、Xは、少なくとも2、5、10、20、30、40、50、100、200、300、もしくは500である)。例えば、第1の組の条件、例えば、本明細書に記載の組の条件が、例えば、第1のサブゲノム間隔または遺伝子における第1のヌクレオチド位置のために使用され、第2の組の条件、例えば、本明細書に記載の第2の組の条件が、例えば、第2のサブゲノム間隔または遺伝子における第2のヌクレオチド位置のために使用される。 (ii)X個のヌクレオチド位置のそれぞれについて、ヌクレオチド位置で生じ得る事前選択された変化、例えば、変異の特性、例えば、本明細書に記載の特性に応答して、ヌクレオチド位置は、一意の組の条件下で分析され(一意とは、他のX-1個の組の条件とは異なることを意味し、Xは、少なくとも2、5、10、20、30、40、50、100、200、300、もしくは500である)。例えば、第1のサブゲノム間隔におけるヌクレオチド位置で生じ得る事前選択された変化、例えば、変異の特性、例えば、本明細書に記載の特性に応答して、ヌクレオチド位置は、第1の組の条件下で分析され、第2のサブゲノム間隔におけるヌクレオチド位置で生じ得る事前選択された変化、例えば、変異の特性、例えば、本明細書に記載の特性に応答して、ヌクレオチド位置は、第2の組の条件下で分析され、そこで(iii)該方法は、試料、例えば、保存された腫瘍試料上で、少なくとも2、5、10、20、50、もしくは100個のサブゲノム間隔、例えば、遺伝子におけるヌクレオチド位置に対して95、98、もしくは99%の感度または特異性を可能にする条件下で行われる。あるいは (iv)方法は、以下のうちの1つ以上もしくはすべてを含む: a)第1のサブゲノム間隔を配列決定して約500倍以上の配列決定深度を提供する、例えば、試料由来の5%を超えない細胞に存在する変異を配列決定すること、 b)第2のサブゲノム間隔を配列決定して約200倍以上、例えば、約200倍?約500倍の配列決定深度を提供する、例えば、試料由来の10%を超えない細胞に存在する変異を配列決定すること、 c)第3のサブゲノム間隔を配列決定して約10?100倍の配列決定深度を提供する、例えば、a)異なる薬物を代謝する患者の能力を説明し得る薬理ゲノム(PGx)単一ヌクレオチド多型(SNP)、またはb)患者を一意に特定する(例えば、フィンガープリントする)ために使用され得るゲノムSNPから選択される1つ以上のサブゲノム間隔(例えば、エクソン)を配列決定すること、 d)第4のサブゲノム間隔を配列決定して約5?50倍の配列決定深度を提供し、例えば、ゲノム転座またはインデル等の構造ブレークポイントを検出すること。例えば、イントロンブレークポイントの検出は、高い検出信頼性を確保するために、5?50倍の配列対スパン深度を必要とする。そのようなベイトセットを用いて、例えば、転座/インデルの傾向のある癌遺伝子を検出することができる、または e)第5のサブゲノム間隔を配列決定して約0.1?300倍の配列決定深度を提供し、例えば、コピー数の変化を検出すること。一実施形態において、コピー数の変化を検出するための配列決定深度は、約0.1?10倍の配列決定深度の範囲である。他の実施形態では、ゲノムDNAのコピー数獲得/喪失またはヘテロ接合性の消失(LOH)を評価するために使用されるゲノムSNP/遺伝子座を検出するための配列決定深度は、約100?300倍の範囲である。」(段落【0004】) (甲13-6)「【0136】 「ライブラリ捕獲物」は、ライブラリのサブセット、例えば、事前選択されたサブゲノム間隔に対して濃縮されたサブセット、例えば、事前選択されたベイトとのハイブリダイゼーションによって捕捉された産物を指す。」(段落【0136】) (甲13-7)「【0282】 ベイトが参照配列の標的選択に最適であるように、ベイトセットを参照配列から設計することができる。いくつかの実施形態では、ベイト配列は、混合塩基(例えば、縮重)を用いて設計される。例えば、混合塩基(複数を含む)を共通のSNPまたは変異の位置(複数を含む)でベイト配列に含み、ベイト配列を最適化して、両方の対立遺伝子(例えば、SNPおよび非SNP、変異体および非変異体)を捕獲することができる。いくつかの実施形態では、すべての既知の配列バリエーション(またはそのサブセット)を、混合縮重オリゴヌクレオチドを用いるのではなく、複数のオリゴヌクレオチドベイトで標的化することができる。」(段落【0282】) (甲13-8)「【0332】 さらに他の実施形態では、方法は、ライブラリ捕獲物を遺伝子型判定に供し、それによって、選択された核酸の遺伝子型を特定するステップをさらに含む。」(段落【0332】) (甲13-9)「【0333】 より具体的には、数千個のベイト配列の混合物が、核酸基のうちの相補的な核酸に効果的にハイブリダイズすることができ、そのようなハイブリダイズした核酸(核酸のサブグループ)を効果的に分離し、回収することができる。一実施形態において、本明細書に記載の方法は、約1,000個を超えるベイト配列、約2,000個を超えるベイト配列、約3,000個を超えるベイト配列、約4,000個を超えるベイト配列、約5,000個を超えるベイト配列、約6,000個を超えるベイト配列、約7,000個を超えるベイト配列、約8,000個を超えるベイト配列、約9,000個を超えるベイト配列、約10,000個を超えるベイト配列、約15,000個を超えるベイト配列、約20,000個を超えるベイト配列、約30,000個を超えるベイト配列、約40,000個を超えるベイト配列、または約50,000個を超えるベイト配列を含有する一組のベイト配列を使用する。」(段落【0333】) (甲13-10)「【0782】 別の実施形態では、重複読み取りは、同定も除去もされない。重複読み取りの非除去は、重複読み取りの画分が対照試料と試験試料との間で著しく異なるとき、腫瘍DNAにおけるコピー数異常の同定および対立遺伝子バランスの評価に特に有用であり得る。例えば、高い重複率を有する試料における高い対象範囲深度を有するゲノム領域は、低い重複率を有する試料における比較可能な深度を有する同一の領域よりも多くの読み取りを喪失し得るが、低対象範囲の領域は、この作用を起こす傾向が低いと思われる。したがって、重複読み取りの画分が対照試料と試験試料との間で著しく異なる場合、その2つの間の比較はよりノイズを有する場合があり、したがって、コピー数変化の呼び出しの感度および/または特異性を低下させる。」(段落【0782】) (甲13-11)「【0795】 ある実施形態において、方法は、該腫瘍試料に存在する腫瘍組織の量の値を取得すること、該取得された値を参照基準と比較すること、および該参照基準が満たされる場合、該腫瘍試料を受容すること、例えば、該腫瘍試料が30、40、または50%を超える腫瘍細胞を含有する場合、該腫瘍試料を受容することをさらに含む。」(段落【0795】) (甲13-12)「【0799】 ある実施形態において、方法は、例えば、一次対照を伴わない腫瘍試料中の該NAT由来の非腫瘍組織をマクロ解剖することによって、非腫瘍細胞のために濃縮されたサブ試料を取得することをさらに含む。」(段落【0799】) (甲13-13)「【0860】 本明細書に開示のベイズ手法のこれらの利点をさらに実証するために、1000人ゲノム計画のうちの10名の参加者由来のDNAを均等に混合することによって人工的な低純度の多クローン性「腫瘍」試料を構築し、それによって、(非公式のヘテロ接合体SNPから生じた)全DNAの約5%または10%に存在する多数の配列バリアントを含有するDNAプールを作成した。その混合物を182個の癌関連遺伝子のエクソンのハイブリッド選択に供し、llumina HiSeq2000プラットフォーム上で配列決定して、遺伝子パネルにわたって約350倍の平均対象範囲をもたらした。それぞれの成分試料も同様に個別に処理し、すべてのSNP部位における遺伝子型を決定した。プールに存在する約260個の約5%「変異」のうち、89%が1e-6先行を用いて高信頼度で検出された一方で、94%および95%が、それぞれ、1%および10%先行を用いて検出可能であり(見逃された部位の平均対象範囲約125倍)、上記の理論的結論を支援する。