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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1355320
審判番号 不服2018-1843  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-09 
確定日 2019-10-15 
事件の表示 特願2013-225674「筋芽細胞増殖促進剤及びピント調整機能改善剤」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 86165、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 本願は、平成25年10月30日の出願であって、その請求項1に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由及び当審で通知した拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲 第1 手続の経緯
本願は、平成25年10月30日の出願であって、その経緯は以下の通りである。
平成28年10月12日付け 拒絶理由通知
平成28年12月12日受付 意見書・手続補正書
平成28年12月26日受付 刊行物提出
平成29年 5月30日付け 拒絶理由通知
平成29年 8月 4日受付 意見書・手続補正書
平成29年11月 2日付け 拒絶査定
平成30年 2月 9日受付 審判請求・手続補正書
平成30年 3月 5日受付 刊行物提出
平成30年 4月23日付け 前置報告
平成30年11月 1日付け 拒絶理由通知
平成30年12月28日受付 手続補正書
平成31年 3月13日付け 最後の拒絶理由通知
平成31年 4月11日受付 意見書・手続補正書


第2 原査定の概要
原査定(平成29年11月2日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、引用文献5-9に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧
5.小黒内科胃腸科医院の「栄養士による健康コラム 第7回秋の味覚、かきのもと」と題するブログ, 2010.10, [retrieved on 2017.05.18], retrieved from
the internet:
6.園学研, 2012, Vol.11, No.1, pp.1-11
7.特開2008-035714号公報(周知技術を示す文献)
8.国際公開第01/01798号(周知技術を示す文献)
9.眼科, 2012, Vol.54, No.7, pp.873-886(周知技術を示す文献)


第3 当審拒絶理由(平成30年11月 1日付け)の概要
平成30年11月1日付け当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、引用例5に開示された発明であり、また、引用例5に開示された発明、並びに、周知技術(要すれば、引用文献9、11?16等参照)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧
5.小黒内科胃腸科医院 栄養士による健康コラム 第7回秋の味覚、かきのもとと題するブログ、<http://www2.next.ne.jp/~dr-og/column/07.html>(2010年11月)
9.眼科, 2012, Vol.54, No.7, pp.873-886(周知技術を示すための文献)
11.Biosci. Biotech. Biochem., 1997, Vol.61, No.9, pp.1607-1608(周知技術を示すための文献、新たに引用した文献)
12.国際公開第2010/122850号(周知技術を示すための文献、新たに引用した文献)
13.食品と開発 vol.42 no.3、日本、2007発行、p.51-53(周知技術を示すための文献、新たに引用した文献)
14.食品工業 2013年5月30日号、日本、2013.05.30発行、p.87-93(周知技術を示すための文献、新たに引用した文献)
15.大空なんだの四方山話の「食欲の秋(郷土料理とクラシック♪)」と題する記事, 2012.10.7, <http://blogs.yahoo.co.jp/oozora_nanda/30603358>(2012年10月8日)(周知技術を示すための文献、新たに引用した引用例)
16.Progress in Medicine Vol.30 No.5、日本、2010.05.発行、p.1273-1276(周知技術を示すための文献、新たに引用した文献)


第4 当審拒絶理由(最後)の概要
平成31年3月13日付け当審拒絶理由(最後)の概要は次のとおりである。
本願の請求項1に係る発明は、引用例5に開示された発明であり、また、引用例5に開示された発明、並びに、周知技術(要すれば、引用文献9、11?16等参照)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引 用 文 献 等 一 覧
5.小黒内科胃腸科医院 栄養士による健康コラム 第7回秋の味覚、かきのもとと題するブログ、<http://www2.next.ne.jp/~dr-og/column/07.html>(2010年11月)
9.眼科, 2012, Vol.54, No.7, pp.873-886(周知技術を示すための文献)
11.Biosci. Biotech. Biochem., 1997, Vol.61, No.9, pp.1607-1608(周知技術を示すための文献)
12.国際公開第2010/122850号(周知技術を示すための文献)13.食品と開発 vol.42 no.3、日本、2007発行、p.51-53(周知技術を示すための文献)
14.食品工業 2013年5月30日号、日本、2013.05.30発行、p.87-93(周知技術を示すための文献)
15.大空なんだの四方山話の「食欲の秋(郷土料理とクラシック♪)」と題する記事, 2012.10.7, <http://blogs.yahoo.co.jp/oozora_nanda/30603358>(2012年10月8日)(周知技術を示すための文献)
16.Progress in Medicine Vol.30 No.5、日本、2010.05.発行、p.1273-1276(周知技術を示すための文献)


第5 本願補正発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、平成31年4月11日受付の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、本願補正発明は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
シアニジン3-o-(6’’-o-モノマロニル-β-D-グルコピラノシド)及びシアニジン3-o-(3’’,6’’-o-ジマロニル-β-D-グルコピラノシド)を含有する紫菊の花を有効成分とする筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)。」


