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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1355165
審判番号 不服2018-12105  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-10 
確定日 2019-10-07 
事件の表示 特願2016-136023「情報処理装置及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月11日出願公開、特開2018- 5824、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成28年7月8日の出願であって,同年7月28日付けで審査請求がなされ,平成29年6月13日付けで拒絶理由通知(同年6月15日発送)がなされ,同年8月4日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年12月27日付けで拒絶理由通知(平成30年1月5日発送)がなされ,平成30年2月13日付けで意見書が提出されるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年7月9日付けで拒絶査定(原査定)(同年7月18日謄本送達)がなされ,これに対し,同年9月10日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに,同日付けで手続補正がなされ,同年9月28日付けで特許法第164条第3項に定める報告(前置報告)がされ,平成31年4月26日付けで当審より拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由」という。)がなされ(令和元年5月7日発送),同年年6月19日付けで意見書が提出されるとともに,手続補正がなされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成30年7月9日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-5に係る発明は,以下の引用文献1,2に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2000-47963号公報
2.特開2013-171322号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

本願請求項1-4に係る発明は,以下の引用文献1-6に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

1.特開2000-47963号公報(拒絶査定時の引用文献1)
2.特開2013-171322号公報(拒絶査定時の引用文献2)
3.特開2012-147188号公報(当審において新たに引用した文献)
4.特開2014-216681号公報(当審において新たに引用した文献)
5.特開2006-148804号公報(当審において新たに引用した文献)
6.特開2016-76150号公報(当審において新たに引用した文献)

第4 本願発明
本願の請求項1-4に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明4」という。)は,令和元年6月19日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される,以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
複数のプログラムモジュールを選択させる選択手段と、
ネットワークに接続され、前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器を遠隔制御するためのソフトウェアプログラムを、選択されたプログラムモジュールを組み合わせて作成し、保存する作成手段と、
保存されているソフトウェアプログラムを一覧表示するための表示データを出力する出力手段と、
前記ネットワークを介して前記電子機器及び端末装置と通信可能であって、前記端末装置から前記ソフトウェアプログラムの実行要求を受信した場合に、前記ソフトウェアプログラムを実行して前記電子機器を遠隔制御する実行手段と、
を備え、
前記端末装置は、前記実行要求を送信するときに前記ソフトウェアプログラムにアクセスするためのURLが入力され、該実行要求は前記電子機器のアドレスを含み、
前記端末装置は、前記表示データに基づき、前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者、更新日時、及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する、情報処理装置。
【請求項2】
前記端末装置は、前記一覧リストとともに、新規作成ボタン、編集ボタン、及び削除ボタンを表示する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記複数のプログラムモジュールのうち一つのプログラムモジュールに対応したオブジェクトを複数配置するための配置領域を含む表示データを出力し、
前記作成手段は、前記配置領域に配置された複数のオブジェクト及び前記複数のオブジェクトにおける互いの配置関係に基づいて前記ソフトウェアプログラムを作成し、
前記配置領域に配置された前記複数のオブジェクトのうち少なくとも一つは、実行したい値が設定される、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータに、
複数のプログラムモジュールをユーザに選択させる機能と、
ネットワークに接続され、前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器を遠隔制御するためのソフトウェアプログラムを、選択されたプログラムモジュールを組み合わせて作成し、保存する機能と、
保存されているソフトウェアプログラムを一覧表示するための表示データを出力する機能と、
前記ネットワークを介して前記電子機器及び端末装置と通信可能であって、前記端末装置から前記ソフトウェアプログラムの実行要求を受信した場合に、前記ソフトウェアプログラムを実行して前記電子機器を遠隔制御する機能と、
を実現させ、
前記端末装置は、前記実行要求を送信するときに前記ソフトウェアプログラムにアクセスするためのURLが入力され、該実行要求は前記電子機器のアドレスを含み、
前記端末装置は、前記表示データに基づき、前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者、更新日時、及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する、プログラム。」

第5 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2000-47963号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

A1 「【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ネットワーク管理システムに関し、特に、複数の通信装置ハードウエアをそれぞれ制御する通信装置オペレーションシステムと、複数の通信装置オペレーションシステムの中央監視・制御を行うセンターシステムと、通信装置オペレーションシステムとセンターシステムを結ぶ神経網とを持つネットワーク管理システムに関する。」

A2 「【0020】図1の実施形態においては、4種類の機能要素、すなわち、マネージャ機能要素、エージェント機能要素、管理プロトコル通信(神経網上の通信)機能要素、およびその他の接合機能要素(その他の接合とは、例えば、交換やフロー制御のための接合である)が用いられている。以下の記述において、マネージャ機能要素、エージェント機能要素、管理プロトコル通信機能要素、およびその他の接合機能要素をそれぞれ、第1、第2、第3、第4の機能要素と記す。
・・・(略)・・・
【0022】イントロスペクションインターフェースは、固有インターフェースの仕様をエディターであるキャリアまたはベンダーに知らせるためのソフトウエアで、固有インターフェース仕様は、イントロスペクションインターフェースにより、ツールによって取り出す(表示する)ことができる。このソフトウエア(イントロスペクションインターフェース)は機能要素の種類や固有インターフェースの仕様に関係なく、総てのコンポーネントウエアに共通である。このイントロスペクションインターフェースだけがキャリアとベンダーの間で予め書類で合意される。(なお、イントロスペクションとは自分自身を内省するという意味で、ここでは、インターフェースが自分自身の仕様を覗いてみるという意味である。)このように、コンポーネントウェアCWは、上記第1乃至第4の機能とイントロスペクションインターフェースおよび固有インターフェースを持ち、バイナリレベルで再利用可能なソフトウェア部品である。以下の記述において、前掲の第1、第2、第3、第4の機能要素をもつコンポーネントウエアをそれぞれ第1、第2、第3、第4のコンポーネントウエア(CW)と記す。」

