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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01D
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01D
管理番号 1355782
審判番号 不服2018-8623  
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-06-25 
確定日 2019-10-07 
事件の表示 特願2014-759「タービンブレードの内部冷却回路」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月16日出願公開、特開2014-196735〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月7日(パリ条約による優先権主張2013年1月9日、アメリカ合衆国)の出願であって、平成29年10月6日付けで拒絶の理由が通知され、その指定期間内の平成30年1月17日に誤訳訂正書、意見書及び手続補正書が提出されたが、同年2月28日付けで拒絶査定(発送日:同年3月13日)がされ、これに対して、同年6月25日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成30年6月25日の手続補正についての補正却下の決定
〔補正却下の決定の結論〕
平成30年6月25日の手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本願補正発明
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前(平成30年1月17日の手続補正書)の請求項1に、

「【請求項1】
内部冷却回路を有するブレードであって、燃焼タービンエンジンで用いるように構成され、翼形部及び根元部を備えるブレードの製造方法であって、当該方法が、
コアの堅牢性を高めるように構成された過大寸法の支持接続部を含むコアを用いて内部冷却回路を鋳造する工程であって、過大寸法の支持接続部が、内部冷却回路に第1の流路を形成するとともに作動時に第1の流路を通る所望の冷却剤流量に比して過大寸法である、工程と、
プラグを形成する工程と、
プラグを貫通するプラグチャネルであって、第1の流路を通る所望の冷却剤流量に対応するように構成されたプラグチャネルを形成する工程と、
第1の流路に対する閉塞位置にプラグが固定されるようにプラグをブレードに接続する工程と
を含む方法。」
とあったものを、

「【請求項1】
内部冷却回路を有するブレードであって、燃焼タービンエンジンで用いるように構成され、翼形部及び根元部を備えるブレードの製造方法であって、当該方法が、
コアの堅牢性を高めるように構成された過大寸法の支持接続部を含むコアを用いて内部冷却回路を鋳造する工程であって、過大寸法の支持接続部が、内部冷却回路に第1の流路を形成するとともに作動時に第1の流路を通る所望の冷却剤流量に比して過大寸法である、工程と、
プラグを形成する工程と、
プラグを貫通するプラグチャネルであって、第1の流路を通る所望の冷却剤流量に対応するように構成されたプラグチャネルを形成する工程と、
第1の流路に対する閉塞位置にプラグが固定されるように、プラグチャネルが形成されたプラグをブレードに接続する工程と
を含む方法。」
と補正することを含むものである(下線は補正箇所を示すために審判請求人が付した。)。

上記補正は、発明を特定するために必要な事項である「プラグ」について「プラグチャネルが形成された」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて検討する。

2 引用文献
(1)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2008-151112号公報(以下「引用文献1」という。)には、「集合ブリッジ型鋳造中子」に関して、図面(特に、図1、図2参照)とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審による。以下同様。

ア 「【0032】
図1に示すのは、高温燃焼ガスからエネルギーを取り出すためにガスタービンエンジン内で使用するように構成された第1段タービンロータブレード10である。ブレードは、内側プラットフォーム14からスパンにわたって半径方向に延びる翼形部12を含み、内側プラットフォーム14は次に、取付けダブテール16に結合されて単体構造組立体を形成する。」

イ 「【0035】
図1及び図2に示す翼形部12は、ほぼ凹面形の正圧側面18と円周方向に対向するほぼ凸面形の負圧側面20とを含み、これら側面18及び20は、プラットフォーム14における根元22から半径方向外側先端24までスパンにわたって半径方向に延びる。これら2つの側面はまた、対向する前縁及び後縁26及び28間で翼弦にわたって軸方向に延びる。
【0036】
翼形部12は、複数の長くかつ狭いフローチャネル1?8によって形成された内部冷却回路を含み、複数のフローチャネル1?8は、翼形部の根元から先端までスパンにわたって半径方向に延びかつ前縁及び後縁間で翼弦にわたって軸方向に間隔を置いて配置され、また翼形部の対向する正圧及び負圧側面をブリッジ結合した対応する半径方向仕切り壁30によって分離される。仕切り壁30は、例えば翼形部前縁背後の第1のチャネル1を除いて無孔であるのが好ましく、この第1のチャネル1は、第2のチャネル2を通って流れる冷却空気32により前縁内側にインピンジメント冷却を行うためのインピンジメント孔の列を仕切り壁内に含む。
【0037】
翼弦中間チャネル3?7は、端部間結合で配列されて、後縁近くの第7のチャネル7で始まりかつ第2のチャネル2の背後の第3のチャネル3で終わる例示的な5経路蛇行回路を形成する。第8のチャネル8は、専ら後縁を冷却するために後縁の直前に配置される。
【0038】
翼形部チャネルは、対応する短くかつ広い入口チャネル34によって冷却空気を供給され、入口チャネル34は、ダブテール16の底面からプラットフォーム14までスパンにわたって半径方向に延び、プラットフォームにおいて冷却チャネルのうちの選択冷却チャネルと結合する。図1に示す例示的な実施形態では、3つの入口チャネル34は、従来通りの方式でガスタービンエンジン(図示せず)の圧縮機から加圧冷却空気32を受けるための対応する入口をダブテール底面内に有する。」

