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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  F21S
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  F21S
審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
管理番号 1356794
異議申立番号 異議2018-700081  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-01-31 
確定日 2019-09-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6171270号発明「車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット、車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法、及び車両用灯具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6171270号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。 特許第6171270号の請求項1-12に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6171270号の請求項1?12に係る特許についての出願は、平成24年5月29日に出願され、平成29年7月14日にその特許権の設定登録がされ、同年8月2日に特許掲載公報が発行された。
その後、その特許について、平成30年1月31日に特許異議申立人関豊美子(以下「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立てがされ、同年6月11日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月14日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年9月28日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年10月31日に特許異議申立人より意見書が提出され、平成31年1月18日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内である同年3月25日に訂正請求書及び意見書が提出され、同年4月23日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、令和1年6月3日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年7月22日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年8月8日に訂正請求書及び意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和1年8月8日付けの訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、特許第6171270号(以下「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?12について訂正することを請求するものであり、その内容は以下のとおりである(下線は、訂正箇所を示す。)。
なお、特許法第120条の5第7項の規定により、平成30年8月14日付けの訂正請求書による訂正、及び、平成31年3月25日付けの訂正請求書による訂正は、取り下げられたものとみなす。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し、前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致する、」とあるのを、「前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し、前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致し、前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」に訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項8に「製造補法」とあるのを、「製造方法」に訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項9に「製造補法」とあるのを、「製造方法」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項10に「製造補法」とあるのを、「製造方法」に訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項11に「前記天板部には、金属体が設けられており、前記金属体のうち少なくとも前記熱伝導樹脂部材に接触する面には、微小凹凸が設けられており、前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にインサート成形されている、ことを特徴とする請求項8?10のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。」とあるのを、「請求項1、2、及び3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、複数の前記フィン部のうち、前記光源部が取り付けられている側と反対側の面の中心もしくはその近傍に位置し、前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、前記ゲートが位置する前記フィン部のうち、前記コネクタ部に連なる部分が切除されており、前記天板部には、金属体が設けられており、前記金属体のうち少なくとも前記熱伝導樹脂部材に接触する面には、微小凹凸が設けられており、前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にインサート成形されている、ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。」に訂正する。
(6)一群の請求項
本件訂正は、一群の請求項〔1-12〕に対して請求されたものである。

2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物を有する熱伝導性樹脂」について、多岐的記載を、「炭素繊維」に限定するものである。
さらに、訂正事項1による訂正は、訂正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「熱伝導樹脂部材」について、本件明細書等の段落【0055】の「前記熱伝導樹脂部材8の中間部の外周面には、複数個この例では4個の取付部87が、前記ランプハウジング101の前記凹部と対応させて、かつ、前記鍔部86と対向して、一体に設けられている。」、段落【0063】の「前記2点ゲートG3は、前記取付部87の一端面の一直線もしくはほぼ一直線上に、それぞれ位置する。前記2点ゲートG2、G3は、前記熱伝導樹脂部材8の成形時において、前記金属体2の前記熱伝導樹脂部材8に接触する面(前記当接面20と反対側の面)21よりも上位に位置する。」及び図3、4等の記載を根拠に、「前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置されること」を限定するものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、本件明細書等に記載された事項の範囲内において、「炭素繊維、炭素顆粒、又は炭素繊維と炭素顆粒との混合物を有する熱伝導性樹脂」及び「熱伝導樹脂部材」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
(2)訂正事項2、3及び4について
訂正事項2、3及び4による訂正は、訂正前の請求項8、9及び10のそれぞれに、「製造補法」とあるのを、「製造方法」に訂正するものであり、いずれも、誤記の訂正を目的とするものである。
そして、訂正事項2、3及び4は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された事項の範囲内においてするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項5について
訂正事項5による訂正は、訂正前の請求項11が訂正前の請求項8?10のいずれか1項の記載を引用するものであり、訂正前の請求項8、9及び10がそれぞれ訂正前の請求項1?7のいずれか1項の記載を引用するものであるところ、訂正後の請求項11は、請求項9及び10の記載を引用しないものとし、訂正前の請求項8について、「製造補法」とあるのを「製造方法」に訂正した上で、請求項4?7の記載を引用しないものとし、そのようにした請求項4?7の記載を引用しない請求項8の記載を加えることで、請求項11において請求項8の記載を引用しないものとし請求項間の引用関係を解消したものである。
したがって、訂正事項5による訂正は、実質的に、訂正前の請求項8が直接又は間接的に引用する請求項を一部削除するものであり、本件明細書等に記載された事項の範囲内においてしたものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
さらに、訂正事項5による訂正は、上記(2)と同様のことがいえる。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするもの、及び、同第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕について訂正することを認める。

第3 訂正後の本件発明
上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1?12に係る発明(以下それぞれ「本件発明1?12」ともいう。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1?12に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットにおいて、
光源部と、前記光源部が取り付けられているソケット部と、を備え、
前記光源部は、半導体型光源の発光チップを有し、
前記ソケット部は、
前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材と、
前記光源部と電気的に接続されていて、前記光源部に給電する給電部材と、
少なくとも前記給電部材の一部を外装して、前記熱伝導樹脂部材と前記給電部材とを相互に絶縁状態で組み込む絶縁部材と、
から構成されていて、
前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し、
前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致し、
前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、
前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、
前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項2】
前記熱伝導樹脂部材は、前記天板部と前記フィン部との付根部分のうち車両に搭載された状態における鉛直方向の上部に、前記天板部の面方向に対して前記フィン部の突出方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項3】
前記熱伝導樹脂部材には、一面に前記光源部が取り付けられている天板部が設けられていて、
前記天板部には、金属体が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項4】
前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にグリースを介して密着した状態で固定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項5】
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記コネクタ部の上部には、光源ユニットが装備されている車両用灯具を車両に装備した際に、垂直方向に位置するフィン部と上部が開口している空隙とが配置されていて、
前記コネクタ部の側部には、光源ユニットが装備されている車両用灯具を車両に装備した際に、垂直方向に位置するフィン部と上下に貫通する空隙とが配置されている、
ことを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項6】
前記熱伝導樹脂部材は、前記ソケット部の外装部分を形成し、
前記熱伝導樹脂部材には、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項7】
前記熱伝導樹脂部材は、前記ソケット部の外装部分を形成し、
前記熱伝導樹脂部材の外面には、小凹凸が設けられている、
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、複数の前記フィン部のうち、前記光源部が取り付けられている側と反対側の面の中心もしくはその近傍に位置し、
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記ゲートが位置する前記フィン部のうち、前記コネクタ部に連なる部分が切除されている、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項9】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材の前記天板部の一面には、前記光源部を包囲する環状形状の保護壁が設けられていて、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、前記保護壁の端面の一直線もしくはほぼ一直線上の2箇所に位置する、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項10】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材には、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部が設けられていて、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、前記取付部の端面の一直線もしくはほぼ一直線上の2箇所に位置する、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項1、2、及び3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、複数の前記フィン部のうち、前記光源部が取り付けられている側と反対側の面の中心もしくはその近傍に位置し、
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記ゲートが位置する前記フィン部のうち、前記コネクタ部に連なる部分が切除されており、
前記天板部には、金属体が設けられており、
前記金属体のうち少なくとも前記熱伝導樹脂部材に接触する面には、微小凹凸が設けられており、
前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にインサート成形されている、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項12】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている前記請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットと、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1?12に係る特許に対して、当審が令和1年7月22日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
[取消理由]
本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、本件特許の請求項1?12に係る特許は、同法第113条第4号の規定により、取り消されるべきものである。
特許請求の範囲の請求項1は、「板状に形成された金属体」と「天板部」との関係が特定されておらず、「板状に形成された金属体」がどこに存在しているのか不明であり、明確でない。
よって、請求項1及び請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2?12に係る発明は明確でない。

2 当審の判断
本件訂正により、本件発明1の記載は、「前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、」という事項を含むものとなり、「板状に形成された金属体」と「天板部」との関係が特定されたから、明確である。
本件発明1を直接又は間接的に引用する本件発明2?12についても同様である。
したがって、本件発明1?12は明確であり、上記1の取消理由は解消された。

第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の要旨
本件取消理由(令和1年7月22日付けの取消理由)において採用しなかった特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。

1-1 申立理由1(特許法第29条第2項)
本件特許の請求項1?12に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。したがって、上記請求項1?12に係る特許は、特許法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書14頁2行?55頁23行)。

1-2申立理由2(特許法第36条第4項第1号)
本件特許の請求項1及び11に係る発明は、発明の詳細な説明にその発明を当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されているとはいえないから、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に適合するものではない。したがって、請求項5に係る特許は、同法第36条第4項第1号の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書55頁25行?56頁16行、56頁24行?57頁17行)。

1-3 申立理由3(特許法第36条第6項第1号)
本件特許の請求項1、7及び11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に適合するものではない。したがって、請求項1、7及び11に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書55頁25行?58頁14行)。

1-4 申立理由4(特許法第36条第6項第2号)
本件特許の請求項1、7及び11に係る発明は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に適合するものではない。したがって、請求項1、7及び11に係る特許は、同法第36条第6項の規定を満たさない特許出願に対してなされたものであり、同法第113条第4号の規定により取り消すべきものである(特許異議申立書55頁24行?58頁14行)。

刊行物等
1. 特開2011-61157号公報
2. 米国特許出願公開第2009/0034283号明細書
3. 特表2010-524210号公報
4. 特開2011-146483号公報
5. 特開2011-154910号公報
6. 特開2011-154911号公報
7. 特開2011-171276号公報
8. 特開2011-171277号公報
9. 特開2011-253622号公報
10.特開2011-253774号公報
11.特開2012-22797号公報
12.特開2012-74186号公報
13.特開2004-349685号公報
14.特開2011-228585号公報
15.特開2009-259456号公報
16.特開平1-204498号公報
17.特表2008-524816号公報
18.特開2012-38698号公報
19.特開2004-207690号公報
20.特開2002-299700号公報

