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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  G02B
審判 全部申し立て 2項進歩性  G02B
管理番号 1356803
異議申立番号 異議2018-700776  
総通号数 240 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2019-12-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-09-27 
確定日 2019-09-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6302650号発明「硬化性樹脂組成物、これを用いた、色素含有層の形成方法、イメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6302650号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?11、14?30〕、〔12、13〕について訂正することを認める。 特許第6302650号の請求項1,2、4?6、9?30に係る特許を維持する。 特許第6302650号の請求項3、7、8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6302650号の請求項1?30に係る特許についての特許出願は、平成25年11月27日(優先権主張 平成24年11月30日)に出願されたものであって、平成30年3月9日に特許権の設定の登録がされたものである。
本件特許について平成30年3月28日に特許掲載公報が発行されたところ、発行の日から6月以内である平成30年9月27日に、特許異議申立人 石井良夫(以下「特許異議申立人」という。)から特許異議の申立て(異議2018-700776号)がされた。
その後、平成30年11月27日付けで取消理由が通知され、平成31年1月25日に特許権者による意見書の提出及び訂正の請求がなされ、同年3月7日付けで特許異議申立人による意見書の提出がなされ、同年3月29日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、令和元年5月30日に特許権者による意見書の提出及び訂正の請求(以下、当該訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。)がなされ、同年7月8日に特許異議申立人による意見書の提出がなされた。

なお、平成31年1月25日になされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされる。


第2 訂正の適否についての判断

1 訂正の趣旨
本件訂正請求の趣旨は、「特許第6302650号の明細書、特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?30について訂正することを求める。」というものである。

2 訂正の内容

(1)請求項1-11、14-30に係る訂正について

ア 訂正の内容
本件訂正のうち、請求項1-11、14-30に係る訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正された箇所に下線を付した。

(ア)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。」
と記載されているのを、
「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記色素が、ピロロピロール色素又は銅錯体であり、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。」
に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項2、9?11、14、17?30についても同様に訂正する。)。

(イ)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(ウ)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に
「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
前記色素が、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。」
と記載されているのを、
「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
前記色素が、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。」
に訂正する(請求項4の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項5、6、9?11、14?30についても同様に訂正する。)。

(エ)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6に
「請求項3?5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。」
と記載されているのを、
「請求項4又は5に記載の硬化性樹脂組成物。」
に訂正する(請求項6の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項9?11、14?30についても同様に訂正する。)。

(オ)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(カ)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8を削除する。

(キ)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項9に
「25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項1?4、6?8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。」
と記載されているのを、
「25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項1?2、4、6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。」
に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項10、11、14?30についても同様に訂正する。)。

(ク)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項10に
「25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項1?4、6?9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。」
と記載されているのを、
「25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項1?2、4、6、9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。」
に訂正する(請求項10の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項11、14?30についても同様に訂正する。)。

(ケ)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項11に
「請求項1?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。」
と記載されているのを、
「請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。」
に訂正する(請求項11の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項14?30についても同様に訂正する。)。

(コ)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項14に
「支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項1?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。」
と記載されているのを、
「支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。」
に訂正する(請求項14の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項15?30についても同様に訂正する。)。

(サ)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項20に
「請求項1?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
前記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。」
と記載されているのを、
「請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
前記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。」
に訂正する(請求項20の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項21?26についても同様に訂正する。)。

(シ)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項27に
「固体撮像素子基板、請求項1?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。」
と記載されているのを、
「固体撮像素子基板、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。」
に訂正する(請求項27の記載を直接的又は間接的に引用して記載された正空孔28?30についても同様に訂正する。)。

(ス)訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)
明細書の段落【0006】に
「本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
<1>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
上記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、上記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。
<2>
上記界面活性剤の含有量が硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.01質量%以上1質量%以下である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する硬化性樹脂組成物であって、
上記色素がピロロピロール色素又は銅錯体であり、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
上記硬化性樹脂組成物が重合性化合物と溶剤とを含有し、組成物全固形分中の色素の含有量が30質量%以上である、硬化性樹脂組成物。
<4>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
上記色素が、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。
<5>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<4>に記載の硬化性樹脂組成物。
<6>
上記重合性化合物が、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造を含む化合物のいずれかである、<3>?<5>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<7>
上記色素が、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種である、<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
<8>
上記色素がピロロピロール色素又は銅錯体である、<4>又は<7>に記載の硬化性樹脂組成物。
<9>
25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<1>?<4>、<6>?<8>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<10>
25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<1>?<4>、<6>?<9>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<11>
<1>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。」及び
「<14>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、請求項1?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<15>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、<4>に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<16>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<15>に記載の色素含有層の形成方法。
<17>
上記支持体上に上記硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、又はスリットコーター、により塗布する、<14>?<16>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<18>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<14>、<15>及び<17>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<19>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<14>、<15>、<17>及び<18>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<20>
<1>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
上記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
<21>
上記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、上記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで上記アプリケーター塗布を行う、<20>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<22>
上記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)上記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、<20>又は<21>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<23>
上記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、<20>?<22>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<24>
上記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、<23>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<25>
上記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、<22>?<24>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<26>
上記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、<20>?<25>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<27>
固体撮像素子基板、<1>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
<26>
上記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の上記ガラス基板の面上に上記赤外線反射膜を有する<25>に記載のイメージセンサチップ。
<29>
上記赤外線反射膜と上記ガラス基板との間に上記色素含有層を有する<27>に記載のイメージセンサチップ。
<30>
上記固体撮像素子基板、上記色素含有層、及び上記赤外線反射膜を有する上記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、<27>?<29>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。
本発明は、上記<1>?<30>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕?〔20〕)についても記載している。」
と記載されているのを、それぞれ、
「<1>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
上記色素が、ピロロピロール色素又は銅錯体であり、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
上記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、上記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。
<2>
上記界面活性剤の含有量が硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.01質量%以上1質量%以下である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
上記色素が、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。
<5>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<4>に記載の硬化性樹脂組成物。
<6>
上記重合性化合物が、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造を含む化合物のいずれかである、<4>又は<5>に記載の硬化性樹脂組成物。
<9>
25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<1>?<2>、<4>、<6>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<10>
25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<1>?<2>、<4>、<6>、<9>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<11>
<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。」及び
「<14>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<15>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、<4>に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<16>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<15>に記載の色素含有層の形成方法。
<17>
上記支持体上に上記硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、又はスリットコーター、により塗布する、<14>?<16>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<18>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<14>、<15>及び<17>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<19>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<14>、<15>、<17>及び<18>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<20>
<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
上記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
<21>
上記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、上記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで上記アプリケーター塗布を行う、<20>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<22>
上記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)上記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、<20>又は<21>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<23>
上記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、<20>?<22>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<24>
上記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、<23>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<25>
上記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、<22>?<24>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<26>
上記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、<20>?<25>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<27>
固体撮像素子基板、<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
<28>
上記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の上記ガラス基板の面上に上記赤外線反射膜を有する<27>に記載のイメージセンサチップ。
<29>
上記赤外線反射膜と上記ガラス基板との間に上記色素含有層を有する<27>に記載のイメージセンサチップ。
<30>
上記固体撮像素子基板、上記色素含有層、及び上記赤外線反射膜を有する上記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、<27>?<29>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。
本発明は、上記<1>?<30>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕?〔20〕)についても記載している。」
に訂正する。

イ 訂正の目的の適否
(ア)訂正事項1
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された発明における「色素」を、「ピロロピロール色素又は銅錯体」に限定するものである。
したがって、訂正事項1による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。
また、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用して記載された請求項との関係においても、同様である。

(イ)訂正事項2、5、6
訂正事項2、5、6による訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3、7、8をそれぞれ削除するものである。
したがって、訂正事項2、5、6による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。

(ウ)訂正事項3
訂正事項3による訂正は、本件訂正前の請求項4に記載された発明における「色素」の選択肢から「銅錯体」を除くことにより、「色素」の範囲を限定するものである。
したがって、訂正事項3による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。

(エ)訂正事項4、7?9、11?13
訂正事項4、7?9、11?13による訂正は、訂正事項2、5、6により請求項3、7、8が削除されたことによって生じた、訂正により削除された請求項を引用しているという不明瞭な状態を、解消させることを目的とした訂正である。
したがって、訂正事項4、7?9、11?13による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものである。

(オ)訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)
訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正は、[A]明細書の段落【0006】における誤記の訂正(「<28>」と記載すべきであった「<26>」という記載を、「<28>」にする訂正、及び、当該<26>における、「<27>に記載のイメージセンサチップ」と記載すべきであった「<25>に記載のイメージセンサチップ」という記載を、「<27>に記載のイメージセンサチップ」にする訂正)と、[B]訂正事項1?9、11?13による、特許請求の範囲の訂正と整合するように、明細書の段落【0006】の記載を改める訂正の、2つを併せたものである。
したがって、訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものといえる。

(カ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1?9、11?14による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものといえる。

ウ 新規事項の有無
(ア)訂正事項1
本件訂正前の特許請求の範囲において、請求項8に、「前記色素がピロロピロール色素又は銅錯体である、請求項4又は7に記載の硬化性樹脂組成物。」と記載されており、請求項7に、「請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。」と記載されている。
そうしてみると、訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された発明における「色素」を、請求項1の記載を間接的に引用していた請求項8に記載された事項に基づいて訂正したものといえる。
したがって、訂正事項1による訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。

(イ)訂正事項2、5、6
訂正事項2、5、6による訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3、7、8をそれぞれ削除するものであるから、訂正事項2、5、6による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。

(ウ)訂正事項3
訂正事項3による訂正は、本件訂正前の請求項4に記載された発明における「色素」の選択肢から、「銅錯体」を除くものであるから、訂正事項3による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。

(エ)訂正事項4、7?9、11?13
訂正事項4、7?9、11?13による訂正は、訂正事項2、5、6により請求項3、7、8が削除されたことによって生じた、訂正により削除された請求項を引用しているという不明瞭な状態を、解消させることを目的とした訂正であるから、訂正事項4、7?9、11?13による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであることは明らかである。

(オ)訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)
訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正は、単なる明瞭でない記載の釈明、及び誤記の訂正にすぎないから、訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正が、それぞれ、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであること、及び願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
したがって、訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(カ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1?9、11?14による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

エ 特許性の範囲の拡張・変更の存否
(ア)訂正事項1、3
訂正事項1による訂正は、本件訂正前の請求項1に記載された発明における「色素」を、「ピロロピロール色素又は銅錯体」に限定するものである。また、訂正事項3による訂正は、本件訂正前の請求項4に記載された発明における「色素」の範囲を限定するものである。
したがって、訂正事項1、3による訂正は、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。

(イ)訂正事項2、5、6
訂正事項2、5、6による訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項3、7、8をそれぞれ削除するものであるから、訂正事項2、5、6による訂正が、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

(ウ)訂正事項4、7?9、11?13
訂正事項4、7?9、11?13による訂正は、訂正事項2、5、6により請求項3、7、8が削除されたことによって生じた、訂正により削除された請求項を引用しているという不明瞭な状態を、解消させるものであるから、訂正事項4、7?9、11?13による訂正が、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

(エ)訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)
訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正は、単なる明瞭でない記載の釈明、及び誤記の訂正にすぎないから、訂正事項14(請求項1?11、14?30に関するもの)による訂正が、事実上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。

(オ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1?9、11?14による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(2)請求項12及び13に係る訂正について

ア 訂正の内容
本件訂正のうち、請求項12及び13に係る訂正の内容は、以下のとおりである。なお、訂正された箇所に下線を付した。

(ア)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項12に
「銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタ。」
と記載されているのを、
「銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタであって、
前記銅錯体において、銅に配位する配位子は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物である、赤外線カットフィルタ。」
に訂正する(請求項12の記載を引用して記載された請求項13についても同様に訂正する。)。

(イ)訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)
明細書の段落【0006】に
「<12>
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタ。
<13>
上記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、上記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、<12>に記載の赤外線カットフィルタ。」及び
「本発明は、上記<1>?<30>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕?〔20〕)についても記載している。」
と記載されているのを、それぞれ
「<12>
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタであって、
上記銅錯体において、銅に配位する配位子は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物である、赤外線カットフィルタ。
<13>
上記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、上記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、<12>に記載の赤外線カットフィルタ。」及び
「本発明は、上記<1>?<30>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕?〔20〕)についても記載している。」に訂正する。

イ 訂正の目的の適否
(ア)訂正事項10
訂正事項10による訂正は、本件訂正前の請求項12に記載された発明の「銅錯体」における、「銅に配位する配位子」を「スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物」に限定するものである。
したがって、訂正事項10による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものである。

(イ)訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)
訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正は、訂正事項10による、特許請求の範囲の訂正と整合するように、明細書の段落【0006】の記載を改めるものである。
したがって、訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号及び第3号に掲げる事項を目的とするものといえる。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項10及び14による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものといえる。

ウ 新規事項の有無
(ア)訂正事項10
本件特許の願書に添付した明細書の段落【0028】には、「上記色素が銅錯体の場合、銅に配位する配位子Lとしては、銅イオンと配位結合可能であれば特に限定されないが、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、置換ホスフィン酸、カルボニル(エステル、ケトン)、アミン、アミド、スルホンアミド、ウレタン、ウレア、アルコール、チオールなどを有する化合物が挙げられる。」と記載されている。
そうしてみると、訂正事項10による訂正は、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものである。
したがって、訂正事項10による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(イ)訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)
訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正は、単なる明瞭でない記載の釈明にすぎないから、訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであることは明らかである。
したがって、訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項10及び14による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。

エ 特許性の範囲の拡張・変更の存否
(ア)訂正事項10
訂正事項10による訂正は、本件訂正前の請求項12に記載された発明の「銅錯体」における、「銅に配位する配位子」を「スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物」に限定するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(イ)訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)
訂正事項14(請求項12及び13に関するもの)による訂正は、単なる明瞭でない記載の釈明にすぎないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正事項10及び14による訂正は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合する。

(3)本件訂正請求について
本件訂正請求は、一群の請求項である〔1-11、14-30〕、〔12、13〕に対してされたものである。また、本件訂正請求は、訂正事項14による明細書の訂正に係る請求項を含む一群の請求項の全てである、請求項1-30について行われたものである。

3 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?11、14?30〕、〔12、13〕について訂正することを認める。


第3 訂正後の本件発明
前記第2のとおり、本件訂正請求は認められることとなったので、本件特許の請求項1、2、4?6、9?30に係る発明(以下、それぞれ請求項に付された番号に従い、「本件特許発明1」等という。)は、本件訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4?6、9?30に記載された事項により特定される以下のものである。なお、請求項3、7、8は、本件訂正により削除された。
「【請求項1】
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記色素が、ピロロピロール色素又は銅錯体であって、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の含有量が硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.01質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
前記色素が、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が300?700mPa・sである、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物が、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造を含む化合物のいずれかである、請求項4又は5に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項1?2、4、6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項1?2、4、6、9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。
【請求項12】
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタであって、
前記銅錯体において、銅に配位する配位子は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物である、赤外線カットフィルタ。
【請求項13】
前記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、前記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、請求項12に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項14】
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
【請求項15】
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
【請求項16】
25℃における粘度が300?700mPa・sである、請求項15に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項17】
前記支持体上に前記硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、又はスリットコーター、により塗布する、請求項14?16のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項18】
前記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項14、15及び17のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項19】
前記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項14、15、17及び18のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項20】
請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
前記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
【請求項21】
前記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、前記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで前記アプリケーター塗布を行う、請求項20に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項22】
前記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)前記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、請求項20又は21に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項23】
前記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、請求項20?22のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項24】
前記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、請求項23に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項25】
前記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、請求項22?24のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項26】
前記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、請求項20?25のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項27】
固体撮像素子基板、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
【請求項28】
前記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の前記ガラス基板の面上に前記赤外線反射膜を有する請求項27に記載のイメージセンサチップ。
【請求項29】
前記赤外線反射膜と前記ガラス基板との間に前記色素含有層を有する請求項27に記載のイメージセンサチップ。
【請求項30】
前記固体撮像素子基板、前記色素含有層、及び前記赤外線反射膜を有する前記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、請求項27?29のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。」


第4 取消理由通知<決定の予告>に記載した取消理由
1 取消理由の概要
平成31年3月29日付けで通知された取消理由<決定の予告>の概要は、以下のとおりである。

(1)本件特許発明1、2、9?11、14、16?30は、本件特許の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明、甲第3号証及び甲第4号証の記載事項並びに周知技術に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)本件特許発明3?6、9?11、14?30は、本件特許の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明、甲第1号証?甲第4号証の記載事項及び周知技術に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

なお、特許異議申立人が提出した証拠は、以下のとおりである。
甲第1号証:特開2012-103340号公報
甲第2号証:国際公開第99/26952号
甲第3号証:特開2005-92195号公報
甲第4号証:国際公開第2011/071052号
甲第5号証:特開2011-68731号公報

2 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明

(1)甲第1号証

ア 甲第1号証の記載事項
取消理由に引用され、本件特許の優先権主張の日前の平成24年5月31日に、日本国内又は外国において頒布された刊行物であり、特許異議申立人が提出した甲第1号証(特開2012-103340号公報)には、以下の記載事項がある。なお、下線は、合議体が、甲第1号証に記載された発明の認定等に活用した箇所を示す。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線カットフィルターに関する。詳しくは、本発明は、十分な視野角とハンダリフロー耐熱性を合わせ持ち、特にCCD、CMOS等の固体撮像素子用視感度補正フィルターとして好適に用いることができる近赤外線カットフィルターに関する。

(中略)

【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、視野角が広く、さらに、近赤外線カット能に優れ、更にハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有する、特にCCD、CMOS等の固体撮像装置に好適に用いることができる近赤外線カットフィルターを得ることを目的とする。さらに、前記近赤外線カットフィルターを具備する固体撮像素子および固体撮像装置を提供することを目的とする。

(中略)

【0015】
本発明の近赤外線カットフィルターは、前記樹脂層のガラス基板が積層された面の反対側の面に、可視光用反射防止層が形成されていることが好ましい。
本発明の近赤外線カットフィルターは、固体撮像用素子および固体撮像装置等に使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の近赤外線カットフィルターは、視野角が広く、近赤外線カット能に優れ、更にハンダリフロー工程を有する製造法に適用するのに十分な耐熱性を有する。」

(イ)「【0019】
〔近赤外線カットフィルター〕
本発明の近赤外線カットフィルターは、ガラス基板の少なくとも片面に樹脂層を有する積層板を含み、その光線透過率が上記(A)?(D)を満たすことを特徴とする。

(中略)

【0026】
《積層板》
上記積層板は、ガラス基板の少なくとも片面に樹脂層を有する。前記樹脂層は、近赤外線吸収剤を含有することが好ましく、前記積層板は、下記式(i)、下記式(ii)、下記式(iii)を満たすことが好ましい。
(i)吸収極大波長(以下、λ_(max)ともいう)を600?800(nm)の間に有する。
(ii)1/700≦(樹脂層の厚み/ガラス基板の厚み)≦2/5
(iii)30≦(ガラス基板の厚み:μm)≦1000
ガラス基板の少なくとも片面に、下記特定の近赤外線吸収剤を含む樹脂層を有することにより、上記(i)を満たす積層板を得ることができる。

(中略)

【0033】
<耐熱性を有する樹脂>
前記耐熱性を有する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルニトリル系樹脂)、ポリカーボネート、ポリアリレート、および環状オレフィン系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は1種単独でも、2種以上を混合して用いても良い。

(中略)

【0036】
上記樹脂層の厚みは、上記(ii)を満たせば特に制限されないが、好ましくは1?100μm、さらに好ましくは2?50μm、特に好ましくは、3?30μmであることが望ましい。

(中略)

【0051】
<近赤外線吸収剤>
本発明の近赤外線カットフィルターに用いることができる近赤外線吸収剤は、(iv)大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が、好ましくは250℃以上であり、更に好ましくは260℃以上、特に好ましくは270℃以上である。重量減少温度が前記条件を満たすことで、高温条件下でも分解することなく、ハンダリフロー工程での使用に十分な熱性が確保され、安定した品質の近赤外線カットフィルターを提供することができる。
【0052】
また本発明に用いられる近赤外線吸収剤は、波長600?800nmに吸収極大があることが好ましく、さらに好ましくは640?770(nm)、特に好ましくは660?720(nm)の範囲に吸収極大を有することが望ましい。
【0053】
このような近赤外線吸収剤を用いることで、上記(A)?(D)および(i)を満たす積層板、近赤外線カットフィルターを得ることができる。
このような近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素が挙げられる。
【0054】
このような近赤外線吸収剤を含有してなる樹脂層は、上記の耐熱性を有するためハンダリフロー工程への適用が可能となる。
【0055】
前記近赤外線吸収剤の市販品としては、具体的には、たとえば、Lumogen IR765、Lumogen IR788(BASF製);ABS643、ABS654、ABS667、ABS670T、IRA693N、IRA735(Exciton製);SDA3598、SDA6075、SDA8030、SDA8303、SDA8470、SDA3039、SDA3040、SDA3922、SDA7257(H.W.SANDS製);TAP-15、IR-706(山田化学工業製);を挙げることができる。
これらの近赤外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。

(中略)

【0058】
<樹脂層の光学特性>
本発明の樹脂層は、(i)吸収極大波長(以下「λ_(max)」ともいう)を600?800(nm)の間に有し、好ましくは640?770(nm)、より好ましくは660?720(nm)に有する。前記λ_(max)を上記波長範囲に有することで、近赤外光に感度を有するCMOSに入射される光の波長範囲が限定されるため、CMOS等により撮像された画像の色が、実際に目視で観察される色合いにより近いものとなる。
【0059】
〈その他の成分〉
前記樹脂層には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤および界面活性剤等のその他の成分を添加することができる。
【0060】
酸化防止剤としては、例えば2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2'-ジオキシ-3,3'-ジ-t-ブチル-5,5'-ジメチルジフェニルメタンおよびテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。
【0061】
紫外線吸収剤としては、例えば2,4-ジヒドロキシベンゾフェノンおよび2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
後述する溶液キャスティング法により樹脂層を製造する場合には、界面活性剤や消泡剤を添加することで樹脂層の製造を容易にすることができる。
【0062】
上記界面活性剤としては、市販品もしくはラジカル重合により得られる下記のような共重合体(S)を使用することができ、これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0063】
共重合体(S)は、フッ素化アルキル基含有単量体(M1)、ポリオキシエチレン鎖含有単量体(M2)およびシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体(M3)を共重合することにより得られ、必要によりさらに上記(M1)?(M3)以外の単量体を用いてもよい。
前記フッ素化アルキル基含有単量体(M1)としては、下記式(M-1-1)および(M-1-2)で表わされる単量体などが挙げられる。
【0064】
【化3】


(中略)

【0076】
上述の共重合体(S)以外の界面活性剤としては、例えばフッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤を挙げることができ、これらはそれぞれ併用して使用することもできる。
【0077】
フッ素系界面活性剤としては、末端、主鎖および側鎖の少なくともいずれかの部位にフロロアルキル基および/またはフロロアルキレン基を有する化合物が好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えばBM-1000、BM-1100(以上、BM CHEMIE社製);メガファックF142D、同F172、同F173、同F183、同F178、同F191、同F471、同F476(以上、大日本インキ化学工業(株)製);フロラードFC-170C、同-171、同-430、同-431(以上、住友スリーエム(株)製);サーフロンS-112、同-113、同-131、同-141、同-145、同-382、サーフロンSC-101、同-102、同-103、同-104、同-105、同-106(以上、旭硝子(株)製);エフトップEF301、同303、同352(以上、新秋田化成(株)製);フタージェントFT-100、同-110、同-140A、同-150、同-250、同-251、同-300、同-310、同-400S、フタージェントFTX-218、同-251(以上、(株)ネオス製);を挙げることができる。

(中略)

【0080】
≪樹脂層の製造方法≫
近赤外線吸収剤を含有した樹脂層は、例えば、前記樹脂、近赤外線吸収剤および必要により前記その他の成分を溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、樹脂、近赤外線吸収剤、溶剤および必要により前記その他の成分を含む液状樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法、または、上述の液状樹脂組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。
【0081】
(A)溶融成形
溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形およびブロー成形を挙げることができる。
【0082】
(B)キャスティング
キャスト成形方法としては、上記液状樹脂組成物を適切な基材の上にキャスティングして溶剤を除去すればよいが、例えば、スチールベルト、スチールドラムあるいはポリエステルフィルム等の基材の上に、上述の液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させることで塗膜を形成し、その後該基材から塗膜を剥離することにより、樹脂層を単独で得ることができる。
あるいは、前記ガラス基板に上述の液状組成物をコーティングして溶剤を乾燥させることで、ガラス基板上に、直接、樹脂層を形成することができる。

(中略)

【0106】
≪誘電体多層膜≫
本発明に用いられる誘電体多層膜は、近赤外線を反射および/または吸収する能力を有する膜である。本発明において、誘電体多層膜は前記積層板の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合には、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合には、高い強度を有し、ソリの生じにくい近赤外線カットフィルターを得ることができる。」

(ウ)「【0128】
<合成例2> 《ポリエーテル系樹脂(P-1)の合成》
攪拌機、温度計、ディーンスターク管、窒素導入管および冷却管を取り付けた1Lの三口フラスコに、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン157.68g(450mmol)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン16.81g(50mmol)、2,6-ジフルオロベンゾニトリル69.55g(500mmol)および炭酸カリウム76.02g(550mmol)をはかりとった。窒素置換後、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)897mL、トルエン448mLを加えて攪拌した。オイルバスで反応液を130℃で加熱還流させた。反応によって生成する水はディーンスターク管にトラップした。3時間後、水の生成がほとんど認められなくなったところで、トルエンをディーンスターク管から系外に除去した。反応温度を徐々に150℃まで上げ、2時間攪拌を続けた後、反応液を放冷し、テトラヒドロフラン(THF)2.3Lを加えて希釈した。反応液に不溶の無機塩をろ過し、ろ液をメタノール3Lに注いで生成物を沈殿させた。沈殿した生成物をろ過、乾燥後、THF3.2Lに溶解し、これをメタノール2Lに注いで再沈殿させた。
沈殿した白色粉末をろ過、乾燥し、ポリエーテル系樹脂(P-1)を69g得た。GPCで測定したポリスチレン換算の数平均分子量は53,000、重量平均分子量は105,000であった。