ウ 「【0047】
より具体的には、図2に示す鋳造中子36は、中実セラミック材料で形成された複数の長くかつ細い脚部又はロッド部38、40を含む。これらのロッド部は、長手方向スパンにわたって延び、互いにほぼ平行でありかつ対応する空間又は空隙42だけ翼形部の翼弦方向に間隔を置いて配置される。
【0048】
中実ロッド部38、40は、中空フローチャネル3?7の鋳造相補体であるので、それら中実ロッド部は、対応して細長く、個々のロッド部の胴囲(周囲長さ)又は直径を大きく越えた個々の長さを備えており、その長さが直径よりも例えば10倍又はそれ以上の倍数ほど大きい場合がある。
【0049】
幾つかのロッド部38、40は、幾つかのフローチャネル3?7と直接対応し、また幾つかの空隙42は、チャネル間の好ましくは無孔の仕切り壁30と対応することになる。
【0050】
さらに、セラミック中子はまた、ロッド部のうちの参照符号38で示す一次ロッド部に対して一体形に結合されかつ参照符号40で示すその他の二次ロッド部の下方に適当に間隔を置いて配置された比較的より厚いステム部又はシャンク部44を含む。中実シャンク部44は、図1に示すダブテール内の中間入口チャネル34と対応しており、その短い長さと大きな胴囲により比較的強度がありかつ太い。
【0051】
図2に示す一次及び二次中子ロッド部38、40は、これもまた図2に示す蛇行フローチャネル3?7の断面構成と完全に一致した例示的な断面構成を有しており、ほとんどの場合、翼形部断面の円周方向厚さの方が、その前縁及び後縁間における翼形部の翼弦方向幅における厚さよりも大きい。これと対照的に、シャンク部44は、翼弦方向の幅が翼厚円周方向の厚さよりも大きい。
【0052】
従って、シャンク部44は、比較的強度があり、蛇行フローチャネルのうちの第1の経路7を形成する一体形の一次ロッド中子部38を先ず始めに支持する。次に、4つの二次中子ロッド部40が、二次ロッド部の頂部及び底部に交互に配置された対応する180°方向転換部つまり屈曲部において端部間結合されて、対応する5経路連続中子セグメントを形成する。また、4つの二次ロッド部40は、その流れ順序が6-5-4-3である第2?第5の蛇行チャネルを形成する。
【0053】
5つの中子ロッド部38、40の外端部つまり頂端部は、その強度を高めるために、従来通りの方式で外側ブロックに連結することができる。
【0054】
しかしながら、4つの二次ロッド部40の内端部は、冷却回路の連続蛇行構成を維持するために、下方シャンク部44の頂部の手前で必然的に終端しなくてはならず、従ってシャンク部44の上方に吊下げられかつ間隔を置いて配置される。この領域内に構造補強部がない状態では、そのように吊下げられた二次ロッド部40は、製作時及びタービンブレードを鋳造するための取扱い工程中に容易に破損し、その結果中子歩留りを低下させることになる。
【0055】
従って、図2に示すセラミック中子36は、特殊な位置に置かれかつ特殊な構成にされた局所的拡大部つまり中実バルブ部46を含むように変更され、このバルブ部46は、シャンク部44の頂部に対して一体形に結合されかつシャンク部から二次ロッド部40の底部に向けて比較的短い高さだけ上向きに延びる。
【0056】
それに対応して、複数の短い連結タイつまり中実スタブ部48が、バルブ部46の頂部において互いに集合されかつ外向に放射状に延びて、二次ロッド部40の底部において該二次ロッド部40のうちの対応する異なる二次ロッド部と一体形に結合する。このようにして、片持ち支持された又は吊下げられた二次ロッド部40は、相互連結部のボリュームを最小にしながら該相互連結部の強度を最大にするように短いスタブ部48及びブリッジ結合バルブ部46のトラス構成によって、太いシャンク部44の頂部に対してまとめて一体形に結合される。
【0057】
バルブ部46及び統合型のスタブ部48によって形成された集合結合部は、製作時、取扱い中及び鋳造工程時におけるセラミック中子の強度を増大させるためのみに望ましいものであるので、その寸法及び質量は、その補強効果を最大にしかつ運転時における遠心荷重を支えるために必要な鋳造ブレード内での最終金属の減少を最小にするのを保証しながら、最小にすべきである。」

