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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1356421
審判番号 不服2019-3964  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-03-26 
確定日 2019-10-24 
事件の表示 特願2015-116175号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年1月5日出願公開、特開2017-339号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成27年6月8日の出願であって、平成30年8月7日付けで拒絶の理由が通知され、同年10月11日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成31年1月15日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、それに対して、同年3月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成31年3月26日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成31年3月26日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正により、平成30年10月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段と、
保留表示及び対応表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段と、を備え、
保留表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ、
保留表示と対応表示との少なくとも一方は、前記複数の演出モードで共通の表示態様に変化可能である、
ことを特徴とする遊技機。」は、
審判請求時に提出された手続補正書(平成31年3月26日付け)の特許請求の範囲の請求項1における
「【請求項1】
可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段と、
保留表示及び対応表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段と、を備え、
保留表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ、
保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、
当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であり、
前記複数の演出モードで共通の態様に変化可能である、
ことを特徴とする遊技機。」に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「表示態様」に関して、「保留表示と対応表示との少なくとも一方は、前記複数の演出モードで共通の表示態様に変化可能である」とあったものを「保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であり、前記複数の演出モードで共通の態様に変化可能である」と限定することを含むものである。

そして、補正後の請求項1に係る発明は、補正前の請求項1に係る発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正のうち特許請求の範囲の請求項1についてする補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。
また、本件補正は、願書に最初に添付した明細書の段落【0389】、【0397】等の記載からみて、新規事項を追加するものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。

3 独立特許要件
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否かについて、以下に検討する。

(1)本件補正発明
本件補正発明は、次のとおりのものであると認める(記号A?Gは、分説するため当審判合議体にて付した。)。
「A 可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
C 可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段と、
D 保留表示及び対応表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段と、を備え、
E 保留表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ、
F 保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、
F1 当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であり、
F2 前記複数の演出モードで共通の態様に変化可能である、
G ことを特徴とする遊技機。」

(2)引用文献1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2015-27359号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に以下の事項が記載されている(下線は当審判合議体にて付した。以下同じ。)。

ア 記載事項
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機(パチンコ機)や回胴遊技機(スロットマシン)に代表される遊技台に関する。」
・・・
【0005】
本発明の目的は、多彩な態様で保留アイコンを表示することで、遊技の興趣を向上させることにある。」

(イ)「【0009】
以下、図面を用いて、本発明の一実施の形態に係る遊技台(例えば、パチンコ機等の弾球遊技機やスロットマシン等の回胴遊技機)について説明する。
・・・
【0024】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像(動画像または静止画像)を表示するための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208c、第4図柄表示領域208eおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、第4図柄表示領域208eには第4図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。」

(ウ)「【0028】
また、演出装置206の周囲には、所定の球進入口、例えば、一般入賞口226と、普図始動口228、229と、特図1始動口230と、特図2始動口232と、可変入賞口234、235とを配設している。
・・・
【0031】
特図1始動口230は、本実施の形態では遊技盤200の中央に1つだけ配設している。特図1始動口230への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、3個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、特図1表示装置212による特図変動遊技(以下、「特図1変動遊技」という場合がある)を開始する。なお、特図1始動口230に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
【0032】
特図2始動口232は、電動チューリップ(電チュー)と呼ばれ、本実施の形態では右側経路上に1つだけ配設している。特図2始動口232は、左右に開閉自在な一対の羽根部材232aを備え、羽根部材232aの閉鎖中は球の入球が不可能であり、普図変動遊技に当選し、普図表示装置210が当り図柄を停止表示した場合に羽根部材232aが所定の時間間隔、所定の回数で開閉する。特図2始動口232への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、4個)の球を賞球として上皿126に排出するとともに、特図2表示装置214による特図変動遊技(以下、「特図2変動遊技」という場合がある)を開始する。なお、特図2始動口232に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。
【0033】
可変入賞口234、235は、大入賞口またはアタッカと呼ばれ、本実施の形態では可変入賞口234が遊技盤200の中央部下方に1つだけ配設され、可変入賞口235が右側経路上に1つだけ配設されている。可変入賞口234、235は、開閉自在な扉部材をそれぞれ備え、扉部材の閉鎖中は球の入球が不可能である。特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合には、例えば可変入賞口234、235のうち一方の扉部材が所定の時間間隔(例えば、開放時間29秒、閉鎖時間1.5秒)、所定の回数(例えば15回)で開閉する。可変入賞口234、235への入球を所定の球検出センサが検出した場合、払出装置152を駆動し、所定の個数(例えば、15個)の球を賞球として上皿126に排出する。なお、可変入賞口234、235に入球した球は、パチンコ機100の裏側に誘導した後、遊技島側に排出する。」

(エ)「【0212】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100での特図変動遊技の演出等について図16乃至図22を用いて説明する。図16は、第1副制御部400でのメイン処理の演出制御処理(ステップS409)内で実行される演出ステージ制御処理の流れを示している。演出ステージ制御処理において、第1副制御部400は、まず、現在の遊技状態が特図低確率状態かつ普図低確率状態であるか否かを判断する(ステップS1201)。第1副制御部400は、RAM408内の所定領域に格納された特図確率変動フラグの値を参照して、特図確率変動フラグの値が「0」である場合には特図低確率状態であると判断し、RAM408内の所定領域に格納された普図確率変動フラグの値を参照して、普図確率変動フラグの値が「0」である場合には普図低確率状態であると判断する。第1副制御部400は、特図低確率状態、かつ普図低確率状態であると判断すると、ステップS1203の処理に移行し、特図低確率状態、かつ普図低確率状態ではなく、特図高確率状態または普図高確率状態であると判断すると、ステップS1211の処理に移行する。
・・・
【0216】
ステップS1209では、第一演出ステージ変更処理を行う。第1副制御部400は、演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」または「空ステージ」のいずれかに切り替える。例えば、第1副制御部400は、チャンスボタン136が押下される毎に、演出ステージを「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」→「陸ステージ」・・・の順に切り替えるようになっている。」

