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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1356537
審判番号 不服2018-12612  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2019-12-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-09-21 
確定日 2019-11-19 
事件の表示 特願2015- 49133「情報処理装置、プログラム、情報処理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月23日出願公開、特開2016-168160、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年3月12日に出願された出願であって、平成29年3月28日付けで拒絶理由が通知され、同年5月30日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月24日付けで拒絶理由が通知され、平成30年1月25日に意見書及び手続補正書が提出され、同年6月22日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年9月21日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、当審において、平成31年3月26日付けで拒絶理由が通知され、令和1年5月13日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月26日に拒絶理由が通知され、同月29日に意見書及び手続補正書(以下、当該手続補正書による補正を「本件補正」という。)が提出されたものである。

第2 本願発明
本願請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれを「本願発明1」ないし「本願発明6」という。)は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ゲームの複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報と、各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動するポイントと、が対応付けられて記憶された記憶装置にアクセス可能な情報処理装置であって、
前記ポイントに基づいて、複数のユーザ識別情報を含む第1グループにおける第1期間内の各ユーザ識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する第1決定手段と、
第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、前記第1グループに含まれる複数のユーザ識別情報のうち一部のユーザ識別情報を含む複数の第2グループを各第2期間に対して作成するグルーピング手段と、
各第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、前記複数の第2グループの各々に含まれる各ユーザ識別情報の、対応する第2グループ内の順位を決定する第2ランキング処理を実行する第2決定手段と、
を備え、
前記グルーピング手段は、前記複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する、
情報処理装置。
【請求項2】
ゲームの複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報と、各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動するポイントと、が対応付けられて記憶された記憶装置にアクセス可能な情報処理装置であって、
少なくとも1つのユーザ識別情報と、チームを識別するためのチーム識別情報とを対応付ける対応付け手段と、
前記チーム識別情報に対応付けられた少なくとも1つのユーザ識別情報に対応するポイントに基づいて、複数のチーム識別情報を含む第1グループにおける第1期間内の各チーム識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する第1決定手段と、
第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、前記第1グループに含まれる複数のチーム識別情報のうち一部のチーム識別情報を含む複数の第2グループを各第2期間に対して作成するグルーピング手段と、
各第2期間における、前記チーム識別情報に対応付けられた少なくとも1つのユーザ識別情報に対応するポイントの変動量に基づいて、前記複数の第2グループの各々に含まれる各チーム識別情報の、対応する第2グループ内の順位を決定する第2ランキング処理を実行する第2決定手段と、
を備え、
前記グルーピング手段は、前記複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する、
情報処理装置。
【請求項3】
各第2期間における前記複数の第2グループの各々に含まれる各ユーザ識別情報の、対応する第2グループ内の順位に基づいて、前記第1期間において有効な報酬に関する情報と、前記ユーザ識別情報とを対応付ける付与手段をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記付与手段は、各第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、前記報酬の内容を決定する、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1?4のいずれかに記載の情報処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
通信端末と、当該通信端末からアクセスされるサーバとを含む情報処理システムであって、
請求項1?4のいずれかに記載の情報処理装置の各手段を、前記通信端末又は前記サーバのいずれか一方が備えた、
情報処理システム。」

第3 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2007-215721号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0017】
以下、図面等を参照して、本発明によるゲーム用サーバの実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
最初に、本実施例のゲーム端末1A?1E及びゲーム用サーバ装置51の制御ブロックについて説明する。
図1は、本実施例のゲーム端末1A?1E及びゲーム用サーバ装置51のプロック図である。
図1に示すように、ゲーム端末1A?1Eは、通信ネットワーク50(例えば、インターネット等の通信回線)を介して、ゲーム用サーバ装置51に接続されている。ゲーム端末1A?1Eを操作する各プレイヤは、ゲーム用サーバ装置51により、対戦ゲームの組み合わせが行われ、通信ネットワーク50を介して対戦する。対戦ゲームの種類は、プレイヤ同士が対戦して勝敗が決まるものであればよく、例えば、サッカーゲーム、野球ゲーム、格闘ゲーム、ダーツゲーム、チェス、将棋、囲碁等である。
本実施例では、1000人程度のプレイヤが、それぞれ所持するゲーム端末を用いて、全10回戦のサッカーゲームを行う場合を例に説明する。」