プールに存在する102個の10%「変異」のうち、98%が1e-6先行を用いて高信頼度で検出されたが、99%および99%が、1%および10%先行を用いて検出可能であった(見逃された部位の対象範囲13倍)。」(段落【0860】) 第6 当審の判断 1.取消理由通知に記載した取消理由について (1)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第1号証を主引用例とした) ア.本件発明1、13について 上記記載事項(甲1-1)?(甲1-9)から、甲第1号証には、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程;SNP遺伝子座について、ヌクレオチド交換率を決定する工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、12,734の遺伝子座を含む。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明1の「アレル不均衡の状態」は、遺伝子の変化の状態の一態様といえる(本件明細書【0019】)から、本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第1号証に記載された発明は、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化を検出するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、ヌクレオチド交換率を決定する工程を含む点。 (相違点2)本件発明1は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第1号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 本件明細書の段落【0012】には、「本明細書で用いられる通り、「アレル不均衡」は、ゲノムの遺伝子座または領域において体細胞のコピー数が生殖系列のコピー数と異なるあらゆる場合を意味する。いくつかの態様において、アレル不均衡はメジャーコピー割合(「MCP」)に換算して表される。」と記載されており、本件発明1における「アレル不均衡」とは、ゲノムの遺伝子座におけるコピー数の異常を意味しているものと認められるが、甲第1号証に記載されている「ヌクレオチド交換率」は、ヌクレオチドの置換などの変異(遺伝子変化)の割合を計算したものであり(上記記載事項(甲1-2)、(甲1-5)、(甲1-8)?(甲1-9))、また、各SNP遺伝子座について決定されているとは認められない。 また、甲第1号証には、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織試料中の遺伝子におけるコピー数についての記載がある(上記記載事項(甲1-2))が、該記載は、「FFPE組織試料におけるゲノムレベルのコピー数異常の位置の特定」に関する記載であって、FFPE組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものであるものの、SNP遺伝子座における遺伝子型を決定することによって特定されたものではない。 ゆえに、甲第1号証には、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが記載されているとはいえず、また、上記記載事項(甲1-2)、(甲1-5)、(甲1-8)?(甲1-9)は、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。また、上記記載事項(甲1-1)、(甲1-3)?(甲1-4)、(甲1-6)?(甲1-7)にも、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することを示唆する記載はない。 よって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが、甲第1号証に記載されているとはいえず、また、甲第1号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 甲第1号証には、12,734個のSNP遺伝子座が記載されており、1万個以上の多数のSNP遺伝子座の中には、「5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」SNP遺伝子座が含まれている蓋然性が高いといえるから、甲第1号証に記載されているSNP遺伝子座は、「ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」ものと認められるから、相違点2は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明13は、本件発明1と同様に、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明1と同様に、本件発明13も、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 イ.本件発明3?6、15?18について 本件発明3、5?6、15、17?18は、それぞれ本件発明1、13に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、13が、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明3、5?6、15、17?18も、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明4、16も、それぞれ本件発明1、13に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、13が、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明4、6も、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 ウ.本件発明7、19について 上記記載事項(甲1-1)?(甲1-9)から、甲第1号証には、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、12,734の遺伝子座を含む。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明7の「LOHの状態」は、遺伝子の変化の状態の一態様といえる(本件明細書【0019】)から、本件発明7と甲第1号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明7は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第1号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点2)本件発明7は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第1号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 甲第2号証に、異常なコピー数およびLOH領域を腫瘍細胞において同定することは、がん関連遺伝子の同定を補助し、がんの発症または増殖に関する手掛かりを提供する可能性があること(上記記載事項(甲2-1))、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定すること(上記記載事項(甲2-4))が記載されていたとしても、甲第1号証には、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングして、遺伝子変化を検出したところまでが記載されているだけで、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することの記載も示唆もないから、甲第2号証の記載が、甲第1号証に記載された発明において、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。 