上記刊行物等1?20(以下それぞれ「引用文献1」?「引用文献20」という。)は、特許異議申立人が提出した甲第1?20号証である。

なお、申立理由1は、平成30年6月11日付けの取消理由通知において採用した取消理由と、実質的に同じであり、これに対して、同年8月14日付けの訂正請求により訂正された請求項1?12に係る発明(本件発明1?12と実質的に同じ発明である。)について、平成31年1月18日付け取消理由通知(審決の予告)において検討し、この取消理由は解消したものとしたが、上記の取消理由通知(審決の予告)に対して、令和1年6月3日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年7月22日付けの取消理由通知に対して、同年8月8日に訂正請求書が提出されたことから、これらのことを踏まえ、以下検討する。

2 検討
本件訂正により訂正された本件発明1?12について、以下検討する。
2-1 申立理由1(特許法第29条第2項)について
2-1-1 引用文献に記載された事項及び発明
(1)引用文献1について
ア 引用文献1に記載された事項
引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審で付した。以下同様である。)。
(1a)
「【0001】
本発明は、LED用ヒートシンク及び自動車用LEDランプに係わり、更に詳しくは金属と熱伝導性樹脂を複合したLED用ヒートシンク及び自動車用LEDランプに関するものである。」
(1b)
「【0024】
【図1】本発明に係るLED用ヒートシンクの代表的実施形態を示し、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図2】本発明に係るLED用ヒートシンクの他の実施形態を示し、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【図3】熱伝導性樹脂で成形したヒートシンク本体の斜視図である。
【図4】本発明の効果を確認するための実験に供するヒートシンク試験体の斜視図である。
【図5】各ヒートシンク試験体の冷却効果を示したグラフであり、樹脂A+Al板は実線、樹脂B+Al板は一点鎖線、樹脂C+Al板は二点鎖線、Al+Al板は太い点線、Al板のみは細い点線で示している。
【図6】LED冷却効果を試験するための実験配置を示す斜視図である。
発明を実施するための形態】
【0025】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1?図5は本発明のLED用ヒートシンクの実施形態を示し、図中符号1はヒートシンク、2はヒートシンク本体、3は熱伝達板、4はLEDモジュールをそれぞれ示している。
【0026】
本発明のLED用ヒートシンク1は、1W以上の高輝度LEDモジュール4の冷却のために使用するヒートシンクであって、少なくとも良熱伝導体金属又は炭素材料(熱伝達板3)のどちらか一方と熱伝導性樹脂(ヒートシンク本体2)を組み合わせることを基本構成としている。本発明のヒートシンク1は、図1及び図2に示すように、LEDモジュール4を接合する受熱面5に沿って設けた良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3をよって、LEDモジュール4の狭い発熱源から発生した熱を受熱面5の全体に伝達し、低熱容量や高放射率を有する熱伝導性樹脂から成形したヒートシンク本体2によって熱を空中に放散し、LEDモジュール4の温度上昇を抑制する、つまり冷却するのである。
【0027】
前記熱伝導性樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックス成分とし、金属、無機物、カーボン繊維、グラファイトから選ばれた1種又は2種以上の充填材を含有した熱伝導率0.5W/m・K以上のものである。成形性とリサイクル性の観点から熱可塑性樹脂をマトリックス成分とすることが好ましい。更に好ましくは、熱伝導性樹脂の熱伝導率は2.5W/m・K以上である。」
(1c)
【0034】
本発明におけるヒートシンクの熱伝導性樹脂部分の形状は、LEDを目的温度に冷却するために必要とされる放熱量に必要となる面積を有していれば、板形状も含め、任意の形状をとことができるが、効率良く放熱を行うためにフィンを設けることが望ましい。ヒートシンクのフィン形状は必ずしも板状である必要はなく、柱状のフィンなど任意の形状を用いることができる。図1に示したヒートシンク1は、前記熱伝導性樹脂で成形し、受熱面5に複数のフィン6,…を列設した形状にヒートシンク本体2を成形する時に、該受熱面5に沿って前記良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3をインサート成形した構造である。インサート成形することにより、熱伝達板3と熱伝導性樹脂の界面を密着して接合することができ、熱抵抗を大幅に減少させることが可能となる。そして、前記LEDモジュール4は、基板7の中央部に、複数のLED素子を内蔵し、レンズを一体形成した発光体8を保持した構造であり、前記基板7を前記ヒートシンク1の受熱面5に接合して用いる。基板7の取り付け箇所は、熱をより効率的に熱伝達板3全域に広げる目的から、中央部に接合することが望ましいが、使用目的、意匠性などの観点に応じ、接合箇所は受熱面5内であればどこでも良い。前記受熱面5にLEDモジュール4の基板7を接合するには、オイルコンパウンドやRTVゴム、熱伝導シートなどを使用して熱抵抗を下げる工夫が施される。このように、ヒートシンク1の受熱面5に高輝度LEDモジュール4を接合して自動車用LEDヘッドランプが構成される。」
(1d)
「【0035】
図2に示したヒートシンク1は、前記熱伝導性樹脂で成形し、受熱面5に複数のフィン6,…を列設した形状のヒートシンク本体2の該受熱面5に、前記良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3を接合固定したものである。ここで、ヒートシンク本体2と熱伝達板3の接合にも熱抵抗を下げる工夫が施される。この場合、ヒートシンク本体2と熱伝達板3は、別々に製作するので製造が容易である。尚、ヒートシンク1の受熱面5は、実際には熱伝達板3の表面となるが、この場合ヒートシンク本体2の板状部と熱伝達板3とが接合一体化した部分を広義に受熱面5としている。
【0036】
ここで、図1及び図2にはヒートシンク1の受熱面5が平面である場合を例示したが、円筒状になる場合もあり、図1の場合には円筒状の熱伝達板3をヒートシンク本体2にインサート成形し、図2の場合にはヒートシンク本体2に形成した円筒部内に円筒状の熱伝達板3を嵌挿し接合する。」
(1e)
【実施例1】
「【0037】
本発明のヒートシンク1の性能を確認するために比較実験を行った。ここで使用する熱伝導性樹脂Aは、エレサーブEN1000(スターライト工業(株)製)、熱伝導性樹脂Bは、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)/炭酸マグネシウムを重量比で30/70に配合したものである。比較の熱伝導性樹脂Cとして、市販されているPPS/CF CZ1030(DIC(株)製)を用いた。
【0038】
熱伝導性樹脂A(エレサーブEN1000)は、PA12をマトリックスとし、主に炭素繊維を配合した熱伝導性樹脂であり、比重1.6、熱伝導率3.8W/m・Kである。熱伝導性樹脂Bは、比重2.2、熱伝導率1.3W/m・Kである。熱伝導性樹脂Cは、比重1.4、熱伝導率約0.7W/m・Kである。
【0039】
これら熱伝導性樹脂A?Cを用いて図3に示すような一般的な形状のヒートシンク本体10を成形した。ヒートシンク本体10の寸法は、受熱面11が45mm×30mm、フィン12の高さが20mmで、フィン12の数は8枚である。比較として前記ヒートシンク本体10と同形のアルミ製のヒートシンク本体(材質:A6061)を用意した。実験には図3に示すように、二つのヒートシンク本体10,10をフィン12,12が直線状に並ぶように接合したものをヒートシンク試験体とし、両受熱面11,11に渡って70mm×70mm、厚さが3mmのアルミニウム(材質:A1015)製の熱伝達板13を熱伝導両面テープにて接合し、該熱伝達板13の中央部に図示しないLEDモジュールを接合した。アルミ製のヒートシンク試験体も同様である。LEDモジュールは、実装LEDがMCE4WT-A2-WC-M(CREE社XLamp)で、それを1辺が22mmの基板モジュール(L-MCE-X1(LED-ON社))に装着したものである。
【0040】
そして、4つの試験体を、図4に示すように、PA66の平面シート14の上に載置し、前記各試験体のLEDモジュールに定電流電源より650mAの電流を供給し、時間経過に連れてLEDモジュールの温度変化を測定した。温度測定には、前記実装LEDの近傍の基板モジュールに熱電対を貼り付けて行った。その測定結果を図5に示している。図中「樹脂A+Al板」は、熱伝導性樹脂Aのヒートシンク本体10にアルミニウム製の熱伝達板13を接合したもの、「樹脂B+Al板」は、熱伝導性樹脂Bのヒートシンク本体10にアルミニウム製の熱伝達板13を接合したもの、「樹脂C+Al板」は、熱伝導性樹脂Cのヒートシンク本体10にアルミニウム製の熱伝達板13を接合したもの、「Al+Al板」は、アルミ製のヒートシンク本体10にアルミニウム製の熱伝達板13を接合したものをそれぞれ示している。また、比較としてアルミニウム製の熱伝達板13のみを用いたものを「Al板のみ」として表している。」
(1f)
【実施例2】
「【0042】
本発明における良熱伝導体金属3の固定方法によるLED冷却効果を比較するために、熱伝導性樹脂Aをヒートシンク本体10として使用し、実験を行った。
【0043】
図6に示すように、実施例1と同形状のヒートシンク本体10において、ヒートシンク成形時に金型内にアルミ板(熱伝達板3)をインサートし成形したものを使用し、LEDモジュール4の実装LED発光体8の近傍の基板7とヒートシンク本体10に熱電対を貼付け、アルミ板をヒートシンク成形後に接合したものと温度比較を実施した。」
(1g)
図1は、以下のとおりである。

