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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G09F |
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管理番号 | 1355214 |
審判番号 | 不服2018-12188 |
総通号数 | 239 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-11-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-09-11 |
確定日 | 2019-10-01 |
事件の表示 | 特願2017-193466「情報表示物ホルダ及び環状体整列装置」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 4月25日出願公開、特開2019- 66729、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成29年10月3日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年12月26日付け:拒絶理由通知書 平成30年 2月 1日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年 2月13日付け:拒絶理由通知書(最後の拒絶理由通知)) 平成30年 3月15日 :意見書、手続補正書の提出 平成30年 6月14日付け:拒絶査定 平成30年 9月11日 :審判請求書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成30年6月14日付け)の概要は次のとおりである。 本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1、2に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2004-212810号公報 引用文献2:特開2008-183206号公報 第3 本願発明 本願の請求項1?3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明3」という。)は、平成30年3月15日に手続補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 鉛直方向に積層された複数の環状体の少なくとも1つの環状体の外周面に配置されるとともに、前記環状体に関する情報が表示された情報表示物が装着される情報表示物装着部と、 前記情報表示物装着部に設けられ、前記複数の環状体のうちの隣り合う2つの環状体に挟まれて前記情報表示物装着部を支持する1つの情報表示物装着部支持部と、 前記情報表示物装着部支持部に設けられ、前記隣り合う2つの環状体の少なくとも一方の環状体の中心孔に入り込み、前記隣り合う2つの環状体間からの前記情報表示物装着部支持部の抜けを妨げるストッパ部と を備え、 前記情報表示物装着部が板状であり、 前記情報表示物装着部支持部が前記情報表示物装着部に対して垂直に折れ曲がり、 前記ストッパ部が山形に折れ曲がり、 前記ストッパ部の先端部が、前記情報表示物装着部支持部に形成された孔の内周面に引っ掛かり、 前記情報表示物装着部と前記情報表示物装着部支持部と前記ストッパ部とが、1つのプラスチックダンボールを切り起こし加工して一体に形成され、 前記環状体が自動車用タイヤである ことを特徴とする情報表示物ホルダ。 【請求項2】 前記環状体に関する情報が少なくとも前記自動車用タイヤの商品名、価格である ことを特徴とする請求項1に記載の情報表示物ホルダ。 【請求項3】 請求項1又は2のいずれか1項に記載の情報表示物ホルダと、 前記鉛直方向に積層された複数の環状体の中心孔にその中心軸方向へ移動可能に収容される円筒体とを備え、 前記円筒体が前記情報表示物装着部支持部と前記ストッパ部とを受け容れる孔を有している ことを特徴とする環状体整列装置。」 第4 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載及び引用発明 (1)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。以下、同様。)。 ア 「【0004】 【発明の概要】 本発明によるタイヤ装着広告プレートは、自動車用タイヤのトレッド一部に嵌まり該トレッドを露出させる開口を有する広告板部;及びタイヤ露出開口のタイヤトレッド幅方向の両側縁部に連なり、タイヤ露出開口から露出するトレッドの背面のホイル装着穴内において互いに結合される結合手段;を有し、タイヤ露出開口の大きさは、広告板部がタイヤトレッドの接平面近傍に位置し、別のタイヤをほぼ同軸上に隣接させることができる大きさであることを特徴としている。 