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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A61B |
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管理番号 | 1356617 |
審判番号 | 不服2019-64 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2019-01-07 |
確定日 | 2019-10-28 |
事件の表示 | 特願2015- 54377「生体情報モニタ、及び生体情報システム」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月29日出願公開、特開2016-171965〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年3月18日の出願であって、平成30年7月18日付けで拒絶理由が通知され、同年9月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月11日付けで拒絶査定されたところ、平成31年1月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成31年1月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成31年1月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、本件補正前の特許請求の範囲の請求項6の記載は、請求項1として次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。) 「 【請求項1】 被験者の生体信号と、入力ユニットからの音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の設定情報と、を受信する通信部と、 前記被験者の生体情報を表示する表示部と、 前記生体信号を前記生体情報に変換して前記表示部に連続的に表示する制御を行うと共に、前記表示部への前記生体情報の表示中に前記設定情報が入力された場合に、前記表示部への前記生体情報の表示を継続した状態で前記設定情報に基づく自装置の設定変更をバックグラウンドで行う制御部と、を備える、生体情報モニタ。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成30年9月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項6の記載は次のとおりである。 「 【請求項6】 被験者の生体信号と、入力ユニットからの設定情報と、を受信する通信部と、 前記被験者の生体情報を表示する表示部と、 前記生体信号を前記生体情報に変換して前記表示部に表示する制御を行うと共に、前記表示部への前記生体情報の表示中に前記設定情報を受信した場合に、前記表示部への前記生体情報の表示を継続した状態で前記設定情報に基づく自装置の設定変更をバックグラウンドで行う制御部と、を備える、生体情報モニタ。」 2 補正の適否 本件補正は、補正前の請求項1?5を削除して、補正前の請求項6?10を請求項1?5とし、請求前の請求項6の「前記設定情報」を「音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の前記設定情報」とする限定を付加する補正を含むものであって、補正前の請求項6に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献3 (ア)原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-000174号公報(平成27年1月5日出願公開。以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審に付与した。) (引3a)「【0018】 <生体情報監視システムの概要> 図1は、本発明の一実施の形態に係る生体情報監視装置としてのセントラルモニタ装置を含む生体情報監視システムの概略構成を示す図である。 【0019】 図1の生体情報監視システム1は、表示部(ベッドサイドモニタ表示部13)を有するベッドサイドモニタ(生体情報モニタ装置;生体情報収集装置)10、医用テレメータ(生体情報送信装置;生体情報収集装置)30およびセントラルモニタ(生体情報監視装置)50を有する。」 (引3b)「【0023】 具体的には、ベッドサイドモニタ10は、ベッドサイドモニタ本体11、マルチポートモジュール12およびベッドサイドモニタ表示部13を主として有する。また、ベッドサイドモニタ10には、テレメータ送信機14、心電ケーブル15、第1観血血圧ケーブル16、第2観血血圧テーブル17、体温プローブ18、酸素飽和度(SpO_(2))センサ19およびカフ20が、接続されている。」 (引3c)「【0027】 また、ベッドサイドモニタ本体11は、マルチポートモジュール12から受信した生体情報データに対して、計測値異常判定および不整脈解析等、各種の解析を、設定条件に従って適用する。生体情報データおよびこの解析の結果は、ベッドサイドモニタ表示部13によりモニタリング用画面として表示可能であり、CPUは、これらをベッドサイドモニタ表示部13に表示させるための画像処理を行う。」 (引3d)「【0043】 また、ベッドサイドモニタ表示部13は、タッチパネルを備えている。これにより、ユーザは表示画面上で各種操作を行うことができる。