A3 「【0032】図2に示されているように、初期状態においては、図2のマネージャに相当する部分には具体的なプログラムは入っておらず、インターフェース規定ラインが下に下がっている。エージェントには、そのエージェント機能を表すコンポーネントウェア(図2では、水平方向の塗りつぶし線で表されているCW)が用意されており、また、これらのシステムとは別途に、ライブラリとしてコンポーネントウェアライブラリ(以下、ライブラリと記す)22が用意されている。エージェントおよびライブラリ22に用意されているこれらのコンポーネントウェアは、まとめてコンポーネントウェアバレット(以下、パレットと記す)21と呼ばれる部分に集められる。そのとき、次に示すコンポーネントウェアをパレット21に取り込む。
1)センターシステムの機能(マネージャ機能)を表す第1のコンポーネントウェア(図中、向かって左上から右下に向く斜線で表されているCW)
2)ネットワーク制御装置の機能(エージェント機能)を表す第2のコンポーネントウェア
3)管理プロトコル通信機能を表す第3のコンポーネントウェア(図中、上下方向の塗りつぶし線で表されているCW)
4)データの交換・フロー制御等のための接合用の第4のコンポーネントソフトウェア(図中、向かって右上から左下に向く斜線で表されているCW)これらのコンポーネントウェアが集められるライブラリ22やパレット21は、実際にはメモリ領域に設定されるが、ライブラリ22やパレット21中のコンポーネントウェアは表示画面に表示され、エディタはこの表示画面を見ながら編集を行う。以下の記述に使用するパレット21、ライブラリ22の用語は表示画面についての記述である。後述の図3の、キャンバス31についても同様である。」

A4 「【0034】エディタは、取り出された固有インターフェース仕様を参照しながらコンポーネントウェアを繋ぐ。図3は、ネットワーク管理システムを構築する第2段階を示すブロック図である。この図では、新たにパレットから取り出したコンポーネントウエアを繋ぎ合わせるためのキャンパス31という表示画面が使用され、そこで実際に接続の作業が行われる。このキャンバス31上で実際に接続を行った後、接続シミュレーション等を行うことができる。」

A5 「【0035】図4、図5は、それぞれネットワーク管理システムを構築する第3段階および第4段階を示すブロック図である。図4を参照すると、繋いだコンポーネントウェアは、センターシステム2内部で動作させる部分とNE-OpS4-1...4-m内部で動作させる部分とに分けてそれぞれ、データ格納部51,52に保存される。この図においては、管理プロトコル通信機能を表すコンポーネントウェアが、キャンバス31内の点線で示されているように、マネージャ部分の保存場所であるデータ格納部51とエージェント部分の保存場所であるデータ格納部52との両方に保存されている。」

A6 「【0039】
【実施例】図7は図1のネットワーク管理システムの一実施例のブロック図である。本実施例は、コンポーネントウエア指向OpSのプロトタイプシステムの例であって、ネットワーク管理の代表的プロトコルであるSNMP、CMIPと、分散処理技術CORBA(The Object Request Broker: Architecture and Specification、分散オブジェクトプログラミングに関する業界標準)の代表的プロトコルIIOP(Internet Inter-ORB protocol、インターネット上のオブジェクト間通信に関するプロトコル)とをハンドリングするコンポーネントウエアを統合して構築されている。
【0040】本実施例のネットワーク管理システムは、ビジュアルプログラミングツールを用い、図2?6に示されているようなデザインウインドウ上でコンポーネントウエアを接続して構築され、サーバ・クライアントの機能とマルチプロトコル間の接続が実現されている。
【0041】図7を参照すると、中間マネージャ72は、図1のセンターシステム2に該当し、ビジュアルプログラミングツールを用いてプロトコルシステムとして作成されている。以下の記述においては、中間マネージャ72に対しクライアントの位置にあるシステムをマネージャ71と記し、中間マネージャ72に対してサーバの位置にあるシステムを装置と記す。本実施例においては、装置として複数の装置、すなわち、SNMP装置73、CMIP装置74、CORBA装置75が用いられている。」
・・・(略)・・・
【0043】マネージャと中間マネージャとの間の通信には、マネージャシステムおよび中間マネージャシステムの通信を行うために、オブジェクト間通信プロトコルとして、OMGのInternet Inter-ORB Protocol (IIOP)(以下、CORBAオブジェクト間の通信プロトコルをIIOPの代わりにCORBAと呼ぶことにする)を用いている。中間マネージャ72とSNMP装置との間、中間マネージャとCMIP装置との間、および中間マネージャとCORBA装置の間の通信網管理プロトコルには、それぞれ、SNMP、CMIP、およびCORBAが用いられている。中間マネージャはマネージャに対してCORBAサーバの役割を果たし、CORBA装置に対してCORBAクライアント、SNMP装置およびCMIP装置に対してはマネージャの役割を果たす。
【0044】本実施例では、SNMP装置としては、ルータが用いられた。CMIP装置としては、CMIPエージェントのエミュレートアプリケーションを実行するワークステーションが用いられた。また、CORBA装置としては、データベースのサーバアプリケーションを実行するワークステ-ションが用いられた。」