よって、甲第2号証の記載事項を参照しても、甲第1号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 上記ア.で述べたように、相違点2は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明7は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明19は、本件発明7と同様に、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明7と同様に、本件発明19も、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 エ.本件発明9?12、21?24について 本件発明9?12、21?24は、それぞれ本件発明7、19に更なる限定を加えた発明であるから、上記ウ.で述べたように、本件発明7、19が、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明9?12、21?24も、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 オ.まとめ したがって、本件発明1、3、5?6、13、15、17?18は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1、3?6、13、15?18は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできないし、また、本件発明7、9?12、19、21?24は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 (2)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第3号証を主引用例とした) ア.本件発明1、13について 上記記載事項(甲3-1)?(甲3-5)から、甲第3号証には、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における変異を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明1の「アレル不均衡の状態」は、遺伝子の変化の状態の一態様といえる(本件明細書【0019】)から、本件発明1と甲第3号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点2)多数のSNP遺伝子座が、本件発明1は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含むのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点3)本件発明1は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 上記記載事項(甲3-1)?(甲3-5)には、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの記載も示唆もなく、また、甲第7号証?甲第9号証に示されるように、シーケンシングエラーなどを除外するために、アレル頻度を計算することが行われていたとしても、DNAをシーケンシングしたら必ずアレル頻度を計算することが技術常識であったとは認められないから、甲第3号証に記載された発明において、シーケンシングエラーなどを除外するために、アレル頻度が当然に計算されているといえず、甲第3号証には、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが記載されているとはいえず、また、そのことが記載されているに等しい事項であるとも認められない。また、上記記載事項(甲3-1)?(甲3-5)は、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。 よって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが、甲第3号証に記載されているとはいえず、また、甲第3号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 甲第3号証には、176個の遺伝子を濃縮、シーケンシングしたことが記載されている(上記記載事項(甲3-1)、(甲3-2))が、甲第11号証には、28遺伝子をシーケンシングし、383個のSNP遺伝子座を検出したことが記載されており(上記記載事項(甲11-2)、(甲11-7)、(甲11-10))、また、SNPは、ゲノム内に300?1500塩基に1個程度存在することは技術常識である(平成30年10月1日付け意見書の甲第15号証参照)から、シーケンシングした遺伝子の数からすると、甲第3号証に記載された発明において、多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000のSNP遺伝子座を含むものと認められるので、相違点2は実質的な相違点ではない。 次に、相違点3について検討する。 甲第3号証には、METをシーケンシングしたことが記載されている(上記記載事項(甲3-4))が、そのSNP遺伝子座の座標の間隔からすると(甲第4号証の上記記載事項(甲4-2)参照)、「ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」ものと認められるから、相違点3は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明13は、本件発明1と同様に、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明1と同様に、本件発明13も、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 イ.本件発明4?6、16?18について 本件発明5、17は、それぞれ本件発明1、13に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、13が、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明5、17も、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1、13が、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明5、17も、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明4、6、16、18は、それぞれ本件発明1、13に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、13が、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明4、6、16、18も、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 ウ.本件発明7、19について 上記記載事項(甲3-1)?