(1h)
図4及び6は、以下のとおりである。

イ 引用文献1に記載された発明
(ア) 摘記(1c)の事項及び図1の「受熱面5」について
「図1に示したヒートシンク1」は「受熱面5に沿って」「熱伝達板3をインサート成形した構造であ」り、「受熱面5に複数のフィン6を列設した形状に」「形成」する(摘記(1c))という記載及び「ヒートシンク本体2の板状部と熱伝達板3とが接合一体化した部分を広義に受熱面5としている」(摘記(1d))という記載と、図1の図示内容とを併せて参照すると、摘記(1c)の「受熱面5」は、図1(摘記(1g)参照)において、ヒートシンク1から、列設した形状に形成された複数のフィン6を除いた部分を示していることが明らかである。
このことと、摘記(1c)の事項及び図1から、摘記(1c)の「受熱面5」に関して、以下のことが認められる。
a
摘記(1c)の「ヒートシンク1」の「受熱面5」は、ヒートシンク本体2の一部を構成する、インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(以下「凹部を有する板状部分」ともいう。)と、挿入された熱伝達板3とから構成されている。
b
上記aの「受熱面5」の、ヒートシンク本体2の一部を構成する「凹部を有する板状部分」は、ヒートシンク本体2の、LEDモジュール4の基板7が設置される一面側の端部に配置されている。
c
上記aの「受熱面5」の「凹部を有する板状部分」は、凹部空間以外の平面(凹部空間に面していない板状部分の上面)を含むLEDモジュール4の基板7が設置される一面と、複数のフィン6が列設した形状に形成されている他面とを備えている。
d
摘記(1c)の「ヒートシンク1」の「受熱面5」の「熱伝達板3」は、基板7が接合されるLEDモジュール4側の面と、「凹部を有する板状部分」の凹部の底面に接合する面とを備えている。

(イ)摘記(1c)のヒートシンク1の構成について
摘記(1c)には、「図1に示したヒートシンク1は、熱伝導性樹脂で成形し、受熱面5に複数のフィン6を列設した形状にヒートシンク本体2を形成する時に、該受熱面5に沿って良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3をインサート成形した構造」と記載されているところ、摘記(1c)の「受熱面5」に関する上記(ア)a?dの認定事項を踏まえ、併せて図1を参照すると、摘記(1c)の「ヒートシンク1」に関して、以下のことが認められる。
a
摘記(1c)の「ヒートシンク1」は、ヒートシンク本体2を形成する時に、良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3をインサート成形した構造であり、ヒートシンク本体2と良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3とから構成されている。
b
摘記(1c)の「ヒートシンク本体2」は、熱伝導性樹脂で成形され、インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(「凹部を有する板状部分」)と、「凹部を有する板状部分」の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6とから構成され、凹部空間以外の平面を含むLEDモジュール4の基板7が設置される一面を備え、凹部を有する板状部分は、ヒートシンク本体2の、LEDモジュール4の基板7が設置される一面側の端部に配置されている(特に、上記(ア)アa?cを参照)。
c
摘記(1c)の「良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3」は、ヒートシンク本体2の「凹部を有する板状部分」に挿入され、基板7が接合されるLEDモジュール4側の面と、「凹部を有する板状部分」の凹部の底面に接合する面とを備えている(特に、上記(ア)dを参照)。

(ウ)
上記(イ)、摘記(1a)?(1c)及び図1から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「ヒートシンク1の受熱面5にLEDモジュール4を接合して構成される自動車用LEDヘッドランプであって、
LEDモジュール4は、基板7の中央部に、複数のLED素子を内蔵し、レンズを一体形成した発光体8を保持した構造であり、前記基板7をヒートシンク1の受熱面5に接合し、
ヒートシンク1は、熱伝導性樹脂で成形し、受熱面5に複数のフィン6を列設した形状にヒートシンク本体2を形成する時に、該受熱面5に沿って良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3をインサート成形した構造であり、ヒートシンク本体2と良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3とから構成され、
ヒートシンク本体2は、熱伝導性樹脂で成形され、インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(凹部を有する板状部分)と、凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6とから構成され、凹部空間以外の平面を含むLEDモジュール4の基板7が設置される一面を備え、凹部を有する板状部分は、ヒートシンク本体2の、LEDモジュール4の基板7が設置される一面側の端部に配置され、
良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3は、ヒートシンク本体2の凹部を有する板状部分に挿入され、基板7が接合されるLEDモジュール4側の面と、凹部を有する板状部分の凹部の底面に接合する面とを備え、
熱伝導性樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックス成分とし、金属、無機物、カーボン繊維、グラファイトから選ばれた1種又は2種以上の充填材を含有した熱伝導率0.5W/m・K以上のものであり、
ヒートシンク1の受熱面5にLEDモジュール4を接合して構成される自動車用LEDヘッドランプ。」

(2)引用文献2について
引用文献2には、図面とともに、以下の事項が記載されている。和訳は当審が作成した。
(2a)
「[0002] This invention relates to lamps and more particularly to lamps using light emitting diodes (LED or LEDs) as a light source. ・・・
[0003] The efficiency of LEDs has caused a rapid increase in their use in the automotive industry, particularly as center high mount stop lights (CHMSLs) and tail lights generally.・・・」
〔和訳〕
「[0002] 本発明は、ランプ、特に光源として発光ダイオード(LED or LEDs)を用いたランプに関する。・・・
[0003] LEDsの効率は、自動車産業、特にセンターハイマウントストップランプ(CHMSLs)やテールライトで広く、それらの使用の急速な増加を引き起こした。・・・」
(2b)
「[0013] Referring now to the drawings with greater particularity, there is shown in FIGS. 1 and 2 a direct view LED lamp 10 having a heat sink body 12 with a longitudinal axis 14 and a transverse wall 16 having an exterior side 18 and an interior side 20. The heat sink body 12 is formed of suitable material, for example, aluminum, zinc, cupper or a thermally conductive plastic.」
〔和訳〕
「[0013] より詳細に図面を参照すると、図1及び図2には、長手方向軸14と、外側18及び内側20を有する横壁16とを有する、ヒートシンク本体12を備える直視型LEDランプ10が示される。ヒートシンク本体12は、適切な材料、例えば、アルミニウム、亜鉛、銅または熱伝導性プラスチックから形成されている。」
(2c)
「[0014] A cavity 22 is formed by the interior side 20 and is defined by a circumferential sidewall 24 and a back wall 26. The heat sink body 12 roughly defines a cylindrically shape and includes a plurality of heat conductive fins 60. The heat sink body 12 includes a socket receptacle 62 containing electrical connections 64. The electrical connections 64 extend from the socket receptacle 62 to a circuit board 28 positioned in the cavity 22 adjacent the back wall 26. Preferably, the contacts 64 are carried by a grommet 62a of, for example, rubber. 」
〔和訳〕
「[0014] 空洞22は、内側20に形成され、周側壁24と後壁26とによって規定される。ヒートシンク本体12は、およそ円筒形で複数の熱伝導性フィン60を含む。ヒートシンク本体12は、電気接続部64を含むソケット容器62を含む。電気接続部64は、ソケット容器62から後壁26に隣接する空洞22内に位置する回路基板28まで延びている。好ましくは、コンタクト64は、例えばゴムのはとめ62aによって支えられている。」
(2d)
「[0015] At least one LED 30 (preferably, 6) is mounted on the circuit board 28 facing in a direction parallel to the longitudinal axis 14 and axially away from the circuit board 28 . A thermal gasket 28 a is positioned between the printed circuit board 28 and the back wall 26 to provide thermal conductivity for those times when the LEDs are operating. 」
〔和訳〕
「[0015] 少なくとも1つのLED30(好ましくは6)が、長手方向軸14に平行な方向に面する回路基板28上に取り付けられ、回路基板28から軸方向に離れる。熱ガスケット28aは、LEDが動作している時に熱伝導性を提供するために、プリント回路基板28と背面壁26との間に配置されている。」
(2e)
FIG.2は、以下のとおりである。

(3)引用文献3について
引用文献3には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(3a)
「【0017】
本発明の第1の実施形態による半導体光モジュールは、ポット状で実質的に円柱対称のケーシング100を有し、このケーシング100はアルミニウムから構成されており、円形でディスク状の底部101と、この底部101に成形されている側壁102とを有する。側壁102は円筒の外套面に沿って延在している。・・・
【0018】
・・・ほぼ円形ディスク状の実装基板500の縁部はシールリング600用のリング状の載置面114の内面で終わっているので、実装基板500はアースに案内される導体路面およびケーシング底部101ならびにリング状のウェブ114ないしこのウェブ114の上に載置されるシールリング600を用いて空洞部を形成し、この空洞部は障害の原因となる構成部材を包囲し、外部への障害を遮蔽する。したがって半導体光モジュールは最適なEMC特性を示す。
・・・
【0024】
冷却体の性能は実質的に、冷却体が存在する体積においてどのような条件が発生しているかに依存する。強制的な換気が行われている場合には、冷却体を自然対流しか利用することができない場合とは異なる形状に成形することができる。大抵の照明、殊に車両ヘッドライトにおいては、自然対流しか利用できない。車両ヘッドライトは地面の上方でほぼ水平に光を放射するので、半導体光モジュールもヘッドライトにおいてほぼ水平に配向されて取り付けられている。
【0025】
第2の実施形態の第1のヴァリエーションにおいては冷却体がリブ状の構造を有する。冷却体における空気は加熱されているので、下方から上方に向かう自然対流が行われる。したがってこの方式では、その取り付け位置において冷却リブを空気の流れ方向に配向させ、それによって最大の冷却効果をさらに達成するために、モジュールの取り付け位置が既知でなければならない。すなわち、ここでは使用者が取り付け場所の位置を配慮しなければならない。さらには、リブ702によって形成されている流路の内側を流れる空気が冷却体の壁と接触せず、したがって熱をこの壁から排出できない場合も考えられる。これは最大限に考えられる冷却効果を低下させる。図4から見て取れるように、冷却空気はそうでなくても、光放射側とは反対側に成形されているコンタクト722を備えたコネクタソケット720によってその流れが妨害される。」
(3b)
図4は、以下のとおりである。

