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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
管理番号 1354962
異議申立番号 異議2018-700190  
総通号数 238 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-10-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-02 
確定日 2019-09-13 
異議申立件数
事件の表示 特許第6194138号発明「窒化物半導体紫外線発光素子」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6194138号の請求項1ないし10に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6194138号の請求項1?10に係る特許についての出願は、平成27年7月21日を国際出願日とする出願であって、平成29年8月18日付けでその特許権の設定登録がされ、平成29年9月6日に特許掲載公報が発行された。その後、平成30年3月2日付けで特許異議申立人小松一枝、前田知子(以下「申立人」という。)より請求項1?10に対して特許異議の申立てがされ、平成30年6月7日付けで取消理由(発送日平成30年6月12日)が通知され、平成30年8月6日に特許権者より意見書が提出され、平成30年10月17日付けで特許権者に審尋(発送日平成30年10月22日)が通知され、平成30年12月10日に特許権者より回答書が提出され、平成31年1月24日付けで取消理由(決定の予告)(発送日平成31年1月29日)が通知され、平成31年3月28日に特許権者より意見書が提出され、平成31年4月9日付けで申立人に審尋(発送日平成31年4月11日)が通知され、令和元年6月10日に申立人より回答書が提出されたものである。

第2 特許異議の申立てについて
1 請求項1?10に係る発明
請求項1?10に係る発明(以下、「本件発明1」等、あるいはまとめて「本件発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?10に記載された、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
(0001)面に対して傾斜することで多段状のテラスが形成された表面を有するサファイアから成る基板と、前記基板の表面上に形成されるAlN層と、を含む下地部と、
前記下地部の表面上に形成される、AlGaN系半導体層を有する活性層を含む発光部と、を備え、
少なくとも、前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層が、多段状のテラスが形成された表面を有するエピタキシャル成長層であり、
前記活性層が、Al_(X)Ga_(1-X)N(0<X<1)で構成される井戸層を少なくとも1つ含む量子井戸構造を有し、
前記活性層の表面において、25μm四方の領域における平均粗さが、前記井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になることを特徴とする窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項2】
前記発光部に含まれる前記活性層の表面において、25μm四方の領域における平均粗さが、3nm以上になることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項3】
前記発光部に含まれる前記活性層の表面において、25μm四方の領域における平均粗さが、6nm以下になることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項4】
前記発光部に含まれる、前記活性層の直前に形成される層の表面において、25μm四方の領域における平均粗さが、前記井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になることを特徴とする請求項1?3のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項5】
前記活性層と前記発光部に含まれる前記活性層の直前に形成される層とのそれぞれの表面における25μm四方の領域における平均粗さの差分の絶対値を、前記活性層の表面における25μm四方の領域における平均粗さで除した割合が、10%以下であることを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項6】
前記下地部に含まれる前記AlN層の表面において、上面視で、前記基板の傾斜方向におけるテラスの平均的な幅が、0.3μm以上かつ1μm以下であることを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項7】
前記下地部に含まれる前記AlN層の表面において、テラスが形成する段差の平均的な高さが、8nm以上かつ14nm以下であることを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項8】
前記発光部に含まれる前記活性層の表面において、25μm四方の領域における高さの度数分布が、高さが0から増大するにつれて、下に凸の曲線から上に凸の曲線に変曲しつつ単調増加して極大値をとった後、上に凸の曲線から下に凸の曲線に変曲しつつ単調減少する曲線状になることを特徴とする請求項1?7のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項9】
ピーク発光波長が、230nm以上かつ340nm以下であることを特徴とする請求項1?8のいずれか1項に記載の窒化物半導体紫外線発光素子。
【請求項10】
(0001)面に対して傾斜することで多段状のテラスが形成された表面を有するサファイアから成る基板と、前記基板の表面上に形成されるAlN層と、を含む下地部を形成する工程と、
前記下地部の表面上に形成される、AlGaN系半導体層を有する活性層を含む発光部を形成する工程と、を備え、
Al_(X)Ga_(1-X)N(0<X<1)で構成される井戸層を少なくとも1つ含む量子井戸構造を有する前記活性層の表面における、25μm四方の領域における平均粗さが、前記井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になる条件で、少なくとも、前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層を、多段状のテラスの側面が成長することで二次元成長するステップフロー成長によって形成することを特徴とする窒化物半導体紫外線発光素子の製造方法。」

2 取消理由の概要
請求項1?10に係る特許に対して平成30年6月7日付け、及び平成31年1月24日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。

(1)請求項1?10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(2)請求項1?10に係る特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
(3)請求項1?10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

3 本件明細書の記載
本件明細書には、以下の記載がある。(下線は当審で付与。以下同じ。)

(1)「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許文献1?4で提案されている方法は、いずれも基板または基板表面に形成されるバッファ層を最適化することによって、その上方に形成される窒化物半導体層の結晶性の改善を図るものである。
【0007】
確かに、結晶成長の開始地点である基板やバッファ層を最適化すれば、その上方の窒化物半導体層の結晶性の改善を見込むことができる。しかしながら、このような方法で改善を見込むことができるのは、クラックや貫通転位などの下地から上方の各層に伝搬されるような、素子全体に生じる欠陥のみである。そのため、これらの方法を採用したところで、発光が生じる活性層が必ずしも最適化されるとは限らない。したがって、上記の特許文献1?4で提案される方法を採用することで得られる窒化物半導体紫外線発光素子では、必ずしも光出力が改善されるとは限らないため、問題となる。
【0008】
そこで、本発明は、光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を提供することを目的とする。」

(2)「【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、(0001)面に対して傾斜することで多段状のテラスが形成された表面を有するサファイアから成る基板と、前記基板の表面上に形成されるAlN層と、を含む下地部と、前記下地部の表面上に形成される、AlGaN系半導体層を有する活性層を含む発光部と、を備え、少なくとも、前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層が、多段状のテラスの側面が成長することで二次元成長するステップフロー成長によって形成されており、前記活性層が、Al_(X)Ga_(1-X)N(0<X<1)で構成される井戸層を少なくとも1つ含む量子井戸構造を有し、前記活性層の表面において、25μm四方の領域における平均粗さが、前記井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になることを特徴とする窒化物半導体紫外線発光素子を提供する。
【0010】
この窒化物半導体紫外線発光素子によれば、活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になるようなステップフロー成長によって、活性層(特に、井戸層)においてGaの偏析を生じさせることで、活性層の光出力を増大させることができる。
【0011】?【0022】
・・・(略)・・・
【発明の効果】
【0023】
上記特徴の窒化物半導体紫外線発光素子によれば、活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下になるようなステップフロー成長によって、活性層(特に、井戸層)においてGaの偏析を生じさせることで、活性層の光出力を増大させることができる。したがって、光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を得ることが可能になる。」