タッチパネル機能を用いた操作による入力は、入力信号としてベッドサイドモニタ本体11に伝送され、この入力信号に基づいて、ベッドサイドモニタ本体11において設定条件の変更等が行われる。この機能を用いて患者の氏名、性別等の個人情報を入力することもできる。なお、設定条件が変更された場合、変更後の設定条件を示す設定条件情報は表示態様情報の一部として、ベッドサイドモニタ本体11のCPUにより、テレメータ送信機14を介してセントラルモニタ50に送信される。」 (引3e)「【0048】 <セントラルモニタ50の構成> セントラルモニタ50は、複数の生体情報収集装置(ここでは、ベッドサイドモニタ10、医用テレメータ30)が通信回線を介して複数接続される。セントラルモニタ50は、ベッドサイドモニタ10で収集される生体情報(心電図情報(ECG)、呼吸、観血血圧、体温、酸素飽和度(SpO_(2))、血圧等)、医用テレメータ30で収集される生体情報(心電図情報、呼吸、SpO_(2))を取得する。セントラルモニタ50は、これら取得した生体情報を用いて、生体情報に対応する複数の患者を監視する。 【0049】 図2は、本発明の一実施の形態に係る生体情報監視装置としてのセントラルモニタ50の構成を示すブロック図である。 【0050】 図1及び図2に示すように、セントラルモニタ50は、表示手段としてのセントラルモニタ本体51及びセントラルモニタ表示部53と、選択操作部(タッチパネル)54とを備える。また、セントラルモニタ50にはテレメータ受信機52が接続されている。 【0051】 テレメータ受信機52は、無線により生体情報を送信し得る外部機器(ここでは、ベッドサイドモニタ10、医用テレメータ30)との無線通信を可能にするアンテナおよび無線信号処理回路を有する。 【0052】 テレメータ受信機52は、無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10、医用テレメータ30から送信された患者の生体情報を受信する。受信した生体情報は、セントラルモニタ本体51の制御部503(図2参照)に供給される。これにより、セントラルモニタ50は、ベッドサイドモニタ10、医用テレメータ30から各患者についての生体情報を無線でリアルタイムに取得することができる。 【0053】 また、テレメータ受信機52は、無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10から患者の生体情報とともに送信された、ベッドサイドモニタ10のベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報を受信する。受信した表示態様情報は、セントラルモニタ本体51の制御部503(図2参照)に供給される。これにより、セントラルモニタ50は、ベッドサイドモニタ10、医用テレメータ30から各患者についての生体情報を無線でリアルタイムに取得することができる。 【0054】 このように、本実施の形態では、テレメータ受信機52が、ベッドサイドモニタ10から生体情報とともにベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報を取得する取得手段として機能する。また、テレメータ受信機52は、医用テレメータ30から生体情報を取得する取得手段としても機能する。 【0055】 なお、セントラルモニタ50とベッドサイドモニタ10とを、ネットワークケーブルで接続(有線接続)して、相互にデータ交換が行えるようにしてもよい。つまり、図示しないネットワーク用コネクタ(例えば、LAN接続コネクタ)に、ベッドサイドモニタ10に接続されたケーブルを接続して、ベッドサイドモニタ10から生体情報及び表示態様情報を取得する構成としてもよい。例えば、セントラルモニタ50とベッドサイドモニタ10とをケーブルを介して接続し、互いにベッドサイドモニタ表示部13の表示画面態様情報を送受できる機能を有する構成としてもよい。このとき、上述したようにベッドサイドモニタ本体11のCPUが、外部から入力される設定情報に基づいて、ベッドサイドモニタ表示部13に表示する表示態様を変更する機能を有するものとする。これにより、ベッドサイドモニタ10側でベッドサイドモニタ表示部13における個人画面の表示態様を変更できるとともに、セントラルモニタ50の操作によってベッドサイドモニタ表示部13の表示設定、つまり、表示態様を変更できる。なお、コネクタは、シリアルコネクタ、USBコネクタおよび各種外部機器専用の接続コネクタのいずれかであってもよい。 【0056】 セントラルモニタ本体51は、図2に示すように、入力部502、制御部503、記憶部505、音声出力部507を有する。 【0057】 入力部502は、ベッドサイドモニタ10或いは医用テレメータ30により収集される生体情報の対象である患者の患者情報の入力を受け付けて、制御部503に供給する。また、入力部502は、ユーザ(医療スタッフ)が患者情報を手入力するためのキーボードやマウス等のような操作手段であり、あるいは磁気カードに記録された患者情報を読み取るカードリーダである。また、入力部502は、セントラルモニタ表示部53の表示モードを変更する際に用いてもよい。 【0058】 制御部503は、セントラルモニタ50内の各部における動作を制御するためのプログラムを記憶する記憶媒体とそのプログラムを実行する演算処理装置(CPU)とを有する。 【0059】 例えば、制御部503は、入力部502から供給された各患者の患者情報を記憶部505に格納して、患者情報を管理する。管理する患者情報には、主として患者の識別番号、氏名、性別および年齢が含まれるほか、病室、フロアまたは病棟の名称または番号が含まれる。補足的に、無線通信チャネルの番号を含むこともできる。