(4)引用文献4について
引用文献4には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(4a)
「【0001】
この発明は、車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットに関するものである。また、この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。」
(4b)
「【0031】
(車両用灯具100の説明)
・・・
【0032】
前記車両用灯具100は、図19に示すように、ランプハウジング101およびランプレンズ102およびリフレクタ103と、半導体型光源を光源とする光源ユニット、すなわち、この実施例1における車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット1と、前記光源ユニット1の前記半導体型光源の駆動回路2(図8参照)と、を備えるものである。
・・・
【0034】
前記ランプレンズ102は、たとえば、不透過性の部材(例えば、透明樹脂部材やガラス部材)から構成されている。前記ランプレンズ102は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプレンズ102の開口部の周縁部と前記ランプハウジング101の開口部の周縁部とは、水密に固定されている。前記ランプハウジング101および前記ランプレンズ102により、灯室105が区画されている。
・・・」
(4c)
「【0036】
(光源ユニット1の説明)
・・・
【0037】
前記光源ユニット1は、図19に示すように、前記車両用灯具100に装備されている。すなわち、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に防水パッキン(Oリング)108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられている。前記光源部10および前記カバー部12が前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記リフレクタ103の前記透孔106を経て前記灯室105内であって、前記リフレクタ103の前記反射面107側に配置されている。」
(4d)
「【0059】
(ソケット部11の説明)
前記ソケット部11は、図12?図16に示すように、絶縁部材7と、放熱部材8と、3本の給電部材91、92、93と、を備えるものである。熱伝導性と導電性を有する前記放熱部材8と、導電性を有する前記給電部材91?93とは、絶縁性を有する前記絶縁部材7中に、相互に絶縁状態で一体に組み込まれている。
【0060】
(絶縁部材7の説明)
前記絶縁部材7は、たとえば、絶縁性の樹脂部材からなる。前記絶縁部材7は、ほぼ円筒形状をなす。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、取付部70が設けられている。前記取付部70は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備するものである。すなわち、前記取付部70は、前記ソケット部11の前記カバー12側の一部を前記ランプハウジング101の前記透孔104中に挿入して、その状態で、前記ソケット部11を中心O軸回りに回転させることにより、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に前記防水パッキン108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられるためのものである。
【0061】
前記絶縁部材7の他端部(下端部)には、光源側のコネクタ部13が一体に設けられている。前記コネクタ部13には、電源側のコネクタ14が機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に取り付けられている。
【0062】
(放熱部材8の説明)
前記放熱部材8は、たとえば、熱伝導性(導電性をも有する)のアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記放熱部材8は、一端部(上端部)が平板形状をなし、中間部から他端部(下端部)にかけてフィン形状をなす。前記放熱部材8の一端部の上面には、当接面80が設けられている。前記放熱部材8の当接面80には、前記基板3の前記当接面35が相互に当接されている状態で、熱伝導性接着剤(図示せず)により接着されている。この結果、前記発光チップ41?44は、前記基板3を介して前記放熱部材8の中心O近傍部分86が位置する箇所に対応して位置することとなる。
【0063】
前記放熱部材8の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、切欠81、82、83が、前記基板3の前記切欠31?33にそれぞれ対応して設けられている。前記放熱部材8の切欠81?83および前記基板3の前記切欠31?33には、前記3本の給電部材91?93がそれぞれ配置している。前記放熱部材8と前記給電部材91?93との間には、前記絶縁部材7が介在している。前記放熱部材8は、前記絶縁部材7に密着している。前記給電部材91?93は、前記絶縁部材7に密着している。
【0064】
(給電部材91?93の説明)
前記給電部材91?93は、たとえば、導電性の金属部材からなる。前記給電部材91?93の一端部(上端部)は、末広形状をなしていて、前記放熱部材8の切欠81?83および前記基板3の前記切欠31?33にそれぞれ位置する。前記給電部材91?93の一端部は、前記光源部10の前記配線65、61、69にそれぞれ電気的に接続されている。このようにして、前記光源部10は、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられることとなる。なお、前記給電部材91?93の一端部は、前記基板3を前記放熱部材8に機械的に固定する場合もある。
【0065】
前記給電部材91?93の他端部(下端部)は、窄まった形状をなしていて、前記コネクタ部13中に配置されている。前記給電部材91?93の他端部は、オスターミナル(おす型端子)910、920、930を構成するものである。」

(5)引用文献5について
引用文献5には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0046】?【0049】に記載されている。

(6)引用文献6について
引用文献6には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0051】?【0054】に記載されている。

(7)引用文献7について
引用文献7には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(7a)
「【0061】
(ソケット部11の説明)
前記ソケット部11は、図1?図12、図14?図18に示すように、絶縁部材7と、放熱部材8と、3本の給電部材91、92、93と、を備えるものである。熱伝導性と導電性を有する前記放熱部材8と、導電性を有する前記給電部材91?93とは、絶縁性を有する前記絶縁部材7中に、相互に絶縁状態で一体に組み込まれている。
【0062】
(絶縁部材7の説明)
前記絶縁部材7は、たとえば、絶縁性の樹脂部材からなる。前記絶縁部材7は、外径が前記ランプハウジング101の前記透孔104の内径より若干小さいほぼ円筒形状をなす。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、鍔部71が一体に設けられている。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、複数個この例では4個の取付部70が、前記ランプハウジング101の前記凹部109と対応させて、一体に設けられている。
【0063】
前記取付部70は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備するものである。すなわち、前記ソケット部11の前記カバー12側の一部および前記取付部70を前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記凹部109中に図16中の実線上向き矢印方向に挿入する(図14、図16参照)。その状態で、前記ソケット部11を中心O軸回りに図14および図16中の実線矢印方向に回転させて、前記取付部70を前記ランプハウジング101の前記ストッパ部110に当てる。この時点において、前記取付部70と前記鍔部71とが前記防水パッキン108を介して前記ランプハウジング101の前記透孔104の縁部を上下から挟み込む(図14、図16参照)。
【0064】
この結果、前記光源ユニット1の前記ソケット部11は、図18に示すように、前記車両用灯具100の前記ランプハウジング101に前記防水パッキン108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられる。この時点において、図11に示すように、ソケット部11のうちランプハウジング101から外側に突出している部分(図11中の二点鎖線で示されているランプハウジング101よりも下側の部分)がソケット部11のうち灯室105内に収納されている部分(図11中の二点鎖線で示されているランプハウジング101よりも上側の部分)よりも大である。
【0065】
前記絶縁部材7の他端部(下端部)には、光源側のコネクタ部13が一体に設けられている。前記コネクタ部13には、電源側のコネクタ14が機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に取り付けられている。
【0066】
(放熱部材8の説明)
前記放熱部材8は、たとえば、熱伝導性(導電性をも有する)のアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記放熱部材8は、一端部(上端部)が平板形状をなし、中間部から他端部(下端部)にかけてフィン形状をなす。前記放熱部材8の一端部の上面には、当接面80が設けられている。前記放熱部材8の当接面80には、前記基板3の前記当接面35が相互に当接されている状態で、熱伝導性接着剤36により接着されている。この結果、前記発光チップ41?44は、前記基板3を介して前記放熱部材8の中心O(前記ソケット部11の中心O)近傍部分が位置する箇所に対応して位置することとなる。
【0067】
前記熱伝導性接着剤36は、材質として、エポキシ系樹脂接着剤、シリコン系樹脂接着剤、アクリル系樹脂接着剤などからなり、形態として、液状形態、流動状形態、テープ形態などからなる。
【0068】
前記放熱部材8の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、切欠81、82、83が、前記基板3の前記切欠31?33にそれぞれ対応して設けられている。前記放熱部材8の切欠81?83および前記基板3の前記切欠31?33には、前記3本の給電部材91?93がそれぞれ配置している。前記放熱部材8と前記給電部材91?93との間には、前記絶縁部材7が介在している。前記放熱部材8は、前記絶縁部材7に密着している。前記給電部材91?93は、前記絶縁部材7に密着している。
【0069】
(給電部材91?93の説明)
前記給電部材91?93は、たとえば、導電性の金属部材からなる。前記給電部材91?93の一端部(上端部)は、末広形状をなしていて、前記放熱部材8の切欠81?83および前記基板3の前記切欠31?33にそれぞれ位置する。前記給電部材91?93の一端部は、前記光源部10の前記配線6にそれぞれ電気的に接続されている。」

(8)引用文献8について
引用文献8には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0060】?【0066】に記載されている。

(9)引用文献9について
引用文献9には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0044】?【0052】に記載されている。

(10)引用文献10について
引用文献10には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0047】?【0052】に記載されている。

(11)引用文献11について
引用文献11には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0058】?【0064】に記載されている。

(12)引用文献12について
引用文献12には、図面とともに、「ソケット部11」、「絶縁部材7」、「放熱部材8」及び「取付部70」に関する事項が、段落【0049】?【0062】に記載されている。