【0005】 このようなタイヤ装着広告プレートによると、そのタイヤ露出開口からタイヤトレッドが露出するので、トレッド模様と広告プレートを組み合わせた広告効果を得ることができる。また、広告プレートを装着したタイヤを縦置き、横置きのいずれにおいても、隣接するタイヤに重ねることができるため、スペース効率がよい。」 イ 「【0009】 【発明の実施形態】 図1は、本発明によるタイヤ装着広告プレート10の平面(展開)形状を示している。この広告プレート10は、形状を維持できる硬さと折曲可能な柔軟さを合わせ持つ硬質紙またはプラスチックシートからなるもので、全体として矩形をなす広告板部11の略中心に、上下一対の互いに平行な切断線12が形成され、この上下の切断線12の左右端部が、該切断線12と直交する折曲線13で接続されている。左右の折曲線13の間には、該折曲線13と平行な分断線14が形成されていて、この左右の折曲線13と分断線14により、左右のタイヤ側面リップ15が形成されている。左右の折曲線13に沿って、分断線14で分断されている左右のタイヤ側面リップ15を同一方向に折り曲げると、上下の切断線12とタイヤ側面リップ15(折曲線13)により、略矩形のタイヤ露出開口16(図2ないし図6参照)が形成される。図1の実線は、広告板部11の輪郭を描く実線を除いて、切断線または分断線を示し、同破線は折曲線を示している。」 ウ 「【0010】 左右のタイヤ側面リップ15から広告板部11に渡らせて、それぞれ結合腕17A、17Bが形成されている。結合腕17A、17Bは、切断線12と平行な方向に延びていて、タイヤ側面リップ15内に位置する折曲線18によって該タイヤ側面リップ15と接続されている。結合腕17Aには、複数の係止穴19が形成されており、結合腕17Bの幅方向の両側には、いずれかの係止穴19に挿入される両側鋸歯状部20が形成されている。」 エ 「【0011】 広告板部11の表面には、価格、性能その他の広告表示21(図2、図4)が付されている。」 オ 「【0013】 結合腕17Aと17Bは、折曲線18で折り曲げたとき、タイヤ30の大小に拘わらず、ホイル装着穴32内で、結合腕17Bの先端部を結合腕17Aのいずれかの係止穴19に挿入して結合できる長さである。結合腕17Bは鋸歯状部20を有するため、いずれかの鋸歯状突起の爪をいずれかの係止穴19に係止することができる。」 カ 「【0014】 上記構成の本タイヤ装着広告プレート10は従って、広告板部11の表面に必要な広告表示21を付した後、図4に示すように、折曲線13に沿って左右のタイヤ側面リップ15を同一方向に折り曲げ、さらに、折曲線18に沿って結合腕17Aと17Bを折り曲げる。タイヤ側面リップ15を折り曲げたことで形成されるタイヤ露出開口16内にタイヤ30のトレッドを嵌め、タイヤ30のホイル装着穴32内で結合腕17Aと17Bを結合する(図3、図4、図5)ことにより、タイヤ装着広告プレート10をタイヤ30に装着することができる。図2は単一のタイヤ30に本広告プレート10を装着した状態、図6の(A)、(B)は別のタイヤと組み合わせた異なる陳列態様を示している。いずれの態様でも、タイヤ装着広告プレート10の中心部のタイヤ露出開口16からタイヤトレッド31が露出するので、トレッド模様と広告プレート10が組み合わされて、宣伝効果を高めることができる。また、タイヤ露出開口16の大きさは、広告板部11がタイヤトレッド31の接平面近傍に位置し、別のタイヤをほぼ同軸上に隣接させることができる大きさであるので、他のタイヤの邪魔になることがない。なお、結合腕17A、17Bの折曲線18に沿う折曲方向は、図示例とは逆にしてもよい。」 キ 前記記載事項ア、エ及びカ、並びに図2、図6(B)の図示内容によると、広告板部11は、横置きで隣接する複数のタイヤ30のうちのタイヤ30のタイヤトレッド31の接平面近傍に位置し、表面に、価格、性能その他の広告表示21が付されていること、及び板状であることが理解できる。 ク 前記記載事項カ、並びに図3及び図5の図示内容によると、左右のタイヤ側面リップ15は、広告板部11から折曲線13に沿って折り曲げられていること、及び広告板部11に対して垂直に折れ曲がっていることが理解できる。 ケ 前記記載事項ア及びカ、並びに図3、図5及び図6(B)の図示内容によると、左右のタイヤ側面リップ15は、横置きで隣接する複数のタイヤ30のうちの隣り合う2つのタイヤ30に挟まれていることが理解できる。 