エ 「【0064】
さらに、図2に示す共通の中実バルブ部46は、図1に示す中間入口チャネル34の頂部側壁内に共通の中空ポケット56を後に残す。また、個々の中実スタブ部48は、5経路蛇行回路の対応する脚部3?7と流れ連通したポケット56から外向きに放射状に延びる対応する管状チャネル又はシュート58を後に残す。
【0065】
しかしながら、開放ポケット56及び開放シュート58は、5経路蛇行冷却回路の冷却性能を有効でないものにすることになるので、これら開放ポケット56及び開放シュート58は、その後の製造工程において閉鎖される。
【0066】
例えば、図1に示す個々のシュート58は、対応するプラグによって適当に塞ぐことができ、その例示的な形状は、シュート内にろう付けされてシュートを介しての流れ連通を遮断しかつ阻止する球形金属ボール60である。このようにして、シュート58の各々は、共通の中間入口チャネル34と蛇行回路の2つの底部流れ方向転換部との間の流れ連通を遮断して、次に蛇行回路の5つの脚部間における連続した完全な流れを保証する対応するプラグ60を含む。
【0067】
従って、図2に示すセラミック中子36は、共通のバルブ部46及び集合スタブ部48によって選択的に構造補強されて、その全体を図1に示しかつその一部を図2に示した対応する独特のタービンブレード10を鋳造する。」

上記記載事項及び図示内容を総合し、本願補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「フローチャネル3?7を有する第1段タービンロータブレード10であって、高温燃焼ガスからエネルギーを取り出すガスタービンエンジンで用いるように構成され、翼形部12及び根元22を備える第1段タービンロータブレード10の製造方法であって、当該方法が、
鋳造中子36の強度を増大させるように構成された所定寸法のバルブ部46及びスタブ部48を含む鋳造中子36を用いてフローチャネル3?7を鋳造する工程であって、所定寸法のバルブ部46及びスタブ部48が、フローチャネル3?7に開放ポケット56及び開放シュート58を形成する、工程と、
プラグ60を形成する工程と、
開放ポケット56及び開放シュート58に対する閉塞位置にプラグ60が固定されるように、プラグ60を第1段タービンロータブレード10にろう付けする工程と
を含む方法。」

(2)引用文献2
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2003-322002号公報(以下「引用文献2」という。)には、「リフレッシュ用孔のメータリング板を備えるタービン翼形部」に関して、図面(特に、図3参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0003】通常のタービン羽根及びブレードは、翼形部を含み、その上を燃焼ガスが流れる。典型的なものでは、翼形部は、内部に1つ又はそれ以上の蛇行冷却通路を備え、それらを通して、圧縮機抽気である冷却空気が翼形部を冷却するために流される。翼形部は、冷却効果を高めるための種々の乱流発生器を含むことができ、冷却空気は翼形部の外面の周りに配設された種々のフィルム冷却孔を介して通路から排出される。より高度な冷却効果を追求して、結局のところ、近代のブレードは多重経路の冷却回路に到達している。
【0004】蛇行冷却空気回路及びその他のブレード内部の通路を介して冷却空気を流すことは公知であり、これらは、冷却空気が通路を通して移動する過程で、ブレード前縁に衝突冷却する前に空気を予熱する。ブレード前縁を横切る温度差は、衝突冷却するようにブレードの根元を通して冷却空気を導く場合より小さくなり、その結果ブレード前縁における熱応力を低くし、ブレード寿命を高めることができる。これは、冷却流がブレード翼形部の外部をフィルム冷却するために半径方向の前縁冷却孔から流出する前に、ブレード中間スパン部の多くの部分を内部的に冷却することができるため、冷却流の効率的利用となる。
【0005】しかしながら、この技術はまた、「逆流マージン」に悪影響を与える。空気流はブレードの内部通路を通って移動するため、折り返し及び乱流促進部による圧力損失は、ある作動条件のもとではブレード前縁への高温ガス吸込みが生じてしまうような状態にまで冷却流圧力を低下させることになる。この望ましくない状態は、逆流と呼ばれる。逆流マージンをより大きくするための1つの手法は、ブレードに供給される冷却空気の流入圧力を増加させることである。供給圧力の増加は、冷却流の漏洩を望ましくない状態にまで増加させることになるので、この手法は常に実行可能なわけではない。この問題を克服するために、衝突のための冷却空気を供給する前縁流の通路にリフレッシュ用通路が備えられた。このリフレッシュ用通路は、ブレード根元部にある冷却流回路の第1流路部分に連結される。この回路は、衝突冷却空気を、ここでは前縁供給流路と呼ばれるその最終流路から、前縁キャビティに供給する。リフレッシュ用通路は、空気流が残りの回路を通ることによって予熱された後に、この最終流路にある空気流をリフレッシュする。米国特許第5,387,086号及び第5,813,826号を参照されたい。
【0006】前縁供給流路へのリフレッシュ用通路は、ブレードの根元部を通過する蛇行冷却回路の流入口流路に連結され、その結果、蛇行冷却回路の流量に合流する。前縁供給流路への流量及び圧力を調整するために、蛇行冷却回路を通る流れと独立して、リフレッシュ用通路を通る冷却流を調整できるようにすることが望ましい。これは、蛇行通路又は衝突孔圧力低下が所望の値より高い鋳造ブレードが製造される場合に、特に有用である。これは又、ブレードの冷却回路調整にも望ましいものであり、詰り及び磨耗によって引き起こされたようなブレード孔及び蛇行回路の劣化に有用であり、必要なものである。」