さらに、患者を担当する医師および看護師の氏名やチーム情報を含むこともできる。なお、患者情報は、患者の生体情報ととともに患者個人情報に含まれる。 【0060】 また、制御部503は、テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報をリアルタイムにセントラルモニタ表示部53に表示させるための制御を行う。この場合、制御部503は、複数患者についての生体情報が、予め指定されている基本画面表示モードとしての表示モード(例えば、16床1波形表示モード)に従って配置されるように、生体情報から画像信号を生成する。生成した画像信号はセントラルモニタ表示部53に供給される。なお、生体情報の表示は、波形および数字のうち少なくとも一方による表示を含む。 【0061】 また、制御部503は、テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報を、患者情報に対応付けて記憶部505に格納して、生体情報を管理する。 【0062】 また、制御部503は、テレメータ受信機52からベッドサイドモニタ10の生体情報データが供給される場合、この生体情報ととともに供給される表示態様情報データを、患者情報に対応付けて記憶部505に格納して、生体情報を管理する。なお、表示態様情報は、上述したようにベッドサイドモニタ表示部13(図1参照)で表示される生体情報を含む画面の表示態様を示す情報である。 【0063】 さらに、制御部503は、ユーザが所定の操作を行ったときに、例えば、基本画面表示モードにおいて選択操作部54を介して特定の患者を選択したとき、記憶部505に格納されている特定患者についての生体情報、表示態様情報を読み出す。そして制御部503は、リアルタイムで取得する生体情報、表示態様情報とともに、読み出した生体情報、表示態様情報から、患者の生体情報を含む患者個人情報の個人画面を示す個人画面表示モードとしての画像信号を生成する。 【0064】 具体的には、選択された特定の患者についての生体情報が、ベッドサイドモニタ10により収集された生体情報である場合、制御部503は、生体情報と表示態様情報とから画像信号を生成する。このように制御部503が、表示態様情報を用いて生成した画像信号は、ベッドサイドモニタ表示部13の表示態様と同様の表示態様、つまり、同一或いは近似する表示態様、を示す画像信号である。この画像信号を制御部503は、セントラルモニタ表示部53に供給する。」 (イ)上記(ア)(引3a)?(引3e)より、引用文献3には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。 「ベッドサイドモニタ表示部13を有するベッドサイドモニタ10と、セントラルモニタ50とを有する生体情報監視システム1において ベッドサイドモニタ10は、 マルチポートモジュール12から受信した生体情報データに対して、計測値異常判定および不整脈解析等、各種の解析を、設定条件に従って適用するベッドサイドモニタ本体11と、 ユーザが表示画面上で各種操作を行うことができるタッチパネルを備えるベッドサイドモニタ表示部13とを有し、 タッチパネル機能を用いた操作による入力は、入力信号としてベッドサイドモニタ本体11に伝送され、この入力信号に基づいて、ベッドサイドモニタ本体11において設定条件の変更等が行われ、 設定条件が変更された場合、変更後の設定条件を示す設定条件情報は表示態様情報の一部として、ベッドサイドモニタ本体11のCPUにより、テレメータ送信機14を介してセントラルモニタ50に送信されるものであり、 セントラルモニタ50は、 表示手段としてのセントラルモニタ本体51及びセントラルモニタ表示部53と、選択操作部(タッチパネル)54とを備え、 セントラルモニタ50にはテレメータ受信機52が接続され、 テレメータ受信機52は、 無線により生体情報を送信し得るベッドサイドモニタ10との無線通信を可能にするアンテナおよび無線信号処理回路を有し、無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10から送信された患者の生体情報を受信し、受信した生体情報は、セントラルモニタ本体51の制御部503に供給され、ベッドサイドモニタ10から各患者についての生体情報を無線でリアルタイムに取得することができ、無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10から患者の生体情報とともに送信された、ベッドサイドモニタ10のベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報を受信し、受信した表示態様情報は、セントラルモニタ本体51の制御部503に供給され、 セントラルモニタ本体51の制御部503は、 セントラルモニタ50内の各部における動作を制御するためのプログラムを記憶する記憶媒体とそのプログラムを実行する演算処理装置(CPU)とを有し、テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報をリアルタイムにセントラルモニタ表示部53に表示させるための制御を行い、テレメータ受信機52からベッドサイドモニタ10の生体情報データが供給される場合、この生体情報ととともに供給される表示態様情報データを、患者情報に対応付けて記憶部505に格納して、生体情報を管理し、生体情報と表示態様情報とから画像信号を生成するものである、 生体情報監視システム1。」 (3)引用発明との対比・判断 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「セントラルモニタ50」は、本件補正発明の「生体情報モニタ」に相当する。 