A7 「【0046】図8は、図7の中間マネージャのプロトタイプの一実施例を示す図である。本実施例の中間マネージャ72は3つのグループA、B、Cを備えて構成されている。グループAはSNMPによる情報取得機能とポーリング時間設定機能を実現するプログラムである。グループBはSNMPによる情報取得結果の蓄積情報を取得し、CORBAServerに返却する機能を実現するプログラムである。末端にはTerminator 2がついており、CorbaServerとの間に可視の接続はないが、Terminator 2で受け取ったイベントをCorbaServerへ伝達する。グループCはCMIPによる情報取得結果をCorbaServerに返却する機能を有する。末端にはVJTerminator1がついており、VJTerminator1もCorbaServerとの間に可視の接続はないが、VJTerminator1で受け取ったイベントをCorbaServer へ伝達する。
・・・(略)・・・
【0048】1)SNMPのマネージャ機能を持つコンポネントウエアとしては、Senderコンポーネントウエア(以下、Senderと記す)と、GETコンポーネントウエア(以下、Getと記す)を用意した。
【0049】GetはSNMP GET操作に相当する機能を実現する。GET REQUEST を発行し、GET RESPONSEを受け取る。SenderはイベントオブジェクトからString型のデータを抽出し、そのString型のデータが指定する対象をホスト名とし、取得属性、リトライ回数、リトライインターバル等の設定を持つイベントオブジェクトを作成する。Getは、Senderで作成されたイベントをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容にしたがって対象ホストに対して属性取得操作を行う。Getはその取得結果と取得時間をPDUEventObject(後述)として出力する。
2)CMIPのマネージャ機能を持つコンポネントウエアとしては、CMISのサービスの一つであるM-GETに対応するコンポーネントを用意した。本実施例で用いられているのは、M-GETに相当するコンポーネントウエアで、CMISのM-GETを実行するために必要なパラメータをイベントとして受け取るか、または、M-GETを実現するコンポーネントが属性として持っている値をパラメータとして用いるか、または、それらを混合してパラメータとして用い、トリガによりM-GET操作を行う。本実施例では、イベントオブジェクトとしてトリガーを、パラメータとしてCMISのフィルターを取得し、CMIP装置に対して情報取得を行う。
3)CORBAに準拠したサーバ機能を持つコンポーネントウエアおよびクライアント機能を持つコンポーネントウエアとしては、SNMPによるGET 操作を行うコンポーネントウエアの結果をデータベースに格納するためのSNMP DB Write コンポーネントウエアと、その蓄積情報を取得するためにSNMP DB Readコンポーネントウエアおよびマネージャからの要求を受け付けるCorbaServerコンポーネントウエアを用いた。
4)その他のコンポーネントウエア
**Setter, **Getterはそれぞれ上矢印と下矢印がついた図8のコンポーネントウエアであって、グループAではPoolTime、VJStrGetter1、time(INTGetter)、packets、が**Getterである。また、SnmpGet、time(INT Setter)、valueが**Setterである。**Setterコンポーネントウエア、および **Getterコンポーネントウエアは**に相当する型のデータを設定、取得するためのコンポーネントウエアである。Filterと記述してあるコンポーネントウエアはCMISフィルターを実現するコンポーネントウエアであり、ASN-1(Abstract Syntax Notation1:抽象構文記法) 型のデータを扱うことのできるコンポーネントウエアである。その他分岐やループのためのコンポーネントウエアを用いた。