イ 「【0012】本発明の冷却回路構成は、より低い冷媒供給圧力の使用を可能にする。3流路からなる蛇行経路はまた、流路及び経路をより多く有する回路に比べて、鋳造特性がもたらす圧力低下の変化に対して、脆弱性がより少ない。前縁及び後縁の冷却のための専用回路即ち流路は、外部の熱負荷が最も高い前縁及び後縁において、より良い内部冷却を提供する。リフレッシュ用通路は、前縁及び後縁のために、より低温の空気を混合させ、かくして、蛇行冷却回路を通さなければならない冷媒量を減少させ、摩擦及び折り返しによる流れ損失を減少させる。リフレッシュ用通路は、従前のものに比べ、より高いタービン温度でも、冷却のためのキャビティがより少ない状態でより軽い設計を実用的にする。本発明は、翼形部及びブレードの重量を減らすことを可能にし、前縁及び後縁における冷却流量をより多くすることを可能にする。本発明はまた、異物による損傷、激しい擦過、又はその他の蛇行部の折り返し先端部に孔があく原因となるものによる破壊から翼形部及びブレードを保護することに役立てることができる。他の回路は、冷媒を孔において失い、残りの蛇行冷却回路において冷媒不足を生じさせる。リフレッシュ用回路は、蛇行回路からの冷媒の喪失による熱疲労を減らすために、各キャビティの根元部に流れを供給する。本発明の翼形部及びブレードの設計により、鋳造の結果として蛇行回路又は衝突孔における圧力低下が所望の値より高いものとなった場合には、リフレッシュ用孔を調整して前縁及び後縁への流量及び圧力がより多くなるようにできるため、生産性及び製造歩留まりが増加する。従来技術の設計によれば、この状況では、部品をスクラップとし、鋳造用の中子の金型再加工を持つ必要があった。本発明は、調整可能なメータリング板を備えるので、前縁及び後縁への冷却流量を調整するのに用いることが可能である。メータリング孔を有するメータリング板は、リフレッシュ用通路の流入口上に鑞付けでき、鋳造における堅牢な中子及び軽量シャンクの使用を許容し、リフレッシュ用の流量の調整可能なメータリングを可能にする。」

ウ 「【0018】前方及び後方に流れる蛇行冷却回路36及び38が3経路回路と呼ばれるのは、それぞれが第1流路40、中間流路41、最終流路42として表わされる半径方向に延びる3流路を備えるためである。本発明は、ここに例示的な実施形態として示したような1つの中間流路より多い中間流路を有してもよい。前方に流れる蛇行冷却回路36の第1流路40、中間流路41、最終流路42は、図3において、それぞれ第1リブから第4リブ1?4として示した、翼弦方向に間隔を置いて配置された内部リブ34によって定められ、該リブ34の間に形成され、かつそれらの横方向側部47は、正圧側壁16及び負圧側壁18が(図2に示す)境界となる。」

エ 「【0022】リフレッシュ用通路66は、前方及び後方に流れる蛇行冷却回路36及び38の前記最終流路42の半径方向内側部分70の境界となる半径方向内側壁を貫通して延びる。リフレッシュ用通路66は、根元部14を完全に貫通して延び、翼形部12の外部の冷却空気源と流体連通し、更にリフレッシュ用通路66は、前方及び後方に流れる蛇行冷却回路36及び38とは独立し、別に作動する。リフレッシュ用通路66は、根元部14の底面49に流入口68を有し、該流入口は前方及び後方に流れる蛇行冷却回路36及び38の入口37から離間して配設される。2つのメータリング板80が根元部14の底面49に配置され、それぞれが、リフレッシュ用通路66の各流入口68を覆う。メータリング板の各々は、流入口上の中心に位置決めされたメータリング孔82を有する。メータリング板は調整可能であるので前縁及び後縁への冷却流の量を調整するのに用いることができる。調整可能にすることは、孔径又は孔面積を拡大して孔を拡げることによってなされるか、異なる口径を有する板を用いることによってなされる。メータリング板80は、鋳造が終わり、ブレード又は翼形部の流れ試験が完了した後に、リフレッシュ用通路66への流入口68上に鑞付けすることができる。独立して設けられるリフレッシュ用通路及びメータリング板は、鋳造における堅牢な中子及び軽量シャンクの使用を許容し、リフレッシュ用の流量の調整可能なメータリングを可能にする。」