(中略)

【0130】
(その他の成分の合成)
<合成例4> 《界面活性剤(共重合体(S-1))の合成》
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに前記式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK-エステルM-90G(新中村化学社製)20.7質量部、下記式M-3-4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2-エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびイソプロピルアルコール(以下、IPAと略す)414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7質量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン4質量部を添加した後、75℃にて8時間還流して共重合を行い、共重合体(S-1)を得た。得られた共重合体(S-1)の分子量は、数平均分子量が2,800であり、重量平均分子量が5,300であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。
【0131】
【化9】


(中略)

【0133】
<合成例6> 《界面活性剤(共重合体(S-3))の合成》
攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに前記式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK-エステルM-90G(新中村化学社製)20.7質量部、前記式M-3-4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2-エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびIPA414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてAIBN0.7質量部を添加した後、73℃にて10時間還流して共重合を行い、共重合体(S-3)を得た。得られた共重合体(S-3)の分子量は、数平均分子量が5,600であり、重量平均分子量が21,000であった。また、分子量分布(Mw/Mn)は3.8であった。
【0134】
(硬化性組成物の調製)
<調製例1> 《硬化性組成物溶液(G-1)の調製》
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(商品名:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製))20重量部、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン30重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3重量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI-110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G-1)を調製した。
【0135】
<調製例2> 《硬化性組成物溶液(G-2)の調製》
イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート(商品名:アロニックスM-315、東亜合成化学(株)製)30重量部、1,9-ノナンジオールジアクリレート20重量部、メタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル30重量部、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、1-ヒドロキシシクロヘキシルベンゾフェノン(商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカル(株)製)5重量部およびサンエイドSI-110主剤(三新化学工業(株)製)1重量部を混合し、固形分濃度が50wt%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミリポアフィルタでろ過し、硬化性組成物溶液(G-2)を調製した。

(中略)

【0144】
<調製例11> 樹脂溶液(D-6)の調製
合成例2で得られたポリエーテル系樹脂(P-1)に近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、合成例6で得られた界面活性剤(共重合体(S-3))の1%DMAc希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加した。
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して樹脂溶液(D-6)を得た。

(中略)

【0172】
<積層板作製例12> 積層板K-12の作製
50μmの厚みを有するガラス基板に調製例2で得られた硬化性組成物溶液(G-2)をスリットコートで塗布した後、ホットプレート上80℃で2分間加熱し、溶剤を揮発除去し、硬化層を形成した。この際、硬化層の膜厚が1.0μm程度となるようにスリットコーターの塗布条件を調整した。次に、ガラス基板の硬化層上に、スリットコーターを用いて調製例11で得られた樹脂溶液(D-6)を長波長側半値が646nmとなるような条件で塗布し、ホットプレート上80℃で5分間加熱し、溶剤を揮発除去した。次いで、ガラス面側からコンベア式露光機を用いて露光(露光量1J/cm^(2)、照度200mW)し、その後オーブン中230℃で20分間焼成して積層板(K-12)を得た。

(中略)

【0182】
<近赤外線カットフィルター作成例>
積層板K-1?18、及び積層板R-1?2のガラス基板上に、蒸着温度200℃で近赤外線を反射する多層蒸着膜(誘電体多層膜)〔シリカ(SiO_(2):膜厚20?250nm)層とチタニア(TiO_(2):膜厚70?130nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数44〕を形成し、対応する近赤外線カットフィルターK'-1?18、及びR'-1?2を得た。多層蒸着膜の総厚はいずれも約5.5μmであった。
【0183】
<実施例K'-1?18、比較例R’-1?2>
得られた近赤外線カットフィルターK'-1?18、及びR'-1?2について光学特性評価、リフローテスト、密着性評価および外観評価を行った。結果について、下記表1にまとめる。なお、表中Xaは800nm以下の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長、Xbは波長580nm以上の波長領域において、近赤外線カットフィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長、Yaは垂直方向から測定した場合の波長560?800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値、Ybは垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の波長560?800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値、Zaは半田リフロー試験後における垂直方向から測定した場合の波長560?800nmの範囲において透過率が50%となる波長の値である。
【0184】
【表1】



イ 甲第1号証に記載された発明
(ア)甲1発明
上記アの記載事項(ウ)には、段落【0144】に、調製例11として、樹脂溶液(D-6)の調製を行ったこと、段落【0172】に、「ガラス基板の硬化層上に、スリットコーターを用いて調製例11で得られた樹脂溶液(D-6)を・・・塗布し、・・・溶剤を揮発除去し・・・露光・・・し、その後・・・焼成して積層板(K-12)を得た」こと、段落【0182】に、「積層板K-1?18・・・のガラス基板上に、・・・多層蒸着膜・・・を形成し、対応する近赤外線カットフィルターK'-1?18・・・を得た」こと、段落【0183】に、得られた近赤外線カットフィルターK'-1?18についての光学特性評価、リフローテスト、密着性評価および外観評価を行い、結果について、表1にまとめたこと、段落【0184】の【表1】には、実施例「K’-12」(樹脂溶液(D-6)を塗布し、溶剤を揮発除去し、露光し、その後焼成して得た積層板(K-12)のガラス基板上に、多層蒸着膜を形成して得た近赤外線カットフィルターにあたる。)の樹脂層膜厚が「30.5μm」、吸収極大波長が「769nm」であったことが記載されている。
これらの記載に基づけば、甲第1号証には、樹脂溶液(D-6)として、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「攪拌装置、コンデンサーおよび温度計を備えたガラスフラスコに以下の式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体28.4質量部、単量体M2としてNK-エステルM-90G(新中村化学社製)20.7質量部、以下の式M-3-4で表わされるシリコーン鎖を有するエチレン性不飽和単量体18.1質量部、テトラメチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物3.4質量部、メチルメタクリレート5.9質量部、2-エチルヘキシルアクリレート23.5質量部およびイソプロピルアルコール(IPA)414質量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.7質量部を添加した後、73℃にて10時間還流して共重合を行い、共重合体(S-3)を得ることにより界面活性剤(共重合体(S-3))を合成し、
ポリエーテル系樹脂(P-1)に近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)を樹脂/近赤外線吸収剤の比が100重量部/0.10重量部となるように添加し、固形分濃度が10wt%となるようにジクロロメタンに溶解した後、界面活性剤(共重合体(S-3))の1%N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)希釈溶液を樹脂/界面活性剤の比が100重量部/0.15重量部となるように添加し、
これらを混合した後、孔径5μmのミリポアフィルタでろ過して得た、樹脂溶液(D-6)であって、
樹脂溶液(D-6)を、ガラス基板の硬化層上にスリットコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発除去し、露光し、その後焼成して得た積層板(K-12)のガラス基板上に、多層蒸着膜を形成して樹脂層膜厚が30.5μmである近赤外線カットフィルター(K’-12)とした場合の吸収極大波長が769nmである、樹脂溶液(D-6)。



(イ)甲1’発明
上記アの記載事項(イ)には、段落【0080】に、樹脂層の製造方法に用いる液状樹脂組成物として、「樹脂、近赤外線吸収剤、溶剤および必要により前記その他の成分を含む液状樹脂組成物」が記載されている。また、段落【0053】に近赤外線吸収剤として、「シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素」が挙げられること、段落【0059】に、その他の成分として、「酸化防止剤、紫外線吸収剤および界面活性剤」が挙げられること、が記載されている。これらの記載に基づけば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1’発明」という。)が記載されていると認められる。
「樹脂、
シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素から選択される近赤外線吸収剤、
溶剤および、
酸化防止剤、紫外線吸収剤および界面活性剤から選択されるその他の成分
を含む液状樹脂組成物。」

(2)甲第2号証
ア 甲第2号証の記載事項
取消理由に引用され、本件特許の優先日前の平成11年6月3日に、日本国内又は外国において頒布された刊行物であり、特許異議申立人が提出した甲第2号証(国際公開第99/26952号)には、以下の記載がある。なお、公報に付されていた下線を削除し、合議体が、甲第2号証に記載された発明の認定等に活用した箇所に、新たに下線を付した。

(ア)「 技 術 分 野
本発明は、銅イオンが有する近赤外線吸収機能を効率的に発現させることができる新規な燐酸エステル化合物およびその製造方法、近赤外線領域の光を高い効率的かつ均等に吸収することができる新規な燐酸エステル銅化合物およびその製造方法、この燐酸エステル銅化合物よりなる近赤外線吸収性の物質、近赤外線吸収性の組成物、当該組成物から得られる近赤外線吸収フィルム、近赤外線吸収板、近赤外線吸収部材および光学フィルター並びにその応用例に関する。」(第1頁第5?11行)

(イ)「 発 明 の 開 示
本発明は、このような事情に基づいてなされたものである。
本発明の第1の目的は、銅イオンが有する近赤外線吸収機能を効果的に発現させることができ、銅イオンを種々の媒体中に容易に分散または溶解させることができる新規な燐酸エステル化合物を提供することにある。

(中略)

本発明の第31の目的は、近赤外線領域の光を高い効率で、かつ、均等にカッ卜することができる光学フィルターをCCDのための視感度補正フィル夕一として備えてなる画像入力装置を提供することにある。」(第2頁第14行?第5頁第13行)

(ウ)「 本発明の燐酸エステル化合物は、下記式(1)で表されるものである。

上記の燐酸エステル化合物の製造方法は、下記式(2)または下記式(3)で表されるアルコールと、五酸化燐とを反応させることを特徴とする。

本発明の燐酸エステル銅化合物は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物とを反応させることにより得られるものである。
また、本発明の燐酸エステル銅化合物は、下記式(4)または下記式(5)で表されるものである。
なお、本明細書において、アルキル基は、直鎖状のものであっても、分岐状のものであってもよい。
また、アルキレン基、アルキレンオキシ基に使用されている「アルキレン」なる用語は、直鎖状アル力ンまたは分岐状アル力ンに由来するアルキレンであって、直鎖状アルカンの両末端に結合手があり、通常、ポリメチレンと称されるものも含むものとする。従って、ブチレンには、テトラメチレンも含まれている。

本発明の燐酸エステル銅化合物の製造方法は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物とを反応させることを特徴とする。
本発明の燐酸エステル銅化合物の製造方法においては、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物とを有機溶剤中で反応させ、その後、前記燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物との反応によって生成される酸成分および前記有機溶剤を除去することが好ましい。
本発明の近赤外線吸収性の粉状物質、ペースト状物質および液状物質は、上記燐酸エステル銅化合物よりなることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収性の組成物は、下記(A)成分および/または下記(B)成分を含有してなることを特徴とする。
(A)成分:上記燐酸エステル化合物と銅イオンとよりなる成分
(B)成分:上記燐酸エステル銅化合物よりなる成分
また、本発明の組成物は、固体のものに限られず、液状のものであっても、ペース卜状のものであってもよい。
また、本発明の組成物は、単量体を含有してなるものであってもよい。
また、本発明の組成物は、樹脂を含有してなるものであってもよい。
本発明の塗布剤は、上記の組成物(本発明の組成物)よりなることを特徴とする。
本発明の接着剤は、上記の組成物(本発明の組成物)よりなることを特徴とする。
本発明の粘着剤は、上記の組成物(本発明の組成物)よりなることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、上記の組成物(本発明の組成物)よりなることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収フィルムは、上記の塗布剤(本発明の塗布剤)をフィルム基材の表面に塗布して得られることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収フィルムは、上記の接着剤(本発明の接着剤)により形成される中間層を有することを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収フィルムは、上記の粘着剤(本発明の粘着剤)により形成される層を有することを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収板は、上記の組成物(本発明の組成物)よりなることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収板は、上記の塗布剤(本発明の塗布剤)を基板の表面に塗布して得られることを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収板は、上記の接着剤(本発明の接着剤)により形成される中間層を有することを特徴とする。
また、本発明の近赤外線吸収板は、上記の粘着剤(本発明の粘着剤)により形成される中間層を有することを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収部材は、上記の粉状物質(本発明の粉状物質)がセル内に収容されてなることを特徴とする。
本発明の近赤外線吸収部材は、上記の液状の組成物(本発明の液状の組成物) がセル内に収容されてなることを特徴とする。
本発明の光学フィルタ一は、上記の組成物(本発明の組成物)から得られることを特徴とする。」(第5頁最下行?第9頁第10行)

(エ)「 本発明の燐酸エステル化合物は、 適宜の銅イオン供給化合物によって銅イオンが供給されると、燐酸基と銅イオンとが配位結合またはイオン結合する。そして、構造中にオキシカルボニル基(?COO?)を有するため、銅イオンが有する近赤外線吸収機能が効率的に発現する。また、オキシカルボニル基はある程度の極性を有するものであるため、当該燐酸エステル化合物は、溶媒や樹脂などの媒体に対する溶解性または分散性が良好である。
<燐酸エステル銅化合物>
本発明の燐酸エステル銅化合物は、上記式(1)で表される燐酸エステル化合物(以下、「特定の燐酸エステル化合物」ともいう。)と銅イオン供給化合物とを反応させて得られるものであり、例えば上記式(4)または式(5)で表される構造を有するものである。
ここで、特定の燐酸エステル化合物は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて銅イオン供給化合物との反応に供することができる。従って、式(5)において、銅イオンMに結合された2つの燐酸残基は、互いに同一のものであっても異なるものであってもよい。」(第22頁第10?24行)

(オ)「<組成物>
本発明の組成物には、
(1)上記特定の燐酸エステル化合物と銅イオンとよりなる(Α)成分が含有されてなる組成物、および
(2)上記燐酸エステル銅化合物よりなる(Β)成分が含有されてなる組成物が包含され、さらに、
(3)(A)成分と(B)成分とが含有されてなる組成物が包含される。
また、本発明の組成物の性状は特に限定されるものではなく、固体状、液状、ペースト状、その他の性状であってもよい。また、(A)成分および(B)成分以外の構成成分も特に限定されるものではない。」(第26頁第23行?第27頁第4行)

(カ)「<液状の組成物>
本発明においては、(A)成分および/または(B)成分を適宜の溶媒中に分散または溶解させることにより、液状の組成物を構成することができる。
この液状組成物は、透明なもの、半透明なものまたは不透明なものであってもよく、いかなる状態であっても、近赤外線領域の光を高い効率でかつ均等に吸収することができる。」(第27頁第13?18行)

(キ)「<単量体組成物>
本発明の組成物には、 単量体が含有されていてもよい。
このような単量体組成物を構成する単量体としては、アクリル系単量体が好ましく、その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メ夕)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレー卜、2-ヒドロシキエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレー卜、フェノキシ(メタ)アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレングリコ一ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー卜、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコ一ルジ(メタ) アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオ一ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロキシエトキシフェニル〕プロパン、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットトリ(メタ)アクリレート、ぺンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
また、(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和カルボン酸、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。」(第28頁第2行?第29頁第4行)

(ク)「<樹脂組成物>
本発明の組成物には、樹脂が含有されていてもよい。以下の本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物には、
(1)上記の特定の燐酸エステル化合物と銅イオンとよりなる(A)成分が樹脂中に含有されてなる樹脂組成物〔以下、「樹脂組成物(A)」という。〕、および
(2)上記の燐酸エステル銅化合物が樹脂中に含有されてなる樹脂組成物〔以下、「樹脂組成物(B)」という。〕が包含され、さらに、
(3)特定の燐酸エステル化合物と、銅イオンと、燐酸エステル銅化合物とが樹脂中に含有されてなる樹脂組成物が包含される。
〔樹脂組成物(A)〕
樹脂組成物(A)を構成する銅イオンは、適宜の銅イオン供給化合物を、特定の燐酸エステル化合物とともに樹脂に添加することによって、あるいは樹脂を得るための単量体に添加して重合処理することによって、樹脂中に含有させることができる。
上記の銅イオン供給化合物の具体例としては、酢酸銅、塩化銅、ぎ酸銅、ステアリン酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅等の銅塩の無水物まはた水和物が挙げられ、また、上記の銅塩の他に水酸化銅を用いることもできるが、これらの銅イオン供給化合物のみに限定されるものではない。
銅イオンの含有割合は、樹脂100質量部あたり、0.01?40質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.05?30質量部、特に好ましくは0.1?20質量部とされる。
この割合が0.01質量部未満である場合には、近赤外線を高い効率で吸収する樹脂組成物を得ることが困難となる。一方、この割合が40質量部を超える場合には、銅イオンを樹脂中に分散させることが困難となり、可視光線透過性に優れた樹脂組成物が得られないことがある。
樹脂組成物(A)には、銅イオン以外の金属イオン(以下、「他の金属イオン」という。)が含有されていてもよい。かかる他の金属イオンの具体例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、マグネシウム、二ッケル等の金属によるイオンが挙げられ、これらの他の金属イオンは、銅イオンと同様にして樹脂中に含有させることができる。
このような他の金属イオンの使用割合は、金属イオン全体の50質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは30質量%以下、特に好ましくは20質量%以下である。この割合が50質量%を超える場合には、近赤外線の吸収効率の高い樹脂組成物を得ることが困難となる。
〔樹脂組成物(B)〕
樹脂組成物(B)は、上記の燐酸エステル銅化合物が樹脂中に含有されてなる樹脂組成物である。
樹脂としては、アクリル系樹脂を好適に用いることができ、このようなアクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる重合体を好ましく用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー卜、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-へキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロシキエチル (メタ)アクリレート、2-ヒドロシキプロピル(メタ)アクリレー卜、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボル二ル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート等の変性(メタ)アクリレート類、エチレングリコ一ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ一ルジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコ一ルジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオ一ルジ(メタ)アタリレ一卜、1,6-へキサンジオ一ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス〔4-(メタ)アクリロキシエトキシフエニル〕プロパン、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-(メタ)アクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペン夕エリトリットトリ(メタ)アクリレート、ペン夕エリ卜リットテトラ(メタ)アクリレー卜等の多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
これらの単量体は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、アクリル系樹脂は、上記の(メタ)アクリル酸エステル系単量体と、これと共重合可能な共重合性単量体との共重合体であってもよい。
かかる共重合性単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸等の不飽和カルボン酸、N,N-ジメチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
アクリル系樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、さらにはスチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、ジブロムスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ヒドロキシメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などの重合体が挙げられる。
以上において、単量体として単官能性のもののみを用いる場合には、熱可塑性の樹脂が得られ、これにより、溶融による成形加工が可能な樹脂組成物を調製することができる。
また、単量体の一部または全部として多官能性のものを用いる場合には、熱硬化性の樹脂が得られる。
本発明においては、得られる樹脂組成物の使用目的、用途、加工方法等に応じて、熱可塑性の樹脂または熱硬化性の樹脂を選択して用いることができる。
本発明の樹脂組成物(A)は、特定の燐酸エステル化合物と銅イオンとを樹脂 中に含有させることにより調製され、樹脂組成物は、燐酸エステル銅化合物を樹脂中に含有させることにより調製される。
ここに、樹脂組成物(A)における特定の燐酸エステル化合物の含有割合としては、樹脂100質量部に対して0.01?80質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1?70質量部、特に好ましくは0.5?50質量部である。
この割合が0.01質量部未満である場合には、樹脂中に銅イオンを分散させることが困難となり、近赤外線の吸収効率の高い樹脂組成物を得ることが困難となる。一方、この割合が80質量部を超える場合には、得られる樹脂組成物が軟らかくなり過ぎて実用性が損なわれる。
また、樹脂組成物(B)における燐酸エステル銅化合物の含有割合としては、樹脂100質量部に対して0.15?70質量部であることが好ましく、更に好ましくは0.25?50質量部、特に好ましくは0.5?40質量部である。
本発明の樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではないが、好ましい方法として、下記の方法を挙げることができる。
(1)樹脂を得るための単量体中に、特定の燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物とが含有されてなる単量体組成物を調製し、この単量体組成物をラジカル重合処理して樹脂組成物(A)を得る方法。
(2)樹脂を得るための単量体中に燐酸エステル銅化合物が含有されてなる単量体組成を調製し、この単量体組成物をラジカル重合処理して樹脂組成物(B)を得る方法。
(3)熱可塑性の樹脂中に、特定の燐酸エステル化合物と銅イオン供給化合物とを添加して樹脂組成物(A)を得る方法。
(4)熱可塑性の樹脂中に燐酸エステル銅化合物を添加して樹脂組成物(B)を得る方法。」(第29頁5行?第33頁第3行)

(ケ)「<塗布剤>
本発明の塗布剤は、上記の組成物(本発明の液状の組成物またはペースト状の組成物)からなる近赤外線吸収性をを有する加工材料である。
本発明の塗布剤は、上記の燐酸エステル銅化合物を塗料や表面被覆剤などの一般の塗布剤に溶解または分散させることにより調製することができる。
本発明の塗布剤は、有機溶媒およびバインダ一樹脂を含有してなる油性のものであってもよく、例えばアクリル系のポリマーエマルジョンよりなる水性のものであってもよい。また、本発明の塗布剤には、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤が含有されていてもよい。
本発明の塗布剤の用途は、基材の表面を被覆することを目的とするものであれば特に制限されるものではなく、本発明の塗布剤によれば、近赤外線吸収性を有する塗膜を形成することができる。
ここに、油性の塗布剤を構成するバインダー樹脂としては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリ力一ボネ一ト樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、あるいはそれらの共重合樹脂を用いることができる。また、油性の塗布剤を構成する有機溶媒としては、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル溶媒系、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合溶媒を用いることができる。油性の塗布剤における燐酸エステル銅化合物の含有割合は、塗膜の厚み、目的とする近赤外線のカット率、目的とする可視光線の透過率などを考慮して適宜設定されるが、バインダー樹脂100質量部に対して通常0.1?100質量部である。また、バインダー樹脂の含有割合は、塗布剤全体に対して、通常1?50重量%である。
一方、水性の塗布剤の調製方法としては、燐酸エステル銅化合物を微粉化処理して数マイクロメーター以下の微粒子を調製し、当該微粒子を未着色のポリマ一エマルジョン中に分散させる方法を挙げることができる。」(第34頁第26行?第35頁第24行)

(コ)「<近赤外線吸収フィルム>
本発明の近赤外線吸収フィル厶は、上記の燐酸エステル銅化合物あるいは上記の組成物(本発明の組成物)から得られるものであり、下記に示すフィルムが包含される。
(1)上記の粉末またはペースト状物質(本発明の燐酸エステル銅化合物)をフィルム基材に塗布してなるフィルム
(2)上記の組成物(本発明の組成物)からなるフィルム(キャストフィルム)
(3)上記の単量体組成物(本発明の組成物)をフィルム基材の表面に塗布し、この塗布層を乾燥、重合処理することよって得られるフィルム
(4)上記の塗布剤をフィルム基材の表面に塗布して得られるフィルム
(5)上記の接着剤(本発明の接着剤)から形成される中間層を有する複合膜からなるフィルム
(6)上記の粘着剤(本発明の粘着剤)から形成される層を有する複合膜からなるフィルム
上記(1)?(6)のフィルムを構成するフィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレ一卜(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂等よりなるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記(1)?(6)のフィルムにおいて、フィルム基材の表面に、粉末またはペースト状物質(本発明の燐酸エステル銅化合物)、単量体組成物、接着剤、粘着剤あるいは塗布剤を塗布する方法としては、バーコーター、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーターなどを利用する塗布方法、スプレーによる塗布方法などが挙げられる。」(第36頁第20行?第37頁第14行)

(サ)「<近赤外線吸収板>
本発明の近赤外線吸収板は、上記の組成物(本発明の組成物)から得られるものであり、下記に示す板状体が包含される。
(1)上記の組成物(本発明の組成物)からなる板状体
(2)上記の粉末またはペ一スト状物質(本発明の燐酸エステル銅化合物)を基板の表面に塗布することよって得られる板状体
(3)上記の単量体組成物(本発明の組成物)を基板の表面に塗布し、この塗布層を乾燥、重合処理することよって得られる板状体
(4)上記の塗布剤を基板の表面に塗布して得られる板状体
(5)上記の接着剤(本発明の接着剤から形成される中間層を有する複合板
(6)上記の粘着剤(本発明の粘着剤)から形成される層を有する複合板
(7)樹脂板と樹脂フィルム(本発明の近赤外線吸収フィルム)とが中間層を介して接合された板状体
(8)ガラス板と樹脂フィルム(本発明の近赤外線吸収フィルム)とが中間層を介して接合された板状体
上記(3)および(4)の近赤外線吸収板を構成する基板としては、樹脂板およびガラス板を用いることができる。」(第37頁第22行?第38頁第10行)

(シ)「<光学フィルター>
本発明の光学フィルタ一は、上記の組成物(本発明の組成物)から得られるものである。
ここに、本発明の組成物から得られるフィルタ一には、本発明の組成物からなる光学フィルター、およびフィルター基体と本発明の組成物からなる近赤外線吸収層とを有してなる光学フィルターが包含される。
本発明のフィルターによれば、近赤外線領域の光を効率的にカッ卜することができ、しかも、当該領域の光を均等にカッ卜することができ、視感度補正補正フィルター、ノイズカッ卜フィルター、熱線吸収フィルター、プラズマディスプレイ用前面板として好適に用いることができる。」(第38頁第25行?第39頁第6行)