(オ)「【0222】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100において実行される演出の具体例について説明する。
【0223】
(実施例1)
図17は、本実施の形態の実施例1における演出表示の例を時系列で示している。図17および後述する各図では、装飾図柄表示装置208の図柄表示領域208a?208cにおける装飾図柄の変動を下向きの白抜き太矢印で表している。図17および後述する各図では、装飾図柄表示装置208と、普図保留ランプ216、普図表示装置210、特図1保留ランプ218、特図1表示装置212、特図2保留ランプ220および特図2表示装置214との相対的な配置関係が図3の図示に対して異ならせて示されている。図17および後述する各図には、装飾図柄表示装置208の左下方に普図保留ランプ216および普図表示装置210を示し、その右方に特図1保留ランプ218および特図1表示装置212を示し、その右方に特図2保留ランプ220および特図2表示装置214を示している。また、普図表示装置210、特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図保留ランプ216、特図1保留ランプ218および特図2保留ランプ220の消灯部分を白抜きで表し、点灯部分を黒塗りで表している。また、特図1表示装置212または特図2表示装置214において全てのセグメントが白抜きで表された状態は、特図1または特図2の変動表示が行われていることを示し、普図表示装置210において全てのセグメントが白抜きで表された状態は、普図の変動表示が行われていることを示している。また、第4図柄の図示は省略する。
【図17】