イ 「【0022】
次に、ゲーム用サーバ装置51について説明する。
ゲーム用サーバ装置51は、通信ネットワーク50を介して、ゲーム端末1Aとの間で必要な情報を伝達し、また、プレイヤ間で行われる対戦ゲームの組み合わせを、複数回戦にわたって行うコンピュータである。ゲーム用サーバ装置51は、サーバ記憶部60と、サーバ制御部70と、サーバ通信回路81とを備えている。
【0023】
サーバ記憶部60は、サッカーゲームの進行に必要なプログラム等を記憶するための記憶装置であり、例えば、ハードディスク等である。サーバ記憶部60は、サーバ側ゲームプログラム部61と、プレイヤ情報記憶部62とを備えている。
サーバ側ゲームプログラム部61は、サーバ側ゲームプログラムを記憶するための記憶部である。サーバ側ゲームプログラムは、サーバ制御部70を動作させ、ゲームを進行させるためのものである。
プレイヤ情報記憶部62は、対戦ゲームに参加しているプレイヤの情報を記憶するための記憶部であり、例えば、プレイヤの名前、ユーザID、パスワード、対戦成績等を記憶している。
【0024】
サーバ制御部70は、ゲーム用サーバ装置51を統括的に制御するための制御部である。サーバ制御部70は、サーバ側ゲームプログラムにより動作され、サーバ通信制御部71と、参加受付部72と、順位算出部73と、グループ分け部74と、対戦組み合わせ部75として機能する。
サーバ通信制御部71は、サーバ通信回路81を駆動させて、各ゲーム端末との間で、情報の伝達を行うため制御部である。
参加受付部72は、各回戦の開催期間(ゲーム期間)内に、通信ネットワークを介してゲーム用サーバに接続し、ゲームに参戦を希望するプレイヤの受付処理を行うための制御部である。参加受付部72は、再接続要求手段を有し、後述するように、組み合わせが不成立であったプレイヤに対して、ゲーム用サーバ装置51に再度接続するように要求する。
順位算出部73は、各回戦の対戦結果に応じてプレイヤに得点(得点情報)を付与し、プレイヤ毎に各回戦終了時までの総合得点(順位情報)を算出するための制御部である。順位算出部73は、後述するように、組み合わせが不成立であったプレイヤに対して不戦処理をし、また、10回戦終了時に、全プレイヤの順位付けをする。
【0025】
グループ分け部74は、順位算出部73が算出した総合得点に基づいて、プレイヤを複数のグループに分けるための制御部である。これにより、各プレイヤは、実力が近いプレイヤと対戦することができる。
また、グループ分け部74は、後述するように、各回戦の開催期間内に新たにゲーム参加を希望する新プレイヤを、総合得点が0点のグループ(所定の順位情報のグループ)に編入する。
対戦組み合わせ部75は、グループ分け部74により分けられた各グループのプレイヤ同士の対戦組み合わせを行うための制御である。
サーバ通信回路81は、通信ネットワーク50を介して、各ゲーム端末との間で、ゲームに関する情報を伝達するための電気回路である。」

ウ 「【0026】
次に、プレイヤのサッカーゲームへの参戦手続について説明する。
図2(a)は、本実施例のサッカーゲームへの募集を呼びかけるホームページH1の画面を示す図であり、図2(b)は、プレイヤの受付画面H2を示す図である。
これらの画面は、ゲーム用サーバ装置51からゲーム用端末に送信され、ゲーム端末1Aのモニタ43に表示されたものである。
ホームページH1は、アドレスが、例えば、雑誌、新聞等の広告に記載されたり、他のホームページにリンクが貼られ、プレイヤがアクセスすることにより、モニタ43に表示される。ホームページH1には、全10回戦からなるサッカーゲームの開催期間H1aと、受付画面H2のアドレスH1bが表示されている。
プレイヤは、各回戦の開催期間内に、アドレスH1bによって示される受付画面H2にアクセスし、名前H2a、ニックネームH2b、メールアドレスH2cを入力し、送信H2dをクリックして、ゲーム用サーバ装置51に情報を送信する。これにともない、ユーザID及びパスワードが、ゲーム用サーバ装置51から送信され、プレイヤは、サッカーゲームに参戦することができる。」