(ス)「<実施例1>
(1)アセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコールの調製:
酢酸120gおよび無水酢酸ナトリウム8.2gの混合物を85℃に加熱して保持し、この混合物にプロピレンオキサイド118gを3.5時間かけて滴下した。その後、85℃の温度で7時間保持することにより、酢酸および無水酢酸ナトリウムとプロピレンオキサイドとを反応させた。得られた反応生成液を冷却した後、析出した酢酸ナトリウムを濾別し、得られた濾液を減圧蒸留して、5mmHg、68?70℃における留分195gを得た。この留分をガスクロマ卜グラフィ一により分析したところ、下記式(46)で表される2-(アセチルオキシ)プロピルアルコールと、下記式(47)で表される1-(アセチルオキシメチル)エチルアルコールとの混合物(重量組成比34:66)であった。

(2)燐酸アセチルオキシアルキル(炭素数3)エステルの調製:
このようにして得られたアセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコールの混合物140gをジメトキシエタン250mlに溶解し、得られた溶液に五酸化燐52.2gを1時間かけて添加した。次いで、この溶液を60℃で5時間攪拌することにより、アセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコールと五酸化燐とを反応させた。その後、得られた反応生成液中のジメトキシエタンを減圧留去することにより、反応生成物173gを得た。この反応生成物は、無色の粘ちょうな液体であった。
上記反応の結果、式(6)で表されるモノ〔1-(アセチルオキシメチル)エチル〕ホスフェート、式(7)で表されるビス〔1-(アセチルオキシメチル)エチル〕ホスフェート、式(8)で表されるモノ〔2-(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフエート、式(9)で表されるビス〔2-(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフェートおよび式(10)で表される〔1-(アセチルオキシメチル)エチル〕〔2-(アセチルオキシ)プロピル〕ホスフェートの混合物が得られた。この燐酸エステル化合物の混合物の赤外吸収曲線を図1に示す。

(中略)

(3)燐酸アセチルオキシアルキル(炭素数3)エステル銅化合物の調製:
得られた燐酸エステル化合物の混合物10gと、酢酸銅一水和物6.15gとをトルエン80mlに懸濁させ、ディーン-シュタルク(Dean-Stark)の水分離器を用いて還流しながら、燐酸エステル化合物と酢酸銅一水和物とを反応させた。水および酢酸の生成が停止した後、得られた反応生成液中のトルエンの1/2量を留去し、室温に冷却した。次いで、反応生成液にヘキサン40mlを添加し、析出した結晶を濾過して乾燥することにより、淡青色の粉末状の燐酸エステル銅化合物9.9gを得た。以下、この燐酸エステル銅化合物(混合物)を「エステル銅(a)」 という。」(第43頁第5行?第45頁第11行)

(セ)「<実施例8>
エステル銅(a)を含有する樹脂製板状体の調製:
メチルメタクリレート95gに、実施例1で調製したエステル銅(a)5gを添加して混合し、更にα-メチルスチレン0.2gおよび重合開始剤としてt-ブチルパーオキシネオデカネート1.0gを添加した後、当該単量体組成物をガラスモールドに注入し、40℃で5時間、60℃で3時間、90℃で1時間と順次異なる温度で加熱して単量体組成物の注型重合を行うことにより、樹脂組成物よりなる厚みが3mmの板状体を製造した。」(第53頁第6?13行)

(ソ)「<実施例28>
市販のアクリル系コート剤「LR-2515」(三菱レーヨン社製,固形成分が約50質量%)100gに、実施例1で得られたエステル銅(a)5gを混合して溶解させた。このエステル銅(a)が含有されてなるコート剤をガラス基板の表面に塗布し、コート剤中の溶媒を蒸発させることにより、当該ガラス基板の表面に厚みが0.5mmのコート膜を形成し、以て近赤外線吸収板を作製した。この近赤外線吸収板の分光透過率曲線を測定した。結果を図15に示す。この図から明らかなように、この近赤外線吸収板は、近赤外線を高い効率で吸収するものであることが理解される。」(第60頁第10?18行)
なお、図15は、次のとおりのものである。


(タ)「<実施例29>
メチルメタクリレート95g中に、実施例1で得られたエステル銅(a)を溶解させることにより、液状の組成物を調製した。この液状の組成物を内壁面の間隔が3mmのガラス製のセル内に収容することにより、近赤外線吸収部材を作製した。この近赤外線吸収部材の分光透過率曲線を測定した。結果を図16に示す。この図から明らかなように、この近赤外線吸収部材は、近赤外線を高い効率で吸収するものであることが理解される。」(第60頁第19?25行)
なお、図16は、次のとおりのものである。


(チ)「<実施例30>
市販のエステル系コー卜剤「プラスコートRY-103」(互応化学工業社製, 固形成分が約30質量%)150gに、実施例1で得られたエステル銅(a)5gを混合して溶解させた。このエステル銅(a)が含有されてなるコート剤をガラス基板の表面に塗布し、コート剤中の溶媒を蒸発させることにより、当該ガラス板の表面に厚みが0.3mmのコート膜を形成し、以て近赤外線吸収板を作製した。この近赤外線吸収板の分光透過率曲線を測定した。結果を図17に示す。この図から明らかなように、この近赤外線吸収板は、近赤外線を高い効率で吸収するものであることが理解される。」(第60頁第26行?第61頁第6行)
なお、図17は、次のとおりのものである。


イ 甲第2号証に記載された発明
上記アの記載事項(ス)、(セ)に基づけば、甲第2号証には、実施例8として、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。
「酢酸120gおよび無水酢酸ナトリウム8.2gの混合物を85℃に加熱して保持し、この混合物にプロピレンオキサイド118gを3.5時間かけて滴下し、その後85℃の温度で7時間保持することにより、酢酸および無水酢酸ナトリウムとプロピレンオキサイドとを反応させ、得られた反応生成液を冷却した後、析出した酢酸ナトリウムを濾別し、得られた濾液を減圧蒸留して、5mmHg、68?70℃における留分195gを得て、
このようにして得られたアセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコールの混合物140gをジメトキシエタン250mlに溶解し、得られた溶液に五酸化燐52.2gを1時間かけて添加し、次いで、この溶液を60℃で5時間攪拌することにより、アセチルオキシアルキル(炭素数3)アルコールと五酸化燐とを反応させ、その後、得られた反応生成液中のジメトキシエタンを減圧留去することにより、反応生成物173gを得て、
得られた燐酸エステル化合物の混合物10gと、酢酸銅一水和物6.15gとをトルエン80mlに懸濁させ、ディーン-シュタルク(Dean-Stark)の水分離器を用いて還流しながら、燐酸エステル化合物と酢酸銅一水和物とを反応させ、水および酢酸の生成が停止した後、得られた反応生成液中のトルエンの1/2量を留去し、室温に冷却し、次いで、反応生成液にヘキサン40mlを添加し、析出した結晶を濾過して乾燥することにより、淡青色の粉末状の燐酸エステル銅化合物(以下、「エステル銅(a)」 という。)9.9gを得て、
メチルメタクリレート95gに、エステル銅(a)5gを添加して混合し、更にα-メチルスチレン0.2gおよび重合開始剤としてt-ブチルパ一オキシネオデカネート1.0gを添加して得た、単量体組成物。」

(3)甲第4号証
ア 甲第4号証の記載事項
本件特許の優先権主張の日前の2011年(平成23年)6月16日に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された引用文献であり、特許異議申立人が提出した甲第4号証(国際公開第2011/071052号)には、以下の記載事項がある。なお、下線は、合議体が、甲第4号証に記載された発明の認定等に活用した箇所を示す。

(ア)「技術分野
[0001] 本発明は、近赤外線遮断効果を有するフィルム状または薄板状の光学部材、近赤外線カットフィルタ、撮像装置用レンズおよび固体撮像素子に関し、また、それらを用いた撮像・表示装置に関する。

(中略)

発明が解決しようとする課題
[0012] 本発明は、製造コストが安く、十分な小型化、薄型化を図ることができ、また、反射型フィルタのような入射角度の問題がなく、さらに、近赤外線遮断特性にも十分に優れるフィルム状または薄板状の光学部材、および近赤外線カットフィルタを提供することを目的とする。

(中略)

課題を解決するための手段
[0016] 本発明の一態様によれば、フィルム状または薄板状の光学部材であって、少なくともCuおよびPを含む酸化物の結晶子からなり、数平均凝集粒子径が20nm以上200nm以下である近赤外線吸収粒子を含有する、光学部材が提供される。
[0017] 前記酸化物は、下式(1)で表わされる化合物(例えば、LiCuPO_(4)、Mg_(1/2)CuPO_(4)等)であるのが好ましい。
A_(1/n)CuPO_(4) …(1)
(式(1)中、Aは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)およびNH_(4)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、添字のnは、Aがアルカリ金属またはNH_(4)の場合は1であり、Aがアルカリ土類金属の場合は2である。)
前記酸化物は、下式(1)で表わされる化合物(例えば、LiCuPO_(4)、Mg_(1/2)CuPO_(4)等)であるのが好ましい。
A_(1/n)CuPO_(4) …(1)
(式(1)中、Aは、アルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Sr、Ba)およびNH_(4)からなる群より選ばれる1種であり、添字のnは、Aがアルカリ金属またはNH_(4)の場合は1であり、Aがアルカリ土類金属の場合は2である。)

(中略)

発明の効果
[0039]
本発明によれば、良好な赤外線遮断機能を有し、かつ撮像装置、表示装置の十分な小型化、薄型化、低コスト化を図ることができる、光学部材、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、およびレンズ、並びに、これらを用いた撮像装置、表示装置を得ることができる。」

(イ)「発明を実施するための形態
[0041] 以下、本発明の実施形態のそれぞれについて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態は、近赤外線吸収粒子(以下、nIR吸収粒子ともいう)を含有するフィルム状または薄板状の光学部材に関する。
[0042] 本実施形態に用いられるnIR吸収粒子は、少なくともCuおよびPを含む酸化物の結晶子からなり、数平均凝集粒子径が20nm以上200nm以下のものであり、好ましくは、前述した式(1)で表わされる化合物の結晶子からなり、数平均凝集粒子径が20nm以上200nm以下のものである。結晶子を吸収物質として使用することにより、結晶構造に起因する近赤外線吸収特性を維持できる。また、結晶子は微粒子であるため、光学部材中に高濃度で吸収物質を含有させることが可能となり、単位長あたりの吸収能を高めることができる。

(中略)

[0079] 光学部材には、A_(1/n)CuPO_(4)化合物の結晶子からなるnIR吸収粒子以外の近赤外線ないし赤外線吸収材を含有させることができる。この場合、光学部材は、上記nIR吸収粒子および/または上記少なくともCuおよびPを含む酸化物の結晶子のない近赤外線ないし赤外線吸収材を含む層の多層構造とすることができる。
[0080] 上記したnIR吸収粒子以外の近赤外線ないし赤外線吸収材としては、例えばITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、ホウ化ランタン等の無機微粒子、有機系色素等が挙げられる。そのなかでも、ITO粒子は、可視波長領域の光の透過率が高く、かつ1200nmを超える赤外波長領域も含めた広範囲の光吸収性を有するため、赤外波長領域の光の遮蔽性を必要とする場合に特に好ましい。ITO粒子は、光学部材中に、0.5質量%以上30質量%以下含有させることが好ましく、1質量%以上30質量%以下含有させることがより好ましい。含有量が0.5質量%以上であれば、赤外波長領域の光の遮蔽性に対し一定の効果が得られる。ITO粒子の含有量が30質量%以下であれば、可視波長領域の光に吸収を示さず、透明性を保持できる。
[0081] ITO粒子の数平均凝集粒子径は、散乱を抑制し、透明性を維持する点から、5nm以上200nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、5nm以上70nm以下であることがより一層好ましい。
[0082] 有機系色素としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物等が使用できる。」

(ウ)「[0238][nIR吸収粒子の製造]
52質量%リン酸水素二カリウム(純正化学製)水溶液500gを撹拌しながら、この中に5質量%硫酸銅・五水和物(純正化学製)水溶液500gを加え、5時間以上室温にて撹拌し、水色溶液(PO_(4)^(3-)/Cu^(2+)(モル比)=15)を得た。
[0239] 得られた水色溶液から生成物を吸引濾過によって分離し、水およびアセトンで洗浄し、水色の生成物を得た。生成物をるつぼに移し、100℃で4時間真空乾燥した後、ワンダーブレンダー(大阪ケミカル社製、以下同じ)を用いて、30秒間の乾式粉砕を2回行った。
[0240] 粉末状態の生成物をるつぼに移し、大気中で、600℃で8時間焼成し、黄緑色の焼成物を得た。焼成物について、ワンダーブレンダーを用いて、30秒間の乾式粉砕を2回行った。得られた黄緑色の焼成物は15.4gであり、硫酸銅・五水和物のモル数を基準とした場合の収率は78%であった。
[0241] 焼成物についてX線回折を測定した。X線回折の結果から、KCuPO_(4)の結晶構造を確認でき、焼成物は、実質的にKCuPO_(4)の結晶子からなる粒子であることが同定された。
[0242] 上記焼成物を水に分散させ、固形分濃度10質量%の分散液とし、超音波ホモジナイザで処理した後、湿式微粒子化装置(スギノマシン社製、スターバーストミニ)を用いて湿式粉砕を行った。分散液がオリフィス径を通過する回数を湿式粉砕処理回数とする。本例においては、湿式粉砕処理回数を20回とした。
[0243] 湿式粉砕後の分散液から解砕物を遠心分離し、るつぼに移して150℃で乾燥し、黄緑色の解砕物を得た。解砕物について、ワンダーブレンダーを用いて、30秒間の乾式粉砕を2回行った。
[0244] 解砕物についてX線回折を測定した。X線回折の結果から、KCuPO_(4)の結晶構造を確認でき、解砕物は、実質的にKCuPO_(4)の結晶子からなるnIR吸収粒子であることが同定された。結晶子の大きさは27nmであった。また、nIR吸収粒子の粒子径測定用分散液を調製し、数平均凝集粒子径を測定したところ、89nmであった。さらに、nIR吸収粒子の拡散反射スペクトル(反射率)を測定し、反射率の変化量Dを求めたところ、-0.46%/nmであった。

(中略)

[0252][近赤外線カットフィルタの製造]
(実施例5)
上記した製造方法により得られたnIR吸収粒子と、メタクリル樹脂(ADELL社製、商品名 HV153;屈折率1.63)とを、固形分がnIR吸収粒子37質量%およびメタクリル樹脂63質量%となるような割合で混合した後、この混合液に直径0.5mmのジルコニアビーズを加え、ボールミルを用いて粉砕し、分散液を得た。得られた分散液を、厚さ1.3mmのガラス板(ソーダガラス)上にスピンコータ(ミカサ社製 スピンコータMS-A200)を用いて塗布し、120℃で1分間加熱乾燥して、厚さ100μmの光学フィルタを作製した。かかる光学フィルタは、本発明の第2の実施態様の近赤外線カットフィルタに該当する。ベースラインを厚さ1.3mmのガラス板として、この光学フィルタの透過率を測定した。結果を表2および図20(透過スペクトル)に示す。
[0253] (実施例6)
上記nIR吸収粒子と、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、商品名 バイロン103;屈折率1.60乃至1.61)の30質量%シクロヘキサノン溶液とを、固形分がnIR吸収粒子44質量%およびポリエステル樹脂56質量%となるような割合で混合し、自転・公転式ミキサーで撹拌し、分散液を得た。得られた分散液を、厚さ3.5mmのガラス板(旭硝子社製フロート板ガラス、品種クリアFL3.5)上にフィルムアプリケーター(安田精機製作所製 No.548-YKG)を用いて塗布し、150℃で15分間加熱して、厚さ50μmの近赤外線吸収層(III)(吸収層(III)と表記)を形成した。
[0254] また、ITO粒子(富士チタン社製;結晶子の大きさ38nm)を分散剤とともにエタノールに混合し、固形分濃度20重量%の分散液を得た。
[0255] このITO粒子含有分散液を、近赤外線吸収層(III)上にスピンコータ(スピンコータMS-A200)を用いて塗布し、150℃15分間加熱して、厚さ4μmの近赤外線吸収層(吸収層(IV)と表記)を形成し、光学フィルタを作製した。かかる光学フィルタは、本発明の第2の実施態様の近赤外線カットフィルタに該当する。ベースラインを厚さ3.5mmのガラス板として、この吸収層(III)と吸収層(IV)とからなる2層構成の吸収膜の透過率を測定した。結果を表2および図21(透過スペクトル)に示す。」

(中略)

[0274]
[表2]



イ 甲第4号証に記載された発明
上記アの記載事項(ウ)に基づけば、甲第4号証には、実施例6として、次の発明(以下、「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「KCuPO_(4)の結晶子からなるnIR吸収粒子と、ポリエステル樹脂(東洋紡績社製、商品名 バイロン103;屈折率1.60乃至1.61)の30質量%シクロヘキサノン溶液とを、固形分がnIR吸収粒子44質量%およびポリエステル樹脂56質量%となるような割合で混合し、自転・公転式ミキサーで撹拌し、分散液を得て、分散液を、厚さ3.5mmのガラス板(旭硝子社製フロート板ガラス、品種クリアFL3.5)上にフィルムアプリケーターを用いて塗布し、150℃で15分間加熱して、厚さ50μmの近赤外線吸収層(III)を形成し、
ITO粒子(富士チタン社製;結晶子の大きさ38nm)を分散剤とともにエタノールに混合し、固形分濃度20重量%の分散液を得て、ITO粒子含有分散液を、近赤外線吸収層(III)上にスピンコータを用いて塗布し、150℃15分間加熱して、厚さ4μmの近赤外線吸収層(IV)を形成して作製した、近赤外線カットフィルタ。」


(4)甲第5号証
本件特許の優先権主張の日前の平成23年4月7日に、日本国内又は外国において頒布された刊行物であり、特許異議申立人が提出した甲第5号証(特開2011-68731号公報)には、以下の記載事項がある。なお、下線は、合議体が、技術的事項の認定に活用した箇所を示す。

ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、不可視性の高い近赤外吸収性の硬化性組成物、インク組成物、インクジェット用インクおよびレジスト液に関する。また本発明は、該インクジェット用インクおよびレジスト液を用いた近赤外線吸収フィルタの製造方法に関する。

(中略)

【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、不可視性が高い近赤外吸収性の硬化性組成物、インク組成物、インクジェット用インクおよびレジスト液を提供することを課題とする。また本発明は、該インクジェット用インクおよびレジスト液を用いた近赤外線吸収フィルタの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、下記の手段によって解決された。
<1>下記一般式(1)で表される近赤外吸収性色素を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【化1】

(式中、R^(1a)及びR^(1b)は互いに同じであっても異なっていてもよく、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R^(2)及びR^(3)は各々独立に水素原子または置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R^(2)及びR^(3)は結合して環を形成してもよい。R^(4)は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R^(1a)、R^(1b)及び/又はR^(3)と共有結合もしくは配位結合していてもよい。)

(中略)

【発明の効果】
【0008】
本発明の硬化性組成物は、近赤外線吸収能を有し、可視部での吸収がきわめて低く、当該硬化性組成物を用いて作製された硬化膜は、近赤外での吸収性と不可視性の両方の特性を併せ持つという優れた作用効果を奏する。
また、本発明の硬化性インク組成物を含むインクジェット用インクの塗膜を形成し、その後、当該塗膜を硬化させて製造された画像は耐光性に優れ、不可視性が高いため見た目に目立たず、かつ近赤外線で読み取ることができ、水や溶剤などによる滲みにも耐性を有する。
さらに、基板上に形成された隔壁により区画された凹部に、硬化性インク組成物を含むインクジェット用インクの液滴を付与して硬化させて製造された、近赤外線吸収フィルタは、耐光性に優れ、可視部での吸収がほとんどなく、近赤外領域の光をカットすることができる。そのため、この近赤外線吸収フィルタは、固体撮像素子として使用することができる。
また、硬化性組成物を含むレジスト液を基板上に塗布して層を形成する工程と、前記基板上に形成した硬化性組成物の層に対し、マスクを介して露光した後、現像してパターン像を形成する工程を有する近赤外線吸収フィルタの製造方法により、1画素ごとに近赤外線吸収フィルタを形成することができる。」

イ 「【0011】
<近赤外線吸収色素>
まず本発明で用いられる近赤外吸収性色素について説明する。
本発明の硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される近赤外吸収性色素を含有する。
【化5】


(中略)

【0050】
次に、前記一般式(1)?(4)で表される近赤外吸収性色素(以下、「近赤外吸収性色素」という。)の合成法について説明する。
近赤外吸収性色素は、該当するジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ、場合によっては、さらに、ホウ素や金属を反応させることで合成することができる。ジケトピロロピロール化合物は、「ハイパフォーマンス・ピグメンツ(High Performance Pigments)」,Wiley-VCH,2002年,160?163ページに記載の方法で合成できる。より具体的には、米国特許第5,969,154号明細書や特開平9-323993号公報に記載の方法で合成できる。また、ジケトピロロピロール化合物と活性メチレン化合物との縮合反応やその後のホウ素化については、非特許文献Angewante Chemie International Edition of English,第46巻,第3750?3753ページ(2007年)や、本発明の実施例に記載の方法で製造することができる。ホウ素化試薬はJ.Med.Chem.第3巻356?360頁(1976年)を参考にして合成することができる。また、例えばブロモカテコールボランは東京化成工業社より購入して使用することができる。
【0051】
近赤外吸収性色素は、特に限定されないが、好ましくは700?1200nm、より好ましくは700?1000nmに吸収極大を有する。これらの近赤外吸収性色素は、波長700nm以上1000nm以下の赤外線を選択的に吸収することが好ましい。これらの近赤外吸収性色素は、モル吸光係数εは特に限定されないが、好ましくは50,000?500,000であり、より好ましくは100,000?300,000である。」

3 当審の判断

(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と、甲1発明とを対比する。

(ア)硬化性樹脂組成物
甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、「樹脂溶液(D-6)を、ガラス基板の硬化層上にスリットコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発除去し、露光し、その後焼成」することにより、「樹脂層」が形成されるものであるから、「硬化性」であるといえる。
したがって、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、技術的にみて、本件特許発明1の「硬化性樹脂組成物」に相当するといえる。

(イ)色素
甲1発明の「近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)」は、技術的にみて、本件特許発明1の「色素」に相当する。
また、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、「樹脂溶液(D-6)を、ガラス基板の硬化層上にスリットコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発除去し、露光し、その後焼成して得た積層板(K-12)のガラス基板上に、多層蒸着膜を形成して近赤外線カットフィルター(K’-12)」とした場合の「樹脂層膜厚が30.5μm」である。そうしてみると、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、本件特許発明1の「硬化性樹脂組成物」における「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る」という要件を満たすものである。
さらに、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、「樹脂溶液(D-6)を、ガラス基板の硬化層上にスリットコーターを用いて塗布し、溶剤を揮発除去し、露光し、その後焼成して得た積層板(K-12)のガラス基板上に、多層蒸着膜を形成して近赤外線カットフィルター(K’-12)」とした場合の「吸収極大波長が769nm」である。そうしてみると、甲1発明の「近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)」は、技術的にみて、本件特許発明1の「色素」における「波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する」という要件を満たすものである。
したがって、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、本件特許発明1の「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する」という要件を満たしている。

(ウ)界面活性剤
甲1発明の「界面活性剤(共重合体(S-3))」は、「式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体」を含む単量体を共重合を行って得られたものである。そうしてみると、甲1発明の「界面活性剤(共重合体(S-3))」は、本件特許発明1の「界面活性剤」及び「フッ素系界面活性剤」に相当する。
また、甲1発明の「界面活性剤(共重合体(S-3)」は、全単量体100部に対し、「式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体」を28.4質量部を用いたものであって、「式M-1-1で表わされるフッ素化アルキル基含有単量体」におけるフッ素含有率は、0.6程度(単量体中のフッ素原子の重量:17×3/単量体の分子量:約518)である。そうしてみると、甲1発明の「界面活性剤(共重合体(S-3)」におけるフッ素含有率は、17%程度(28.4×0.6)である。
したがって、甲1発明の「界面活性剤(共重合体(S-3)」は、本件特許発明1の「フッ素系界面活性剤」における「フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である」という要件を満たすものである。

(エ)一致点及び相違点
以上より、本件特許発明1と甲1発明とは、
「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点1-1]色素が、本件特許発明1は「ピロロピロール色素又は銅錯体」であるのに対して、甲1発明は、「近赤外線吸収剤Lumogen IR765(BASF社製)」である点。
[相違点1-2]本件特許発明1の「硬化性樹脂組成物」は、「固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である」のに対して、甲1発明の「樹脂溶液(D-6)」は、固形分濃度が約8.6質量%((100+0.10+0.15)/(1010+150))であって、25℃における粘度が明らかとされていない点。