(3)「【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発光素子1は、下地部10と、当該下地部10の表面(図1中の上側の面。なお、図1中の下側の面は「裏面」と称する。以下同じ。)に形成される発光部20と、発光素子1(特に、発光部20)に電力を供給するためのp電極30及びn電極40と、を備える。下地部10は、発光部20を形成するための土台に相当する部分である。発光部20は、発光に必要な各種の層によって構成される部分である。
【0028】
下地部10は、サファイアから成る基板11と、当該基板11の表面上に形成されたAlNで構成されるAlN層12と、を備える。このAlN層12は、約1150?1300℃となる高い温度で、基板11の表面に対してAlNをエピタキシャル成長させたものである。なお、図1に示す発光素子1では、下地部10が、基板11上にAlN層12のみを備えているかのように図示しているが、必要に応じてAlN層12以外の層を備えてもよい。例えば、AlN層12の上(発光部20の下)に、AlGaNまたはn型AlGaNで構成されるAlGaN層などを追加してもよい。
【0029】
発光部20は、下地部10側から順番に、n型AlGaNで構成されるn型クラッド層21と、活性層22と、p型AlGaNで構成されるp型クラッド層23と、p型GaNで構成されるp型コンタクト層24と、を備える。n型クラッド層21の上側に形成される活性層22、p型クラッド層23及びp型コンタクト層24は、それぞれの一部が反応性イオンエッチング等により除去されることで、n型クラッド層21の一部の表面が露出している。したがって、n型クラッド層21上の一部の領域(第1領域R1)の上側に、活性層22からp型コンタクト層24までが形成されていることになる。
【0030】
p電極30は、例えばNi/Auで構成され、p型コンタクト層24の表面に形成される。n電極40は、例えばTi/Al/Ti/Auで構成され、n型クラッド層21の第1領域R1以外の領域(第2領域R2)の表面の一部に形成される。
【0031】
発光素子1では、基板11として、表面がサファイアの(0001)面に対して微小な角度だけ傾斜したオフ基板を用いる。ここで、オフ基板の表面の状態について、図面を参照して説明する。図2は、原子レベルまで拡大したオフ基板の表面の状態を模式的に示した斜視図である。なお、図2では、説明の理解を容易にするために、要部を強調して発明内容を模式的に示しているため、各部の寸法比は必ずしも実際の素子と同じ寸法比とはなっていない。
【0032】
図2に示すように、オフ基板である基板11の表面には多段状のテラスTが形成される。これは、サファイアのバルク単結晶を、(0001)面に対して微小に傾斜した角度(即ち、オフ角θ)で切り出した場合、切り出し方向に沿って(0001)面が表出するからである。なお、オフ角θの大きさや、オフ角を設ける方向(具体的には、(0001)面を傾ける方向であり、例えばm軸方向やa軸方向など)は、基板11上の各層において所望の成長が実現される限りにおいて、任意に決定してもよい。
【0033】
活性層22は、Al_(X)Ga_(1-X)N(0<X<1)で構成される井戸層22aを少なくとも1つ含む量子井戸構造を備えている。井戸層22aの膜厚は、量子サイズ効果(量子閉じ込め効果)が発現する大きさであり、例えば10nm以下である。また、典型的な量子井戸構造では、井戸層22aが、当該井戸層22aよりもバンドギャップが大きいバリア層22bによって挟持される。例えば、井戸層22aがAlGaNで構成される場合、バリア層22bは、井戸層22aよりもAlNモル分率が大きいAlGaNやn型AlGaNで構成される。なお、活性層22が備える量子井戸構造は、1つの量子井戸構造のみで構成される単一量子井戸構造であってもよいし、複数の量子井戸構造を重ねた多重量子井戸構造であってもよい。また、例えば、井戸層22aの膜厚は2nm以上3nm以下であり、バリア層22bの膜厚は6nm以上8nm以下である。
【0034】
さらに、活性層22は、p型クラッド層23と接触する界面(最表面)において、AlNモル分率が井戸層22a及びバリア層22bよりも大きいp型AlGaNで構成される電子ブロック層22cを備える。電子ブロック層22cは、活性層22に注入された電子がp型クラッド層23に入り込むことを抑制する層である。例えば、電子ブロック層22cの膜厚は15nm以上30nm以下であり、典型的には20nmである。
【0035】
活性層22において、バリア層22b及び電子ブロック層22cは必須の構成ではない。ただし、バリア層22b及び電子ブロック層22cを設けることで、井戸層22a内に多数の電子及び正孔を閉じ込めて、電子及び正孔を効率良く再結合させる(即ち、発光させる)ことが可能になるため、好ましい。
【0036】
上述した各層を構成するAlGaNは、有機金属化合物気相成長(MOVPE)法、あるいは、分子線エピタキシ(MBE)法等の周知のエピタキシャル成長法により形成されている。また、上述した各層において、n型の層は、ドナー不純物として、例えばSiが添加されている。また、上述した各層において、p型の層は、アクセプタ不純物として、例えばMgが添加されている。なお、上述した各層において、導電型を明記していないAlN及びAlGaNで構成される層は、不純物が添加されていないアンドープ層である。また、上述した各層を構成するAlGaN、AlN及びGaNは、性質が大きく変動しない限り、その一部または全部に他の元素を含んでいてもよい(例えば、AlGaNが微量のInを含んでいてもよいし、AlNが微量のGaを含んでいてもよい)。
【0037】
n型クラッド層21、バリア層22b及びp型クラッド層23におけるAlNモル分率は、例えば30%以上80%以下(より好ましくは50%以上80%以下、さらに好ましくは55%以上80%以下)であり、井戸層22aのAlNモル分率は、例えば5%以上80%以下(より好ましくは、5%以上60%以下)である。ただし、井戸層22aのAlNモル分率は、n型クラッド層21、バリア層22b及びp型クラッド層23におけるAlNモル分率よりも小さくなっている(反対に、井戸層22aのGaNモル分率は、これらの層よりも大きくなっている)。なお、下地部10にAlGaN層を追加する場合、当該AlGaN層におけるAlNモル分率は、n型クラッド層21、バリア層22b及びp型クラッド層23と同様の範囲内の大きさにすればよい。
【0038】
例えば、発光素子1のピーク発光波長は、230nm以上350nm以下である。また、例えば、発光素子1は、活性層22からの発光が基板11側から取り出される裏面出射型の発光素子である。なお、下地部10にAlGaN層を追加する場合、当該AlGaN層におけるAlNモル分率は、井戸層22aのAlNモル分率よりも大きくなるように設定される。この場合、当該AlGaN層のAlNモル分率は、n型クラッド層21のAlNモル分率と同じになるように設定してもよいし、n型クラッド層21のAlNモル分率よりも大きくなるように設定してもよい。
【0039】
発光部20における活性層22を除いた各層を構成する各AlGaNの膜厚は、例えば、n型クラッド層21が2000nm以上4000nm以下、p型クラッド層23が500nm以上600nm以下、p型コンタクト層24が100nm以上300nm以下である。また、下地部10は、例えば、AlN層12の膜厚は1500nm以上4000nm以下である。また、下地部10にAlGaN層を追加する場合、当該AlGaN層の膜厚は、例えば200nm以上300nm以下である。
【0040】
次に、p電極30及びn電極40について、図面を参照して説明する。図3は、p電極及びn電極側から見た発光素子を模式的に示した平面図である。
【0041】
図3に示すように、p電極30は第1領域R1のほぼ全面に、n電極40は第2領域R2のほぼ全面に、それぞれ形成される。また、発光素子1のチップサイズは縦横それぞれ800μmであり、p電極30が形成される第1領域R1の面積は約168000μm2である。
【0042】
p電極30及びn電極40のそれぞれは、例えば、電極の反転パターン(電極の形成位置以外の表面を覆うパターン)となるフォトレジストを形成した後に、電子ビーム蒸着法等により電極を構成する多層金属膜を蒸着し、当該フォトレジスト及び当該フォトレジスト上の多層金属膜をリフトオフにより除去することで形成される。なお、p電極30及びn電極40の一方または両方の形成後に、RTA(瞬間熱アニール)等により必要に応じて熱処理を行ってもよい。」

