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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60W
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60W
管理番号 1355345
審判番号 不服2018-13584  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-11 
確定日 2019-09-20 
事件の表示 特願2016-564531「ハイブリッド車の故障判定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月23日国際公開、WO2016/098227〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月18日を国際出願日とする出願であって、平成30年1月25日付け(発送日:同年1月31日)で拒絶理由が通知され、同年3月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年7月18日付け(発送日:同年7月25日)で拒絶査定がされ、これに対して同年10月11日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年10月11日付けの手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕
平成30年10月11日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前(平成30年3月27日の手続補正書)の請求項1に、
「【請求項1】
車両に搭載された内燃機関を所定の目標回転速度に制御してモータジェネレータを駆動して発電しながら、駆動用モータにより駆動輪を駆動して走行する第1の走行モードを有するハイブリッド車に備えられ、
前記内燃機関への燃料供給を停止するとともに駆動用バッテリから供給された電力により前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を前記所定の目標回転速度とは異なる目標回転速度となるよう強制回転させるモータリングを実行するモータリング実行部と、
前記内燃機関の排気成分を検出する第1の検出部と、
前記車両の走行速度を検出する第2の検出部と、
前記第1の走行モード中に当該第1の走行モードを中断して前記モータリング実行部により前記モータリングを実行し、前記内燃機関への燃料供給を停止した際の前記第1の検出部の検出値と前記モータリングが終了した後に前記燃料供給を再開した際の前記第1の検出部の検出値とに基づいて、前記第1の検出部を故障判定する故障判定部と、
前記第2の検出部により検出した前記走行速度が所定の閾値未満であることを条件に前記故障判定部による前記モータリングを規制するモータリング規制部と、
を備えたことを特徴とするハイブリッド車の故障判定装置。」
とあったものを、
「【請求項1】
車両に搭載された内燃機関を所定の目標回転速度に制御してモータジェネレータを駆動して発電しながら、前記内燃機関と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接するクラッチを切断した状態で駆動用モータにより駆動輪を駆動して走行する第1の走行モードを有するハイブリッド車に備えられ、
前記クラッチを切断した状態で前記内燃機関への燃料供給を停止するとともに駆動用バッテリから供給された電力により前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を前記所定の目標回転速度とは異なる目標回転速度となるよう強制回転させるモータリングを実行するモータリング実行部と、
前記内燃機関の排気成分を検出する第1の検出部と、
前記車両の走行速度を検出する第2の検出部と、
前記第1の走行モード中に当該第1の走行モードを中断して前記モータリング実行部により前記モータリングを実行し、前記内燃機関への燃料供給を停止した際の前記第1の検出部の検出値と前記モータリングが終了した後に前記燃料供給を再開した際の前記第1の検出部の検出値とに基づいて、前記第1の検出部を故障判定する故障判定部と、
前記第2の検出部により検出した前記走行速度が所定の閾値未満であることを条件に前記故障判定部による前記モータリングを規制するモータリング規制部と、
を備えたことを特徴とするハイブリッド車の故障判定装置。」
と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために請求人が付した。)。

上記補正は、第1の走行モードについて「前記内燃機関と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接するクラッチを切断した状態で」との限定を付し、「モータリングを実行する」について「前記クラッチを切断した状態で」との限定を付したものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 引用文献、引用発明
ア 引用文献1
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2014-172499号公報(公開日:平成26年9月22日))には、「ハイブリッド車の故障判定装置」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は理解の一助のために当審が付与した。以下同様。)。