オ 上記エの「メータリング板80は、鋳造が終わり、ブレード又は翼形部の流れ試験が完了した後に、リフレッシュ用通路66への流入口68上に鑞付けすることができる。独立して設けられるリフレッシュ用通路及びメータリング板は、鋳造における堅牢な中子及び軽量シャンクの使用を許容し、リフレッシュ用の流量の調整可能なメータリングを可能にする。」との記載によれば、翼形部を備えるブレードは、中子を用いた鋳造により製造されることが理解できる。そうすると、リフレッシュ用通路66も同様に中子を用いた鋳造により製造されているといえる。

カ 上記エの「メータリング板の各々は、流入口上の中心に位置決めされたメータリング孔82を有する。メータリング板は調整可能であるので前縁及び後縁への冷却流の量を調整するのに用いることができる。調整可能にすることは、孔径又は孔面積を拡大して孔を拡げることによってなされるか、異なる口径を有する板を用いることによってなされる。」との記載によれば、リフレッシュ用通路66を流れるリフレッシュ用の流量は、メータリング板80のメータリング孔82によって調整されたものであることが理解できる。そうすると、リフレッシュ用通路66自体の寸法は、調整後のリフレッシュ用の流量に比して過大になっているといえる。

キ 上記オ及びカからみて、リフレッシュ用通路66を形成する中子の寸法も、調整後のリフレッシュ用の流量に比して過大になっているといえる。

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献2には次の事項(以下「引用文献2に記載された事項」という。)が記載されている。

「過大寸法のリフレッシュ用通路66を形成する中子が第1流路40、中間流路41及び最終流路42からなる蛇行冷却回路36,38にリフレッシュ用通路66を形成するとともに作動時にリフレッシュ用通路66を通る調整後のリフレッシュ用の流量に比して過大寸法である工程と、メータリング板80にメータリング孔82が形成され、メータリング板80を貫通するメータリング孔82であって、リフレッシュ用通路66を通る調整後のリフレッシュ用の流量に対応するように構成されたメータリング孔82を形成する工程とを含むブレードの製造方法。」

(3)引用文献3
本願の優先日前に頒布された特開平11-132002号公報(以下「引用文献3」という。)には、「流量調整プラグ」に関して、図面(特に、図7、図8参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ガスタービン動翼を周方向に等ピッチに植設するディスク等、高温ガスに晒らされるガスタービン回転部品等の回転部材を冷却するため、回転部材の側面全周から回転部材にスワラーをかけながら、圧縮空気等の冷却用流体を吹き付け冷却する冷却用流体ダクトの流出口に装着され、回転部材に吹き付ける冷却用流体の流量を制御するための流量調整プラグに関する。」

イ 「【0008】また、流出口3には、図7の斜視図に示すように、側面にテーパ4を形成した流量調整プラグとしてのくさび形状のプラグ8が挿入、装着できるようにしている。すなわち、流出口3からディスク7の側面に沿って吹き付ける圧縮空気6は、常に、ディスク7の全周にわたって設けた全部の流出口3から流出させる必要はなく、圧縮機を含めたガスタービンの稼動状態に応じて流出させれば良く、流出口3からの圧縮空気6の流出量に合せて、任意の流出口3に溶接して、必要数装着し、閉塞し、流量を調整するようにしている。
【0009】勿論流出口3から流出させる圧縮空気6の流出量の調整は、任意の流出口3に流量調整プラグとしての鋳物を溶接して閉塞するようにしても良いが、テーパ部4を持つ、くさび形形状にされたプラグ8を使用することにより、流出口3に溶接する際、プラグ8が翼2の間で容易に固定でき、溶接作業を容易にできるメリットがある。
【0010】しかしながら、このように流出口3にプラグ8を溶接し、又は鋳物を溶着し、固着するようにして、流出口3から流出する圧縮空気6の流出量を制御するようにしたプラグ8では、流出口3を塞ぎ過ぎた場合、あるいは、オーバーホールでディスク7の冷却する圧縮空気の流量を増大側に変更する必要が生じた場合には、プラグ8を固着して流量調整をするようにした場合にはドリルで、また、鋳物を固着するようにして、流量調整をするようにした場合には、放電加工で図8に示すように、必要数穴9を開け、圧縮空気6の流出量を増大させる必要が生じる場合がある。
【0011】このため、例えば、特定の流出口3とプラグ8で閉塞して、流出口3からの圧縮空気6の流出量を予め設定した量にするために、プラグ8に穴9を開けるような場合、流出口3の形状、特に奥部の形状が複雑であるため、流出量の再調整が殆ど必要となり、このため穴9をあけるドリルで発生する切粉がプラグ8長さ分の切粉が出て、冷却流体用ダクト1本体の中に入ってしまい、しかも入った切粉の摘出が難しくなるという不具合がある。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献3には次の事項(以下「引用文献3に記載された事項」という。)が記載されている。