エ 「【0031】
次に、ゲーム用サーバ装置51の動作について説明する。ゲーム用サーバ装置51は、プレイヤの対戦処理、プレイヤのグループ分け、順位付けを行う。
最初に、ゲーム用サーバ装置51の対戦処理について説明する。
図6は、本実施例のゲーム用サーバ装置51の各回戦におけるプレイヤの対戦処理を示すフローチャートである。
【0032】
最初に、ステップS101において、各回戦の開催期間(図2に示すH1a参照)の開始にともない、ゲーム用サーバ装置51のサーバ制御部70は、対戦処理を開始する。
ステップS102において、参加受付部72は、プレイヤを受け付けた場合(ステップS102:YES)、続いてステップS103において、ゲーム端末1Aから送信されたユーザID及びパスワード(図3に示すステップS2,S3参照)と、プレイヤ情報記憶部62の情報とを照合し、プレイヤを認証する。参加受付部72は、プレイヤを正しく認証した場合(ステップS104:YES)、ステップS105に進み、このプレイヤがゲーム大会に参加済みかを確認する。
【0033】
ステップS105において、参加受付部72は、このプレイヤが、ゲーム大会に既に参加していると判断した場合(ステップS105:YES)、続いてステップS106において、プレイヤが、この回戦の対戦が未消化であるか確認する。対戦未消化である場合(ステップS106:YES)、ステップS107に進み(後述する)、一方、対戦済みである場合(ステップS106:NO)、ステップS1061に進み、対戦済みであることを、ゲーム端末1Aに連絡する。
一方、ステップS105において、参加受付部72は、このプレイヤが初参戦であると判断した場合、つまり、この回戦よりも前に参戦したことがないと判断した場合(ステップS105:NO)、ステップS1051に進む。ステップS1051において、順位算出部73は、初参戦であるこの新プレイヤに、途中エントリー処理を行う。途中エントリー処理とは、新プレイヤの総合得点を0点とすることをいう。そして、ステップS107に進む。
【0034】
ステップS107において、対戦組み合わせ部75は、プレイヤを、同一グループのマッチングリストに追加する。このグループは、前回迄の回戦の総合得点に基づいて、同じ成績のプレイヤが集められたものであり(グループ分けの詳細については、後述する)、マッチングリストは、ゲーム用サーバ装置51に同一時刻にアクセスし、対戦希望している同一グループ内のプレイヤのリストである。
ステップS108において、対戦組み合わせ部75は、同一グループのマッチングリストを確認し、ゲーム端末1Aのプレイヤ以外にプレイヤ(対戦相手)があり、対戦可能と判断した場合(ステップS108:YES)、ステップS109に進み、対戦可能であることを、各プレイヤのゲーム端末に伝える。これにより、プレイヤ同士が、各ゲーム端末を用いて、通信ネットワーク50を介して対戦する。(なお、1回戦の場合、各プレイヤの前回戦までの対戦成績がないので、対戦組み合わせ部75は、ゲーム用サーバ装置51にアクセスしているプレイヤを、不規則に組み合わせて対戦させる。)。
ステップS110において、ゲーム用サーバ装置51は、プレイヤの各ゲーム端末から、対戦結果(プレイヤのユーザID、勝敗、対戦相手、点数等)の受付処理を開始する(ステップS11参照)。
【0035】
ステップS111において、対戦結果を各プレイヤのゲーム端末から受信すると(ステップS111:YES)、ステップS112において、順位算出部73は、各ゲーム端末の対戦結果の整合性を確認し、ステップS113において、各プレイヤに得点を加点する。本実施例のサッカーゲームでは、勝プレイヤに2点、引き分けた各プレイヤに1点ずつ加点され、敗プレイヤに対しては、加点されない(すなわち0点)。そして、順位算出部73は、各プレイヤの対戦結果、得点を、プレイヤ情報記憶部62に記録する。
そして、ステップS114に進み、開催期間が終了していない場合(ステップS114:NO)、ステップS102からの処理を繰り返す。
なお、ステップS111において、ゲーム端末の不具合等により、対戦結果が送信されなかった場合(ステップS111:NO)、このゲーム端末のプレイヤを、送信ミスに対するペナルティとして、敗プレイヤ扱いとする。この場合、もう片方のプレイヤが対戦結果を送信していたときは、このもう片方のプレイヤを、勝プレイヤとして扱う。
【0036】
ステップS108において、対戦組み合わせ部75は、同一グループのマッチングリスト内に他のプレイヤがなく、対戦できないと判断した場合(ステップS108:NO)、ステップS1081に進む。ステップS1081において、対戦組み合わせ部75は、ゲーム端末1Aから待ち時間超えの連絡がない場合(ステップS1081:NO)、ステップS108からの処理を繰り返し、マッチリスト内の対戦相手を確認する。一方、ステップS1081において、ゲーム端末1Aから待ち時間超えの連絡があった場合(ステップS1081:NO)、ステップS1082に進み、参加受付部72は、ゲーム端末1Aに対して、再度参戦を伝える画面情報(図5参照)を送信する。このように、参加受付部72は、再接続要求手段を有し、組み合わせが不成立であったプレイヤに対して、ゲーム用サーバ装置51に再度接続(アクセス)するように要求するので、このプレイヤに再び参戦するように促すことができる。続いて、ステップS1083において、順位算出部73は、このプレイヤに対して、不戦処理を行う。本実施例における不戦処理は、試合参加しようとした意思を評価し、引き分けと同じ点数1点を与えることである。そして、ステップS114に進む。
【0037】
ステップS114において、サーバ制御部70が開催期間終了と判断した場合(ステップS114:YES)、ステップS115に進み、順位算出部73は、プレイヤ毎に、本回戦終了時までの総合得点を算出する。順位算出部73は、前回戦までの総合得点に、本回戦の得点を加点して本回戦終了時の総合得点を算出する。例えば、プレイヤの前回戦までの総合得点が3点、本回戦での得点が2点である場合、本回戦終了時の総合得点は、5点である。不戦処理されたプレイヤには、1点が加点される。なお、不戦処理された後、再度参戦し対戦を行ったプレイヤには、対戦の勝敗に応じた得点が加点される(すなわち、不戦処理による1点は、加点されない)。順位算出部73は、プレイヤの総合得点、対戦相手等の情報を、プレイヤ情報記憶部62に記憶させる。順位算出部73による全プレイヤの処理が終了すると、ステップS116において、ゲーム用サーバ装置51は、一連の処理を終了させる。」