(13)引用文献13について
引用文献13には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(13a)
「【0001】
本発明は、熱管理用の構造体に関する。より詳しくは、本発明は、モールド成形法を用いて導電性フィラー充填樹脂系材料で製作するヒートシンク並びにそれに関連した放熱デバイスに関し、その導電性フィラー充填樹脂系材料は、モールド成形が完了した時点で、極小の導電性粉体、または極細の導電性ファイバ、またはそれらの混合物が、樹脂材料から成るホスト材料である樹脂ホスト材料の中に均一に分散した状態となっている材料である。この製作方法によれば、EMFスペクトル領域または電子スペクトル領域において有用な導電性部品ないし導電性材料が得られる。」
(13b)
「【0007】
ヒートシンクやヒートパイプなどの構造体を従来は金属材料で製作していたが、そのような製作方法には幾つもの短所が付随していた。それら短所のうちでも特に問題であったのは、金属材料を使用することによって材料コスト及び製造コストが高くつき、その重量も大きなものとなるということであった。また、これらの問題は、金属材料として銅を使用する場合に特に顕著となる。従って、ヒートシンク及び/またはヒートパイプの材料として、金属材料以外の材料を使用することにより、システムのコストを低減し、軽量化するということが、本発明の1つの重要な目的となっている。」
(13c)
「【0019】
本発明は、モールド成形法を用いて導電性フィラー充填樹脂系材料で製作するヒートシンクなどの熱管理デバイスに関するものであり、その導電性フィラー充填樹脂系材料は、モールド成形が完了した時点で、極小の導電性粉体、または極細の導電性ファイバ、またはそれらの混合物が、樹脂材料から成るホスト材料である樹脂ホスト材料の中に均一に分散した状態となっている材料である。
【0020】
本発明における導電性フィラー充填樹脂系材料は、樹脂材料に導電性フィラーを充填することによって、その樹脂材料を、絶縁性材料ではなく導電性材料としたものである。樹脂材料は、モールド成形法を用いて形成する構成部品に、必要とされる強度を付与するための構造材料としての役割を果たすものである。また、モールド成形の工程において、極細の導電性ファイバ、または極小の導電性粉体、またはそれらの混合物が、樹脂材料の中に均一に分散することによって、電気的接続に必要とされる導電性を備えた材料となるようにしたものである。」
(13d)
「【0021】
・・・ヒートシンクないしその他の熱管理デバイスを製作するために使用する成分材料を選定したならば、それら成分材料をモールド成形の工程で均一に混合し、また、その際のモールド成形法としては、射出成形法、オーバーモールド法、熱硬化成形法、押出成形法、等々の方法を用いることができる。・・・」
(13e)
「【0023】
この導電性フィラー充填樹脂系材料は、極小の導電性粉体、または極細の導電性ファイバ、またはそれらの混合物を、樹脂材料の中に充填して成る材料であり、充填された導電性フィラーは、モールド成形の工程において、その樹脂材料の中に均一に分散され、これによって、製作が容易で、低コストで、導電性に優れ、しかも寸法誤差の小さな、構成部品ないし回路を製作することが可能となっている。極小の導電性粉体としては、例えば、カーボンパウダー、グラファイトパウダー、それにアミンパウダーなどの粉体、及び/または、ニッケル、銅、銀、それにメッキ粉体などの金属粉体を用いることができる。」
(13f)
「【0031】
・・・導電性粒体34ないし導電性ファイバ38として用いる導電性材料は、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、それに銀などの適当な金属材料などとすればよく、また、その他の導電性を有する適当なファイバ状の材料なども使用でき、2種類以上の材料を組合せて使用するようにしてもよい。そして、そのような導電性粒体や導電性ファイバを樹脂ホスト材料の中に均一に分散させるようにする。・・・」
(13g)
「【0036】
・・・図9は、ヒートシンクを製作するための第1の好適な実施の形態に係る方法として、ヒートシンク126を製作する射出成形工程120を示した簡略化した模式図である。成形型は上型122と下型124とを含んでいる。成分材料の配合を完了した導電性フィラー充填樹脂系材料を、注入開口128からモールドキャビティ125の中へ注入し、モールドキャビティ125に隙間なく充填したならば、注入開口128のバルブ130を閉じる。この注入が完了した時点で、樹脂ホスト材料の中に導電性フィラーが均一に分散した状態となっており、それを熱反応によって硬化させる。硬化が完了したならば、上型58と下型54とを分離して完成した導電性ヒートシンク126を取出す。」
(13h)
【0040】
・・・ヒートシンク304は、一群の発光素子314から熱を除去するために使用されており、それら一群の発光素子314は、発光ダイオード(LED)デバイスである。・・・」

(14)引用文献14について
引用文献14には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(14a)
「【0001】
本発明は、発光素子(LED素子、レーザーダイオード、EL素子等)、能動受光素子(CCD等)、中央演算装置(CPU)、画像演算装置(MPU)、インバータ素子(IGBT、FET等)、モーター類、ヒーター素子等、発熱を伴うデバイス類の実装された機器、器具等の放熱対策として用いられる放熱構造体に関するものである。」
(14b)
「【0009】
本発明は熱伝導層と、この内側に設けられ、最内面側に3次元形状賦型層を有する内皮層とを含む放熱構造体である。以下、本発明の実施の形態について順次詳述する。」
(14c)
「【0025】
[内皮層]
本発明の放熱構造体における内皮層は、3次元形状賦型層を含み、3次元形状を構成する突起部分を除いた部分、および3次元形状を有さない部位はベース層とする。内皮層は、放熱構造体の内部空気層、機器構成部品及び発熱体から受け取った熱を外部空気等へ効率的に逃がすために、熱伝導率の高い層であることがより好ましく、好ましくは層内の少なくとも一方向における熱伝導率は2W/m・K以上であることが好ましい。より好ましくは5W/m・K以上、更に好ましくは15W/m・K以上である。図15の例のように、内皮層が、熱伝導層と同一材料とすることも好ましい。その場合は内皮層と熱伝導層とが一体成形されることが好ましい。」
(14d)
「【0033】
本発明の放熱構造体は単一材料により一体成形することが好ましく、特に3次元形状を内面に刻印した金型を用いた金型成形(特に射出成形、ダイキャスト成形)により、生産性良く作製することが好ましいが、必要に応じて、3次元形状賦型層を含む内皮層のみ異なる材料で成形した上で一体化させることも可能である。一体化させる方法としては、インサート成形、熱伝導接着剤による接着等による方法が好ましい。」
(14e)
「【0045】
[熱伝導性樹脂組成物]
本発明の放熱構造体の熱伝導層もしくは内皮層の成形に好適な熱伝導性樹脂組成物としては、マトリクス樹脂100体積部に対し、熱伝導性フィラーの含有量が10?200体積部である樹脂組成物が好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が10体積部未満だと高い熱伝導性が得られ難い。逆に熱伝導性フィラーの含有量が200体積部を超えると、熱伝導性フィラーを樹脂に分散させ、均一な熱伝導性樹脂組成物を得るのが困難になりやすく、また樹脂の流動性が不十分となりやすい。熱伝導フィラーの含有量は好ましくは20?100体積部である。
【0046】
熱伝導性フィラーとマトリクス樹脂との混合は、単軸型の溶融混練装置、二軸型の溶融混練装置等の公知の溶融混練装置を用いて実施できる。
熱伝導性フィラーとしては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛などの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸窒化物、炭化珪素などの金属炭化物、金、銀、銅、アルミニウムなどの金属もしくは金属合金、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、ダイヤモンドなどの炭素材料などが挙げられ、2種類以上併用することも可能である。
【0047】
熱伝導樹脂組成物の熱伝導率を高めるにはピッチ系黒鉛化短繊維を用いるのが好ましく、・・・」
(14f)
「【0056】
なお、熱伝導樹脂層を前述の熱伝導性炭素繊維(特にピッチ系黒鉛化短繊維)を含む熱伝導樹脂組成物を用いて射出成形する場合には、樹脂射出金型におけるゲート部を、放熱の対象となる発熱体(発熱デバイス等)近傍に配置することが好ましい。すなわち熱伝導性炭素繊維の配向方向は熱伝導樹脂組成物の流動方向と一致する為、発熱体近傍にゲートを設けることで、発熱体の放熱方向と熱伝導性炭素繊維の配向方向(熱伝導樹脂の熱伝導率が最大となる方向)をほぼ一致させることができ、より効率的な放熱が可能となる場合がある。」

(15)引用文献15について
引用文献15には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(15a)
「【0001】
本発明は、自動車のヘッドランプやリヤコンビネーションランプ等に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドランプ等の車両用灯具の光源として、発光ダイオード(LED)などの自発光半導体型光源が用いられている。
・・・
【0025】
リフレクタ20Bはリフレクタ20Aに対して1回り小さく形成されていて、水平平板部25Bが水平平板部25Aよりも上方位となるように上下方向にずれた配置とされている(図1,図2参照)。」

(16)引用文献16について
引用文献16には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(16a)
「〔発明の効果〕
本発明では,金属製平面板の上に平行に植立された複数枚のフィンの間に冷却用流体が流れる方向に対して,その後方に乱流が発生するような角度で矩形平板を設けたので,フィン間を流れる冷却用流体に乱流が発生し,これにより,熱伝達量が大きくなり,強制冷却用ヒートシンクの放熱特性が向上する。」(明細書4頁右上欄11?18行)