「ガスタービン動翼において穴9が形成されたプラグ8を用いること。」

(4)引用文献4
本願の優先日前に頒布された特開2001-214703号公報(以下「引用文献4」という。)には、「ガスタービンバケット冷却回路及び冷却方法」に関して、図面(特に、図7参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、閉ループ対流冷却ガスタービンバケット、及びバケットの翼台と翼形部フィレット領域を冷却する方法に関する。」

イ 「【0022】図7は別の装置を示し、この装置では、入り口142を介しチャンバ140と通路146とが連通するように穿孔された穴へプラグ156が挿入される。ここでは、プラグは計量孔158と160を備えて形成され、チャンバ140から通路146への空気を計量する。この装置は、流れを計量する後縁孔がない場合に特に適しており、たとえば、冷却媒体流がバケットの前縁方向へと向かいその後バケットの翼形部分の半径方向に延びる通路へと流れるような第二段バケットにおける場合である。渡り通路が形成される方法と、計量用の内部通路を形成するために取付け口が設けられる方法は、バケットを生産するのに使用される製造プロセスに依存していることが理解されるであろう。計量のための独立した機構が設けられない場合には、後縁孔130,132が冷却空気を計量できるような寸法に作られる。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献4には次の事項(以下「引用文献4に記載された事項」という。)が記載されている。

「ガスタービンで用いられる翼形部フィレット領域において計量孔158、160が形成されたプラグ156を用いること。」

(5)引用文献5
本願の優先日前に頒布された特開2012-102726号公報(以下「引用文献5」という。)には、「タービンロータブレードのプラットフォーム領域を冷却するための装置、システム、及び方法」に関して、図面(特に、図7?図10参照)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0001】
本出願は、総括的には、本明細書で使用する場合及び特に記載のない限り、発電及び航空機エンジン用などのあらゆるタイプの燃焼タービンエンジンを含む燃焼タービンエンジンに関する。より具体的には、限定ではないが、本出願は、タービンロータブレードのプラットフォーム領域を冷却するための装置、システム及び/又は方法に関する。」

イ 「【0030】
幾つかの実施形態では、プラグ149を用いて、図示のようにスラッシュ面出口147の断面流れ面積を低減することができる。プラグ149は、設置時に、プラグが存在する冷却通路を通る断面流れ面積を低減するように形成することができる。このケースでは、プラグ149は、通路を通過する流れの所望のレベルを許容するように構成され、残りの流れを代替のルートに配向する。本明細書で使用されるこのタイプのプラグは、部分プラグと呼ばれる。従って、部分プラグ149は、スラッシュ面出口147に挿入され、スラッシュ面出口147を通る流れ面積の一部を塞ぐことによって断面流れ面積を低減するように構成することができる。部分プラグ149は、所望又は所定の流れ面積まで低減するよう設計することができる。1つの好ましい実施形態では、部分プラグ149は、適切な「ドーナッツ」形状を形成するように中心アパーチャを有して形成される。中心アパーチャは、スラッシュ面出口147を通って所望の流れ面積を提供するよう形成される。上述のように、所定の断面流れ面積は、当業者であれば理解されるように、所望の冷却媒体衝突特性及び/又は所望の流量調整特性に関連付けることができる。部分プラグ149は、従来の材料から作られ、従来の方法(すなわち、溶接、ろう付け、その他)を用いて設置することができる。設置されると、部分プラグ149の外側面は、正圧側スラッシュ面126及び負圧側スラッシュ面122の表面に対して同一平面に存在することができる。幾つかの実施形態では、スラッシュ面出口147を通過する流れを完全に遮断することが望ましい場合がある。このケースでは、流れを完全に遮断するプラグ149(本明細書で使用される場合、「完全プラグ」と呼ばれる。)を用いることができる。」