第6 引用例、引用発明等
平成31年3月13日付け拒絶理由に引用された引用例5には、以下の開示がある。
1.「第7回 秋の味覚、かきのもと
秋も深まり、スーパーでも旬の味覚がたくさん並ぶようになってきました。秋の味覚といえば、栗やさつまいも、梨、ぶどうなどがありますが、新潟ならではの秋の味覚といえば食用菊の「かきのもと」。今回はこの「かきのもと」についてご紹介します。
(中略)
花を食べる習慣があるのは、新潟と山形だけで、山形では同じ品種の食用菊を「もってのほか」と呼びます。」

2.「かきのもとの栄養
かきのもとの栄養ですが、赤紫色の部分は「アントシアニン」という色素で、視力改善作用があります。茹でる時に少量の酢を加えるのは、この色を鮮やかに保つためです。また、抗炎症作用や発ガン予防効果のあるサポニンや食物繊維などの栄養も含まれています。

かきのもとのおいしい食べ方
かきのもとのおいしい食べ方は、やはりお浸しが素材の味を一番楽しめると思います。からし醤油やポン酢をかけて食べるかきのもとのお浸しは、まさに秋の味ですね。一生懸命花びらを摘んでも茹でるとあっという間にしぼんでしまうので、キャベツやもやしと混ぜたお浸しにすると量も増えて彩りも良いです。」

上記2.からみて、引用例5には、「視力改善作用を有するアントシアニンを含有するかきのもとを含む食品組成物」の発明(以下、「引用発明5」という。)が開示されていると認める。


第7 対比・判断
1.対比
本願補正発明と、引用発明5を対比する。
本願明細書の発明の詳細な説明の段落【0011】には、「この紫菊は、食すると長生きできるということから「延命薬」ともいわれ、山形県や新潟県等で栽培され、山形県では、「もってのほか」、新潟県では「かきのもと」の名で親しまれている。」と記載されている。上記第5の1.及び2.からみて、引用発明5の「かきのもと」は、山形では「もってのほか」と呼ばれる、赤紫色の花を食べる食用菊であるから、本願補正発明の「紫菊の花」に相当するものである。
すると、両者は、「アントシアニンを含有する紫菊の花を含む組成物」の点で一致し、
(ア)本願発明は、アントシアニンがシアニジン3-o-(6’’-o-モノマロニル-β-D-グルコピラノシド)及びシアニジン3-o-(3’’,6’’-o-ジマロニル-β-D-グルコピラノシド)であることが特定されているのに対して、引用発明5ではそのように特定されていない点、及び、
(イ)本願補正発明は、組成物の用途が「筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)。」であるのに対して、引用発明5では、かきのもとの赤紫色の部分である「アントシアニン」に視力改善作用があることが記載されているものの、組成物の用途を「筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)。」と特定していない点
で、相違するものである。

2.判断
以下、相違点について検討する。
(1)相違点(ア)について
上記アントシアニンの特定は、平成30年2月9日付手続補正により追加されたものである。
請求人が当該補正の根拠とする本願の出願時の明細書の発明の詳細な説明の段落【0021】には、いずれの化合物も記載されていない。この点につき、請求人は平成30年3月26日付審判請求書の手続補正書(方式)において、「段落【0021】に記載の化合物名について、誤記を訂正しました。菊花に含まれるアントシアニンが2種類であること、その化合物名が上記であることは国際公開第2010/122850号の段落[0007]等により支持され、本補正が誤記の補正であることは明らかです。」と主張している。
請求人も主張するとおり、紫菊の花がアントシアニンとして「シアニジン3-o-(6’’-o-モノマロニル-β-D-グルコピラノシド)及びシアニジン3-o-(3’’,6’’-o-ジマロニル-β-D-グルコピラノシド)」を含むことは、当該分野における技術常識であるから(要すれば、引用例11の左欄第1?下から17行、図、及び、引用例12の段落[0007]等参照)、当該記載の有無をもって、本願発明が引用発明5と異なるものとはいえない。

(2)相違点(イ)について
引用例15に「もってのほかは、お味だけでなく、もってのほか視力回復に効きます。」とあるように、本願出願時の技術常識に鑑みても、引用例5には、「かきのもとに含まれるアントシアニンに視力改善作用があること」、すなわち、引用発明5の食品組成物を視力改善作用のためのものとすることが開示されていたと認められる。