(甲3-5)から、甲第3号証には、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における変異を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明7の「LOHの状態」は、遺伝子の変化の状態の一態様といえる(本件明細書【0019】)から、本件発明7と甲第3号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明7は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点2)多数のSNP遺伝子座が、本件発明7は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含むのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点3)本件発明7は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第3号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 甲第2号証に、異常なコピー数およびLOH領域を腫瘍細胞において同定することは、がん関連遺伝子の同定を補助し、がんの発症または増殖に関する手掛かりを提供する可能性があること(上記記載事項(甲2-1))、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定すること(上記記載事項(甲2-4))が記載されていたとしても、甲第3号証には、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングして、変異を検出したところまでが記載されているだけで、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することの記載も示唆もないから、甲第2号証の記載が、甲第3号証に記載された発明において、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。 よって、甲第2号証の記載事項を参照しても、甲第3号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるLOHの状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 上記ア.で述べたように、相違点2は実質的な相違点ではない。 次に、相違点3について検討する。 上記ア.で述べたように、相違点3は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明7は、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明19は、本件発明7と同様に、各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定することが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明7と同様に、本件発明19も、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 エ.本件発明3、9?12、15、21?24について 本件発明3、9?12、15、21?24は、それぞれ本件発明1、7、13、19に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.及びウ.で述べたように、本件発明1、7、13、19が、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明3、9?12、15、21?24も、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 オ.まとめ したがって、本件発明1、5、13、17は、甲第3号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1、4?6、13、16?18は、甲第3号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできないし、また、本件発明3、7、9?12、15、19、21?24は、甲第3号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 (3)特許法第29条第1項第3号及び第29条第2項(甲第11号証を主引用例とした) ア.本件発明1、7、13、19について 上記記載事項(甲11-1)?(甲11-11)から、甲第11号証には、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における変異を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明1の「アレル不均衡の状態」は、遺伝子の変化の状態の一態様といえる(本件明細書【0019】)から、本件発明1と甲第11号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座における遺伝子変化の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)本件発明1は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第11号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点2)多数のSNP遺伝子座が、本件発明1は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含むのに対し、甲第11号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 (相違点3)本件発明1は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第11号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 甲第11号証には、SNPの遺伝子型を決定し、アレル頻度を計算したことが記載されている(上記記載事項(甲11-4)、(甲11-9))が、該記載は、NA18506、NA18507、NA18508のDNA試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものであって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものではないので、甲第11号証には、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが記載されているとはいえず、また、上記記載事項(甲11-4)、(甲11-9)は、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。また、上記記載事項(甲11-1)?(甲11-3)、(甲11-5)?(甲11-8)、(甲11-10)?(甲11-11)にも、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することを示唆する記載はない。 よって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが、甲第11号証に記載されているとはいえず、また、甲第11号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 甲第11号証には、383個のSNP遺伝子座を濃縮、シーケンシングしたことが記載されている(上記記載事項(甲11-2)、(甲11-10))が、該記載は、NA18508のDNA試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものであって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものではないものの、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAは、NA18508のDNA試料と同じ28遺伝子を解析している(上記記載事項(甲11-2)、(甲11-7))ので、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAについても、同程度の個数のSNP遺伝子座が含まれているものと認められる。