・・・(略)・・・
【0052】次に、各グループの構成を説明する。CorbaServerは、CORBA(IIOP)を介して図7のマネージャ71の要求を受け、マネージャ71に対して応答を返すコンポーネントウエアである。CorbaServerは、マネージャ71の要求を受け取るとると、その要求内容と、その要求を実行した結果を返却する返却先とを内包するイベントオブジェクトを、その要求に応じてグループA、グループB、グループCに送信する。(本実施例では、CorbaServerは返却先のオブジェクトとして自分を指定する。)さらにCorbaServerは、グループB、Cからの結果を待ち、双方の結果を得た後、マネージャへ答えを返却する。
【0053】CorbaServer は、3つの出力コネクタを備え、それらの出力コネクタには、マネージャからの要求に応じて3つの機能が割り当てられている。第1、第2の出力コネクタはマネージャから指定されたSNMP管理対象に対応するstring型データを取得するためのグループAのコンポーネントウエアVJStrGetter1と、ポーリング間隔を設定するコンポーネントウエアToolTimeにそれぞれ接続され、マネージャからの要求に応じてSNMP管理情報の取得対象とボーリング間隔との設定をする。第3の出力コネクタは、マネージャが要求するSNMP、CMIP管理情報をそれぞれ取得するために、コンポネントウエア分配1を介してグループBおよびグループCに接続されている。
【0054】グループAにおいて、 VJStrGetter1が通過IPパケット量を計測する対象IPルータを指定するstring型データを取得すると、SenderはイベントオブジェクトからString型のデータを抽出し、そのString型のデータが表すIPルータをホスト名とし、取得属性、リトライ回数、リトライインターバル等の設定を持つイベントオブジェクトを作成する。
【0055】SnmpGetはSenderで作成されたイベントオブジェクトをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容をパラメータとして用い、または、自らのコンポーネントウエアが持つ属性をパラメータとして用い、または、受け取ったイベントオブジェクトのパラメータに、足りないパラメータを自らのもつ属性で補ってパラメータとして当該IPルータに対して通過IPパケット量取得操作を行う。SnmpGetはその取得結果と取得時間をPDUEventObjectとして出力する。その取得結果と取得時間はCORBAの通信コンポーネントウエアSNMP DB Writeを通して図7の参照番号75で示されているCORBAのデータベースサーバに蓄積される。」

イ 上記A4の下線を引いた箇所に記載されている「キャンパス31」は「キャンバス31」の誤記であるものと認められる。
そこで,当該誤記を訂正した次の記載のものをA4と認定して,以下の検討を行うこととする。

A4 「【0034】エディタは、取り出された固有インターフェース仕様を参照しながらコンポーネントウェアを繋ぐ。図3は、ネットワーク管理システムを構築する第2段階を示すブロック図である。この図では、新たにパレットから取り出したコンポーネントウエアを繋ぎ合わせるためのキャンバス31という表示画面が使用され、そこで実際に接続の作業が行われる。このキャンバス31上で実際に接続を行った後、接続シミュレーション等を行うことができる。」

ウ 上記A1ないしA7に記載された事項を踏まえると,引用文献1には,以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「複数の通信装置オペレーションシステムの中央監視・制御を行うセンターシステムであって,
コンポーネントウェアCWは,マネージャ機能,エージェント機能,管理プロトコル通信機能,およびその他の接合機能とイントロスペクションインターフェースおよび固有インターフェースを持ち,バイナリレベルで再利用可能なソフトウェア部品であり,
コンポーネントウェアが集められるパレット21中のコンポーネントウェアは表示画面に表示され,エディタはこの表示画面を見ながら編集を行い,
ネットワーク管理システムを構築する第2段階では,パレットから取り出したコンポーネントウエアを繋ぎ合わせるためのキャンバス31という表示画面が使用され,そこで実際に接続の作業が行われ,
ネットワーク管理システムを構築する第3段階では,繋いだコンポーネントウェアは,センターシステム2内部で動作させる部分とNE-OpS4-1...4-m内部で動作させる部分とに分けてそれぞれ,データ格納部51,52に保存され,
ネットワーク管理システムの一実施例において,ビジュアルプログラミングツールを用い,デザインウインドウ上でコンポーネントウエアを接続して構築され,
中間マネージャ72は,前記センターシステム2に該当し,ビジュアルプログラミングツールを用いてプロトコルシステムとして作成されていて,
中間マネージャ72に対しクライアントの位置にあるシステムをマネージャ71と記し,
中間マネージャ72とSNMP装置との間の通信網管理プロトコルには,SNMPが用いられ,
SNMP装置としては,ルータが用いられ,
中間マネージャのプロトタイプの一実施例では,中間マネージャ72はグループAを備えて構成されており,グループAはSNMPによる情報取得機能とポーリング時間設定機能を実現するプログラムであり,SNMPのマネージャ機能を持つコンポネントウエアとしては,Senderコンポーネントウエア(以下,Senderと記す)を用意し,CORBAに準拠したサーバ機能を持つコンポーネントウエアおよびクライアント機能を持つコンポーネントウエアとしては,マネージャからの要求を受け付けるCorbaServerコンポーネントウエアを用い,その他のコンポーネントウエアとしてSnmpGetがあり,
CorbaServerは,CORBA(IIOP)を介してマネージャ71の要求を受け,マネージャ71に対して応答を返すコンポーネントウエアであり,
CorbaServer は,マネージャから指定されたSNMP管理対象に対応するstring型データを取得するためのグループAのコンポーネントウエアVJStrGetter1に接続され,マネージャからの要求に応じてSNMP管理情報の取得対象の設定をし,
グループAにおいて,SenderはイベントオブジェクトからString型のデータを抽出し,そのString型のデータが表すIPルータをホスト名とし,取得属性,リトライ回数,リトライインターバル等の設定を持つイベントオブジェクトを作成し,
SnmpGetはSenderで作成されたイベントオブジェクトをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容をパラメータとして用い,当該IPルータに対して通過IPパケット量取得操作を行う技術。」

2.引用文献2について
ア 平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2013-171322号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

B1 「【0018】 図2は、実施形態にかかるプラント運転支援装置100のブロック構成を示した図である。プラント運転支援装置100は、制御部200と、ロジック記憶部202と、実行順序記憶部203と、を備えている。」