(ア)「【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラグインハイブリッド車(以下、車両1という)の概略構成図である。
本実施形態の車両1は、エンジン2の出力によって前輪3を駆動して走行可能であるとともに、前輪3を駆動する電動のフロントモータ4(駆動用モータ)及び後輪5を駆動する電動のリヤモータ6(駆動用モータ)を備えた4輪駆動車である。
【0015】
エンジン2は、減速機7を介して前輪3の駆動軸8を駆動可能であるとともに、減速機7を介してモータジェネレータ9を駆動して発電させることが可能となっている。
フロントモータ4は、フロントインバータ10を介して、車両1に搭載された駆動用バッテリ11及びモータジェネレータ9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機7を介して前輪3の駆動軸8を駆動する。減速機7には、エンジン2の出力軸と前輪3の駆動軸8との間の動力の伝達を断接切換え可能なクラッチ7aが内蔵されている。
【0016】
リヤモータ6は、リヤインバータ12を介して駆動用バッテリ11及びモータジェネレータ9から高電圧の電力を供給されて駆動し、減速機13を介して後輪5の駆動軸14を駆動する。
モータジェネレータ9によって発電された電力は、フロントインバータ10を介して駆動用バッテリ11を充電可能であるとともに、フロントモータ4及びリヤモータ6に電力を供給可能である。
【0017】
駆動用バッテリ11は、リチウムイオン電池等の二次電池で構成され、複数の電池セルをまとめて構成された図示しない電池モジュールを有しており、更に、電池モジュールの充電率(State Of Charge、以下、SOC)等を監視するバッテリモニタリングユニット11aを備えている。
フロントインバータ10は、フロントモータコントロールユニット10aとジェネレータコントロールユニット10bを有している。フロントモータコントロールユニット10aは、ハイブリッドコントロールユニット20からの制御信号に基づきフロントモータ4の出力を制御する。ジェネレータコントロールユニット10bは、ハイブリッドコントロールユニット20からの制御信号に基づきモータジェネレータ9の発電量を制御する機能を有する。
【0018】
リヤインバータ12は、リヤモータコントロールユニット12aを有している。リヤモータコントロールユニット12aは、ハイブリッドコントロールユニット20からの制御信号に基づきリヤモータ6の出力を制御する機能を有する。
更に、モータジェネレータ9は、ハイブリッドコントロールユニット20からの制御信号に基づき、駆動用バッテリ11から電力を供給されて、エンジン2を駆動することが可能となっており、エンジン2のスタータモータとしての機能を有する。」

(イ)「【0021】
一方、ハイブリッドコンロトールユニット20の出力側には、フロントインバータ10のフロントモータコントロールユニット10aとジェネレータコントロールユニット10b、リヤインバータ12のリヤモータコントロールユニット12a、減速機7(クラッチ7a)、エンジンコントロールユニット22が接続されている。
そして、ハイブリッドコンロトールユニット20は、アクセル開度センサ40等の上記各種検出量及び各種作動情報に基づいて、車両1の走行駆動に必要とする車両要求出力Pを演算し、エンジンコントロールユニット22、フロントモータコントロールユニット10a、ジェネレータコントロールユニット10b及びリヤモータコントロールユニット12a、減速機7に制御信号を送信して、走行モード((EVモード:電気自動車モード)、シリーズモード、パラレルモード)の切換え、エンジン4とフロントモータ9とリヤモータ11の出力、モータジェネレータ9の出力(発電電力)を制御する。ハイブリッドコンロトールユニット20は、エンジンをモータジェネレータにより強制的に稼働させるモータリング実行手段を含む。
【0022】
EVモード(第2の走行モード)では、エンジン2を停止し、駆動用バッテリ11から供給される電力によりフロントモータ4やリヤモータ6を駆動して走行させる。
シリーズモード(第1の走行モード)では、減速機7のクラッチ7aを切断し、エンジン2によりモータジェネレータ9を作動する。そして、モータジェネレータ9により発電された電力及び駆動用バッテリ11から供給される電力によりフロントモータ4やリヤモータ6を駆動して走行させる。また、シリーズモードでは、エンジン2の回転速度を所定の回転速度に設定し、余剰電力を駆動用バッテリ11に供給して駆動用バッテリ11を充電する。」