しかしながら、甲第11号証には、28遺伝子を解析することが記載されているだけで、それ以外の遺伝子を解析することは記載されておらず、また、「我々は本書で、セレクター技法に基づく、標的領域のマルチプレックス増幅のための簡単で拡張可能なプロトコルを提示する。」と記載されている(上記記載事項(甲11-1))ものの、該記載が、383個のSNP遺伝子座よりも多くの、少なくとも1,000のSNP遺伝子座を解析することの動機付けになるものとはいえない。また、上記記載事項(甲11-2)?(甲11-11)にも、少なくとも1,000のSNP遺伝子座を解析することを示唆する記載はない。 よって、多数のSNP遺伝子座が、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含むことが、甲第11号証に記載されているとはいえず、また、甲第11号証に記載された発明において、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を解析することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点3について検討する。 甲第11号証の表5には、SNP遺伝子座の座標が記載されている(上記記載事項(甲11-11))が、該記載は、HCC1143、HCC1599のDNA試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものであって、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づくものではないものの、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAは、HCC1143、HCC1599のDNA試料と同じ28遺伝子を解析している(上記記載事項(甲11-2)、(甲11-7))ので、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAについても、同じSNP遺伝子座の座標を有するものも含まれているものと認められる。そして、甲第11号証の表5に記載されているSNP遺伝子座の座標の間隔からすると、「ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」ものと認められるから、相違点3は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明1は、甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、本件発明1は、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明7、13、19は、本件発明1と同様に、多数のSNP遺伝子座が、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含むことが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明1と同様に、本件発明7、13、19も、甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 イ.本件発明3?6、9?12、15?18、21?24について 本件発明3、5?6、9、11?12、15、17?18、21、23?24は、それぞれ本件発明1、7、13、19に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、7、13、19が、甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明3、5?6、9、11?12、15、17?18、21、23?24も、甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明4、10、16、22は、それぞれ本件発明1、7、13、19に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、7、13、19が、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない以上、本件発明4、10、16、22も、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 ウ.まとめ したがって、本件発明1、3、5?7、9、11?13、15、17?19、21、23?24は、甲第11号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、ということはできず、また、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできないし、また、本件発明4、10、16、22は、甲第11号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 (4)特許法第29条第2項(甲第9号証を主引用例とした) ア.本件発明1、7、13、19について 上記記載事項(甲9-1)?(甲9-8)から、甲第9号証には、「乳がん細胞系の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル頻度を決定するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程;各SNP遺伝子座について、アレル頻度を決定する工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、13,102の遺伝子座を含む。」の発明が記載されていると認められる。 本件発明1と甲第9号証に記載された発明とを対比すると、両者は、「試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレルの状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法:それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程;このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程;各SNP遺伝子座について、アレルの状態を決定する工程、ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含む。」に係る発明である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)試料として、本件発明1は、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料を使用するのに対し、甲第9号証に記載された発明は、乳がん細胞系を使用する点。 (相違点2)本件発明1は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程を含むのに対し、甲第9号証に記載された発明は、多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル頻度を決定するインビトロ方法であって、各SNP遺伝子座について、アレル頻度を決定する工程を含む点。 (相違点3)本件発明1は、ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置しているのに対し、甲第9号証に記載された発明は、そのような特定がされていない点。 相違点1について検討する。 上記記載事項(甲9-1)?(甲9-8)には、試料として、乳がん細胞系の代わりに、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料を使用することを示唆する記載はない。 