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審決分類 審判 査定不服 特17 条の2 、4 項補正目的 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 原文新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 A61M
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 A61M
管理番号 1355577
審判番号 不服2017-18924  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-20 
確定日 2019-10-02 
事件の表示 特願2014-534722「多様な使用ができる伸縮性のある非貫通の血液制御弁」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月11日国際公開、WO2013/052668、平成26年10月30日国内公表、特表2014-528807〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2012年(平成24年)10月4日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年(平成23年)10月6日、米国(US)、2012年(平成24年)10月3日、米国(US))を国際出願日とする特許出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成26年 6月6日 :国際出願翻訳文提出書・明細書・特許請求の範囲の提出
平成28年 7月13日付け:拒絶理由通知書
平成28年10月14日 :意見書・手続補正書の提出
平成29年 3月21日付け:拒絶理由通知書(最後)
平成29年 6月23日 :意見書・手続補正書の提出
平成29年 8月15日付け:補正却下の決定・拒絶査定
平成29年12月20日 :審判請求書・手続補正書の提出

第2 平成29年12月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成29年12月20日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は、当審で付与した。以下同様。)
「【請求項1】
流体通路を有する基部と、前記基部から外方に延在する延長アームを備え、
前記延長アームが隔壁に結合され、前記隔壁が弛緩される位置から応力が加えられる位置へと変形可能であり、
前記隔壁の外面のまわりの少なくとも1つの溝は、前記隔壁が前記応力が加えられる位置にあるときに開かれる、ことを特徴とする一体化された隔壁及び隔壁アクチュエータ。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
平成29年6月23日にされた手続補正による補正は、平成29年8月15日付けで補正却下の決定がなされたことから、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明は、平成28年10月14日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
流体通路を有する基部と、前記基部から外方に延在する延長アームを備え、前記延長アームが隔壁に結合され、前記隔壁が弛緩される位置から応力が加えられる位置へと変形可能であり、前記応力が加えられる位置は、前記隔壁を付勢し前記隔壁の外面のまわりに通路を形成することを特徴とする一体化された隔壁及び隔壁アクチュエータ。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された「前記応力が加えられる位置は、前記隔壁を付勢し前記隔壁の外面のまわりに通路を形成する」を、本件補正後の請求項1に記載された「前記隔壁の外面のまわりの少なくとも1つの溝は、前記隔壁が前記応力が加えられる位置にあるときに開かれる」とする補正を含むものである。
両者は、「応力が加えられる位置」、「隔壁」、「隔壁の外面のまわり」という共通の事項を有するものの、本件補正は、前者から「隔壁を付勢し」及び「通路を形成する」という事項を削除するとともに、後者に「少なくとも1つの溝は、」「開かれる」という事項を新たに追加するものであり、後者は前者の発明特定事項を減縮するものではない。
請求人は、平成29年12月20日に提出された審判請求書において、「請求項1の補正は、図4乃至図8、及び、段落番号0029乃至0031の記載を根拠とし、特に図4Aおよび図4Bに記載された溝78などを根拠として、「前記隔壁の外面のまわりの少なくとも1つの溝は、前記隔壁が前記応力が加えられる位置にあるときに開かれる」ことを明確にするものです。」と主張するが、平成29年3月21日付け拒絶理由通知の理由2(明確性)で示された事項は、請求項10ないし14及び請求項16ないし20の記載を対象としたものであり、請求項1の記載について示されたものではない。
してみると、本件補正は、特許請求の範囲の減縮、明瞭でない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)のいずれを目的とするものでもない。また、本件補正は、請求項の削除、誤記の訂正を目的とするものでないことも明らかである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項をも目的とするものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げるいずれの事項をも目的とするものではない補正を含むから、同法第17条の2第5項の規定に違反する。
よって、本件補正は、同法第17条の2第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定によって却下されるべきものである。