(4)「【0043】
<光出力が良好な活性層を得るための条件>
[活性層の表面粗さ]
半導体発光素子の分野における通常の知識に従えば、光出力が良好な活性層22を得るためには、活性層22の結晶成長時において、発光の妨げとなる転位やクラックなどの欠陥の導入を抑制した成長、即ち、成長表面の平坦性を維持した二次元成長(一層ずつ丁寧に積層する成長)を行うべきである。特に、厚さが数nm程度という極めて薄い井戸層22aを、欠陥の導入を抑制しながら均一に成長させるためには、成長表面における粗さが、少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制するべきである。
【0044】
しかしながら、本願出願人は、鋭意研究の結果、活性層22(特に、井戸層22a)の結晶成長時において、敢えて成長表面の粗さが大きい状態を維持した成長を行うことで、光出力が良好な活性層22が得られることを見出した。以下、この点について図面を参照して説明する。
【0045】
活性層22の結晶成長時における成長表面の粗さは、成長後の活性層22の表面における平均粗さを用いて表現することができる。平均粗さとは、例えば、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)によって計測される高さ(被測定物における測定領域内の所定の高さを0とした相対的な高さ)を用いて、下記式(1)によって算出することができる。なお、下記式(1)において、Z(i)はAFMで計測される各点の高さであり、Zeは高さZ(i)の平均値であり、Raは平均粗さである。
【0046】?【0048】
・・・(略)・・・」

(5)「【0049】
図4及び図5に示す試料1?5では、オフ基板である基板11の表面に形成されていたテラスT(図2参照)の影響が、活性層22の表面まで引き継がれている。具体的には、少なくとも、下地部10のAlN層12、発光部20における活性層22及びその間の各層(本例の場合、n型クラッド層21)が、多段状のテラスの側面が成長することで二次元成長するステップフロー成長によって形成されている。なお、参考までに、後述する図11?図16には、下地部10のAlN層12における表面の状態を図示している。また、後述する図6?図8には、発光部20のn型クラッド層21における表面の状態を図示している。
【0050】
また、試料1?5は、試料1、試料2、試料3、試料4、試料5の順番で、テラスの側面が選択成長し易い条件で作製されている。即ち、試料1?5の中で、試料1が最もテラスの側面が選択成長し難い条件で作製されており、試料5が最もテラスの側面が選択成長し易い条件で作製されている。なお、テラスの側面が選択成長し易い条件とは、例えば、基板11のオフ角が一定の範囲内(例えば、0°から数度程度まで)で大きいことや、テラスが表出し易い状態となる成長速度(具体的に例えば、成長温度、原料やキャリアガスの供給量や流速などの諸条件を適宜設定することで、当該成長速度を達成する)などである。
【0051】
テラスの側面が選択成長し易い条件は、成膜装置の種類や構造によって異なり得る。そのため、成膜装置において現実にいくつかの試料を作製することで、この条件を特定すればよい。重要なのは、成膜装置に応じて無数の組み合わせが存在し得る諸条件ではなく、活性層22がステップフロー成長で形成されるようにすることである。
【0052】
試料1?5は、上述のように異なる条件で作製されたものであり、活性層22の表面の状態、特に平均粗さが異なっている。具体的に、試料1?5のそれぞれの活性層22の表面における平均粗さは、試料1が10.9nm、試料2が5.08nm、試料3が3.66nm、試料4が3.94nm、試料5が5.94nmである。
【0053】
さらに、試料1?5は、上述のように下地部10のAlN層12から発光部20の活性層22までの各層を継続的にステップフロー成長で形成したものであるため、活性層22の表面における平均粗さが大きくなる。具体的に、試料1?5の活性層22の表面における平均粗さは、井戸層22aの厚さ以上であり、さらには3nm以上である。なお、上述のように、活性層22の表面における平均粗さが井戸層22aの厚さを超えるように活性層22を成長させることは、半導体発光素子の分野における通常の知識に反することである。