上記記載事項及び図示内容を総合すると、引用文献5には次の事項(以下「引用文献5に記載された事項」という。)が記載されている。

「燃焼タービンエンジンで用いるタービンロータブレードにおいて中心アパーチャが形成された部分プラグ149を用いること。」

3 対比・判断
本願補正発明と引用発明とを対比すると、後者の「フローチャネル3?7」は前者の「内部冷却回路」に相当し、以下同様に、「第1段タービンロータブレード10」は「ブレード」に、「高温燃焼ガスからエネルギーを取り出すガスタービンエンジン」は「燃焼タービンエンジン」に、「翼形部12」は「翼形部」に、「根元22」は「根元部」に、「鋳造中子36」は「コア」に、「バルブ部46及びスタブ部48」は「支持接続部」に、「強度を増大させる」ことは「堅牢性を高める」ことに、「開放ポケット56及び開放シュート58」は「第1の流路」に、「プラグ60」は「プラグ」に、「ろう付けする」ことは「接続する」ことにそれぞれ相当する。

したがって、両者は、
「内部冷却回路を有するブレードであって、燃焼タービンエンジンで用いるように構成され、翼形部及び根元部を備えるブレードの製造方法であって、当該方法が、
コアの堅牢性を高めるように構成された支持接続部を含むコアを用いて内部冷却回路を鋳造する工程であって、支持接続部が、内部冷却回路に第1の流路を形成する、工程と、
プラグを形成する工程と、
第1の流路に対する閉塞位置にプラグが固定されるように、プラグをブレードに接続する工程と
を含む方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。

〔相違点〕
本願補正発明は、「過大寸法の」支持接続部が内部冷却回路に第1の流路を形成する「とともに作動時に第1の流路を通る所望の冷却剤流量に比して過大寸法である」工程と、プラグに「プラグチャネルが形成され」、「プラグを貫通するプラグチャネルであって、第1の流路を通る所望の冷却剤流量に対応するように構成されたプラグチャネルを形成する工程」とを含むのに対し、
引用発明は、「所定寸法のバルブ部46及びスタブ部48」であり、プラグ60に「プラグチャネルが形成され」ていない点。

そこで、相違点を検討する。
引用文献2に記載された事項は、「過大寸法のリフレッシュ用通路66を形成する中子が第1流路40、中間流路41及び最終流路42からなる蛇行冷却回路36、38にリフレッシュ用通路66を形成するとともに作動時にリフレッシュ用通路66を通る調整後のリフレッシュ用の流量に比して過大寸法である工程と、メータリング板80にメータリング孔82が形成され、メータリング板80を貫通するメータリング孔82であって、リフレッシュ用通路66を通る調整後のリフレッシュ用の流量に対応するように構成されたメータリング孔82を形成する工程とを含むブレードの製造方法。」である。
本願補正発明と引用文献2に記載された事項とを対比すると、後者の「リフレッシュ用通路66を形成する中子」は翼形部を製造する中子の構造からみて前者の「支持接続部」に相当し、以下同様に、「第1流路40、中間流路41及び最終流路42からなる蛇行冷却回路36、38」は「内部冷却回路」に、「リフレッシュ用通路66」は「第1の流路」に、「調整後のリフレッシュ用の流量」は「所望の冷却剤流量」に、「メータリング板80」は「プラグ」に、「メータリング孔82」は「プラグチャネル」にそれぞれ相当する。
そうすると、引用文献2に記載された事項は、本願補正発明の用語で表すと、「過大寸法の支持接続部が内部冷却回路に第1の流路を形成するとともに作動時に第1の流路を通る所望の冷却剤流量に比して過大寸法である工程と、プラグにプラグチャネルが形成され、プラグを貫通するプラグチャネルであって、第1の流路を通る所望の冷却剤流量に対応するように構成されたプラグチャネルを形成する工程とを含むブレードの製造方法。」といえるから、引用文献2に記載された事項は、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項を備えるものである。

引用文献2の「独立して設けられるリフレッシュ用通路及びメータリング板は、鋳造における堅牢な中子及び軽量シャンクの使用を許容し、リフレッシュ用の流量の調整可能なメータリングを可能にする。」(前記2(2)エ)との記載からみて、引用文献2に記載された事項は、鋳造における堅牢な中子の使用を許容するためのものといえる。他方、引用文献1の「このようにして、片持ち支持された又は吊下げられた二次ロッド部40は、相互連結部のボリュームを最小にしながら該相互連結部の強度を最大にするように短いスタブ部48及びブリッジ結合バルブ部46のトラス構成によって、太いシャンク部44の頂部に対してまとめて一体形に結合される。バルブ部46及び統合型のスタブ部48によって形成された集合結合部は、製作時、取扱い中及び鋳造工程時におけるセラミック中子の強度を増大させるためのみに望ましいものである」(段落【0056】及び段落【0057】)との記載からみて、引用発明は、鋳造工程時におけるセラミック中子の強度を増大させるためのものといえる。
そうすると、引用発明と引用文献2に記載された事項とは、鋳造における中子の強度を増大させるという点で共通する。