イ 判断
事案に鑑みて、[相違点1-1]について検討する。
甲第1号証の記載事項(ア)における「本発明は、視野角が広く、さらに、近赤外線カット能に優れ、更にハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有する、特にCCD、CMOS等の固体撮像装置に好適に用いることができる近赤外線カットフィルターを得ることを目的とする。」(段落【0009】)という記載に基づけば、甲1発明は、「視野角が広く、さらに、近赤外線カット能に優れ、更にハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有する」近赤外線カットフィルターを得ることを課題としているといえる。そして、甲第1号証の記載事項(イ)には、「本発明の近赤外線カットフィルターに用いることができる近赤外線吸収剤は、(iv)大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が、好ましくは250℃以上であり、更に好ましくは260℃以上、特に好ましくは270℃以上である。重量減少温度が前記条件を満たすことで、高温条件下でも分解することなく、ハンダリフロー工程での使用に十分な熱性が確保され、安定した品質の近赤外線カットフィルターを提供することができる。」(段落【0051】)、「このような近赤外線吸収剤としては、例えば、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素が挙げられる。」(段落【0053】)と記載されている。上記記載に基づけば、甲第1号証には、甲第1号証における課題を解決するために、近赤外線カットフィルターに用いることができる近赤外線吸収剤について、大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が250℃以上の近赤外線吸収剤を用いることが記載されている。そして、甲第1号証には、このような条件を満たす近赤外線吸収剤として様々な色素等が挙げられているものの、「ピロロピロール色素又は銅錯体」を用いることについては、記載も示唆もなされていない。
一方、甲第2号証には、例えば記載事項(コ)に、「本発明の近赤外線吸収フィル厶は、上記の燐酸エステル銅化合物あるいは上記の組成物(本発明の組成物)から得られるもの」と記載されている。甲第2号証の記載事項(エ)には、「本発明の燐酸エステル化合物は、 適宜の銅イオン供給化合物によって銅イオンが供給されると、燐酸基と銅イオンとが配位結合またはイオン結合する。」と記載されていることから、甲第2号証には、近赤外線吸収フィルムに用いられる色素として、銅錯体である「燐酸エステル銅化合物」を用いることが示されているといえる。しかし、甲2号証には、上記燐酸エステル銅化合物の5%重量減少温度について何ら記載されておらず、上記燐酸エステル銅化合物がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することを示唆する記載もなく、燐酸エステル銅化合物がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することが、当業者にとって自明であるともいえない。また、甲第4号証には、記載事項(ア)に、「少なくともCuおよびPを含む酸化物の結晶子からなり、数平均凝集粒子径が20nm以上200nm以下である近赤外線吸収粒子を含有する、光学部材」が記載されており、記載事項(イ)には、近赤外線吸収粒子(nIR吸収粒子)以外の近赤外線ないし赤外線吸収材として、「ITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、ホウ化ランタン等の無機微粒子、有機系色素等」を含有させること、「有機系色素としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物等が使用できる」ことも記載されている。しかし、甲4号証には、「ピロロピロール色素又は銅錯体」を用いることについては、記載も示唆もなされていない。さらに、甲第5号証には、記載事項イに、「近赤外吸収性色素は、該当するジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ、場合によっては、さらに、ホウ素や金属を反応させることで合成すること」が記載されている。しかし、甲第5号証には、上記近赤外吸収性色素の5%重量減少温度について何ら記載されておらず、上記近赤外吸収性色素がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することを示唆する記載もなく、近赤外吸収性色素がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することが、当業者にとって自明であるともいえない。
以上より、甲1発明における近赤外線吸収剤は、高温条件下でも分解することなく、ハンダリフロー工程での使用に十分な熱性を確保するために、大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が、250℃以上であることが必要とされるところ、ピロロピロール色素及び銅錯体が上記条件を満たす近赤外線吸収剤であることは知られていない。そうすると、仮に、「ピロロピロール色素又は銅錯体」が周知の近赤外線吸収剤であったとしても、甲1発明における近赤外線吸収剤として、「ピロロピロール色素又は銅錯体」を採用しようとする動機付けはない。
したがって、当業者であっても、甲1発明における近赤外線吸収剤「Lumogen IR765」の代わりに、「ピロロピロール色素又は銅錯体」を採用しようと考えたとはいえないから、本件特許発明1の[相違点1-1]に係る構成とすることが、容易になし得たということはできない。

ウ 特許異議申立人の意見
令和元年7月8日に提出された意見書において、特許異議申立人は、本件特許発明1に対し、「甲1発明の「近赤外線吸収剤」として甲2発明の「銅錯体」を適用することは、格別の技術的困難性を伴うものではなく、適宜に採用し得る設定的事項である。」と主張している。
しかしながら、前記イにおいて検討したとおり、甲1発明における近赤外線吸収剤は、高温条件下でも分解することなく、ハンダリフロー工程での使用に十分な熱性を確保するために、大気中で熱重量分析にて測定した5%重量減少温度が、250℃以上であることが必要とされるものであるから、甲第2号証の開示により、「銅錯体」が本件特許の優先権主張の日前に当業者に知られていたとしても、甲1発明における近赤外線吸収剤として、「ピロロピロール色素又は銅錯体」を採用しようとする動機付けがない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。

エ 以上のとおりであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明1は、当業者であっても、甲1発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)本件特許発明4について
ア 対比
本件特許発明4と、甲2発明とを対比する。

(ア)硬化性樹脂組成物
甲2発明の「単量体組成物」は、「メチルメタクリレート」及び「重合開始剤としてt-ブチルパ一オキシネオデカネ一ト」を含むものであるから、技術的にみて、硬化性の組成物であるといえる。そうすると、甲2発明の「単量体組成物」は、本件特許発明4の「硬化性樹脂組成物」に相当する。

(イ)色素
甲2発明の「エステル銅(a)」は、「淡青色の粉末状」である。そうすると、甲2発明の「エステル銅(a)」は、技術的にみて、本件特許発明4の「色素」に相当する。
そして、甲第2号証の図16には、「エステル銅(a)」とメチルメタクリレートからなる液状の組成物(実施例29)が800?850nm辺りに極大吸収を有することが示されている。
そうしてみると、甲2発明の「エステル銅(a)」は、本件特許発明4の「色素」における「波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する」という要件を満たすものである。
したがって、甲2発明の「単量体組成物」は、本件特許発明4の「波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素」を含有するという要件を満たしている。

(ウ)重合性化合物
甲2発明の「メチルメタクリレート」は、技術的にみて、本件特許発明4の「重合性化合物」に相当する。
また、甲2発明の「メチルメタクリレート」は、本件特許発明4の「重合性化合物が単量体である」とする要件を満たしている。

(エ)以上より、本件特許発明4と甲2発明とは、
「波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点4-1]硬化性樹脂組成物が、本件特許発明4は、「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る」とされるのに対し、甲2発明は、「20μm以上の膜厚となるように塗布し得る」かどうかが明らかでない点。
[相違点4-2]本件特許発明4は、「固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下」であるのに対し、甲2発明は、固形分濃度及び粘度が明らかとされていない点。
[相違点4-3]色素が、本件特許発明4は、「ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種」であるのに対し、甲2発明は、「エステル銅(a)」である点。

イ 判断
事案に鑑みて、[相違点4-3]について検討する。
甲第2号証の記載事項(ア)に基づけば、甲2発明は、「銅イオンが有する近赤外線吸収機能を効率的に発現させることができる新規な燐酸エステル化合物」よりなる「近赤外線吸収性の組成物」を前提とする発明である。そして、甲第2号証の記載事項(イ)の「本発明の第1の目的は、銅イオンが有する近赤外線吸収機能を効果的に発現させることができ、銅イオンを種々の媒体中に容易に分散または溶解させることができる新規な燐酸エステル化合物を提供することにある」との記載に基づけば、甲2発明は、銅イオンを種々の媒体中に容易に分散または溶解させることができる新規な燐酸エステル化合物を提供することを、目的としている。
そうすると、近赤外線吸収フィルムを形成するための硬化性樹脂組成物において、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素等の色素を用いることが、仮に周知技術であったとしても、甲2発明の「エステル銅(a)」を、銅イオンを有さない他の色素に代えるとすると、甲2発明の前提条件を変更し、甲第2号証が掲げる目的を達しないものとなる。
したがって、甲2発明の「エステル銅(a)」を、銅イオンを有さない他の色素に代える動機付けは見いだせず、当業者であったとしても、甲2発明の「エステル銅(a)」を、変更し、本件特許発明4の上記[相違点4-3]に係る構成とすることが、容易になし得るということはできない。

ウ 小括
以上のとおりであるから、その他の相違点について検討するまでもなく、本件特許発明4は、当業者であっても、甲2発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)本件特許発明2、9?11、14?30について
本件特許発明1の記載を引用する本件特許発明2、9?11、14?30は、何れも、本件特許発明1と同じ、色素が、「ピロロピロール色素又は銅錯体」であるという構成を有している。そうすると、本件特許発明1の記載を引用する本件特許発明2、9?11、14?30は、本件特許発明1と同じ理由により、当業者であっても、甲1発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。
また、本件特許発明4を引用する本件特許発明5?11、14?30は、何れも、本件特許発明4と同じ、色素が、「ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種」であるという構成を有している。そうすると、本件特許発明4の記載を引用する本件特許発明5?11、14?30は、本件特許発明4と同じ理由により、当業者であっても、甲2発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということができない。

(4)むすび
以上のとおり、本件特許発明1、2、4?6、9?11、14?30は、当業者であっても、甲1発明又は甲2発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明1、2、4?6、9?11、14?30は、特許法第29条第2項の規定を満たしている。


第5 取消理由通知<決定の予告>において採用しなかった記載した取消理由
1 取消理由の概要
平成30年11月27日付けで通知された取消理由のうち、平成31年3月29日付けで通知された取消理由<決定の予告>において採用しなかった取消理由の概要は、以下のとおりである。

本件特許発明12及び本件特許発明13は、本件特許の優先権主張の日前に、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明が記載された引用文献である甲第4号証に記載された発明、及び、本件特許の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第5号証の記載事項に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

2 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明
各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明は、前記第4の2に記載したとおりである。

3 当審の判断

(1)本件特許発明12について
ア 対比
本件特許発明12と、甲4発明とを対比する。

(ア)赤外線カットフィルタ
甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」は、「ガラス板」上に形成した「近赤外線吸収層(III)」上に、さらに「近赤外線吸収層」を形成して作製したものである。
そうすると、甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」は、本件特許発明12の「赤外線カットフィルタ」に相当する。

(イ)第1の色素含有層
甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」における「近赤外線吸収層(III)」は、「KCuPO_(4)の結晶子からなるnIR吸収粒子」を含む分散液を、ガラス板上にフィルムアプリケーターを用いて塗布し、150℃で15分間加熱して形成したものである。そして、甲4発明の「KCuPO_(4)の結晶子からなるnIR吸収粒子」は、技術的にみて、「色素」であるといえる。
そうすると、甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」における「近赤外線吸収層(III)」は、本件特許発明12の「赤外線カットフィルタ」における「第1の色素含有層」に相当する。

(ウ)第2の色素含有層
甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」における「近赤外線吸収層(IV)」は、「ITO粒子」含有分散液を、近赤外線吸収層(III)上にスピンコータを用いて塗布し、150℃15分間加熱して形成したものである。そして、甲4発明の「ITO粒子」は、技術的にみて、「色素」であるといえる。
そうすると、甲4発明の「近赤外線カットフィルタ」における「近赤外線吸収層(IV)」は、本件特許発明の「赤外線カットフィルタ」における「第2の色素含有層」に相当する。

(エ)以上より、本件特許発明12と甲4発明とは、
「第1の色素含有層と、第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタ。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点12]第1の色素含有層及び第2の色素含有層が含有する色素が、本件特許発明12では「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」であるのに対し、甲4発明では「KCuPO_(4)の結晶子」及び「ITO粒子」である点。

イ 判断
甲第4号証の記載事項(イ)には、「光学部材には、A_(1/n)CuPO_(4)化合物の結晶子からなるnIR吸収粒子以外の近赤外線ないし赤外線吸収材を含有させることができる」(段落[0079])こと、「nIR吸収粒子以外の近赤外線ないし赤外線吸収材としては、例えばITO(Indium Tin Oxides)、ATO(Antimony-doped Tin Oxides)、ホウ化ランタン等の無機微粒子、有機系色素等が挙げられる」(段落[0080])こと、「有機系色素としては、例えば、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物、ジイモニウム系化合物、ポリメチン系化合物、フタリド化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、インドフェノール系化合物等が使用できる」(段落[0082])ことが記載されている。しかしながら、甲第4号証には、近赤外線ないし赤外線吸収材として、本件特許発明12において特定される配位子を有する銅錯体又はピロロピロール色素を採用することについて、記載も示唆もない。
また、甲第5号証の記載事項イには、「ジケトピロロピロール化合物に、活性メチレン化合物を縮合させ」て合成した近赤外吸収性色素が記載されている。さらに、甲第2号証には、前記第4の3(1)イに記載したとおり、近赤外線吸収フィルムに用いられる色素として、銅錯体である「燐酸エステル銅化合物」を用いることが示されている。しかしながら、甲第2号証及び甲第5号証には、銅錯体及びピロロピロール色素がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することを示唆する記載がなく、銅錯体及びピロロピロール色素がハンダリフロー工程での使用に適した耐熱性を有することが、当業者にとって自明であるともいえない。
そして、本件特許の段落【0053】には「リフロー工程に耐え得る耐熱性の観点から、ピロロピロール色素及び銅錯体を組み合わせて使用することが好ましい。また2種以上の色素を使用する場合には、それらの色素は同一の層に含有させても、異なる層に含有させてもよい。」と記載され、段落【0132】には「また、色素含有層は多層から構成されていてもよい。例えば、第1の色素含有層には銅錯体を含有させ(銅錯体含有層)、第2の色素含有層には銅錯体と異なる色素(好ましくはピロロピロール色素)を含有させる。・・・異なる2種類の色素を併用することで、所望の波長の光を遮光することができ、また第2の色素含有層を銅錯体含有層で覆うことで、第2の色素含有層の色素の耐熱性が不十分であって、リフロー工程に耐えることができる。」と記載され、段落【0145】には「例えば、銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタは、リフロー工程における耐熱性の観点から好ましい。」と記載されている。上記記載に基づけば、本件特許発明12は、第1の色素含有層及び第2の色素含有層が含有する色素を「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」とすることにより、リフロー工程における耐熱性に優れるという効果を奏するといえる。
以上のとおり、甲第4号証には、近赤外線ないし赤外線吸収材として、本件特許発明12において特定される配位子を有する銅錯体又はピロロピロール色素を採用することについて、記載も示唆もなく、近赤外線ないし赤外線吸収材を「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」としたことの効果も、当業者が予測できたものということはできない。したがって、当業者であっても、甲4発明の「KCuPO_(4)の結晶子」及び「ITO粒子」を、「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」に代えることが容易になし得るとはいえない。

ウ 特許異議申立人の意見
平成31年3月7日に提出された意見書において、特許異議申立人は、本件特許発明12に対し、「甲2発明における燐酸エステル銅化合物は、銅錯体であって色素に相当するものであるから、該燐酸エステル銅化合物を甲4発明の銅錯体として適用することに何らの技術的困難性はない。」と主張している。また、令和元年7月8日に提出された意見書においても同様の主張を行っている。
しかしながら、前記イにおいて検討したとおり、本件特許発明12は、第1の色素含有層及び第2の色素含有層が含有する色素を「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」とすることにより、リフロー工程における耐熱性に優れるという効果を奏するものである。そして、そのような効果を奏することは、甲第2号証には記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明であるということもできない。
したがって、特許異議申立人の上記主張は、採用することができない。

エ 小括
以上のとおりであるから、本件特許発明12は、当業者であっても、甲4発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)本件特許発明13について
本件特許発明13は、本件特許発明12と同じ、第1の色素含有層及び第2の色素含有層が含有する色素が、「銅錯体」及び「ピロロピロール色素」であるという構成を有している。そうすると、本件特許発明13は、本件特許発明12と同じ理由により、当業者であっても、甲4発明に基づいて、容易に発明をすることができたものということはできない。

(3)むすび
以上のとおり、本件特許発明12及び13は、当業者であっても、甲4発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、本件特許発明12及び13は、特許法第29条第2項の規定を満たしている。


第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由
1 異議申立理由の概要
特許異議申立人が主張する異議申立理由のうち、平成30年11月27日付けで通知した取消理由及び平成31年3月29日付けで通知した取消理由<決定の予告>において採用しなかった異議申立理由の概要は、以下のとおりである。

(1)非採用異議申立理由1
本件特許発明4、6、15、17は、本件特許の優先権主張の日前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証の記載事項に基づいて、その優先権主張の日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

(2)非採用異議申立理由2
本件特許発明3の記載及び本件特許発明3の記載を引用する本件特許発明6、9?11、14、17の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、取り消すべきものである。

2 各甲号証の記載及び各甲号証に記載された発明
各甲号証の記載事項及び各甲号証に記載された発明は、前記第4の2に記載したとおりである。

3 当審の判断
(1)非採用異議申立理由1
ア 甲1’発明の認定について
特許異議申立人は、特許異議申立書において、甲第1発明には以下の発明が記載されていると主張している。
「1?100μmの膜厚となるように塗布し得る波長600?800nmの範囲内に極大吸収波長を有する近赤外線吸収剤及び(メタ)アクリル酸エステルを含有する組成物であって、
固形分濃度が60質量%であり、当該組成物を塗布し溶剤を乾燥させて樹脂層を形成し、
前記近赤外線吸収剤が、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素およびポルフィリン系色素から選択される少なくとも1種である、組成物。」

しかしながら、甲第1号証には、「組成物」が「1?100μmの膜厚となるように塗布」し得ること、「(メタ)アクリル酸エステルを含有する」こと、「固形分濃度が60質量%」であることが記載されていない。
甲第1号証の段落【0036】には、形成される樹脂層の厚みについて、「好ましくは1?100μm、さらに好ましくは2?50μm、特に好ましくは、3?30μmであることが望ましい。」との記載があるが、上記厚みを「塗布」により形成するものとしていない。段落【0080】には、ペレットを溶融形成する方法も挙げられている。また、甲第1号証の段落【0084】?【0099】には、樹脂層とは別に設けられる「硬化層」に「(メタ)アクリロイル基含有化合物」に由来する構造単位を有することが記載されているに過ぎず、近赤外線吸収剤と共に(メタ)アクリル酸エステルを含有する樹脂組成物について何ら記載がない。さらに、甲第1号証の段落【0080】には、液状樹脂組成物が記載されるものの、固形分濃度については何ら記載がない。
したがって、甲第1号証には、特許異議申立人が主張するような上記発明が記載されていたとはいえない。

甲第1号証の段落【0053】に列記された近赤外線吸収剤を含む組成物に関する発明として、甲第1号証には、前記第4の2(1)イ(イ)に記載した「甲1’発明」が記載されている。

イ 対比
本件特許発明4と甲1’発明とを対比すると、少なくとも、以下の点で相違する。
[相違点]本件特許発明4は、「重合性化合物」を含有するのに対し、甲1’発明は、重合性化合物を含有しない。

ウ 判断
上記[相違点]について検討すると、甲第1号証には、樹脂層の製造方法に用いる液状組成物について、「重合性化合物」を含むことや、樹脂層の製造において樹脂層を重合して製造することに関して、何ら記載も示唆もない。そうすると、当業者であっても、甲1’発明において、重合性化合物を添加することが容易になし得るということはできない。

エ 特許異議申立人の意見
令和元年7月8日に提出された意見書において、特許異議申立人は、本件特許発明4に対し、「色素が、「シアニン系染料、・・・からなる群から選択される少なくとも1種」である点については、・・・甲1’発明および甲3記載の公知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであることに変わりはない。」と主張している。
しかしながら、前記イに記載したとおり、本件特許発明4と甲1’発明とは、上記[相違点]において相違している。そして、前記ウに記載したとおり、当業者であっても、甲1’発明に重合性化合物を加え、上記[相違点]に係る本件特許発明4の構成とすることが容易になし得るということはできない。
したがって、特許異議申立人の意見は採用できない。

(2)非採用異議申立理由2
本件特許発明3は、本件訂正請求によって削除された。


第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許発明1、2、4?6、9?30に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件特許発明1、2、4?6、9?30に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項3、7、8に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項3、7、8に対して特許異議申立人がした特許異議申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
硬化性樹脂組成物、これを用いた、色素含有層の形成方法、イメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性樹脂組成物、これを用いたイメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサチップ(以下、単に「イメージセンサチップ」という)が用いられている。これら固体撮像素子はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードを使用しているために、視感度補正が要求されており、赤外線カットフィルタを用いる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-28620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このように、固体撮像素子基板の表面と、赤外線カットフィルタとが空間を挟んで相対していると、固体撮像素子が受光した光の入射角依存性が大きくなり、カラーシェーディングが問題になることがあった。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、カラーシェーディングが抑制されたイメージセンサチップを作製可能な硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する層(以下、単に「色素含有層」ともいう)、赤外線反射膜等を有する赤外線カットフィルタとして機能する積層体と、固体撮像素子基板の表面とが空間を挟まずに密着しているイメージセンサチップを製造することができ、それにより受光された光の入射角依存性を抑えることができる硬化性樹脂組成物、これを用いたイメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の構成であり、これにより本発明の上記目的が達成される。
<1>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
上記色素が、ピロロピロール色素又は銅錯体であり、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
上記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、上記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。
<2>
上記界面活性剤の含有量が硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.01質量%以上1質量%以下である、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4>
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
上記色素が、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。
<5>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<4>に記載の硬化性樹脂組成物。
<6>
上記重合性化合物が、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造を含む化合物のいずれかである、<4>又は<5>に記載の硬化性樹脂組成物。
<9>
25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<1>?<2>、<4>、<6>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<10>
25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<1>?<2>、<4>、<6>、<9>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<11>
<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。
<12>
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタであって、
上記銅錯体において、銅に配位する配位子は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物である、赤外線カットフィルタ。
<13>
上記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、上記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、<12>に記載の赤外線カットフィルタ。
<14>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<15>
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
上記硬化性樹脂組成物が、<4>に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
<16>
25℃における粘度が300?700mPa・sである、<15>に記載の色素含有層の形成方法。
<17>
上記支持体上に上記硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、又はスリットコーター、により塗布する、<14>?<16>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<18>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、<14>、<15>及び<17>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<19>
上記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、<14>、<15>、<17>及び<18>のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
<20>
<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
上記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
<21>
上記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、上記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで上記アプリケーター塗布を行う、<20>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<22>
上記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)上記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、<20>又は<21>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<23>
上記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、<20>?<22>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<24>
上記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、<23>に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<25>
上記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、<22>?<24>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<26>
上記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、<20>?<25>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
<27>
固体撮像素子基板、<1>?<2>、<4>?<6>、<9>?<10>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
<28>
上記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の上記ガラス基板の面上に上記赤外線反射膜を有する<27>に記載のイメージセンサチップ。
<29>
上記赤外線反射膜と上記ガラス基板との間に上記色素含有層を有する<27>に記載のイメージセンサチップ。
<30>
上記固体撮像素子基板、上記色素含有層、及び上記赤外線反射膜を有する上記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、<27>?<29>のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。
本発明は、上記<1>?<30>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕?〔20〕)についても記載している。
【0007】
〔1〕
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する硬化性樹脂組成物。
〔2〕
前記色素が、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種である、〔1〕に記載の硬化性樹脂組成物。
〔3〕
前記色素がピロロピロール色素又は銅錯体である、〔1〕に記載の硬化性樹脂組成物。
〔4〕
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、〔1〕?〔3〕のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
〔5〕
さらに重合性化合物と溶剤とを含有し、組成物全固形分中の色素の含有量が30質量%以上である、〔1〕?〔4〕のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
〔6〕
波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有し、固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物。
〔7〕
〔1〕?〔6〕のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。
〔8〕
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタ。
〔9〕
前記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、前記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、〔8〕に記載の赤外線カットフィルタ。
〔10〕
〔1〕?〔6〕のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、前記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
〔11〕
前記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、前記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで前記アプリケーター塗布を行う、〔10〕に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔12〕
前記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)前記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、〔10〕又は〔11〕に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔13〕
前記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、〔10〕?〔12〕のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔14〕
前記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、〔13〕に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔15〕
前記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、〔12〕?〔14〕のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔16〕
前記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、〔10〕?〔15〕のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
〔17〕
固体撮像素子基板、〔1〕?〔6〕のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
〔18〕
前記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の前記ガラス基板の面上に前記赤外線反射膜を有する〔17〕に記載のイメージセンサチップ。
〔19〕
前記赤外線反射膜と前記ガラス基板との間に前記色素含有層を有する〔17〕に記載のイメージセンサチップ。
〔20〕
前記固体撮像素子基板、前記色素含有層、及び前記赤外線反射膜を有する前記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、〔17〕?〔19〕のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カラーシェーディングが抑制されたイメージセンサチップを作製可能な硬化性樹脂組成物を提供することができる。
また、色素含有層、赤外線反射膜等を有する赤外線カットフィルタとして機能する積層体と、固体撮像素子基板の表面とが空間を挟まずに密着しているイメージセンサチップを製造することができ、それにより受光された光の入射角依存性を抑えることができる硬化性樹脂組成物、これを用いたイメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る固体撮像素子基板の概略断面図である。
【図3】本発明のイメージセンサチップの製造方法の態様を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の重合性組成物について詳細に説明する。
なお、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。また、本明細書において、粘度値は25℃における値を指す。
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する。
上記色素における吸収極大波長は、色素及び樹脂を溶液全量に対して固形分20質量%に調製した溶液を塗工することにより得られる膜厚1μmの膜を、分光光度計を用いて得られる値に準ずる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、熱硬化性の樹脂組成物であってもよいし、光硬化性の樹脂組成物であってもよい。
本発明における固体撮像素子基板は、図1及び2を参照して後述するように、カラーフィルタ層、高屈折率層、及び低屈折率層を有することが好ましい。
【0011】
以下、本発明の硬化性樹脂組成物の構成を説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「?」を用いて表される数値範囲は、「?」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
なお、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタアクリレートを表し、“(メタ)アクリルはアクリル及びメタアクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”は、アクリロイル及びメタクリロイルを表す。また、本明細書中において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本発明における単量体は、オリゴマー及びポリマーと区別され、質量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書中において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性基とは、重合反応に関与する基を言う。
【0012】
[1]波長600?850nmの範囲内に吸収極大を有する色素
本発明で使用される色素は、波長600nm?850nmの範囲内に極大吸収波長(λ_(max))を有する限り特に限定されないが、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種などを好適に挙げることができる。その中でも、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、又はクアテリレン系色素であることが好ましく、ピロロピロール色素、銅錯体、シアニン系染料、又はフタロシアニン系染料であることがより好ましい。
前記色素としては、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、ジイモニウム系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種も好ましい1つの態様である。
ところで、携帯電話等に用いる電子部品等の生産における半田付け工程は、半田を溶融して基板表面に付けるという従来の工程から、いわゆる半田リフロー工程に取って代わりつつある。半田リフロー工程においては、通常では印刷等の手法によって予め基板表面に半田をプリントした部品を実装後、リフロー炉に入れて半田付けを行う。これは、電子部品の微細化への対応や生産性の面で有利な手法であり、小型軽量化されたカメラモジュールの生産において効果的である。このように半田リフロー工程による場合、リフロー炉は熱風や遠赤外線等によって加熱されることから、そのような工程に供される部材には、リフロー温度に対応できる耐熱性が要求されることになる。
これらのことから、カメラモジュール等を小型軽量化するためには、半田リフロー工程に供して生産する、いわゆるリフロー化への対応を検討しなければならない。
特に、リフロー工程に耐え得る耐熱性の観点からは、ピロロピロール色素、銅錯体であることが好ましい。
【0013】
極大吸収波長が600nm未満、又は、極大吸収波長が850nm超過であると、波長700nm付近の近赤外線に対する遮蔽性が低く、満足の行く結果が得られない。
本発明で使用される色素の極大吸収波長は、600?800nmの範囲にあることが好ましく、640?770nmの範囲にあることがより好ましく、660?720nmの範囲にあることが特に好ましい。
ピロロピロール色素としては、下記一般式(A1)で表される化合物がさらに好ましい。
一般式(A1)
【0014】
【化1】