第3 本願発明について
1 本件手続補正
(1)本件手続補正後の本願発明
平成29年12月20日にされた手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明(以下、「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、平成28年10月14日にされた手続補正(以下、「本件手続補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された、次のとおりのものである。
「【請求項1】
流体通路を有する基部と、前記基部から外方に延在する延長アームを備え、前記延長アームが隔壁に結合され、前記隔壁が弛緩される位置から応力が加えられる位置へと変形可能であり、
前記応力が加えられる位置は、前記隔壁を付勢し前記隔壁の外面のまわりに通路を形成することを特徴とする一体化された隔壁及び隔壁アクチュエータ。
【請求項2】
前記隔壁は、前記隔壁が前記応力が加えられる位置にあるときに開く複数の微小孔を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の一体化された隔壁及び隔壁アクチュエータ。」

(2)本件手続補正前の本願発明
本件手続補正前の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された発明は、平成26年6月6日に提出された本願の国際出願翻訳文提出書の特許請求の範囲の請求項1及びに記載された、次のとおりのものでる。
「【請求項1】
開口を含む第1の端部およびバリアを形成する第2の端部を有する本体を備える隔壁であって、前記バリアは、弛緩される位置から応力が加えられる位置へと変形可能であり、前記応力が加えられる位置は、前記バリアを付勢し前記隔壁を通る通路を形成することを特徴とする隔壁。
【請求項2】
前記バリアは、閉じた形態および開いた形態を有するスリットをさらに備え、前記スリットは、前記バリアが前記弛緩される位置にあるときに前記閉じた形態を構成し、前記バリアが前記応力が加えられる位置にあるときに前記開いた形態を構成することを特徴とする請求項1に記載の隔壁。」

(3)本願発明2に係る本件手続補正
本件手続補正により、本願発明2は、「隔壁の外面のまわりに」通路を形成し、隔壁が「複数の微小孔をさらに備える」構成等を新たに加える補正がなされた。

2 原査定の拒絶の理由
(1)原審による拒絶の理由
原審による拒絶の理由は、平成29年3月21日付け拒絶理由通知書に記載した、次のとおりのものである。
「1.(新規事項)平成28年10月14日付け手続補正書でした補正は、下記の点で国際出願日における国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の翻訳文(特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文が提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下、翻訳文等という。)に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない(同法第184条の12第2項参照)。
2.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

●理由1(新規事項)について
・請求項 1?20
出願人は、上記手続補正にて、特許請求の範囲に、隔壁の外面のまわりに通路を形成すること、また、当該通路に関連する発明特定事項を追加する補正を行った。しかしながら、当該事項は、出願当初明細書等に記載されていない。

出願人は、意見書において、その補正の根拠として、段落【0031】及び図5?8を挙げている。しかしながら、段落【0031】には、当該事項はおろか、「通路」の語句すら存在しない。また、図5?8を見ても、そのようなことは図示されていない。
図7には、遠位方向290及びその反対方向に延びる両矢印が記載されているが、当該両矢印が何を意味しているのか本願発明の詳細な説明を参照しても不明であるから、当該両矢印が隔壁50の外面のまわりの通路を開示しているとは認められない。当該両矢印が何を意味しているかは不明であるが、あえて解釈をするならば、段落【0031】の記載からみて、隔壁50が含む微小孔を通過する流体の流れを意味すると解するのが妥当である。そのことは、当該両矢印が隔壁50を迂回するものではなく、隔壁50を貫通するように図示されていることからも明らかである。
また、図7においては、隔壁50が機械的に変形(図5との対比、請求項5)する程度に付勢されているのであるから、カテーテルアダプタ14の内面と隔壁50の外面とは密接され、一切隙間が存在しないと考えるのが妥当である。

さらに、段落【0025】には、チャネル70や隔壁50の外面に関する記載が存在するか、当該記載は、図5?8に記載の実施形態とは別の実施形態に関するものである。そして、その別の実施形態を図5?8に記載の実施形態に適用することの記載も無ければ示唆も存在しない。