オ 「【0045】
次に、ゲーム用サーバ装置51のプレイヤの順位付けの処理について説明する。
図9は、本実施例のゲーム用サーバ装置51によるプレイヤの順位付けの処理を示すフローチャートであり、図10は、10回戦終了時の対戦結果を示す図である。
図9に示すように、ゲーム用サーバ装置51のグループ分け部74は、各回戦終了時に、ステップS301?S303において、前述したグループ分け処理を行う(図7に示すステップS201?S207参照)。
ステップS304において、ゲーム用サーバ装置51の順位算出部73は、サッカーゲームの全10回戦が終了した場合(ステップS304:YES)、ステップS304に進み、プレイヤの順位付けを行う。
ステップS305において、順位算出部73は、総合得点が高いグループから順に、グループ内のプレイヤの順位付けを行う。しかし、グループ内のプレイヤは、総合得点が同一であるため、総合得点に基づいた順位付けはできない。そこで、順位算出部73は、以下のように、プレイヤの順位付けを行う。」

カ 「【図2】(a)



キ 上記ウの摘記事項及びカの図面から、全10回戦のサッカーゲームは、開催期間H1aにわたって開催され、1回戦から10回戦までの各回戦の開催期間(以下「回戦期間」という。)は、重複しないものと認められる。

ク 上記(1)アないしキの事項から、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「プレイヤ間で行われるサッカーゲームの組み合わせを、全10回戦にわたって行うコンピュータであり、サーバ記憶部60と、サーバ制御部70と、サーバ通信回路81とを備えているゲーム用サーバ装置51であって、
全10回戦のサッカーゲームは、開催期間H1aにわたって開催され、1回戦から10回戦までの各回戦期間は重複しないものであり、
サーバ記憶部60は、サッカーゲームの進行に必要なプログラム等を記憶するための記憶装置であり、サーバ記憶部60は、サーバ側ゲームプログラム部61と、プレイヤ情報記憶部62とを備え、
プレイヤ情報記憶部62は、サッカーゲームに参加しているプレイヤの情報を記憶するための記憶部であり、例えば、プレイヤの名前、ユーザID、パスワード、対戦成績等を記憶し、
サーバ制御部70は、ゲーム用サーバ装置51を統括的に制御するための制御部であり、サーバ制御部70は、サーバ側ゲームプログラムにより動作され、サーバ通信制御部71と、参加受付部72と、順位算出部73と、グループ分け部74と、対戦組み合わせ部75として機能し、
順位算出部73は、各回戦の対戦結果に応じてプレイヤに得点を付与し、前回戦までの総合得点に、本回戦の得点を加算して、プレイヤ毎に各回戦終了時までの総合得点を算出するための制御部であり、プレイヤの総合得点、対戦相手等の情報を、プレイヤ情報記憶部62に記憶させ、全10回戦終了時に、総合得点が高いグループから順に、グループ内のプレイヤの順位付けを行い、全プレイヤの順位付けをし、
グループ分け部74は、各回戦において、順位算出部73が算出した総合得点に基づいて、プレイヤを複数のグループに分けるための制御部であり、
対戦組み合わせ部75は、グループ分け部74により分けられた各グループのプレイヤ同士の対戦組み合わせを行うための制御である、
ゲーム用サーバ装置51。」

2 引用文献2について
(1) 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2007-143597号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