【0015】
(上記一般式(A1)中、R^(1a)及びR^(1b)は、各々独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。R^(2)及びR^(3)は各々独立に水素原子又は置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R^(2)及びR^(3)は互いに結合して環を形成してもよい。R^(4)は水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素または金属原子を表し、R^(1a)、R^(1b)及びR^(3)の少なくとも1種と共有結合又は配位結合していてもよい。)
【0016】
上記一般式(A1)中、R^(1a)、R^(1b)で表されるアルキル基としては、好ましくは炭素数1?30、より好ましくは炭素数1?20、特に好ましくは炭素数1?10のアルキル基である。
R^(1a)、R^(1b)で表されるアリール基としては、好ましくは炭素数6?30、より好ましくは炭素数6?20、特に好ましくは炭素数6?12のアリール基である。
R^(1a)、R^(1b)で表されるヘテロアリール基としては、好ましくは炭素数1?30、より好ましくは炭素数1?12のヘテロアリール基である。ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子を挙げることができる。
特に、R^(1a)、R^(1b)で表される基としては、分岐アルキル基を有するアルコキシ基を有するアリール基であることが好ましい。分岐アルキル基におけるアルキル基としては、炭素数3?30が好ましく、3?20がより好ましい。
R^(1a)、R^(1b)で表される基としては、例えば、4-(2-エチルヘキシルオキシ)フェニル、4-(2-メチルブチルオキシ)フェニル、4-(2-オクチルドデシルオキシ)フェニルが特に好ましい。
一般式(A1)中のR^(1a)、R^(1b)は、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0017】
R^(2)及びR^(3)は各々独立に水素原子又は置換基Tを表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R^(2)及びR^(3)は結合して環を形成していてもよい。特に、R^(2)およびR^(3)は各々独立にシアノ基又はヘテロ環基を表すことが好ましい。
置換基Tとしては例えば、以下のものを挙げることができる。
アルキル基(好ましくは炭素数1?30)、アルケニル基(好ましくは炭素数2?30)、アルキニル基(好ましくは炭素数2?30)、アリール基(好ましくは炭素数6?30)、アミノ基(好ましくは炭素数0?30)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1?30)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6?30)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1?30)、アシル基(好ましくは炭素数1?30)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2?30)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7?30)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2?30)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2?30)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2?30)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7?30)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1?30)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0?30)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1?30)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1?30)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6?30)、芳香族ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1?30)、スルホニル基(好ましくは炭素数1?30)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1?30)、ウレイド基(好ましくは炭素数1?30)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1?30)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1?30)
【0018】
R^(2)及びR^(3)のうち、少なくとも一方は電子求引性基である。Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基は通常、電子求引性基として作用する。電子求引性基としては、好ましくはシアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、ヘテロ環基などが挙げられ、シアノ基がより好ましい。これらの電子求引性基はさらに置換されていてもよい。
【0019】
本発明においては、ハメットの置換基定数σp値が0.2以上の置換基を電子求引性基として例示することができる。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80である。
具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH_(2):0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SO_(2)Me:0.72)、またはアリールスルホニル基(-SO_(2)Ph:0.68)などが挙げられる。特に好ましくは、シアノ基である。ここで、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。
ハメットの置換基定数σ値については、例えば、特開2011-68731号公報の段落0017?0018を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
【0020】
さらに、R^(2)及びR^(3)が互いに結合して環を形成する場合は、5?7員環(好ましくは5または6員環)を形成することが好ましい。形成される環としては通常メロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましく、その具体例としては、例えば特開2011-68731号公報の段落0019?0021を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
【0021】
R^(3)はヘテロ環であることが特に好ましい。特に、R^(3)は、キノリン、ベンゾチアゾールまたはナフトチアゾールあることが好ましい。
上記一般式(A1)中の2つのR^(2)は、互いに同一でも異なってもよく、また、2つのR^(3)は、互いに同一でも異なってもよい。
【0022】
R^(4)で表される基がアルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基であるとき、この基は、R^(1a)、R^(1b)で説明したものと同義であり、好ましい基も同様である。
R^(4)で表される基が置換ホウ素であるとき、その置換基は、R^(2)及びR^(3)について上述した置換基Tと同義であり、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基である。
また、R^(4)で表される基が金属原子であるときは、好ましくは遷移金属、特に好ましくは、置換ホウ素である。置換ホウ素として好ましくは、ジフルオロホウ素、ジフェニルホウ素、ジブチルホウ素、ジナフチルホウ素、カテコールホウ素が挙げられる。中でもジフェニルホウ素が特に好ましい。
R^(4)は、R^(1a)、R^(1b)及びR^(3)の少なくとも1種と共有結合もしくは配位結合していてもよく、特にR^(4)がR^(3)と配位結合していることが好ましい。
特に、R^(4)としては、水素原子または置換ホウ素(特にジフェニルホウ素)であることが好ましい。
上記一般式(A1)中の2つのR^(4)は、互いに同じでも異なっていてもよい。
上記一般式(A1)で表される化合物については、例えば特開2011-68731号公報の段落0024?0052(対応する米国特許出願公開第2011/0070407号明細書の[0043]?[0074])を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
【0023】
ピロロピロール色素としては、下記一般式(A2)で表される化合物がより好ましく、下記一般式(A3)で表される化合物がさらに好ましい。一般式(A2)
【0024】
【化2】

【0025】
(上記一般式(A2)中、R^(10)は各々独立に水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、置換ホウ素又は金属原子を表し、R^(12)と共有結合又は配位結合していてもよい。R^(11)及びR^(12)は各々独立に水素原子又は置換基を表し、少なくとも一方は電子吸引性基であり、R^(11)およびR^(12)は結合して環を形成してもよい。 R^(13)は各々独立に炭素数3?30の分岐状のアルキル基を表す。)
R^(10)は、上記一般式(A1)中のR^(4)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
R^(11)及びR^(12)は、上記一般式(A1)中のR^(2)およびR^(3)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
R^(13)は、互いに同じでも異なっていてもよい。
また、R^(13)は、例えばイソエイコサノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール2000)に由来するアルコール残基であることが好ましい。
アルコールとしては、直鎖状または分岐状であってもよく、炭素素1?30のアルコールが好ましく、炭素数3?25のアルコールがより好ましく、炭素数3?25の分岐状アルコールが特に好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ヘキサデカノール、2-メチルブタノール、2-エチルヘキサノール、2-オクチルドデカノール、イソヘキサデカノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール1600)、イソオクタデカノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール180)、イソオクタデカノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール180N)、イソオクタデカノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール180T)、イソエイコサノール(日産化学株式会社製、ファインオキソコール2000)等が挙げられる。これらのアルコールは、2種以上の混合物であってもよい。一般式(A3)
【0026】
【化3】

【0027】
(上記一般式(A3)中、R^(20)は各々独立に炭素数3?30の分岐状のアルキル基を表す。)
上記一般式(A3)中、R^(20)は、上記一般式(A2)中のR^(13)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0028】
上記色素が銅錯体の場合、銅に配位する配位子Lとしては、銅イオンと配位結合可能であれば特に限定されないが、例えば、スルホン酸、カルボン酸、リン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、置換ホスフィン酸、カルボニル(エステル、ケトン)、アミン、アミド、スルホンアミド、ウレタン、ウレア、アルコール、チオールなどを有する化合物が挙げられる。
銅錯体の具体例としては、リン含有銅化合物、スルホン酸銅化合物又は下記式(B)で表される銅化合物が挙げられる。リン含有銅化合物として具体的には、例えば、WO2005/030898号公報の第5頁第27行目?第7頁第20行目に記載された化合物を参酌することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
【0029】
上記銅錯体としては、例えば、下記式(B)で表される銅錯体が挙げられる。
Cu(X)_(n1) 式(B)
上記式(B)中、Xは、銅に配位する配位子を表し、n1は、各々独立に1?6の整数を表す。
配位子Xは、銅に配位可能な原子としてC、N、O、Sを含む置換基を有するものであり、さらに好ましくはNやO、Sなどの孤立電子対を持つ基を有するものである。配位可能な基は分子内に1種類に限定されず、2種以上を含んでも良く、解離しても非解離でも良い。
上記の銅錯体は、中心金属の銅に配位子が配位した銅化合物であり、銅は、通常2価の銅である。例えば銅成分に対して、配位子となる化合物又はその塩を混合・反応等させて得ることができる。
上記配位子となる化合物又はその塩としては、特に限定されないが、例えば、有機酸化合物(例えば、スルホン酸化合物、カルボン酸化合物)又はその塩などが好適に挙げられる。
特に、下記一般式(J)で表されるスルホン酸化合物又はその塩であることが好ましい。
一般式(J)
【0030】
【化4】

【0031】
(一般式(J)中、R^(7)は1価の有機基を表す。)
具体的な1価の有機基としては、特に限定されないが、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基を挙げることができる。ここで、これらの基は、2価の連結基(例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、-O-、-S-、-CO-、-C(=O)O-、-OCO-、-SO_(2)-、-NR-(Rは水素原子あるいはアルキル基)など)を介した基であってもよい。また1価の有機基は置換基を有していてもよい。
直鎖状または分岐状のアルキル基としては、炭素数1?20のアルキル基が好ましく、炭素数1?12のアルキル基がより好ましく、炭素数1?8のアルキル基がさらに好ましい。
環状のアルキル基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキル基としては、炭素数3?20のシクロアルキル基が好ましく、炭素数4?10のシクロアルキル基がより好ましく、炭素数6?10のシクロアルキル基がさらに好ましい。アルケニル基としては、炭素数2?10のアルケニル基が好ましく、炭素数2?8のアルケニル基がより好ましく、炭素数2?4のアルケニル基がさらに好ましい。
アリール基としては、炭素数6?18のアリール基が好ましく、炭素数6?14のアリール基がより好ましく、炭素数6?10のアリール基がさらに好ましい。
2価の連結基であるアルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基としては、前述のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基から水素原子を1個除いて誘導される2価の連結基が挙げられる。
1価の有機基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、重合性基(例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基など)、ハロゲン原子、カルボキシル基、カルボン酸エステル基(例えば、-CO_(2)CH_(3)など)水酸基、アミド基、ハロゲン化アルキル基(例えば、フルオロアルキル基、クロロアルキル基)などが例示される。
下記一般式(J)で表されるスルホン酸化合物あるいはその塩の分子量は、80?750が好ましく、80?600がより好ましく、80?450がさらに好ましい。
一般式(J)で表されるスルホン酸化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
スルホン酸化合物は、市販のスルホン酸を用いることもできるし、公知の方法を参照して、合成することもできる。スルホン酸化合物の塩としては、例えば金属塩が挙げられ、具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0035】
他の銅錯体としては、上述したもの以外に、カルボン酸を配位子とする銅錯体が挙げられる。例えば、下記一般式(K)で表される化合物を配位子とする銅錯体を用いることができる。一般式(K)
【0036】
【化7】

【0037】
(上記一般式(K)中、R^(1)は1価の有機基を表す。)
上記一般式(K)中、R^(1)は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、特に限定されないが、例えば、上述した式(J)中の1価の有機基と同義である。
【0038】
<銅錯体(高分子型)>
銅錯体は、銅成分と、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物又はその塩(以下、単に「一般式(II)で表される化合物」ともいう)との反応で得られる銅錯体であってもよい。
銅成分は、下記一般式(II)で表される化合物と反応して、近赤外線吸収性を示す化合物を形成可能なものであれば、特に制限はなく、水酸化銅、酢酸銅及び硫酸銅が好ましい。
(下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物又はその塩)
銅成分と反応させる高分子化合物又はその塩は、下記一般式(II)で表される繰り返し単位を有する。
【0039】
【化8】

【0040】
(上記一般式(II)中、R^(2)は有機基を表し、Y^(1)は単結合又は2価の連結基を表し、X^(2)は酸基を表す。)
上記一般式(II)中、R^(2)は、脂肪族炭化水素基、もしくは、芳香族炭化水素基及び/又は芳香族ヘテロ環基を有する基が好ましい。
上記一般式(II)中、Y^(1)が2価の連結基を表す場合、2価の炭化水素基、ヘテロアリーレン基、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO_(2)-、-NX-(Xは水素原子あるいはアルキル基を表し、水素原子が好ましい)、又は、これらの組み合わせからなる基が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基や、アリーレン基が挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
直鎖状のアルキレン基の炭素数としては、1?30が好ましく、1?15がより好ましく、1?6がさらに好ましい。また、分岐状のアルキレン基の炭素数としては、3?30が好ましく、3?15がより好ましく、3?6がさらに好ましい。環状のアルキレン基は、単環、多環のいずれであってもよい。環状のアルキレン基の炭素数は、3?20が好ましく、4?10がより好ましく、6?10がさらに好ましい。
アリーレン基の炭素数としては、6?18が好ましく、6?14がより好ましく、6?10がさらに好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
ヘテロアリーレン基は、5員環又は6員環が好ましい。また、ヘテロアリーレン基は、単環でも縮合環であってもよく、単環又は縮合数が2?8の縮合環が好ましく、単環又は縮合数が2?4の縮合環がより好ましい。
上記一般式(II)中、X^(2)は、酸基であり、カルボン酸基又はスルホン酸基が好ましく、スルホン酸基がより好ましい。
【0041】
上記一般式(II)で表される化合物の第1の実施の形態は、主鎖が炭素-炭素結合を有する重合体であり、下記一般式(II-1A)で表される繰り返し単位を含むことが好ましく、下記一般式(II-1B)で表される繰り返し単位を含むことがより好ましい。
【0042】
【化9】

【0043】
(上記一般式(II-1A)中、R^(1)は水素原子又はメチル基を表し、L^(1)は単結合又は2価の連結基を表し、X^(1)は酸基を表す。
上記一般式(II-1B)中、R^(2)は水素原子又はメチル基を表し、L^(2)は2価の連結基を表し、M^(1)は水素原子、又はスルホン酸基と塩を構成する原子もしくは原子団を表す。)
上記一般式(II-1A)及び上記一般式(II-1B)中、R^(1)及びR^(2)は、それぞれ独立して水素原子であることが好ましい。
上記一般式(II-1A)及び上記一般式(II-1B)中、L^(1)及びL^(2)がそれぞれ2価の連結基を表す場合、上述したY^(1)で示される2価の連結基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記一般式(II-1A)中、X^(1)は、上述した式(II)中のX^(2)と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記一般式(II-1B)中、M^(1)は水素原子が好ましい。
【0044】
上記一般式(II)で表される化合物は、上記一般式(II-1A)又は上記一般式(II-1B)で表される繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を有していてもよい。他の繰り返し単位としては、特開2010-106268号公報の段落番号0068?0075(対応する米国特許出願公開第2011/0124824号明細書の[0112]?[0118])に開示の共重合成分の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
好ましい他の繰り返し単位としては、下記一般式(II-1C)で表される繰り返し単位が挙げられる。
【0045】
【化10】

【0046】
上記一般式(II-1C)中、R^(3)は水素原子又はメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
Y^(2)は単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基としては、上述した2価の連結基Y^(1)と同義である。特に、Y^(2)としては、-COO-、-CO-、-NH-、直鎖状又は分岐状のアルキレン基、又はこれらの組み合わせからなる基か、単結合であることが好ましい。
上記一般式(II-1C)中、X^(2)は、-PO_(3)H、-PO_(3)H_(2)、-OH又はCOOHを表し、-COOHであることが好ましい。
上記一般式(II)で表される化合物が、他の繰り返し単位(好ましくは上記一般式(II-1A)又は式(II-1B)で表される繰り返し単位)を含む場合、上記一般式(II-1)又は上記一般式(II-1B)で表される繰り返し単位と上記一般式(II-1C)で表される繰り返し単位のモル比は、95:5?20:80であることが好ましく、90:10?40:60であることがより好ましい。
【0047】
上記一般式(II)で表される化合物の第1の実施の形態の具体例としては、下記化合物及び下記化合物の塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
【表1】