なお、当該補正がなされた請求項1?20に記載した事項は、翻訳文等に記載した事項の範囲内にないから、当該請求項に係る発明については新規性進歩性等の特許要件についての審査を行っていない。

●理由2(明確性)について
・請求項 10
「前記圧力」とあるが、それ以前に「応力」は記載されているものの、「圧力」は記載されていない。

・請求項 12
請求項12の「通気チャネル」と請求項9の「通路」との異同・差異が不明瞭である。

・請求項 16
「応力が加えられる位置が前記隔壁を付勢し」とあるが、位置が隔壁を付勢するとは、その意味するところが不明である。

・請求項 18
「複数の延長アームを更に設ける」とあるが、何に設けるのかが不明である。

よって、請求項10、12、16、18及び請求項10、16を引用する請求項11、13?14、17、19?20に係る発明は明確でない。

<最後の拒絶理由通知とする理由>
この拒絶理由通知は、最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶理由のみを通知するものである。

なお、請求項9は、システムの全体像が不明瞭であると考える。
つまり、当該システムは、静脈カテーテルアセンブリと、隔壁及び隔壁アクチュエータとを備えるものであるが、そもそも、段落【0020】の記載を総合すれば、カテーテルアセンブリ10は隔壁50を備えるものであるから、請求項9に係る発明(システム)は、隔壁を重複して備えることになり、不明瞭である。 また、「カテーテルアセンブリ内の流体の流れを制御する」システムが、カテーテルアセンブリを備えていることも不明瞭である。

また、請求項11の「管腔」とは、どの部材のどの部位について述べているのか不明である。

請求項12に係る「通気チャネル」が所望の流量で血液を通過可能にすること、「通気チャネル」が所定の表面積と外周とを有するように選択されることは、発明の詳細な説明に記載されていない。」

(2)原審による拒絶査定
原審による拒絶査定は、「この出願については、平成29年3月21日付け拒絶理由通知書に記載した理由1,2によって、拒絶をすべきもの」としている。

3 請求人の主張
(1)補正の根拠
請求人は、本件手続補正のうち、請求項1に係る手続補正の根拠について、本件手続補正と同日に提出された意見書において、次のとおり主張する。
「しかしながら、出願人は、別途提出の手続補正書により、本願発明の構成をより一層明確にするとともに、以下のように意見を申し述べる次第です。

(B)本願発明の請求項1に記載の発明は、補正した特許請求の範囲の記載より明らかなように、
「流体通路を有する基部と、前記基部から外方に延在する延長アームを備え、前記延長アームが隔壁に結合され、前記隔壁が弛緩される位置から応力が加えられる位置へと変形可能であり、前記応力が加えられる位置は、前記隔壁を付勢し前記隔壁の外面のまわりに通路を形成することを特徴とする一体化された隔壁及び隔壁アクチュエータ。」
です。
この補正は、補正前の請求項1に、図5乃至図8、及び、段落番号0031に基づく補正を行うものです。」

4 本願の国際出願翻訳文提出書の記載
(1)【0031】の記載
本願の国際出願翻訳文提出書の明細書の【0031】の記載は、次のとおりである。
「【0031】
次に、図5?8を参照すると、図には、一体化された隔壁と隔壁アクチュエータの他の実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、隔壁アクチュエータ80がリング形基部とドーム形またはディスク形の隔壁50に結合された延長アームとを有する硬質プラスチックプッシャを含む、一体化された隔壁と隔壁アクチュエータが提供される。一体化された隔壁と隔壁アクチュエータは、隔壁50が不動化され隔壁アクチュエータ80が近位方向および遠位方向に動くことができるように、カテーテルアダプタ14内に配置される。隔壁50は、さらに、隔壁が隔壁アクチュエータ80によって遠位方向290に付勢されると開く複数の微小孔を含む。隔壁アクチュエータ80は、図7に示されるように、プローブ46がカテーテルアダプタ14上に通されると、遠位方向290に付勢される。プローブ46がカテーテルアダプタ14から抜かれると、図5、図8に示されるように、隔壁50の弾力性または回復性が隔壁アクチュエータ80を近位方向292に付勢し、それによって隔壁の微小孔が閉じる。」

