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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61B
管理番号 1355739
審判番号 不服2018-10826  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-08-07 
確定日 2019-11-05 
事件の表示 特願2014-131734「測定装置、測定方法、および測定装置を備える電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 1月18日出願公開、特開2016- 7503、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年6月26日の出願であって、平成29年11月1日付けで拒絶理由が通知され、同年12月27日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成30年4月10日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされたところ、同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。その後当審において平成31年4月16日付けで拒絶理由が通知され、令和元年6月24日付けで意見書及び手続補正書が提出され、当審において同年7月17日付けで拒絶理由が通知され、同年9月13日付けで意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1?13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明13」という。)は、令和元年9月13日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?13に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1及び3は、以下のとおりの発明である。

(本願発明1)
「【請求項1】
被検部位を接触させる接触部と、
前記被検部位の生体情報を測定可能な測定部と、
振動を発生する振動部と、
ユーザへの情報を表示する表示部と、
を備え、
前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するとき、前記振動部が振動を発生する機能をオフにして前記測定部の測定を続行すると共に、前記表示部に着信がある旨を表示させるように制御する、
測定装置。」

(本願発明3)
「【請求項3】
被検部位を接触させる接触部と、
前記被検部位の生体情報を測定可能な測定部と、
を備え、
前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するときに、前記着信処理を開始するまでに行った前記測定部の測定の進行度合に応じて、それまでの測定結果の出力および測定の停止を実行するか、またはそれまでの測定結果を出力せずに測定の停止を実行するように制御する、測定装置。」

また、本願発明2、4?13の概要は以下のとおりである。
本願発明2は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明4?8は、本願発明3を減縮した発明である。
本願発明9及び10は、本願発明1?8のいずれかを減縮した発明である。
本願発明11は、本願発明1?10のいずれかの測定装置を備える電子機器の発明である。
本願発明12及び13は、それぞれ本願発明1及び3に対応する方法の発明であり、本願発明1及び3とカテゴリ表現が異なるだけの発明である。

第3 令和元年7月17日付けの当審拒絶理由で指摘した新規性進歩性違反の概要

(新規性)請求項1、2、8?11に係る発明は、引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(進歩性)請求項1、2、8?11に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、又は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、請求項3?12に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、又は、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:特開2007-151941号公報
引用文献2:特開2007-319246号公報
引用文献3:特開2013-186115号公報

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1の記載
本願出願前に頒布された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は、当審で付した。以下同じ。

(引1ア)
「【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る端末装置を示すブロック図である。この実施形態の端末装置として、携帯電話機を例にして説明するが、これに限定されるものではなく、生体情報測定装置を組み込み可能な機器であれば適用することができる。
【0019】
図1において、端末装置1は、主制御部10、アンテナ11、通信部12、通信制御部13、操作部14、表示制御部15、表示部16、表示用照明部17、記憶部18、撮像制御部19、撮像部20、マイク21、レシーバ22、時計23、電源制御部24、蓄電池25、生体情報測定用センサ部26を含んで構成されている。
・・・
【0033】
生体情報測定用センサ部26は、測定する生体情報によってそれぞれ異なるセンサを用いても良く、公知の技術を用いて構成されるもので、例えば、発光ダイオードと受光ダイオードを備え、動脈血管での反射・透過光を解析することにより血圧を測定したり、あるいは、動脈血管を含む生体組織の吸光度を測定することによって血中酸素飽和度等を測定して、測定されたそれぞれの生体情報を主制御部10へ通知する。ここで、生体情報測定用センサ部26の各センサへ電力を供給するそれぞれの蓄電池は、測定中に動作ができなくなることがないように充分な容量を持つものとする。
【0034】
上述した端末装置に組み込まれた生体情報測定用センサ部26を動作させるときに、他の機能が動作していると、その機能から生ずるノイズが影響して生体情報の正確な測定値が得られなくなる恐れがでてくる。
本実施形態1の端末装置では、このノイズによる不正確な生体情報の測定を回避するために、主制御部10は、生体情報の測定中にノイズを発生している、次に示したような機能や機器のうち、測定に必要な最小限の機能や機器を動作または一時停止状態から復帰させ、その他の機能や機器を一時的に停止させて、測定中に必要としなくなった機能や機器の動作を一時的に停止させる。また、主制御部10は、生体情報の測定が終了すると、一時的に停止していた前記の機能や機器を停止前の状態に復帰させる。
【0035】
(1)通信部を停止する。
生体情報の測定中は、通信部12の動作の停止、電波の送信を停止、電源を遮断することで、通信部12によるノイズの発生を防止する。ただし、外部センサと連携して測定するなど、測定中に通信部12を必要とする場合は除く。さらに、通信部が複数ある場合には、それらは個々に制御することができる。」