イ 引用発明の「ベッドサイドモニタ表示部13」は、「ユーザが表示画面上で各種操作を行うことができるタッチパネルを備え」、「タッチパネル機能を用いた操作による入力は、入力信号としてベッドサイドモニタ本体11に伝送され、この入力信号に基づいて、ベッドサイドモニタ本体11において設定条件の変更等が行われ」るから、引用発明の「ベッドサイドモニタ表示部13」は、本件補正発明の「入力ユニット」に相当する。 ウ 引用発明の「設定条件」は、「マルチポートモジュール12から受信した生体情報データに対して、計測値異常判定および不整脈解析等、各種の解析」を行うための条件であって、これらの条件の示す情報は、表示を除くその他の設定情報であるといえる。そして、引用発明の「設定条件」は、「タッチパネル機能を用いた操作によ」り入力された「入力信号に基づいて」「変更等が行われ」るものである。 すると、引用発明の「タッチパネル機能を用いた操作によ」り入力された「入力信号に基づいて」「変更等が行われ」、「マルチポートモジュール12から受信した生体情報データに対して、計測値異常判定および不整脈解析等、各種の解析」を行うための「設定条件を示す設定条件情報」は、「表示を除くその他の設定情報」であるから、本件補正発明の「入力ユニットからの音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の設定情報」に相当する。 エ 引用発明の「テレメータ受信機52」は、「無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10から患者の生体情報とともに送信された、ベッドサイドモニタ10のベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報を受信」するものであって、「ベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報」には、「設定条件が変更された場合、変更後の設定条件を示す設定条件情報」が、その一部として含まれ、「設定条件」は、「タッチパネル機能を用いた操作によ」り入力された「入力信号に基づいて」「変更等が行われ」るものであるから、引用発明の「無線通信チャネルを介してベッドサイドモニタ10から患者の生体情報とともに送信された、ベッドサイドモニタ10のベッドサイドモニタ表示部13の表示態様を示す表示態様情報を受信」する「テレメータ受信機52」は、本件補正発明の「被験者の生体信号と、入力ユニットからの音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の設定情報と、を受信する通信部」に相当する。 オ 引用発明の「セントラルモニタ表示部53」は、本件補正発明の「表示部」に相当する。そして、引用発明の「制御部503」は、「テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報をリアルタイムにセントラルモニタ表示部53に表示させるための制御を行」っているから、引用発明の「テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報をリアルタイムに」「表示」する「セントラルモニタ表示部53」は、本件補正発明の「前記被験者の生体情報を表示する表示部」に相当する。 カ 引用発明の「制御部503」は、本件補正発明の「制御部」に相当する。そして、引用発明の「テレメータ受信機52から順次供給される各患者についての生体情報をリアルタイムにセントラルモニタ表示部53に表示させるための制御を行」う「制御部503」は、本件補正発明の「前記生体信号を前記生体情報に変換して前記表示部に連続的に表示する制御を行う」「制御部」に相当する。 キ 引用発明の「制御部503」は、「テレメータ受信機52からベッドサイドモニタ10の生体情報データが供給される場合、この生体情報ととともに供給される表示態様情報データを、患者情報に対応付けて記憶部505に格納して、生体情報を管理し」、「生体情報と表示態様情報とから画像信号を生成する」するものである。そして、「ベッドサイドモニタ10」において、「設定条件が変更された場合、変更後の設定条件を示す設定条件情報は表示態様情報の一部として、ベッドサイドモニタ本体11のCPUにより、テレメータ送信機14を介してセントラルモニタ50に送信される」から、「ベッドサイドモニタ10」において、「設定条件が変更された場合」、「制御部503」は、「変更後の設定条件を示す設定条件情報」を一部として含む「表示態様情報」から「画像信号を生成する」ことになり、この変更は、「制御部503」にある「演算処理装置(CPU)」により行われることから、「生体情報」を「セントラルモニタ表示部53」に表示させたままバックグラウンドで行われることは明らかである。また、「ベッドサイドモニタ10」における、「設定条件」の変更は、通常、「ベッドサイドモニタ表示部13」に表示された「生体情報」を見ながら行うことも当然想定されていることから、「ベッドサイドモニタ10」における、「設定条件」の変更は、「ベッドサイドモニタ表示部13」への「生体情報」の表示中に行う場合も含んでいることは明らかである。 すると、引用発明の「生体情報と表示態様情報とから画像信号を生成する」「制御部503」は、本件補正発明の「前記表示部への前記生体情報の表示中に前記設定情報が入力された場合に、前記表示部への前記生体情報の表示を継続した状態で前記設定情報に基づく自装置の設定変更をバックグラウンドで行う制御部」に相当する。 ク 以上アないしカより、本件補正発明は引用発明であるといえる。 したがって、本件補正発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (4)請求人の主張について 請求人は、審判請求書の【請求の理由】3.