コ 前記記載事項ウ及びオ、並びに図3及び図5の図示内容によると、2つの結合腕17A、17Bは、折曲線18によって左右のタイヤ側面リップ15と接続され、タイヤ30のホイル装着穴32内で結合されること、及び一方の結合腕17Bの幅方向両側に形成された両側鋸歯状部20のいずれかの鋸歯状突起の爪を他方の結合腕17Aに形成された複数の係止穴19のいずれかの係止穴19に係止することによってホイル装着穴32内で結合されことが理解できる。 サ 前記記載事項イ及びウ、並びに図1及び図4の図示内容によると、広告板部11と左右のタイヤ側面リップ15と結合腕17A、17Bとが、プラスチックシートを折り曲げて一体に形成されていることが理解できる。 (2)引用発明 したがって、前記引用文献1の前記記載事項ア?サ及び図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「横置きで隣接する複数のタイヤ30のうちのタイヤ30のタイヤトレッド31の接平面近傍に位置し、表面に、価格、性能その他の広告表示21が付されている広告板部11と、 前記広告板部11から折曲線13に沿って折り曲げられ、前記複数のタイヤ30のうちの隣り合う2つのタイヤ30に挟まれている左右のタイヤ側面リップ15と、 折曲線18によって前記左右のタイヤ側面リップ15と接続され、前記タイヤ30のホイル装着穴32内で結合される2つの結合腕17A、17Bと を備え、 前記広告板部11が板状であり、 前記左右のタイヤ側面リップ15が前記広告板部11に対して垂直に折れ曲がり、 前記2つの結合腕17A、17Bは、一方の結合腕17Bの幅方向両側に形成された両側鋸歯状部20のいずれかの鋸歯状突起の爪を他方の結合腕17Aに形成された複数の係止穴19のいずれかの係止穴19に係止することによって前記ホイル装着穴32内で結合され、 前記広告板部11と前記左右のタイヤ側面リップ15と前記結合腕17A、17Bとが、プラスチックシートを折り曲げて一体に形成され、 前記タイヤ30が自動車用タイヤである タイヤ装着広告プレート10。」 2 引用文献2の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された前記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。 (1)「【0006】 本発明は従来技術のこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホログラムを展示するためのスタンドの機能と保管用アルバムの機能を一体化させる事ができ、ホログラムを展示する場合には角度調整してホログラムを観察しやすい角度に飾ることが可能であり、ホログラムを展示しないときは、保管用のアルバムとして機能することができるホログラムスタンドを提供するものである。」 (2)「【0011】 本発明は、前記支脚部が、前記支脚部と前記表示部の界面に対して平行な折曲線と、折曲線上から切起した突起を有し、前記台座部は前記突起を差込むことができる差込口を複数有することを特徴とするホログラムスタンドを提供する。」 (3)「【0019】 図1は本発明のホログラムスタンドの展開図であり、基材1が支脚部2とホログラム7を固定する表示部3と台座部4により構成されている。スタンドを組立てるときは、表示部3のホログラム固定面を基準面として基材1を山折りにし、支脚部2と台座部4を固定して図2に示すようなスタンドを組立てる。また収納するときは、図3および4に示すように表示部3のホログラム固定面を基準面として、支脚部2と台座部4を谷折にして表示部3を包みこむように収納する。以下に各部材ごとに詳細に説明する。 【0020】 (基材) 上述した基材1は、紙や各種プラスチック基材や金属基材あるいはこれらの積層基材を使用することができる。上述の基材の中では紙が質感や強度、加工性、コストの面でより好ましく用いられる。」 (4)「【0023】 (支脚部と台座部) 支脚部2は図2に示すようにスタンドを支える部位であり、また台座部4はスタンドの底面にあたる部位である。支脚部2と台座部4の固定方法としては、スタンドを安定して立てることができれば特に手段は限定されないが、特に以下のような固定手段を好ましく用いることができる。 【0024】 まず第1の固定手段しては、図8に記載されているように支脚部2に突起5を設け、一方台座部4には突起5に対応する差込口8を設け、図2のようにスタンドを組立てる際には支脚部2の突起5を台座部4の差込口8に差込んで固定する手段が挙げられる。このような固定手段を用いることにより、ホログラムスタンドを安定して立たせることができると共に、固定する際に接着剤等を用いていないので、必要に応じてスタンドを組立てたり、収納したりと自在に開閉が可能である。」 第5 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 以下、本願発明1と引用発明とを対比する。 