(2)図5ないし図8の記載
上記(1)のほか、本願の国際出願翻訳文提出書の明細書の【0013】には、図5ないし図8について、次のとおりの記載がある。
「【図5】本発明の代表的な一実施形態による、作動前の、カテーテルアダプタ、ならびに一体化されたプランジャおよび隔壁の断面側面図である。
【図6】本発明の代表的な一実施形態による、作動後の、一体化されたプランジャおよび隔壁の斜視図である。
【図7】本発明の代表的な一実施形態による、隔壁アクチュエータによって作動された後の、作動後の図5に対する断面側面図である。
【図8】本発明の代表的な一実施形態による、図5に示されているデバイスの斜視断面図である。」

また、本願の国際出願翻訳文提出書の図面の図7には、遠位方向290及びその反対方向に延びる両矢印が記載されているが、当該両矢印が何を意味しているのかは、発明の詳細な説明を参照しても不明である。ただ、この両矢印は応力によって変形した隔壁50を貫通しているように記載されていることからみて、国際出願翻訳文提出書の明細書の【0031】に記載された「隔壁が隔壁アクチュエータ80によって遠位方向290に付勢されると開く複数の微小孔」が形成されている状態を表しているものと推測されるが、隔壁50の外面のまわりの通路を形成することを記載又は示唆しているとまでは認められない。

(3)【0009】及び【0010】の記載
本願の国際出願翻訳文提出書の明細書の【0009】ないし【0010】の記載は、次のとおりである。
「【0009】
本発明のいくつかの実施形態では、隔壁は、カテーテルアセンブリの管腔内に配置され、カテーテルアダプタの中を通る流体の流れを止めるまたは制限する。隔壁は、概して、血液、薬剤、および注入処置中によく接触する他の流体に適合可能な可撓性または半可撓性材料を含む。いくつかの実施形態では、溝は、カテーテルアダプタの内面上に形成され、隔壁がその溝内に収められる。したがって、カテーテルアダプタ内における隔壁の位置は維持される。
【0010】
本発明のいくつかの実装形態では、さらに、1つまたは複数のスリットなどの閉じられたまたは部分的に閉じられた通路が、隔壁のバリア面内に形成される。通路は、流体が隔壁を迂回して、カテーテルアダプタの中を通って流れることができるようにする。いくつかの実施形態では、通路は、スリットであり、カテーテルアダプタの管腔内に配置されるプローブまたは隔壁アクチュエータによって開けられる前すなわち作動される前は閉じている。開けられるすなわち作動される前、スリットは、流体がカテーテルアダプタの中を通って流れないようにする。したがって、いくつかの実施形態では、複数の空気を通気するチャネルが隔壁と溝の間に置かれ、スリットが開けられる前にカテーテルアダプタを通って空気が流れるようになっている。空気の通気は、カテーテルアダプタ内の正圧の増大を防ぎ、それによって血液のカテーテルおよびカテーテルアダプタの前方チャンバへのフラッシュバックが可能になる。」