【0224】
装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち左下の領域は、変動アイコン表示領域aである。変動アイコン表示領域aでは、1つの変動アイコンを表示可能であり、変動アイコンの表示態様によって当該変動の当否を所定の信頼度で予告報知(当該変動の予告)することが可能である。
【0225】
また、演出表示領域208dの下部であって変動アイコン表示領域aの右側に隣接する横長の領域は、特図保留表示領域(保留アイコン表示領域)cある。特図保留表示領域cでは、1つまたは複数の保留アイコンを表示することが可能である。特図保留表示領域cでは、保留アイコンの個数によって特図変動遊技の保留数を報知することが可能であるとともに、各保留アイコンの表示態様によって当該保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能である。また、本例の特図保留表示領域cでは、変動アイコン表示領域a側から順に保留順位1?4の保留を示す保留アイコンが表示される。
【0226】
図17(a)は、特図1変動遊技の変動期間中の状態を示している。図17(a)に示すように、特図1表示装置212では特図1の変動表示が行われており、特図2表示装置214には直近の特図2変動遊技の停止図柄である特図d(はずれ図柄)が表示されている。特図1保留ランプ218は、左から1?3番目のLEDをそれぞれ点灯させて特図1変動遊技の保留数(特図1の保留数)が3つであることを表示しており、特図2保留ランプ220は、全てのLEDを消灯させて特図2変動遊技の保留数(特図2の保留数)が0であることを表示している。また、普図変動遊技は実行されていないので、普図表示装置210には直近の停止図柄である普図C(はずれ図柄)が表示されている。また、普図変動遊技の保留数は0であるので、普図保留ランプ216の全てのランプは消灯されている。
【0227】
また、図17(a)に示す時点では、陸ステージが選択されている。図17(a)に示すように、装飾図柄表示装置208の画像表示領域全面が演出表示領域208dとなって例えば「陸ステージ」の背景画像が表示されている。背景画像の前面では、左中右図柄表示領域208a、208b、208cで「装飾1」から「装飾10」が順次上から下に移動する装飾図柄の変動表示(図中、下向きの矢印で示す)が実行されている。
【0228】
変動アイコン表示領域aには、変動アイコンa1が表示されている。特図保留表示領域cには、保留順位1の特図1変動遊技の保留を示す保留アイコンb11と、保留順位2の特図1変動遊技の保留を示す保留アイコンb12と、保留順位3の特図1変動遊技の保留を示す保留アイコンb13とが左からこの順に表示されている。変動アイコンa1および保留アイコンb11、b12、b13の表示態様は、白色の自動車を模した絵柄になっている。本実施例では、陸ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の自動車を模した絵柄になっている。また、本実施例では、デフォルトの表示態様で保留アイコンが表示されている場合には、その保留アイコンが示す保留についての先読み予告演出が実行されていないものとする。また、現在の遊技状態は、特図低確率状態かつ普図低確率状態(通常状態)であり、特殊演出ステージは実行されておらず、ノーマルリーチ演出、スーパーリーチ演出、ステージ固有の予告演出も実行されていない。
【0229】
図17(b)は、チャンスボタン136が押下された後の状態を示している。チャンスボタン136が押下されたことに基づいて、第1副制御部400は、図16に示す第一演出ステージ変更処理(ステップS1209)を実行する。これにより、演出ステージが陸ステージから海ステージに変更される。このため、図17(b)に示すように、装飾図柄表示装置208は、陸ステージの背景画像から海ステージの背景画像に徐々に切り替え、左上方から「海ステージ」という文字列が画像表示領域内に移動しているように表示する。また、背景画像切り替え時には、変動アイコンおよび保留アイコンを非表示にする。
【0230】
図17(c)は、海ステージの背景画像に切り替わった状態を示している。図17(c)、(d)に示すように、変動アイコンは、変動アイコン表示領域aとともに、画像表示領域外から画像表示領域内に向かって移動(右方に移動)するように徐々に全体が表示され、保留アイコンは、特図保留表示領域cとともに、画像表示領域外から画像表示領域内に向かって移動(上方に移動)するように徐々に全体が表示される。
【0231】
図17(e)は、演出ステージの変更が完了して、海ステージに完全に移行した状態を示している。変動アイコンa2は、陸ステージ中の変動アイコンa1に代わって表示されたものである。保留アイコンb21、b22、b23は、陸ステージ中の保留アイコンb11、b12、b13に代わって表示されたものである。変動アイコンa2および保留アイコンb21、b22、b23は、白色の船を模した絵柄の表示態様で表示される。本実施例では、海ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の船を模した絵柄になっている。このように、デフォルトの表示態様で表示されていた変動アイコンおよび保留アイコンは、ステージ変更後にもデフォルトの表示態様で表示される。
【0232】
図17(f)は、特図1始動口230に遊技球が1個入賞して、特図1変動遊技の保留数が1個増加した状態を示している。図17(f)に示すように、特図1保留ランプ218の左から4番目のLEDが点灯される。また、装飾図柄表示装置208は、保留増加アニメーションを表示する。保留増加アニメーションでは、図17(f)および(g)に示すように、保留数増加に基づいて新たに表示される保留アイコンb24が右回りに回転しながら徐々に表示サイズが大きくなる動画像が表示される。
【0233】
図17(h)は、保留増加アニメーションが完了した状態を示している。特図保留表示領域cには、保留アイコンb24が表示されている。保留アイコンb24は、青色(図中右上がりのハッチングで示す)の船を模した絵柄の表示態様で表示される。保留アイコンb24は、保留順位が4番目の特図1変動遊技の当否判定結果について先読み予告をしている。
【0234】
図17(i)は、チャンスボタン136が押下された後の状態を示している。チャンスボタン136が押下されたことに基づいて、第1副制御部400は、図16に示す第一演出ステージ変更処理(ステップS1209)を実行する。これにより、演出ステージが海ステージから空ステージに変更される。このため、図17(i)に示すように、装飾図柄表示装置208は、海ステージの背景画像から空ステージの背景画像に徐々に切り替え、左上方から「空ステージ」という文字列が画像表示領域内に移動しているように表示する。また、背景画像切り替え時には、変動アイコンおよび保留アイコンを非表示にする。
【0235】
図17(j)は、空ステージの背景画像に切り替わった状態を示している。図17(j)、(k)に示すように、変動アイコンは、変動アイコン表示領域aとともに、画像表示領域外から画像表示領域内に向かって移動(右方に移動)するように、徐々に全体が表示され、保留アイコンは、特図保留表示領域cとともに、画像表示領域外から画像表示領域内に向かって移動(上方に移動)するように、徐々に全体が表示される。
【0236】
図17(k)は、演出ステージの変更が完了して、空ステージに完全に移行した状態を示している。変動アイコンa3は、海ステージ中の変動アイコンa2に代わって表示されたものである。保留アイコンb31、b32、b33は、海ステージ中の保留アイコンb21、b22、b23に代わって表示されたものである。変動アイコンa3および保留アイコンb31、b32、b33は、白色の気球を模した絵柄の表示態様で表示される。本実施例では、空ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の気球を模した絵柄になっている。このように、デフォルトの表示態様で表示されていた変動アイコンおよび保留アイコンは、ステージ変更後にもデフォルトの表示態様で表示される。
【0237】
また、保留アイコンb34は、海ステージ中の保留アイコンb24に代わって表示されたものである。保留アイコンb34は、青色の気球を模した絵柄の表示態様で表示される。保留アイコンb34は、保留順位が4番目の特図1変動遊技の当否判定結果について先読み予告をしている。
【0238】
このように、海ステージから空ステージの変更に伴って、先読み予告として表示された保留アイコンの表示態様が船の絵柄から気球の絵柄に変更されているが、大当り信頼度を示す保留アイコンの色が演出ステージ変更前後で引き継がれ、先読み予告として表示された保留アイコンの色は演出ステージ変更の前後で青になっている。
【0239】
本実施例によるパチンコ機100において、装飾図柄表示装置208は、先読み予告として保留アイコンb24を少なくとも表示可能なものであり、装飾図柄表示装置208は、先読み予告として保留アイコンb34を少なくとも表示可能なものであり、装飾図柄表示装置208は、複数種類の構成要素の組み合わせにより保留アイコンを少なくとも表示可能なものであり、複数種類の構成要素のうちの少なくとも一つは、色であり、複数種類の構成要素のうちの少なくとも一つは、形であり、装飾図柄表示装置208は、第一の表示を少なくとも表示可能なものであり、装飾図柄表示装置208は、、第二の表示を少なくとも表示可能なものであり、第一の表示とは、海ステージの背景画像の表示を少なくとも含む表示のことであり、第一の表示とは、保留アイコンb24の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示とは、空ステージの背景画像の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示とは、保留アイコンb34の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示における保留アイコンb34は、第一の表示における保留アイコンb24に代わって表示されたものであり、第一の表示における保留アイコンb24の色は、第二の表示における保留アイコンb34の色と同じものであり、第一の表示における第一の保留アイコンb24の形は、第二の表示における保留アイコンb34の形と異なるものである。
【0240】
本実施例によるパチンコ機100によれば、背景画像の変更と共に、保留アイコンについても少なくとも一つの構成要素について変更することで、演出ステージの変更があったことを報知することができるので、演出ステージの変更を遊技者に伝えやすくすることができる場合がある。また、先読み予告として表示された保留アイコンについて、少なくとも一つの構成要素を変更せずに、演出ステージ変更前後で共通とすることで、当該保留アイコンが先読み予告の対象であることが遊技者に伝えやすくすることができる場合がある。」

(カ)「【0282】
(実施例5)
図21は、本実施の形態の実施例5における保留アイコンの表示態様の切り替わりを示している。本実施例によるパチンコ機100は、陸ステージ、海ステージおよび空ステージ毎で異なる表示態様で保留アイコンを表示する。
【図21】