(引1イ)
「【0042】
次に、図5に示したフローチャートを用いて、実施形態1に係る端末装置で生体情報を測定するときの処理手順を説明する。
ユーザは、操作部14あるいは通信部12を介して、生体情報測定アプリケーションの実行開始を指示すると、端末装置1は、生体情報測定アプリケーションを起動させる(ステップS1)。
主制御部10は、この生体情報測定アプリケーションが測定に必要な機能や機器に関する情報を記憶部18から取得し(ステップS2)、この測定に必要な機能や機器を除いて、ノイズを発生する機能や機器を一時停止させて、それらが全て停止するまで待つ(ステップS3、S4)。ここで、一時停止させた機能や機器に関する情報は、一時的に記憶部18へ記憶しておく。
【0043】
主制御部10は、ノイズを発生する機能や機器が全て一時停止すると、生体情報の測定を開始させて、測定の完了を待つ(ステップS5、S6)。
主制御部10は、測定が完了すると、記憶部18に記憶してあった一時停止させていた機能や機器の実行を停止前の状態に復帰させ(ステップS7)、生体情報測定アプリケーションを終了し(ステップS8)、次のユーザが指示を入力するまで待機する。」

(引1ウ)図1

(引1エ)図5


(2)引用発明1
上記(1)の記載及び図面を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「主制御部10、アンテナ11、通信部12、通信制御部13、操作部14、表示制御部15、表示部16、表示用照明部17、記憶部18、撮像制御部19、撮像部20、マイク21、レシーバ22、時計23、電源制御部24、蓄電池25、生体情報測定用センサ部26を含んで構成されている携帯電話機であって、
生体情報測定用センサ部26は、発光ダイオードと受光ダイオードを備え、動脈血管での反射・透過光を解析することにより血圧を測定したり、あるいは、動脈血管を含む生体組織の吸光度を測定することによって血中酸素飽和度等を測定して、測定されたそれぞれの生体情報を主制御部10へ通知し、
ユーザは、操作部14あるいは通信部12を介して、生体情報測定アプリケーションの実行開始を指示すると、端末装置1は、生体情報測定アプリケーションを起動させ、
主制御部10は、この生体情報測定アプリケーションが測定に必要な機能や機器に関する情報を記憶部18から取得し、この測定に必要な機能や機器を除いて、ノイズを発生する機能や機器を一時停止させて、それらが全て停止するまで待ち、
主制御部10は、ノイズを発生する機能や機器が全て一時停止すると、生体情報の測定を開始させて、測定の完了を待ち、
主制御部10は、測定が完了すると、記憶部18に記憶してあった一時停止させていた機能や機器の実行を停止前の状態に復帰させ、生体情報測定アプリケーションを終了し、次のユーザが指示を入力するまで待機し、
ノイズを発生する機能や機器が通信部を含む、携帯電話機。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2の記載
本願出願前に頒布された引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引2ア)
「【0004】
従来、脈拍数は、人が動脈を指などで触り、時計の秒針を見ながら拍動の数を計数したり、自動血圧測定器などを用いたりして測定されていた。また、近年、非特許文献1などに見られるように、光電式の脈拍検出器が提案されている。光電式の脈拍検出器では、指をフォトトランジスタなどのセンサから構成される測定部に押し当て、また、発光ダイオードなどの発光素子を、測定部のセンサの近傍に配置したり、あるいは指を測定部とで挟むように配置したりして、指からの反射光や透過光の変化を検出する。これは、拍動により、指の血管中の血流量が変化し、それに伴って、反射光や透過光の強度、波長などの測定パラメータ値が変化することを測定原理としている。
【非特許文献1】“1-4-3-2-1 指紋/高性能化技術/セキュリティ/なりすまし防止/生体検知”,[online],特許庁,[検索日:2006.4.16],インターネット<URL:http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/hyoujun_gijutsu/biometric/1-4-3.pdf>」