また、引用文献2には「空気流はブレードの内部通路を通って移動するため、折り返し及び乱流促進部による圧力損失は、ある作動条件のもとではブレード前縁への高温ガス吸込みが生じてしまうような状態にまで冷却流圧力を低下させることになる。」(前記2(2)ア)との記載、「この問題を克服するために、衝突のための冷却空気を供給する前縁流の通路にリフレッシュ用通路が備えられた。」(同)との記載、「前縁供給流路へのリフレッシュ用通路は、ブレードの根元部を通過する蛇行冷却回路の流入口流路に連結され、その結果、蛇行冷却回路の流量に合流する。」(同)との記載、及び「蛇行冷却回路を通る流れと独立して、リフレッシュ用通路を通る冷却流を調整できるようにすることが望ましい。これは、蛇行通路又は衝突孔圧力低下が所望の値より高い鋳造ブレードが製造される場合に、特に有用である。」(同)との記載、「鋳造の結果として蛇行回路又は衝突孔における圧力低下が所望の値より高いものとなった場合には、リフレッシュ用孔を調整して前縁及び後縁への流量及び圧力がより多くなるようにできる」との記載(前記2(2)イ)がある。
これらの記載からみて、リフレッシュ用通路は、蛇行冷却経路の折り返し又は衝突孔による圧力損失を補うために冷却流を供給するものである。
他方、引用発明のフローチャネル3?7は蛇行回路であり、「開放ポケット56及び開放シュート58に対する閉塞位置にプラグ60が固定され」、「シュート58の各々は、共通の中間入口チャネル34と蛇行回路の2つの底部流れ方向転換部との間の流れ連通を遮断して、次に蛇行回路の5つの脚部間における連続した完全な流れを保証する」(前記2(1)エの段落【0066】)ものであるから、引用文献2の上記各記載に照らせば、引用発明のフローチャネル3?7は、蛇行回路の折り返し又は衝突孔による圧力損失が生じ得るとの課題を内在しているといえる。

そうしてみると、引用発明と引用文献2に記載された事項とは鋳造における中子の強度を増大させるという点で共通し、引用発明のフローチャネル3?7は圧力損失が生じ得るとの課題を内在しているから、引用発明に引用文献2に記載された事項を適用する動機付けはあるといえる。

したがって、引用発明において、引用文献2に記載された事項を適用して、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、仮に引用文献2に記載された事項の「メータリング板80」が本願補正発明の「プラグ」に相当しないとしても、引用文献3に記載された事項、引用文献4に記載された事項及び引用文献5に記載された事項からみて、燃焼タービンエンジンで用いるブレードにおいてプラグチャネルが形成されたプラグを用いることは、周知技術と認められるから、引用発明において、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術を適用して、相違点に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

また、本願補正発明は、全体としてみて、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は引用発明、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は引用発明、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?16に係る発明は、平成30年1月17日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?16に記載されたとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由の概要
本願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1?6、8?16
・引用文献1及び2

引用文献1に記載された発明に、冷媒量を減少させるために、引用文献2に記載された技術を適用することは、当業者が容易になし得たものであり、引用文献1では、引用文献2のリフレッシュ用通路に相当するスタブ部48に、球状金属ボール60等をろう付けして流路を閉じているから、該球状金属ボール等に、リフレッシュ用孔を設けることは、当業者が適宜設計し得たものである。

・請求項7
・引用文献1?3
引用文献1に記載された発明の球状金属ボール60に代えて、引用文献3に記載されたプラグ状の蓋部材7を採用することは、当業者が容易になし得たものである。

引用文献一覧
1 特開2008-151112号公報
2 特開2003-322002号公報
3 特開2003-222026号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用した引用文献1及び2、その記載事項、及び引用発明は、前記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2〔理由〕」で検討した本願補正発明における「プラグ」についての「プラグチャネルが形成された」との限定を省いたものである。
そうしてみると、本願発明の発明特定事項をすべて含んだものに実質的に相当する本願補正発明が、前記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は引用発明、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は引用発明、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項、又は引用発明、引用文献2に記載された事項及び上記周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2019-05-08 
結審通知日 2019-05-14 
審決日 2019-05-27 
出願番号 特願2014-759(P2014-759)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01D)
P 1 8・ 121- Z (F01D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 倉田 和博  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 齊藤 公志郎
冨岡 和人
発明の名称 タービンブレードの内部冷却回路  
代理人 田中 拓人  
代理人 小倉 博  

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