(17)引用文献17について
引用文献17には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(17a)
「【0012】
図1及び図2には、第1実施例に基づく照明装置が示されている。この照明装置は、円盤形の組込み面10と、それぞれ平行に延びる複数の冷却リブ11,12,13,14,15,16とを備えた冷却体1を有しており、前記冷却リブ11,12,13,14,15,16は、組込み面10に対して垂直方向で延びている。冷却体1は、一体のアルミニウムダイカスト部品として形成されている。冷却体1の外側輪郭は、冷却リブ11?16と係止舌片17,18,19との間の中空室を別にすると、ほぼ円筒の外側輪郭に対応している。前記係止舌片17,18,19は、照明装置と車両用ヘッドライトとの間のバヨネットロックの構成部材である。3つの係止舌片17,18,19は、等間隔で円筒形の組込み面10の外周面に沿って120度の間隔をあけて配置されている。係止舌片17,18,19は半径方向外側に向けられている。2つの係止舌片17,18は同じ形状を有しているが、第3の係止舌片19の中心を通って延びる組込み面10の直径に関して鏡像対称的に配置されている。係止舌片19は、車両用ヘッドライトにおける照明装置の一義的な配向及び組込み位置を保証するために、第1の係止舌片17及び第2の係止舌片18とは異なる形状を有している。外側に配置された2つの冷却リブ11,16は、バヨネットロックの作動に際してより良好なグリップを保証するために、それぞれその外側の表面に成形部11a;16aを有している。係止舌片19に隣接して組込み面10は、バヨネットロックの回転運動の軸線に対して垂直方向で作用する側方の圧着ばね103を組み込むためのスペースを得るために、凹部102を有している。前記圧着ばね103は、係止舌片19とばねリング101との間に配置されている。当該圧着ばね103は、図1では係止舌片19に隠れている。
【0013】
冷却体1の組込み面10には、合計5つの発光ダイオードチップ3(LEDチップとも云う)のための、例えば「メタルコア回路基板」等の支持体プレート2が位置固定されている。前記メタルコア回路基板2は、例えばセラミック製の電気的な絶縁材が設けられたメタルプレートである。メタルコア回路基板2の電気的な絶縁材には、LEDチップ3を電気的に接触接続させるための複数の導体路21が配置されている。支持体プレート若しくはメタルコア回路基板2は、金属の冷却体1とLEDチップ3との間の電気的な絶縁を保証する。支持体プレート2は例えば機械的に、プレス嵌めによって冷却体1の切欠きに係止されているか、或いは係止継ぎ手又は接着剤を用いて冷却体1の組込み面10に係止されている。冷却体1の組込み面10において支持体プレート2を位置調整し且つ正しい位置で組み込むためには、例えば2つの孔が組込み面10に設けられていてよく、これらの孔には、支持体プレート2の下面に設けられた、正しく適合するように成形された各1本のピンが係合する。前記孔は、係止舌片17?19に関する支持体プレート2の位置調整及び組込み位置を規定することもできる。・・・」
(17b)
「【0016】
図3には、図1、図2、図5及び図6に示した本発明による照明装置の実施例のための保持部30が概略的に示されている。この保持部30は、車両用ヘッドライトの構成部材であり、例えば車両用ヘッドライトのリフレクタの光出射開口とは反対の側の、車両用ヘッドライトリフレクタの背面側に位置している。例えば、前記リフレクタの背面側には図3に示した組込み開口300を有する保持部30が設けられていてよい。・・・所定の回転運動で以て照明装置は区分30に対して約1/4回転だけ回動され、これにより、係止舌片19は傾斜路305を越えて滑動され且つストッパ304に当接する。このストッパ304は、ねじ込み方向での更なる回動運動を阻止する。・・・」

(18)引用文献18について
引用文献18には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(18a)
「【0001】
この発明は、車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットに関するものである。また、この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。」
(18b)
「【0040】
(放熱部材8の説明)
前記放熱部材8は、前記光源部材10で発生する熱を外部に放射させるものである。前記放熱部材8は、たとえば、熱伝導性(導電性をも有する)のアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記放熱部材8は、図1?図5、図9?図14に示すように、径が前記ランプハウジング101の前記透孔104の径よりも小さい円柱形状をなしていて、一端部(上端部)が平らな円板形状をなし、中間部から他端部(下端部)にかけての部分82がフィン形状をなす。
【0041】
前記放熱部材8の一端部(上端部)には、複数個この例では4個の取付部70が、前記ランプハウジング101の4個の前記凹部109と対応させて、一体に設けられている。前記放熱部材8の中間部には、円環状の鍔部81が一体に設けられている。前記取付部70および前記鍔部81は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に、着脱可能にあるいは固定的に取り付けるためのものである。
・・・
【0045】
(基板3の説明)
絶縁部材としての前記基板3は、この例では、セラミックからなる。前記基板3は、図1?図4、図9?図14に示すように、平面(上)から見て円形の板形状をなす。前記基板3の一面(上面)には、平面の取付面34が設けられている。前記基板3の他面(下面)には、平面の当接面35が設けられている。なお、高反射部材のセラミック製の前記基板3の取付面34に、さらに高反射塗料や高反射蒸着などの高反射面30を設けても良い。前記基板3の前記取付面34には、前記光源部材10が取り付けられている(すなわち、実装、印刷、焼成、蒸着などにより、設けられている)。」
(18c)
図16は、以下のとおりである。

(19)引用文献19について
引用文献19には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(19a)
「【0021】
また、放熱フィンは、片面又は両面を平坦面とするか又は曲面とした板状としても良く、加工の容易な樹脂材にて板状の放熱フィンを多く形成したり、曲面を多く形成する事により、板状放熱フィンの伝熱面積を増大させる事ができる。
【0022】
また、ピン状、板状、その他の放熱フィンの表面に、微細な凹凸や突起を設ければ、伝熱面積の更なる増大が可能となるし、放熱性も向上し、効率的な熱交換が可能となる。また、樹脂材では、このような微細な凹凸や突起でも容易に設ける事ができる。
【0023】
このように、金属材では困難な複雑な形状や凹凸や突起を設けた放熱フィンであっても、樹脂材では容易に成形可能で、放熱フィンの伝熱面積を増大させて、樹脂材製の伝熱面であっても、金属材製の伝熱面と同等若しくはそれ以上の優れた放熱特性を有するものとなり、熱交換性能に優れ、特に軽量なヒートシンクを得る事が可能で、ヒートシンクの小型化も可能となる。」
・・・
【0044】
尚、上記各実施例に於いて、ヒートシンク(1)の基板(2)と放熱フィン(3)及び/又は樹脂材製としたヒートパイプ(5)及び/又は樹脂材製とした受熱体(6)には、これらを形成する樹脂材に、熱伝導性の高い銅、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属材の粒子や繊維、ガラス材の粒子や繊維、カーボン材の粒子や繊維等を含有させたり、その表面に金属材の粉末等を混合した塗料を塗布したり、金属材をめっき或いは蒸着等させても良い。」

(20)引用文献20について
引用文献20には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(20a)
「【0012】(1)本実施の形態のLED照明装置において、放熱固定板1は例えば金属からなり、下面に複数の放熱用のフィン1aが互いに平行に形成され、樹脂ケース3の底部にそのフィン1aが樹脂に埋め込まれるように設けられている。尚、放熱固定板1の上面には、基板4の下面が接するように設けられている。
(2)また、発光ダイオード5の光放出部を除いて、基板4の上面を覆うように、例えば金属からなる放熱カバー2を設け、該放熱カバー2は基板4の周りで放熱固定板1と面接触するように固定されている。この放熱カバー2は、発光ダイオード5で発生する熱を放熱固定板1に伝達する機能を有し、これにより、発光ダイオート5で発生した熱は、放熱カバー2を介する第1の経路と、基板4を介する第2の経路の2つの経路で放熱固定板1に伝達されるので、より効果的に発光ダイオード5で発生した熱を放熱固定板1に伝達することができる。尚、本明細書において、上面又は下面というときの上とはLED照明装置の光を放出する側(前方)に位置する面をいう。
・・・
【0017】さらに、本実施の形態のLED照明装置では、放熱固定板1はフィン1aが樹脂ケース3の底部に埋め込まれるように樹脂ケース成形用の樹脂と一体成形されているので、アンカー効果により放熱固定板1を樹脂ケース3の底面に強固に固定できる。また、本実施の形態のLED照明装置では、放熱固定板1と放熱カバー2により、発光ダイオードが搭載された基板を挟み込むように固定しているので、振動による基板のずれ及び脱落を防止でき、耐振動性を向上させることができる。これにより、例えば、信号灯のように常に振動にさらされる場所に設置される用途に使用された場合にも、高い信頼性が得られる。
・・・
【0020】以下、本発明に係る変形例について説明する。
変形例1.図7は、本発明に係る変形例1のLED照明装置の部分断面図である。この変形例1のLED照明装置は、樹脂ケース3の底部において隣接するフィン1aの間にそれぞれ対応して凹部3aが形成されていることを特徴とし、これにより、樹脂ケース3の底部の外表面の表面積を大きくでき、その外表面から効率的に熱を放出できる。すなわち、本変形例1では樹脂ケース3の底部(外表面)に放熱固定板1の凹凸に対応するように凹凸を形成し、外気に熱を放出するための主要な部分である樹脂ケース3の底部の外表面の表面積を大きくして、熱の放出効果をより向上させている。」

2-1-2 対比・判断
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と引用発明とを対比する。
(ア)本件発明1の「光源」と引用発明の「LED」について
a
引用発明の「LEDモジュール4」及び「複数のLED素子」は、それぞれ、本件発明1の「光源部」及び「半導体型光源の発光チップ」に相当する(以下「LEDモジュール4」は、「光源部」ともいう。)。
b
上記(a)を踏まえると、引用発明の「LEDモジュール4は、基板7の中央部に、複数のLED素子を内蔵し、レンズを一体形成した発光体8を保持した構造であ」ることは、本件発明1の「光源部は、半導体型光源の発光チップを有し」た構造であることに相当する。
c
引用発明の「ヒートシンク1の受熱面5にLEDモジュール4を接合して構成される自動車用LEDヘッドランプ」は、車両用灯具として用いられることが明らかであることから、本件発明1の「車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット」に相当する。