(ウ)「【0026】
エンジン2とウォームアップ排気浄化触媒33との間の排気通路31には、排気中の酸素濃度を検出するフロントO2センサ34が設けられている。また、ウォームアップ排気浄化触媒33とメイン排気浄化触媒32との間の排気通路31には、排気中の酸素濃度を検出するリヤO2センサ35が設けられている。なお、フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35は空燃比を検出する空燃比センサでもよい。
【0027】
フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35は、夫々検出した酸素濃度を電圧値としてエンジンコントロールユニット22に出力する。エンジンコントロールユニット22は、エンジン2の制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)等を含んで構成される。エンジンコントロールユニット22において、入力したこれらの検出値はエンジン2の空燃比制御に用いられる。
【0028】
更に、本実施形態では、エンジンコントロールユニット22は、フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の故障判定機能を有している。当該故障判定機能によりフロントO2センサ34及びリヤO2センサ35のいずれかが故障していることが判定された場合には、車両1の運転席に設けられた警告灯36によって運転者に報知するようになっている。
【0029】
フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の故障判定は、エンジン2の駆動軸の回転速度が所定値以上であり、かつエンジン2への燃料供給を停止している状態で行われ、当該燃料供給の停止に伴う各O2センサ34、35の検出値に基づいて故障判定が行われる。当該故障判定は、パラレルモード時においては、車両減速時における燃料供給停止時に行われる。更に、本実施形態では、シリーズモード時においても、各O2センサ34、35の故障判定が可能となっている。
【0030】
シリーズモード時における各O2センサ34、35の故障判定は、モータリング実行手段でモータジェネレータ9によりエンジン2を強制駆動するモータリングを行いつつエンジン2への燃料供給を停止して行われる。これらの故障判定は、シリーズモードからエンジン2を停止するEVモードへの移行時に行うエンジン停止前モータリング時と、シリーズモードを中断して行うシリーズ中モータリング時に可能となっている。エンジンコントロールユニット22において、エンジン停止前モータリング時に行う故障判定が本願発明の走行モード切替え前故障判定手段に該当し、シリーズ中モータリング時に行う故障判定が本願発明の走行モード中故障判定手段に該当する。」

(エ)「【0032】
図3に示すように、シリーズモードからEVモードへの切換え前にエンジン停止前モータリングが行われ、次のシリーズモード中にシリーズモードを一時中断してシリーズ中モータリングが行われ、次のシリーズモードからEVモードへの切換え前にまたエンジン停止前モータリングが実行される。
本実施形態では、フロントO2センサ34に対して1種類、リヤO2センサ35に対して3種類の故障判定方法が、上記エンジン停止前モータリングとエンジン停止前モータリングの2つの時期に実行される。詳しくは、フロントO2センサ34に対しては、フロントO2センサレスポンス判定が実行される。リヤO2センサ35に対しては、リヤO2センサ固着判定、リヤO2センサスロープ判定、リヤO2センサレスポンス判定が行われる。
【0033】
図3に示す故障判定用モータリング要求は、各故障判定方法で要求されるモータリングの要求タイミング及び時間を表すものであり、図3中のONがモータリングの要求がされていることを示す。
上記4種類の故障判定方法のうち、フロントO2センサレスポンス判定は、排気中の空燃比がリッチからリーンへ変化したときと、リーンからリッチへ変化したときの両方で、フロントO2センサ34の検出値が所定量変化する時間を計測し、その計測時間が閾値T1以上であるか否かを判別し、当該閾値T1以上である場合には、フロントO2センサ34の応答性が異常であると判定する。」

(オ)「【0042】
シリーズ中モータリング時での故障判定は、モータジェネレータ9によりエンジン2を強制駆動するモータリングを行ないながら、エンジン2への燃料供給を停止し、排気中の酸素濃度(あるいは空燃比)のリッチからリーンへの変化を検出して、フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の故障判定を行い、またその後モータリングからシリーズ運転に復帰する際にエンジン2への燃料供給を再開したときに、排気中の酸素濃度(あるいは空燃比)のリーンからリッチへの変化を検出して、フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の故障判定を行う。これにより、シリーズ中モータリング時での故障判定では、モータリング時間を確保できれば、全ての上記故障判定方法を実行することができる。」