【0283】
本実施例では、図21に示すように、大当り信頼度の低い表示態様から高い順にNo.1?No.5が割り当てられている。ここで、大当り信頼度とは、保留増加後に演出ステージが変更されていない状態(表示態様が変更されていない状態)での保留アイコンが示す大当り信頼度のことである。これは、本実施例では、演出ステージ変更に基づいて保留アイコンの表示態様が変更されるため、演出ステージ変更後の保留アイコンが示す大当り信頼度は不定になるためである。
【0284】
陸ステージにおいて、最も大当り信頼度の低いNo.1の表示態様は白色の自動車を模した絵柄であり、次に大当り信頼度の高いNo.2の表示態様は青色の自動車を模した絵柄であり、次に大当り信頼度の高いNo.3の表示態様は緑色の自動車を模した絵柄であり、次に大当り信頼度の高いNo.4の表示態様は赤色の自動車を模した絵柄であり、最も大当り信頼度の高いNo.5の表示態様は、キャラクタの吉宗を用いた「走る吉宗」の絵柄になっている。このように、陸ステージでは、5種類の保留アイコンを表示して、5種類の大当り信頼度で先読み予告を行う通常の演出ステージである。No.1の白色の自動車を模した絵柄の表示態様の保留アイコンは、大当り信頼度が0%であってもよい。また、陸ステージにおいて、No.5の「走る吉宗」の絵柄の表示態様で保留アイコンが表示された場合、先読み予告に係る保留は大当りが確定している。このため、「走る吉宗」で表示される保留アイコンは、大当り確定の予告(プレミア)である。このように、No.5の表示態様の保留アイコンは、大当り信頼度が100%であってもよい。
【0285】
また、図21に示すように、海ステージにおいて、保留アイコンの表示態様は、No.1の白色の船を模した絵柄のみ設けられている。このように、海ステージは、先読み予告として、保留アイコンの表示態様をデフォルト(白色の船の絵柄)から変更しないシンプルな演出ステージである。
【0286】
また、図21に示すように、空ステージにおいて、最も大当り信頼度の低いNo.1の表示態様は白色の気球を模した絵柄であり、最も大当り信頼度の高いNo.5の表示態様は、キャラクタの吉宗を用いた「浮かぶ吉宗」の絵柄になっている。空ステージにおいて、No.2の「浮かぶ吉宗」の絵柄の表示態様で保留アイコンが表示された場合、先読み予告に係る保留は大当りが確定している。このため、「浮かぶ吉宗」で表示される保留アイコンは、大当り確定の予告(プレミア)である。このように、No.2の表示態様の保留アイコンは、大当り信頼度が100%であってもよい。空ステージでは、先読み結果が大当りである場合には、大当り確定(プレミア)の表示態様(「浮かぶ吉宗」)で保留アイコンを表示し、先読み予告結果が大当り以外の場合には全てデフォルト(白色の気球)で保留アイコンを表示する。また、先読み結果が大当りである場合にデフォルトの表示態様で保留アイコンを表示してもよいが、大当り確定の表示態様で保留アイコンが表示される確率の方が、デフォルトの表示態様で保留アイコンを表示する確率よりも高くなっている。また、先読み結果がはずれである場合、大当り確定の表示態様で保留アイコンが表示されることはない。
【0287】
本実施例では、陸ステージ中にNo.1?No.5の表示態様のいずれかで保留アイコンが表示されている際に海ステージに移行すると、保留アイコンの表示態様は、No.1の白色の船の絵柄に変更される。また、海ステージ中にNo.1の表示態様で保留アイコンが表示されている際に空ステージに移行すると、保留アイコンの表示態様を抽選によってNo.1(白色の気球)とするかNo.2(「浮かぶ吉宗」)とするかを決定してもよい。なお、空ステージのNo.2の表示態様の保留アイコンは、先読み結果が大当りである場合にのみ表示可能である。また、空ステージに移行した以降は、信頼度が最も低いデフォルト(白色)の表示態様で保留アイコンを表示してもよい。
【0288】
また、空ステージ中に大当り確定のNo.2の表示態様で保留アイコンが表示されている際に陸ステージに移行すると、保留アイコンの表示態様は、大当り確定のNo.5(「走る吉宗」)に変更されてもよいし、再度抽選によりNo.1?No.5のいずれかの表示態様に決定されてもよい。なお、陸ステージのNo.5の表示態様の保留アイコンは、先読み結果が大当りである場合にのみ表示可能である。」