B2 「【0019】 本実施形態のプラント運転支援装置100の制御部200は、図示しない記憶装置に格納されているプラント運転支援プログラムを実行し、RAM上に展開することでロジック編集部201と、ロジック実行部204と、によるソフトウェア構成として実現する。なお、本実施形態では、ロジック編集部201と、ロジック実行部204と、をソフトウェア構成で実現したが、ハードウェア資源を用いて実現しても良い。」

B3 「【0031】図2に戻り、ロジック編集部201は、表示部211と、操作受付部212と、位置設定部213と、接続設定部214と、を備え、プラント運転の支援を行うために必要な診断ロジックデータの編集を行うための構成とする。」

B4 「【0034】 操作受付部212は、入力デバイス252(例えばマウス、タブレット、又はタッチパッド等)を介して、ユーザからの操作を受け付ける。例えば、操作受付部212は、表示部211に表示されたグリッド上の各欄に対して、ツールボックスから、ロジックブロックを割り当てる操作を受け付ける。」

B5 「【0036】 本実施形態では、操作受付部212が、ユーザが操作する入力デバイス252を介して、ツールボックス500から、ロジックブロックのボタン(例えば、ボタン503、504)の選択操作を受け付ける。そして、選択操作を受け付けた場合に、グリッド上の配置したい欄(例えば欄501、502)の選択を受けつける。これにより、当該欄にロジックブロックを配置することを可能とする。そして、操作受付部212がツールボックス500でボタン511又はボタン512の押下を受けた場合に、表示部211は、ツールボックス500に、異なる種類のロジックブロックを表示する。」

B6 「【0044】 接続設定部214は、ロジックブロック間の接続関係を、ロジック記憶部202に対して設定する。本実施形態では、ロジックブロック毎に、処理結果の取得先となる他のロジックブロックの位置を設定する。」

B7 「【0045】ロジック記憶部202は、グリッドに配置されたロジックブロック毎の情報を保持する。図10は、ロジック記憶部202のテーブル構造を示した図である。図10に示すように、ロジック記憶部202は、ロジックブロック毎に、当該ロジックブロックの処理名、処理内容、パラメータ、位置、及び処理結果取得先を対応付けて記憶する。このように、ロジック記憶部202は、ロジック編集部201を用いてユーザに編集された診断ロジックデータについて、当該診断ロジックデータを構成するロジックブロック毎の位置及び接続関係を記憶する。」

B8 「【0051】ロジック実行部204は、実行順序記憶部203に記憶された順序に従って、グリッド上の各欄に割り当てられたロジックブロックで示された各処理を行う。そこで、本実施形態にかかるロジック実行部204は、ロジック記録部202からロジックブロックの処理内容、パラメータ、位置、及び処理結果取得先を読み出す。読み出した後、ロジック実行部204は、実行順序記憶部203に記憶された、各欄の順序に従って、当該欄に配置された各ロジックブロックが示す処理を実行する。また、ロジック実行部204は、各欄に配置されたロジックブロックの処理を行う際に、矢印で接続された取得先で行われた処理結果を取得する制御を行う。さらに、ロジック実行部204は、ロジックブロックで示された出力先のプラントを制御してもよい。」

イ 上記B1ないしB8に記載された事項を踏まえると,引用文献2には,以下の技術的事項が記載されているものと認められる。

「ロジックブロックの選択操作を受け付ける操作受付部と,
ロジックブロック間の接続関係を,ロジック記憶部に対して設定する接続設定部と,
実行順序記憶部に記憶された順序に従って,ロジックブロックで示された各処理を行うロジック実行部
を備えるプラント運転支援装置。」

3.引用文献3について
ア 平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献3(特開2012-147188号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

C1 「【0012】図1は、本発明の一実施の形態に係るゲートウェイ1を含む通信システムの概略構成図である。」

C2 「【0013】 図示するように、本実施の形態に係るゲートウェイ1は、配下のLAN2に接続されている呼制御サーバ4、IP電話機5等をWAN(IP網)3に接続する一般的なゲートウェイとしての機能、ISDNあるいはアナログの電話機7を収容する主装置6をWAN3に接続するVoIP(Voice over IP)ゲートウェイとしての機能、およびDHCP(Dynamic Host Configration Protocol)サーバとしての機能に加え、配下の通信装置(呼制御サーバ4、IP電話機5、主装置6)の保守機能を有する。この保守機能により、ゲートウェイ1は、配下の通信装置4?6毎に、WAN3を介して保守プログラムサーバ8から、その通信装置4?6を保守対象とする保守プログラムをダウンロードして実行し、その実行結果を、WAN3を介して保守端末9に通知する。なお、主装置6は、ゲートウェイ1による保守作業を受けるために、LAN2に接続されている。」

イ 上記C1及びC2に記載された事項を踏まえると,引用文献3には,以下の技術的事項が記載されているものと認められる。

「保守端末と,保守プログラムサーバと,ゲートウェイを,同一のIP網に接続する通信システム。」

4.引用文献4について
ア 平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2014-216681号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