(カ)上記(イ)(特に、段落【0022】の「シリーズモード(第1の走行モード)では、減速機7のクラッチ7aを切断し、エンジン2によりモータジェネレータ9を作動する。」との記載。)及び上記(ウ)(特に、段落【0030】の「シリーズモード時における各O2センサ34、35の故障判定は、モータリング実行手段でモータジェネレータ9によりエンジン2を強制駆動するモータリングを行いつつエンジン2への燃料供給を停止して行われる。」との記載。)並びに図1の図示内容から、モータリングは、クラッチ7aを切断した状態で実行されていると理解できる。

(キ)上記(オ)から、エンジン2への燃料供給を停止した際のフロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の検出値とモータリングが終了した後に燃料供給を再開した際のフロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の検出値とに基づいて、前記フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35を故障判定していることがわかる。

上記記載事項、認定事項及び図面の図示内容から、引用文献1には、次の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。

「車両に搭載されたエンジン2を所定の回転速度に設定してモータジェネレータ9を駆動して発電しながら、前記エンジン2と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接するクラッチ7aを切断した状態でフロントモータ4やリヤモータ6により駆動輪を駆動して走行する第1の走行モードを有するハイブリッド車に備えられ、
前記クラッチ7aを切断した状態で前記エンジン2への燃料供給を停止するとともに駆動用バッテリ11から供給された電力により前記モータジェネレータ9を駆動させて前記エンジン2を強制駆動するモータリングを実行するモータリング実行手段と、
前記エンジン2の排気中の酸素濃度を検出するフロントO2センサ34及びリヤO2センサ35と、
前記第1の走行モード中に当該第1の走行モードを中断して前記モータリング実行手段により前記モータリングを実行し、前記エンジン2への燃料供給を停止した際の前記フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の検出値と前記モータリングが終了した後に前記燃料供給を再開した際の前記フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の検出値とに基づいて、前記フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35を故障判定する故障判定手段と、
を備えたハイブリッド車の故障判定装置。」

イ 引用文献2
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2006-194215号公報)には、次の記載がある。

(ア)「【0006】
本発明の動力出力装置は、
内燃機関からの動力と該内燃機関とは異なる駆動源からの動力とを駆動軸に出力可能な動力出力装置であって、
前記内燃機関をモータリング可能なモータリング手段と、
前記内燃機関の空燃比を検出する空燃比検出手段と、
前記駆動軸に要求される要求動力を設定する要求動力設定手段と、
前記内燃機関への燃料供給を停止する条件を含む所定の判定条件が成立したときには、前記内燃機関への燃料供給が停止された状態で該内燃機関の回転を維持しながら前記空燃比検出手段からの検出信号に基づいて該空燃比検出手段の異常を判定すると共に前記設定された要求動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記モータリング手段と前記駆動源とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。」

(イ)「【0017】
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
【0018】
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、吸入空気量と燃料噴射量との比(A/F)を検出する空燃比センサ22aなどのエンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。空燃比センサ22aは、図示しないジルコニア固体電解質を外側電極と内側電極とで挟持してなる周知のヒータ付き酸素センサとして構成されており、所定温度に達すると十分な性能で測定した酸素濃度から空燃比AFを検出する。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。」

(ウ)「【0024】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に空燃比センサ22aの異常を判定する際の動作について説明する。図2は、ハイブリッド用電子制御ユニット70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば8msec毎)に繰り返し実行される。
【0025】
駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,エンジン22の回転数Ne,バッテリ50の出力制限Wout,空燃比センサ22aからの空燃比AFなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクシャフト26に取り付けられたクランクポジションセンサ23aからの信号に基づいて計算されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の出力制限Woutは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。」