【0049】
シアニン系染料、クアテリレン系色素の具体例としては特開2012-215806号公報、特開2008-009206号公報等に記載の化合物が挙げられる。
フタロシアニン化合物の具体例としては、特開昭60-224589号公報、特表2005-537319号公報、特開平4-23868号公報、特開平4-39361号公報、特開平5-78364号公報、特開平5-222047号公報、特開平5-222301号公報、特開平5-222302号公報、特開平5-345861号公報、特開平6-25548号公報、特開平6-107663号公報、特開平6-192584号公報、特開平6-228533号公報、特開平7-118551号公報、特開平7-118552号公報、特開平8-120186号公報、特開平8-225751号公報、特開平9-202860号公報、特開平10-120927号公報、特開平10-182995号公報、特開平11-35838号公報、特開2000-26748号公報、特開2000-63691号公報、特開2001-106689号公報、特開2004-18561号公報、特開2005-220060号公報、特開2007-169343号公報記載の化合物が挙げられる。
【0050】
以下にアゾ色素、アンスラキノン色素(アントラキノン化合物)、スクアリリウム系色素(スクアリリウム化合物)の具体例の具体例としては特開2012-215806号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0051】
上記色素は市販品としても入手可能であり、例えば、Lumogen IR765、Lumogen IR788(BASF製);ABS643、ABS654、ABS667、ABS670T、IRA693N、IRA735(Exciton製);SDA3598、SDA6075、SDA8030、SDA8303、SDA8470、SDA3039、SDA3040、SDA3922、SDA7257(H.W.SANDS製);TAP-15、IR-706(山田化学工業製)等を挙げることができ、特に、シアニン色素としてはDaito chmix 1371F(ダイトーケミックス社製)、フタロシアニン色素としてはExcolorシリーズ、Excolor TX-EX 720、同708K(日本触媒製)などが挙げられるがこれに限定されるものではない。
【0052】
上記色素は微粒子であることが好ましい。色素の平均粒子径は、800nm以下であることが好ましく、400nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが更に好ましい。平均粒子径がこのような範囲であることによって、色素が光散乱によって可視光を遮断しにくくなることから、可視光領域における透光性をより確実にすることができる。光酸乱を回避する観点からは、平均粒子径は小さいほど好ましいが、製造時における取り扱い容易性などの理由から、色素の平均粒子径は、通常、1nm以上である。
【0053】
上記色素の含有量は、本発明の組成物の全固形分質量に対して、0.05質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
ただし、上記色素が銅錯体の場合、銅錯体の含有量は、上記組成物の全固形分質量に対して、30質量%以上が好ましく、30?90質量%がより好ましく、40?90質量%が更に好ましく、50?90質量%が特に好ましい。
特に、本発明の組成物が後述の重合性化合物と溶剤とをさらに含有し、組成物全固形分中の色素の含有量が30質量%以上であることは本発明の好ましい実施態様の1つである。
色素のε(イプシロン)が高い場合にはその含有量は少なくてよいが、色素のε(イプシロン)が低い場合にはその含有量は多くなる。また上記色素がシアニン系染料やフタロシアニン系染料などの場合その含有量は、本発明の組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
また、上記色素は2種以上を使用することが可能である。例えば、リフロー工程に耐え得る耐熱性の観点から、ピロロピロール色素及び銅錯体を組み合わせて使用することが好ましい。また2種以上の色素を使用する場合には、それらの色素は同一の層に含有させても、異なる層に含有させてもよい。
【0054】
[2]重合性化合物
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合性化合物の少なくとも一種を含有することによって好適に構成することができる。
重合性化合物として、「分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物」を使用することが好ましい。(分子内に2個以上のエポキシ基(オキシラニル基)又はオキセタニル基を有する化合物)
重合性化合物としての分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0055】
これらは市販品として入手できる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER-827、JER-828、JER-834、JER-1001、JER-1002、JER-1003、JER-1055、JER-1007、JER-1009、JER-1010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER-806、JER-807、JER-4004、JER-4005、JER-4007、JER-4010(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE-21、RE-602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER-152、JER-154、JER-157S70、JER-157S65、(以上、三菱化学(株)製)、EPICLON N-740、EPICLON N-740、EPICLON N-770、EPICLON N-775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N-660、EPICLON N-665、EPICLON N-670、EPICLON N-673、EPICLON N-680、EPICLON
N-690、EPICLON N-695(以上、DIC(株)製)、EOCN-1020(以上、日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP-4080S、同EP-4085S、同EP-4088S(以上、(株)ADEKA製)セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE-3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、デナコール EX-211L、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、JER-1031S(三菱化学(株)製)等が挙げられる。
これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0056】
分子内に2個以上のオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT-121、OXT-221、OX-SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
【0057】
上記重合性化合物として、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれることも好ましい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。特に、上述の分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物及び末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物のいずれか単独で用いてもよいし、上述の分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物と、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物とを併用してもよい。
末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物について、具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。
また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095?段落番号0108に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0058】
また、前記重合性化合物としては、重合性モノマーとして、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48-41708号、特公昭50-6034号、特開昭51-37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48-64183号、特公昭49-43191号、特公昭52-30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010-160418、特開2010-129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性重合性基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
【0059】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも一つの付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008-292970号公報の段落番号[0254]?[0257]に記載の化合物も好適である。
【0060】
上記のほか、特開2012-215806号公報段落0297?0300に記載の一般式(MO-1)?(MO-5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。
上記一般式(MO-1)?(MO-5)で表される、ラジカル重合性モノマーの具体例としては、特開2007-269779号公報の段落番号0248?段落番号0251に記載されている化合物も本発明においても好適に用いることができる。
【0061】
また、特開平10-62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の、前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0062】
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としては KAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としては KAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としては KAYARAD DPHA ;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。
【0063】
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していても良い。従って、エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入しても良い。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
【0064】
本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、アロニックスシリーズのM-305、M-510、M-520などが挙げられる。
【0065】
これらのモノマーは1種を単独で用いても良いが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いても良い。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用しても良い。酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1?40mg-KOH/gであり、特に好ましくは5?30mg-KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸価が上記範囲に入るように調整することが必須である。
【0066】
また、重合性モノマーとして、特開2012-215806号公報段落0306?0313に記載のカプロラクトン構造を有する多官能性単量体も用いることができる。
【0067】
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20(上記式(1)?(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R^(1)が全て水素原子である化合物)、DPCA-30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R^(1)が全て水素原子である化合物)、DPCA-60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R^(1)が全て水素原子である化合物)、DPCA-120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R^(1)が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0068】
また、本発明における重合性化合物としては、特開2012-215806号公報段落0314?0324に記載の一般式(Z-4)又は(Z-5)で表される化合物も用いることができる。
一般式(Z-4)、(Z-5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR-494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA-60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA-330などが挙げられる。
【0069】
また、重合性化合物としては、特公昭48-41708号、特開昭51-37193号、特公平2-32293号、特公平2-16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58-49860号、特公昭56-17654号、特公昭62-39417号、特公昭62-39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63-277653号、特開昭63-260909号、特開平1-105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS-10、UAB-140(山陽国策パルプ社製)、UA-7200」(新中村化学社製、DPHA-40H(日本化薬社製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600(共栄社製)などが挙げられる。
【0070】
重合性化合物としては、特開2012-150468号公報段落0216?0220に記載の同一分子内に2個以上のメルカプト(SH)基を有する多官能チオール化合物も用いることができる。
【0071】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、硬化性樹脂組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、赤外線カットフィルタの強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。また、硬化性樹脂組成物に含有される他の成分(例えば、色素、重合開始剤、バインダー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0072】
本発明の硬化性樹脂組成物中における重合性化合物の含有量は、該硬化性樹脂組成物中の固形分に対して0.1質量%?90質量%が好ましく、1.0質量%?80質量%がさらに好ましく、2.0質量%?70質量%が特に好ましい。
【0073】
[3]重合開始剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤を含有しても良く、重合開始剤としては、光、熱のいずれか或いはその双方により重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、光重合性化合物であることが好ましい。光で重合を開始させる場合、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。
また、熱で重合を開始させる場合には、150℃?250℃で分解する開始剤が好ましい。
【0074】
本発明に用いうる重合開始剤としては、少なくとも芳香族基を有する化合物であることが好ましく、例えば、アシルホスフィン化合物、アセトフェノン系化合物、α-アミノケトン化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、チオキサントン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、トリハロメチル化合物、アゾ化合物、有機過酸化物、ジアゾニウム化合物、ヨードニウム化合物、スルホニウム化合物、アジニウム化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール誘導体化合物、メタロセン化合物等のオニウム塩化合物、有機硼素塩化合物、ジスルホン化合物などが挙げられる。
感度の観点から、オキシム化合物、アセトフェノン系化合物、α-アミノケトン化合物、トリハロメチル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、及び、チオール化合物が好ましい。
以下、本発明に好適な重合開始剤の例を挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0075】
アセトフェノン系化合物としては、具体的には、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、4’-イソプロピル-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオフェノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-トリル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、及び、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オンなどが挙げられる。
【0076】
トリハロメチル化合物として、より好適には、すくなくとも一つのモノ、ジ、又はトリハロゲン置換メチル基がs-トリアジン環に結合したs-トリアジン誘導体、具体的には、例えば、2,4,6-トリス(モノクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2?n-プロピル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(α,α,β-トリクロロエチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3,4-エポキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-〔1-(p-メトキシフェニル)-2,4-ブタジエニル〕-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-スチリル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-i-プロピルオキシスチリル)-4、6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-ナトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-フェニルチオ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ベンジルチオ-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジブロモメチル)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン、2-メトキシ-4,6-ビス(トリブロモメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
【0077】
ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特公平6-29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物、具体的には、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-ブロモフェニル))4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o,p-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(m-メトキシフェニル)ビイジダゾール、2,2’-ビス(o,o’-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-ニトロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-メチルフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(o-トリフルオロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0078】
オキシム化合物としては、J.C.S. Perkin II (1979)1653-1660、J.C.S. Perkin II (1979)156-162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995)202-232、特開2000-66385号公報記載の化合物、特開2000-80068号公報、特表2004-534797号公報記載の化合物、BASFジャパン社製 IRGACURE OXE 01(1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)),2-(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン-9-オン等が挙げられる。
好ましくは更に、特開2007-231000公報、及び、特開2007-322744公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。
最も好ましくは、特開2007-269779公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009-191061公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
【0079】
光重合開始剤としては、オキシム化合物、アセトフェノン系化合物、及び、アシルホスフィン化合物からなる群より選択される化合物が更に好ましい。より具体的には、例えば、特開平10-291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤、及び、既述のオキシム系開始剤、更にオキシム系開始剤として、特開2001-233842号記載の化合物も用いることができる。
アセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE-907、IRGACURE-369、及び、IRGACURE-379(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。またアシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE-819やDAROCUR-TPO(商品名:いずれもBASFジャパン社製)を用いることができる。
【0080】
重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の重合性組成物の全固形分質量に対する重合開始剤の含有量は、0.01質量%?30質量%が好ましく、0.1質量%?20質量%がより好ましく、0.1質量%?15質量%が特に好ましい。
【0081】
[4]バインダー
本発明の硬化性樹脂組成物は、バインダーを含有していてもよい。
バインダーは特に限定されないが、バインダーは、アルカリ可溶性樹脂であってもよい。
【0082】
アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0083】
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他ノモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2-ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7-140654号公報に記載の、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。市販品としては、例えばアクリベースFF-187、FF-426(藤倉化成社製)などが挙げられる。
バインダーの硬化性樹脂組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1?20質量%が好ましく、より好ましくは、2?15質量%であり、特に好ましくは、3?12質量%である。
【0084】
[5]フィラー
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にフィラーを含んでもよい。本発明に用い得るフィラーとしては、シランカップリング剤で表面処理された球状のシリカが挙げられる。
本発明の重合性組成物がフィラーを含有することにより、耐久性の高い赤外線カットフィルタが得られる点で好ましい。
【0085】
なお、球状フィラーにおける「球状」とは、粒子形状が、針状、柱状、不定形ではなく、丸みを帯びていればよく、必ずしも「真球状」である必要はないが、代表的な「球状」の携帯としては「真球状」が挙げられる。
前記フィラーが球状であることは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、確認することができる。
【0086】
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05μm?3μmが好ましく、0.1μm?1μmがより好ましい。前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径が上記範囲において、チクソトロピー性の発現による加工性の低下が抑制され、かつ、最大粒子径が大きくなることもないために、得られる赤外線カットフィルタにおける異物の付着や塗膜の不均一に起因する欠陥の発生が抑制されることから有利である。
前記フィラーの一次粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法粒子径分布測定装置により測定することができる。
前記フィラーは前述の分散剤、バインダーを用いることにより分散することができる。前記したように、硬化性の観点から、側鎖に架橋性基を有するアルカリ可溶性バインダーポリマーが特に好ましい。
【0087】
-表面処理-
次に、フィラーの表面処理について説明する。フィラーの表面処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、シランカップリング剤によりシリカを被覆する処理が好ましい。
【0088】
-シランカップリング剤-
フィラーの表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「「第1官能基」とも称する。」と、(メタ)アクリロイル基、アミノ基及びエポキシ基から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「第2官能基」とも称する。)が好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基がより好ましく、第2官能基が(メタ)アクリロイル基がより好ましい。前記第2官能基が(メタ)アクリロイル基であると、保存安定性の点で、有利である。
【0089】
また、特公平7-68256号公報に記載される、第1官能基として、アルコキシシリル基、クロロシリル基、及びアセトキシシリル基から選択される少なくとも1種と、第2官能基として、イミダゾール基、アルキルイミダゾール基、及びビニルイミダゾール基から選択される少なくとも1種とを有するものも同様に好ましく用いることができる。
【0090】
前記シランカップリング剤としては、特に制限はないが、例えば、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、特公平7-68256号公報に記載されるα-[[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]-イミダゾール-1-エタノール、2-エチル-4-メチル-α-[[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]-イミダゾール-1-エタノール、4-ビニル-α-[[3-(トリメトキシシリル)プロポキシ]メチル]-イミダゾール-1-エタノール、2-エチル-4-メチルイミダゾプロピルトリメトキシシラン、及びこれらの塩、分子内縮合物、分子間縮合物等が好適に挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
前記シランカップリング剤による球状のシリカの表面処理は、該球状のシリカのみに対して予め行なってもよいし(この場合を以下「前処理」とも称す。)、硬化性樹脂組成物に含まれる他のフィラーの一部又は全部と合わせて行ってもよい。
前処理を行う方法としては、特に制限はなく、例えば、乾式法、水溶液法、有機溶媒法、スプレー法等の方法が挙げられる。前処理を行なう温度は、特に制限はないが、常温?200℃が好ましい。
前処理を行なう際には触媒を加えることも好ましい。この触媒としては、特に制限はなく、例えば、酸、塩基、金属化合物、有機金属化合物等が挙げられる。
【0092】
前処理を行なう場合のシランカップリング剤の添加量は、特に制限はないが、球状のシリカ100質量部に対し、0.01質量部?50質量部の範囲が好ましく、0.05質量部?50質量部の範囲がより好ましい。前記添加量が上記範囲において、効果を発現するに十分な表面処理が行われ、かつ、処理後の球状のシリカの凝集に起因する取り扱い性の低下が抑制される。
【0093】
前記シランカップリング剤は、前記第1官能基が、基材表面、球状のシリカ表面、及びバインダーの活性基と反応し、更に前記第2官能基が、バインダーのカルボキシル基及びエチレン性不飽和基と反応するために、基材と赤外線カットフィルタとの密着性を向上させる作用がある。一方、前記シランカップリング剤は反応性が高いため、そのものを重合性組成物中に添加した場合には、拡散作用により、保存中に主に第2官能基が反応乃至失活してしまい、シェルフライフやポットライフが短くなることがある。
【0094】
しかし、上述したように前記球状のシリカをシランカップリング剤で前処理したものを用いれば、拡散作用が抑制されることにより、シェルフライフやポットライフの問題が大幅に改善され、一液型とすることも可能になる。更に、球状のシリカに対して前処理を施す場合には、攪拌条件、温度条件、及び触媒の使用といった条件が自由に選べるため、前処理を行わずに添加する場合に比べてシランカップリング剤の第1官能基と球状のシリカ中の活性基との反応率を著しく高めることができる。したがって、特に無電解金メッキ、無電解半田メッキ、耐湿負荷試験といった苛酷な要求特性において非常に良好な結果が得られる。また、前記前処理を行うことでシランカップリング剤の使用量を少なくすることができ、シェルフライフ及びポットライフを更に改善できる。
本発明で用いることができるシランカップリング剤で表面処理された球状のシリカとしては、例えば、電気化学工業:FB、SFPシリーズ、龍森:1-FX、東亜合成:HSPシリーズ、扶桑化学工業:SPシリーズなどが挙げられる。
【0095】
硬化性樹脂組成物は、フィラーを含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対するフィラーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%?60質量%が好ましい。添加量が上記範囲において、十分な線膨張係数の低下が達成され、かつ、形成された赤外線カットフィルタの脆化が抑制され、赤外線カットフィルタとしての機能が十分に発現される。
【0096】
[6]分散剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、上記色素、上記フィラーの分散性、分散安定性向上を目的として、公知の分散剤により分散して用いてもよい。
【0097】
本発明に用いうる分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0098】
表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3-112992号公報、特表2003-533455号公報等に記載の末端にりん酸基を有する高分子、特開2002-273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9-77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子、特開2008-29901号公報等に記載の片末端に水酸基又はアミノ基を有するオリゴマー又はポリマーと酸無水物で変性して製造される高分子などが挙げられる。また、特開2007-277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
【0099】
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8-507960号公報、特開2009-258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9-169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開2009-203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂、特開平10-339949号、特開2004-37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003-238837号公報、特開2008-9426号公報、特開2008-81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010-106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。
【0100】
表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA-6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS-6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN-6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB-6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2-ヒドロキシエチルのε-カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2-ヒドロキシエチルのε-カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2-272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性かつ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、組成物における赤外線遮蔽材の分散性、及び分散安定性の観点から特に好ましく、更に、特開平2-272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003-49110号公報、特開2009-52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
【0101】
分散剤としては、例えば、公知の分散剤や界面活性剤を適宜選択して用いることができる。
そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk-101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK-P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050?4010?4165(ポリウレタン系)、EFKA4330?4340(ブロック共重合体)、4400?4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学(株)製「フローレンTG-710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS-860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA-703-50、DA-705、DA-725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN-B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL-18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS-IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製ヒノアクトT-8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA-46、EFKA-47、EFKA-47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P-123」、及び三洋化成(株)製「イオネット(商品名)S-20」等が挙げられる。
【0102】
これらの分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の分散剤は、前記赤外線遮蔽材表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、アルカリ可溶性樹脂を併用して用いても良い。アルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を変性した樹脂が挙げられるが、特に(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。また、特開平10-300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマー共重合体、特開2004-300204号公報に記載のエーテルダイマー共重合体、特開平7-319161号公報に記載の重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂も好ましい。
分散性及び沈降性の観点から、好ましくは、特開2010-106268号公報に記載の樹脂が好ましく、特に、分散性の観点から、側鎖にポリエステル鎖を有する高分子分散剤が好ましく、酸基とポリエステル鎖とを有する樹脂も好適に挙げることができる。分散剤における好ましい酸基としては、吸着性の観点から、pKaが6以下の酸基が好ましく、特にカルボン酸、スルホン酸、リン酸が好ましい。
前記樹脂の具体例としては、特開2010-106268号公報段落0078?0111に記載の具体例が挙げられる。
【0103】
本発明の硬化性樹脂組成物が、重合性化合物及び分散剤を含有する場合、まず、上記色素及び分散剤を、適切な溶剤により分散組成物を調製した後、重合性組成物を配合することが分散性向上の観点から好ましい。
硬化性樹脂組成物は、分散剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、組成物中における分散剤の含有量としては、組成物中の上記色素の質量に対して、1質量%?90質量%が好ましく、3質量%?70質量%がより好ましい。
【0104】
[7]増感剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。本発明に用いることができる増感剤としては、前記した光重合開始剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。本発明に用いることができる増感剤としては、以下に列挙する化合物類に属しており、かつ300nm?450nmの波長領域に吸収波長を有するものが挙げられる。
好ましい増感剤の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ330nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10-ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、クロロチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、フタロシアニン類、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、アクリジンオレンジ、クマリン類(例えば、7-ジエチルアミノ-4-メチルクマリン)、ケトクマリン、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N-アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
更に欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001-125255号公報、特開平11-271969号公報等に記載の化合物等などが挙げられる。
硬化性樹脂組成物は、増感剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、増感剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上2質量%以下であることがより好ましい。
【0105】
[8]架橋剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、色素含有層の強度を向上させる目的で、更に、架橋剤を含有していても良い。
架橋剤は、架橋性基を有する化合物であることが好ましく、架橋性基を2個以上で有する化合物であることがより好ましい。架橋性基の具体例としては、オキセタン基、シアネート基を好適に挙げることができ、中でも、エポキシ基、オキセタン基又はシアネート基であることが好ましい。すなわち、架橋剤は、特にエポキシ化合物、オキセタン化合物又はシアネート化合物が好ましい。
本発明において架橋剤として好適に用いうるエポキシ化合物としては、例えば、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物などが挙げられる。
【0106】
前記1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有するエポキシ化合物としては、例えば、ビキシレノール型若しくはビフェノール型エポキシ化合物(「YX4000ジャパンエポキシレジン社製」等)又はこれらの混合物、イソシアヌレート骨格等を有する複素環式エポキシ化合物(「TEPIC;日産化学工業株式会社製」、「アラルダイトPT810;BASFジャパン社製」等)、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾ-ルノボラック型エポキシ化合物、ハロゲン化エポキシ化合物(例えば低臭素化エポキシ化合物、高ハロゲン化エポキシ化合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ化合物など)、アリル基含有ビスフェノールA型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物、ジフェニルジメタノール型エポキシ化合物、フェノールビフェニレン型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物(「HP-7200,HP-7200H;DIC株式会社製」等)、グリシジルアミン型エポキシ化合物(ジアミノジフェニルメタン型エポキシ化合物、ジグリシジルアニリン、トリグリシジルアミノフェノール等)、グリジジルエステル型エポキシ化合物(フタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステル等)ヒダントイン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ジシクロペンタジエンジエポキシド、「GT-300,GT-400,ZEHPE3150;ダイセル化学工業株式会社製」等、)、イミド型脂環式エポキシ化合物、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ化合物、ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物、テトラフェニロールエタン型エポキシ化合物、グリシジルフタレート化合物、テトラグリシジルキシレノイルエタン化合物、ナフタレン基含有エポキシ化合物(ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールノボラック型エポキシ化合物、4官能ナフタレン型エポキシ化合物、市販品としては「ESN-190,ESN-360;新日鉄化学株式会社製」、「HP-4032,EXA-4750,EXA-4700;DIC株式会社製」等)、フェノール化合物とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応によって得られるポリフェノール化合物と、エピクロルヒドリンとの反応物、4-ビニルシクロヘキセン-1-オキサイドの開環重合物を過酢酸等でエポキシ化したもの、線状含リン構造を有するエポキシ化合物、環状含リン構造を有するエポキシ化合物、α-メチルスチルベン型液晶エポキシ化合物、ジベンゾイルオキシベンゼン型液晶エポキシ化合物、アゾフェニル型液晶エポキシ化合物、アゾメチンフェニル型液晶エポキシ化合物、ビナフチル型液晶エポキシ化合物、アジン型エポキシ化合物、グリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ化合物(「CP-50S,CP-50M;日本油脂株式会社製」等)、シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートとの共重合エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)フルオレン型エポキシ化合物、ビス(グリシジルオキシフェニル)アダマンタン型エポキシ化合物などが挙げられるが、これらに限られるものではない。これらのエポキシ樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0107】
