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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B31B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 B31B
管理番号 1355395
審判番号 不服2018-16170  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-12-05 
確定日 2019-10-15 
事件の表示 特願2014-156051「製函方法及び製函システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月10日出願公開、特開2016- 32901、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年 7月31日を出願日とする出願であって、その手続きの経緯は以下のとおりである。
平成29年12月25日付け:拒絶理由の通知
平成30年 3月 9日 :意見書の提出及び手続補正
同年 5月22日付け:拒絶理由の通知
同年 7月26日 :意見書の提出及び手続補正
同年 8月30日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同年12月 5日 :審判請求書の提出及び同時に手続補正
令和 元年 7月17日付け:拒絶理由の通知
同年 8月20日 :意見書の提出及び手続補正

第2 本願発明
本願の請求項1?10に係る発明(以下「本願発明1」?「本願発明10」という。)は、令和 元年 8月20日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項によりそれぞれ特定されるものと認められるところ、本願発明1は以下のとおりである。
「【請求項1】
シート材を折り畳んで接合し、扁平な箱体を形成する製函方法において、
シート材を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に沿って左右両側に設けられ、該搬送手段により搬送されるシート材を所定の位置で折り畳むための折り曲げ案内機構と、
前記折り曲げ案内機構及び搬送手段の動作を制御する制御手段と、
前記折り曲げ案内機構により折り畳まれたシート材よりなる箱体の接合部を構成する左右のシート端辺の傾きを前記搬送手段の途中又は前記搬送手段から排出される位置において検出する検出手段とを設け、
前記制御手段が、前記検出手段により検出される傾きに基づき、前記折り曲げ案内機構を構成する折り畳みベルトの動作を、左右のシート端辺の搬送方向を基準とした傾斜角の差がなくなり該左右のシート端辺が互いに平行となるようにフィードバック制御で自動的に調整することを特徴とする製函方法。」

第3 原査定の拒絶理由
原査定の理由は、平成30年 5月22日付けの拒絶理由通知書に示したものであって、概略以下のとおりである。
1 引用文献一覧
引用文献1 特開2002-365017号公報
引用文献2 特開2013-68544号公報
引用文献5 特開2008-93997号公報