(エ)「【0027】
続いて、設定された要求パワーPe*が燃費向上のためエンジン22への燃料供給を停止する閾値として参照パワーPrefより小さいか否かを判定する(ステップS120)。要求パワーPe*が参照パワーPrefより大きいときには、エンジン22の燃料の供給を停止せず空燃比センサ22aの異常判定を行なわないから、続いて、設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS130)。この設定は、エンジン22を効率よく動作させる動作ラインと要求パワーPe*とに基づいて目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する。エンジン22の動作ラインの一例と目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する様子を図4に示す。図示するように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定の曲線との交点により求めることができる。」

(オ)「【0033】
一方、設定された要求パワーPe*が参照パワーPrefより小さいときには、空燃比センサ22aの異常判定に先立って成立する必要のある条件、即ち、ハイブリッド自動車20が起動されてから空燃比センサ22aが十分に暖められており所定の性能で動作できる状態であること(例えば、空燃比センサ22aの温度が所定温度以上であったり、エンジン22の冷却水温が所定温度以上であること)やハイブリッド自動車20が起動されてから空燃比センサ22aの異常判定が1回実行されていないことを含む異常判定条件が成立しているか(ステップS140)や前回本ルーチンを実行したときにエンジン22への燃料の供給が停止されているか(ステップS150),車速Vがエンジン22への燃料の供給を停止した状態でエンジン22の回転を維持しながらエンジン22を運転すると運転者が乗り心地の悪さを感じる閾値としての参照車速Vref2を超えているか(ステップS160)、前回本ルーチンを実行したときに空燃比センサ22aの異常の判定を行なっていれば異常判定を開始してから異常判定に必要な所定時間(例えば、5秒間)経過していないか(ステップS170)を判定する。ステップS140からS170の各判定を行なうのは以下の理由に基づく。」

(カ)「【0035】
ステップS140からステップS170の各判定が成立したときには、空燃比センサ22aからの空燃比AFに基づいて空燃比センサ22aの異常判定を行ない(ステップS180)、続いて、エンジン22の目標回転数Ne*をNref1(例えば、毎分1000回転)に設定すると共に目標トルクTe*を値零に設定し(ステップS190)、ステップS300以降の処理を実行し、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22への燃料の供給を停止すると共にエンジン22が目標回転数Ne*(=Nref1)で回転するようエンジン22の制御を行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうすれば、空燃比センサ22aの異常判定を行なう条件が成立したときには、空燃比センサ22aの異常判定を行なうと共にエンジン22への燃料の供給を停止してエンジン22が目標回転数Ne*(=Nref1)で回転するよう制御するから、異常判定を確実に行なうことができる。
【0036】
一方、ステップS140からステップS160の各判定のいずれかが成立しないときには、異常判定を行なわずに、車速Vが空燃比センサ22aの異常判定を行なっていないときにエンジン22を停止する車速の閾値として参照車速Vref1より大きいか否かを判定する(ステップS210)。また、ステップS170の処理で所定時間が経過していると判定されたときには、異常判定を終了し(ステップS200)、ステップS210の処理に進む。ステップS210の処理で車速Vが参照車速Vref1より大きいと判定されれば、エンジン22の目標回転数Ne*をNref2(例えば、毎分800回転)に設定すると共に目標トルクTe*を値零に設定し(ステップS220)、ステップS300以降の処理を実行し、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22への燃料の供給を停止すると共にエンジン22が目標回転数Ne*(=Nref2)で回転するようエンジン22の制御を行なう。一方、ステップS210の処理で車速Vが参照車速Vref1より小さいと判定されれば、エンジン22の目標回転数Ne*を値零に設定すると共に目標トルクTe*を値零に設定し(ステップS230)、ステップS300以降の処理を実行し、本ルーチンを終了する。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、エンジン22への燃料の供給を停止すると共にエンジン22の回転が停止するようエンジン22の制御を行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。このように、ステップS140からステップS170の各判定のいずれかが成立しないときには、車速Vに応じた運転状態でエンジン22が運転されるようエンジン22を制御することができる。
【0037】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の要求パワーPe*が参照パワーPrefより小さいと共にステップS140からステップS170の処理における各判定が成立したときには、空燃比センサ22aの異常の判定を実行すると共にエンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22が回転数Nref1で回転するようエンジン22やモータMG1,MG2を制御する。この結果、空燃比センサ22aの異常の判定を確実に行なうことができる。しかも、こうした異常判定を行なっている最中でも、要求動力に基づく動力を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力することができる。また、エンジン22の要求パワーPe*が参照パワーPrefより小さいと共にステップS140からステップS170の処理が成立しないときには、エンジン22が車速Vに応じた運転状態で運転されるようエンジン22やモータMG1,MG2を制御する。この結果、車速Vに応じた制御をすることができる。そして、エンジン22の要求パワーPe*が参照パワーPrefより大きいときは、エンジン22が目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによって示される運転ポイントで運転されるようにエンジン22を制御するから、燃費の向上を図ることができる。もとより、要求動力に基づく動力を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力することができる。」