(引2イ)
「【0020】
(実施形態1:電子機器として携帯電話を用いる場合)
以下、本実施形態に係る電子機器として、カメラを有する携帯電話を用いる場合について説明する。
【0021】
図2(A)、(B)はカメラを有する携帯電話の代表的な外観の二例を示す。図2(A)において、携帯電話200は、筐体を開いた状態にすると、カメラ部の開口201が外部に露出する。開口201の内側202の内部には、光学系などとしてレンズが配置されており、この下に2次元撮像素子が配置されている。これにより、通常は風景や人物、ものを撮影することができる。同様に図2(B)において、携帯電話203は、筐体を開かなくてもカメラ部の開口204が外部に露出している。開口204の内側205の内部には図2(A)と同様に光学系が配置されている。また、部分206は、内側205の内部の光学系の近傍に備えられた光源を示す。このような光源は必須のものではないが、例えば、夜間などにおいてフラッシュ撮影を行なうために主に用いられ得る。
【0022】
図3は、カメラを有する携帯電話の機能ブロック図を例示している。光学系301と2次元撮像素子302とを有するカメラ303と、記憶メモリ304と、表示部305と、スピーカ306と、マイク307と、キー入力部308と、無線部309とが備えられている。カメラ303は、開口201、開口204とその内部とで構成され、これは、撮像部103に対応する。記憶メモリは、アドレス帳を記憶したり、送受信を行なった電子メールを記憶したり、カメラ303で撮影した画像を記憶したり、携帯電話の各部を制御するプログラム(あるいはプログラムモジュール)を記憶したりするために用いられる。このプログラム(以下、プログラムといえば、プログラムモジュールを含むこととする。)は制御部310の有するCPU(Central Processing Unit)で実行される。このプログラムの中には、カメラ303で撮像された指画像データから時間的周期情報を取得するためのプログラムがある。このようなプログラムがCPUで実行されることにより、周期情報取得部104が実現される。表示部305は、携帯電話の状態を表示したり、カメラ303で撮影された画像を表示したり、電子メールの表示を行なったりするなどのディスプレイである。スピーカ306は、電話として機能する場合の音声を発するために用いられる。マイク307は、電話として機能する場合の音声を取得するために用いられる。キー入力部308は、携帯電話に備えられたキー操作を検出するために用いられる。無線部309は、無線通信を行なうために用いられる。
【0023】
図4は、指画像データをカメラ303に撮影させ、時間的周期情報を取得するために、携帯電話に対して行なわれる操作を例示する。まず、携帯電話の所持者は、キー入力部308を操作して、携帯電話を画像撮影モードにして、その旨の表示を表示部305にさせるよう、制御部310に指示を行なう。すると、制御部310は、記憶メモリ304から必要なプログラム及び必要なデータを読み取り、プログラムを実行する。その結果、表示部305には、表示401が行なわれ、モード選択の画面が表示される。所持者が「カメラ撮影」を選択すると、表示401が表示402に置き換わり、例えば、脈拍測定、人物撮影、風景撮影、夜景撮影のモードが選択できるようになる。ここで「脈拍測定」を選択すると、制御部310は、周期情報取得部104を実現するためのプログラムを読み込み、実行する。この状態で、カメラ303により指を撮影して、制御部310が指画像データを取得すると、周期情報取得部104を実現するプログラムの動作により、指画像データから時間的周期情報が取得される。
【0024】
なお、カメラ303により指を撮影する場合には、指を光学系301から離して撮影してもよいし、開口201、204に指を当てて指画像データを撮像するようになっていてもよい。指を当てる場合には、指を開口の全部または一部に当てる。」

(引2ウ)図2(A)

(引2エ)図3


(2)引用発明2
上記(1)の記載及び図面を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「光学系301と2次元撮像素子302とを有するカメラ303と、表示部305とが備えられている携帯電話200であって、
カメラ303は、開口201とその内部とで構成され、開口201の内側202の内部には、光学系301などとしてレンズが配置されており、この下に2次元撮像素子302が配置されており、
開口201に指を当てて、カメラ303で撮像された指画像データから時間的周期情報を取得するためのプログラムが、制御部310で実行される、
携帯電話200。」