(4)【0015】ないし【0027】の記載
本願の国際出願翻訳文提出書の明細書の【0015】ないし【0027】の記載は、次のとおりである。
「【0015】
次に、図1を参照すると、図にはカテーテルアセンブリ10が示されている。カテーテルアセンブリ10は、概して、カテーテルアダプタ14の遠位端32に結合されたカテーテル12を含む。カテーテル12およびカテーテルアダプタ14は、カテーテルアダプタ14の内腔16がカテーテル12の管腔18と流体連通するように、一体に結合されている。カテーテル12は、概して、カテーテルを患者に刺入する際の圧力に十分耐える剛性を有する生体適合性材料を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル12は、シリコーンまたはポリテトラフルオロエチレンなどの可撓性または半可撓性のポリマー材料を含む。カテーテル12は、さらに、チタン、ステンレススチール、ニッケル、モリブデン、サージカルスチールおよびその合金などの、剛性金属材料を含むこともできる。
【0016】
本発明の特徴は、オーバーザニードルカテーテルアセンブリと共に使用するために組み入れられ得ることが当業者には明らかであろう。例えば、可撓性または半可撓性のポリマーカテーテルは、カテーテルの患者への挿入を可能にする剛性導入針と組み合わせて使用することができることが当業者には明らかであろう。外科的に植え込まれているカテーテルも本発明と組み合わせて使用可能であることが当業者には明らかであろう。
【0017】
患者に挿入されると、カテーテル12およびカテーテルアダプタ14は、流体導管を形成し、それによって所望の注入処置に必要とされるような、患者への流体の送達および/または患者からの流体の引き抜きが容易になる。したがって、いくつかの実施形態では、カテーテル12およびカテーテルアダプタ14の材料は、注入処置によく使用される生体液および薬剤に適合するように選択される。さらに、いくつかの実施形態では、カテーテル12および/またはカテーテルアダプタ14の一部は、静脈内チューブ40のセクションと組み合わせて使用できるように構成され、それによって患者への流体の送達または患者からの流体の引き抜きがさらに容易になる。
【0018】
いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14の近位端22は、フランジ28を含む。フランジ28は、静脈内チューブまたは患者導管40をカテーテルアセンブリ10に結合できるように構成され得る確実動作面を形成する。いくつかの実施形態では、フランジ28は、一連のねじ山30を含む。ねじ山30は、概して、雄ルアーまたは導管カプラ42の一部を構成する補完的な一連のねじ山44を適合して受容するように設けられ構成される。導管カプラ42は、概して、患者導管40の端部に液体密封の形で結合される。いくつかの実施形態では、導管カプラ42の内側部分は、外方に延在してプローブ面46を形成する。
【0019】
プローブ面46は、概して、カテーテルアダプタ14の近位端22に適合して挿入するように構成される。プローブ46がカテーテルアダプタ14の近位端22に挿入された後、導管カプラ42が回転され、(一連のねじ山30、44によって)カプラ42とフランジ28が噛み合う。カプラ42とフランジ28が噛み合う過程で、プローブ面46は、カテーテルアダプタ14の管腔16内の挿入位置まで前進する。プローブ面46が挿入位置につくと、カテーテルアセンブリ10が作動され、流体がカテーテル12およびカテーテルアダプタ14を通って流れることが可能になる。導管カプラ42がカテーテルアダプタ14に取り付けられると、流体が患者導管40および挿入されたカテーテル12を介して患者に送達され得るようになる。
【0020】
次に、図2を参照すると、図はカテーテルアセンブリ10の分解断面図である。いくつかの実施形態では、カテーテルアダプタ14は、カテーテルアセンブリ10の中を通る流体の流れを制御かつ/または制限する、様々な設計機能および構成要素を含む。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、隔壁弁または隔壁50が、カテーテルアダプタ14の内腔16内に配置される。隔壁50は、概して、可撓性または半可撓性のポリマープラグを含む。プラグの外径は、カテーテルアダプタ14の内面24上に形成された溝またはチャネル60内に適合して収まるように構成される。いくつかの実施形態では、隔壁50は、バレル形または缶形であり、または隔壁50の遠位端を構成するバリア面52を有し、隔壁50の近位端を構成する開口54をさらに有するように形作られ得る。チャネル60内に配置されると、隔壁50のバリア面52は、カテーテルアダプタ14の内腔16を、前方流体チャンバ62と後方流体チャンバ64に分割する。こうして、隔壁50の存在によって、前方流体チャンバ62と後方流体チャンバ64の間において流体の通過が制御または制限される。具体的には、主に、隔壁50のバリア面52の選択された構造によって、流体がカテーテルアダプタ14の内腔16を通って流れることができるかが決まる。
【0021】