また、1分子中に少なくとも2つのオキシラン基を有する前記エポキシ化合物以外に、β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも1分子中に2つ含むエポキシ化合物を用いることができ、β位がアルキル基で置換されたエポキシ基(より具体的には、β-アルキル置換グリシジル基など)を含む化合物が特に好ましい。
前記β位にアルキル基を有するエポキシ基を少なくとも含むエポキシ化合物は、1分子中に含まれる2個以上のエポキシ基のすべてがβ-アルキル置換グリシジル基であってもよく、少なくとも1個のエポキシ基がβ-アルキル置換グリシジル基であってもよい。
【0108】
前記オキセタン化合物としては、例えば、1分子内に少なくとも2つのオキセタニル基を有するオキセタン樹脂が挙げられる。
具体的には、例えば、ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4-ビス[(3-メチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルアクリレート、(3-メチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート、(3-エチル-3-オキセタニル)メチルメタクリレート又はこれらのオリゴマーあるいは共重合体等の多官能オキセタン類の他、オキセタン基を有する化合物と、ノボラック樹脂、ポリ(p-ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、シルセスキオキサン等の水酸基を有する化合物など、とのエーテル化合物が挙げられ、この他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0109】
前記シアネート化合物としては、例えば、ビスA型シアネート化合物、ビスF型シアネート化合物、クレゾールノボラック型シアネート化合物、フェノールノボラック型シアネート化合物、などが挙げられる。
【0110】
また、前記架橋剤として、メラミン又はメラミン誘導体を用いることができる。
該メラミン誘導体としては、例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン(メチロール基を、メチル、エチル、ブチルなどでエーテル化した化合物)などが挙げられる。
架橋剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。架橋剤は、保存安定性が良好で、硬化膜(光ないしは熱等のエネルギーによって架橋剤による架橋反応が実施された後における膜)の表面硬度あるいは膜強度自体の向上に有効である点で、メラミン若しくはアルキル化メチロールメラミンが好ましく、ヘキサメチル化メチロールメラミンが特に好ましい。
【0111】
硬化性樹脂組成物は、架橋剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、架橋剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、3質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
【0112】
[9]硬化促進剤
本発明の硬化性樹脂組成物は、前記エポキシ化合物や前記オキセタン化合物等の架橋剤の熱硬化を促進することを目的に、更に、硬化促進剤を含有してもよい。
硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S-トリアジン誘導体(例えば、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。硬化促進剤は、メラミン又はジシアンジアミドであることが好ましい。
硬化促進剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、硬化促進剤の前記組成物の全固形分に対する含有量は、通常0.01?15質量%である。
【0113】
[10]エラストマー
本発明の硬化性樹脂組成物には、更に、エラストマーを含んでいてもよい。
エラストマーを含有させることにより、基材と赤外線カットフィルタとの密着性をより向上させることができるとともに、赤外線カットフィルタの耐熱性、耐熱衝撃性、柔軟性及び強靭性をより向上させることができる。
【0114】
本発明に用いうるエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー等が挙げられる。これらのエラストマーは、ハードセグメント成分とソフトセグメント成分から成り立っており、一般に前者が耐熱性、強度に、後者が柔軟性、強靭性に寄与している。これらの中でも、ポリエステル系エラストマーが、その他素材との相溶性の点で、有利である。
【0115】
スチレン系エラストマーとしては、具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業(株)製)、エラストマーAR(アロン化成製)、クレイトンG、過リフレックス(以上、シェルジャパン社製)、JSR-TR、TSR-SIS、ダイナロン(以上、日本合成ゴム(株)製)、デンカSTR(電気化学社製)、クインタック(日本ゼオン社製)、TPE-SBシリーズ(住友化学(株)製)、ラバロン(三菱化学(株)製)、セプトン、ハイブラー(以上、クラレ社製)、スミフレックス(住友ベークライト(株)製)、レオストマー、アクティマー(以上、理研ビニル工業社製)等が挙げられる。
【0116】
オレフィン系エラストマーの具体例としては、ミラストマ(三井石油化学社製)、EXACT(エクソン化学社製)、ENGAGE(ダウケミカル社製)、水添スチレン-ブタジエンラバー“DYNABON HSBR”(日本合成ゴム社製)、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体“NBRシリーズ”(日本合成ゴム社製)、架橋点を有する両末端カルボキシル基変性ブタジエン-アクリロニトリル共重合体の“XERシリーズ”(日本合成ゴム社製)、ポリブタジエンを部分的にエポキシ化したエポキシ化ポリブダジエンの“BF-1000”(日本曹達社製)等が挙げられる。
ウレタン系エラストマーの具体例としては、PANDEX T-2185、T-2983N(以上、DIC株式会社製)、シラクトランE790等が挙げられる。
ポリエステル系エラストマーの具体例としては、ハイトレル(デュポン-東レ社製)、ペルプレン(東洋紡績社製)、エスペル(日立化成工業社製)等が挙げられる。
【0117】
ポリアミド系エラストマーとして具体的には、UBEポリアミドエラストマー(宇部興産社製)、ダイアミド(ダイセルヒュルス社製)、PEBAX(東レ社製)、グリロンELY(エムスジャパン社製)、ノバミッド(三菱化学社製)、グリラックス(DIC株式会社製)等が挙げられる。
【0118】
アクリル系エラストマーは、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する単量体及び/又はアクリロニトリルやエチレン等のビニル系単量体とを共重合して得られるものである。アクリル系エラストマーとしては、アクリロニトリル-ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0119】
シリコーン系エラストマーの具体例としては、KEシリーズ(信越化学社製)、SEシリーズ、CYシリーズ、SHシリーズ(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)等が挙げられる。
【0120】
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性したエポキシ樹脂を用いることができる。ゴム変性したエポキシ樹脂は、例えば、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、又はクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性型ブタジエン-アクリルニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるものである。
【0121】
エラストマーの中でも、せん断密着性及び耐熱衝撃性の観点から、両末端カルボキシル基変性ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、ポリエステル系エラストマーである水酸基を有するエスペル(エスペル1612、1620、日立化成工業社製)、エポキシ化ポリブタジエンが好ましい。
【0122】
本発明の硬化性樹脂組成物は、エラストマーを含有してもしなくてもよいが、含有する場合、硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対するエラストマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分中の0.5質量%?30質量%が好ましく、1質量%?10質量%がより好ましく、3質量%?8質量%が特に好ましい。前記含有量が好ましい範囲内であると、せん断接着性及び耐熱衝撃性を更に向上させることが可能となる点で、有利である。
【0123】
[11]界面活性剤
本発明の硬化性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0124】
特に、本発明の硬化性樹脂組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%?30質量%であり、特に好ましくは7質量%?25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、硬化性樹脂組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF-171、同F-172、同F-173、同F-176、同F-177、同F-141、同F-142、同F-143、同F-144、同R-30、同F-437、同F-475、同F-479、同F-482、同F-554、同F-780、同F-781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、同SC-101、同SC-103、同SC-104、同SC-105、同SC1068、同SC-381、同SC-383、同S393、同KH-40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(ゼネカ社製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA-745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF-4440」、「TSF-4300」、「TSF-4445」、「TSF-4460」、「TSF-4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
硬化性樹脂組成物は、界面活性剤を含んでも含まなくてもよいが、含む場合、界面活性剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して、0.001質量%以上1質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下であることがより好ましい。
【0125】
[12]その他の成分
本発明の硬化性樹脂組成物には、前記必須成分や前記好ましい添加剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を適宜選択して用いてもよい。
併用可能なその他の成分としては、例えば、熱硬化促進剤、熱重合禁止剤、可塑剤などが挙げられ、更に基材表面への密着促進剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を併用してもよい。
これらの成分を適宜含有させることにより、目的とする赤外線吸収フィルタの安定性、膜物性などの性質を調整することができる。
前記熱重合禁止剤については、例えば特開2008-250074号公報の段落〔0101〕?〔0102〕に詳細に記載されている。
前記可塑剤については、例えば特開2008-250074号公報の段落〔0103〕?〔0104〕に詳細に記載されている。
前記密着促進剤については、例えば特開2008-250074号公報の段落〔0107〕?〔0109〕に詳細に記載されている。
これら公報に記載の添加剤は、いずれも本発明の硬化性樹脂組成物に使用可能である。
【0126】
[13]溶剤
本発明の硬化性樹脂組成物は溶剤を含有することが好ましい。
溶剤は、特に制限はなく、前記本発明の硬化性樹脂組成物の各成分を均一に溶解或いは分散しうるものであれば、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、ノルマル-プロパノール、イソプロパノール、ノルマル-ブタノール、セカンダリーブタノール、ノルマル-ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸-ノルマル-アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びメトキシプロピルアセテート等のエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1-トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0127】
このようにして得られた本発明の硬化性樹脂組成物は、イメージセンサチップに好適に適用し得る膜厚20μm以上の色素含有層を形成し得る観点から、固形分濃度は10?90質量%であることが好ましく、より好ましくは15?90質量%、最も好ましくは20?80質量%である。
【0128】
本発明の硬化性樹脂組成物の用途は、固体撮像素子基板の受光側における近赤外線遮光膜としての色素含有層用(例えば、ウエハーレベルレンズに対する近赤外線遮光膜としての色素含有層用など)、固体撮像素子基板の裏面側(受光側とは反対側)における近赤外線遮光膜としての色素含有層用、赤外線カットフィルタにおける近赤外線遮光膜としての色素含有層用などを挙げることができ、固体撮像素子基板の受光側における近赤外線遮光膜としての色素含有層用であることが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、イメージセンサチップ用途で膜厚20μm以上の色素含有層を形成し得る厚膜形成性と均一塗布性の観点から、組成物の粘度は1mPa・s以上1000Pa・s以下が好ましく、10mPa・s以上1000Pa・s以下が好ましい。
特に、本発明の硬化性樹脂組成物が、波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有し、固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であることが好ましい1つの実施態様である。
塗布方法がスピンコート、あるいはスリットコートの場合は、組成物の粘度は1mPa・s以上500mPa・s以下が好ましく、10mPa・s以上500mPa・s以下がより好ましく、20mPa・s以上100mPa・s以下が最も好ましい。塗布方法がスクリーン印刷の場合は、組成物の粘度は1Pa・s以上1000Pa・s以下が好ましく、5Pa・s以上200Pa・s以下が最も好ましい。さらに、アプリケーター塗布の場合は、組成物の粘度は10mPa・s以上1Pa・s以下が好ましく、300mPa・s以上700mPa・s以下が最も好ましい。
【0129】
前記色素含有層の形成方法としては、支持体上に、本発明の硬化性樹脂組成物(組成物における固形分が上記溶剤に溶解、乳化又は分散させてなる塗布液)を直接塗布し、乾燥させることにより形成する方法が挙げられる。
硬化性樹脂組成物(塗布液)を支持体上に塗布する方法は、例えば、アプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷等を用いることにより実施できる。また、ポッティング(ドロップキャスト法)を用いて実施することもできる。なお、アプリケーター塗布とは、基板に塗布液を滴下したのち、アプリケーターと呼ばれる棒状の器具(基板と棒の間に数百μmの隙間がある)で塗布液を基板上に塗り広げる塗布方法を意味する。
膜厚20μm以上の色素含有層を形成する観点から、塗布・乾燥、後記の硬化後、更に塗布を行うことを複数回(好ましくは2?5回)繰り返す重ね塗りを行ってもよい。
特に、アプリケーター塗布を行う場合、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%、粘度300?700mPa・sで行うことが好ましい。また、アプリケーターのスリット幅300?500μm、アプリケーターの移動速度2?5cm/秒で行うことが好ましい。
このようなアプリケーター塗布条件とすることで、色素含有層の膜厚を好ましくは50μm以上、より好ましくは100?300μm、更に好ましくは200?300μmとすることができる。
【0130】
また、膜厚20μm以上の色素含有層を形成する観点から、硬化性樹脂組成物(塗布液)を支持体上に塗布する方法としてドロップキャスト法も好ましい。
ドロップキャスト法を用いた色素含有層の形成(本発明の赤外線カットフィルタの形成)の一例について説明する。
まず、支持体の表面に親水性領域を形成し、さらに、その親水性領域を囲むように疎水性領域を形成する。次いで、疎水性領域で囲まれた親水性領域の表面に、本発明の組成物をドロップキャストする。これにより、親水性領域の表面に均一な膜(本発明の組成物を用いた近赤外線カットフィルタ)を形成することができる。
ドロップキャスト法を用いた色素含有層の形成(本発明の赤外線カットフィルタの形成)の他の例について説明する。
まず、支持体の表面に親水性領域を形成し、親水性領域の表面にレジスト組成物を適用する。次いで、レジスト組成物をリソグラフィーによりパターニングし、レジストパターンを形成する。その結果、レジストパターン(疎水性領域)で囲まれた親水性領域が形成される。次いで、レジストパターンで囲まれた親水性領域に、本発明の硬化性樹脂組成物を適用する。次いで、レジストパターンを除去することにより、支持体上に均一な膜(本発明の硬化性樹脂組成物を用いた近赤外線カットフィルタ)を形成することができる。なお、レジストパターンが存在した領域を切断領域とすることで、近赤外線カットフィルタの剥がれなどを生じさせずに、近赤外線カットフィルタを製造することができる。
支持体上に適用した本発明の硬化性樹脂組成物を乾燥する工程を有することが好ましい。
乾燥方法としては、室温で放置して乾燥する方法や、加熱により乾燥する方法が挙げられる。室温で放置して乾燥する場合、乾燥時間は特に限定されないが、例えば6時間以上が好ましく、12時間以上が好ましく、18時間以上がさらに好ましい。
加熱により乾燥する方法は、特に限定されないが、後述するように、本発明の硬化性樹脂組成物が水と沸点が100℃より高い極性溶剤を含む場合、支持体上に適用した本発明の硬化性樹脂組成物を連続的に加熱する方法や、100℃以下および100℃を超える温度の少なくとも2段階で加熱する方法が好ましい。この場合、支持体上に適用された本発明の硬化性樹脂組成物を加熱すると、先に水が揮発し、遅れて沸点が100℃より高い極性溶剤が揮発するため、本発明の硬化性樹脂組成物が急激に乾燥や硬化がされにくくなる傾向にある。結果として、膜の表面近傍と膜内部の乾燥や硬化の進行を均一にすることができるため、厚い膜を形成した場合、面状不良をより効果的に抑制できると考えられる。
支持体上に適用した本発明の硬化性樹脂組成物を連続的に加熱する場合、100℃以下から100℃を超える温度にわたって、連続的に昇温することが好ましい。連続的に加熱する温度範囲は、40?200℃が好ましく、50?180℃がより好ましく、60?140℃の範囲がさらに好ましい。また、連続的に加熱する時間の合計は、20?200分が好ましく、30?100分がより好ましく、40?80分がさらに好ましい。例えば、1?20℃/分で昇温することが好ましい。
100℃以下および100℃を超える温度の少なくとも2段階で加熱する場合、100℃以下(好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下、さらに好ましくは85℃以下)および100℃を超える温度(好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上)のそれぞれで、少なくとも1段階ずつ加熱すればよく、100℃以下および100℃を超える温度のそれぞれで、2段階以上加熱することが好ましい。100℃以下および100℃を超える温度の2段階で加熱する場合、それぞれの温度差は、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましい。
例えば、50?70℃の範囲で加熱し、次いで、70?90℃の範囲で加熱し、次いで、90?110℃の範囲で加熱し、次いで、110?130℃の範囲で加熱し、次いで、130?150℃の範囲で加熱することが好ましい。
それぞれの温度で加熱する時間は、同一であっても、異なってもよく、1?40分が好ましく、5?30分がより好ましく、5?15分がさらに好ましい。
加熱装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
また、塗膜の乾燥条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60℃?150℃の温度で30秒間?15分間程度である。
【0131】
支持体は、固体撮像素子基板であっても、固体撮像素子基板の受光側に設けられた別の基板(例えば後述のガラス基板30)であっても、固体撮像素子基板における受光側に設けられた低屈折率層等の層であっても良い。
【0132】
前記色素含有層の膜厚としては、イメージセンサチップに好適に適用し得る観点から、20μm以上が好ましく、20μm?300μmがより好ましく、20μm?200μmが更に好ましく、30μm?150μmが特に好ましく、40μm?120μmが最も好ましい。膜厚は使用する色素によって適宜調整されるが、このように厚く塗布することで、使用する色素の種類が限定されずに所望の赤外線カット機能を達成することができる。
また、色素含有層は多層から構成されていてもよい。例えば、第1の色素含有層には銅錯体を含有させ(銅錯体含有層)、第2の色素含有層には銅錯体と異なる色素(好ましくはピロロピロール色素)を含有させる。このときの銅錯体含有層の膜厚は上述した厚膜の構成とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましい。また第2の色素含有層の膜厚は、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が特に好ましい。異なる2種類の色素を併用することで、所望の波長の光を遮光することができ、また第2の色素含有層を銅錯体含有層で覆うことで、第2の色素含有層の色素の耐熱性が不十分であって、リフロー工程に耐えることができる。
【0133】
本発明の硬化性樹脂組成物を用いて色素含有層を形成する方法は、その他の工程を含んでいても良い。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基材の表面処理工程、前加熱工程(プリベーク工程)、硬化処理工程、後加熱工程(ポストベーク工程)などが挙げられる。
<前加熱工程・後加熱工程>
前加熱工程及び後加熱工程における加熱温度は、通常、80℃?200℃であり、90℃?150℃であることが好ましい。
前加熱工程及び後加熱工程における加熱時間は、通常、30秒?240秒であり、60秒?180秒であることが好ましい。
<硬化処理工程>
硬化処理工程は、必要に応じ、形成された前記膜に対して硬化処理を行う工程であり、この処理を行うことにより、色素含有層の機械的強度が向上する。
前記硬化処理工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、全面露光処理、全面加熱処理などが好適に挙げられる。ここで、本発明において「露光」とは、各種波長の光のみならず、電子線、X線などの放射線照射をも包含する意味で用いられる。
露光は放射線の照射により行うことが好ましく、露光に際して用いることができる放射線としては、特に、電子線、KrF、ArF、g線、h線、i線等の紫外線や可視光が好ましく用いられる。好ましくは、KrF、g線、h線、i線が好ましい。
露光方式としては、ステッパー露光や、高圧水銀灯による露光などが挙げられる。
露光量は5mJ/cm^(2)?3000mJ/cm^(2)が好ましく10mJ/cm^(2)?2000mJ/cm^(2)がより好ましく、50mJ/cm^(2)?1000mJ/cm^(2)が最も好ましい。
【0134】
全面露光処理の方法としては、例えば、形成された前記膜の全面を露光する方法が挙げられる。硬化性樹脂組成物が重合性化合物を含有する場合、全面露光により、上記組成物より形成される膜中の重合成分の硬化が促進され、前記膜の硬化が更に進行し、機械的強度、耐久性が改良される。
前記全面露光を行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、超高圧水銀灯などのUV露光機が好適に挙げられる。
【0135】
また、全面加熱処理の方法としては、形成された前記膜の全面を加熱する方法が挙げられる。全面加熱により、パターンの膜強度が高められる。
全面加熱における加熱温度は、120℃?250℃が好ましく、120℃?250℃がより好ましい。該加熱温度が120℃以上であれば、加熱処理によって膜強度が向上し、250℃以下であれば、前記膜中の成分の分解が生じ、膜質が弱く脆くなることを防止できる。
全面加熱における加熱時間は、3分?180分が好ましく、5分?120分がより好ましい。
全面加熱を行う装置としては、特に制限はなく、公知の装置の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ドライオーブン、ホットプレート、IRヒーターなどが挙げられる。
【0136】
上記した本発明の硬化性樹脂組成物を用いて得られる色素含有層は、本発明の硬化性樹脂組成物より形成されているので、波長700nm付近の近赤外領域における遮光性(近赤外線遮蔽性)が高く、可視光領域における透光性(可視光線透過性)が高い。
【0137】
<カメラモジュール>
本発明は、固体撮像素子基板と、前記固体撮像素子基板の受光側に配置された色素含有層とを有するカメラモジュールにも関する。
【0138】
以下、本発明の好ましい実施形態の1つに係るカメラモジュールを、図1及び図2を参照しながら説明するが、本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
なお、図1及び図2にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」及び「上側」は、シリコン基板10から見て遠い側を指し、「下」、「下方」及び「下側」は、シリコン基板10に近い側を指す。
【0139】
図1は、イメージセンサチップを備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図1に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板100と、固体撮像素子基板100の上に設けられた色素含有層42と、色素含有層42の上方に配置されるガラス基板30(光透過性基板)と、ガラス基板30の上方に配置される赤外線反射膜35と、ガラス基板30の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子基板100及びガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤20(図1には不図示)、45により接着されている。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、赤外線反射膜35、ガラス基板30、色素含有層42を順次透過した後、固体撮像素子基板100の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール200は、固体撮像素子基板100の第2の主面側で、ハンダボール60(接続材料)を介して回路基板70に接続されている。
【0140】
図2は、図1中の固体撮像素子基板100を拡大した断面図である。
固体撮像素子基板100は、基体であるシリコン基板10、撮像素子12、層間絶縁膜13、ベース層14、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B、オーバーコート16、高屈折率層(マイクロレンズ)17、低屈折率層46、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダレジスト層24、内部電極26、及び素子面電極27を備えて構成されている。
但し、ソルダレジスト層24は省略されていてもよい。
【0141】
まず、固体撮像素子基板100の第1の主面側(受光側)の構成を中心に説明する。
図2に示すように、固体撮像素子基板100の基体であるシリコン基板10の第1の主面側に、CCDやCMOS等の撮像素子12が2次元に複数配列された撮像素子部が設けられている。
撮像素子部における撮像素子12上には層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13上にはベース層14が形成されている。更にベース層14上には、撮像素子12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)がそれぞれ配置されている。
赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15Bの境界部、及び撮像素子部の周辺には、図示しない遮光膜が設けられていてもよい。この遮光膜は、例えば、公知のブラックのカラーレジストを用いて作製できる。
カラーフィルタ15上にはオーバーコート16が形成され、オーバーコート16上には撮像素子12(カラーフィルタ15)に対応するように高屈折率層17が形成されている。
そして、高屈折率層17の上には、前記低屈折率層46が設けられている。
【0142】
また、第1の主面側の撮像素子部の周辺は、周辺回路(不図示)及び内部電極26が設けられており、内部電極26は、周辺回路を介して撮像素子12と電気的に接続されている。
更に、内部電極26上には、層間絶縁膜13を介して素子面電極27が形成されている。内部電極26と素子面電極27間の層間絶縁膜13内には、これら電極間を電気的に接続するコンタクトプラグ(不図示)が形成されている。素子面電極27は、コンタクトプラグ、内部電極26を介して電圧の印加及び信号の読み出しなどに使用される。
素子面電極27上には、ベース層14が形成されている。ベース層14上にはオーバーコート16が形成されている。素子面電極27上に形成されたベース層14及びオーバーコート16が開口されて、パッド開口部が形成され、素子面電極27の一部が露出している。
【0143】
固体撮像素子基板100の第1の主面側において、撮像素子部の周辺には接着剤20が設けられ、この接着剤20を介し、固体撮像素子基板100とガラス基板30とが接着される。
また、シリコン基板10は、該シリコン基板10を貫通する貫通孔を有しており、貫通孔内には、金属電極23の一部である貫通電極が備えられている。この貫通電極により、撮像素子部と回路基板70とが電気的に接続されている。
次に、固体撮像素子基板100の第2の主面側の構成を中心に説明する。
該第2の主面側には、第2の主面上から貫通孔の内壁にわたり絶縁膜22が形成されている。
絶縁膜22上には、シリコン基板10の第2の主面上の領域から貫通孔の内部に至るようにパターニングされた金属電極23が設けられている。金属電極23は、固体撮像素子基板100中の撮像素子部と回路基板70との接続用の電極である。
前記貫通電極は、この金属電極23のうち、貫通孔の内部に形成された部分である。貫通電極は、シリコン基板10及び層間絶縁膜の一部を貫通して内部電極26の下側に至り、該内部電極26に電気的に接続されている。
更に、第2の主面側には、金属電極23が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部を露出する開口部を有するソルダレジスト層24(保護絶縁膜)が設けられている。
更に、第2の主面側には、ソルダレジスト層24が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部が露出する開口部を有する遮光膜18が設けられている。
なお、図2では、遮光膜18は、金属電極23の1部を覆い、残りの部分を露出させるようにパターニングされているが、金属電極23の全部を露出させるようにパターニングされていてもよい(ソルダレジスト層24のパターニングについても同様である)。
また、ソルダレジスト層24は省略されていてもよく、金属電極23が形成された第2の主面上に、遮光膜18が直接形成されていてもよい。
露出された金属電極23上には、接続部材としてのハンダボール60が設けられ、このハンダボール60を介し、固体撮像素子基板100の金属電極23と、回路基板70の不図示の接続用電極と、が電気的に接続される。
【0144】
以上、固体撮像素子基板100の構成について説明したが、特開2009-158863号公報中段落0033?0068に記載の方法や、特開2009-99591号公報中段落0036?0065に記載の方法など、公知の方法により形成できる。
層間絶縁膜13は、例えば、スパッタやCVD(Chemical vapor deposition)等によりSiO_(2)膜又はSiN膜として形成する。
カラーフィルタ15は、例えば、公知のカラーレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
オーバーコート16及びベース層14は、例えば、公知の有機層間膜形成用レジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成する。
マイクロレンズ17は、例えば、スチレン系樹脂等を用い、フォトリソグラフィー等により形成する。
ソルダレジスト層24は、例えばフェノール系樹脂、あるいはポリイミド系樹脂、アミン系樹脂を含む公知のソルダレジストを用い、フォトリソグラフィーにより形成されることが好ましい。
ハンダボール60は、例えば、直径100μm?1000μm(好ましくは直径150μm?700μm)の球状に形成する。
内部電極26及び素子面電極27は、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polishing)、又はフォトリソグラフィー及びエッチングにより、Cu等の金属電極として形成する。
金属電極23は、Cu、Au、Al、Ni、W、Pt、Mo、Cu化合物、W化合物、Mo化合物等の金属電極として形成する。金属電極23は、単層構成でも2層以上からなる積層構成であってもよい。金属電極23の膜厚は、例えば、0.1μm?20μm(好ましくは0.1μm?10μm)とする。シリコン基板10としては特に限定されないが、基板裏面を削ることによって薄くしたシリコン基板を用いることができる。基板の厚さは限定されないが、例えば、厚み20μm?200μm(好ましくは30?150μm)のシリコンウエハーを用いる。
シリコン基板10の貫通孔は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)により形成する。
【0145】
以上、カメラモジュールの一実施形態について図1及び図2を参照して説明したが、前記一実施形態は図1及び図2の形態に限られるものではない。
また本発明は、ガラス基板等の光透過性基板上に近赤外線遮光膜としての前記色素含有層を有してなる赤外線カットフィルタにも関する。
本発明の赤外線カットフィルタは、光透過性基板上に近赤外線遮光膜として2層以上の色素含有層を有してなる赤外線カットフィルタであってもよい。
例えば、銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタは、リフロー工程における耐熱性の観点から好ましい。
2層以上の色素含有層を有してなる赤外線カットフィルタは、波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素を含有する硬化性樹脂組成物を用いて塗布・乾燥、後記の硬化を行って色素含有層を形成した後、前記色素とは異なるが波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有していてもよい色素を含有する硬化性樹脂組成物を用いて形成することができる。
本発明の赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に供することができる。半田リフロー工程によりカメラモジュールを製造することによって、半田付けを行うことが必要な電子部品実装基板等の自動実装化が可能となり、半田リフロー工程を用いない場合と比較して、生産性を格段に向上することができる。更に、自動で行うことができるため、低コスト化を図ることもできる。半田リフロー工程に供される場合、250?270℃程度の温度にさらされることとなるため、赤外線カットフィルタは、半田リフロー工程に耐え得る耐熱性(以下、「耐半田リフロー性」ともいう。)を有することが好ましい。
本明細書中で、「耐半田リフロー性を有する」とは、250℃で10分間の加熱を行う前後で赤外線カットフィルタとしての特性を保持することをいう。より好ましくは、260℃で10分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。更に好ましくは、270℃で3分間の加熱を行う前後で特性を保持することである。耐半田リフロー性を有しない場合には、上記条件で保持した場合に、赤外線カットフィルタの赤外線吸収能が低下したり、膜としての機能が不十分となる場合がある。
また本発明は、リフロー処理する工程を含む、カメラモジュールの製造方法にも関する。
本発明の赤外線カットフィルタは、リフロー工程があっても、近赤外線吸収能が維持されるので、小型軽量・高性能化されたカメラモジュールの特性を損なうことがない。上述したように半田リフロー工程による場合、リフロー炉は熱風や遠赤外線等によって加熱されることから、赤外線カットフィルタには、リフロー温度に対応できる耐熱性が要求されることになる。
【0146】
<イメージセンサチップとその製造方法>
本発明は、上記カメラモジュールに好適に使用され得るイメージセンサチップとその製造方法にも関する。
図3(a)及び(b)はいずれも、本発明のイメージセンサチップの製造方法の態様を示す概略断面図である。
図3(a)及び(b)に示すように、本発明のイメージセンサチップの製造方法は、前述の硬化性樹脂組成物をガラス基板30上に塗布し色素含有層42を形成する工程と、前記色素含有層42が形成されたガラス基板30を固体撮像素子基板100(図3においては該基板中の低屈折率層46)上に接着する工程とを有する。
図3(a)及び(b)に示すように、ガラス基板30が赤外線反射膜35を更に有することが好ましい。
上記本発明のイメージセンサチップの製造方法によれば、固体撮像素子基板100(図3においては該基板中の低屈折率層46)、色素含有層42、及び赤外線反射膜35を有するガラス基板30を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップを製造することができる。
本発明のイメージセンサチップの製造方法において、図3(a)に示した態様のように、ガラス基板30の赤外線反射膜35が形成されていない面(色素含有層42が形成された面)を固体撮像素子基板100上に接着してもよいし、図3(b)に示した態様のように、ガラス基板30の赤外線反射膜35が形成された面を固体撮像素子基板100上に接着してもよい。
図3(a)に示した本発明のイメージセンサチップの製造方法の態様によれば、色素含有層42とは反対側のガラス基板30の面上に赤外線反射膜35を有するイメージセンサチップを製造することができる。
図3(b)に示した本発明のイメージセンサチップの製造方法の態様によれば、色素含有層42と固体撮像素子基板100(図3においては該基板中の低屈折率層46)との間に赤外線反射膜35を有するイメージセンサチップを製造することができる。
【0147】
本発明において、近赤外線遮光膜としての色素含有層42、ガラス基板30及び赤外線反射膜35を含有する積層体が赤外線カットフィルタとして機能し得る。
本発明において、前記赤外線反射膜35としては、特に制限はないが、誘電体多層膜であることが好ましい。本発明に用いられる誘電体多層膜は、近赤外線を反射及び/又は吸収する能力を有する膜である。
本発明において、図3(a)に示した態様のように、固体撮像素子基板100(図3においては該基板中の低屈折率層46)上に、前述の硬化性樹脂組成物から形成される色素含有層42、ガラス基板30、赤外線反射膜35としての誘電体多層膜が該順に連続して設けられ積層体を形成していてもよいし、図3(b)に示した態様のように、赤外線反射膜35としての誘電体多層膜、色素含有層42、ガラス基板30が該順に連続して設けられ積層体を形成していてもよい。
【0148】
誘電体多層膜の材料としては、例えばセラミックを用いることができる。光の干渉の効果を利用した近赤外線カットフィルタを形成するためには、屈折率の異なるセラミックを2種以上用いることが好ましい。
あるいは、近赤外域に吸収を有する貴金属膜を近赤外線カットフィルタの可視光の透過率に影響のないよう、厚みと層数を考慮して用いることも好ましい。
誘電体多層膜としては具体的には、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した構成を好適に用いることができる。
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.7?2.5の材料が選択される。
この材料としては、例えば、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムや、これら酸化物を主成分とし酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウムなどを少量含有させたものが挙げられる。これらの中でも、酸化チタン(チタニア)が好ましい。
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.2?1.6の材料が選択される。
この材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。これらの中でも、シリカが好ましい。
これら高屈折率材料層及び低屈折率材料層の各層の厚みは、通常、遮断しようとする赤外線波長λ(nm)の0.1λ?0.5λの厚みである。厚みが上記範囲外になると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)がλ/4で算出される光学的膜厚と大きく異なって反射・屈折の光学的特性の関係が崩れてしまい、特定波長の遮断・透過をコントロールしにくい傾向にある。
また、誘電体多層膜における積層数は、好ましくは5?50層であり、より好ましくは10?45層である。
誘電体多層膜の形成方法としては、特に制限はないが、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成し、これを前記膜に接着剤で張り合わせる方法、前記膜上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成する方法を挙げることができる。
さらに、誘電体多層膜を蒸着した際に基板にソリが生じてしまう場合には、これを解消するために、基板両面へ誘電体多層膜を蒸着する、基板の誘電多層膜を蒸着した面に紫外線等の放射線を照射する等の方法をとることができる。なお、放射線を照射する場合、誘電体多層膜の蒸着を行いながら照射してもよいし、蒸着後別途照射してもよい。
【0149】
本発明のイメージセンサチップの製造方法において、ガラス基板30が更に反射防止膜を有していてもよい(図3において図示せず)。
例えば、ガラス基板30の一方の面上に赤外線反射膜35を存在させ、他方の面上に反射防止膜を存在させることができる。
ガラス基板30に更に反射防止膜を有させることにより、固体撮像素子基板100、色素含有層42、及び赤外線反射膜35を有するガラス基板30を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有させることができる。
【0150】
本発明に用いられる反射防止膜は、可視光の反射を防止、または低減させるものであれば、特に限定されるものではない。
反射防止膜は、例えば、前記誘電体多層膜で説明した高屈折率材料と低屈折率材料とを、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などで積層数1?5層に積層することで形成することができる。ほかに、ガラス基板30の表面に熱及び/又はUV硬化性材料を塗布した後、金型等を用いて、この材料に数十?数百nmオーダーの円錐形等の微細形状を転写し、更に熱及び/又はUVによりこの材料を硬化させ、反射防止膜を形成する方法、又は、屈折率の異なるゾルゲル材料(アルコキシド等を加水分解、重合させ、コロイド状にしたものを溶液中に分散させた材料)を塗布し、積層して反射防止膜を形成する方法(ウェット塗布)を用いることができる。なお、ゾルゲル材料を用いる場合、通常、熱を用いて硬化させるが、エネルギー線(例えば紫外線等)を用いて、縮合触媒となる酸等を発生させ硬化させる、いわゆる光硬化によって反射防止膜を形成させてもよい(特開2000-109560号公報、特開2000-1648号公報)。
なかでも、誘電体多層膜を形成する際に用いる材料、設備をそのまま使用できる点から、前記誘電体多層膜を形成するのと同様の方法で反射防止膜を形成する方法、又は、生産性の向上の点から、前記のウェット塗布により反射防止膜を形成する方法を好適に用いることができる。
反射防止膜の厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは0.01?1.0μm、さらに好ましくは0.05?0.5μmである。
また、上述した前記赤外線反射膜35や反射防止膜としては、特開2013-68688の0083欄以降の実施例で使用されている誘電体多層膜や反射防止膜も使用することができる。
【実施例】
【0151】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
また、以下の実施例における粘度の測定は、粘度測定装置: RE85L形粘度計(東機産業株式会社)を用い、下記条件で行った。
ロータ:RE85L形粘度計用標準コーンロータ 1°34′x R24
回転数:被測定物の粘度により0.5?100rpmに任意設定
測定温度:25℃
【0152】
<硬化性樹脂組成物の調製>
(実施例1)
下記組成成分を攪拌機で混合し、実施例1の硬化性樹脂組成物を調製した。
【0153】
・フタロシアニン系色素A(日本触媒製 Excolor TX-EX 720;極大吸収波長(λ_(max))=720nm(膜))
0.5質量部
・下記重合性化合物1 25質量部
・下記重合性化合物2 25質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
49.5質量部
重合性化合物1
【0154】
【化11】