3 引用文献3について

(1)引用文献3の記載
本願出願前に頒布された引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。

(引3ア)
「【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。以下の説明では、放射線センサを備えたスマートフォンなどの携帯電話機(携帯通信端末)を例に挙げて説明する。もっとも、この発明の適用対象は携帯電話機に限られるものでない。通信機能を備えていないPDA(Personal Digital Assistants)などに放射線センサを搭載することもできるし、携帯型の放射線測定器に加速度センサを搭載した機器もこの発明の実施の形態の1つである。
・・・
【0020】
[携帯電話機1の全体構成]
図1は、一実施の形態による携帯電話機1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。携帯電話機1は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)2、RAM(Random Access Memory)3、ROM(Read Only Memory)4、メモリ5、通信装置6、アンテナ7、マイク8、スピーカ9、音声信号処理回路10、表示部12、入力部11、バイブレータ13、加速度センサ14、および放射線センサ15を含む。
・・・
【0027】
バイブレータ13は、CPU2の指令に基づいて振動するもので、たとえば、ユーザに着信を伝える場合などに用いられる。
【0028】
加速度センサ14は、加速度を検出するセンサである。たとえば、加速度センサ14は梁構造で支持された錘体を有し、錘体の変位量を静電容量またはピエゾ抵抗の変化として検出して出力する。錘体の変位量は加速度センサ14に作用する加速度に比例する。通常、スマートフォンなどの携帯電話機には、自機の姿勢を検知するために3軸の加速度センサが備えられている。
【0029】
加速度センサの出力は、振動による変位と重力加速度による変位とが加算されたものである。重力加速度による変位は振動による変位に比べて変化が緩やかであるので、所定期間内の出力の平均値を除去することによって(ローパスフィルタを通すことと等価である)重力加速度による変位を除去することができる。この結果、加速度センサによって携帯電話機1の振動による変位量を検出することができる。たとえば、3軸の加速度センサの場合には、3方向の振動による変位Δx、ΔyおよびΔzを得ることができる。携帯電話機には加速度センサが通常設けられているので、振動を検出するための専用回路を付加する必要がないというメリットがある。
【0030】
放射線センサ15は、放射線を検知したときにパルス信号を出力する。たとえば、放射線センサ15は、逆方向にバイアス電圧が印加されたシリコンPINフォトダイオードを含む。この場合、放射線が空乏層を通過したときに発生する電子正孔対によって、パルス状の電流信号が生成される。図1の放射線センサ15は、さらに、パルス信号を増幅するアンプと、増幅後の信号をAD(Analog-to-Digital)変換するAD変換器を含む。
【0031】
上記のような構成の放射線センサ15は、衝撃や振動の影響を受けやすいという特徴がある。たとえば、振動によってアンプの浮遊容量が変化すると疑似パルスを発生する。この疑似パルスを放射線によるパルスとして誤検出すると放射線の測定結果に誤差を生じることになる。」

(引3イ)
「【0047】
図4は、本実施の携帯の放射線センサ付きの携帯電話機1によって放射線を測定する手順を示すフローチャートである。
【0048】
図4の測定手順は、放射線測定を要求するユーザの入力操作によって開始される(ステップS1でYES)。
【0049】
放射線測定開始の要求を受けて、図2のシステム制御部20(CPU2)は、バイブレータ13をオフする(ステップS2)。これによって、バイブレータ13の振動によって着信を通知するように設定されている場合には、着信してもバイブレータ13を作動しないようにできる。さらに、システム制御部20(CPU2)は、音声によって着信を通知するように設定されている場合に、着信音を所定の音量以下にするか、もしくは着信音を発しないようにする(ステップS3)。これらによって、放射線測定中の携帯電話機1の振動を減らすことができるので、放射線の検出精度を高めることができる。
【0050】
その後、システム制御部20(CPU2)は、加速度センサ14をオンするとともに(ステップS4)、放射線センサ15をオンすることによって放射線の測定を開始する(ステップS5)。なお、スマートフォンなどの携帯電話機の場合には、自機の姿勢を検知するために加速度センサ14は常時オン状態になっていることが多い。
【0051】
放射線の測定が開始されると、図2の積算値算出部24は、加速度センサ14の出力信号に基づいて、現時刻までの所定時間内での振動による変位の大きさを積算する(ステップS6)。算出された積算値(第1の評価値)が許容値A1以下の場合には(ステップS7でYES)、データ無効化部21は、現時刻の放射線センサ15の出力信号を有効として扱う。計数部22は、有効な出力信号の中にパルスが検出された場合には、そのパルス数をカウントする。線量算出部23は、計数部22によってカウントされたパルス数に対応する放射線量とその統計誤差を算出する(ステップS10)。算出された放射線量および統計誤差は表示部12に表示される(ステップS11)。
【0052】
一方、積算値算出部24によって算出された積算値(第1の評価値)が許容値A1を超えている場合には(ステップS7でNO)、システム制御部20は、表示部12にメッセージを表示したり、スピーカ9から警告音を出力したりすることによって、ユーザに通知する(ステップS14)。この場合、データ無効化部21は、現時刻の放射線センサ15の出力信号を無効として扱う(ステップS15)。
【0053】
さらに、積算値算出部24は、放射線測定開始時刻から現時刻までの振動による変位の大きさの積算値(第2の評価値)を算出する(ステップS16)。この結果、積算値(第2の評価値)が許容値A2を超えている場合には、システム制御部20(CPU2)は、表示部12にメッセージを表示したり、スピーカ9から音声を出力したりすることによって、ユーザに測定不能を通知する(ステップS18)。この場合、CPU2は、放射線測定を中止する。その後、自動的に再測定を実行するようにしてもよい。
【0054】
上記の放射線の測定は、放射線量の統計誤差が基準値以内(ステップS12でYES)となるまで繰り返される。統計誤差が基準値以内になると、CPU2は、放射線センサ15をオフすることによって放射線測定を終了する(ステップS13)。放射線測定が終了すると、測定終了のメッセージを表示部12に表示したり、スピーカ9から出力したりするのが望ましい。統計誤差の値に基づいて放射線測定を終了するので、放射線量が比較的高い場合には、短時間で放射線測定を終了することができる。」