「(2)本願発明が特許されるべき理由」において、 「本願の請求項1に係る発明は上述の通りであり、概略すると『表示とは異なる各種設定(音、記録、カスタマイズキー等)を外部から受信し、生体情報の表示を継続しつつ、表示とは異なる各種設定の実行をバックグラウンドで行う』というものです。生体情報モニタの使用場面では、患者の容態を常時把握したまま各種設定を変更したいというニーズが少なからず存在します。すなわち表示態様が変わってしまうと患者の容態変化を把握しづらくなってしまうため、表示態様を変えることなく生体情報の表示を継続したまま、表示とは異なる各種設定(音、記録、カスタマイズキー等)の実行を行うことが望ましいと言えます。これに対し本願請求項1に係る発明は、“生体情報の表示に全く影響を与えることなく(生体情報の確認を今まで通り継続したまま)、表示とは異なる各種の設定を行うことが出来る”という効果を奏します。 一方、引用文献3に記載は、ベッドサイドモニタとセントラルモニタの表示を同様にすることを目的とする技術を開示するものであり(引用文献3段落0009?0011、0015)、表示以外の各種設定(すなわち音、記録、カスタマイズキー等の設定)についての示唆や教示はありません。引用文献3に記載の技術は表示設定自体のみを変更するものであるため、表示を継続したまま他の(表示以外の)設定を変更するという構成を開示していないことは明らかです。すなわち引用文献3には、本願の請求項1が解決する『生体情報の表示に影響を与えることなく、表示とは異なる各種設定をモニタに反映させる』という課題や当該課題を解決する構成について言及するものではありません。 このように本願請求項1に係る発明は、引用文献3(ひいては他の全ての引用文献)に記載のない『表示とは異なる各種設定(音、記録、カスタマイズキー等)を外部から受信し、生体情報の表示を継続しつつ、表示とは異なる各種設定の実行をバックグラウンドで行う』という構成を有します。そして、当該構成によって『生体情報の表示に全く影響を与えることなく(生体情報の確認を今まで通り継続したまま)、表示とは異なる各種の設定を行うことが出来る』という格別の効果を奏することから、各種の特許要件を満たすものと思料いたします。」 旨、主張しているが、上記(3)ウで検討したとおり、引用発明には、「マルチポートモジュール12から受信した生体情報データに対して、計測値異常判定および不整脈解析等、各種の解析」を行うための「設定条件を示す設定条件情報」が記載されており、これは「表示を除くその他の設定情報」であるから、引用発明には本件補正発明の「入力ユニットからの音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の設定情報」が記載されているといえる。 すると、「引用文献3に記載は、・・・表示以外の各種設定(すなわち音、記録、カスタマイズキー等の設定)についての示唆や教示」がないとした上記請求人の主張は、採用することができない。 3 本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成31年1月7日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成30年9月18日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項6に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項6に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の本件補正前の請求項6についての拒絶の理由は、以下のとおりである。 この出願の補正前の請求項6に係る発明は、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献3に記載された発明であるか又は引用文献3に記載された発明から、当業者が容易に想到できたものであるから、特許法29条1項3号に該当するか、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:米国特許出願公開第2001/0037366号明細書(周知技術を示す文献) 引用文献2:米国特許出願公開第2014/0067007号明細書 引用文献3:特開2015-000174号公報 引用文献4:特開2014-180338号公報(周知技術を示す文献) 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、少なくとも「前記設定情報」を「音、記録、キーカスタマイズ、または表示を除くその他の前記設定情報」とする限定事項を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明であるといえるから、本願発明も、引用発明であるといえる。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2019-09-02 |
結審通知日 | 2019-09-03 |
審決日 | 2019-09-17 |
出願番号 | 特願2015-54377(P2015-54377) |
審決分類 |
P
1
8・
113-
Z
(A61B)
P 1 8・ 575- Z (A61B) P 1 8・ 121- Z (A61B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 清水 裕勝 |
特許庁審判長 |
三崎 仁 |
特許庁審判官 |
三木 隆 福島 浩司 |
発明の名称 | 生体情報モニタ、及び生体情報システム |
代理人 | 松山 啓太 |