2 拒絶理由の概要
本願発明1、3?6、8?10は、引用文献1、2、5に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 引用文献
1 引用文献1
原査定で引用された引用文献1(特開2002-365017号公報(平成14年12月18日出願公開))には、次の記載がある。(下線は特に着目した箇所を示すために当審で付与した。引用文献の摘記について以下同じ。)
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製函機により折りたたんだ形状で製作された段ボール箱の寸法精度を測定する方法及びその装置に関する。また、前記測定により得られた測定結果に基づいて製函機の調整を行なう製函機調整方法及び該測定結果に基づいて製函機を調整する機能を有する製函機に関する。」
(2)「【0027】次に、測定手順について説明する。まず、計測に先立って、段ボール箱100を平面台1の所定の位置にセットする。このとき、位置決めピン5の位置は、穴5aにより段ボール箱100のサイズ,形状に適した位置に調整する。すなわち、段ボール箱100の側縁を位置決め板6に整合させ、段ボール箱100の前縁又は後縁の同一直線上部位を位置決めピン5,5に整合させる。
【0028】次に、ステージコントローラ4の電源を入れ、計測準備を行なう。計測に際して、作業者は、測定装置20を測定順に各測定場所へ手動により移動させて、その測定場所での計測内容を入力装置10を用いて直接入力する。測定場所及び計測内容は、ステージコントローラ4又は演算器8内に設けられた記憶装置(記憶部)(図示略)に記憶される。
【0029】次に、段ボール箱100の各部の測定を行なう。ステージコントローラ4は、測定準備の段階で測定順に入力された測定場所及び測定内容に基づいて、測定装置20を各測定場所へ順次移動させ、画像処理の技法によって測定を行なう。こうして得られた画像入力は、画像処理されて表示装置7に表示されるとともに演算器8を経て製函機にフィードバックできるようになっており、段ボール箱100が正常な製品となるように調整される。一般に、画像処理を用いて測定をおこなう場合には、対象物の輪郭を特定する必要があるが、段ボール箱は、薄い紙を折り曲げたものと違って折部が表裏の中央で折られていない場合が多く、折部の角度や折部位置の高さも異なっている。このため、段ボール箱を画像処理を用いて測定するに当たっては、測定位置の特定が重要になる。」
(3)「【0039】フィッシュテールは、折り込んだ段ボール箱の端面のずれgを測定し、その測定値を予め入力された値と比較し、その差が許容誤差の範囲内であるか否かを判定することにより行なわれる。そして、gは上述の方法で特定した段ボール箱100のエッジ部の座標データから算出され、その算出結果に基づいてフィッシュテールが求められる。」
(4)「【0041】なお、寸法精度測定の基準となる段ボール箱100のエッジの検出は、上記測定項目ごとに別々に行なってもよい。また、特定の測定項目において検出したエッジを他の寸法精度測定における基準として流用することもできる。そして、上述の測定によって測定異常と判断された場合には、その結果は製函工程にフィードバックされ、製函機の図示しない調整手段により測定結果が所定誤差範囲内となるように調整が行なわれる。この調整手段による調整方法について、フィッシュテールgの測定結果が所定誤差範囲外であり測定異常と判断された場合を例にあげて説明する。
【0042】フィッシュテールは、フォールディング部で段ボールシートを折り曲げて端部を糊で接着する際、折りたたまれた上下の段ボールシートがずれることによって生じる。つまり、スパイラルベルトによって段ボールシートを折り曲げる際、折り曲げるにかかる時間だけ下部の段ボールシートが前方(段ボール箱製造時の流れ方向前方)に搬送されてしまうため、上部のシートが後方にはみ出してしまう。したがって、糊が生乾きの状態で段ボール箱を後方(段ボール箱製造時の流れ方向後方)から直角矯正板で押し、折りたたまれた上下の段ボールシートのずれを矯正する。つまり、製函機のフォールディング部の後方に設けられているカウンタエゼクタにおいて段ボール箱をスケアリングプレート(直角矯正板)で後方から押して矯正するようにする。
【0043】また、この方法に代えて、スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、サクションベルトによって搬送されるシートの搬送速度よりも速く設定し、上下の段ボールシートのずれ量を減ずるようにしてもよい。本発明の一実施形態としての段ボール箱製品測定装置及び方法は、上述のように構成されているため、取得された段ボール箱100の画像を画像処理して段ボール箱100のエッジ(段ボール箱の形状的なエッジ部及び段ボール箱に印刷された印刷物の色又は明度の境界部分)を検出し、検出されたエッジの画像上の位置から段ボール箱100の寸法精度を算出しているため短時間での測定が可能である。また、画像認識技術を使って画像処理により画像データを処理するだけなので、熟練した技術は必要ではなく、検査員による個人差やバラツキなどの問題もない。」
(5)図4「


(6)前記(1)?(5)の記載を総合し、本願請求項1の記載ぶりに倣って整理すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「段ボールシートを折り曲げて端部を糊で接着し、折りたたんだ状態の段ボール箱100を製作する製函の方法であって、
段ボールシートを搬送するサクションベルトと、
段ボールシートを折り曲げるスパイラルベルトと、
折り込んだ段ボール箱100の端面のずれgを測定する測定装置20とを設け、
測定異常と判断された場合には、測定結果が製函工程にフィードバックされ、スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、上下の段ボールシートのずれ量を減ずるように設定する製函方法。」