甲第1号証には、FFPE組織試料におけるゲノムレベルのコピー数異常の位置の特定と、置換ならびに点欠失および/または挿入などの遺伝子変化の検出を同時に行うため、合成シーケンシング技法を用いて正常および腫瘍乳房組織を分析したこと(上記記載事項(甲1-2))が、甲第2号証には、メジャーコピ一割合が0.5?1の間の値である場合にアレル不均衡を持つこと(上記記載事項(甲2-2))が、甲第3号証には、ハイブリッド捕捉およびシーケンシングを含む方法により、がん遺伝子等の配列を、FFPEがん生検試料から分析したこと(上記記載事項(甲3-1)?(甲3-2))が、甲第11号証には、エクソンの濃縮およびシーケンシングを含む方法により、FFPE生検試料からのDNAを分析したこと(上記記載事項(甲11-2))が、甲第12号証には、ハイブリッド捕捉濃縮およびNGSにより、FFPE組織から抽出したDNAを分析したこと(上記記載事項(甲12-1))が、それぞれ記載されているが、これらの記載が、FFPE組織試料を使用することの記載も示唆も全くない甲第9号証に記載された発明において、試料として、乳がん細胞系に代えて、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料を使用することの動機付けになるものとはいえない。 よって、甲第1、2、3、11及び12号証の記載事項及び周知事項を参照しても、甲第9号証に記載された発明において、試料として、乳がん細胞系に代えて、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料を使用することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点2について検討する。 本件明細書の段落【0012】には、「本明細書で用いられる通り、「アレル不均衡」は、ゲノムの遺伝子座または領域において体細胞のコピー数が生殖系列のコピー数と異なるあらゆる場合を意味する。いくつかの態様において、アレル不均衡はメジャーコピー割合(「MCP」)に換算して表される。」と記載されており、本件発明1における「アレル不均衡」とは、ゲノムの遺伝子座におけるコピー数の異常を意味しているものと認められるが、上記記載事項(甲9-1)?(甲9-8)には、試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することが記載されているとはいえない。 甲第1号証には、FFPE組織試料におけるゲノムレベルのコピー数異常の位置の特定と、置換ならびに点欠失および/または挿入などの遺伝子変化の検出を同時に行うため、合成シーケンシング技法を用いて正常および腫瘍乳房組織を分析したこと(上記記載事項(甲1-2))が、甲第2号証には、メジャーコピ一割合が0.5?1の間の値である場合にアレル不均衡を持つこと(上記記載事項(甲2-2))が、甲第3号証には、ハイブリッド捕捉およびシーケンシングを含む方法により、がん遺伝子等の配列を、FFPEがん生検試料から分析したこと(上記記載事項(甲3-1)?(甲3-2))が、甲第11号証には、エクソンの濃縮およびシーケンシングを含む方法により、FFPE生検試料からのDNAを分析したこと(上記記載事項(甲11-2))が、甲第12号証には、ハイブリッド捕捉濃縮およびNGSにより、FFPE組織から抽出したDNAを分析したこと(上記記載事項(甲12-1))が、それぞれ記載されているが、これらの記載が、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの記載も示唆も全くない甲第9号証に記載された発明において、試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することの動機付けになるものとはいえない。 よって、甲第1、2、3、11及び12号証の記載事項を参照しても、甲第9号証に記載された発明において、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料のDNAをシーケンシングした結果に基づき、各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定することにより、多数のSNP遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出することは、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。 次に、相違点3について検討する。 上記記載事項(甲9-4)中の「追加ファイル1の表S1」に記載されている各SNP遺伝子座の間隔からすると(平成30年10月1日付け意見書の甲第21号証参照)、「ゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」ものと認められるから、相違点3は実質的な相違点ではない。 したがって、本件発明1は、甲第9号証に記載された発明、甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 また、本件発明7、13、19は、本件発明1と同様に、患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料を使用することが発明特定事項に含まれる発明であるから、本件発明1と同様に、本件発明7、13、19も、甲第9号証に記載された発明、甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ.本件発明3?6、9?12、15?18、21?24について 本件発明3?6、9?12、15?18、21?24は、それぞれ本件発明1、7、13、19に更なる限定を加えた発明であるから、上記ア.で述べたように、本件発明1、7、13、19が、甲第9号証に記載された発明、甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明3?6、9?12、15?18、21?24も、甲第9号証に記載された発明、甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ.まとめ したがって、本件発明1、3?7、9?13、15?19、21?24は、甲第9号証に記載された発明、甲第1、2、3、11及び12号証に記載された事項及び周知事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、ということはできない。 (5)特許法第29条の2 甲第13号証には、「プールに存在する約260個の約5%「変異」」と記載されている(上記記載事項(甲13-13))が、甲第13号証には、「多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含」むことを記載も示唆もしていない。 したがって、本件発明1、5?7、11?13、19、23?24は、甲第13号証に記載されたものであるから、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない、ということはできない。 (6)特許法第36条第6項第2号 本件訂正請求により、請求項4、10、16、22は、「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである」に訂正され、分母を距離_(AB)にする記載にしたので、本件発明4、10、16、22は、明確に記載されているといえる。 また、本件訂正請求により、請求項18は、「請求項15または16記載のシステム。」から「請求項17記載のシステム。」に訂正され、「腫瘍試料」という記載がある請求項17を引用するように訂正されたので、本件発明18は、明確に記載されているといえる。 したがって、本件発明4、10、16、22及び本件発明18は、明確に記載されているといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 (7)特許法第36条第6項第2号 本件訂正請求により、請求項1、7、13、19は、「約」という表現を削除しているので、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえ、また、複数の数値が択一的に記載されているからといって、それだけで請求項の記載が不明確になるとはいえない。 