(6)「【0054】
図4に示すように、試料1では、ステップフロー成長と同時に、テラス上のランダムな位置に発生した核が成長して六角柱状のヒロック(hillock)Hが形成される三次元成長も生じている。さらに、図5に示すように、試料1の活性層22の表面における高さの度数分布は、正規分布様(高さが0から増大するにつれて、下に凸の曲線から上に凸の曲線に変曲しつつ単調増加して極大値をとった後、上に凸の曲線から下に凸の曲線に変曲しつつ単調減少する曲線状)になっていないことから、高さの変動が不規則的である。したがって、試料1では、高さが不規則的に変動する要因であるヒロックHの影響が大きく、高さが規則的に変動する要因であるテラスの影響が小さいため、ステップフロー成長よりも三次元成長の方が支配的であると言える。
【0055】
また、図4に示すように、試料2の活性層22の表面にも、試料1と同様にヒロックHが混在している。ただし、試料2では、試料1と比較して、ヒロックHが占める領域が大幅に減少している。さらに、図5に示すように、試料2の活性層22の表面における高さの度数分布は、試料1とは異なり正規分布様であることから、高さの変動がある程度は規則的になっている。したがって、試料2では、高さが不規則的に変動する要因であるヒロックHの影響が小さく、高さが規則的に変動する要因であるテラスの影響が大きいため、三次元成長よりもステップフロー成長の方が支配的であると言える。
【0056】
また、図4に示すように、試料3?5では、大きなヒロックHは生じておらず、全面的にステップフロー成長の痕跡(多段状となる三角形状のファセット)が認められる。また、図5に示すように、試料3?5の活性層22の表面における高さの度数分布は正規分布様であることから、高さの変動は規則的である。したがって、試料3?5では、高さが不規則的に変動する要因であるヒロックHの影響が極めて小さく、高さが規則的に変動する要因であるテラスの影響が極めて大きいため、三次元成長よりもステップフロー成長の方が極めて支配的であると言える。
【0057】
ところで、試料1の活性層22の表面における平均粗さは10.9nmであり、他の試料2?5と比較すると突出して大きくなっている。これは、試料1では三次元成長が支配的であり、ヒロックHの影響が大きいからである。このように、三次元成長が支配的な試料では、活性層22の表面に設定する平均粗さを求めるための25μm四方の領域内にヒロックHが不可避的に含まれるため、活性層22の表面における平均粗さが10nmよりも大きくなり得る。
【0058】
また、試料2の活性層22の表面における平均粗さは5.08nmであり、試料3及び4と比較して大きくなっている。これは、試料2ではステップフロー成長が支配的ではあるものの、ヒロックHの影響を少なからず受けているからである。
【0059】
また、試料5の活性層22の表面における平均粗さは5.94nmであり、試料3及び4と比較して大きくなっている。これは、ヒロックHの影響ではなく、試料5ではテラスの段差が大きいため、これによって活性層22の表面における平均粗さが大きくなっているからである。
【0060】
図6?図8は、試料1、試料3及び試料4のそれぞれにおけるn型クラッド層及び活性層のそれぞれの表面の状態を比較して示す図である。図1に示したように、n型クラッド層21は、活性層22の直前に形成される層である。即ち、図6?図8は、活性層22の表面及び裏面の状態を比較して示した図である。
【0061】
・・・(略)・・・
【0062】
図6(a)に示すように、試料1において、nクラッド層21の表面における平均粗さは10.3nmであり、活性層22の表面における平均粗さは10.9nmである。また、図7(a)に示すように、試料3において、nクラッド層21の表面における平均粗さは3.78nmであり、活性層22の表面における平均粗さは3.66nmである。また、図8(a)に示すように、試料4において、nクラッド層21の表面における平均粗さは3.83nmであり、活性層22の表面における平均粗さは3.94nmである。
【0063】
このように、試料1、試料3及び試料4のそれぞれにおいて、nクラッド層21及び活性層22のそれぞれの表面における平均粗さは、略等しくなる。特に、活性層22及びnクラッド層21のそれぞれの表面における平均粗さの差分の絶対値を、活性層22の表面における平均粗さで除した割合が、10%以内になっている。これは、活性層22が、表面における平均粗さが維持された一様な成長によって形成されているからである。なお、ここでは試料1、試料3及び試料4についてのみ例示しているが、試料2及び試料5についても同様である。
【0064】
・・・(略)・・・
【0065】
一方、図7(c)及び図8(c)に示すように、試料3及び4のそれぞれにおいて、活性層22の表面におけるテラス(多段状となる三角形状のファセット)は、nクラッド層21の表面におけるテラスと比較して、角が丸みを帯びている。なお、この現象については、後述する図9及び図10と併せて説明する。また、ここでは試料3及び試料4についてのみ例示しているが、試料2及び試料5についても同様である。これに対して、三次元成長が支配的である試料1については、このような傾向が明確には認められない。
【0066】
・・・(略)・・・
【0067】
図9に示すように、三次元成長が支配的である試料1と比較して、ステップフロー成長が支配的である試料2?5では、ピーク発光波長が長波長側にシフトするとともに、半値幅が大きくなる。
【0068】
この結果について、活性層22(特に、井戸層22a)を構成するAlGaNがAlNとGaNの混晶であり、GaNはAlNよりも発光波長が長いことを踏まえると、活性層22(特に、井戸層22a)を構成するAlGaNに含まれるGaが偏析し、その偏析している領域にも電流が流れて発光が生じていると推測される。即ち、活性層22の表面における平均粗さが井戸層22aの厚さを超えるようなステップフロー成長を行うことによって、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaの偏析が生じていると推測される。
【0069】
さらに、上述したように、図7(c)及び図8(c)に示した活性層22の表面におけるテラスが丸みを帯びていることも、Gaの偏析を示唆している。具体的には、活性層22(特に、GaNモル分率が大きい井戸層22a)がステップフロー成長で形成される際に、Alと比較してマイグレーションし易いGaが、テラスの側面と次段のテラスの表面との境界に集まって段差を滑らかにすることで、テラスが丸みを帯びたと推測される。
【0070】
そして、図10に示すように、ステップフロー成長よりも三次元成長が支配的である(活性層22の表面における平均粗さが10nmよりも大きい)試料1と比較して、ステップフロー成長が支配的である試料2?5の方が、光出力が大きくなっている。このことから、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaを偏析させることによって、活性層22の光出力を増大させることができることが分かる。
【0071】
以上のように、活性層22の表面における平均粗さが井戸層22aの厚さ以上かつ10nm以下になるようなステップフロー成長によって、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaの偏析を生じさせることで、活性層22の光出力を増大させることができる。したがって、光出力が良好な活性層22を有する発光素子1を得ることが可能になる。
【0072】
また、図10に示すように、活性層22の表面における平均粗さが3nm以上である試料2?5では、活性層22(特に、井戸層22a)において、Gaの偏析が十分に生じる。そのため、活性層22の光出力を十分に増大させることができる。
【0073】
また、図10に示すように、活性層22の表面における平均粗さが約6nmとなる試料5と比較して、活性層22の表面における平均粗さがそれ以下である試料2?4は、光出力が顕著(例えば、1.5倍以上)に大きくなる。したがって、活性層22の表面における平均粗さを6nm以下(好ましくは5.5nm以下)にすることで、活性層22の光出力を顕著に増大させることができる。
【0074】
また、図7及び図8に示したように、発光部20において、活性層22とその直前に形成されるn型クラッド層21とのそれぞれの表面における平均粗さは、略等しくなる。したがって、活性層22だけでなく、n型クラッド層21も、表面における平均粗さが、井戸層22aの厚さ以上(さらには、3nm以上)かつ10nm以下(さらには、6nm以下)になる。この場合、成長表面における平均粗さが維持された一様な成長によって活性層22が形成されるため、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaの偏析を確実に生じさせることができる。したがって、活性層22の光出力を増大させることができる。」