ア 「【0032】
店舗情報データベース120には図4に示すように、このランキングシステムに登録している各店舗の登録番号、店舗名、店舗の所在地域、各ゲームに関する店舗の成績、所属しているプレイヤーの人数、所属プレイヤーの識別番号、その他の店舗情報が蓄積されている。各ゲーム成績の回数の項目にはその店舗に所属している全てのプレイヤーが行ったゲーム回数の累計が記録されており、得点の項目には所属プレイヤーのゲーム成績に基づいて店舗に付与された得点の累計が記録されており、順位の項目には後述するランキングチャートにおいてその店舗が属しているグループ内の店舗順位が記録されている。グループの項目には店舗が所属しているグループ(このグループの詳細は後に詳述する)の識別記号が記録されている。これらの店舗情報に基づいて、必要に応じて店舗別の所属プレイヤーの店舗への貢献度ランキング等のランキング情報121が作成される。
【0033】
ランキング情報データベース130には、各ゲームのグループランキングチャート131、グループ内店舗ランキングチャート132、グループ内プレイヤーランキングチャート133、配点表134等の情報が蓄積されている。
【0034】
グループランキングチャート131は、各ゲーム毎に図5に示すような階層1乃至階層7からなる階層構造に設定されている。各階層内のGA1001等の記号はその階層内に設定されている1つのグループを示しており、各グループには、それぞれ11店の店舗が属している。
【0035】
最上位の階層1には1つのグループ、階層2には2つのグループ、階層3には4つのグループというように下層に向かうに従い2倍になるようにグループを配置している。このように配置することにより、登録される店舗数が増えても徒に階層数を増やす必要がないランキングチャートが構成される。因みにこの例では、階層4に8グループ、階層5に16グループ、階層6に32グループそして階層7には64グループが配置されているので、7階層で127グループ、1397店舗のランキングに対応することができる。各店舗はこれらの何れかのグループに配属され、配属されたグループ内で他の10店舗とランキングを競う。」

イ 「【0040】
まず、本システムの運営者は全国から店舗を募って予備的なゲームコンペを催し、その結果を元に初回のランキングチャートを決定して記憶手段150に記憶する(S10)。初回のランキングチャートを決定した後、所定の時間間隔、例えば1週間を単位としてタイマーをセットする(S20)。タイマーをセットするとサーバ100はゲームの成績情報がアップロードされたか否かをチェックする(S30)。ゲーム成績情報のアップロードは、各店舗のゲーム装置10において1ゲームが終了する毎に行われても、所定時間(例えば1日)毎の成績情報をゲーム装置10または店舗サーバが記憶しておき、この所定時間単位でアップロードしても何れでも良い。ゲーム成績情報がアップロードされるとそのゲーム開始前又は各ゲーム開始前にプレイヤーから送信されているプレイヤー識別番号から参照すべきグループ内プレイヤーランキングチャート133を検索して、ゲーム成績情報に基づいてプレイヤーのグループ内順位を決定する(S40)。その後、決定されたプレイヤー順位に基づいて、配点表134を参照して所属店舗に付与するポイントを決定する(S50)。S50の手順で決定された付与ポイントをその店舗の既得ポイントに加算し、加算したポイントをその店舗の既得ポイントとして更新して記憶する(S60)。更新された店舗のポイントをグループ内店舗ランキングチャート132で同一グループの他の店舗のポイントと比較してグループ内の順位を決定し(S70)、グループ内店舗ランキングチャート132を更新する(S80)。上述したS30からS80までの手順をタイマーにセットした1週間が経過するまで繰り返す。
【0041】
1週間が経過するとS90にて肯定判断がなされS100に進み、その時点にて1週間の実績としてグループ内店舗ランキングチャート132を確定する。その後、確定したグループ内店舗順位に基づいて、次回のグループランキングチャート131を決定するために各店舗の移動先の階層を決定する(S110)。尚、S90では1週間に限らず、所定時間(例えば1日)毎であれば良い。またS100の手順は必須ではなく、手順S90にて所定時間の経過を認知した時点の更新されたグループ内店舗ランキングチャート132を参照するようにしても良い。」

(2) 上記(1)で摘記した事項から、引用文献2には、「ゲーム成績情報に基づいてプレイヤーのグループ内順位を決定し、その後、決定されたプレイヤー順位に基づいて、所属店舗に付与するポイントを決定し、決定された付与ポイントをその店舗の既得ポイントに加算し、加算したポイントをその店舗の既得ポイントとして更新して記憶し、更新された店舗のポイントをグループ内店舗ランキングチャート132で同一グループの他の店舗のポイントと比較してグループ内の順位を決定し、グループ内店舗ランキングチャート132を更新する」という技術的事項が記載されているものと認められる。

第4 対比・判断
1 本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。

ア 引用発明の「サッカーゲーム」及び「プレイヤ」は、それぞれ、本願発明1の「ゲーム」及び「ユーザ」に相当する。

イ 引用発明においては、全10回戦のサッカーゲームが、開催期間H1aにわたって行われるところ、引用発明の「全10回戦のサッカーゲーム」が行われる「開催期間H1a」は、本願発明1の「第1期間」に相当する。

ウ 引用発明においては、各回戦の対戦結果に応じてプレイヤに得点を付与し、前回戦までの総合得点に、本回戦の得点を加算して、プレイヤ毎に各回戦終了時までの総合得点が算出されるところ、引用発明の「総合得点」と、本願発明1の「ポイント」とは、「各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動する」点で共通する。