したがって、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第36条第4項第1号 請求項13に「該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム」、「各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定するためのコンピュータプログラム」と記載されているように、コンピュータプログラムが、どのような目的を達成するためのものであるのか明確に記載されており、また、本件明細書の段落【0021】?【0052】には、そのようなコンピュータプログラムをコンピュータ上でどのように実行するのか当業者が容易に理解することができる程度に記載されているといえるので、本件発明13及び15?18について、発明の詳細な説明が当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 したがって、本件発明の詳細な説明は、当業者が本件発明13及び15?18の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているといえるから、本件発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 (2)特許法第36条第6項第1号 請求項13に「該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム」、「各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定するためのコンピュータプログラム」と記載されているように、コンピュータプログラムが、どのような目的を達成するためのものであるのか明確に記載されており、また、本件明細書の段落【0021】?【0052】には、そのようなコンピュータプログラムをコンピュータ上でどのように実行するのか当業者が容易に理解することができる程度に記載されているといえるので、本件発明13及び15?18は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 したがって、本件発明13及び15?18は、発明の詳細な説明に記載されたものといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 (3)特許法第36条第6項第2号 ア.請求項1、7、13、19の「多数のSNP遺伝子座」という記載について 訂正後の請求項1、7、13、19は、「多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、」と記載されており、「多数のSNP遺伝子座」が、どの程度の数を含むものであるのか特定して記載されているので、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえる。 したがって、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 イ.請求項1、4、6、7、10、12、13、16、18、19、22、24の上限値または下限値について 訂正後の請求項1、7、13、19は、「該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している」と記載され、訂正後の請求項4、10、16、22は、「前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している」と記載され、訂正後の請求項6、12、18、24は、「前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する」と記載されており、複数の上限値または下限値が択一的に記載されているが、複数の選択肢が択一的に記載されているという理由だけでは不明確とはいえないから、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえる。 したがって、本件発明1、7、13、19は、明確に記載されているといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 3.特許異議申立人が平成30年10月1日付け意見書で示した記載不備の理由について (1)特許異議申立人は、特許権者は「本件特許発明の課題は、・・・・・・FFPE試料において、ゲノムワイド(genome-wide)という大規模で、アレル不均衡の状態、ヘテロ-接合性の消失(LOH)、コピー数を高品質で決定する方法(アッセイ技術)等を提供すること」と述べているが、3つの遺伝子座以外の任意のSNP遺伝子座の位置関係が特定されていないから、上記課題を解決できないので、サポート要件を満たさない旨主張しているが、3つの遺伝子座以外の任意のSNP遺伝子座の位置関係が特定されていないからといって、本件特許発明の課題を解決することができないとはいえないから、本件発明1、3?7、9?13、15?19、21?24は、発明の詳細な説明に記載されたものといえる。 したがって、本件発明1、3?7、9?13、15?19、21?24は、発明の詳細な説明に記載されたものといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 (2)特許異議申立人は、訂正後の請求項4、10、16、22の「該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである」という記載において、A、B、C、Dの位置の取り方によって結果が変わるから、不明瞭である旨主張しているが、訂正後の請求項4、10、16、22は、「前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、・・・・・・ここで、該ゲノムスペーシングは、式:100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである」と記載されており、「ゲノムスペーシング」は、「50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しい」ものとして特定されているから、それ以外の範囲のものは含まれないと解することができ、A、B、C、Dの位置の取り方によって、それ以外の範囲のものが含まれるようになると解することはできないので、本件発明4、10、16、22は、明確に記載されているといえる。 したがって、本件発明4、10、16、22は、明確に記載されているといえるから、本件特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない、とすることはできない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立の理由によっては、本件発明1、3?7、9?13、15?19、21?24に係る特許を取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1、3?7、9?13、15?19、21?24に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2、8、14、20に係る特許は、上記第2のとおり、訂正により削除されたので、請求項2、8、14、20に係る申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項2】 (削除) 【請求項3】 SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にアレル不均衡を持つと決定される、請求項1記載の方法。 【請求項4】 前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項1または3記載の方法: ここで、該ゲノムスペーシングは、式: 100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項5】 前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項1、3または4記載の方法。 