(7)「【0075】
[下地部のAlN層]
・・・(略)・・・
【0076】?【0079】
・・・(略)・・・
【0080】
そして、上述のように活性層22の光出力が良好な試料2?5(図10参照)は、試料1及び試料Aと比較して、テラス幅が小さいとともに、テラス高さが大きくなっている。具体的に、試料2?5では、テラス幅が0.3μm以上かつ1μm以下になり、テラス高さが8nm以上かつ14nm以下になる。
【0081】
したがって、このAlN層12を有する下地部10の表面上に発光部20を形成することで、上述のようなステップフロー成長によってGaの偏析を生じる光出力が良好な活性層22を得ることができる。」

(8)「【0082】
[井戸層のAlNモル分率]
これまでの説明において例示した試料1?5は、図9に示すピーク発光波長が265nm±3nmの範囲内に収まっていることから明らかなように、井戸層22aにおけるAlNのモル分率が同程度の大きさである。しかしながら、試料1?5とはAlNモル分率が大きく異なる井戸層22aを有する発光素子1であっても、試料1?5と同様にGaの偏析は生じ得る。
【0083】
以下、井戸層22aのAlNモル分率(ピーク発光波長)とGaの偏析との関係について、図面を参照して説明する。図17は、井戸層のAlNモル分率(ピーク発光波長)が異なる複数の試料の発光スペクトルを示すスペクトル図である。また、図18は、各試料のピーク発光波長と半値幅との関係を示すグラフである。なお、図17及び図18では、比較のために、井戸層22aがGaNによって構成されている試料についても併せて示している。また、図17では、発光スペクトルの概形の見易さや比較などの便宜上、図18に示す各試料の中から代表的な試料を選択するとともに、当該試料のそれぞれにおけるピーク発光波長の強度が1となるように規格化している。また、図18では、各試料のピーク発光波長及び半値幅の測定結果に対する近似直線も併せて示している。
【0084】?【0086】
・・・(略)・・・
【0087】
ただし、図17及び図18に示すように、各試料の発光スペクトルにおける半値幅の大きさ(即ち、Gaの偏析の程度)は、一様ではない。具体的に、ピーク発光波長が小さくなるほど、半値幅は小さくなる。これは、井戸層22aを構成するAl_(X)Ga_(1-X)NのAlNのモル分率Xが1(即ち、単一のAlNの結晶)に近づくほど、Gaの量が少なくなり偏析し難くなるからである。
【0088】
この点、図18に示すように、ピーク発光波長が230nm以上(好ましくは240nm以上、さらに好ましくは250nm以上)になるように、井戸層22aをAl_(X)Ga_(1-X)Nで構成すれば、発光スペクトルの半値幅を基準半値幅(図中の破線)よりも十分に大きくする(即ち、Gaの偏析を生じさせて光出力を増大させる)ことが可能になる。
【0089】
一方、図17及び図18に示すように、ピーク発光波長が大きくなるほど、半値幅は大きくなる。しかし、井戸層22aを構成するAl_(X)Ga_(1-X)NのAlNのモル分率Xが0(即ち、単一のGaNの結晶)に近づくと、Gaの量が多くなり過度に偏析することで、発光スペクトルの形状が崩れたり(例えば、ピークが分離して2つ以上できる)、発光強度が低下したりするなどの問題が生じる。
【0090】
この点、図17及び図18に示すように、ピーク発光波長が340nm以下(好ましくは335nm以下)になるように、井戸層22aをAl_(X)Ga_(1-X)N(0<X<1)で構成すれば、上記の問題を発生し難くすることが可能になる。
【0091】
このように、ピーク発光波長を230nm以上かつ340nm以下にすることで、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaの偏析を十分に生じさせて光出力を増大させるとともに、発光スペクトルの形状が崩れたり発光強度が低下したりするなどの問題を生じさせ難くすることが可能になる。」

(9)図5は、以下のとおりである。


(10)図9は、以下のとおりである。


(11)図10は、以下のとおりである。


(12)図17、18は、以下のとおりである。


4 第36条第6項第1号(サポート要件違反)について
(1)本件発明1について
ア 判断
(ア)本件発明1は、「結晶成長の開始地点である基板やバッファ層を最適化すれば、その上方の窒化物半導体層の結晶性の改善を見込むことができる」が、このような方法では、「発光が生じる活性層が必ずしも最適化されるとは限らない。」(段落0007参照。)との認識に基づいて、「光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を提供する」(段落0008参照。)ことを課題としている。

(イ)本件発明1は、
A 「前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層が、多段状のテラスが形成された表面を有するエピタキシャル成長層」とすること、
B 「活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下」になるようにすること、との発明特定事項を採用することにより、上記(ア)の当該課題を解決していると解される。(段落0010等参照。以下、それぞれ「構成A」、「構成B」という。)。