D1 「【0016】(A)実施形態の構成の説明
図1は、本発明の実施形態に係るネットワークシステムの構成例を示す図である。この図に示すように、ルータ10-1?10-3および自動保守サーバ40を少なくとも有している。ルータ10-1?10-3は、ネットワーク60を介して自動保守サーバ40との間で情報の授受が可能な態様で接続されている。また、図1の例では、自動保守サーバ40に記憶されている情報を変更する際の端末である運用保守端末70が接続されている。」

D2 「【0020】運用保守端末70は、自動保守サーバ40に新たに情報を格納したり、格納されている情報を更新したりする場合に操作される端末である。なお、図1では、運用保守端末70は、ネットワーク60に接続されているが、自動保守サーバ40にアクセス可能であれば、ネットワーク60以外(例えば、自動保守サーバ40が接続されているLAN等)に接続するようにしてもよい。」

イ 上記D1及びD2に記載された事項を踏まえると,引用文献4には,以下の技術的事項が記載されているものと認められる。

「運用保守端末と,自動保守サーバと,ルータを,同一のネットワークに接続するネットワークシステム。」

5.引用文献5について
ア 平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献5(特開2006-148804号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

E1 「【0009】例えば、宅外ネットワーク上のトランスポートプロトコルとして、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)を利用する場合、ゲートウェイ装置上にはHTTPサーバが搭載されており、宅外ネットワーク上の操作端末は、HTTPのGETあるいはPOSTメソッドで制御命令をゲートウェイ装置上の遠隔制御用プログラムに対して送信する。この遠隔制御用プログラムは、URL(Uniform Resource Locator)によって一意に識別されるものであり、実体はCGI(Common Gateway Interface)やJava Servlet等である。ゲートウェイ装置上の前記遠隔制御用プログラムは、受信したHTTPリクエストから制御命令を取得して、ターゲットの宅内機器を認識し、この宅内機器が準拠している制御プロトコルに制御命令を変換し、送信する。ターゲット機器は、受信した制御命令パケットを処理し、その処理結果をゲートウェイ装置上の前記遠隔制御用プログラムに対して、制御プロトコルに基づいて応答する。この応答結果を、ゲートウェイ装置が宅外ネットワーク上の制御命令を送信した操作端末に対して、HTTPレスポンスとして返す。以上の手順により、宅外ネットワーク上の操作端末から宅内ネットワーク上の電子機器の制御が実現される。このHTTPを用いた例は、従来のインターネット利用形態に即したものと言えるが、ゲートウェイ装置は、宅外ネットワーク上の任意の操作端末からの一方的な要求に対して、サービスを受け入れるために、当該サービス受付のためにポートを開けて待つ必要があり、そのままではセキュリティ上問題がある。また、新たな機器や制御プロトコルに対応するためにはHTTPサーバ上のアプリケーションを変更する必要があり、拡張性に乏しい点も否めない。」

E2 「【0039】図2に示すとおり、機器情報としては、機器の表示名、機器にアクセスするための外部アドレス(識別情報生成手段103によって生成されたGRUU)、機器にアクセスするための内部アドレス(Contact URI)、AOR、機器固有の識別子、及び対応する制御プロトコル(機器が属するリソースリスト)の情報が含まれる。このほかにも、位置情報などの付加的な情報を加えてもよい。」

イ 上記E1及びE2に記載された事項を踏まえると,引用文献5には,以下の技術的事項が記載されているものと認められる。

「操作端末から,URLによって一意に識別されるゲートウェイ装置上の遠隔制御用プログラムに対して制御命令を送信し,ゲートウェイ装置上の遠隔制御用プログラムは,制御命令からターゲットの宅内機器を認識し,宅内機器を遠隔制御する技術。」

6.引用文献6について
ア 平成31年4月26日付けの拒絶の理由に引用された引用文献6(特開2016-76150号公報)には,図面とともに以下の技術的事項が記載されている。
(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。)

F1 「【0044】 なお、画面特定部11は、保守用端末1に表示された各アプリ画面のうち、操作対象画面を1つ特定するが、OS20の起動直後は、操作対象アプリ30が起動されていないので、操作対象のアプリ画面がない。そこで、画面特定部11は、操作対象のアプリ画面がない場合には、画面情報生成部14に対して、初期画面生成指示を出力する。画面情報生成部14は、初期画面の画面レイアウト情報として、起動するアプリ一覧を操作端末2に送信する。」

F2 「【0046】このとき、操作・表示部22は、保守アプリ起動ボタンとして、起動するアプリ一覧を画面に表示し、ボタンが押下された場合に、画面操作イベント情報として、同ボタンに対応する実行ファイル名を保守用端末1に送信する。これに対して、アプリ画面操作部16は、実行ファイル名を受信すると、OS20に対して同実行ファイルの起動を指示する。」

イ 上記F1及びF2に記載された事項を踏まえると,引用文献6には,以下の技術的事項が記載されているものと認められる。

「保守用端末から操作端末へ,保存かつ起動するアプリ一覧を送信し,当該アプリ一覧を,操作端末の操作・表示部に表示する技術。」

第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。

ア 引用発明の「コンポーネントウェアCW」は,「ソフトウェア部品」であることから,本願発明1の「プログラムモジュール」に相当する。

イ 引用発明の「SNMP装置」は,「ルータが用いられ」るところ,ルータが電子機器であることは明らかであるので,本願発明1の「電子機器」に相当する。

ウ 引用発明の「マネージャ71」は,「中間マネージャ72に対しクライアントの位置にあるシステム」であるところ,クライアントを端末装置で構成することは当業者にとって周知の事項であることから,本願発明1の「端末装置」に相当するといえる。