上記記載事項及び図面(特に、図2を参照。)の図示内容から、引用文献2には、次の事項が記載されている(以下「引用文献2記載事項」という。)。
「エンジン22への燃料供給を停止する条件を含む所定の判定条件が成立したときには、エンジン22への燃料供給が停止された状態でエンジン22の回転を維持しながら空燃比検出手段からの検出信号に基づいて空燃比検出手段の異常を判定するハイブリッド自動車20において、車速センサ88を備えており、車速Vがエンジン22への燃料の供給を停止した状態でエンジン22の回転を維持しながらエンジン22を運転すると運転者が乗り心地の悪さを感じる閾値としての参照車速Vref2以下の場合には、前記空燃比検出手段の異常判定を行わないこと。」

3 対比・判断
引用発明と本願補正発明とを対比すると、引用発明における「エンジン2」は、その機能、構成又は技術的意義から本願補正発明における「内燃機関」に相当し、以下同様に、「所定の回転速度に設定」は「所定の目標回転速度に制御」に、「モータジェネレータ9」は「モータジェネレータ」に、「クラッチ7a」は「クラッチ」に、「フロントモータ4やリヤモータ6」は「駆動用モータ」に、「駆動用バッテリ11」は「駆動用バッテリ」に、「強制駆動する」は「強制回転させる」に、「モータリング実行手段」は「モータリング実行部」に、「排気中の酸素濃度を検出する」は「排気成分を検出する」に、「フロントO2センサ34及びリヤO2センサ35」は「第1の検出部」に、「故障判定手段」は「故障判定部」に、それぞれ相当する。

よって、両者の一致点及び相違点は、次のとおりである。
〔一致点〕
「車両に搭載された内燃機関を所定の目標回転速度に制御してモータジェネレータを駆動して発電しながら、前記内燃機関と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接するクラッチを切断した状態で駆動用モータにより駆動輪を駆動して走行する第1の走行モードを有するハイブリッド車に備えられ、
前記クラッチを切断した状態で前記内燃機関への燃料供給を停止するとともに駆動用バッテリから供給された電力により前記モータジェネレータを駆動させて前記内燃機関を強制回転させるモータリングを実行するモータリング実行部と、
前記内燃機関の排気成分を検出する第1の検出部と、
前記第1の走行モード中に当該第1の走行モードを中断して前記モータリング実行部により前記モータリングを実行し、前記内燃機関への燃料供給を停止した際の前記第1の検出部の検出値と前記モータリングが終了した後に前記燃料供給を再開した際の前記第1の検出部の検出値とに基づいて、前記第1の検出部を故障判定する故障判定部と、
を備えたハイブリッド車の故障判定装置。」