2 引用文献2
原査定で引用された引用文献2(特開2013-68544号公報(平成25年 4月18日出願公開))には、図面とともに次の記載がある。
(1)「【0001】
本発明は、シート材を印刷するとともに折り畳み、糊付けして接合し、扁平な箱体を形成する製函機に用いる箱体の品質検査装置に関する。」
(2)「【0020】
本実施形態の製函機1は、段ボールシート20に対して印刷、糊付け、折り畳んで段ボール箱2を製造する一連の装置からなるシステムであり、図1に示すように、段ボールシートの搬送方向に沿って、給紙装置10、印刷装置11、スロッター12、フォルダーグルアー13、及びカウンタエゼクタ14が配置された一般的な製函機である。そしてフォルダーグルアー13とカウンタエゼクタ14との間に、本発明の品質検査装置15が設けられている。尚、品質検査装置15の設置箇所は、フォルダーグルアー13の後であればどこでもよい。」
(3)「【0022】
品質検査装置15は、フォルダーグルアー13で加工された段ボール箱2に対し、形状精度、接合精度、印刷品質、異物の有無を検査するものであり、図2に示すように、撮像手段3として段ボール箱2の糊付けされた接合部23を有する側の外表面(下面21)における該接合部23を挟んで隣り合う2つの領域(第1の領域21A、第2の領域21B)をそれぞれ撮像するカメラ31、32と、同じく段ボール箱2の接合部23を有しない側の外表面(上面22)を撮像するカメラ33、34と、カメラ31?34が撮像する各領域21A、21B及び上面22を照明する照明手段4と、段ボール箱2の形状精度、接合精度、印刷品質の良否及び糊かす等の異物の有無を判定する制御装置5とを備えている。」
(4)「【0036】
尚、さらに領域21AのA1-A4辺、A2-A5辺のそれぞれの傾斜角度のずれ量、領域21BのB1-B4辺、B2-B5辺のそれぞれの傾斜角度のずれ量を用いて、これらずれ量、平行度に基づいて接合部23の状態をより詳しく判定することも好ましい。また同様に、領域21AのA0-A1辺、領域21BのB0-B1辺のぞれぞれの傾斜角度のずれ量、領域21AのA2-A3辺、領域21BのB2-B3辺のそれぞれの傾斜角度のずれ量を用いて、これらずれ量、平行度に基づいて接合部23の状態をより詳しく判定することも好ましい。また、本例では上面22のずれ量ΔL5、ΔL6を用いて判定しているが、領域21A、21Bのずれ量のみから判定することも可能である。」
(5)図5「


(6)前記(1)?(5)の記載を総合すると、引用文献2には次の事項が記載されている。
「シート材を印刷するとともに折り畳み、糊付けして接合し、扁平な箱体を形成する製函機に用いられ、領域21A、21Bの辺の傾斜角度のずれ量に基づいて接合部23の状態を判定する、箱体の品質検査方法。」

3 引用文献5
原査定で引用された引用文献5(特開2008-93997号公報(平成20年 4月24日出願公開))には、製函機における折れ精度調整のための方法について記載されている。