ここで、アントシアニンと視力改善の関係について、引用例9には、ブルーベリーアントシアニンにロドプシン再合成促進作用が見いだされると、それ以降ブルーベリーやカシスをはじめ、さまざまなアントシアニン素材について、視機能改善作用に関する研究報告がなされるようになったこと(p.873右欄下から8?3行)、暗順応改善作用(ロドプシンの再合成促進作用)について、ロドプシンの生成速度の中でも中間体を生成する初速度がシアニジン配糖体(Cy-3-glcおよびCy-3-rut)によって促進されること、及び、Cy-3-glcとDp-3-glcのような抗酸化力の比較的高いアントシアニンを豊富に含むビルベリーの果実から得た抽出物を濃縮加工し、アントシアニン含有量36%以上に規格化されたビルベリーエキスであるVMAを摂取することにより、眼精疲労による調節力の有意な改善および夜間視力の改善傾向が報告されていること(p.875右欄下から4行?p.876左欄下から5行、p.881左欄下から4?最終行)が記載されている。また、引用例13には、シアニジン-3-グルコシドを10%以上含有する黒大豆種皮エキス(クロマニン-10)が、眼のピント調節力、裸眼視力、目の疲れ、目の奥の痛みなど自覚症状において有意な改善をもたらすことが(p.53中欄第6?18行)、引用例14にも黒大豆種皮エキス(クロマニン-10)は、全体の10%以上がアントシアニンで構成され、さらにその殆どが有機成分シアニジン-3-グルコシドであり、その生理機能は、目に対する効果として、ピント調節機能、老眼、視力、眼精疲労、網膜の血流改善などの視機能の改善が挙げられ、臨床試験においてもクロマニン-10を配合したサプリメント(一粒中にクロマニン-10として120mg、アントシアニン量として12mg)の摂取により、ピント調節機能の向上と疲労耐性の向上が示唆されたこと(p.92右欄第1行?最終行)が記載されている。
このように、シアニジン-3-グルコシド骨格を有するアントシアニンを含有する組成物が、目のピント調節作用及び視力の回復や視力低下の防止作用等の視機能改善作用を有することは、当該分野における周知技術である(要すれば、引用例9、13、14等参照)。

さらに、「ピント機能調整」については、本願明細書の発明の詳細な説明の実施例2<目のピント調整機能の改善の有無に関する臨床試験>の記載によれば、目のピントを合いやすくし、長時間のデスクワーク時の目のぼやけを解消若しくはぼやける頻度を低下させ、長時間のデスクワーク後、遠くをみてもピントがすぐ合うように、または、夜間の視界を明るくする等の目の見えやすさを改善するものであるところ、これらの作用は、上述のとおり、紫菊の花と同様にシアニジン-3-グルコシド骨格を有するアントシアニンを含む組成物における視機能改善作用の態様として広く知られていたものである(要すれば、引用例9、13及び14等参照)。

しかしながら、本願補正発明は、「視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤が除かれた、筋肉代謝促進剤」に係るものである。
本願明細書の実施例1には、紫菊の花の粉末試料が、ラット骨格筋由来筋芽細胞の培養細胞の増殖をもたらしたことが記載されているところ、引用文献5には、引用発明5が骨格筋等の筋肉代謝促進作用を有することは記載されておらず、視力回復、視力低下の防止またはピント調節機能改善には様々な機構が関与していることは本願出願時の技術常識であり、視力回復、視力低下の防止またはピント調節機能改善機能を有する物質が、筋肉代謝促進作用を有することが技術常識からみて明らかとはいえない。
また、上記いずれの引用例にも紫菊の花が骨格筋由来の筋芽細胞の増殖や筋肉代謝の促進作用を有することは開示されておらず、紫菊の花がそのような作用を有することが、本願出願時の技術常識からみて明らかとも、予測し得るものともいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明5ではない。また、本願補正発明は、当業者が引用発明5及び周知技術(要すれば、引用例9、11、12?16等参照)に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。


第8 当審拒絶理由(平成30年11月 1日付け)についての判断
平成31年4月11日受付の手続補正により、補正後の請求項1は、「紫菊の花を有効成分とする筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)」という技術的事項を有するものとなった。
紫菊の花が、「筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)」の有効成分であることは、当審拒絶理由(平成30年11月 1日付け)における引用例5、9、11?16には記載されておらず、本願優先日当時の周知技術でもないため、本願補正発明は、引用例5ではなく、また、当業者であっても、当審拒絶理由(平成30年11月 1日付け)における引用例5及び周知技術(要すれば、引用例9、11?16)に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、当審拒絶理由(平成30年11月 1日付け)を維持することはできない。


第9 原査定の理由についての判断
紫菊の花が、「筋肉代謝促進剤(視力の回復や視力低下の防止またはピント調整機能改善のための剤を除く)」の有効成分であることは、原査定における引用例5?9には記載されておらず、本願優先日当時の周知技術でもないため、本願補正発明は、当業者であっても、原査定における引用例5?9に基づいて容易に発明できたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。


第10 むすび
以上のとおり、原査定の理由、当審からの拒絶理由(平成30年11月 1日付け)、または、当審からの最後の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-26 
出願番号 特願2013-225674(P2013-225674)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A61K)
P 1 8・ 113- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐々木 大輔  
特許庁審判長 滝口 尚良
特許庁審判官 井上 典之
光本 美奈子
発明の名称 筋芽細胞増殖促進剤及びピント調整機能改善剤  
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