〔相違点1〕
「モータリングを実行する」に関して、本願補正発明においては内燃機関を「前記所定の目標回転速度とは異なる目標回転速度となるよう」強制回転させるものであるのに対して、引用発明はエンジン2を強制駆動するものであるが、その目標回転速度は不明な点。

〔相違点2〕
本願補正発明においては「車両の走行速度を検出する第2の検出部」と「前記第2の検出部により検出した前記走行速度が所定の閾値未満であることを条件に前記故障判定部による前記モータリングを規制するモータリング規制部」とを備えるのに対して、引用発明においてはかかる事項を備えていない点。

上記相違点1について検討する。
引用発明において、第1の走行モード時及びモータリングを実行する時のそれぞれに適したエンジン2の回転速度を設定することは、当業者の通常の創作能力の範囲内でなし得たことである。そうすると、モータリングを実行する時のエンジン2の目標回転速度を、第1の走行モード時のエンジン2の所定の目標回転速度と異なる目標回転速度とすることは、当業者の通常の創作能力の範囲内で適宜なし得た設計的事項である。
よって、引用発明において、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

上記相違点2について検討する。
引用文献2記載事項は上記のとおり「エンジン22への燃料供給を停止する条件を含む所定の判定条件が成立したときには、エンジン22への燃料供給が停止された状態でエンジン22の回転を維持しながら空燃比検出手段からの検出信号に基づいて空燃比検出手段の異常を判定するハイブリッド自動車20において、車速センサ88を備えており、車速Vがエンジン22への燃料の供給を停止した状態でエンジン22の回転を維持しながらエンジン22を運転すると運転者が乗り心地の悪さを感じる閾値としての参照車速Vref2以下の場合には、前記空燃比検出手段の異常判定を行わないこと。」というものである。
ここで、「乗り心地」は、騒音、異音、振動、衝撃など様々なものを総合したものといえるので、エンジンと車両の駆動輪との動力伝達が接続されているか、クラッチにより切断されているか否かに関わらず、エンジンの状態が「乗り心地」に影響を与えることは、当業者にとって自明の事項であるとともに、「乗り心地」の悪化防止や改善は、引用発明にも内在する当業者にとって周知の課題である。
そして、引用発明もエンジン2への燃料供給を停止させてエンジン2を強制駆動してフロントO2センサ34及びリヤO2センサ35の故障判定を行うものであるから、すなわち、故障判定時に、エンジンへの燃料の供給を停止した状態でエンジンの回転が維持される状態が存在するという点で、引用文献2記載事項と共通するから、引用発明に引用文献2記載事項を適用する動機付けは存在するといえる。
よって、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、引用発明に引用文献2記載事項を適用することにより、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明及び引用文献2記載事項から予測し得ない格別な効果を奏するものとはいえない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて、当業者が容易になし得たものである。