(ウ)本件明細書には、構成A、Bと関係して、「井戸層22aの膜厚は2nm以上3nm以下」(段落0033参照)としつつ、「オフ基板である基板11の表面に形成されていたテラスT(図2参照)の影響が、活性層22の表面まで引き継がれ・・・具体的には、少なくとも、下地部10のAlN層12、発光部20における活性層22及びその間の各層(本例の場合、n型クラッド層21)が、多段状のテラスの側面が成長することで二次元成長するステップフロー成長によって形成されている」(段落0049参照)試料1?5が記載されている。
さらに、本件明細書では、試料1?5について「試料1?5のそれぞれの活性層22の表面における平均粗さは、試料1が10.9nm、試料2が5.08nm、試料3が3.66nm、試料4が3.94nm、試料5が5.94nmである」(段落0052参照)、「試料1では三次元成長が支配的であり、ヒロックHの影響が大きい・・・このように、三次元成長が支配的な試料では、活性層22の表面に設定する平均粗さを求めるための25μm四方の領域内にヒロックHが不可避的に含まれるため、活性層22の表面における平均粗さが10nmよりも大きくなり得る」(段落0057参照)、「三次元成長が支配的である試料1と比較して、ステップフロー成長が支配的である試料2?5では、ピーク発光波長が長波長側にシフトするとともに、半値幅が大きくなる。」(段落0067参照)、「この結果について、活性層22(特に、井戸層22a)を構成するAlGaNがAlNとGaNの混晶であり、GaNはAlNよりも発光波長が長いことを踏まえると、活性層22(特に、井戸層22a)を構成するAlGaNに含まれるGaが偏析し、その偏析している領域にも電流が流れて発光が生じていると推測される。即ち、活性層22の表面における平均粗さが井戸層22aの厚さを超えるようなステップフロー成長を行うことによって、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaの偏析が生じていると推測される。」(段落0068参照)、「ステップフロー成長よりも三次元成長が支配的である(活性層22の表面における平均粗さが10nmよりも大きい)試料1と比較して、ステップフロー成長が支配的である試料2?5の方が、光出力が大きくなっている。このことから、活性層22(特に、井戸層22a)においてGaを偏析させることによって、活性層22の光出力を増大させることができることが分かる。」(段落0070参照)と記載されている。
そして、これらの記載及び図5、図10の記載から、試料1は、試料2?5と比較して活性層の状態、及び発光性能に問題があり、試料2?5が構成A、Bを備える実施例であることなど、文字通り、理解でき、このような事情が起こり得る理由についても、発光素子の技術分野の技術常識から通常起こりえないような事象を示唆しているとも認められないことから、構成A及びB、特に、構成Bにおける「平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下」とする意義について、当業者が理解できる程度には記載されているといえる。
また、「井戸層におけるGa偏析」については、本件明細書において「推測される」と記載されているように、構成A及びBを有することによる作用効果について、その発生理由を、推測して技術的に解説しているにすぎず、この解説内容が技術常識に明らかに反しているなどという証拠はなく、また、一定程度の蓋然性があると認められるから、「井戸層におけるGa偏析」についての記載があることにより、構成A及びBの技術的意義が不明になっているとはいえない。

(エ)本件発明1の課題である「光出力が良好な活性層を有する」、「活性層の光出力を増大させる」について、本件明細書において、他の具体的な態様と比較して、「光出力が良好」、「光出力を増大させる」とする明示的な記載はない。
また、本件明細書の「半導体発光素子の分野における通常の知識に従えば、光出力が良好な活性層22を得るためには、・・・少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制するべきである。」(段落0043参照)の記載において、本件発明に含まれない態様について「光出力が良好」という表現を用いていることからも、「光出力が良好」等の表現は、他の態様との比較を格別意識したものではなく、本件発明に含まれない態様についても使用される程度の「光出力が良好な活性層」を意味していると解することが自然である。
さらに、本件明細書において、「良好」、「増大」について特別な定義はなされていないことから、これらの用語については、文字通り、解釈されるものであり、「光出力が良好」は通常使用される程度の「良好な」「光出力」を含んでいると解され、「光出力を増大させる」は「Gaの偏析を生じさせることで、活性層の光出力を増大させることができる」(段落0010参照)との文脈で主に使用されていることから、「Gaの偏析」の有無における比較の下での「増大」であると解される。そして、このような解釈をすることにより、構成A及びBの技術的意義が不明になるものではない。

イ 申立人の主張について
(ア)申立人は、申立書において下記aの主張をしている。
a 「そこで、本件特許明細書の発明の詳細な説明に、「活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下」とする本件発明が、当業者が「活性層の光出力を増大させる」との本件発明の課題が解決することができると認識できるといえる程度の記載がされているかどうかについて検討する。
本件特許明細書には、「活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下」とする本件発明が、当業者が「活性層の光出力を増大させる」との本件発明の課題を解決できるものであることを裏付けようとして図10(a)、(b)が添付されている。
図10(a),(b)を参照すると、活性層表面の平均粗さが10nm以下である場合に光出力が向上することは把握できる。しかしながら、この実験事実からでは、本件特許明細書に記載される「通常の知識」(段落[0043])に従い、活性層表面の平均粗さを10nm以下とし、平均粗さを小さくするにしたがって、高い光出力が得られるという従来の技術常識が確認できるに留まる。
・・・
さらに、試料1?試料5において、各試料の井戸層の厚さを特定することのできる具体的な記載はなく、各試料の井戸層の厚さは不明である。
したがって、試料1?5の平均粗さが「井戸層の厚さ以上」を満足しているか否かすら、当業者には判別できない。
また、仮に、試料1?5の井戸層の厚さが、活性層の平均粗さ未満であるとしても、段落[0043]に記載の「通常の知識」に従う「成長表面における粗さが、少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制」された窒化物半導体紫外発光素子の光出力と、試料1?5の窒化物半導体紫外発光素子の光出力との関係を示す結果は、本件特許明細書には何ら記載されていない。「成長表面における粗さが、少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制」された窒化物半導体紫外発光素子と比較して、実施例における試料1?5の窒化物半導体紫外発光素子が、段落[0008]に記載の「光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子」であることを示すか否かは、本件特許明細書の記載からは不明というほかない。むしろ、前記参考図1の内容に基づき、試料1?5の窒化物半導体紫外発光素子の光出力は、「成長表面における粗さが、少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制」された窒化物半導体紫外発光素子の光出力よりも低い蓋然性が高いと、本件特許明細書に接した当業者は認識する。」(申立書14頁3行?16頁8行)

b 上記aの主張について検討する。まず、「井戸層22aの膜厚は2nm以上3nm以下」(段落0033参照)の記載から、試料1?5の平均粗さが「井戸層の厚さ以上」を満足していることは読み取ることができる。そして、「「成長表面における粗さが、少なくとも井戸層22aの厚さよりも小さくなるように抑制」された窒化物半導体紫外発光素子と比較して、実施例における試料1?5の窒化物半導体紫外発光素子が、段落[0008]に記載の「光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子」であることを示す」ことについては、上記アで説示したように、本件発明1は、何らかの他の具体的な態様と比較して「光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子」を示したものではない。
よって、申立人の主張は採用できない。