エ 引用発明の「中間マネージャ72」は,「前記センターシステム2に該当」するところ,センターシステム2とは,「複数の通信装置オペレーションシステムの中央監視・制御を行うセンターシステム」であり,中央監視・制御を行うために情報処理を行うことは明らかであるので,本願発明1の「情報処理装置」に相当するといえる。

オ 上記アでの認定に加え,引用発明の「コンポーネントウェアが集められるパレット21中のコンポーネントウェアは表示画面に表示され、エディタはこの表示画面を見ながら編集を行い,
ネットワーク管理システムを構築する第2段階では,パレットから取り出したコンポーネントウエアを繋ぎ合わせるためのキャンバス31という表示画面が使用され、そこで実際に接続の作業が行われ」る点は,ソフトウェア部品であるコンポーネントウェアが集められることから,複数のコンポーネントウェアが集められていると認められるところ,「コンポーネントウェアを繋ぎ合わせるためのキャンバス31で実際に接続の作業」を行うには,接続の対象となるコンポーネントウェアを選択させる必要があることは明らかであるので,本願発明1の「複数のプログラムモジュールを選択させる」点に相当するといえる。

カ 引用発明の「中間マネージャ72とSNMP装置との間の通信網管理プロトコルには,SNMPが用いられ」る点は,通信網管理プロトコルを用いるには,通信網(すなわちネットワーク)に接続される必要があることは明らかであるので,本願発明1の「ネットワークに接続され」る点に相当する。

キ 引用発明の「SNMP装置」は,「SNMP装置としては、ルータが用いられ」るところ,本願の発明の詳細な説明における【0015】には,電子機器102として,ルータがネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスとして挙げられていることから,本願発明1の「前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器」に相当する。

ク 引用発明の「グループAにおいて,SenderはイベントオブジェクトからString型のデータを抽出し、そのString型のデータが表すIPルータをホスト名とし、取得属性、リトライ回数、リトライインターバル等の設定を持つイベントオブジェクトを作成し,
SnmpGetはSenderで作成されたイベントオブジェクトをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容をパラメータとして用い,当該IPルータに対して通過IPパケット量取得操作を行う」点について,「IPルータ」とはルータに他ならないところ,「通過IPパケット量取得」 は,上記カでの認定,上記キでの認定より,中間マネージャ72とルータが用いられるSNMP装置との通信網管理プロトコルを介して行われるものと認められ,本願の発明の詳細な説明における【0017】によると,遠隔制御とはステータスを確認することも含むと認められるから,引用発明の「SnmpGetはSenderで作成されたイベントオブジェクトをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容をパラメータとして用い,当該IPルータに対して通過IPパケット量取得操作を行う」点は,本願発明1の「遠隔制御」に相当する。

ケ 上記クでの認定から,引用発明の「グループA」は,「SNMPによる情報取得機能とポーリング時間設定機能を実現するプログラム」であるので,本願発明1の「遠隔制御するためのソフトウェアプログラム」に相当する。

コ 上記ケでの認定に加え,引用発明の「グループA」は,「中間マネージャ72はグループAを備えて構成されて」いるところ,「中間マネージャ72は,」「ビジュアルプログラミングツールを用いてプロトコルシステムとして作成されて」おり,ビジュアルプログラミングツールとは,「デザインウインドウ上でコンポーネントウエアを接続して構築」するものであるところ,接続の対象となるコンポーネントウェアを選択させる必要があることは明らかであるので,引用発明の「グループA」は,本願発明1の「選択されたプログラムモジュールを組み合わせて作成し」たものに相当する。

サ 引用発明は,「ネットワーク管理システムを構築する第3段階では,繋いだコンポーネントウェアは,センターシステム2内部で動作させる部分」「に分けて」「データ格納部51」「に保存」しているので,上記カの認定ないし上記コの認定と合わせ,引用発明の「前記センターシステム2に該当」する「中間マネージャ72」は,本願発明1の「ネットワークに接続され、前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器を遠隔制御するためのソフトウェアプログラムを、選択されたプログラムモジュールを組み合わせて作成し、保存する作成手段」に相当する構成を有しているといえる。

シ 引用発明は,「中間マネージャ72とSNMP装置との間の通信網管理プロトコルには,SNMPが用いられ」ることから,上記イの認定,上記エの認定と合わせ,引用発明の「中間マネージャ72のプロトタイプ」は,本願発明1と「前記電子機器」「と通信可能であ」る点で一致するといえる。

ス 引用発明は,「CorbaServerは,CORBA(IIOP)を介してマネージャ71の要求を受け,マネージャ71に対して応答を返すコンポーネントウエアであ」るところ,「マネージャ71の要求を受け,マネージャ71に対して応答を返す」には通信が必要になることは明らかであるから,上記ウの認定と合わせ,引用発明の「中間マネージャ72のプロトタイプ」は,本願発明1の「端末装置と通信可能であ」る点で一致するといえる。