(キ)「【0334】
なお、上記詳細な説明で説明した事項、特に実施例および変形例で説明した事項は組み合わせることが可能である。」

イ 認定事項
先読み予告をしていない状態での、「第一演出ステージ変更処理」における保留アイコン及び変動アイコンの表示態様に関して、引用文献1の【0227】に「図17(a)に示す時点では、陸ステージが選択されている。・・・「陸ステージ」の背景画像が表示されている。」と記載され、
同じく、【0228】に「変動アイコン表示領域aには、変動アイコンa1が表示されている。・・・変動アイコンa1および保留アイコンb11、b12、b13の表示態様は、白色の自動車を模した絵柄になっている。本実施例では、陸ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の自動車を模した絵柄になっている。」と記載され、
同じく、【0229】に「図17(b)は、チャンスボタン136が押下された後の状態を示している。チャンスボタン136が押下されたことに基づいて、
・・・演出ステージが陸ステージから海ステージに変更される。
・・・装飾図柄表示装置208は、陸ステージの背景画像から海ステージの背景画像に徐々に切り替え・・・」と記載され、
同じく、【0231】に「図17(e)は、・・・変動アイコンa2は、陸ステージ中の変動アイコンa1に代わって表示されたものである。保留アイコンb21、b22、b23は、陸ステージ中の保留アイコンb11、b12、b13に代わって表示されたものである。変動アイコンa2および保留アイコンb21、b22、b23は、白色の船を模した絵柄の表示態様で表示される。本実施例では、海ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の船を模した絵柄になっている。このように、デフォルトの表示態様で表示されていた変動アイコンおよび保留アイコンは、ステージ変更後にもデフォルトの表示態様で表示される。」と記載され、
同じく、【0234】に「・・・演出ステージが海ステージから空ステージに変更される。・・・装飾図柄表示装置208は、海ステージの背景画像から空ステージの背景画像に徐々に切り替え、・・・」と記載され、
同じく、【0236】に「図17(k)は、・・・変動アイコンa3は、海ステージ中の変動アイコンa2に代わって表示されたものである。保留アイコンb31、b32、b33は、海ステージ中の保留アイコンb21、b22、b23に代わって表示されたものである。変動アイコンa3および保留アイコンb31、b32、b33は、白色の気球を模した絵柄の表示態様で表示される。本実施例では、空ステージ選択時のデフォルトの表示態様が白色の気球を模した絵柄になっている。このように、デフォルトの表示態様で表示されていた変動アイコンおよび保留アイコンは、ステージ変更後にもデフォルトの表示態様で表示される。」と記載され、
同じく、【0237】に「保留アイコンb34は、青色の気球を模した絵柄の表示態様で表示される。」と記載され、
同じく、【0239】に「・・・複数種類の構成要素のうちの少なくとも一つは、色であり、複数種類の構成要素のうちの少なくとも一つは、形であり、・・・第一の表示とは、海ステージの背景画像の表示を少なくとも含む表示のことであり、第一の表示とは、保留アイコンb24の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示とは、空ステージの背景画像の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示とは、保留アイコンb34の表示を少なくとも含む表示のことであり、第二の表示における保留アイコンb34は、第一の表示における保留アイコンb24に代わって表示されたものであり、第一の表示における保留アイコンb24の色は、第二の表示における保留アイコンb34の色と同じものであり、第一の表示における第一の保留アイコンb24の形は、第二の表示における保留アイコンb34の形と異なるものである。」と記載され、
同じく、【0240】に「・・・背景画像の変更と共に、保留アイコンについても少なくとも一つの構成要素について変更する・・・」と記載されている。
したがって、上記記載事項からみて、引用文献1には、先読み予告をしていない状態での「第一演出ステージ変更処理」における保留アイコンに関しては、演出ステージが「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであること、及び、変更アイコンに関しては、演出ステージが、「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであること(認定事項ア)が示されているものと認められる。

一方、先読み予告をしている状態での、「第一演出ステージ変更処理」における保留アイコンの表示態様に関して、引用文献1の【0232】に「図17(f)は、特図1始動口230に遊技球が1個入賞して、特図1変動遊技の保留数が1個増加した状態を示している。・・・」と記載され、
同じく、【0233】に「図17(h)・・・留アイコンb24は、青色・・・の船を模した絵柄の表示態様で表示される。」と記載され、
同じく、【0238】に「・・・海ステージから空ステージの変更に伴って、先読み予告として表示された保留アイコンの表示態様が船の絵柄から気球の絵柄に変更されているが、大当り信頼度を示す保留アイコンの色が演出ステージ変更前後で引き継がれ、先読み予告として表示された保留アイコンの色は演出ステージ変更の前後で青になっている。」と記載されている。
したがって、上記記載事項及び【0239】の記載からみて、引用文献1には、先読み予告をしている状態での「第一演出ステージ変更処理」における保留アイコンに関しては、演出ステージが「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は青のままであること(認定事項イ)が示されているものと認められる。

さらに、引用文献1の【0216】に「・・・第一演出ステージ変更処理を行う。第1副制御部400は、演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」または「空ステージ」のいずれかに切り替える。」と記載されている。

よって、上記認定事項ア?イ及び【0216】の記載内容によれば、引用文献1には、
「メイン処理の演出制御処理内で実行される演出ステージ制御処理における第一演出ステージ変更処理で(認定事項ウ)、
先読み予告をしていない状態での保留アイコンに関しては、演出ステージが、「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであることが示され、変更アイコンに関しても、演出ステージが「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであって(認定事項ア)、
先読み予告をしている状態での第一演出ステージ変更処理」における保留アイコンに関しては、演出ステージが「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は青のままであることにより(認定事項イ)、
それぞれのステージにおいて、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである形を異ならせるように、演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替える第1副制御部400」(認定事項ウ)について示されているものと認められる。

また、【0216】の記載内容によれば、引用文献1には、
「第1副制御部400は、第一演出ステージ変更処理において、「陸ステージ」開始時点の保留アイコン及び変動アイコンとして白色の自動車が選択されている場合、演出ステージが「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替えられると、白色の自動車は、白色の船、白色の気球と順に変更されるが、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである、大当り信頼度を示す色については白のままとする」こと(認定事項エ)が示されているものと認められる。

上記アの記載事項、上記イの認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、発明の一実施の形態及び実施例1に基づいて、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる(a?gは、本件補正発明のA?Gに対応させて付与した。)。
「a 特図1始動口230への入球を所定の球検出センサが検出した場合、特図1表示装置212による特図変動遊技を開始し、特図2始動口232への入球を所定の球検出センサが検出した場合、特図2表示装置214による特図変動遊技を開始し、特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合には、例えば可変入賞口234、235のうち一方の扉部材が所定の時間間隔、所定の回数で開閉する弾球遊技機(【0001】、【0028】、【0031】?【0033】)であって、
b?c その表示態様によって当該変動の当否を所定の信頼度で予告報知する変動アイコンを表示する、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち左下の領域である変動アイコン表示領域aと、保留アイコンを表示する、演出表示領域208dの下部であって変動アイコン表示領域aの右側に隣接する横長の領域である保留アイコン表示領域cと(【0024】、【0212】、【0224】?【0225】)、
d メイン処理の演出制御処理内で実行される演出ステージ制御処理における第一演出ステージ変更処理で(認定事項ウ)、
先読み予告をしていない状態での保留アイコンに関しては、演出ステージが、「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであることが示され、変更アイコンに関しても、演出ステージが「陸ステージ」→「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「自動車」→「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は白のままであって(認定事項ア)、
先読み予告をしている状態での第一演出ステージ変更処理」における保留アイコンに関しては、演出ステージが「海ステージ」→「空ステージ」と変更されるに伴い、保留アイコンの構成要素の一つである形が「船」→「気球」と異なる形に変更されるが、保留アイコンの構成要素の一つである色は青のままであることにより(認定事項イ)、
それぞれのステージにおいて、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである形を異ならせるように、演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替える第1副制御部400(認定事項ウ)と、を備え、
各保留アイコンの表示態様によって当該保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能であり(【0225】)、
e 第1副制御部400は、第一演出ステージ変更処理において、「陸ステージ」開始時点の保留アイコン及び変動アイコンとして白色の自動車が選択されている場合、演出ステージが「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替えられると、白色の自動車は、白色の船、白色の気球と順に変更されるが、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである、大当り信頼度を示す色については白のままとした(認定事項エ)、
g 弾球遊技機。」