【0155】
重合性化合物2
【0156】
【化12】

【0157】
(実施例2)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部の上記フタロシアニン系色素Aと、0.25質量部のフタロシアニン系色素B(日本触媒製 Excolor TX-EX 708K;極大吸収波長(λ_(max))=755nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例2の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例3)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部の上記フタロシアニン系色素Aと、0.25質量部のシアニン系色素(ダイトーケミックス社製 Daito chmix 1371F;極大吸収波長(λ_(max))=805nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例3の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例4)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部の上記フタロシアニン系色素Aと、0.05質量部のクアテリレン系色素(BASF社製 Lumogen IR765;極大吸収波長(λ_(max))=705nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例4の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例5)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.5質量部のフタロシアニン系色素B(日本触媒製 Excolor TX-EX 708K;極大吸収波長(λ_(max))=755nm(膜))を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例5の硬化性樹脂組成物を調製した。
【0158】
(実施例6)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部のフタロシアニン系色素B(日本触媒製 Excolor TX-EX 708K;極大吸収波長(λ_(max))=755nm(膜))と0.25質量部のシアニン系色素(ダイトーケミックス社製 Daito chmix 1371F;極大吸収波長(λ_(max))=805nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例6の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例7)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部のフタロシアニン系色素B(日本触媒製 Excolor TX-EX 708K;極大吸収波長(λ_(max))=755nm(膜))と0.25質量部のクアテリレン系色素(BASF社製 Lumogen IR765;極大吸収波長(λ_(max))=705nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例7の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例8)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.5質量部のシアニン系色素(ダイトーケミックス社製 Daito chmix 1371F;極大吸収波長(λ_(max))=805nm(膜))を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例8の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例9)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.25質量部のシアニン系色素(ダイトーケミックス社製 Daito chmix 1371F;極大吸収波長(λ_(max))=805nm(膜))と0.25質量部のクアテリレン系色素(BASF社製 Lumogen IR765;極大吸収波長(λ_(max))=705nm(膜))とを用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例9の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例10)
0.5質量部のフタロシアニン系色素Aに代えて、0.5質量部のクアテリレン系色素(BASF社製 Lumogen IR765;極大吸収波長(λ_(max))=705nm(膜))を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例10の硬化性樹脂組成物を調製した。
【0159】
(実施例11)
25質量部の重合性化合物1に代えて、25質量部のアロニックスM-305(東亜合成株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例11の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例12)
25質量部の重合性化合物2に代えて、25質量部のサイクロマーP ACA230AA(ダイセル化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例12の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例13)
25質量部の重合性化合物1及び25質量部の重合性化合物2に代えて、それぞれ、25質量部のアロニックスM-305(東亜合成株式会社製)及び25質量部のサイクロマーP ACA230AA(ダイセル化学工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例13の硬化性樹脂組成物を調製した。
(実施例14)
49.5質量部のPGMEAに代えて、49.5質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を用いた以外は、実施例1と同様とすることにより、実施例14の硬化性樹脂組成物を調製した。
【0160】
<イメージセンサチップの製造>
まず、画素受光部ピッチ2.0μm、画素数2592個(X軸方向)×1944個(Y軸方向)のフォトダイオード(受光部サイズ1.0μm×1.0μm)からなり、基板に一定の配置ピッチで2次元配置された複数の受光素子と、Alからなる配線層と遮光層を有する絶縁層(酸化珪素)と、パッシベーション層(窒化珪素)と、導波路(窒化珪素)とを備えたCMOSセンサーを形成したウェハを用意した。このCMOSセンサーでは、パッシベーション層の厚みを0.3μm、パッシベーション層と導波路との間に介在する絶縁層の厚みを0.3μm、導波路の厚みが2.1μmとした。導波路の入口平面寸法は1.5μm×1.5μm、出口平面寸法はフォトダイオード寸法と同じく1.0μm×1.0μmとした。また、パッシベーション層、絶縁層、導波路の屈折率を分光エリプソメータにより測定した結果、パッシベーション層の屈折率は2.0、絶縁層の屈折率は1.46、導波路の屈折率は1.88、導波路の外側の絶縁層の屈折率は1.46であった。尚、屈折率の値は、以降も含めて、特に波長に指定のない限り、波長550nmでの値である。
【0161】
(下平坦化層の形成)
パッシベーション層上に、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製CT-2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って下平坦化層(厚み0.3μm)を形成した。この下平坦化層について、上記と同様に屈折率を測定した結果、1.56であった。
【0162】
(カラーフィルタの形成)
ネガ型感光性の赤色材料(R用材料)、緑色材料(G用材料)、青色材料(B用材料)として以下の材料を用意した。
R用材料:富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製SR-4000L
G用材料:富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製SG-4000L
B用材料:富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製SB-4000L
G、R、Bの形成順序に、上記材料をスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、ポストベークを行って、カラーフィルタ(膜厚0.8μm)を形成した。すなわち、まず、下平坦化層上にG用材料を塗布し、プリベーク、フォトマスクを用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、市松模様状に緑色フィルタを形成した。次に、この緑色フィルタを被覆するようにR用材料を塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って赤色フィルタを形成した。次いで、赤色フィルタ、緑色フィルタを被覆するようにB用材料を塗布し、プリベーク、フォトマスクを用いて露光、現像した後、ポストベーク(220℃、10分間)を行って、青色フィルタを形成した。
なお、現像液として、富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製CD-2000の50%希釈液を使用した。
形成したカラーフィルタの各色フィルタについて、上記と同様に屈折率を測定した結果、赤色フィルタの屈折率は1.59(波長620nm)、緑色フィルタの屈折率は1.60(波長550nm)、青色フィルタの屈折率は1.61(波長450nm)であった。
【0163】
(上平坦化層の形成)
カラーフィルタ上に、光硬化型アクリル系透明樹脂材料(富士フイルムエレクトロマテリアルズ(株)製CT-2020L)をスピン塗布し、次いで、プリベーク、紫外線全面露光、ポストベークを行って上平坦化層を形成した。形成した上平坦化層の厚みは0.3μmであり、上記と同様に測定した屈折率は1.56であった。
【0164】
(マイクロレンズの形成)
上平坦化層に、マイクロレンズ材料としてJSR(株)製MFR401Lをスピン塗布し、プリベーク、1/5縮小型のi線ステッパーによる露光、現像、後露光、ポストベークによるメルトフローを行って、マイクロレンズ(高さ0.675μm)を形成した。形成したマイクロレンズの屈折率を上記と同様に測定した結果、1.61であった。なお、現像液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)の1.19質量%液を使用した。
【0165】
次に、ボンディングパッド部の窓開けを行った。すなわち、ポジレジスト(住友化学(株)製i線用ポジレジストPFI-27)をスピン塗布し、次いで、プリベーク後、ボンディングパッド部およびスクライブ部に対応するパターンを有するフォトマスク用いて露光、現像を行った。これにより、ボンディングパッド部およびスクライブ部に開口を有するレジストパターンが形成され、このレジストパターンをマスクとして酸素アッシングを行って、当該箇所上の平坦化層をエッチング除去した。次いで、レジスト剥離液を用いてポジレジストを除去した。
【0166】
<色素含有層1の作成>
ガラス基板上に、蒸着温度200℃で近赤外線を反射する誘電体多層膜〔シリカ(SiO_(2):膜厚20?250nm)層とチタニア(TiO_(2):膜厚70?130nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数44〕を形成した誘電体多層膜付きガラス基板を得た。多層蒸着膜の総厚はいずれも約5.5μmであった。
誘電体多層膜付きガラス基板上に、実施例1?14の硬化性樹脂組成物の各々を用いて、スリットコート法(YOSHIMITSU SEIKI ベーカーアプリケーター YBA-3型、スリット幅250μmに調整)を用いて塗布膜を形成し、次いで、100℃2分の前加熱を行った後、140℃10分の後加熱を行った。膜厚約100μmの色素含有層を得た。
上記色素含有層が形成された誘電体多層膜付きガラス基板を、前述で得られた固体撮像素子基板上に接着剤を用いて貼り付けた。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。
<色素含有層2の作成>
また、ガラス基板上に、実施例1?14の硬化性樹脂組成物の各々を用いて、スリットコート法を用いて塗布膜を形成し、次いで、100℃2分の前加熱を行った後、140℃10分の後加熱を行った。膜厚約100μmの色素含有層を得た。
また、前記色素含有層が形成されたガラス基板の色素含有層面上に、蒸着温度200℃で近赤外線を反射する誘電体多層膜〔シリカ(SiO_(2):膜厚20?250nm)層とチタニア(TiO_(2):膜厚70?130nm)層とが交互に積層されてなるもの,積層数44〕を形成した。多層蒸着膜の総厚はいずれも約5.5μmであった。
色素含有層上に誘電体多層膜が形成されたガラス基板を、前述で得られた固体撮像素子基板上に接着剤を用いて貼り付けた。
次いで、ウェハのダイシングを行い、パッケージ組立を行って、本発明の固体撮像素子を作製した。
【0167】
<イメージセンサチップの評価>
(入射角依存性の測定及び評価)
このように作製した固体撮像素子にカメラレンズを組み合わせ、有効撮像領域の中(主光線入射角度0°)での感度を100%としたときの、主光線入射角度が5°、10°、15°、20°、25°、30°の各グリーン画素での相対感度を測定した。その結果から、シェーディングが抑制されていることが確認された。
また、色素含有層の膜厚を厚くしたことで、耐熱性の向上も確認できた。
色素含有層1及び2の膜厚を、60μm、200μm、250μm、300μmとしたこと以外は同様にして固体撮像素子を得た。これらの固体撮像素子でも、十分な近赤外線の遮光性と耐熱性があることを確認した。これらの中で、膜厚を、100μm以上で十分な耐熱性が確認できたが、300μmとするとイメージセンサの画質が不十分となることがわかった。
【0168】
(実施例15)
<近赤外線吸収性の第1の硬化性樹脂組成物の調製>
下記の化合物を混合して、近赤外線吸収性の第1の硬化性樹脂組成物を調製した。
(ポリマー型スルホン酸銅錯体Xの調製)
3つ口フラスコに水(60質量部)を入れ、窒素雰囲気下において57℃に昇温した。2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(100質量部)を水(160質量部)に溶解させたモノマー溶液(滴下液a)、及びVA-046B(水溶性アゾ系重合開始剤、和光純薬工業株式会社製、1.164質量部)を水(80質量部)に溶解させた開始剤溶液(滴下液b)を調製し、滴下液aと滴下液bを同時に2時間かけて滴下して反応させた。滴下終了後2時間反応させた後、65℃に昇温してさらに2時間反応させることで重合体(B-1)の25質量%水溶液を得た。重量平均分子量は100,000であった。
得られた(B-1)溶液に対して、(B-1)の酸基量に対して0.4当量の水酸化銅(II)(18.83質量部)を加え、50℃で1時間撹拌した後、水で希釈することで、ポリマー型スルホン酸銅錯体Xの25質量%水溶液を得た。
(近赤外線吸収性の第1の樹脂組成物の調製)
ポリマー型スルホン酸銅錯体X(1.00g)に、純水(2.80g)及びジメチルホルムアミド(1.20g)を加え、第1の硬化性樹脂組成物を得た。調製した第1の硬化性樹脂組成物は、固形分濃度20質量%の青色の透明液であった。
<近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物の調製>
下記の化合物を混合して、近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物を調製した。
(ピロロピロール色素化合物(A-154)の合成)
下記スキームに従って、ピロロピロール色素化合物(A-154)を合成した。
【0169】
【化13】

【0170】
イソエイコサノール(ファインオキソコール2000、日産化学工業(株)社製)20.0質量部、トリエチルアミン8.13質量部を酢酸エチル40質量部中で攪拌し、-10℃下で、メタンスルホニルクロリド8.44質量部を滴下した。滴下終了後、30℃で2時間反応させた。分液操作により有機相を取り出し、溶媒を減圧留去することで、淡黄色液体(A-154A0体)25.5質量部を得た。
4-シアノフェノール7.82質量部、炭酸カリウム10.1質量部をジメチルアセトアミド25質量部中で攪拌し、上記で合成したD-154A0体を25.5質量部加えて、100℃で6時間反応させた。分液操作により有機相を取り出し、有機相を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去することで、淡黄色液体(A-154A体)25.8質量部を得た。
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.55-0.96(m,18H),0.96-2.10(m,21H),3.88(m,2H),6.93(d,2H),7.56(d,2H)
ジケトピロロピロール化合物(A-154B体)を、上記で合成したA-154A体13.1質量部を原料にして、米国特許第5,969,154号明細書に記載された方法に従って合成し、橙色固体(A-154B体)7.33質量部を得た。
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.55-0.96(m,36H),0.96-2.10(m,42H),3.95(m,4H),7.06(d,4H),8.30(d,4H),8.99(brs,2H)
A-154B体7.2質量部、2-(2-ベンゾチアゾリル)アセトニトリル3.42質量部をトルエン30質量部中で攪拌し、オキシ塩化リン10.0質量部を加えて5時間加熱還流した。分液操作により有機相を取り出し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した後、溶媒を減圧留去した。
得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で精製し、さらにクロロホルム/アセトニトリル溶媒を用いて再結晶することで、緑色固体(A-154D体)5.73質量部を得た。
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.55-1.00(m,36H),1.00-2.10(m,42H),3.97(m,4H),7.11(d,4H),7.28(t,2H),7.43(t,2H),7.67-7.75(m,6H),7.80(d,2H),13.16(s,2H)
ジフェニルボリン酸2-アミノエチルエステル2.53質量部、トルエン70質量部を40℃で攪拌し、塩化チタン3.56質量部を添加して30分間反応させた。A-154D体5.60質量部を添加し、外接温度130℃で1時間加熱還流させた。室温まで冷やし、メタノール80質量部を添加して結晶を析出させ、これをろ別した。得られた粗結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒:クロロホルム)で精製した後、さらにトルエン/メタノール溶媒を用いて再結晶することで、目的化合物である緑色結晶(A-154)を3.87質量部得た。
A-154のλ_(max)は、クロロホルム中で780nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、2.21×10^(5)dm^(3)/mol・cmであった。^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.55-1.01(m,36H),1.01-2.10(m,42H),3.82(m,4H),6.46(s,8H),6.90-7.05(m,6H),7.07-7.19(m,12H),7.21-7.29(m,8H),7.32(d,2H)
【0171】
(重合性化合物(樹脂(B-1))の合成)
シクロヘキサノン33.26質量部を窒素気流下、85℃に加熱した。この液を攪拌しながら、グリシジルメタクリレート22.36質量部、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート12.38質量部、シクロヘキサノン33.26質量部、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル〔V-601、和光純薬工業(株)製〕1.45質量部の混合溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で更に2時間、90℃で更に2時間攪拌することで、樹脂(B-1)を得た。得られた樹脂のGPC(キャリア:テトラヒドロフラン(THF))から求めた重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算)は、Mw=13300、分散度はMw/Mn=2.26であった。
【0172】
【化14】

【0173】
(近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物)
下記の成分を混合して、近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物を調製した。
・ピロロピロール色素化合物(A-154) 2.40質量部
・重合性化合物:樹脂(B-1) 6.80質量部
・重合性化合物:EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製)
14.5質量部
・硬化剤:ピロメリット酸無水物 3.50質量部
・重合禁止剤:p-メトキシフェノール 0.10質量部
・溶剤:シクロヘキサノン 72.65質量部
・界面活性剤:MEGAFAC F-781-F(DIC(株)製)
0.05質量部
【0174】
<近赤外線カットフィルタの作成>
調製した近赤外線吸収性の第1の硬化性樹脂組成物、及び、近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物を用いて、以下の方法で近赤外線カットフィルタを作製した。
ガラス基板上にスピンコート(ミカサ株式会社製のスピンコーター1H-D7を使用)で近赤外線吸収性の第2の硬化性樹脂組成物を塗布(2000rpm、20秒)し、ホットプレートで100℃2分間プリベーク、230℃5分間ポストベークした。その上にアプリケータ塗布法(スリット幅400μm)で近赤外線吸収性の第1の硬化性樹脂組成物を塗布し、オーブンで100℃、30分間プリベーク、120℃、15分間ポストベークして、近赤外線カットフィルタを作製した。得られた近赤外線カットフィルタの膜厚は148.4μmであった。なお、第2の硬化性樹脂組成物で得られた層の膜厚は、1.2μmだった。
<近赤外線遮蔽性評価>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタの分光透過率を分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。その結果、近赤外領域の光を十分に遮光すると共に、入射角依存性の低減された近赤外線カットフィルタが提供できることが確認できた。
【0175】
(実施例16)
<ピロロピロール色素の合成、同水分散物の作製>
(ピロロピロール色素化合物(D-17)の調製)
特開2011-68731の実施例における合成例1と同様に下記スキーム1に従って、ピロロピロール色素化合物(D-17)を調製した。
【0176】
【化15】

【0177】
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.9-1.0(m,12H),1.35-1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.95(d,4H),7.1(d,4H),7.4-7.5(m,4H),7.7(d,4H),7.75(d,2H),8.0(d,2H)
【0178】
(ピロロピロール色素化合物(D-10)の調製)
特開2011-68731の実施例における合成例2と同様に、前記のスキーム1に従いピロロピロール色素化合物(D-10)を調製した。
λmaxはクロロホルム中で779nmであった。モル吸収係数は、クロロホルム中、2.06×10^(5)dm^(3)/mol・cmであった。
^(1)H-NMR(CDCl_(3)):δ0.9-1.0(m,12H),1.35-1.6(m,16H),1.8(m,2H),3.85(d,4H),6.45(s,8H),7.0(d,4H),7.15(m12H),7.2(m,2H),7.25(m,4H+4H),7.5(m,2H)
(ピロロピロール色素化合物(D-141A)の調製)
原料を代えたこと以外は前記ピロロピロール色素化合物(D-10)と同様にして、下記ピロロピロール色素化合物(D-141A)を調製した。
【0179】
【化16】

【0180】
(ピロロピロール色素微粒子水分散物の作製)
前記ピロロピロール色素化合物のうちいずれか1種(6質量部)及び分散剤(Disperbyk191:ビックケミー社(4質量部))に、分散媒(水(90質量部))を加え100質量部とした。さらに0.1mmφのジルコニアビーズを100質量部添加し、遊星型ボールミルにて300rpmで8時間処理を行い、ビーズを濾過で分離し、微細粒子からなるピロロピロール色素微粒子水分散物を作製した。
<近赤外線吸収性の硬化性樹脂組成物の調製>
下記の化合物を混合して、近赤外線吸収性の硬化性樹脂組成物を調製した。
下記A-1で表されるスルホン酸を配位子として有する銅錯体(2.50g)に、ポリアクリルアミド(東レ社製AQナイロンA-90)50質量%水溶液(5.00g)、前記ピロロピロール色素微粒子水分散物(2.50g)を加えて、スルホン酸銅錯体:ピロロピロール色素微粒子:その他固形分=50:3:52、固形分濃度52.5質量%の近赤外線吸収性の硬化性樹脂組成物を得た。調製した近赤外線吸収性の硬化性樹脂組成物は青色の透明液であった。
【0181】
【表2】

【0182】
<近赤外線カットフィルタの作製>
アプリケータ塗布法(YOSHIMITS SEIKI製のベーカーアプリケーター、YBA-3型をスリット幅250μm400μmに調整して使用)を用いて、実施例16で調製した近赤外線吸収性組成物をガラス基板上にアプリケータ塗布し、オーブンで100℃、30分間プリベークし、さらにオーブンで120℃、15分間ポストベークして、近赤外線カットフィルタを作製した。得られた近赤外線カットフィルタの膜厚は151.5μmであった。
<近赤外線遮蔽性評価>
上記のようにして得た近赤外線カットフィルタの分光透過率を分光光度計U-4100(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて測定した。その結果、近赤外領域の光を十分に遮光すると共に、入射角依存性の低減された近赤外線カットフィルタが提供できることが確認できた。
実施例15及び16において、銅錯体含有層の膜厚を60μm、100μm、200μm、250μmとしたこと以外は、実施例15及び16と同様にして近赤外線カットフィルタを得た。これらの近赤外線カットフィルタでも、十分な近赤外線の遮光性があることを確認した。
実施例16におけるスルホン酸A-1を、A-2からA-4にそれぞれ変更したこと以外は、実施例16と同様にして近赤外線カットフィルタを作製した。また、実施例16におけるピロロピロール色素D-10を、D-141Aに変更したこと以外は、実施例16と同様にして近赤外線カットフィルタを作製した。これらの近赤外線カットフィルタでも近赤外領域の光を十分に遮光すると共に、入射角依存性の低減された近赤外線カットフィルタが提供できることが確認できた。これらの実施例では、ピロロピロール色素を添加することで、その色素の極大吸収波長近辺の近赤外線吸収能をさらに高めることができた。
【符号の説明】
【0183】
10 シリコン基板
12 撮像素子
13 層間絶縁膜
14 ベース層
15 カラーフィルタ
16 オーバーコート
17 高屈折率層
18 遮光膜
20 接着剤
22 絶縁膜
23 金属電極
24 ソルダレジスト層
26 内部電極
27 素子面電極
30 ガラス基板
35 赤外線反射膜
40 撮像レンズ
42 色素含有層
44 遮光兼電磁シールド
45 接着剤
46 低屈折率層
50 レンズホルダー
60 ハンダボール
70 回路基板
100 固体撮像素子基板
200 カメラモジュール
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び界面活性剤を含有する硬化性樹脂組成物であって、
前記色素が、ピロロピロール色素又は銅錯体であり、
固形分濃度が10?90質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下である、硬化性樹脂組成物であって、
前記界面活性剤がフッ素系界面活性剤であり、前記フッ素界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%?40質量%である、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤の含有量が硬化性樹脂組成物の全固形分質量に対して0.01質量%以上1質量%以下である、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
20μm以上の膜厚となるように塗布し得る波長600?850nmの範囲内に極大吸収波長を有する色素及び重合性化合物を含有する硬化性樹脂組成物であって、
固形分濃度が40?70質量%であり、25℃における粘度が1mPa・s以上1000Pa・s以下であり、
前記色素が、ピロロピロール色素、シアニン系染料、フタロシアニン系染料、クアテリレン系色素、アミニウム系染料、イミニウム系色素、アゾ系色素、アンスラキノン系色素、スクアリリウム系色素及びポルフィリン系色素からなる群から選択される少なくとも1種であり、
上記重合性化合物が単量体である、硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
25℃における粘度が300?700mPa・sである、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性化合物が、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造を含む化合物のいずれかである、請求項4又は5に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項1?2、4、6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項1?2、4、6、9のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成された膜厚20μm以上の色素含有層を有する赤外線カットフィルタ。
【請求項12】
銅錯体を含有する第1の色素含有層と、ピロロピロール色素を含有する第2の色素含有層とを有する赤外線カットフィルタであって、
前記銅錯体において、銅に配位する配位子は、スルホン酸、カルボン酸、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスフィン酸、又は置換ホスフィン酸を有する化合物である、赤外線カットフィルタ。
【請求項13】
前記第1の色素含有層の膜厚が50μm以上であり、前記第2の色素含有層の膜厚が5μm以下である、請求項12に記載の赤外線カットフィルタ。
【請求項14】
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
【請求項15】
支持体上に硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、スリットスピンコーター、スリットコーター、スクリーン印刷、又はポッティングにより塗布する、色素含有層の形成方法であって、
前記硬化性樹脂組成物が、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物である、色素含有層の形成方法。
【請求項16】
25℃における粘度が300?700mPa・sである、請求項15に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項17】
前記支持体上に前記硬化性樹脂組成物をアプリケーター、スピンコーター、又はスリットコーター、により塗布する、請求項14?16のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項18】
前記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が10mPa・s以上500Pa・s以下である、請求項14、15及び17のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項19】
前記硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が20mPa・s以上100Pa・s以下である、請求項14、15、17及び18のいずれか1項に記載の色素含有層の形成方法。
【請求項20】
請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物をガラス基板上に塗布し、色素含有層を形成する工程と、
前記色素含有層が形成されたガラス基板を固体撮像素子基板上に接着する工程とを有するイメージセンサチップの製造方法。
【請求項21】
前記硬化性樹脂組成物の塗布がアプリケーター塗布であり、前記硬化性樹脂組成物の固形分濃度40?70質量%及び粘度300?700mPa・sで前記アプリケーター塗布を行う、請求項20に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項22】
前記ガラス基板が赤外線反射膜を更に有し、(1)前記ガラス基板の赤外線反射膜が形成された面を固体撮像素子基板上に接着する、又は、(2)ガラス基板の赤外線反射膜が形成されていない面を固体撮像素子基板上に接着する、請求項20又は21に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項23】
前記ガラス基板が更に反射防止膜を有する、請求項20?22のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項24】
前記ガラス基板の一方の面上に赤外線反射膜が存在し、他方の面上に反射防止膜が存在する、請求項23に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項25】
前記赤外線反射膜が誘電体多層膜である、請求項22?24のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項26】
前記固体撮像素子基板がカラーフィルタ層、高屈折率層及び低屈折率層を有する、請求項20?25のいずれか1項に記載のイメージセンサチップの製造方法。
【請求項27】
固体撮像素子基板、請求項1?2、4?6、9?10のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物からなる色素含有層、及び赤外線反射膜を有するガラス基板を具備し、それらが間に空気層を挟まずに密着しているイメージセンサチップ。
【請求項28】
前記硬化性樹脂組成物からなる色素含有層とは反対側の前記ガラス基板の面上に前記赤外線反射膜を有する請求項27に記載のイメージセンサチップ。
【請求項29】
前記赤外線反射膜と前記ガラス基板との間に前記色素含有層を有する請求項27に記載のイメージセンサチップ。
【請求項30】
前記固体撮像素子基板、前記色素含有層、及び前記赤外線反射膜を有する前記ガラス基板を具備するイメージセンサチップの最表面に反射防止膜を更に有する、請求項27?29のいずれか1項に記載のイメージセンサチップ。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2019-09-12 
出願番号 特願2013-245477(P2013-245477)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (G02B)
P 1 651・ 121- YAA (G02B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 横川 美穂  
特許庁審判長 樋口 信宏
特許庁審判官 宮澤 浩
高松 大
登録日 2018-03-09 
登録番号 特許第6302650号(P6302650)
権利者 富士フイルム株式会社
発明の名称 硬化性樹脂組成物、これを用いた、色素含有層の形成方法、イメージセンサチップの製造方法及びイメージセンサチップ  
代理人 高松 猛  
代理人 特許業務法人航栄特許事務所  
代理人 尾澤 俊之  
代理人 特許業務法人航栄特許事務所  
代理人 高松 猛  
代理人 尾澤 俊之  

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