例えば、いくつかの実施形態では、隔壁50のバリア面52は、スリット56を含むように構成される。スリット56は、バリア面52を通る流体の選択的なアクセスまたは流動を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、スリット56は、隔壁アクチュエータ80をバリア面52に対して遠位方向290に前進させることによって作動されるまたは応力が加えられて解放構成になるまで、閉じた流体密封位置に保たれるように構成される。いくつかの実施形態では、スリット56は、カテーテル挿入法または患者の後続治療を助けるように、導入針または他のプロービングデバイス(probing device)の通過を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、バリア面52は、1本のスリット56を含む。他の実施形態では、バリア面52は、複数のスリットを含む。
【0022】
一般に、スリット56は、隔壁アクチュエータ80によって作動される前は、流体密封シールを形成している。しかし、注入治療手技のなかには、隔壁アクチュエータ80による隔壁50の作動前に、隔壁50を通る制御された流体の流れを可能にすることが望まれることがある。したがって、いくつかの実施形態では、スリット56は、流体密封シールを形成しない。スリット56は、そうではなくて、前方チャンバ62と後方チャンバ64の間における液体または空気の制御された流れを可能にする漏れオリフィス(図示せず)を形成する。
【0023】
隔壁が収まる溝またはチャネル60は、カテーテルアダプタ14の内面24のくぼんだ部分を含む。隔壁50の外径は、概して、チャネル60内に適合してしっかりと収まるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、隔壁50の外径は、チャネル60の直径よりも若干小さくかつ内腔16の直径よりも若干大きく選択される。したがって、隔壁50は、カテーテルアセンブリ10の使用中、チャネル60内で保持される。
【0024】
注入治療手技のなかには、前方チャンバ62と後方チャンバ64の間で空気が流れるのが望ましいものもある。例えば、流体密封スリット56、66を有する隔壁50を備えた実施形態の場合、上述のように、隔壁アクチュエータ80によって隔壁50が開くすなわち作動前は、前方チャンバ62から後方チャンバ64への空気の通過ができないようになっている。したがって、カテーテルアセンブリ10のカテーテル12が患者の脈管系に挿入されると、正圧が前方チャンバ62内に生じ、それによって患者の血液のカテーテルアダプタ14内への所望のフラッシュバックが妨げられてしまう。概して、患者の静脈内にカテーテル先端20が正確に配置されたことを確認するために、フラッシュバックを観察できるのが望ましい。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、隔壁アクチュエータ80による隔壁50を作動させる必要なくして、前方チャンバ62と後方チャンバ64の間の空気流れを可能にする機能または要素を含む。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、注入処置に概して望まれるような観察可能なフラッシュバックを提供する。
【0025】
例えば、いくつかの実施形態では、スリット56は、上述のように、空気または液体の制御された漏れを可能にするように変形される。他の実施形態では、複数の空気を通気するチャネル70が、隔壁50とカテーテルアダプタ14の内面24の間に置かれる。空気を通気するチャネル70は、隔壁50を迂回して後方チャンバ64に入るように空気にアクセスを提供することによって前方チャンバ62内の正圧を下げる。いくつかの実施形態では、空気を通気するチャネル70は、結果的に複数の全体的に平行な溝になるようにチャネル60表面の諸部分を除去することによって構築される。他の実施形態では、隔壁50の外面は、参照により本明細書に組み込まれている特許文献1に示され教示されるような、複数の概ね平行な溝(図示せず)を含むように変形される。
【0026】
引き続き図2を参照すると、隔壁アクチュエータ80は、カテーテルアダプタ14の後方チャンバ64に大部分が収容されるプローブ様構造を備える。隔壁アクチュエータ80は、概して、遠位端84および近位端86を有する管状本体82を備える。管状本体82は、プラスチックまたは金属材料などの剛性または半剛性の材料を含む。管状本体82は、さらに、隔壁アクチュエータ80の中を通る流体および/または液体の流れを容易にするための内腔88を含む。隔壁アクチュエータ80は、さらに、カテーテルアダプタ14内で隔壁アクチュエータ80を保持する、および隔壁アクチュエータ80の中とそのまわりを通る流体の流れを最適化する、様々な機能110、120および130を含むことができる。
【0027】
管状本体82の遠位端84は、隔壁50のバリア面52に適合して当接しそれによってバリア面52を変形させるように構成される。遠位端84は、概して、隔壁50の開口54に適合して挿入されるように構成される。遠位端84は、さらに、隔壁50の開口54を通って隔壁50のバリア面52に近接する位置まで延在するプロービング面(probing surface)90を含む。プロービング面90は、隔壁アクチュエータ80がカテーテルアダプタ14内を遠位方向290に前進されると、バリア面52に対して前進される。」