そして、上記【0212】、【0216】、【0284】、【0286】、【0288】の記載事項、及び、図面の図示内容を総合すると、引用文献1には、発明の一実施の形態及び実施例5に基づいて、次の技術事項(以下「引用文献1に記載された技術事項」という。)が記載されていると認められる。
「f、f2 第1副制御部400は、メイン処理の演出制御処理内で実行される演出ステージ制御処理における第一演出ステージ変更処理で、5種類の大当り信頼度で先読み予告を実行可能であり、「空ステージ」で大当り信頼度が100%である「浮かぶ吉宗」の絵柄の表示態様で保留アイコンが表示されている際に、「陸ステージ」に切り換えられると、保留アイコンの表示態様を、大当り確定の「走る吉宗」の絵柄の表示態様に変更すること。」

(3)対比
本件補正発明と引用発明とを、分説に従い対比する。
(a)引用発明における「特図1表示装置212による特図変動遊技」及び「特図2表示装置214による特図変動遊技」は、本件補正発明における「可変表示」に相当する。
そして、引用発明における「可変入賞口234、235のうち一方の扉部材が所定の時間間隔、所定の回数で開閉する」ことは、本件補正発明における「遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な」ことに相当する。
また、引用発明における「弾球遊技機」は、本件補正発明における「遊技機」に相当する。
したがって、引用発明における構成aの「特図1始動口230への入球を所定の球検出センサが検出した場合、特図1表示装置212による特図変動遊技を開始し、特図2始動口232への入球を所定の球検出センサが検出した場合、特図2表示装置214による特図変動遊技を開始し、特図変動遊技に当選して特図表示装置が大当り図柄を停止表示した場合には、例えば可変入賞口234、235のうち一方の扉部材が所定の時間間隔、所定の回数で開閉する弾球遊技機」は、本件補正発明における構成Aの「可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機」に相当する。

(b)、(c)引用発明における「保留アイコン」は、本件補正発明における「未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示」に相当する。
そして、引用発明における「演出表示領域208dの下部であって変動アイコン表示領域aの右側に隣接する横長の領域である保留アイコン表示領域c」は、本件補正発明における「保留表示手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成b?cの「保留アイコンを表示する、演出表示領域208dの下部であって変動アイコン表示領域aの右側に隣接する横長の領域である保留アイコン表示領域c」は、本件補正発明における構成Bの「未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段」に相当する。

また、引用発明における「その表示態様によって当該変動の当否を所定の信頼度で予告報知する変動アイコン」は、本件補正発明における「可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する」「表示」である「対応表示」に相当する。
そして、引用発明における「装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち左下の領域である変動アイコン表示領域a」は、本件補正発明における「対応表示手段」に相当する。
したがって、引用発明における構成b?cの「その表示態様によって当該変動の当否を所定の信頼度で予告報知する変動アイコンを表示する、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち左下の領域である変動アイコン表示領域a」は、本件補正発明における構成Cの「可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段」に相当する。

(d)引用発明における「それぞれのステージにおいて、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである形を異ならせる」ことは、本件補正発明における「保留表示及び対応表示の表示態様が異なる」ことに相当する。
そして、引用発明における「陸ステージ」、「海ステージ」及び「空ステージ」の「演出ステージ」は、本件補正発明における「複数の演出モード」に相当することから、引用発明における「演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替える」ことは、本件補正発明における「複数の演出モードのいずれかに制御可能な」ことに相当する。
したがって、引用発明における構成dの「メイン処理の演出制御処理内で実行される演出ステージ制御処理における第一演出ステージ変更処理で」「それぞれのステージにおいて、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである形を異ならせるように、演出ステージを「陸ステージ」、「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替える第1副制御部400」は、本件補正発明における構成Dの「保留表示及び対応表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段」に相当する。

(e)まず、本件補正発明における構成Eの「保留表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ」ることは、本願の明細書の【0384】、【0385】、【図33】及び【図34】の記載、若しくは、図示内容からみて、「保留表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている」状態で、「可変表示」中の可変表示が終了し、次の「可変表示」が開始される場合、「当該保留表示に対応する対応表示の表示態様」を第1特殊態様として、保留表示に対応する対応表示の表示を開始することをその構成に含むものといえる。
そうすると、引用発明における「変動アイコンとして「陸ステージ」の白色の自動車が選択されている場合」と、本件補正発明における「保留表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合」とは、(演出モードの切り替え前の)「可変表示に対応する対応表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合」である点で共通する。
また、引用発明における「演出ステージが「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替えられると」「保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである、大当り信頼度を示す色については白のままと」することと、本件補正発明における「演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、第1特殊態様で示唆される所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ」ることとは、「演出モードの切り替えがあった後に、当該表示態様が、第1特殊態様で示唆される所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ」る点で共通する。
したがって、引用発明における構成eの「第1副制御部400は、第一演出ステージ変更処理において、「陸ステージ」開始時点の保留アイコン及び変動アイコンとして白色の自動車が選択されている場合、演出ステージが「海ステージ」、「空ステージ」の順に切り替えられると、白色の自動車は、白色の船、白色の気球と順に変更されるが、保留アイコン及び変動アイコンについての構成要素の一つである、大当り信頼度を示す色については白のままと」することと、本件補正発明における構成Eの「保留表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、第1特殊態様で示唆される所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ」ることとは、「可変表示に対応する対応表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、演出モードの切り替えがあった後に、当該可変表示に対応する対応表示の表示態様が、第1特殊態様で示唆される所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ」る点で共通する。