【請求項6】 前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項5記載の方法。 【請求項7】 患者からのホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を検出するインビトロ方法であって、以下の工程を含む方法: それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮する工程; このような各SNP遺伝子座における遺伝子型を決定するために該DNA分子をシーケンシングする工程; 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定する工程、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多くの遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項8】 (削除) 【請求項9】 SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にLOHに起因するホモ接合性を持つと決定される、請求項7記載の方法。 【請求項10】 前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項7または9記載の方法: ここで、該ゲノムスペーシングは、式: 100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項11】 前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項7、9または10記載の方法。 【請求項12】 前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項11記載の方法。 【請求項13】 ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるアレル不均衡の状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各SNP遺伝子座について、それがアレル不均衡を持つかどうかを決定するためのコンピュータプログラム、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多い遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項14】 (削除) 【請求項15】 SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にアレル不均衡を持つと決定される、請求項13記載のシステム。 【請求項16】 前記多数のSNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項13または15記載のシステム: ここで、該ゲノムスペーシングは、式: 100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項17】 前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項16記載のシステム。 【請求項18】 前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項17記載のシステム。 【請求項19】 ホルマリン固定パラフィン包埋組織試料中の多数の一塩基多型(SNP)遺伝子座におけるLOHの状態を決定するためのシステムであって、以下を含むシステム: (1)それぞれが関心対象のSNP遺伝子座を含むDNA分子についてゲノムDNA試料を濃縮するための、および(2)このような各SNP遺伝子座に関する多数の定量的シグナルを産生するために該DNA分子をシーケンシングするための試料分析装置; 該試料中のこのような各SNP遺伝子座の遺伝子型を決定するために該多数の定量的シグナルを解析するためのコンピュータプログラム;ならびに 各ホモ接合性SNP遺伝子座について、それがLOHに起因するホモ接合性であるかどうかを決定するためのコンピュータ、 ここで、該多数のSNP遺伝子座は、少なくとも1,000、10,000、50,000、55,000、75,000、100,000、150,000、200,000、300,000、400,000、500,000、750,000、1,000,000もしくは2,000,000またはそれよりも多い遺伝子座を含み、且つゲノム中に、少なくとも一つのSNP遺伝子座が、5kb、10kb、25kb、50kb、75kb、100kb、150kb、200kb、300kb、400kb、500kbまたはそれよりも多い間隔毎に位置している。 【請求項20】 (削除) 【請求項21】 SNP遺伝子座が、該遺伝子座におけるメジャーコピー割合が0.51またはそれよりも大きい場合にLOHに起因するホモ接合性を持つと決定される、請求項19記載のシステム。 【請求項22】 前記SNP遺伝子座が、ゲノム中に、50%、40%、30%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、もしくは1%よりも小さいかまたは等しいゲノムスペーシングで位置している、請求項19または21記載のシステム: ここで、該ゲノムスペーシングは、式: 100^(*)(距離_(AB)-距離_(CD))/距離_(AB)で示される、任意の2つのSNP遺伝子座AおよびBの間の距離_(AB)と任意のその他の2つのSNP遺伝子座CおよびDの間の距離_(CD)の差のパーセントである。 【請求項23】 前記試料が患者から摘出された腫瘍試料である、請求項19、21または22記載のシステム。 【請求項24】 前記腫瘍試料が少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれよりも多い非腫瘍細胞の混入を含有する、請求項23記載のシステム。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2019-06-27 |
出願番号 | 特願2014-516031(P2014-516031) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YAA
(C12Q)
P 1 651・ 536- YAA (C12Q) P 1 651・ 113- YAA (C12Q) P 1 651・ 537- YAA (C12Q) P 1 651・ 161- YAA (C12Q) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 西 賢二、飯室 里美 |
特許庁審判長 |
中島 庸子 |
特許庁審判官 |
高堀 栄二 澤田 浩平 |
登録日 | 2017-03-31 |
登録番号 | 特許第6117194号(P6117194) |
権利者 | ミリアド・ジェネティックス・インコーポレイテッド |
発明の名称 | アレル不均衡を評価するための方法および材料 |
代理人 | 山口 裕孝 |
代理人 | 清水 初志 |
代理人 | 川本 和弥 |
代理人 | 小寺 秀紀 |
代理人 | 山口 裕孝 |
代理人 | 小林 智彦 |
代理人 | 刑部 俊 |
代理人 | 小寺 秀紀 |
代理人 | 井上 隆一 |
代理人 | 井上 隆一 |
代理人 | 大関 雅人 |
代理人 | 佐藤 利光 |
代理人 | 五十嵐 義弘 |
代理人 | 春名 雅夫 |
代理人 | 大関 雅人 |
代理人 | 春名 雅夫 |
代理人 | 清水 初志 |
代理人 | 佐藤 利光 |
代理人 | 新見 浩一 |
代理人 | 新見 浩一 |
代理人 | 刑部 俊 |
代理人 | 五十嵐 義弘 |
代理人 | 川本 和弥 |
代理人 | 小林 智彦 |