(引3ウ)図1

(引3エ)図4


(2)引用文献3の技術事項
上記(1)の記載及び図面を総合すると、引用文献3には、次の事項が記載されていると認められる。

「中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)2、RAM(Random Access Memory)3、ROM(Read Only Memory)4、メモリ5、通信装置6、アンテナ7、マイク8、スピーカ9、音声信号処理回路10、表示部12、入力部11、バイブレータ13、加速度センサ14、および放射線センサ15を含む携帯電話機1であって、
放射線測定開始の要求を受けて、システム制御部20(CPU2)は、バイブレータ13をオフにし、これによって、バイブレータ13の振動によって着信を通知するように設定されている場合には、着信してもバイブレータ13を作動しないようにでき、
その後、システム制御部20(CPU2)は、放射線の測定が開始されると、加速度センサ14の出力信号に基づいて、現時刻までの所定時間内での振動による変位の大きさを積算し(ステップS6)、算出された積算値(第1の評価値)が許容値A1以下の場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を有効として扱い、放射線量とその統計誤差を算出し、算出された放射線量および統計誤差は表示部12に表示され、
前記第1の評価値が許容値A1を超えている場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を無効として扱い、さらに、放射線測定開始時刻から現時刻までの振動による変位の大きさの積算値(第2の評価値)を算出し、前記第2の評価値が許容値A2を超えている場合には、放射線測定を中止し、前記第2の評価値が許容値A2を超えていない場合には、上記(ステップS6)に戻り、上記の放射線の測定は、放射線量の統計誤差が基準値以内となるまで繰り返される、
携帯電話機1。」

第5 引用発明1を主引例とした場合の進歩性についての検討

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「生体情報測定用センサ部26」は、本願発明1の「被検部位の生体情報を測定可能な測定部」に相当する。

イ 引用発明1の「携帯電話機」が、通話の着信を振動によって通知する振動発生部を備えていることは、明らかであるから、引用発明1は、本願発明1の「振動を発生する振動部」に相当する構成を備えていると認められる。

ウ 引用発明1の「表示部16」は、本願発明1の「ユーザへの情報を表示する表示部」に相当する。

エ 引用発明1の「生体情報測定用センサ部26を含んで構成されている携帯電話機」は、本願発明1の「測定装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明1とは、以下の点で一致し、以下の各点で相違する。

(一致点)
「被検部位の生体情報を測定可能な測定部と、
振動を発生する振動部と、
ユーザへの情報を表示する表示部と、
を備える、測定装置。」

(相違点1)
本願発明1は、「被検部位を接触させる接触部」を備えているのに対し、引用発明1は、この構成について特定されていない点。

(相違点2)
本願発明1は、「前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するとき、前記振動部が振動を発生する機能をオフにして前記測定部の測定を続行すると共に、前記表示部に着信がある旨を表示させるように制御する」のに対し、引用発明1は、「通信部を含む」「ノイズを発生する機能や機器が全て一時停止すると、」「生体情報測定用センサ部26」の「生体情報の測定を開始させて、測定の完了を待」つ点。