上記(a)?(e)によれば、本件補正発明と引用発明は、
「A 可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
C 可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段と、
D 保留表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段と、を備える
E’対応表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされる、
G 遊技機。」の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1](構成E)
本件補正発明は、保留表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている状態で、「可変表示」中の可変表示が終了し、次の「可変表示」が開始される場合、保留表示に対応する対応表示の表示態様を第1特殊態様として保留表示に対応する対応表示を開始することをその前提構成とするものであるが、引用発明は、そのような前提構成を備えるか否か明らかでない点。

[相違点2](構成F?F1)
本件補正発明は、「保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であ」るのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

[相違点3](構成F、F2)
本件補正発明は、「保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、」「複数の演出モードで共通の態様に変化可能である」のに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。

(4)当審判合議体の判断
ア 相違点1(構成E)について
遊技機の技術分野において、保留アイコンによる演出を用いて遊技の興趣を向上させるために、保留アイコンが次の変動表示の開始に伴って変動アイコンとして表示される場合、保留アイコンの表示態様をそのまま変動アイコンの表示態様とし、保留アイコンと変動アイコンとの間で大当り信頼度を維持した表示を行うことは、本願の出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2012-16499号公報の【図26】?【図27】、【図30】?【図31】、【0006】、【0198】?【0199】、【0220】?【0221】や、特開2014-87492号公報の【図26】?【図27】、【0008】、【0221】?【0225】を参照のこと。以下「周知の技術事項1」という。)。
そして、上記周知の技術事項1を考慮すれば、引用発明が、「保留表示の表示態様が有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている状態で、「可変表示」中の可変表示が終了し、次の「可変表示」が開始される場合、保留表示に対応する対応表示の表示態様を第1特殊態様として保留表示に対応する対応表示を開始する」構成を備えることは自明である。
してみると、相違点1は実質的な相違点でない。

仮に、相違点1が実質的な相違点であるとして検討すると、引用発明は、引用文献1の【0005】に「本発明の目的は、多彩な態様で保留アイコンを表示することで、遊技の興趣を向上させることにある。」と記載されているように、保留アイコンを用いて遊技の興趣を向上させるという課題を解決するものである。
そうすると、引用発明と上記周知の技術事項1とは、保留アイコンを用いて遊技の興趣を向上させるという同一の課題を解決するものである。
また、引用発明の構成dによれば、保留アイコンは、変動アイコンとしての表示が開始されるまでの間、大当り信頼度を示す色を白または青のまま維持するものであるから、当該保留アイコンに基づく変動アイコンの表示が開始された後も、大当り信頼度を維持すべく、変動アイコンの色を白または青のまま維持することは、当業者が必要に応じてなし得たものである。
これらのことからみて、引用発明に上記周知の技術事項1を適用して、白色または青色の保留アイコンが、変動アイコンとなるとき、そのままの色及び形で変動アイコンの表示を開始させるようにし、さらに、ステージの切り替えが行われても、変動アイコンの形は変更されるが、変動アイコンの色を維持するようにし、上記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 相違点2(構成F?F1)について
遊技機の技術分野において、保留アイコンによる演出を用いて遊技の興趣を向上させるために、保留アイコンの表示態様により大当たりの信頼度を報知する先読み予告を行う際に、保留アイコンの表示態様の変化を、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出の実行後に行うことは、本願の出願前に周知の技術事項である(例えば、特開2014-236814号公報の【0157】に「保留画像の変化後の先読み予告表示態様の色、及び、図18を用いて後述するキャラ画像のアイテム(星)の色(青、緑又は赤)を抽選等によって決定する」ことが記載され、【0190】に「図21(1)に示すように、保留画像RI0(図示なし)が移動した変動権利画像KIに対応する装飾図柄の変動中(報知演出中)において、蜂が緑色の星を投げる。そして、図21(2)に示すように投げた星が保留画像に当った場合には、図21(3)に示すように星が当った通常表示態様の保留画像が星の色と同じ色の先読み予告表示態様に変化する」ことが記載され、
特開2014-64762号公報の【0089】に「保留表示予告Aは、保留表示図柄を丸印から「A」の文字を示す図柄に変更し、保留表示予告Bは、保留表示図柄を丸印から「B」の文字を示す図柄に変更するものである」ことが記載され、【0090】に「保留表示予告Aが実行されることを示唆する演出として、「A」の文字を示す画像を表示するものと、保留表示予告Bが実行されることを示唆する演出として、「B」の文字を示す画像を表示するものとがあ」ることが記載され、
上記特開2012-16499号公報の【0214】に「識別図柄(第3特別図柄)と対応付けられた複数の図柄(アイテム)が並べられている中から何れかを選択することにより、選択した図柄がそのまま始動記憶を示す図柄になる」ことが記載されている。以下「周知の技術事項2」という。)。
そして、引用発明と上記周知の技術事項2とは、保留アイコンによる演出を用いて遊技の興趣を向上させるという同一の課題を解決するものである。
したがって、引用発明に上記周知の技術事項2を適用して、保留アイコンの表示態様を、表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能にすることで先読み予告を実行し、上記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