5 当審の判断
上記1(3)のとおり、本件手続補正により、本願発明2は、「隔壁の外面のまわりに」通路を形成し、隔壁が「複数の微小孔をさらに備える」構成等を新たに追加するよう補正がなされた。
つまり、本願発明2は、「応力が加えられる位置」において、「隔壁の外面のまわりに通路を形成する」とともに、「隔壁」が「複数の微細孔を更に備える」よう、新たな事項が追加された。

請求人が補正の根拠として提示する【0031】には、上記4(1)のとおり、「隔壁」が「複数の微細孔を更に備える」ことについては記載されているが、これとともに「隔壁の外面のまわりに通路を形成する」ことについてまでは記載も示唆もない。
また、上記(2)のとおり、図5ないし図8、特に図7の記載からみて、「隔壁が隔壁アクチュエータ80によって遠位方向290に付勢されると開く複数の微細孔」を形成することが記載されているといえるが、これとともに「隔壁50の外面のまわりに通路を形成する」ことについては記載も示唆もない。
さらに、上記(3)及び(4)のとおり、国際出願翻訳文提出書の明細書の【0009】及び【0010】、【0015】ないし【0027】の記載には、「隔壁の外面のまわりに通路を形成する」ことについては記載されているといえるが、これとともに「隔壁」が「複数の微細孔を更に備える」ことについてまでは記載も示唆もないし、国際出願翻訳文提出書に添付した特許請求の範囲、明細書及び図面(以下、「国際出願翻訳文提出書等」という。)のどこにもそのような記載も示唆もない。

請求人は、上記3(1)のとおり、「この補正は、補正前の請求項1に、図5乃至図8、及び、段落番号0031に基づく補正を行うものです。」と主張するが、以上のとおり、図5ないし8及び【0031】を含めて国際出願翻訳文提出書等のどこにも、本願発明2の「応力が加えられる位置」において、「隔壁の外面のまわりに通路を形成する」とともに、「隔壁」が「複数の微細孔を更に備える」構成についてまでは記載も示唆もないといる。

以上を踏まえると、本願発明2の「応力が加えられる位置」において、「隔壁の外面のまわりに通路を形成する」とともに、「隔壁」が「複数の微細孔を更に備える」構成は、本願の国際出願翻訳文提出書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術事項を導入するものといわざるを得ない。
よって、本願は、特許法第17条の2第3項の規定に違反しているから、拒絶されるべきものである。


第5 むすび
以上のとおりであるから、本願は、特許法第17条の2第3項の規定に違反しており、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-04-26 
結審通知日 2019-05-07 
審決日 2019-05-21 
出願番号 特願2014-534722(P2014-534722)
審決分類 P 1 8・ 57- Z (A61M)
P 1 8・ 537- Z (A61M)
P 1 8・ 562- Z (A61M)
P 1 8・ 55- Z (A61M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 落合 弘之小岩 智明  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 寺川 ゆりか
芦原 康裕
発明の名称 多様な使用ができる伸縮性のある非貫通の血液制御弁  
代理人 特許業務法人 谷・阿部特許事務所  
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