(3)判断
事案に鑑み、上記相違点2について検討する。

引用発明1は、「生体情報の測定」に先だって、「通信部を含む」「ノイズを発生する機能や機器」を「全て一時停止」させることから、引用発明1からは、「生体情報の測定」に先だって、通話の着信を振動によって通知する振動発生部の振動発生機能を一時停止させることが把握できる。また、引用文献3の技術事項(上記第4 3(2)を参照。)からは、「放射線の測定」に先だって、「バイブレータ13をオフにし、これによって、」「着信してもバイブレータ13を作動しないように」することが把握できる。しかしながら、上述のとおり、引用発明1及び引用文献3の技術事項のいずれも、上記相違点2に係る本願発明1の構成のように、測定中に着信処理を開始するとき、振動部が振動を発生する機能をオフにして測定を続行するものではなく、引用文献3の技術事項に関しては、生体情報を得るものですらない。
よって、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、引用文献1?3のいずれにも記載も示唆もされておらず、このことが周知技術といえる証拠もない。
したがって、上記相違点2に係る本願発明1の構成は、引用発明1及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(4)小括
よって、本願発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、引用発明1及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明3について

(1)対比
本願発明3と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「生体情報測定用センサ部26」は、本願発明3の「被検部位の生体情報を測定可能な測定部」に相当する。

イ 引用発明1の「生体情報測定用センサ部26を含んで構成されている携帯電話機」は、本願発明3の「測定装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
本願発明3と引用発明1とは、以下の点で一致し、以下の各点で相違する。

(一致点)
「被検部位の生体情報を測定可能な測定部、
を備える測定装置。」

(相違点3)
本願発明3は、「被検部位を接触させる接触部」を備えているのに対し、引用発明1は、この構成について特定されていない点。

(相違点4)
本願発明3は、「前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するときに、前記着信処理を開始するまでに行った前記測定部の測定の進行度合に応じて、それまでの測定結果の出力および測定の停止を実行するか、またはそれまでの測定結果を出力せずに測定の停止を実行するように制御する」のに対し、引用発明1は、「通信部を含む」「ノイズを発生する機能や機器が全て一時停止すると、」「生体情報測定用センサ部26」の「生体情報の測定を開始させて、測定の完了を待」つ点。

(3)判断
事案に鑑み、上記相違点4について検討する。

引用文献3の技術事項(上記第4 3(2)を参照。)からは、「現時刻までの所定時間内での振動による変位の大きさを積算し(ステップS6)、算出された積算値(第1の評価値)が許容値A1以下の場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を有効として扱い、放射線量とその統計誤差を算出し、算出された放射線量および統計誤差は表示部12に表示され、
前記第1の評価値が許容値A1を超えている場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を無効として扱い、さらに、放射線測定開始時刻から現時刻までの振動による変位の大きさの積算値(第2の評価値)を算出し、前記第2の評価値が許容値A2を超えている場合には、放射線測定を中止」させることが把握できる。しかしながら、上述のとおり、引用文献3の技術事項は、上記相違点4に係る本願発明3の構成のように、測定中に着信処理を開始するときに、着信処理を開始するまでに行った測定の進行度合いに応じて、それまでの測定結果の出力および測定の停止を実行するか、またはそれまでの測定結果を出力せずに測定の停止を実行するように制御するものでもなければ、生体情報を得るものでもない。
よって、上記相違点4に係る本願発明3の構成は、引用文献1?3のいずれにも記載も示唆もされておらず、このことが周知技術といえる証拠もない。
したがって、上記相違点4に係る本願発明3の構成は、引用発明1及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(4)小括
よって、本願発明3は、上記相違点3について検討するまでもなく、引用発明1及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2、4?13について
本願発明2、4?13は、上記第2の「本願発明2、4?13の概要」のとおりであるから、上記1又は2と同様の理由により、引用発明1及び引用文献2、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 引用発明2を主引例とした場合の進歩性についての検討