エ 引用発明の「プレイヤ情報記憶部62」は、プレイヤの名前、ユーザID、パスワード、対戦成績、プレイヤの総合得点が記憶されるものであるところ、プレイヤを、名前やユーザIDの情報によって識別し、かつ、それらプレイヤを識別する情報と、各プレイヤの総合得点の情報とが、対応付けられて記憶されていることは明らかである。
したがって、本願発明1の「記憶装置」と、引用発明の「プレイヤ情報記憶部62」は、「ゲームの複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報と、各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動するポイントと、が対応付けられて記憶された」ものである点で共通する。

オ 引用発明の「順位算出部73」は、プレイヤの総合得点、対戦相手等の情報を、プレイヤ情報記憶部62に記憶させるものであるから、「プレイヤ情報記憶部62」にアクセス可能であることは明らかである。
また、引用発明の「順位算出部73」は、サーバ側ゲームプログラムによりサーバ制御部70が動作されることにより実現されるものであり、さらに、サーバ制御部70はゲーム用サーバ装置51に備わるものである。してみると、引用発明において、「順位算出部73」が、「プレイヤ情報記憶部62」にアクセス可能であることは、「ゲーム用サーバ装置51」が、「プレイヤ情報記憶部62」にアクセス可能であるということができる。
以上のことから、引用発明の「ゲーム用サーバ装置51」と、本願発明1の「情報処理装置」とは、「ゲームの複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報と、各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動するポイントと、が対応付けられて記憶された記憶装置にアクセス可能」である点で共通する。

カ 引用発明の「全プレイヤ」は、複数のプレイヤからなるので、本願発明1の「複数のユーザ識別情報を含む第1グループ」に相当する。

キ 引用発明の「順位算出部73」は、全10回戦終了時に、総合得点が高いグループから順に、グループ内のプレイヤの順位付けを行い、全プレイヤの順位付けをするので、引用発明の「順位算出部73」と、本願発明1の「第1決定手段」とは、「前記ポイントに基づいて、複数のユーザ識別情報を含む第1グループにおける第1期間内の各ユーザ識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する」点で共通する。

ク 引用発明において、1回戦から10回戦までの各回戦期間は重複しないので、引用発明の「回戦期間」は、本願発明1の「第2期間」に相当する。

ケ 引用発明の「グループ分け部74」は、各回戦において、順位算出部73が算出した総合得点に基づいて、プレイヤを複数のグループに分けるので、グループ分け部74で分けられた複数のグループは、全プレイヤのうちの一部のプレイヤが含まれるものと解される。
してみると、引用発明における、「グループ分け部74」で分けられた「複数のグループ」は、本願発明1の「前記第1グループに含まれる複数のユーザ識別情報のうち一部のユーザ識別情報を含む複数の第2グループ」に相当する。
また、引用発明の「グループ分け部74」と、本願発明1の「グルーピング手段」とは、「第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、前記第1グループに含まれる複数のユーザ識別情報のうち一部のユーザ識別情報を含む複数の第2グループを各第2期間に対して作成する」点で共通する。

コ 上記ウで検討したとおり、引用発明の「総合得点」と、本願発明1の「ポイント」とが、「各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動する」点で共通することを踏まえると、本願発明1の「複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントの変動量」も、引用発明の「総合得点」も、ポイントに関連する情報であるという限りにおいては共通する。
してみると、本願発明1の「グルーピング手段」と、引用発明の「グループ分け部74」とは、「前記複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における」プレイヤのポイントに関連する情報に「基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する」という限りにおいて共通する。

サ 上記アないしコから、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致する。

[一致点]
「ゲームの複数のユーザのそれぞれを識別するためのユーザ識別情報と、各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動するポイントと、が対応付けられて記憶された記憶装置にアクセス可能な情報処理装置であって、
前記ポイントに基づいて、複数のユーザ識別情報を含む第1グループにおける第1期間内の各ユーザ識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する第1決定手段と、
第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、前記第1グループに含まれる複数のユーザ識別情報のうち一部のユーザ識別情報を含む複数の第2グループを各第2期間に対して作成するグルーピング手段と、
を備え、
前記グルーピング手段は、前記複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントに関連する情報に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する、
情報処理装置。」

シ そして、本願発明1と引用発明とは、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願発明1は、「各第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、前記複数の第2グループの各々に含まれる各ユーザ識別情報の、対応する第2グループ内の順位を決定する第2ランキング処理を実行する第2決定手段」を備えるのに対して、引用発明は、各回戦において、「グループ分け部74」で分けられた「複数のグループ」のプレイヤの順位を決定する手段を備えない点。

[相違点2]
「グルーピング手段」が、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する際に基づく、前記複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントに関連する情報が、本願発明1においては、N回目の第2期間における、ポイントの変動量であるのに対して、引用発明においては、各回戦で得た得点ではなく、各回戦までの総合得点である点。