4 請求人の主張について
請求人は意見書の【意見の内容】(2)において、「この車速条件を設定する理由について、引用文献2の明細書の段落0033に、『車速Vがエンジンへの燃料の供給を停止した状態でエンジンの回転を維持しながらエンジンを運転すると運転者が乗り心地の悪さを感じる閾値』と記載されています。即ち、燃料供給を停止させた状態での『一定のエンジン回転数』に基づく違和感を抑制するために車速を設定することが、引用文献2において車速を条件とする目的であり、本願のように『内燃機関の回転数変動』に基づく不快感を抑制することは引用文献2には全く記載されていません。」と主張し、また、請求人は審判請求書の【本願発明が特許されるべき理由】ニ)において、「しかしながら、本願請求項1は『内燃機関への燃料噴射を停止したモータリング実施中』だけに言及しているのではなく、『燃料が内燃機関に噴射されて発電している状態』から『燃料噴射が停止されたモータリング状態』を経て『燃料が内燃機関に噴射されて発電している状態』に復帰することを前提としているので、引用文献1に引用文献2を組み合わせる場合にも当該観点で阻害要因が存在するか否かを判断する必要があると考える。引用文献1では(1)クラッチを切断しエンジンを駆動輪と切り離した状態で発電しつつ、駆動輪に接続されるモータを駆動して走行している状態から、(2)クラッチを切断しエンジンを駆動輪と切り離した状態でモータリングを実行しつつ、モータにより駆動輪を駆動した状態を経て(1)の状態に復帰する。 即ち、引用文献1では、クラッチを切断してエンジンを駆動輪と切り離した状態を作ることができることからエンジンと駆動輪とは別々の回転数で制御できることが前提とされている。一方、引用文献2はエンジンと駆動輪とを連結する伝達経路に伝達力を切断する機構は記載されていない。即ち、エンジンと駆動輪とが常に連結されるためエンジンとモータ(MG2)とジェネレータ(MG1)との制御を考慮した上でモータリングを実行する必要があり、引用文献2が示す所定車速(Vref 2:S160)とは、当該車速以下ではモータ(MG2)を駆動しつつジェネレータ(MG1)とエンジンとでモータリングを実行することが懸念される車速を表している。このように考えると、エンジンと駆動輪との動力が切断された状態の引用文献1にエンジンと駆動輪との動力を切断することが不可能な引用文献2を組み合わせることには、阻害要因があると考える。本願請求項1は、平成30年10月11日付けの補正によってクラッチについて記載することで、駆動用モータで駆動される駆動輪とは別に、『燃料が内燃機関に噴射されて発電している状態』から『燃料噴射が停止されたモータリング状態』を経て『燃料が内燃機関に噴射されて発電している状態』に復帰することができることが明確化されている。 これにより、アクセル開度の変化、即ち、要求出力に係わらず、エンジン回転数を低下させてモータリングを実施した上でエンジン回転数を増加させて元の発電状態に復帰することが可能となるが、走行速度が所定の閾値未満でアクセル操作をしていない、即ち、要求出力が変化していないにもかかわらずエンジン回転数の変動、特にエンジン回転数の増加が生じると、ドライバに違和感を与えることとなるから、走行速度が所定の閾値未満ではモータリングを規制してエンジン回転数の変動による違和感を抑制することができるといった格別な効果を有するものであることがより明確化される。」と主張している。
しかしながら、引用文献2に記載のものも、段落【0027】、【0035】ないし【0037】の記載並びに図2の図示内容から理解できるように、空燃比センサ22aの異常判定を行なうときのエンジン22の目標回転数と、それ以外の場合のエンジン22の目標回転数とは異なるのであるから、空燃比センサ22aの異常判定時には、エンジン22の回転数が変動するといえる。
そうすると、引用発明に引用文献2記載事項を組み合わせることに、特段の阻害要因はないものといえる。
よって、請求人の主張は採用できない。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成30年3月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定における拒絶の理由の概要は次のとおりである。

(進歩性)本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)

・請求項1ないし3に対して:引用文献等1及び2
・請求項4に対して:引用文献等1ないし3

<引用文献等一覧>
1.特開2014-172499号公報
2.特開2006-194215号公報
3.特開2001-159375号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2014-172499号公報)の記載事項及び引用発明並びに原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2006-194215号公報)の記載事項は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 当審の判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本願補正発明において、第1の走行モードについて「前記内燃機関と前記車両の駆動輪との動力伝達を断接するクラッチを切断した状態で」との限定を省き、モータリングを実行するについて「前記クラッチを切断した状態で」との限定を省いたものである。
そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-07-19 
結審通知日 2019-07-24 
審決日 2019-08-06 
出願番号 特願2016-564531(P2016-564531)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B60W)
P 1 8・ 121- Z (B60W)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 将一  
特許庁審判長 渋谷 善弘
特許庁審判官 鈴木 充
水野 治彦
発明の名称 ハイブリッド車の故障判定装置  
代理人 相原 史郎  

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