第5 対比及び判断
1 本願発明1と、引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「段ボールシート」は、その機能及び構成からみて、本願発明1の「シート材」に相当し、以下同様に、「折り曲げ」ることは「折り畳」むことに、「接着」することは「接合」することに相当する。また、本願発明1の「扁平な」は箱体が折り畳まれたままで平たい状態を意味すると認められるから、引用発明の「折りたたんだ状態の段ボール箱100」は本願発明1の「扁平な箱体」に相当する。
したがって、引用発明の「段ボールシートを折り曲げて端部を糊で接着し、折りたたんだ状態の段ボール箱100を製作する製函の方法」は、本願発明1の「シート材を折り畳んで接合し、扁平な箱体を形成する製函方法」に相当する。
(2)引用発明の「サクションベルト」は、その機能及び構成からみて、本願発明1の「搬送手段」に相当する。
(3)引用発明の「スパイラルベルト」は、その機能及び構成からみて、本願発明1の「折り曲げ案内機構」に相当する。また、引用文献1の「スパイラルベルトによって段ボールシートを折り曲げる際、折り曲げるにかかる時間だけ下部の段ボールシートが前方(段ボール箱製造時の流れ方向前方)に搬送されてしまう」(【0042】)や、「スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、サクションベルトによって搬送されるシートの搬送速度よりも速く設定し、上下の段ボールシートのずれ量を減ずる」(【0043】)との記載からみて、スパイラルベルトによる折り曲げとサクションベルトによる搬送とが並行して行われることは明らかであるから、引用発明の「スパイラルベルト」が「段ボールシートを折り曲げる」ことは、本願発明1の「折り曲げ案内機構」が「該搬送手段により搬送されるシート材を所定の位置で折り畳む」ことに相当する。
(4)一般に機械装置において、駆動部分の動作を制御する制御手段を設けることは技術常識であり、引用文献1の「製函機の図示しない調整手段により測定結果が所定誤差範囲内となるように調整が行なわれる。」(【0041】)や、「スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、サクションベルトによって搬送されるシートの搬送速度よりも速く設定し、上下の段ボールシートのずれ量を減ずるようにしてもよい。」(【0043】)などの記載も考慮すれば、引用発明においてスパイラルベルト及びサクションベルトの動作を制御する何らかの制御手段を有することは明らかであり、当該「制御手段」は、本願発明1の「制御手段」に相当する。
(5)引用発明の「折り込んだ段ボール箱100」は、本願発明1の「前記折り曲げ案内機構により折り畳まれたシート材よりなる箱体」に相当し、以下同様に、「測定する」ことは「検出する」ことに、「測定装置20」は「検出手段」に相当する。
また、引用文献1の図4における段ボール箱100の形状や「g」の文字が示す箇所を考慮すれば、引用発明の「段ボール箱100の端面のずれg」と、本願発明1の「箱体の接合部を構成する左右のシート端辺の傾き」とは、「箱体の接合部を構成するシート端辺の位置姿勢のずれ」である点で共通する。
(6)引用発明の「測定異常と判断された場合には、測定結果が製函工程にフィードバックされ、スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、上下の段ボールシートのずれ量を減ずるように設定する」ことは、測定結果のフィードバックに基づくものであるから、本願発明1の「フィードバック制御で自動的に調整する」ことに相当する。また、当該「設定」は前記(4)で指摘した「制御手段」を介して行うことが明らかである。
また、引用発明の「スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度」は、本願発明1の「前記折り曲げ案内機構を構成する折り畳みベルトの動作」に相当する。
してみると、引用発明の「測定異常と判断された場合には、測定結果が製函工程にフィードバックされ、スパイラルベルトで段ボールシートを折り曲げる速度を、上下の段ボールシートのずれ量を減ずるように設定する」ことと、本願発明1の「前記制御手段が、前記検出手段により検出される傾きに基づき、前記折り曲げ案内機構を構成する折り畳みベルトの動作を、左右のシート端辺の搬送方向を基準とした傾斜角の差がなくなり該左右のシート端辺が互いに平行となるようにフィードバック制御で自動的に調整する」こととは、「制御手段が、検出結果に基づき、前記折り曲げ案内機構を構成する折り畳みベルトの動作を、前記ずれを減ずるようにフィードバック制御で自動的に調整する」点で共通する。
(7)以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は以下のとおりである。
【一致点】
「シート材を折り畳んで接合し、扁平な箱体を形成する製函方法において、
シート材を搬送する搬送手段と、
該搬送手段により搬送されるシート材を所定の位置で折り畳むための折り曲げ案内機構と、
前記折り曲げ案内機構及び搬送手段の動作を制御する制御手段と、
前記折り曲げ案内機構により折り畳まれたシート材よりなる箱体の接合部を構成するシート端辺の位置姿勢のずれを検出する検出手段とを設け、
制御手段が、検出結果に基づき、前記折り曲げ案内機構を構成する折り畳みベルトの動作を、前記ずれを減ずるようにフィードバック制御で自動的に調整する製函方法。」である点。
【相違点1】
折り曲げ案内機構について、本願発明1では「前記搬送手段に沿って左右両側に設けられ」るのに対し、引用発明では具体的な配置が不明である点。
【相違点2】
検出手段がずれを検出する位置について、本願発明1では「前記搬送手段の途中又は前記搬送手段から排出される位置において検出する」のに対し、引用発明では具体的な位置が不明である点。
【相違点3】
検出結果に基いてずれを減ずる調整の具体的な内容について、本願発明1では、「左右のシート端辺の傾き」を検出し、「左右のシート端辺の搬送方向を基準とした傾斜角の差がなくなり該左右のシート端辺が互いに平行となるように調整する」のに対し、引用発明では「ずれg」を測定し、「上下の段ボールシートのずれ量を減ずるように設定する」点。