(2) 相違点についての判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
N回目の第2期間における、ポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成することは、引用文献2にも記載されていないし、このように複数の第2グループを作成することが、本願出願時における周知技術であることを示す証拠もない。
また、本願発明1は、N回目の第2期間における、ポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成することによって、第1期間のイベントへの途中参加のユーザや、第1期間を継続的に行う動機が減退したユーザの参加意欲を向上させることができるという顕著な効果を奏するので、引用発明において、このように複数の第2グループを作成することが、当業者が適宜なし得る設計変更にすぎないということもできない。

(3) 小括
以上のとおりであるから、相違点1について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。

2 本願発明2について
本願発明2は、本願発明1に対して、「少なくとも1つのユーザ識別情報と、チームを識別するためのチーム識別情報とを対応付ける対応付け手段」を付加し、第1ランキング処理、第2ランキング処理、複数の第2グループの作成を、ユーザ識別情報ではなく、チーム識別情報に対して行うようにしたものである。
そうすると、本願発明2と引用発明とを対比すると、以下の点で相違する。

[相違点3]
本願発明2が、「少なくとも1つのユーザ識別情報と、チームを識別するためのチーム識別情報とを対応付ける対応付け手段」を備えるのに対して、引用発明が、そのような手段を備えない点。

[相違点4]
本願発明2の「第1決定手段」が、「前記チーム識別情報に対応付けられた少なくとも1つのユーザ識別情報に対応するポイントに基づいて、複数のチーム識別情報を含む第1グループにおける第1期間内の各チーム識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する」のに対して、引用発明の「順位算出部73」は、プレイヤの順位付けを行う点。

[相違点5]
本願発明2の「グルーピング手段」が、「第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、前記第1グループに含まれる複数のチーム識別情報のうち一部のチーム識別情報を含む複数の第2グループを各第2期間に対して作成する」のに対して、引用発明の「グループ分け部74」が、プレイヤを複数のグループに分ける点。

[相違点6]
本願発明2が、「各第2期間における、前記チーム識別情報に対応付けられた少なくとも1つのユーザ識別情報に対応するポイントの変動量に基づいて、前記複数の第2グループの各々に含まれる各チーム識別情報の、対応する第2グループ内の順位を決定する第2ランキング処理を実行する第2決定手段」を備えるのに対して、引用発明が、そのような手段を備えない点。

[相違点7]
本願発明2の「グルーピング手段」は、N回目の第2期間におけるポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成するのに対して、引用発明の「グループ分け部74」は、各回戦で得た得点ではなく、各回戦までの総合得点に基づいて、複数のグループを作成する点。

事案に鑑みて、相違点7について検討する。
上記相違点7は、上記1(1)シで説示した相違点2と実質的に同一であり、引用発明において、上記相違点2に係る発明特定事項をなすことが、当業者にとって容易でないことは、上記1(2)で説示したとおりである。
したがって、相違点3ないし6について検討するまでもなく、本願発明2も、やはり、当業者が引用発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

3 本願発明3ないし6について
本願発明3及び4は、本願発明1を直接又は間接に引用し、本願発明1をさらに限定するものである。
したがって、本願発明1と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
また、本願発明5及び6は、本願発明1又は2を直接又は間接に引用し、本願発明1又は2をさらに限定するものである。
したがって、本願発明1又は2と同様の理由により、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

第5 原査定に対する判断
原査定における、請求項1及び2に対する拒絶の理由の概要は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。
また、原査定における、請求項3ないし10(請求項3は、本件補正後の請求項2に対応する。)に対する拒絶の理由の概要は、引用文献1に記載された発明に対して、引用文献2に記載された技術的事項を適用することで、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないというものである。
しかし、上記第4の1及び2で説示したとおり、請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではないし、請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
さらに、請求項2は、請求項1を引用してさらに限定するものであり、請求項4ないし10は、請求項1又は2を直接又は間接に引用してさらに限定するものであるので、やはり、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第6 当審拒絶理由通知
1 平成31年3月26日付け拒絶理由通知について
(1) 当審において、平成31年3月26日付け拒絶理由通知書により、平成30年9月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に対して、
ア 請求項1の記載において、「第1期間」が終了していない時点における、第2グループを作成する際に基づく「ポイント」による「順位」を決定する主体が明確でなく、
イ 請求項1の記載において、「ポイント、および、当該ポイントよって決定された順位の少なくとも1つに基づいて」「第2グループを作成する」という状況が明確でなく、
ウ 請求項3の記載が、上記ア及びイと同じく明確でなく、
エ 請求項1の記載において、N回目の第2期間の終了後、N+1回目の第2期間の開始までに、「ポイント」が変動した場合に、どのようにN+1回目の第2グループを作成するのか、明確でなく、
オ 請求項1の記載において、「第2期間における前記ポイント」及び「第2期間における順位」が、何(誰)のポイント及び順位であるのか、明確でなく、
カ 請求項3の記載が、上記エ及びオと同じく明確でなく、
キ 請求項4の「前記グルーピング手段は、・・・ユーザ識別情報を、・・・ユーザ識別情報として抽出する」という記載が、「チーム識別情報を含む第2グループを作成する」という請求項3の記載との関係で明確でないので、
特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の、
(2) 明細書に対して、
ア 請求項1に係る発明において、第2グループを1つしか作成しない場合は、発明の詳細な説明において、当業者が実施できる程度の開示がされておらず、
イ 請求項3に係る発明が、上記アと同じく、当業者が実施できる程度の開示がされていないので、
特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない旨の、
拒絶理由を通知している。