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明2とを対比する。

ア 引用発明2の「指を当て」る「開口201」は、本願発明1の「被検部位を接触させる接触部」に相当する。

イ 引用発明2の「指画像データから時間的周期情報を取得するための」「カメラ303」は、本願発明1の「被検部位の生体情報を測定可能な測定部」に相当する。

ウ 引用発明2の「携帯電話200」が、通話の着信を振動によって通知する振動発生部を備えていることは、明らかであるから、引用発明2は、本願発明1の「振動を発生する振動部」に相当する構成を備えていると認められる。

エ 引用発明2の「表示部305」は、本願発明1の「ユーザへの情報を表示する表示部」に相当する。

オ 引用発明2の「カメラ303で撮像された指画像データから時間的周期情報を取得する」「携帯電話200」は、本願発明1の「測定装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明1と引用発明2とは、以下の点で一致し、以下の各点で相違する。

(一致点)
「被検部位を接触させる接触部と、
前記被検部位の生体情報を測定可能な測定部と、
振動を発生する振動部と、
ユーザへの情報を表示する表示部と、
を備える測定装置。」

(相違点5)
本願発明1は、「前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するとき、前記振動部が振動を発生する機能をオフにして前記測定部の測定を続行すると共に、前記表示部に着信がある旨を表示させるように制御する」のに対し、引用発明2は、この構成について特定されていない点。

(3)判断
上記相違点5について検討する。

引用文献1に記載された技術事項は、「生体情報の測定」に先だって、「通信部を含む」「ノイズを発生する機能や機器」を「全て一時停止」させることから、引用文献1に記載された技術事項からは、「生体情報の測定」に先だって、通話の着信を振動によって通知する振動発生部の振動発生機能を一時停止させることが把握できる。また、引用文献3の技術事項(上記第4 3(2)を参照。)からは、「放射線の測定」に先だって、「バイブレータ13をオフにし、これによって、」「着信してもバイブレータ13を作動しないように」することが把握できる。しかしながら、上述のとおり、引用文献1に記載された技術事項及び引用文献3の技術事項のいずれも、上記相違点5に係る本願発明1の構成のように、測定中に着信処理を開始するとき、振動部が振動を発生する機能をオフにして測定を続行するものではなく、引用文献3の技術事項に関しては、生体情報を得るものですらない。
よって、上記相違点5に係る本願発明1の構成は、引用文献1?3のいずれにも記載も示唆もされておらず、このことが周知技術といえる証拠もない。
したがって、上記相違点5に係る本願発明1の構成は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(4)小括
よって、本願発明1は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明3について

(1)対比
本願発明3と引用発明2とを対比する。

ア 引用発明2の「指を当て」る「開口201」は、本願発明3の「被検部位を接触させる接触部」に相当する。

イ 引用発明2の「指画像データから時間的周期情報を取得するための」「カメラ303」は、本願発明3の「被検部位の生体情報を測定可能な測定部」に相当する。

ウ 引用発明2の「カメラ303で撮像された指画像データから時間的周期情報を取得する」「携帯電話200」は、本願発明3の「測定装置」に相当する。

(2)一致点・相違点
したがって、本願発明3と引用発明2とは、以下の点で一致し、以下の各点で相違する。

(一致点)
「被検部位を接触させる接触部と、
前記被検部位の生体情報を測定可能な測定部と、
を備える測定装置。」

(相違点6)
本願発明3は、「前記測定部の測定中に通話の着信に伴う着信処理を開始するときに、前記着信処理を開始するまでに行った前記測定部の測定の進行度合に応じて、それまでの測定結果の出力および測定の停止を実行するか、またはそれまでの測定結果を出力せずに測定の停止を実行するように制御する」のに対し、引用発明2は、この構成について特定されていない点。

(3)判断
上記相違点6について検討する。

引用文献3の技術事項(上記第4 3(2)を参照。)からは、「現時刻までの所定時間内での振動による変位の大きさを積算し(ステップS6)、算出された積算値(第1の評価値)が許容値A1以下の場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を有効として扱い、放射線量とその統計誤差を算出し、算出された放射線量および統計誤差は表示部12に表示され、
前記第1の評価値が許容値A1を超えている場合には、現時刻の放射線センサ15の出力信号を無効として扱い、さらに、放射線測定開始時刻から現時刻までの振動による変位の大きさの積算値(第2の評価値)を算出し、前記第2の評価値が許容値A2を超えている場合には、放射線測定を中止」させることが把握できる。しかしながら、上述のとおり、引用文献3の技術事項は、上記相違点6に係る本願発明3の構成のように、測定中に着信処理を開始するときに、着信処理を開始するまでに行った測定の進行度合いに応じて、それまでの測定結果の出力および測定の停止を実行するか、またはそれまでの測定結果を出力せずに測定の停止を実行するように制御するものでもなければ、生体情報を得るものでもない。
よって、上記相違点6に係る本願発明3の構成は、引用文献1?3のいずれにも記載も示唆もされておらず、このことが周知技術といえる証拠もない。
したがって、上記相違点6に係る本願発明3の構成は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に想到し得ることとはいえない。