(イ)本件発明1の「ソケット部」と引用発明の「ヒートシンク1」について
a
引用発明の「ヒートシンク1」は、「受熱面5にLEDモジュール4を接合して」いるから、「光源部が取り付けられている」といえる。
したがって、引用発明の「ヒートシンク1」は、「光源部が取り付けられている」という意味に限り「ソケット部」といえるから、引用発明の「ヒートシンク1」と本件発明1の「ソケット部」とは、「光源部が取り付けられているソケット部」の限度で共通している。
b
引用発明の「ヒートシンク本体2」は、「熱伝導性樹脂で成形され」ているから、熱伝導樹脂部材から構成されているといえる。
引用発明において、「良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3は、ヒートシンク本体2の凹部を有する板状部分に挿入され、基板7が接合されるLEDモジュール4側の面と、凹部を有する板状部分の凹部の底面に接合する面とを備え」ているから、「LEDモジュール4」で発生する熱は、「熱伝達板3」を介して、熱伝導樹脂部材から構成されている「ヒートシンク本体2」(ヒートシンク本体2の凹部を有する板状部分及び複数のフィン6)等から外部に放射されることが構造上明らかであり、引用発明の「ヒートシンク本体2」は、本件発明1の「光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材」に相当する。
c
上記a及びbを踏まえると、引用発明の「ヒートシンク1」は、「ヒートシンク本体2と良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3とから構成され」、「ヒートシンク本体2は、熱伝導性樹脂で成形され」ることと、本件発明1の「前記ソケット部」は、「前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材と、 前記光源部と電気的に接続されていて、前記光源部に給電する給電部材と、少なくとも前記給電部材の一部を外装して、前記熱伝導樹脂部材と前記給電部材とを相互に絶縁状態で組み込む絶縁部材と、から構成されてい」ることとは、「前記ソケット部」は、「前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材から構成されてい」ることの限りで共通している。

(ウ)本件発明1の「天板部」と引用発明の「ヒートシンク本体2」について
a
引用発明の「凹部空間以外の平面を含むLEDモジュール4の基板7が設置される一面」には、「LEDモジュール4」が取り付けられているといえる。
したがって、引用発明の「インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(凹部を有する板状部分)」は、本件発明1の「一面に前記光源が取り付けられている天板部」に相当する。
b
引用発明の「凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6」の構成は、「複数のフィン6」が「凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている」から、フィン6とフィン6との間が空隙となっている構成も備えているといえる。
したがって、上記aも踏まえると、引用発明の「凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6」の構成は、本件発明1の「天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し」ている構成に相当する。
c
上記a、b及び(ア)bを踏まえると、引用発明の「ヒートシンク本体2は、熱伝導性樹脂で成形され、インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(凹部を有する板状部分)と、凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6とから構成され、凹部空間以外の平面を含むLEDモジュール4の基板7が設置される一面を備え」える構成と、本件発明1の「前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて、一面に前記光源が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し、前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致する」構成とは、「前記熱伝導樹脂部材は、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し」ている構成の限りで共通する。

以上から、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
「車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットにおいて、
光源部と、前記光源部が取り付けられているソケット部と、を備え、
前記光源部は、半導体型光源の発光チップを有し、
前記ソケット部は、
前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材から構成されていて、
前記熱伝導樹脂部材は、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有している、
車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。」
<相違点1>
「光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材から構成されて」いる「光源部が取り付けられているソケット部」に関して、本件発明1は、前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材と、「前記光源部と電気的に接続されていて、前記光源部に給電する給電部材と、少なくとも前記給電部材の一部を外装して、前記熱伝導樹脂部材と前記給電部材とを相互に絶縁状態で組み込む絶縁部材と、から構成されて」いるのに対して、引用発明は、「ヒートシンク1」から構成されているが、かかる給電部材及び絶縁部材については特定されていない点。
<相違点2>
「熱伝導樹脂部材」に関して、本件発明1は、「前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて」、「前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致する」ものであるのに対して、引用発明は、「ヒートシンク本体2」は、「熱伝導性樹脂で成形され、インサート成形によって熱伝達板3が挿入された凹部を一面側の中央に有する板状の部分(凹部を有する板状部分)と、凹部を有する板状部分の他面から列設した形状に形成されている複数のフィン6とから構成され」、「前記熱伝導性樹脂は、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂をマトリックス成分とし、金属、無機物、カーボン繊維、グラファイトから選ばれた1種又は2種以上の充填材を含有した熱伝導率0.5W/m・K以上のものであ」る点。
<相違点3>
本件発明1は、「前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」のに対して、引用発明は、そのように特定されていない点。

イ 判断
事案に鑑み、相違点3について以下検討する。
(ア)
上記相違点3に係る本件発明1の構成(特に、「前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成、すなわち、「熱伝導樹脂部材」が「有し」ている「光源ユニットを車両用灯具に装備するための」「取付部」について、「取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に配置される」構成)が、引用文献2?20に記載されているか否かついて検討する。
(イ)
a
引用文献2、3、13?17、19及び20には、本件発明1の「熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し」ている構成は、記載されていない。
また、引用文献2、3、13?17、19及び20には、本件発明1の「板状に形成された金属体」に相当する部材は記載されていない。
したがって、引用文献2、3、13?17、19及び20には、本件発明1の「熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち光源部側の一面である金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成は記載されていない。
b
引用文献7の「取付部70」は、「絶縁部材7の一端部(上端部)に」「一体に設けられている」から、本件発明1の「熱伝導樹脂部材」に対応している「放熱部材8」が有しているものではない。
また、引用文献7には、本件発明1の「板状に形成された金属体」に相当する部材は記載されていない。
引用文献7のフィン形状をなす「熱伝導性」の「樹脂部材からなる」「放熱部材8」及び「絶縁部材7」は、それぞれ、本件発明1の「光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材」及び「絶縁部材」に対応するものであり、これらが、本件発明1の「板状に形成された金属体」に対応しているとはいえない。
引用文献7の「放熱部材8」は、「アルミダイカスト」でもよいから、これを根拠として金属板であると解すると、本件発明1の「熱伝導樹脂部材」に対応する部材が存在しなくなってしまうし、そもそも、引用文献7の「取付部70」は、上記のとおり熱伝導樹脂部材が有するものでない。
そうすると、引用文献7には、「熱伝導樹脂部材」が「有し」ている「取付部」と「板状に形成された金属板」との位置関係に関する構成は、記載されていない。
引用文献4?6及び8?12についても、同様のことがいえる。
したがって、引用文献4?12につても、上記aの事項が該当し、引用文献4?12には、本件発明1の「熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち光源部側の一面である金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成は記載されていない。
c
引用文献18の「樹脂部材からなる」「放熱部材8の一端部(上端部)には」、「光源ユニット1を」「車両用灯具100に、着脱可能にあるいは固定的に取り付けるためのものである」「取付部70が」「一体に設けられている」構成は、本件発明1の「熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し」ている構成に相当する。
しかしながら、引用文献18には、本件発明1の「板状に形成された金属体」に相当する部材は記載されていない。
したがって、引用文献18には、本件発明1の「熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち光源部側の一面である金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成は記載されていない。
(ウ)
上記(イ)のとおり、引用文献2?20には、本件発明1の「前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成、すなわち、上記相違点3に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。
そうすると、本件発明1の「取付部」に対応する部材が、ソケット部材の上端側に位置していることが周知技術である(引用文献4?12、17及び18)といえたとしても、当該周知技術を引用発明に適用した際に、引用発明において、「良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3」すなわち板状に形成された金属体と、取付部との関係を具体的に特定し、上記相違点3に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者であっても容易になし得たとはいえない。
(エ)
そして、本件発明1は、上記相違点3に係る本件発明1の構成を備えることにより、「樹脂の流れ方向が」、「天板部80の面方向とほぼ一致する」ものとなり、この結果、「放熱効率を向上させる」こともできるものであり(本件明細書の段落【0063】及び【0064】)、格別の作用効果を奏するといえる。
(オ)
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び引用文献2?20に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(2)本件発明2?12について
本件発明2?12は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものであるから、本件発明1と同様に、引用発明及び引用文献2?20に記載された技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)特許異議申立人の主張について
ア 主張
令和1年6月3日付けの意見書において、特許異議申立人は、「『板状に形成された金属体』と、『取付部』との位置関係、すなわち、『前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される』は、例えば、甲第7号証、甲第8号証などから明らかなように慣用技術に過ぎません。」と主張している。

イ 検討
上記の意見書に添付された参考文献1(特開2009-289750号公報)及び参考文献2(特表2008-524862号公報)にも、引用文献1?20(甲第1?20号証)にも、板状に形成された金属体と取付部の両方の構成を備えることは記載されておらず(上記(1)イ(イ)も参照)、示唆もされていない。
したがって、上記(1)イ(ウ)で述べたとおり、引用発明に取付部を設ける際に、「良熱伝導体金属又は炭素材料からなる熱伝達板3」すなわち板状に形成された金属体と、取付部との関係を具体的に特定して、「前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、前記取付部の上端面は、板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である前記金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に位置される」構成を含む、相違点3に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者が容易になし得たとはいえない。
さらに、補足すると、熱伝導樹脂部材に限らなければ、取付部をソケット部の端部やその近傍に設けたもので、取付部の上端面が発光チップが設けられた基板より上側であるものは周知技術(引用文献7、17及び18等)といえるが、それらに板状に形成された金属体を設けた場合も、本件発明1のような位置関係となるのか否かは不明であるし、参考文献2の図7及び図8を参照すると、取付部を設ける場合に、取付部がソケット部の一部となるとも限らないことから、引用発明において、熱伝導樹脂部材が取付部を有するようにして、さらに、その取付部と、「熱伝達板3」すなわち金属体との関係を、相違点3に係る本件発明1の構成のようにすることは、当業者が容易になし得たとはいえない。
したがって、上記アの主張は採用できない。