(イ)申立人は、申立書において下記aの主張をしている。
a 「請求項1では、「少なくとも、前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層が、多段状のテラスが形成された表面を有するエピタキシャル成長層であ」ることを発明特定事項とする。
上記記載に基づけば、「多段状のテラス」が、各エピタキシャル成長層の表面に何らかの面積比率で存在すれば(すなわち、各層の表面全体である場合に限定されず)、「各層が、多段状のテラスが形成された表面を有する」に該当すると解される。仮に「多段状のテラス」がエピタキシャル成長層の表面のごく一部(例えば表面積の1%の領域)でも存在すればよいのであれば、本件特許明細書の実施例では所定のオフ角を有するサファイア基板上に各層をエピタキシヤル成長していることから、そのような場合にまで、請求項1の記載のみによって、発光出力向上という課題を解決できると当業者は認識することはできない。」(申立書17頁1行?11行)

b 上記aの主張について検討する。本件発明1は、「多段状のテラスが形成された表面」に係る構成Aを有することにより、「光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を提供する」(段落0008参照。)のであるから、、「多段状のテラスが形成された表面」は光出力に寄与する程度の面積比率を有することは当業者にとって自明な事項である。
よって、申立人の主張は採用できない。

(ウ)申立人は、下記a、bを主張するとともに、下記cの甲第1号証?甲第10号証を提示している。
a 「異議申立人は、本件特許発明1ないし10の課題は、活性層表面の平均粗さ(Ra)が井戸層の厚さ以上かつ10nm以下の場合において、「活性層の光出力」を得ることではなく、以下の(ア)、(イ)及び(ウ)のとおり、活性層表面の平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下の場合において、「光出力が従来技術に比べて増大した活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を提供すること」であると主張する。
(ア)本件特許の出願時において、窒化物半導体発光素子の技術分野では表面が平坦でない活性層であっても「活性層の光出力」は得られることは公知であった。この点については、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証?甲第2号証及び本願の出願時の技術常識を説明するための乙第2号証を参照して、後記「(5)本件特許出願時において活性層の光出力が得られたことは公知であったことについて」に詳述する。
(イ)本件特許明細書には【発明が解決しようとする課題】の項目に「【0008】 そこで、本発明は、光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線発光素子を提供することを目的とする。」と明確に記載されている。
ここで、「良好な」とは、同種の特性を有する比較対象物に比べて、さらに優れた特性を有するという意味である。
本件発明者は、表面が平坦でない活性層であっても、ある程度の光出力は得られているが、従来技術に比べて、より大きな光出力を得ることを目指して研究開発を進めていたので、本件特許明細書に、「本発明は、光出力が良好な活性層を有する窒化物半導体紫外線素子を提供することを目的とする。」と記載したと理解される。
仮に、従来技術では、表面が平坦でない活性層では、「活性層の光出力」は全く得られなかったのであれば、「本発明は、活性層の表面が平坦でなくても、光出力が得られる窒化物半導体紫外線発光素子を提供することを目的とする。」といったように記載され、「良好な」といっか記載は用いられないと考えるのが自然である。」(令和元年6月10日付け回答書(以下「申立人回答書」という。)2頁下から2行?3頁下から5行)

b 「特許権者は、本件特許発明1の課題について、上記のとおり「従来の技術常識に反して、活性層の結晶成長時に、敢えて成長表面の粗さが大きい状態を維持した成長を行っても、つまり、上記課題解決手段ア及びイで規定される成長を行っても、「活性層の光出力」が確認されたことに大きな意義があり、従来の技術常識に対する技術的革新と言える。」(第2回意見書の第6頁第22行?第25行)などと述べる。
ここで言う課題解決手段アは「『前記下地部の前記AlN層、前記発光部における前記活性層及びその間の各層が、多段状のテラスが形成された表面を有するエピタキシャル成長層』とすること」(第2回意見書の第2頁第19行?第21行)であり、課題解決手段イは「『活性層の表面における平均粗さが井戸層の厚さ以上かつ10nm以下』になるようにすること」(第2回意見書の第2頁第22行?第23行)である。
そもそも以下に述べるとおり、上記課題解決手段ア、イ自体が本技術分野における周知な技術手段に過ぎない。」(申立人回答書42頁10行?下から4行)

c 提示された文献は以下の通り。
甲第1号証 特開2005-225694号公報
甲第2号証 国際公開2013/021464号
甲第3号証 Michiko Kaneda,et.al.、Uneven AlGaN multiple quantum well for deep ultraviolet LEDs grown on macrosteps and impact on electro luminescence spectral output”、Japanese Journal of Applied Physics56,061002(2017)
甲第4号証 Yosuke Nagasawa and Akira Hirano、A Review of AlGaN-Based Deep-Ultraviolet Light-Emitting Diodeson Sapphire、Applied Science、2018,8,1264
甲第5号証 特開2006-60164号公報
甲第6号証 中島一雄編、「シリーズ:結晶成長のダイナミクス第3巻 エピタキシャル成長のメカニズム」、初版第2刷、共立出版株式会社、2003年5月15日、p.134?p.153
甲第7号証 特開平9-97921号公報
甲第8号証 Ryan G Banal,etal.、“Initial nucleation of AlN grown directly on sapphire substrates by metal-organic vapor phase epitaxy”、Applied Physics Letters 92,241905、2008年
甲第9号証 S.Nikishin,etal.、”High quality AlN for deep UV photodetectors”、Applied Physics .Letters 95,054101、2009年
甲第10号証 特開2008-235769号公報

d 上記主張a、bについて検討する。上記アで説示したように、構成A、Bと「活性層の光出力」の技術的な関係が当業者が理解できる程度に開示されている以上、仮に、申立人が主張するように「窒化物半導体発光素子の技術分野では表面が平坦でない活性層であっても「活性層の光出力」は得られることは公知であ」り、「上記課題解決手段ア及びイ」(構成A、Bに相当)が「本技術分野における周知な技術手段に過ぎな」かったとしても、そのことにより、構成A、Bと「活性層の光出力」の技術的な関係が変わるわけではないので、本件発明1における構成A、Bの技術的な意義が不明になることにはならない。
よって、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
したがって、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載したものである。

(2)本件発明2?10について
本件発明2?9は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであり、本件発明10は、方法の発明であるものの実質的に本件発明1と同様の構成を有しているから、本件発明1と同様の理由(上記(1)参照)により、本件発明2?10は、発明の詳細な説明に記載したものである。

(3)まとめ
したがって、本件発明1?10は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、それらの特許は特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしている。