(4)小括
よって、本願発明3は、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明2、4?13について
本願発明2、4?13は、上記第2の「本願発明2、4?13の概要」のとおりであるから、上記1又は2と同様の理由により、引用発明2及び引用文献1、3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1、2、10?13に係る発明(第1実施形態に対応する発明)は、引用文献1(特開2009-66203号公報)及び引用文献2(特開2014-14516号公報)に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項により、特許を受けることができない、というものである。
しかしながら、本願発明1?13(第2実施形態及び第3実施形態に対応する発明)は、原査定において拒絶の対象とされていない請求項に対応する発明であるから、もはや原査定を維持することはできない。

第8 当審拒絶理由について

1 特許法第36条第6項第2号(明確性)について
当審では、令和元年7月17日付けの拒絶理由によって、請求項1に係る発明に記載の「前記測定部の測定中に所定の処理を開始するとき、前記振動部に振動を発生させないようにして前記測定部の測定を続行するように制御する制御部」、及び、請求項3に係る発明の「所定の処理を開始するときに、前記測定部および前記振動部を制御するとともに、前記所定の処理を開始するまでに行った前記測定部の測定に応じて、測定の結果を出力するか否かを決定するように制御する制御部」は、いずれも明確であるといえない、との拒絶の理由を通知しているが、補正により本願発明1?13となったことから、この拒絶の理由は解消した。

2 特許法第36条第6項第1号(サポート要件)について
当審では、平成31年4月16日付けの拒絶理由によって、請求項1に係る発明の「前記測定部の測定中に所定の処理を開始するとき、前記振動部が振動を発生しないようにして前記測定部の測定を続行するように制御する制御部」、及び、請求項3に係る発明の「前記測定部の測定中に所定の処理を開始するとき、当該所定の処理を開始するまでに行った当該測定部の測定に応じて、当該測定の結果を出力するか否かを決定するように制御する制御部」、並びに、令和元年7月17日付けの拒絶理由によって、請求項1に係る発明の「前記測定部の測定中に所定の処理を開始するとき、前記振動部に振動を発生させないようにして前記測定部の測定を続行するように制御する制御部」、及び、請求項3に係る発明の「所定の処理を開始するときに、前記測定部および前記振動部を制御するとともに、前記所定の処理を開始するまでに行った前記測定部の測定に応じて、測定の結果を出力するか否かを決定するように制御する制御部」は、いずれも発明の詳細な説明に記載したものであるといえない、との拒絶の理由を通知しているが、補正により本願発明1?13が、第2実施形態又は第3実施形態に対応するものとなったことから、これらの拒絶の理由は解消した。

3 特許法第36条第4項第1号(実施可能要件)について
当審では、令和元年7月17日付けの拒絶理由によって、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基づいて、請求項1?12に係る発明について、発明の詳細な説明には、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない、との拒絶の理由を通知しているが、補正により本願発明1?13が、第2実施形態又は第3実施形態に対応するものとなったことから、この拒絶の理由は解消した。

4 特許法第29条第1項第3号(新規性)及び同条第2項(進歩性)について
上記第5のとおり、上記相違点2は、実質的な相違点であるから、本願発明1、2、9?12は、引用文献1に記載された発明であるとはいえない。
また、上記第5及び第6のとおり、本願発明1?13は、引用発明1、引用発明2及び引用文献3に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-10-21 
出願番号 特願2014-131734(P2014-131734)
審決分類 P 1 8・ 113- WY (A61B)
P 1 8・ 536- WY (A61B)
P 1 8・ 121- WY (A61B)
P 1 8・ 537- WY (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊知地 和之  
特許庁審判長 伊藤 昌哉
特許庁審判官 三木 隆
▲高▼見 重雄
発明の名称 測定装置、測定方法、および測定装置を備える電子機器  
代理人 河合 隆慶  
代理人 杉村 憲司  

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