ウ 相違点3(構成F、F2)について
まず、本件補正発明と引用文献1に記載された技術事項とを対比する。
引用文献1に記載された技術事項における構成f、f2の「「空ステージ」で大当り信頼度が100%である「浮かぶ吉宗」の絵柄の表示態様で保留アイコンが表示されている際に、「陸ステージ」に切り換えられると、保留アイコンの表示態様を、大当り確定の「走る吉宗」の絵柄の表示態様に変更すること」は、「空ステージ」と「陸ステージ」とで、大当り信頼度が100%である吉宗の絵柄を用いた共通の表示を行うことであるから、本件補正発明における構成F、F2の、「保留表示」「の表示態様は、複数の演出モードで共通の態様に変化可能である」ことに相当する。
そして、引用文献1の【0334】に「上記詳細な説明で説明した事項、特に実施例および変形例で説明した事項は組み合わせることが可能である。」と記載されていることから、実施例1に基づく引用発明に実施例5に基づく引用文献1に記載された技術事項を適用する動機付けは十分あるといえる。
また、引用発明は、構成dにより、「各保留アイコンの表示態様によって当該保留の当否を所定の信頼度で報知(先読み予告)することが可能」なものであるから、引用発明と引用文献1に記載された技術事項とは、同一文献に記載されているとともに、保留の当否を所定の信頼度で報知する共通の機能を有するものである。
したがって、引用発明に引用文献1に記載された技術事項を適用して上記相違点3に係る本件補正発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

エ 請求人の主張について
請求人は、平成31年3月26日付け審判請求書において、
「(2)拒絶理由に対する意見
(2-1)本願発明1(請求項1に記載の発明)の説明
本願発明1は、少なくとも下記の構成Aを有することを特徴とします。
(構成A)「保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であり、」
(2-2)本願発明1が奏する効果
本願発明1は、上記構成Aにより、示唆演出が表示態様が変化することに加えて、変化後の表示態様を示唆するので、遊技者は示唆演出に注目するようになり、遊技の興趣が向上する(段落0397等)、との効果を奏します。(2-3)拒絶の理由1(進歩性)について
審査官殿は、原査定の拒絶の理由1において、引用文献1を引用されています。しかしながら、引用文献1は、保留アイコンなどの表示態様により大当り信頼度を報知する演出(図20など)などを開示しているものの、本願発明1の上記構成A(特に、示唆演出が表示態様の変化に加えて、変化後の表示態様を示唆する旨)については開示も示唆もしていません。従って、上記構成Aは、当業者が容易に想到できたものではなく、しかも、本願発明1は、上記構成Aにより、上記のような格別な効果を奏すものです。よって、本願発明1は、当業者が容易に発明できたものではありません。」と主張する。

そこで、請求人の上記主張について検討する。
上記「イ 相違点2(構成F?F1)について」において検討したように、保留アイコンによる演出を用いて遊技の興趣を向上させるために、保留アイコンの表示態様により大当たりの信頼度を報知する先読み予告を行う際に、保留アイコンの表示態様の変化を、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出の実行後に行うことは、上記周知の技術事項2として示したように、本願の出願前に周知の技術事項であり、引用発明に上記周知の技術事項2を適用することは当業者が容易になし得たものである。
そして、請求人の主張する「遊技者は示唆演出に注目するようになり、遊技の興趣が向上する」という効果も、上記周知の技術事項2により奏される効果である。
したがって、請求人の上記主張を採用することはできない。

オ 小括
本件補正発明により奏される効果は、当業者が、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び、上記周知の技術事項1?2から予測し得た効果の範囲内のものであって、格別なものではない。
よって、本件補正発明は、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び、周知の技術事項1?2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
上記1?3より、本件補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たさないものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されることとなったので、平成30年10月11日付け手続補正書の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものと認める。
「A 可変表示を実行し、遊技者にとって有利な有利状態に制御可能な遊技機であって、
B 未だ開始されていない可変表示に対応する保留表示を表示する保留表示手段と、
C 可変表示が実行されているときに当該可変表示に対応する対応表示を表示する対応表示手段と、
D 保留表示及び対応表示の表示態様が異なる複数の演出モードのいずれかに制御可能な演出モード制御手段と、を備え、
E 保留表示の表示態様が前記有利状態に制御される期待度が所定の期待度であることを示唆する第1特殊態様とされている場合、前記演出モードの切り替えがあった後に、当該保留表示に対応する対応表示の表示態様が、前記第1特殊態様で示唆される前記所定の期待度を維持するように、当該第1特殊態様と少なくとも一部の表示態様が共通する第2特殊態様とされ、
F3 保留表示と対応表示との少なくとも一方は、前記複数の演出モードで共通の表示態様に変化可能である、
G ことを特徴とする遊技機。」

2 原査定の拒絶の理由
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>
1.特開2015-27359号公報

3 引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(前記「第2 3(2)」における「引用文献1」に対応する。)の記載事項、引用発明の認定、及び、引用文献1に記載された技術事項の認定については、前記「第2 3(2)引用文献1」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明の「表示態様」に関し、「保留表示と対応表示との少なくとも一方の表示態様は、当該表示態様が変化すること及び変化後の表示態様を示唆する示唆演出が実行されてから変化可能であり、前記複数の演出モードで共通の態様に変化可能である」とあったものを「保留表示と対応表示との少なくとも一方は、前記複数の演出モードで共通の表示態様に変化可能である」と、実質的にその限定を省略したものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、前記「第2 3(3)対比」において抽出した相違点1、3において実質的に相違し、その余の点において一致する。
そこで、上記相違点1、3について検討する。
上記相違点1、3については、上記第2の3「(4)当審判合議体の判断」において検討したと同様に、引用発明、引用文献1に記載された技術事項、及び、上記周知の技術事項1に基づいて当業者が容易になし得たものである。

5 むすび
上記1?4より、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2019-08-21 
結審通知日 2019-08-27 
審決日 2019-09-11 
出願番号 特願2015-116175(P2015-116175)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 鉄 豊郎
特許庁審判官 長崎 洋一
川崎 優
発明の名称 遊技機  
代理人 木村 満  

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