2 令和1年8月26日付け拒絶理由通知について
(1) 当審において、令和1年8月26日付け拒絶理由通知書により、令和1年5月13日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に対して、
ア 請求項1の「当該ポイントによって定まる前記第2期間が開始する前の順位」及び「当該変動量によって定まるN回目の第2期間における順位」が、いかなる母集団における順位であるのか明確でなく、
イ 請求項3の記載が、上記アと同じく明確でなく、
ウ 請求項1及び2の記載において、「グルーピング手段」が複数の第2グループを作成する基準が異なっており、どのような基準に基づいて、複数の第2グループを作成するのか明確でなく、
エ 請求項3及び4の記載が、上記ウと同じく明確でなく、
オ 請求項5及び6の「前記第2期間」が、複数ある「第2期間」のいずれを受けるのか明確でなく、
カ 請求項5の「前記第2期間における順位」が、いかなる母集団における順位であるのか明確でなく、
キ 請求項5の「前記第2期間における順位」が、請求項3又は4を引用する場合には、「チーム識別情報」の順位であるのか、「ユーザ識別情報」の順位であるのか明確でないので、
特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない旨の、
ク 請求項1の「第1期間の終了時のポイントに基づいて、複数のユーザ識別情報を含む第1グループにおける各ユーザ識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する」という記載が、ラージランキング処理が、第1期間内において終了時点に限らず、ラージランキングを決定していることを開示する明細書の発明の詳細な説明と対応しておらず、
ケ 請求項3の「第1期間の終了時点の、前記チーム識別情報に対応付けられた少なくとも1つのユーザ識別情報に対応するポイントに基づいて、複数のチーム識別情報を含む第1グループにおける各チーム識別情報の順位を決定する第1ランキング処理を実行する第1決定手段」という記載も、上記クと同じく明細書の発明の詳細な説明と対応していないので、
特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない旨の、
拒絶理由を通知している。

3 手続補正について
これらの拒絶理由に対して、
(1) 令和1年5月13日に提出された手続補正書により、請求項1及び請求項3(本件補正後の請求項2)の記載において、「第2グループ」が、「複数の第2グループ」と補正され、
(2) 本件補正により、
ア 請求項2及び4が削除され、
イ 請求項1及び2の「ポイント」について、「各ユーザの前記ゲームの実行に基づいて前記ゲームの第1期間の開始からユーザごとに変動する」ことが明確にされ、
ウ 請求項1及び2の「第1ランキング処理」が、「第1グループにおける第1期間内の」順位を決定するものであることが特定され、
エ 請求項1及び2の「グルーピング手段」が、「第1期間中において重複せずに設定される複数の第2期間の各々を対象として、」「複数の第2グループを各第2期間に対して作成する」ことが特定され、
オ 請求項1及び2の「第2ランキング処理」が、「対応する第2グループ内の順位を決定する」ものであることが特定され、
カ 請求項1及び2の「グルーピング手段」が、「複数の第2期間のうちN(Nは1以上の整数)回目の第2期間における前記ポイントの変動量に基づいて、N+1回目の第2期間における複数の第2グループを作成する」ことが特定され、
キ 請求項3及び4の「前記第2期間」が、「各第2期間」と補正され、
ク 請求項3の「順位」が、「各第2期間における前記複数の第2グループの各々に含まれる各ユーザ識別情報の、対応する第2グループ内の順位」であることが特定されるとともに、請求項3が請求項1のみを引用するように補正され、
これらの補正により、拒絶理由は解消した。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし6は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願は拒絶することはできない。
また、当審において通知した拒絶の理由によっても、本願は拒絶することはできない。
そして、ほかに本願を拒絶すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2019-11-06 
出願番号 特願2015-49133(P2015-49133)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 113- WY (A63F)
P 1 8・ 536- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 前地 純一郎  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 塚本 丈二
清水 康司
発明の名称 情報処理装置、プログラム、情報処理システム  
代理人 グローバル・アイピー東京特許業務法人  

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