引用発明の「タイヤ30」は、本願発明1の「環状体」に相当するから、引用発明の「横置きで隣接する複数のタイヤ30」は、本願発明1の「鉛直方向に積層された複数の環状体」に相当する。また、引用発明の「表面に、価格、性能その他の広告表示21が付されている」という事項は、表面に、タイヤ30に関する広告表示21が装着されているものと解されるから、引用発明の「広告表示21」及び「広告板部11」は、本願発明1の「情報表示物」及び「情報表示物装着部」に相当する。そして、引用発明の「タイヤトレッド31の接平面近傍に位置し」という事項は、タイヤ30の外周面の近傍に位置するものと解されるから、引用発明の「横置きで隣接する複数のタイヤ30のうちのタイヤ30のタイヤトレッド31の接平面近傍に位置し、表面に、価格、性能その他の広告表示21が付されている広告板部11」と、本願発明1の「鉛直方向に積層された複数の環状体の少なくとも1つの環状体の外周面に配置されるとともに、前記環状体に関する情報が表示された情報表示物が装着される情報表示物装着部」とは、「鉛直方向に積層された複数の環状体の少なくとも1つの環状体の外周面又はその近傍に配置されるとともに、前記環状体に関する情報が表示された情報表示物が装着される情報表示物装着部」である限りにおいて一致する。 引用発明の「タイヤ側面リップ15」は、本願発明1の「情報表示物装着部支持部」に相当し、引用発明の「前記広告板部11から折曲線13に沿って折り曲げられ、前記複数のタイヤ30のうちの隣り合う2つのタイヤ30に挟まれている左右のタイヤ側面リップ15」と、本願発明1の「前記情報表示物装着部に設けられ、前記複数の環状体のうちの隣り合う2つの環状体に挟まれて前記情報表示物装着部を支持する1つの情報表示物装着部支持部」とは、「前記情報表示物装着部に設けられ、前記複数の環状体のうちの隣り合う2つの環状体に挟まれて前記情報表示物装着部を支持する情報表示物装着部支持部」である限りにおいて一致する。 引用発明の「ホイル装着穴32」は、本願発明1の「中心孔」に相当し、引用発明の「折曲線18によって前記左右のタイヤ側面リップ15と接続され、前記タイヤ30のホイル装着穴32内で結合される2つの結合腕17A、17B」は、ホイル装着穴32に入り込み、左右のタイヤ側面リップ15が、隣接する複数のタイヤ30間から抜けることを妨げる機能を有するから、本願発明1の「前記情報表示物装着部支持部に設けられ、前記隣り合う2つの環状体の少なくとも一方の環状体の中心孔に入り込み、前記隣り合う2つの環状体間からの前記情報表示物装着部支持部の抜けを妨げるストッパ部」に相当する。 引用発明の「前記左右のタイヤ側面リップ15が前記広告板部11に対して垂直に折れ曲が」るという事項は、本願発明1の「前記情報表示物装着部支持部が前記情報表示物装着部に対して垂直に折れ曲が」るという事項に相当する。 引用発明の「前記広告板部11と前記左右のタイヤ側面リップ15と前記結合腕17A、17Bとが、プラスチックシートを折り曲げて一体に形成され」るという事項と、本願発明1の「前記情報表示物装着部と前記情報表示物装着部支持部と前記ストッパ部とが、1つのプラスチックダンボールを切り起こし加工して一体に形成され」るという事項とは、「前記情報表示物装着部と前記情報表示物装着部支持部と前記ストッパ部とが、1つのプラスチックシートを切り起こし加工して一体に形成され」る限りにおいて、一致する。 引用発明の「タイヤ装着広告プレート10」は、本願発明1の「情報表示物ホルダ」に相当する。 したがって、本願発明1と引用発明とは、 「鉛直方向に積層された複数の環状体の少なくとも1つの環状体の外周面又はその近傍に配置されるとともに、前記環状体に関する情報が表示された情報表示物が装着される情報表示物装着部と、 前記情報表示物装着部に設けられ、前記複数の環状体のうちの隣り合う2つの環状体に挟まれて前記情報表示物装着部を支持する情報表示物装着部支持部と、 前記情報表示物装着部支持部に設けられ、前記隣り合う2つの環状体の少なくとも一方の環状体の中心孔に入り込み、前記隣り合う2つの環状体間からの前記情報表示物装着部支持部の抜けを妨げるストッパ部と を備え、 前記情報表示物装着部が板状であり、 前記情報表示物装着部支持部が前記情報表示物装着部に対して垂直に折れ曲がり、 前記情報表示物装着部と前記情報表示物装着部支持部と前記ストッパ部とが、1つのプラスチックシートを切り起こし加工して一体に形成され、 前記環状体が自動車用タイヤである 情報表示物ホルダ。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 情報表示物装着部が配置される位置について、本願発明1は、環状体の「外周面」であるのに対し、引用発明は、タイヤ30のタイヤトレッド31の接平面近傍であるものの、タイヤ30の外周面といえるか明確でない点。 [相違点2] 情報表示物装着部支持部の数について、本願発明1は、「1つ」であるのに対し、引用発明は、左右に一対、設けられる点。 [相違点3] ストッパ部について、本願発明1は、「山形に折れ曲がり」、「先端部が、前記情報表示物装着部支持部に形成された孔の内周面に引っ掛か」るのに対し、引用発明は、2つの結合腕17A、17Bからなり、一方の結合腕17Bの幅方向両側に形成された両側鋸歯状部20のいずれかの鋸歯状突起の爪を他方の結合腕17Aに形成された複数の係止穴19のいずれかの係止穴19に係止することによってホイル装着穴32内で結合される点。 [相違点4] プラスチックシートについて、本願発明1は、プラスチックダンボールであるのに対し、引用発明は、ダンボールであるか明確でない。 (2)判断 事案に鑑みて、前記相違点3について、先に検討する。 引用文献2には、前記「第4」、「2」に記載のとおり、紙や各種プラスチック基材や金属基材からなり、支脚部2とホログラム7を固定する表示部3と台座部4とにより構成されている基材1を、表示部3のホログラム固定面を基準面として山折りにし、支脚部2と台座部4とを固定して組立てるものであって、支脚部2と台座部4の固定手段として、支脚部2に設けた突起5を、台座部4に設けた差込口8に差込んで固定する手段を備え、ホログラムを観察しやすい角度に飾ることを可能にしたホログラムスタンドが記載されている。そして、この引用文献2に記載された事項において、基材1を、表示部3のホログラム固定面を基準面として山折りにし、支脚部2と台座部4とを固定して組立てたものは、1つの基材1を折り曲げ、山形に形成したものであり、その形状だけみると、本願発明1のストッパ部と類似しているといえなくもないが、この山形に形成された箇所が、何らかの部材の孔に入り込むものでもなければ、また、この山形に形成された箇所により、何らかの部材の抜けを妨げるものでもない。 そして、引用発明と引用文献2に記載された事項とは、引用発明がタイヤに装着して用いる広告プレートに関するものであるのに対し、引用文献2に記載された事項は、ホログラムスタンドに関するものであって、発明の属する技術分野が大きく異なる。また、引用発明の2つの結合腕17A、17Bは、タイヤ30のホイル装着穴32内で結合されることにより、タイヤ装着広告プレート10をタイヤ30に装着するものであるのに対し、引用文献2に記載された事項の山形に形成された箇所は前記したとおりのものであるから、両者の作用・機能は全く異なるものである。 そうすると、当業者といえども、引用発明の2つの結合腕17A、17Bに代えて、引用文献2に記載されたホログラムスタンドの山形に形成された箇所の適用を試みる動機付けは存在せず、本願発明1の前記相違点3に係る発明特定事項とすることを容易に想到できるものではない。 したがって、本願発明1は、相違点1、相違点2及び相違点4について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 2 本願発明2?本願発明3について 請求項2?3は請求項1を引用するものであり、本願発明2?本願発明3も、本願発明1の前記相違点3に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、本願発明2?本願発明3は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 第6 原査定について 本願は審判請求と同時に手続補正がされておらず、原査定の対象となった請求項1及び請求項2に係る発明は、本願発明1及び本願発明2と一致している。 そして、前記「第5」に示したように、本願発明1及び本願発明2は、当業者であっても、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。 したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明1?本願発明3(請求項1?3に係る発明)は、当業者が引用発明及び引用文献2に記載された事項に基づいて、容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2019-09-17 |
出願番号 | 特願2017-193466(P2017-193466) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G09F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 柿沼 善一 |
特許庁審判長 |
佐々木 芳枝 |
特許庁審判官 |
柿崎 拓 長馬 望 |
発明の名称 | 情報表示物ホルダ及び環状体整列装置 |
代理人 | 特許業務法人井上国際特許商標事務所 |
代理人 | 木内 修 |