5 第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について
(1)本件発明1について
ア 判断
本件明細書において、試料1?5について、「【0049】・・・試料1?5では、オフ基板である基板11の表面に形成されていたテラスT(図2参照)の影響が、活性層22の表面まで引き継がれている。具体的には、少なくとも、下地部10のAlN層12、発光部20における活性層22及びその間の各層(本例の場合、n型クラッド層21)が、多段状のテラスの側面が成長することで二次元成長するステップフロー成長によって形成されている。・・・【0050】また、試料1?5は、試料1、試料2、試料3、試料4、試料5の順番で、テラスの側面が選択成長し易い条件で作製されている。・・・なお、テラスの側面が選択成長し易い条件とは、例えば、基板11のオフ角が一定の範囲内(例えば、0°から数度程度まで)で大きいことや、テラスが表出し易い状態となる成長速度(具体的に例えば、成長温度、原料やキャリアガスの供給量や流速などの諸条件を適宜設定することで、当該成長速度を達成する)などである。【0051】テラスの側面が選択成長し易い条件は、成膜装置の種類や構造によって異なり得る。そのため、成膜装置において現実にいくつかの試料を作製することで、この条件を特定すればよい。重要なのは、成膜装置に応じて無数の組み合わせが存在し得る諸条件ではなく、活性層22がステップフロー成長で形成されるようにすることである。【0052】試料1?5は、上述のように異なる条件で作製されたものであり、活性層22の表面の状態、特に平均粗さが異なっている。具体的に、試料1?5のそれぞれの活性層22の表面における平均粗さは、試料1が10.9nm、試料2が5.08nm、試料3が3.66nm、試料4が3.94nm、試料5が5.94nmである。【0053】・・・具体的に、試料1?5の活性層22の表面における平均粗さは、井戸層22aの厚さ以上であり、さらには3nm以上である。」と記載されている。
そして、上記記載において、「ステップフロー成長」は当業者にとって実現可能な方法であるし、各試料の寸法等も開示されているわけであるから、詳細な諸条件が網羅的に記載されていなくとも、当業者が、上記の情報から、試料1?5を製造することができると解される。

イ 申立人の主張について
申立人は、「ここで、本件特許明細書では、活性層表面の平均粗さを「井戸層の厚さ以上10nm以下」とするための条件として、「テラスの側面が選択成長し易い条件」を言及しつつ、各エピタキキシャル成長層の成長速度を適宜調整すればよいと記載するに留まる(段落[0049]-[0050])。
しかしながら、本件特許明細書の図10(a)、(b)を参照すると、テラスの側面が選択成長し易い条件であることと、活性層表面の平均粗さとに相関関係があるとは読み取れない。上記図10(a)、(b)に注釈を付した図を参考図2として下記に示す。活性層表面の平均粗さとして所望の値を実現するためには「テラスの側面が選択成長し易い条件」の中から、さらに何らかの製造条件を調整する必要があると解される。
そして、本件特許明細書では、テラスの側面が選択成長し易い条件としては、基板11のオフ角の影響を受けること、さらには、テラスが表出し易い状態となる「成長速度」があることを開示する。そして、本件特許明細書では、成長速度を調整するためには、「成長温度、原料やキャリアガスの供給量や流速などの諸条件」を適宜設定すればよい(段落[0050])と言及するに留まる。
なお、試料1?5に関する、基板11のオフ角およびテラスが表出し易い状態となる成長速度に関する具体的なパラメータに関する開示は、本件特許明細書には皆無である。本件特許明細書の実施例においては、何らかの成長条件により形成した後のAlN層12、n型クラッド層21、活性層22の表面状態のAFM画像が開示されるものの、これらAFM画像を得るために追試を行うための手がかりとなる「テラスの側面が選択成長し易い条件」および成長速度に関する製造条件は何ら開示されていない。
そうすると、当業者の通常の知識に反して、活性層表面の平均粗さを敢えて「井戸層の厚さ以上10nm以下」とするための具体的な手段が本件特許明細書に記載されているということはできない。そして、AFM画像を得るために追試を行うための手がかりとなる製造条件の開示が本件特許明細書には存在しないため、活性層表面の平均粗さとして「井戸層の厚さ以上10nm以下」を実現するためには、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤、複雑高度な実験等をする必要がある。」(申立書19頁1行?21頁下から6行)と主張している。
しかしながら、上記アで説示したとおり、本件明細書の記載から、当業者が試料1?5を製造することは可能であると認められるから、申立人の主張は採用できない。

ウ 小括
したがって、本件発明1に係る発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(2)本件発明2?10について
本件発明2?9は、本件発明1に従属し、本件発明1の発明特定事項をすべて含むものであり、本件発明10は、方法の発明であるものの実質的に本件発明1と同様の構成を有しているから、本件発明1と同様の理由(上記(1)参照)により、本件発明2?10に係る発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(3)まとめ
したがって、本件発明1?10に係る発明の詳細な説明の記載は、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであるから、それらの特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしている。

6 第36条第6項第2号(明確性要件違反)について
(1)本件発明1?10について
ア 判断
本件発明1?10の記載は、各構成について、それぞれの関連が明確に理解できるように記載されているから、明確である。

イ 申立人の主張について
申立人は、「サファイアから成る基板の表面に設けられる「多段状のテラス」と、各エピタキシャル成長層の表面に設けられる「多段状のテラス」とが、両者で一致する必要があるのか、異なってもよいのか、あるいは、どのような対応関係となっていればよいのか、いずれと解すべきかが不明である。各エピタキシャル成長層の表面が、どのような表面形状であれば、「多段状のテラスが形成された表面」に該当するのか、当業者に理解することはできない。さらには、一次元方向のみに多段のテラスが形成されるのか、二次元方向に多段のテラスが形成されるのか、いずれと解すべきかも、請求項1の記載からでは不明である。したがって、請求項1の記載では、特許を受けようとする発明が不明確となっている。」(申立書22頁10行?18行)と主張している。
しかしながら、基板の「多段状のテラス」と各エピタキシャル成長層の表面に設けられる「多段状のテラス」の形状が一致するか、相違するか、あるいは「多段状のテラス」が一次元方向のみに多段のテラスが形成されるのか、二次元方向に多段のテラスが形成されるのかについて、本件発明1?10の作用効果を考慮しても、明らかでないといけない理由はなく、また、明らかでないことをもって、本件発明1?10が不明瞭であるということにもならない。
よって、申立人の主張は採用できない。

(2)まとめ
したがって、本件発明1?10は明確であるから、それらの特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。

第3 むすび
以上のとおりであるから、平成30年6月7日付け、平成31年1月24日付け取消理由通知及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、証拠によっては、本件請求項1?10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2019-09-03 
出願番号 特願2017-529199(P2017-529199)
審決分類 P 1 651・ 537- Y (H01L)
P 1 651・ 536- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 島田 英昭  
特許庁審判長 瀬川 勝久
特許庁審判官 井上 博之
近藤 幸浩
登録日 2017-08-18 
登録番号 特許第6194138号(P6194138)
権利者 創光科学株式会社
発明の名称 窒化物半導体紫外線発光素子  
代理人 政木 良文  

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