セ 引用発明の「CorbaServer は,マネージャから指定されたSNMP管理対象に対応するstring型データを取得するためのグループAのコンポーネントウエアVJStrGetter1に接続され,マネージャからの要求に応じてSNMP管理情報の取得対象の設定を」する点について,「マネージャ」とは,上記ウで認定したマネージャ71を指すものと認められるので,上記ケでの認定と合わせ,引用発明の「中間マネージャ72のプロトタイプ」は,本願発明1の「前記端末装置から前記ソフトウェアプログラムの実行要求を受信した場合」に相当する構成を有しているといえる。

ソ 上記クでの認定,上記ケでの認定に加え,引用発明は,「SnmpGetはSenderで作成されたイベントオブジェクトをトリガーとしてsenderから受け取ったイベントオブジェクトの内容をパラメータとして用い,当該IPルータに対して通過IPパケット量取得操作を行う」ところ,当該操作を行うためにはコンポーネントウェアである「SnmpGet」を実行することは明らかであり,グループAにSnmpGetが含まれることから,引用発明の「中間マネージャ72のプロトタイプ」は,本願発明1の「前記ソフトウェアプログラムを実行して前記電子機器を遠隔制御する実行手段」に相当するといえる。

タ 以上から,本願発明1と引用発明とは,次の一致点,相違点があるといえる。

(一致点)
複数のプログラムモジュールを選択させることに応じて,
ネットワークに接続され、前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器を遠隔制御するためのソフトウェアプログラムを、選択されたプログラムモジュールを組み合わせて作成し,保存する作成手段と,
前記電子機器及び端末装置と通信可能であって、前記端末装置から前記ソフトウェアプログラムの実行要求を受信した場合に、前記ソフトウェアプログラムを実行して前記電子機器を遠隔制御する実行手段
を備える情報処理装置。

(相違点1)
本願発明1は,「選択手段」を,「情報処理装置」が備えるのに対して,引用発明は,「選択手段」を,中間マネージャ72が備えることは明記されていない点。

(相違点2)
本願発明1は,「保存されているソフトウェアプログラムを一覧表示するための表示データを出力する出力手段」を備えるのに対して,引用発明は,そのような出力手段を備えることが明記されていない点。

(相違点3)
本願発明1は,「情報処理装置」が「前記ネットワークを介して前記電子機器及び端末装置と通信可能」であるのに対して,引用発明は,中間マネージャ72が,CORVAを介してマネージャ71と、SNMPを介してSNMP装置と通信可能であるものの,マネージャ71,中間マネージャ72及びSNMP装置が同一ネットワーク上に接続されていない点。

(相違点4)
本願発明1は,「前記端末装置は,前記実行要求を送信するときに前記ソフトウェアプログラムにアクセスするためのURLが入力され,該実行要求は前記電子機器のアドレスを含む」のに対して,引用発明は,ソフトウェアプログラムにアクセスするためのURLの入力や電子機器のアドレスを含む点につき,特に明記されていない点。

(相違点5)
本願発明1は,「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」のに対して,引用発明は,表示データに基づき、保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者、更新日時、及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する点につき,特に明記されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み,先に相違点5について検討する。
相違点5に係る本願発明1の「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」点について,該点における「前記保存されているソフトウェアプログラム」が,本願発明1における「前記ネットワーク間の接続を行うネットワークデバイスである電子機器を遠隔制御するためのソフトウェアプログラム」であることは,上記引用文献1-6には記載されておらず,本願出願日前において周知技術または技術常識であるともいえない。
したがって,他の相違点について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても引用発明,引用文献2-6に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2 本願発明2及び本願発明3について
本願発明2及び本願発明3も,本願発明1の「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」と同一の構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2-6に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3 本願発明4について
本願発明4は,本願発明1に対応するプログラムの発明であり,本願発明1の「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」点に対応する構成を備えるものであるから,上記「1 本願発明1について」と同じ理由により,当業者であっても引用発明,引用文献2-6に記載された技術的事項及び当業者の周知技術または技術常識に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第7 原査定について
理由1(特許法第29条第2項)について

令和元年6月19日付けの補正により,本願発明1-4は,「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」という技術的事項を有するものとなった。
当該「前記端末装置は,前記表示データに基づき,前記保存されているソフトウェアプログラムに該ソフトウェアプログラムの作成者,更新日時,及びアクセスするためのリンクが対応付けられた一覧リストを表示する」点は,原査定における引用文献1及び引用文献2には記載されておらず,本願出願日前における周知技術または技術常識ともいえないので,本願発明1-4は,当業者であっても,原査定において引用された引用文献1及び引用文献2に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由1を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-25 
出願番号 特願2016-136023(P2016-136023)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 杉浦 孝光木村 貴俊  
特許庁審判長 田中 秀人
特許庁審判官 山崎 慎一
松平 英
発明の名称 情報処理装置及びプログラム  
代理人 江口 昭彦  
代理人 内藤 和彦  
代理人 大貫 敏史  
代理人 稲葉 良幸  

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