2-2 申立理由2(特許法第36条第4項第1号)、申立理由3(特許法第36条第6項第1号)及び申立理由4(特許法第36条第6項第2号)について
(1)
本件発明1は、令和1年8月8日の訂正により、多岐的な記載が「炭素繊維」に限定され(上記第2 2(1)参照)、「炭素繊維の長手方向」となったから、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、かつ、発明の詳細な説明にその発明を当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されている。
熱の伝導方向は、完全に一方向に特定されるものではなく、「炭素繊維の長手方向」と「熱の伝導方向」とが完全に一致するとまではいえないから、本件発明1の「ほぼ一致」は、妥当な記載であり、明確である。
したがって、本件発明1は、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、かつ、発明の詳細な説明にその発明を当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されている。
(2)
本件発明11は、「射出形成」に係る構成を備えるが、令和1年8月8日の訂正により、「グリース」に係る構成を備える本件発明4を引用しないものとなったから、「射出形成」に係る構成(インサート成形)と、「グリース」に係る構成とが矛盾することはない。
したがって、本件発明11は、明確であり、発明の詳細な説明に記載されており、かつ、発明の詳細な説明にその発明を当業者が実施し得る程度に明確かつ十分に記載されている。
(3)
本件特許の発明の詳細な説明には、「この実施形態1における光源ユニット1および車両用灯具100は、金属体2のうち少なくとも熱伝導樹脂部材8に接触する面21には、プレス加工と同時に行われる粗さ加工により、微小凹凸(図8参照)が設けられていて、金属体2が熱伝導樹脂部材8にインサート成形されていて、熱伝導樹脂部材8が炭素繊維を含有する樹脂の射出成形品から構成されている。この結果、金属体2の接触面21の微小凹凸に、熱伝導樹脂部材8を成形する樹脂の炭素繊維が絡み付いて、いわゆる、アンカー作用により、金属体2の接触面21と熱伝導樹脂部材8の天板部80との密着性が向上され、放熱効率が向上される。特に、ゲートG1、G2、G3の位置を図4に示す位置にすることにより、熱伝導樹脂部材8を成形する炭素繊維を含有する樹脂の流れ方向(図4中の破線矢印方向)が、天板部80において天板部80の面方向(図4中の破線矢印方向とほぼ直交する方向)とほぼ一致するので、炭素繊維が接触面21の微小凹凸にさらに絡み付き易くなり、さらに、アンカー作用が作用して、密着性と放熱効率とがさらに向上される。これにより、熱伝導樹脂部材8の小型化すなわち光源ユニット1の小型化を図ることができる。」(段落【0096】)と記載されており、本件発明11の「微小凹凸」は、粗さ加工により設けられ、樹脂の炭素繊維が絡み付く程度の微小凹凸であると理解できるから、その技術的意義及び構成は明確であり、傷やうねりが該当しないことは明らかであり、発明の詳細な説明に記載されている事項である。
したがって、本件発明11は、明確であり、かつ、発明の詳細な説明に記載されている。
(4)
本件特許の発明の詳細な説明には、「この実施形態1における光源ユニット1および車両用灯具100は、熱伝導樹脂部材8がソケット部11の外装部分を形成し、熱伝導樹脂部材8の外面、すなわち、フィン部85、基板保護壁84、鍔部86、取付部87、コネクタ嵌合部800の外面には、小凹凸804が設けられている。この結果、熱伝導樹脂部材8の外面、すなわち、フィン部85、基板保護壁84、鍔部86、取付部87、コネクタ嵌合部800の小凹凸804により、図10中の実線矢印に示すように、乱流が発生する。その乱流の発生に伴って、天板部80からフィン部85、基板保護壁84、鍔部86、取付部87、コネクタ嵌合部800に伝達される熱は、そのフィン部85、基板保護壁84、鍔部86、取付部87、コネクタ嵌合部800の外面から外部に効率良く放射(輻射)される。また、熱伝導樹脂部材8の外面の小凹凸804により、放射(輻射)面積が増して、その分、熱が効率良く外部に放射(輻射)される。これにより、熱伝導樹脂部材8の小型化すなわち光源ユニット1の小型化を図ることができる。」(段落【0100】)と記載されており、本件発明7の「小凹凸」は、乱流が発生する程度の小凹凸であると理解できるから、その技術的意義及び構成は明確であり、発明の詳細な説明に記載されている事項である。
したがって、本件発明7は、明確であり、かつ、発明の詳細な説明に記載されている。
(5)
よって、申立理由2、申立理由3及び申立理由4は採用できない。

第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1?12に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1?12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットにおいて、
光源部と、前記光源部が取り付けられているソケット部と、を備え、
前記光源部は、半導体型光源の発光チップを有し、
前記ソケット部は、
前記光源部で発生する熱を外部に放射させる熱伝導樹脂部材と、
前記光源部と電気的に接続されていて、前記光源部に給電する給電部材と、
少なくとも前記給電部材の一部を外装して、前記熱伝導樹脂部材と前記給電部材とを相互に絶縁状態で組み込む絶縁部材と、
から構成されていて、
前記熱伝導樹脂部材は、炭素繊維を有する熱伝導性樹脂の射出成形品から構成されていて、一面に前記光源部が取り付けられている天板部を有し、かつ前記天板部の他面から突出する複数のフィン部と空隙とを有し、
前記熱伝導樹脂部材は、前記複数のフィン部において当該複数のフィン部に含まれる前記炭素繊維の長手方向と前記複数のフィン部の突出方向とがほぼ一致し、前記天板部において当該天板部に含まれる前記炭素繊維の長手方向が前記天板部の面方向とがほぼ一致することにより、前記熱伝導性樹脂部材に含まれる前記炭素繊維の長手方向と熱の伝達方向とがほぼ一致し、
前記天板部には、板状に形成された金属体が埋設され、
前記熱伝導樹脂部材は、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部を有し、
前記取付部の上端面は、前記板状に形成された金属体のうち前記光源部側の一面である金属側当接面とは反対側の端面よりも上位に配置される
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項2】
前記熱伝導樹脂部材は、前記天板部と前記フィン部との付根部分のうち車両に搭載された状態における鉛直方向の上部に、前記天板部の面方向に対して前記フィン部の突出方向に傾斜する傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項3】
前記熱伝導樹脂部材には、一面に前記光源部が取り付けられている天板部が設けられていて、
前記天板部には、金属体が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項4】
前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にグリースを介して密着した状態で固定されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項5】
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記コネクタ部の上部には、光源ユニットが装備されている車両用灯具を車両に装備した際に、垂直方向に位置するフィン部と上部が開口している空隙とが配置されていて、
前記コネクタ部の側部には、光源ユニットが装備されている車両用灯具を車両に装備した際に、垂直方向に位置するフィン部と上下に貫通する空隙とが配置されている、
ことを特徴とする請求項1?4のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項6】
前記熱伝導樹脂部材は、前記ソケット部の外装部分を形成し、
前記熱伝導樹脂部材には、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1?5のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項7】
前記熱伝導樹脂部材は、前記ソケット部の外装部分を形成し、
前記熱伝導樹脂部材の外面には、小凹凸が設けられている、
ことを特徴とする請求項1?6のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット。
【請求項8】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、複数の前記フィン部のうち、前記光源部が取り付けられている側と反対側の面の中心もしくはその近傍に位置し、
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記ゲートが位置する前記フィン部のうち、前記コネクタ部に連なる部分が切除されている、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項9】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材の前記天板部の一面には、前記光源部を包囲する環状形状の保護壁が設けられていて、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、前記保護壁の端面の一直線もしくはほぼ一直線上の2箇所に位置する、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項10】
請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材には、光源ユニットを車両用灯具に装備するための取付部が設けられていて、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、前記取付部の端面の一直線もしくはほぼ一直線上の2箇所に位置する、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項1、2、及び3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法であって、
前記熱伝導樹脂部材を射出成型する工程を含み、
前記熱伝導樹脂部材を射出成形する際の成形金型のゲートは、複数の前記フィン部のうち、前記光源部が取り付けられている側と反対側の面の中心もしくはその近傍に位置し、
前記ソケット部には、前記熱伝導樹脂部材の一部と前記給電部材の一部とから構成されている光源側のコネクタ部が設けられていて、
前記ゲートが位置する前記フィン部のうち、前記コネクタ部に連なる部分が切除されており、
前記天板部には、金属体が設けられており、
前記金属体のうち少なくとも前記熱伝導樹脂部材に接触する面には、微小凹凸が設けられており、
前記金属体は、前記熱伝導樹脂部材にインサート成形されている、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法。
【請求項12】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されている前記請求項1?7のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットと、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-10 
出願番号 特願2012-122424(P2012-122424)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (F21S)
P 1 651・ 537- YAA (F21S)
P 1 651・ 121- YAA (F21S)
最終処分 維持  
前審関与審査官 柿崎 拓石井 孝明  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 中村 泰二郎
出口 昌哉
登録日 2017-07-14 
登録番号 特許第6171270号(P6171270)
権利者 市光工業株式会社
発明の名称 車両用灯具の半導体型光源の光源ユニット、車両用灯具の半導体型光源の光源ユニットの製造方法、及び車両用灯具  
代理人 酒井 宏明  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 酒井 宏明  

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