2 前記相違点について検討する。
(1)事案に鑑み、前記相違点2から検討する。
引用発明は、具体的な測定位置について明記されていないが、【0027】?【0029】に記載された測定方法からみて、製函機で製作された段ボール箱100を測定用の「平面台1」に位置決めセットした上で寸法精度を測定するものであるから、当該測定位置は製函工程から独立したものであって、本願発明のように製函工程の搬送中又は排出位置で検出するものではない。
そして、引用文献1や他の引用文献の記載を参照しても、引用発明の測定位置を本願発明のように変更する動機づけや示唆は見当たらない。
これに対し、本願発明1では、「前記搬送手段の途中又は前記搬送手段から排出される位置において検出する」ことで、明細書【0029】に記載されるように、「箱体11に折り畳み、接合された直後の傾きを反映させることでタイムラグなく正確に制御を行うことができ」るとの格別の効果を奏する。
(2)次に、前記相違点3について検討する。
引用発明は上下の段ボールシートのずれ量に着目してこれを減ずるのみであり、引用文献1の記載全体をみても、左右の端辺のずれをそれぞれ調整することは記載されておらず、そのようにする動機づけや示唆もない。
引用文献2には、前記第4の2に示したとおり、「シート材を印刷するとともに折り畳み、糊付けして接合し、扁平な箱体を形成する製函機に用いられ、領域21A、21Bの辺の傾斜角度のずれ量に基づいて接合部23の状態を判定する、箱体の品質検査方法。」が記載されているが、当該文献では箱体の品質検査において端辺の傾きに着目するというだけのことであって、これを具体的にフィードバック制御で調整するという動機づけや示唆はない。
また、他の引用文献の記載を参照しても、そのような動機づけや示唆は見当たらない。
これに対し、本願発明1では、前記相違点3に係る構成とすることで、フィードバック制御により左右の傾きのずれを解消し、不良品の低減を可能にするという格別の効果を奏する。
(3)以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明及び引用文献2、5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2?10
本願発明2は、本願発明1において「左右のシート端辺の搬送方向を基準とした傾斜角の差がなくなり該左右のシート端辺が互いに平行となるように」とした点に代えて、「左右のシート端辺の搬送方向を基準とした各傾斜角のうち、当該角度が小さい方のシート端辺の傾斜角に他方のシート端辺の傾斜角を合せるようにして前記左右のシート端辺が互いに平行となるように」としたものであって、本願発明2の前記事項は、本願発明1の特定事項をより具体化した下位概念を特定したものである。
また、本願発明6及び7は、それぞれ、本願発明1及び2に係る方法の発明について、システムの発明として表現した表現上の差異があるのみである。
また、本願発明3?5、8?10は、直接又は間接の引用により本願発明1、2、6又は7の発明特定事項をすべて含み、さらに限定事項を付加したものである。
したがって、本願発明1が前記2に記載のとおり引用発明及び引用文献2、5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本願発明2?10も、引用発明及び引用文献2、5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

第6 当審が通知した拒絶理由
1 当審が令和 元年 7月17日付けで通知した拒絶理由は、本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものであって、具体的には次の(1)(2)のとおりである。
(1)請求項1、2、6及び7の「前記搬送途中の途中」の記載は、「途中」の語が重複しているため、意味するところが明確でない。(「前記搬送手段の途中」とすべきところの誤記と考えられる。)
(2)請求項4の「矯正手段が設けられる場合において、前記検出手段が、前記矯正手段により矯正される前の箱体における前記傾きを検出する」の記載は、請求項4に係る発明において矯正手段が設けられることを前提の構成とするものかどうか明らかでない。

2 これに対し、令和 元年 8月20日になされた手続補正により、請求項1、2、6及び7の前記記載は「前記搬送手段の途中」と補正され、請求項4の前記記載は「矯正手段を更に備え、前記検出手段が、・・・」と補正されたことにより、前記1の拒絶理由は解消した。

第7 むすび
前記第5のとおり、本願発明1?10は、引用発明及び引用文献2、5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、前記第6のとおり、当審が通知した拒絶理由によっても、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-09-30 
出願番号 特願2014-156051(P2014-156051)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B31B)
P 1 8・ 537- WY (B31B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西堀 宏之西山 智宏  
特許庁審判長 渡邊 豊英
特許庁審判官 西尾 元宏
横溝 顕範
発明の名称 製函方法及び製函システム  
代理人 関口 久由  
代理人 柳野 隆生  
代理人 森岡 則夫  
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